(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】防止具
(51)【国際特許分類】
A01M 29/32 20110101AFI20241125BHJP
A01M 29/30 20110101ALI20241125BHJP
【FI】
A01M29/32
A01M29/30
(21)【出願番号】P 2019156944
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-05-30
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】506050329
【氏名又は名称】山下 いづみ
(72)【発明者】
【氏名】山下 いづみ
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】立澤 正樹
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-61078(JP,A)
【文献】特開2011-24516(JP,A)
【文献】特開2001-28999(JP,A)
【文献】特開2011-36232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/32
H02G 7/00-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれも線材を形成して構成してあり、相対的に長寸の複数の第1の防止部、及び相対的に短寸の複数の第2の防止部を具備してなり、被防止動物を防止
する防止具本体を備え、
各第1の防止部及び各第2の防止部は、球面の一部面領域へ向かって、当該球面の中心位置から立体放射状に延設してあり、各第1の防止部の間に第2の防止部が位置するように構成してあり、
少なくとも第1の防止部は、前記被防止動物の印加によって撓むようになしてあり、
前記第1の防止部及び第2の防止部は、少なくとも前記球面の一部面領域の縁に位置する第1の防止部以外の第1の防止部が撓んだ
ときに、当該第1の防止部が防止具本体を構成する他のいずれかの第1の防止部又はいずれかの第2の防止部
の先端部と交差する
ようにその直径及び長さを定めてある
ことを特徴とする防止具。
【請求項2】
いずれも線材を形成して構成してあり、相対的に長寸の複数の第1の防止部、及び相対的に短寸の複数の第2の防止部を具備してなり、被防止動物を防止する複数の防止具本体と、各防止具本体を支持する支持部材とを備え、
各防止具本体を構成する各第1の防止部及び各第2の防止部は、球面の一部面領域へ向かって、当該球面の中心位置から立体放射状に延設してあり、各第1の防止部の間に第2の防止部が位置するように構成してあり、
各防止具本体は前記支持部材に、互いに適宜距離を隔てて相隣らせて固定してあり、
少なくとも第1の防止部は、前記被防止動物の印加によって撓むようになしてあり、
各防止具本体の第1の防止部及び第2の防止部は、少なくとも前記球面の一部面領域の縁に位置する第1の防止部以外の第1の防止部が撓んだ
ときに、当該防止具本体を構成する他のいずれかの第1の防止部又はいずれかの第2の防止部
の先端部、或は相隣る防止具本体を構成するいずれかの第1の防止部又は第2の防止部
の先端部と交差する
ようにその直径及び長さを定めてある
ことを特徴とする防止具。
【請求項3】
各第1の防止部及び各第2の防止部は、
直径が0.3mm以上1.0mm以下、長さが第1の防止部にあっては4cm以上50cm以下、第2の防止部にあっては2cm以上35cm以下になしてある請求項1又は2記載の防止具。
【請求項4】
前記各第1の防止部の支持部材側の部分及び各第2の防止部の支持部材側の部分を互いに固束して脚部になしてある請求項1から3のいずれかに記載の防止具。
【請求項5】
前記脚部は、各第1の防止部の支持部材側の部分及び各第2の防止部の支持部材側の部分を互いに撚り合わせて形成してある請求項4記載の防止具。
【請求項6】
前記脚部は、各第1の防止部及び各第2の防止部を束ねた部分に筒状部材を外嵌させて形成してある請求項4記載の防止具。
【請求項7】
板状
又は長尺状の支持部材を具備し、
前記筒状部材を支持部材に固着させることによって、防止具本体を支持部材に固定してある
請求項6記載の防止具。
【請求項8】
支持部材を固定するための固定部が前記支持部材に設けてある請求項2から7のいずれかに記載の防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥類の飛来を防止し、また猪といった動物及び犯罪者等の侵入を防止する防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
マンションにあっては、ベランダの手摺り又は電気メータの筐体に、鳩又はカラスといった鳥類が止まって、その周囲下に糞及び/又は羽といった汚物を撒き散らす被害が多発している。そのため、後記する特許文献1には、次のような防止具が開示されている。
【0003】
