(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】練状歯磨剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20241125BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20241125BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20241125BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/19
A61K8/365
A61Q11/00
(21)【出願番号】P 2020193137
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】391066490
【氏名又は名称】日本ゼトック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】田邉 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】志賀 一貴
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-238008(JP,A)
【文献】特開平02-157215(JP,A)
【文献】特開2016-193890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/81
A61K 8/19
A61K 8/365
A61Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤としての水を含まない非水系の練状歯磨剤であって、
有機酸を含む第一成分と、
炭酸水素ナトリウムを含む第二成分と、
ポリアクリル酸塩と、を含み、
前記有機酸及び/又は前記炭酸水素ナトリウムは、被覆剤で被覆されて
おり、
前記有機酸は、クエン酸であり、
前記クエン酸を被覆する被覆剤は、クエン酸カルシウムである
練状歯磨剤。
【請求項2】
前記炭酸水素ナトリウムを被覆する被覆剤は、β-シクロデキストリンである請求項
1に記載の練状歯磨き。
【請求項3】
溶剤としての水を含まない非水系の練状歯磨剤であって、
有機酸を含む第一成分と、
炭酸水素ナトリウムを含む第二成分と、
ポリアクリル酸塩と、を含み、
前記有機酸及び/又は前記炭酸水素ナトリウムは、被覆剤で被覆されており、
前記炭酸水素ナトリウムを被覆する被覆剤は、β-シクロデキストリンである
練状歯磨剤。
【請求項4】
前記有機酸は、クエン酸である請求項
3に記載の練状歯磨剤。
【請求項5】
前記クエン酸を被覆する被覆剤は、クエン酸カルシウムである請求項
4に記載の練状歯磨剤。
【請求項6】
前記第一成分の含有量は、0.5~20質量%である請求項1ないし
5のいずれか1項に記載の練状歯磨剤。
【請求項7】
前記第二成分の含有量は、1~30質量%である請求項1ないし
6のいずれか1項に記載の練状歯磨剤。
【請求項8】
前記ポリアクリル酸塩の含有量は、0.1~15質量%である請求項1ないし
7のいずれか1項に記載の練状歯磨剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、練状歯磨剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯磨剤には、一般に、洗浄効果を向上させるために界面活性剤などの発泡剤が添加されている。また、発泡剤には、歯磨剤に含まれる薬効成分を口腔内に分散させる機能も備えている。このような機能により、歯磨剤には口臭予防や虫歯や歯周病の予防の効果が期待されている
【0003】
近年、口腔内において、炭酸塩と酸性化合物とを反応させて、炭酸ガスを発生させ、その発泡作用により、歯の表面に付着した沈着物や歯垢を除去する機能を備えた歯磨剤が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
特許文献1には、非水系製剤中に、炭酸塩と酸性化合物を存在させ、口腔内において炭酸ガスを発生させる練状歯磨剤(口腔用組成物)が記載されている。
また、特許文献2には、炭酸塩の含む製剤(第1組成物)と酸性化合物を含む製剤(第2組成物)とで構成された2剤タイプの歯磨剤で、隔壁の有る特殊なチューブに充填して、保管時は接触せず、使用時に接触させる練状歯磨剤(自己発泡性歯磨剤)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-302429号公報
【文献】特開2016-113428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の歯磨剤では、非水系製剤とはいえ、歯磨剤の原材料には微量に水分が存在しており、製造直後においては特に問題はないが、長期保存時においてその水分に炭酸塩と酸性化合物とが溶け、反応し、炭酸ガスを発生させるといった問題がある。したがって、チューブに充填して長期保存をした場合、チューブが炭酸ガスによって膨らみ、場合によっては破裂するといった問題がある。
【0007】
また、特許文献2の歯磨剤では、特殊なチューブが必要となり、さらには、その特殊なチューブに歯磨剤を充填するための特殊な装置が必要となり、コストがかかるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明では、特殊なチューブや特殊な充填装置を必要とせず、長期保存した場合でも炭酸ガスが発生するのを抑制することができる練状歯磨剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る練状歯磨剤は、溶剤としての水を含まない非水系の練状歯磨剤であって、
