IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-放電点灯装置、および光照射装置 図1
  • 特許-放電点灯装置、および光照射装置 図2
  • 特許-放電点灯装置、および光照射装置 図3
  • 特許-放電点灯装置、および光照射装置 図4
  • 特許-放電点灯装置、および光照射装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】放電点灯装置、および光照射装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 41/24 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
H05B41/24
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021034074
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022134724
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】石川 達章
(72)【発明者】
【氏名】長野 信久
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-107489(JP,A)
【文献】特表2011-526414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 41/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧を制御可能な直流電源と;
前記直流電源の出力側に電気的に接続され、放電ランプを出力側に電気的に接続可能なインバータと;
前記放電ランプのランプ電流、およびランプ電圧の少なくともいずれかを検出可能な検出部と;
前記検出部により検出された検出値と、予め定められた閾値と、に基づいて、前記放電ランプの調光制御方式を切り替え可能な制御部と;
を具備し
前記制御部は、
前記検出値が前記閾値未満の場合には、前記インバータに設けられたスイッチング素子のスイッチングにおけるデューティ比を変化させる第1の調光制御を行い、
前記検出値が前記閾値以上の場合には、前記デューティ比を一定とし、前記直流電源の前記出力電圧の波高値を変化させる第2の調光制御を行う放電点灯装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の調光制御において、前記出力電圧の前記波高値を一定とし、前記スイッチングにおける前記デューティ比を変化させる請求項1記載の放電点灯装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の調光制御において、前記スイッチングにおけるON時間を一定とし、OFF時間を変化させる請求項1または記載の放電点灯装置。
【請求項4】
前記閾値は、デューティ比50%である請求項1~3のいずれか1つに記載の放電点灯装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の放電点灯装置を具備した光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放電点灯装置、および光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放電ランプを点灯させる放電点灯装置がある。放電点灯装置は、放電ランプの光出力の調整、すなわち、調光を行うこともできことが求められている。
そのため、出力電圧を制御可能な直流電源と、直流電源の出力側に電気的に接続されたインバータと、を有する放電点灯装置が提案されている。
出力電圧を制御可能な直流電源が設けられていれば、直流電源の出力電圧を変化させることで、放電ランプの光出力の調整を行うことができる。
【0003】
しかしながら、この様な放電点灯装置において、光出力を小さくするために(明るさを暗くするために)、直流電源の出力電圧を小さくすると、直流電源に設けられた整流ダイオードにおける損失が大きくなる。そのため、放電点灯装置の効率が低下するという新たな問題が生じる。また、放電ランプを点灯させるのに必要な電圧の確保も困難となる。
そこで、光出力を小さくした際の放電点灯装置の効率の低下を防ぐことができ、且つ、ランプを点灯させるのに必要な電圧を確保することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-015893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、光出力を小さくした際の放電点灯装置の効率の低下を防ぐことができ、且つ、ランプを点灯させるのに必要な電圧を確保することができる放電点灯装置、および光照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る放電点灯装置は、出力電圧を制御可能な直流電源と;前記直流電源の出力側に電気的に接続され、放電ランプを出力側に電気的に接続可能なインバータと;前記放電ランプのランプ電流、およびランプ電圧の少なくともいずれかを検出可能な検出部と;前記検出部により検出された検出値と、予め定められた閾値と、に基づいて、前記放電ランプの調光制御方式を切り替え可能な制御部と;を具備している。前記制御部は、前記検出値が前記閾値未満の場合には、前記インバータに設けられたスイッチング素子のスイッチングにおけるデューティ比を変化させる第1の調光制御を行い、前記検出値が前記閾値以上の場合には、前記デューティ比を一定とし、前記直流電源の前記出力電圧の波高値を変化させる第2の調光制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、光出力を小さくした際の放電点灯装置の効率の低下を防ぐことができ、且つ、ランプを点灯させるのに必要な電圧を確保することができる放電点灯装置、および光照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る光照射装置を例示するための模式回路図である。
