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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】ポップアップカード
(51)【国際特許分類】
   G09F 1/08 20060101AFI20241125BHJP
   B42D 15/02 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
G09F1/08 Z
B42D15/02 511A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021060312
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156559
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597044759
【氏名又は名称】株式会社つくる
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】藏野 捺子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 裕子
(72)【発明者】
【氏名】小泉 勇也
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3070073(JP,U)
【文献】特開2016-27383(JP,A)
【文献】実開平1-161067(JP,U)
【文献】米国特許第8595962(US,B2)
【文献】特表2020-528572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00- 5/04
B42D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向にそれぞれが移動可能な左右1対の左側扉部分及び右側扉部分と、
カード形状の状態から前記左側扉部分及び前記右側扉部分が互いに開く方向に移動すると、後方に移動しながら形成される底面部を有する箱型部分とを備えていることを特徴とするポップアップカード。
【請求項2】
前記箱型部分は、前記左側扉部分及び前記右側扉部分が互いに開く方向に移動した際に、正面が開口するとともに、前記底面部に加え、背面部及び左右1対の左側面部及び右側面部を形成し、天面が開口している直方体形状であることを特徴とする請求項1に記載のポップアップカード。
【請求項3】
前記箱型部分の前記底面部は、前記背面部の下端部から前方に折り曲げられる背面側三角形面部と、前記左側面部の下端部から右方に折り曲げられる左側面側三角形面部と、前記右側面部の下端部から左方に折り曲げられる右側面側三角形面部とを備え、前記背面側三角形面部、前記左側面側三角形面部、及び前記右側面側三角形面部のそれぞれの角部が係合してなることを特徴とする請求項2に記載のポップアップカード。
【請求項4】
前記箱型部分の前記左側面部は前記左側扉部分から後方に折り曲げられて形成されるとともに、前記右側面部は前記右側扉部分から後方に折り曲げられて形成され、前記背面部は前記左側面部の後端部と前記右側面部の後端部との双方に係合してなることを特徴とする請求項2又は3に記載のポップアップカード。
【請求項5】
前記左側扉部分及び前記右側扉部分のそれぞれの移動動作を案内するフレームを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載のポップアップカード。
【請求項6】
前記フレームは、左右方向に所定間隔を置いて配置され、前記左側扉部分及び前記右側扉部分のそれぞれの移動を案内する左右1対の左側フレーム部及び右側フレーム部を有することを特徴とする請求項5に記載のポップアップカード。
【請求項7】
前記フレームは、前記左側フレーム部及び前記右側フレーム部の下端部同士を連結し、前記箱型部分が形成された時に前記箱型部分の前記底面部に係合する下側フレーム部を備えることを特徴とする請求項6に記載のポップアップカード。
【請求項8】
前記フレームは、前記左側フレーム部及び前記右側フレーム部の上端部同士を連結する上側フレーム部を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載のポップアップカード。
【請求項9】
前記左側扉部分及び前記右側扉部分のそれぞれの上縁又は下縁に、前記左側フレーム部及び前記右側フレーム部のそれぞれからの抜け止めを行う爪部を設けたことを特徴とする請求項6乃至8のうちいずれか一項に記載のポップアップカード。
【請求項10】
前記左側扉部分及び前記右側扉部分のそれぞれの上縁及び下縁に、前記左側フレーム部及び前記右側フレーム部のそれぞれからの抜け止めを行う1対の爪部を設けたことを特徴とする請求項6乃至8のうちいずれか一項に記載のポップアップカード。
【請求項11】
少なくとも前記箱型部分に、背景図柄の加飾部を施して、少なくとも前記箱型部分を舞台を模した構造として用いることを特徴とする請求項1乃至10のうちいずれか一項に記載のポップアップカード。
【請求項12】
前記箱型部分の前記底面部に、舞台形成部材を設けたことを特徴とする請求項11に記載のポップアップカード。
【請求項13】
専用アプリを有するスマートフォンで前記背景図柄の加飾部を読み込み、前記スマートフォンの画面上に前記舞台に重ねてAR映像を表示することを特徴とする請求項11又は12に記載のポップアップカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳まれたカード形状の状態から簡単な操作により箱型部分を形成するポップアップカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のポップアップカードとして、例えば、特許文献1に示すものが知られている。
