(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】電池セル及び電池セルを含む電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/184 20210101AFI20241122BHJP
H01M 50/197 20210101ALI20241122BHJP
H01M 50/191 20210101ALI20241122BHJP
H01M 50/198 20210101ALI20241122BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20241122BHJP
H01M 50/30 20210101ALI20241122BHJP
H01M 50/317 20210101ALI20241122BHJP
【FI】
H01M50/184 C
H01M50/197
H01M50/191
H01M50/198
H01M50/193
H01M50/30
H01M50/317 101
(21)【出願番号】P 2024504853
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 KR2023001067
(87)【国際公開番号】W WO2023140707
(87)【国際公開日】2023-07-27
【審査請求日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0010160
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】フン-ヒ・リム
(72)【発明者】
【氏名】サン-フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ヒョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】デ-ウォン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン-キュン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ス-ジ・ファン
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-525804(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0135349(KR,A)
【文献】特開2001-307715(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0129600(KR,A)
【文献】特表2016-532991(JP,A)
【文献】特表2015-511060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00 - 50/198
H01M 50/30 - 50/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体が装着される収納部、及び外周縁が封止された構造のシーリング部を含む電池ケースと、
前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を介して前記電池ケースの外側方向に突出している電極リードと、
前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、を含む電池セルであって、
前記リードフィルムは、前記電池ケースの外側方向に湾入された凹部であって、前記電池ケースの内部に向かって開放されている凹部を有しており、
前記リードフィルムは、前記電極リードの突出方向を基準にして、前記凹部の前面及び前記凹部の上面を囲み、
前記電池ケースの内部で発生したガスが前記凹部及び前記凹部の上面を囲むリードフィルムを介して電池ケースの外部に排出され、
前記電池セルは、前記リードフィルムのガス排出部上に位置し
たコーティング層であって、フッ素系高分子を含むコーティング層を含む、電池セル。
【請求項2】
前記リードフィルムのガス排出部は、前記電池ケースの外側面よりも外側に位置する、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
電極組立体が装着される収納部、及び外周縁が封止された構造のシーリング部を含む電池ケースと、
前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を介して前記電池ケースの外側方向に突出している電極リードと、
前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、を含む電池セルであって、
前記リードフィルムは、前記電池ケースの外側方向に湾入された凹部であって、前記電池ケースの内部に向かって開放されている凹部を有しており、
前記電池ケースの内部で発生したガスが前記凹部及び前記凹部の上面を囲むリードフィルムを介して電池ケースの外部に排出され、
前記電池セルは、前記リードフィルムのガス排出部上に位置し
たコーティング層であって、フッ素系高分子を含むコーティング層を含み、
前記凹部は、第1凹部と第2凹部とを含み、
前記第2凹部の幅は、第1凹部の幅よりも大きい、電池セル。
【請求項4】
前記第2凹部は、第1凹部よりも電極組立体が収納された部分から離れて位置する、請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1凹部の一部は、前記シーリング部と対応する領域に位置する、請求項3に記載の電池セル。
【請求項6】
前記第2凹部の一部は、シーリング部と対応しない領域に位置する、請求項3に記載の電池セル。
【請求項7】
前記第2凹部の電池ケースの外側方向における端部は、前記電池ケースの外側面よりも外側に位置する、請求項3に記載の電池セル。
【請求項8】
前記第2凹部は、前記シーリング部の端部と前記リードフィルムの端部との間に位置する、請求項3に記載の電池セル。
【請求項9】
前記コーティング層は、前記第2凹部上に位置する、請求項3に記載の電池セル。
【請求項10】
前記第1凹部は、前記電極リードの突出方向に沿って延びており、
前記第2凹部は、前記シーリング部の長手方向に沿って延びている、請求項3に記載の電池セル。
【請求項11】
