(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】アンテナ構成
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/06 20060101AFI20241122BHJP
H01Q 13/10 20060101ALI20241122BHJP
H01Q 21/08 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H01Q1/06
H01Q13/10
H01Q21/08
(21)【出願番号】P 2023573539
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 EP2022063602
(87)【国際公開番号】W WO2022253583
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-01-24
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ドラーイエル マウリス ヘルマン ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェント マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ スルイス バルテル マリヌス
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-090869(JP,A)
【文献】特開平03-173205(JP,A)
【文献】特開平01-238305(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0229428(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/06
H01Q 13/10
H01Q 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長いパイプ状の電気伝導性ボディと、
前記
電気伝導性ボディに形成され、複数のアンテナ要素を含むアンテナアレイとして作用するように配置される複数のスロットであって、各アンテナ要素はスロットを含み、前記アンテナアレイの前記複数のアンテナ要素は全体的に前記
電気伝導性ボディの長手方向に沿って分布する、複数のスロットと、
前記
電気伝導性ボディ内に配される給電構造であって、前記給電構造は、各々が前記アンテナアレイのアンテナ要素を励起するように配置される複数の給電要素を含む、給電構造と、
前記給電構造上に配される少なくとも1つのさらなるデバイスと、
を含む、アンテナ構成であって、
前記少なくとも1つのさらなるデバイスは、イルミネーションのための照明デバイスである、アンテナ構成。
【請求項2】
前記複数のスロットは、前記
電気伝導性ボディの長手方向に沿って少なくとも1つの列に配置され、前記給電構造は、少なくとも1つの細長いプリント回路基板(PCB)上に配される複数の集積回路(IC)を含み、各PCB上のICは、1列に配置されるある数のアンテナ要素に給電するように配置される、請求項1に記載のアンテナ構成。
【請求項3】
当該アンテナ構成は、前記
電気伝導性ボディの中心に配置される内部電気コンダクタを含む、請求項1に記載のアンテナ構成。
【請求項4】
前記複数のスロットは、指向性的な前記アンテナ要素からの電磁波の伝播に適した形状に形成される、請求項1に記載のアンテナ構成。
【請求項5】
前記形状は、前記
電気伝導性ボディの長手方向、周方向又はらせん方向に沿って延びる細長いスロット及びX字状スロットのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載のアンテナ構成。
【請求項6】
前記アンテナ要素は、個別に制御可能である、請求項1に記載のアンテナ構成。
【請求項7】
前記少なくとも1つのさらなるデバイスは、前記複数のスロットの1つに近接して給電要素の隣にそれぞれ配される、請求項1に記載のアンテナ構成。
【請求項8】
シールされた透明窓を有する少なくとも1つの開口部が、前記
電気伝導性ボディに形成され、前記少なくとも1つのさらなるデバイスは、前記少なくとも1つの開口部の1つに近接してそれぞれ配される、請求項1に記載のアンテナ構成。
【請求項9】
