(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】熱交換器および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F28F 1/32 20060101AFI20241122BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20241122BHJP
F25B 39/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
F28F1/32 L
F28D1/047 B
F25B39/00 D
F28F1/32 F
(21)【出願番号】P 2023550886
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2021036077
(87)【国際公開番号】W WO2023053319
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】八柳 暁
(72)【発明者】
【氏名】前田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】梁池 悟
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109470075(CN,A)
【文献】特開昭61-235693(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104596343(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106931538(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0155041(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0262156(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2975350(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第101963472(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110726325(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/00 - 13/00
F28F 1/24 - 1/32
F25B 39/00 - 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に互いに間隔を空けて配置された複数のフィンと、
前記複数のフィンを貫通し、前記第1方向と交差する第2方向に互いに間隔を空けて配置された複数の伝熱管と
を備え、
前記複数のフィンのそれぞれは、
平坦なフィンベース面と、
複数のフィン突部と
を有し、
前記複数のフィン突部は、
前記複数の伝熱管のそれぞれの周囲を取り囲むように設けられ、前記フィンベース面から前記第1方向に突出した内側フィン突部と、
前記内側フィン突部のそれぞれの周囲を取り囲むように設けられ、前記フィンベース面から
前記内側フィン突部と同じ向きに突出した外側フィン突部と
を有
し、
前記内側フィン突部と前記外側フィン突部とは隙間なく隣接している
熱交換器。
【請求項2】
前記複数の伝熱管のそれぞれは断面が円形状であり、
前記複数の伝熱管のそれぞれの同心円上に、前記内側フィン突部及び前記外側フィン突部が設けられた
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記内側フィン突部が前記フィンベース面から突出した高さをh1とし、前記外側フィン突部が前記フィンベース面から突出した高さをh2としたとき、高さh1と高さh2とは、h2≦h1の関係にある
請求項1
又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記複数の伝熱管は、前記第2方向に隣り合う第1伝熱管と第2伝熱管とを有し、
前記内側フィン突部は、
前記第1伝熱管の周囲を取り囲むように設けられた第1内側フィン突部と、
前記第2伝熱管の周囲を取り囲むように設けられた第2内側フィン突部と
を有し、
前記外側フィン突部は、
前記第1内側フィン突部の周囲を取り囲むように設けられた第1外側フィン突部と、
前記第2内側フィン突部の周囲を取り囲むように設けられた第2外側フィン突部と
を有し、
前記第1外側フィン突部と前記第2外側フィン突部との間の前記フィンベース面は第2平坦部を有する
請求項1~請求項
3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記複数のフィン突部は、
前記フィンベース面から前記第1方向に突出した中間フィン突部を有し、
前記中間フィン突部は、
前記中間フィン突部の少なくとも一部が、前記第1外側フィン突部と前記第2外側フィン突部との間に位置するように設けられる
請求項
4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1方向において、
前記内側フィン突部が前記フィンベース面から突出する方向と、前記中間フィン突部が前記フィンベース面から突出する方向とが逆向きである
請求項
5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記中間フィン突部は、前記第1伝熱管の中心と前記第2伝熱管の中心とを前記第2方向に沿って通る中心線と交差しない位置に設けられた
請求項
5又は請求項
6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記複数のフィンの短手方向を前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向としたとき、
前記中間フィン突部は、
前記第2方向に延びる、前記フィンベース面から立ち上げられた第1立ち上げ部と、
前記第1立ち上げ部と平行に、前記フィンベース面から立ち上げられた第2立ち上げ部と
を有し、
前記第2方向において、前記第1立ち上げ部の長さは、前記第2立ち上げ部の長さよりも長く、
前記第3方向において、前記第1立ち上げ部と前記中心線との間の距離は、前記第2立ち上げ部と前記中心線との間の距離よりも長く、
前記第2方向において、前記第1立ち上げ部は、
前記第1外側フィン突部と隣り合うように設けられた第1端部と、
前記第2外側フィン突部と隣り合うように設けられた第2端部と
を有し、
前記第2方向において、前記第2立ち上げ部は、
前記第1外側フィン突部と隣り合うように設けられた第1端部と、
前記第2外側フィン突部と隣り合うように設けられた第2端部と
を有し、
前記第1立ち上げ部の前記第1端部と前記第2立ち上げ部の前記第1端部を通る第1仮想線は、前記第1外側フィン突部と交差せず、
前記第1立ち上げ部の前記第2端部と前記第2立ち上げ部の前記第2端部を通る第2仮想線は、前記第2外側フィン突部と交差しない
請求項
7に記載の熱交換器。
【請求項9】
請求項1~請求項
8のいずれか一項に記載の熱交換器を凝縮器または蒸発器として備えた
冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器およびそれを備えた冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィンチューブ型熱交換器において、伝熱性能を向上させるため、フィン表面に突起部を設けて空気の流れ方向を制御する技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の熱交換器においては、伝熱管の周りに気流の剥離を防止する突起を設けることで、伝熱管の後流部の死水域を減少させ、伝熱性能を向上している。ここで死水域とは、空気が流入せず、熱伝達率が低下する領域のことをいう。特許文献1では、気流が伝熱管の周りの突起に衝突することで、伝熱管の後流部に空気が流入するため、伝熱管の後流部での死水域が減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、伝熱管の中心に向かうよどみ点からの角度が±70°~±80°の位置に突起が設けられるため、伝熱管の周りに突起が疎らに設けられた状態となる。このため、特許文献1では、伝熱管の周りに、フィンの強度を向上するための新たな突部を設ける領域が確保しづらい。フィンの強度を向上するための新たな突部を設けることができないと、フィンの加工時にフィンが長手方向に撓むという課題があった。また、特許文献1の突起では、フィンの表面積の拡大率が小さいため、突起そのものによる熱伝達率の向上が十分ではないという課題があった。
【0006】
本開示は、かかる課題を解決するためになされたものであり、フィンの長手方向の強度を向上させるとともに熱伝達率を向上させる、熱交換器、および、それを備えた冷凍サイクル装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る熱交換器は、第1方向に互いに間隔を空けて配置された複数のフィンと、複数のフィンを貫通し、第1方向と交差する第2方向に互いに間隔を空けて配置された複数の伝熱管とを備え、複数のフィンのそれぞれは、平坦なフィンベース面と、複数のフィン突部とを有し、複数のフィン突部は、複数の伝熱管のそれぞれの周囲を取り囲むように設けられ、フィンベース面から第1方向に突出した内側フィン突部と、内側フィン突部のそれぞれの周囲を取り囲むように設けられ、フィンベース面から内側フィン突部と同じ向きに突出した外側フィン突部とを有し、内側フィン突部と外側フィン突部とは隙間なく隣接している。
【0008】
本開示に係る冷凍サイクル装置は、上記熱交換器を凝縮器または蒸発器として備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る熱交換器によれば、伝熱管の周りに内側フィン突部及び外側フィン突部が設けられる。内側フィン突部及び外側フィン突部は、伝熱管を取り囲むためにフィンの長手方向に延びているので、フィンの長手方向の強度が向上する。このため、フィン加工時に生じる、フィンの長手方向の撓みを減少させることができる。また、伝熱管の周りに設けられた内側フィン突部及び外側フィン突部によりフィンベース面の表面積が拡大されるため、フィン12の表面における熱伝達率が向上する。したがって、熱交換器の伝熱性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る熱交換器100の構成を示した斜視図である。
【
図2】
図1の熱交換器100の基本構成のみを示した部分側断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の構成の一例を示した冷媒回路図である。
【
図4】実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12を示す部分側断面図である。
【
図7】実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例1を示す断面図である。
【
図8】実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例2を示す部分側断面図である。
【
図9】実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例3を示す部分側断面図である。
【
図10】実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例4を示す部分側断面図である。
【
図11】実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例5を示す部分側断面図である。
【
図12】実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例6を示す部分側断面図である。
【
図13】実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例7を示す部分側断面図である。
【
図15】実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12を示す部分側断面図である。
【
図18】実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例1を示す断面図である。
【
図19】実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例2を示す部分側断面図である。
【
図21】実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例3を示す部分側断面図である。
【
図23】実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例4を示す部分側断面図である。
【
図25】実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例5を示す部分側断面図である。
【
図27】実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例6を示す部分側断面図である。
【
図29】実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例7を示す部分側断面図である。
【
図31】実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例8を示す部分側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る熱交換器およびそれを備えた冷凍サイクル装置の実施の形態について図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の実施の形態およびその変形例に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係または形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0012】
実施の形態1.
