(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】湾曲した反射型偏光子フィルム及び成形方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
G02B5/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023144906
(22)【出願日】2023-09-07
(62)【分割の表示】P 2020520222の分割
【原出願日】2018-09-28
【審査請求日】2023-10-05
(32)【優先日】2017-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ジェニングス,ロバート エム.
(72)【発明者】
【氏名】アンバー,グレッグ エー.
(72)【発明者】
【氏名】エター,ジョー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ソネック,ベンジャミン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジシェン
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/058562(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/039721(WO,A1)
【文献】特表2002-509041(JP,A)
【文献】特表2009-514022(JP,A)
【文献】特開2003-075643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、前記湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、前記第1及び第2の方向のそれぞれに沿っ
て6mm
~1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、所定の波長を有する垂直入射光に関して、前記反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態につい
て70%より大きい最大反射率、及び直交する通過偏光状態につい
て70%より大きい最大透過率を有し、前記反射型偏光子の厚さは、少なくとも1つの縁部位置よりも前記反射型偏光子の中心において少なくとも5%小さく、前記反射型偏光子の前記厚さは、前記反射型偏光子の前記中心から前記少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に増加
し、各縁部位置について、前記反射型偏光子の縁部から該縁部位置までの弧長は、前記反射型偏光子の前記中心から該縁部位置までの弧長の10%未満である、湾曲した反射型偏光子。
【請求項2】
湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、前記湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、前記第1及び第2の方向のそれぞれに沿っ
て6mm
~1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、第1の反射帯域内の所定の波長を有する垂直入射光に関して、前記反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態につい
て70%より大きい最大反射率及
び5%未満の対応する最小透過率、並びに直交する通過偏光状態につい
て70%より大きい最大透過率を有し、前記第1の反射帯域は、少なくとも1つの縁部位置よりも前記反射型偏光子の中心において少なくとも5%小さい長波長帯域端を有し、前記反射型偏光子の前記長波長帯域端は、前記反射型偏光子の前記中心から前記少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に増加
し、各縁部位置について、前記反射型偏光子の縁部から該縁部位置までの弧長は、前記反射型偏光子の前記中心から該縁部位置までの弧長の10%未満である、湾曲した反射型偏光子。
【請求項3】
湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、前記湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が前記第1及び第2の方向のそれぞれに沿っ
て6mm
~1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、所定の波長を有し、前記反射型偏光子の中心において前記反射型偏光子に垂直な、かつ前記反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って前記反射型偏光子に入射する光に関して、前記反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態につい
て70%より大きい最大反射率、及
び5%未満の対応する最小透過率を有し、前記反射型偏光子の前記中心において前記反射型偏光子に接する平面上への投影で、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置におけるブロック偏光状態は、互いに対して2度より大きく回転されており、前記少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置は、前記反射型偏光子の前記中心におい
て70度
~110度の範囲の角度を画定
し、前記第1及び第2の縁部位置のそれぞれについて、前記反射型偏光子の縁部から該縁部位置までの弧長は、前記反射型偏光子の前記中心から該縁部位置までの弧長の10%未満である、
湾曲した反射型偏光子。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
反射型偏光子フィルムなどの光学フィルムは、様々な光学システムで使用される。場合によっては、光学フィルムは湾曲していてもよい。
【発明の概要】
【0002】
本明細書のいくつかの態様では、交互配置された複数のポリマー層を含む光学フィルムを成形する方法が提供される。この方法は、光学フィルムの外周の少なくとも一部分を第1の平面内に固定して、固定された部分が互いに対して移動しないようにする工程と、光学フィルムの半径方向及び円周方向での延伸の一方が光学フィルムの中心から外周まで実質的に一定となり、かつ光学フィルムの半径方向及び円周方向での延伸の他方が光学フィルムの中心から外周まで実質的に変化するように、光学フィルムの一部分を第1の平面に垂直な少なくとも第1の方向に沿って変位させることによって、光学フィルムを延伸させる工程と、を含む。
【0003】
本明細書のいくつかの態様では、交互配置された複数のポリマー層を備える光学フィルムを成形する方法が提供される。この方法は、光学フィルムの少なくとも第1の部分が湾曲した成形型表面に隣接する第1の平面内に実質的に配置されるように、光学フィルムを配置する工程と、光学フィルムを延伸させて、光学フィルムの第1の部分を湾曲した成形型表面の少なくとも一部分に適合させ、第1の部分の各点が、延伸する工程の前の第1の平面内の点の位置に頂点を有する円錐内にある湾曲した表面上の位置を有するようにする工程であって、円錐が、第1の平面に垂直な軸に沿って中心があり、10度以下の円錐角を有する、工程と、を含む。
【0004】
本明細書のいくつかの態様では、本明細書の方法によって成形された光学フィルムは、反射型偏光子である。本明細書のいくつかの態様では、光学フィルムを成形する本明細書に記載の方法から得られる成形された反射型偏光子が提供される。
【0005】
本明細書のいくつかの態様では、湾曲した反射型偏光子が提供される。反射型偏光子は、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備える。所定の波長を有する垂直入射光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率を有する。反射型偏光子の厚さは、少なくとも1つの縁部位置よりも反射型偏光子の中心において少なくとも5%大きい。反射型偏光子の厚さは、反射型偏光子の中心から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に減少する。
【0006】
本明細書のいくつかの態様では、湾曲した反射型偏光子が提供される。反射型偏光子は、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備える。所定の波長を有する垂直入射光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率を有する。反射型偏光子の厚さは、少なくとも1つの縁部位置よりも反射型偏光子の中心において少なくとも5%小さい。反射型偏光子の厚さは、反射型偏光子の中心から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に増加する。
【0007】
本明細書のいくつかの態様では、湾曲した反射型偏光子が提供される。反射型偏光子は、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備える。第1の反射帯域内の所定の波長を有する入射光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率及び約5%未満の対応する最小透過率、並びに直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率を有する。第1の反射帯域は、少なくとも1つの縁部位置よりも反射型偏光子の中心において少なくとも5%大きい長波長帯域端を有する。反射型偏光子の長波長帯域端は、反射型偏光子の中心から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に減少する。
【0008】
本明細書のいくつかの態様では、湾曲した反射型偏光子が提供される。反射型偏光子は、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備える。第1の反射帯域内の所定の波長を有する入射光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率及び約5%未満の対応する最小透過率、並びに直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率を有する。第1の反射帯域は、少なくとも1つの縁部位置よりも反射型偏光子の中心において少なくとも5%小さい長波長帯域端を有する。反射型偏光子の長波長帯域端は、反射型偏光子の中心から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に増加する。
【0009】
本明細書のいくつかの態様では、湾曲した反射型偏光子が提供される。反射型偏光子は、交互配置された複数のポリマー干渉層を備える。各ポリマー干渉層は、主に光干渉によって光を反射又は透過する。湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する。所定の波長を有し、中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率、及びブロック偏光状態について最小透過率を有し、反射型偏光子の中心位置で互いに交差する直交する第1の軸及び第2の軸、並びに反射型偏光子の中心位置で互いに交差する直交する第3の軸及び第4の軸に関して、第1の軸と第3の軸との間の角度は、約45度であり、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子の最小透過率は、反射型偏光子の中心位置と第1の縁部との間の第1の軸に沿った第1の位置では、T1であり、反射型偏光子の中心位置と第2の縁部との間の第2の軸に沿った第2の位置では、T2であり、反射型偏光子の中心位置と第3の縁部との間の第3の軸に沿った第3の位置では、T3であり、反射型偏光子の中心位置と第4の縁部との間の第4の軸に沿った第4の位置では、T4であるようになっている。T1及びT2の最大値は、T3及びT4の最小値未満である。
【0010】
本明細書のいくつかの態様では、湾曲した反射型偏光子が提供される。反射型偏光子は、交互配置された複数のポリマー干渉層を備える。各ポリマー干渉層は、主に光干渉によって光を反射又は透過する。湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する。所定の波長を有し、中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率、及びブロック偏光状態について最小透過率を有する。反射型偏光子の異なる第1の縁部と第2の縁部との間に延びる、反射型偏光子の最大横寸法の少なくとも3%の最小幅を有し、かつ反射型偏光子の分離した第2及び第3の部分を画定する、反射型偏光子の連続する第1の部分に関して、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子の最小透過率は、第2の部分の少なくとも70%内の各位置及び第3の部分の少なくとも70%内の各位置よりも第1の部分の少なくとも70%内の各位置において高い。
【0011】
本明細書のいくつかの態様では、複数のポリマー層を備える湾曲した反射型偏光子が提供される。湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する。所定の波長を有し、中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約0.7より大きい最大反射率、直交する通過偏光状態について約0.7より大きい最大透過率、及びブロック偏光状態について最小透過率を有する。光軸からの半径R内の反射型偏光子の領域は、約0.001~約0.005の範囲のブロック偏光状態の最小透過率の最大変動を有する。反射型偏光子は、光軸からの最大半径Rmを有し、Rは、Rmの0.4~0.7倍の範囲である。
【0012】
本明細書のいくつかの態様では、複数のポリマー層を備える湾曲した反射型偏光子が提供される。湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する。所定の波長を有し、かつ、中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約0.7より大きい最大反射率、及び直交する通過偏光状態について約0.7より大きい最大透過率を有する。少なくとも1つの第1及び第2の位置の通過偏光状態に対する最大透過率は、少なくとも3.8%だけ互いに異なり、少なくとも1つの第1及び第2の位置は、反射型偏光子の縁部付近にあり、中心位置において約70度~約110度の範囲の角度を画定する。
【0013】
本明細書のいくつかの態様では、複数のポリマー層を備える湾曲した反射型偏光子が提供される。湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する。所定の波長を有し、かつ、中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約0.7より大きい最大反射率、及び直交する通過偏光状態について約0.7より大きい最大透過率を有する。少なくとも1つの第1及び第2の位置であって、反射型偏光子の中心位置付近の少なくとも1つの第1の位置及び縁部付近の少なくとも1つの第2の位置の通過偏光状態に対する最大透過率は、少なくとも3.8%だけ互いに異なる。
【0014】
本明細書のいくつかの態様では、複数のポリマー層を備える湾曲した反射型偏光子が提供される。湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する。所定の波長を有し、中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率を有する。平面視で、中心を実質的に中心にした実質的に矩形の領域内の位置の少なくとも70%のそれぞれにおける通過偏光状態に対する最大透過率は、反射型偏光子の中心における通過偏光状態に対する最大透過率の1.5%以内であり、実質的に矩形の領域の外側の反射型偏光子の位置の少なくとも大部分の通過偏光状態に対する最大透過率は、反射型偏光子の中心における通過偏光状態に対する最大透過率よりも少なくとも1.5%低い。
【0015】
本明細書のいくつかの態様では、交互配置された複数のポリマー干渉層を備える湾曲した反射型偏光子が提供される。各ポリマー干渉層は、主に光干渉によって光を反射又は透過する。湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する。所定の波長を有する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率、及びブロック偏光状態に対する最小透過率を有する。反射型偏光子の中心位置で互いに交差する直交する第1の軸及び第2の軸に関して、通過偏光状態に対する反射型偏光子の最大透過率は、中心位置では、Tcであり、反射型偏光子の第1の縁部付近の第1の軸に沿った第1の縁部位置では、T1であり、反射型偏光子の第1の縁部の反対側の第2の縁部付近の第1の軸に沿った第2の縁部位置では、T2であり、反射型偏光子の第3の縁部付近の第2の軸に沿った第3の縁部位置では、T3であり、反射型偏光子の第3の縁部の反対側の第4の縁部付近の第2の軸に沿った第4の縁部位置では、T4である。Tcは、T1及びT2の最大値より大きく、T3及びT4の最小値未満である。
【0016】
本明細書のいくつかの態様では、湾曲した反射型偏光子が提供される。反射型偏光子は、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備える。所定の波長を有し、かつ、中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有する。反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影で、少なくとも1つの第1の縁部位置のブロック偏光状態は、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から時計回りに回転され、少なくとも1つの第2の縁部位置のブロック偏光状態は、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から反時計回りに回転され、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置は、反射型偏光子の中心において約70度~約110度の範囲の角度を画定する。
【0017】
本明細書のいくつかの態様では、湾曲した反射型偏光子が提供される。反射型偏光子は、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備える。所定の波長を有し、かつ、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有する。反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影で、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置のブロック偏光状態は、互いに対して2度より大きく回転され、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置は、反射型偏光子の中心において約70度~約110度の範囲の角度を画定する。
【0018】
本明細書のいくつかの態様では、湾曲した反射型偏光子が提供される。反射型偏光子は、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備える。所定の波長を有し、かつ、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有し、光軸から半径R内の反射型偏光子の領域は、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影におけるブロック偏光状態の最大変動が、R1未満のRに対して約1度未満であり、R2より大きいRに対して、約2度より大きくなっている。反射型偏光子は、光軸からの最大半径Rmを有する。R1は、少なくとも0.4Rmであり、R2は、R1より大きく、かつ0.95Rm以下である。
【0019】
本明細書のいくつかの態様では、交互配置された複数のポリマー干渉層を備える湾曲した反射型偏光子が提供される。各ポリマー干渉層は、主に光干渉によって光を反射又は透過する。湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する。所定の波長を有し、かつ、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率、及び円形減衰を有する。反射型偏光子の中心位置で互いに交差する直交する第1の軸及び第2の軸に関して、反射型偏光子の円形減衰は、中心位置では、CDcであり、反射型偏光子の第1の縁部付近の第1の軸に沿った第1の縁部位置では、CD1であり、反射型偏光子の第1の縁部の反対側の第2の縁部付近の第1の軸に沿った第2の縁部位置では、CD2であり、反射型偏光子の第3の縁部付近の第2の軸に沿った第3の縁部位置では、CD3であり、反射型偏光子の第3の縁部の反対側の第4の縁部付近の第2の軸に沿った第4の縁部位置では、CD4である。CDcは、CD3及びCD4の最小値未満であり、CD1及びCD1の最大値よりも大きい。
【0020】
本明細書のいくつかの態様では、湾曲した反射型偏光子が提供される。反射型偏光子は、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備える。所定の波長を有し、かつ、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有する。反射型偏光子の総面積以下の面積を有する反射型偏光子の領域は、少なくとも0.04である円形減衰の最大変動を有する。
【0021】
本明細書のいくつかの態様では、湾曲した反射型偏光子が提供される。反射型偏光子は、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備える。所定の波長を有し、かつ、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有し、反射型偏光子の総面積の半分より大きい面積を有する反射型偏光子の領域が有する円形減衰の最大変動は、0.015以下になっている。
【0022】
本明細書のいくつかの態様では、湾曲した反射型偏光子が提供される。反射型偏光子は、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備える。所定の波長を有し、かつ、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有し、反射型偏光子の総面積の半分より大きい面積を有する反射型偏光子の領域が有する円形減衰の最大絶対値は、0.007以下になっている。
【0023】
本明細書のいくつかの態様では、湾曲した反射型偏光子が提供される。反射型偏光子は、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備える。所定の波長を有し、かつ、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有し、光軸から半径R内の反射型偏光子の領域が有する、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影におけるブロック偏光状態の最大変動が、0.8Rm未満のRに対して約1度未満になっている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3A】湾曲した成形型表面を有する第1の成形型の概略断面図である。
【
図3B】
図3Aの第1の成形型と第2の成形型との間に配置された光学フィルムの概略断面図である。
【
図3C】
図3Aの第1の成形型と第2の成形型との間に配置された光学フィルムの概略断面図である。
【
図3D】第1の成形型の湾曲した成形型表面に適合する、
図3B~
図3Cの光学フィルムの一部分を示す概略断面図である。
【
図3E】
図3Dに示す形成された光学フィルムの概略断面図である。
【
図3F】湾曲した成形型表面を有する第1の成形型の概略断面図である。
【
図4B】成形型の上に配置された
図4Aの光学フィルムの概略側面図である。
【
図4C】光学フィルムの一部分が湾曲した成形型表面の少なくとも一部分に適合する、
図4A~
図4Bの光学フィルムの概略側面図である。
【
図4D】成形型の上に配置された光学フィルムの概略側面図である。
【
図6】中心位置から縁部位置までの反射型偏光子の厚さの概略図である。
【
図7】中心位置から縁部位置までの別の反射型偏光子の厚さの概略図である。
【
図8】反射型偏光子に関する反射率対波長の概略図である。
【
図9】反射型偏光子に関する透過率対波長の概略図である。
【
図10】中心位置から縁部位置までの反射型偏光子の長波長帯域端の概略図である。
【
図11】中心位置から縁部位置までの別の反射型偏光子の長波長帯域端の概略図である。
【
図12】一体的に形成された反射型偏光子の概略断面図である。
【
図13】正面平面視での反射型偏光子の最小透過率(Tmin)の概略図である。
【
図14】正面平面視での反射型偏光子の最小透過率(Tmin)の概略図である。
【
図15】正面平面視での反射型偏光子の最小透過率(Tmin)の概略図である。
【
図17】反射型偏光子の中心と反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸からの半径Rとの間の反射型偏光子の領域内のTminの最大変動の概略図である。
【
