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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】レーザプロジェクタ及び光学エンジン
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02257 20210101AFI20241122BHJP
   G02B 27/18 20060101ALI20241122BHJP
   G02B 27/10 20060101ALI20241122BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241122BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20241122BHJP
   H01S 5/0683 20060101ALI20241122BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H01S5/02257
G02B27/18 Z
G02B27/10
G09F9/00 366Z
G03B21/14 Z
H01S5/0683
G02B27/02 Z
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2023544145
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2021014389
(87)【国際公開番号】W WO2022159089
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アディーマ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ボディヤ,ティモシー・ポール
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05247167(US,A)
【文献】特開2012-195434(JP,A)
【文献】特開2005-86067(JP,A)
【文献】特開2007-185850(JP,A)
【文献】特開2003-318474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/02257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光強度を測定するように構成された光検出器と、
光学エンジンとを備え、前記光学エンジンは、
光線を出力するように構成されたレーザ源と、
前記レーザ源によって出力される前記光線の光路に配置された出射窓と、
前記出射窓の主出力面上に配置された回折格子とを含み
前記レーザ源を囲むとともに前記出射窓を含む筐体を備え、
前記光学エンジンは基板の表面上に配置され、前記光検出器は、前記筐体の前記出射窓の側壁の向かいに配置され、前記側壁は、前記主出力面に隣接し、かつ、前記基板の前記表面に対して垂直な平面を規定し、前記回折格子は、前記出射窓の前記側壁を通して前記光線の一部分を前記光検出器の方にリダイレクトする、レーザプロジェクタ。
【請求項2】
光強度を測定するように構成された光検出器と、
光学エンジンとを備え、前記光学エンジンは、
光線を出力するように構成されたレーザ源と、
前記レーザ源によって出力される前記光線の光路に配置された出射窓と、
前記出射窓の主出力面上に配置された回折格子とを含み、
前記光学エンジンは基板上に配置され、前記光検出器は、前記出射窓の真下および前記光線の前記光路の真下に配置され、前記回折格子は、前記出射窓のうち前記基板に面する底面を通して前記光線の一部分を前記光検出器の方にリダイレクトする、レーザプロジェクタ。
【請求項3】
前記光検出器は前記基板に埋込まれている、請求項2に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項4】
前記光学エンジンは前記基板の第1の側に配置され、前記光検出器は、前記第1の側とは反対側にある前記基板の第2の側に配置され、前記回折格子は、前記出射窓の前記底面を通して、かつ前記第1の側から前記第2の側まで前記基板内を通って延在するアパーチャを通して、前記光線の前記一部分を前記光検出器の方にリダイレクトする、請求項2に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項5】
光強度を測定するように構成された光検出器と、
光学エンジンとを備え、前記光学エンジンは、
光線を出力するように構成されたレーザ源と、
前記レーザ源によって出力される前記光線の光路に配置された出射窓と、
前記出射窓の主出力面上に配置された回折格子とを含み、
前記光学エンジンは第1の基板上に配置され、前記光検出器は、前記光検出器が前記出射窓および前記光線の前記光路の真上に配置されるように前記第1の基板の上方に配置される第2の基板上に配置され、前記回折格子は、前記出射窓の上面を通して光線の一部分を前記光検出器の方にリダイレクトし、前記上面は前記第2の基板の方に面するとともに前記第1の基板とは反対側に面している、レーザプロジェクタ。
【請求項6】
前記レーザ源を囲むとともに前記出射窓を含む筐体をさらに備える、請求項2から請求項5のいずれか一項に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項7】
前記回折格子はホログラフィック回折格子である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項8】
前記回折格子は表面レリーフ回折格子である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項9】
前記回折格子のうち前記光線の前記光路と重なる少なくとも一部分は、前記光線の波長に対応する共振波長を有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項10】
前記出射窓の前記主出力面は前記出射窓の主入力面に対して傾斜しており、前記光線は前記出射窓の前記主入力面に入射する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項11】
光強度を測定するように構成された少なくとも1つの光検出器と、
光学エンジンとを備え、前記光学エンジンは、
複数の光線を出力するように構成された複数のレーザ源と、
前記複数のレーザ源を囲む筐体とを含み、前記筐体は、前記複数のレーザ源によって出力される前記複数の光線の各々の光路に配置された出射窓を有し、前記光学エンジンはさらに、
前記出射窓の主出力面に配置された回折格子を含み、前記回折格子は、前記複数の光線の各々の一部分を前記少なくとも1つの光検出器の方にリダイレクト
前記光学エンジンは基板の表面上に配置され、前記少なくとも1つの光検出器は、前記筐体の前記出射窓の第1の側壁の向かいに配置される第1の光検出器を含み、前記第1の側壁は、前記主出力面に隣接し、かつ、前記基板の前記表面に対して垂直な平面を規定し、前記回折格子は、前記出射窓の前記第1の側壁を通して、前記複数の光線のうちの少なくとも第1の光線の第1の部分を前記第1の光検出器の方にリダイレクトする、レーザプロジェクタ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの光検出器はさらに、前記筐体の前記出射窓の第2の側壁の向かいに配置される第2の光検出器を含み、前記第2の側壁は前記第1の側壁の反対側にあり、前記回折格子は、前記出射窓の前記第2の側壁を通して、前記複数の光線のうちの少なくとも第2の光線の第2の部分を前記第2の光検出器の方にリダイレクトする、請求項11に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項13】
前記光学エンジンはさらに、前記出射窓の前記第1の側壁上に配置される第1のダイクロイックフィルタと、前記出射窓の前記第2の側壁上に配置される第2のダイクロイックフィルタとを含み、前記第1のダイクロイックフィルタは、前記第1の光線の光の波長に対応する光の第1の波長を透過させ、前記第2の光線の光の波長に対応する光の第2の波長を反射するように構成され、前記第2のダイクロイックフィルタは、光の前記第2の波長を透過させ、光の前記第1の波長を反射するように構成される、請求項12に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項14】
光強度を測定するように構成された少なくとも1つの光検出器と、
光学エンジンとを備え、前記光学エンジンは、
複数の光線を出力するように構成された複数のレーザ源と、
前記複数のレーザ源を囲む筐体とを含み、前記筐体は、前記複数のレーザ源によって出力される前記複数の光線の各々の光路に配置された出射窓を有し、前記光学エンジンはさらに、
前記出射窓の主出力面に配置された回折格子を含み、前記回折格子は、前記複数の光線の各々の一部分を前記少なくとも1つの光検出器の方にリダイレクトし、
前記光学エンジンは基板上に配置され、前記少なくとも1つの光検出器は、
前記出射窓の真下および前記複数の光線のうちの第1の光線の第1の光路の真下に配置された第1の光検出器を含み、前記回折格子は、前記出射窓のうち前記基板に面する底面を通して、前記第1の光線の第1の部分を前記第1の光検出器の方にリダイレクトし、前記少なくとも1つの光検出器はさらに、
前記出射窓の真下および前記複数の光線のうちの第2の光線の第2の光路の真下に配置された第2の光検出器を含み、前記回折格子は、前記出射窓の前記底面を通して、前記第2の光線の第2の部分を前記第2の光検出器の方にリダイレクトする、レーザプロジェクタ。
【請求項15】
前記第1の光検出器および前記第2の光検出器は各々、前記基板に埋込まれている、請求項14に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項16】
前記光学エンジンは前記基板の第1の側に配置され、前記第1の光検出器および前記第2の光検出器は各々、前記第1の側とは反対側の前記基板の第2の側に配置され、前記回折格子は、前記出射窓の前記底面を通して、かつ前記第1の側から前記第2の側まで前記基板内を通って延在する第1のアパーチャを通して、前記第1の光線の前記第1の部分を前記第1の光検出器の方にリダイレクトし、前記回折格子は、前記出射窓の前記底面を通して、かつ前記第1の側から前記第2の側まで前記基板内を通って延在する第2のアパーチャを通して、前記第2の光線の前記第2の部分を前記第2の光検出器の方にリダイレクトする、請求項14に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項17】
光強度を測定するように構成された少なくとも1つの光検出器と、
光学エンジンとを備え、前記光学エンジンは、
複数の光線を出力するように構成された複数のレーザ源と、
前記複数のレーザ源を囲む筐体とを含み、前記筐体は、前記複数のレーザ源によって出力される前記複数の光線の各々の光路に配置された出射窓を有し、前記光学エンジンはさらに、
前記出射窓の主出力面に配置された回折格子を含み、前記回折格子は、前記複数の光線の各々の一部分を前記少なくとも1つの光検出器の方にリダイレクトし、
前記光学エンジンは第1の基板上に配置され、前記少なくとも1つの光検出器は、前記出射窓の真上かつ前記複数の光線の前記光路のうちの少なくとも1つの真上に配置されるように前記第1の基板の上方に配置された第2の基板上に配置され、前記回折格子は、前記出射窓の上面を通して、前記複数の光線のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分を前記少なくとも1つの光検出器の方にリダイレクトし、前記上面は前記第2の基板の方に面するとともに前記第1の基板とは反対側に面している、レーザプロジェクタ。