以下、図面を用いて、実施の形態1に係る熱交換器100、および、それを備えた冷凍サイクル装置1について説明する。
【0013】
[熱交換器100の基本構成]
図1は、実施の形態1に係る熱交換器100の構成を示した斜視図である。熱交換器100は、フィンアンドチューブ型熱交換器である。
図1に示すように、熱交換器100は、複数の伝熱管11と複数のフィン12とを備えている。以下の説明において、「伝熱管11」及び「フィン12」とそれぞれ称した場合には、単数又は複数の両方を含むものとする。
【0014】
フィン12のそれぞれは、
図1に示すように、矩形の平板状の部材である。それらのフィン12は、空気が流れる空間を形成するように、一定間隔で、Y方向に互いに間隔を空けて、平行に配置されている。以下では、当該間隔を、フィンピッチと呼ぶ。フィンピッチは、一定である必要はなく、異なっていてもよい。フィンピッチは、隣接するフィン12の厚さ方向の中心間の距離である。空気は、
図1の矢印R1で示されるように、フィン12の主面に沿って流れる。フィン12は、例えば、アルミニウムから構成されるが、特に限定されない。なお、以下では、矢印R1で示される空気の流れる方向を、X方向(第3方向)と呼ぶ。また、フィン12の長手方向を、Z方向(第2方向)と呼ぶ。さらに、フィン12の積層方向を、Y方向(第1方向)と呼ぶ。X方向とZ方向とは互いに直交している。また、X方向とY方向とは互いに直交している。さらに、Y方向とZ方向とは互いに直交している。なお、フィン12の短手方向を、X方向(第3方向)と称することもある。Z方向は、例えば鉛直方向である。ここで、X方向を伝熱管11の列方向と呼び、Z方向を伝熱管11の段方向と呼ぶと、
図1の例では、伝熱管11は、1列12段である。なお、伝熱管11の列数および段数は、これに限定されない。例えば、伝熱管11は、フィン12に対して2列以上に配置されていてもよい。なお、
図1においては、伝熱管11の長手方向がY方向に延びている場合を示している。Y方向は、例えば、水平方向である。しかしながら、この場合に限定されない。すなわち、伝熱管11の長手方向は、鉛直方向に延びていてもよい。その場合、フィン12の長手方向は、水平方向になる。
【0015】
複数の伝熱管11は、
図1に示すように、フィン12を貫通するように配置されている。従って、伝熱管11の長手方向は、Y方向である。また、それらの伝熱管11は、一定間隔で、Z方向に互いに間隔を空けて、平行に配置されている。以下では、当該間隔を、管ピッチと呼ぶ。管ピッチは、一定である必要はなく、異なっていてもよい。管ピッチは、隣接する伝熱管11のZ方向の中心間の距離である。
図1の矢印R2で示されるように、伝熱管11の内部には冷媒が流れる。Z方向に隣り合った伝熱管11の端部同士は、
図1に示すように、U字管11aにより接続されている。これにより、複数の伝熱管11は、冷媒が順に流れるように、1本につながっている。なお、伝熱管11は、1本につながっていなくてもよい。伝熱管11は、銅または銅合金などの伝熱性の高い金属から構成されるが、特に限定されない。
【0016】
図2は、
図1の熱交換器100の基本構成のみを示した部分側断面図である。
図2は、Y方向における一箇所で切断した場合の断面を示している。具体的には、
図2は、フィン12の主面と、伝熱管11の断面とを示している。伝熱管11のそれぞれは、例えば、円管または扁平管から構成されている。
図1および
図2では、伝熱管11が円管の場合を示している。
【0017】
熱交換器100は、フィン12の主面に沿って流れる空気と、伝熱管11の内部を流れる冷媒との間で熱交換を行う。熱交換器100は、X方向に空気が流れるように配置される。
【0018】
[冷凍サイクル装置1の基本構成]
図1に示した熱交換器100は、例えば冷凍サイクル装置1で使用される。
図3は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の構成の一例を示した冷媒回路図である。
図3に示すように、冷凍サイクル装置1は、熱源側ユニット2と負荷側ユニット3とを備えている。
【0019】
熱源側ユニット2と負荷側ユニット3とは、
図3に示すように、冷媒配管8により互いに接続されている。熱交換器100は、熱源側ユニット2においても、負荷側ユニット3においても使用可能である。以下では、熱源側ユニット2に配置された熱交換器100を、熱交換器100Aと呼び、負荷側ユニット3に配置された熱交換器100を、熱交換器100Bと呼ぶ。
【0020】
図3に示すように、負荷側ユニット3は、熱交換器100Bと、送風機7Bと、制御器9Bと、冷媒配管8の一部分とを備えている。送風機7Bは、熱交換器100Bに対して空気を送風する。熱交換器100Bは、伝熱管11を流通する冷媒と空気との間の熱交換を行う。熱交換器100Bは、冷凍サイクル装置1が、負荷側ユニット3側を暖房する場合には、凝縮器として機能し、負荷側ユニット3側を冷房する場合には、蒸発器として機能する。
【0021】
送風機7Bは、例えば、プロペラファンである。送風機7Bは、ファンモータ7aとファン7bとから構成される。ファン7bは、ファンモータ7aを動力源として回転する。送風機7Bの回転速度は、制御器9Bによって制御される。
【0022】
また、
図3に示すように、熱源側ユニット2は、熱交換器100Aと、制御器9Aと、圧縮機4と、流路切替装置5と、膨張弁6と、送風機7Aと、冷媒配管8の一部分とを有している。熱源側ユニット2は、さらに、アキュムレータなどの他の構成部品を備えていてもよい。
【0023】
熱交換器100Aは、伝熱管11を流通する冷媒と空気との間の熱交換を行う。熱交換器100Aは、冷凍サイクル装置1が、負荷側ユニット3側を暖房する場合には、蒸発器として機能し、負荷側ユニット3側を冷房する場合には、凝縮器として機能する。
【0024】
送風機7Aは、熱交換器100Aに対して空気を送風する。送風機7Aは、例えば、プロペラファンである。送風機7Aは、送風機7Bと同様に、ファンモータ7aとファン7bとから構成される。送風機7Aの回転速度は、制御器9Aによって制御される。
【0025】
圧縮機4は、低圧のガス冷媒を吸入して圧縮し、高圧のガス冷媒として吐出する。圧縮機4は、例えば、インバータ圧縮機である。インバータ圧縮機は、インバータ回路などの制御により、単位時間あたりに送り出す冷媒の量を変化させることができる。インバータ回路は、例えば制御器9Aに搭載される。
【0026】
流路切替装置5は、冷媒配管8内の冷媒の流れる方向を切り替えるための弁である。流路切替装置5は、例えば四方弁から構成される。流路切替装置5は、制御器9Aの制御により、冷凍サイクル装置1が冷房運転の場合と暖房運転の場合とで切り替えられる。冷凍サイクル装置1が、負荷側ユニット3側を冷房する時には、流路切替装置5は、
図3の実線で示される状態になる。その結果、圧縮機4から吐出された冷媒が、熱源側ユニット2に配置された熱交換器100Aに流入する。一方、冷凍サイクル装置1が、負荷側ユニット3側を暖房する時には、流路切替装置5は、
図3の破線で示される状態になる。その結果、圧縮機4から吐出された冷媒が、負荷側ユニット3に配置された熱交換器100Bに流入する。
【0027】
膨張弁6は、凝縮器で液化した冷媒を蒸発器で蒸発しやすいように、流入された液冷媒を絞り作用により減圧させて流出させる。また、膨張弁6は、蒸発器の負荷に応じた適切な冷媒量を維持するように、冷媒量を調整する。膨張弁6は、例えば、電子膨張弁から構成される。膨張弁6の開度は、制御器9Aにより制御される。膨張弁6は、
図3に示すように、熱交換器100Aと熱交換器100Bとの間に、冷媒配管8によって接続されている。
【0028】
冷媒配管8は、
図3に示すように、圧縮機4、流路切替装置5、熱交換器100A、膨張弁6、および、熱交換器100Bを接続して、冷媒回路を構成している。冷媒配管8は、熱交換器100Aの伝熱管11および熱交換器100Bの伝熱管11に連結されている。
【0029】
[フィン12の構成]
図4は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12を示す部分側断面図である。
図4は、フィン12の主面を示している。また、
図4は、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図4に示された伝熱管11は円管であり、断面は円形の形状を有する。
図4に示すように、伝熱管11は、Z方向に沿って、1列に配置されている。フィン12は、前縁12aと後縁12bとを有している。空気は、
図4の矢印R1の方向に流れるため、前縁12aは、後縁12bに対して、風上側に配置されている。伝熱管11は、フィン12に形成された貫通孔12c内に挿入されている。伝熱管11の外径は、貫通孔12cの内径に一致する。従って、伝熱管11は、貫通孔12c内壁に密着している。
【0030】
フィン12の主面は、平坦なフィンベース面121を構成している。フィンベース面121には、フィン突部122が設けられている。フィン突部122は、フィン12の主面であるフィンベース面121からY方向に突出している。フィン突部122は、複数の伝熱管11のそれぞれの周囲を取り囲むように設けられた、内側フィン突部122Aを有する。また、フィン突部122は、内側フィン突部122Aのそれぞれの周囲を取り囲むように設けられた、外側フィン突部122Bを有する。以下の説明において、内側フィン突部122Aと外側フィン突部122Bとを特に区別する必要がない場合には、単に「フィン突部122」と適宜称する。また、「フィン突部122」、「内側フィン突部122A」、及び「外側フィン突部122B」とそれぞれ称した場合には、単数又は複数の両方を含むものとする。
【0031】
なお、
図4では、フィンベース面121と区別するためにフィン突部122をハッチングで示しているが、
図4に示すフィン突部122は断面ではない。
図4では、フィンベース面121をY方向に見たときの、フィン突部122の外形線及び稜線を実線で示すとともに、外形線と稜線とで挟まれた部分をハッチングで示している。このことは、
図8~
図13、
図15、
図19、
図21、
図23、
図25、
図27、
図29、及び
図31において共通している。
【0032】
フィン突部122は、
図4に示すように、フィン12の主面をY方向に見て、円形の形状を有している。伝熱管11、内側フィン突部122A、及び外側フィン突部122Bは、同心円上に設けられる。伝熱管11の直径、内側フィン突部122Aの直径、及び外側フィン突部122Bの直径は、伝熱管11の直径<内側フィン突部122Aの直径<外側フィン突部122Bの直径の関係にある。
