(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】線量表示装置および線量表示プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20241122BHJP
A61B 6/10 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
A61B6/00 520R
A61B6/10 502
(21)【出願番号】P 2023511627
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2021028637
(87)【国際公開番号】W WO2023012871
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】523050911
【氏名又は名称】小澤 容平
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】小澤 容平
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-213709(JP,A)
【文献】特開2019-80728(JP,A)
【文献】特表2020-507358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置とその位置における放射線の線量とが対応付けられた空間線量分布が記憶される空間線量分布記憶手段と、
対象物が撮影範囲に含まれる距離画像を取得する距離画像取得手段と、
その距離画像取得手段で取得された距離画像の画素に応じた対象物の位置をそれぞれ取得する位置取得手段と、
その位置取得手段で取得された画素に応じた対象物の位置の線量を、前記空間線量分布記憶手段に記憶される空間線量分布からそれぞれ取得する線量取得手段と、
その線量取得手段で取得された画素に応じた線量に基づいて、前記対象物の線量を表示する線量表示手段と、
を備えていることを特徴とする線量表示装置。
【請求項2】
前記放射線は、放射線発生装置によって発生されるものであり、
前記空間線量分布記憶手段には、前記放射線発生装置で発生させる放射線に関する設定である放射線設定に応じた前記空間線量分布が記憶され、
前記放射線発生装置の放射線設定を取得する設定取得手段を備え、
前記線量取得手段は、前記空間線量分布記憶手段に記憶される空間線量分布のうち、前記設定取得手段で取得された放射線設定に応じた空間線量分布から、前記画素に応じた対象物の位置の線量をそれぞれ取得することを特徴とする請求項1記載の線量表示装置。
【請求項3】
前記設定取得手段は、
前記放射線発生装置において放射線設定が表示される画面を撮影する設定撮影手段と、
その設定撮影手段で撮影された画像を解析することで前記放射線発生装置の放射線設定を取得する解析手段と、を備え、
前記線量取得手段は、前記空間線量分布記憶手段に記憶される空間線量分布のうち、前記解析手段で取得された放射線設定に応じた空間線量分布から、前記画素に応じた対象物の位置の線量をそれぞれ取得することを特徴とする請求項2記載の線量表示装置。
【請求項4】
前記放射線は、放射線発生装置によって発生されるものであり、
前記空間線量分布記憶手段には、前記放射線発生装置から患者に照射された放射線が前記患者によって散乱される散乱線を含む空間線量分布が、前記患者の体型毎に記憶され、
前記線量取得手段は、前記空間線量分布記憶手段に記憶される空間線量分布のうち、前記放射線が照射される患者の体型に応じた空間線量分布から、前記画素に応じた対象物の位置の線量をそれぞれ取得することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の線量表示装置。
【請求項5】
前記放射線は、放射線発生装置によって発生されるものであり、
前記空間線量分布記憶手段には、前記放射線発生装置から患者の特定の部位に照射された放射線が前記患者によって散乱される散乱線を含む前記空間線量分布が、前記患者の部位毎に記憶され、
前記線量取得手段は、前記空間線量分布記憶手段に記憶される空間線量分布のうち、前記放射線が照射される患者の部位に応じた空間線量分布から、前記画素に応じた対象物の位置の線量をそれぞれ取得することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の線量表示装置。
【請求項10】
記憶部と表示部とを備えたコンピュータに、対象物の位置の線量を表示する線量表示処理を実行させる線量表示プログラムであって、
前記記憶部を、前記位置とその位置における放射線の線量とが対応付けられた空間線量分布が記憶される空間線量分布記憶手段として動作させ、
対象物が撮影範囲に含まれる距離画像を取得する距離画像取得ステップと、
その距離画像取得ステップで取得された距離画像の画素に応じた対象物の位置をそれぞれ取得する位置取得ステップと、
その位置取得ステップで取得された画素に応じた対象物の位置に対応する線量を、前記空間線量分布記憶手段に記憶される空間線量分布からそれぞれ取得する線量取得ステップと、
その線量取得ステップで取得された画素に応じた線量に基づいて、前記対象物の線量を表示する線量表示ステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする線量表示プログラム。
【請求項11】
前記線量表示手段は、前記線量取得手段で取得された画素に応じた対象物の位置の線量の大きさに応じた態様の画像である線量画像を表示すると共に、当該線量画像の左右の位置を反転させて表示するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の線量表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線量表示装置および線量表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、X線診断装置11からX線条件および保持装置位置条件を取得し、取得した各条件に基づきX線診断装置11の周囲の線量分布を取得し、モニタ61に表示する被曝線量監視システム10が開示されている。被曝線量監視システム10は更に赤外線サーモグラフィによって放射線診療従事者の位置が検出され、モニタ61には、床から所定の高さ(例えば床から1000mmの高さ)のx-y断面における、線量分布と検出された放射線診療従事者の位置とが表示される。かかるモニタ61の表示により、該断面においてX線の線量が大きい領域と放射線診療従事者との位置関係を確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-253689号公報(例えば、段落0025-0053、
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モニタ61には所定の高さにおける線量分布と放射線診療従事者とが表示されるだけなので、それ以外の高さでは、放射線診療従事者が具体的にどのくらいの線量のX線を被ばくしているのか把握できないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、対象物が被ばくしている放射線の線量を容易に把握できる線量表示装置および線量表示プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の線量表示装置は、位置とその位置における放射線の線量とが対応付けられた空間線量分布が記憶される空間線量分布記憶手段と、対象物が撮影範囲に含まれる距離画像を取得する距離画像取得手段と、その距離画像取得手段で取得された距離画像の画素に応じた対象物の位置をそれぞれ取得する位置取得手段と、その位置取得手段で取得された画素に応じた対象物の位置の線量を、前記空間線量分布記憶手段に記憶される空間線量分布からそれぞれ取得する線量取得手段と、その線量取得手段で取得された画素に応じた線量に基づいて、前記対象物の線量を表示する線量表示手段と、を備えている。