【請求項18】
前記出射窓と前記少なくとも1つの光検出器との間にコリメートレンズをさらに備える、請求項11から請求項17のいずれか1項に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項19】
前記回折格子はホログラフィック回折格子を含む、請求項11から請求項18のいずれか1項に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項20】
前記回折格子は表面レリーフ回折格子を含む、請求項11から請求項18のいずれか1項に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項21】
前記回折格子は、
記第1の光線の第1の波長に対応する第1の共振波長を有する第1の部分を含み、前記第1の部分は前記第1の光線の第1の光路に重なり、前記回折格子はさらに、
記第2の光線の第2の波長に対応する第2の共振波長を有する第2の部分を含み、前記第2の部分は前記第2の光線の第2の光路に重なる、請求項12から請求項16のいずれか1項に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項22】
前記出射窓の前記主出力面は前記出射窓の主入力面に対して傾斜しており、前記光線は前記出射窓の前記主入力面に入射する、請求項11から請求項21のいずれか1項に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項23】
光学エンジンであって、前記光学エンジンは、
光線を出力するように構成されたレーザ源と、
前記レーザ源によって出力された前記光線の光路に配置された出射窓とを備え、前記出射窓は前記出射窓の主入力面を介して前記光線を受取り、さらに、
前記出射窓の主出力面上に配置された回折格子を備え、前記回折格子は、前記主入力面と前記主出力面との間に延在する前記出射窓の少なくとも1つの表面を通して前記光線の一部分をリダイレクト
前記光学エンジンは基板の表面上に配置され、前記回折格子は、前記出射窓の第1の側壁を通して前記光線の前記一部分をリダイレクトし、前記第1の側壁は前記主入力面と前記主出力面との間に延在し、かつ、前記基板の前記表面に対して垂直な平面を規定する、光学エンジン。
【請求項24】
前記回折格子はさらに、前記出射窓の第2の側壁を通して前記光線の前記一部分をリダイレクトし、前記第2の側壁は前記出射窓に対して前記第1の側壁の反対側にある、請求項23に記載の光学エンジン。
【請求項25】
前記レーザ源は第1のレーザ源であり、前記光線は第1の光線であり、前記光学エンジンはさらに、
第2の光線を出力するように構成された第2のレーザ源と、
前記出射窓の前記第1の側壁上に配置された第1のダイクロイックフィルタと、
前記出射窓の前記第2の側壁上に配置された第2のダイクロイックフィルタとを備え、
前記第1のダイクロイックフィルタは、前記第1の光線の光の波長に対応する光の第1の波長を透過させ、前記第2の光線の光の波長に対応する光の第2の波長を反射するように構成され、前記第2のダイクロイックフィルタは、光の前記第2の波長を透過させ、光の前記第1の波長を反射するように構成される、請求項24に記載の光学エンジン。
【請求項26】
光学エンジンであって、前記光学エンジンは、
光線を出力するように構成されたレーザ源と、
前記レーザ源によって出力された前記光線の光路に配置された出射窓とを備え、前記出射窓は前記出射窓の主入力面を介して前記光線を受取り、さらに、
前記出射窓の主出力面上に配置された回折格子を備え、前記回折格子は、前記主入力面と前記主出力面との間に延在する前記出射窓の少なくとも1つの表面を通して前記光線の一部分をリダイレクトし、
前記光学エンジンは基板の表面上に配置され、前記回折格子は、前記出射窓のうち前記基板に面する底面を通して前記光線の前記一部分をリダイレクトする、光学エンジン。
【請求項27】
光学エンジンであって、前記光学エンジンは、
光線を出力するように構成されたレーザ源と、
前記レーザ源によって出力された前記光線の光路に配置された出射窓とを備え、前記出射窓は前記出射窓の主入力面を介して前記光線を受取り、さらに、
前記出射窓の主出力面上に配置された回折格子を備え、前記回折格子は、前記主入力面と前記主出力面との間に延在する前記出射窓の少なくとも1つの表面を通して前記光線の一部分をリダイレクトし、
前記光学エンジンは基板の表面上に配置され、前記回折格子は、前記出射窓の上面を通して前記光線の前記一部分をリダイレクトし、前記上面は、前記主入力面と前記基板とは反対側に面する前記主出力面との間に延在する、光学エンジン。
【請求項28】
前記レーザ源を囲むとともに前記出射窓を含む筐体をさらに備える、請求項23から請求項27のいずれか1項に記載の光学エンジン。
【請求項29】
前記出射窓を出射した時の前記光線の前記光路に配置される光検出器と、
前記出射窓と前記光検出器との間のコリメートレンズとをさらに備える、請求項23から請求項28のいずれか1項に記載の光学エンジン。
【請求項30】
前記回折格子はホログラフィック回折格子を含む、請求項23から請求項29のいずれか1項に記載の光学エンジン。
【請求項31】
前記回折格子は表面レリーフ回折格子を含む、請求項23から請求項29のいずれか1項に記載の光学エンジン。
【請求項32】
前記回折格子のうち前記光線の前記光路と重なる少なくとも一部分は、前記光線の波長に対応する共振波長を有する、請求項23から請求項31のいずれか1項に記載の光学エンジン。
【請求項33】
前記出射窓の前記主出力面は前記出射窓の前記主入力面に対して傾斜しており、前記光線は前記出射窓の前記主入力面に入射する、請求項23から請求項32のいずれか1項に記載の光学エンジン。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
プロジェクタは、別の物体の上(例えば、投影スクリーン上等の別の物体の表面上)に光のパターンを投影または照射して、その別の物体上に画像または映像を表示するための光学デバイスである。レーザプロジェクタは、光源が少なくとも1つのレーザを備えるプロジェクタであって、この場合、レーザを一時的に変調させてレーザ光のパターンを形成し、このレーザ光のパターンを次に別の物体(例えば、スクリーンまたはレンズ)の表示エリアにわたって空間的に分散させて画像または映像を表示する。レーザプロジェクタの性能をより良く制御するために、レーザプロジェクタのレーザ出力パワーを監視することが時として有利である。例えば、レーザプロジェクタのレーザ出力パワーを正確に監視することにより、レーザプロジェクタが、ディスプレイの白色点および/または輝度を調節および調整するようにレーザ出力パワーを制御することが可能になるだろう。
【発明の概要】
【0002】
概要
ある例では、レーザプロジェクタは、光強度を測定するように構成された光検出器と、光学エンジンとを含む。当該光学エンジンは、光線を出力するように構成されたレーザ源と、当該レーザ源によって出力される当該光線の光路に配置された出射窓と、当該出射窓の主出力面に配置された回折格子とを含み、当該回折格子は、当該光線の一部分を当該光検出器の方にリダイレクトする。
【0003】
いくつかの実施形態では、レーザプロジェクタは、当該レーザ源を囲むとともに当該出射窓を含む筐体を含む。
【0004】
いくつかの実施形態では、当該回折格子はホログラフィック回折格子である。
いくつかの実施形態では、当該回折格子は表面レリーフ回折格子である。
【0005】
いくつかの実施形態では、当該回折格子のうち当該光線の当該光路と重なる少なくとも一部分は、当該光線の当該波長に対応する共振波長を有する。
【0006】
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは基板の表面上に配置され、当該光検出器は、当該筐体の当該出射窓の側壁の向かいに配置され、当該側壁は、当該主出力面に隣接し、かつ、当該基板の表面に対して垂直な平面を規定し、当該回折格子は、当該出射窓の当該側壁を通して当該光線の当該一部分を当該光検出器の方にリダイレクトする。
【0007】
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは基板上に配置され、当該光検出器は、当該出射窓の真下および当該光線の当該光路の真下に配置され、当該回折格子は、当該出射窓のうち当該基板に面する底面を通して当該光線の当該一部分を当該光検出器の方にリダイレクトする。
【0008】
いくつかの実施形態では、光検出器は基板に埋込まれている。
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは当該基板の第1の側に配置され、当該光検出器は、当該第1の側とは反対側の当該基板の第2の側に配置され、当該回折格子は、当該出射窓の当該底面を通して、かつ当該第1の側から当該第2の側まで当該基板内を通って延在するアパーチャを通して、当該光線の当該一部分を当該光検出器の方にリダイレクトする。
【0009】
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは第1の基板上に配置され、当該光検出器は、当該光検出器が当該出射窓および当該光線の当該光路の真上に配置されるように当該第1の基板の上方に配置される第2の基板上に配置され、当該回折格子は、当該出射窓の上面を通して当該光線の当該一部分を当該光検出器の方にリダイレクトし、当該上面は当該第2の基板の方に面するとともに当該第1の基板とは反対側に面している。
【0010】
いくつかの実施形態では、当該出射窓の当該主出力面は当該出射窓の主入力面に対して傾斜しており、当該光線は当該出射窓の当該主入力面に入射する。
【0011】
一例では、レーザプロジェクタは、光強度を測定するように構成された少なくとも1つの光検出器と、光学エンジンとを含む。当該光学エンジンは、複数の光線を出力するように構成された複数のレーザ源と、当該複数のレーザ源を囲む筐体とを含み、当該筐体は、当該複数のレーザ源によって出力される当該複数の光線の各々の光路に配置された出射窓を有し、当該光学エンジンはさらに、当該出射窓の主出力面に配置された回折格子を含む。当該回折格子は、当該複数の光線の各々の一部分を当該少なくとも1つの光検出器の方にリダイレクトする。
【0012】
いくつかの実施形態では、当該レーザプロジェクタは、当該出射窓と当該少なくとも1つの光検出器との間にコリメートレンズを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、当該回折格子はホログラフィック回折格子を含む。
いくつかの実施形態では、当該回折格子は表面レリーフ回折格子を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、当該回折格子は、当該複数の光線のうちの第1の光線の第1の波長に対応する第1の共振波長を有する第1の部分を含む。当該第1の部分は当該第1の光線の第1の光路に重なる。当該回折格子はさらに、当該複数の光線のうちの第2の光線の第2の波長に対応する第2の共振波長を有する第2の部分を含む。当該第2の部分は当該第2の光線の第2の光路に重なる。
【0015】
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは基板の表面上に配置され、当該少なくとも1つの光検出器は、当該筐体の当該出射窓の第1の側壁の向かいに配置される第1の光検出器を含み、当該第1の側壁は、当該主出力面に隣接し、かつ、当該基板の当該表面に対して垂直な平面を規定し、当該回折格子は、当該出射窓の当該第1の側壁を通して、当該複数の光線のうちの少なくとも第1の光線の第1の部分を当該第1の光検出器の方にリダイレクトする。