図18】ブロック偏光状態のあり得る変動を示す反射型偏光子の概略正面平面図である。
【
図19】ブロック偏光状態のあり得る変動を示す反射型偏光子の概略正面平面図である。
【
図20】反射型偏光子の中心と反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸からの半径Rとの間の反射型偏光子の領域内のブロック軸配向の最大変動の概略図である。
【
図21】正面平面視での反射型偏光子の最大透過率(Tmax)のあり得るパターンを概略的に示す。
【
図22】正面平面視での反射型偏光子の最大透過率(Tmax)のあり得るパターンを概略的に示す。
【
図23】正面平面視での反射型偏光子の所定の波長での円形減衰の概略図である。
【
図24】反射型偏光子の中心と反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸からの半径Rとの間の反射型偏光子の領域の円形減衰の最大変動の概略図である。
【
図27】形成された反射型偏光子の厚さと形成前のその対応する厚さとの比のグラフである。
【
図28】加圧プロセスで成形された光学フィルムの半径方向及び円周方向の延伸比のグラフである。
【
図29】プルダウンプロセスで成形された光学フィルムの半径方向及び円周方向の延伸比のグラフである。
【
図30】5つのサンプルが反射型偏光子から切り取られた、成形された反射型偏光子の斜視図である。
【
図31】加圧プロセスで成形された反射型偏光子から切り取られたサンプルのブロック状態透過率のグラフである。
【
図32】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子から切り取られたサンプルのブロック状態透過率のグラフである。
【
図33A】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの減衰配向のグラフである。
【
図33B】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの減衰配向のグラフである。
【
図33C】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの減衰配向のグラフである。
【
図33D】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの減衰配向のグラフである。
【
図34A】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの減衰配向のグラフである。
【
図34B】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの減衰配向のグラフである。
【
図34C】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの減衰配向のグラフである。
【
図34D】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの減衰配向のグラフである。
【
図35】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子フィルムの通過軸変動の拡大したグラフである。
【
図36】加圧プロセスで成形された反射型偏光子フィルムの通過軸変動の拡大したグラフである。
【
図37A】反射型偏光子サンプルの減衰配向の半径Rを有する領域内の平均のグラフである。
【
図37B】反射型偏光子サンプルの減衰配向の半径Rを有する領域内の最大変動のグラフである。
【
図38A】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの通過軸透過率のグラフである。
【
図38B】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの通過軸透過率のグラフである。
【
図38C】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの通過軸透過率のグラフである。
【
図38D】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの通過軸透過率のグラフである。
【
図39A】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの通過軸透過率のグラフである。
【
図39B】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの通過軸透過率のグラフである。
【
図39C】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの通過軸透過率のグラフである。
【
図39D】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの通過軸透過率のグラフである。
【
図40A】反射型偏光子サンプルの最大通過軸透過率の半径Rを有する領域内の平均のグラフである。
【
図40B】反射型偏光子サンプルの通過軸透過率の半径Rを有する領域内の最大変動のグラフである。
【
図41A】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルのブロック軸透過率のグラフである。
【
図41B】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルのブロック軸透過率のグラフである。
【
図41C】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルのブロック軸透過率のグラフである。
【
図41D】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルのブロック軸透過率のグラフである。
【
図42A】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルのブロック軸透過率のグラフである。
【
図42B】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルのブロック軸透過率のグラフである。
【
図42C】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルのブロック軸透過率のグラフである。
【
図42D】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルのブロック軸透過率のグラフである。
【
図43A】反射型偏光子サンプルの最大ブロック軸透過率の半径Rを有する領域内の平均のグラフである。
【
図43B】反射型偏光子サンプルのブロック軸透過率の半径Rを有する領域内の最大変動のグラフである。
【
図44A】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの線形減衰のグラフである。
【
図44B】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの線形減衰のグラフである。
【
図44C】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの線形減衰のグラフである。
【
図44D】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの線形減衰のグラフである。
【
図45A】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの線形減衰のグラフである。
【
図45B】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの線形減衰のグラフである。
【
図45C】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの線形減衰のグラフである。
【
図45D】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの線形減衰のグラフである。
【
図46A】反射型偏光子サンプルの最大線形減衰の半径Rを有する領域内の平均のグラフである。
【
図46B】反射型偏光子サンプルの線形減衰の半径Rを有する領域内の最大変動のグラフである。
【
図47A】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの円形減衰のグラフである。
【
図47B】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの円形減衰のグラフである。
【
図47C】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの円形減衰のグラフである。
【
図47D】プルダウンプロセスで成形された反射型偏光子サンプルの円形減衰のグラフである。
【
図48A】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの円形減衰のグラフである。
【
図48B】加圧プロセスで成形された反射型偏光子サンプルの円形減衰のグラフである。
【
図49A】反射型偏光子サンプルの円形減衰の半径Rを有する領域内の平均のグラフである。
【
図49B】反射型偏光子サンプルの円形減衰の半径Rを有する領域内の最大変動のグラフである。
【
図50】干渉層の2つのパケットを含む反射型偏光子の層厚さ対層数のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0026】
フィルムを成形型表面上に延伸することによって光学フィルムを熱成形することが知られている。本明細書のいくつかの態様によれば、光学フィルムの延伸に対する特定の制約を提供することにより、フィルムの所望の光学特性をもたらすことができることが見出されている。いくつかの実施形態によれば、フィルムが有用な形状に延伸される際に、光学フィルムの半径方向及び円周方向の延伸のうちの一方が実質的に一定であるが、他方が実質的に一定でない、光学フィルムを成形する方法が提供される。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、反射型偏光子である。他の実施形態では、光学フィルムは、例えば、ミラーフィルムであってもよい。半径方向での延伸が実質的に一定であるように反射型偏光子が延伸されるとき、本明細書の他の箇所で更に説明される、結果として得られる成形され湾曲した反射型偏光子の様々な特性は、いくつかの用途に望ましく、円周方向での延伸が実質的に一定であるように反射型偏光子が延伸されるとき、本明細書の他の箇所で更に説明される、結果として得られる成形され湾曲した反射型偏光子の様々な特性は、いくつかの用途に望ましいことが見出されている。半径方向での延伸を実質的に一定に保つことから得られる特性の一部は、円周方向での延伸を一定に保つことから得られる特性とは異なることがあるが、他の特性は、同様であってもよい。
【0027】
光学フィルムの中心から外周までの実質的に一定の延伸は、中心から外周までの最大歪みが、中心から外周までの最小歪みよりも5%未満大きいことを意味すると理解することができる。光学フィルムの中心から外周までの実質的に変化する延伸は、中心から外周までの最大歪みが、中心から外周までの最小歪みよりも少なくとも5%大きいことを意味すると理解することができる。いくつかの実施形態では、光学フィルムの中心から外周まで実質的に一定である光学フィルムの延伸は、中心から外周まで5パーセント未満、又は4パーセント未満、又は3パーセント未満、又は2パーセント未満、又は1パーセント未満の延伸の変動を有する。いくつかの実施形態では、光学フィルムの中心から外周まで実質的に変化する光学フィルムの延伸は、中心から外周まで少なくとも5パーセント、又は少なくとも8パーセント、又は少なくとも10パーセント、又は少なくとも15パーセント、又は少なくとも20パーセントの延伸の変動を有する。
【0028】
光学フィルム(例えば、反射型偏光子)は、例えば、2つの直交軸周りに湾曲した形状に形成されてもよく、レンズ表面の湾曲形状を有してもよい。光学フィルムが成形された後、光学レンズは、例えば、インサート成形によって光学フィルム上に形成することができる。光学フィルムを有するレンズは、例えば、米国特許第9,557,568号(Ouderkirkら)に記載されているものなどの屈曲光路を利用する光学システムに使用することができ、同文献は、本明細書と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。そのような光学システムは、典型的には、反射型偏光子に隣接し、かつ離間した部分反射体と、部分反射体と反射型偏光子との間に配置されたリターダと、を含む。光線が部分反射体を透過し、反射型偏光子から部分反射体に向かって反射して戻り、部分反射体から反射し、次いで反射型偏光子を透過することができるため、そのような光学システムは、屈曲光路を備える。多くの場合、そのような光学システム内の反射型偏光子は、2つの直交軸周りに湾曲していることが望ましい。本明細書に記載される方法は、屈曲光学システム、又は(例えば、偏光ビームスプリッタ内のプリズムの曲面上に)湾曲した反射型偏光子が所望される他の光学システムでの使用に好適な反射型偏光子を提供することができる。反射型偏光子が2つの直交軸周りに成形された湾曲に形成される場合、反射型偏光子の様々な光学特性(例えば、ブロック偏光状態を有する光の最小透過率、ブロック軸、線形減衰、円形減衰、反射型偏光子の厚さ、及び帯域端のうちの1つ以上の位置による変動)は、典型的には、形成プロセスによって変更される。場合によっては、変更された光学特性の一部のパターンは、他のパターンよりも好ましい。どのパターンが好ましいかは、光学システムの設計に依存し得る。例えば、反射型偏光子の特性(単数又は複数)の空間的変動は、光学システム内の他の光学素子の特性の空間的変動を補償する、又は部分的に補償することができ、反射型偏光子の特性(単数又は複数)の好ましい空間的変動は、光学システム内の他の光学素子に依存し得る。
【0029】
図1は、成形された光学フィルム100の概略断面図である。光学フィルム100は、中心105と、外周107と、境界部分108と、を有する。外周107は、例えば、光学システムで使用されるときに光学フィルム100のアクティブ部分である、又はそれを含むことができる、光学フィルム100の部分106の外周である。境界部分108は、外周107に隣接しており、光学フィルム100が成形されるときにクランプされる、又は別の方法で固定される、光学フィルム100の部分であってもよい。中心105を通過する軸111及び軸111に垂直な平面112が示されている。軸は、中心105において光学フィルム100に対して垂直である。光学フィルム100は、2Rmの最大横寸法及びSの最大サグを有する。光学フィルム100の輪郭に沿った中心105からの半径方向距離は、rである。半径方向は、この半径方向距離に沿っている。円周方向は、半径方向に垂直な光学フィルムの輪郭に沿った方向である。図示した断面における円周方向は、
図1のx-y-z座標系を参照して、y軸に平行である。光学フィルム上の点は、半径方向弧長距離rを使用して、軸111からの円柱座標半径Rを使用して、又は軸111と光学フィルム100の曲率中心から光学フィルム100上の点までの線分との間の角度φを使用して、説明することができる。図示した実施形態では、光学フィルム100は、曲率半径Rcを有する。いくつかの実施形態では、光学フィルム100は、非球面であり、r又はRにより変化する曲率半径を有する。角度φは、最大値φ
maxを有する。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、光学システムで使用され、軸111は、光学システムの光軸である。角度2φ
maxは、光学フィルム100の視野(field of view、FOV)であると理解することができる。いくつかの実施形態では、光学フィルム100の境界部分108は、光学システムで光学フィルム100を使用する前に除去される。
【0030】
光学フィルムの特性は、光学フィルムに垂直入射する光、又は中心位置で光学フィルムに垂直な、かつ光学フィルムを通過する軸に平行な方向に沿って光学フィルムに入射する光に対して、指定することができる。例えば、位置110における光学フィルム100の特性は、位置110において光学フィルム100に垂直な光199に対して指定されてもよく、及び/又は、軸111に平行な方向に沿って位置110において光学フィルム100に入射する光198に対して指定されてもよい。場合によっては、反射型偏光子の特性は、垂直入射光199に対して、及び軸111に平行な方向に沿って光学フィルム100に入射する光198に対して指定されてもよい。例えば、ブロック軸及び通過軸に沿って偏光された光に対する透過率及び反射率は、光199及び光198の両方に対して指定されてもよい。反射率及び透過率又は他の光学特性は、光学フィルム100のいずれかの側から光学フィルム100に入射する光に対して判定されてもよい。図示した実施形態では、光学フィルム100は、入射光198及び入射光199に向かって凸状である。入射光の方向が指定されていない場合、光はフィルムに垂直入射すると仮定することができる。異なって示される場合を除き、透過率及び反射率又は他の光学特性は、反射型偏光子が
図1に示すように入射光に向かって凸状である、反射型偏光子の側から反射型偏光子に入射する光に対して判定される。
【0031】
湾曲した光学フィルムの中心位置は、基準平面から最大距離にある光学フィルム上の点とすることができ、基準平面は、光学フィルムと交差しない平面であり、光学フィルムの少なくとも大部分が基準平面に向かって凹状になるように配置され、基準平面は、光学フィルムが基準平面内に最大投影面積を有するようなものである。
【0032】
図2は、2つの相互に直交する軸(x軸及びy軸)周りに湾曲している光学フィルム200の概略正面図である。光学フィルム200は、中心205及び外周207を有する。半径方向204は、中心205から外周207に概ね向かっている。円周方向206は、半径方向204に直交している。光学フィルム200の中心205は、光学フィルム200の光軸又は光学フィルム200を含む光学システムの光軸が光学フィルム200と交差する位置と一致してもよい。方位角φが示されている。場合によっては、方位角平均厚さ、又は方位角平均帯域端波長などの方位角平均量の観点から、光学フィルム200を特徴付けることが望ましい場合がある。方位角平均量は、固定半径(中心205からの距離)に対する方位角にわたる量の非加重平均である。方位範囲は、半径に依存し得る。例えば、図示した実施形態における小さい半径に関して、方位角φは、0~2πの範囲であり、方位角平均量は、0~2πのφにわたるその量の積分を2πで割ったものとして表すことができる。大きな半径に関して、方位角φは、0~2πの範囲のなんらかのサブセット(単数又は複数)にわたってのみ延びてもよい。例えば、図示した実施形態におけるプラス及びマイナスx方向の縁部付近の半径に関して、方位角φの範囲は、0及びπラジアン周りを中心とする比較的狭い範囲である。
【0033】
半径方向の延伸は、λ
r=1+ε
rとして半径方向歪みε
rに関連する半径方向での延伸比λ
rによって特徴付けられてもよい。同様に、円周方向の延伸は、λ
θ=1+ε
θとして円周方向歪みε
θに関連する円周方向での延伸比λ
θによって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、成形される前の光学フィルムは、円板形状である、又は曲率半径Rcを有する球面の部分に適合するように成形された円板形状部分を有する。軸対称変形の場合、半径方向での延伸比λ
r及び円周方向での延伸比λ
θは、以下の式によって関連する。
【数1】
より一般的な変形では、延伸比λ
r及びλ
θは、式1を満たさなくてもよい。従来の熱成形方法では、λ
r及びλ
θの両方は、中心205から外周207まで変化する。本明細書のいくつかの実施形態によれば、形成プロセス中にλ
r及びλ
θの一方が実質的に一定であるが、他方が実質的に一定ではない形成プロセスを利用することが有利であることが見出されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、中心205において光学フィルム200に対して垂直である中心205を通る軸周りに回転対称でなくてもよい。この場合、λr及びλθの一方は、中心205から外周207までの少なくとも1つの方向に沿って実質的に一定であってもよいが、他方は、実質的に一定でなくてもよい。いくつかの実施形態では、λr及びλθの一方は、中心205から外周207までのそれぞれの方向に沿って実質的に一定であるが、他方は、実質的に一定ではない。これは、例えば、光学フィルム200が中心205を通る軸周りに回転対称である場合であってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、光学フィルムを成形する方法で、成形型が使用される。いくつかの実施形態では、光学フィルムの外周の少なくとも一部分は、第1の成形型の部分と第2の成形型の部分との間に光学フィルムの境界部分の少なくとも一部分を固定することによって、平面内に固定される。いくつかの実施形態では、第1の成形型は、湾曲した成形型表面を有し、圧力(例えば、空気圧)を使用して、光学フィルムの一部分を、湾曲した成形型表面に適合するように変位させる。フィルムを適切な位置に配置すること及び/又は光学フィルムの一部分を固定することは、典型的には、光学フィルムを延伸する前に予備成形される。
【0036】
図3Aは、湾曲した成形型表面362を有する第1の成形型360の概略断面図である。第1の成形型360は、機械加工作業によって(例えば、ダイヤモンド旋削を使用して)作製することができる。成形型360及び本明細書に記載される他の成形型は、例えば、アルミニウム若しくはアルミニウム合金、ステンレス鋼、工具鋼、又は他の好適な合金で作製されてもよい。いくつかの実施形態では、成形型は、空気が成形型を通って流れることを可能にする(例えば、真空を適用することによって)ために、開孔セルを含む多孔質材料(例えば、多孔質アルミニウム)から作製される。湾曲した成形型表面362は、最大横寸法D、最大サグS、及びS/Dのサグと直径との比を有する。いくつかの実施形態では、S/Dは、少なくとも0.05、又は少なくとも0.1、又は少なくとも0.2であり、0.5未満又は0.4未満であってもよい。いくつかの実施形態では、湾曲した成形型表面362は、いくつかの実施形態では約30mm~約1000mmの範囲にある、第1のベストフィット曲率半径Rsを有する。いくつかの実施形態では、サグSと第1のベストフィット曲率半径Rsとの比は、約0.02~約0.2の範囲、又は約0.02~約0.15の範囲、又は約0.02~約0.12の範囲、又は約0.03~約0.12の範囲、又は約0.04~約0.12の範囲にある。いくつかの実施形態では、光学フィルム300は、湾曲形状に形成された後に、これらの範囲のいずれかのサグと半径との比を有する。
【0037】
図3Bは、光学フィルム300が第1の成形型360と第2の成形型370との間に配置され、光学フィルム300の外周307の少なくとも一部分が第1の平面312内に固定されて、固定された部分が互いに対して移動しないようになった、第1の成形型360、及び成形型表面372を有する第2の成形型370の概略断面図である。いくつかの実施形態では、固定された部分は、外周307全体である。外周307は、光学フィルム300の境界部分308が第1及び第2の成形型360及び370の部分の間に固定されることにより、固定される。他の実施形態では、外周307の一部分のみが固定される。例えば、第1及び第2の成形型360は、外周307が固定されていない1つ以上のチャネルを含んでもよい。これは、例えば、チャネル381が示され、チャネル381の真上の光学フィルム300の部分が第1の成形型360と第2の成形型370との間に固定されていない、
図3Cの断面に示されている。図示した実施形態では、境界部分308は、第1の平面312内に配置されている。他の実施形態では、外周307又は外周307の少なくとも一部分は、平面312内に配置されるが、境界部分308は、例えば、境界部分308に沿った第1及び第2の成形型360及び370の斜面により、第1の平面312内に完全に配置されない。
【0038】
いくつかの実施形態では、第2の成形型370は、加熱され、第1の成形型360と光学フィルム300との間の空間380に圧力が加えられて、光学フィルム300を第2の成形型370の成形型表面372に接触させ、それによって、光学フィルム300を加熱する。圧力(例えば、空気圧)は、第1の成形型360と光学フィルム300との間のチャネル(図示せず)を介して加えることができる。他の実施形態では、光学フィルム300は、第1の成形型360と第2の成形型370との間に配置される前に予熱される、及び/又は第1の成形型360は、加熱されて、光学フィルムが湾曲した成形型表面362に適合されたときに、光学フィルムを加熱する。
【0039】
いくつかの実施形態では、光学フィルム300は、フィルムを延伸及び形成する前に、光学フィルム300のガラス転移温度よりも高い温度まで加熱される。光学フィルム300のガラス転移温度は、光学フィルム300の任意の層のガラス転移温度を指してもよい。例えば、光学フィルム300のガラス転移温度は、光学フィルム300の層のいずれかの最高ガラス転移温度であってもよく、光学フィルム300の層のいずれかの最低ガラス転移温度であってもよく、光学フィルム300が交互の非複屈折層及び複屈折層を含む場合、光学フィルム300の複屈折干渉層のガラス転移温度であってもよく、又は光学フィルム300が交互の高屈折率干渉層及び低屈折率干渉層を含む場合、光学フィルム300の高屈折率干渉層のガラス転移温度であってもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、光学フィルム300は、光学フィルムの半径方向での延伸が光学フィルム300の中心305から外周307まで実質的に一定となり、かつ光学フィルムの円周方向での延伸が光学フィルム300の中心305から外周307まで実質的に変化するように、光学フィルム300の一部分を第1の平面312に対して垂直な少なくとも第1の方向(z方向)に沿って変位させることによって延伸される。外周307に対して変位される光学フィルムの部分は、典型的には、光学フィルム300の中心305付近の部分を含む。いくつかの実施形態では、光学フィルム300の一部分を変位させるために、圧力が使用される。いくつかの実施形態では、光学フィルム300を加熱した後に、チャネル381を介して光学フィルム300と第2の成形型370との間の空間382内に圧力(例えば、空気圧)が加えられて、