特許文献1に示すスライド開き型ポップアップカードは、正面領域に開口を有し上方には折り線を介して角度可変な覆い部を有し背方には覆い部に連接した背面部を有するカード基片の背面部幅方向両側に、中間折込み線によって拡開可能な左右1組のスライド用片部を設け、これら左右1組のスライド用片部をカード基片の開口背後にスライド可能に装着した観音開き式に使用されるカードである。そして、覆い部には所望の輪郭形状を有する単数または複数の半透明部を設け、背面部にはスライド用片部のスライドによる立体化時に半透明部の象を映し出す透明シートを取り付けている。
【0003】
この特許文献1に示すスライド開き型ポップアップカードでは、スライド用片部のスライドによる立体化時に、長方形の正面部、正面部から頂側に突出する形で延びる天面部(覆い部)、天面部から下側に延びる長方形状の背面部、及び1対の側面部(スライド用片部の構成部分)を有する箱型部分が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3070073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来の特許文献1に示すスライド開き型ポップアップカードにあっては、以下の課題があった。
即ち、特許文献1に示すスライド開き型ポップアップカードの場合、スライド用片部のスライドによる立体化時に形成された箱型部分には、底面が存在しない。このため、立体化時に形成された箱型部分を例えば舞台に模した構造として使用する場合に、箱型部分の底面に例えばひな段などの舞台形成部材を取り付けることができない。
【0006】
一方、特許文献1に示すスライド開き型ポップアップカードにおいて、立体化時の箱型部分に底面を設ける構造とすると、その構造が複雑となり、カード形状に折り畳んだときにその厚さが厚くなってしまうという課題がある。また、当該構造が複雑となる関係で、折り畳まれたカード形状の状態からスライド用片部のスライド操作により箱型部分を形成する際に、箱型部分を構成する部材が円滑に動作しないおそれがあり、箱型部分をスムーズに形成することが難しい。
【0007】
従って、本発明は、この従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、折り畳まれたカード形状の状態を薄く構成できるとともに、カード形状の状態から簡単な操作により底面部を有する箱型部分をスムーズに形成することができる、ポップアップカードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係るポップアップカードは、左右方向にそれぞれが移動可能な左右1対の左側扉部分及び右側扉部分と、カード形状の状態から前記左側扉部分及び前記右側扉部分が互いに開く方向に移動すると、後方に移動しながら形成される底面部を有する箱型部分とを備えていることを要旨とする。
これにより、折り畳まれたカード形状の状態を薄く構成できるとともに、カード形状の状態から簡単な操作により底面部を有する箱型部分をスムーズに形成することができる。
【0009】
また、前述のポップアップカードにおいて、前記箱型部分は、前記左側扉部分及び前記右側扉部分が互いに開く方向に移動した際に、正面が開口するとともに、前記底面部に加え、背面部及び左右1対の左側面部及び右側面部を形成し、天面が開口している直方体形状であることが好ましい。
箱型部分は、左側扉部分及び右側扉部分が互いに開く方向に移動した際に、正面が開口するので、箱型部分の内部を開口した正面側から見ることができる。また、箱型部分は天面が開口しているので、天面を形成する部材が不要となり、カード形状の状態から箱型部分をよりスムーズに形成することができる。また、箱型部分が天面を有しないことで、折り畳まれたカード形状の状態をより薄く構成することができる。
【0010】
また、前述のポップアップカードにおいて、前記箱型部分の前記底面部は、前記背面部の下端部から前方に折り曲げられる背面側三角形面部と、前記左側面部の下端部から右方に折り曲げられる左側面側三角形面部と、前記右側面部の下端部から左方に折り曲げられる右側面側三角形面部とを備え、前記背面側三角形面部、前記左側面側三角形面部、及び前記右側面側三角形面部のそれぞれの角部が係合してなることが好ましい。
これにより、カード形状の状態から底面部を有する箱型部分を形成するに際し、左側扉部分及び右側扉部分の移動動作で底面部をスムーズに形成できて、箱型部分全体をよりスムーズに形成することができる。
【0011】
また、前述のポップアップカードにおいて、前記箱型部分の前記左側面部は前記左側扉部分から後方に折り曲げられて形成されるとともに、前記右側面部は前記右側扉部分から後方に折り曲げられて形成され、前記背面部は前記左側面部の後端部と前記右側面部の後端部との双方に係合してなることが好ましい。
これにより、カード形状の状態から左側扉部分及び右側扉部分の移動動作で箱型部分の左側面部、右側面部、及び背面部をスムーズに形成することができる。
【0012】
また、前述のポップアップカードにおいて、前記左側扉部分及び前記右側扉部分のそれぞれの移動動作を案内するフレームを備えていることが好ましい。
これにより、左側扉部分及び右側扉部分のそれぞれが左右方向に移動する際にフレームにそれらの移動動作が案内されるため、カード形状の状態から箱型部分を形成する際の左側扉部分及び右側扉部分の移動動作をよりスムーズかつ安定して行うことができ、箱型部分をよりスムーズに形成することができる。
【0013】
また、前述のポップアップカードにおいて、前記フレームは、左右方向に所定間隔を置いて配置され、前記左側扉部分及び前記右側扉部分のそれぞれの移動を案内する左右1対の左側フレーム部及び右側フレーム部を有することが好ましい。
これにより、左側扉部分及び右側扉部分のそれぞれが左右方向に移動する際に、フレームの左側フレーム部によって左側扉部分の移動動作が案内され、右側フレーム部によって右側扉部分の移動動作が案内されるため、カード形状の状態から箱型部分を形成する際の左側扉部分及び右側扉部分の移動動作をよりスムーズかつ安定して行うことができ、箱型部分をよりスムーズに形成することができる。そして、左右1対の左側フレーム部及び右側フレーム部は、左右方向に所定間隔を置いて配置されるため、左側扉部分及び右側扉部分のそれぞれが左右方向に移動した後に、左側フレーム部と右側フレーム部との間から箱型部分の内部を正面側から見ることができる。
【0014】