【0016】
いくつかの実施形態では、当該少なくとも1つの光検出器は、当該筐体の当該出射窓の第2の側壁の向かいに配置される第2の光検出器を含み、当該第2の側壁は当該第1の側壁に反対側にあり、当該回折格子は、当該出射窓の当該第2の側壁を通して、当該複数の光線のうちの少なくとも第2の光線の第2の部分を当該第2の光検出器の方にリダイレクトする。
【0017】
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは、当該出射窓の当該第1の側壁上に配置される第1のダイクロイックフィルタと、当該出射窓の当該第2の側壁上に配置される第2のダイクロイックフィルタとを含み、当該第1のダイクロイックフィルタは、当該第1の光線の光の波長に対応する光の第1の波長を透過させ、当該第2の光線の光の波長に対応する光の第2の波長を反射するように構成され、当該第2のダイクロイックフィルタは、光の当該第2の波長を透過させ、光の当該第1の波長を反射するように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは基板上に配置され、当該少なくとも1つの光検出器は、当該出射窓の真下および当該複数の光線のうちの第1の光線の第1の光路の真下に配置された第1の光検出器を含み、当該回折格子は、当該出射窓のうち当該基板に面する底面を通して、当該第1の光線の第1の部分を当該第1の光検出器の方にリダイレクトし、当該少なくとも1つの光検出器はさらに、当該出射窓の真下および当該複数の光線のうちの第2の光線の第2の光路の真下に配置された第2の光検出器を含み、当該回折格子は、当該出射窓の当該底面を通して、当該第2の光線の第2の部分を当該第2の光検出器の方にリダイレクトする。
【0019】
いくつかの実施形態では、当該第1の光検出器および当該第2の光検出器は各々、当該基板に埋込まれている。
【0020】
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは当該基板の第1の側に配置され、当該第1の光検出器および当該第2の光検出器は各々、当該第1の側とは反対側の当該基板の第2の側に配置され、当該回折格子は、当該出射窓の当該底面を通して、かつ当該第1の側から当該第2の側まで当該基板内を通って延在する第1のアパーチャを通して、当該第1の光線の当該第1の部分を当該第1の光検出器の方にリダイレクトし、当該回折格子は、当該出射窓の当該底面を通して、かつ当該第1の側から当該第2の側まで当該基板内を通って延在する第2のアパーチャを通して、第2の光線の当該第2の部分を当該第2の光検出器の方にリダイレクトする。
【0021】
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは第1の基板上に配置され、当該少なくとも1つの光検出器は、当該出射窓の真上かつ当該複数の光線の当該光路のうちの少なくとも1つの真上に配置されるように当該第1の基板の上方に配置された第2の基板上に配置され、当該回折格子は、当該出射窓の上面を通して、当該複数の光線のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分を当該少なくとも1つの光検出器の方にリダイレクトし、当該上面は当該第2の基板の方に面するとともに当該第1の基板とは反対側に面している。
【0022】
いくつかの実施形態では、当該出射窓の当該主出力面は当該出射窓の主入力面に対して傾斜しており、当該光線は当該出射窓の当該主入力面に入射する。
【0023】
一例では、光学エンジンは、光線を出力するように構成されたレーザ源と、当該レーザ源によって出力された当該光線の光路に配置された出射窓とを含み、当該出射窓は当該出射窓の主入力面を介して当該光線を受取り、当該光学エンジンはさらに、当該出射窓の主出力面上に配置された回折格子を含み、当該回折格子は、当該主入力面と当該主出力面との間に延在する当該出射窓の少なくとも1つの表面を通して当該光線の一部分をリダイレクトする。
【0024】
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは、当該レーザ源を囲むとともに当該出射窓を含む筐体を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、当該光線の大部分は当該出射窓を出射する。
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは、当該出射窓を出射した時の当該光線の当該光路に配置される光検出器と、当該出射窓と当該光検出器との間のコリメートレンズとを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、当該回折格子はホログラフィック回折格子を含む。
いくつかの実施形態では、当該回折格子は表面レリーフ回折格子を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、当該回折格子のうち当該光線の当該光路と重なる少なくとも一部分は、当該光線の当該波長に対応する共振波長を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは基板の表面上に配置され、当該回折格子は、当該出射窓の第1の側壁を通して当該光線の当該一部分をリダイレクトし、当該第1の側壁は当該主入力面と当該主出力面との間に延在し、かつ、当該基板の当該表面に対して垂直な平面を規定する。
【0029】
いくつかの実施形態では、当該回折格子はさらに、当該出射窓の第2の側壁を通して当該光線の当該一部分をリダイレクトし、当該第2の側壁は当該出射窓に対して当該第1の側壁の反対側にある。
【0030】
いくつかの実施形態では、当該レーザ源は第1のレーザ源であり、当該光線は第1の光線であり、当該光学エンジンは、第2の光線を出力するように構成された第2のレーザ源と、当該出射窓の当該第1の側壁上に配置された第1のダイクロイックフィルタと、当該出射窓の当該第2の側壁上に配置された第2のダイクロイックフィルタとを含む。当該第1のダイクロイックフィルタは、当該第1の光線の光の波長に対応する光の第1の波長を透過させ、当該第2の光線の光の波長に対応する光の第2の波長を反射するように構成され、当該第2のダイクロイックフィルタは、光の当該第2の波長を透過させ、光の当該第1の波長を反射するように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは基板の表面上に配置され、当該回折格子は、当該出射窓のうち当該基板に面する底面を通して当該光線の当該一部分をリダイレクトする。
【0032】
いくつかの実施形態では、当該光学エンジンは基板の表面上に配置され、当該回折格子は、当該出射窓の上面を通して当該光線の当該一部分をリダイレクトし、当該上面は、当該主入力面と当該基板とは反対側に面する当該主出力面との間に延在する。
【0033】
いくつかの実施形態では、当該出射窓の当該主出力面は当該出射窓の当該主入力面に対して傾斜しており、当該光線は当該出射窓の当該主入力面に入射する。
【0034】
図面の簡単な説明
本開示は、添付の図面を参照することによって、より良く理解され得るとともに、その多数の特徴および利点が当業者にとって明らかになる。異なる図面にて同じ参照符号を用いる場合、同様または同一の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】いくつかの実施形態に従ったウェアラブルヘッドアップディスプレイを側面から見たブロック図である。
図2】いくつかの実施形態に従った、光学エンジンを含むレーザプロジェクタを備えたウェアラブルヘッドアップディスプレイを示す等角図である。
図3】レーザ光の一部分を光検出器へとリダイレクトするための個別のピックオフコンポーネントを含むレーザプロジェクタを上から見たブロック図である。
図4】いくつかの実施形態に従った、ホログラフィック回折格子を有する出射窓を含む光学エンジンを有するレーザプロジェクタを上から見たブロック図である。
図5】いくつかの実施形態に従った、反射型表面レリーフ回折格子を有する出射窓を含む光学エンジンを有するレーザプロジェクタを上から見たブロック図である。
図6】いくつかの実施形態に従った、回折格子を有する出射窓を含む光学エンジンを有するレーザプロジェクタを上から見たブロック図であり、回折格子に入射するレーザ光の一部分が、出射窓の両側面を通じそれぞれのカラーフィルタを通して、当該両側面と位置合わせされた光検出器の方にリダイレクトされる状態を示す図である。
図7】いくつかの実施形態に従った、回折格子を有する出射窓を含む光学エンジンを有するレーザプロジェクタを側面から見たブロック図であり、回折格子に入射するレーザ光の一部分が、出射窓の底面を通して、出射窓が配置される基板に埋込まれた光検出器の方にリダイレクトされる状態を示す図である。
図8】いくつかの実施形態に従った、回折格子を有する出射窓を含む光学エンジンを有するレーザプロジェクタを側面から見たブロック図であり、回折格子に入射するレーザ光の一部分が、出射窓の底面を通じ、出射窓が配置される基板の通過アパーチャを通して、基板のうち出射窓とは反対側に配置された光検出器の方にリダイレクトされる状態を示す図である。
図9】いくつかの実施形態に従った、回折格子を有する出射窓を含む光学エンジンを有するレーザプロジェクタを側面から見たブロック図であり、出射窓が第1の基板上に配置されており、回折格子に入射するレーザ光の一部分が、出射窓の上面を通して、出射窓の上面の上方に位置する第2の基板上に配置された光検出器の方にリダイレクトされる状態を示す図である。
図10】ある実施形態に従った、出射窓の底面から出射窓の上面まで上向きおよび外向きに傾斜する主出力面を有する出射窓を示す斜視図および側面図である。
図11】ある実施形態に従った、出射窓の上面から出射窓の底面まで下向きおよび外向きに傾斜する主出力面を有する出射窓を示す斜視図および側面図である。
図12】ある実施形態に従った、出射窓の左側面から出射窓の右側面まで右向きおよび外向きに傾斜する主出力面を有する出射窓を示す斜視図および側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明
本開示は、レーザベースの光学エンジンならびに光強度および/またはレーザ出力パワー測定(例えば、監視)能力を有するレーザプロジェクタを提供するためのシステムおよび方法を記載する。本明細書に記載の様々な実施形態に従うと、レーザプロジェクタの光学エンジンは、(例えば、部分的または完全に気密封止された)筐体内に封入され得る少なくとも1つのレーザ源(例えば、レーザダイオードまたは複数のレーザダイオード)を含む。筐体は、その側壁もしくは上面のうちの1つと一体化され得るかまたはその側壁もしくは上面のうちの1つを形成する光学窓(本明細書では「出射窓」と称することもある)を含み得る。レーザ源によって出力されるレーザ光線は、レーザプロジェクタの実際の動作中に出射窓を通過して筐体を出る可能性もある。光学エンジンは、パワー監視のために比較的小さい基板エリアをサポートし得るので、光学エンジンの全体サイズは小さくなり得る。従って、レーザプロジェクタまたは光学エンジンは、ウェアラブルヘッドアップディスプレイまたは他のヘッドマウントディスプレイを含む様々なディスプレイ設計において柔軟に採用することができる。いくつかの実施形態では、光線は、出射窓を通過した後、それぞれのコリメートレンズを通過してダイクロイックフィルタ/ビームコンバイナに到達し、そこで様々な波長の光線が合成される。合成された光線は、次いで、スマートグラスまたは別のタイプのウェアラブルヘッドアップディスプレイのホログラフィックレンズ等の物体の表示面にわたって光線を投影する1つ以上の走査素子に向けられ得る。本明細書に記載の様々な実施形態はウェアラブルヘッドアップディスプレイに関連付けて提供されるが、本開示のレーザプロジェクタおよび光学エンジンは、そうではなく、投影エンジン、ライダシステム、検知システム、測距システム、および/または(例えば、一体型の強度安定化サーボとしての)外部空洞レーザダイオード等の他のシステムに含まれ得ることを理解されたい。