【0033】
図5及び
図6を用いて、フィン突部122について説明する。
図5は、
図4のA-A断面図である。
図6は、
図4のB-B断面図である。なお、
図5及び
図6では、伝熱管の図示を省略している。
図5及び
図6に示すように、貫通孔12cの縁には、フィンカラー12dを有していてもよい。フィンカラー12dは、フィン12の主面であるフィンベース面121からY方向に突出し、伝熱管11(
図4参照)の側面に沿う。
図5及び
図6では、フィンカラー12dの突出した先端部は曲がり部を有しているが、曲がり部を有する必要はない。フィンカラー12dの突出した部分が直線形状であってもよい。なお、
図5及び
図6では、貫通孔12cがフィンカラー12dを有しているが、貫通孔12cがフィンカラー12dを有していなくてもよい。
【0034】
図5及び
図6に示すように、貫通孔12cと内側フィン突部122Aとの間には隙間が存在する。貫通孔12cに挿入されてフィンベース面121から突出する伝熱管11と内側フィン突部122Aとが接して設けられた場合、フィン12の成形時に、伝熱管11と内側フィン突部122Aの境界部分に応力が集中することになる。本実施の形態では、伝熱管11と内側フィン突部122Aとの間に隙間を設けることで、フィン12の成形時に応力が集中することを回避している。
【0035】
また、内側フィン突部122Aと外側フィン突部122Bとは、Y方向において、フィンベース面121から同じ向きに突出している。内側フィン突部122Aと外側フィン突部122Bとの間には隙間が存在する。内側フィン突部122Aと外側フィン突部122Bとの間のこの隙間を、第1平坦部121Aと呼ぶ。内側フィン突部122Aと外側フィン突部122Bとの間に第1平坦部121Aが設けられていない場合、フィンの成形時に、内側フィン突部122Aと外側フィン突部122Bの境界部分に応力が集中することになる。第1平坦部121Aを設けることで、フィン成形時に応力が集中することを回避している。
【0036】
なお、
図5及び
図6では、内側フィン突部122Aの断面及び外側フィン突部122Bの断面が三角形の形状を有している。しかし、内側フィン突部122Aの断面の形状及び外側フィン突部122Bの断面の形状は三角形である必要はない。内側フィン突部122Aの断面の形状及び外側フィン突部122Bの断面の形状は、例えば、矩形、多角形、及び円形であってもよい。
【0037】
次に内側フィン突部122Aの高さと外側フィン突部122Bの高さについて説明する。内側フィン突部122Aがフィンベース面121から突出した高さをh1とし、外側フィン突部122Bがフィンベース面121から突出した高さをh2とする。このとき、内側フィン突部122Aの高さh1及び外側フィン突部122Bの高さh2は、
図5及び
図6に示すように等しくてもよい。
【0038】
本実施の形態に係る熱交換器100は、第1方向Yに互いに間隔を空けて配置された複数のフィン12と、複数のフィン12を貫通し、第1方向Yと交差する第2方向Zに互いに間隔を空けて配置された複数の伝熱管11とを備える。複数のフィン12のそれぞれは、平坦なフィンベース面121と、複数のフィン突部122とを有し、複数のフィン突部122は、複数の伝熱管11のそれぞれの周囲を取り囲むように設けられ、フィンベース面121から第1方向Yに突出した内側フィン突部122Aと、内側フィン突部122Aのそれぞれの周囲を取り囲むように設けられ、フィンベース面121から第1方向Yに突出した外側フィン突部122Bとを有する。
【0039】
当該構成によれば、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bは、伝熱管11を取り囲むように設けられる。このため、フィン突部122がフィン12の第2方向Zに延びる部分を有することになる。すなわち、フィン12の長手方向に沿った部分を有するフィン突部122が設けられるため、フィン12の長手方向の強度が向上する。このため、フィンプレスやフィンスタックなどのフィン加工時に、フィン12が長手方向に撓むことが抑制される。したがって、熱交換器の生産性が向上する。
【0040】
また、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bが伝熱管11の周りに設けられているため、フィン12の長手方向及び短手方向のどちらにも突部を設けた場合と同様の熱交換の促進効果が得られる。すなわち、空気がフィン12の長手方向又は短手方向のいずれから流入しても、フィン突部122が空気の流動方向に設けられていることになる。このため、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bを伝熱部として有効に利用することができる。その結果、フィン12の表面における熱伝達率が向上し、熱交換器としての伝熱性能が向上する。
【0041】
また、本実施の形態に係るフィン12では、伝熱管11が挿入される貫通孔12cの周りに内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bが設けられる。フィン突部122の成形時には、フィン12の全域からバランス良く材料が引っ張られるため、フィンベース面121への応力集中による形状歪みを抑制することができる。よって、フィン12の加工性が向上され、熱交換器の製造性が向上する。
【0042】
また、本実施の形態に係る熱交換器100は、複数の伝熱管11のそれぞれは断面が円形状であり、複数の伝熱管11のそれぞれの同心円上に、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bが設けられる。当該構成では、伝熱管11の円形状の断面の周方向に沿って、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bが設けられる。内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bの成形時には、伝熱管11の断面の周方向に対して均一にフィンを変形させるため、応力が集中しづらい。よって、フィン12の成形性が向上し、結果として、熱交換器の製造性が向上する。
【0043】
また、本実施の形態に係る熱交換器100において、内側フィン突部122Aと外側フィン突部122Bとの間のフィンベース面121は、第1平坦部121Aを有する。当該構成では、第1平坦部121Aにより、内側フィン突部122Aと外側フィン突部122Bとは接することなくフィン12に設けられる。このため、フィン成形時に、内側フィン突部122Aと外側フィン突部122Bとの間に応力が集中しにくい。よって、フィン12の成形性が向上し、結果として、熱交換器の製造性が向上する。
【0044】
[実施の形態1の変形例1]
図7は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例1を示す断面図である。
図7は、変形例1における、
図4のB-B断面に相当する部分を示している。
図7に示す変形例1においても、実施の形態1と同様に、フィン突部122は、内側フィン突部122Aと、外側フィン突部122Bとを有している。
【0045】
変形例1に係る熱交換器100では、内側フィン突部122Aがフィンベース面121から突出した高さh1と、外側フィン突部122Bがフィンベース面121から突出した高さh2との関係が、実施の形態1と異なる。
図5及び
図6に示す実施の形態1では、内側フィン突部122Aの高さh1と外側フィン突部122Bの高さh2とは等しい。一方、変形例1では、
図7に示すように、内側フィン突部122Aの高さh1は、外側フィン突部122Bの高さh2よりも高い。他の構成および作用については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0046】
実施の形態1及び実施の形態1の変形例1に係る熱交換器100において、内側フィン突部122Aの高さをh1と外側フィン突部122Bの高さh2は、h2≦h1の関係にある。外側フィン突部122Bに衝突した空気の一部は、外側フィン突部122Bの斜面に沿って外側フィン突部122Bの頂部に向かって流れ、外側フィン突部122Bの最も高い部分を通る。仮に、外側フィン突部122Bの高さh2が、内側フィン突部122Aの高さh1より高い場合、外側フィン突部122Bの最も高い部分を通った空気は、内側フィン突部122Aの最も高い部分を超えた空間、すなわち内側フィン突部122Aが存在しない空間に流入する。そのため、外側フィン突部122Bに衝突した空気の一部は、内側フィン突部122Aに衝突しないことになる。一方、外側フィン突部122Bの高さh2と内側フィン突部122Aの高さh1が等しい場合、外側フィン突部122Bに衝突した空気は、内側フィン突部122Aに衝突しやすい。そのため、外側フィン突部122Bと内側フィン突部122Aの間に空気がより多く流入する。さらに、外側フィン突部122Bの高さh2が、内側フィン突部122Aの高さh1より低い場合、外側フィン突部122Bの最も高い部分を超えた空気は、内側フィン突部122Aに衝突する。よって、外側フィン突部122Bと内側フィン突部122Aの間により多くの空気が流入する。また、内側フィン突部122Aに衝突した空気は、内側フィン突部122Aと伝熱管11との間の隙間にも流入しやすい。したがって、内側フィン突部122Aの高さをh1と外側フィン突部122Bの高さh2がh2≦h1の関係にある、実施の形態1及び変形例1の構成では、外側フィン突部122Bと内側フィン突部122Aとの隙間、及び内側フィン突部122Aと伝熱管11との隙間に空気がより多く流入する。よって、空気が外側フィン突部122B及び内側フィン突部122Aと接触する面積が大きくなり、フィン12の表面における熱伝達率が向上し、熱交換器の伝熱性能が向上する。
【0047】
[実施の形態1の変形例2]
図8は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例2を示す部分側断面図である。
図8は、フィン12の表面、および、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図8に示す変形例2においても、実施の形態1と同様に、フィン突部122は、内側フィン突部122Aと、外側フィン突部122Bとを有している。