【0007】
また、本発明の線量表示プログラムは、記憶部と表示部とを備えたコンピュータに、対象物の位置の線量を表示する線量表示処理を実行させるプログラムであって、前記記憶部を、前記位置とその位置における放射線の線量とが対応付けられた空間線量分布が記憶される空間線量分布記憶手段として動作させ、対象物が撮影範囲に含まれる距離画像を取得する距離画像取得ステップと、その距離画像取得ステップで取得された距離画像の画素に応じた対象物の位置をそれぞれ取得する位置取得ステップと、その位置取得ステップで取得された画素に応じた対象物の位置に対応する線量を、前記空間線量分布記憶手段に記憶される空間線量分布からそれぞれ取得する線量取得ステップと、その線量取得ステップで取得された画素に応じた線量に基づいて、前記対象物の線量を表示する線量表示ステップと、を前記コンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の線量表示装置によれば、対象物が撮影された深度距離画像から、深度距離画像の画素に応じた対象物の位置が取得され、その対象物の画素に応じた位置の放射線の線量が空間線量分布から取得され、取得された画素に応じた線量に基づいて、対象物の線量が表示される。このように表示される線量により、対象物のどの位置がどれくらいの線量を被ばくしているかを詳細かつ容易に把握でき、対象物への被ばく対策を的確に促すことができるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の線量表示装置によれば、請求項1記載の線量表示装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。空間線量分布記憶手段には、放射線を発生させる放射線発生装置の放射線設定に応じた空間線量分布が記憶される。放射線設定が取得され、空間線量分布記憶手段に記憶される空間線量分布のうち、取得された放射線発生装置の設定に応じた空間線量分布から、画素に応じた対象物の位置の線量がそれぞれ取得される。これにより、放射線発生装置が出力する放射線に応じた線量を取得できるので、その線量の表示を正確なものとすることができるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の線量表示装置によれば、請求項2記載の線量表示装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。放射線発生装置の放射線設定が表示される画面が撮影され、その画面を解析することで放射線発生装置の放射線設定が取得される。そして、空間線量分布記憶手段に記憶される空間線量分布のうち、該画面に基づき取得された放射線設定に応じた空間線量分布から画素に応じた対象物の位置の線量がそれぞれ取得される。これにより、放射線発生装置を外部から放射線設定を取得できるように改造し線量表示装置と放射線発生装置とを接続することなく、即ち既存の放射線発生装置を用いて、その放射線発生装置から非接触で放射線設定を取得できるという効果がある。なお、「放射線発生装置の放射線設定が表示される画面」としては、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面の他に、例えば、7セグメントLED(Light Emitting Diode)等の表示画面を例示できる。
【0011】
請求項4記載の線量表示装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の線量表示装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。空間線量分布記憶手段には、放射線発生装置から患者に照射される放射線が患者によって散乱される散乱線を含む空間線量分布が、患者の体型毎に記憶される。そして、空間線量分布記憶手段に記憶される空間線量分布のうち、放射線が照射される患者の体型に応じた空間線量分布から画素に応じた対象物の位置の線量がそれぞれ取得される。これにより、空間線量分布から取得される線量に放射線が照射される患者の体型による散乱線の影響を考慮に入れることができるので、線量の表示をより正確なものとすることができるという効果がある。
【0012】
請求項5記載の線量表示装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の線量表示装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。空間線量分布記憶手段には、放射線発生装置から患者に照射される放射線が患者の特定の部位によって散乱される散乱線を含む空間線量分布が、患者の部位毎に記憶される。そして、空間線量分布記憶手段に記憶される空間線量分布のうち、放射線が照射される患者の部位に応じた空間線量分布から画素に応じた対象物の位置の線量がそれぞれ取得される。これにより、空間線量分布から取得される線量に放射線が照射される患者の部位による散乱線の影響を考慮に入れることができるので、線量の表示をより正確なものとすることができるという効果がある。
【0013】
請求項6記載の線量表示装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の線量表示装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。対象物の画像に、線量取得手段で取得された画素に応じた対象物の位置の線量の大きさに応じた態様の画像である線量画像が重ねて表示される。これにより、対象物においてどの部分が大きな線量を被ばくしているのかを一目で把握できるので、対象物への被ばく対策をより的確に促すことができるという効果がある。
【0014】
請求項7記載の線量表示装置によれば、請求項6記載の線量表示装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。線量画像として線量の大きさに応じたカラースケール又はグレースケールが表示されることで、対象物において被ばくしている線量が大きい領域と小さい領域とを明確かつ容易に把握できるので、より的確な対象物への被ばく対策を促すことができるという効果がある。
【0015】
請求項8記載の線量表示装置によれば、請求項6又は7に記載の線量表示装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。対象物の画像および線量画像の左右の位置が反転されて表示される。従って、対象物と対象物の画像および線量画像とを対向させた場合、実際の対象物の位置とこれらの画像における対象物の位置とが1対1の関係となる。よって、対象物においてどの部分が大きな線量を被ばくしているのかをより直感的に把握できるという効果がある。
【0016】
請求項9記載の線量表示装置によれば、請求項1から8のいずれかに記載の線量表示装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。線量表示手段によって、放射線業務従事者の画素に応じた位置のX線の線量が表示される。これにより、X線を用いた処置において放射線業務従事者が被ばくするX線の線量を容易に把握できるので、放射線業務従事者が被ばくする線量の管理を容易に行うことができるという効果がある。
【0017】