前記シールされた透明窓は、光学要素として作用するように配置される、請求項8に記載のアンテナ構成。
【請求項10】
当該アンテナ構成は、前記
電気伝導性ボディを囲むシールドカバーを含む、請求項1に記載のアンテナ構成。
【請求項11】
前記シールドカバーは、熱伝導性であり、光学的に透明又は半透明な材料で作られる、請求項10に記載のアンテナ構成。
【請求項12】
前記シールドカバーは、少なくとも、前記少なくとも1つのさらなるデバイスが近接して配されるスロット及び開口部のロケーションにおいて光学的に透明又は半透明である、請求項10に記載のアンテナ構成。
【請求項13】
前記シールドカバーは、開口部の少なくとも1つによって励起される少なくとも1つの光導波路を含む、請求項10に記載のアンテナ構成。
【請求項14】
前記光導波路は、前記少なくとも1つのさらなるデバイスによって生成される波長によって励起可能な蛍光体材料を含む、請求項13に記載のアンテナ構成。
【請求項15】
当該アンテナ構成は、前記アンテナアレイを制御するためのセンサ及び当該アンテナ構成のメンテナンスを容易にするためのアクチュエータのうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載のアンテナ構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、テレコミュニケーション技術の分野に関し、より具体的には、高密度無線周波数(RF:radio frequency)ネットワークのためのアンテナ構成に関する。
【背景技術】
【0002】
テレコミュニケーション技術の進化に伴い、ユーザエクスペリエンスの向上に対する要求がますます高まっており、これは、多くの場合、ユーザ毎の所望の帯域幅及び所望の接続数の増加に反映される。同時に、帯域幅が所望とされ、消費されるロケーションに関連したネットワークデバイスの配備の面でより自由度が求められている。
【0003】
モバイルデバイスの画面サイズの増加及び電力消費の増加とともに、ますます増加するハンドヘルドデバイスの電力消費を低減させる圧力も高まっている。これらの要望はすべて、これらのハンドヘルドデバイスのための通信及び通信インフラストラクチャを実装するやり方に影響を与える。
【0004】
それゆえ、アンテナを有するテレコミュニケーションマストの密度は、多くの理由により時間とともに増加する:
- コンテンツ及びデバイスの向上のため、ユーザ毎の帯域幅が増える;
- 2G、3G、4G、5Gへと通信技術の世代が上がるごとに、ユーザ毎の帯域幅を増加させることが望ましいため、マストの数が増える;
- エネルギ消費は距離の関数として増え、これは、近くにあるセルタワーはコンシューマデバイスのバッテリ寿命を延ばし、遠くにあるセルタワーはコンシューマデバイスのバッテリ寿命を縮めることを意味する;
- セルタワーが近くにあると、電磁(EM:electromagnetic)スペクトルの「干渉範囲(interference range)」の「汚染(pollution)」が減少し、これは、セルタワーが公共空間に高密度に存在する場合、周波数スペクトルはネットワークによってより頻繁に再利用されることができることを意味する。
【0005】
テレコミュニケーションアプリケーション(4G、5G等)のためのアンテナマストが増えることは、投資、許可申請(permit request)及び手続きの面で非常に大きな問題である。さらに、このようなマストが近くにあることに対する人々の抵抗はますます大きくなっている。このようなマストが理想的なロケーションにあることさえできないことが多くなっている。これらのロケーションの各々について、これらの通信マストを実現するために、少なくとも電力、空間及び許可が必要とされる。さらに、新しいアンテナマストは、景観及び建物の屋根の乱雑化(cluttering)を増加させる。
【0006】
この背景に対して、アンテナの配備のより高いフレキシビリティを可能にすることを目的として、リニアアンテナアレイを含むアンテナ構造が設計された。リニアアンテナアレイのアンテナエレメントは、フレキシブルな支持構造上に配され、これは、屋根又はファサードの乱雑化なく、ほとんどどのような場所にもアンテナを分布させることを可能にする。
【0007】
