(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】自転車・三輪車・オートバイにおける駆動体の回転体への取付装置
(51)【国際特許分類】
B62M 3/00 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
B62M3/00 D
(21)【出願番号】P 2023021189
(22)【出願日】2023-01-27
【審査請求日】2023-01-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306021055
【氏名又は名称】関 明
(72)【発明者】
【氏名】関 明
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5934155(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0098484(US,A1)
【文献】米国特許第5586472(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0086945(US,A1)
【文献】米国特許第4171822(US,A)
【文献】登録実用新案第3062886(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0247713(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0055282(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2228292(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 3/00
B62M 3/08
F16B 9/02
F16B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車、三輪車に設けられた軸受を介して回転可能に支持される回転体の少なくとも一端には係合軸部が形成され、前記係合軸部に係合される第1の取付穴が一端に形成され前記係合軸部に係合された駆動体を使用者が足又は手で回転させる自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置であって、前記係合軸部は、前記回転体に形成された平面部と前記平面部以外の面である曲面部とで構成されており、前記平面部の面に接触して前記回転体を面圧締結する面圧締結手段を前記駆動体に設けるとともに、前記係合軸部の前記曲面部の面に接触して前記回転体を線圧締結する線圧締結手段を前記駆動体に設けた自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置であって、前記面圧締結手段は、円柱状で外周胴にねじ部が形成され、前記面圧締結手段の本体の中心線と前記ねじ部の中心線とは同心とし、前記ねじ部のねじ込み方向側に断面円形の貫通孔が形成されるとともに、前記ねじ部のねじ込み方向側の反対側に工具が装着される工具装着部が形成されたねじ本体と、前記貫通孔に抜け止めされた状態で回動自在に装着され、前記係合軸部の前記平面部を押圧する押圧手段と、前記ねじ本体と対向した位置であって前記ねじ本体のねじ込み方向側の端面と前記押圧手段の先端に設けられた膨大部との間における前記押圧手段の軸部に挿入されて前記押圧手段を前記ねじ本体から離れる方向に付勢する付勢ばねとを備え、前記線圧締結手段は、円柱状で外周胴にねじ部が形成され、前記線圧締結手段の本体の中心線と前記ねじ部の中心線とは同心とし、前記ねじ部のねじ込み方向側に断面円形の貫通孔が形成されるとともに、前記ねじ部のねじ込み方向側の反対側に工具が装着される工具装着部が形成されたねじ本体と、前記貫通孔に抜け止めされた状態で回動自在に装着され、前記係合軸部の前記曲面部を押圧する押圧手段と、前記ねじ本体と対向した位置であって前記ねじ本体のねじ込み方向側の端面と前記押圧手段の先端に設けられた膨大部との間における前記押圧手段の軸部に挿入されて前記押圧手段を前記ねじ本体から離れる方向に付勢する付勢ばねとを備えている自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置であり、前記係合軸部の前記曲面部に接触して前記回転体を線圧締結する線圧締結手段を前記面圧締結手段に対して120度の角度を付けた線上にそれぞれ離して前記駆動体に設けていることを特徴とする自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置。
【請求項2】