請求項10記載の線量表示プログラムによれば、請求項1記載の線量表示装置と同様の効果を奏する。
請求項11記載の線量表示装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の線量表示装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。画素に応じた対象物の位置の線量の大きさに応じた態様の画像である線量画像が表示され、その線量画像の左右の位置が反転されて表示される。従って、対象物と線量画像とを対向させた場合、実際の対象物の位置と線量画像における対象物の位置とが1対1の関係となる。よって、対象物においてどの部分が大きな線量を被ばくしているのかをより直感的に把握できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態における線量表示装置の概略図である。
【
図2】(a)は、表示画面を説明する図であり、(b)は、装置パラメータの取得を説明する図である。
【
図3】線量表示装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】(a)は、空間線量分布テーブルを模式的に示した図であり、(b)は、空間線量分布を模式的に示した図であり、(c)は、画角テーブルを模式的に示した図である。
【
図9】(a)は、空間線量分布補正処理のフローチャートであり、(b)は、移動前の撮影ユニット及び空間線量分布を表す図であり、(c)は、移動後の撮影ユニット及び補正された空間線量分布を表す図である。
【
図10】(a)は、線量取得処理のフローチャートであり、(b)は、深度距離画像からの実際のX軸方向の位置の取得を説明する図であり、(c)は、深度距離画像からの実際のY軸方向の位置の取得を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における線量表示装置1の概略図である。線量表示装置1は、放射線業務従事者Hwが被ばくする放射線の線量を表示する装置である。ここで、放射線業務従事者Hw(以下「従事者Hw」と略す)とは、処置室R内においてX線を用いた診断や治療に携わる医師、放射線技師または看護師等の医療従事者や、原子炉建屋、工場または空港等の放射線が存在する環境で作業を行う作業員のことをいう。本実施形態では、線量表示装置1が線量を表示する放射線として「X線」を例示するが、線量を表示する放射線をX線以外の非粒子線としても良いし、陽子線やベータ線等の粒子線としても良い。
【0020】
線量表示装置1には、従事者Hwが被ばくするX線の線量等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)2と、線量表示装置1への指示を入力するキーボード3と、撮影ユニット4とが設けられる。撮影ユニット4は、処置室R内に配置され、撮影範囲Caにおける画像と、撮影範囲Caにおける深度距離画像とを取得する装置である。深度距離画像とは、当該画像を構成する画素毎に、その画素に撮影される対象物と撮影ユニット4との奥行方向(Z軸方向)の距離(深度)が記憶される画像である。本実施形態において撮影範囲Caは、撮影ユニット4を中心とした水平方向に70°、垂直方向に55°の範囲とされるが、これ以外の範囲でも良い。
【0021】
処置室Rには、X線診断装置20と、患者Paが横たわる寝台30とが配置される。X線診断装置20は、X線を用いてX線画像を撮影する装置であり、処置室Rの床面に固定される保持装置20aと、Cアーム20bと、X線発生装置20cと、X線検出装置20dとが設けられる。Cアーム20bは、Cの字状(円弧状)に形成された部材であり、保持装置20aに回動可能に設けられる。
【0022】
X線発生装置20cは、Cアーム20bの一端に設けられ、その内部に設けられたX線管からX線を発生させる装置である。また、X線検出装置20dはCアーム20bの他端に設けられ、X線を検出する装置である。
【0023】
Cアーム20b、X線発生装置20c及びX線検出装置20dは、寝台30に横たわった患者PaがX線発生装置20cとX線検出装置20dとの間に位置できるように配置される。X線発生装置20cで発生され、患者Paを透過したX線がX線検出装置20dで検知され、検知されたX線に基づいてX線画像が作成される。
【0024】
この際、従事者Hwは、処置室R内に位置しているので、X線発生装置20cから照射されたX線や、X線発生装置20cから患者Paに照射したX線が患者Paで散乱した散乱線を被ばくする虞がある。本実施形態の線量表示装置1は、主に従事者Hwが被ばくするX線の線量を表示できるように構成される。
【0025】
具体的には、撮影ユニット4はその撮影範囲Caに従事者Hwが含まれるように、その高さや位置が調整される。撮影ユニット4では、従事者Hwを含む撮影範囲Ca内の画像および深度距離画像が撮影される。撮影された深度距離画像の画素毎に、その画素に対応する深度からその画素における位置が取得され、その位置におけるX線の線量が取得される。
【0026】
X線の線量の取得に関し、より具体的には、線量表示装置1には、撮影ユニット4を基準とした位置とその位置におけるX線の線量とを対応付けて記憶された空間線量分布が記憶される。撮影ユニット4で撮影された深度距離画像の画素毎に、その画素に対応する位置を空間線量分布に参照することで線量が取得される。
【0027】
そして、深度距離画像の画素毎に取得された線量をその線量の大きさに応じて表示した画像と、撮影ユニット4で撮影された従事者Hwを含む実際の画像とが、表示画面GとしてLCD2に表示される。ここで、
図2(a)を参照して表示画面Gを説明する。
【0028】
図2(a)は、表示画面Gを説明する図である。表示画面Gには、上記した深度距離画像に基づいて取得された線量の大きさをカラースケールによって表示する画像である線量表示画像Pt1と、撮影ユニット4で撮影された従事者Hwを含む実際の画像である実画像Pt2とが表示される。本実施形態において、表示画面Gの左側に線量表示画像Pt1が、表示画面Gの右側に実画像Pt2が表示されるが、線量表示画像Pt1と実画像Pt2とが任意の位置に表示されても良い。
【0029】
線量表示画像Pt1には、深度距離画像の画素毎に取得されたX線の線量が、その大きさに応じて色分けされたカラースケールで表示される。具体的には、予めX線の線量の大きさと表示する色とが対応付けられ、深度距離画像の画素毎にその画素で取得されたX線の線量の大きさに対応する色が表示される。
図1及び
図2(a)では、線量表示画像Pt1のカラースケールによる色分けをハッチングの違いによって表現している。
【0030】
線量表示画像Pt1は、上記した通り深度距離画像に基づいて作成されるので、深度距離画像に含まれる対象物との距離、例えば、従事者Hwまでの距離が反映される。よって、従事者Hwの輪郭等の形状の画像が線量表示画像Pt1に反映される。これにより、線量表示画像Pt1には、従事者Hwの輪郭等の形状の画像に、X線の線量に基づくカラースケールの画像(線量画像)が重ねて表示される。
【0031】
このような線量表示画像Pt1によって、従事者Hwが被ばくするX線の線量の大きさを一目で容易に把握することができる。更に表示画面Gにおける線量表示画像Pt1の隣に、実画像Pt2が表示され、これらを見比べることで、従事者Hwにおいて線量が大きな領域または線量が小さな領域を具体的に把握することができる。
【0032】
更に表示画面Gにおける線量表示画像Pt1及び実画像Pt2は、それぞれの左右の位置を反転したものとされる(
