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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】照射制御装置および照射制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/00 20060101AFI20241122BHJP
   B60Q 1/18 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B60Q1/00 G
B60Q1/18 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024551146
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2022039069
(87)【国際公開番号】W WO2024084647
(87)【国際公開日】2024-04-25
【審査請求日】2024-10-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】井上 極
(72)【発明者】
【氏名】井上 悟
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-126135(JP,A)
【文献】特開2019-010919(JP,A)
【文献】特開2013-156927(JP,A)
【文献】特開2003-291688(JP,A)
【文献】特開2016-172469(JP,A)
【文献】特開2010-000893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
B60Q 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺の少なくとも一つの障害物の情報を取得する障害物取得部と、
前記車両の運転者の視線方向を取得する視線方向取得部と、
前記視線方向を中心とした一定の範囲を前記運転者の有効視野範囲と推定する視野推定部と、
前記少なくとも一つの障害物のうちの一つの障害物である特定障害物が前記有効視野範囲に含まれるか否かを判断する判断部と、
前記特定障害物が前記有効視野範囲に含まれない場合、前記車両に搭載された照射装置に、前記運転者の視線を前記特定障害物へ誘導するための誘導照射を行わせる照射制御部と、を備え、
前記誘導照射は、前記有効視野範囲のうち前記特定障害物に近い端部の方向に行われ
前記誘導照射は、前記特定障害物が前記有効視野範囲に含まれるまで継続的に行われ、
前記視線方向が変化すると、前記誘導照射は、変化後の前記視線方向に応じた前記有効視野範囲のうち前記特定障害物に近い端部の方向に行われ、
前記車両には、前記障害物の方向に関わらず前記車両に対して一定範囲の方向を通常照射範囲として照射するヘッドライトが搭載され、
前記特定障害物が前記通常照射範囲の内にある場合、前記誘導照射は、前記特定障害物の方向に前記誘導照射が行われた後、終了する、
照射制御装置。
【請求項2】
前記特定障害物が前記通常照射範囲の外にある場合、前記特定障害物の方向に前記誘導照射が行われた後、前記視線方向を中心とした前記有効視野範囲より狭い範囲として定められる前記運転者の中心視野範囲が前記特定障害物を含んでから含まない状態になったとき、前記誘導照射は終了する、
請求項に記載の照射制御装置。
【請求項3】
前記誘導照射の終了時において、前記誘導照射の光度は徐々に低下する、
請求項1に記載の照射制御装置。
【請求項4】
前記視野推定部は、前記運転者の属性または前記車両の速度に応じて前記運転者の前記有効視野範囲を狭くし、
前記照射制御部は、前記有効視野範囲が狭いほど前記誘導照射の光度を高くする、
請求項1に記載の照射制御装置。
【請求項5】
前記照射制御部は、前記特定障害物の速度が高いほど前記誘導照射の光度を高くする、
請求項1に記載の照射制御装置。
【請求項6】
車両の周辺の少なくとも一つの障害物の情報を取得する障害物取得部と、
前記車両の運転者の視線方向を取得する視線方向取得部と、
前記視線方向を中心とした一定の範囲を前記運転者の有効視野範囲と推定する視野推定部と、
前記少なくとも一つの障害物のうちの一つの障害物である特定障害物が前記有効視野範囲に含まれるか否かを判断する判断部と、
前記特定障害物が前記有効視野範囲に含まれない場合、前記車両に搭載された照射装置に、前記運転者の視線を前記特定障害物へ誘導するための誘導照射を行わせる照射制御部と、を備え、
前記誘導照射は、前記有効視野範囲のうち前記特定障害物に近い端部の方向に行われ、
前記少なくとも一つの障害物は複数の障害物であり、
前記特定障害物は、前記複数の障害物のうち前記視線方向から最も離れた方向にある障害物である、
射制御装置。
【請求項7】
前記誘導照射の終了時において、前記誘導照射の光度は徐々に低下する、
請求項に記載の照射制御装置。
【請求項8】
前記判断部は、前記複数の障害物に対して、前記視線方向から離れている順に優先順位を設定し、