前記フッ素系高分子は、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)、フッ化ビニル(vinyl fluoride)、フッ化ビニリデン(vinylidene fluoride)、又はこれらの少なくとも2つのモノマーに由来する繰り返し単位を含む高分子を含む、請求項1に記載の電池セル。
【請求項12】
前記コーティング層の厚さは0.1μmないし2mmである、請求項1に記載の電池セル。
【請求項13】
電極組立体が装着される収納部、及び外周縁が封止された構造のシーリング部を含む電池ケースと、
前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を介して前記電池ケースの外側方向に突出している電極リードと、
前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、を含む電池セルであって、
前記リードフィルムは、前記電池ケースの外側方向に湾入された凹部であって、前記電池ケースの内部に向かって開放されている凹部を有しており、
前記電池ケースの内部で発生したガスが前記凹部及び前記凹部の上面を囲むリードフィルムを介して電池ケースの外部に排出され、
前記電池セルは、前記リードフィルムのガス排出部上に位置し
たコーティング層であって、フッ素系高分子を含むコーティング層を含み、
前記電極リードの突出方向を基準にして前記凹部の内面は閉じられている、電池セル。
【請求項14】
前記リードフィルムの凹部の内面の少なくとも一面を覆う内層をさらに含む、請求項13に記載の電池セル。
【請求項15】
前記内層をなす素材は、融点が前記リードフィルムをなす素材の融点よりも高く、電解液と反応しない、請求項14に記載の電池セル。
【請求項16】
前記リードフィルムは、ポリオレフィン系の物質を含む、請求項1に記載の電池セル。
【請求項17】
前記内層は、ポリオレフィン系、フッ素系、及び多孔質セラミック系のうちの少なくとも一つの物質を含む、請求項15に記載の電池セル。
【請求項18】
前記凹部は、前記電極リード上に位置する、請求項1に記載の電池セル。
【請求項19】
前記リードフィルムの長さは、前記電極リードの幅よりも大きい、請求項1に記載の電池セル。
【請求項20】
前記凹部は、前記電極リードの端部と前記リードフィルムの端部との間に位置する、請求項19に記載の電池セル。
【請求項21】
前記凹部の電池ケースの内部に向かって開放されている端部は、前記電池ケースの内側面よりも内側に位置する、請求項1に記載の電池セル。
【請求項22】
前記電極リードの突出方向を基準にして、前記凹部の前面を囲むリードフィルムの幅は2mmないし3mmである、請求項1に記載の電池セル。
【請求項23】
前記凹部の上面を囲むリードフィルムの厚さは100ないし300μmである、請求項1に記載の電池セル。
【請求項24】
前記リードフィルムのガス透過度(permeability)は60℃で20ないし60barrerである、請求項1に記載の電池セル。
【請求項25】
前記リードフィルムの水分浸透量は25℃、50%RHで10年の間に0.02ないし0.2gである、請求項1に記載の電池セル。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載の電池セルを含む、電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セル及び電池セルを含む電池モジュールに関し、より具体的には、電池セル内部で発生したガスを外部に排出することができる電池セル及び電池セルを含む電池モジュールに関する。本出願は、2022年1月24日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0010160号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれて、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。特に、二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートブック、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても多くの関心を集めている。
【0003】
このような二次電池は、電池ケースの形状に応じて、電極組立体が円筒形又は角形の金属缶に内蔵されている円筒形電池及び角形電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池とに分類される。ここで、電池ケースに内蔵される電極組立体は、正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜の構造からなり充放電が可能な発電素子として、活物質が塗布された長いシート状の正極と負極との間に分離膜を介在して巻き取ったゼリーロール型と、複数の正極と負極を分離膜に介在した状態で順次積層したスタック型とに分類される。
【0004】
この中でも、特にスタック型又はスタック/折り畳み型電極組立体をアルミニウムラミネートシートのポーチ型電池ケースに内蔵した構造のパウチ型電池は、低い製造コスト、小さい重量、容易な変形形態などの理由によって使用量が徐々に増加している。
【0005】
しかしながら、最近、電池セルのエネルギー密度が増加するにつれて、電池セルの内部で発生するガス量も増加するという問題がある。従来の電池セルの場合、電池セルの内部で発生したガスを排出できる部品が含まれていないので、電池セルはガスの発生によりベンティング現象が発生する可能性がある。さらに、ベンティング現象によって損傷を受けた電池セルは、水分が内部に浸透し、副反応が発生する可能性があり、電池性能の低下及び追加のガス発生も招く問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために、電池セル内部で発生するガスを電池セル外部に排出するためのいくつかの方法が考案されているが、ガスが電池セル外部に放出されると同時に水分が電池セル内部に浸透する問題がある。従って、電池セル内部で発生したガスを外部に排出できるとともに水分が電池セル内部に浸透する問題を防止できる電池セルを開発する必要性が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、電池セル内部で発生したガスの外部排出量を向上させるとともに電池セル内部への水分の浸透を防止できる電池セル、及びこれを含む電池モジュールを提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする課題が上述の課題に限定されるものではなく、言及されていない課題は、本明細書及び添付の図面から、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一方面によると、以下の実施形態の電池セルが提供される。