有機酸を含む第一成分と、
炭酸水素ナトリウムを含む第二成分と、
ポリアクリル酸塩と、を含み、
前記有機酸及び/又は前記炭酸水素ナトリウムは、被覆剤で被覆されており、
前記有機酸は、クエン酸であり、
前記クエン酸を被覆する被覆剤は、クエン酸カルシウムである。
また、本発明に係る練状歯磨剤では、前記炭酸水素ナトリウムを被覆する被覆剤は、β-シクロデキストリンであることが好ましい。
【0010】
本発明に係る練状歯磨剤は、溶剤としての水を含まない非水系の練状歯磨剤であって、
有機酸を含む第一成分と、
炭酸水素ナトリウムを含む第二成分と、
ポリアクリル酸塩と、を含み、
前記有機酸及び/又は前記炭酸水素ナトリウムは、被覆剤で被覆されており、
前記炭酸水素ナトリウムを被覆する被覆剤は、β-シクロデキストリンである。
また、本発明に係る練状歯磨剤では、前記有機酸は、クエン酸であることが好ましい。
また、本発明に係る練状歯磨剤では、前記クエン酸を被覆する被覆剤は、クエン酸カルシウムであることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る練状歯磨剤では、前記第一成分の含有量は、0.5~20質量%であることが好ましい。
また、本発明に係る練状歯磨剤では、前記第二成分の含有量は、1~30質量%であることが好ましい。
また、本発明に係る練状歯磨剤では、前記ポリアクリル酸塩の含有量は、0.1~15質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、特殊なチューブや特殊な充填装置を必要とせず、長期保存した場合でも炭酸ガスが発生するのを抑制することができる練状歯磨剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の練状歯磨剤の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
本発明の練状歯磨剤は、溶剤としての水を含まない非水系の練状歯磨剤であり、有機酸を含む第一成分と、炭酸水素ナトリウムを含む第二成分と、ポリアクリル酸塩と、を含んでいる。また、有機酸及び炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方は、被覆剤で被覆されている。
【0015】
なお、本発明において、溶剤としての水を含まない非水系の練状歯磨剤とは、水の含有量が3質量%以下、好ましくは1質量%以下の練状歯磨剤を意味する。
【0016】
以下、各成分について説明する。
<第一成分>
本発明の練状歯磨剤は、有機酸を含む第一成分で構成されている。
有機酸は、口腔内において、後述する炭酸水素ナトリウムと反応し、炭酸ガスを発生する成分である。
【0017】
有機酸としては、例えば、クエン酸、コハク酸、乳酸アルミニウム、乳酸カルシウム、アジピン酸、リンゴ酸等の常温で固体の有機酸を挙げることができ、これらの内、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさの観点から、クエン酸を用いることが好ましい。
【0018】
有機酸と後述する炭酸水素ナトリウムは、少なくともいずれか一方が、被覆剤で被覆されている。これにより、製剤中に微量に水分が含まれている場合であっても、当該水分中に有機酸や炭酸水素ナトリウムが溶けだして、反応してしまうのを抑制することができる。
【0019】
有機酸としてクエン酸を用いた場合、クエン酸を被覆する被覆剤としては、特に限定されないが、クエン酸カルシウムを用いることが好ましい。これにより、製剤中に微量に水分が含まれている場合であっても、当該水分中にクエン酸が容易に溶けだしてしまうのをより効果的に抑制することができる。
被覆剤で被覆されたクエン酸としては、例えば、クエン酸CI(磐田化学工業株式会社製)等を用いることができる。
【0020】
第一成分の含有量は、0.5~20質量%であることが好ましく、1~15質量%であることがより好ましく、5~10質量%であることがさらに好ましい。これにより、練状歯磨剤の味に影響を与えることなく、口腔内における発泡感を適度なものとすることができる。
【0021】
なお、第一成分中における有機酸の含有量は、75質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましい。
また、第一成分中において、有機酸と被覆された有機酸(被覆有機酸)とが混在していてもよい。
【0022】
<第二成分>
本発明の練状歯磨剤は、炭酸水素ナトリウムを含む第二成分で構成されている。
炭酸水素ナトリウムは、口腔内において、前述した有機酸と反応し、炭酸ガスを発生する成分である。また、炭酸水素ナトリウムは、歯垢除去や口臭予防にも効果がある成分である。
【0023】
上述したように、炭酸水素ナトリウムとクエン酸は、少なくとも一方が被覆剤で被覆されている。
炭酸水素ナトリウムを被覆する被覆剤としては、例えば、ひまわり油、大豆油、綿実油、サラダ油、コーン油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、菜種油、米ぬか油、紅花油、ゴマ油、カポック油、ヤシ油、アマニ油、荏胡麻油、ぶどう油等の植物性油脂;牛脂、ラード、魚油、鯨油、バター等の乳脂肪等の動物性油脂、β-シクロデキストリン等を挙げることができ、これらの中でも、練状歯磨剤の保存安定性の観点からβ-シクロデキストリンを用いることが好ましい。これにより、製剤中に微量に水分が含まれている場合であっても、当該水分中に炭酸水素ナトリウムが容易に溶けだしてしまうのをより効果的に抑制することができる。