しかしながら、リニアアンテナアレイのフレキシブルな構造は、そのアプリケーションを限定的なものにする。なぜなら、追加のキャリア構造がフリーアウトドアハンギング(free outdoor hanging)に必要とされ得、これにより、ケーブルを長距離にわたって取り付けるために必要とされる引張力を提供し、また、環境の影響に対してシールする(seal)ことが必要とされるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえ、同様のレベルのフレキシビリティを維持し、よりロバストで機械的に強く、アプリケーションシナリオをより多様で信頼性の高いものにすることを可能にする、改善されたアンテナ構成に対する真のニーズが存在する。
【0009】
US2019229428A1は、セルラー通信システムのためのスロットアンテナに関する。
【0010】
EP2871708A1は、コア導体と、コア導体を包囲する絶縁シールドと、絶縁シールドの周囲にあり、その長さに沿って複数の開口部を有する外側導体と、外側導体を少なくとも部分的に覆う外装とを有する漏洩フィーダー構造を備える、データ信号の均一な分配のための通信ケーブルに関する。照明装置が、ケーブルの長さの少なくとも複数の部分に沿って配置される。
【0011】
WO2016066564A1は、少なくとも部分的に透明の管と、前記管内に配置される少なくとも1つのLEDと、少なくとも1つのLEDドライバと、LEDコントローラと、ワイヤレスコマンドを受信及び送信するためにコントローラに結合されるRFアンテナとを含む、ワイヤレスLED管形ランプデバイスに関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一態様において、
細長いパイプ状の電気伝導性ボディ(elongated pipe shaped electrically conductive body)と、
伝導性ボディに形成され、複数のアンテナ要素を含むアンテナアレイとして作用するように配置される複数のスロットであって、各アンテナ要素はスロットを含み、アンテナアレイの複数のアンテナ要素は全体的に伝導性ボディの長手方向に沿って分布する、複数のスロットと、
伝導性ボディ内に配される給電構造であって、給電構造は、各々がアンテナアレイのアンテナ要素を励起するように配置される複数の給電要素を含む、給電構造と、
を含む、アンテナ構成(antenna arrangement)が提供される。
【0013】
本開示は、金属パイプ等、パイプ状の電気伝導性ボディに形成されるスロットが、スロットが電気信号によって励起される場合、アンテナ要素として機能する、すなわち、作用することができるという洞察に基づいている。それゆえ、伝導性ボディ内部に配される給電構造によって励起される複数のスロットを有する細長いパイプ状の電気伝導性ボディは、背景で述べられたようなフレキシブルなリニアアンテナアレイの便利で効果的な代替案を提供する。励起されるスロットは、電磁(EM)フィールド、又は、マルチインプットマルチアウトプット(MIMO:multiple-input and multiple-output)アンテナに最適化される、EMフィールドフロント(EM field front)をもたらす電磁フィールドの組み合わせを作り出すことができる、スロットアンテナアレイを形成する。アンテナ構成は、イルミネーションのための照明デバイスである、給電構造上に配される少なくとも1つのさらなるデバイス(additional device)を含む。
【0014】
スロットを有する電気伝導性パイプは、近くに導電材料が配されることなく、MIMOのための良好で明確なアンテナパターン(nice and defined antenna pattern)を生成することができる。
【0015】
細長いパイプ又はケーブルの外部コンダクタ(outer conductor)に多数のスロットを作ることにより、電磁フィールド又はスマートアンテナアレイが作り出され、その結果、複数のユーザ又はクライアントデバイスへの非常に高いビットレートの接続をもたらすことができる。その上、このようなアンテナ構成は、製造が簡単で安価である。
【0016】
伝導性ボディとして機械的に剛性の高い伝導性材料(mechanically rigid conductive material)を使用することにより、本開示によって開示されるアンテナ構成は、ロバスト(robust)であり、容易に曲がらない又はジオメトリ(geometry)を変えない。
【0017】