図8は特許文献1に開示された防止具をその長手方向の一部で分断した状態を示す斜視図であり、図中、72は樹脂製帯状の基板部である。基板部72上には、樹脂製の長針151,151,…と樹脂製の短針152,152,…と交互に適宜の間隔で立設した4つの針列N1,N2,N3,N4が設けてあり、相隣る針列N1,N2、N2,N3、N3,N4にあっては、長針151,151,…と短針152,152,…とが互いに対向するように配置してある。また、中央の針列N2,N3の長針151,151,…及び短針152,152,…は基板部72に対して垂直に立設してある一方、その両側の針列N1,N4はそれぞれ、基板部72の中心線から外側方へ傾斜させてある。なお、全ての長針151,151,…及び短針152,152,…は円錐形状に成形してあり、先端部は丸山形状になしてある。
【0004】
かかる防止具にあっては、長針151,151,…が鳩及びカラスといった大型の鳥類に対して威嚇し、短針152,152,…がスズメ及びツバメといった小型の鳥類に対して威嚇するため、その種類に拘わらず鳥類が、防止具を設置した領域に止まることを防止し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した防止具では、長針151,151,…及び短針152,152,…によって飛来する鳥類を威嚇することによって当該鳥類がそこに止まることを防止するようになしてあるが、長針151,151,…及び短針152,152,…はいずれも樹脂製であるため、長針151,151,…又は短針152,152,…に鳥類が触れた場合であっても、長針151,151,…及び短針152,152,…はその当初姿勢を略維持する。そのため、長針151,151,…及び短針152,152,…の威嚇効果は長続きせずに、当該鳥類に所謂慣れが生起され、慣れが生起された鳥類が当該防止具上に止まることによって、その周囲を汚してしまっていた。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、慣れが発生し難く、確実に鳥類の飛来を防止し得、また動物又は犯罪者の侵入を防止し得る防止具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る防止具は、いずれも線材を形成して構成してあり、相対的に長寸の複数の第1の防止部、及び相対的に短寸の複数の第2の防止部を具備してなり、被防止動物を防止する防止具本体を備え、各第1の防止部及び各第2の防止部は、球面の一部面領域へ向かって、当該球面の中心位置から立体放射状に延設してあり、各第1の防止部の間に第2の防止部が位置するように構成してあり、少なくとも第1の防止部は、前記被防止動物の印加によって撓むようになしてあり、前記第1の防止部及び第2の防止部は、少なくとも前記球面の一部面領域の縁に位置する第1の防止部以外の第1の防止部が撓んだときに、当該第1の防止部が防止具本体を構成する他のいずれかの第1の防止部又はいずれかの第2の防止部の先端部と交差するようにその直径及び長さを定めてあることを特徴とする。
【0009】
本発明の防止具にあっては、防止具本体は、いずれも線材を形成して構成してあり、相対的に長寸の複数の第1の防止部、及び相対的に短寸の複数の第2の防止部を具備して構成してある。例えば、被防止動物が鳥類である場合、防止具本体上に止まろうとする場合、いずれかの防止具本体の第1の防止具が被防止動物の足に当接するため、当該被防止動物に足の軽い痛みを感じさせ、これによって、被防止動物が防止具上に止まることを防止するという剣山状の効果を奏する。
【0010】
一方、鳥類以外の害獣又は侵入者といった被防止動物にあっては、防止具本体を構成する第1の防止部及び/又は第2の防止部に身体の一部が当接することによって、当該当接部分に軽い痛みを感じさせるため、被防止動物の侵入等を確実に防止することができる。
【0011】
しかしながら鳥類にあっては、当該被防止動物が前述した当接を回避していずれかの第1の防止部に止まろうとすることがあるが、かかる場合、第1の防止部は被防止動物の印加によって撓むようになしてあるため、被防止動物の質量によって撓むため、当該被防止動物に不安定感を与えることができ、これによって被防止動物を脅かせて、第1の防止部への係止を阻止することができる。
【0012】
更に、本防止具にあっては、各第1の防止部及び各第2の防止部は、球面の一部面領域へ向かって、当該球面の中心位置から立体放射状に延設してあり、各第1の防止部の間に第2の防止部が位置するように構成してあり、少なくとも第1の防止部は、前記被防止動物の印加によって撓むようになしてあり、前記第1の防止部及び第2の防止部は、少なくとも前記球面の一部面領域の縁に位置する第1の防止部以外の第1の防止部が撓んだときに、当該第1の防止部が防止具本体を構成する他のいずれかの第1の防止部又はいずれかの第2の防止部の先端部と交差するようにその直径及び長さを定めてあるため、交差した第1の防止部又は第2の防止部が被防止動物の足に当接して、被防止動物に足の軽い痛みを感じさせ、防止具本体に被防止動物が止まることを防止する。また、各第1の防止部及び各第2の防止部は、球面の一部面領域へ向かって、当該球面の中心位置から立体放射状に延設してあり、各第1の防止部及び各第2の防止部が四方八方へ立体的に配されているため、被防止動物がどの方向から接近してきてもこれに対応して、当該被防止動物を防止することができる。
