IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20241122BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20241122BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H01L29/80 U
H01L29/80 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024527988
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 JP2022023955
(87)【国際公開番号】W WO2023242994
(87)【国際公開日】2023-12-21
【審査請求日】2024-09-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】白柳 裕介
(72)【発明者】
【氏名】檜座 秀一
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-052025(JP,A)
【文献】特開2008-078486(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0141595(US,A1)
【文献】特開2019-153603(JP,A)
【文献】特開2018-206955(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0013871(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 21/338
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層上に窒化物半導体層を形成することで、第1主面および前記第1主面の反対側の第2主面を有する前記窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層の前記第2主面側を支持する前記支持層とを備える第1半導体基板を製作する工程、
前記窒化物半導体層に前記第1主面側から第1ビアホールを形成する工程、
前記第1ビアホールに、ソース電極または前記ソース電極に接続する中間電極を埋め込む工程、および、
前記第1半導体基板から前記支持層を除去すると共に、前記窒化物半導体層の前記第2主面を研削もしくは研磨して、前記第2主面に前記第1ビアホールを露出させる工程、
を含む第1工程と、
第3主面および前記第3主面の反対側の第4主面を有するダイヤモンド層からなるダイヤモンド基板を用意し、前記ダイヤモンド層を貫通する第2ビアホールをレーザー加工により前記第4主面側から形成する工程、および、
前記ダイヤモンド層の前記第3主面を研削もしくは研磨する工程、
を含む第2工程と、
前記第1工程および前記第2工程の後に、前記窒化物半導体層の前記第2主面と前記ダイヤモンド層の前記第3主面とを、前記第1ビアホールと前記第2ビアホールとの位置を合わせて接合することで、前記窒化物半導体層と前記ダイヤモンド層とを含む第2半導体基板を形成する工程、および、
前記ダイヤモンド層の前記第4主面上および前記第2ビアホール内に接地電極を形成する工程、
を含む第3工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2工程は、
前記ダイヤモンド層の前記第3主面を研削もしくは研磨する前に、前記第2ビアホール内に保護膜を埋め込む工程をさらに含み、
前記第3工程は、
前記接地電極を形成する前に、前記第2ビアホール内から前記保護膜を除去する工程をさらに含む、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1工程は、
前記第1ビアホールに前記ソース電極または前記中間電極を埋め込む前に、前記第1ビアホールの側面および底面に保護絶縁膜を形成する工程
をさらに含み、
前記第3工程は、
前記接地電極を形成する前に、前記第1ビアホールと前記第2ビアホールとの間の前記保護絶縁膜を除去する工程
をさらに含む、
請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第3工程は、
前記窒化物半導体層と前記ダイヤモンド層とを接合する前に、前記ダイヤモンド層の前記第3主面上に接合層を形成する工程と、
前記接地電極を形成する前に、前記第1ビアホールと前記第2ビアホールとの間の前記接合層を除去する工程と、
を含む、
請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第3工程は、
前記窒化物半導体層と前記ダイヤモンド層とを接合する前に、前記ダイヤモンド層の前記第3主面上に接合層を形成する工程と、
前記接地電極を形成する前に、前記第1ビアホールと前記第2ビアホールとの間の前記接合層を除去する工程と、
を含む、
請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関し、特に、窒化物半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高出力かつ高周波領域で動作する半導体装置として、窒化物半導体から作製される電界効果型トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)などの窒化物半導体装置が知られている。窒化物半導体装置は、高出力動作時の発熱により内部の温度が上昇すると、電気的特性または信頼性が低下するという問題を有している。半導体装置内部の温度上昇を抑制するためには、放熱性の高い材料または放熱性の高い構造を発熱部の近傍に設けることが重要である。
【0003】