本開示の一例において、複数のスロットは、伝導性ボディの長手方向に沿って少なくとも1つの列に配置され、給電構造は、少なくとも1つの細長いプリント回路基板(PCB:printed circuit board)上に配される複数の集積回路(IC:integrated circuit)を含み、各PCB上のICは、1列に配置されるある数のアンテナ要素(a number of antenna elements)に給電するように配置される。
【0018】
伝導性パイプは3次元構造であるため、スロットは、2列以上に配置されてもよく、各列のスロットは、各ICがスロットを励起する、ICが配される細長いPCBによって好便に(conveniently)励起されることができる。このような構造は、2次元のストリップアンテナに比べて、3次元のアンテナパターンを有するフレキシビリティをより高めることができる。
【0019】
本開示の一例において、アンテナ構成はさらに、伝導性ボディの中心に配置される内部電気コンダクタ(inner electrical conductor)を含む。
【0020】
内部電気コンダクタはパイプ状の伝導性ボディと一緒に同軸構造を形成し、給電PCB上のICに向かう伝導性ボディに沿った信号の伝播を向上させるのに役立つ。
【0021】
本開示の一例において、複数のスロットは、指向性的な(in a directional way)アンテナ要素からの電磁波の伝播に適した形状に形成される。
【0022】
当業者であれば想定することができるように、スロットは、アンテナ構成の特定のアプリケーションに依存して、所望のアンテナパターンを生成するのに適した様々な形状に形成されてもよい。
【0023】
本開示の一例において、形状は、伝導性ボディの長手方向、周方向又はらせん方向に沿って延びる細長いスロット及びX字状スロットのうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
当業者であれば想定することができるように、細長いスロットが典型的にはスロットアンテナに使用され、伝導性ボディに沿って様々な方向に、例えば、その長手方向又は周方向、ましてはらせん方向に沿って配置されてもよい。代替的な形状は、十字状又はX字状のスロットである。これらのスロットは簡単に形成されることができ、追加の又は余分な製造技術を必要としない。
【0025】
本開示の一例において、アンテナ要素は、個別に制御可能である。
【0026】
とりわけ、アンテナ要素は、個別にアクティブ可能(activatable)又は非アクティブ可能(de-activatable)である。各スロットを励起するICを選択的にオン又はオフすることにより、アンテナ要素は、個別に、又はグループで、必要に応じて異なるパターンを生成する異なるMIMOグループを作成するためにアクティブにされてもよい。
【0027】
本開示の一例において、アンテナ構成はさらに、少なくとも1つのさらなるデバイスを含み、少なくとも1つのさらなるデバイスは、給電構造上に又は伝導性ボディの外面上に配され、とりわけ、少なくとも1つのさらなるデバイスは、照明デバイスである。
【0028】
本開示によって提案されるアンテナ構成の構造は、アンテナマストの配備が困難又は実行不可能なロケーションでの好便な配備(convenient deployment)を可能にする。このようなロケーションは、多くの場合、十分な照明を提供する及び人の量(volume of people)を監視又は制御する等の他のニーズもあることに留意されたい。アンテナ構成の給電構造上にさらなるデバイスを直接配する(dispose)又は配置する(arrange)ことによって、照明デバイス等のさらなるデバイスをアンテナ構成と組み合わせることは、このようなニーズが、アンテナ構成及びこれに配されるさらなるデバイスを有する環境全体を過度に乱雑にする又は悪化させることなく、単一の物理的構造で好便に対処されることを可能にする。
【0029】
本開示の一例において、少なくとも1つのさらなるデバイスは、複数のスロットの1つに近接して給電要素の隣にそれぞれ配される。
【0030】
さらなるデバイスの通常の機能を妨げないようにするために、さらなるデバイスは、給電構造上で給電要素、すなわち、ICの隣に配されてもよい。それゆえ、さらなるデバイスはスロットの1つの近くにある、すなわち、近接することが保証され、これにより、その性能が邪魔されずに維持されることができる。
【0031】