【0037】
概して、レーザプロジェクタの光学エンジンのレーザ源のレーザ出力パワーを監視することが望ましく、これにより、投影された画像または映像の品質の制御を改善させることが可能となり、レーザプロジェクタを含むデバイスのコントローラまたはプロセッサが、レーザ出力パワーのリアルタイムまたはほぼリアルタイムの測定値に基づいて光学エンジンの最大出力パワーを動的に制限することが可能となる。例えば、このようなウェアラブルデバイス内のパワーおよび空間(例えば、体積)の可用性が概ね制限されているため、レーザ出力パワーの監視は、ウェアラブルヘッドアップディスプレイで用いられるレーザプロジェクタの設計のために特に重要である傾向がある。レーザ出力パワー監視能力を有するレーザプロジェクタを設計するための従来の方法は、フォトダイオード等の光検出器の配置、ピックオフ(pickoff)ミラー等の光学コンポーネントの配置、および光検出器への透明な光路の維持のためだけに機能するプリント回路基板(printed circuit board:PCB)であり得るレーザプロジェクタ基板上に比較的広いフットプリントを必要とする。場合によっては、このフットプリントは、光学エンジン自体のフットプリントと同じ大きさであってもよい。従って、レーザプロジェクタの光学エンジンのためのレーザ出力パワー監視を実現する光検出器および/または光学コンポーネント(本明細書では「レーザ出力パワー監視コンポーネント」と総称することもある)によって占められる基板エリアを小さくすることが有利であるだろう。
【0038】
本明細書に記載のシステム、デバイスおよび技術は、例えば、出射窓の主出力面内またはその上に配置され得るとともに、レーザ源によって出力されたレーザ光線からの入射光の一部分を1つ以上の光検出器の方に(例えば、回折により)リダイレクトし得る、例えば回折格子を有する光学エンジンの筐体の出射窓を利用することによって、レーザパワー出力監視コンポーネントに必要な基板エリアの低減をもたらし得る。当該1つ以上の光検出器は、フォトダイオードであり得るとともに、出射窓の1つ以上の表面の向かいに配置され得る。様々な実施形態に従うと、出射窓は、出射窓の上またはその内部に配置または形成され得る回折格子を含む。当該回折格子は、レーザ源からの入射光を1つ以上の光検出器の方にリダイレクトする。いくつかの実施形態では、1つ以上の光検出器は、回折格子によってリダイレクトされるとともに出射窓の一方側または両側の側壁を通して出力される光を受取るように基板の上面上に配置されてもよい。出射窓の「側壁」または「側面」は、基板のうち光学エンジンが配置される側の表面と交差する(例えば、それに対して垂直である)平面を規定する、出射窓の主入力面と出射窓の主出力面との間に延在する出射窓の表面として規定され得る。いくつかの実施形態では、回折格子によってリダイレクトされて出射窓の底面を通して出力される光を1つ以上の光検出器が受取るように、当該1つ以上の光検出器が出射窓の下方に配置されて基板に完全にまたは部分的に埋込まれていてもよい。いくつかの実施形態では、出射窓は基板の第1の側に配置され、フォトダイオードであり得る1つ以上の光検出器は、第1の側とは反対側の基板の第2の側で出射窓の下方に配置されてもよく、これにより、当該1つ以上の光検出器は、回折格子によってリダイレクトされて出射窓の底面を通して出力される光を受取ることとなり、当該光は、基板の厚さ全体を貫通して延在する1つ以上のアパーチャを通過して1つ以上の光検出器に到達することとなる。いくつかの実施形態では、1つ以上の光検出器は、第1の基板のうち窓が配置される表面とは反対側の第2の基板の表面上において出射窓の上方に配置されてもよく、これにより、1つ以上の光検出器は、回折格子によってリダイレクトされて窓の上面を通過する光を受取ることとなる。
【0039】
出射窓は概して直方体形状であり得るが、出射窓の主出力面(すなわち、レーザ源が出力するレーザ光線が通過する表面)を、レーザ源が出力するレーザ光線が伝搬するそれぞれの軸(すなわち、それぞれの主軸)に対して直交しないように傾斜させることが有益であり得る。出射窓の主出力面を傾斜させることにより、回折格子によってリダイレクトされた光についてのレーザ源へのフィードバックが、実質的に直方体である出射窓のフィードバックと比べて低減される。いくつかの実施形態では、出射窓の主出力面は、出射窓の底面から出射窓の上面まで上向きかつ外向きに傾斜していてもよい。いくつかの実施形態では、出射窓の主出力面は、出射窓の上面から出射窓の底面まで下向きかつ外向きに傾斜していてもよい。この場合、底面は、基板のうち光学エンジンが配置される表面に面しており、上面は当該基板とは反対側に面している。いくつかの実施形態では、出射窓の主出力面は、出射窓の第1の側面から出射窓の第2の側面まで外向きに傾斜していてもよい。
【0040】
図1は、走査レーザプロジェクタであり得るレーザプロジェクタ110を採用するウェアラブルヘッドアップディスプレイ(wearable heads-up display:WHUD)100を側面から見た例示的な図である。例えば、WHUD100はスマートグラスまたは仮想現実(virtual reality:VR)ヘッドセットであり得る。レーザプロジェクタ110は、赤色レーザダイオード(図1に「R」と表示)、緑色レーザダイオード(図1に「G」と表示)、および青色レーザダイオード(図1に「B」と表示)を含む光学エンジン111と、2本の自由軸を中心として制御可能に回転可能である走査ミラー112とを備える。2本の自由軸を中心として回転可能である単一の走査ミラー112は、本明細書では具体例としてのみ用いられるものであって、当業者であれば、2つの走査ミラーが各々2本の直交自由軸のうち対応する軸を中心として制御可能に回転可能でありレーザ光120の光路に対して順に位置決めされている構成等の別のミラー構成を用いて同様の機能が実現され得ることを理解するだろう。レーザプロジェクタ110が出力するレーザ光120は、(赤色レーザダイオードが出力する)赤色レーザ光、(緑色レーザダイオードが出力する)緑色レーザ光、および/または(青色レーザダイオードが出力する)青色レーザ光の任意の変調された組合わせを含み得る。走査ミラー112から反射したレーザ光120は、レーザ光120をユーザの眼190に向かって戻すようにリダイレクトするホログラフィック光学素子(holographic optical element:「HOE」)130に入射する。概して、本開示では、「ユーザ」という語はレーザプロジェクタを含むデバイスのユーザを指す。図1の特定の文脈では、「ユーザ」という語はWHUD100を着用するかまたは用いる人を指す。当業者であれば、WHUD100がユーザの頭部に装着された時少なくともHOE130がユーザの少なくとも一方の眼190の視野内に位置決めされるようにユーザが図1に示す要素を装着することを可能にする(雑然さを抑制するために図1には示されない)支持フレームおよび/または他の支持/位置合わせ構造をWHUD100が含み得ることを認識するだろう。
【0041】
HOE130は、レーザ光120に対してHOE130の反対側から入射する環境光140に対して実質的に光学的に透明(すなわち、環境光140を構成する波長の大部分に対して光学的に透明)であり得る。HOE130は、投影されたレーザ光120と環境光140とをユーザの視野内で有効に合成するので、「コンバイナ」または関連する変形例、例えば「透明コンバイナ」、「ホログラフィック光コンバイナ」等とも称され得る。WHUD100の支持フレーム(図1に図示せず)が一般的な眼鏡の形状、外観および/または幾何学形状を有する場合、HOE130はWHUD100の1つ以上の透明レンズ(1つ以上の処方レンズまたは1つ以上の非処方レンズ等)上に担持されてもよい。いくつかの実施形態では、WHUD100は、コンピュータプロセッサおよびカメラまたは他のセンサ等の、一緒に合わさって視線追跡機能を実行する1つ以上のコンポーネントを含み得る。
【0042】
概して、HOE130(すなわち、ディスプレイ表面)上に投影される画像または映像をより良く制御し、WHUD100の最大出力パワーを制限するために、レーザプロジェクタ110におけるレーザ出力パワーを監視することが望ましい。レーザプロジェクタ110等のレーザプロジェクタにおけるレーザ出力パワーの監視は、典型的には、レーザ光120の一部分をオンチップ光検出器にリダイレクトするために離散ピックオフコンポーネントを用いて実行される。しかしながら、このようなレーザ出力パワー監視手法は、レーザプロジェクタ基板上に比較的大きなフットプリントを必要とする。レーザ出力パワー監視コンポーネントのフットプリントを減らすために、光学エンジン111のコンポーネントのうちのいくつかまたはすべてを含む筐体の出射窓は、レーザ光120の一部分を、当該出射窓の上壁、底壁または側壁を通して、出射窓の上壁、底壁または側壁の光路の向かい側に配置されるとともに当該光路にも配置された1つ以上の光検出器の方にリダイレクトするように構成され得る。例えば、光学エンジン111は、その筐体の出射窓内またはその上に回折格子を含んでもよく、当該回折格子は、レーザ光120の一部分をフォトダイオードであり得る1つ以上の光検出器の方にリダイレクトし、当該1つ以上の光検出器はリダイレクトされた光の強度を検出し、そこから、次に、(例えば、WHUD100のコンピュータプロセッサまたは固定もしくはプログラム可能な論理回路によって)レーザプロジェクタ110の光学エンジン111のレーザ出力パワーを導き出してもよい。光学エンジン111等の光学エンジンの出射窓を用いてレーザ光の一部分をリダイレクトするための様々な手法が図4図9の様々な実施形態にて以下に提示される。
【0043】
図2は、本システム、デバイスおよび方法に従ったレーザプロジェクタ202を備えたウェアラブルヘッドアップディスプレイ(WHUD)200の概略図である。WHUD200は、使用時にユーザの頭部に装着される眼鏡の形状および外観を有する支持構造204を含む。支持構造204は、眼鏡レンズ206、透明コンバイナ208、レーザプロジェクタ202、およびコントローラまたはプロセッサ210を含む複数のコンポーネントを担持する。いくつかの実施形態では、レーザプロジェクタ202は、図1および図4図9のレーザプロジェクタ110、400、500、600、700、800または900のうちの1つ以上と同様または同一であり得る。例えば、レーザプロジェクタ202は光学エンジン111、402、502、602、702、802または902等の光学エンジンを含み得る。レーザプロジェクタ202は、上述したように、レーザプロジェクタ202の動作を制御するコントローラ210(例えば、マイクロプロセッサ)に通信可能に結合され得る。コントローラ210は、非一時的なプロセッサ可読記憶媒体(例えば、ROM、RAM、FLASH、EEPROM、メモリレジスタ、磁気ディスク、光ディスク、他のストレージ等のメモリ回路)を含み得るかまたはそれに通信可能に結合され得るとともに、コントローラは、非一時的なプロセッサ可読記憶媒体からのデータおよび/または命令を実行してレーザプロジェクタ202の動作を制御し得る。
【0044】