ダイヤモンドは、固体物質中で最も高い熱伝導率を誇っており、放熱用材料として最適である。そのため、半導体装置の基板全体をダイヤモンドで置換した構造、つまり、ダイヤモンドをヒートスプレッダとして用いた構造を持つ半導体装置が開発されている。特に、窒化物半導体として窒化ガリウム(GaN)を用いたGaN on Diamond構造がよく知られている。ただし、ダイヤモンド上に窒化物半導体を成長させることは困難であるため、そのような構造は、窒化物半導体上に中間層を介してダイヤモンドを成長させたり、窒化物半導体上にダイヤモンドを貼り付けたりして形成されるのが一般的である。
【0004】
半導体装置で所望の高周波特性を得ようとする場合、半導体基板にビアホールを形成する必要がある。ビアホールは、一般的には、半導体基板の表面側の表面電極と裏面側の裏面電極との間のコンタクトをとるために形成されるものであり、半導体基板に裏面からのエッチングによって開口を形成し、当該開口内を金属層で被覆することにより形成される。ビアホールを用いることにより、ワイヤボンディング構造を省略でき、ソースインダクタンスの低減、ひいては高周波特性の向上による高性能化を達成することができる。
【0005】
特許文献1には、半絶縁性基板を貫通するビアホールを、表面側の小口径ビアホールと、裏面側の大口径ビアホールとからなる多段ビアホールとした構成が開示されている。また、特許文献2には、GaN on Diamond構造の半導体装置のソース電極の直下に、ダイヤモンド基板を貫通する単段のビアホールが形成された構造が開示されている。ダイヤモンド基板を貫通する単段のビアホールを形成する技術としては、例えば特許文献3に開示されたレーザドリル加工技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5100185号公報
【文献】国際公開第2020/255259号
【文献】特開平5-160294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の多段ビアホールは、ドライエッチングにより形成される。しかし、半絶縁性基板にダイヤモンド基板を用いる場合、ダイヤモンドは難エッチング材料であるためエッチングレートが非常に低く、ドライエッチングのみではビアホールの形成に多大な時間を要し、コストが増大する。ダイヤモンドのドライエッチングでのエッチングレートを上げるためには、高パワーでのエッチングが必要となるが、高パワーでのエッチングには、エッチング深さの面内の不均一性、ならびに、エッチング界面へのダメージといった課題がある。
【0008】
上述したように、ダイヤモンド基板を貫通する単段のビアホールは、レーザドリルを用いて形成することができる。しかし、GaN on Diamond構造の半導体装置に対し、ダイヤモンド基板の裏面側からレーザドリルでビアホールを形成する場合は、ダイヤモンド基板を貫通したレーザーが表面電極に与えるダメージが大きいため、それによって表面電極と裏面電極との間に導通不良が生じると、所望の高周波特性が得られなくなることが課題となる。
【0009】
本開示は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、ダイヤモンド基板を有する窒化物半導体装置において、ビアホール形成時の電極へのダメージを抑制することにより、所望の高周波特性を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る半導体装置の製造方法は、支持層上に窒化物半導体層を形成することで、第1主面および前記第1主面の反対側の第2主面を有する前記窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層の前記第2主面側を支持する前記支持層とを備える第1半導体基板を製作する工程、前記窒化物半導体層に前記第1主面側から第1ビアホールを形成する工程、前記第1ビアホールに、ソース電極または前記ソース電極に接続する中間電極を埋め込む工程、および、前記第1半導体基板から前記支持層を除去すると共に、前記窒化物半導体層の前記第2主面を研削もしくは研磨して、前記第2主面に前記第1ビアホールを露出させる工程、を含む第1工程と、第3主面および前記第3主面の反対側の第4主面を有するダイヤモンド層からなるダイヤモンド基板を用意し、前記ダイヤモンド層を貫通する第2ビアホールをレーザー加工により前記第4主面側から形成する工程、および、前記ダイヤモンド層の前記第3主面を研削もしくは研磨する工程、を含む第2工程と、前記第1工程および前記第2工程の後に、前記窒化物半導体層の前記第2主面と前記ダイヤモンド層の前記第3主面とを、前記第1ビアホールと前記第2ビアホールとの位置を合わせて接合することで、前記窒化物半導体層と前記ダイヤモンド層とを含む第2半導体基板を形成する工程、および、前記ダイヤモンド層の前記第4主面上および前記第2ビアホール内に接地電極を形成する工程、を含む第3工程と、を備える
【発明の効果】
【0011】
本開示の半導体装置の製造方法によれば、ソース電極と接地電極とを接続するための第1および第2ビアホールが形成されるときのソース電極へのダメージを抑制することができ、所望の高周波特性を得ることができる。

【0012】
本開示の目的、特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
図2】実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
図3】実施の形態1に係る半導体装置の上面図である。