前記照射制御部は、前記複数の障害物のそれぞれを前記優先順位の高い順に前記特定障害物に選択する、
請求項6に記載の照射制御装置。
【請求項9】
前記視線方向を中心とした前記有効視野範囲より狭い範囲として定められる前記運転者の中心視野範囲が前記特定障害物を含むと、前記誘導照射は終了する、
請求項に記載の照射制御装置。
【請求項10】
前記視野推定部は、前記運転者の属性または前記車両の速度に応じて前記運転者の前記有効視野範囲を狭くし、
前記照射制御部は、前記有効視野範囲が狭いほど前記誘導照射の光度を高くする、
請求項に記載の照射制御装置。
【請求項11】
前記照射制御部は、前記特定障害物の速度が高いほど前記誘導照射の光度を高くする、
請求項に記載の照射制御装置。
【請求項12】
障害物取得部が車両の周辺の少なくとも一つの障害物の情報を取得し、
視線方向取得部が前記車両の運転者の視線方向を取得し、
視野推定部が前記視線方向を中心とした一定の範囲を前記運転者の有効視野範囲と推定し、
判断部が前記少なくとも一つの障害物のうちの一つの障害物である特定障害物が前記有効視野範囲に含まれるか否かを判断し、
照射制御部が、前記特定障害物が前記有効視野範囲に含まれない場合、前記車両に搭載された照射装置に、前記運転者の視線を前記特定障害物へ誘導するための誘導照射を行わせ、
前記誘導照射は、前記有効視野範囲のうち前記特定障害物に最も近い端部の方向に行われ、
前記誘導照射は、前記特定障害物が前記有効視野範囲に含まれるまで継続的に行われ、
前記視線方向が変化すると、前記誘導照射は、変化後の前記視線方向に応じた前記有効視野範囲のうち前記特定障害物に近い端部の方向に行われ、
前記車両には、前記障害物の方向に関わらず前記車両に対して一定範囲の方向を通常照射範囲として照射するヘッドライトが搭載され、
前記特定障害物が前記通常照射範囲の内にある場合、前記誘導照射は、前記特定障害物の方向に前記誘導照射が行われた後、終了する、
照射制御方法。
【請求項13】
障害物取得部が車両の周辺の少なくとも一つの障害物の情報を取得し、
視線方向取得部が前記車両の運転者の視線方向を取得し、
視野推定部が前記視線方向を中心とした一定の範囲を前記運転者の有効視野範囲と推定し、
判断部が前記少なくとも一つの障害物のうちの一つの障害物である特定障害物が前記有効視野範囲に含まれるか否かを判断し、
照射制御部が、前記特定障害物が前記有効視野範囲に含まれない場合、前記車両に搭載された照射装置に、前記運転者の視線を前記特定障害物へ誘導するための誘導照射を行わせ、
前記誘導照射は、前記有効視野範囲のうち前記特定障害物に近い端部の方向に行われ、
前記少なくとも一つの障害物は複数の障害物であり、
前記特定障害物は、前記複数の障害物のうち前記視線方向から最も離れた方向にある障害物である、
照射制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の運転者の視線を障害物へと誘導する光の照射に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者にとって、種々の交通参加者が接近または交差する走行路において車両の周囲を常に監視するのは負担が大きい。運転者が車両の周辺の状況を認識できない場合、他の交通参加者との接触または衝突の危険性が増す。特に、この危険性は、車両が交差点に進入したり、交差点で右折または左折を行ったりする際に顕著に高まる。
【0003】
従来、車両に搭載された全周監視センサによって車両の周辺の障害物を検知し、警報音または画像表示によって運転者に衝突回避を促す対策が講じられている。しかし、警報音または画像表示では、運転者は車両に近接する障害物の方位を瞬時に判断することができず、瞬時に衝突回避行動を行うことが難しい。
【0004】
こうした問題に対し、特許文献1では、検知した障害物の方向に光を照射し、光の照射位置を上下に変化させることにより、障害物の視認性を向上する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-38878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の方法では、障害物が運転者の有効視野範囲外にある場合には、障害物の方向に光を照射しても運転者が気づかない場合があり得る。
【0007】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、車両からの光照射制御により、運転者の有効視野範囲外にある障害物を運転者に認知させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの照射制御装置は、車両の周辺の少なくとも一つの障害物の情報を取得する障害物取得部と、車両の運転者の視線方向を取得する視線方向取得部と、視線方向を中心とした一定の範囲を運転者の有効視野範囲と推定する視野推定部と、少なくとも一つの障害物のうちの一つの障害物である特定障害物が有効視野範囲に含まれるか否かを判断する判断部と、特定障害物が有効視野範囲に含まれない場合、車両に搭載された照射装置に、運転者の視線を特定障害物へ誘導するための誘導照射を行わせる照射制御部と、を備え、誘導照射は、有効視野範囲のうち特定障害物に近い端部の方向に行われ、誘導照射は、特定障害物が有効視野範囲に含まれるまで継続的に行われ、視線方向が変化すると、誘導照射は、変化後の視線方向に応じた有効視野範囲のうち特定障害物に近い端部の方向に行われ、車両には、障害物の方向に関わらず車両に対して一定範囲の方向を通常照射範囲として照射するヘッドライトが搭載され、特定障害物が通常照射範囲の内にある場合、誘導照射は、特定障害物の方向に誘導照射が行われた後、終了する。