コントローラ210は、WHUD200の動作時に、レーザ光を発するようにレーザプロジェクタ202を制御する。図1を参照して上述したように、レーザプロジェクタ202は、レーザ光の集積ビーム(例えば、図1のレーザ光120)を生成し、少なくとも1つの制御可能なミラー(図2には図示せず)を介して透明コンバイナ208の方に向ける。集積ビームは、透明コンバイナ208によってユーザの眼の視野の方に向けられる。透明コンバイナ208は、ユーザの眼に入射するレーザ光のスポットが透明コンバイナ208におけるスポットと少なくともほぼ同じサイズおよび形状となるように、集積ビームをコリメートし得る。透明コンバイナ208は、少なくとも1つのホログラフィック光学素子を含むホログラフィックコンバイナであってもよい。
【0045】
レーザプロジェクタ202の光学エンジンは出射窓を有する筐体を含み得る。この場合、光学エンジンの1つ以上のコンポーネント(例えば、レーザ光を出力するレーザダイオード)は筐体内に配置され、筐体によって完全または部分的に気密封止されている。出射窓は、出射窓の表面(例えば、レーザダイオードによって出力されるレーザ光の大部分が筐体を出るときに通る主出力面)内に一体化されるかまたは当該表面上に配置される回折格子を含み得る。レーザ光の一部分は、回折格子によって1つ以上の光検出器の方にリダイレクトされる。これら1つ以上の光検出器はフォトダイオードであってもよく、レーザ光のうちのリダイレクトされた部分の光強度を測定する。コントローラ10は、1つ以上のフォトダイオードによって検出されたレーザ光のうちリダイレクトされた部分のレーザ出力パワーの光強度を決定するとともに、検出されたレーザ出力パワーに基づいてレーザプロジェクタの最大出力パワーを選択的に制限するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ210は、付加的または代替的には、検出されたレーザ出力パワーに少なくとも部分的に基づいてレーザプロジェクタによる画像または映像の投影を制御するように構成され得る。例えば、レーザ出力パワーを監視することにより、コントローラ10は、リアルタイムまたはほぼリアルタイムでレーザプロジェクタ202によって出力されるレーザ光線の全体的および色ごとの輝度強度を決定してもよく、コントローラ10は、決定された輝度強度に基づいて、レーザプロジェクタ202によって出力されるレーザ光線の全体的輝度および色バランスを制御してもよい。
【0046】
図3は、ピックオフコンポーネント320を利用してレーザ光を光検出器(PD)310にリダイレクトするレーザプロジェクタ300を示す。レーザプロジェクタ300は、それぞれのレーザ光線330を出力する青色(B)、緑色(G)および赤色(R)のレーザ源312-1、312-2および312-3を含む光学エンジン302を含む。光線はコリメートされ、合成され、走査素子308に向けられ、次いで、走査素子308が合成されたレーザ光線をWHUDのレンズ等の物体の表示エリア上に投影し、これにより、合成されたレーザ光線で表わされる画像または映像をユーザが見ることができるようになる。光線330は、光学エンジン302と走査素子308との間の光路に配置されたピックオフコンポーネント320を通して方向付けられる。ピックオフコンポーネント320は、レーザ光線330の一部分である光332(本明細書では「リダイレクトされたレーザ光332」と称することもある)をPD310にリダイレクトし、このPD310がリダイレクトされたレーザ光332の強度を測定する。次いで、測定された光強度を用いて、光学エンジン302のレーザ出力パワーを計算および監視する。光学エンジン302、走査素子308、ピックオフコンポーネント320およびPD310は全て、例えばプリント回路基板(PCB)であり得る基板301上に配置される。
【0047】
ピックオフコンポーネント320、PD310、およびピックオフコンポーネント320とPD310との間の光路の周りの基板301のエリア340は典型的には大きく(例えば、光学エンジン302のエリアとほぼ同じサイズであり)、他のコンポーネントの配置のために使用され得る空間、またはレーザプロジェクタ300に必要な基板エリア全体を減らすためにレーザプロジェクタ300から省かれ得る空間を占めている。以下の図4図9の実施形態で説明する技術は、ピックオフコンポーネント20を必要とせず、代わりに、光学エンジンの筐体の出射窓の1つ以上の上壁、底壁または側壁を通して光をリダイレクトし、これにより、レーザ出力パワー監視に必要な基板エリアを有利に減らす。
【0048】
図4は、ホログラフィック回折格子を用いてフォトダイオードであり得る光検出器の方に光をリダイレクトする例示的なレーザプロジェクタ400を示す。具体的には、レーザプロジェクタ400は、光学エンジン402、コリメートレンズ404、ダイクロイックフィルタ/コンバイナ406、1つ以上の走査素子408、およびPD410を含み、これらはすべて基板401上に配置される。基板401は、例えばプリント回路基板(PCB)であってもよい。
【0049】
光学エンジン402は、青色レーザ源412-1、緑色レーザ源412-2、赤色レーザ源412-3を含む。レーザ源412は各々、1つ以上のレーザダイオードを含み得る。レーザ源412の各々は、そのレーザ源412に対して示されるそれぞれの色(赤、緑または青)に対応する狭い波長帯でそれぞれのレーザ光線430を発するように構成され得る。いくつかの代替的な実施形態では、赤外(infrared:IR)波長帯の光を発するように構成された第4のレーザ源を光学エンジン402に含めてもよい。
【0050】
光学エンジン402はさらに、内部体積を完全にまたは部分的に気密封止する筐体403を含み、レーザ源がその内部体積内に配置されている。筐体403は、レーザ源412が発したレーザ光線430がレーザプロジェクタ400の動作中に通過する出射窓414を含む。いくつかの実施形態では、基板401の一部分は、筐体403の床のいくらかの部分またはすべてを形成する。筐体403の側壁と、いくつかの実施形態では出射窓414とは、例えば接着剤で基板401に取付けられてもよく、接着剤は、筐体403のそれらの要素と基板401との間に部分的または完全な気密封止を形成し得る。いくつかの代替的な実施形態では、筐体403を基板40に取付けて封止するために、ガラスはんだ付け、ガラスフリットおよび陽極接合等の他の接着および密閉方法が用いられてもよい。出射窓414とは別に、筐体403は、外部光が筐体403に進入するのを妨げ、レーザ光が他の任意のアパーチャを通して筐体403を出て行くのを防止するように、不透明であり得る。例えば、筐体403の天井、床および側壁は(この場合も、出射窓414を除いて)不透明であってもよい。本例では、出射窓414は筐体403の一方の側壁の全てまたは一部分を形成し、レーザ源412が出力するレーザ光線の光路に配置されている。いくつかの代替的な実施形態では、出射窓414は、筐体403の上面の一部分(すなわち、基板401の反対側に配置されて基板401に対して非垂直に位置合わせされる部分)を形成し、筐体403内に封入された1つ以上のミラー(図示せず)は、レーザ源412からの光を出射窓414を通して筐体403の上面に向かって反射させる。出射窓414は、レーザ源412に面する主入力面でレーザ光線430を受取り、主入力面の反対側に配置された主出力面を通してレーザ光線430を出力する。
【0051】
出射窓414の主出力面を出射した後、これらのレーザ光線430は、各レーザ光線430がダイクロイックフィルタ/コンバイナ406上に集束するよう広がりを最小限にして位置合わせされるように、コリメートレンズ404によってコリメートされる。いくつかの代替的な実施形態では、1つ以上の偏光ビームスプリッタがダイクロイックフィルタ/コンバイナ406の代わりに用いられてもよい。ダイクロイックフィルタ/コンバイナ406は、レーザ光線430を単一の合成ビームに合成し、合成ビームを走査素子408に向けてリダイレクトし、これらの走査素子408が合成ビームをWHUDのレンズ等の物体の表示エリア上に投影し、これにより、合成ビームで表わされる画像または映像をユーザが見ることができるようになる。
【0052】
出射窓414はホログラフィック回折格子416を含む。ホログラフィック回折格子416は、出射窓414の側壁(例えば、図4に示される向きに対して右側壁)を通してレーザ光線430の一部分である光432(本明細書では「リダイレクトされたレーザ光432」と称することもある)を(例えば、回折により)、リダイレクトされた光の一部または全てが通る光路内において右側壁付近に配置されたPD410に向かってリダイレクトするように寸法決めされている。PD410はリダイレクトされたレーザ光432の強度を測定する。次いで、測定された光強度はPD410に結合されたコントローラまたはマイクロプロセッサに提供され、当該コントローラまたはマイクロプロセッサは、光学エンジン402のレーザ出力パワーを計算および監視するとともに、光学エンジン402の計算されたレーザ出力パワーに基づいて光学エンジン402の最大レーザ出力パワーを制限し得る。
【0053】
回折格子は、減法、加法、ホログラフィ(例えば、偏光ホログラフィ)、またはこれらの組合わせ等の様々な方法によって形成可能な周期的構造である。所与の回折格子は、回折格子が入射光に対してどのように配向されるかに応じて反射モード(すなわち「反射型回折格子」)または透過モード(すなわち「透過回折格子」)で配向され得る。回折格子は、回折格子が反応する光の波長および入射角の範囲に対して狭帯域または広帯域であり得る。所与の回折格子のための製造方法は、一般に、回折格子のために必要な特徴サイズおよびシステムの他の部分との一体化および/または回折格子自体の使用事例に依存している。回折格子のためのいくつかの製造方法は、半導体プロセスを用いて基板上の格子の周期的構造を(例えば、ナノインプリントリソグラフィ、直接紫外線(direct ultraviolet:UV)リソグラフィおよび/またはグレースケールリソグラフィ等により)エッチングするステップおよび/またはリソグラフィにより規定するステップを含む。このような格子は本明細書では「表面レリーフ」回折格子と称する。例えば、減法による格子は、スタイラス(例えば、ダイヤモンドスタイラス)または他の材料依存性の半導体製造技術を用いて基板に溝を線引きすることによって作製することができる。ホログラフィ等の回折格子のための他の製造方法は、格子の周期的構造を規定するために感光性材料上で干渉される複数のコヒーレント光源を用いる。ホログラフィック格子は、入射光がブラッグ条件を満たす場合、他の格子タイプよりも著しく高い効率を有し得る。例えば、最も単純なホログラフィック回折格子は、典型的には、2つのレーザ光線の干渉縞場の定在波パターンを基板に露光して、典型的には正弦波断面を有する線のパターンを形成するように当該基板を処理することによって、形成される。回折格子がその内部またはその上に形成される基板には、誘電体材料、半金属材料、半導体材料、金属材料、結晶質材料、ガラス材料、有機物材料、無機物材料、またはこれらの適用可能な組合わせが含まれ得る。
【0054】
回折格子は、その種類にかかわらず、光の入射角および光の波長に依存する角度で入射光を反射させる。本実施形態では、入射レーザ光線430のわずかな部分のみがホログラフィック回折格子416から反射され、残りの光は出射窓414の主出力面を通して出力される。いくつかの実施形態では、ホログラフィック回折格子416は体積位相ホログラフィック格子(volume phase holographic grating:VPHG)である。いくつかの実施形態では、ホログラフィック回折格子416は、反射モードで動作するとともに1つ以上の所望の共振波長の各々に対して狭帯域応答をもたらす(例えば、厚さが約20μm~200μmで屈折率変調が約0.001~約0.1である)厚型の体積ホログラフィック膜を含み、別個の格子が共振波長ごとに厚型の体積ホログラフィック膜内に含まれている。いくつかの実施形態では、ホログラフィック回折格子416は、波長および発散に関する光源パラメータのばらつきならびにこれらのパラメータに対する所望の感度に応じて、反射モードまたは透過モードで動作する(例えば、厚さが約1μmで屈折率変調が約0.001である)薄型体積ホログラフィック膜を含み、別個の格子が共振波長ごとに薄型体積ホログラフィック膜内に含まれている。ホログラフィック回折格子416の回折要素は、レーザ光線430の主な伝搬方向に対して平行な方向に延在するように示されているが、レーザ光線の一部分の所望の反射/回折方向を達成するために、必要に応じて、これらの要素が傾斜していてもよいこと、またはレーザ光線の主な伝搬方向に対して傾斜した1つ以上の表面を含み得ることを理解されたい。