図4】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図5】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図6】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図7】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図8】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図9】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の第2工程を示す断面図である。
図10】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の第2工程を示す断面図である。
図11】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の第2工程を示す断面図である。
図12】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の第2工程を示す断面図である。
図13】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の第3工程を示す断面図である。
図14】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の第3工程を示す断面図である。
図15】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の第3工程を示す断面図である。
図16】実施の形態2に係る半導体装置の断面図である。
図17】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図18】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図19】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図20】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図21】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図22】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法の第3工程を示す断面図である。
図23】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法の第3工程を示す断面図である。
図24】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法の第3工程を示す断面図である。
図25】実施の形態3に係る半導体装置の断面図である。
図26】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法の第3工程を示す断面図である。
図27】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法の第3工程を示す断面図である。
図28】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法の第3工程を示す断面図である。
図29】実施の形態4に係る半導体装置の断面図である。
図30】実施の形態4に係る半導体装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示に係る半導体装置およびその製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。各図面においては、理解の容易のため、各部材の縮図が実際とは異なる場合がある。
【0015】
A.実施の形態1
A-1.構成
実施の形態1に係る半導体装置101の構成について説明する。図1に示すように、半導体装置101は、主な構成要素として、窒化物半導体層10、ダイヤモンド層11、ソース電極13、ドレイン電極14、ゲート電極15および接地電極17を備えている。
【0016】
窒化物半導体層10は、図1における上側の面である第1主面51と、下側の面すなわち第1主面51の反対側の面である第2主面52とを有している。ダイヤモンド層11は、図1における上側の面である第3主面53と、下側の面すなわち第3主面53の反対側の面である第4主面54とを有している。ダイヤモンド層11の第3主面53に、窒化物半導体層10の第2主面52が接合されている。すなわち、ダイヤモンド層11の第3主面53は、窒化物半導体層10の第2主面52に対向している。
【0017】
窒化物半導体層10には、第1主面51の第1開口領域56から第2主面52の第2開口領域57に向かって、第1主面51と第2主面52との間を貫通する第1ビアホール30が形成されている。ダイヤモンド層11には、第4主面54の第4開口領域59から第3主面53の第3開口領域58に向かって、第3主面53と第4主面54との間を貫通する第2ビアホール31が形成されている。第1ビアホール30と第2ビアホール31とは、互いに位置合わせされており、窒化物半導体層10とダイヤモンド層11との接合界面55で第1ビアホール30と第2ビアホール31とが接続する。
【0018】
第1ビアホール30は、第2開口領域57の開口幅が、第1開口領域56の開口幅と同等もしくはそれ以下のサイズとなるように加工されている。第2ビアホール31は、第3開口領域58の開口幅が、第4開口領域59の開口幅と同等かそれ以下のサイズとなるように加工されている。第2ビアホール31の加工性と、接地電極17の被膜性とを向上させるために、第2ビアホール31の平面視形状は、円形、角丸長方形などであることが好ましい。
【0019】