【発明の効果】
【0009】
本開示の照射制御装置によれば、運転者の有効視野範囲外にある障害物を運転者に認知させることが可能である。本開示の目的、特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1の照射制御装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1の照射制御装置による誘導照射の概要図である。
図3】障害物がロービームの照射範囲外にある場合の、実施の形態1の照射制御装置による誘導照射を示す図である。
図4】障害物がロービームの照射範囲内にある場合の、実施の形態1の照射制御装置による誘導照射を示す図である。
図5】実施の形態1の照射制御装置による1つの障害物に対する誘導照射処理を示すフローチャートである。
図6】車両の周辺に2つの障害物がある状況を示す図である。
図7】第1障害物に対する誘導照射を示す図である。
図8】第1障害物に対する誘導照射を示す図である。
図9】第1障害物に対する誘導照射を示す図である。
図10】第2障害物に対する誘導照射を示す図である。
図11】実施の形態1の照射制御装置による複数の障害物に対する誘導照射処理を示すフローチャートである。
図12】実施の形態2の照射制御装置の構成を示すブロック図である。
図13】実施の形態2の照射制御装置による誘導照射処理を示すフローチャートである。
図14】有効視野角の補正値と誘導照射の光度との関係を示す図である。
図15】照射制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図16】照射制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<A.実施の形態1>
<A-1.構成>
図1は、実施の形態1の照射制御装置101およびその周辺装置の構成を示すブロック図である。照射制御装置101は、障害物検知センサ21、ドライバーモニタリングシステム(DMS:Driver Monitoring System)22、および照射装置23に接続され、これらを利用可能に構成されている。照射制御装置101は、車両の運転者が車両周辺の障害物を視認していない場合に、運転者の視線をその障害物へと誘導するための誘導照射を照射装置23に行わせる。以下、本明細書で説明される照射制御装置が視線を誘導する対象の運転者の搭乗車両を単に車両と称する。
【0012】
障害物検知センサ21は、車両に搭載された車両周辺を撮影するカメラまたはToF(Time of Flight)センサなどにより構成され、車両の周辺に存在する障害物の車両に対する相対位置を検出する。障害物検知センサ21は、少なくとも障害物の車両に対する方向を検出する。
【0013】
DMS22は、車両に搭載された車両の運転者を撮影するカメラを備え、カメラの撮影画像を解析して運転者の視線方向を検出する。
【0014】
照射装置23は、車両に搭載され、車両の前方に光を照射する装置である。照射装置23は、車両の前照灯またはサブライトなどにより構成される。
【0015】
照射制御装置101は、障害物取得部11、視線方向取得部12、視野推定部13、判断部14および照射制御部15を備えて構成される。
【0016】
障害物取得部11は、障害物検知センサ21から車両の周辺に存在する障害物の情報を取得し、判断部14に出力する。
【0017】
視線方向取得部12は、DMS22から運転者の視線方向を取得し、視野推定部13に出力する。
【0018】
視野推定部13は、視線方向取得部12から運転者の視線方向を取得し、視線方向を中心として左右に一定角度を有する領域を運転者の有効視野範囲と推定する。例えば、有効視野範囲は、視線方向を中心として左右に30度ずつの拡がりを有する範囲として推定される。なお、有効視野範囲は視線方向を中心とした上下方向にも有限の範囲であるが、本実施の形態では有効視野範囲として水平方向の領域のみを考慮する。
【0019】
判断部14は、障害物取得部11から障害物の情報を取得し、視野推定部13から運転者の有効視野範囲を取得する。判断部14が障害物取得部11から取得する障害物の情報には、障害物の車両に対する方向の情報が少なくとも含まれる。判断部14は、障害物の方向と有効視野範囲とを比較し、障害物が有効視野範囲に含まれるか否かを判断する。障害物が有効視野範囲に含まれない場合、判断部14は照射制御部15に誘導照射の実施を指示する。
【0020】
