(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】電気機械用のステータ、および電気機械
(51)【国際特許分類】
H02K 3/28 20060101AFI20241122BHJP
H02K 3/12 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H02K3/28 Z
H02K3/12
(21)【出願番号】P 2023509858
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2021069489
(87)【国際公開番号】W WO2022033788
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】102020121347.6
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522447473
【氏名又は名称】ヴァレオ、イーオートモーティブ、ジャーマニー、ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】VALEO EAUTOMOTIVE GERMANY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ボリス、ドッツ
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-096858(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017361(WO,A1)
【文献】特開2013-150437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/28
H02K 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-個数Nが3以上である相(U、V、W)と、
-個数Pが2以上である極対と、
-個数qが2以上の1極および1相毎のスロットと、
-周方向に形成された複数のスロット(3)を有するステータコア(2)と、
-前記スロット(3)において径方向に積層した態様で第1~第4層(18a-d)に配置される複数の成形導体(4、22a-d、24a-d)であって、前記第1~第4層(18a-d)は径方向にこの順で指定される、成形導体(4、22a-d、24a-d)と、
を備える電気機械(101)用のステータ(1)において、
前記周方向の第1向き(19a)と、前記第1向き(19a)とは反対の第2向き(19b)と、が規定され、
前記成形導体(4、22a-d、24a-d)は、各相(U、V、W)について、直列または並列に互いに接続可能である少なくとも2つの経路(15a、15b)を形成するとともに、2×P個の巻線ゾーン(20、23a-h、25a-p)に配置され、前記巻線ゾーン(20、23a-h、25a-p)は、4つの前記層(18a-d)各々に亘って径方向に、かつ少なくともq+1個の直接的に隣り合うスロット(3)に亘って周方向に延び、
各経路(15a、15b)の前記成形導体(4、22a-d、24a-d)は直列回路において接続し、前記直列回路は、前記ステータコア(2)の第1端部側(7)および前記ステータコア(2)の前記第1端部側(7)とは反対の第2端部側(9)に配置されるコネクタ(8、8a、8b、10)により実現され、
各経路(15a、15b)は、直列接続した成形導体(4、22a-d)の第1タイプのグループ(16a-d)と、直列接続した成形導体(24a-d)の第2タイプのグループ(17a-d)と、を有し、
前記第1タイプのグループ(16a-d)の成形導体(22a-d)は、前記巻線ゾーン(20、23a-h)に亘って、前記周方向に、最初に前記第1および第4層(18a、18d)に、次いで前記第2および第3層(18b、18c)に交互に配置され、
前記第2タイプのグループ(17a-d)の成形導体(4、24a-d)は、前記第1タイプのグループ(16a-d)の前記成形導体(4、22a-d)が前記第1および第4層(18a、18d)に配置される巻線ゾーン(20、23a-h、25a-p)において、前記第2および第3層(18b、18c)に配置され、前記第1タイプのグループ(16a-d)の前記成形導体(4、22a-d)が前記第2および第3層(18b、18c)に配置される巻線ゾーン(20、23a-h、25a-p)において、前記第1および第4層(18a、18d)に配置される、
ステータ。
【請求項2】
前記第1タイプのそれぞれのグループ(16a-d)の前記成形導体(4、22a-d)は、前記直列回路に関して外側の第1成形導体(22a)と、前記直列回路に関して前記第1成形導体(22a)に直接的に接続する第2成形導体(22b)と、前記直列回路に関して前記第2成形導体(22b)に直接的に接続する第3成形導体(22c)と、前記直列回路に関して前記第3成形導体(22c)に直接的に接続する第4成形導体(22d)と、であり、
-前記第1タイプのグループ(16a-d)の前記第1成形導体(22a)は、前記第1タイプのグループ(16a-d)についての第1巻線ゾーン(23a、23c、23e、23g)の前記第1層(18a)に配置され、
-前記第1タイプのグループ(16a-d)の前記第2成形導体(22b)は、前記第1タイプのグループ(16a-d)について、前記第1タイプのグループ(16a-d)についての前記第1巻線ゾーン(23a、23c、23e、23g)に前記第1向き(19a)に隣り合う第2巻線ゾーン(23b、23d、23f、23h)の前記第2層(18b)に配置され、
-前記第1タイプのグループ(16a-d)の前記第3成形導体(22c)は、前記第1タイプのグループ(16a-d)についての前記第1巻線ゾーン(23a、23c、23e、23g)の前記第4層(18d)に配置され、
-前記第1タイプのグループ(16a-d)の前記第4成形導体(22d)は、前記第1タイプのグループ(16a-d)についての前記第2巻線ゾーン(23b、23d、23f、23h)の前記第3層(18c)に配置され、
前記直列回路に関して前記第1タイプの別のグループ(16a-c)の前記第4成形導体(22d)に直接的に接続するこのような前記第1タイプのグループ(16b-d)についての前記第1巻線ゾーン(23c、23e、23g)は、前記第1タイプの前記別のグループ(16a-c)についての前記第2巻線ゾーン(23b、23d、23f)に、前記第1向き(19a)に隣り合う、
請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記第2タイプのそれぞれのグループ(17a-d)の前記成形導体(4、24a-d)は、前記直列回路に関して外側の第1成形導体(24a)と、前記直列回路に関して前記第1成形導体(24a)に直接的に接続する第2成形導体(24b)と、前記直列回路に関して前記第2成形導体(24b)に直接的に接続する第3成形導体(24c)と、前記直列回路に関して前記第3成形導体(24c)に直接的に接続する第4成形導体(24d)と、であり、
-前記第2タイプのグループ(17a-d)の前記第1成形導体(24a)は、前記第2タイプのグループ(17a-d)についての第1巻線ゾーン(25a、25e、25i、25m)の前記第2層(18b)に配置され、
-前記第2タイプのグループ(17a-d)の前記第2成形導体(24b)は、前記第2タイプのグループ(17a-d)について、前記第2タイプのグループについての前記第1巻線ゾーン(25a、25e、25i、25m)に前記第2向き(19b)に隣り合う第2巻線ゾーン(25b、25f、25j、25n)の前記第1層(18a)に配置され、
-前記第2タイプのグループ(17a-d)の前記第3成形導体(24c)は、前記第2タイプのグループ(17a-d)について、前記第2タイプのグループ(17a-d)についての前記第2巻線ゾーン(25b、25f、25j、25n)に前記第2向き(19b)に隣り合う第3巻線ゾーン(25c、25g、25k、25o)の前記第3層(18c)に配置され、
-前記第2タイプのグループ(17a-d)の前記第4成形導体(24d)は、前記第2タイプのグループ(17a-d)について、前記第2タイプのグループ(17a-d)についての前記第3巻線ゾーン(25c、25g、25k、25o)に前記第2向き(19b)に隣接する第4巻線ゾーン(25d、25h、25l、25p)の前記第4層(18d)に配置され、