窒化物半導体層10の第1主面51上には、ソース電極13、ドレイン電極14およびゲート電極15が、互いに離間して形成されており、第1ビアホール30には、第1開口領域56からソース電極13の一部が埋め込まれている。ダイヤモンド層11の第4主面54上には、接地電極17が形成されており、第2ビアホール31には、第4開口領域59から接地電極17が埋め込まれている。ソース電極13と接地電極17とは、第1ビアホール30および第2ビアホール31を通して電気的に接続されている。ソース電極13と接地電極17との接続位置60は、第1ビアホール30の第2開口領域57と第2ビアホール31の第3開口領域58とが重なる部分となる。
【0020】
図1には、第1ビアホール30にソース電極13の一部を埋め込み、ソース電極13と接地電極17とが直接接続する構成を示した。しかし、埋め込み性の向上を目的として、図2に示すように、第1ビアホール30に中間電極16を埋め込み、ソース電極13と接地電極17とが中間電極16を介して接続するようにしてもよい。中間電極16とソース電極13とは、第1主面51にて接続される。中間電極16の材料は、一般的なビアプラグに用いられるW、Cu、Al、Auなどでよい。
【0021】
また、ソース電極13(もしくは中間電極16)と接地電極17との接続位置60には、めっき加工を用いる際に必要な給電層として、厚さ5nm~500nmの金属膜(不図示)が形成されてもよい。
【0022】
窒化物半導体層10の第1主面51上には、半導体デバイスが形成される。本実施の形態では、半導体デバイスの一例として、図3の上面図に示すような高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)を示す。図1および図2は、図3に示すA1-A2線に沿った断面に対応している。HEMTは、ソース電極13、ドレイン電極14、ゲート電極15などの電極を備える。ソース電極13は接地電極17と同電位になるように構成されている。
【0023】
窒化物半導体層10は、例えばGaN、AlGaN、InAlN、AlNなどからなる単層もしくは積層により構成される。窒化物半導体層10の厚さは、10.0μm以下が好ましいが、10.0μmを超えてもよい。
【0024】
ダイヤモンド層11には、単結晶ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンドが用いられる。ダイヤモンド層11は、CVD(Chemical Vaper Deposition)法で作製されることが好適である。ダイヤモンド層11の厚みは10μm以上600μm以下であることが好ましい。
【0025】
ソース電極13、ドレイン電極14、ゲート電極15、接地電極17、および接続位置60の金属膜(不図示)の材料は、単一の金属元素でも合金でもよい。単一の金属元素としては、Cu、Ti、Al、Au、Ni、Nb、Pd、Pt、Cr、W、Ta、およびMoからなる群から選択された一つの元素が用いられてもよい。合金としては、AlSi、AlCu、AuGe、AuGa、またはAuSnなどが用いられてもよい。また、ソース電極13、ドレイン電極14、ゲート電極15、接地電極17、および接続位置60の金属膜の材料は、上記のいずれか2つ以上の材料を積層したものであってもよい。
【0026】
A-2.製造方法
図4から図13は、実施の形態1に係る半導体装置101の製造方法を示す断面図である。以下、図4から図13を参照して、半導体装置101の製造方法を説明する。なお、これらの図において、図1から図3に示した要素に対応する要素には、図1から図3と同一の符号を付してあるため、それらの説明は省略されることもある。
【0027】
まず、図4に示すように、Si、SiC、GaNなどからなる支持層12を用意し、支持層12上に窒化物半導体層10を形成する。これにより、支持層12上に窒化物半導体層10を備えた構造を有する第1半導体基板1aが形成される。このとき窒化物半導体層10の上面が第1主面51となり、窒化物半導体層10の支持層12側の面が第2主面52となる。以下、第1半導体基板1aを製作して加工する工程を「第1工程」と称す。
【0028】
次に、図5に示すように、窒化物半導体層10の第1主面51上にドレイン電極14、ゲート電極15を形成する。
【0029】
そして、図6に示すように、窒化物半導体層10に第1主面51側から第1ビアホール30を形成する。このとき、第1ビアホール30の深さは、窒化物半導体層10の膜厚と同じかそれ以下とする。第1主面51における第1ビアホール30の形成領域が第1開口領域56となる。
【0030】
次に、図7に示すように、窒化物半導体層10の第1主面51上にソース電極13を形成すると共に、第1ビアホール30の第1開口領域56から、第1ビアホール30内をソース電極13の一部で埋め込む。なお、図2の構成とする場合、第1ビアホール30内には中間電極16を埋め込み、エッチバック、研磨などの平坦化プロセスにより中間電極16の第1主面51側の面を平坦化し、その上にソース電極13を形成する。
【0031】
そして、図8に示すように、第1半導体基板1aから支持層12を除去し、窒化物半導体層10の第2主面52を研削もしくは研磨により加工することで、第2主面52を平坦化かつ平滑化する。窒化物半導体層10の第2主面52を加工する過程で、第1ビアホール30の底が第2主面52に露出し、第1ビアホール30が第2主面52に露出した領域が第2開口領域57となる。
【0032】
次に、図9に示すように、ダイヤモンド層11となるダイヤモンド基板2を用意する。以下、ダイヤモンド基板2を加工する工程を「第2工程」と称す。
【0033】
第2工程では、まず、図10で示すように、ダイヤモンド基板2に第4主面54側から第2ビアホール31を形成する。第2ビアホール31は、ダイヤモンド基板2の第4主面54における、第1半導体基板1aの第1ビアホール30に対応した位置にレーザーを照射し、ダイヤモンド基板2を貫通加工することによって形成される。レーザーには、波長が1064nmであるNd:YAGレーザーを用いる。レーザー加工においては、集光されたレーザー径10μmのレーザーを、円もしくは角丸長方形を描くように走査し、第2ビアホール31を形成する。なお、第2ビアホール31の深さが深くなるにつれて、レーザーの走査径を徐々に小さくすることで、第2ビアホール31をテーパー形状に加工してもよい。