【0055】
いくつかの実施形態では、出射窓414内で生じる内部反射の量を増やすために、反射コーティングが出射窓414の上面、底面または左側壁面のうちの1つ以上に塗布されてもよく、これにより、出射窓414の右側壁を通してPD410に向かって出力される光432の量を有利に増やし得る。例えば、出射窓414のこれらの表面上に反射コーティングを追加することにより、光のうち任意の部分をリダイレクトしてもよく、さもなければ、当該光が回折格子416の全内部反射(total internal reflection:TIR)状態から途切れる可能性がある。このことは、回折格子416上の入射光の一部分の角度が回折格子416の臨界角未満であることに起因して、または、出射窓414と別のコンポーネント(例えば、接着剤、基板401、筐体403等)との間の接触に起因して、起こる可能性がある。
【0056】
いくつかの実施形態では、ホログラフィック回折格子416の1つ以上の部分は、レーザ光線430の色のうちの1つ以上に対応するそれぞれの共振波長を有するように構成され得る。例えば、緑色レーザ光線430の光路にあるホログラフィック回折格子416の第1の部分は、緑色レーザ光線430の波長(例えば、約510nm~570nm)に整合する第1のピーク共振波長で構成されてもよく、青色レーザ光線430の光路にあるホログラフィック回折格子416の第2の部分は、青色レーザ光線430の波長(例えば、約360nm~480nm)に整合する第2のピーク共振波長で構成されてもよく、赤色レーザ光線430の光路にあるホログラフィック回折格子416の第3の部分は、赤色レーザ光線430の波長(例えば、約650nm~670nm)に整合する第3のピーク共振波長で構成されてもよい。ホログラフィック回折格子416をその長さに沿ってそれぞれ異なる共振波長を有する部分に分割し、分割した各々の部分がそれぞれ異なるレーザ光線430の波長に対応するように調整することにより、PD410の応答性の向上およびPD410までの経路長の短縮が実現され得る。例えば、回折格子416を具体的に色ごとに調整することにより、PD410に到達する回折光の量を最大にするかまたは増やすことができる。なぜなら、最も効率的な角度で光を回折させることにより、光路における損失が最小限に抑えられるからである。例えば、回折格子416に色固有の部分を設けることにより、出射窓414内のT1Rバウンスの数が低減され得るか、または、回折光のすべてまたは実質的にすべてがPD410に到達するようにレーザ光線430がより良くPD410の方に方向付けられ得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、コリメートレンズ433等の1つ以上の光学素子が、光432をPD410上に集束させるために出射窓414の右側壁とPD410との間に配置され得る。いくつかの実施形態では、このような光学素子は、付加的または代替的には、出射窓414の右側壁の出口面上に印刷された集束レンズ、幾何学的光学部品またはメタサーフェス光学部品を含み得る。
【0058】
図5は、反射型表面レリーフ回折格子を用いて、フォトダイオードであり得る光検出器の方に光をリダイレクトする例示的なレーザプロジェクタ500を示す。具体的には、レーザプロジェクタ500は、光学エンジン502、コリメートレンズ504、ダイクロイックフィルタ/コンバイナ506、1つ以上の走査素子508、およびPD510を含み、これらはすべて基板501上に配置される。基板501は例えばPCBであり得る。
【0059】
レーザプロジェクタ500の光学エンジン502、筐体503、コリメートレンズ504、ダイクロイックフィルタ/コンバイナ506、走査素子508、PD510、レーザ源512、出射窓514、およびレーザ光線530の様々な局面は、図4のレーザプロジェクタ400の対応する要素の局面と実質的に同じであり、簡潔にするために、このような要素の上述の記載のいくつかはここでは繰返さない。
【0060】
レーザプロジェクタ500と図4のレーザプロジェクタ400との相違点は、出射窓514内またはその上においてホログラフィック回折格子ではなく表面レリーフ回折格子516を用いていることである。反射型表面レリーフ回折格子516は、表面(例えば、出射窓514の主出力面)にレリーフ構造の繰返しパターンを含み、この場合、入射光は、光の入射角および光の波長に応じた角度で表面レリーフ回折格子から反射される。いくつかの実施形態では、反射型表面レリーフ回折格子516は、ブレーズド(blazed)反射型表面レリーフ回折格子であってもよい。いくつかの実施形態では、反射型表面レリーフ回折格子516は、特徴高さの低い微細ピッチバイナリ格子を含み得る。いくつかの実施形態では、反射型表面レリーフ回折格子516のための格子ピッチは320nm~440nmであり、格子高さは約2nm~300nmである。
【0061】
バイナリ格子ピッチは、レーザ光線530の入力波長および出射窓514の屈折率に基づいて選択される。例えば、赤色、緑色および青色の入力波長(例えば、それぞれ610nm~660nm、520nm~550nmおよび440nm~470nm)ならびに約1.51の出射窓屈折率の場合、バイナリ格子のピッチは、TIRでの青色入力波長を標的とすると約440nmに等しくなり得る。格子ピッチは、出射窓514の屈折率が高まるにつれて増加し、屈折率が低下するにつれて減少する。格子の各々の高さは格子用に用いられる材料に依存する。例えば、約1.51の屈折率を有するガラス出射窓514の直接エッチングまたはナノインプリントリソグラフィの場合、バイナリ格子は各々、青色波長に対して1%の合成効率および赤色波長に対して0.5%の合成効率を達成するように約20nmの高さを有してもよい。別の例として、約1.51の屈折率を有するガラス出射窓514の直接エッチングまたはナノインプリントリソグラフィの場合、バイナリ格子は各々、青色波長に対して8%の合成効率を達成するように約100nmの高さを有してもよい。別の例として、約1.51の屈折率を有するガラス出射窓514の直接エッチングまたはナノインプリントリソグラフィの場合、バイナリ格子は各々、青色波長に対して約2%の合成効率を達成し、赤色波長に対して約2%の合成効率を達成するように約200nmの高さを有してもよい。なお、いくつかの実施形態では、反射型表面レリーフ回折格子を用いるのではなく、非常に低いフィルファクタを有する透過型表面レリーフ回折格子を用いることで、格子のプラスマイナスの対称性を崩しながらも同様に低い合成効率が達成されることに留意されたい。本例では、反射型表面レリーフ回折格子516の入力波長合成効率が低いことにより、入射レーザ光線530のわずかな部分だけが反射型表面レリーフ回折格子516から反射され、残りの光は出射窓514の主出力面を通して出力される。
【0062】
反射型表面レリーフ回折格子516は、側壁(例えば、出射窓514の図5に示す向きに対して右側壁)を通して、光のうちいくらかの部分またはすべての部分がリダイレクトされる光路において右側壁付近に配置されたPD510に向けて、レーザ光線530の一部分である光532(本明細書では「リダイレクトされたレーザ光532」と称することもある)を(例えば、回折により)リダイレクトするように寸法決めされる。PD510は、リダイレクトされたレーザ光532の強度を測定する。測定された光強度は、PD510に結合されたコントローラまたはマイクロプロセッサに与えられ、当該コントローラまたはマイクロプロセッサは、光学エンジン502のレーザ出力パワーを計算し、監視し、調整するとともに、光学エンジン502の計算されたレーザ出力パワーに基づいて光学エンジン502の最大レーザ出力パワーを制限し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、出射窓514内で生じる内部反射の量を増やすために、反射コーティングが出射窓514の上面、底面または左側壁面のうちの1つ以上に塗布されてもよく、これにより、出射窓514の右側壁を通してPD510に向かって出力される光532の量を有利に増やし得る。例えば、出射窓514のこれらの表面上に反射コーティングを追加することにより、光のうち任意の部分をリダイレクトしてもよく、さもなければ、当該光が回折格子516の全内部反射(TIR)状態から途切れる可能性がある。このことは、回折格子516上の入射光の一部分の角度が回折格子516の臨界角未満であることに起因して、または、出射窓514と別のコンポーネント(例えば、接着剤、基板501、筐体503等)との間の接触に起因して、起こる可能性がある。
【0064】
いくつかの実施形態では、反射型表面レリーフ回折格子516の1つ以上の部分は、レーザ光線530の色のうちの1つ以上に対応するそれぞれの共振波長を有するように構成され得る。例えば、緑色レーザ光線530の光路にある反射型表面レリーフ回折格子516の第1の部分は、緑色レーザ光線530の波長(例えば、約510nm~570nm)に整合する第1のピーク共振波長で構成され得る。青色レーザ光線530の光路にある反射型表面レリーフ回折格子416の第2の部分は、青色レーザ光線530の波長(例えば、約360nm~480nm)に整合する第2のピーク共振波長で構成され得る。さらに、赤色レーザ光線530の光路にある反射型表面レリーフ回折格子516の第3の部分は、赤色レーザ光線530の波長(例えば、約650nm~670nm)に整合する第3のピーク共振波長で構成され得る。反射型表面レリーフ回折格子516をその長さに沿ってそれぞれ異なる共振波長を有する部分に分割し、分割した各々の部分が異なるレーザ光線530の波長に対応するように調整することにより、PD510の応答性の向上およびPD510までの経路長の短縮が実現され得る。例えば、反射型表面レリーフ回折格子516を個別に色ごとに調整することにより、PD510に到達する回折光の量を最大にするかまたは増やすことができる。なぜなら、最も効率的な角度で光を回折することにより、光路における損失が最小限に抑えられるからである。例えば、反射型表面レリーフ回折格子516に色固有の部分を設けることにより、出射窓514内のT1Rバウンスの数が減らされ得るか、または、回折光のすべてまたは実質的にすべてがPD510に到達するようにレーザ光線530がより良くPD510の方に方向付けられ得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、コリメートレンズ533等の1つ以上の光学素子が、光532をPD510上に集束させるように出射窓514の右側壁とPD510との間に配置さ得る。いくつかの実施形態では、このような光学素子は、付加的または代替的には、出射窓514の右側壁の出口面上に印刷された集束レンズ、幾何学的光学部品またはメタサーフェス光学部品を含み得る。
【0066】