図2】直流電源を例示するための模式回路図である。
図3】インバータを例示するための模式回路図である。
図4】放電ランプの調光制御方式の切り替えを例示するための模式図である。
図5】放電点灯装置(インバータ)から出力される電圧の波形を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施形態に係る光照射装置100を例示するための模式回路図である。
図1に示すように、光照射装置100には、例えば、放電ランプ200、および放電点灯装置1を設けることができる。
【0010】
放電ランプ200は、例えば、筒状の発光管、および、発光管に設けられた一対の電極を有している。放電ランプ200の種類には特に限定がなく、例えば、光照射装置100の用途に応じて適宜変更することができる。例えば、光照射装置100が、紫外線硬化型のインク、塗料、接着剤などの硬化に用いられる場合、光配向法による配向処理に用いられる場合、処理物の表面の改質、浄化、殺菌などに用いられる場合などには、紫外線を含む光を照射する放電ランプ200とすることができる。例えば、光照射装置100が、処理物の乾燥、加熱などに用いられる場合には、可視光を含む光を照射する放電ランプや、赤外線を含む光を照射する放電ランプとすることができる。
なお、放電ランプ200の種類や用途は、例示をしたものに限定されるわけではない。また、放電ランプ200の構成には、既知の技術を適用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0011】
図1に示すように、放電点灯装置1には、例えば、直流電源10、インバータ20、検出部30、および制御部40を設けることができる。
【0012】
直流電源10は、出力電圧を制御することができる。直流電源10は、いわゆる出力可変の直流電源とすることができる。直流電源10の出力電圧を制御することで、光出力の調整、すなわち、調光を行うことができる。
【0013】
図2は、直流電源10を例示するための模式回路図である。
図2に示すように、直流電源10には、例えば、交流電源11、整流回路12、およびコンバータ13を設けることができる。
交流電源11は、例えば、商用電源とすることができる。交流電源11は、直流電源10の外部に設けることもできる。例えば、放電点灯装置1に設けられる直流電源には、整流回路12およびコンバータ13が設けられ、商用電源などの交流電源11が整流回路12に電気的に接続されるようにしてもよい。
【0014】
整流回路12の入力側は、例えば、交流電源11と電気的に接続される。整流回路12は、例えば、交流電源11により印加された交流電圧を全波整流する。整流回路12は、例えば、ダイオードブリッジなどを有する。
【0015】
コンバータ13の入力側は、例えば、整流回路12の出力側と電気的に接続される。コンバータ13の出力側は、例えば、インバータ20と電気的に接続される。コンバータ13は、整流回路12により全波整流された電圧を、所定の直流電圧に変換する。そのため、コンバータ13により、直流電源10の出力電圧を制御することができる。コンバータ13は、例えば、スイッチング回路を有する。コンバータ13は、例えば、フライバックコンバータを有するものであってもよい。コンバータ13は、例えば、昇圧チョッパ回路、降圧チョッパ回路、昇降圧チョッパ回路、昇圧チョッパと降圧チョッパとを組み合わせた回路のいずれかを有するものであってもよい。
【0016】
インバータ20は、直流電源10の出力側に電気的に接続され、放電ランプ200を出力側に電気的に接続可能である。
【0017】
図3は、インバータ20を例示するための模式回路図である。
図3に示すように、インバータ20には、例えば、スイッチング素子21、スイッチング素子22、およびトランス23が設けられている。
【0018】
スイッチング素子21とスイッチング素子22は、例えば、MOSFETやバイポーラトランジスタなどのトランジスタとすることができる。スイッチング素子21とスイッチング素子22は、直列接続されている。
【0019】
トランス23は、例えば、絶縁型のトランスであり、1次コイルL1、L2および2次コイルL3によって構成される。
1次コイルL1の一端には、スイッチング素子21のドレインが接続され、また、1次コイルL2の一端には、スイッチング素子22のドレインが接続される。
1次コイルL1、L2の中点には、直流電源10の正極側が接続される。直流電源10の負極側は、スイッチング素子21のソースおよびスイッチング素子22のソースに接続される。
2次コイルL3は、放電ランプ200に接続される。
【0020】
スイッチング素子21のゲートA、および、スイッチング素子22のゲートBは、制御部40に接続される。
スイッチング素子21のゲートA、および、スイッチング素子22のゲートBに、制御部40からそれぞれ制御信号を入力することで、トランス23を介して、放電ランプ20へ交流の出力電圧を供給できる。
【0021】
制御部40は、例えば、操作者や他の機器などから入力された情報に基づいて、直流電源10の出力電圧、およびインバータ20(スイッチング素子21、22)のスイッチングの少なくともいずれかを制御することで、装着された放電ランプ200を調光する。
【0022】
制御部40は、例えば、直流電源10の出力電圧、およびインバータ20のスイッチングにおけるデューティ比の少なくともいずれかを制御することで、調光制御を行う。
【0023】