【0010】
第1実施形態は、電極組立体が装着される収納部、及び外周縁が封止された構造のシーリング部を含む電池ケースと、前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を介して前記電池ケースの外側方向に突出している電極リードと、前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムとを含む電池セルであって、前記リードフィルムは、前記電池ケースの外側方向に湾入された凹部であって、前記電池ケースの内部に向かって開放されている凹部を含み、前記電池セルは、前記リードフィルムのガス排出部上に位置し、フッ素系高分子を含むコーティング層を含む電池セルに関する。
【0011】
第2実施形態は、第1実施形態において、前記リードフィルムのガス排出部が前記電池ケースの外側面よりも外側に位置し得る。
【0012】
第3実施形態は、第1実施形態又は第2実施形態において、前記凹部が第1凹部と第2凹部とを含み、前記第2凹部の幅が第1凹部の幅よりも大きいことがある。
【0013】
第4実施形態は、第3実施形態において、前記第2凹部が第1凹部よりも電極組立体が収納された部分から離れて位置し得る。
【0014】
第5実施形態は、第3実施形態又は第4実施形態において、前記第1凹部の一部が前記シーリング部と対応する領域に位置し得る。
【0015】
第6実施形態は、第3実施形態ないし第5実施形態のいずれか一実施形態において、前記第2凹部の一部がシーリング部と対応しない領域に位置し得る。
【0016】
第7実施形態は、第3実施形態ないし第6実施形態のいずれか一実施形態において、前記第2凹部の電池ケースの外側方向における端部が前記電池ケースの外側面よりも外側に位置し得る。
【0017】
第8実施形態は、第3実施形態ないし第7実施形態のいずれか一実施形態において、前記第2凹部が前記シーリング部の端部と前記リードフィルムの端部との間に位置し得る。
【0018】
第9実施形態は、第3実施形態ないし第8実施形態のいずれか一実施形態において、前記コーティング層が前記第2凹部上に位置し得る。
【0019】
第10実施形態は、第3実施形態ないし第9実施形態のいずれか一実施形態において、前記第1凹部が前記電極リードの突出方向に沿って延びており、前記第2凹部が前記シーリング部の長手方向に沿って延び得る。
【0020】
第11実施形態は、第1実施形態ないし第10実施形態のいずれか一実施形態において、前記フッ素系高分子がテトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)、フッ化ビニル(vinyl fluoride)、フッ化ビニリデン(vinylidene fluoride)、又はこれらの少なくとも2つのモノマーに由来する繰り返し単位を含む高分子を含み得る。
【0021】
第12実施形態は、第1実施形態ないし第11実施形態のいずれか一実施形態において、前記コーティング層の厚さが0.1μmないし2mmであり得る。
【0022】
第13実施形態は、第1実施形態ないし第12実施形態のいずれか一実施形態において、前記電極リードの突出方向を基準にして前記凹部の内面が閉じられ得る。
【0023】
第14実施形態は、第13実施形態において、前記リードフィルムの凹部の内面の少なくとも一面を覆う内層をさらに含み得る。
【0024】
第15実施形態は、第14実施形態において、前記内層をなす素材は、融点が前記リードフィルムをなす素材の融点よりも高く、電解液と反応しないことがある。
【0025】
第16実施形態は、第1実施形態ないし第15実施形態のいずれか一実施形態において、前記リードフィルムがポリオレフィン系の物質を含み得る。
【0026】
第17実施形態は、第15実施形態又は第16実施形態において、前記内層がポリオレフィン系、フッ素系、及び多孔質セラミック系のうちの少なくとも一つの物質を含み得る。
【0027】
第18実施形態は、第1実施形態ないし第17実施形態のいずれか一実施形態において、前記凹部が前記電極リード上に位置し得る。
【0028】
第19実施形態は、第1実施形態ないし第18実施形態のいずれか一実施形態において、前記リードフィルムの長さが前記電極リードの幅よりも大きいことがある。
【0029】
第20実施形態は、第19実施形態において、前記凹部が前記電極リードの端部と前記リードフィルムの端部との間に位置し得る。
【0030】
第21実施形態は、第1実施形態ないし第20実施形態のいずれか一実施形態において、前記凹部の電池ケースの内部に向かって開放されている端部が前記電池ケースの内側面よりも内側に位置し得る。
【0031】
第22実施形態は、第1実施形態ないし第21実施形態のいずれか一実施形態において、前記電極リードの突出方向を基準にして、前記凹部の前面を囲むリードフィルムの幅が2mm以上であり得る。
【0032】
第23実施形態は、第1実施形態ないし第22実施形態のいずれか一実施形態において、前記凹部の上面を囲むリードフィルムの厚さが100ないし300μmであり得る。
【0033】
第24実施形態は、第1実施形態ないし第23実施形態のいずれか一実施形態において、前記リードフィルムのガス透過度(permeability)は60℃で20ないし60barrerであり得る。
【0034】
第25実施形態は、第1実施形態ないし第24実施形態のいずれか一実施形態において、前記リードフィルムの水分浸透量が25℃、50%RHで10年の間に0.02ないし0.2gであり得る。
【0035】
本発明の一態様によると、以下の実施形態の電池モジュールが提供される。
【0036】
第26実施形態は、第1実施形態に記載の電池セルを含む電池モジュールであり得る。
【発明の効果】
【0037】
本発明の一実施形態による電池セルは、電池ケースの外側方向に湾入され電池ケースの内部に向かって開放されている凹部が形成されたリードフィルムが付着された電極リードを含み、電池セルの内部で発生したガスの外部排出量を向上させることができる。
【0038】
本発明の一実施形態による電池セルは、リードフィルムのガス排出部上に位置し、フッ素系高分子を含むコーティング層を含むことによって、ガスの外部排出量に影響を与えずに電池セル内部への水分浸透量を減少させることができる。
【0039】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の一実施形態による電池セルの上面図である。