【0048】
図8に示すように、実施の形態1の変形例2における内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bは、伝熱管11を取り囲むように、矩形状に設けられている。実施の形態1との相違点は、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bの形状である。他の構成および作用については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0049】
変形例2では、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bが矩形状であるため、フィン突部122がフィン12のZ方向に直線状に延びる部分を有する。すなわち、フィン12の長手方向に沿った直線部分を有するフィン突部122が設けられるため、より一層、フィン12の長手方向の強度が向上する。このため、実施の形態1と同様に、フィンプレスやフィンスタックなどのフィン加工時に、フィン12が長手方向に撓むことが抑制される。したがって、熱交換器の生産性が向上する。
【0050】
[実施の形態1の変形例3]
図9は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例3を示す部分側断面図である。
図9は、フィン12の表面、および、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図9に示す変形例3においても、実施の形態1と同様に、フィン突部122は、内側フィン突部122Aと、外側フィン突部122Bとを有している。
【0051】
図9に示すように、実施の形態1の変形例3における内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bは、伝熱管11を取り囲むように、楕円形状に設けられている。実施の形態1との相違点は、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bの形状である。他の構成および作用については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0052】
図9に示すように、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bの直径は、X方向の直径がZ方向の直径より長い。すなわち、フィン突部122は、空気が流入する方向であるフィン12の短手方向に長く延びる部分を有することになる。このため、空気がフィン突部122と接触しやすくなる。その結果、実施の形態1と同様に、フィン12の表面における熱伝達率が向上する。
【0053】
[実施の形態1の変形例4]
図10は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例4を示す断面図である。
図10は、フィン12の表面、および、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図10に示す変形例4においても、実施の形態1と同様に、フィン突部122は、内側フィン突部122Aと、外側フィン突部122Bとを有している。
【0054】
図10に示すように、実施の形態1の変形例4では、内側フィン突部122Aの形状と外側フィン突部122Bの形状とが相違する。変形例4における内側フィン突部122Aは、実施の形態1における内側フィン突部122Aと同様に、伝熱管11の同心円上に設けられている。一方、変形例4における外側フィン突部122Bは、伝熱管11を取り囲むように、楕円形状に設けられている。実施の形態1との相違点は、外側フィン突部122Bの形状である。他の構成および作用については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0055】
変形例4では、内側フィン突部122Aは伝熱管11と同心円状に設けられた円形の形状である。一方、外側フィン突部122Bは楕円形の形状である。
図10に示すように、外側フィン突部122Bの直径は、X方向の直径がZ方向の直径より長い。すなわち、外側フィン突部122Bは、空気が流入する方向であるフィン12の短手方向に長く延びる部分を有する。このため、空気がフィン突部122と接触しやすくなる。その結果、実施の形態1と同様に、フィン12の表面における熱伝達率が向上する。
【0056】
[実施の形態1の変形例5]
図11は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例5を示す断面図である。
図11は、フィン12の表面、および、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図11に示す変形例5においても、実施の形態1と同様に、フィン突部122は、内側フィン突部122Aと、外側フィン突部122Bとを有している。
【0057】
図11に示すように、実施の形態1の変形例5では、外側フィン突部122Bを取り囲むように、追加フィン突部122Dが設けられる。実施の形態1と変形例5との相違点は、この追加フィン突部122Dである。他の構成および作用については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0058】
変形例5では、外側フィン突部122Bを取り囲むように、伝熱管11と同心円状に、1つ以上の追加フィン突部122Dが設けられる。このため、フィン突部122は、フィン12の第2方向Zに長く延びた部分を有することになる。すなわち、フィン12の長手方向に沿った部分を有するフィン突部122が設けられるため、フィン12の長手方向の強度が向上する。このため、フィンプレスやフィンスタックなどのフィン加工時に、フィンが長手方向に撓むことが抑制される。したがって、熱交換器の生産性が向上する。
【0059】
また、外側フィン突部122Bを取り囲むように追加フィン突部122Dが設けられるため、フィン12の長手方向及び短手方向のどちらにも突部を追加した場合と同様の効果が得られる。すなわち、空気がフィン12の長手方向又は短手方向のいずれから流入しても、空気の流動方向に突部が追加されていることになり、追加フィン突部122Dを伝熱部として有効に利用することができる。また、流入する空気が追加フィン突部122Dにより接触しやすくなるため、熱伝達率が向上し、熱交換器としての伝熱性能が向上する。
【0060】
[実施の形態1の変形例6]
図12は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例6を示す部分側断面図である。
図12は、フィン12の表面、および、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図12に示す変形例6においても、実施の形態1と同様に、フィン突部122は、内側フィン突部122Aと、外側フィン突部122Bとを有している。
【0061】
図12に示すように、実施の形態1の変形例6では、伝熱管11が、扁平管で構成されている。また、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bは、伝熱管11を取り囲むように、矩形状に設けられている。実施の形態1と変形例6との相違点は、伝熱管11の形状、内側フィン突部122Aの形状、及び外側フィン突部122Bの形状である。他の構成および作用については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0062】
変形例6では、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bが矩形状であるため、フィン突部122は、フィン12のZ方向に直線状に延びる部分を有する。すなわち、フィン12の長手方向に沿った直線部分を有するフィン突部122が設けられるため、より一層、フィン12の長手方向の強度が向上する。このため、実施の形態1と同様に、フィンプレスやフィンスタックなどのフィン加工時に、フィンが長手方向に撓むことが抑制される。したがって、熱交換器の生産性が向上する。
【0063】
[実施の形態1の変形例7]
図13は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン12の変形例7を示す部分側断面図である。
図13は、フィン12の表面、および、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図13に示す変形例7においても、実施の形態1と同様に、フィン突部122は、内側フィン突部122Aと、外側フィン突部122Bとを有している。
図14は、
図13のA-A断面図である。
【0064】
図13及び
図14に示すように、実施の形態1の変形例7では、内側フィン突部122Aと外側フィン突部122Bとの間に第1平坦部121Aが設けられない。この点が、実施の形態1と異なる。他の構成および作用については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0065】
変形例7では、フィンベース面121が第1平坦部121Aを有しない。このため、フィン成形時に、内側フィン突部122Aと外側フィン突部122Bとの間に応力が集中することを回避する、という効果は得られない。しかし、フィン12の長手方向の強度の向上、及びフィン12の表面の熱伝達率の向上については、変形例7においても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0066】
上記の実施の形態1およびその変形例1~7では、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bの形状について、
図4、
図8~14を参照して説明した。
図4、
図8~14では、複数の伝熱管11を取り囲むそれぞれの内側フィン突部122Aの形状は統一されている。しかし、伝熱管11ごとに異なる形状を有する内側フィン突部122Aを設けてもよい。また、
図4、
図8~14では、複数の内側フィン突部122Aを取り囲むそれぞれの外側フィン突部122Bの形状は統一されている。しかし、伝熱管11ごとに異なる形状を有する外側フィン突部122Bを設けてもよい。
【0067】
実施の形態2.