図3Dに示すように、光学フィルム300を湾曲した成形型表面362に適合させる、又は少なくとも部分的に適合させる。いくつかの実施形態では、第1の成形型360は、多孔質である。いくつかの実施形態では、光学フィルム300を湾曲した成形型表面362に適合させるのを助けるために、真空又は部分真空が第1の成形型360を介して引かれる。この場合、光学フィルム300と第1の成形型360との間の空間380に、真空又は部分真空が引かれる。
【0041】
光学フィルム300は、その後、第1及び第2の成形型360及び370から取り外される。結果として得られる成形された光学フィルム300を、
図3Eに示す。後続の処理工程では、レンズ又は他の光学素子を、光学フィルム300上に射出成形することができる。光学フィルム300の境界部分308は、射出成形工程の前又は後に除去することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、光学フィルム300上の少なくとも1つの位置310は、約6mm~約1000mmの範囲、又は約12mm~約500mmの範囲の、直交する第1及び第2の方向(例えば、x及びy方向)のそれぞれに沿った曲率半径R1を有する。いくつかの実施形態では、光学フィルム300上の各位置は、約6mm~約1000mmの範囲、又は約12mm~約500mmの範囲の、直交する第1及び第2の方向(例えば、x及びy方向)のそれぞれに沿った曲率半径を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の方向に沿った曲率半径は、異なるが、それぞれ約6mm~約1000mmの範囲、又は約12mm~約500mmの範囲である。いくつかの実施形態では、第1及び第2の方向に沿った曲率半径は、ほぼ等しい。
【0043】
図3Fは、第1の成形型360に対応し、かつ第1の成形型360の代わりに使用することができる、成形型360bの概略図である。成形型360bは、湾曲した成形型表面362b及び少なくとも1つの遷移領域364を有する。少なくとも1つの遷移領域364は、例えば、湾曲した成形型表面362bの縁部の周囲の単一の連続領域であってもよい。少なくとも1つの遷移領域364は、典型的には、湾曲した成形型表面362bから平坦な境界部分396まで滑らかに変化する曲率を有する。少なくとも1つの遷移領域364は、光学フィルム内の応力集中を防止又は低減するために含まれてもよい。これにより、少なくとも1つの遷移領域364を含まない成形型を使用する場合と比較して、光学フィルムを、低減した圧力で形成することが可能になることが見出されている。成形型360bは、例えば、第1の成形型360に関して記載したように、多孔質であってもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、光学フィルムを成形する方法で、成形型が使用される。いくつかの実施形態では、光学フィルムの外周の少なくとも一部分は、光学フィルムの一部分をクランプして、固定された部分が互いに対して移動しないようにすることによって、平面内に固定される。いくつかの実施形態では、成形型は、湾曲した成形型表面を有し、光学フィルムが湾曲した成形型表面に適合するように、外周の固定された部分に対して光学フィルムの一部分を変位させるために、成形型及び光学フィルムは、互いに対して移動される。
【0045】
図4Aは、中心405と、外周407と、境界部分408と、を有する光学フィルム400の概略上面図である。
図4Bは、成形型460の上に配置された光学フィルム400の概略側面図である。境界部分408の少なくとも一部分は、第1の平面412(x-y平面に平行)内に外周407の少なくとも一部分を固定するために、クランプ473内にクランプされる。成形型460は、湾曲した成形型表面462を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、光学フィルム400は、光学フィルムの円周方向での延伸が光学フィルム400の中心405から外周407まで実質的に一定となり、かつ光学フィルム400の半径方向での延伸が光学フィルム400の中心405から外周407まで実質的に変化するように、光学フィルム400の一部分を第1の平面412に対して垂直な少なくとも第1の方向(z方向)に沿って変位させることによって延伸される。いくつかの実施形態では、光学フィルム400の中心付近の光学フィルム400の部分は、少なくとも光学フィルム400の中心405付近の光学フィルム400の部分が湾曲した成形型表面462と接触するように、第1の方向に沿って湾曲した成形型表面462と光学フィルム400の外周407との間の距離を変化させることによって、変位される。湾曲した成形型表面462と外周407との間の距離は、成形型460を光学フィルム400に向かって移動させることによって、及び/又は外周407の少なくとも一部分を固定しているクランプ473を成形型460に向かって移動させることによって、変更することができる。
図4Cは、クランプ473及び成形型460及び成形型が互いに対して移動された後の光学フィルム400及び成形型460の概略側面図である。光学フィルム400の少なくとも一部分は、湾曲した成形型表面462の少なくとも一部分に適合する。いくつかの実施形態では、成形型460と光学フィルム400との間の領域477内で、真空又は部分真空が引かれる。いくつかの実施形態では、成形型460は、密閉チャンバ493内にあり、成形型460の反対側の光学フィルム400に圧力が加えられる。例えば、空気圧を領域491内に加えることができる。光学フィルム400を湾曲した成形型表面462に適合させるのを助けるために、真空引き及び/又は圧力の印加を行うことができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、光学フィルム400は、本明細書の他の箇所に記載される範囲のいずれかの曲率半径を有する。例えば、光学フィルム400上の少なくとも1つの位置は、光学フィルム300に関して説明したように、約6mm~約1000mmの範囲の直交する第1及び第2の方向のそれぞれに沿った曲率半径を有してもよい。
【0048】
図4Dは、本明細書のいくつかの実施形態による、光学フィルム400内の点が湾曲した成形型表面462上の点にどのようにマッピングされるかの概略図である。光学フィルム400の第1の部分488は、光学フィルム400の延伸において、湾曲した成形型表面462の少なくとも一部分468に適合される。いくつかの実施形態では、光学フィルム400は、少なくとも第1の部分488が、湾曲した成形型表面462に隣接する第1の平面412内に実質的に配置されるように、配置される。第1の平面412は、湾曲した成形型表面462のサグの、又は湾曲した成形型表面462の一部分468のサグの0~100倍の配置にある、湾曲した成形型表面462上の最も近い点からの距離に(
図4Dのz方向に)配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルム400はその後、光学フィルムの第1の部分488を湾曲した成形型表面462の少なくとも一部分468に適合させるように、延伸される。この延伸は、
図4A~
図4Cに関して示し説明したように実施することができる。いくつかの実施形態では、延伸は、第1の部分488の各点480が、延伸前の第1の平面412内の点480の位置481に頂点485を有する円錐484内にある湾曲した成形型表面462上の位置482を有するようなものである。いくつかの実施形態では、円錐484は、第1の平面412に垂直な軸486に沿って中心があり、10度以下、又は5度以下の円錐角σを有する。
【0049】
フィルム又はフィルムの一部分は、フィルム若しくは一部分が平面内にある場合、又はフィルム若しくは一部分の平面からの最大偏位が、フィルム若しくは一部分の最大横寸法(正面平面視での最大寸法)の20%以下である場合に、実質的に平面内にあると言うことができる。いくつかの実施形態では、フィルム又は一部分の平面からの最大偏位は、最大横寸法の10%以下又は5%以下である。
【0050】
図4Eは、成形型460に対応し、かつ成形型460の代わりに使用することができる、成形型460bの概略図である。成形型460bは、湾曲した成形型表面462b及び少なくとも1つの遷移領域464を有する。少なくとも1つの遷移領域464は、例えば、湾曲した成形型表面462bの縁部の周囲の単一の連続領域であってもよい。少なくとも1つの遷移領域464は、湾曲した成形型表面462bから境界部分496まで滑らかに変化する曲率を有してもよい。少なくとも1つの遷移領域464は、光学フィルム内の応力集中を防止又は低減するために含まれてもよい。遷移領域464の所望の形状は、光学フィルム400が湾曲した成形型表面462bに少なくとも部分的に適合されたときのクランプ473の位置に依存し得る。これにより、少なくとも1つの遷移領域464を含まない成形型を使用する場合と比較して、光学フィルムを低減した圧力で形成することが可能になることが見出されている。
【0051】
光学フィルム300又は光学フィルム400は、反射型偏光子又はミラーフィルム(例えば、3M Company(St.Paul,MN)から入手可能なEnhanced Specular Reflector(ESR)などの可視光ミラー、又は近赤外反射体)であってもよい。反射型偏光子又はミラーフィルムは、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、交互配置された複数の干渉層を含んでもよい(例えば、
図12を参照)。
【0052】
図5は、湾曲した反射型偏光子500の概略正面図である。いくつかの実施形態では、少なくとも直交する第1の方向520及び第2の方向530に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子500は、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向520及び530のそれぞれに沿って、約6mm~約1000mm又は約12mm~約500mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を含む。いくつかの実施形態では、反射型偏光子500上の各位置10は、ブロック偏光状態20に対して約70%より大きい最大反射率を有する。いくつかの実施形態では、反射型偏光子500上の各位置10は、直交する通過偏光状態30に対して約70%より大きい最大透過率を有する。いくつかの実施形態では、反射型偏光子500上の各位置10は、ブロック偏光状態20に対して約5%未満の最小透過率を有する。最大反射率、最大透過率、及び最小透過率は、所定の波長の、所定の波長範囲内の、若しくは所定の複数の波長(例えば、400nm~700nmの波長範囲)の、又は反射型偏光子500の反射帯域にわたる垂直入射光に対して、これらの範囲内であってもよい。代わりに又は加えて、最大反射率、最大透過率、及び最小透過率は、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する、所定の波長の、所定の波長範囲内の、若しくは所定の複数の波長の、又は反射型偏光子500の反射帯域にわたる光に対して、これらの範囲内であってもよい。反射率及び透過率は、パーセントの代わりに、割合として表すことができる。例えば、70%の反射率又は透過率は、0.7の反射率又は透過率それぞれと同等である。
【0053】
所定の波長範囲は、光学フィルムを含む光学システムが動作するように設計された波長範囲であってもよい。例えば、所定の波長範囲は、可視範囲(400nm~700nm)であってもよい。別の例として、所定の波長範囲は、1つ以上の可視波長範囲を含んでもよい。例えば、所定の波長範囲は、2つ以上の狭い波長範囲の結合(例えば、ディスプレイパネルの発光色に対応する、分離した赤色、緑色、及び青色の波長範囲の結合)であってもよい。そのような波長範囲については、米国特許出願公開第2017/0068100号(Ouderkirkら)で更に説明されており、同文献は、本明細書と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、所定の波長範囲は、他の波長範囲(例えば、赤外(例えば、近赤外(約700nm~約2500nm))、又は紫外線(例えば、近紫外(約300nm~約400nm))、並びに可視波長範囲を含む。所定の波長は、所定の波長範囲の任意の波長であってもよい。例えば、所定の波長範囲は、400nm~700nmであってよく、所定の波長は、500nmであってもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、反射型偏光子500の厚さは、少なくとも1つの縁部位置(例えば、縁部60、61、62、及び63それぞれの付近にある縁部位置50、51、52、及び53)よりも、反射型偏光子の中心505において少なくとも5%大きい。例えば、いくつかの実施形態では、厚さは、円周方向での延伸が実質的に一定であり、かつ半径方向での延伸が半径方向位置により実質的に変化するプロセスで反射型偏光子500が成形されるとき、少なくとも1つの縁部位置よりも中心505において大きい。好適なプロセスとしては、
図4A~
図4Eに示すように説明したものが挙げられる。いくつかの実施形態では、反射型偏光子500の厚さは、反射型偏光子500の中心505から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に減少する。
【0055】
縁部付近の縁部位置は、反射型偏光子の中心よりも縁部に近い反射型偏光子上の位置を指す。いくつかの実施形態では、縁部から縁部位置までの弧長は、中心から縁部位置までの弧長の50%未満、又は40%未満、又は30%未満、又は20%未満、又は10%未満である。
【0056】
いくつかの実施形態では、反射型偏光子500の厚さは、少なくとも1つの縁部位置(例えば、縁部50、51、52、及び53)よりも、反射型偏光子の中心505において少なくとも5%小さい。例えば、いくつかの実施形態では、厚さは、半径方向での延伸が実質的に一定であり、かつ円周方向での延伸が半径方向位置により実質的に変化するプロセスで反射型偏光子500が成形されるとき、少なくとも1つの縁部位置よりも中心505において小さい。いくつかの実施形態では、この成形プロセスは、
図3A~
図3Fに記載し示すようなものである。いくつかの実施形態では、反射型偏光子500の厚さは、反射型偏光子500の中心505から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に増加する。
【0057】
いくつかの実施形態では、所定の波長を有し、かつ中心505で反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸(z軸)に平行な方向に沿って反射型偏光子500に入射する光に対して、反射型偏光子500上の各位置10は、少なくとも1つの第1の位置(例えば、位置52又は55)及び少なくとも1つの第2の位置(例えば、位置50)の通過偏光状態30に対する最大透過率が、少なくとも3.8%、又は少なくとも4%、又は少なくとも4.2%、又は少なくとも4.4%、又は少なくとも4.5%だけ互いに異なるように、ブロック偏光状態20に対して約0.7より大きい最大反射率、及び直交する通過偏光状態30に対して約0.7より大きい最大透過率を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の位置及び少なくとも1つの第2の位置の通過偏光状態30に対する最大透過率は、6%以下、又は5.5%以下、又は5.0%以下だけ(例えば、(大きい方から小さい方をマイナスしたもの)/大きい方×100パーセント)、互いに異なる。例えば、最大透過率は、第1の位置で0.90、かつ第2の位置で0.86であってもよい。この場合、最大透過率は、約4.4%である(0.90-0.86)/0.90*100%だけ互いに異なる。
【0058】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の位置及び第2の位置(例えば、位置52及び50)は、反射型偏光子500の縁部(60及び62それぞれ)付近にあり、中心505において約70度~約110度の範囲の角度θを画定する。この場合、最大透過率変動は、半径方向での延伸が実質的に一定である反射型偏光子を形成するプロセスに特有である。いくつかの実施形態では、第1の位置(例えば、位置52)の通過偏光状態30の最大透過率は、0.83以上であり、第2の位置(例えば、位置50)の通過偏光状態の最大透過率は、0.81以下である。
【0059】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の位置(例えば、位置55)は、中心位置505付近にあり(最も近い縁部よりも中心位置505に近い)、少なくとも1つの第2の位置(例えば、位置50)は、反射型偏光子500の縁部付近にある。この場合、最大透過率変動は、円周方向での延伸が実質的に一定である反射型偏光子を形成するプロセスに特有である。いくつかの実施形態では、拳(fist)位置の通過偏光状態に対する最大透過率は、0.89以上であり、第2の位置の通過偏光状態に対する最大透過率は、0.87以下である。
【0060】
図6は、中心位置から縁部位置までの反射型偏光子の厚さの概略図である。中心位置は、Tcの厚さを有し、縁部位置は、Teの厚さを有する。いくつかの実施形態では、TCは、Teよりも少なくとも5%大きい。この条件は、(Tc-Te)/Te≧0.05として表すことができる。いくつかの実施形態では、(Tc-Te)/Te≧0.1、又は0.15、又は0.2である。図示した実施形態では、厚さは、中心から縁部位置まで実質的に単調に減少する。いくつかの実施形態では、この厚さの変動は、円周方向での延伸が実質的に一定であるプロセスで反射型偏光子を形成することに起因する。好適なプロセスとしては、プルダウンプロセスと呼ばれることがある、
図4A~
図4Eに記載し示すものが挙げられる。いくつかの実施形態では、厚さは、中央から少なくとも1つの縁部位置の各位置の弧に沿って、中心から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に減少する。いくつかの実施形態では、厚さは、中心から縁部付近の各位置の弧に沿って、中心から縁部まで実質的に単調に減少する。場合によっては、厚さの方位角平均の観点から厚さを特徴付けることが有用である。いくつかの実施形態では、方位角平均厚さは、少なくとも1つの縁部位置の縁部位置よりも反射型偏光子の中心で大きい。いくつかの実施形態では、方位角平均厚さは、反射型偏光子の中心から縁部位置まで実質的に単調に減少する。いくつかの実施形態では、方位角平均厚さは、
図6に示す厚さに対応する。
【0061】
厚さ又は帯域端波長などの量は、範囲内の任意のより大きな中間点における量が、その範囲内の任意のより小さい中間点における量よりも少ない、又はそれにほぼ等しい場合、範囲の第1の端点(例えば、反射型偏光子の中心位置)から範囲の第2の端点(例えば、反射型偏光子の縁部位置)までの範囲にわたって実質的に単調に減少すると言うことができる。同様に、量は、範囲内の任意のより大きな中間点における量が、その範囲内の任意のより小さい中間点における量よりも大きい、又はそれにほぼ等しい場合、範囲の第1の端点から範囲の第2の端点までの範囲にわたって実質的に単調に増加すると言うことができる。ある範囲にわたって位置により変化する量(例えば、中心位置から縁部位置までの位置の範囲にわたる厚さ又は帯域端波長)に関して、ある点における量は、その点における量がある値に等しい場合、又はその点における量がその範囲にわたるその量の最大値から最小値を引いたもののプラス若しくはマイナス5%の値の範囲である場合、その値(例えば、別の点における量)にほぼ等しいということができる。実質的に単調に減少する又は実質的に単調に増加するものとして記載される量は、それぞれ単調に減少する又は単調に増加することができる。実質的に単調に減少する又は実質的に単調に増加するものとして記載される量は、それぞれ厳密に単調に減少する又は厳密に単調に増加することができる。変数xの関数f(x)は、任意のx1及びx2に対してx2≧x1、f(x2)≦f(x1)を満たす場合、単調に減少する。変数xの関数f(x)は、任意のx1及びx2に対してx2>x1、f(x2)<f(x1)を満たす場合、厳密に単調に減少する。同様に、変数xの関数f(x)は、任意のx1及びx2に対してx2≧x1、f(x2)≧f(x1)を満たす場合、単調に増加し、変数xの関数f(x)は、範囲内の任意のx1及びx2に対してx2>x1、f(x2)>f(x1)を満たす場合、厳密に単調に増加する。
【0062】
図7は、中心位置から縁部位置までの反射型偏光子の厚さの概略図である。中心位置は、Tcの厚さを有し、縁部位置は、Teの厚さを有する。いくつかの実施形態では、Tcは、Teよりも少なくとも5%小さい。この条件は、(Te-Tc)/Te≧0.05として表すことができる。いくつかの実施形態では、(Te-Tc)/Te≧0.1、又は0.15、又は0.2である。図示した実施形態では、厚さは、中心から縁部位置まで実質的に単調に増加する。いくつかの実施形態では、この厚さの変動は、半径方向での延伸が実質的に一定であるプロセスで反射型偏光子を形成することに起因する。好適なプロセスとしては、加圧プロセスと呼ばれることがある、
図3A~
図3Fに記載し示すものが挙げられる。場合によっては、厚さの方位角平均の観点から厚さを特徴付けることが有用である。いくつかの実施形態では、方位角平均厚さは、少なくとも1つの縁部位置の縁部位置よりも反射型偏光子の中心で小さい。いくつかの実施形態では、方位角平均厚さは、反射型偏光子の中心から縁部位置まで実質的に単調に増加する。いくつかの実施形態では、方位角平均厚さは、
図7に示す厚さに対応する。
【0063】
図8は、ブロック偏光状態又は通過偏光状態のいずれかで反射型偏光子に垂直入射する光に対する反射型偏光子に関する反射率対波長の概略図である。λ1~λ2の所定の波長範囲が示されている。ブロック偏光状態を有する垂直入射光に対する所定の波長の平均反射率は、少なくとも70パーセント、又は少なくとも80パーセント、又は少なくとも85パーセント、又は少なくとも90パーセントであり得る、Rbである。通過偏光状態を有する垂直入射光に対する所定の波長の平均反射率は、20パーセント未満、又は15パーセント未満、又は10パーセント未満、又は5パーセント未満であり得る、Rpである。反射型偏光子は、長波長帯域端λ3を有する反射帯域847を有する。反射帯域は、典型的には、反射率が急速に低下する長波長帯域端及び短波長帯域端の両方を有する。図示した実施形態では、短波長帯域端は、λ1未満であり、長波長帯域端λ3は、λ2よりも大きい。帯域端は、入射光に向かって凸状である反射型偏光子への垂直入射光に対して判定されてもよい。
【0064】
図9は、ブロック偏光状態又は通過偏光状態のいずれかで反射型偏光子に垂直入射する光に対する反射型偏光子に関する透過率対波長の概略図である。通過偏光状態を有する垂直入射光に対する所定の波長(λ1~λ2)の平均透過率は、少なくとも70パーセント、又は少なくとも80パーセント、又は少なくとも85パーセント、又は少なくとも90パーセントであり得る、Tpである。ブロック偏光状態を有する垂直入射光に対する所定の波長の平均透過率は、10パーセント未満、又は5パーセント未満、又は3パーセント未満、又は2パーセント未満、又は1パーセント未満、又は0.5パーセント未満であり得る、Tbである。
【0065】
帯域端の正確な波長は、いくつかの異なる基準を使用して定義することができる。帯域端によって示される空間的変動パターン(例えば、半径により単調に減少する又は単調に増加する)は、典型的には、使用される正確な基準に依存しない。帯域端の波長は、おそらく、例えば、ブロック偏光状態を有する垂直入射光に対する反射率が(1/2)Rbまで低下する波長、又はブロック偏光状態を有する垂直入射光に対する透過率が10%まで増加する波長とすることができる。異なって示される場合を除き、帯域端は、ブロック偏光状態を有する垂直入射光に対する透過率が10%まで増加する波長を指すと理解することができる。
【0066】
図10は、中心位置から縁部位置までの反射型偏光子の長波長帯域端の概略図である。中心位置は、λcの長波長帯域端を有し、縁部位置は、λeの長波長帯域端を有する。いくつかの実施形態では、λcは、λeより少なくとも5%大きい。この条件は、(λc-λe)/λe≧0.05として表すことができる。いくつかの実施形態では、(λc-λe)/λe≧0.1、又は0.15、又は0.2である。図示した実施形態では、長波長帯域端は、中心から縁部位置まで実質的に単調に減少する。いくつかの実施形態では、この長波長帯域端の変動は、円周方向での延伸が実質的に一定であるプロセスで反射型偏光子を形成することに起因する。好適なプロセスとしては、
図4A~
図4Eに記載し示すものが挙げられる。場合によっては、長波長帯域端の方位角平均の観点から長波長帯域端を特徴付けることが有用である。いくつかの実施形態では、方位角平均長波長帯域端は、少なくとも1つの縁部位置の縁部位置よりも反射型偏光子の中心で大きい。いくつかの実施形態では、方位角平均長波長帯域端は、反射型偏光子の中心から縁部位置まで実質的に単調に減少する。いくつかの実施形態では、方位角平均長波長帯域端は、
図10に示す長波長帯域端に対応する。
【0067】