照射制御部15は、判断部14の指示を受けて、照射装置23を制御し、照射装置23に誘導照射を行わせる。誘導照射の目的は、運転者の視線を障害物へ誘導することである。誘導照射は、スポットライトにより行われる。このスポットライトは、有効視野範囲の障害物に近い端部に向けて照射され、運転者の視線の移動と共に障害物に向けて移動することで、運転者の視線を障害物へと誘導する。
【0021】
<A-2.誘導照射処理>
図2に、誘導照射の概要を示す。車両24のヘッドライトから前方にロービームが照射され、車両24の前方右側に障害物27がある。障害物27は、ロービームの照射範囲26の外にある。ロービームは、障害物27の有無にかかわらず照射されるものであり、ロービームの照射範囲26を通常照射範囲とも称する。
【0022】
車両24の運転者25は車両24の前方左側に視線を向けており、障害物27は運転者25の有効視野範囲に含まれない。有効視野範囲は、図2において破線で示され、有効視野角θで表される範囲である。
【0023】
誘導照射は、有効視野範囲のうち障害物27に近い端部の方向に向けて行われる。照射装置23は、有効視野範囲のうち障害物27に近い端部、図2の例でいえば有効視野範囲の右端方向にスポットライト28を照射する。スポットライト28はロービームの照射範囲26と重なるため、ロービームよりも高い光度で照射される。運転者25はスポットライト28を視認することで、運転者25は有効視野範囲より右側に、詳細は不明であるものの何かがあることを認知する。
【0024】
照射装置23は、スポットライト28の照射方向を初期方向のD1から障害物27に向かって誘導軌跡29に沿って変化させる。図2には、スポットライト28が障害物27に近づく様子が3つの照射方向D1,D2,D3によって示されているが、実際にはスポットライト28の照射方向は誘導軌跡29に沿って連続的に変化する。これにより、運転者25の視線はスポットライト28と共に障害物27まで誘導される。
【0025】
スポットライト28の幅を定める照射角は、例えば±2°である。図2の例では、誘導照射の開始時にスポットライト28は障害物27を照射せず、障害物27に徐々に近づいていく。しかし、照射装置23は、障害物27の位置に応じてスポットライト28の照射範囲を可変とし、誘導照射の開始時から、有効視野範囲の端部と障害物27とに亘る広い範囲をスポットライト28で照射してもよい。この場合、スポットライト28の照射方向は変化しない。
【0026】
スポットライト28の光度は、障害物27に近づくにつれて変化してもよい。例えば、照射装置23は、誘導照射の開始時にスポットライト28の光度を高くし、スポットライト28が障害物27に近づくにつれて光度を徐々に低くしてもよい。この場合、誘導照射の開始時に運転者25がスポットライト28を認知しやすくなる。あるいは、照射装置23は、誘導照射の開始時にスポットライト28の光度を低くし、スポットライト28が障害物27に近づくにつれて光度を徐々に高くしてもよい。これにより、運転者25はスポットライト28で照らされる対象に焦点をあわせやすく、最終的に障害物27を認知しやすくなる。
【0027】
スポットライト28は、最終的に障害物27の方向に照射され、その方向でスポットライト28の方向変化は終了する。図3は、スポットライト28が障害物27を照射している状態を示している。図3において、障害物27はロービームの照射範囲26に重ならない。このような場合、照射装置23は誘導完了後もスポットライト28による障害物27の照射を継続する。運転者25が障害物27を1度注視した後に注視をやめると、照射装置23はスポットライト28を徐々に減光し、障害物27の照射を終了する。
【0028】
図4は、障害物27がロービームの照射範囲26に重なる位置にあり、スポットライト28により障害物27が照射されている状況を示している。このとき、障害物27は運転者25の有効視野範囲に含まれている。このような場合、照射装置23は、誘導完了後に運転者25が障害物27を注視している場合でも、スポットライト28を徐々に減光し、障害物27の照射を終了する。なぜなら、障害物27はロービームにより照射されており、ロービームに加えてスポットライト28を照射し障害物27を強調する必要がないためである。
【0029】
図5は、車両の周辺に障害物が1つある場合の、照射制御装置101による誘導照射処理を示すフローチャートである。以下、図5のフローに沿って照射制御装置101による誘導照射処理を説明する。
【0030】
図5の誘導照射処理は、障害物検知センサ21が車両周辺の障害物を検知することをきっかけに開始する。まず、ステップS101において、障害物取得部11が障害物検知センサ21から車両に対する障害物の方向を取得する。また、視線方向取得部12がDMS22から運転者の視線方向を取得する。
【0031】
次に、ステップS102において、視野推定部13は運転者の視線方向に基づき運転者の有効視野範囲を推定する。有効視野範囲は、例えば視線方向を中心として左右に30度ずつの拡がりを持つ範囲である。
【0032】