また、前述のポップアップカードにおいて、前記フレームは、前記左側フレーム部及び前記右側フレーム部の下端部同士を連結し、前記箱型部分が形成された時に前記箱型部分の前記底面部に係合する下側フレーム部を備えることが好ましい。
これにより、箱型部分を形成した状態のポップアップカードを机上などの置いた場合に下側フレーム部が箱型部分の底面部に係合して底面部の起立を防止することができ、机上においた箱型部分の内部を正面側から見るときにその底面部が起立して視界の邪魔になるのを阻止することができる。また、下側フレーム部によって底面部の起立を阻止できるから、立体化したポップアップカードを机上などに置いた場合にポップアップカードが底面部の起立によって倒れるのを阻止することができる。また、下側フレーム部で左右方向に所定間隔を置いた左側フレーム部及び右側フレーム部の下端部同士を連結しているので、左側フレーム部及び右側フレーム部が倒れるのを阻止することができる。また、机上においた箱型部分の内部を正面側から見るときに、下側フレーム部で箱型部分の底面部が隠れるため、底面部が多少起立したとしても、箱型部分の内部の見栄えを損なうことがない。
【0015】
また、前述のポップアップカードにおいて、前記フレームは、前記左側フレーム部及び前記右側フレーム部の上端部同士を連結する上側フレーム部を備えることが好ましい。
これにより、フレームの機械的強度を向上させることができ、左側フレーム部及び右側フレーム部が変形して左側扉部分及び右側扉部分のそれぞれの移動動作の案内機能に支障をきたすことを防止することができる。
【0016】
また、前述のポップアップカードにおいて、前記左側扉部分及び前記右側扉部分のそれぞれの上縁又は下縁に、前記左側フレーム部及び前記右側フレーム部のそれぞれからの抜け止めを行う爪部を設けることが好ましい。
これにより、左側扉部分及び右側扉部分のそれぞれを、爪によってフレームの左側フレーム部及び右側フレーム部のそれぞれから抜け止めすることができる。
【0017】
また、前述のポップアップカードにおいて、前記左側扉部分及び前記右側扉部分のそれぞれの上縁及び下縁に、前記左側フレーム部及び前記右側フレーム部のそれぞれからの抜け止めを行う1対の爪部を設けることが好ましい。
これにより、左側扉部分及び右側扉部分のそれぞれを、1対の爪によってフレームの左側フレーム部及び右側フレーム部のそれぞれから確実に抜け止めすることができる。
【0018】
また、前述のポップアップカードにおいて、少なくとも前記箱型部分に、背景図柄の加飾部を施して、少なくとも前記箱型部分を舞台を模した構造として用いることが好ましい。
これにより、ポップアップカードを用いて机上において舞台にキャラクターなどを登場させて楽しむことができる。
【0019】
また、前述のポップアップカードにおいて、前記箱型部分の前記底面部に、舞台形成部材を設けることが好ましい。
これにより、ポップアップカードの少なくとも箱型部分を舞台を模した構造として用いる際に、舞台形成部材を箱型部分の底面部に設けて舞台構造を多彩なものとすることができる。
【0020】
また、前述のポップアップカードにおいて、専用アプリを有するスマートフォンで前記背景図柄の加飾部を読み込み、前記スマートフォンの画面上に前記舞台に重ねてAR映像を表示することが好ましい。
これにより、スマートフォンの画面上にポップアップカードの舞台に重ねてキャラクターなどのAR映像を表示することができ、スマートフォン操作者を楽しませることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るポップアップカードによれば、折り畳まれたカード形状の状態を薄く構成できるとともに、カード形状の状態から簡単な操作により底面部を有する箱型部分をスムーズに形成することができる、ポップアップカードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るポップアップカードのカード形状の状態の正面図である。
図2図1に示すポップアップカードのカード形状の状態の平面図である。
図3図1に示すポップアップカードのカード形状の状態の右側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るポップアップカードを立体化した状態の正面斜め上方から見た斜視図である。
図5図4に示すポップアップカードを立体化した状態の正面図である。
図6図4に示すポップアップカードを立体化した状態の平面図である。
図7図4に示すポップアップカードを立体化した状態の右側面図である。
図8】背面側シート部材の展開図である。
図9】左側シート部材の展開図である。
図10】右側面側シート部材の展開図である。
図11】フレームの展開図である。
図12】第1舞台形成部材の展開図であり、(A)は表面側から見た図、(B)は裏面側から見た図である。
図13】第2舞台形成部材の展開図であり、(A)は表面側から見た図、(B)は裏面側から見た図である。
図14】第1変形例のポップアップカードを立体化した状態の正面図である。
図15】第2変形例のポップアップカードを立体化した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0024】
図1乃至図3には、本発明の一実施形態に係るポップアップカード1のカード形状の状態が示され、図4乃至図7には、ポップアップカード1の立体化した状態が示されている。
図1乃至図7に示すポップアップカード1は、左右方向にそれぞれが移動可能な左右1対の左側扉部分11及び右側扉部分12と、カード形状の状態(図1乃至図3参照)から左側扉部分11及び右側扉部分12が互いに開く方向(左側扉部分11が図4における矢印Aで示す左方向、右側扉部分12が図4における矢印Bで示す右方向)に移動すると、後方(図4における矢印Cで示す方向)に移動しながら形成される箱型部分20とを備えている。
【0025】
箱型部分20は、図4に示すように左側扉部分11及び右側扉部分12が互いに開く方向に移動した際に、正面が開口するとともに、底面部21、背面部22、及び左右1対の左側面部23及び右側面部24を形成し、天面が開口する直方体形状に形成される。