【0013】
このように本発明に係る防止具は、被防止動物が鳥類である場合にあっても、その飛来行動に応じた時系列上の複数のタイミングで防止効果を奏するため、被防止動物が防止具に止まることを確実に防止することができる。更には、これによって防止効果を被防止動物に記憶させることができるため、被防止動物に防止具への飛来を忌避させることができる。
【0014】
(2)本発明に係る防止具は、いずれも線材を形成して構成してあり、相対的に長寸の複数の第1の防止部、及び相対的に短寸の複数の第2の防止部を具備してなり、被防止動物を防止する複数の防止具本体と、各防止具本体を支持する支持部材とを備え、各防止具本体を構成する各第1の防止部及び各第2の防止部は、球面の一部面領域へ向かって、当該球面の中心位置から立体放射状に延設してあり、各第1の防止部の間に第2の防止部が位置するように構成してあり、各防止具本体は前記支持部材に、互いに適宜距離を隔てて相隣らせて固定してあり、少なくとも第1の防止部は、前記被防止動物の印加によって撓むようになしてあり、各防止具本体の第1の防止部及び第2の防止部は、少なくとも前記球面の一部面領域の縁に位置する第1の防止部以外の第1の防止部が撓んだときに、当該防止具本体を構成する他のいずれかの第1の防止部又はいずれかの第2の防止部の先端部、或は相隣る防止具本体を構成するいずれかの第1の防止部又は第2の防止部の先端部と交差するようにその直径及び長さを定めてあることを特徴とする。
【0015】
本発明の防止具にあっては、複数の防止具本体が支持部材に、互いに適宜距離を隔てて相隣らせて固定してある。前同様、防止具本体は、いずれも線材を形成して構成してあり、相対的に長寸の複数の第1の防止部、及び相対的に短寸の複数の第2の防止部を具備して構成してある。前述した如く、被防止動物が鳥類である場合、防止具本体上に止まろうとする場合、いずれかの防止具本体の第1の防止具が被防止動物の足に当接するため、当該被防止動物に足の軽い痛みを感じさせ、これによって、被防止動物が防止具上に止まることを防止するという剣山状の効果を奏する。
【0016】
一方、鳥類以外の害獣又は侵入者といった被防止動物にあっては、防止具本体を構成する第1の防止部及び/又は第2の防止部に身体の一部が当接することによって、当該当接部分に軽い痛みを感じさせるため、被防止動物の侵入等を確実に防止することができる。
【0017】
ところで、被防止動物が前述した当接を回避していずれかの防止具に止まろうとする場合であっても、前同様、第1の防止部は被防止動物の印加によって撓むようになしてあるため、被防止動物の質量によって撓むため、当該被防止動物に不安定感を与えることができ、これによって被防止動物を脅かせて、第1の防止部への係止を阻止することができる。
【0018】
更に、本防止具にあっては、各防止具本体を構成する各第1の防止部及び各第2の防止部は、球面の一部面領域へ向かって、当該球面の中心位置から立体放射状に延設してあり、各第1の防止部の間に第2の防止部が位置するように構成してあり、少なくとも第1の防止部は、前記被防止動物の印加によって撓むようになしてあり、各防止具本体の第1の防止部及び第2の防止部は、少なくとも前記球面の一部面領域の縁に位置する第1の防止部以外の第1の防止部が撓んだときに、当該防止具本体を構成する他のいずれかの第1の防止部又はいずれかの第2の防止部の先端部、或は相隣る防止具本体を構成するいずれかの第1の防止部又は第2の防止部の先端部と交差するようにその直径及び長さを定めてあるため、交差した第1の防止部又は第2の防止部が被防止動物の足に当接して、被防止動物に足の軽い痛みを感じさせ、防止具本体に被防止動物が止まることを防止する。また、各第1の防止部及び各第2の防止部は、球面の一部面領域へ向かって、当該球面の中心位置から立体放射状に延設してあり、各第1の防止部及び各第2の防止部が四方八方へ立体的に配されているため、被防止動物がどの方向から接近してきてもこれに対応して、当該被防止動物を防止することができる。
【0019】
このように本発明に係る防止具は、被防止動物が鳥類である場合にあっても、その飛来行動に応じた時系列上の複数のタイミングで防止効果を奏するため、被防止動物が防止具に止まることを確実に防止することができる。更には、これによって防止効果を被防止動物に記憶させることができるため、被防止動物に防止具への飛来を忌避させることができる。
【0020】
(3)本発明に係る防止具は、各第1の防止部及び各第2の防止部は、直径が0.3mm以上1.0mm以下、長さが第1の防止部にあっては4cm以上50cm以下、第2の防止部にあっては2cm以上35cm以下になしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明の防止具にあっては、各第1の防止部及び各第2の防止部は、直径が0.3mm以上1.0mm以下になしてあるため、被防止動物の質量が印加されても容易に屈曲せず、一方、被防止動物の質量によって第1の防止部又は第2の防止部が適宜撓み、また、第1の防止部又は第2の防止部の先端部によって被防止動物に軽い痛みを感じさせ得る。また、各第1の防止部の長さが4cm以上50cm以下になしてあるため、1つの防止具本体でカバーできる範囲が狭くなり過ぎることが防止され、被防止動物である鳥類に対して止まり木としての機能を奏することができる。同様に第2の防止部の長さが2cm以上35cm以下になしてあるため、第1の防止部が撓んだときに、当該第1の防止部と交差しない虞を回避することができ、所望の防止効果を期待できる。