その後、ステップS103において、判断部14は、障害物の方向と有効視野範囲とを比較し、障害物が有効視野範囲に含まれるか否かを判断する。障害物が有効視野範囲に含まれる場合、既に運転者は障害物を視認しているため、誘導照射処理は終了する。障害物が有効視野範囲に含まれない場合、誘導照射処理はステップS104へ移行する。
【0033】
ステップS104において、照射制御部15は照射装置23を制御し、有効視野範囲の障害物に近い端部の方向をスポットライトで誘導照射する。以下、有効視野範囲の障害物に近い端部の方向を第1方向とも称する。これにより、運転者はスポットライトを有効視野範囲の端部で認知し、スポットライトに視線を移動するよう促される。
【0034】
次に、ステップS105において、照射制御装置101は各種の情報を更新する。具体的には、照射制御装置101はステップS101およびステップS102の処理を繰り返すことにより、障害物の方向、運転者の視線方向および有効視野範囲を更新する。
【0035】
その後、ステップS106において、判断部14は、障害物の方向と有効視野範囲とを比較し、障害物が有効視野範囲に含まれるか否かを判断する。障害物が有効視野範囲に含まれない場合、誘導照射処理はステップS104に戻り、再び第1方向への誘導照射が行われる。
【0036】
運転者がスポットライトに視線を移動することにより、視線方向および有効視野範囲が変化すると、変化後の有効視野範囲の端部の方向に誘導照射の方向も変化する。従って、ステップS104からステップS106の処理を繰り返すことにより、視線方向の移動に伴って誘導照射の方向は障害物を照射する方向へ近づいていく。
【0037】
ステップS106において障害物が有効視野範囲に含まれる場合、ステップS107において照射制御部15は障害物が通常照射範囲内にあるか否かを判断する。通常照射範囲とは、ロービームの照射範囲である。障害物が通常照射範囲内にある場合、図4に示されるように障害物は既にロービームで照射されており、運転者から十分に視認可能な状態にある。そのため、ステップS112において照射制御部15は照射装置23を制御し、スポットライトを、徐々にその光度を低下させながら消灯させる。これにより、誘導照射処理は終了する。
【0038】
ステップS107において障害物が通常照射範囲外にある場合、図3に示されるように障害物は誘導照射によってのみ照射されている。そのため、運転者が障害物を注視したことが確認されるまで誘導照射は継続される。具体的には、ステップS108において、照射制御装置101はステップS105と同様に各種の情報を更新する。
【0039】
その後、ステップS109において、判断部14は、障害物の方向と視線方向とを比較し、障害物が中心視野範囲に含まれるか否かを判断する。中心視野範囲とは、視線方向を中心とした有効視野よりも狭い範囲であり、例えば視線方向を中心として左右に2度ずつの拡がりを有する範囲として定義される。障害物が中心視野範囲に含まれなければ、誘導照射処理はステップS108へ戻る。
【0040】
ステップS109において障害物が中心視野範囲に含まれることをもって、判断部14は運転者が障害物を注視したと判断し、誘導照射処理はステップS110へ移行する。ステップS110において照射制御装置101は再び各種の情報を更新する。
【0041】
その後、ステップS111において、判断部14は、障害物の方向と視線方向とを比較し、障害物が中心視野範囲外にあるか否かを判断する。障害物が中心視野範囲内にあれば、誘導照射処理はステップS110に戻る。
【0042】
ステップS111において障害物が中心視野範囲外にあれば、運転者による障害物の視認が終了したこと意味する。そこで、誘導照射処理はステップS112に移行し、照射装置23はスポットライトを、徐々にその光度を低下させながら消灯させる。これにより、誘導照射処理は終了する。
【0043】
<A-3.複数の障害物に対する誘導照射処理>
次に、車両の周辺に複数の障害物がある場合の照射制御装置101による誘導照射処理について説明する。図6から図10は、車両24の周辺に複数の障害物がある場合の誘導照射を時系列で示している。
【0044】
図6は、車両24が交差点で右折しようとしている状況を示している。車両24の右手前方には第1障害物27Aがあり、左手前方には第2障害物27Bがある。図6において、矢印31は運転者の視線方向を示している。ここで、第1障害物27Aは、第2障害物27Bよりも視線方向から離れている。すなわち、運転者から第1障害物27Aを見る方向と視線方向との角度をθ1とし、運転者から第2障害物27Bを見る方向と視線方向との角度をθ2としたとき、θ1>θ2である。
【0045】
従って、照射制御装置101は、まず第1障害物27Aを対象に誘導照射処理を実施する。図7は、有効視野範囲の第1障害物27Aに近い端部方向にスポットライト28が照射されている様子を示している。これにより、図8に示されるように、運転者の視線方向はスポットライト28の方向へと誘導される。視線方向が移動すると有効視野範囲も移動するため、それに伴いスポットライト28の照射方向も図9に示されるように変化する。このように、スポットライト28が第1障害物27Aに向けて徐々に移動し、それに誘導されて運転者の視線方向が第1障害物27Aに重なることにより、第1障害物27Aに対する誘導照射は終了する。