前記直列回路に関して前記第2タイプの別のグループ(17a-c)の前記第4成形導体(
24d)に直接的に接続するこのような前記第2タイプのグループ(17b-d)の前記第1成形導体(
24a)は、前記第2タイプの前記別のグループ(17a-c)についての前記第3巻線ゾーン(25c、25g、25k)に配置される、
請求項1または2に記載のステータ。
【請求項4】
前記第2タイプのグループ(17a)の、前記直列回路に関して外側の前記成形導体(24a)であって、前記直列回路に関して前記第1タイプのグループ(16d)の、前記直列回路に関して外側の成形導体(22d)に直接的に接続する前記成形導体
(24a)は、前記第1タイプのグループ(16d)の前記外側
の成形導体(22d)が位置する前記巻線ゾーン(20、23h)に前記第1向き(19b)に隣り合う巻線ゾーン(20、25a)に配置される、
請求項2および3に記載のステータ。
【請求項5】
各巻線ゾーン(20、23a-g、25a-p)は、正確にq+2個のスロット(3)に亘って延びる、
請求項1~4の一項に記載のステータ。
【請求項6】
それぞれの巻線ゾーン(20、23a-g、25a-p)の前記第2および第3層(18b、18c)は、同一のスロット(3)に位置し、
-前記巻線ゾーン(20、23a-g、25a-p)の前記第1層(18a)は、前記周方向の前記第2向き(19b)にスロット(3)の1つ分だけ前記第2および第3層(18b、18c)に対してオフセットし、前記第4層(18d)は、前記第1向き(19a)にスロット(3)の1つ分だけ前記第2および第3層(18b、18c)に対してオフセットする、または、
-前記巻線ゾーン(20、23a-g、25a-p)の前記第1層(18a)は、前記周方向の前記第1向き(19a)にスロット(3)の1つ分だけ前記第2および第3層(18b、18c)に対してオフセットし、前記第4層(18d)は、前記第2向き(19b)にスロット(3)の1つ分だけ前記第2および第3層(18b、18c)に対してオフセットする
請求項5に記載のステータ。
【請求項7】
各巻線ゾーン(20、23a-g、25a-p)は、正確にq+1個のスロット(3)に亘って延びる、
請求項1~4の一項に記載のステータ。
【請求項8】
-それぞれの巻線ゾーン(20、23a-g、25a-p)の前記第1~第3層(18a-c)は、同一のスロット(3)に位置し、前記巻線ゾーン(20、23a-g、25a-p)の前記第4層(18d)は、前記第1向き(19a)または前記第2向き(19b)にスロット(3)の1つ分だけ前記第1~第3層(18a-c)に対してオフセットする、または、
-それぞれの巻線ゾーン(20、23a-g、25a-p)の前記第2~第4層(18b-d)は、同一のスロット(3)に位置し、前記巻線ゾーン(20、23a-g、25a-p)の前記第1層(18a)は、前記第2向き(19b)または前記第1向き(19a)にスロット(3)の1つ分だけ前記第2~第4層(18b-d)に対してオフセットする、
請求項7に記載のステータ。
【請求項9】
各巻線ゾーン(20、23a-g、25a-p)は、前記成形導体(4、22a-d、24a-d)のうちの1つについて各々の場合において4×q個の連続する受容スペースを提供するとともに、第1サブ巻線ゾーン(21a)から第q番目までのサブ巻線ゾーン(21b)を備え、前記サブ巻線ゾーンは、4つの前記層(18a-d)に亘って各々延び、
前記第1サブ巻線ゾーン(21a)は、前記第1向き(19a)から見て、それぞれの層(18a-d)の前記第1受容スペースを備え、前記第2サブ巻線ゾーン(21b)は、前記第1サブ巻線ゾーン(21a)の前記受容スペースに直接的に隣接する前記受容スペースを備える、
請求項1~8の一項に記載のステータ。
【請求項10】
- それぞれの経路(15a、15b)の前記第1タイプのグループ(16a-d)および前記第2タイプのグループ(17a-d)は、異なるサブ巻線ゾーン(21a、21b)に配置される、および/または、
- 同一相(U、V、W)の異なる経路(15a、15b)の前記第1タイプのグループ(16a-d)は、異なるサブ巻線ゾーン(21a、21b)に配置される、および/または、同一相(U、V、W)の異なる経路(15a、15b)の前記第2タイプのグループ(17a-d)は、異なるサブ巻線ゾーン(21a、21b)に配置される、
請求項9に記載のステータ。
【請求項11】
それぞれの経路(15a、15b)の前記成形導体(4、22a-d、24a-d)は、第1タイプのコネクタ(8、8a、8b)および第2タイプのコネクタ(10)により、前記直列回路に関して交互に接続され、
それぞれの経路の、前記直列回路に関して外側の成形導体(4、22a、24d)は、前記第2タイプのコネクタ(10)により、前記直列回路に関して次の前記成形導体(22b、24c)に接続される、
請求項1~10の一項に記載のステータ。
【請求項12】
-前記第1タイプのコネクタ(8、8a、8b)は、それらにより接続した前記成形導体(4、22a-d、24a-d)と一体的に形成されるとともに、前記ステータコア(2)から前記第1端部側(7)において延び出る、および/または、
-前記第2タイプのコネクタ(10)は、前記第2タイプのコネクタ(10)により接続した前記成形導体(4、22a-d、24a-d)に前記第2端部側(9)において前記ステータコア(2)から延び出る態様で隣接する2つの接続要素(11a、11b)
を備え、
前記2つの接続要素(11a、11b)は、一体的に接合した態様で互いに電気伝導的に接続する、
請求項11に記載のステータ。
【請求項13】
それぞれの経路(15a、15b)の、前記直列回路に関して外側の前記成形導体(4、22a)であって前記第1タイプのグループ(16a)に属する前記成形導体(4、22a)は、同一の巻線ゾーン(20、23a)に配置され、
前記経路(15a、15b)の、前記直列回路に関して外側の前記成形導体(4、24d)であって前記第2タイプのグループ(17d)に属する前記成形導体(4、24d)は、同一の巻線ゾーン(20、25p)に配置され、
これらの前記巻線ゾーン(20、23a、25p)は隣り合っている、
請求項1~12の一項に記載のステータ。
【請求項14】
前記ステータは、接続装置(12)をさらに備え、
-前記接続装置(12)は、それぞれの相(U、V、W)の前記経路(15a、15b)の、前記直列回路に関して外側の前記成形導体(22a)であって前記第1タイプのグループのうちの1つ(16a)に属する前記成形導体(22a)を接続するとともに、各相(U、V、W)についての相接続部(13)を形成する、および/またはそれぞれの相(U、V、W)のそれぞれの経路(15a、15b)の、前記直列回路に関して外側の前記成形導体(24d)であって前記第2タイプのグループのうちの1つ(17d)に属する前記成形導体(24d)を接続して単数または複数のスターポイント(14)を形成する、または、
-前記接続装置(12)は、それぞれの相(U、V、W)の前記経路(15a、15b)の、前記直列回路に関して外側の前記成形導体(4、24d)であって前記第2タイプのグループのうちの1つ(17d)に属する前記成形導体(4、24d)を接続するとともに、各相(U、V、W)についての相接続部を形成する、および/または、それぞれの相(U、V、W)のそれぞれの経路(15a、15b)の、前記直列回路に関して外側の前記成形導体(4、22a)であって前記第1タイプのグループのうちの1つ(16a)に属する前記成形導体(4、22a)を接続して単数または複数のスターポイント(14)を形成する、
請求項1~13の一項に記載のステータ。
【請求項15】
請求項1~14の一項に記載のステータ(1)と、前記ステータ(1)内に回転可能に装着されたロータ(2)と、を備える、車両(100)を駆動するための電気機械(101)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械用のステータに関する。また、本発明は、車両を駆動するための電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