本開示の一例において、さらに、シールされた透明窓(sealed transparent window)を有する少なくとも1つの開口部が、伝導性ボディに形成され、少なくとも1つのさらなるデバイスは、少なくとも1つの開口部の1つに近接してそれぞれ配される。
【0032】
代替案として、さらなる開口部が、特にさらなるデバイスのために使用されてもよい。この場合、さらなるデバイスは、さらなる開口部に近接して配される。
【0033】
とりわけ、さらなるデバイスが照明デバイスである場合、さらなる開口部は、照明デバイスによって発せられる光が伝導性ボディから容易に透過されることを可能にするシールされた透明窓であってもよい。
【0034】
さらに、アンテナ要素を形成するスロットもシールされてもよい。
【0035】
実用上、「シール(seal)」は、アンテナ機能の電磁的挙動にほとんど影響しない。シールは、必要に応じて、すなわち、少なくとも1つのさらなるデバイスが照明デバイスである場合、照明目的で光学的に透明であることを意味する。
【0036】
「シール」の材料の比誘電率(relative permittivity)又は誘電率(dielectric constant)は、アンテナ構成の性能に唯一影響を及ぼす要因である。このようなシールを適用することは、アンテナ要素として機能するスロットを空気中の開口部に比べて多少小さく又は大きくする必要があり得る。この理由には、ある材料を通るEM波の速度は異なり、それゆえ、マッチングインピーダンスを含め、所望の共振周波数にマッチするように適合されるべきであるという事実が挙げられる。
【0037】
本開示の一例において、シールされた透明窓は、光学要素として作用するように配置される。
【0038】
具体的には、シールされた透明窓は、追加的に、所要の光学効果に依存してディフューザ、コリメータ、又はレンズとして光学的に作用してもよい。有益なことに、これらの開口部は一方向に方向付けられるため、ライトデザイナ(light designer)は、あるライトデザインを達成するために、アンテナ構成を適切に置くことができる。マイクロレンズを含む光学フォイルが窓をシールするために使用される場合、シールされた透明窓は、複数のレンズを有するレンズ構造として機能してもよい。
【0039】
本開示の一例において、アンテナ構成はさらに、伝導性ボディを囲むシールドカバー(shielding cover)を含む。
【0040】
シールドカバーは、例えば厳しい気象及び環境条件から、給電構造だけでなくアンテナ構造も保護するように機能する。
【0041】
本開示の一例において、シールドカバーは、熱伝導性であり、光学的に透明又は半透明な材料で作られる。
【0042】
これにより、例えばアンテナ構成のIC及び照明デバイスによって生成される熱を取り除く、及び、周囲への光の放出を容易にするのに役立つ。
【0043】
光学的に透明又は半透明な材料は、通常、最適ではない熱伝導特性を有するが、温度が例えば摂氏85度等の仕様内に収まる場合、この材料の使用は構わない。
【0044】
本開示の特定の例において、シールドカバーは、少なくとも、少なくとも1つのさらなるデバイスが近接して配される(複数の)スロット及び(複数の)開口部のロケーションにおいて光学的に透明又は半透明である。
【0045】
本開示の一例において、シールドカバーは、開口部の少なくとも1つによって励起される少なくとも1つの光導波路を含む。
【0046】
光導波路は、伝導性ボディの外面にナイスな(nice)パターン、形状のテキストを表示するために使用されてもよい。このようにして、アンテナ機能は無傷であり(stay intact)、同時に、さらなるデバイスのための光学的に透明な開口部は、光導波路を励起するためだけに存在する。
【0047】
本開示の一例において、光導波路は、少なくとも1つのさらなるデバイスによって生成される波長によって励起可能な蛍光体材料を含む。
【0048】
例えばLEDである、さらなるデバイスは、蛍光体を励起する波長を発するように選択されてもよく、蛍光体は、異なる波長で光って(glow)もよい。これにより、パイプ全体が光っているように見せることができる。
【0049】
本開示の一例において、アンテナ構成はさらに、センサ及びアクチュエータのいずれかを含む。
【0050】