【
図2】
図1の電池セルに含まれた電極リードの斜視図である。
【
図3】
図2のb-b’軸に沿って切った断面図である。
【
図4】
図2のc-c’軸に沿って切った断面図である。
【
図5】
図1の電池セルの電極リード部を拡大した図である。
【
図6】
図5(a)におけるシーリング部の位置に応じた電極リード部を拡大した図である。
【
図7】
図1のa-a’軸に沿って切った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使用される用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されるものである。
【0042】
したがって、本明細書に記載された実施形態に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0043】
本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体において同一又は類似の構成要素には同一の参照符号を付す。
【0044】
また、図面に示される各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜上任意に示されているので、本発明は必ずしも示されたものに限定されない。図面において、いくつかの層及び領域を明確に表示するために厚さを拡大して示した。そして、図面では、説明の便宜上、いくつかの層及び領域の厚さを誇張して示した。
【0045】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0046】
以下、本発明の実施形態によるパウチ電池セルについて説明する。ここではパウチ電池セルの両側面のうち一側面を基準にして説明するが、必ずしもこれに限定されるものではなく、他側面の場合にも同一又は類似の内容で説明することができる。
【0047】
本発明の一方面による電池セルは、電極組立体が収納部に装着され、外周縁が封止された構造のシーリング部を含む電池ケースと、前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を介して前記電池ケースの外側方向に突出している電極リードと、前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、を含み、前記リードフィルムは、前記電池ケースの外側方向に湾入され前記電池ケースの内部に向かって開放された凹部が形成されており、前記リードフィルムのガス排出部上に位置し、フッ素系高分子を含むコーティング層を含む。
【0048】
図1は、本発明の一実施形態による電池セルの上面図である。
【0049】
図1を参照すると、本実施形態による電池セル100は、電池ケース200、電極リード300、及びリードフィルム400を含む。
【0050】
電池ケース200は、電極組立体110が収納部210に装着され、外周縁が封止された構造のシーリング部250を含む。前記シーリング部250は、熱やレーザーなどによって封止される。電池ケース200は、樹脂層と金属層とを含むラミネートシートであり得る。より具体的には、電池ケース200はラミネートシートで構成され、最外層をなす外側樹脂層、物質の貫通を防止する遮断性の金属層、及び封止用の内側樹脂層から構成し得る。
【0051】
また、電極組立体110は、ゼリーロール型(巻き取り型)、スタック型(積層型)、又は複合型(スタック/折り畳み型)の構造からなり得る。より具体的には、電極組立体110は、正極、負極、及びそれらの間に配置された分離膜からなり得る。前記正極、負極、及び分離膜については、当技術分野で一般的に通用される構造及び物質を用いることができる。
【0052】
図1を参照すると、電極リード300は、電極組立体110に含まれた電極タブ(図示せず)と電気的に接続され、シーリング部250を介して電池ケース200の外側方向に突出している。
【0053】
図2は、
図1の電池セルに含まれた電極リードの斜視図である。
【0054】
図2を参照すると、リードフィルム400は、電極リード300の上部及び下部の少なくとも一方においてシーリング部250に対応する部分に位置する。これにより、リードフィルム400は、封止時に電極リード300にショートが発生することを防止するとともに、シーリング部250と電極リード300との封止性を向上させることができる。
【0055】
図3は、
図2のb-b’軸に沿って切った断面図である。
図4は、
図2のc-c’軸に沿って切った断面図である。
【0056】
図3及び
図4を参照すると、リードフィルム400は、電池ケース200の外側方向に湾入した凹部450が形成されており、凹部450は電池ケース200の内部に向けて開放されている。また、凹部450は、電極リード300の突出方向を基準に凹部450の内面が閉じられ得る。
【0057】
これにより、リードフィルム400において、電池ケース200内部で発生したガスが所定の圧力以上になると凹部450に排出することができ、凹部450に流入したガスは内外の圧力差に応じて電池外部に排出することができる。また、リードフィルム400は、凹部450が内部に向かって開放されるとともに、リードフィルム400の外側方向に湾入した凹部の内面が閉じているので、ポーチの気密性及び耐久性も確保できる利点がある。また、リードフィルム400は、凹部450によって気体の透過面積を最大化することができ、大量の気体を排出することができる。
【0058】
さらに、
図3及び
図4を参照すると、リードフィルム400は、凹部450の内面の少なくとも一方の面を覆う内層410をさらに含み得る。
【0059】
一例として、
図3(a)及び
図4(a)を参照すると、凹部450内において、内層410はリードフィルム400の表面全体を覆い得る。すなわち、凹部450は、開放された面を除く内面全体に内層410が形成され得る。
【0060】
これにより、リードフィルム400は、電極リード300の上部及び下部の少なくともいずれかに位置した状態でシーリング部250と共に封止されても、内層410によって凹部450が封止されない状態を保持することができる。
【0061】
別の例として、
図3(b)及び
図4(b)を参照すると、内層410は凹部450の内面のうち上面又は下面を覆い得る。すなわち、凹部450は、互いに対向する上面及び下面の少なくとも一面に内層410が形成され得る。
【0062】
これにより、リードフィルム400は、凹部450内に形成される内層410を最小化するとともに、内層410によって凹部450が封止されていない状態を保持することができる。また、製造工程を簡素化し、コストを削減することができる。