図6は、反射型表面レリーフ回折格子を用いて、フォトダイオードであり得る2つの光検出器の方に光をリダイレクトする例示的なレーザプロジェクタ600を示す。具体的には、レーザプロジェクタ600は、光学エンジン602と、出射窓614および反射型回折格子616を有する筐体603と、コリメートレンズ604と、ダイクロイックフィルタ/コンバイナ606と、1つ以上の走査素子608と、2つのPD610(すなわち、図6に示される向きでは左側PD610-1および右側PD610-2)とを含み、これらはすべて基板601上に配置される。基板601は例えばPCBであってもよい。なお、本例では反射型表面レリーフ回折格子が示されているが、他の実施形態では、代わりにホログラフィック回折格子等の別のタイプの回折格子が出射窓614の主出力面に配置されてもよいことに留意されたい。
【0067】
レーザプロジェクタ600の光学エンジン602、筐体603、コリメートレンズ604、ダイクロイックフィルタ/コンバイナ606、走査素子608、PD610、レーザ源612、出射窓614およびレーザ光線630の様々な局面は、図4のレーザプロジェクタ400の対応する要素の局面と実質的に同じであり、簡潔にするために、このような要素の上述の説明のいくつかはここでは繰返さない。
【0068】
2つのPD610-1およびPD610-2は、レーザ源612によって出力されるレーザ光線630の一部分である光632が、出射窓614の側壁を通してPD610-1およびPD610-2の方にリダイレクトされるように、出射窓614の側壁をはさんで対向して配置される。反射型回折格子616は、本例ではバイナリ回折格子であってもよく、光線を出射窓614の両側壁に向かって左右に、これにより両方のPD610に向かって、リダイレクトさせてもよい。本例では、ダイクロイックフィルタ618-1および618-2はそれぞれ、出射窓614の左側壁および右側壁の表面上に配置される。ダイクロイックフィルタ618-1は出射窓614の左側壁に配置されており、青色レーザ源612-1によって出力される青色レーザ光線630の波長を集合的に含むとともに緑色レーザ源612-2によって出力される緑色レーザ光線630の波長を含む1つ以上の波長帯の光を(例えば、80%を超える透過率で)実質的に透過させ、さらに、赤色レーザ源612-3によって出力される赤色レーザ光線630の波長を含む波長帯の光を(例えば、80%を超える反射率で)実質的に反射させる。ダイクロイックフィルタ618-2は出射窓614の右側壁に配置されており、赤色レーザ源612-3によって出力される赤色レーザ光線630の波長を含む波長帯の光を(例えば、80%を超える透過率で)実質的に透過させ、さらに、青色レーザ源612-1によって出力される青色レーザ光線630の波長を集合的に含むとともに、緑色レーザ源612-2によって出力される緑色レーザ光線630の波長を含む1つ以上の波長帯の光を(例えば、80%を超える反射率で)実質的に反射させる。このように、PD610-1は主に緑色レーザ光線および青色レーザ光線の反射部分632-1を受取り、PD610-2は主に赤色レーザ光線の反射部分632-2を受取る。従って、PD610-1は青色レーザ光線と緑色レーザ光線との合成強度を測定し、PD610-2は赤色レーザ光線の強度を測定する。次いで、測定された光強度は、PD610-1および610-2に結合されたコントローラまたはマイクロプロセッサに提供され、当該コントローラまたはマイクロプロセッサが、光学エンジン602のレーザ出力パワーを計算および監視し、光学エンジン602の計算されたレーザ出力パワーに基づいて光学エンジン602の最大レーザ出力パワーを制限し得る。例えば、レーザ光線630の個々の色の輝度強度を測定する場合、測定対象である光の色に対応しないレーザ源612はオフにされ、測定対象である光の色に対応するレーザ源612はオンにされたままであり、レーザプロジェクタ600は、通常、これらの測定が実施されている間は画像データを表示することができない。PD610-2が赤色光を測定している間にPD610-1が青色光および緑色光を測定することを可能にする複数のフォトダイオード610およびカラーフィルタを設けることにより、レーザ光線630の輝度強度を測定するために必要なオフ時間の量が有利に減らされる。なぜなら、赤色および青色の輝度強度または赤色および緑色の輝度強度を同時に測定することができるからである。さらに、PD610-1が赤色レーザ光線の波長に反応するように調整され得るとともに、PD610-2が青色レーザ光線および緑色レーザ光線の波長に反応するように調整され得ることにより、PD610が受取る光がより少なくても当該PD610が輝度強度を正確に測定すること(例えば、PD610にリダイレクトされる必要がある光線630の部分を有利に減らすこと)、および/または、PD610がそれぞれの輝度強度測定値を正確に得るのに必要な時間の量を減らすこと、が可能となる。
【0069】
本例では、特定のPD610まで進み得る光の色を制限するためにダイクロイックフィルタ618が用いられるが、代替的な実施形態では、偏光フィルタ等の他のタイプのフィルタがダイクロイックフィルタ618の代わりに用いられ得ることを理解されたい。別の代替的な実施形態として、反射型表面レリーフ回折格子616から反射される光の検出可能な全ての波長をPD610が受取って測定するために、ダイクロイックフィルタ618が省かれていてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、出射窓614内で生じる内部反射の量を増やすために、反射コーティングが出射窓614の上面または底面のうちの1つ以上に塗布されてもよく、これにより、出射窓614の側壁を通してPD610に向かって出力される光632の量を有利に増やし得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、反射型表面レリーフ回折格子616のうち1つ以上の部分は、レーザ光線630の色のうちの1つ以上に対応するそれぞれの共振波長を有するように構成され得る。例えば、緑色レーザ光線630の光路にある反射型表面レリーフ回折格子616の第1の部分は、緑色レーザ光線630の波長(例えば、約510nm~570nm)に整合する第1のピーク共振波長で構成され得る。青色レーザ光線630の光路にある反射型表面レリーフ回折格子616の第2の部分は、青色レーザ光線630の波長(例えば、約360nm~480nm)に整合する第2のピーク共振波長で構成され得る。赤色レーザ光線630の光路にある反射型表面レリーフ回折格子616の第3の部分は、赤色レーザ光線630の波長(例えば、約650nm~670nm)に整合する第3のピーク共振波長で構成され得る。反射型表面レリーフ回折格子616をその長さに沿ってそれぞれ異なる共振波長を有する部分に分割し、分割した各々の部分が異なるレーザ光線430の波長に対応するように調整することにより、PD610の応答性の向上およびPD610までの経路長の短縮が実現され得る。例えば、回折格子616を個別に色ごとに調整することにより、PD610に到達する回折光の量を最大にするかまたは増やすことができる。なぜなら、最も効率的な角度で光を回折することにより、光路における損失が最小限に抑えられるからである。例えば、回折格子616に色固有の部分を設けることにより、出射窓614内のT1Rバウンスの数が減らされ得るか、または、回折光のすべてまたは実質的にすべてがPD610に到達するようにレーザ光線630がより良くPD610の方に方向付けられ得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、コリメートレンズ633-1および633-2等の1つ以上の光学素子が、光632をPD610上に集束させるように出射窓614の側壁とPD610との間に配置され得る。いくつかの実施形態では、このような光学素子は、付加的または代替的には、出射窓614の左側壁および右側壁の出口面上に印刷された集束レンズ、幾何学的光学部品またはメタサーフェス光学部品を含み得る。
【0073】
図7は、反射型表面レリーフ回折格子を用いて、基板に埋込まれておりフォトダイオードであり得る光検出器の方に光をリダイレクトするレーザプロジェクタ700の例示的な側断面図を示す。レーザプロジェクタ700は、筐体703、レーザ源712および出射窓714を有する光学エンジン702と、PD710と、コリメートレンズ704と、ダイクロイックフィルタ/コンバイナ706と、1つ以上の走査素子(図示せず)とを含む。レーザプロジェクタ700の上面図は示されていないが、レーザプロジェクタ700の配置は、PDの配置以外は、図5に示されるレーザプロジェクタ500の配置と実質的に同様であり得ることを理解されたい。また、簡潔にするために、図5のレーザプロジェクタ500内の対応するコンポーネントを有する図7のコンポーネントの説明のいくつかはここでは繰返さない。
【0074】
本例では、PD710は、基板701の表面上に配置されるのではなく、PD701の上面が基板701の上面に対して実質的に平面となるように、出射窓714の下方で基板701に埋込まれている。反射型表面レリーフ回折格子716は、出射窓714の床を通りPD710の方に下向きにレーザ光線730の反射部分732をリダイレクトするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、反射コーティングは、PD710の方にリダイレクトされる光の量を増やすために、出射窓714の上面、左側壁または右側壁のうちの1つ以上に塗布され得る。いくつかの実施形態では、出射窓714の底面は、PD710の屈折率および出射窓714の底面の屈折率に対して屈折率整合する接着剤を用いてPD710に取付けられてもよい。上述したように、いくつかの実施形態では、反射型表面レリーフ回折格子716の1つ以上の部分は、レーザ光線730の色のうちの1つ以上に対応するそれぞれの共振波長を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、複数のPD710が基板701の第2の側に配置されてもよく、各PD710は、それぞれ異なるレーザ光線730の光路の真下に、当該光路に対して垂直に重なって配置されている。なお、本例では反射型表面レリーフ回折格子が示されているが、他の実施形態では、代わりに、ホログラフィック回折格子等の別のタイプの回折格子が出射窓714の主出力面に配置され得ることに留意されたい。
【0075】
PD710を基板701に埋込むことにより、レーザプロジェクタ700のフットプリントは、PDが基板701の表面上に配置される実施形態に対して比較的小さくされ得るが、(例えば、場合によってはPDのサイズ、タイプ、材料および/もしくは応答性、電気接続の方法、ならびに/または適用可能な基板タイプを制限してしまう)製造の複雑さおよび制限がいくらか増大するという犠牲を伴う。
【0076】
図8は、反射型表面レリーフ回折格子を用いて、基板のうちレーザダイオード800の光学エンジンが配置される側とは反対側に配置される光検出器の方に光をリダイレクトするレーザプロジェクタ800の例示的な側断面図を示す。ここで、光検出器はフォトダイオードであり得る。レーザプロジェクタ800は、筐体803、レーザ源812および出射窓814を有する光学エンジン802と、PD810と、コリメートレンズ804と、ダイクロイックフィルタ/コンバイナ806と、1つ以上の走査素子(図示せず)とを含む。レーザプロジェクタ800の上面図は示されていないが、レーザプロジェクタ800の配置は、PDの配置以外は、図5に示されるレーザプロジェクタ500の配置と実質的に同様であり得ることを理解されたい。また、簡潔にするために、図5のレーザプロジェクタ500内の対応するコンポーネントを有する図8のコンポーネントの説明のいくつかはここでは繰返さない。
【0077】