DE 20 2019 103 297 U1は、駆動モータのステータ巻線配置構造体を有するステータを開示している。ステータ巻線配置構造体には、ヘアピンの形状にあるヘアピンセグメントが配置されている。各々のヘアピンセグメントは、複数のスロットを有するステータコアに挿入される2つの脚部を有している。スロットにおいて、ヘアピンセグメントのステータコアの反対側に配置された脚部は、直列コイル束を有する回路を形成するように曲がって接続している。駆動モータのステータ巻線は、三相からなる。駆動モータのステータ巻線の相の各々は、並列接続した2つ以上の直列コイル束により形成されている。ヘアピンセグメントの脚部は、異なる層に挿入されている。
【0003】
成形導体から形成されたステータ巻線を有するステータは、高度なプロセス信頼性および相の簡単な接続オプションを有する自動製造に特に適しているため、とくに自動車用途において非常に一般的である。ステータ巻線の形成に必要なターン数および所望の経路数の形成、同時に対称性、小さい巻線オーバーハングの実現、相の簡単な接続オプションを提供するといった要件に適合することが課題である。電気機械の運転中に、ステータ巻線における高調波および抵抗損失を小さくしつつ高品質な回転磁界を得ることも望まれている。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明は、電気機械用のステータを操作する改良された方法を特定するという目的に基づく。
【0005】
この目的を達成するために、本発明は、個数Nが3以上である相と、個数Pが2以上である極対と、qが2以上の1極および1相毎の多数のスロットと、周方向に形成された複数のスロットを有するステータコアと、前記スロットにおいて径方向に積層した態様で第1~第4層に配置される複数の成形導体であって、前記第1~第4層は、径方向にこの順で指定される、成形導体と、を備える電気機械用のステータにおいて、前記周方向の第1向きと、前記第1向きとは反対の第2向きと、が規定され、前記成形導体は、各相について、直列または並列に互いに接続可能である少なくとも2つの経路を形成するとともに、2×P個の巻線ゾーンに配置され、前記巻線ゾーンは、4つの前記層各々に亘って径方向に、かつ少なくともq+1個の直接的に隣り合うスロットに亘って周方向に延び、各経路の前記成形導体は直列回路において接続し、前記直列回路は、前記ステータコアの第1端部側および前記ステータコアの前記第1端部側とは反対の第2端部側に配置されるコネクタにより実現され、各経路は、直列接続した成形導体の第1タイプのグループと、直列接続した成形導体の第2タイプのグループと、を有し、前記第1タイプのグループの成形導体は、前記巻線ゾーンに亘って、前記周方向に、最初に前記第1および第4層に、次いで前記第2および第3層に交互に配置され、前記第2タイプのグループの成形導体は、前記第1タイプのグループの前記成形導体が前記第1および第4層に配置される巻線ゾーンにおいて、前記第2および前記第3層に配置され、前記第1タイプのグループの前記成形導体が前記第2および前記第3層に配置される巻線ゾーンにおいて、前記第1および第4層に配置されるステータを提案する。
【0006】
本発明によるステータは、特に、それぞれの相の経路の成形導体が配置される巻線ゾーンが、少なくとも3つの直接的に隣り合うスロットおよび4つの層に亘って延びることで、周方向における磁気回転場の空間的ずれが、軸方向に沿って生成され得る点で特徴的である。このようにして、正確にq個のスロットに亘って各々延びる巻線ゾーンを有するステータに比較して、効率、トルクリップルの発生、騒音および振動の発生が顕著に低減され得る。本発明によるステータにおいて、第1タイプのグループの成形導体がそれぞれの巻線ゾーンに周方向において内層および外層に交互に配置されるとともに、第2タイプのグループの成形導体がこれに対応して空いた層に配置されるという事実により、コネクタは、第1端部側において鱗状に重なって配置される結果、端部側における設置スペースが効率的に利用されるため、小さな巻線オーバーハングが実現する。
【0007】
1極および1相毎のスロットの個数qとは、ステータの1極および1相毎のスロットの個数である。好ましくは、qは6以下であり、好適にはqは4以下であり、特に好適にはqは3以下である。本発明によるステータの場合、Nは12以下であり得る。好適には、Nは9以下であり得る。特に好適には、Nは6以下であり得る。Pが20以下、好適にはPが16以下、特に好適にはPが12以下であることが想定され得る。スロットの個数は、好適には200未満であり、特に好適には120未満である。スロットの個数は、正確に2×P×N×qであり得る。各巻線ゾーンは、好適にはステータの1つの極を実現する。
【0008】
他の相の正確に1つの巻線ゾーンは、それぞれの場合において、相の隣り合う巻線ゾーンの各対の間に適切に位置する。換言すれば、相の隣り合う巻線ゾーンの各対は、q×(N-1)個のスロット分だけ間隔を置いている。
【0009】
好適な改良例において、各スロットに正確に4つの成形導体が受容される、および/または、Nが正確に3である、および/または、Pが正確に4である、および/または、qが正確に2であることが想定される。第1層は、好適には、径方向最外層である、および/または、第4層は、好適には、径方向最内層である。
【0010】
成形導体は、ロッド状の導体であり得るとともに、特に銅から構成され得る。成形導体は、典型的には非可撓性である。4つの層および/またはスロット全体における4つの成形導体は、好適にはスロットの断面積の少なくとも60%、好適には少なくとも80%を占める。成形導体は、好適には、場合より丸みを帯びた矩形の断面を有する。各成形導体は、軸方向においてスロットのうちの1つを完全に通過して延び得る。
【0011】
「経路」は、コネクタにより実現される成形導体の直列回路を意味すると理解されることが意図されている。この直列回路は、「電流経路」とも称され得る。各経路は、好適には、P個の直列接続した第1タイプのグループ、および/または、P個の直列接続した第2タイプのグループを備える。したがって、ステータコアの周囲に周方向における完全な周回が、第1タイプのグループまたは第2タイプのグループにより形成され得る。それぞれの経路の第1タイプのグループおよび第2タイプのグループの成形導体は、好適には、相の各巻線ゾーンを少なくとも1回占める。
【0012】
ステータコアは、恒久的に接続した多数の個々の積層体であって互いに積層された積層体により形成され得る。特に、ステータコアは、積層コアを形成する。各スロットは、好適には、中心軸に対して平行に延びる。中心軸に沿って、ステータコアに囲まれたロータ用の受容スペースが延びる。第1向きは、好適には、第1端部側から見て時計回り方向に相当する。
【0013】
本発明によるステータの有利な展開例において、前記第1タイプのそれぞれのグループの前記成形導体は、前記直列回路に関して外側の第1成形導体と、前記直列回路に関して前記第1成形導体に直接的に接続する第2成形導体と、前記直列回路に関して前記第2成形導体に直接的に接続する第3成形導体と、前記直列回路に関して前記第3成形導体に直接的に接続する第4成形導体と、であり、前記第1タイプのグループの前記第1成形導体は、前記第1タイプのグループについての第1巻線ゾーンの前記第1層に配置され、前記第1タイプのグループの前記第2成形導体は、前記第1タイプのグループについて、前記第1タイプのグループについての前記第1巻線ゾーンに前記第1向きに隣り合う第2巻線ゾーンの前記第2層に配置され、前記第1タイプのグループの前記第3成形導体は、前記第1タイプのグループについての前記第1巻線ゾーンの前記第4層に配置され、前記第1タイプのグループの前記第4成形導体は、前記第1タイプのグループについての前記第2巻線ゾーンの前記第3層に配置されることが想定され得る。換言すれば、第1タイプのそれぞれのグループの成形導体、およびそれらを接続するコネクタは、導体ループを形成する。
【0014】
前記直列回路に関して前記第1タイプの別のグループの前記第4成形導体に直接的に接続するこのような前記第1タイプのグループについての前記第1巻線ゾーンは、前記第1タイプの前記別のグループについての前記第2巻線ゾーンに、前記第1向きに隣接する。したがって、第1タイプのグループは、ステータの周囲に第1向きに延びる。この結果、各場合において1つの巻線ゾーンによる直列回路に関して第1タイプのグループから次の第1タイプのグループへの第1向きに沿った巻線進行が実現される。