【0063】
より具体的には、内層410は、融点がリードフィルム400を構成する素材よりも高い素材からなり得る。また、内層410は、電池ケース200内に含まれる電解液と反応しない素材からなり得る。このように、内層410が上述した素材からなることで、電解液と別途に反応せず、封止過程で熱融着、熱変形等が発生しないため、凹部450に空間を維持することができる。
【0064】
本発明の一実施形態では、前記内層410の厚さは100μm以下であり得る。
【0065】
本発明の一実施形態では、前記内層410のガス透過度(permeability)は40barrer以上であり得る。例えば、前記内層410の二酸化炭素の透過度が上述した範囲を満たすことができる。この場合、ガスが電池外部に容易に排出されることができる。
【0066】
一例として、内層410は、ポリオレフィン系、フッ素系、及び多孔質セラミック系のうちの少なくとも1つの物質を含み得る。例えば、前記内層410は、上述したガス透過度の値を満たすポリオレフィン系、フッ素系、及び多孔質セラミック系のうちの少なくとも1つの物質を含み得る。前記ポリオレフィン系物質は、ポリプロピレン(Polypropylene)、ポリエチレン(Polyethylene)及びポリビニルジフロリド(Polyvinyl difluoride、PVDF)からなる群より選択される1種以上の素材を含み得る。前記フッ素系物質は、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene)及びポリビニリデンフロリド(Polyvinylidene fluoride)からなる群より選択される1種以上の素材を含み得る。また、内層410はゲッター(getter)物質を含むことができ、ガス透過度を高くさせ、水分浸透量を最小化することができる。一例として、前記ゲッター物質は、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、塩化リチウム(LiCl)、シリカ(SiO2)などであり得るが、これらに限定されず、水(H2O)と反応する物質であれば、使用することができる。
【0067】
前記内層410は、前記リードフィルム400と内層410との間に接着素材を備え、又はリードフィルム400と共に押出してリードフィルム400と接着し得る。前記接着素材はアクリル系を含み得る。特に、前記内層410がリードフィルム400と共に押出される場合、内層410のガス透過度は40barrer以上となり得る。
【0068】
図2ないし
図4を参照すると、リードフィルム400は第1リードフィルムと第2リードフィルムとを含み、前記第1リードフィルムは電極リード300の上部に位置し、前記第2リードフィルムは電極リード300の下部に位置し得る。このとき、電極リード300は、前記第1リードフィルムと前記第2リードフィルムとの間に位置した状態でシーリング部250と共に封止され、前記第1リードフィルムと前記第2リードフィルムとが相互に連結され得る。
【0069】
これにより、リードフィルム400は、電極リード300の側面が外部に露出することを防止するとともに、シーリング部250と電極リード300との封止性を向上させることができる。
【0070】
一例として、リードフィルム400において、凹部450は、前記第1リードフィルム及び前記第2リードフィルムのうちの少なくとも一方に凹部450が位置し得る。より具体的には、リードフィルム400において、凹部450は、電極リード300を基準に前記第1リードフィルム又は前記第2リードフィルムに形成されるか、或いは、凹部450は、電極リード300を基準に前記第1リードフィルム及び前記第2リードフィルムの両方に形成され得る。ただし、凹部450の数は上述した内容に限定されず、リードフィルム400内に適切な数で形成され得る。
【0071】
このように、リードフィルム400に形成されている凹部450の数を調整することによって、リードフィルム400の耐久性及び気密性を制御することができる。また、必要に応じて凹部450の数を最小化して、製造工程を簡略化し、コストを削減することができる。
【0072】
本発明の一実施形態では、前記リードフィルム400のガス透過度(permeability)は、60℃で20ないし60barrer、又は30ないし40barrerであり得る。例えば、前記リードフィルム400の二酸化炭素の透過度が上述した範囲を満たすことができる。また、リードフィルム400の厚さ200μmを基準にガス透過度が60℃で上述した範囲を満たすことができる。前記リードフィルム400のガス透過度が述した範囲を満たす場合、電池内部で発生したガスをより効果的に排出することができる。
【0073】
本明細書において、ガス透過度はASTMF2476-20で測定し得る。
【0074】
本発明の一実施形態では、前記リードフィルム400の水分浸透量は、25℃、50%RHで10年の間に0.02ないし0.2g、又は0.02ないし0.04g、もしくは0.06g又は0.15gであり得る。前記リードフィルム400の水分浸透量が上述した範囲を満たす場合、前記リードフィルム400から流入する水分の浸透をより効果的に防止することができる。
【0075】
本明細書において、水分浸透量(水分透過度)はASTMF1249方式を採用して測定し得る。このとき、MCOON社から公式認証された機器を使用して測定し得る。
【0076】
本発明の一実施形態では、前記リードフィルム400は、ガス透過度が60℃で20ないし60barrerであり、水分浸透量が25℃、50%RHで10年の間に0.02ないし0.2gであり得る。前記リードフィルム400のガス透過度及び水分浸透量が上述した範囲を満たす場合、電池の内部で発生するガスを排出するとともに外部からの水分浸透をより効果的に防止することができる。
【0077】
本発明の一実施形態では、前記リードフィルム400はポリオレフィン系樹脂を含み得る。例えば、前記リードフィルム400は上述したガス透過度及び/又は水分浸透量の値を満たすポリオレフィン系樹脂を含み得る。前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン(Polypropylene)、ポリエチレン(Polyethylene)及びポリビニルジフロリド(Polyvinyl difluoride、PVDF)からなる群より選択される1種以上の素材を含み得る。前記リードフィルム400がポリプロピレンを含み、かつ前記リードフィルム400のガス透過度が60℃で20ないし60barrerであり得る。また、水分浸透量は0.06gないし0.15gであり得る。この場合、電池の内部で発生するガスがより効果的に排出されるとともに、外部からの水分浸透を容易に防止することができる。