【0034】
次に、第2ビアホール31内部の保護および接合前の研磨不良を抑制するために、図11に示すように、保護膜19を、ダイヤモンド基板2の第3主面53側から第2ビアホール31内に埋め込むように成膜する。保護膜19としては、シリカ系の薄膜、ポリイミド系の薄膜などが用いられ、保護膜19は、被膜性を高めるためにスプレーコート、スピンコートなどにより塗布される。
【0035】
続いて、図12に示すように、ダイヤモンド基板2の第3主面53を研削もしくは研磨により加工し、第3主面53を平坦化かつ平滑化する。ダイヤモンド基板2の第3主面53を研削もしくは研磨により加工する過程で、第3主面53上に成膜された保護膜19、および第2ビアホール31の加工時に生じたバリなどが除去される。
【0036】
その後、図13に示すように、第1工程で加工された第1半導体基板1aと、第2工程で加工されたダイヤモンド基板2とを接合することで、ダイヤモンド層11上に窒化物半導体層10を備えた構造を有する第2半導体基板3aを形成する。第1半導体基板1aとダイヤモンド基板2との接合手法としては、表面活性化接合を用いることができる。以下、第2半導体基板3aを製作して加工する工程を「第3工程」と称す。
【0037】
第2半導体基板3aを形成する際、第1半導体基板1aの窒化物半導体層10の第2主面52と、ダイヤモンド基板2のダイヤモンド層11の第3主面53とが接合され、その接合面が接合界面55となる。また、第1半導体基板1aの第1ビアホール30の第2開口領域57と、ダイヤモンド基板2の第2ビアホール31の第3開口領域58との位置が合わせられ、第2開口領域57と第3開口領域58とが重なる部分が、ソース電極13と接地電極17との接続位置60となる。
【0038】
次に、図14に示すように、第2半導体基板3aの第2ビアホール31内に埋め込まれている保護膜19をウェットエッチング、CDE(Chemical Dry Etching)などの加工技術を用いて除去する。
【0039】
続いて、図15に示すように、第2半導体基板3aのダイヤモンド層11の第4主面54上と第2ビアホール31内に接地電極17を形成する。接地電極17はスパッタリング法、無電解メッキ、電解メッキ、蒸着などにより成膜することができる。こうして、図1に示した構造の半導体装置101が完成する。
【0040】
A-3.効果
以上のように、実施の形態1に係る半導体装置101は、第1主面51およびその反対側の第2主面52を有する窒化物半導体層10と、窒化物半導体層10の第2主面52に対向する第3主面53およびその反対側の第4主面54を有するダイヤモンド層11とを備える。窒化物半導体層10の第1主面51上には、ソース電極13が形成される。ダイヤモンド層11の第4主面54上には、接地電極17が形成される。窒化物半導体層10の第1主面51と第2主面52との間を貫通するように、第1ビアホール30が形成される。ダイヤモンド層11の第3主面53と第4主面54との間を貫通するように、第2ビアホール31が形成される。第2ビアホール31は、第1ビアホール30に対応する位置に配置される。ソース電極13と接地電極17とは、第1ビアホール30および第2ビアホール31を通して電気的に接続されている。
【0041】
また、半導体装置101の製造方法は、以下の第1工程から第3工程を備える。第1工程は、支持層12上に窒化物半導体層10を形成することで、第1主面51およびその反対側の第2主面52を有する窒化物半導体層10と、窒化物半導体層10の第2主面52側を支持する支持層12とを備える第1半導体基板1aを製作する工程と、窒化物半導体層10に第1主面51側から第1ビアホール30を形成する工程と、第1ビアホール30に、ソース電極13またはソース電極13に接続する中間電極16を埋め込む工程と、第1半導体基板1aから支持層12を除去すると共に、窒化物半導体層10の第2主面52を研削もしくは研磨して、第2主面52に第1ビアホール30を露出させる工程と、を含む。第2工程は、第3主面53およびその反対側の第4主面54を有するダイヤモンド層11からなるダイヤモンド基板2を用意し、ダイヤモンド層11を貫通する第2ビアホール31をレーザー加工により第4主面54側から形成する工程と、ダイヤモンド層11の第3主面53を研削もしくは研磨する工程と、を含む。第3工程は、第1工程および第2工程の後に、窒化物半導体層10の第2主面52とダイヤモンド層11の第3主面53とを、第1ビアホール30と第2ビアホール31との位置を合わせて接合することで、窒化物半導体層10とダイヤモンド層11とを含む第2半導体基板3aを形成する工程と、ダイヤモンド層11の第4主面54上および第2ビアホール31内に接地電極17を形成する工程と、を含む。
【0042】
半導体装置101では、窒化物半導体層10の第1ビアホール30とダイヤモンド層11の第2ビアホール31とは、各々分離した状態で形成されている。そのため、ウェハおよびチップ面内に形成されている第1ビアホール30および第2ビアホール31の深さには、それぞれ窒化物半導体層10およびダイヤモンド層11の厚さのばらつき以上のばらつきは無く、ウェハおよびチップ面内の面内での均一性は良好なものとなる。また、レーザー加工もしくは高パワーのドライエッチングで、第1ビアホール30と第2ビアホール31とを同時に形成する場合と比較して、加工の際に必要となるオーバーエッチングの影響を軽減できるため、窒化物半導体層10上のソース電極13に対してのエッチングダメージを小さくできる。よって、ソース電極13のエッチングダメージに起因するエッチング界面の荒れの影響を抑制できる。その結果、ソース電極13と接地電極17とが、良好に導通する。そのため、ソースインダクタンスの増加が抑制され、高周波特性の劣化が防止される。