前記回転体は、自転車フレームの下部に形成されたボトムブラケットシェルに挿通され、前記ボトムブラケットシェルに対して軸受を介して回転可能に支持されるものであり、前記回転体の両側には係合軸部が形成され、前記係合軸部にはそれぞれ左右の駆動体の基部に形成された取付穴が係合される自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置であって、前記係合軸部は、前記回転体の両側に180度位置をずらせて平面部を形成することで構成されている請求項1に記載の自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車・三輪車・オートバイにおける駆動体の回転体への取付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から一般に知られている自転車は、フレームを挟んで左右に配設されたクランクに取付けられたペダルを下方に踏み込んでクランクとともにクランク軸を回転させ、車輪に伝達して前進させる構造になっている。
又、三輪車は、前記自転車と同様に、フレームを挟んで左右に配設されたクランクに取付けられたペダルを下方に踏み込んでクランクとともにクランク軸を回転させ、車輪に伝達して前進させる構造になっている。
又、オートバイのキックスタートは、人力でエンジンをかけるときに人力でキックペダルを踏みこむことによりクランクシャフトが回ってエンジンがかかるものが知られている。
【0003】
特許文献1に示すものは、自転車のチェーンリングに関するものであり、クランク軸両端の係合軸部にクランクの基部が固定されている。クランクの基部にはクランク軸の係合軸部に嵌合する取付穴が形成されており、取付穴を係合軸部に嵌合させた状態で係合軸部先端方向から係合軸部前端に形成された雄ネジ部に対してナットを螺号させ、係合軸部に対してクランクの基部を締結するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の自転車のチェーンリングは、クランクを固定するためのナットは、時計回り方向に回すことで締められていく順ねじとなっており、フレームの進行方向を向いて左側に配設されるクランク用のナットの締結状態がクランクの回転に伴って緩んでしまうという問題点があり、フレームの進行方向を向いて右側に配設されるクランク用のナットの締結状態がクランクの回転に伴って強固に締結してしまい外すのに大きな労力が必要となるという問題点があった。
又、自転車のペダルは、クランクに固定するためのボルトは、時計回り方向に回すことで締められていく順ねじとなっており、フレームの進行方向を向いて左側に配設されるペダル用のボルトの締結状態がペダルの回転に伴って緩んでしまうという問題点があり、フレームの進行方向を向いて右側に配設されるペダル用のボルトの締結状態がペダルの回転に伴って強固に締結してしまい外すのに大きな労力が必要となるという問題点があった。
又、前記クランク軸は、自転車フレームの下部に形成されたボトムブラケットシェルに挿通され、前記ボトムブラケットシェルに対して軸受を複雑な構造を介して回転可能に支持されるとともに、前記クランク軸に前記クランクが複雑な構造を介して取付けられたものであり、組立性が悪く作業性が悪いという問題点があった。
又、三輪車及びオートバイにあっても、駆動体の回転体への取付装置は、同様に複雑な構造になっており、組立性が悪く作業性が悪いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置は、自転車、三輪車に設けられた軸受を介して回転可能に支持される回転体の少なくとも一端には係合軸部が形成され、前記係合軸部に係合される第1の取付穴が一端に形成され前記係合軸部に係合された駆動体を使用者が足又は手で回転させる自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置であって、前記係合軸部は、前記回転体に形成された平面部と前記平面部以外の面である曲面部とで構成されており、前記平面部の面に接触して前記回転体を面圧締結する面圧締結手段を前記駆動体に設けるとともに、前記係合軸部の前記曲面部の面に接触して前記回転体を線圧締結する線圧締結手段を前記駆動体に設けた自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置であって、前記面圧締結手段は、円柱状で外周胴にねじ部が形成され、前記面圧締結手段の本体の中心線と前記ねじ部の中心線とは同心とし、前記ねじ部のねじ込み方向側に断面円形の貫通孔が形成されるとともに、前記ねじ部のねじ込み方向側の反対側に工具が装着される工具装着部が形成されたねじ本体と、前記貫通孔に抜け止めされた状態で回動自在に装着され、前記係合軸部の前記平面部を押圧する押圧手段と、前記ねじ本体と対向した位置であって前記ねじ本体のねじ込み方向側の端面と前記押圧手段の先端に設けられた膨大部との間における前記押