図1参照)。よって、従事者Hw自身がLCD2と対向し、表示画面Gを見ながら処置等をする場合に、従事者Hw自身の実際の位置と、左右の位置が反転された線量表示画像Pt1及び実画像Pt2に表示される従事者Hwの位置とが、1対1の関係となる。これにより、従事者Hwが自身のどの部分が大きな線量を被ばくしているのかをより直感的に把握できる。このような表示画面Gにより、従事者Hwは、従事者Hwが大きな線量を被ばくし続けないよう、従事者Hwの移動や交代等の被ばく対策を的確に促すことができる。
【0033】
なお、表示画面Gには、線量表示画像Pt1と実画像Pt2との両方が表示されるものに限られず、実画像Pt2の表示を省略して、線量表示画像Pt1のみを表示しても良い。また、線量表示画像Pt1を、線量の大きさに応じたカラースケールで表示するものに限られず、例えば、線量の大きさに応じて灰色の濃淡を変化させたグレースケールで表示しても良いし、
図1及び
図2(a)に示すように線量の大きさに応じたハッチングで表示しても良い。更には線量の大きさを所定の記号(例えば、「↑」、「→」、「↓」等)や文字(「大」、「中」、「小」等)に対応させ、線量の大きさに応じた記号や文字を表示しても良い。これらに加え、線量の大きさが所定以上または所定以上である場合に、その領域を点滅させることで、線量が大きい又は小さいことを更に強調しても良い。
【0034】
線量表示画像Pt1及び実画像Pt2を左右の位置を反転したものとしたが、これに限られず、左右の位置を反転せず、取得された深度距離画像及び実際の画像のままの位置関係としても良い。これにより、X線診断装置20から離れた位置において、従事者Hwの実際の様子を目視しながら線量表示画像Pt1及び実画像Pt2で従事者Hwが被ばくするX線の線量を確認する場合に、目視による従事者Hwの位置と、線量表示画像Pt1及び実画像Pt2における従事者Hwの位置とが1対1となるので、これらの位置関係を容易に把握できる。
【0035】
線量表示画像Pt1は、撮影ユニット4で撮影された深度距離画像と、空間線量分布とから作成されるが、空間線量分布は、上記した通り、X線診断装置20のX線発生装置20c(
図1参照)におけるX線を発生させる条件(以下「装置パラメータ」という)に応じて作成される。本実施形態では、装置パラメータをX線診断装置20の制御を行う情報処理装置であるX線制御装置20eから非接触で取得する。
【0036】
図2(b)は、装置パラメータの取得を説明する図である。
図2(b)に示す通り、X線制御装置20eには、X線診断装置20で用いられている装置パラメータが表示されるLCD20e1が設けられる。なお、本実施形態における装置パラメータとしては、X線発生装置20cにおいてX線を発生させるX線管球の管電流、管電圧および管球角度と、X線発生装置20cにおける撮影視野の大きさと、X線管球とX線検出装置20dとの距離である管球-検出器間距離と、X線発生装置20cに設けられるX線可動絞りの絞り量と、同じくX線発生装置20cに設けられる可動式補償フィルタの角度および移動量とが挙げられるが、これ以外のX線の発生に関するパラメータが装置パラメータに含まれても良いし、装置パラメータを上記したものの一部を省略して構成しても良い。また、本実施形態では、便宜上、寝台30の高さも装置パラメータに含まれるものとする。
【0037】
一方、線量表示装置1には、該LCD20e1を撮影するモニタ用カメラ5が接続される。モニタ用カメラ5から取得されたLCD20e1の画像が、随時、線量表示装置1に送信され、送信された画像を画像認識することで、装置パラメータが取得される。送信された画像から装置パラメータを取得する手法としては、画像解析や機械学習された学習データを用いたAI等の公知の手法が用いられる。
【0038】
そして、取得された装置パラメータに該当する空間線量分布が取得され、撮影ユニット4で撮影された深度距離画像に参照される。これにより、線量表示装置1は、X線診断装置20を線量表示装置1から装置パラメータを取得できるように改造しX線診断装置20と線量表示装置1とを接続することなく、即ち既存のX線診断装置20を用いて、そのX線診断装置20から非接触で装置パラメータを取得できる。
【0039】
また、装置パラメータが随時、モニタ用カメラ5を介してX線診断装置20から取得されるので、患者Paに照射するX線の条件が変化することで、装置パラメータが変化した場合でも、その変化した装置パラメータに応じた空間線量分布を取得できる。これにより、変化した装置パラメータに応じた線量が線量表示画像Pt1に反映されるので、線量表示画像Pt1による線量の表示をより正確なものとすることができる。
【0040】
なお、X線診断装置20から装置パラメータの取得は上記に限られず、例えば、X線診断装置20と線量表示装置1とを有線接続または無線接続して取得しても良いし、作業員がLCD20e1に表示される装置パラメータを確認し、線量表示装置1のキーボード3を介して入力しても良い。
【0041】
次に
図3,4を参照して、線量表示装置1の電気的構成を説明する。
図3は、線量表示装置1の電気的構成を示すブロック図である。線量表示装置1は、CPU10と、ハード・ディスク・ドライブ(以下「HDD」と略す)と、RAM12とを有し、これらはバスライン13を介して入出力ポート14にそれぞれ接続されている。入出力ポート14には更に、上記したLCD2、キーボード3、撮影ユニット4及びモニタ用カメラ5と、線量計6とが接続されている。
【0042】
CPU10は、バスライン13により接続された各部を制御する演算装置である。フラッシュROM11は、CPU10により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、線量表示プログラム11aと、空間線量分布テーブル11bと、画角テーブル11cとが記憶される。CPU10によって線量表示プログラム11aが実行されると、
図5のメイン処理が実行される。空間線量分布テーブル11bは、上記した空間線量表示が記憶されるデータテーブルであり、画角テーブル11cは、深度距離画像の画素における画角が記憶されるデータテーブルである。
図4を参照して、空間線量分布テーブル11b及び画角テーブル11cを説明する。
【0043】
図4(a)は、空間線量分布テーブル11bを模式的に示した図である。空間線量分布テーブル11bには、患者Paの体型およびX線診断装置20の装置パラメータに応じた空間線量分布が記憶される。具体的に、空間線量分布テーブル11bには、X線を照射する患者Paの体型毎に、やせ型用の第1空間線量分布テーブル11b1と、中肉用の第2空間線量分布テーブル11b2と、肥満用の第3空間線量分布テーブル11b3と、・・・、が設けられる。以下、第1空間線量分布テーブル11b1等を区別しない場合は、「空間線量分布テーブル11bm」という。
【0044】
空間線量分布テーブル11bmには、装置パラメータ(具体的に、管電流、管電圧、管球-検出器間距離、管球角度、撮影視野の大きさ、X線可動絞りの絞り量(図中では「X線可動絞り」と表記)、可動式補償フィルタ角度および可動式補償フィルタ移動量と、寝台30の高さ)に応じた空間線量分布である空間線量分布D1,D2,・・・が記憶される。ここで、
図4(b)を参照して、空間線量分布の具体的な構成を説明する。
【0045】
図4(b)は、空間線量分布D1を模式的に示した図である。ここでは空間線量分布を空間線量分布D1を例に説明するが、空間線量分布D2,D3,・・・も構成は空間線量分布D1と同様なので、それぞれの詳細な説明は省略する。
【0046】
空間線量分布D1には、撮影ユニット4からの距離毎に、その位置における線量が記憶される。具体的にはX軸方向を撮影ユニット4において深度距離画像等を撮像する撮像部の水平方向、Y軸方向を該撮像部における垂直方向、そして、Z軸方向を該撮像部における奥行方向とした場合の、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の組み合わせにおける位置毎の線量が記憶される。