そして、箱型部分20の底面部21は、図4及び図6に示すように、背面部22の下端部から前方に折り曲げられる背面側三角形面部21aと、左側面部23の下端部から右方に折り曲げられる左側面側三角形面部21bと、右側面部24の下端部から左方に折り曲げられる右側面側三角形面部21cとを備えている。そして、底面部21は、背面側三角形面部21a、左側面側三角形面部21b、及び右側面側三角形面部21cのそれぞれの角部が係合してなる長方形状に形成される。
【0026】
また、箱型部分20の左側面部23は、図4及び図6に示すように、左側扉部分11から後方に折り曲げられて形成されるとともに、右側面部24は右側扉部分12から後方に折り曲げられて形成される。また、背面部22は、図4及び図6に示すように、左側面部23の後端部と右側面部24の後端部との双方に係合してなる。
箱型部分20の背面部22、及び底面部21の背面側三角形面部21aは、図8に展開状態が示された1枚の背面側シート部材50で構成される。つまり、背面側シート部材50は、長方形状の背面部22と、背面部22の下辺(図8における下辺)側に折り曲げ線22aを介して連結された背面側三角形面部21aとを備えている。折り曲げ線22aには、複数の切り込み22bが形成されている。背面側三角形面部21aは、複数の切り込み22bによって背面部22から折り曲げ線22aに沿って容易に折り曲げられる。背面側三角形面部21aは、図8に示すように、平面から見て略二等辺三角形状を有し、折り曲げ線22aを底辺として先端側に突出する。
【0027】
背面部22の上辺の両端には、1対の係合部22cが連結部22dを介して設けられ、背面部22の下辺の両端にも、1対の係合部22cが連結部22dを介して設けられている。
また、背面側三角形面部21aの先端側角部には、1対の係合用凹部21dが形成されている。
そして、背面側三角形面部21aの表面の折り曲げ線22a近傍に糊代21eが設けられるとともに、背面部22の表面の折り曲げ線22a近傍上に糊代22eが設けられている。
また、背面部22の表面には、背景図柄の加飾部80が施され、図示はしないが背面部22の裏面にも背景図柄の加飾部が施されている。また、背面側三角形面部21aの表面及び裏面にも背景図柄の加飾部が施されている。
【0028】
また、左側扉部分11、箱型部分20の左側面部23、及び底面部21の左側面側三角形面部21bは、図9に展開状態が示された1枚の左側シート部材60で構成される。つまり、左側シート部材60は、長方形状の左側扉部分11と、左側扉部分11の右辺(図9における右辺)側に折り曲げ線23aを介して連結された長方形状の左側面部23と、左側面部23の下辺(図9における下辺)側に折り曲げ線23dを介して連結された左側面側三角形面部21bとを備えている。
【0029】
折り曲げ線23aには、複数の切り込み23bが形成されている。左側面部23は、複数の切り込み23bによって左側扉部分11から折り曲げ線23aに沿って容易に折り曲げられる。
また、折り曲げ線23dには、切り込み23eが形成されている。左側面側三角形面部21bは、切り込み23eによって左側面部23から折り曲げ線23dに沿って容易に折り曲げられる。
左側面側三角形面部21bは、図9に示すように、平面から見て一辺が垂直の略三角形状を有し、折り曲げ線23dを底辺として先端側に突出する。
【0030】
そして、左側扉部分11の上縁及び下縁の左端(図9における左端)のそれぞれには、後述する左側フレーム部31からの抜け止めを行う1対の爪部11aが設けられている。
また、左側面部23の上辺及び下辺のそれぞれの右端部(左側面部23の後端部)には、1対の係合用凹部23cが形成されている。
また、左側面側三角形面部21bの先端側角部には、係合部21fが連結部21gを介して設けられている。
そして、左側扉部分11、左側面部23、及び左側面側三角形面部21bのそれぞれの表面には、背景図柄の加飾部80が施され、図示はしないが左側扉部分11、左側面部23、及び左側面側三角形面部21bのそれぞれの裏面にも背景図柄の加飾部が施されている。
【0031】
また、右側扉部分12、箱型部分20の右側面部24、及び底面部21の右側面側三角形面部21cは、図10に展開状態が示された1枚の右側シート部材70で構成される。右側シート部材70は、左側シート部材60と左右対称形状となっている。右側シート部材70は、長方形状の右側扉部分12と、右側扉部分12の左辺(図10における左辺)側に折り曲げ線24aを介して連結された長方形状の右側面部24と、右側面部24の下辺(図10における下辺)側に折り曲げ線24dを介して連結された右側面側三角形面部21cとを備えている。
【0032】
折り曲げ線24aには、複数の切り込み24bが形成されている。右側面部24は、複数の切り込み24bによって右側扉部分12から折り曲げ線24aに沿って容易に折り曲げられる。
また、折り曲げ線24dには、切り込み24eが形成されている。右側面側三角形面部21cは、切り込み24eによって右側面部24から折り曲げ線24dに沿って容易に折り曲げられる。
右側面側三角形面部21cは、図10に示すように、平面から見て一辺が垂直の略三角形状を有し、折り曲げ線24dを底辺として先端側に突出する。
【0033】
そして、右側扉部分12の上縁及び下縁の右端(図9における右端)のそれぞれには、後述する右側フレーム部32からの抜け止めを行う1対の爪部12aが設けられている。
また、右側面部24の上辺及び下辺のそれぞれの左端部(右側面部24の後端部)には、1対の係合用凹部24cが形成されている。
また、右側面側三角形面部21cの先端側角部には、係合部21hが連結部21iを介して設けられている。
そして、右側扉部分12、右側面部24、及び右側面側三角形面部21cのそれぞれの表面には、背景図柄の加飾部80が施され、図示はしないが右側扉部分12、右側面部24、及び右側面側三角形面部21cのそれぞれの裏面にも背景図柄の加飾部が施されている。
【0034】
また、ポップアップカード1は、図1及び図4乃至図6に示すように、左側扉部分11及び右側扉部分12のそれぞれの移動動作を案内するフレーム30を備えている。
このフレーム30は、左右1対の左側フレーム部31及び右側フレーム部32と、下側フレーム部33と、上側フレーム部34とを備えている。
左側フレーム部31は、上下方向に延び、左側扉部分11の左右方向の移動を案内する。右側フレーム部32は、左側フレーム部31と左右方向に所定間隔を置いて配置されて上下方向に延び、右側扉部分12の左右方向の移動を案内する。