図11は、中心位置から縁部位置までの反射型偏光子の長波長帯域端の概略図である。中心位置は、λcの長波長帯域端を有し、縁部位置は、λeの長波長帯域端を有する。いくつかの実施形態では、λcは、λeより少なくとも5%小さい。この条件は、(λe-λc)/λe≧0.05として表すことができる。いくつかの実施形態では、(λe-λc)/λe≧0.1、又は0.15、又は0.2である。図示した実施形態では、長波長帯域端は、中心から縁部位置まで実質的に単調に増加する。いくつかの実施形態では、この長波長帯域端の変動は、半径方向での延伸が実質的に一定であるプロセスで反射型偏光子を形成することに起因する。好適なプロセスとしては、
図3A~
図3Fに記載し示すものが挙げられる。いくつかの実施形態では、方位角平均長波長帯域端は、少なくとも1つの縁部位置の縁部位置よりも反射型偏光子の中心で小さい。いくつかの実施形態では、方位角平均長波長帯域端は、反射型偏光子の中心から縁部位置まで実質的に単調に増加する。いくつかの実施形態では、方位角平均長波長帯域端は、
図11に示す長波長帯域端に対応する。
【0068】
図12は、複数の干渉層1234及び非干渉層1233を含む、一体的に形成された反射型偏光子1200の概略断面図である。いくつかの実施形態では、複数の干渉層は、交互のポリマー層1236及び1237を含む。図示した実施形態では、単一の非干渉層1233が含まれている。干渉層は、干渉層の反射率及び透過率を光干渉によって合理的に説明することができる、又は光干渉からもたらされるものとして合理的に正確にモデル化することができるとき、主に光干渉によって光を反射又は透過するものとして説明することができる。そのような干渉層は、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)及び米国特許第6,609,795号(Weberら)に記載されている。異なる屈折率を有する干渉層の隣接する対は、その対が光の1/2波長の組み合わせた光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有する場合、光干渉によって光を反射する。干渉層は、典型的には、約200ナノメートル未満の物理的厚さを有する。非干渉層は、干渉による可視光の反射に寄与するためには大きすぎる光学的厚さを有する。典型的には、非干渉層は、少なくとも1マイクロメートルの物理的厚さを有する。いくつかの実施形態では、1つより多くの非干渉層が含まれる。いくつかの実施形態では、複数の干渉層1234は、少なくとも1つの非干渉層1233の同じ側に配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非干渉層(図示した実施形態では、非干渉層1233)は、複数の干渉層1234と一体的に形成され、主に光干渉によって光を反射又は透過しない。いくつかの実施形態では、非干渉層1233は、本明細書の他の箇所で更に説明されるような非接着性可撓性光学層である。
【0069】
反射型偏光子1200などの反射型偏光子フィルム内の高屈折率干渉層に好適な材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、PEN及びポリエステルを含有するコポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はジ安息香酸)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。反射型偏光子1200などの反射型偏光子フィルム内の低屈折率干渉層に好適な材料としては、例えば、PENベースのコポリエステル、PETベースのコポリエステル、ポリカーボネート(PC)、又はこれらの3つの部類の材料のブレンドが挙げられる。所望の数の層により高い反射率を達成するために、隣接するミクロ層は、例えば、少なくとも0.2の、ブロック軸に沿って偏光された光に対する屈折率の差を呈することができる。
【0070】
本明細書で使用するとき、第2の要素と「一体的に形成された」第1の要素は、第1及び第2の要素が、別個に作製されその後接合されるのではなく、一緒に作製されることを意味する。一体的に形成されたは、第1の要素を作製し、続いて第2の要素を第1の要素上に作製することを含む。複数の層を含む反射型偏光子は、層が別個に作製されその後接合されるのではなく、一緒に作製される(例えば、フィルムを組み合わせた溶融ストリームからキャスティングし、次いで、キャストフィルムを配向する)場合に、一体的に形成される。
【0071】
いくつかの実施形態では、反射型偏光子1200は、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、第2の主側面1239から入射するブロック状態の光に対してとは、第1の主側面1238から入射するブロック状態の光に対して異なる反射率を有する。
【0072】
複数の干渉層1234の平均全厚さは、Tintであり、少なくとも1つの非干渉層1233の平均全厚さは、Tnonである。いくつかの実施形態では、Tintは、約20マイクロメートル~約70マイクロメートルの範囲であり、Tnonは、約40マイクロメートル~約100マイクロメートルの範囲である。全厚さは、例えば、1つ以上の非干渉層の表面が構造化される場合、変化し得る。全厚さはまた、例えば、通常の製造変動に起因して変化し得る。平均全厚さは、層の面積にわたる厚さの非加重平均である。いくつかの実施形態では、反射型偏光子の平均全厚さ(Tint+Tnon)は、少なくとも50マイクロメートル、又は少なくとも60マイクロメートル、又は少なくとも70マイクロメートルである。
【0073】
いくつかの実施形態では、干渉層のうちの少なくとも1つは、フィルムを湾曲形状に形成する前に、実質的に一軸配向される。例えば、層1237のそれぞれは、実質的に一軸配向されてもよい。反射型偏光子又は反射型偏光子内の層は、実質的に1つの面内方向に配向され、かつ直交する面内方向に実質的に配向されず、かつ厚さ方向に実質的に配向されない場合、実質的に一軸配向される。実質的に一軸配向された反射偏光子は、3M Companyから商品名Advanced Polarizing Film又はAPFで入手可能である。他の種類の多層光学フィルム反射偏光子(例えば、3M Companyから入手可能なDual Brightness Enhancement Film又はDBEF)も使用することができる。DBEFフィルムは、直交する面内方向よりも実質的に1つの面内方向に配向され、また、厚さ方向の配向も呈する。DBEFフィルムは、本明細書で「実質的に一軸配向された」が使用されるようには、実質的に一軸配向されていない。
【0074】
いくつかの実施形態では、湾曲形状に形成する前の反射型偏光子は、少なくとも0.7、又は少なくとも0.8、又は少なくとも0.85の一軸特性度Uを有するという点で実質的に一軸配向され、ここで、U=(1/MDDR-1)/(TDDR1/2-1)であり、MDDRは、縦方向での延伸比として定義され、TDDRは、横方向での延伸比として定義される。そのような実質的に一軸配向の多層光学フィルムは、本明細書と矛盾しない範囲で本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2010/0254002号(Merrillら)で説明されており、交互配置された複数の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含むことができ、第1のポリマー層は、実質的に同じであるが、幅方向(例えば、y方向)での屈折率とは実質的に異なる、長さ方向(例えば、x方向)及び厚さ方向(例えば、z方向)での屈折率を有する。例えば、x方向とz方向との屈折率の差の絶対値は、0.02未満又は0.01未満とすることができ、x方向とy方向との屈折率の差の絶対値は、0.05超又は0.10超とすることができる。屈折率とは、別段の指定のない限り、550nmの波長での屈折率を指す。湾曲形状に形成された後、反射型偏光子は、少なくとも1つの位置において実質的に一軸配向された少なくとも1つの層を有してもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの位置における少なくとも1つの層は、層の厚さに沿った第1の方向での第1の屈折率、第1の方向に直交する第2の方向での第2の屈折率、並びに第1及び第2の方向に直交する第3の方向での第3の屈折率を有し、第1の屈折率と第3の屈折率との差の絶対値は、約0.02未満、又は約0.01未満であり、第2の屈折率と第3の屈折率との差の絶対値は、約0.05より大きい、又は約0.10より大きい。いくつかの実施形態では、湾曲形状に形成された後、反射型偏光子は、複数の位置において実質的に一軸配向された少なくとも1つの層を有する。
【0075】
実質的に一軸配向されていない反射型偏光子フィルム(例えば、DBEFフィルム)は、100マイクロメートルより大きい全厚さを有することができるが、実質的に一軸配向されたフィルム(例えば、APFフィルム)は、典型的には、はるかに薄い。例えば、APFフィルムは、典型的には約35マイクロメートル未満の厚さである。本明細書によれば、厚い(例えば、約50マイクロメートルより大きい厚さの)実質的に一軸配向された反射型偏光子フィルムは、湾曲形状に形成されて、本明細書の他の箇所で更に説明されるような光学システムに使用されるとき、改善された特性を提供することが見出されている。改善された特性としては、改善された機械的特性及び改善された光学特性が挙げられる。改善された機械的特性としては、フィルムに欠陥を生じさせることなく、より高い曲率又はより高いサグと直径との比に対する改善された成形性が挙げられる。改善された光学特性としては、本明細書の他の箇所で更に説明されるような屈曲光学設計を利用する光学システムに使用されるときの、改善された偏光コントラストが挙げられる。厚い反射型偏光子フィルムを使用することに加えて、又はその代わりに、形成前に非接着性可撓性光学フィルムを反射型偏光子に結合することは、物理的特性を改善することが見出されている。反射型偏光子の厚さは、所与の厚さ範囲内の追加の干渉層を含むことによって、及び/又は非干渉層の厚さを増加させることによって、増加させることができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、反射型偏光子は、高コントラストを提供するために、交互のポリマー干渉層の2つ以上のパケットを含む。そのような反射型偏光子は、2017年3月6日出願の米国特許仮出願第62/467712号(Haagら)に更に記載されており、同文献は、本明細書に矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、反射型偏光子は、複数のパケットを含み、各パケットは、実質的に連続曲線である層厚さ対層数を有する。
図50は、2つのパケット(パケット1及びパケット2)を含む反射型偏光子の層厚さ対層数を示す。いくつかの実施形態では、厚さプロファイルは、実質的に重なり合う(例えば、パケット1の厚さ範囲の50パーセントより多くが、パケット2の厚さ範囲の50パーセントより多くと重なり合う)。他の実施形態では、重なり合いは、厚さ範囲内にほとんど又は全く存在しない。
【0077】
反射型偏光子が成形された後、以前に一軸配向された層(単数又は複数)は、全ての位置において、もはや一軸配向されなくてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、形成後、少なくとも1つの層は、少なくとも1つの位置において実質的に一軸配向される。例えば、反射型偏光子フィルムは、フィルムの形成において、かつ反射型偏光子の中心位置から曲線に沿った位置で、半径方向に延伸されてもよい。例えば、
図19を参照して、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの層(例えば、
図12に示す層1237及び/又は層1236に対応する)は、中心1905及び位置1910-5において実質的に一軸配向される。
図19に示す実施形態では、位置1910-5における配向は、x-y平面上への投影では中心1905におけるブロック軸1905bに平行である、ブロック軸1910b-5に沿っている。いくつかの実施形態では、反射型偏光子は、反射型偏光子の中心位置で、及び反射型偏光子の中心位置から離れた少なくとも1つの位置で、実質的に一軸配向される。
【0078】
いくつかの実施形態では、所定の波長を有し、かつ反射型偏光子に垂直入射する、又は反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する軸に平行な方向に沿って入射する、のいずれかの光に対して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態に対する最大反射率、直交する通過偏光状態に対するより大きい最大透過率、及びブロック偏光状態に対する最小透過率を有する。いくつかの実施形態では、最大反射率は、約70%より大きい。いくつかの実施形態では、最大透過率は、約70%より大きい。いくつかの実施形態では、最小透過率は、約5%未満である。
【0079】
図13は、本明細書のいくつかの実施形態による、反射型偏光子1300の所定の波長(例えば、約550nm)におけるブロック偏光状態の透過率である最小透過率(Tmin)の概略図である。図示したTminは、入射光に向かって凸状である反射型偏光子への、z軸に平行な光に対して、又は垂直入射光に対して判定することができる。一定のTminの等高線1372が示されている。図示した等高線1372は、いくつかの実施形態による、円周方向での延伸が実質的に一定であるプロセスを使用して湾曲形状に形成された反射型偏光子フィルムに特有であることが見出されている。
【0080】
反射型偏光子1300の中心位置1305で互いに交差する直交する第1の軸1320及び第2の軸1330、並びに反射型偏光子1300の中心位置1305で互いに交差する直交する第3の軸1325及び第4の軸1335が示されている。第1の軸1320と第3の軸1325との間の角度ξは、約45度である。いくつかの実施形態では、Tminは、小さく、第1及び第2の軸1320及び1330に沿ってほぼ一定であり、第3及び第4の軸1325及び1335のそれぞれに沿って中心位置1305から離れる方向に概ね増加する。いくつかの実施形態では、中心位置1305における反射型偏光子1300のブロック軸は、第2の軸1330に沿っている。
【0081】
いくつかの実施形態では、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子1300の最小透過率は、反射型偏光子1300の中心位置1305と第1の縁部1360との間の第1の軸1320に沿った第1の位置1313では、T1であり、反射型偏光子1300の中心位置1305と第2の縁1362との間の第2の軸1330に沿った第2の位置1315では、T2であり、反射型偏光子の中心位置1305と第3の縁部1374との間の第3の軸1325に沿った第3の位置1317では、T3であり、反射型偏光子1300の中心位置1305と第4の縁部1378との間の第4の軸1335に沿った第4の位置1319では、T4である。いくつかの実施形態では、T1及びT2の最大値は、T3及びT4の最小値未満である。いくつかの実施形態では、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子1300の最小透過率は、反射型偏光子1300の中心位置1305と第1の縁部1360の反対側の第5の縁部1361との間の第1の軸1320に沿った第5の位置1314では、T5であり、反射型偏光子の中心位置1305と第2の縁部1362の反対側の第6の縁部1363との間の第2の軸1330に沿った第6の位置1316では、T6であり、反射型偏光子1300の中心位置1305と第3の縁部1374の反対側の第7の縁部1375との間の第3の軸1325に沿った第7の位置1318では、T7であり、反射型偏光子1300の中心位置1305と第4の縁部1378の反対側の第8の縁部1379との間の第4の軸1335に沿った第8の位置1321では、T8である。いくつかの実施形態では、T1、T2、T5、及びT6の最大値は、T3、T4、T7、及びT8の最小値未満である。
【0082】
いくつかの実施形態では、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子1300の最小透過率Tminは、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子1300の中心位置1305を通過する光軸(z軸に対して平行)周りに実質的に4倍の回転対称である。量は、360度/nに対する全ての回転下で対称である場合、n倍の回転対称であり、式中、nは1より大きい整数である。反射型偏光子を特徴付ける量は、反射型偏光子の表面積の少なくとも70パーセント内の各点における量が、その量の最大変動の20パーセント以下だけ対称動作によって判定される対応する点における量とは異なる場合、対称動作(例えば、軸又は平面周りの反射又は角度による回転)下で実質的に対称として説明することができる。例えば、反射型偏光子1300の最小透過率(Tmin)は、反射型偏光子の表面積の少なくとも70パーセント内の各点におけるTminが、Tminの最大変動の20パーセント以下だけ光軸周りに90度、180度、及び270度のそれぞれの回転によって判定される対応点における最小透過率とは異なる場合、光軸周りに実質的に4倍対称である。Tminの最大変動は、反射型偏光子にわたる最大Tmin-最小Tminである。いくつかの実施形態では、反射型偏光子の表面積の少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%内の各点における量は、その量の最大変動の20パーセント以下、又は15パーセント以下、又は10パーセント以下、又は5パーセント以下だけ対称動作よって判定される対応点における量とは異なる。
【0083】
いくつかの実施形態では、Tminは、第1、第2、第3、及び第4の軸1320、1330、1325、及び1335のうちのいずれか1つ以上周りの反射下で実質的に対称である。軸周りの反射とは、平面視での、又は反射型偏光子の中心を通り、かつ反射型偏光子に垂直な光軸に垂直な平面上への投影での、軸周りの反射を指す。反射対称はまた、平面周りの反射によって特徴付けられてもよい。軸周りの対称又は反対称として説明される量はまた、反射型偏光子の軸及び光軸を含む平面周りに対称又は反対称であってもよい。いくつかの実施形態では、Tminは、光軸、並びに第1、第2、第3、及び第4の軸1320、1330、1325、及び1335のうちのいずれかを含む1つ以上の平面のそれぞれ周りの反射下で実質的に対称である。
【0084】
他の実施形態では、Tminは、第3の軸1325に沿った反射型偏光子の第1の部分において比較的大きく、第4の軸1335に沿った部分から離れる方向に減少する。このことは
図14に概略的に示されている。
【0085】
図14は、本明細書のいくつかの実施形態による、反射型偏光子1400の所定の波長におけるブロック偏光状態の最小透過率(Tmin)の概略図である。図示したTminは、入射光に向かって凸状である反射型偏光子への、z軸に平行な光に対して、又は垂直入射光に対して判定することができる。一定のTminの等高線1472a及び1472bが示されている。反射型偏光子1400の連続的な第1の部分1471は、反射型偏光子1400の第1の端部1474と第2の端部1475との間に延び、反射型偏光子1400の最大横寸法D(正面平面視での最大寸法)の少なくとも3%、又は少なくとも5%、又は少なくとも8%、又は少なくとも10%である最小幅Wを有する。いくつかの実施形態では、幅Wは、Dの80%以下、又は70%以下、又は60%以下、又は50%以下、又は40%以下である。第1の部分1471は、第1の部分1471に含まれない反射型偏光子1400の部分として、反射型偏光子1400の分離した第2の部分1466及び第3の部分1476を画定する。いくつかの実施形態では、Tminは、第1の部分1471において概ねより大きく、第2の部分1466及び第3の部分1476において概ねより小さい。Tminのこの挙動は、いくつかの実施形態による、半径方向での延伸が実質的に一定であるプロセスを使用して湾曲形状に形成された反射型偏光子フィルムに特有であることが見出されている。第1の部分1471において概ねより大きく、第2の部分1466及び第3の部分1476において概ねより小さいTminは、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子1400の最小透過率が、第2の部分1466の50%より大きい内の各位置、及び第3の部分1476の50%より大きい内の各位置よりも、第1の部分1471の50%より大きい内の各位置において大きいことを意味すると理解することができる。換言すれば、第1の領域が第1の部分1471の総面積の50%より大きく、第2の領域が第2の部分1466の総面積の50%よりも大きく、かつ第3の領域が第3の部分1476の総面積の50%より大きい、第1の部分1471内の第1の領域、第2の部分1466内の第2の領域、及び第3の部分1476内の第3の領域に関して、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子1400の最小透過率は、第2及び第3の領域内の各位置よりも第1の領域内の各位置において高い。第1、第2、及び/又は第3の領域は、連続的、又は不連続であってもよい。いくつかの実施形態では、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子1400の最小透過率は、第2の部分1466の60%、70%、又は80%、又は90%よりも大きい内の各位置、及び第3の部分1476の60%、70%、又は80%、又は90%より大きい内の各位置よりも、第1の部分1471の60%、又は70%、又は80%、又は90%よりも大きい内の各位置において高い。
【0086】
第1の部分1471は、
図14に概略的に示されるように、実質的に一定の方向に沿って延びてもよく、又は第1の部分1471は、湾曲形状を有してもよい。第1の部分1471が実質的に一定方向に沿って延びる実施形態では、ブロック偏光状態の最小透過率(Tmin)は、一定方向周りの反射下で実質的に対称であってもよく、又は光軸(z軸に対して平行)及び一定方向を含む平面周りの反射下で実質的に対称であってもよい。第1の部分が湾曲形状を有する実施形態では、Tminは、対称軸又は対称面を有しなくてもよい。
図15は、本明細書のいくつかの実施形態による、反射型偏光子1500の所定の波長におけるTminの概略図である。要素1571、1574、1575、1572a、1572b、1566、及び1576は、第1の部分1571が反射型偏光子1500の第1の端部1574と第2の端部1575との間に曲線に沿って延びることを除いて、要素1571、1574、1575、1572a、1572b、1566、及び1576それぞれについて説明したようなものである。
図14及び
図15の反射型偏光子は、y軸に平行な、反射型偏光子の中心におけるブロック軸を有してもよい。
【0087】
場合によっては、本明細書の反射型偏光子は、領域の関数としての領域にわたる量の範囲によって特徴付けることができる。領域にわたる量の範囲は、領域内の量の最大値から領域内の量の最小値を差し引いた値であり、領域にわたる量の最大変動と呼ばれることがある。場合によっては、反射型偏光子の中心の弧長r内又は反射型偏光子の中心の半径R(反射型偏光子の中心を通る軸からの円柱座標距離(例えば、
図1を参照))内の領域を考慮することが有用である。
図16は、中心位置1605を有し、かつ反射型偏光子1600に垂直な反射型偏光子1600の中心1605を通過する光軸から半径R内の領域1627を有する、反射型偏光子1600の概略正面平面図である。反射型偏光子1600は、光軸からの最大半径Rmを有する。場合によっては、領域1627は、半径Rではなく、反射型偏光子1600の領域1627の面積(曲面の面積)の観点から特徴付けられてもよい。
【0088】
図17は、反射型偏光子の中心と反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸からの半径Rとの間の反射型偏光子の領域内のTminの最大変動の概略図である。曲線1726は、フィルムの円周方向での延伸が実質的に一定であるプロセスを使用して湾曲形状に形成された反射型偏光子の半径Rを有する領域(例えば、
図16に示す領域1627を参照)内のTminの範囲である。曲線1723は、フィルムの半径方向での延伸が実質的に一定であるプロセスを使用して湾曲形状に形成された反射型偏光子の半径Rを有する領域内のTminの範囲である。いくつかの実施形態では、ブロック偏光状態の最小透過率の最大変動(パーセントではなく割合として表される)は、最大半径Rmの0.4~0.7倍の範囲内のRに対して、約0.001~約0.005の範囲である。いくつかの実施形態では、ブロック偏光状態の最小透過率の最大変動は、約0.6のR/Rmに対して約0.001~約0.003の範囲である(例えば、曲線1723に関して)。いくつかの実施形態では、ブロック偏光状態の最小透過率の最大変動は、約0.6のR/Rmに対して約0.001~約0.003の範囲である(例えば、曲線1726に関して)。
【0089】
反射型偏光子を特徴付けるために使用することができる別の量は、ブロック偏光状態の変動である。例えば、異なる位置におけるブロック軸の相対的な配向を指定することができ、及び/又は反射型偏光子の中心と反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸からの半径Rとの間の反射型偏光子の領域内のブロック偏光状態の最大変動を指定することができる。ブロック偏光状態又はブロック軸は、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸に垂直な平面上への投影における方向又は配向によって、説明することができる。この方向の角度変動は、ブロック偏光状態の変動であり、度で表すことができる。ブロック軸は、反射型偏光子が入射光に向かって凸状である、反射型偏光子の中心を通過し、かつ中心に垂直な軸に平行な光に対して判定することができる。