【0047】
本実施形態の空間線量分布D1においては、Z軸方向の位置(Z1,Z2,Z3,・・・)毎に、X軸方向の位置およびY軸方向の位置の組み合わせによる線量が記憶されるが、X軸方向の位置毎にY軸方向の位置およびZ軸方向の位置の組み合わせによる線量が記憶されて良いし、Y軸方向の位置毎にX軸方向の位置およびZ軸方向の位置の組み合わせによる線量が記憶されて良い。
【0048】
次に、画角テーブル11cを説明する。
図4(c)は、画角テーブル11cを模式的に示した図である。画角テーブル11cには、撮影ユニット4で撮影される深度距離画像の画素毎に、その画素に対応する画角が記憶される。深度距離画像の画素の水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)の位置毎に、水平方向の画角と、垂直方向の画角とが記憶される。
【0049】
なお、本実施形態の深度距離画像は、X軸方向における左端の位置の座標がXaとされ、その左端の位置から右方向に移動するにつれて、X軸方向の座標がXb,Xc,・・・と順に変化するものとされる。同様に、Y軸方向における上端の位置の座標がYaとされ、その上端の位置から下方向に移動するにつれて、Y軸方向の座標がYb,Yc,・・・と順に変化するものとされる。
【0050】
図4(c)に示す通り、画角テーブル11cには、画角が「(水平方向の画角)/(垂直方向の画角)」の形式で記憶される。本実施形態の撮影ユニット4の撮影範囲Caは、撮影ユニット4を中心とした水平方向に70°、垂直方向に55°の範囲を持つので、例えば、X軸方向の位置がXaで、Y軸方向の位置がYaである場合の画角として、画角テーブル11cには「35°/27.5°」と記憶される。
【0051】
深度距離画像には、画素毎に奥行方向の距離が記憶されるので、言い換えると撮影ユニット4に対する奥行方向(Z軸方向)の位置が記憶されている。その奥行方向の距離を画角テーブル11cに記憶される画角で変換することで、その画素における実際のX軸方向の位置およびY軸方向の位置が取得できる。
【0052】
図3に戻る。RAM12は、CPU10が線量表示プログラム11aの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであり、撮影ユニット4の位置および角度が記憶されるユニット位置メモリ12a及びユニット角度メモリ12bと、患者Paの体型が記憶される患者体型メモリ12cと、深度距離画像が記憶される深度距離画像メモリ12dと、上記した装置パラメータが記憶される装置パラメータメモリ12eと、空間線量分布が記憶される空間線量分布メモリ12fと、深度距離画像における画素毎の位置と線量の大きさとが対応付けて記憶される線量メモリ12gとが設けられる。
【0053】
撮影ユニット4には、
図1における撮影範囲Caにおける深度距離画像を撮影するデプスカメラ4aと、撮影範囲Caにおける実際の画像を撮影する術者用カメラ4bと、撮影ユニット4の速度および角速度を取得する速度計および角速度計から構成される変位センサ4cとが設けられる。線量計6は、後述する
図7の検出板Bに複数設けられ、X線の線量を計測するセンサである。なお、
図4においては、複数の線量計6を、1つの線量計6として表している。
【0054】
次に
図5~
図10を参照して、線量表示装置1のCPU10で実行されるメイン処理を説明する。
図5は、メイン処理のフローチャートである。メイン処理は、線量表示装置1の電源投入後に実行される処理である。
【0055】
メイン処理はまず、キーボード3から入力される動作モードを確認する(S1)。本実施形態において動作モードは、空間線量分布を作成する「線量分布作成モード」と、LCD2に線量表示画像Pt1及び実画像Pt2(
図2(a)参照)の表示を行う「線量表示モード」とが設けられる。
【0056】
S1の処理において、動作モードが線量分布作成モードである場合は(S1:線量分布作成モード)、線量分布作成処理(S2)を実行する。ここで、
図6,7を参照して線量分布作成処理を説明する。
【0057】
図6は、線量分布作成処理のフローチャートである。線量分布作成処理はまず、患者Paの体型を表すカウンタ変数Mを1に設定する(S10)。カウンタ変数Mは、
図4(a)で上記した空間線量分布テーブル11bmの体型に対応する値であり、Mが1の場合は、患者Paの体型がやせ型であることを表し、Mが2の場合は、患者Paの体型が中肉、Mが3の場合は、患者Paの体型が肥満を表す。S10の処理の後、空間線量分布テーブル11bmにおける対象の装置パラメータの位置(インデックス)を表すカウンタ変数Nに、1を設定する(S11)。
【0058】
S11の処理の後、空間線量分布テーブル11bのM番目の体型の情報を取得し、被写体モデルを作成する(S12)。被写体モデルは、取得された体型の情報に基づき、人体の構成元素や密度を考慮して作成された、X線が照射される患者Paをモデル化したものであり、公知の手法により作成される。
【0059】
S12の処理の後、空間線量分布テーブル11bのM番目の体型のN番目の装置パラメータからX線管に関する情報(例えば、管電圧や管電流、X線可動絞りの絞り量等)を取得し、取得したX線管に関する情報に基づきX線管モデルを作成する(S13)。X線管モデルは、発生させるX線の強度やX線を放射する方向等をモデル化したものであり、取得された装置パラメータにおけるX線管に関する情報と、X線可動絞りや可動式補償フィルタの幾何学的条件や組成元素の種類や比率、密度(以下、これらを「X線管モデルの所定条件」という)とに基づき、公知の手法により作成される。なお、X線管モデルの所定条件は、S13の処理の実行時にキーボード3から入力されるものとする。
【0060】
S13の処理の後、空間線量分布テーブル11bのM番目の体型のN番目の装置パラメータから寝台30に関する情報を取得して、寝台モデルを作成し、該装置パラメータからX線診断装置20の装置モデルを作成する(S14)。寝台モデルは、寝台30をモデル化したものであり、取得した装置パラメータにおける寝台30の高さと、寝台30の幾何学的条件や組成元素の種類や比率、密度(以下、これらを「寝台モデルの所定条件」という)とに基づき、公知の手法により作成される。寝台モデルの所定条件も、S14の処理の実行時にキーボード3を介して入力されるものとする。
【0061】
また装置モデルは、X線診断装置20をモデル化したものであり、取得した装置パラメータにおける管球-検出器間距離と、X線診断装置20の外装の幾何学的条件や組成元素の種類や比率、密度(以下、これらを「装置モデルの所定条件」という)とに基づき、公知の手法により作成される。装置モデルの所定条件も、S14の処理の実行時にキーボード3を介して入力されるものとする。
【0062】
S14の処理の後、作成したモデルを用いてモンテカルロシミュレーションを行い、空間線量分布を作成する(S15)。モンテカルロシミュレーションによる空間線量分布の作成は、公知の手法なので詳細な説明を省略する。S15の処理の後、作成した空間線量分布の検証が行われる。ここで
図7を参照して、空間線量分布の検証の概略を説明する。
【0063】
図7は、空間線量分布の検証を説明する図である。
図6のS15の処理で作成された後に、実際に空間線量分布を作成した同じ条件でX線診断装置20を発生させて線量を計測し、空間線量分布によって取得される線量と、計測された線量とにズレがないかが検証される。
【0064】
具体的に、処置室Rには板状の検出板Bが設けられ、その検出板Bには、
図3で上記した複数の線量計6が、10cm間隔で格子状に配置される。また、寝台30には、患者Paの代わりに、