【0046】
その後、図10に示されるように、第2障害物27Bに対する誘導照射が開始する。図10では、有効視野範囲の第2障害物27Bに近い端部の方向にスポットライト28が照射されている。
【0047】
図11は、車両の周辺に障害物が複数ある場合の、照射制御装置101による誘導照射処理を示すフローチャートである。以下、図11のフローに沿って障害物が複数ある場合の、照射制御装置101による誘導照射を説明する。
【0048】
図11の誘導照射処理は、障害物検知センサ21が車両周辺の障害物を検知することをきっかけに開始する。まず、ステップS101において、障害物取得部11が障害物検知センサ21から車両に対する障害物の方向を取得する。また、視線方向取得部12がDMS22から運転者の視線方向を取得する。
【0049】
次に、ステップS102において、視野推定部13は運転者の視線方向に基づき運転者の有効視野範囲を推定する。有効視野範囲は、例えば視線方向を中心として左右に30度ずつの拡がりを持つ範囲である。ここまでは、図5のフローと同様である。
【0050】
その後、ステップS120において判断部14は処理対象の障害物を選択する。障害物が一つしかない場合、その障害物が処理対象の障害物として選択される。障害物が複数ある場合、運転者の視線方向から最も離れた方向にある障害物が処理対象の障害物として選択される。なお、処理対象の障害物を特定障害物とも称する。
【0051】
その後、ステップS121において、選択した障害物に対する誘導照射処理を実施する。本ステップは、図5のステップS103からステップS112と同様である。
【0052】
ステップS121の後、ステップS122において判断部14は未処理の障害物があるか否かを判断する。未処理の障害物がある場合、誘導照射処理はステップS120に戻り、判断部14は未処理の障害物の中から処理対象の障害物を選択する。
【0053】
ステップS122において未処理の障害物がなければ、誘導照射処理は終了する。
【0054】
<A-4.効果>
実施の形態1の照射制御装置101は、車両24の周辺の少なくとも一つの障害物の情報を取得する障害物取得部11と、車両24の運転者25の視線方向を取得する視線方向取得部12と、視線方向を中心とした一定の範囲を運転者25の有効視野範囲と推定する視野推定部13と、少なくとも一つの障害物のうちの一つの障害物である特定障害物が有効視野範囲に含まれるか否かを判断する判断部14と、特定障害物が有効視野範囲に含まれない場合、車両24に搭載された照射装置23に、運転者25の視線を特定障害物へ誘導するための誘導照射を行わせる照射制御部15と、を備える。誘導照射は、有効視野範囲のうち特定障害物に近い端部の方向に行われる。従って、照射制御装置101によれば、誘導照射により運転者25の視線を特定障害物へ誘導することができる。
【0055】
実施の形態1の照射制御装置101において、誘導照射は、特定障害物が有効視野範囲に含まれるまで継続的に行われ、視線方向が変化すると、誘導照射は、変化後の視線方向に応じた有効視野範囲のうち特定障害物に近い端部の方向に行われてもよい。これにより、誘導照射の方向は、有効視野範囲の変化に伴い特定障害物を照射する方向へ徐々に変化するため、最終的に特定障害物の方向に誘導照射が行われる。
【0056】
実施の形態1の照射制御装置101において、車両24には、障害物の方向に関わらず車両24に対して一定範囲の方向を通常照射範囲として照射するヘッドライトが搭載され、特定障害物が通常照射範囲の内にある場合、誘導照射は、特定障害物の方向に誘導照射が行われた後、終了してもよい。これにより、特定障害物をヘッドライトと重複して誘導照射により無駄に照射することを避けることができる。
【0057】
実施の形態1の照射制御装置101において、特定障害物が通常照射範囲の外にある場合、特定障害物の方向に誘導照射が行われた後、視線方向を中心とした有効視野範囲より狭い範囲として定められる運転者25の中心視野範囲が特定障害物を含んでから含まない状態になったとき、誘導照射は終了してもよい。これにより、運転者25が特定障害物の確認を終えた後は、無駄な誘導照射を避けることができる。
【0058】
実施の形態1の照射制御装置101において、誘導照射の終了時において、誘導照射の光度は徐々に低下してもよい。これにより、運転者25が誘導照射終了後の特定障害物を暗く感じないようにすることができる。
【0059】
実施の形態1の照射制御装置101において、少なくとも一つの障害物は複数の障害物であり、特定障害物は、複数の障害物のうち運転者25の視線方向から最も離れた方向にある障害物であってもよい。これにより、最も運転者25が視認しくい障害物へ運転者25の視線を誘導することができる。
【0060】
実施の形態1の照射制御装置101において、判断部14は、複数の障害物に対して、視線方向から離れている順に優先順位を設定し、照射制御部15は、複数の障害物のそれぞれを優先順位の高い順に特定障害物に選択してもよい。これにより、運転者25の視線を複数の障害物へ順番に誘導することができる。