以下、実施の形態2に係る熱交換器100および冷凍サイクル装置1について説明する。
【0068】
[熱交換器100の基本構成]
実施の形態2に係る熱交換器100の基本構成は、実施の形態1の熱交換器100と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0069】
[冷凍サイクル装置1の基本構成]
実施の形態2に係る冷凍サイクル装置1の基本構成は、実施の形態1の冷凍サイクル装置1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0070】
[フィン12の構成]
図15は、実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12を示す部分側断面図である。
図15は、フィン12の主面、および、伝熱管11の断面を示している。
図15に示された伝熱管11の断面は、フィン12の主面に平行な断面である。
図15に示すように、伝熱管11は、フィン12の長手方向に平行な段方向に沿って、1列に配置されている。フィン12は、前縁12aと後縁12bとを有している。以下では、
図15の紙面の上側の伝熱管11を第1伝熱管11Aと呼び、
図15の紙面の下側の伝熱管11を第2伝熱管11Bと呼ぶ。
【0071】
フィン12の主面は、実施の形態1と同様に、平坦なフィンベース面121を構成している。また、実施の形態1と同様に、フィンベース面121からY方向に、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bが突出して設けられている。実施の形態2では、第1伝熱管11Aの周囲を取り囲むように設けられた内側フィン突部122Aを、第1内側フィン突部122A-1と呼ぶ。また、第1内側フィン突部122A-1の周囲を取り囲むように設けられた外側フィン突部122Bを、第1外側フィン突部122B-1と呼ぶ。さらに、実施の形態2では、第2伝熱管11Bの周囲を取り囲むように設けられた内側フィン突部122Aを、第2内側フィン突部122A-2と呼ぶ。また、第2内側フィン突部122A-2の周囲を取り囲むように設けられた外側フィン突部122Bを、第2外側フィン突部122B-2と呼ぶ。
【0072】
図15~17を用いて、実施の形態2におけるフィン12について説明する。
図16は、
図15のA-A断面図である。
図17は、
図15のC-C断面図である。以下の説明において、第1内側フィン突部122A-1と第2内側フィン突部122A-2とを特に区別する必要がない場合には、単に「内側フィン突部122A」と適宜称する。また、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2とを特に区別する必要がない場合には、単に「外側フィン突部122B」と適宜称する。
【0073】
第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2との間には隙間が存在する。第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2との間の隙間のうち、
図15に示す、太い一点鎖線で囲んだ部分を第2平坦部121Bと呼ぶ。すなわち、
図15の紙面において、第2平坦部121Bは、第1外側フィン突部122B-1の下側の半円部分と第2外側フィン突部122B-2の上側の半円部分とに挟まれたフィンベース面121のことである。また、
図16においては、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2との間の直線部分が第2平坦部121Bに相当する。第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2との間に第2平坦部121Bが設けられていない場合、フィンの成形時に、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2の境界部分に応力が集中することになる。第2平坦部121Bを設けることで、フィン成形時に応力が集中することを回避している。
【0074】
図15に示すように、フィンベース面121には、中間フィン突部122Cが設けられている。
図17に示すように、中間フィン突部122Cは、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2の間のフィンベース面121から、Y方向に突出している。すなわち、実施の形態2では、フィン突部122は、内側フィン突部122A、外側フィン突部122B、及び中間フィン突部122Cを有する。内側フィン突部122A、外側フィン突部122B、及び中間フィン突部122Cは、
図16及び
図17に示すように、Y方向において、フィンベース面121から同じ向きに突出する。実施の形態2に係るフィン12の基本構成は、中間フィン突部122C以外については、上述の実施の形態1と同一であるため、説明を省略する。なお、
図15において中間フィン突部122Cは2つ設けられているが、中間フィン突部122Cの個数は2つに限定されない。中間フィン突部122Cは1つでもよいし、3つ以上の中間フィン突部122Cを設けてもよい。
【0075】
中間フィン突部122Cは、フィン12の長手方向における第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2のとの間に設けられる。しかし、中間フィン突部122Cの全ての部分が、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2のとの間に位置する必要はない。
図15に示すように、中間フィン突部122Cの一部が第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2のとの間に位置すればよい。本開示では、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2のとの間とは、第2平坦部121Bに相当するフィンベース面121を指すこととする。
【0076】
また、本開示では、第1伝熱管11Aの中心と第2伝熱管11Bの中心とをZ方向に沿って通る直線を中心線CLと呼ぶ。
図15では、A-A断面を示すための一点鎖線が中心線CLに相当する。中間フィン突部122Cは、中心線CLと交差しない位置に設けられている。
【0077】
次に、
図15を参照しながら、中間フィン突部122Cの形状について説明する。中間フィン突部122Cは、フィンベース面121から立ち上がる第1立ち上げ部122c-1及び第2立ち上げ部122c-2を有する。第1立ち上げ部122c-1及び第2立ち上げ部122c-2は、フィン12のZ方向に沿って、平行に延びる。第1立ち上げ部122c-1の長さは、第2立ち上げ部122c-2の長さよりも長い。また、X方向において、第1立ち上げ部122c-1と中心線CLとの間の距離は、第2立ち上げ部122c-2と中心線CLとの間の距離よりも長い。
【0078】
第1立ち上げ部122c-1は、Z方向において、2つの端部を有する。第1立ち上げ部122c-1の2つの端部のうち、第1外側フィン突部122B-1に近い端部を第1端部122c-1aと呼ぶ。また、第1立ち上げ部122c-1の2つの端部のうち、第2外側フィン突部122B-2に近い端部を第2端部122c-1bと呼ぶ。すなわち、第1立ち上げ部122c-1は、第1端部122c-1a及び第2端部122c-1bを有する。また、第2立ち上げ部122c-2は、Z方向において、2つの端部を有する。第2立ち上げ部122c-2の2つの端部のうち、第1外側フィン突部122B-1に近い端部を第1端部122c-2aと呼ぶ。また、第2立ち上げ部122c-2の2つの端部のうち、第2外側フィン突部122B-2に近い端部を第2端部122c-2bと呼ぶ。すなわち、第2立ち上げ部122c-2は、第1端部122c-2a及び第2端部122c-2bを有する。
【0079】
次に、
図15に破線で示す第1仮想線VL1及び第2仮想線VL2を用いて、中間フィン突部122Cと外側フィン突部122Bとの位置関係について説明する。本開示では、第1立ち上げ部122c-1の第1端部122c-1aと、第2立ち上げ部122c-2の第1端部122c-2aを通る仮想の直線を第1仮想線VL1と呼ぶ。また、第1立ち上げ部122c-1の第2端部122c-1bと、第2立ち上げ部122c-2の第2端部122c-2bを通る仮想の直線を第2仮想線VL2と呼ぶ。
図15に示すように、第1仮想線VL1は、第1外側フィン突部122B-1と交差しない。そのため、中間フィン突部122Cの第1立ち上げ部122c-1の第1端部122c-1aと第2立ち上げ部122c-2の第1端部122c-2aとを結ぶ部分と、第1外側フィン突部122B-1との間に、一定の隙間が形成される。また、第2仮想線VL2は、第2外側フィン突部122B-2と交差しない。そのため、中間フィン突部122Cの第1立ち上げ部122c-1の第2端部122c-1bと第2立ち上げ部122c-2の第2端部122-2bとを結ぶ部分と第2外側フィン突部122B-2との間に、一定の隙間が形成される。ここで、一定の隙間とは、フィンベース面121の一部であり、フィン成形時に、中間フィン突部122Cの周囲に応力が集中することを回避するための面積を有する平坦な領域である。仮に中間フィン突部122Cと外側フィン突部122Bとの間の隙間の面積が少ない場合、フィン成形時に中間フィン突部122Cの周囲に応力が集中することを回避できない。中間フィン突部122Cは、第1仮想線VL1が第1外側フィン突部122B-1と交差しないように設けられる。よって、中間フィン突部122Cと第1外側フィン突部122B-1との間に、フィン成形時に応力が集中することを回避できる、フィンベース面121の平坦な領域を確保することができる。また、中間フィン突部122Cは、第2仮想線VL2が第2外側フィン突部122B-2と交差しないように設けられる。よって、中間フィン突部122Cと第2外側フィン突部122B-2との間に、フィン成形時に応力が集中することを回避できる、フィンベース面121の平坦な領域を確保することができる。