図6のM番目の体型に該当する模型Fが配置される。模型Fは、患者Paを正確に模擬するため、水等価物質によって形成される。なお、検出板Bに設けられる線量計6の間隔は10cmに限られず、10cm以下でも10cm以上でも良い。また、検出板Bに設けられる線量計6の配置も格子状に限られず、千鳥足状等、他の配置手法でも良い。
【0065】
X線診断装置20によって、
図6の空間線量分布テーブル11bのM番目の体型のN番目の装置パラメータに基づくX線が発生され、発生されたX線および、そのX線が模型Fによって散乱した散乱線が線量計6で検出される。この際、線量計6の位置が撮影ユニット4のデプスカメラ4aによって取得される。
【0066】
そして、線量計6で検出された線量と、
図6のS15の処理で作成された空間線量分布から取得されたデプスカメラ4aで取得された線量計6の位置における線量とが、所定の範囲内であるかが確認される。これらの線量が所定の範囲内である場合は、作成された空間線量分布が当該条件の空間線量分布として空間線量分布テーブル11bに記憶される。一方で、これらの線量が所定の範囲内ではない場合は、上記したモデルのうち被写体モデル以外のモデル、即ちX線管モデル、寝台モデル又は装置モデルの所定条件を修正して空間線量分布を再作成し、再作成された空間線量分布に対し、上記した検証が行われる。
【0067】
このように、
図6のS15の処理で作成された空間線量分布の線量を、実際に計測される同条件の線量で検証することで、空間線量分布から取得される線量と実際に計測される線量との誤差が小さくなり、空間線量分布から取得される線量およびその線量に基づいて表示される線量表示画像Pt1(
図2(a)参照)をより正確な表示とできる。
【0068】
図6に戻り、上記した検証の処理を説明する。S15の処理の後、撮影ユニット4のデプスカメラ4aから線量計6までの距離を取得し、その距離に基づいて線量計6の位置を取得する(S16)。S16の処理の後、空間線量分布テーブル11bのM番目の体型の模型Fを寝台30に配置し、空間線量分布を作成した際と同条件の装置パラメータによってX線診断装置20でX線を発生させた上で、線量計6から線量を取得する(S17)。
【0069】
S17の処理の後、S15の処理で作成した空間線量分布からS16の処理で取得した位置に該当する線量を取得する(S18)。S18の処理の後、S17の処理で取得した線量計6からの線量とS18の処理で空間線量分布から取得された線量との差が、所定の範囲内であるかを確認する(S19)。
【0070】
S19の処理において、線量の差が所定の範囲外である場合は(S19:No)、X線管モデル、寝台モデル又は装置モデルの所定条件を修正し(S20)、修正された各モデルの所定条件を用いて再度S11以下の処理を繰り返すことで、M番目の体型の空間線量分布を再作成する。この際、S11以下の処理を繰り返す代わりに、S10以下の処理を繰り返すことで、S20の処理で修正された各モデルの所定条件を用いて全て体型の空間線量分布を再作成しても良い。
【0071】
一方でS19の処理において、線量の差が所定の範囲内である場合は(S19:Yes)、空間線量分布テーブル11bのM番目の体型のN番目の空間線量分布として、作成された空間線量分布を保存する(S21)。
【0072】
S21の処理の後、カウンタ変数Nに1を加算し(S22)、その加算した後のカウンタ変数Nが空間線量分布テーブル11bのM番目の体型の装置パラメータの組合せ総数より大きいかを確認する(S23)。S23の処理において、カウンタ変数Nが空間線量分布テーブル11bのM番目の体型の装置パラメータの組合せ総数以下の場合は(S23:No)、S12以下の処理を繰り返す。
【0073】
S23の処理において、カウンタ変数Nが空間線量分布テーブル11bのM番目の体型の装置パラメータの組合せ総数より大きい場合は(S23:Yes)、カウンタ変数Mに1を加算する(S24)。S24の処理の後、カウンタ変数Mが空間線量分布テーブル11bに記憶される体型数より大きいかを確認する(S25)。S25の処理においてカウンタ変数Mが空間線量分布テーブル11bの体型数以下の場合は(S25:No)、S11以下の処理を繰り返す。一方で、S25の処理においてカウンタ変数Mが空間線量分布テーブル11bの体型数より大きい場合は(S25:Yes)、線量分布作成処理を終了する。
【0074】
図5に戻る。S1の処理において、動作モードが線量表示モードである場合は(S1:線量表示モード)、線量表示処理(S3)を実行する。ここで、
図8~10を参照して線量表示処理を説明する。
【0075】
図8は、線量表示処理のフローチャートである。線量表示処理はまず、キーボード3で入力された撮影ユニット4の現在位置および現在角度を取得し、それぞれユニット位置メモリ12a及びユニット角度メモリ12bに保存する(S30)。S30の処理の後、キーボード3から入力された患者Paの体型を取得し、患者体型メモリ12cに保存する(S31)。
【0076】
S31の処理の後、デプスカメラ4aから深度距離画像を取得し、深度距離画像メモリ12dに保存する(S32)。S32の処理の後、深度距離画像メモリ12dの深度距離画像の各画素に所定の校正定数を乗じることで、当該画素の距離情報を撮影ユニット4からの絶対距離に変換する(S33)。
【0077】
S33の処理の後、モニタ用カメラ5から、X線制御装置20eのLCD20e1(
図2(b))に表示される装置パラメータを含む画像を取得する(S34)。S34の処理の後、取得した画像から装置パラメータを取得し、装置パラメータメモリ12eに保存する(S35)。
【0078】
S35の処理の後、空間線量分布テーブル11bから患者体型メモリ12cの体型と、装置パラメータメモリ12eの装置パラメータとに該当する空間線量分布を取得し、空間線量分布メモリ12fへ保存する(S36)。S36の処理の後、空間線量分布補正処理(S37)を実行する。ここで、
図9を参照して、空間線量分布補正処理を説明する。
【0079】
図9(a)は、空間線量分布補正処理のフローチャートである。空間線量分布補正処理はまず、変位センサ4cから取得した速度および角速度から、単位時間当たりの移動量および回転量を取得する(S50)。S50の処理の後、取得した移動量および回転量をユニット位置メモリ12a及びユニット角度メモリ12bにそれぞれ加算する(S51)。これによって、ユニット位置メモリ12a及びユニット角度メモリ12bには、
図8のS30の処理で入力された時点のユニット位置メモリ12a及びユニット角度メモリ12bからのズレ量が反映される。
【0080】
S51の処理の後、ユニット位置メモリ12a及びユニット角度メモリ12bのそれぞれの値に基づき、空間線量分布メモリ12fの空間線量分布を補正し(S52)、空間線量分布処理を終了する。ここで、
図9(b),(c)を用いて、S52の処理における空間線量分布の補正を説明する。
【0081】
図9(b)は、移動前の撮影ユニット4及び空間線量分布を表す図であり、
図9(c)は、移動後の撮影ユニット4及び補正された空間線量分布を表す図である。
図9(b),(c)には、撮影ユニット4の位置と共に、空間線量分布として位置毎の線量を数値で表している。
【0082】
図9(b)における移動前の点線で表した撮影ユニット4の周囲には、有効な空間線量分布が存在しているため、空間線量分布メモリ12fの空間線量分布であって、空間線量分布テーブル11bに記憶されている空間線量分布によって、撮影ユニット4で撮影される撮影範囲Caの線量を取得できる。
【0083】
一方で、撮影ユニット4に従事者Hwが接触する等して、撮影ユニット4の位置や向きがズレた場合(