また、下側フレーム部33は、左側フレーム部31及び右側フレーム部32の下端部同士を連結し、箱型部分20が形成された時に箱型部分20の底面部21上に係合する。これにより、底面部21の起立を防止することができる。
更に、上側フレーム部34は、側フレーム部及び前記右側フレーム部の上端部同士を連結する。
【0035】
図11には、フレーム30の展開図が示されており、フレーム30の左側フレーム部31は、上下方向に延びる細長い表面部31aと表面部31aの上端で折り曲げ線31cを介して連結された上下方向に延びる細長い裏面部31bとを備えている。
また、右側フレーム部32は、上下方向に延びる細長い表面部32aと表面部32aの上端で折り曲げ線32cを介して連結された上下方向に延びる細長い裏面部32bとを備えている。
そして、下側フレーム部33は、左右方向に細長く延び、左側フレーム部31の表面部31aの下端と、右側フレーム部32の表面部32aの下端とを連結している。
また、上側フレーム部34は、左右方向に細長く延び、左側フレーム部31の表面部31aの上端と、右側フレーム部32の表面部32aの上端とを連結している。
【0036】
また、左側フレーム部31の裏面部31bの上端と、右側フレーム部32の裏面部32bの上端とは、折り曲げ線31d、32dを介して設けられた糊代部分35によって連結されている。
左側フレーム部31の表面部31aには、左側扉部分11を移動操作する際に指が左側扉部分11に容易にアクセス可能とする切欠き31eが形成され、裏面部31bにも裏面部31bを折り返した際に切欠き31eと対応する切欠き31fが形成されている。また、右側フレーム部32の表面部32aには、右側扉部分12を移動操作する際に指が右側扉部分12に容易にアクセス可能とする切欠き32eが形成され、裏面部32bにも裏面部32bを折り返した際に切欠き32eと対応する切欠き32fが形成されている。
また、左側フレーム部31の表面部31a及び裏面部31bのそれぞれの表側に背景図柄の加飾部80が施されるとともに、右側フレーム部32の表面部32a及び裏面部32bのそれぞれの表側に背景図柄の加飾部80が施される。
【0037】
また、箱型部分20の底面部21には、図4乃至図6に示すように、舞台形成部材40が設けられている。この舞台形成部材40は、例えば、ひな段などの舞台を形成する部材であり、背面側に設けられた第1舞台形成部材41と、第1舞台形成部材41よりも前側に設けられた第2舞台形成部材42とを備えている。
【0038】
図12には、第1舞台形成部材41の展開図が示されており、(A)は表面側から見た状態、(B)は裏面側から見た状態が示されている。
第1舞台形成部材41は、長方形状の第1舞台形成部41aと、第1舞台形成部41aの上縁から上方に突出する第2舞台形成部41b及び第3舞台形成部41cとを備えている。
また、第1舞台形成部41aの下縁には、折り曲げ線41iを介して長方形状の第1貼付部41eが設けられている。第1貼付部41eの裏面には、図12(B)に示すように、糊代41rが形成されている。折り曲げ線41iには、切り込み41jが形成されている。第1貼付部41eは、切り込み41jによって第1舞台形成部41aから折り曲げ線41iに沿って容易に折り曲げられる。
【0039】
また、第1貼付部41eの下縁には、折り曲げ線41kを介して長方形状の第2貼付部41fが設けられている。第2貼付部41fの裏面には、図12(B)に示すように、糊代41sが形成されている。折り曲げ線41kには、切り込み41lが形成されている。第2貼付部41fは、切り込み41lによって第1貼付部41eから折り曲げ線41kに沿って容易に折り曲げられる。
また、第2貼付部41fの下縁には、折り曲げ線41mを介して長方形状の連結部41gが設けられている。折り曲げ線41mには、切り込み41nが形成されている。連結部41gは、切り込み41nによって第2貼付部41fから折り曲げ線41mに沿って容易に折り曲げられる。
【0040】
また、連結部41gの下縁には、略台形形状の第3貼付部41hが設けられている。第3貼付部41hは、連結部41gに繋がる長方形状の第1部分と、第1部分の下縁に折り曲げ線41oを介して連結された台形形状の第2部分とを備えている。折り曲げ線41oには、切り込み41pが形成されている。第2部分は、切り込み41pによって第1部分から折り曲げ線41oに沿って容易に折り曲げられる。また、第3貼付部41hには、左右方向に所定間隔を空けて上下方向に延びる1対の折り曲げ線41qが設けられ、それら1対の折り曲げ線41qの左右外側の部分を折り曲げ可能となっている。また、第3貼付部41hの第2部分の裏面には、図12(B)に示すように、糊代41tが形成されている。
また、第1舞台形成部41a、第2舞台形成部41b、及び第3舞台形成部41cの表面及び裏面には、背景図柄の加飾部80が施される。
また、第1舞台形成部41aには、1対の折り曲げ線41qで左右外側の部分を折り曲げた第3貼付部41hを挿通可能な開口41dが形成されている。
【0041】
図13には、第2舞台形成部材42の展開図が示されており、(A)は表面側から見た状態、(B)は裏面側から見た状態が示されている。
第2舞台形成部材42は、長方形状の第4舞台形成部42aと、第4舞台形成部42aの上縁から上方に突出する第5舞台形成部42b及び第6舞台形成部42cとを備えている。
また、第4舞台形成部42aの表面には、糊代42dが形成されている。また、第4舞台形成部42a、第5舞台形成部42b、及び第6舞台形成部42cの表面及び裏面には、背景図柄の加飾部80が施される。
なお、背面側シート部材50、左側シート部材60、右側シート部材70、フレーム30、第1舞台形成部材41及び第2舞台形成部材42の材質は、コート紙、ヴァンヌーボ、ダンボール等の紙あるいは合成樹脂を含有した部材などとすることが好ましい。
【0042】
次に、ポップアップカード1の組立方法について、図1乃至図13を参照して説明する。
先ず、第1舞台形成部材41を、背面側シート部材50の背面側三角形面部21a及び背面部22に貼りつける。