アクチュエータは、例えば、振動モータ又はピエゾデバイスであってもよい。これらのデバイスは、例えば冬季にパイプ状の伝導性ボディから雪を文字通り振り払うことによって取り除くことにより、アンテナ構成の良好なメンテナンスを容易にするために使用されてもよい。振動効果は、鳥を一掃するためにも有用であり得る。これは、パイプに鳥の糞がつくのを防止し得る。なぜなら、ケーブルに鳥がいない限り、ケーブルに鳥の糞がつく可能性は低いからである。このような振動アクチュエータは、可聴信号を生成することができてもよく、及び/又は、拡声スピーカに使用されてもよい。
【0051】
センサは、存在センサ、光センサ、マイクロフォン等を含んでもよい。センサは、(半)公共エリアを監視する、データを収集する、又はセンサデータに基づいてアクティブアンテナアレイ及び/又は光出力を制御するために機能してもよい。
【0052】
本開示の一例において、アンテナ構成はさらに、通信のための1つ以上の電子デバイスを収容するためのシールされたハウジング(sealed housing)を含む。
【0053】
このような電子デバイスは、さらなるデータ接続なしに、メッシュネットワークが形成されることを可能にする。
【0054】
本開示の上述の及び他の特徴及び利点は、添付の図面を参照する以下の説明から最も良く理解されるであろう。図面において、同様の参照数字は、同一の部品又は同一の若しくは同等の機能若しくは動作を実行する部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図2】本開示による代替的なスロット形状を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
ここで、本開示によって企図される実施形態が、添付の図面を参照してより詳細に述べられる。開示される主題は、本明細書に記載の実施形態のみに限定されると解釈されるべきではない。むしろ、図示される実施形態は、主題の範囲を当業者に伝えるために例示として提供される。
【0057】
図1は、本開示によるアンテナ構成100を概略的に示している。
【0058】
アンテナ構成100は、外部コンダクタ(outer conductor)101等、細長いパイプ状の電気伝導性ボディを含む。複数のスロット又はスリット102が、伝導性ボディ101に形成され、伝導性ボディ101内に配置される給電構造110上に配されるポイントソース(point source)103によって電気的に励起される。
【0059】
この例におけるスロット102は、伝導性ボディ101の長手方向に沿って延びる細長い形状を有する。ある数のスロット102が、スロットアンテナアレイを形成し、伝導性ボディ101の長手方向に沿って繰り返される。
【0060】
一例として、スロットアンテナアレイを励起するために必要な信号は、パイプ内に配される給電構造として機能する、例えばプリント回路基板(PCB)110上に設けられるIC104によって生成される。
【0061】
各スロット102は、一対のソース103によって励起される場合、電磁エネルギを放射するスロットアンテナとして作用する。アンテナアレイは、
図1に示されるように、アンテナ122を有する信号ジェネレータユニット121を含む、等価な機械的構造120を有するように概略的に図示され得る。
【0062】
スロット102は、各々それ自体が伝導性ボディ101の長手方向に沿って延びる狭く細長いスリットとして図示されている。ある数のスロットによって形成されるアレイは、伝導性ボディ101の長手方向に沿って延びる、列に配列されている。
【0063】
1列に配置される2つのスロットのみが
図1に図示されているが、当業者であれば、複数のスロットが伝導性ボディ101の外面を囲む複数の列に配置されてもよいことを想定することができる。各列は、ある数のスロット102を含み、当該列上のスロットを励起するためのPCB110の形態の対応する給電構造を有する。
【0064】
図1の例では、6列のスロット102(
図1では1列のみが図示されている)に励起を与えるために使用される、6つのPCB110が図示されている。この解決策は、現実的でコスト効果の高い解決策に基づいているが、信頼性、コスト、製造の容易さ、又はその他の関連する理由に依存して、任意の数のPCB、ましてはパイプ状のPCB(又はフレキシブルPCB又はフォイル)が、伝導性ボディ101にフィットするようにされてもよい。
【0065】
一例として、スロットによって形成される個々のアンテナ構造及び対応する励起は、伝導性ボディ101に沿って単一のアンテナが必要とされ、当該時点で多くのアンテナが未使用のままである場合、独立して制御又はアドレス指定されてもよい。この場合、MIMO機能は、部分的又は完全にディスエーブルされる(disabled)ことができる。伝導性ボディ101に沿って数多くのアンテナがあるため、クライアントへ向かう所要の伝播特性に基づいて1つのアンテナが選択されることができる。