図9(b)の実線の撮影ユニット4)、空間線量分布における撮影範囲Caに該当する位置に有効な線量が含まれない領域が発生する場合がある。
【0084】
かかる場合、
図9(c)に示すように、有効な線量が含まれない領域(例えば
図9(c)の左端および下端)の線量が「0」となるように空間線量分布が補正される。これにより、空間線量分布メモリ12fの空間線量分布において、有効な線量が含まれない領域に撮影範囲Caが含まれる場合であっても、不正な値の線量が取得されるのが抑制されるので、線量表示画像Pt1において不正な線量による表示がされるのを抑制できる。
【0085】
図8に戻る。S37の空間線量分布補正処理の後、線量取得処理(S38)を実行する。ここで、
図10を参照して、線量取得処理を説明する。
【0086】
図10(a)は、線量取得処理のフローチャートである。線量取得処理はまず、深度距離画像メモリ12dの深度距離画像のX軸方向の位置を表す位置xnに、該深度距離画像の左端の位置であるXaを設定する(S60)。S60の処理の後、深度距離画像メモリ12dの深度距離画像のY軸方向の位置を表す位置ynに、深度距離画像の左端の位置であるYaを設定する(S61)。
【0087】
S61の処理の後、深度距離画像メモリ12dの深度距離画像の座標(xn,yn)の画素値を取得し、変数dに代入する(S62)。S62の処理の後、画角テーブル11cにおける座標(xn,yn)の水平方向および垂直方向の画角を取得し、それぞれ水平角α、垂直角βとする(S63)。
【0088】
S63の処理の後、位置xn’に、d・ tan(α)を設定し、位置yn’に、d・tan(β)を設定する(S64)。ここで、
図10(b),(c)を参照して、S64の処理で設定される位置xn’,yn’を説明する。
【0089】
図10(b)は、深度距離画像からの実際のX軸方向の位置xn’の取得を説明する図であり、
図10(c)は、深度距離画像からの実際のY軸方向の位置yn’の取得を説明する図である。
【0090】
S62の処理で取得される変数dは、該当する深度距離画像メモリ12dの深度距離画像の座標(xn,yn)の画素値、即ち該画素の実際の奥行方向(Z軸方向)の位置を表す。この変数dに、対応する水平方向の画角である水平角αによる正接値(tan(α))を乗じたxn’は、
図10(b)に示す通り、撮影ユニット4からZ軸方向に距離d離れた位置から、水平角αに応じたX軸方向のズレ量とされる。従って、位置xn’が該画素における実際のX軸方向の位置とされる。
【0091】
同様に、変数dに、対応する垂直方向の画角である垂直角βによる正接値(tan(β))を乗じたyn’は、
図10(c)に示す通り、撮影ユニット4からZ軸方向に距離d離れた位置から、垂直方向の画角(水平角α)に応じたY軸方向のズレ量であるので、yn’が該画素における実際のY軸方向の位置とされる。このように、深度距離画像の画素毎に、画角をそれぞれ把握しておくことで、深度距離画像の画素値から実際の位置を取得することができる。
【0092】
図10(a)に戻る。S64の処理の後、空間線量分布メモリの空間線量分布から、座標(xn’,yn’,d)に該当する線量を取得する(S65)。この際、空間線量分布に座標(xn’,yn’,d)と一致する位置の線量が記憶されていない場合は、空間線量分布に記憶される位置のうち、座標(xn’,yn’,d)に最も近い位置の線量が取得される。
【0093】
なお、空間線量分布に座標(xn’,yn’,d)と一致する位置の線量が記憶されていない場合の線量の取得手法は、これに限られず、例えば、空間線量分布に記憶される位置のうち、座標(xn’,yn’,d)の周囲の位置の線量を取得し、取得した線量の平均値や中央値を座標(xn’,yn’,d)の線量として取得しても良い。
【0094】
S65の処理の後、取得した線量を線量メモリ12gの座標(xn,yn)における線量として保存する(S66)。これにより、線量メモリ12gには、深度距離画像メモリ12dの深度距離画像の画素毎に、対応する線量が記憶される。
【0095】
S66の処理の後、位置ynを1つ進め(S67)、その位置ynが深度距離画像メモリ12dの深度距離画像の下端を超えたかを確認する(S68)。S68の処理において、位置ynが下端を超えていない場合は(S68:No)、S62以下の処理を繰り返す。一方でS68の処理において、位置ynが下端を超えた場合は(S68:Yes)、位置xnを1つ進め(S69)、その位置xnが深度距離画像メモリ12dの深度距離画像の右端を超えたかを確認する(S70)。
【0096】
S70の処理において、位置xnが右端を超えていない場合は(S70:No)、S61以下の処理を繰り返す。一方でS70の処理において、位置xnが右端を超えた場合は(S70:Yes)、線量取得処理を終了する。
【0097】
S38の線量取得処理の後、線量メモリ12gに記憶される線量に基づいて線量表示画像Pt1を作成する(S39)。S39の処理の後、作成した線量表示画像Pt1の左右の位置を反転させた画像と、術者用カメラ4bから取得した実画像Pt2の左右の位置を反転した画像とをLCD2に表示し(S40)、S32以下の処理を繰り返す。
【0098】
図5に戻る。S2の線量分布作成処理またはS3の線量表示処理の後、S1以下の処理を繰り返す。
【0099】
以上説明した通り、本実施形態の線量表示装置1は、デプスカメラ4aから従事者Hwを含む深度距離画像が取得され、X線診断装置20の装置パラメータや患者Paの体型に応じた空間線量分布が空間線量分布テーブル11bから取得される。取得された深度距離画像と空間線量分布とから、深度距離画像の画素毎にその画素に対応する位置の線量が取得される。
【0100】
そして、取得された線量を、その大きさに応じたカラースケールで表示することで線量表示画像Pt1が作成され、LCD2に表示される。これにより、従事者Hwの位置におけるX線の線量が表示されるので、従事者HwがX線によって被ばくしている線量を容易に把握でき、従事者Hwへの被ばく対策を的確に促すことができる。
【0101】
また、空間線量分布テーブル11bには、装置パラメータや患者Paの体型に応じた空間線量分布が記憶され、実際にX線を発生させているX線診断装置20の装置パラメータや、X線を照射している患者Paの体型に応じた空間線量分布が取得される。これにより、X線診断装置20の装置パラメータに応じて出力されるX線や、X線が照射される患者Paの体型に応じたX線の散乱線の影響を考慮した空間線量分布が取得できるので、線量表示画像Pt1の線量の表示をより正確なものとすることができる。
【0102】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0103】
上記実施形態では、空間線量分布テーブル11bに患者Paの体型毎に空間線量分布を作成したが、これに限られない。例えば、X線診断装置20でX線を照射する患者Paの部位(頭部、体幹部等)毎に空間線量分布を作成し、実際に患者PaにX線を照射する部位の空間線量分布を取得して、線量の取得を行っても良い。X線を患者Paに照射した場合の散乱線は、X線が照射される部位によって変化する。そこで、X線を照射する患者Paの部位に応じた空間線量分布を取得することで、X線が照射される患者Paの部位に応じた散乱線の影響が考慮されたより正確な線量を、線量表示画像Pt1に反映することができる。
【0104】
また、空間線量分布テーブル11bに患者Paの体型と部位とに応じた空間線量分布を記憶しても良いし、空間線量分布テーブル11bに体型と部位とに依らない空間線量分布を記憶しても良い。
【0105】