圧手段の軸部に挿入されて前記押圧手段を前記ねじ本体から離れる方向に付勢する付勢ばねとを備え、前記線圧締結手段は、円柱状で外周胴にねじ部が形成され、前記線圧締結手段の本体の中心線と前記ねじ部の中心線とは同心とし、前記ねじ部のねじ込み方向側に断面円形の貫通孔が形成されるとともに、前記ねじ部のねじ込み方向側の反対側に工具が装着される工具装着部が形成されたねじ本体と、前記貫通孔に抜け止めされた状態で回動自在に装着され、前記係合軸部の前記曲面部を押圧する押圧手段と、前記ねじ本体と対向した位置であって前記ねじ本体のねじ込み方向側の端面と前記押圧手段の先端に設けられた膨大部との間における前記押圧手段の軸部に挿入されて前記押圧手段を前記ねじ本体から離れる方向に付勢する付勢ばねとを備えている自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置であり、前記係合軸部の前記曲面部に接触して前記回転体を線圧締結する線圧締結手段を前記面圧締結手段に対して120度の角度を付けた線上にそれぞれ離して前記駆動体に設けていることを特徴とする。
又、本発明にあっては、前記回転体は、自転車フレームの下部に形成されたボトムブラケットシェルに挿通され、前記ボトムブラケットシェルに対して軸受を介して回転可能に支持されるものであり、前記回転体の両側には係合軸部が形成され、前記係合軸部にはそれぞれ左右の駆動体の基部に形成された取付穴が係合される自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置であって、前記係合軸部は、前記回転体の両側に180度位置をずらせて平面部を形成することで構成されており、前記平面部の面に接触して前記回転体を面圧締結する面圧締結手段を前記駆動体に設けるのが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置は、自転車、三輪車に設けられた軸受を介して回転可能に支持される回転体の少なくとも一端には係合軸部が形成され、前記係合軸部に係合される第1の取付穴が一端に形成され前記係合軸部に係合された駆動体を使用者が足又は手で回転させる自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置であって、前記係合軸部は、前記回転体に形成された平面部と前記平面部以外の面である曲面部とで構成されており、前記平面部の面に接触して前記回転体を面圧締結する面圧締結手段を前記駆動体に設けるとともに、前記係合軸部の前記曲面部の面に接触して前記回転体を線圧締結する線圧締結手段を前記駆動体に設けた自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置であって、前記面圧締結手段は、円柱状で外周胴にねじ部が形成され、前記面圧締結手段の本体の中心線と前記ねじ部の中心線とは同心とし、前記ねじ部のねじ込み方向側に断面円形の貫通孔が形成されるとともに、前記ねじ部のねじ込み方向側の反対側に工具が装着される工具装着部が形成されたねじ本体と、前記貫通孔に抜け止めされた状態で回動自在に装着され、前記係合軸部の前記平面部を押圧する押圧手段と、前記ねじ本体と対向した位置であって前記ねじ本体のねじ込み方向側の端面と前記押圧手段の先端に設けられた膨大部との間における前記押圧手段の軸部に挿入されて前記押圧手段を前記ねじ本体から離れる方向に付勢する付勢ばねとを備え、前記線圧締結手段は、円柱状で外周胴にねじ部が形成され、前記線圧締結手段の本体の中心線と前記ねじ部の中心線とは同心とし、前記ねじ部のねじ込み方向側に断面円形の貫通孔が形成されるとともに、前記ねじ部のねじ込み方向側の反対側に工具が装着される工具装着部が形成されたねじ本体と、前記貫通孔に抜け止めされた状態で回動自在に装着され、前記係合軸部の前記曲面部を押圧する押圧手段と、前記ねじ本体と対向した位置であって前記ねじ本体のねじ込み方向側の端面と前記押圧手段の先端に設けられた膨大部との間における前記押圧手段の軸部に挿入されて前記押圧手段を前記ねじ本体から離れる方向に付勢する付勢ばねとを備えている自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置であり、前記係合軸部の前記曲面部に接触して前記回転体を線圧締結する線圧締結手段を前記面圧締結手段に対して120度の角度を付けた線上にそれぞれ離して前記駆動体に設けていることを特徴とするものであるから、面圧締結手段を用いて駆動体を回転体に確実に取付けることができ、使用中に緩んだりすることが無いという効果があり、更に、構造が簡単であり、組立性が良く作業性も良いという効果がある。更に、前記駆動体への前記回転体の締結が安定するとともに確実性が高まるという効果がある。