この際に、図12に示す第1舞台形成部材41の第2貼付部41fを第1貼付部41eから折り曲げ線41kに沿って垂直に折り曲げ、連結部41gを第2貼付部41fから折り曲げ線41mに沿って第1貼付部41eと平行になるように折り曲げ、更に、1対の折り曲げ線41qで左右外側の部分を折り曲げた第3貼付部41hを第1舞台形成部41aの開口41dに挿通しておく。
【0043】
一方、図8に示す背面側シート部材50の背面部22を背面側三角形面部21aから折り曲げ線22aに沿って垂直に折り曲げておく。つまり、背面側三角形面部21aを背面部22の下端部から前方に折り曲げておく。
そして、第1貼付部41eの糊代41rを背面側三角形面部21aの糊代21eに糊付けし、第3貼付部41hの糊代41tを背面部22の糊代22eに糊付けする。これにより、背面部22が背面側三角形面部21aに対し垂直に折り曲げられた状態で、第1舞台形成部材41は、背面側シート部材50の背面側三角形面部21a及び背面部22に貼りつけられる。
【0044】
次いで、第1舞台形成部材41を、背面側三角形面部21a及び背面部22に貼りつけたら、第2舞台形成部材42を第1舞台形成部材41に貼りつける。
この際に、第4舞台形成部42aの糊代42dを第2貼付部41fの糊代41sに糊付けする。これにより、第2舞台形成部材42が第1舞台形成部材41に貼りつけられ、背面部22が背面側三角形面部21aに対し垂直に折り曲げられた状態で、第1舞台形成部材41及び第2舞台形成部材42が背面側シート部材50の背面側三角形面部21a及び背面部22に取り付けられる。
【0045】
第1舞台形成部材41及び第2舞台形成部材42を背面側シート部材50の背面側三角形面部21a及び背面部22に取り付けたら、その後、図9に示す左側シート部材60の左側面部23を背面側シート部材50の背面部22に取り付けるとともに、左側面側三角形面部21bを背面側三角形面部21aに係合させる。
この際に、背面部22の上辺の左端及び下辺の左端に設けられた1対の連結部22dを図4に示すように左側面部23の上辺及び下辺のそれぞれの後端部に形成された1対の係合用凹部23cに入れ込み、背面部22の上辺の左端及び下辺の左端に設けられた1対の係合部22cで左側面部23の左方への抜け止めを行う。
また、左側面側三角形面部21bを左側面部23から折り曲げ線23dに沿って右方に垂直に折り曲げ、左側面側三角形面部21bの先端側角部に設けられた連結部21gを、図6に示すように背面側三角形面部21aの先端側角部に形成された係合用凹部21dに入れ込んで係合部21fによって背面側三角形面部21aからの左側面側三角形面部21bの抜け止めを行う。
【0046】
次いで、図10に示す右側シート部材70の右側面部24を背面側シート部材50の背面部22に取り付けるとともに、右側面側三角形面部21cを背面側三角形面部21aに係合させる。
この際に、背面部22の上辺及び下辺のそれぞれの右端に設けられた1対の連結部22dを、図4に示すように、右側面部24の上辺及び下辺のそれぞれの後端部に形成された1対の係合用凹部24cに入れ込み、背面部22の上辺の右端及び下辺の右端に設けられた1対の係合部22cで右側面部24の左方への抜け止めを行う。
また、右側面側三角形面部21cを右側面部24から折り曲げ線24dに沿って左方に垂直に折り曲げ、右側面側三角形面部21cの先端側角部に設けられた連結部21iを、図6に示すように、背面側三角形面部21aの先端側角部に形成された係合用凹部21dに入れ込んで係合部21hによって背面側三角形面部21aからの右側面側三角形面部21cの抜け止めを行う。
【0047】
次いで、左側シート部材60に設けられた左側扉部分11を、図4に示すように、左側面部23から折り曲げ線23aに沿って左方に折り曲げるとともに、右側シート部材70に設けられた右側扉部分12を、図4に示すように、右側面部24から折り曲げ線24aに沿って右方に折り曲げる。つまり、左側面部23を左側扉部分11から後方に折り曲げられた形とし、右側面部24は右側扉部分12から後方に折り曲げられた形とする。
【0048】
次いで、図4及び図5に示すように、フレーム30の左側フレーム部31の表面部31aを左側扉部分11の前面に沿うように配置するとともに、右側フレーム部32の表面部32aを右側扉部分12の前面に沿うように配置する。この状態で、左側フレーム部31の裏面部31bを折り曲げ線31cで折り返すとともに、右側フレーム部32の裏面部32bを折り曲げ線32cで折り返し、糊代部分35を折り曲げ線31d、32dで折り返して、左側フレーム部31で左側扉部分11を抱き込むとともに、右側フレーム部32で右側扉部分12を抱き込む。そして、糊代部分35を下側フレーム部33の裏面に貼りつける。これにより、フレーム30は、左側扉部分11を左側フレーム部31で案内し、右側扉部分12を右側フレーム部32で案内できる形で取り付けられる。
【0049】
このようにして組み立てられたポップアップカード1において、左側扉部分11及び右側扉部分12が互いに閉じる方向(左側扉部分11が図4における矢印Aと反対の右方向、右側扉部分12が図4における矢印Bと反対の左方向)に移動させる。
すると、左側面部23は、図2に示すように左側扉部分11に折り重なるように移動する折り曲げ線23aに沿って折り畳まれるとともに、右側面部24は、右側扉部分12に折り重なるように移動する折り曲げ線24aに沿って折り畳まれる。このとき、背面部22は、左側面部23及び右側面部24が折り畳まれることによって図2に示すように前方に移動する。そして、この際に、底面部21の背面側三角形面部21aは、移動する折り曲げ線22aに沿って上方に向けて折り畳まれ、左側面側三角形面部21bは、移動する折り曲げ線23dに沿って上方に向けて折り畳まれ、右側面側三角形面部21cは、移動する折り曲げ線24dに沿って上方に向けて折り畳まれる。
【0050】
これら背面側三角形面部21a、左側面側三角形面部21b、及び右側面側三角形面部21cの折り畳みの際には、背面側三角形面部21a及び左側面側三角形面部21bは、左側面側三角形面部21bの先端側角部に設けられた連結部21gが背面側三角形面部21aの先端側角部に形成された係合用凹部21dに入れ込んで係合部21fによって抜け止めされているので、両者は互いに外れない。また、背面側三角形面部21a及び右側面側三角形面部21cは、右側面側三角形面部21cの先端側角部に設けられた連結部21iが背面側三角形面部21aの先端側角部に形成された係合用凹部21dに入れ込んで係合部21hによって抜け止めされているので、両者は互いに外れない。