【0022】
(4)本発明に係る防止具は、前記各第1の防止部の支持部材側の部分及び各第2の防止部の支持部材側の部分を互いに固束して脚部になしてあることを特徴とする。
【0023】
本発明の防止具にあっては、前述した各第1の防止部の支持部材側の部分及び各第2の防止部の支持部材側の部分を互いに固束して脚部になしてあるため、いずれの第1の防止部も当該脚部によって固く片持ち支持されており、従って第1の防止部は元の姿勢に確実に復帰する。
【0024】
(5)本発明に係る防止具は、前記脚部は、各第1の防止部の支持部材側の部分及び各第2の防止部の支持部材側の部分を互いに撚り合わせて形成してあることを特徴とする。
【0025】
本発明の防止具にあっては、前述した脚部は、各第1の防止部の支持部材側の部分及び各第2の防止部の支持部材側の部分を互いに撚って形成してあり、これによって比較的容易に脚部を形成することができる。従って、製造コストを廉価にすることができる。
【0026】
(6)本発明に係る防止具は、前記脚部は、各第1の防止部及び各第2の防止部を束ねた部分に筒状部材を外嵌させて形成してあることを特徴とする。
【0027】
本発明の防止具にあっては、脚部は、各第1の防止部及び各第2の防止部を束ねた部分に筒状部材を外嵌させて形成してあり、前述した如く撚って形成する場合と比べて、より短時間で脚部を形成することができる一方、第1の防止部及び第2の防止部を形成する線材に撚りといった負荷を加えなくて済むので、第1の防止部及び第2の防止部の寿命を長くすることができる。
【0028】
ところで、本発明に係る防止具は、板状の支持部材を具備し、前記各第1の防止部及び各第2の防止部は、線材を二つ折りにして形成してあり、一方、前記支持部材には複数の貫通孔が開設してあり、前記防止具本体は、各第1の防止部及び各第2の防止部の二つ折りした部分を支持部材の相隣る貫通孔間の部分に掛け回して、前記支持部材に固定してあることも特徴としている。
【0029】
本発明の防止具にあっては、板状の支持部材を具備する。一方、各第1の防止部及び各第2の防止部は、線材を二つ折りにして形成してあり、従って1本の線材で2つの第1の防止部又は各第2の防止部を形成することができる。
【0030】
また、支持部材には複数の貫通孔が開設してあり、防止具本体は、各第1の防止部及び各第2の防止部の二つ折りした部分を支持部材の相隣る貫通孔間の部分に掛け回して、支持部材に固定してある。これによって、比較的容易に防止具を製造することができる。
【0031】
(7)本発明に係る防止具は、板状又は長尺状の支持部材を具備し、前記筒状部材を支持部材に固着させることによって、防止具本体を支持部材に固定してあることを特徴とする。
【0032】
本発明の防止具にあっては、板状、又は線状といった長尺状の支持部材を具備する。一方、防止具本体は、各第1の防止部及び各第2の防止部を束ねた部分に外嵌した筒状部材を支持部材に固着させることによって、防止具本体を支持部材に固定してあるため、前述した如く掛け回して固定する場合に比べて、より短時間で固定することができる。
【0033】
(8)本発明に係る防止具は、支持部材を固定するための固定部が前記支持部材に設けてあることを特徴とする。
【0034】
本発明の防止具にあっては、支持部材を固定するための固定部が、当該支持部材に設けてあるため、この固定部を用いて支持部材を防止対象領域に容易に固定することができる。なお、固定部は防止対象領域の状況に応じて、環状、ベルト状、紐状、フランジ状等種々の形態になすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明に係る防止具の構成を説明する斜視図である。
【
図2】壁近傍に配置する防止具の一構成を説明する説明図である。
【
図3】
図1に示した防止具の使用様態を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示した防止具の使用様態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の他の形態に係る防止具を示す斜視図である。
【
図6】本発明の更に他の形態に係る防止具の使用様態を示す側面図である。
【
図7】本発明の更に他の形態に係る防止具の使用様態を示す斜視図である。
【
図8】特許文献1に開示された防止具をその長手方向の一部で分断した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明に係る防止具を図面に基づいて詳述する。
なお、本実施の形態で説明する防止具は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含むことはいうまでもない。
【0037】
(発明を実施するための第1の形態)
図1は本発明に係る防止具の構成を説明する斜視図であり、図中、2は支持部材たる基台である。基台2は樹脂製、金属製、木製又はそれらの組み合わせであってよい。