上記実施形態では、予め作成した空間線量分布から深度距離画像の画素毎の位置に応じた線量を空間線量分布から取得して表示したが、これに限られない。例えば、従事者Hwに線量計を装着させ、空間線量分布から表示される線量と、従事者Hwの線量計から取得される線量とを比較し、これらにズレが生じた場合には、空間線量分布に記憶される線量を線量計で取得された線量に更新しても良い。
【0106】
上記実施形態では、従事者Hwが装着する、防護メガネ等のX線を軽減する防護具を考慮しなかったが、これに限られない。例えば、デプスカメラ4aや術者用カメラ4bからの画像から、従事者Hwが防護具を装着していると判断される場合は、防護具に該当する位置の線量に、その防護具が有するX線の軽減能力に応じた係数を乗じることで、線量を低減させたものを線量表示画像Pt1に反映させても良い。これにより、防護具によるX線の軽減能力を線量表示画像Pt1によって一目で把握することができる。
【0107】
更にこれに加え、防護メガネの内側等、防護具と従事者Hwとの間に線量計を配置させ、その線量計によって線量を取得することで、線量表示画像Pt1に防護具による実際のX線の軽減能力を表示しても良い。
【0108】
上記実施形態では、X線診断装置20によってX線の写真を撮影する場合と、X線の写真の基づく動画(透視)を作成する場合とで、空間線量分布を区別しなかったが、これに限られない。X線の写真を撮影する場合と、動画を作成する場合とで異なる空間線量分布を用意し、それぞれの場合に該当する空間線量分布を用いても良い。この際、LCD20e1(
図2(b)参照)には、X線診断装置20においてX線の写真を撮影する場合と、動画を作成する場合とが区別して表示されるので、モニタ用カメラ5で撮影されたLCD20e1の画像から、X線の写真を撮影する場合か、動画を作成する場合かを判断しても良い。
【0109】
上記実施形態では、線量表示画像Pt1(
図2(b)参照)には、線量の大きさを表すものとしてカラースケールのみを表示したが、これに限られない。例えば、カラースケールに加え、表示される従事者Hw毎に線量の累積値や単位時間当たりの線量を、数値やグラフ等で表示しても良い。更に従事者Hwの部位(目や口等)毎の線量の累積値や単位時間当たりの線量を、数値やグラフ等で表示しても良い。
【0110】
また、従事者Hwにおいて被ばくしている線量が大きい部位を文字や絵で表示したり、音声で出力することで従事者Hwに注意喚起をしても良い。
【0111】
上記実施形態では、デプスカメラ4aによって深度距離画像を取得し、従事者Hw等の位置を取得したが、これに限られない。例えば、術者用カメラで取得された画像を画像処理やAI等を用いて解析することで、従事者Hw等の位置を取得しても良いし、サンプリングモアレ法を用いて従事者Hw等の位置を取得しても良い。また、LiDAR(Light Detection And Ranging)によって従事者Hw等の位置を取得しても良いし、超音波を用いて従事者Hw等の位置を取得しても良い。
【0112】
上記実施形態では、
図8の線量表示処理において、キーボード3から患者Paの体型を取得したが、これに限られない。例えば、患者の体型をデプスカメラ4aや術者用カメラで取得した画像を解析することで取得しても良い。
【0113】
上記実施形態では、
図6の線量分布作成処理において、各モデルを用いたモンテカルロシミュレーションによって空間線量分布を作成したが、これに限られず、他のシミュレーション技法により空間線量分布を作成しても良い。また、
図7のように寝台30に模型Fを配置し、X線診断装置20で所定の装置パラメータでX線を発生させる。その状態で、検出板Bを微小な距離(例えば1cm)毎に移動させながら、検出板Bに設けられる線量計6で線量を取得することで、空間線量分布を実測によって作成しても良い。
【0114】
また、
図6の線量分布作成処理において、S12の処理で被写体モデルを空間線量分布テーブル11bmのM番目の体型の情報に基づいて作成し、その被写体モデルを用いて作成された空間線量分布を、S19の処理によってM番目の体型に該当する模型Fを寝台30に配置した状態で線量計6で取得された線量と比較し、S20の処理でX線管モデル等の所定条件を修正することで空間線量分布を作成したが、これに限られない。
【0115】
例えば、まずS12の処理において、被写体モデルを所定の大きさ及び形状(例えば1辺が500mmの立方体状)の模型Fに基づき作成し、作成された被写体モデルを用いてS15の処理で「仮の空間線量分布」を作成する。ここで「仮の空間線量分布」を作成する際のX線管モデル、寝台モデル及び装置モデルは、空間線量分布テーブル11bmのM番目の体型のN番目の装置パラメータに応じて作成されるものとする。そしてS19の処理によって、作成された「仮の空間線量分布」と、所定の大きさ及び形状の模型Fを寝台30に配置した状態で線量計6で取得された線量とを比較し、S20の処理でX線管モデル等の所定条件を修正することで、線量計6で取得された線量との差が小さな「仮の空間線量分布」を作成する。
【0116】
そして、被写体モデルを空間線量分布テーブル11bmのM番目の体型の情報に基づいて作成し、作成された被写体モデルと「仮の空間線量分布」を作成した際のX線管モデル、寝台モデル及び装置モデルとから、S15の処理のように空間線量分布を作成する。作成された空間線量分布を、M番目の体型のN番目の空間線量分布として空間線量分布テーブル11bmに保存しても良い。
【0117】
上記実施形態では、X線診断装置20で用いられている装置パラメータをLCD20e1に表示したが、これに限られない。例えば、X線診断装置20に複数の7セグメントLED(Light Emitting Diode)を設け、装置パラメータの各値を7セグメントLEDに表示しても良い。この際、モニタ用カメラ5を7セグメントLEDの表示内容が撮影できるように配置すれば良い。
【0118】
上記実施形態では、撮影範囲Caに含まれる対象物として放射線業務従事者Hw(従事者Hw)を例示したが、これに限られず、例えば、対象物を動物や植物としても良いし、放射線の影響を受けやすいコンピュータ等の電子機器や精密機械としても良い。
【0119】
上記実施形態では、空間線量分布を、装置パラメータに応じて発生されたX線(一次放射線)とそのX線の散乱線とを考慮して作成したが、これに限られない。例えば、空間線量分布を、一次放射線のみを考慮して作成しても良いし、散乱線のみを考慮して作成しても良い。
【0120】
上記実施形態では、線量表示装置1を従事者Hw(放射線業務従事者Hw)が被ばくする放射線の線量を表示する装置としたが、これに限られない。例えば、線量表示装置1を、検査や治療を受ける患者Paや空港でX線身体検査を受ける旅行客等といった非放射線業務従事者が被ばくする放射線の線量を表示する装置としても良い。
【0121】
上記実施形態では、
図5の動作モードとして、線量作成モードと線量表示モードとの両方を設けたが、これに限られない。動作モードを線量作成モードのみとしても良いし、線量表示モードのみとしても良い。
【0122】
上記実施形態では、線量表示プログラム11aを実行する装置として線量表示装置1を例示したが、これに限られない。例えば、線量表示プログラム11aをPCやスマートフォン、タブレット端末等の情報処理装置で実行しても良い。
【符号の説明】
【0123】
1 線量表示装置
IIw 放射線業務従事者(対象物)
Pa 患者
Ca 撮影範囲
2 LCD(表示部)
11 HDD(記憶部)
11a 線量表示プログラム
11b 空間線量分布テーブル(空間線量分布記憶手段)
20 X線診断装置(放射線発生装置)
S32 距離画像取得手段、距離画像取得ステップ
S34 設定撮影手段、設定取得手段の一部
S35 解析手段、設定取得手段の一部
S39,40 線量表示手段、線量表示ステップ
S62~S64 位置取得手段、位置取得ステップ
S65 線量取得手段、線量取得ステップ