【0078】
また、リードフィルム400は上述した素材からなり、電池セル100の気密性を維持することができ、内部電解液の漏液も防止することができる。
【0079】
図5は、
図1の電池セルの電極リード部を拡大した図である。
【0080】
図5を参照すると、前記リードフィルム400のガス排出部上にコーティング層500が位置する。
【0081】
リードフィルム400に凹部450が形成され、電池内部で発生したガスがリードフィルム400を介して電池外部に排出される際に、リードフィルム400のガス透過度が高いほど、電池外部の物質、例えば水分に対するリードフィルム400の透過度も高く、電池外部の物質が電池内部に流入することができる。前記コーティング層500は、水分透過度が低く、電池外部から電池内部に浸透する水分浸透量を減少させることができる。
【0082】
前記コーティング層500は、リードフィルム400のガス排出部上に位置し、電池内部のガスが電池外部に排出されることにほとんど影響を与えずに、電池外部から電池内部に浸透する水分の浸透量を減少させることができる。
【0083】
本発明の一実施形態では、前記コーティング層500の厚さは0.1μmないし2mmであり得る。前記コーティング層500の厚さが上述した範囲を満たす場合、電池内部のガスが電池外部に排出されることにほとんど影響を与えずに、電池外部から電池内部に浸透する水分の浸透量をより容易に低減することができる。例えば、前記コーティング層500の厚さが0.1μmないし200μmである場合、電池外部から電池内部に浸透する水分の浸透量を減少させ、かつガス排出量を1cc/day以上とし得る。また、前記コーティング層500の厚さが200μmないし2mmである場合、電池外部から電池内部に浸透する水分浸透量を減少させ、かつガス排出量を1cc/day以下とし得る。
【0084】
前記コーティング層500はフッ素系高分子を含む。前記フッ素系高分子は、ガス透過度が高くかつ水分透過度が低い点から、コーティング層500の素材として好適であり得る。
【0085】
本発明の一実施形態では、前記フッ素系高分子がテトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)、フッ化ビニル(vinyl fluoride)、フッ化ビニリデン(vinylidene fluoride)、又はこれらのうちの2つ以上のモノマーに由来する繰り返し単位を含む高分子を含み得る。例えば、前記フッ素系高分子は、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene)、パーフルオロアルコキシ(perfluoroalkoxy)、フッ素化エチレンプロピレン(fluorinated ethylene propylene)などの高分子を含み得る。
【0086】
前記コーティング層500は、スプレーコーティング又は気相蒸着(vapor deposition)によってリードフィルム400のガス排出部分上にフッ素系高分子をコーティングして形成することができるが、リードフィルム400のガス排出部分上にコーティング層500を形成する方法はこれに限定されない。
【0087】
図5を参照すると、前記凹部450は第1凹部451と第2凹部455とを含み得、前記第2凹部455の幅は第1凹部451の幅より大きいことがある。本明細書において、第2凹部455の幅とは、電極リード300の突出方向と直交する方向における第2凹部455の一端と他端との距離の最大値を指し、第1凹部451の幅とは、電極リード300の突出方向と直交する方向における第1凹部451の一端と他端との間の距離の最大値を指す。
【0088】
凹部450が異なる幅を有する第1凹部451及び第2凹部455を含む場合、幅が相対的に狭い第1凹部451においてガスが流入して圧力によって外部に膨張されるリードフィルム400の曲率が、幅が相対的に広い第2凹部455においてガスが流入して圧力によって膨張されるリードフィルム400の曲率よりも小さいため、リードフィルム400と電極リード300の界面間にかかるストレスが小さく、リードフィルム400の耐久性をより容易に向上させることができる。
【0089】
図5を参照すると、前記第2凹部455は、第1凹部451よりも電極組立体110が収容された部分から離れて位置し得る。このとき、第2凹部455が電池ケース200内で発生したガスを電池ケース200の外部に排出させる役割を果たすことができ、第2凹部455の幅を第1凹部451の幅より広くすることで、ガスが外部に排出される面積がさらに増加し、より容易にガスの排出量を増加させることができる。また、幅が相対的に狭い第1凹部451が、電池ケース200の内部で発生したガスを凹部450に流入させる通路としての役割を果たし、リードフィルム400の耐久性を高めることができる。
【0090】
図5を参照すると、前記第1凹部451の一部がシーリング部250に対応する位置に位置し得る。例えば、第2凹部455は第1凹部451よりも電極組立体110から離れて位置するとともに、第1凹部451の一部がシーリング部250に対応する位置に位置し得る。
【0091】
図5を参照すると、前記第2凹部455の一部がシーリング部250に対応しない位置に位置し得る。例えば、第2凹部455は第1凹部451よりも電極組立体110が収納された部分から離れて位置するとともに、第2凹部455の一部がシーリング部250に対応しない位置に位置し得る。
【0092】
この場合、前記第2凹部455とシーリング部250が対応しない面積が増加するほど、電池ケース200内部のガスが電池ケース200の外部に排出される面積を増加させることができる。
【0093】
本発明の一実施形態では、リードフィルム400の幅はシーリング部250の幅よりも大きく、電極リード300の長さよりも小さいことがある。本明細書において、リードフィルム400の幅とは、電極リード300の突出方向におけるリードフィルムの一端と他端との間の距離の最大値を意味する。シーリング部250の幅とは、電極リード300の突出方向におけるシーリング部250の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。電極リード300の長さとは、電極リード300の突出方向における電極リード300の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。このとき、第2凹部455は、シーリング部250の端部とリードフィルム400の端部との間に位置し得る。例えば、第2凹部455の全体がシーリング部250と対応しない位置に位置し得る。