また、請求項2のように、前記回転体は、自転車フレームの下部に形成されたボトムブラケットシェルに挿通され、前記ボトムブラケットシェルに対して軸受を介して回転可能に支持されるものであり、前記回転体の両側には係合軸部が形成され、前記係合軸部にはそれぞれ左右の駆動体の基部に形成された取付穴が係合される自転車又は三輪車における駆動体の回転体への取付装置であって、前記係合軸部は、前記回転体の両側に180度位置をずらせて平面部を形成することで構成されており、前記平面部の面に接触して前記回転体を面圧締結する面圧締結手段を前記駆動体に設けているものは、フレームの進行方向を向いて左側に配設されるクランク用のナットの締結状態がクランクの回転に伴って緩んでしまうということが無いとともに、フレームの進行方向を向いて右側に配設されるクランク用のナットの締結状態がクランクの回転に伴って強固に締結することが無く、外すのに大きな労力を必要としないという効果がある。更に、前記係合軸部は、前記クランク軸の両側に180度位置をずらせて平面部を形成することで構成されており、左右のクランクに均一に脚力がかかることになり、スムースにクランクを回転させることが出来るとともに偏った力がクランクに加わることが無く、安定した動作を行うことが出来るという効果がある。更に、構造が簡単であり、組立性が良く作業性も良いという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の自転車
又は三輪
車における駆動体の回転体への取付装置を自転車に組み込んだ概略図である。
【
図2】同上の自転車
又は三輪
車における駆動体の回転体への取付装置を分解した要部断面図である。
【
図3】同上の自転車
又は三輪
車における駆動体の回転体への取付装置の正面図である。
【
図4】同上の自転車
又は三輪
車における駆動体の回転体への取付装置の断面図である。
【
図5】同上の自転車
又は三輪
車における駆動体の回転体への取付装置の面圧締結手段・線圧締結手段の断面図である。
【発明を実施する為の形態】
【0009】
以下、
図1乃至
図5を参照して本発明の自転車・三輪車・オートバイにおける駆動体の回転体への取付装置を説明する。
【実施例】
【0010】
本発明の自転車・三輪車・オートバイにおける駆動体の回転体への取付装置1は、自転車フレーム2の下部に形成されたボトムブラケットシェル3に挿通され、ボトムブラケットシェル3に対して軸受4を介して回転可能に支持されるクランク軸5(回転体)の両側には係合軸部6が形成され、係合軸部6にはそれぞれ左右のクランク7(駆動体)の
一端に形成された
第1の取付穴8がクランク7の回転力を伝達可能に嵌合される自転車の回転部の取付装置であって、係合軸部6は、クランク軸5の両側に180度位置をずらせて平面部9を形成することで構成されており、平面部9の面に接触してクランク軸5を面圧締結する面圧締結手段10をクランク7にそれぞれ設けている。
図1においては、左側がクランク軸5の下側に平面部9が配設され、右側がクランク軸5の上側に平面部9が配設されることで、180度位置をずらせて平面部9が形成されている。スプロケット11は、クランク軸5にネジで固定されている。ナット12は、ボトムブラケットシェル3からクランク軸5が脱落しないように設けられており、クランク軸5に形成された雄ネジに螺合されており、構造が簡単になっている。
【0011】
クランク軸5の係合軸部6の平面部9に接触してクランク軸5を面圧締結する面圧締結手段10をクランク7に設けるとともに、係合軸部6の曲面部13に接触してクランク軸5を線圧締結する線圧締結手段14を面圧締結手段10に対して半径方向120度の角度でそれぞれ離して前記クランク7に設けており、3方向から最適な力でクランク軸5を締結している。
【0012】
係合軸部6は、直径が25ミリメートルのクランク軸5の両端を直径が20ミリメートルに細くした細径部15に幅が10ミリメートル、深さが2ミリメートルの平面部9が形成されているが、自転車を使用される使用者の脚力に応じて深さが異なるものを使用しても構わないものである。
【0013】
係合軸部6は、クランク軸5の両側に180度位置をずらせて平面部9を形成することで構成されている。
【0014】
本発明の自転車のペダルの取付装置16は、
図2に示すように、クランク7の他端に形成された第2の取付穴8には一端に係合軸部19が形成されたペダル軸18が取付けられており、ペダル軸18の他端には軸受17を介してペダル20が回動自在に取り付けられている。係合軸部19はペダル軸18に平面部21を形成することで構成されており、係合軸部19は平面部21と平面部21以外の面である曲面部22とで構成されている。平面部21の面に接触してペダル軸18を面圧締結する面圧締結手段10をクランク7にそれぞれ設け
るようになっている。
【0015】