【0015】
さらに、本発明によるステータの有利な展開例において、前記第2タイプのそれぞれのグループの前記成形導体は、前記直列回路に関して外側の第1成形導体と、前記直列回路に関して前記第1成形導体に直接的に接続する第2成形導体と、前記直列回路に関して前記第2成形導体に直接的に接続する第3成形導体と、前記直列回路に関して前記第3成形導体に直接的に接続する第4成形導体と、であり、前記第2タイプのグループの前記第1成形導体は、前記第2タイプのグループについての第1巻線ゾーンの前記第2層配置され、前記第2タイプのグループの前記第2成形導体は、前記第2タイプのグループについて、前記第2タイプのグループについての前記第1巻線ゾーに前記第2向きに隣り合う第2巻線ゾーンの前記第1層に配置され、前記第2タイプのグループの前記第3成形導体は、前記第2タイプのグループについて、前記第2タイプのグループについての前記第2巻線ゾーンに前記第2向きに隣り合う第3巻線ゾーンの前記第3層に配置され、前記第2タイプのグループの前記第4成形導体は、前記第2タイプのグループについて、前記第2タイプのグループについての前記第3巻線ゾーンに前記第2向きに隣り合う第4巻線ゾーンの前記第4層に配置されことが想定され得る。
【0016】
前記直列回路に関して前記第2タイプの別のグループの前記第4成形導体に直接的に接続するこのような前記第2タイプのグループの前記第1成形導体は、前記第2タイプの前記別のグループについての前記第3巻線ゾーンに配置される。したがって、第1タイプのグループは、ステータの周囲に第2向きに延びる。組み合わされた第2タイプのグループは、波状巻線およびハーフループを形成する。
【0017】
好適には、前記第2タイプのグループの、前記直列回路に関して外側の前記成形導体であって、前記直列回路に関して前記第1タイプのグループの、前記直列回路に関して外側の前記成形導体に直接的に接続する前記成形導体は、前記第1タイプのグループの前記外側成形導体が位置する前記巻線ゾーンに前記第1向きに隣り合う巻線ゾーンに配置されることが想定される。ここで、第1タイプのグループおよび第2タイプのグループの互いに接続した成形導体は、1つの層分のオフセットを単に実現するコネクタにより接続し得る。特に、このようにして第1タイプのグループとは反対方向の巻線進行が達成され得る。
【0018】
本発明によるステータの有利な第1実施形態によれば、各巻線ゾーンは、正確にq+2個のスロットに亘って延びることが想定される。これにより、それぞれの巻線ゾーン内に少なくとも2つ、好適には正確に2つのオフセットを有する千鳥状のステータが形成され得る。
【0019】
本例において、それぞれの巻線ゾーンの前記第2および第3層は、同一のスロットに位置し、前記巻線ゾーンの前記第1層は、前記周方向の前記第2向きにスロットの1つ分だけ前記第2および第3層に対してオフセットし、前記第4層は、前記第1向きにスロットの1つ分だけ前記第2および第3層に対してオフセットすると好適である。これにより、優れたスロットスルーフローを有するステータの千鳥状態が特に有利に形成される。この場合、非千鳥状ステータに比較して、成形導体およびコネクタを形成するための実質的に等しい材料要件、すなわち、正確にq個のスロットに亘って延びる巻線ゾーンを有するこのようなステータが同時に必要とされる。また、第1および第2タイプのグループの上述の構成の例において、それぞれの経路の外側成形導体が互いに接近して移動するため、コンパクトな接続ウィンドウも実現され得る。
【0020】
代替例として、第1実施形態の例において、前記巻線ゾーンの前記第1層は、前記周方向の前記第1向きにスロットの1つ分だけ前記第2および第3層に対してオフセットし、前記第4層は、前記第2向きにスロットの1つ分だけ前記第2および第3層に対してオフセットすることも可能である。
【0021】
本発明によるステータの有利な第2実施形態によれば、各巻線ゾーンは、正確にq+1個のスロットに亘って延びる。これにより、それぞれの巻線ゾーンにおいて少なくとも1つ、好適には正確に1つのオフセットを有する千鳥状のステータが形成され得る。
【0022】
ここで、それぞれの巻線ゾーンの前記第1~第3層は、同一のスロットに位置し、前記巻線ゾーンの前記第4層は、前記第1向きにスロットの1つ分だけ前記第1~第3層に対してオフセットすると好適である。この結果、特に第1および第2タイプのグループの上述の構成の例において、1つのスロット分だけ短くした2つのコネクタを周方向において使用できるため、非千鳥状ステータに関して材料要件が削減されることにより、抵抗損失が低減される。こうして、電気機械の効率が向上する。
【0023】
代替例として、前記巻線ゾーンの前記第4層は、前記第2向きにスロットの1つ分だけ前記第1~第3層に対してオフセットし得る。
【0024】
第2実施形態において、代替的に、それぞれの巻線ゾーンの前記第2~第4層は、同一のスロットに位置し、前記巻線ゾーンの前記第1層は、前記第2向きにスロットの1つ分だけ前記第2~第4層に対してオフセットすることが想定され得る。特に第1および第2タイプのグループの上述の構成の例において、非千鳥状ステータに比較して1つのスロット分だけ周方向に沿って短くした3つのコネクタがここで使用され得る結果、上述のように材料要件が同様に削減され得る。
【0025】
代替例として、前記巻線ゾーンの前記第1層は、前記第1向きにスロットの1つ分だけ前記第2~第4層に対してオフセットし得る。
【0026】
本発明によるステータの好適な展開例において、各巻線ゾーンは、前記成形導体のうちの1つについて各々の場合において4×q個の連続する(つながった)受容スペースを提供するとともに、第1サブ巻線ゾーンから第q番目までのサブ巻線ゾーンを備え、前記サブ巻線ゾーンは、4つの前記層に亘って各々延び、前記第1サブ巻線ゾーンは、前記第1向きから見て、それぞれの層の前記第1受容スペースを備え、前記第2サブ巻線ゾーンは、前記第1サブ巻線ゾーンの前記受容スペースに直接的に隣接する前記受容スペースを備えることが想定される。したがって、サブ巻線ゾーンは、それぞれの巻線ゾーンを細分化したものである。本例において、各サブ巻線ゾーンは、巻線ゾーンが延びるスロットの個数と同数のスロットに亘って延び、1極および1相毎のスロットの個数qとは異なる。各サブ巻線ゾーンは、1層毎に正確に1つの受容スペースを備える。
【0027】
さらに好ましくは、それぞれの経路の前記第1タイプのグループおよび前記第2タイプのグループは、異なるサブ巻線ゾーンに配置される。さらに、第1タイプのグループの成形導体は、巻線ゾーンの第1~第q番目の巻線ゾーンのうちの同一のものに位置し得るとともに、第2タイプのグループの成形導体は、第1~第q番目のサブ巻線ゾーンのうちの同一のものに位置し得る。代替的または追加的に、同一相の異なる経路の前記第1タイプのグループは、異なるサブ巻線ゾーンに配置される、および/または、同一相の異なる経路の前記第2タイプのグループは、異なるサブ巻線ゾーンに配置されることが想定され得る。したがって、それぞれの経路の成形導体は、他の経路の成形導体が占めないこれらの受容スペースを占めることができる。
【0028】
本発明によるステータの場合、好適には、それぞれの経路の前記成形導体は、第1タイプのコネクタおよび第2タイプのコネクタにより、前記直列回路に関して交互に接続されることが想定される。本例において、それぞれの経路の、前記直列回路に関して外側の成形導体は、前記第2タイプのコネクタにより、前記直列回路に関して次の前記成形導体に接続される。特にこのため、外側成形導体は、第1タイプのコネクタが位置する端部側に接触し得る、または接続し得る。
【0029】
本例において、前記第1タイプのコネクタは、それらにより接続した前記成形導体と一体的に形成され得るとともに、前記ステータコアから前記第1端部側において延び出し得る。第1タイプのコネクタ、およびそれらにより接続した成形導体は、好適には電気伝導性を有するロッドから形成される。第1タイプのコネクタは、特にロッドを曲げ加工することにより形成される。
【0030】