【0051】
また、第1舞台形成部材41及び第2舞台形成部材42で構成される舞台形成部材40は、底面部21の背面側三角形面部21aが移動する折り曲げ線22aに沿って上方に向けて折り畳まれるときに、背面部22と背面側三角形面部21aとの間で折り畳まれる。
これにより、ポップアップカード1は、図1乃至図3に示すように、カード形状の状態となる。
【0052】
そして、このカード形状の状態から、左側扉部分11及び右側扉部分12が互いに開く方向(左側扉部分11が図4における矢印Aで示す左方向、右側扉部分12が図4における矢印Bで示す右方向)に移動させる。
すると、左側面部23、右側面部24、背面部22、背面側三角形面部21a、左側面側三角形面部21b、右側面側三角形面部21c、及び第1舞台形成部材41及び第2舞台形成部材42で構成される舞台形成部材40が前述した動作と逆の動作をし、箱型部分20が後方(図4における矢印Cで示す方向)に移動しながら形成され、図4乃至図7に示すようにポップアップカード1は立体化した状態となる。
【0053】
つまり、カード形状の状態から、左側扉部分11及び右側扉部分12を互いに開く方向に移動させると、左側面部23は、図4及び図6に示すように、折り曲げ線23aでの折り畳み状態が解消されて移動する折り曲げ線23aに沿って後方に向かって開き、左側扉部分11に対し垂直の状態となる。また、右側面部24は、折り曲げ線24aでの折り畳み状態が解消されて移動する折り曲げ線24aに沿って後方に向かって開き、右側扉部分12に対し垂直の状態となる。このとき、背面部22は、左側面部23及び右側面部24が後方に向かって開くことで図4に示すように後方に移動する。そして、この際に、底面部21の背面側三角形面部21aは、折り曲げ線22aでの折り畳み状態が解消されて移動する折り曲げ線22aに沿って下方に向けて開き、左側面側三角形面部21bは、折り曲げ線23dでの折り畳み状態が解消されて移動する折り曲げ線23dに沿って下方に向けて開き、右側面側三角形面部21cは、折り曲げ線24dでの折り畳み状態が解消されて移動する折り曲げ線24dに沿って下方に向けて開く。
【0054】
これら背面側三角形面部21a、左側面側三角形面部21b、及び右側面側三角形面部21cが下方へ向けて開く際には、背面側三角形面部21a及び左側面側三角形面部21bは、左側面側三角形面部21bの先端側角部に設けられた連結部21gが背面側三角形面部21aの先端側角部に形成された係合用凹部21dに入れ込んで係合部21fによって抜け止めされているので、両者は互いに外れない。また、背面側三角形面部21a及び右側面側三角形面部21cは、右側面側三角形面部21cの先端側角部に設けられた連結部21iが背面側三角形面部21aの先端側角部に形成された係合用凹部21dに入れ込んで係合部21hによって抜け止めされているので、両者は互いに外れない。
【0055】
また、第1舞台形成部材41及び第2舞台形成部材42で構成される舞台形成部材40は、底面部21の背面側三角形面部21aが移動する折り曲げ線22aを中心として開くときに、背面部22及び背面側三角形面部21aの動きに追従する。
これにより、ポップアップカード1は、図4乃至図7に示すように、立体化した状態となる。
【0056】
このように、本実施形態に係るポップアップカード1は、左右方向にそれぞれが移動可能な左右1対の左側扉部分11及び右側扉部分12と、カード形状の状態から左側扉部分11及び右側扉部分12が互いに開く方向に移動すると、後方に移動しながら形成される底面部21を有する箱型部分20とを備えている。
これにより、折り畳まれたカード形状の状態を薄く構成できるとともに、カード形状の状態から簡単な操作により底面部21を有する箱型部分20をスムーズに形成することができる。
【0057】
また、このポップアップカード1において、箱型部分20は、左側扉部分11及び右側扉部分12が互いに開く方向に移動した際に、正面が開口するとともに、底面部21に加え、背面部22及び左右1対の左側面部23及び右側面部24を形成し、天面が開口している直方体形状である。
箱型部分20は、左側扉部分11及び右側扉部分12が互いに開く方向に移動した際に、正面が開口するので、箱型部分20の内部を開口した正面側から見ることができる。また、箱型部分20は天面が開口しているので、天面を形成する部材が不要となり、カード形状の状態から箱型部分20をよりスムーズに形成することができる。また、箱型部分20が天面を有しないことで、折り畳まれたカード形状の状態をより薄く構成することができる。
【0058】
また、このポップアップカード1において、箱型部分20の底面部21は、背面部22の下端部から前方に折り曲げられる背面側三角形面部21aと、左側面部23の下端部から右方に折り曲げられる左側面側三角形面部21bと、右側面部24の下端部から左方に折り曲げられる右側面側三角形面部21cとを備えている。そして、背面側三角形面部21a、左側面側三角形面部21b、及び右側面側三角形面部21cのそれぞれの角部が係合してなる。
これにより、カード形状の状態から底面部21を有する箱型部分20を形成するに際し、左側扉部分11及び右側扉部分12の移動動作で底面部21をスムーズに形成できて、箱型部分20全体をよりスムーズに形成することができる。
【0059】
また、このポップアップカード1において、箱型部分20の左側面部23は左側扉部分11から後方に折り曲げられて形成されるとともに、右側面部24は右側扉部分12から後方に折り曲げられて形成され、背面部22は左側面部23の後端部と右側面部24の後端部との双方に係合してなる。
これにより、カード形状の状態から左側扉部分11及び右側扉部分12の移動動作で箱型部分20の左側面部23、右側面部24、及び背面部22をスムーズに形成することができる。
【0060】
また、このポップアップカード1において、左側扉部分11及び右側扉部分12のそれぞれの移動を案内するフレーム30を備えている。