【0043】
さらに、ダイヤモンド層11の第2ビアホール31を形成する際のダイヤモンド層11の除去を全てドライエッチングにより行う必要がないため、短時間でダイヤモンド層11に第2ビアホール31を形成することが可能である。さらに、窒化物半導体層10に形成する第1ビアホール30は、第2ビアホール31の形成に用いるレーザー加工の影響を受けない。よって、第1ビアホール30の開口径は、第2ビアホール31の開口径に依存せず、フォトリソグラフィー工程の加工寸法で形成することができるため、デバイスサイズの微細化に寄与できる。
【0044】
B.実施の形態2
B-1.構成
図16は、実施の形態2に係る半導体装置102の断面図である。実施の形態2に係る半導体装置102においては、第1ビアホール30の第2開口領域57の内側の接続位置60で、ソース電極13(もしくは図2の中間電極16)と接地電極17とが接合する。さらに、第1ビアホール30に埋め込まれているソース電極13(もしくは中間電極16)の周囲、すなわち第1ビアホール30の内壁に、保護絶縁膜20が形成されている。
【0045】
また、ソース電極13(もしくは中間電極16)と接地電極17との接続位置60は、第1ビアホール30の第1開口領域56と第2開口領域57の間、すなわち第1主面51と第2主面52との間に位置している。よって、ソース電極13と接地電極17とは、第1ビアホール30の内部で接合されている。
【0046】
なお、接地電極17の一部を第1ビアホール30内に形成する際の被膜性が悪化することを防止するため、第1ビアホール30の第2開口領域57は、第2ビアホール31の第3開口領域58の内側にあることが好ましい。すなわち、第1ビアホール30の第2開口領域57は、第2ビアホール31の第3開口領域58に内包されていることが好ましい。
【0047】
B-2.製造方法
図17から図24は、実施の形態2に係る半導体装置102の製造方法を示す断面図である。以下、図17から図24を参照して、半導体装置102の製造方法を説明する。
【0048】
まず、支持層12上に窒化物半導体層10を備えた構造を有する第1半導体基板1bを製作して加工する「第1工程」について説明する。図17に示すように、Si、SiC、GaNなどの支持層12を用意し、支持層12上に窒化物半導体層10を形成することで、第1半導体基板1bを製作する。
【0049】
次に、図18に示すように、窒化物半導体層10の第1主面51上にドレイン電極14、ゲート電極15を形成する。
【0050】
そして、図19に示すように、窒化物半導体層10に第1主面51側から第1ビアホール30を形成する。このとき、第1ビアホール30の深さは、窒化物半導体層10の膜厚と同じかそれ以下とする。
【0051】
次に、図20に示すように、第1ビアホール30の側面および底面に保護絶縁膜20を成膜する。そして、窒化物半導体層10の第1主面51上にソース電極13を形成すると共に、ソース電極13の一部を第1ビアホール30内の保護絶縁膜20上に形成することにより、第1ビアホール30内をソース電極13の一部で埋め込む。なお、図2のように中間電極16を用いる場合、第1ビアホール30内の保護絶縁膜20上には中間電極16を埋め込み、エッチバック、研磨などの平坦化プロセスにより中間電極16の第1主面51側の面を平坦化し、その上にソース電極13を形成する。
【0052】
なお、保護絶縁膜20としては、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜などが用いられ、それらはCVD法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、スパッタリング法などにより成膜することができる。保護絶縁膜20の厚さは、第1ビアホール30の深さより小さく設定される。ソース電極13(もしくは中間電極16)の底と保護絶縁膜20との境界が、ソース電極13(もしくは中間電極16)と接地電極17との接続位置60になる。
【0053】
そして、図21に示すように、第1半導体基板1bから支持層12を除去し、窒化物半導体層10の第2主面52を研削もしくは研磨により加工することで、第2主面52を平坦化かつ平滑化する。窒化物半導体層10の第2主面52を加工する過程で、第1ビアホール30の底が第2主面52に露出し、第1ビアホール30が第2主面52に露出した領域が第2開口領域57となる。このとき第2開口領域57に、第1ビアホール30の底面に形成された保護絶縁膜20が露出する。
【0054】
ダイヤモンド基板2を加工する「第2工程」は、実施の形態1で図9から図12を用いて説明したものに準ずるため、ここでの説明は省略する。
【0055】
次に、ダイヤモンド層11上に窒化物半導体層10を備えた構造を有する第2半導体基板3bを製作して加工する「第3工程」について説明する。
【0056】
まず、図22に示すように、第1工程で加工された第1半導体基板1bと、第2工程で加工されたダイヤモンド基板2とを、表面活性化接合によって接合することで、ダイヤモンド層11上に窒化物半導体層10を備えた構造を有する第2半導体基板3bを形成する。その際、第1半導体基板1bの窒化物半導体層10の第2主面52と、ダイヤモンド基板2のダイヤモンド層11の第3主面53とが接合され、その接合面が接合界面55となる。また、第1半導体基板1bの第1ビアホール30の第2開口領域57と、ダイヤモンド基板2の第2ビアホール31の第3開口領域58との位置が合わせられる。
【0057】
次に、図23に示すように、第2半導体基板3bの第2ビアホール31内に埋め込まれている保護膜19と、第1ビアホール30の第2開口領域57に露出した保護絶縁膜20とをウェットエッチング、CDE(Chemical Dry Etching)などの加工技術を用いて除去する。つまり、この工程で、第1ビアホール30と第2ビアホール31との間の保護絶縁膜20が除去され、第1ビアホール30と第2ビアホール31とが繋がる。