代替的または追加的に、前記第2タイプのコネクタは、前記第2タイプのコネクタにより接続した前記成形導体に前記第2端部側において前記ステータコアから延び出る態様で隣接する2つの接続要素であって、特に一体的に接合した態様で互いに電気伝導的に接続する接続要素を備えることが想定され得る。成形導体、およびそれらに隣接する接続要素も、電気伝導性を有するロッドから形成され得る。接続要素は、特に、ロッドをステータコアへ挿入した後に曲げ加工することにより形成される。
【0031】
したがって、それぞれの第1コネクタ、それと接続要素とにより接続した成形導体、および2つの第2コネクタのうちの成形導体に隣接する接続要素は、ヘアピン導体またはUピンとも称され得る一体型の導体セグメントを形成し得る。
【0032】
第1タイプのそれぞれのグループの第1および第2成形導体、および/または第2タイプのそれぞれのグループの第1および第2成形導体は、好適には、第2タイプのコネクタにより接続する。第1タイプのそれぞれのグループの第2および第3成形導体、および/または第2タイプのそれぞれのグループの第2および第3成形導体は、好適には、第1タイプのコネクタにより接続する。第1タイプのそれぞれのグループの第3および第4成形導体、および/または第2タイプのそれぞれのグループの第3および第4成形導体は、好適には、第2タイプのコネクタにより接続する。2つの第1グループの直列回路に関して外側の成形導体は、好適には、第1タイプのコネクタにより接続する。2つの第2グループの直列回路に関して外側の成形導体は、好適には、第1タイプのコネクタにより接続する。それぞれの経路の第1タイプのグループの直列回路に関して外側の成形導体と、それぞれの経路の第2タイプのグループの直列回路に関して外側の成形導体とは、好適には、第1タイプのコネクタにより接続する。
【0033】
同一相の異なる経路の同一巻線ゾーンに配置された成形導体を接続し、一方の経路のうちの同一グループの成形導体を各々接続する第1コネクタは、好適には、互いに鱗状に重なる態様で配置される。こうして、それらは、U&U鱗状重なりトポロジーとして知られるものを形成する。
【0034】
第1タイプのグループの、同一巻線ゾーンに配置された成形導体を、第2タイプのグループのものに接続するとともに同一相の異なる相に属する第1コネクタは、好適には、軸方向において一方が他方に配置される。こうして、それらは、U内Uトポロジーとして知られるものを形成する。この結果、巻線のオーバーハングをさらに小さくすることができる。
【0035】
本発明によるステータの場合、それぞれの経路の、前記直列回路に関して外側の前記成形導体であって前記第1タイプのグループに属する前記成形導体は、同一の巻線ゾーンに配置され、前記経路の、前記直列回路に関して外側の前記成形導体であって前記第2タイプのグループに属する前記成形導体は、同一の巻線ゾーンに配置され、これらの前記巻線ゾーンは隣接するとさらに好適である。したがって、外側成形導体を接触させるための接続部を互いの近くに形成することができる結果、特にコンパクトな接続ウィンドウが実現される。
【0036】
本発明によるステータの有利な展開例において、ステータは、接続装置をさらに備え、前記接続装置は、それぞれの相の前記経路の、前記直列回路に関して外側の前記成形導体であって前記第1タイプのグループのうちの1つに属する前記成形導体を接続するとともに、各相についての相接続部を形成する、および/またはそれぞれの相のそれぞれの経路の、前記直列回路に関して外側の前記成形導体であって前記第2タイプのグループのうちの1つに属する前記成形導体を接続して単数または複数のスターポイントを形成する。代替例として、本発明によるステータは、接続装置をさらに備え、前記接続装置は、それぞれの相の前記経路の、前記直列回路に関して外側の前記成形導体であって前記第2タイプのグループのうちの1つに属する前記成形導体を接続するとともに、各相についての相接続部を形成する、および/または、それぞれの相のそれぞれの経路の、前記直列回路に関して外側の前記成形導体であって前記第1タイプのグループのうちの1つに属する前記成形導体を接続して単数または複数のスターポイントを形成する。ステータは、磁気回転場を形成するように、このような接続装置により電力を供給され得る。
【0037】
第2タイプのコネクタの第1端部側における連結要素および第2端部側における接続要素は、好適には、それぞれの経路の、直列回路に関して外側の成形導体であって第1タイプのグループに属する成形導体、およびそれぞれの経路の、直列回路に関して外側の成形導体であって第2タイプのグループに属する成形導体に隣接する。このような配置は、Iピンとも称され得る。連結要素は、好適には、第1タイプのコネクタよりも軸方向において遠くに延びる。連結要素には、好適には接続装置が接触する。
【0038】
本発明が基づく目的は、先行する請求項の一項によるステータと、前記ステータ内に回転可能に装着されたロータと、を備える、車両を駆動するための電気機械によりさらに達成される。電気機械は、好適には、電気モータである。電気機械は、例えば、恒久励磁型同期機または恒久励磁型同期モータ、あるいは非同期機/誘導機または非同期モータであり得る。
【0039】
本発明のさらなる利点および詳細は、以下に記載の例示的実施形態から、そして図面に基づいて得られ得る。図面は、概略的なものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図2】
図2は、本発明によるステータの第1の例示的実施形態のステータ巻線のブロック回路図を示す。
【
図3】
図3は、第1の例示的な実施形態による巻線図を示す。
【
図4】
図4は、第1の例示的実施形態による複数の導体セグメントの基本図を示す。
【
図5】
図5は、本発明によるステータの第2の例示的実施形態による巻線図を示す。
【
図6】
図6は、本発明によるステータの第3の例示的実施形態による巻線図を示す。
【
図7】
図7は、本発明による電気機械の例示的な実施形態を有する車両の基本図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
【0042】
ステータ1は、周方向に形成された多数のスロット3を有するステータコア2を有している。また、ステータ1は、スロット3において積層した態様で配置された多数の成形導体4を有している。成形導体4は、軸方向において、すなわち、ロータ用の受容スペース5を貫通する中央軸6に対して平行に、スロット3を完全に通過している。
【0043】
ステータ1の第1端部側7において、成形導体4は、第1タイプのコネクタ8により対をなして接続している。第1タイプのコネクタ8は、ここでは、成形導体4の対と一体的に形成されるとともに、180°に亘る曲げ加工を実施している。ステータ1の第2端部側9において、成形導体4は、第2タイプのコネクタ10により対をなして接続している。第2タイプのコネクタ10は、2つの曲がった接続要素11a、11bを備えている。接続要素11a、11bは、一体的に接続した成形導体4に隣接するとともに、互いに接続している。ここで、接続は、特に溶接により一体的に接合される態様においてなされる。成形導体4およびコネクタ8、10は、ステータ1のステータ巻線を形成している。
【0044】
図1は、ステータ巻線の、相接続部13およびスターポイント14、または複数のスターポイントを形成する接続装置12をさらに示す。
【0045】
図2は、ステータ1の第1の例示的実施形態によるステータ巻線のブロック回路図を示す。ステータ1には、
図1に示すステータ1に関してなされた記述が適用され得る。
【0046】
第1の例示的実施形態によるステータ1は、図示の例示的な構成において、N=3である相U、V、Wと、P=4である極対と、を有している。成形導体4は、各相U、V、Wについて、第1経路15aおよび第2経路15bを形成している。それぞれの相U、V、Wの経路15a、15bは、接続装置12により並列接続している。それぞれの経路15a、15bの成形導体4は、直列接続している。
【0047】