本例では、PD810は、基板801の表面上に配置されるのではなく、基板801のうち光学エンジン802が配置される第1の側とは反対側の当該基板の第2の側に配置されるとともに、出射窓814の真下に配置される。基板801は、PD810と出射窓814の底面との間に配置されたアパーチャ(例えば、開口部)を含む。反射型表面レリーフ回折格子816は、レーザ光線830の反射部分832を下向きに、出射窓814の床を通り、さらにアパーチャ801を通ってPD810の方にリダイレクトするように構成され得る。いくつかの実施形態では、反射コーティングは、PD810の方にリダイレクトされる光832の量を増やすために、出射窓814の上面、左側壁または右側壁のうちの1つ以上に塗布され得る。上述したように、いくつかの実施形態では、反射型表面レリーフ回折格子816の1つ以上の部分は、レーザ光線830の色のうちの1つ以上に対応するそれぞれの共振波長を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、複数のPD810が基板801の第2の側に配置されてもよく、各PD810は、それぞれ異なるレーザ光線830の光路の真下に当該光路に垂直に重なって配置されている。なお、本例では、反射型表面レリーフ回折格子が示されているが、他の実施形態では、代わりに、ホログラフィック回折格子等の別のタイプの回折格子が出射窓814の主出力面に配置され得ることに留意されたい。
【0078】
PD810を基板801のうち光学エンジン802とは反対側に配置することにより、レーザプロジェクタ800のフットプリントは、PDが基板801のうち光学エンジン802と同じ表面上に配置されている実施形態に対して比較的小さくされ得るが、(例えば、場合によってはPDのサイズ、タイプ、材料および/もしくは応答性、電気接続の方法、ならびに/または適用可能な基板タイプを制限してしまう)製造の複雑さおよび制限がいくらか増大するという犠牲を伴う。
【0079】
図9は、反射型回折格子を用いて、レーザプロジェクタ900の光学エンジンが配置される基板の上方に位置する第2の基板上に配置される光検出器の方に光をリダイレクトするレーザプロジェクタ900の例示的な側断面図を示す。ここで、光検出器はフォトダイオードであり得る。レーザプロジェクタ900は、筐体903、レーザ源912および出射窓914を有する光学エンジン902と、コリメートレンズ904と、ダイクロイックフィルタ/コンバイナ906と、1つ以上の走査素子(図示せず)とが配置される第1の基板901を含むとともに、少なくともPD910が配置される第2の基板950を含む。レーザプロジェクタ900の上面図は示されていないが、レーザプロジェクタ900の配置は、PDの配置以外は、図5に示されるレーザプロジェクタ500の配置と実質的に同様であり得ることを理解されたい。また、簡潔にするために、図5のレーザプロジェクタ内の対応するコンポーネントを有する図9のコンポーネントの説明のいくつかは、ここでは繰返さない。
【0080】
本例では、PD910は、第1の基板901の表面上に配置されるのではなく、光学エンジン902が配置されている第1の基板901の上方に位置する第2の基板950上に配置されるとともに、出射窓914の真上に配置されている。反射型表面レリーフ回折格子916は、レーザ光線930の反射部分932を、出射窓914の上面を通してPD910の方に上向きにリダイレクトするように構成され得る。いくつかの実施形態では、反射コーティングは、PD910の方にリダイレクトされる光932の量を増やすために、出射窓914の底面、左側壁または右側壁のうちの1つ以上に塗布され得る。上述したように、いくつかの実施形態では、反射型表面レリーフ回折格子916の1つ以上の部分は、レーザ光線930の色のうちの1つ以上に対応するそれぞれの共振波長を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、複数のPD910が第2の基板950上に配置され得る。ここで、各PD910は、それぞれ異なるレーザ光線930の光路の真上に当該光路に対して垂直に重なって配置される。なお、本例では反射型表面レリーフ回折格子が示されているが、他の実施形態では、代わりにホログラフィック回折格子等の別のタイプの回折格子が出射窓914の主出力面に配置され得ることに留意されたい。
【0081】
PD910を基板901のうち光学エンジン902とは反対側に配置することにより、第1の基板901上のレーザプロジェクタ900のフットプリントが、PDが光学エンジン902と同じ基板901上に配置されている実施形態に対して比較的小さくされ得るとともに、より小さい空間、材料互換性および電気接続制約に起因してレーザ出力パワー強度監視のためにより多種多様なPDを用いることを可能にし得るとともに、(例えば、PD910と出射窓914との間の光路にある)コリメート光学部品または集束光学部品等の光学コンポーネントのための追加の空間を提供し得るが、この構成は第2の基板950を追加することを必要とする。
【0082】
図4図9の例では反射型回折格子が示されており、図4図9の回折格子416、516、616、716、816および916のいずれかの代わりに透過型回折格子が使用され得るが、光出力面ではなく対応する出射窓の光入力面上に配置されることを理解されたい。
【0083】
図4図9の出射窓414、514、614、714、814および914のいずれかの形状は直角プリズムの形状に限定され得ないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、出射窓の主出力面は、出射窓の主出力面の平面がレーザダイオードによって出力される光線のいずれかの方向と直交しないように、図10図12に示されるように傾斜していてもよい。
【0084】
例えば、図10は、主出力面1022を有する出射窓1014の斜視図1000-1および側面図1000-2を示す。この主出力面1022は、レーザダイオードによって出力される光線1030の方向と直交しない平面を規定しており、当該平面は、背面1024によって規定される平面に対して平行ではない。ここで、主出力面1022は出射窓1014の底面と交わって鈍角を形成している。すなわち、出射窓1014は、側面図1000-2に示される向きに対して、出射窓1014の底面から出射窓1014の上面へと上向きかつ外向きに傾斜している。例えば、主出力面1022は、出射窓1014の主入力面に対して傾斜している。側面図1000-2に示すように、出射窓1014の側面は直角台形として形作られている。出射窓1014の上面の幅W1は、出射窓1014の底面の幅W2よりも大きい。いくつかの実施形態では、出射窓1014の表面同士が交わる1つ以上の縁は、面取りされていてもよく、または湾曲していてもよい。
【0085】
別の例として、図11は、主出力面1122を有する出射窓1114の斜視図1100-1および側面図1100-2を示す。主出力面1122は、レーザダイオードによって出力される光線1130の方向と直交しない平面を規定しており、当該平面は、背面1124によって規定される平面に対して平行ではない。ここで、主出力面1122は出射窓1014の底面と交わって鋭角を形成している。すなわち、出射窓1114は、側面図1100-2に示す向きに対して、出射窓1114の上面から出射窓1114の底面へと下向きかつ外向きに傾斜している。例えば、主出力面1122は、出射窓1114の主入力面に対して傾斜している。側面図1100-2に示すように、出射窓1114の側面は直角台形として形作られている。出射窓1114の上面の幅W3は、出射窓1114の底面の幅W4よりも小さい。いくつかの実施形態では、出射窓1114の表面同士が交わる1つ以上の縁は、面取りされていてもよく、または湾曲していてもよい。
【0086】
別の例として、図12は、主出力面1222を有する出射窓1214の斜視図1200-1および上面図1200-2を示す。主出力面1222は、レーザダイオードによって出力される光線1230の方向と直交しない平面を規定しており、当該平面は、背面1224によって規定される平面と平行ではない。ここで、主出力面1222は、出射窓1214の第1の側面1226(すなわち、上面図1200-2に示される向きに対して右側面)と交わって鋭角を形成し、出射窓1214の第2の側面1228(すなわち、上面図1200-2に示される向きに対して左側面)と交わって鈍角を形成している。すなわち、出射窓1214は、上面図1200-2に示される向きに対して、出射窓1214の第2の側面1228から出射窓1214の第1の側面1226へと右向きかつ外向きに傾斜している。例えば、主出力面1222は、出射窓1214の主入力面に対して傾斜している。第2の側面1228の長さL1は第1の側面1226の長さL2よりも短い。いくつかの実施形態では、出射窓1214の表面同士が交わる1つ以上の縁は、面取りされていてもよく、または湾曲していてもよい。
【0087】
別の例として、出射窓は直方体形状を維持し得るとともに、筐体の台を回転させずに、図4図6に示す出射窓の向きに対して、出射窓の上面および底面の中心点を通って延在する軸を中心に(例えば、約.1度~15度だけ)時計回りまたは反時計回りに(例えば、ページの平面内で)回転させもよい。付加的または代替的には、出射窓は約.1度~10度だけその長軸を中心として回転させてもよい。このように出射窓の向きを変えることにより、出射窓の主入力面(すなわち、主出力面とは反対側にあってレーザ源からの光線を最初に受取る表面)は、レーザ源から出力される光線の主伝搬方向と直交しない。
【0088】
図10図12の様々な例に示すように、出射窓の主出力面をレーザ源から出力される光線の主伝搬方向と直交しないように配置することにより、光学エンジンのレーザダイオードへの光フィードバックの量が有利に低減される。このような光フィードバックは、レーザダイオードによって出力される光線が出射窓上に配置された回折格子または出射窓内で一体化される回折格子によってリダイレクトされることによってもたらされ得ることに留意されたい。
【0089】
全体的な説明において上述した動作または要素のすべてが必要とされるわけではなく、特定の動作または装置の一部は必要とされない可能性があり、上述したものに加えて1つ以上のさらなる動作が実行され得るかまたは要素が含まれ得ることに留意されたい。さらに、動作が列挙される順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。また、概念は特定の実施形態を参照して説明されてきた。しかしながら、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲から逸脱することなく様々な修正および変更が実施可能であることを理解する。従って、明細書および図は、限定的な意味ではなく例示的な意味であると見なされるべきであり、このような変更は全て本開示の範囲内に含まれるよう意図されている。
【0090】
利益、他の利点、および問題に対する解決策が特定の実施形態に関連付けて上述されてきた。しかしながら、これらの利益、利点、問題に対する解決策、および任意の利益、利点もしくは解決策を生じさせ得るかまたはより顕著にさせ得る任意の特徴は、いずれかまたは全ての請求項についての重要な、必要な、または本質的な特徴として解釈されるべきではない。さらに、開示した主題は本明細書の教示の利益を有する当業者にとって明白である様々な但し同等の態様で変更および実施され得るので、上に開示した特定の実施形態は例示に過ぎない。添付の特許請求の範囲に記載されるもの以外に、本明細書に示される構造または設計の詳細を限定することは意図されていない。従って、上に開示した特定の実施形態が変更または修正され得るものであって、そのような変形例のすべてが開示された主題の範囲内であると見なされることは明らかである。従って、本明細書で求められる保護は添付の特許請求の範囲に記載されるとおりである。
図1
図2
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図5
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図11
図12