【0058】
続いて、図24に示すように、第2半導体基板3bのダイヤモンド層11の第4主面54上と第2ビアホール31内に接地電極17を形成する。接地電極17はスパッタリング法、無電解メッキ、電解メッキ、蒸着などにより成膜することができる。このとき、ソース電極13と接地電極17との接続位置60は、ソース電極13の底に形成されていた保護絶縁膜20の厚さだけ、窒化物半導体層10の第3主面53から第1ビアホール30の内部へ入り込む。その結果、ソース電極13と接地電極17とが、第1ビアホール30の内部で接合することになる。こうして、図16に示した構造の半導体装置102が完成する。
【0059】
B-3.効果
先述した実施の形態1に係る半導体装置101では、第1半導体基板1aとダイヤモンド基板2とを表面活性化接合により接合する際に、窒化物半導体層10の第1ビアホール30内に形成されたソース電極13(もしくは中間電極16)の金属成分が、Ar照射などの表面活性化工程により露出し、当該金属成分が接合界面55全面に付着する場合がある。その場合、窒化物半導体層10とダイヤモンド層11の間に意図しない導電層が形成され、電流コラプスの悪化につながる恐れがある。
【0060】
それに対し、実施の形態2に係る半導体装置102では、ソース電極13(もしくは中間電極16)と接地電極17とが、第1ビアホール30の内部で接合する。この構造は、第1半導体基板1aをダイヤモンド基板2に接合する前に、窒化物半導体層10の第1ビアホール30の底面に保護絶縁膜20を成膜し、第1半導体基板1aをダイヤモンド基板2に接合した後に、第1ビアホール30の底面に形成された保護絶縁膜20を除去して、第1ビアホール30および第2ビアホール31に接地電極17を成膜することによって得られる。第1ビアホール30の底面に形成される保護絶縁膜20によって、Ar照射などの表面活性化工程で懸念される金属成分の接合界面55への付着が防止されるため、窒化物半導体層10とダイヤモンド層11の間に意図しない導電層が形成されることを回避できる。特に、接合界面55での導電層形成を抑制することは、HEMTなどのデバイスを接合基板に用いる際に懸念される電流コラプスの悪化を抑制することにつながる。
【0061】
C.実施の形態3
C-1.構成
図25は、実施の形態3に係る半導体装置103の断面図である。実施の形態3に係る半導体装置103は、窒化物半導体層10の第2主面52とダイヤモンド層11の第3主面53との間に接合層21を有している。その他の構成は、実施の形態1に係る半導体装置101または実施の形態2に係る半導体装置102と同様である。ここでは、実施の形態3に係る半導体装置103として、実施の形態2に係る半導体装置102(図16)の構成に接合層21を追加したものを代表的に示す。
【0062】
接合層21としては、アモルファスシリコン、結晶シリコンなどのシリコン系薄膜、炭化シリコン系薄膜、窒化シリコン系薄膜、酸化シリコン系薄膜、酸化ガリウム系薄膜などが用いられる。接合層21が導体であると、半導体装置103の高周波特性が低下するため、接合層21の比抵抗は1.0μΩ以上であることが好ましい。接合層21の厚みは1nm以上100nm以下であればよい。但し、接合層21の厚みが大きいと、半導体装置103の放熱性が低下するので、接合層21の厚みは1nm以上50nm以下が好ましい。
【0063】
C-2.製造方法
実施の形態3に係る半導体装置103の製造方法を説明する。
【0064】
支持層12上に窒化物半導体層10を備えた構造を有する第1半導体基板1b(もしくは第1半導体基板1a)を製作して加工する「第1工程」は、実施の形態2で図17から図21を用いて説明したもの(もしくは実施の形態1で図4から図8を用いて説明したもの)に準ずるため、ここでの説明は省略する。
【0065】
ダイヤモンド基板2を加工する「第2工程」は、実施の形態1で図9から図12を用いて説明したものに準ずるため、ここでの説明は省略する。
【0066】
ダイヤモンド層11上に窒化物半導体層10を備えた構造を有する第2半導体基板3cを製作して加工する「第3工程」について説明する。
【0067】
まず、第2工程で加工されたダイヤモンド基板2のダイヤモンド層11の第3主面53上に、例えば厚さ10nmの接合層21を形成し、その後、図26に示すように、第1工程で加工された第1半導体基板1bと、ダイヤモンド基板2上の接合層21とを、表面活性化接合によって接合することで、ダイヤモンド層11と窒化物半導体層10との間に接合層21を備えた構造を有する第2半導体基板3cを形成する。その際、第1半導体基板1bの第1ビアホール30の第2開口領域57と、ダイヤモンド基板2の第2ビアホール31の第3開口領域58との位置が合わせられる。
【0068】
次に、図27に示すように、第2半導体基板3bの第2ビアホール31内に埋め込まれている保護膜19と、第2ビアホール31と第1ビアホール30との間の接合層21と、第1ビアホール30の第2開口領域57に露出した保護絶縁膜20とをウェットエッチング、CDE(Chemical Dry Etching)などの加工技術を用いて除去する。つまり、この工程で、第1ビアホール30と第2ビアホール31との間の接合層21および保護絶縁膜20が除去され、第1ビアホール30と第2ビアホール31とが繋がる。
【0069】
続いて、図28に示すように、第2半導体基板3bのダイヤモンド層11の第4主面54上と第2ビアホール31内に接地電極17を形成する。接地電極17はスパッタリング法、無電解メッキ、電解メッキ、蒸着などにより成膜することができる。このとき、ソース電極13と接地電極17との接続位置60は、ソース電極13の底に形成されていた保護絶縁膜20の厚さだけ、窒化物半導体層10の第3主面53から第1ビアホール30の内部へ入り込む。その結果、ソース電極13と接地電極17とが、第1ビアホール30の内部で接合することになる。こうして、図25に示した構造の半導体装置103が完成する。