各経路15a、15bは、P=4である成形導体4の直列接続した第1タイプのグループ16a-dと、P=4である成形導体4の直列接続した第2タイプのグループ17a-dと、を備えている。連続的に直列接続した第1タイプのグループ16a-dは、連続的に直列接続した第2タイプのグループ17a-dに直列接続している。接続装置12によって、経路15a、15bの第1タイプのグループ16aは相接続部13に接続し、経路15a、15bの第2タイプのグループ17dはスターポイント14に接続している。代替的な例示的実施形態によれば、接続装置12は、2つのスターポイント14も形成し得る。第1スターポイント14は、相U、V、Wの第1経路15aの第2タイプのグループ17dに接続し、第2スターポイント14は、相U、V、Wの第2経路15bの第2タイプのグループ17dに接続する。
【0048】
図3は、第1の例示的実施形態によるステータ巻線の巻線図を示す。
【0049】
ステータ1は、q=2の1極および1相毎のスロットを有している。本例において、スロット3の合計数は、2×P×N×q=48個となる。したがって、1極および1相毎のスロット数qは、2×Pである極数とNである相数との積に対するスロット3の個数の割合を表す。
【0050】
ここで、成形導体4は、第1層18a、第2層18b、第3層18c、および第4層18dに配置されている。層18a-dは、径方向外側から径方向内側へのそれらの順序に従って指定されている。したがって、4つの層18a-dのうち、第1層18aは径方向最外層であり、第4層18dは径方向最内層である。正確に1つの成形導体4が、それぞれのスロット3の各層18a-18dに配置されている。換言すれば、それぞれのスロット3の各層18a-dは、正確に1つの成形導体4のための受容スペースを形成する。これにより、ステータ1の受容スペースまたは成形導体4の総数は、2×P×N×q×L=192個となる。Lは、層18a-dの個数を表す。
【0051】
図3は、上側の表の上方に配置された2つの矢印を使用して、周方向の第1向き19aおよび第2向き19bを示す。第1向き19aは、ステータ1の第1端部側7から見て時計回り方向に相当し、第2向き19bは、ステータ1の第1端部側7から見て反時計回り方向に相当する(
図1も参照のこと)。さらに、
図3は、上側の表の下方に1~48までのスロット番号を示す。
図3の上側の表は、それぞれの受容スペースに配置された成形導体4がどの相U、V、Wに属するかを示す。「+」または「-」の付加は、当該成形導体4を流れる電流の流れ方向を示す。各相U、V、Wの成形導体が2×P=8個の巻線ゾーン20に配置され、各巻線ゾーン20がq×L=8個の受容スペースを備えることが明白である。
【0052】
本例示的実施形態において、各巻線ゾーン20は、4つの層18a-dに亘って径方向に、かつ正確にq+2=4個の直接的に隣り合うスロット3に亘って周方向に延びている。巻線ゾーン20は、第1サブ巻線ゾーン21aおよび第2サブ巻線ゾーン21bにさらに分割され、各々はすべての4つの層18a-dに亘って延びている。ここで、第1サブ巻線ゾーン21aは、第1向き19aから見て、巻線ゾーン20の第1受容スペースを備え、第2サブ巻線ゾーン21bは、第1サブ巻線ゾーン21aの受容スペースに直接的に隣接する受容スペースを備えている。
【0053】
スロット番号の下方において、
図3は、巻線ゾーン20において、相Uの成形導体4が占める受容スペースを、第1経路15aおよび第2経路15bについて分けて示している。ここで、第1タイプのグループ16a-dの成形導体4は、それらそれぞれの受容スペースにおいて「o」で特定され、第2タイプのグループ17a-dの成形導体4は、それらそれぞれの受容スペースにおいて「x」で特定されている。2つの異なる受容スペース内の2つの成形導体4を接続する第1タイプのコネクタ8は、2つの受容スペース間において点線の矢印で特定される。2つの異なる受容スペース内の2つの成形導体4を接続する第2タイプのコネクタ10は、2つの受容スペース間において実線の矢印で特定される。ここで、相Uについての成形導体4およびコネクタ8、10の説明図は、スロット3が周方向においてq=2つだけずれることを除いて、成形導体4およびコネクタ8、10の配置が相Uのものに対応する他の相V、Wを代表するものである。
【0054】
巻線ゾーン20のそれぞれの層18a-dにおける第1タイプのグループ16a-dおよび第2タイプのグループ17a-dの成形導体4の配置は、以下のように構成される。第1タイプのグループ16a-dの「o」で特定される成形導体4は、巻線ゾーン20に亘って、周方向において、まず第1層18aおよび第4層18dに交互に、次に第2層18bおよび第3層18cに交互に配置される。第2タイプのグループ17a-dの「x」で特定される成形導体4は、第1タイプのグループ16a-dの成形導体4が第1層18aおよび第4層18dに配置された巻線ゾーン20において、第2層18bおよび第3層18cに、そして、第1タイプのグループ16a-dの成形導体4が第2層18bおよび第3層18cに配置された巻線ゾーン20において、第1層18aおよび第4層18dに配置される。すなわち、第1タイプのグループ16a-dの成形導体4、または第2タイプのグループ17a-dの成形導体4のいずれかのみが、それぞれの巻線ゾーン20の第1層18aおよび第4層18dに配置され、対応する他のグループ17a―dまたは16a―dの成形導体4のみが、それぞれの巻線ゾーン20の第2層18bおよび第3層18cに配置される。
【0055】
第1経路15aにおいて、第1タイプのグループ16a-dの成形導体4は、常に第2サブ巻線ゾーン21bに配置され、第2タイプのグループ17a-dの成形導体4は、常に第1サブ巻線ゾーン21aに配置される。第2経路15bにおいて、第1タイプのグループ16a-dの成形導体4は、常に第1サブ巻線ゾーン21aに配置され、第2タイプのグループ17a-dの成形導体4は、常に第2サブ巻線ゾーン21bに配置される。
【0056】
経路15a、15bの第1タイプの各グループ16a-dの成形導体4は、それらの指定順に直列接続した第1成形導体22a、第2成形導体22b、第3成形導体22c、および第4成形導体22dである。第1タイプのそれぞれのグループ16a-dにおいて、第1成形導体22aは、第1タイプのそれぞれのグループ16a-dについての第1巻線ゾーン23aの第1層18aに配置され、第2成形導体22bは、第1タイプのそれぞれのグループ16a-dについての第2巻線ゾーン23bの第2層18bに配置される。第1タイプのそれぞれのグループ16a-dについての第2巻線ゾーン23bは、第1タイプのグループ16aについての第1巻線ゾーン23aに、第1向き19aに隣り合う。第3成形導体22cは、第1タイプのそれぞれのグループ16aについての第1巻線ゾーン23aの第4層17dに配置される。第4成形導体22dは、第1タイプのそれぞれのグループ16bについての第2巻線ゾーン23bの第3層18cに配置される。したがって、第1~第4成形導体22a-dは、ジグザグパターンで配置され、ラップ巻線を形成している。
【0057】
第1タイプのグループ16bの第1成形導体22aであって、直列回路に関して第1タイプのグループ16aの第4成形導体22dに直接的に接続している第1成形導体22aは、第1タイプのグループ16bについての第1巻線ゾーン23cに配置される。第1タイプのグループ16bについての第1巻線ゾーン23cは、第1タイプのグループ16aについての第2巻線ゾーン23bに、第1向き19aに隣り合っている。したがって、第2巻線ゾーン23dが、第1タイプのグループ16bについて設けられ、第1巻線ゾーン24dおよび第2巻線ゾーン23eが、第1タイプのグループ16cについて設けられ、第1巻線ゾーン23fおよび第2巻線ゾーン23gが、第1タイプのグループ16dについて設けられる。一般に、このような第1タイプのグループ16b-dの第1成形導体22aであって、直列回路に関して第1タイプの別のグループ16a-cの第4成形導体22dに直接的に接続している第1成形導体22aは、第1タイプの当該別のグループ16a-eについての第2巻線ゾーン23b、23d、23fに第1向き19aに隣り合う第1巻線ゾーン23c、23e、23bに配置される。
【0058】
したがって、第1タイプの第1グループ16aの第1成形導体22aであって相接続部13に接続する第1成形導体22aから始まって、第1タイプのグループ16dの第4成形導体22dに至る、第1タイプのグループ16a-dは、第1向き19aにステータコア2の周囲で完全なる包囲を形成している。
【0059】