【0038】
基台2は、帯板材に円形、多角形又は不定形状(
図1にあっては四角形状)の複数の貫通孔を幅方向及び長手方向へ適宜の間隔で開設することによって、基台本体21と開口部22,22,…とが設けられており、これによって基台本体21の長手方向へ連なる開口部22,22,…の列が、基台本体21の幅方向へ複数列(
図1にあっては3列)形成されている。また、相隣る2つの列にあっては、一方の列の相隣る開口部22,22の間に、他方の列の開口部22が位置するようにしてある。
【0039】
また、これら開口部22,22,…の内、適当に距離を隔てた2つの開口部22,22には帯状弾性体を環状に成形してなり、電気メータボックスといった取付箇所に基台2を固定するための固定部3が掛け回してある。また、固定部3の基台2底部に対向する部分の反対側、即ち、取付箇所に対向する部分には、取付箇所に固定された基台2が当該取付箇所上で滑動することを防止する滑り止め部4が固着してある。なお、固定部3は環状以外に、その端部同士を互いに結ぶベルト状又は紐状等であってもよいし、螺子止又はビス止めすべくフランジ状等、基台2を固定するための種々の構成であってよい。
【0040】
なお、本形態では、電気メータボックスといった箱状の取付箇所に固定すべく、固定部3及び滑り止め部4を設けた場合について示したが、これら固定部3及び滑り止め部4を設けることなく、マンションの各戸毎に設けられた軒上、鉄道ホームの骨材上、配線及び配管上、害獣防止柵上及びその近傍、又は、塀上等々に基台本体21を接着、螺子止又は釘止等によって固定するようにしてもよい。
【0041】
一方、基台本体21の長手方向に相隣る開口部22,22、22,22,…,…の間の分部は、鳥類といった被防止動物の飛来又は侵入を防止する防止具本体5,5,…を固着させるための固着部25,25,…になしてあり、各固着部25,25,…にはそれぞれ防止具本体5,5,…が固着させてある。
【0042】
防止具本体5は、針金といった弾性を有する金属製の線材であって相対的に長寸の第1防止部51,51,…と、相対的に短寸の第2防止部52,52,…とを、長手方向の中央位置が互いに略一致するように束ね、束ねた各第1防止部51,51,…及び各第2防止部52,52,…の略中央領域を二つ折りして、基台本体21の前述した適宜の固着部25に掛け回した後に互いに撚り合わせてそこに固着させる一方、この撚り合わせた部分で脚部50が形成してある。そして、当該脚部50から延びる両第1防止部51,51,…及び第2防止部52,52,…をそれぞれ、脚部50の先端を中心とする球体の一部であって、当該脚部50の先端から立体放射状に延出させてある。このとき、第1防止部51,51,…の間に第2防止部52,52,…が位置するように構成してある。
【0043】
なお、第1防止部51,51,…の先端は鉛直上方へ屈曲させてもよい。これによって、被防止動物の防止効果をより向上させることができる。
【0044】
前述した第1防止部51及び第2防止部52の径は適宜に選択することができるが、例えば被防止動物が鳩である場合、成体の平均質量は800g程度であるので、その直径は0.3mm以上1.0mm以下とするとよい。第1防止部51及び第2防止部52の直径が0.3mm未満の場合、鳩の質量が印加されたときに第1防止部51及び第2防止部52が容易に屈曲してしまい、所望の防止効果を維持することができない。一方、第1防止部51及び第2防止部52の直径が1.0mmを超えた場合、鳩の質量によって第1防止部51及び第2防止部52が撓み難く、後述する作用効果を奏し難い。
【0045】
これに対して、第1防止部51及び第2防止部52の直径が0.3mm以上1.0mm以下である場合、鳩の質量が印加されても容易に屈曲しない一方、鳩の質量によって第1防止部51,51,…又は第2防止部52,52,…が撓む。また、第1防止部51及び第2防止部52の直径が0.3mm以上1.0mm以下である場合、第1防止部51及び第2防止部52の先端部面積が鳩にとって狭いため、当該先端部を先鋭化せずとも、いずれかの第1防止部51,51,…又は第2防止部52,52,…の端部に鳩の足が当接した場合、当該鳩に足の軽い痛みを感じさせることができる。
【0046】
このように、第1防止部51及び第2防止部52の径は、前述した如く被防止動物の質量に応じて、当該被防止動物の質量が印加されても容易に屈曲せず、一方、被防止動物の質量によって第1防止部51,51,…又は第2防止部52,52,…が適宜撓み、また、第1防止部51,51,…又は第2防止部52,52,…の先端部によって被防止動物に軽い痛みを感じさせ得るように定めてある。
【0047】
また、被防止動物が鳥類である場合、第1防止部51は、脚部50の先端から当該第1防止部51の先端までの寸法が4cm程度以上50cm程度以下にしてある一方、第2防止部52は、脚部50の先端から当該第2防止部52の先端までの寸法が2cm程度以上35cm程度以下であって、第1防止部51より短い寸法にしてある。一方、脚部50の長さ寸法は、5mm程度以上の適宜寸法にしてある。なお、脚部50の長さ寸法の最大値は、後述するように花たてといった支持部材の高さ寸法に応じて定めればよい。
【0048】