例えば、制御部40は、スイッチング素子21、22のスイッチングを制御する。例えば、制御部40は、スイッチング素子21、22を高周波で交互にオン・オフする。スイッチング素子21、22を高周波で交互にオン・オフすることで発生した高周波電圧は、トランス23を介して、放電ランプ200の一対の電極に、点灯を維持するのに十分な電圧を印加することができる。
【0024】
また、制御部40は、スイッチング素子21、22のスイッチングにおけるデューティ比(スイッチングにおけるON時間/スイッチングの周期)を制御することで、光出力の調整、すなわち、調光を行うこともできる。例えば、スイッチング素子21、22のスイッチングにおけるON時間を一定とし、OFF時間を変化させることで調光制御を行うことができる。この場合、OFF時間を長くすれば光出力を小さく(明るさを暗く)することができ、OFF時間を短くすれば光出力を大きく(明るさを明るく)することができる。
【0025】
また、スイッチング素子21、22のスイッチングにおけるデューティ比を制御したり、直流電源10の出力電圧を制御したりすることで、放電ランプ200の調光制御を行うことができる。
【0026】
直流電源10の出力電圧を制御することで調光制御を行うと、光出力を小さくした際に、整流回路12に設けられた整流ダイオードにおける損失が大きくなる。そのため、光出力を小さくすると(例えば、放電点灯装置1から出力されるランプ電流を小さくすると)、放電点灯装置1の効率が低下するという新たな問題が生じる。また、放電ランプ200を点灯させるのに必要な電圧の確保も困難となる。
【0027】
そのため、放電点灯装置1には、検出部30が設けられている。そして、制御部40は、検出部30により検出された検出値と、予め定められた閾値と、に基づいて、放電ランプ200の調光制御方式を切り替える。
例えば、制御部40は、直流電源10の出力電圧を変化させる調光制御(第2の調光制御の一例に相当する)と、スイッチング素子21、22のスイッチングにおけるデューティ比を変化させる調光制御(第1の調光制御の一例に相当する)とを切り替える。
【0028】
次に、放電ランプ200の調光制御方式の切り替えについてさらに説明する。
図1に示すように、検出部30は、例えば、放電ランプ200を装着するための一方の端子と、インバータ20の一方の出力端子との間に電気的に接続されている。検出部30は、放電ランプ200のランプ電流、およびランプ電圧の少なくともいずれかを検出する。検出部30は、例えば、電流計、電圧計、電力計などとすることができる。検出部30により検出された検出値は、制御部40に入力される。
なお、以下においては、一例として、検出部30が放電ランプ200のランプ電流を検出する場合を説明する。
【0029】
図4は、放電ランプ200の調光制御方式の切り替えを例示するための模式図である。 図5は、放電点灯装置1(インバータ20)から出力される電圧の波形を例示するための模式図である。
なお、図4において数字を付した部分の電圧の波形は、図5中の対応する数字における電圧の波形である。
また、図4および図5においては、スイッチング素子21、22のスイッチングにおけるデューティ比50%を閾値としている。なお、図4および図5において、デューティ比50%は、各図中における(3)の部分である。
【0030】
図4および図5に示すように、例えば、デューティ比が50%未満の場合には、直流電源10の出力電圧を一定にし、インバータ20による調光制御を行うことができる。前述したように、インバータ20による調光制御は、例えば、スイッチング素子21、22のスイッチングにおけるデューティ比を変化させることで行うことができる。
【0031】
例えば、図5の(1)、(2)に示すように、スイッチング素子21、22のスイッチングにおけるON時間を一定とし、OFF時間を変化させることで調光制御を行うことができる。例えば、図5の(1)に示すように、OFF時間を長くすれば光出力を小さく(明るさを暗く)することができる。例えば、図5の(2)に示すように、OFF時間を短くすれば光出力を大きく(明るさを明るく)することができる。
【0032】
図4および図5に示すように、例えば、デューティ比が50%となった場合には、デューティ比を一定(50%)にし、直流電源10による調光制御を行うことができる。前述したように、直流電源10による調光制御は、例えば、直流電源10の出力電圧を変化させることで行うことができる。
【0033】
例えば、図4および図5の(3)に示すように、直流電源10の出力電圧を小さくすれば、波高値が低くなり、光出力を小さく(明るさを暗く)することができる。例えば、図4および図5の(4)に示すように、直流電源10の出力電圧を(3)よりも大きくすれば、波高値が(3)よりも高くなり、光出力を(3)よりも大きく(明るさを明るく)することができる。例えば、図4および図5の(5)に示すように、直流電源10の出力電圧を(4)よりも大きくすれば、波高値が(4)よりも高くなり、光出力を(4)よりも大きく(明るさを明るく)することができる。
【0034】
本実施の形態に係る放電点灯装置1とすれば、調光範囲の下限側の領域において光出力を小さくする場合には、インバータ20による調光制御を行うことができる。そのため、直流電源10(整流回路12)に設けられた整流ダイオードにおける損失が大きくなるのを抑制することができ、ひいては、調光制御における効率を向上させることができる。
以上に説明した様に、本実施の形態に係る放電点灯装置1とすれば、光出力を小さくした際の放電点灯装置の効率の低下を防ぐことができ、且つ、ランプを点灯させるのに必要な電圧を確保することができる。
【0035】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 放電点灯装置、10 直流電源、11 交流電源、12 整流回路、13 コンバータ、20 インバータ、21 スイッチング素子、22 スイッチング素子、23 トランス、30 検出部、40 制御部、100 光照射装置、200 放電ランプ
図1
図2
図3
図4
図5