【0080】
本実施の形態に係る熱交換器100において、複数の伝熱管11は、第2方向Zに隣り合う第1伝熱管11Aと第2伝熱管11Bとを有する。内側フィン突部122Aは、第1伝熱管11Aの周囲を取り囲むように設けられた第1内側フィン突部122A-1と、第2伝熱管11Bの周囲を取り囲むように設けられた第2内側フィン突部122A-2とを有する。また、外側フィン突部122Bは、第1内側フィン突部122A-1の周囲を取り囲むように設けられた第1外側フィン突部122B-1と、第2内側フィン突部122A-2の周囲を取り囲むように設けられた第2外側フィン突部122B-2とを有する。そして、第1外側フィン突部122B-1と前記第2外側フィン突部122B-2との間のフィンベース面121は第2平坦部121Bを有する。
【0081】
当該構成によれば、第2平坦部121Bにより、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2とは接することなくフィン12に設けられる。このため、フィン成形時に、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2との間に応力が集中しない。よって、フィン12の成形性が向上し、結果として、熱交換器の製造性が向上する。
【0082】
また、本実施の形態に係る熱交換器100では、複数のフィン突部122は、フィンベース面121から第1方向Yに突出した中間フィン突部122Cを有し、中間フィン突部122Cは、中間フィン突部122Cの少なくとも一部が、第2方向Zにおいて第1外側フィン突部122B-1と前記第2外側フィン突部122B-2との間に位置するように設けられる。
【0083】
当該構成によれば、中間フィン突部122Cが設けられることで、空気がフィン12の表面に接触しやすくなる。その結果、フィン12の表面における熱伝達率がさらに向上する。また、中間フィン突部122Cの一部が第1外側フィン突部122B-1と前記第2外側フィン突部122B-2との間に位置するということは、フィン12の長手方向において、フィン突部122が存在しない領域が減少するということになる。これにより、フィン12の長手方向の強度がさらに向上する。
【0084】
また、本実施の形態に係る熱交換器100では、中間フィン突部122Cは、第1伝熱管11Aの中心と第2伝熱管11Bの中心とを第2方向Zに沿って通る中心線CLと交差しない位置に設けられる。ここで、フィン12の第2方向Zにおいて、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2との間の長さは、中心線CLが通る部分が最も短い。本実施の形態では、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2とが最も近接する位置を避け、両者の間の隙間が相対的に大きい箇所に、中間フィン突部122Cを設けている。このようにフィン12の長手方向に沿って延びる中間フィン突部122Cを設けてフィンベース面121の平坦な面を減らすことで、フィン12の長手方向の強度を向上させることができる。また、中間フィン突部122Cが長い部分を有するため、空気がフィン12の表面に接触しやすくなり、熱伝達率がより向上する。
【0085】
また、本実施の形態に係る熱交換器100では、複数のフィン12の短手方向を、第1方向Y及び第2方向Zに交差する第3方向Xとしたとき、中間フィン突部122Cは、第2方向Zに延びる、フィンベース面121から立ち上げられた第1立ち上げ部122c-1と、第1立ち上げ部122c-1と平行に、フィンベース面121から立ち上げられた第2立ち上げ部122c-2とを有する。第2方向Zにおいて、第1立ち上げ部122c-1の長さは、第2立ち上げ部122c-2の長さよりも長く、第3方向Xにおいて、第1立ち上げ部122c-1と中心線CLとの間の距離は、第2立ち上げ部122c-2と前記中心線CLとの間の距離よりも長い。また、第2方向Zにおいて、第1立ち上げ部122c-1は、第1外側フィン突部122B-1と隣り合うように設けられた第1端部122c-1aと、第2外側フィン突部122B-2と隣り合うように設けられた第2端部122c-1bとを有する。また、第2方向Zにおいて、第2立ち上げ部122c-2は、第1外側フィン突部122B-1と隣り合うように設けられた第1端部122c-2aと、第2外側フィン突部122B-2と隣り合うように設けられた第2端部122c-2bとを有する。第1立ち上げ部122c-1の第1端部122c-1aと第2立ち上げ部122c-2の第1端部122c-2aを通る第1仮想線VL1は、第1外側フィン突部122B-1と交差しない。また、第1立ち上げ部122c-1の第2端部122c-1bと第2立ち上げ部122c-2の第2端部122c-2bを通る第2仮想線VL2は、第2外側フィン突部122B-2と交差しない。
【0086】
当該構成によれば、フィン成形時に、中間フィン突部122Cと外側フィン突部122Bとの間に応力が集中することを回避するための、平坦なフィンベース面121の領域を、中間フィン突部122Cと外側フィン突部122Bとの間に確保することができる。よって、フィン12の成形性がより向上できる。
【0087】
[実施の形態2の変形例1]
図18は、実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例1を示す断面図である。
図18は、変形例1における、
図15のC-C断面に相当する部分を示している。
図18に示す変形例1においても、実施の形態2と同様に、フィン12は中間フィン突部122Cを有している。
【0088】
実施の形態2の変形例1に係る熱交換器100では、Y方向において、内側フィン突部122Aがフィンベース面121から突出する向きと、外側フィン突部122Bがフィンベース面121から突出する向きは同じである。一方、中間フィン突部122Cは、Y方向において、内側フィン突部122A及び外側フィン突部122Bが突出する向きとは逆向きに突出する。他の構成および作用については、実施の形態2と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0089】
実施の形態2の変形例1の熱交換器100では、第1方向Yにおいて、内側フィン突部122Aがフィンベース面121から突出する向きと、中間フィン突部122Cがフィンベース面121から突出する向きとが逆である。したがって、内側フィン突部122Aは、中間フィン突部122Cの後流部に位置しない。すなわち、内側フィン突部122Aが、中間フィン突部122Cの死水域の影響を受けることがない。その結果、内側フィン突部122Aを熱交換のために最大限に利用することができ、フィン12の表面における熱伝達率が向上する。
【0090】
また、第1方向Yにおいて、外側フィン突部122Bがフィンベース面121から突出する向きは、内側フィン突部122Aが突出する向きと同じである。すなわち、外側フィン突部122Bも、中間フィン突部122Cの後流部に位置しないため、中間フィン突部122Cの死水域の影響を受けることがない。よって、外側フィン突部122Bを熱交換のために最大限に利用することができ、フィン12の表面における熱伝達率がさらに向上する。
【0091】
また、変形例1では、内側フィン突部122Aと中間フィン突部122Cが突出する向きが逆であるため、Y方向において、フィン12の重心位置がフィンベース面121に近くなる。このため、フィン12の強度が向上する。
【0092】
[実施の形態2の変形例2]
図19は、実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例2を示す部分側断面図である。
図19は、フィン12の表面、および、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図19に示す変形例2においても、実施の形態2と同様に、フィン突部122は、中間フィン突部122Cを有している。
図20は、
図19のA-A断面図である。
【0093】
図19及び
図20に示すように、実施の形態2の変形例2では、中間フィン突部122Cが、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2の間において、中心線CLに重ねて設けられる。
図19に示すように、変形例2において、中間フィン突部122Cは、Y方向から見た場合、Z方向に長辺を有する長方形の形状を有する。変形例2と実施の形態2との相違点は、中間フィン突部122Cが設けられる位置及び中間フィン突部122Cの形状である。他の構成および作用については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0094】
変形例2では、中間フィン突部122Cが、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2の間で、中心線CLに重なる。第1立ち上げ部122c-1と中心線CLとの間の距離と第2立ち上げ部122c-2と中心線CLとの間の距離は等しい。また、第1立ち上げ部122c-1の長さと第2立ち上げ部122c-2の長さは等しい。