【0061】
<B.実施の形態2>
<B-1.構成>
図12は、実施の形態2の照射制御装置102およびその周辺装置の構成を示すブロック図である。照射制御装置102は、実施の形態1の照射制御装置101の構成に加えて補正部16を備える。
【0062】
補正部16は、有効視野補正情報に基づき、有効視野範囲を定める有効視野角θの補正値を設定する。有効視野補正情報は、例えば車両の速度、または運転者の属性である。属性の一例は、年齢である。補正部16は、車両の速度が大きくなるほど有効視野角θの補正値を大きくする。また、補正部16は、運転者の年齢が高いほど有効視野角θの補正値を大きくする。
【0063】
視野推定部13は、視線方向を中心とした左右に一定角度の拡がりを有する範囲を有効視野範囲として推定する。実施の形態1では、有効視野範囲を規定する有効視野角θは例えば60度であり、車両の速度または運転者の年齢によらず一定であった。
【0064】
本実施の形態では、視野推定部13は、補正部16が設定した補正値を有効視野角θから減算することにより、有効視野範囲を補正する。例えば、補正値が10である場合、視野推定部13は、有効視野角を規定値の60°から10°ひいて50°とし、視線方向を中心とした左右にそれぞれ25°の拡がりを有する範囲、すなわち有効視野角50°の範囲を有効視野範囲と推定する。
【0065】
<B-2.動作>
図13は、照射制御装置102による誘導照射処理を示すフローチャートである。以下、図13のフローに沿って照射制御装置102による誘導照射処理を説明する。
【0066】
図13の誘導照射処理は、障害物検知センサ21が車両周辺の障害物を検知することをきっかけに開始する。まず、ステップS101において、障害物取得部11が障害物検知センサ21から車両に対する障害物の方向を取得する。また、視線方向取得部12がDMS22から運転者の視線方向を取得する。
【0067】
次に、ステップS101Aにおいて補正部16が有効視野補正情報を取得する。
【0068】
その後、ステップS101Bにおいて補正部16が有効視野補正情報に基づき、有効視野角の補正値を設定する。ここで、補正部16は、補正値が大きいほど誘導照射の光度が高くなるように設定する。
【0069】
その後、ステップS102Aにおいて、視野推定部13は補正値を考慮して有効視野範囲を推定する。具体的には、視野推定部13は規定の有効視野角から補正値を差し引いて補正後の有効視野角を算出し、視線方向を中心とした補正後の有効視野角を有する範囲を有効視野範囲として推定する。
【0070】
次に、ステップS121において、照射制御装置102は誘導照射処理を実施する。本ステップは、図5のステップS103からステップS112と同様である。以上で、照射制御装置102の誘導照射処理が終了する。
【0071】
<B-3.変形例>
照射制御装置102は、有効視野補正情報に基づき有効視野範囲を狭くする場合、その狭くする程度に応じて、すなわち有効視野角の補正値に応じて、誘導照射の運転者に対する視認度を高めてもよい。
【0072】
誘導照射の視認度を高める方法の1つは、誘導照射の光度を高めることである。図14は、有効視野角の補正値と誘導照射の光度との関係を示す図である。誘導照射の光度は、有効視野角の補正値に比例して高くなってもよい。あるいは、有効視野角の補正値が大きくなるほど、誘導照射の光度の増加率が大きくなってもよい。
【0073】
誘導照射の視認度を高める別の方法として、照射制御部15は、誘導照射に用いるスポットライトの照射指向角、すなわち照射幅を大きくしてもよい。
【0074】
また、誘導照射の視認度を高める別の方法として、照射制御部15は、誘導照射の明暗周期または点滅周期を変更してもよい。
【0075】
また、上記の誘導照射の視認度に関わる光度、照射幅、明暗周期または点滅周期は、運転者ごとに固有値が設定されていてもよい。
【0076】
また、照射制御部15は、障害物の速度が予め定められた閾値より高い場合、あるいは障害物の速度が高いほど、誘導照射の視認度を高めてもよい。障害物の速度が高いほど、短時間で運転者25の視線を障害物に誘導する必要があるところ、誘導照射の視認度を高めることによりこれを実現する。
【0077】
<B-4.効果>
実施の形態2の照射制御装置102において、視野推定部13は、運転者25の属性または車両の速度に応じて運転者の有効視野範囲を狭くし、照射制御部15は、有効視野範囲が狭いほど誘導照射の光度を高くしてもよい。これにより、状況に応じて変化する有効視野範囲に対応して適切に誘導照射を行うことができる。
【0078】
実施の形態2の照射制御装置102において、照射制御部15は、特定障害物の速度が高いほど誘導照射の光度を高くしてもよい。特定障害物の速度が高いほど、運転者25は素早く特定障害物を確認する必要があるため、誘導照射の光度を高くして、運転者25への誘導照射の認知度を高めることは重要である。
【0079】
<C.ハードウェア構成>