【0094】
リードフィルム400において、凹部450は様々な形状に形成され得る。
【0095】
図5を参照すると、第1凹部451は電極リード300の突出方向に沿って延び、第2凹部455はシーリング部250の長手方向に沿って延び得る。本明細書において、シーリング部250の長手方向とは、電極リード300の突出方向と直交する方向を指す。ただし、凹部450の形状は上述した内容に限定されず、リードフィルム400内で適した形状に形成され得る。
【0096】
図5を参照すると、第1凹部451の一端は電池ケース200の外側に向かって開放され、第1凹部451の他端は第2凹部455と連通し得る。より具体的には、第1凹部451と第2凹部455とは互いに一体化され得る。すなわち、第2凹部455は、凹部450に流入したガスを外部に排出させるガス排出口の役割を果たすことができ、第1凹部451は、電池ケース200内で発生したガスが流入するガス流入口の役割を果たすことができる。
【0097】
図5を参照すると、コーティング層500は第2凹部455上に位置し得る。別の例として、コーティング層500は、第1凹部451と第2凹部455との境界線上にも位置し得る。第2凹部455が電池内部のガスを外部に排出させるガス排出口の役割を果たすため、コーティング層500が第2凹部455上に位置する場合、ガスの外部排出量に影響を与えずに、電池セル内部への水分浸透量をより容易に減少させることができる。
【0098】
より具体的には、コーティング層500は、第2凹部455の長さ方向に沿って延び得る。ここで、前記第2凹部455の長さとは、電極リード300の突出方向と直交する方向における第2凹部455の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。また、コーティング層500の長さは、第2凹部455の長さと同一であるか又はそれより大きいことがある。本明細書において、コーティング層500の長さとは、電極リード300の突出方向と直交する方向におけるコーティング層500の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。
【0099】
また、コーティング層500の幅は、第2凹部455の幅と同一であるか又はそれよりも大きいことがある。ここで、前記第2凹部455の幅とは、電極リード300の突出方向における第2凹部455の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。コーティング層500の幅とは、電極リード300の突出方向におけるコーティング層500の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。
【0100】
ただし、コーティング層500の大きさは上述した内容に限定されず、リードフィルム400内に適した大きさで形成され得る。
【0101】
図5を参照すると、凹部450は、電極リード300を基準に様々な位置に形成され得る。
【0102】
一例として、
図5(a)のように、リードフィルム400において、凹部450は電極リード300上に位置し得る。より具体的には、凹部450は、電極リード300の中心部に対応する位置に形成され得る。
【0103】
別の例として、
図5(b)のように、リードフィルム400の長さは電極リード300の幅よりも大きいことがあり、凹部450は、電極リード300の端部とリードフィルム400の端部との間に位置し得る。本明細書において、リードフィルム400の長さとは、電極リード300の突出方向と直交する方向におけるリードフィルム400の一端と他端との間の距離の最大値を意味し、電極リード300の幅とは、電極リード300の突出方向と直交する方向における電極リード300の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。言い換えれば、リードフィルム400において、凹部450は、電極リード300を回避した位置に形成され得る。ただし、凹部450の位置は上述した内容に限定されず、リードフィルム400内で適切な位置に形成され得る。
【0104】
これにより、リードフィルム400に形成されている凹部450の位置を調整して、リードフィルム400の耐久性及び気密性を制御することができる。また、必要に応じて、凹部450の位置に応じて凹部450の大きさを調整して製造工程を簡略化し、コストを削減することができる。
【0105】
図5を参照すると、リードフィルム400において、凹部450の内部に向かって開放された端部は、リードフィルム400の端部に隣接して形成され、外部に向かって湾入した端部は、シーリング部250の端部とリードフィルム400の端部との間に位置し得る。また、外部に向かって湾入した凹部450の端部は、シーリング部250の端部から所定の距離だけ離隔しているか、隣接して位置し得る。
【0106】
図6は、
図5(a)におけるシーリング部の位置に応じた電極リード部を拡大した図である。
【0107】
一例として、
図6(a)及び(b)を比較すると、リードフィルム400と接するシーリング部250の位置が変更されても、外部に向かって湾入した凹部450の端部に及ぼす影響がないことを確認することができる。
【0108】
本実施形態では、封止工程で発生するリードフィルム400とシーリング部250の位置に応じた誤差範囲内で、外部に向かって湾入した凹部450の端部が電池ケース200を基準に外側に位置する面積を均一に維持することができ、電池ケース200内のガスを凹部450内に流入及び外部に排出できる面積も均一に維持することができる。これにより、凹部450による気体排出効果も維持できるという利点がある。
【0109】
図7は、
図1のa-a’軸に沿って切った断面図である。
【0110】
図7を参照すると、電池セル100内で発生したガスをリードフィルム400の凹部450に向けて排出し得る。ここで、凹部450は内部に向かって開放されており、凹部450の内部の圧力は電池ケース200の内部の圧力と同じであり得る。
【0111】
凹部450の内部の圧力は電池セル100の外部の圧力よりも高く、したがって圧力差がガスの推進力(driving force)として作用することができる。これにより、凹部450に流入したガスを外部に向けて容易に排出することができる。また、電池セル100内で発生したガスの外部排出量も増加させることができる。このとき、電池ケース200の内部で発生するガスは、凹部450及び凹部の上面を囲むリードフィルム400を介してZ軸方向に沿って排出され得る。