図19では、紙面に向かって左の長辺を第1立ち上げ部122c-1と呼び、紙面に向かって右の長辺を第2立ち上げ部122c-2と呼ぶ。
【0095】
変形例2において、中間フィン突部122Cは、Z方向において、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2との間の距離が最も近い部分に位置する。隣合う伝熱管11同士の距離が比較的大きい場合には、変形例2のように中間フィン突部122Cが設けられることで、フィン12の長手方向の強度が向上し、フィン12の表面の熱伝達率が向上する。
【0096】
[実施の形態2の変形例3]
図21は、実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例3を示す部分側断面図である。
図21は、フィン12の表面、および、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図21に示す変形例3においても、実施の形態2と同様に、フィン突部122は、中間フィン突部122Cを有している。
図22は、
図21のA-A断面図である。
【0097】
図21及び
図22に示すように、実施の形態2の変形例3では、中間フィン突部122Cが、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2の間において、中心線CLに交差して設けられる。中間フィン突部122Cは、X方向に長く延びる部分を有する。
図21では、X方向において、中間フィン突部122Cの長さは、第1外側フィン突部122B-1及び第2外側フィン突部122B-2のそれぞれの直径よりも長い。しかし、X方向において、中間フィン突部122Cの長さは、第1外側フィン突部122B-1及び第2外側フィン突部122B-2のそれぞれの直径以下でもよい。変形例3と実施の形態2との相違点は、変形例3では、中間フィン突部122Cが、中心線CLに交差して設けられる点と中間フィン突部122Cの形状である。他の構成および作用については、実施の形態2と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0098】
変形例3では、フィン12の短手方向であるX方向に沿って延びる中間フィン突部122Cが、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2の間に中心線CLに交差して設けられる。また、フィン12の長手方向であるZ方向に沿って延びる第1立ち上げ部122c-1及び第2立ち上げ部122c-2のそれぞれの長さは、X方向に沿って延びる部分の長さよりも短い。すなわち、変形例3において、中間フィン突部122Cは、実施の形態2における中間フィン突部122Cのように、フィン12の長手方向に沿って長く延びる部分を有さない。しかし、変形例3でも、中間フィン突部122Cが設けられることで、フィン12の長手方向の強度が向上する。また、変形例3において、中間フィン突部122Cは、空気が流入するX方向に長く延びる部分を有するので、空気がフィン12の表面と接触しやすくなる。よって、フィン12の表面における熱伝達率が向上する。
【0099】
[実施の形態2の変形例4]
図23は、実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例4を示す部分側断面図である。
図23は、フィン12の表面、および、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図23に示す変形例4においても、実施の形態2と同様に、フィン突部122は、中間フィン突部122Cを有している。
図24は、
図23のA-A断面図である。
【0100】
図23及び
図24に示すように、実施の形態2の変形例4では、中間フィン突部122Cが、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2の間において、中心線CLに重ねて設けられる。
図23に示すように、変形例4において、中間フィン突部122Cは、Y方向から見た場合、円形形状を有する。
図24に示すように、中間フィン突部122Cは、フィンベース面121から半球状に突出している。変形例4と実施の形態2との相違点は、中間フィン突部122Cが設けられる位置及び中間フィン突部122Cの形状である。他の構成および作用については、実施の形態2と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0101】
変形例4では、中間フィン突部122Cが、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2の間で、中心線CLに重なる。変形例4において、中間フィン突部122Cは、実施の形態2における中間フィン突部122Cほどフィン12の長手方向に沿って長く延びる部分を有さない。しかし、変形例4でも、中間フィン突部122Cが設けられることで、フィン12の長手方向の強度が向上し、フィン12の表面の熱伝達率が向上する。
【0102】
[実施の形態2の変形例5]
図25は、実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例5を示す部分側断面図である。
図25は、フィン12の表面、および、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図25に示す変形例5においても、実施の形態2と同様に、フィン突部122は、中間フィン突部122Cを有している。
図26は、
図25のC-C断面図である。
【0103】
図25に示すように、実施の形態2の変形例5では、中間フィン突部122Cは、第1立ち上げ部122c-1と第2立ち上げ部122c-2の長さが等しい。上述した実施の形態2においては、
図15に示すように、第1立ち上げ部122c-1の長さが、第2立ち上げ部122c-2の長さより長い場合について説明した。変形例5と実施の形態2の相違点は、第1立ち上げ部122c-1の長さと第2立ち上げ部122c-2の長さの関係である。他の構成および作用については、実施の形態2と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0104】
変形例5では、第1仮想線VL1は第1外側フィン突部122B-1と交差する。また、第2仮想線VL2は第2外側フィン突部122B-2と交差する。Z方向において第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2との間の距離が確保されている場合には、変形例5のような形状の中間フィン突部122Cを設けてよい。変形例5の、中間フィン突部122Cが設けられることで、フィン12の長手方向の強度が向上し、フィン12の表面の熱伝達率が向上する。
【0105】
[実施の形態2の変形例6]
図27は、実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例6を示す部分側断面図である。
図27は、フィン12の表面、および、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図27に示す変形例6においても、実施の形態2と同様に、フィン突部122は、中間フィン突部122Cを有している。
図28は、
図27のC-C断面図である。
【0106】
図27に示すように、実施の形態2の変形例6では、中間フィン突部122Cは、Y方向から見た場合、90°横になったT字形状を有する。よって、
図28に示すように、中間フィン突部122Cは、X方向に長く延びる部分を有する。変形例6と実施の形態2の相違点は、中間フィン突部122Cの形状である。他の構成および作用については、実施の形態2と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0107】
変形例6では、第1仮想線VL1は第1外側フィン突部122B-1と交差する。また、第2仮想線VL2は第2外側フィン突部122B-2と交差する。さらに、中間フィン突部122CのX方向に長く延びる部分が、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B-2の間に位置する。変形例6の中間フィン突部12Cは、フィン12の長手方向(Z方向)に沿って直線的に延びる部分と、短手方向(X方向)に沿って直線的に延びる部分の両方を備えている。変形例6の中間フィン突部122Cが設けられることで、フィン12の長手方向の強度が向上する。さらに、中間フィン突部122Cが、空気が流入するX方向に延びる部分を有するため、実施の形態2よりも、空気がフィン12の表面に接触しやすくなる。よって、変形例6では、実施の形態2よりもフィン12の表面における熱伝達率を向上できる。
【0108】
[実施の形態2の変形例7]
図29は、実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例7を示す部分側断面図である。
図29は、フィン12の表面、および、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図29に示す変形例7においても、実施の形態2と同様に、フィン突部122は、中間フィン突部122Cを有している。
図30は、
図29のC-C断面図である。
【0109】