経路15a、15bの第2タイプの各グループ17a-dの成形導体4は、それらの指定順に直列接続した第1成形導体24a、第2成形導体24b、第3成形導体24c、および第4成形導体24dである。第2タイプのそれぞれのグループ17a-dにおいて、第1成形導体24aは、第2タイプのそれぞれのグループ17a-dについての第1巻線ゾーン25a、25e、25i、25mの第2層18bに配置され、第2成形導体24bは、第2タイプのそれぞれのグループ17a-dについての第2巻線ゾーン25b、25f、25j、25nに配置される。第2タイプのそれぞれのグループ17a-dについての第2巻線ゾーン25b、25f、25j、25nは、第2タイプのそれぞれのグループ17a-dについての第1巻線ゾーン25a、25e、25i、25mに、第2向き19bに隣り合っている。第3成形導体24cは、第2タイプのそれぞれのグループ17a-dについての第3巻線ゾーン25c、25g、25k、25oに配置される。第2タイプのそれぞれのグループ17a-dについての第3巻線ゾーン25c、25g、25k、25oは、第2タイプのそれぞれのグループ17a-dについての第2巻線ゾーン25b、25f、25j、25nに、第2向き19bに隣り合っている。第4成形導体24dは、第2タイプのそれぞれのグループ17a-dについての第4巻線ゾーン25d、25h、25l、25pに配置される。第2タイプのそれぞれのグループ17a-dについての第4巻線ゾーン25d、25h、25l、25pは、第2タイプのそれぞれのグループ17a-dについての第3巻線ゾーン25c、25g、25k、25oに、第2向き19bに隣り合っている。
【0060】
第2タイプの第2グループ17bの第1成形導体24aであって、直列回路に関して第2タイプの第1グループ17aの第4成形導体24dに直接的に接続する第1成形導体24aは、第2タイプの第2グループ17bについての第1巻線ゾーン52eに配置される。したがって、第2タイプの第2グループ17bについての第1巻線ゾーン25eは、第2タイプの第1グループ17a等についての第3巻線ゾーン25cと同一の巻線ゾーン20である。一般に、このような第2タイプのグループ17b-dの第1成形導体24aであって、直列回路に関して第2タイプの別のグループ17a-cの第4成形導体24dに直接的に接続する第1成形導体24aは、第2タイプの当該別のグループ17a-cについての第3巻線ゾーン25c、25g、25kに配置される。
【0061】
したがって、第2タイプの各グループ17a-dは、第2向き19bにおいて進む巻線であってハーフループを有する巻線を形成する。第2タイプの第4グループ17dの第4成形導体24dは、スターポイント14に接続する。
【0062】
全体として、両経路15a、15bについてのそれぞれの相U、V、Wにおいて、
-第1タイプの第1グループ16aの第1巻線ゾーン23aと、第2タイプの第1グループ17aの第1巻線ゾーン25aと、第2タイプの第4グループ17dの第3巻線ゾーン25oとは、同一であり、
-第1タイプの第1グループ16aの第2巻線ゾーン23bと、第2タイプの第3グループ17cの第4巻線ゾーン25lと、第2タイプの第3グループ17cの第4巻線ゾーン25lと、第2タイプの第4グループ17dの第2巻線ゾーン25nとは、同一であり、
-第1タイプの第2グループ16bの第1巻線ゾーン23cと、第2タイプの第3グループ17cの第3巻線ゾーン25kと、第2タイプの第4グループ17dの第1巻線ゾーン25mとは、同一であり、
-第1タイプの第2グループ16bの第2巻線ゾーン23dと、第2タイプの第2グループ17bの第4巻線ゾーン25hと、第2タイプの第3グループ17cの第2巻線ゾーン25jとは、同一であり、
-第1タイプの第3グループ16cの第1巻線ゾーン23eと、第2タイプの第2グループ17bの第3巻線ゾーン25gと、第2タイプの第3グループ17cの第1巻線ゾーン25iとは、同一であり、
-第1タイプの第3グループ16cの第2巻線ゾーン23fと、第2タイプの第1グループ17aの第4巻線ゾーン25dと、第2タイプの第2グループ17bの第2巻線ゾーン25fとは、同一であり、
-第1タイプの第4グループ16dの第1巻線ゾーン23gと、第2タイプの第1グループ17aの第3巻線ゾーン25cと、第2タイプの第2グループ17bの第1巻線ゾーン25eとは、同一であり、
-第1タイプの第4グループ16dの第2巻線ゾーン23hと、第2タイプの第1グループ17aの第2巻線ゾーン25bと、第2タイプの第4グループ17dの第4巻線ゾーン25pとは、同一である。
【0063】
それぞれの経路15a、15bにおいて第1タイプのグループ16a-dを第2タイプのグループ17a-dに接続するために、第2タイプのグループ17a-dの、直列回路に関して外側の成形導体24a、すなわち、巻線ゾーン25aにおける第2タイプの第1グループ17aの第1成形導体24aを、第1タイプのグループ16a-dの、直列回路に関して外側の成形導体22d、すなわち、巻線ゾーン23hにおける第1タイプの第4グループ16dの第4成形導体22dに接続する。巻線ゾーン25aは、巻線ゾーン23hに第1向き19aに隣り合っている。
【0064】
さらに
図3から分かるように、各巻線ゾーン20は、正確にq+2=4個のスロット3に亘って延びている。ここで、第1層18aは、第2および第3層18b、18cに対して第2向き19bにスロット3の1つ分だけオフセットしており、第4層18dは、第2および第3層18b、18cに対してスロット3の1つ分だけ第1向き19aにオフセットしている。
【0065】
このような構成により、第1タイプのそれぞれのグループ16a-dの第2成形導体22bと第3成形導体22cとを接続する第1タイプのコネクタ8、第1タイプのグループ16a-cの第4成形導体22dと直列回路に関して後続の第1タイプのグループ16b-dの第1成形導体22aとを接続する第1タイプのコネクタ8、第2タイプのそれぞれのグループ17a-dの第2成形導体24bと第3成形導体24cとを接続する第1タイプのコネクタ8、及び第2タイプのグループ17a-cの第4成形導体24dと直列回路に関して後続の第2タイプのグループ17b-dの第1成形導体24aとを接続する第1タイプのコネクタ8は、両経路15a、15bにおいて、スロット3の5つ分のオフセットを各々実現している。
【0066】
さらに、第1タイプのそれぞれのグループ16a-dの第1成形導体22aと第2成形導体22bとを接続する第2タイプのコネクタ10、及び第2タイプのそれぞれのグループ17a-dの第1成形導体24aと第2成形導体24bとを接続する第2タイプのコネクタ10は、両経路15a、15bにおいて、スロット3の7つ分のオフセットを各々実現している。第1タイプのそれぞれのグループ16a-dの第3成形導体22cと第4成形導体22dとを接続する第2タイプのコネクタ10、及び第2タイプのそれぞれのグループ17a-dの第3成形導体24cと第4成形導体24dとを接続する第2タイプのコネクタ10は、スロット3の5つ分のオフセットを各々実現している。
【0067】
第1タイプの第4グループ16dおよび第2タイプの第1グループ17aの、直列回路に関して外側の成形導体22d、24aを接続するために、第1タイプの異なるコネクタ8(
図3において参照符号8a、8bにより別個に指定)が、経路15a、15bに設けられる。第1タイプのコネクタ8aは、第1経路15aにおいて、スロット5つ分のオフセットを実現する。第1タイプのコネクタ8bは、第2経路15bにおいて、スロット3の7つ分のオフセットを実現している。
【0068】
図4は、第1例示的実施形態による複数の導体セグメント26a-dの基本図である。
【0069】
導体セグメント26a-dは、2つの成形導体4と、第1端部側7において第2成形導体4に隣接してこれらを接続する第1タイプのコネクタ8、8a、8bと、第2端部側9において2つの成形導体4のそれぞれ一方に隣接する2つの接続要素11a、11bと、から形成されている。ここで、導体セグメント26a-dは、一例として一体的に形成されているが、代替的に別個の部品を接合することによっても形成され得る。いずれの場合においても、異なる導体セグメント26a-dの2つの接続要素11a、11bは、第2タイプのコネクタ10を形成する。
【0070】