ここで、第1防止部51にあって、脚部50の先端から当該第1防止部51の先端までの寸法が4cm程度未満である場合、1つの防止具本体5でカバーできる範囲が狭くなり過ぎるのに加え、被防止動物である鳥類に対して止まり木としての機能を奏せず、後述する防止効果を奏することが困難である。また、第1防止部51にあって、脚部50の先端から当該第1防止部51の先端までの寸法が50cm程度を超えると、被防止動物に対する所望の防止効果を期待できない。
【0049】
同様に、第2防止部52にあって、脚部50の先端から当該第2防止部52の先端までの寸法が2cm程度未満である場合、後述する如く第1防止部51が撓んだときに、当該第1防止部51と交差しない虞があり、所望の防止効果を期待できない。また、第2防止部52にあって、脚部50の先端から当該第2防止部52の先端までの寸法が35cm程度を超えると、被防止動物に対する所望の防止効果を期待できない。
【0050】
一方、脚部50の長さ寸法が5mm程度未満の場合、脚部50を支持部材に固定する作業が困難となる虞がある。
【0051】
ところで、第1防止部51,51,…及び第2防止部52,52,…は前述したように脚部50の先端を中心とする球体の一部であって、当該脚部50の先端から立体放射状に延出させてあるが、立体放射状に延出させる角度は、鉛直方向に対して60°程度以下にしてある。立体放射状に延出させる角度を、鉛直方向に対して60°程度を超えるようになすと、第1防止部51,51,…及び第2防止部52,52,…が水平姿勢に近づくため、被防止動物に対する所望の防止効果が得られない。
【0052】
また、基台本体21上に設ける各防止具本体5,5,…の間隔は、相隣る防止具本体5,5間に被防止動物の足が進入しない程度であればよいが、相隣る防止具本体5,5において、一方の防止具本体5の最も外側に位置する第1防止部51が被防止動物の印加によって撓んだ際に、他方の防止具本体5の第2防止部52と交差し得る寸法になすのが好適である。これによって、より確実に被防止動物を防止することができる。
【0053】
一方、
図2に示したように、壁等の近傍に位置する防止具本体5にあっては、当該防止具本体5の壁Wに対向する領域に第1防止部51,51,…及び第2防止部52,52,…を設けなくても、所望の防止効果を奏することができる。
【0054】
なお、鳥類以外の被防止動物に対しては、第1防止部51,51,…及び第2防止部52,52,…の長さ寸法については被防止動物の大きさに応じて適宜定める。
【0055】
次に、本発明に係る防止具によって被防止動物を防止する動作について説明する。
【0056】
図3及び
図4は、
図1に示した防止具の使用様態を示す斜視図である。なお、図中、
図1に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してある。なお、
図4にあっては、
図1に示した全防止具本体5,5,…の内の一部を示して他は省略してある。
【0057】
図3に示した如く、住宅の外壁等に電気メータボックス16が取り付けてあり、被防止動物である鳩が当該電気メータボックス16上に止まって、その周囲を汚染する場合に、防止具の基台本体21を電気メータボックス16の天井に載置した後、環状の固定部3を電気メータボックス16に掛け回して防止具を電気メータボックス16に固定する。このとき、固定部3の基台2底部に対向する部分の反対側に滑り止め部4が固着してあるため、風雨又は鳩の飛来によって基台本体21が電気メータボックス16から滑落することが防止される。
【0058】
このような防止具にあっては、
図4に示した如く、電気メータボックス16上に飛来した鳩Pは、当該電気メータボックス16の天井に防止具が固定されているため、当該防止具の防止具本体5,5,…上に止まろうとする。このとき、いずれかの防止具本体5の第1防止部51,51,…が当該鳩の足に当接するため、鳩に足の軽い痛みを感じさせ、これによって、鳩が電気メータボックス16上に止まることを抑制することができる。
【0059】
一方、鳥類以外の害獣又は侵入者といった被防止動物にあっては、防止具本体5,5,…を構成する第1防止部51,51,…及び/又は第2防止部52,52,…に身体の一部が当接することによって、当該当接部分に軽い痛みを感じさせるため、被防止動物の侵入等を確実に防止することができ、防犯効果が高い。
【0060】
しかしながら、被防止動物である鳩Pにあっては、前述した当接を回避していずれかの第1防止部51に止まろうとすることがあるが、かかる場合、当該第1防止部51は弾性を有するため、鳩Pの質量によって撓むため、鳩Pに不安定感を与えることができ、これによって鳩Pを脅かせて、第1防止部51への係止を阻止することができる。
【0061】
更に、本防止具にあっては、前記撓んだ第1防止部51は当該防止具本体5のいずれかの第2防止部52、又は相隣る防止具本体5のいずれかの第2防止部52と交差するように構成してあるため、当該第2防止部52が鳩Pの足に当接して、鳩Pに足の軽い痛みを感じさせ、防止具本体5に鳩Pが止まることを防止する。
【0062】
このように本発明に係る防止具は、被防止動物である鳩Pの飛来行動に応じた時系列上の複数のタイミングで防止効果を奏するため、鳩Pが防止具に止まることを確実に防止することができる。更には、これによって防止効果を鳩Pに記憶させることができるため、鳩Pに防止具への飛来を忌避させることができる。