【0066】
一例では、伝導性ボディ101に沿ったアンテナのグループがアクティブにされ、個々のMIMOグループを作ることができる。
【0067】
図2を参照すると、スロットは、電磁信号の伝播の挙動を改善するのに役立ち、ポイントによって励起され得る、任意の他の形状を採用してもよいことを、当業者であれば想定することができる。
【0068】
図2において、代替的なスロット212は、細長い形状を有し、伝導性ボディの周方向に沿って配向され、励起203を有するように図示されている。スロット212は、伝導性ボディに対して傾斜又はらせん方向に配向され得ることも想定されることができる。
【0069】
別の代替的なスロット222は、X字又は十字形状を有するように図示されている。スロット102と同じ向きを有するスロット212も
図2に図示されている。
【0070】
さらに、内部コンダクタ251が、伝導性ボディ201の内部に配され、
図1のPCB110上に描かれているような、IC104に向かうパイプに沿った信号の伝播を改善するのに役立つ同軸構造250を形成してもよい。
【0071】
図1に戻ると、シールドカバー又は保護層130が、伝導性ボディ101の周りに又は伝導性ボディ101を囲むように配されてもよい。
【0072】
さらに、1つ以上のさらなるデバイスが、PCB110上に配されてもよい。
図1には、LED照明デバイス108が、IC104及び励起ソース103の隣でPCB110上に配されていることが図示されている。LED照明デバイス108は、アンテナドライバIC104と同様、ネイキッドチップ(Flip Chip)として設けられてもよい。
【0073】
その結果、アンテナ及び発光機能又は他の機能が、アンテナ構成100に組み合わされる。シールド又は保護カバーの材料が、LED108が隣接して配されるスロットのロケーションにおいて光学的に透明である限り、LED108によって発せられる光は、伝導性ボディ101の外に透過されることができる。
【0074】
代替的に、シールされた透明な窓を有する追加的な専用の開口部が、照明アプリケーションのためだけに配置されてもよい。これらの窓は、追加的に、所要の光学効果に依存して、ディフューザ、コリメータ、又はレンズ等の光学要素として作用してもよい。
【0075】
光を放出するためのこれらの開口部が一方向に方向付けられる場合、ライトデザイナは、あるライトデザインを達成するために必要とされるように照明デバイスを有するアンテナ構成100を配向することができるため、特に有益である。
【0076】
代替的に、照明デバイス108は、伝導性ボディ101の外面に設けられ、保護カバー130を照らすようにしてもよく、保護カバー130は、特定の光学特性、例えば、光をコリメートする又は単に光を拡散するためのレンズアレイを有してもよい。
【0077】
好ましくは、シールドカバー130の材料の特性は、発生した熱を取り除く及び光を周囲に放出するために、熱伝導性であり、光学的に透明である。
【0078】
ほとんどのアプリケーションのために、シールドカバーはコンダクティブにし、雷撃に耐えられるように、適切に接地されることが有益である。
【0079】
一例として、周囲による冷却と組み合わせた放熱が許容する場合、外側シールドカバー130全体が光学的に透明又は半透明の材料で作られてもよい。導電性パイプ101に使用される例えば銅、鉄、金等の導電性材料に比べ、光学的に透明な材料は、通常、最適ではない熱伝導特性を有するが、温度が例えば摂氏85度等の仕様内に収まる場合、この材料の使用は構わない。
【0080】
一例として、外側シールドカバー130は光導波路を含み、光を発する伝導性ボディ101の外面にナイスなパターン、形状のテキストを作ってもよい。このようにして、アンテナ機能は無傷であり、同時に、光学的に透明な開口部は、光導波路を励起するためだけに存在する。
【0081】
一例として、導波路は、例えばドーピングによって、蛍光体材料が埋め込まれてもよい。この場合、LED108は、蛍光体を励起する波長を発するように選択され、蛍光体は、異なる波長で光ってもよい。これは、パイプ全体が光っているように見せることを可能にする。
【0082】