導体セグメント26aにおいて、接続要素11a、11bは、反対の向き19a、19bに互いに向き合っている。第1タイプのそれぞれのグループ16a-dの接続した第2および第3成形導体22b、22c、および第2タイプの異なるグループ17a-dの接続した第4成形導体24dおよび第1成形導体24aは、導体セグメント26aにより形成される。
【0071】
導体セグメント26bにおいて、導体要素11a、11bは、反対の向き19a、19bに互いから離れる方向を向いている。第1タイプの異なるグループ16a-dの接続した第4成形導体22dおよび第1成形導体22a、および第2タイプのそれぞれのグループ17a-dの接続した第2および第3成形導体24b、24cは、導体セグメント26bにより形成される。
【0072】
導体セグメント26c、26dにおいて、接続要素11a、11bは、同じ向きを有している。ここで、導体セグメント26dの第1タイプのコネクタ8aは、導体セグメント26cの第1タイプのコネクタ8bの内部に軸方向に配置されている。したがって、第1タイプのコネクタ8aは、第1タイプのコネクタ8bよりも軸方向において短い。導体セグメント26cは、第1タイプのグループ16a-dの、直列回路に関して外側の成形導体4であって、第2タイプのグループ17a-dの、直列回路に関して外側の成形導体4に接続する成形導体4、すなわち、ここでは、第2経路15bの、第1タイプの第4グループ16dの第4成形導体22dおよび第2タイプの第1グループ17aの第1成形導体24aを形成する。導体セグメント26dは、第1タイプのグループ16a-dの、直列回路に関して外側の成形導体4であって、第2タイプのグループ17a-dの、直列回路に関して外側の成形導体4に接続する成形導体4、すなわち、ここでは、第1経路15aの、第1タイプの第4グループ16dの第4成形導体22dおよび第2タイプの第1グループ17aの第1成形導体24aを形成する。
【0073】
導体セグメント26eは、成形導体4と、第2端部側9において成形導体4に隣接する接続要素11aと、接続装置12(
図1参照)と接触するための連結要素28と、を備えている。それぞれの経路15a、15bの、直列回路に関して外側の成形導体4、すなわち、ここでは第1タイプの第1グループ16aの第1成形導体22aおよび第2タイプの第4グループ17dの第4成形導体24dは、導体セグメント26eにより形成される。
【0074】
図4は、導体セグメント26a-dを、特に第1タイプのコネクタ10、10a、10bまたは接続要素11a、11bのオフセットを実現させるスロット3の個数を詳細に図示することなく概略的に示す。導体セグメント26a-dは、Uピンまたはヘアピン導体としてもみなされ得る。導体セグメント26eは、Iピンとしてみなされ得る。そして、ステータ巻線全体は、ヘアピン巻線とも称される。
【0075】
代替的な例示的実施形態によれば、第1層18aは、第2および第3層18b、18cに対して第1向き19aにスロット3の1つ分だけオフセットしており、第4層18dは、第2および第3層18b、18cに対してスロット3の1つ分だけ第2向き19bにオフセットしている。オフセットは、第1および第2タイプのコネクタ8、10により実現され、そして対応する態様において変化する。
【0076】
図5は、ステータ1の第2の例示的実施形態による巻線図である。第1の例示的実施形態に関するすべての実施形態は、以下に反対のことが記載されていない限り、第2の例示的実施形態に適用され得る。ここで、同一または機能的に等価な構成要素には、同一の参照符号が付されている。
【0077】
第2の例示的実施形態において、各巻線ゾーン20は、正確にq+1=4個のスロット3に亘って延びている。ここで、第1層18aは、第2~第4層18b-dに対して第2向き19bにスロット3の1つ分だけオフセットしている。
【0078】
このような構成により、第1タイプのそれぞれのグループ16a-dの第2成形導体22bと第3成形導体22cとを接続する第1タイプのコネクタ8、及び第2タイプのグループ17a-cの第4成形導体24dと直列回路に関して後続の第2タイプのグループ17b-dの第1成形導体24aとを接続する第1タイプのコネクタ8は、両経路15a、15bにおいて、スロット3の6つ分のオフセットを各々実現している。第1タイプのグループ16a-cの第4成形導体22dと直列回路に関して後続の第1タイプのグループ16b-dの第1成形導体22aとを接続する第1タイプのコネクタ8、及び第2タイプのそれぞれのグループ17a-dの第2成形導体24bと第3成形導体24cとを接続する第1タイプのコネクタ8は、スロット3の5つ分のオフセットを各々実現している。
【0079】
さらに、第1タイプのそれぞれのグループ16a-dの第1成形導体22aと第2成形導体22bとを接続する第2タイプのコネクタ10、及び第2タイプのそれぞれのグループ17a-dの第1成形導体24aと第2成形導体24bとを接続する第2タイプのコネクタ10は、両経路15a、15bにおいて、スロット3の7つ分のオフセットを各々実現している。第1タイプのグループ16a-dの第3成形導体22cと第4成形導体22dとを接続する第2タイプのコネクタ10、及び第2タイプのそれぞれのグループ17a-dの第3成形導体24cと第4成形導体24dとを接続する第2タイプのコネクタ10は、スロット3の6つ分のオフセットを各々実現している。
【0080】
代替的な例示的実施形態によれば、第1層18aは、第2~第4層18b-dに対してスロット3の1つ分だけ第1向き19aにオフセットしている。オフセットは、第1および第2タイプのコネクタ8、10により実現され、そして対応する態様において変化する。
【0081】
図6は、ステータ1の第3の例示的実施形態による巻線図である。第2の例示的実施形態に関するすべての実施形態は、以下に反対のことが記載されていない限り、第3の例示的実施形態に適用され得る。ここで、同一または機能的に等価な構成要素には、同一の参照符号が付されている。
【0082】
第3の例示的実施形態において、第4層18dは、第1~第3層18a-cに対して第1向き19aにスロット3の1つ分だけオフセットしている。
【0083】
このような構成により、第1タイプのそれぞれのグループ16a-dの第2成形導体22bと第3成形導体22cとを接続する第1タイプのコネクタ8、及び第2タイプのグループ17a-cの第4成形導体24dと直列回路に関して後続の第2タイプのグループ17b-dの第1成形導体24aとを接続する第1タイプのコネクタ8は、両経路15a、15bにおいて、スロット3の5つ分のオフセットを各々実現している。第1タイプのグループ16a-cの第4成形導体22dと直列回路に関して後続の第1タイプのグループ16b-dの第1成形導体22aとを接続する第1タイプのコネクタ8、及び第2タイプのそれぞれのグループ17a-dの第2成形導体24bと第3成形導体24cとを接続する第1タイプのコネクタ8は、スロット3の6つ分のオフセットを各々実現している。
【0084】
第1タイプのそれぞれのグループ16a-dの第1成形導体22aと第2成形導体22bとを接続する第2タイプのコネクタ10、及び第2タイプのそれぞれのグループ17a-dの第1成形導体24aと第2成形導体24bとを接続する第2タイプのコネクタ10は、2つの経路15a、15bにおいて、スロット3の6つ分のオフセットを各々実現している。第1タイプのそれぞれのグループ16a-dの第3成形導体22cと第4成形導体22dとを接続する第2タイプのコネクタ10、及び第2タイプのそれぞれのグループ17a-dの第3成形導体24cと第4成形導体24dとを接続する第2タイプのコネクタ10は、スロット3の5つ分のオフセットを各々実現している。
【0085】
代替的な例示的実施形態によれば、第4層18dは、第1~第3層18a-cに対してスロット3の1つ分だけ第2向き19bにオフセットしている。オフセットは、第1および第2タイプのコネクタ8、10により実現され、そして対応する態様において変化する。
【0086】
図7は、電気機械101の例示的実施形態を備える車両100の基本図である。電気機械101は、例えば、電気モータの形態にある同期機または非同期機/誘導機である。電気機械101は、上述の例示的実施形態のうちの1つによるステータ1と、ステータ1内に回転可能に装着されたロータ102と、を備えている。本例示的実施形態において、ロータ102は、一例として、恒久的に励磁される。