【0112】
図7を参照すると、リードフィルム400のガス排出部が電池ケース200の外側面よりも外側に位置し得る。本明細書において、電池ケース200の外側面とは、電池ケース200のシーリング部250の電池外側端部を意味する。
【0113】
また、凹部450の電池ケース200の内部に向かって開放されている端部は、電池ケース200の内側面よりも内側に位置し得る。本明細書において、電池ケース200の内側面とは、電池ケース200のシーリング部250の電池内側端部を意味する。
【0114】
これにより、リードフィルム400は、凹部450の面積を最大化して、電池ケース200内で発生したガスの透過面積を最大化することができ、大量の気体を排出することができる。
【0115】
例えば、前記凹部450の湾入した端部が電池ケース200の外側面よりも外側に位置する場合、凹部450の湾入した端部と電池ケース200の外側面との間のリードフィルム400を介して凹部450からZ軸方向に沿ってガスを排出することができる。
【0116】
本発明の一実施形態では、前記リードフィルム400のガス透過度(permeability)は、60℃で20ないし60barrer、又は30ないし40barrerであり得る。例えば、前記リードフィルム400の二酸化炭素の透過度が上述した範囲を満たすことができる。また、リードフィルム400の厚さ200μmを基準にガス透過度が60℃で上述した範囲を満たすことができる。前記リードフィルム400のガス透過度が上述した範囲を満たす場合、電池内部で発生するガスをより効果的に排出することができる。
【0117】
本明細書において、ガス透過度はASTMF2476-20で測定し得る。
【0118】
本発明の一実施形態では、前記リードフィルム400の水分浸透量は、25℃、50%RHで10年の間に0.02ないし0.2g、又は0.02ないし0.04g、もしくは0.06g又は0.15gであり得る。前記リードフィルム400の水分浸透量が上述した範囲を満たす場合、前記リードフィルム400から流入する水分の浸透をより効果的に防止することができる。
【0119】
本発明の一実施形態では、前記リードフィルム400は、ガス透過度(permeability)が60℃で20~60barrerであり、かつ水分浸透量が25℃、50%RHで10年の間に0.02ないし0.2gであり得る。前記リードフィルム400のガス透過度及び水分浸透量が上述した範囲を満たす場合、より効果的に、電池内部で発生するガスを排出するとともに外部からの水分浸透を防止することができる。
【0120】
前記リードフィルム400の水分浸透量はASTMF1249方式を採用して測定し得る。このとき、MCOON社から公式認証された機器を使用して測定し得る。
【0121】
本発明の一実施形態では、前記リードフィルム400はポリオレフィン系樹脂を含み得る。例えば、前記リードフィルム400は、上述したガス透過度及び/又は水分浸透量の値を満たすポリオレフィン系樹脂を含み得る。前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン(Polypropylene)、ポリエチレン(Polyethylene)及びポリビニルジフロリド(Polyvinyl difluoride、PVDF)からなる群より選択される1種以上の素材を含み得る。前記リードフィルム400は、ポリプロピレンを含み、かつ前記リードフィルム400のガス透過度が60℃で20ないし60barrerであり得る。また、水分浸透量は0.06gないし0.15gであり得る。この場合、電池内部で発生するガスをより効果的に排出するとともに、外部からの水分浸透を容易に防止することができる。
【0122】
また、リードフィルム400は上述した素材からなり、電池セル100の気密性を維持することができ、内部電解液の漏液も防止することができる。
【0123】
図7を参照すると、コーティング層500はリードフィルム400のガス排出部上に位置する。前記コーティング層500は、リードフィルム400のガス排出部上に位置し、電池内部のガスを電池外部に排出させることにほとんど影響を与えずに、電池外部から電池内部に浸透する水分の浸透量を減少させることができる。
【0124】
図7を参照すると、凹部450の上面を囲むリードフィルム400の厚さHは、100ないし300μm、又は100ないし200μmであり得る。凹部450の上面を囲むリードフィルム400の厚さHが上述した範囲を満たすと、電池ケース200内部のガスを外部により容易に排出することができる。本明細書において、凹部450の上面とは、凹部450とシーリング部250との間のリードフィルム400を指す。
【0125】
図7を参照すると、電極リード300の突出方向を基準にして、凹部450の前面を囲むリードフィルム400の幅Wは2mm以上、又は2mmないし3mmであり得る。本明細書において、前記凹部450の前面を囲むリードフィルム400の幅は、凹部450の湾入した端部とリードフィルム400の外側端部との間の距離の最大値を意味する。前記凹部450の前面を囲むリードフィルム400の幅Wが上述した範囲を満たす場合、電池ケース200内部で発生したガスが外部に排出される過程でリードフィルム400の破れ現象をより容易に防止することができる。
【0126】
本発明の他の実施形態による電池モジュールは、上述した電池セルを含む。一方、本実施形態による電池モジュールは、1つ以上をパックケース内にパッケージングされて電池パックを形成し得る。
【0127】
上述した電池モジュール及びこれを含む電池パックは、様々なデバイスに適用し得る。このようなデバイスは、電動自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車等の輸送手段に適用し得るが、本発明はこれらに限定されず、電池モジュール及びこれを含む電池パックを使用できる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0128】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の種々の変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0129】
100 電池セル
110 電極組立体
200 電池ケース
210 収納部
250 シーリング部
300 電極リード
400 リードフィルム
410 内層
450 凹部
451 第1凹部
455 第2凹部
500 コーティング層