【0024】
第二成分の含有量は、1~30質量%であることが好ましく、5~25質量%であることがより好ましく、10~20質量%であることがさらに好ましい。これにより、練状歯磨剤の味に影響を与えることなく、口腔内における発泡性を適度なものとすることができる。
【0025】
また、第一成分の含有量をA[質量%]、第二成分の含有量をB[質量%]としたとき、0.016≦A/B≦20であることが好ましく、0.04≦A/B≦3であることがより好ましく、0.25≦A/B≦1であることがさらに好ましく、0.2≦A/B≦0.5であることが特に好ましい。これにより、練状歯磨剤の使用感(発泡感)をより高いものとすることができる。
【0026】
なお、第二成分中における炭酸水素ナトリウムの含有量は、75質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましい。
また、第二成分中において、炭酸水素ナトリウムと被覆された炭酸水素ナトリウム(被覆炭酸水素ナトリウム)とが混在していてもよい。
【0027】
なお、第一成分に含まれるクエン酸及び第二成分に含まれる炭酸水素ナトリウムは、少なくとも一方が被覆剤で被覆されているが、クエン酸及び炭酸水素ナトリウムの双方が被覆剤で被覆されていることが好ましい。これにより、練状歯磨剤の保存安定性をさらに向上させることができる。
【0028】
<ポリアクリル酸塩>
本発明の練状歯磨剤は、ポリアクリル酸塩を含んでいる。
ポリアクリル酸塩を含むことにより、練状歯磨剤を構成する材料に含まれる微量の水分を吸収しその内部に取り込むことで、当該水分とクエン酸及び炭酸水素ナトリウムとが接触し、炭酸ガスが発生するのを効果的に防止することができる。
【0029】
塩としては、一価塩であることが好ましく、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩であることがより好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩であることがさらに好ましく、ナトリウム塩であることが特に好ましい。
【0030】
ポリアクリル酸塩の含有量は、0.1~15質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましく、2~5質量%であることがさらに好ましい。ポリアクリル酸塩の含有量が前記下限値未満であると、有機酸や炭酸水素ナトリウムの添加量によっては、練状歯磨剤中の水分を十分に吸収できず、練状歯磨剤の保存安定性が十分に得られない場合がある。これに対して、ポリアクリル酸塩の含有量が前記上限値を超えると、練状歯磨剤を使用した際に、ざらつきが感じられるようになり、良好な使用感が損なわれる場合がある。
【0031】
<その他の成分>
本発明の練状歯磨剤は、その形態に応じて、上記の成分に加えて、必要により以下の成分を適宜な使用量で配合することができる。
研磨剤としてシリカゲル、沈降性シリカ、火成性シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ゼオライト、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、結晶セルロース、第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、合成樹脂研磨剤などが挙げられる。これらのうち1種又は2種以上を併用して用いることができる。これらの研磨剤の配合量は、練状歯磨剤全量に対して0~60質量%が一般的であり、好ましくは10~45質量%の範囲である。
【0032】
湿潤剤として、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ソルビット、マルチトール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコールが挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0033】
粘結剤として、カラギーナン(ι、λ、κ)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウムなどアルギン酸及びその誘導体、キサンタンガム、グァーガム、ゼラチン、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を併用して用いることができる。
【0034】
発泡剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、N-アシルグルタメートなどのN-アシルアミノ酸塩、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用することができる。
【0035】
甘味剤として、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、トレハロース、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチンなどがある。
防腐剤として、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンなどがある。
香料成分としてl-メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、チモール、シンナミックアルデヒド、トランス-2-ヘキセナールなどの中から1種又は2種以上を併用することができる。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油などを用いてもよい。