【0070】
C-3.効果
実施の形態3に係る半導体装置103は、窒化物半導体層10の第2主面52とダイヤモンド層11の第3主面53の間に接合層21を有している。接合層21は、窒化物半導体層10とダイヤモンド層11との異種材料接合において、接合性の向上に寄与する。さらに、接合層21は、第3工程において第1半導体基板1bとダイヤモンド基板2とを接合する際に、第1ビアホール30内の保護絶縁膜20および第2ビアホール31内の保護膜19が、窒化物半導体層10とダイヤモンド層11との異種材料接合の接合性に与える影響を緩和することもでき、それによってウェハレベルでの接合性が向上する。ウェハレベルでの接合性の向上はデバイスの歩留まり向上に寄与する。
【0071】
D.実施の形態4
D-1.構成
図29は、実施の形態4に係る半導体装置104の断面図である。実施の形態4に係る半導体装置104は、ダイヤモンド層11の1つの第2ビアホール31が、窒化物半導体層10に形成された複数(ここでは2つ)の第1ビアホール30に跨がるように形成されており、複数のソース電極13(もしくは中間電極16)のそれぞれが第1ビアホール30を通して、1つの第2ビアホール31の第3開口領域58で接地電極17に接続している。すなわち、窒化物半導体層10の第2主面52における2つ以上の第1ビアホール30の第2開口領域57が、ダイヤモンド層11の第3主面53における1つの第2ビアホール31の第3開口領域58に内包されている。その他の構成は、実施の形態1に係る半導体装置101、実施の形態2に係る半導体装置102、または実施の形態3に係る半導体装置103と同様である。ここでは、実施の形態4に係る半導体装置103として、実施の形態3に係る半導体装置103(図25)の構成に対し、1つの第2ビアホール31が2つの第1ビアホール30に跨がるように形成したものを代表的に示す。
【0072】
図29では、1つの第2ビアホール31の第3開口領域58において、接地電極17に2つのソース電極13が接続した例を示しているが、1つの第2ビアホール31の第3開口領域58において、接地電極17に3つ以上のソース電極13が接続してもよい。
【0073】
本実施の形態では、半導体デバイスの一例として、図30の上面図に示すような2つのソース電極13を含むHEMTを示す。なお、図29は、図30のA1-A2線に沿った断面を示している。
【0074】
2つのソース電極13それぞれの直下に第1ビアホール30が形成されており、各第1ビアホール30内にはソース電極13が埋め込まれている。それら2つの第1ビアホール30の第2開口領域57は、ダイヤモンド層11の第2ビアホール31の第3開口領域58内に配置されている。接地電極17は、ダイヤモンド層11の第4主面54上および第2ビアホール31内に形成されている。第2ビアホール31の第3開口領域58と2つの第1ビアホール30の第2開口領域57のいずれかとが重なる部分である2箇所の接続位置60で、2つのソース電極13と接地電極17とが接続している。
【0075】
2つの第1ビアホール30内には、図2と同様に、ソース電極13と接地電極17との間を接続する中間電極16が埋め込まれてもよい。
【0076】
D-2.製造方法
実施の形態4に係る半導体装置104の製造方法は、実施の形態1に係る半導体装置101、実施の形態2の半導体装置102または実施の形態3の半導体装置103の製造方法に準じる。但し、窒化物半導体層10の2つ以上の第1ビアホール30の第2開口領域57が、ダイヤモンド層11の1つの第2ビアホール31の第3開口領域58に内包されるように、半導体装置104の構成要素をレイアウトすることが必要である。
【0077】
D-3.効果
窒化物半導体層10に形成する第1ビアホール30は、フォトリソグラフィー技術を用いて10μm以下の面積で加工することができる。しかし、ダイヤモンド層11に形成する第2ビアホール31は、レーザー加工で形成され、集光レーザー径10μm以上の面積を確保する必要がある。そのため、1つの第2ビアホール31の第3開口領域58内に第1ビアホール30が1つだけ形成される構造では、第2ビアホール31に必要とされる面積の制約によって、デバイスサイズの微細化に限界が出てくる。
【0078】
実施の形態4に係る半導体装置104は、1つの第2ビアホール31の第3開口領域58内に2つ以上の第1ビアホール30が形成された構造を有する。この場合、1つの第2ビアホール31の第3開口領域58内に、10μm以下の面積で加工された複数の第1ビアホール30を配置できるため、ダイヤモンド基板2にレーザー加工を用いたとしても、デバイスサイズの微細化が可能となる。デバイスサイズの微細化は、チップ取れ率の向上によるコスト削減、ならびに、高周波特性の向上につながる。
【0079】
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0080】
上記した説明は、すべての態様において、例示であって、例示されていない無数の変形例が想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0081】
1a,1b 第1半導体基板、2 ダイヤモンド基板、3a,3b,3c 第2半導体基板、10 窒化物半導体層、11 ダイヤモンド層、12 支持層、13 ソース電極、14 ドレイン電極、15 ゲート電極、16 中間電極、17 接地電極、19 保護膜、20 保護絶縁膜、21 接合層、30 第1ビアホール、31 第2ビアホール、51 第1主面、52 第2主面、53 第3主面、54 第4主面、55 接合界面、56 第1開口領域、57 第2開口領域、58 第3開口領域、59 第4開口領域、60 接続位置、101,102,103,104 半導体装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30