ペダル軸18の係合軸部19の平面部21に接触してペダル軸18を面圧締結する面圧締結手段10をクランク7に設けるとともに、係合軸部19の曲面部22に接触してペダル軸18を線圧締結する線圧締結手段14をクランク7に設けている。
【0016】
係合軸部19は、直径が10ミリメートルのペダル軸18の一端に幅が10ミリメートル、深さが2ミリメートルの平面部21が形成されているが、自転車を使用される使用者の脚力に応じて深さが異なるものを使用しても構わないものである。
【0017】
面圧締結手段10は、クランク7の長手方向の両端部に設けられており、効率よく押圧することができるものであり、無負荷時は空転し、ねじ部23を締めることで負荷(加圧)がかかると、押圧手段27は、締結物に接触して回転は停止し、締結物は動かず、傷を付けずに付勢ばね30は圧縮して緩むことは無く締結するものである。
【0018】
面圧締結手段10は、円柱状で外周胴にねじ部23が形成され、本体の中心線と同心とし、ねじ部23のねじ込み方向側に断面円形の貫通孔24が形成されるとともに、ねじ部23のねじ込み方向側の反対側に工具が装着される工具装着部25が形成されたねじ本体26と、貫通孔24に抜け止めされた状態で回動自在に装着され、係合軸部6の平面部9又は係合軸部19の平面部21を押圧する押圧手段27と、ねじ本体26との対向した位置であってねじ本体26のねじ込み方向側の端面と押圧手段27の先端に設けられた膨大部28との間における押圧手段27の軸部29に挿入されて押圧手段27をねじ本体26から離れる方向に付勢する付勢ばね30とを備えている。面圧締結手段10は、付勢ばね30を備えたもので説明したが付勢ばね30を備えていないものでも構わないものである。面圧締結手段10のねじ本体26から押圧手段27は抜けず無負荷時は空転するものであり、係合軸部19の平面部21に対して加圧すると押圧手段27は空転せずに付勢ばね30を圧縮して面圧締結手段10は緩みにくくなるとともに、クランク軸5及びペダル軸18からなる回転体は動きにくく傷が付くことなく締結され、押圧手段27も傷が付かないものである。
【0019】
面圧締結手段10は、押圧手段27を付勢する付勢ばね30付きボルトであって、ねじ本体26のねじ込み方向側の先端から後端に亘って外周胴にねじ部23を形成し、工具装着部25を貫通孔24よりも大きな断面積の凹状に形成し、押圧手段27の後端に設けられた抜け止め部31は工具装着部内に位置させるとともに、工具装着部24に装着される工具は抜け止め部31の後方に装着され、且つ、押圧手段27の膨大部28及び付勢ばね30のねじ本体26の中心線に対し直交する方向の断面はねじ本体26の中心線に対し直交する断面の領域内に位置する断面に設定されている。ねじ本体26と押圧手段27とは、ねじ本体26を所定温度に加熱してねじ本体26を膨張させ、膨張した貫通孔24に押圧手段27の抜け止め部31を挿入し、空冷することにより、ねじ本体26の貫通孔24に抜け止めされた状態で回動自在に装着されている。面圧締結手段10は、クランク軸5の係合軸部6の平面部9及びペダル軸18の係合軸部19の平面部21を押圧するように設けられており、クランク軸5及びペダル軸18に対して押圧手段27の軸心方向のズレ(バラツキ)を±0.03ミリメートル以内に合わせ、クランク軸5及びペダル軸18の平面部9,21を加圧すると、押圧手段27の端面はクランク軸5及びペダル軸18と「面圧クラッチ」になり、締結するものである。
【0020】
線圧締結手段14は、面圧締結手段10と同一仕様になっており、面圧締結手段10に対し、120度離した位置に設けられており、最適な押圧方向となっている。線圧締結手段14は、クランク軸5の係合軸部6の曲面部13及びペダル軸18の係合軸部19の曲面部22を押圧するように設けられており、クランク軸5及びペダル軸18に対して押圧手段27の軸心方向のズレ(バラツキ)を±0.03ミリメートル以内に合わせ、クランク軸5及びペダル軸18の円柱頂点の曲面部13,22を加圧すると、押圧手段27の端面はクランク軸5及びペダル軸18と「線圧クラッチ」になり、クランク軸5及びペダル軸18を回転させ、過負荷が発生して空転してもクランク軸5及びペダル軸18は折損しないとともに傷が付かないものである。クランク7の長手方向の両端部には、面圧締結手段10を締結するネジ部32が第1の取付穴8及び第2の取付穴8の中心に向かって第1の取付穴8及び第2の取付穴8まで貫通して形成されている。面圧締結手段10に対し、120度離した位置には、線圧締結手段14を締結するネジ部33が第1の取付穴8及び第2の取付穴8の中心に向かって第1の取付穴8及び第2の取付穴8まで貫通して形成されている。
【符号の説明】
【0021】
1 自転車の回転部の取付装置
2 自転車フレーム
3 ボトムブラケットシェル
4 軸受
5 クランク軸
6 係合軸部
7 クランク
8 取付穴
9 平面部
10 面圧締結手段
13 曲面部
14 線圧締結手段