【0090】
図18は、ブロック偏光状態のあり得る変動を示す反射型偏光子1800の概略正面平面図である。反射型偏光子1800の中心1805は、ブロック軸1805bによって特徴付けられるブロック偏光状態を有する。位置1810-1、1810-2、1810-3、及び1810-4は、ブロック軸1810b-1、1810b-2、1810b-3、及び1810b-4それぞれによって特徴付けられるブロック偏光状態を有する。ブロック軸の変動は、反射型偏光子1800に垂直な中心1805を通過する軸に直交する平面(x-y平面)上への投影で判定されるような、ブロック軸と中心1805におけるブロック軸1805bとの間の角度によって定量化することができる。この平面は、中心1805において反射型偏光子1800に接する平面とすることができる。ブロック軸1810b-1及び1810b-2の角度α1及びα2が示されている。ブロック軸1805bに対する時計回りの回転は、図示された実施形態ではα1が正であり、α2が負であるように、正とすることができる。位置1910-1、1910-2、1910-3、及び1910-4は、縁部位置(中心1805よりも反射型偏光子1800の縁部に近い)であってもよい。第1の位置1810-1及び第2の位置1810-2は、反射型偏光子1800の中心1805において約70度~約110度の範囲であり得る、角度θを画定する。第3の位置1810-3及び第4の位置1810-4、並びに/又は第2の位置1810-2及び第3の位置1810-3、並びに/又は第1の位置1810-1及び第4の位置1810-4は、同様に、反射型偏光子の中心1805において約70度~約110度の範囲の角度を画定してもよい。
【0091】
図19は、ブロック偏光状態の別のあり得る変動を示す反射型偏光子1900の概略正面平面図である。反射型偏光子1900の中心1905は、ブロック軸1905bによって特徴付けられるブロック偏光状態を有する。位置1910-1、1910-2、1910-3、1910-4、及び1910-5は、ブロック軸1910b-1、1910b-2、1910b-3、1910b-4、及び1910b-4それぞれによって特徴付けられるブロック偏光状態を有する。ブロック軸1910b-1及び1810b-2の角度α1及びα2が示されている。
図19に示す実施形態では、角度α1及びα2は、
図18に示す実施形態の対応する角度とは反対の符号を有する。
図18の実施形態は、半径方向での延伸が実質的に一定であるプロセスを使用して成形された反射型偏光子を表し、
図19の実施形態は、円周方向での延伸が実質的に一定であるプロセスを使用して成形された反射型偏光子を表す。いくつかの実施形態では、反射型偏光子1900内の少なくとも1つの層は、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、中心1905及び位置1910-5において実質的に一軸配向される。同様に、いくつかの実施形態では、反射型偏光子1800内の少なくとも1つの層は、少なくとも1つの位置において実質的に一軸配向される。
【0092】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の縁部位置のブロック偏光状態は、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から時計回りに回転され、少なくとも1つの第2の縁部位置のブロック偏光状態は、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から反時計回りに回転され、少なくとも1つの第1の位置及び第2の位置は、反射型偏光子の中心において約70度~約110度の範囲の角度θを画定する。いくつかの実施形態では、第2の位置は、角度θによる第1の位置の反射型偏光子の中心を通る光軸周りの時計回りの回転によって画定される。例えば、位置1810-2は、角度θによる位置1810-1の反射型偏光子1800の中心1805を通る光軸(z軸に平行)周りの時計回りの回転によって画定されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の位置は、角度θによる第1の位置の反射型偏光子の中心を通る光軸周りの反時計回りの回転によって画定される。例えば、位置1910-1は、角度θによる位置1910-2の反射型偏光子1900の中心1905を通る光軸(z軸に平行)周りの反時計回りの回転によって画定されてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の縁部位置のブロック偏光状態は、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から、少なくとも0.2度、又は少なくとも0.5度、又は少なくとも1度、又は少なくとも1.5度だけ時計回りに回転される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の縁部位置のブロック偏光状態は、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から、4度以下、又は3.5度以下、又は3度以下だけ時計回りに回転される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2の縁部位置のブロック偏光状態は、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から、少なくとも0.2度、又は少なくとも0.5度、又は少なくとも1度、又は少なくとも1.5度だけ反時計回りに回転される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2の縁部位置のブロック偏光状態は、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から、4度以下、又は3.5度以下、又は3度以下だけ時計回りに回転される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置のブロック偏光状態は、2度より大きく、又は2.5度より大きくだけ互いに対して回転される。互いに対する回転は、異なる指示がない限り、非負の回転を指す。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置のブロック偏光状態は、7度以下、又は6度以下、又は5度以下だけ互いに対して回転される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第3及び第4の縁部位置のブロック偏光状態は、2度未満、又は1.5度未満だけ互いに対して回転される。
【0094】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第3の縁部位置のブロック偏光状態は、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から時計回りに回転され、少なくとも1つの第4の縁部位置のブロック偏光状態は、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から反時計回りに回転される。例えば、ブロック偏光軸1810b-3は、中心1805におけるブロック偏光軸1805bから時計回りに回転され、ブロック偏光軸1810b-4は、中心1805におけるブロック偏光軸1805bから反時計回りに回転される。別の例として、ブロック偏光軸1910b-4は、中心1905におけるブロック偏光軸1905bから時計回りに回転され、ブロック偏光軸1910b-3は、中心1905におけるブロック偏光軸1905bから反時計回りに回転される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の位置及び第3の位置は、反射型偏光子の中心において約160度~約180度の範囲の角度を画定し、少なくとも1つの第2の位置及び第4の位置は、反射型偏光子の中心において約160度~約180度の範囲の角度を画定する。
【0095】
図20は、反射型偏光子の中心と反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸からの半径Rとの間の反射型偏光子の領域内のブロック軸の最大変動のグラフである。曲線2026は、フィルムの円周方向での延伸が実質的に一定であるプロセスを使用して湾曲形状に形成された反射型偏光子の半径Rを有する領域(例えば、
図16に示す領域1627を参照)内のブロック偏光状態の最大変動である。曲線2023は、フィルムの半径方向での延伸が実質的に一定であるプロセスを使用して湾曲形状に形成された反射型偏光子の半径Rを有する領域内のブロック偏光状態の最大変動である。いくつかの実施形態では、ブロック偏光状態の最大変動は、R1未満のRに対して約1度未満であり、R2よりも大きいRに対して約2度よりも大きく、R1は、少なくとも0.4Rmであり、R2は、R1より大きく、かつ0.95Rm以下、又は0.9Rm以下である。いくつかの実施形態では、R1は、約0.45Rmであり、R2は、約0.7Rmである。いくつかの実施形態では、最大変動は、0.75Rmより大きいRに対して、約3度より大きい。いくつかの実施形態では、最大変動は、0.85Rmより大きいRに対して、約3.5度より大きい。いくつかの実施形態では、R1は、約18mmであり、R2は、約28mmであり、Rmは、約41.5mmである。いくつかの実施形態では、Rmに等しいRに対する最大変動は、7度以下、又は6度以下、又は5度以下である。
【0096】
いくつかの実施形態では、反射型偏光子は、反射型偏光子の光軸から半径R以内の反射型偏光子の領域にわたって、約1度未満、又は約0.8度未満、又は約0.6度未満、又は約0.5度未満、又は約0.4度未満、又は約0.3度未満のブロック偏光状態の最大変動を有し、Rは、0.8Rm未満、又は0.9Rm未満、又はRm以下である。これは、例えば、反射型偏光子の中心付近の反射型偏光子の一部分(例えば、反射型偏光子の中心からR1の半径内の反射型偏光子2026の部分)を切り取ることによって達成することができる。いくつかの実施形態では、反射型偏光子又は反射型偏光子の切り取られた部分は、約0.1以上、又は約0.15以上、又は約0.18以上の最大サグと直径との比を有する。
【0097】
図21~22は、本明細書のいくつかの実施形態による、反射型偏光子の所定の波長における通過偏光状態に対して生じる最大透過率(Tmax)のあり得るパターンを概略的に示す。図示したTmaxは、入射光に向かって凸状である反射型偏光子への、z軸に平行な光に対して、又は垂直入射光に対して判定することができる。
図21の実施形態は、円周方向での延伸が実質的に一定であるプロセスを使用して成形された反射型偏光子を表し、
図22の実施形態は、いくつかの実施形態による、半径方向での延伸が実質的に一定であるプロセスを使用して成形された反射型偏光子を表す。
【0098】
図21は、本明細書のいくつかの実施形態による、反射型偏光子2100の所定の波長における通過偏光状態の最大透過率の概略図である。実質的に矩形の形状を有し、かつ反射型偏光子2100の中心2105を実質的に中心にした、一定のTmaxの等高線2172が示されている。実質的に矩形の形状は、一般に、幅が長さ以下の長さ及び幅を有する。実質的に矩形の形状は、辺の曲率半径が、辺の長さの少なくとも5倍であり、丸みを帯びた角部の曲率半径が、矩形の幅の1/5以下である、丸みを帯びた角部及び/又は湾曲した辺を有してもよい、矩形又はほぼ矩形の形状である。実質的に矩形の形状は、反射型偏光子の中心と実質的に矩形の形状の中心との間の距離が矩形の幅の1/5以下である場合、反射型偏光子の中心を実質的に中心にしている。いくつかの実施形態では、等高線2172内の領域2127内の位置の少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は100%のそれぞれにおける通過偏光状態に対する最大透過率は、反射型偏光子2100の中心2105における通過偏光状態に対する最大透過率の2%以内、又は1.5%以内、又は1.0%以内である。例えば、中心2105は、0.90の最大透過率を有してもよく、領域2127内の各位置は、領域2127内の各位置が、反射型偏光子2100の中心2105における通過偏光状態に対する最大透過率の1.11%(0.01/0.90*100%)以内の最大透過率を有するように、0.89~0.91の範囲の最大透過率を有してもよい。
【0099】
領域内の少なくとも指定されたパーセンテージの位置は、特性が、領域の総面積の少なくとも指定されたパーセンテージの面積全体にわたって満足される場合、その特性を有する。例えば、領域全体にわたる通過偏光状態に対する最大透過率は、領域内の十分な数の点における最大透過率を測定して、最大透過率が測定される点間の補間によって領域全体にわたる最大透過率を判定することによって、判定することができる。例えば、このようにして判定された最大透過率が、領域の総面積の少なくとも70%の面積(連続又は不連続)の中心点における最大透過率の1パーセント以内である場合、最大透過率は、領域内の位置の少なくとも70%の中心点における最大透過率の1パーセント以内である。
【0100】
いくつかの実施形態では、領域2127の外側の反射型偏光子2100の位置の少なくとも大部分、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%の通過偏光状態に対する最大透過率は、反射型偏光子2100の中心2105における通過偏光状態に対する最大透過率よりも少なくとも1%低い、又は少なくとも1.5%、又は少なくとも2%低い。
【0101】
いくつかの実施形態では、反射型偏光子2100の中心2105におけるブロック軸は、第2の軸2130に沿っている。いくつかの実施形態では、領域2127は、反射型偏光子2100の最大横寸法Dの少なくとも半分のブロック偏光状態と実質的に平行な長さLを有する。いくつかの実施形態では、矩形領域2127は、反射型偏光子2100の最大横寸法Dの少なくとも25%の通過偏光状態と実質的に平行な幅Wを有する。
【0102】
図22は、本明細書のいくつかの実施形態による、反射型偏光子2200の所定の波長(例えば、約550nm)における通過偏光状態の最大透過率の概略図である。一定のTmaxの等高線2272が示されている。直交する第1の軸2220及び第2の軸2230は、反射型偏光子2200の中心位置2205で互いに交差する。いくつかの実施形態では、通過偏光状態に対する反射型偏光子の最大透過率は、中心位置2205では、Tcであり、反射型偏光子2200の第1の縁部2260付近の第1の軸2220に沿った第1の縁部位置2213では、T1であり、反射型偏光子2200の第1の縁部2260の反対側の第2の縁部2261付近の第1の軸2220に沿った第2の縁部位置2214では、T2であり、反射型偏光子の第3の縁部2262付近の第2の軸2230に沿った第3の縁部位置2215では、T3であり、反射型偏光子2200の第3の縁部2262の反対側の第4の縁部2263付近の第2の軸2230に沿った第4の縁部位置2216では、T4である。いくつかの実施形態では、Tcは、T1及びT2の最大値より大きく、T3及びT4の最小値未満である。
【0103】
いくつかの実施形態では、Tmaxは、第1及び第2の軸2220及び2230の一方又は両方周りの反射下で実質的に対称である。いくつかの実施形態では、Tmaxは、中心位置2205においてz軸に平行な光軸を含み、かつ第1及び第2の軸2220及び2230のうちの1つを含む、一方又は両方の平面周りの反射下で実質的に対称である。いくつかの実施形態では、反射型偏光子2200の中心2205におけるブロック軸は、第2の軸2230に沿っている。
【0104】
線形減衰は、(Tmax-Tmin)/(Tmax+Tmin)によって与えられる。いくつかの実施形態では、線形減衰の空間的変動は、Tminの空間的変動によって支配される。線形減衰の等高線グラフは、比較的低い線形減衰の領域に対応する比較的高いTminの領域及び比較的高い線形減衰の領域に対応する比較的低いTminの領域を有する、Tminの等高線グラフと同様に見える場合がある。いくつかの実施形態では、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸から半径R内の反射型偏光子の領域に関して、線形減衰は、Rが少なくとも約0.4Rm、又は少なくとも約0.5Rm、又は少なくとも約0.6Rm、又はRmの0.4~0.7倍の範囲であるとき、約0.98以上、又は約0.985以上、又は0.99以上である。いくつかの実施形態では、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸から半径R内の反射型偏光子の領域に関して、線形減衰の最大変動は、Rが少なくとも約0.4Rm、又は少なくとも約0.5Rm、又は少なくとも約0.6Rm、又はRmの0.4~0.7倍の範囲であるとき、約0.015以下、又は約0.01以下、又は0.008以下である。
【0105】
図23は、本明細書のいくつかの実施形態による、反射型偏光子2300の所定の波長における円形減衰の概略図である。円形減衰は、(T
R-T
L)/(T
R+T
L)を指し、式中、T
R及びT
Lは、それぞれ右円偏光及び左円偏光である入射光の透過率である。図示した円形減衰は、入射光に向かって凸状である反射型偏光子への、z軸に平行な光に対して、又は垂直入射光に対して判定することができる。一定の円形減衰の等高線2372が示されている。図示した等高線2372は、いくつかの実施形態による、円周方向での延伸が実質的に一定であるプロセスを使用して湾曲形状に形成された反射型偏光子フィルムに特有であることが見出されている。
【0106】
反射型偏光子2300の中心位置2305で互いに交差する直交する第1の軸2325及び第2の軸2335、並びに反射型偏光子2300の中心位置2305で互いに交差する直交する第3の軸2320及び第4の軸2330が示されている。図示した実施形態では、中心位置2305におけるブロック状態は、第4の軸2330に沿っている。第1の軸2325と第3の軸2320との間の角度ξは、約45度である。いくつかの実施形態では、円形diaatentuationは、第3及び第4の軸2320及び2330に沿ってほぼゼロかつほぼ一定であり、第1の軸2325に沿った各方向に沿って中心位置2305から離れる方向に概ね減少し、第2の軸2335に沿った各方向に沿って中心位置2305から離れる方向に概ね増加する。いくつかの実施形態では、反射型偏光子2300の円形減衰は、中心位置では、CDcであり、反射型偏光子の第1の縁部2374付近の第1の軸2325に沿った第1の縁部位置2317では、CD1であり、反射型偏光子2300の第1の縁部2374の反対側の第2の縁部2375付近の第1の軸2325に沿った第2の縁部位置2318では、CD2であり、反射型偏光子の第3の縁部2378付近の第2の軸2335に沿った第3の縁部位置2319では、CD3であり、反射型偏光子の第3の縁部の反対側の第4の縁部2379付近の第2の軸2335に沿った第4の縁部位置2321では、CD4である。いくつかの実施形態では、Tcは、CD3及びCD4の最小値未満であり、CD1及びCD2の最大値よりも大きい。いくつかの実施形態では、CD1及びCD2のそれぞれは、負であり、CD3及びCD4のそれぞれは、正である。
【0107】
いくつかの実施形態では、円形減衰は、第1の軸2325周りの反射下で実質的に対称である。いくつかの実施形態では、円形減衰は、第2の軸2335周りの反射下で実質的に対称である。いくつかの実施形態では、円形減衰は、第1及び第2の軸2325及び2335のそれぞれ周りの反射下で実質的に対称である。いくつかの実施形態では、円形減衰は、第3の軸2320周りの反射下で実質的に反対称である。いくつかの実施形態では、円形減衰は、第4軸2330周りの反射下で実質的に反対称である。いくつかの実施形態では、円形減衰は、第3及び第4の軸2320及び2330のそれぞれ周りの反射下で実質的に反対称である。
【0108】
図24は、反射型偏光子の中心と反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸からの半径Rとの間の反射型偏光子の領域の円形減衰の最大変動の概略図である。曲線2426は、フィルムの円周方向での延伸が実質的に一定であるプロセスを使用して湾曲形状に形成された反射型偏光子の半径Rを有する領域(例えば、
図16に示す領域1627を参照)内の円形減衰の最大変動である。曲線2423は、フィルムの半径方向での延伸が実質的に一定であるプロセスを使用して湾曲形状に形成された反射型偏光子の半径Rを有する領域内の円形減衰の最大変動である。反射型偏光子の領域は、半径Rではなく反射型偏光子の領域の面積の観点から定義することができる。領域は、円形であってもよく、又はなくてもよく、反射型偏光子の中心を中心としてもよく、又は中心としなくてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、反射型偏光子の総面積以下の面積を有する反射型偏光子の領域は、少なくとも0.04、又は少なくとも0.06、又は少なくとも0.07、又は少なくとも0.08、又は少なくとも0.09である円形減衰の最大変動を有する。いくつかの実施形態では、円形減衰の最大変動は、領域の面積が反射型偏光子の総面積に等しい場合、0.15以下又は0.12以下である。例えば、反射型偏光子は、曲線2426で示されるような円形減衰の最大変動を有してもよく、半径R3内の領域は、反射型偏光子の総面積の半分より大きい面積を有してもよく、少なくとも0.04の円形減衰の最大変動を有してもよい。いくつかの実施形態では、領域の面積は、総面積の約0.3倍であり、最大変動は、少なくとも0.06である。いくつかの実施形態では、領域の面積は、総面積の約0.5倍であり、最大変動は、少なくとも0.07である。いくつかの実施形態では、領域の面積は、総面積であり、最大変動は、少なくとも0.09である。
【0110】
いくつかの実施形態では、反射型偏光子の総面積の半分よりも大きい面積を有する反射型偏光子の領域は、0.015以下、又は0.01以下、又は0.008以下、又は0.006以下である円形減衰の最大変動を有する。例えば、反射型偏光子は、曲線2423で示されるような円形減衰の最大変動を有してもよく、半径R3内の領域は、反射型偏光子の総面積の半分より大きい面積を有してもよく、0.015以下の円形減衰の最大変動を有してもよい。いくつかの実施形態では、領域内の円形減衰の最大絶対値は、0.007以下、又は0.005以下、又は0.004以下、又は0.003以下である。いくつかの実施形態では、最大円形減衰は、最小円形減衰の負にほぼ等しく、円形減衰の最大絶対値は、円形減衰の最大変動の約半分である。いくつかの実施形態では、領域の面積は、反射型偏光子の総面積の少なくとも70パーセント、又は少なくとも80%である。いくつかの実施形態では、領域の面積は、反射型偏光子の総面積であり、円形減衰の最大変動又は円形減衰の最大絶対値は、対応する上記範囲のいずれかにある。いくつかの実施形態では、領域の面積は、反射型偏光子の総面積であり、円形減衰の最大変動は、0.01以下である。いくつかの実施形態では、領域の面積は、反射型偏光子の総面積であり、円形減衰の最大絶対値は、0.005以下である。
【0111】
いくつかの実施形態では、円周方向での延伸が実質的に一定であるプロセスで形成された反射型偏光子の円形減衰の範囲は、未形成フィルムの範囲よりも実質的に大きい。いくつかの実施形態では、半径方向での延伸が実質的に一定であるプロセスで形成された反射型偏光子の円形減衰の範囲は、未形成フィルムの範囲と実質的に同じである。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書の反射型偏光子は、反射型偏光子と、反射型偏光子に結合された少なくとも1つの非接着性可撓性光学層と、を含む光学積層体に使用される。いくつかの実施形態では、光学システムは、光学素子の湾曲した第1の主表面に結合され、かつそれに適合する光学積層体を含む。光学システムは、反射型偏光子に隣接し、かつ離間した部分反射体を更に含んでもよく、反射型偏光子と部分反射体との間に配置されたリターダを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学システムは、本明細書の反射型偏光子(非接着性可撓性光学層を有する又は有さない)を含み、反射型偏光子に隣接し、かつ離間した部分反射体を更に含み、反射型偏光子と部分反射体との間に配置されたリターダを含んでもよい。
【0113】
本明細書に記載の反射型偏光子のうちのいずれかは、ベストフィット曲率半径によって特徴付けられた形状を有してもよい。ある表面のベストフィット曲率半径とは、ある球体に対する法線に沿った球体から表面への距離の二乗が最小になる、球体の半径である。ベストフィット曲率半径は、従来の最小二乗適合技法を使用して決定することができる。反射型偏光子フィルムなどの光学フィルムのベストフィット曲率半径は、フィルムの主表面のベストフィット曲率半径である。いくつかの実施形態では、反射型偏光子は、少なくとも6mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも15mm、又は少なくとも20mm、又は少なくとも25mm、又は少なくとも30mmのベストフィット曲率半径を有する。いくつかの実施形態では、反射型偏光子は、1000mm以下、又は500mm以下、又は250mm以下、又は200mm以下、又は150mm以下のベストフィット曲率半径を有する。
【0114】