また、上記香料成分に加えて、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトンなどの香料成分、精油を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。上記香料の配合量は、練状歯磨剤全量に対して0.02~2質量%の範囲が一般的である。
【0036】
また、本発明の練状歯磨剤には、上記のほか、更なる有効成分を配合してもよい。そのような有効成分として塩化リゾチーム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒノキチオール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩類、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ビサボロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、酢酸トコフェロール、ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アルミニウムヒドロキシルアラントイン、乳酸アルミニウム、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩類、銅クロロフィリン塩、塩化ナトリウム、グァイアズレンスルホン酸塩、デキストラナーゼ、塩酸ピリドキシンなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合することができる。
【0037】
また、本発明の練状歯磨剤には、上記のほか、生薬抽出物を配合してもよい。
生薬抽出物としては、例えば、生薬エキスの例として、カミツレエキス、カノコソウエキス、ナツメエキス、ホップエキス、ラメンダーエキス、リンデンエキス、カリンエキス、キンギンカエキス、クマザサエキス、グミエキス、チョウジエキス、デンシチニンジンエキス、サルビアエキス、ムクロジエキス、キキョウエキス、ジオウエキス、シャクヤクエキス、サンザシエキス、トウキエキス、チャエキス、ウラジロガシエキス、オオバクエキス、シラカバエキス、ニンジンエキス、アセンヤクエキス、ウコンエキス、ローズマリーエキス等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上述した成分の他にも、例えば、青色1号等の色素、酸化チタン等の顔料、チャ乾留液、グルタミン酸ナトリウム等の矯味剤等を含んでいてもよい。
【0038】
本発明の練状歯磨剤は、常法に準じて製造することができ、その製法は特に限定されるものではない。
本発明の練状歯磨剤は、アルミニウムチューブ、ラミネートチューブ、ガラス蒸着チューブ、プラスチックチューブなどに充填することができる。
【0039】
以上、本発明の練状歯磨剤について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明の練状歯磨剤には、前述した成分の他に、任意の機能を有する成分を配合することができる。
【実施例】
【0040】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.練状歯磨剤の製造
(実施例1~10、比較例1~3)
表1に示す成分を表1に示す配合量となるように調製し、練状歯磨剤を常法に準じて製造した。
【0041】
各実施例及び各比較例の配合成分、配合量等を表1に示す。
なお、被覆クエン酸は、クエン酸カルシウムで被覆されたクエン酸を示し、被覆炭酸水素ナトリウムは、β-シクロデキストリンで被覆された炭酸水素ナトリウムを示す。
【0042】
【0043】
2.練状歯磨剤の評価
(練状歯磨剤の使用感(発泡感))
10人の被験者に、各実施例及び各比較例の練状歯磨剤を使用してもらい、以下の基準で評価してもらい、その平均点を用いて、以下の基準に従って評価した。
【0044】
・発泡感(評価基準)
5点:泡が十分多いと感じる
4点:泡がやや多いと感じる
3点:どちらでもない
2点:泡がやや少ないと感じる
1点:泡が少ないと感じる
【0045】
・平均点の評価
A:平均点が4.0点以上
B:平均点が3.0点以上4.0点未満
C:平均点が2.0点以上3.0点未満
D:平均点が2.0点未満
【0046】
(練状歯磨剤の保存安定性)
各実施例及び各比較例の練状歯磨剤を、ラミネートチューブに100g充填し、60℃で1週間保存し、チューブの状態を視認した。保存安定性の評価は、以下の評価基準で行った。
【0047】
A:まったく膨張しない
B:ほぼ膨張しない
C:少し膨張する
D:膨張する
E:パンクする
【0048】
(練状歯磨剤の使用感(ざらつき))
10人の被験者に、各実施例及び各比較例の練状歯磨剤を使用してもらい、以下の基準で評価してもらい、その平均値を用いて以下の基準に従って評価した。
【0049】
・発泡感(評価基準)
5点:製剤のざらつきを感じない
4点:製剤のざらつきをほとんど感じない
3点:製剤のざらつきをやや感じる
2点:製剤のざらつきを感じる
1点:製剤のざらつきを非常に感じる
【0050】
・平均点の評価
A:平均点が4.0点以上
B:平均点が3.0点以上4.0点未満
C:平均点が2.0点以上3.0点未満
D:平均点が2.0点未満
【0051】
これら評価結果を表1に合わせて示した。
表1からも解るように、本発明の練状歯磨剤では、特殊なチューブや特殊な充填装置を使用する必要もなく、長期保存した場合でも炭酸ガスが発生するのを抑制することができ、保存安定性に優れていた。これに対して比較例では、十分な結果が得られなかった。