一例として、光導波路を含む構造は、スロットが位置するロケーションにおいて伝導性ボディ101に取り付けられることができる。このようにして、ビルドインされた光導波路により、光学的に透明なサイン又はフラグ及び他のオブジェクトがライトアップすることができる。
【0083】
さらに、PCB110は、さらなるセンサ又はアクチュエータを備えてもよい。一例として、雪等の望ましくない物質が文字通り振り払うことによって伝導性ボディから取り除かれ得るように、振動モータ又はピエゾデバイス又はスピーカ(図示せず)がPCB110上に配されてもよい。放熱が存在するので、雪は実際にはかなり速く溶ける可能性がある。しかしながら、雪が十分に早く溶けない場合、このようにして機械的に取り除かれることができる。
【0084】
振動効果は、鳥を一掃するためにも有用であり得る。これは、伝導性ボディに鳥の糞がつくのを防止し得る。なぜなら、ケーブルに鳥がいない限り、ケーブルに鳥の糞がつく可能性は低いからである。このような振動アクチュエータは、可聴信号を生成することができてもよく、及び/又は、拡声スピーカに使用されてもよい。
【0085】
当業者であれば、センサのアレイが構造に組み込まれてもよいことを想定することができる。例えば、センサはPCB110上に位置付けられ、環境特性を感知することができるようにアンテナスロットと整列されてもよい。
【0086】
例えば、センサは、存在センサ、光センサ、マイクロフォン等を含んでもよい。センサは、人の存在、周囲光条件、ノイズレベル等を検出するために使用されてもよい。センサインフラストラクチャの目的は、(半)公共エリアを監視すること、データを収集すること、又はセンサデータに基づいてアクティブアンテナアレイ及び/若しくは光出力を制御することのいずれかであってもよい。
【0087】
図1に示されるようなアンテナ構成100は、その回転を可能にするように設けられてもよい。アンテナ構成100をその長手方向軸に沿って回転させることにより、アンテナスロットは回転方向に動かされ、その結果、すべてのアンテナについて異なる伝播経路が得られる。
【0088】
さらに発展した例において、アンテナ構成100は、通信及びネットワーキングのための電子機器を収容するためのシールされたハウジングを担持してもよい。電子機器は、ワイヤレス通信のためにアンテナアレイを使用するラジオ等のRFマネージメント電子機器、及び/又は、Ethernet(登録商標)又はPower over Ethernet(PoE)等、バックボーンネットワークに向けたインターフェースを含んでもよい。このようにして、このようなシステムは、電源につなぐだけで設置されることができる。メッシュ型ネットワークが、さらなるデータ接続なしに構成されることができる。
【0089】
さらに別の例として、アンテナ構成100は、2つのライトポール間の中間点で街灯を支持するキャリアとして使用されてもよい。このような実施形態の場合、アンテナ構成100は、キャリアケーブルの引張力に耐えることができなければならない。
【0090】
さらに発展した例では、アンテナ構成100は、このような街灯に電力を供給するために電力導体を組み込んでもよい。ケーブル照明及びアンテナ構成100を組み合わせることにより、大きな群衆が集まる可能性のあるオープンスペースに接続性を容易にもたらすことができる。
【0091】
照明を組み込む及び接続性を提供するこのようなフレキシブルなアンテナ構成100は、イベント(例えば、フェスティバル又はコンサート)にとっても興味深くあり得る。例えば、アンテナ構成100は、観客の上方高くに配されてもよく、又は特定のイベントへの道案内のために配されてもよい。後者の場合、さらなる照明デバイスによって発せられる光は、例えば、推奨歩行速度を示すピクセル化された光効果、又はイベントに向かう方向を示す照らされた矢印等、サイネージの目的を有してもよい。
【0092】
また、アンテナ構成100は、例えば、垂直ポール(の一部)として、又は街灯ポールの上部から延びるアーム若しくはブラケットとして、街灯ポールのモジュールであってもよい。この場合、パイプは、街灯光源を含んでもよく、又は別個の光源に向けた機械的及び電気的接続を提供してもよい。
【0093】
本開示は、上記で開示される例に限定されず、任意のデータ通信、データ交換及びデータ処理環境、システム又はネットワークで使用するために、発明的技能を適用する必要なしに、添付の特許請求の範囲に開示される本開示の範囲を越えて当業者によって変更及び拡張されることができる。