上記した照射制御装置101,102における、障害物取得部11,視線方向取得部12,視野推定部13、判断部14、照射制御部15および補正部16は、図15に示す処理回路81により実現される。すなわち、処理回路81は、障害物取得部11,視線方向取得部12,視野推定部13、判断部14、照射制御部15および補正部16(以下、「障害物取得部11等」と称する)を備える。処理回路81には、専用のハードウェアが適用されても良いし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサが適用されても良い。プロセッサは、例えば中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等である。
【0080】
処理回路81が専用のハードウェアである場合、処理回路81は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。障害物取得部11等の各部の機能それぞれは、複数の処理回路81で実現されてもよいし、各部の機能をまとめて一つの処理回路で実現されてもよい。
【0081】
処理回路81がプロセッサである場合、障害物取得部11等の機能は、ソフトウェア等(ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェア)との組み合わせにより実現される。ソフトウェア等はプログラムとして記述され、メモリに格納される。図16に示すように、処理回路81に適用されるプロセッサ82は、メモリ83に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、照射制御装置101,102は、処理回路81により実行されるときに、障害物取得部11が車両の周辺の少なくとも一つの障害物の情報を取得するステップと、視線方向取得部12が車両の運転者の視線方向を取得するステップと、視野推定部13が視線方向を中心とした一定の範囲を運転者の有効視野範囲と推定するステップと、判断部14が少なくとも一つの障害物のうちの一つの障害物である特定障害物が有効視野範囲に含まれるか否かを判断するステップと、照射制御部15が、特定障害物が有効視野範囲に含まれない場合、車両に搭載された照射装置に、運転者の視線を特定障害物へ誘導するための誘導照射を行わせるステップと、が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ83を備える。換言すれば、このプログラムは、障害物取得部11等の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ83は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)およびそのドライブ装置等、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0082】
以上、障害物取得部11等の各機能が、ハードウェアおよびソフトウェア等のいずれか一方で実現される構成について説明した。しかしこれに限ったものではなく、障害物取得部11の一部を専用のハードウェアで実現し、別の一部をソフトウェア等で実現する構成であってもよい。例えば視野推定部13については専用のハードウェアとしての処理回路でその機能を実現し、それ以外についてはプロセッサ82としての処理回路81がメモリ83に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0083】
以上のように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア等、またはこれらの組み合わせによって、上記の各機能を実現することができる。
【0084】
照射制御装置101,102は、典型的には車載装置であるが、PND(Portable Navigation Device)、通信端末(例えば携帯電話、スマートフォン、およびタブレットなどの携帯端末)、およびこれらにインストールされるアプリケーションの機能、並びにサーバなどを適宜に組み合わせてシステムとして構築されるシステムにも適用することができる。この場合、以上で説明した照射制御装置101,102の各機能または各構成要素は、システムを構築する各機器に分散して配置されてもよいし、いずれかの機器に集中して配置されてもよい。
【0085】
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。上記の説明は、すべての態様において、例示である。例示されていない無数の変形例が想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0086】
11 障害物取得部、12 視線方向取得部、13 視野推定部、14 判断部、15 照射制御部、16 補正部、21 障害物検知センサ、23 照射装置、24 車両、25 運転者、27 障害物、27A 第1障害物、27B 第2障害物、28 スポットライト、29 誘導軌跡、81 処理回路、82 プロセッサ、83 メモリ、101,102 照射制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16