図25は、湾曲した第1の主表面2511及び反対側の第2の主表面2512を有する第1の光学素子2510と、第1の光学素子2510の湾曲した第1の主表面2511に結合され、かつそれに適合する光学積層体2520と、を含む光学システム2500の概略断面図である。いくつかの実施形態では、光学積層体2520は、任意選択の接着剤層2532を介して光学素子2510に結合される。いくつかの実施形態では、光学積層体2520は、例えば、インサート成形プロセスによって光学素子2510が光学積層体2520上に一体的に形成されることにより、光学素子2510に結合され、任意選択の接着剤層2532は、省略される。光学積層体2520は、第1の層2522と、第2の層2526と、を含む。第1の層2522は、反対側にある第1の主表面2523及び第2の主表面2524を有し、第2の層2526は、反対側にある第1の主表面2527及び第2の主表面2528を有する。いくつかの実施形態では、第1の層2522及び第2の層2526は、任意選択の接着剤層2530を介して互いに結合される。いくつかの実施形態では、第1の層2522及び第2の層2526は、互いに一体的に形成されることによって互いに結合され、任意選択の接着剤層2530は、省略される。
【0115】
いくつかの実施形態では、第1の層2522は、本明細書の反射型偏光子であり、第2の層2526は、反射型偏光子に結合され、かつ実質的に平行な反対側にある第1の主表面2527及び第2の主表面2528を有する、非接着性可撓性光学層である。いくつかの実施形態では、第2の層2526は、本明細書の反射型偏光子であり、第1の層2522は、反射型偏光子に結合され、かつ実質的に平行な反対側にある第1の主表面2523及び第2の主表面2524を有する、非接着性可撓性光学層である。
【0116】
非接着性可撓性光学層は、例えば、ポリマーフィルム、反射防止コーティング、吸収型偏光子、中性密度フィルタ、リターダ、染色フィルム、光学フィルタ、電気回路を含むフィルム、電極、赤外線反射フィルム、多層光学フィルム、及び拡散体のうちの1つ以上である、又はそれを含むことができる。いくつかの実施形態では、非接着性可撓性光学層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリメチルメタクリレート(PMMA)などの光学的に透明なフィルム基材である。フィルム又は接着剤層は、少なくとも80パーセントの所定の波長範囲(例えば、400nm~700nm)内の非偏光垂直入射光の透過率を有し、かつ20パーセント未満のヘイズを有する場合、光学的に透明であると説明することができる。いくつかの実施形態では、非接着性可撓性光学層は、少なくとも85パーセントの400nm~700nmの波長範囲内の非偏光垂直入射光の透過率を有し、かつ10パーセント未満のヘイズを有する、光学的に透明なフィルムである。いくつかの実施形態では、非接着性可撓性光学層は、染色フィルム及び/又は光学フィルタであり、透過光のなんらかの様相(例えば、色又は強度)を調整するために使用される。例えば、中性密度フィルタを含めることにより、フィルタを透過した全ての可視光の強度を低減することができる。例えば、電気回路を使用して、ディスプレイ素子又はタッチ感知素子を制御することができる。電極は、例えば、液晶ディスプレイ素子を暗くするために含まれてもよい。
【0117】
いくつかの実施形態では、非接着性可撓性光学層の少なくとも1つの位置は、約100nm未満、又は約80nm未満、又は約60nm未満、又は約40nm未満、又は約30nm未満、又は約20nm未満、又は約10nm未満、又は約5nm未満の光学的リターダンスを有する。いくつかの実施形態では、非接着性可撓性光学層の少なくとも1つの位置は、約200nmより大きい、又は約400nmより大きい、又は約800nmより大きい、又は約1000nmより大きい、又は約2000nmより大きい、又は約3000nmより大きい、又は約4000nmより大きい光学的リターダンスを有する。ある層のある位置における光学的リターダンスは、その位置でその層に垂直入射する、その層を透過する光線の位相リターダンスである。層が偏光子である場合、位相リターダンスは、偏光子の通過偏光状態を有する垂直入射光に対して判定される。入射光線の波長は、別段の指定がない限り、約550nmである。リターダンスは、例えば、通常の製造変動に起因して、位置によって変化し得る。いくつかの実施形態では、非接着性可撓性光学層の各位置は、少なくとも1つの位置に関して上述した範囲のうちの1つの光学的リターダンスを有する。
【0118】
いくつかの実施形態では、光学素子2510は、光学レンズであり、光学システム2500は、レンズアセンブリである。いくつかの実施形態では、光学レンズは、少なくとも1つの方向に屈折力を有する。例えば、光学レンズは、
図25のx-y-z座標系を参照して、y方向に屈折力を有するシリンドリカルレンズであってもよい。別の例として、光学レンズは、2つの相互に直交する方向(例えば、x方向及びy方向)に湾曲していてもよく、2つの相互に直交する方向(例えば、x方向及びy方向)に屈折力を有してもよい。いくつかの実施形態では、光学レンズは、実質的に平坦な表面を有する(例えば、第2の主表面2512は、平面であってもよい)。
【0119】
図26は、レンズアセンブリ2600を含む光学システム2601の概略断面図である。レンズアセンブリ2600は、光学構成要素2500に対応してもよく、第1のレンズ2610と、第1のレンズ2610の湾曲した主表面上に配置され、かつそれに適合する光学積層体2620と、を含む。光学積層体2620は、第1の層2622及び第2の層2626を含む。任意選択の接着剤層は、第1の層2622と第2の層2626との間、及び/又は光学積層体2620と第1のレンズ2610との間に配置してもよい。いくつかの実施形態では、第1の層2622及び第2の層2626のうちの1つは、本明細書の反射型偏光子であり、第1の層2622及び第2の層2626の他方は、非接着性可撓性光学層である。光学システム2601は、リターダ2635と、リターダ2639と、第2のレンズ2640の主表面上に配置された部分反射体2642を有する第2のレンズ2640と、を更に含む。いくつかの実施形態では、光学システム2601は、ディスプレイ2650によって放出された画像を観察位置2665に表示するように適合される。
【0120】
接着剤層のいずれも、約1マイクロメートル~約50マイクロメートルの平均厚さを有してもよい。接着剤層は、例えば、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、溶媒系接着剤、及び水系接着剤のうちの1つ以上であってもよく、又はこれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、接着剤層は、直接隣接する層と実質的に屈折率が一致する。いくつかの実施形態では、接着剤層は、光学的に透明な接着剤層である。好適な光学的に透明な接着剤としては、例えば、3M Companyから入手可能なもの(例えば、3M Optically Clear Adhesive 8171及び8172(それぞれ、厚さ1mil及び2mil))、及びNorland Products Inc.(Cranbury,NJ)から入手可能なNorland Optical Adhesivesが挙げられる。
【0121】
いくつかの実施形態では、非接着性可撓性光学層は、実質的に平行な第1の主表面及び第2の主表面を有する。非接着性可撓性光学層の第1の主表面及び第2の主表面は、非接着性可撓性光学層が無視できる屈折力を有するように、主表面が十分に平行に近い場合、又は第1の主表面及び第2の主表面の少なくとも80%にわたる両側の点の対のそれぞれにおける傾斜が30度以下だけ異なる場合に、実質的に平行として説明することができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2の主表面の少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%にわたる、両側の点のそれぞれの対の傾斜は、20度以下、又は30度以下だけ異なる。両側の点は、非接着性可撓性光学層の厚さ方向に沿った線に沿った点を指し、線は、第1の主表面及び第2の主表面のうちの少なくとも1つに垂直である。
【0122】
いくつかの実施形態では、第1のレンズ2610及び第1の光学積層体2620は、第2のレンズ2640から離間している。いくつかの実施形態では、第1のレンズ2610は、実質的に非平行な第1及び第2の主表面を有する第1の光学素子であり、第2のレンズ2640は、実質的に非平行な第1及び第2の主表面を有する第2の光学素子である。レンズの第1の主表面及び第2の主表面は、レンズが無視できない屈折力を有するように、主表面が十分異なる場合、又は第1及び第2の主表面上の両側の点の少なくとも1対における傾斜が少なくとも10度だけ異なる場合に、実質的に非平行であると説明することができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2の主表面上の両側の点の少なくとも1対における傾斜は、少なくとも20度又は少なくとも30度だけ異なる。両側の点は、レンズの厚さ方向に沿った線に沿った点を指し、線は、第1の主表面及び第2の主表面のうちの1つに垂直である。プリズムの第1の主表面及び第2の主表面は、表面間の角度が少なくとも約20度である場合、実質的に非平行である。
【0123】
光学システム2601の他の構成が可能である。いくつかの実施形態では、リターダ2635は、第1のレンズ2610の反対側の光学積層体2620上に配置されてもよく、又は部分反射体2642の反対側の第2のレンズ2640上に配置することができる。いくつかの実施形態では、リターダ2639は、部分反射体2642上に配置することができ、又はディスプレイ2650上に配置することができる。いくつかの実施形態では、第1のレンズ2610及び第2のレンズ2640は、単一のレンズ(例えば、1つの主表面上の部分反射体2642及び反対側の主表面上の光学積層体2620を有する)と置き換えられる。更に他の実施形態では、3つ以上のレンズが含まれる。光学システムの他の可能な構成は、米国特許出願公開第2017/0068100(Ouderkirkら)に記載されている。光学積層体2620は、米国特許出願公開第2017/0068100号(Ouderkirkら)に記載されている実施形態のいずれかの反射型偏光子の代わりに使用することができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ2650は、反射型偏光子のブロック偏光状態の光を放出し、リターダ2635及び2639は、ディスプレイによって放出された光が最初にブロック偏光状態で反射型偏光子に入射するように配置される。例えば、リターダ2635及び2639は、互いに対して約90度に配向された速軸を有してもよい。リターダ2635及び2639は、それぞれ、所定の波長範囲内の少なくとも1つの波長における1/4波長リターダであってもよい。他の構成もまた可能である。例えば、リターダ2635及び2639は、それぞれの速軸が整列された1/4波長リターダであってもよい。この場合、ディスプレイ2650は、光が最初にブロック状態で反射型偏光子に入射するように、反射型偏光子の通過偏光状態の光を放出することができる。
【0125】
リターダ2635及び/又は2639は、基材若しくはレンズ上のコーティングであってもよく、又はリターダフィルムであってもよく、例えば、米国特許出願公開第2002/0180916号(Schadtら)、同第2003/028048号(Cherkaouiら)、及び同第2005/0072959号(Moiaら)に記載されている線状光重合性ポリマー(LPP)材料及び液晶ポリマー(LCP)材料を含む、任意の好適な材料から形成されてもよい。適切なLPP材料としては、ROP-131 EXP 306 LPPが、適切なLCP材料には、ROF-5185 EXP 410 LCPが挙げられ、両方ともスイスのアルシュヴィルにあるRolic Technologiesから入手可能である。いくつかの実施形態では、リターダ2635は、所定の波長範囲(例えば、400nm~700nm)内の少なくとも1つの波長で、1/4波長リターダである。
【0126】
部分反射体2642は、任意の好適な部分反射体であってもよい。例えば、部分反射体は、透明基材(例えば、次にレンズに接着することができるフィルム、又は基材はレンズであってもよい)上に金属(例えば、銀又はアルミニウム)の薄層をコーティングすることによって構築されてもよい。この部分反射体はまた、例えば、レンズ基材の表面上に薄膜誘電体コーティングを堆積させることによって、又はレンズ基材の表面上に、金属コーティングと誘電体コーティングとの組み合わせを堆積させることによって、形成することもできる。いくつかの実施形態では、部分反射体は、それぞれ20%~80%の範囲内にある、又はそれぞれ30%~70%の範囲内にある、又はそれぞれ40%~60%の範囲内にある、又はそれぞれ45%~55%の範囲内にある、所定の波長又は所定の波長範囲内で平均光反射率及び平均光透過率を有する。部分反射体は、例えばハーフミラーであってよい。所定の波長範囲内の平均光反射率及び平均光透過率は、特に指示がない限り、垂直入射で測定された、所定の波長範囲にわたる、並びに光反射率及び光透過率それぞれの偏光にわたる、非加重平均を指す。いくつかの実施形態では、部分反射体は、反射偏光子であってもよく、又は偏光依存反射率を有してもよい。しかしながら、通常、垂直入射光反射率及び光透過率は、入射光の偏光状態とは独立している、又は実質的に独立していることが好ましい。そのような偏光独立性は、例えば、実質的に等方性の金属層及び/又は誘電体層を使用して得ることができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のレンズ2610及び2640のそれぞれは、少なくとも1つの方向にゼロより大きい屈折力を有する。いくつかの実施形態では、部分反射体2642は、所定の波長範囲内の実質的に垂直入射する光に対して少なくとも30%の平均光反射率を有する。いくつかの実施形態では、反射型偏光子(第1及び第2の層2622及び2626のうちの1つ)は、所定の波長範囲内の第1の偏光状態を有する光を実質的に透過し、所定の波長範囲内の直交する第2の偏光状態を有する光を実質的に反射する。光学システム2601は、光軸2660を有し、光軸2660は、光軸2660に沿って伝播する光線2661が、実質的に屈折することなく、第1のレンズ2610、第2のレンズ2640、部分反射体2642、及び反射型偏光子を通過する軸であると理解することができる。実質的には屈折せず、とは、表面に入射する光線と、その表面を通って透過される光線との間の角度が、15度以下であることを意味する。いくつかの実施形態では、光軸2660に沿って伝播する光線は、光学システム2601の任意の主表面で、10度よりも大きく、又は5度よりも大きく、又は3度よりも大きく、又は2度よりも大きく屈折することなく、第1のレンズ2610、第2のレンズ2640、部分反射体2642、及び反射型偏光子を通過する。
【0128】
いくつかの実施形態では、光学システム2601は、入射光を受光し、観察位置2665の観察者に光を伝送するように適合される。光学システム2601を出る光は、第1及び第2の光成分2655及び2657によって概略的に示されている。
【0129】
本明細書の光学積層体及び反射型偏光子は、光学システムが従来の光学システムよりも高い偏光コントラストを達成することを可能にすることが見出されている。いくつかの実施形態では、約100度~約160度の全円錐角θを有する、第2の偏光状態(反射型偏光子のブロック状態)及び所定の波長範囲内の波長を有し、かつ光軸2660上に中心に置く光2653の入射円錐に関して、入射光は、第1の偏光状態(反射型偏光子の通過状態)を有する第1の光成分2655、及び第2の偏光状態を有する第2の光成分2657を有して光学システムを出て、第1の光成分2655の平均強度と第2の光成分2657の平均強度との比は、約100より大きい、又は約110より大きい、又は約120より大きい、又は約130より大きい。
【0130】
本明細書の反射型偏光子のいずれかは、本明細書に矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる、2017年10月9日に出願された「OPTICAL COMPONENTS AND OPTICAL SYSTEMS」という名称の米国特許仮出願第62/569942号に記載の光学構成要素及び光学システムのいずれかに使用することができる。
【0131】
光学フィルムのいずれかは、光学フィルムの一方の側面に剥離ライナー、又は光学フィルムの両側の2つの側面のそれぞれに剥離ライナーを含むことができる。例えば、光学フィルム100、300、及び400のいずれかは、剥離ライナー(単数又は複数)を含んでもよい。別の例として、反射型偏光子1200の層1233は、干渉層1234と共押出された層の代わりに、剥離ライナーであってもよい。光学フィルムを湾曲形状に形成する前に、剥離ライナー(単数又は複数)を光学フィルムに適用して、光学フィルムを保護する(例えば、成形型からの表面テクスチャが光学フィルム上にエンボス加工されないように)ことができる。
【0132】
光学フィルムに結合されるが、光学フィルムを実質的に損傷することなく、光学フィルムからきれいに除去することができるライナーは、光学フィルムに剥離可能に結合されるものとして説明することができ、剥離ライナーとして説明することができる。いくつかの実施形態では、光学フィルムに剥離可能に結合されたライナーは、光学フィルムへの目に見える損傷を伴わずに光学フィルムから除去することができる。剥離可能に結合されたライナーは、基材に強く結合するが光学フィルムに弱く結合する接着剤層を有する基材を含んでもよい。例えば、ライナーは、接着剤への結合を増大させるために処理された表面を有する基材に適用された低粘着性接着剤の薄層を含んでもよい。他の好適なライナーとしては、例えば、米国特許第6,991,695号(Taitら)に記載されているような、光学フィルムに静電結合するものが挙げられる。好適なライナーの一例は、Sun A Kaken Co,Ltdから入手可能なOCPET NSA33Tである。
【0133】
図51は、反射型偏光子であってもよい光学フィルム5100と、光学フィルム5100に適合する第1及び第2の追加層5111及び5122と、を含む、光学フィルムとしても説明することができる光学積層体5000の概略断面図である。光学積層体5000は、本明細書の他の箇所に記載される方法のいずれかを使用して、図示された湾曲形状に形成することができる。いくつかの実施形態では、第1の追加層5111及び第2の追加層5122の一方は、省略される。いくつかの実施形態では、第1の追加層5111及び第2の追加層5122の一方又は両方は、光学フィルム5100と一体的に形成されない。いくつかの実施形態では、第1の追加層5111及び第2の追加層5122の一方又は両方は、光学フィルム5100に適合し、かつ光学フィルム5100に剥離可能に結合されたライナーである。光学フィルム5100は、例えば、本明細書の他の箇所に記載される反射型偏光子のうちのいずれかであってもよい。
【0134】
「約、ほぼ(about)」などの用語は、それらが本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者によって理解されるだろう。特徴部の形状、量、及び物理的性質を表す量に適用される「約、ほぼ」の使用が、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「約、ほぼ」は、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されるだろう。特定の値の約、ほぼとして与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、約1の値を有する量は、0.9~1.1の値を有する量かつその値が1であり得ることを意味する。
【0135】
「実質的に(substantially)」などの用語は、それらが本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者によって理解されるだろう。「実質的に平行な(substantially parallel)」の使用が、本明細書に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に平行な」は、平行の30度以内を意味することになる。お互いに実質的に平行であるとして記載される方向又は表面は、いくつかの実施形態では、20度以内、又は10度以内の平行であり得るか、又は平行若しくは名目上平行であり得る。
【0136】
以下は、本明細書の例示的な実施形態の列挙である。
【0137】
実施形態1は、湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、所定の波長を有する垂直入射光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率を有し、反射型偏光子の厚さは、少なくとも1つの縁部位置よりも反射型偏光子の中心において少なくとも5%大きく、反射型偏光子の厚さは、反射型偏光子の中心から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に減少する。
【0138】
実施形態2は、少なくとも1つの縁部位置の縁部位置よりも反射型偏光子の中心において大きい方位角平均厚さを有する、実施形態1の反射型偏光子である。
【0139】
実施形態3は、方位角平均厚さが、反射型偏光子の中心から縁部位置まで実質的に単調に減少する、実施形態2の反射型偏光子である。
【0140】
実施形態4は、ブロック偏光状態を有する垂直入射光に関して、反射型偏光子が、長波長帯域端を有する反射帯域を有し、所定の波長が、反射帯域内にあり、長波長帯域端が、少なくとも1つの縁部位置よりも反射型偏光子の中心において少なくとも5%大きい、実施形態1の反射型偏光子である。
【0141】
実施形態5は、反射型偏光子の長波長帯域端の方位角平均が、反射型偏光子の中心から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に減少する、実施形態4の反射型偏光子である。
【0142】
実施形態6は、所定の波長を有し、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置が、約5%未満のブロック偏光状態に対する最小透過率を有する、実施形態1の反射型偏光子である。
【0143】
実施形態7は、反射型偏光子の中心位置において互いに交差する直交する第1の軸及び第2の軸、並びに反射型偏光子の中心位置において互いに交差する直交する第3及び第4の軸に関して、第1の軸と第3の軸との間の角度が、約45度であり、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子の最小透過率が、
反射型偏光子の中心位置と第1の縁部との間の第1の軸に沿った第1の位置では、T1であり、
反射型偏光子の中心位置と第2の縁部との間の第2の軸に沿った第2の位置では、T2であり、
反射型偏光子の中心位置と第3の縁部との間の第3の軸に沿った第3の位置では、T3であり、
反射型偏光子の中心位置と第4の縁部との間の第4の軸に沿った第4の位置では、T4であり、
T1及びT2の最大値が、T3及びT4の最小値未満である、実施形態6の反射型偏光子である。
【0144】
実施形態8は、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子の最小透過率が、
反射型偏光子の中心位置と第1の縁部の反対側の第5の縁部との間の第1の軸に沿った第5の位置では、T5であり、
反射型偏光子の中心位置と第2の縁部の反対側の第6の縁部との間の第2の軸に沿った第6の位置では、T6であり、
反射型偏光子の中心位置と第3の縁部の反対側の第7の縁部との間の第3の軸に沿った第7の位置では、T7であり、
反射型偏光子の中心位置と第4の縁部の反対側の第8の縁部との間の第4の軸に沿った第8の位置では、T8であり、
T1、T2、T5、及びT6の最大値が、T3、T4、T7、及びT8の最小値未満である、実施形態7の反射型偏光子である。
【0145】
実施形態9は、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸から半径R内の反射型偏光子の領域が、約0.001~約0.005の範囲のブロック偏光状態の最小透過率の最大変動を有し、
反射型偏光子が、光軸からの最大半径Rmを有し、Rが、Rmの0.4~0.7倍の範囲である、実施形態8の反射型偏光子である。
【0146】
実施形態10は、所定の波長を有し、かつ反射型偏光子に垂直に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置が、約5%未満のブロック偏光状態に対する最小透過率を有する、実施形態1の反射型偏光子である。
【0147】
実施形態11は、反射型偏光子の中心位置において互いに交差する直交する第1の軸及び第2の軸、並びに反射型偏光子の中心位置において互いに交差する直交する第3及び第4の軸に関して、第1の軸と第3の軸との間の角度が、約45度であり、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子の最小透過率が、
反射型偏光子の中心位置と第1の縁部との間の第1の軸に沿った第1の位置では、T1であり、
反射型偏光子の中心位置と第2の縁部との間の第2の軸に沿った第2の位置では、T2であり、
反射型偏光子の中心位置と第3の縁部との間の第3の軸に沿った第3の位置では、T3であり、
反射型偏光子の中心位置と第4の縁部との間の第4の軸に沿った第4の位置では、T4であり、
T1及びT2の最大値が、T3及びT4の最小値未満である、実施形態10の反射型偏光子である。
【0148】
実施形態12は、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子の最小透過率が、
反射型偏光子の中心位置と第1の縁部の反対側の第5の縁部との間の第1の軸に沿った第5の位置では、T5であり、
反射型偏光子の中心位置と第2の縁部の反対側の第6の縁部との間の第2の軸に沿った第6の位置では、T6であり、
反射型偏光子の中心位置と第3の縁部の反対側の第7の縁部との間の第3の軸に沿った第7の位置では、T7であり、
反射型偏光子の中心位置と第4の縁部の反対側の第8の縁部との間の第4の軸に沿った第8の位置では、T8であり、