図29に示すように、実施の形態2の変形例7では、中間フィン突部122Cは、第1中間フィン突部122C-1と第2中間フィン突部122C-2とを有する。第1中間フィン突部122C-1及び第2中間フィン突部122C-2は、Y方向に見た場合、Z方向が長辺となる長方形の形状を有する。変形例7と実施の形態2の相違点は、変形例7において、中間フィン突部122Cが第1中間フィン突部122C-1と第2中間フィン突部122C-2とを有する点である。また、実施の形態2における中間フィン突部122Cの形状と、変形例7における第1中間フィン突部122C-1及び第2中間フィン突部122C-2の形状が異なる。他の構成および作用については、実施の形態2と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0110】
以下の説明において、第1中間フィン突部122C-1と第2中間フィン突部122C-2とを特に区別する必要がない場合には、単に「中間フィン突部122C」と適宜称する。また、「中間フィン突部122C」と称した場合には、単数又は複数の両方を含むものとする。また、第1立ち上げ部122c-1についても、第1中間フィン突部122C-1の第1立ち上げ部122c1-1と第2中間フィン突部122C-2の第1立ち上げ部122c2-1とを特に区別する必要がない場合には、単に「第1立ち上げ部122c-1」と適宜称する。さらに、第2立ち上げ部122c-2についても、第1中間フィン突部122C-1の第2立ち上げ部122c1-2と第2中間フィン突部122C-2の第1立ち上げ部122c2-2とを特に区別する必要がない場合には、単に「第2立ち上げ部122c-2」と適宜称する。また、「第1立ち上げ部122c-1」及び「第2立ち上げ部122c-2」とそれぞれ称した場合には、単数又は複数の両方を含むものとする。
【0111】
図29を参照しながら、第1中間フィン突部122C-1及び第2中間フィン突部122C-2について説明する。第1中間フィン突部122C-1は、第1立ち上げ部122c1-1の長さと第2立ち上げ部122c1-2の長さが等しい。また、第2中間フィン突部122C-2は、第1立ち上げ部122c2-1の長さと第2立ち上げ部122c2-2の長さが等しい。なお、実施の形態2における中間フィン突部122Cと、変形例7における中間フィン突部122Cの相違点は、第1立ち上げ部122c-1の長さと第2立ち上げ部122c-2の長さの関係である。
【0112】
また、
図29では、第1中間フィン突部122C-1が2つ設けられているが、第1中間フィン突部122C-1の個数は2つに限定されない。第1中間フィン突部122C-1は1つでもよいし、3つ以上の第1中間フィン突部122C-1を設けてもよい。また、
図29では、第2中間フィン突部122C-2は2つ設けられているが、第2中間フィン突部122C-2の個数は2つに限定されない。第2中間フィン突部122C-2は1つでもよいし、3つ以上の第2中間フィン突部122C-2を設けてもよい。
【0113】
また、第1中間フィン突部122C-1と中心線CLとの間の距離は、第2中間フィン突部122C-2と中心線CLとの間の距離よりも長い。また、第1中間フィン突部122C-1の第1立ち上げ部122c1-1の長さは、第2中間フィン突部122C-2の第1立ち上げ部122c2-1の長さよりも長い。すなわち、第1中間フィン突部122C-1は、第2中間フィン突部122C-2よりも大きい。
【0114】
上述のように、変形例7においては、フィン12の長手方向に沿って直線的に延びる第1中間フィン突部122C-1及び第2中間フィン突部122C-2が、フィンの短手方向に沿って配置されている。変形例7では、第1中間フィン突部122C-1及び第2中間フィン突部122C-2が設けられることで、フィン12の長手方向の強度が向上し、フィン12の表面の熱伝達率が向上する。
【0115】
[実施の形態2の変形例8]
図31は、実施の形態2に係る熱交換器100のフィン12の変形例8を示す部分側断面図である。
図31は、フィン12の表面、および、フィン12の主面に平行な伝熱管11の断面を示している。
図31に示す変形例8においても、実施の形態2と同様に、フィン突部122は、中間フィン突部122Cを有している。
図32は、
図31のC-C断面図である。
【0116】
図31に示すように、実施の形態2の変形例8では、中間フィン突部122Cは、第1中間フィン突部122C-1と第2中間フィン突部122C-2とを有する。第1中間フィン突部122C-1は、Y方向から見た場合、Z方向が長辺となる長方形の形状を有する。また、第2中間フィン突部122C-2は、Y方向から見た場合、円形の形状を有する。変形例8と実施の形態2の相違点は、変形例8において、中間フィン突部122Cが第1中間フィン突部122C-1と第2中間フィン突部122C-2とを有する点である。また、実施の形態2における中間フィン突部122Cの形状と、変形例8における第1中間フィン突部122C-1及び第2中間フィン突部122C-2の形状が異なる。他の構成および作用については、実施の形態2と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0117】
図31を参照しながら、第1中間フィン突部122C-1及び第2中間フィン突部122C-2について説明する。第1中間フィン突部122C-1は、第1立ち上げ部122c1-1の長さと第2立ち上げ部122c1-2の長さが等しい。第1中間フィン突部122C-1と中心線CLとの間の距離は、第2中間フィン突部122C-2と中心線CLとの間の距離よりも長い。なお、実施の形態2における中間フィン突部122Cと、変形例8における第1中間フィン突部122C-1の相違点は、第1立ち上げ部122c-1の長さと第2立ち上げ部122c-2の長さの関係である。
【0118】
なお、
図31では、第1中間フィン突部122C-1が2つ設けられているが、第1中間フィン突部122C-1の個数は2つに限定されない。第1中間フィン突部122C-1は1つでもよいし、3つ以上の第1中間フィン突部122C-1を設けてもよい。また、
図31では、第2中間フィン突部122C-2は2つ設けられているが、第2中間フィン突部122C-2の個数は2つに限定されない。第2中間フィン突部122C-2は1つでもよいし、3つ以上の第2中間フィン突部122C-2を設けてもよい。
【0119】
上述のように、変形例8においては、フィン12の長手方向に沿って直線的に延びる第1中間フィン突部122C-1が設けられている。また、第1外側フィン突部122B-1と第2外側フィン突部122B2との距離が相対的に近い位置には、フィン12の長手方向に沿う長さが比較的短い円形の第2中間フィン突部122C-2を設けて、フィン12の平坦な部分の面積を減らしている。変形例8では、第1中間フィン突部122C-1及び第2中間フィン突部122C-2が設けられることで、フィン12の長手方向の強度が向上し、フィン12の表面の熱伝達率が向上する。
【0120】
上記の実施の形態1、実施の形態2、及び、それらの変形例に記載の熱交換器100は、上述したように、
図3に示す冷凍サイクル装置1に備えることができる。その場合、冷凍サイクル装置1においては、熱交換器100のフィン12に設けられたフィン突部122によって、フィン12の長手方向の強度が増し、フィンの成形性が向上する。よって、熱交換器100の製造性が向上し、結果として、冷凍サイクル装置1全体の製造性が向上する。また、熱交換器100のフィン12に設けられたフィン突部122によって、空気がフィン12の表面に接触しやすくなる。よって、熱交換器100の熱伝達率が向上し、結果として、冷凍サイクル装置1全体のエネルギー効率を高めることができる。
【0121】
以上、実施の形態1、実施の形態2、及びそれらの変形例について説明したが、熱交換器100及び冷凍サイクル装置1は、上述の実施の形態1、実施の形態2、及びそれらの変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。実施の形態1、実施の形態2、及びそれらの変形例は、各実施の形態及び各変形例の機能又は構造を阻害しない範囲で、それぞれ相互に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0122】
1 冷凍サイクル装置、2 熱源側ユニット、3 負荷側ユニット、4 圧縮機、5 流路切替装置、6 膨張弁、7A 送風機、7B 送風機、7a ファンモータ、7b ファン、8 冷媒配管、9A 制御器、9B 制御器、11 伝熱管、11A 伝熱管、11B 伝熱管、11a U字管、12 フィン、12a 前縁、12b 後縁、12c 貫通孔、12d フィンカラー、100 熱交換器、100A 熱交換器、100B 熱交換器、121 フィンベース面、121A 第1平坦部、121B 第2平坦部、122 フィン突部、122A 内側フィン突部、122A-1 第1内側フィン突部、122A-2 第2内側フィン突部、122B 外側フィン突部、122B-1 第1外側フィン突部、122B-2 第2外側フィン突部、122B-3 第3外側フィン突部、122C 中間フィン突部、122C-1 第1中間フィン突部、122C-2 第2中間フィン突部、122c-1 第1立ち上げ部、122c-1a 第1端部、122c-1b 第2端部、122c-2 第2立ち上げ部、122c-2a 第1端部、122c-2b 第2端部、122c1-1 第1立ち上げ部、122c1-1a 第1端部、122c1-1b 第2端部、122c1-2 第2立ち上げ部、122c1-2a 第1端部、122c1-2b 第2端部、122c2-1 第1立ち上げ部、122c2-1a 第1端部、122c2-1b 第2端部、122c2-2 第2立ち上げ部、122c2-2a 第1端部、122c2-2b 第2端部、122D 追加フィン突部、Y 第1方向、Z 第2方向、X 第3方向、CL 中心線、VL1 第1仮想線、VL2 第2仮想線。