【0063】
一方、鳩Pが止まろうとして撓んだ姿勢の第1防止部51は弾性を有するため、鳩Pがそこから飛び立つと、元の姿勢に復帰する。前述したように脚部50は第1防止部51,51,…及び各第2防止部52,52,…を固く束ねて形成してあるため、いずれの第1防止部51,51,…も脚部50によって固く片持ち支持されており、従って撓んだ第1防止部51は元の姿勢に確実に復帰する。
【0064】
なお、本形態では、防止具本体5に、長寸の第1防止部51,51,…と短寸の第2防止部52,52,…を設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、相対的に長寸であってランダムな長さ寸法の複数の防止部と、相対的に短寸であってランダムな長さ寸法の複数の他の防止部とを束ねて防止具本体を構成してもよい。かかる構成の防止具本体も前同様の防止作用効果を奏する。
【0065】
一方、本形態では、相隣る2列において、一方の列の相隣る開口部22,22の間に、他方の列の開口部22が位置するようになした場合について示したが、本発明はこれに限らず、各列を構成する開口部22,22,…、22,22,…、22,22,…の基台2の長手方向の位置をそれぞれ同じになしてもよい。この場合、相隣る2列において、前同様、防止具本体5,5,…が基台2の長手方向へ交互に位置するように基台本体21に固着してもよいし、各列を構成する開口部22,22,…、22,22,…、22,22,…それぞれに対応して、基台本体21の長手方向に相隣る開口部22,22間の固着部25に前述した防止具本体5をそれぞれ固着するようにしてもよい。
【0066】
また、本形態では、基台2の幅方向へも適宜の間隔で開口部22,22,…を設けた場合について示したが、本発明はこれに限らず、基台2の幅方向へ一列の開口部22,22,…を設けておき、そのような防止具を基台2の幅方向へ複数配するように設置してもよい。
【0067】
ところで、本形態では基台本体21と開口部22,22,…とを具備する基台2を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、平板状の基台の表面にアーチ状又はL字状等、複数の掛け回し部を設けておき、各掛け回し部にそれぞれ、前述した防止具本体5をそれぞれ掛け回して固定するようにしてもよい。この場合、基台の裏面側が平坦であるため、平坦な設定領域に防止具を設置した場合であっても、防止具にガタが生じ難い。
【0068】
(発明を実施するための第2の形態)
図5は本発明の他の形態に係る防止具を示す斜視図であり、第1防止部及び第2防止部を束ねる方法及び固定具本体の基台への固定方法を異ならせてある。なお、
図5中、
図1に示した部分に対応する部分には対応する番号を付してその説明を省略する。
【0069】
図5に示した如く、第1防止部51a,51a,…及び第2防止部52a,52a,…の基台2a側の部分、即ち基端部はそれらを束ねて筒状部材18内に嵌入してあり、第1防止部51a,51a,…及び第2防止部52a,52a,…の束ねた部分は筒状部材18によって固定することによって基台本体21aの表面から突出した脚部50aが構成してある。ここで、筒状部材18による固定方法は適宜用いることができるが、例えば、筒状部材18を金属製とし、該筒状部材18をかしめてもよく、また第1防止部51a,51a,…及び第2防止部52a,52a,…の束ねた部分に外嵌させた筒状部材18内に硬化性樹脂又はモルタル等を注入固化させることによって固定してもよい。
【0070】
なお、筒状部材18は無底であっても、有底であってもよいが、前述した如く、硬化性樹脂又はモルタル等を注入する場合は、有底の筒状部材18を用いるとよい。一方、第1防止部51a,51a,…及び第2防止部52a,52a,…は一本の線材を二つ折りして形成してもよいし、それぞれ一本の線材で形成してもよい。
【0071】
一方、基台2aには、前記筒状部材18の外径より大きい内径になした複数の凹部22a,22a,…が相互に適宜の距離を隔てて設けてあり、複数の第1防止部51a,51a,…及び第2防止部52a,52a,…を固定した各筒状部材18,18,…の底部側が各凹部22a,22a,…内に嵌入固着してある。
【0072】
このような防止具1aにあっては、各防止具本体5a,5a,…の第1防止部51a,51a,…、51a,51a,…及び/又は第2防止部52a,52a,…、52a,52a,…によって、前同様、被防止動物を防止することができる。
【0073】
一方、防止具本体5aは、第1防止部51a,51a,…及び第2防止部52a,52a,…の束ねた部分に筒状部材18を外嵌固定して構成してあるため、
図1に示した如く、第1防止部51a,51a,…及び第2防止部52a,52a,…を二つ折りして撚って形成する場合と比べて、より短時間で脚部50aを形成することができる一方、第1防止部51a,51a,…及び第2防止部52a,52a,…を形成する線材に撚りといった負荷を加えなくて済むので、第1防止部51a,51a,…及び第2防止部52a,52a,…の寿命を長くすることができる。
【0074】