T1、T2、T5、及びT6の最大値が、T3、T4、T7、及びT8の最小値未満である、実施形態11の反射型偏光子である。
【0149】
実施形態13は、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸から半径R内の反射型偏光子の領域が、約0.001~約0.005の範囲のブロック偏光状態の最小透過率の最大変動を有し、
反射型偏光子が、光軸からの最大半径Rmを有し、Rが、Rmの0.4~0.7倍の範囲である、実施形態10の反射型偏光子である。
【0150】
実施形態14は、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸から半径R内の反射型偏光子の領域が、約0.01以下の線形減衰の最大変動を有し、
反射型偏光子が、光軸からの最大半径Rmを有し、Rが、Rmの0.4~0.7倍の範囲である、実施形態1の反射型偏光子である。
【0151】
実施形態15は、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸から半径R内の反射型偏光子の領域全体にわたる反射型偏光子の線形減衰が、少なくとも約0.99であり、反射型偏光子が、光軸からの最大半径Rmを有し、Rが、少なくとも0.4Rmである、実施形態1の反射型偏光子である。
【0152】
実施形態16は、平面視で、中心を実質的に中心にした実質的に矩形の領域内の位置の少なくとも70%のそれぞれにおける通過偏光状態に対する最大透過率が、反射型偏光子の中心における通過偏光状態に対する最大透過率の1.5%以内であり、実質的に矩形の領域の外側の反射型偏光子の位置の少なくとも大部分の通過偏光状態に対する最大透過率が、反射型偏光子の中心における通過偏光状態に対する最大透過率よりも少なくとも1.5%低い、実施形態11の反射型偏光子である。
【0153】
実施形態17は、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影で、少なくとも1つの第1の縁部位置のブロック偏光状態が、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から時計回りに回転され、少なくとも1つの第2の縁部位置のブロック偏光状態が、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から反時計回りに回転され、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置が、反射型偏光子の中心において約70度~約110度の範囲の角度を画定する、実施形態1の反射型偏光子である。
【0154】
実施形態18は、少なくとも1つの第1の縁部位置のブロック偏光状態が、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から、少なくとも0.2度、又は少なくとも0.5度、又は少なくとも1度だけ時計回りに回転される、実施形態17の反射型偏光子である。
【0155】
実施形態19は、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影で、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置のブロック偏光状態が、互いに対して2度より大きく回転され、少なくとも1つの第1及び第2の位置が、反射型偏光子の中心において約70度~約110度の範囲の角度を画定する、実施形態1の反射型偏光子である。
【0156】
実施形態20は、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸から半径R内の反射型偏光子の領域が、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影におけるブロック偏光状態の最大変動であって、
R1未満のRに対して約1度未満であり、
R2より大きいRに対して、約2度より大きい、
最大変動を有し、
反射型偏光子が、光軸からの最大半径Rmを有し、R1が、少なくとも0.4Rmであり、R2が、R1より大きく、かつ0.95Rm以下である、実施形態1の反射型偏光子である。
【0157】
実施形態21は、反射型偏光子上の各位置が、所定の波長を有し、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に対して円形減衰を有し、反射型偏光子の中心で互いに交差する直交する第1及び第2の軸に関して、反射型偏光子の円形減衰が、
中心位置では、CDcであり、
反射型偏光子の第1の縁部付近の第1の軸に沿った第1の縁部位置では、CD1であり、
反射型偏光子の第1の縁部の反対側の第2の縁部付近の第1の軸に沿った第2の縁部位置では、CD2であり、
反射型偏光子の第3の縁部付近の第2の軸に沿った第3の縁部位置では、CD3であり、
反射型偏光子の第3の縁部の反対側の第4の縁部付近の第2の軸に沿った第4の縁部位置では、CD4であり、
CDcが、CD3及びCD4の最小値未満であり、CD1及びCD1の最大値よりも大きい、実施形態1の反射型偏光子である。
【0158】
実施形態22は、反射型偏光子の総面積以下の面積を有する反射型偏光子の領域が、少なくとも0.04である円形減衰の最大変動を有する、実施形態1の反射型偏光子である。
【0159】
実施形態23は、反射型偏光子の総面積以下の面積を有する反射型偏光子の領域が、少なくとも0.02である円形減衰の最大絶対値を有する、実施形態1の反射型偏光子である。
【0160】
実施形態24は、湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、所定の波長を有する垂直入射光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率を有し、反射型偏光子の厚さは、少なくとも1つの縁部位置よりも反射型偏光子の中心において少なくとも5%小さく、反射型偏光子の厚さは、反射型偏光子の中心から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に増加する。
【0161】
実施形態25は、ブロック偏光状態を有する垂直入射光に関して、反射型偏光子が、長波長帯域端を有する反射帯域を有し、所定の波長が、反射帯域内にあり、長波長帯域端が、少なくとも1つの縁部位置よりも反射型偏光子の中心において少なくとも5%小さい、実施形態24の反射型偏光子である。
【0162】
実施形態26は、反射型偏光子の長波長帯域端が、反射型偏光子の中心から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に増加する、実施形態25の反射型偏光子である。
【0163】
実施形態27は、反射型偏光子の長波長帯域端の方位角平均が、反射型偏光子の中心から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に増加する、実施形態25の反射型偏光子である。
【0164】
実施形態28は、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸から半径R内の反射型偏光子の領域が、約0.001~約0.005の範囲のブロック偏光状態の最小透過率の最大変動を有し、
反射型偏光子が、光軸からの最大半径Rmを有し、Rが、Rmの0.4~0.7倍の範囲である、実施形態24の反射型偏光子である。
【0165】
実施形態29は、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸から半径R内の反射型偏光子の領域が、約0.01以下の線形減衰の最大変動を有し、
反射型偏光子が、光軸からの最大半径Rmを有し、Rが、Rmの0.4~0.7倍の範囲である、実施形態24の反射型偏光子である。
【0166】
実施形態30は、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸から半径R内の反射型偏光子の領域全体にわたる反射型偏光子の線形減衰が、少なくとも約0.99であり、反射型偏光子が、光軸からの最大半径Rmを有し、Rが、少なくとも0.4Rmである、実施形態24の反射型偏光子である。
【0167】
実施形態31は、所定の波長を有し、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置が、約70%より大きい通過偏光状態に対する第2の最小透過率を有する、実施形態24の反射型偏光子である。
【0168】
実施形態32は、反射型偏光子の縁部付近の少なくとも1つの第1及び第2の位置の通過偏光状態に対する第2の最大透過率が、少なくとも3.8%だけ互いに異なり、少なくとも1つの第1の位置及び少なくとも1つの第2の位置が、反射型偏光子の中心において約70度~約110度の範囲の角度を画定する、実施形態31の反射型偏光子である。
【0169】
実施形態33は、反射型偏光子の中心で互いに交差する直交する第1の軸及び第2の軸に関して、通過偏光状態に対する反射型偏光子の第2の最大透過率が、
中心では、Tcであり、
反射型偏光子の第1の縁部付近の第1の軸に沿った第1の縁部位置では、T1であり、
反射型偏光子の第1の縁部の反対側の第2の縁部付近の第1の軸に沿った第2の縁部位置では、T2であり、
反射型偏光子の第3の縁部付近の第2の軸に沿った第3の縁部位置では、T3であり、
反射型偏光子の第3の縁部の反対側の第4の縁部付近の第2の軸に沿った第4の縁部位置では、T4であり、
Tcが、T1及びT2の最大値より大きく、T3及びT4の最小値未満である、実施形態31の反射型偏光子である。
【0170】
実施形態34は、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影で、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置のブロック偏光状態が、互いに対して2度より大きく回転され、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置が、反射型偏光子の中心において約70度~約110度の範囲の角度を画定する、実施形態24の反射型偏光子である。
【0171】
実施形態35は、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心を通過する光軸から半径R内の反射型偏光子の領域が、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影におけるブロック偏光状態の最大変動であって、
R1未満のRに対して約1度未満であり、
R2より大きいRに対して、約2度より大きい、
最大変動を有し、
反射型偏光子が、光軸からの最大半径Rmを有し、R1が、少なくとも0.4Rmであり、R2が、R1より大きく、かつ0.95Rm以下である、実施形態24の反射型偏光子である。
【0172】
実施形態36は、湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、第1の反射帯域内の所定の波長を有する垂直入射光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率及び約5%未満の対応する最小透過率、並びに直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率を有し、第1の反射帯域は、少なくとも1つの縁部位置よりも反射型偏光子の中心において少なくとも5%大きい長波長帯域端を有し、
反射型偏光子の長波長帯域端は、反射型偏光子の中心から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に減少する。
【0173】
実施形態37は、少なくとも1つの縁部位置の縁部位置よりも反射型偏光子の中心において大きい方位角平均長波長帯域端を有する、実施形態36の反射型偏光子である。
【0174】
実施形態38は、方位角平均長波長帯域端が、反射型偏光子の中心から縁部位置まで実質的に単調に減少する、実施形態37の反射型偏光子である。
【0175】
実施形態39は、湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、第1の反射帯域内の所定の波長を有する垂直入射光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率及び約5%未満の対応する最小透過率、並びに直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率を有し、第1の反射帯域は、少なくとも1つの縁部位置よりも反射型偏光子の中心において少なくとも5%小さい長波長帯域端を有し、反射型偏光子の長波長帯域端は、反射型偏光子の中心から少なくとも1つの縁部位置まで実質的に単調に増加する。
【0176】
実施形態40は、少なくとも1つの縁部位置の縁部位置よりも反射型偏光子の中心において小さい方位角平均長波長帯域端を有する、実施形態39の反射型偏光子である。
【0177】
実施形態41は、方位角平均長波長帯域端が、反射型偏光子の中心から縁部位置まで実質的に単調に増加する、実施形態40の反射型偏光子である。
【0178】
実施形態42は、交互配置された複数のポリマー干渉層を備える湾曲した反射型偏光子であって、各ポリマー干渉層は、主に光干渉によって光を反射又は透過し、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有し、所定の波長を有し、ついて約中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態に70%より大きい最大反射率、直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率、及びブロック偏光状態に対する最小透過率を有し、反射型偏光子の中心位置で互いに交差する直交する第1の軸及び第2の軸、並びに反射型偏光子の中心位置で互いに交差する直交する第3の軸及び第4の軸に関して、第1の軸と第3の軸との間の角度は、約45度であり、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子の最小透過率は、
反射型偏光子の中心位置と第1の縁部との間の第1の軸に沿った第1の位置では、T1であり、
反射型偏光子の中心位置と第2の縁部との間の第2の軸に沿った第2の位置では、T2であり、
反射型偏光子の中心位置と第3の縁部との間の第3の軸に沿った第3の位置では、T3であり、
反射型偏光子の中心位置と第4の縁部との間の第4の軸に沿った第4の位置では、T4であるようになっており、
T1及びT2の最大値は、T3及びT4の最小値未満である。
【0179】
実施形態43は、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子の最小透過率が、
反射型偏光子の中心位置と第1の縁部の反対側の第5の縁部との間の第1の軸に沿った第5の位置では、T5であり、
反射型偏光子の中心位置と第2の縁部の反対側の第6の縁部との間の第2の軸に沿った第6の位置では、T6であり、
反射型偏光子の中心位置と第3の縁部の反対側の第7の縁部との間の第3の軸に沿った第7の位置では、T7であり、
反射型偏光子の中心位置と第4の縁部の反対側の第8の縁部との間の第4の軸に沿った第8の位置では、T8であり、
T1、T2、T5、及びT6の最大値が、T3、T4、T7、及びT8の最小値未満である、実施形態42の反射型偏光子である。
【0180】
実施形態44は、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子の最小透過率が、第1及び第2の軸のそれぞれ周りの反射下で実質的に対称である、実施形態42の反射型偏光子である。
【0181】
実施形態45は、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子の最小透過率が、反射型偏光子に垂直な反射型偏光子の中心位置を通過する光軸周りに実質的に4倍の回転対称である、実施形態42の反射型偏光子である。
【0182】
実施形態46は、交互配置された複数のポリマー干渉層を備える湾曲した反射型偏光子であって、各ポリマー干渉層は、主に光干渉によって光を反射又は透過し、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有し、所定の波長を有し、中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率、及びブロック偏光状態について最小透過率を有し、反射型偏光子の異なる第1の縁部と第2の縁部との間に延びる、反射型偏光子の最大横寸法の少なくとも3%の最小幅を有し、かつ反射型偏光子の分離した第2及び第3の部分を画定する反射型偏光子の連続する第1の部分に関して、ブロック偏光状態について反射型偏光子の最小透過率は、第2の部分の少なくとも70%内の各位置及び第3の部分の少なくとも70%内の各位置よりも第1の部分の少なくとも70%内の各位置において高い。
【0183】
実施形態47は、ブロック偏光状態に対する反射型偏光子の最小透過率が、第2の部分の少なくとも80%内の各位置及び第3の部分の少なくとも80%内の各位置よりも第1の部分の少なくとも80%内の各位置において高い、実施形態46の反射型偏光子である。
【0184】
実施形態48は、第1の部分の最小幅が、反射型偏光子の最大横寸法の少なくとも5%である、実施形態46の反射型偏光子である。
【0185】
実施形態49は、第1の部分の最小幅が、反射型偏光子の最大横寸法の80%以下である、実施形態46の反射型偏光子である。
【0186】
実施形態50は、複数のポリマー層を備える湾曲した反射型偏光子であって、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有し、所定の波長を有し、中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約0.7より大きい最大反射率、直交する通過偏光状態について約0.7より大きい最大透過率、及びブロック偏光状態について最小透過率を有し、光軸から半径R内の反射型偏光子の領域が有する、ブロック偏光状態の最小透過率の最大変動が、約0.001~約0.005の範囲になっており、
反射型偏光子は、光軸からの最大半径Rmを有し、Rは、Rmの0.4~0.7倍の範囲である。
【0187】
実施形態51は、複数のポリマー層を備える湾曲した反射型偏光子であって、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有し、所定の波長を有し、中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約0.7より大きい最大反射率、及び直交する通過偏光状態について約0.7より大きい最大透過率を有し、反射型偏光子の縁部付近にある少なくとも1つの第1及び第2の位置の通過偏光状態についての最大透過率は、少なくとも3.8%だけ互いに異なり、少なくとも1つの第1の位置及び少なくとも1つの第2の位置は、中心位置において約70度~約110度の範囲の角度を画定する。
【0188】
実施形態52は、少なくとも1つの第1及び第2の位置の通過偏光状態に対する最大透過率が、6.0%以下だけ互いに異なる、実施形態51の反射型偏光子である。
【0189】
実施形態53は、複数のポリマー層を備える湾曲した反射型偏光子であって、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有し、所定の波長を有し、中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約0.7より大きい最大反射率、及び直交する通過偏光状態について約0.7より大きい最大透過率を有し、少なくとも1つの第1及び第2の位置であって、反射型偏光子の中心位置付近にある少なくとも1つの第1の位置及び縁部付近の少なくとも1つの第2の位置の通過偏光状態に対する最大透過率は、少なくとも3.8%だけ互いに異なる。
【0190】
実施形態54は、少なくとも1つの第1及び第2の位置の通過偏光状態に対する最大透過率が、6.0%以下だけ互いに異なる、実施形態53の反射型偏光子である。
【0191】
実施形態55は、複数のポリマー層を備える湾曲した反射型偏光子であって、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有し、所定の波長を有し、中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率を有し、平面視で、中心を実質的に中心にした実質的に矩形の領域内の位置の少なくとも70%のそれぞれにおける通過偏光状態についての最大透過率は、反射型偏光子の中心における通過偏光状態についての最大透過率の1.5%以内であり、実質的に矩形の領域の外側にある、反射型偏光子の位置の少なくとも大部分における通過偏光状態についての最大透過率は、反射型偏光子の中心における通過偏光状態についての最大透過率よりも少なくとも1.5%低い。
【0192】
実施形態56は、実質的に矩形の領域が、反射型偏光子の最大横寸法の少なくとも半分のブロック偏光状態と実質的に平行な長さを有する、実施形態55の反射型偏光子である。
【0193】
実施形態57は、実質的に矩形の領域が、反射型偏光子の最大横寸法の少なくとも25%の通過偏光状態と実質的に平行な幅を有する、実施形態55の反射型偏光子である。
【0194】
実施形態58は、交互配置された複数のポリマー干渉層を備える湾曲した反射型偏光子であって、各ポリマー干渉層は、主に光干渉によって光を反射又は透過し、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有し、所定の波長を有する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率、及びブロック偏光状態について最小透過率を有し、反射型偏光子の中心位置で互いに交差する直交する第1の軸及び第2の軸に関して、通過偏光状態についての反射型偏光子の最大透過率は、
中心位置では、Tcであり、
反射型偏光子の第1の縁部付近の第1の軸に沿った第1の縁部位置では、T1であり、
反射型偏光子の第1の縁部の反対側にある、第2の縁部付近の第1の軸に沿った第2の縁部位置では、T2であり、
反射型偏光子の第3の縁部付近の第2の軸に沿った第3の縁部位置では、T3であり、
反射型偏光子の第3の縁部の反対側にある、第4の縁部付近の第2の軸に沿った第4の縁部位置では、T4であるようになっており、
Tcは、T1及びT2の最大値より大きく、T3及びT4の最小値未満である。
【0195】
実施形態59は、最大透過率が、第1の軸周りの反射下で実質的に対称であり、第2の軸周りの反射下で実質的に対称である、実施形態58の湾曲した反射型偏光子である。
【0196】
実施形態60は、湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、所定の波長を有し、中心位置において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有し、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影で、少なくとも1つの第1の縁部位置のブロック偏光状態は、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から時計回りに回転され、少なくとも1つの第2の縁部位置のブロック偏光状態は、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から反時計回りに回転され、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置は、反射型偏光子の中心において約70度~約110度の範囲の角度を画定する。
【0197】
実施形態61は、少なくとも1つの第2の縁部位置の第2の縁部位置が、角度θによる少なくとも1つの第1の位置の第1の位置の反射型偏光子の中心を通る光軸周りの時計回りの回転によって画定される、実施形態60の反射型偏光子である。
【0198】
実施形態62は、少なくとも1つの第2の縁部位置の第2の縁部位置が、角度θによる少なくとも1つの第1の位置の第1の位置の反射型偏光子の中心を通る光軸周りの反時計回りの回転によって画定される、実施形態60の反射型偏光子である。
【0199】
実施形態63は、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影で、少なくとも1つの第3の縁部位置のブロック偏光状態が、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から時計回りに回転され、少なくとも1つの第4の縁部位置のブロック偏光状態が、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態から反時計回りに回転され、少なくとも1つの第1及び第3の位置が、反射型偏光子の中心において約160度~約180度の範囲の角度を画定し、少なくとも1つの第2及び第4の位置が、反射型偏光子の中心において約160度~約180度の範囲の角度を画定する、実施形態60の反射型偏光子である。
【0200】
実施形態64は、湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、所定の波長を有し、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有し、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影で、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置におけるブロック偏光状態は、互いに対して2度より大きくだけ回転され、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置は、反射型偏光子の中心において約70度~約110度の範囲の角度を画定する。