なお、本形態では、複数の凹部22a,22a,…が設けられた基台2aを適用した場合について示したが、本発明はこれに限らず、複数の筒状の凸部を設けた基台、又は筒状部材18を内嵌させる複数の貫通孔を設けた基台等、種々の基台を用いることができる。
【0075】
(発明を実施するための第3の形態)
図6及び
図7は本発明の更に他の形態に係る防止具の使用様態を示す側面図及び斜視図であり、
図6は電線に適用した場合を、また、
図7は花器に適用した場合をそれぞれ示している。なお、両図中、
図1に示した部分に対応する部分には対応する番号を付してその説明を省略する。
【0076】
図6に示したように、本防止具にあっては、電線ELの外周面に螺旋状のワイヤを用いてなる支持部材Wが外嵌固定してあり、該支持部材Wには複数の防止具本体5,5,…が、電線ELの長手方向へ互いに適宜の間隔を隔てて立設固定してある。ここで、相隣る防止具本体5,5の間の寸法は、一方の防止具本体5の第1防止部51が撓んだときに、他方の防止具本体5の第1防止部51又は第2防止部52と交差し得る寸法であってもよいが、両者間に被防止動物である鳥類が止まれない寸法であればよい。これは前述した発明を実施するための第1の形態、及び発明を実施するための第2の形態でも同じである。
【0077】
かかる防止具にあっては、前同様、電線EL上に飛来した被防止動物である鳥類は、当該電線ELに防止具が外嵌固定してあるため、当該防止具の防止具本体5,5,…上に止まろうとする。このとき、いずれかの防止具本体5の第1防止部51,51,…が当該鳥類の足に当接するため、鳥類に足の軽い痛みを感じさせ、これによって、鳥類が電線EL上に止まることを抑制することができる。
【0078】
一方、被防止動物である鳥類にあっては、前述した当接を回避していずれかの第1防止部51に止まろうとすることがあるが、かかる場合、当該第1防止部51は弾性を有するため、鳥類の質量によって撓んで当該鳥類に不安定感を与えることができ、これによって当該鳥類を脅かせて、第1防止部51への係止を阻止することができる。
【0079】
更に、本防止具にあっては、前記撓んだ第1防止部51は当該防止具本体5のいずれかの第1防止部51又は第2防止部52、或は相隣る防止具本体5のいずれかの第1防止部51又は第2防止部52と交差するように構成してあるため、当該第2防止部52が鳥類の足に当接して、当該鳥類に足の軽い痛みを感じさせ、防止具本体5に鳥類が止まることを防止する。
【0080】
また、このようにして防止具本体5に止まることを防止された鳥類が再び飛来すると、防止具による前記防止効果が繰り返し奏されることによって、当該鳥類はそれを学習するため、防止具が固定された電線ELへの飛来を忌避する効果も奏する。
【0081】
なお、
図6に示した防止具にあっては、螺旋状のワイヤを用いてなる支持部材Wを電線ELの外周面に外嵌固定した場合について示したが、本発明はこれに限らず、例えば、直線状のワイヤに複数のリングを適宜の間隔で固定した長尺状の支持部材を用い、電線ELに沿って直線状のワイヤを配置し、各リングを電線ELの外周面に外嵌固定することによって当該支持部材を電線ELに固定するようにしてもよい。
【0082】
一方、
図7に示した防止具にあっては、例えばお墓に供える切花F,F,…を立てる花立てFKを支持部材として利用して、当該花立てFK内に防止具本体5が立ててあり、従って、本防止具本体5にて防止具が構成されている。
【0083】
この花立てFK内には、
図7に示したように、複数の切花F,F,…が立ててある。防止具本体5の脚部50の長さ寸法は、花立てFKの深さ寸法と略同じにしてあり、第2防止部52,52,…の長さ寸法は、花立てFKに立てられる切花F,F,…の長さ寸法以上にしてある。前述したように第1防止部51,51,…の長さ寸法は、第2防止部52,52,…の長さ寸法より長くしてあり、従って第1防止部51,51,…は、
図7に示したように、花立てFKに立てられた切花F,F,…から突出する。
【0084】
このような防止具にあっては、防止具本体5の第1防止部51,51,…及び/又は第2防止部52,52,…、によって、前同様、被防止動物である鳥類の飛来を防止することができ、これによって当該鳥類による切花F,F,…の食害を回避することができる。
【0085】
なお、本形態では支持部材として既存の花立てFKを利用した場合について示したが、本発明はこれに限らず、花器といった既存の器を使用し得ることは言うまでも無い。この場合、口が広い器にあっては、ワイヤ又は針金等の固定具を用いて、当該器に防止具本体5を固定することができる。
【0086】
なお、
図6及び
図7に示した防止具本体5の脚部50にあっては、第1防止部51,51,…及び第2防止部52,52,…の基端部を撚り合わせて構成してもよいし、前同様、第1防止部51,51,…及び第2防止部52,52,…の基端部を前述した筒状部材18に内嵌固定してもよい。
【符号の説明】
【0087】
2 基台(支持部材)
3 固定部
5 防止具本体
5a 防止具本体
21 基台本体
22 開口部
22a 凹部
50 脚部
50a 脚部
51 第1防止部
51a 第1防止部
52 第2防止部
52a 第2防止部
P 鳩(被防止動物)
W 支持部材
F 切花
FK 花立て