【0201】
実施形態65は、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影で、少なくとも1つの第3及び第4の縁部位置のブロック偏光状態が、互いに対して2度未満だけ回転され、少なくとも1つの第3及び第4の位置が、反射型偏光子の中心において約70度~約110度の範囲の角度を画定する、実施形態64の反射型偏光子である。
【0202】
実施形態66は、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影で、少なくとも1つの第1及び第2の縁部位置のブロック偏光状態が、互いに対して7度以下だけ回転される、実施形態64の反射型偏光子である。
【0203】
実施形態67は、少なくとも1つの第1の縁部位置のブロック偏光状態が、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態に対して時計回りに回転され、少なくとも1つの第2の縁部位置のブロック偏光状態が、反射型偏光子の中心におけるブロック偏光状態に対して反時計回りに回転される、実施形態64の反射型偏光子である。
【0204】
実施形態68は、湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、所定の波長を有し、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有し、光軸から半径R内の反射型偏光子の領域が有する、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影におけるブロック偏光状態の最大変動が、
R1未満のRについて約1度未満であり、
R2より大きいRについて、約2度より大きい、
最大変動を有するようになっており、
反射型偏光子は、光軸からの最大半径Rmを有し、R1は、少なくとも0.4Rmであり、R2は、R1より大きく、かつ0.95Rm以下である。
【0205】
実施形態69は、R1が、約0.45Rmであり、R2が、約0.7Rmである、実施形態68の反射型偏光子である。
【0206】
実施形態70は、最大変動が、0.75Rmより大きいRに対して約3度より大きい、実施形態68の反射型偏光子である。
【0207】
実施形態71は、Rmに等しいRに対する最大変動が、7度以下である、実施形態68の反射型偏光子である。
【0208】
実施形態72は、交互配置された複数のポリマー干渉層を備える湾曲した反射型偏光子であって、各ポリマー干渉層は、主に光干渉によって光を反射又は透過し、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置は、約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有し、所定の波長を有し、かつ、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、直交する通過偏光状態について約70%より大きい最大透過率、及び円形減衰を有し、反射型偏光子の中心位置で互いに交差する直交する第1の軸及び第2の軸に関して、反射型偏光子の円形減衰は、
中心位置では、CDcであり、
反射型偏光子の第1の縁部付近の第1の軸に沿った第1の縁部位置では、CD1であり、
反射型偏光子の第1の縁部の反対側にある、第2の縁部付近の第1の軸に沿った第2の縁部位置では、CD2であり、
反射型偏光子の第3の縁部付近の第2の軸に沿った第3の縁部位置では、CD3であり、
反射型偏光子の第3の縁部の反対側にある、第4の縁部付近の第2の軸に沿った第4の縁部位置では、CD4であり、
CDcは、CD3及びCD4の最小値未満であり、CD1及びCD1の最大値よりも大きい。
【0209】
実施形態73は、円形減衰が、第1及び第2の軸のそれぞれ周りの反射下で実質的に対称である、実施形態72の反射型偏光子である。
【0210】
実施形態74は、反射型偏光子の中心位置で互いに交差する直交する第3及び第4の軸に関して、第1の軸と第3の軸との間の角度が、約45度であり、円形減衰が、第3及び第4の軸のそれぞれ周りの反射下で実質的に反対称である、実施形態72の反射型偏光子である。
【0211】
実施形態75は、湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、所定の波長を有し、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有し、反射型偏光子の総面積以下の面積を有する反射型偏光子の領域が有する円形減衰の最大変動が、少なくとも0.04である。
【0212】
実施形態76は、湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、所定の波長を有し、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有し、反射型偏光子の総面積の半分より大きい面積を有する反射型偏光子の領域が有する円形減衰の最大変動が、0.015以下である。
【0213】
実施形態77は、湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、所定の波長を有し、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有し、反射型偏光子の総面積の半分より大きい面積を有する反射型偏光子の領域が有する円形減衰の最大変動が、0.007以下である。
【0214】
実施形態78は、反射型偏光子が、1つ以上の位置において実質的に一軸配向された少なくとも1つの層を備える、実施形態1~77のいずれか一項に記載の反射型偏光子である。
【0215】
実施形態79は、反射型偏光子が、少なくとも1つの層の厚さに沿った第1の方向の第1の屈折率と直交する第2の方向の第2の屈折率との間の差の絶対値が約0.02未満であり、かつ第2の屈折率と第1及び第2の方向に直交する第3の方向の第3の屈折率との間の差の絶対値が約0.05より大きい、少なくとも1つの位置を有する少なくとも1つの層を備える、実施形態1~77のいずれか一項に記載の反射型偏光子である。
【0216】
実施形態80は、光学システムであって、
第1のレンズと、
第2のレンズであって、第1及び第2のレンズのそれぞれが、少なくとも1つの方向にゼロより大きい屈折力を有する、第2のレンズと、
所定の波長範囲内の実質的に垂直入射する光に対して少なくとも30%の平均光反射率を有する部分反射体と、
実施形態1~79のいずれか一項に記載の反射型偏光子と、
を備え、光学システムは、光学軸を有し、光軸に沿って伝搬する光線は、実質的に屈折することなく第1のレンズ、第2のレンズ、部分反射体、及び反射型偏光子を通過し、約100度~約160度の全円錐角を有する、ブロック偏光状態、及び所定の波長範囲内の波長を有し、かつ光軸上に中心を置く光の入射円錐に関して、入射光は、通過偏光状態を有する第1の光成分、及びブロック偏光状態を有する第2の光成分を有して光学システムから出て、第1の光成分の平均強度と第2の光成分の平均強度との比は、約100より大きいようになっている。
【0217】
実施形態81は、交互配置された複数のポリマー層を備える光学フィルムを成形する方法であって、方法は、
光学フィルムの外周の少なくとも一部分を第1の平面内に固定して、固定された部分が互いに対して移動しないようにする工程と、
光学フィルムの半径方向及び円周方向での延伸の一方が光学フィルムの中心から外周まで実質的に一定となり、かつ光学フィルムの半径方向及び円周方向での延伸の他方が光学フィルムの中心から外周まで実質的に変化するように、光学フィルムの一部分を第1の平面に垂直な少なくとも第1の方向に沿って変位させることによって、光学フィルムを延伸させる工程と、
を含む。
【0218】
実施形態82は、光学フィルムを光学フィルムのガラス転移温度よりも高い温度に加熱することを更に含む、実施形態81の方法である。
【0219】
実施形態83は、交互配置された複数のポリマー層を備える光学フィルムを成形する方法であって、方法は、
光学フィルムの少なくとも第1の部分が湾曲した成形型表面に隣接する第1の平面内に実質的に配置されるように、光学フィルムを配置する工程と、
光学フィルムを延伸させて、光学フィルムの第1の部分を湾曲した成形型表面の少なくとも一部分に適合させ、第1の部分の各点が、延伸する工程の前の第1の平面内の点の位置に頂点を有する円錐内にある湾曲した表面上の位置を有するようにする工程であって、円錐が、第1の平面に垂直な軸に沿って中心があり、10度以下の円錐角を有する、工程と、
を含む。
【0220】
実施形態84は、延伸する工程が、光学フィルムを延伸させて、光学フィルムの円周方向での延伸が光学フィルムの中心から光学フィルムの外周まで実質的に一定となり、かつ光学フィルムの半径方向での延伸が光学フィルムの中心から外周まで実質的に変化するようにする工程を含む、実施形態83の方法である。
【0221】
実施形態85は、湾曲した反射型偏光子であって、少なくとも直交する第1及び第2の方向に沿って延伸され成形されて、湾曲した反射型偏光子上の少なくとも1つの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに沿って約6mm~約1000mmの範囲の曲率半径を有する、複数のポリマー層を備え、所定の波長を有し、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に垂直な、かつ反射型偏光子を通過する光軸に平行な方向に沿って反射型偏光子に入射する光に関して、反射型偏光子上の各位置は、ブロック偏光状態について約70%より大きい最大反射率、及び約5%未満の対応する最小透過率を有し、光軸から半径R内の反射型偏光子の領域が有する、反射型偏光子の中心において反射型偏光子に接する平面上への投影におけるブロック偏光状態の最大変動が、0.8Rm未満のRに対して約1度未満になっている。
【実施例】
【0222】
図3A~
図3Fに示す加圧プロセスを使用して、及び
図4A~
図4Cに示すプルダウンプロセスを使用して、反射型偏光子フィルムを、基部8のレンズ形状に熱成形した。
【0223】
反射型偏光子フィルムは、以下のように作製した。2つの多層光学パケットは、ポリエチレンナフタレート(PEN)及び低屈折率の等方性層の325個の交互層から構成される各パケットと共押出しされ、これは屈折率が約1.57であり、一軸方向で実質的に等方性を維持するように、ポリカーボネートとコポリエステル(PC:coPET)とのブレンドを用いて製造され、PC:coPETのモル比は約42.5mol%PC及び57.5mol%coPETであり、そして摂氏105℃のTgを有する。この等方性材料は、2つの非延伸方向における屈折率を伸張させた後、非延伸方向における複屈折材料の屈折率と実質的に整合したままとなるように選択され、一方で延伸方向において、複屈折層と非複屈折層との間には屈折率の実質的な不整合が存在する。PEN及びPC/coPETポリマーは、別個の押出機から多層の共押出フィードブロックに供給され、これらは、合計652層に対して、積層された光学パケットの外側で、PC/coPETのより厚い保護境界層を加えて、325個の交互する光学層(それぞれ「パケット1」及び「パケット2」)のパケットに組み立てられた。フィルムを、米国特許第6,916,440号(Jacksonら)に記載されているように放物線状テンターで実質的に一軸延伸した。フィルムを約150℃の温度で約6の延伸比まで延伸した。結果として得られた反射型偏光子の層厚さプロファイルを、パケット1及び2を示す、
図50に示す。反射型偏光子は、約65μmの静電容量ゲージで測定した結果、得られた全厚さを有した。保護オレフィンライナーを、反射型偏光子の各側面に適用した。
【0224】
基部8のレンズ形状は、65.3mmの曲率半径Rc(
図1を参照)、83mmの直径2Rm、39.5度のφ
max、14.9mmのサグS、及び0.179のサグと直径との比を有した。
【0225】
加圧プロセス及びプルダウンプロセスで使用した成形型は、基部8のレンズ形状に対応する湾曲した主表面を提供するように機械加工されたアルミニウム成形型であった。成形型を介して真空を引くことができるように、第1の成形型360に多孔質アルミニウムを使用した。プルダウンプロセスでは、領域477内に真空を適用し、領域491内に正圧を加えなかった。
【0226】
加圧プロセスは、Hy-Tech Forming Systems(USA),Inc.(Phoenix,AZ)製の成形機上で実施した。2枚の厚さ2.5milの追加ライナーを、反射型偏光子フィルムの両側に積層した。6インチ×6インチより大きいフィルム片を、積層反射型偏光子フィルムから切断した。フィルム片を、多孔質アルミニウムから機械加工された雌型を含む底部プラテン(platten)の上部に成形機内に配置し、80°Fの温度に維持した。次いで、350°Fまで予熱した上部平板プラテンを、下部プラテン上に閉じて、フィルムの縁部を定位置にクランプした。60psiの圧力をフィルムの底面側に適用して(多孔質アルミニウムを介して)、上の平坦な加熱されたプラテンに対してフィルムを押圧した。この圧力を6秒間維持した。底面側の圧力を解放し、475psiの圧力をフィルムの上側に適用して、フィルムを下の雌型内に膨張させた。圧力を6秒間維持し、その後、形成された部分(形成されたライナーを有する)を機械から除去した。
【0227】
プルダウンプロセスは、MAAC Machinery Corporation(Carol Stream,IL)製の真空成形機上で実施した。反射型偏光子の8インチ×8インチの正方形片を切り取り、オレフィンライナーを除去した。フィルムを1組の4つのグリップ内に配置し、フィルムの4つの縁部全体をクランプした。フィルム及びグリップを後方に摺動させて、380°Fの温度まで予熱した加熱したプラテンの下に配置した。次いで、フィルムを有するフレームを摺動させて、100°Fの温度に保持した(雄)基部8型の上に、フィルムの中心を配置した(平坦な基部のわずかに上方に配置した)。次いで、フィルムが基部と接触するまで、フィルム内に型(及び基部)を上方に移動させた。型がその最終位置に到達した後、(型と平坦な基部との間の合わせ目に配置されたポートにより)真空が引かれて、フィルムを型に対してよりしっかりと引っ張った。数秒の接触後、グリップを開き、形成された部分を除去した。
【0228】
初期厚さで除した厚さ及び式1に基づいてモデル化して判定された延伸比を
図27~
図29に示す。
図28は、プルダウンプロセスで成形されたフィルムの延伸比を示し、
図29は、加圧プロセスで成形されたフィルムの延伸比を示す。モデリングの目的で、φ
maxを45度まで延ばした。加圧プロセスは、角度φとともに厚さが単調に増加する厚さを有する、中心で最も薄いフィルムをもたらす。プルダウンプロセスは、φとともに厚さが単調に減少する、中心で最も厚いフィルムをもたらす。加圧プロセスで形成されたフィルムでは、延伸比は、半径方向で実質的に一定であったが、円周方向では実質的に一定ではなかった。プルダウンプロセスで形成されたフィルムでは、延伸比は、円周方向で実質的に一定であったが、半径方向では実質的に一定ではなかった。
【0229】
加圧プロセスによって形成された反射型偏光子サンプルの測定された厚さは、反射型偏光子の中心付近で約52マイクロメートルから、反射型偏光子の縁部により近い約57マイクロメートルまでの範囲であった。プルダウンプロセスによって形成された反射型偏光子サンプルの測定された厚さは、反射型偏光子の中心付近で約65マイクロメートルから、反射型偏光子の縁部により近い約52マイクロメートルまでの範囲であった。表1は、加圧プロセス及びプルダウンプロセスに従って形成されたサンプルに関して判定された厚さを列挙している。厚さは、円柱半径方向座標R及び方位角のx座標及びy座標のいずれかによって判定される異なる位置に列挙されている。ブロック軸は、サンプルの中心でy軸に沿っていた。
【表1】
【0230】
図30に示すような中心(C)、北(N)、南(S)、東(E)、及び西(W)のパターン内の形成された反射型偏光子サンプルから、直径22mmの部分を切断した。反射型偏光子のブロック方向である横断方向(transverse direction、TD)は、中心で東西方向に沿っていた。ブロック状態の透過率は、Lambda 950分光光度計(PerkinElmer(Waltham,MA)から入手可能)を使用して、波長の関数として垂直入射で測定した。
図31~
図32は、加圧プロセス及びプルダウンプロセスそれぞれを使用して形成されたサンプルの中心、北、南、東、及び西の位置の長波長帯域端付近のブロック状態透過率のグラフを示す。長波長帯域端は、ブロック状態透過率が10%に到達した波長として判定した。nmでの長波長帯域端の結果を表2に報告する。
【表2】
【0231】
加圧プロセス及びプルダウンプロセスによって形成された反射型偏光子の光学特性は、Axometrics AxoScan(商標)Muller マトリックス偏光計(Axometrics,Inc.(Huntsville,AL)から入手可能)を使用して更に特徴付けられた。反射型偏光子が入射光に向かって凸状である(例えば、
図1の入射光198)、フィルムの中心を通る光軸に平行な方向に沿って形成されたフィルムに向かって向けられた光源を用いて、測定を行った。様々な量をx軸及びy軸に対してプロットした。反射型偏光子サンプルは、サンプルの中心でy軸に沿って横断方向(TD)で配向されていた。実施例の等高線及び三次元表面のグラフにおけるx軸及びy軸は、成形フィルムの中心からの平面視での距離をmmで測定したデカルト座標である。第1及び第2のサンプルは、加圧プロセス及びプルダウンプロセスの両方で形成した。サンプルは、同じ反射型偏光子フィルムの異なる部分からのものであった。測定した各量について、直径約2mmのビームを使用して、20個の測定値を各位置で取り、平均した。この平均値は、ある位置での各値を、その位置を中心とする3×3のグリッド内の9つの測定値の平均で置き換えることによって平滑化した。報告されたデータは、形成されたサンプルの中心から30mm以内の形成されたサンプルの領域をカバーしている。
【0232】
プルダウンプロセスで形成された反射型偏光子サンプルの減衰配向を
図33A~
図33Dに示す。
図33A及び
図33Bは、それぞれ、第1の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフであり、
図33C及び
図33Dは、それぞれ、第2の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフである。減衰配向は、通過軸方向と同等である。
【0233】
加圧プロセスで形成された反射型偏光子サンプルの減衰配向を
図34A~
図34Dに示す。
図34A及び
図34Bは、それぞれ、第1の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフであり、
図34C及び
図34Dは、それぞれ、第2の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフである。
【0234】
図35~
図36は、プルダウンプロセス及び加圧プロセスそれぞれで形成された反射型偏光子サンプルの通過軸変動を示す。角度シフトは、変動が明確に見えるように、10の係数によってスケーリングされている(例えば、垂直から10度に見える線は、成形されたフィルムにおいて垂直から1度に配向されている)。
【0235】
図37Aは、加圧プロセス(Pres)及びプルダウンプロセス(PD)によって形成されたサンプルの領域の、円柱半径方向座標R(例えば、
図1を参照)の関数としての、形成された反射型偏光子サンプルの領域内の平均減衰配向(単位:度)のグラフである。
図37Bは、円柱半径方向座標Rの関数としての、領域内の反射型偏光子サンプルの中心における減衰配向に対する減衰配向(単位:度)の最大変動(最大マイナス最小)のグラフである。
【0236】
プルダウンプロセスで形成された反射型偏光子サンプルの通過軸透過率(Tmax)を
図38A~
図38Dに示す。
図38A及び
図38Bは、それぞれ、第1の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフであり、
図38C及び
図38Dは、それぞれ、第2の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフである。グラフは、数がパーセントを表すように、100を乗じたTmaxを示す。
【0237】
加圧プロセスで形成された反射型偏光子フィルムの通過軸透過率(Tmax)を
図39A~
図39Dに示す。
図39A及び
図39Bは、それぞれ、第1の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフであり、
図39C及び
図39Dは、それぞれ、第2の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフである。グラフは、数がパーセントを表すように、100を乗じたTmaxを示す。
【0238】
図40Aは、加圧プロセス(Pres)及びプルダウンプロセス(PD)によって形成されたサンプルの領域の、円柱半径方向座標R(例えば、
図1を参照)の関数としての、形成された反射型偏光子サンプルの領域内の平均Tmax(×100%)のグラフである。
図40Bは、円柱半径方向座標Rの関数としての、領域内のTmaxの最大変動(最大Tmaxパーセント-最小Tmaxパーセント)のグラフである。
【0239】
プルダウンプロセスで形成された反射型偏光子サンプルのブロック軸透過率(Tmin)を
図41A~
図41Dに示す。
図41A及び
図41Bは、それぞれ、第1の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフであり、
図41C及び
図41Dは、それぞれ、第2の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフである。グラフは、数がパーセントを表すように、100を乗じたTminを示す。Axometrics偏光計からのTminの測定値は、測定器の報告されたノイズフロアの下であった。しかしながら、グラフに示されるTminの相対的な変動は、主に、測定誤差ではなく反射型偏光子サンプルの特性の結果であったと考えられる。
【0240】
加圧プロセスで形成された反射型偏光子フィルムのブロック軸透過率(Tmin)を
図42A~
図42Dに示す。
図42A及び
図42Bは、それぞれ、第1の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフであり、
図42C及び
図42Dは、それぞれ、第2の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフである。グラフは、数がパーセントを表すように、100を乗じたTminを示す。
【0241】
図43Aは、加圧プロセス(Pres)及びプルダウンプロセス(PD)によって形成されたサンプルの領域の、円柱半径方向座標R(例えば、
図1を参照)の関数としての、形成された反射型偏光子サンプルの領域内の平均Tmin(×100%)のグラフである。
図43Bは、円柱半径方向座標Rの関数としての、領域内のTminの最大変動(最大Tminパーセント-最小Tminパーセント)のグラフである。
【0242】
プルダウンプロセスで形成された反射型偏光子サンプルの線形減衰を
図44A~
図44Dに示す。
図44A及び
図44Bは、それぞれ、第1の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフであり、
図44C及び
図44Dは、それぞれ、第2の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフである。グラフは、線形減衰に100を乗じたものを示す。
【0243】
加圧プロセスで形成された反射型偏光子フィルムの線形減衰を
図45A~
図45Dに示す。
図45A及び
図45Bは、それぞれ、第1の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフであり、
図45C及び
図45Dは、それぞれ、第2の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフである。グラフは、線形減衰に100を乗じたものを示す。
【0244】
図46Aは、加圧プロセス(Pres)及びプルダウンプロセス(PD)によって形成されたサンプルの領域の、円柱半径方向座標R(例えば、
図1を参照)の関数としての、形成された反射型偏光子サンプルの領域内の平均線形減衰のグラフである。
図46Bは、円柱半径方向座標Rの関数としての、領域内の線形減衰の最大変動(最大マイナス最小)のグラフである。
【0245】
プルダウンプロセスで形成された反射型偏光子サンプルの円形減衰を
図47A~
図47Dに示す。
図47A及び
図47Bは、それぞれ、第1の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフであり、
図47C及び
図47Dは、それぞれ、第2の形成されたサンプルの等高線グラフ及び三次元表面グラフである。グラフは、円形減衰に100を乗じたものを示す。
【0246】
プルダウンプロセスで形成された反射型偏光子サンプルの円形減衰を
図48A~
図48Bに示す。
図48Aは、第1の形成されたサンプルの三次元表面グラフであり、
図48Bは、第2の形成されたサンプルの三次元表面グラフである。グラフは、円形減衰に100を乗じたものを示す。
【0247】
図49Aは、加圧プロセス(Pres)及びプルダウンプロセス(PD)によって形成されたサンプルの領域の、円柱半径方向座標R(例えば、
図1を参照)の関数としての、形成された反射型偏光子サンプルの領域内の平均円形減衰のグラフである。
図49Bは、円柱半径方向座標Rの関数としての、領域内の円形減衰の最大変動(最大マイナス最小)のグラフである。
【0248】
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。