これにより、左側扉部分11及び右側扉部分12のそれぞれが左右方向に移動する際にフレーム30によってそれらの移動動作が案内されるため、カード形状の状態から箱型部分20を形成する際の左側扉部分11及び右側扉部分12の移動動作をよりスムーズかつ安定して行うことができ、箱型部分20をよりスムーズに形成することができる。
【0061】
また、フレーム30は、左右方向に所定間隔を置いて配置され、左側扉部分11及び右側扉部分12のそれぞれの移動を案内する左右1対の左側フレーム部31及び右側フレーム部32を有する。
これにより、左側扉部分11及び右側扉部分12のそれぞれが左右方向に移動する際に、フレーム30の左側フレーム部31によって左側扉部分11の移動動作が案内され、右側フレーム部32によって右側扉部分12の移動動作が案内されるため、カード形状の状態から箱型部分20を形成する際の左側扉部分11及び右側扉部分12の移動動作をよりスムーズかつ安定して行うことができ、箱型部分20をよりスムーズに形成することができる。そして、左右1対の左側フレーム部31及び右側フレーム部32は、左右方向に所定間隔を置いて配置されるため、左側扉部分11及び右側扉部分12のそれぞれが左右方向に移動した後に、左側フレーム部31と右側フレーム部32との間から箱型部分20の内部を正面側から見ることができる。
【0062】
また、フレーム30は、左側フレーム部31及び右側フレーム部32の下端部同士を連結し、箱型部分20形成された時に箱型部分20の底面部21上に係合する下側フレーム部33を備える。
これにより、箱型部分20を形成した状態のポップアップカード1を机上などの置いた場合に下側フレーム部33が箱型部分20の底面部21上に係合して底面部21の起立を防止することができ、机上においた箱型部分20の内部を正面側から見るときにその底面部21が起立して視界の邪魔になるのを阻止することができる。また、下側フレーム部33によって底面部21の起立を阻止できるから、立体化したポップアップカード1を机上などに置いた場合にポップアップカード1が底面部21の起立によって倒れるのを阻止することができる。また、下側フレーム部33で左側フレーム部31及び右側フレーム部32の下端部同士を連結しているので、左側フレーム部31及び右側フレーム部32が倒れるのを阻止することができる。また、机上においた箱型部分20の内部を正面側から見るときに、下側フレーム部33で箱型部分20の底面部21が隠れるため、底面部21が多少起立したとしても、箱型部分20の内部の見栄えを損なうことがない。
【0063】
また、フレーム30は、左側フレーム部31及び右側フレーム部32の上端部同士を連結する上側フレーム部34を備える。
これにより、フレーム30の機械的強度を向上させることができ、左側フレーム部31及び右側フレーム部32が変形して左側扉部分11及び右側扉部分12のそれぞれの移動動作の案内機能に支障をきたすことを防止することができる。
【0064】
また、ポップアップカード1において、左側扉部分11の上縁及び下縁には、左側フレーム部31からの抜け止めを行う1対の爪部11aが設けられ、右側扉部分12の上縁及び下縁には、右側フレーム部32からの抜け止めを行う1対の爪部12aが設けられている。
これにより、左側扉部分11及び右側扉部分12のそれぞれを、1対の爪部11a,12aによってフレーム30の左側フレーム部31及び右側フレーム部32のそれぞれから確実に抜け止めすることができる。
【0065】
また、ポップアップカード1においては、箱型部分20を構成する底面部21、背面部22、左側面部23,右側面部24と、左側扉部分11と、右側扉部分12と、フレーム30とに背景図柄の加飾部80が施されていて、これら背景図柄の加飾部80を施した箱型部分20、左側扉部分11、右側扉部分12、及びフレーム30を舞台を模した構造として用いることができる。
これにより、ポップアップカード1を用いて机上においてかかる舞台にキャラクターなどを登場させて楽しむことができる。
【0066】
また、ポップアップカード1において、箱型部分20の底面部21に、舞台形成部材40が設けられている。
これにより、ポップアップカード1の箱型部分20、左側扉部分11、右側扉部分12、及びフレーム30を舞台を模した構造として用いる際に、舞台形成部材40を箱型部分20の底面部21に設けて舞台構造を多彩なものとすることができる。
【0067】
また、このポップアップカード1においては、専用アプリを有するスマートフォンで背景図柄の加飾部80を読み込み、スマートフォンの画面上に前述の舞台に重ねてAR(拡張現実感:Augmented Reality)映像を表示することができる。
これにより、スマートフォンの画面上にポップアップカード1の舞台に重ねてキャラクターなどのAR映像を表示することができ、スマートフォン操作者を楽しませることができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、箱型部分20は、直方体形状に形成されているが、これに限らず、直方体形状以外の多角形立方体形状に形成されてもよい。また、箱型部分20を形成する底面部21、背面部22、左側面部23、及び右側面部24の形状は長方形状に限らない。
【0069】
また、フレーム30は、左側扉部分11及び右側扉部分12のそれぞれの移動動作を案内できればよく、左右1対の左側フレーム部31及び右側フレーム部32と、下側フレーム部33と、上側フレーム部34とで構成される場合に限られない。
図14には、上側フレーム部をなくして、フレーム30を左右1対の左側フレーム部31及び右側フレーム部32と下側フレーム部33とで構成した第1変形例のポップアップカード1を立体化した状態が示されている。図14における主要部材については図1における主要部材と同一の符号を付してある。
【0070】
また、ポップアップカード1においては、左側扉部分11の上縁及び下縁には、左側フレーム部31からの抜け止めを行う1対の爪部11aが設けられ、右側扉部分12の上縁及び下縁には、右側フレーム部32からの抜け止めを行う1対の爪部12aが設けられている。しかし、左側扉部分11の上縁又は下縁に、左側フレーム部31からの抜け止めを行う爪部11aを設け、右側扉部分12の上縁又は下縁に、右側フレーム部32からの抜け止めを行う爪部12aを設けるようにしても良い。
図15には、左側扉部分11の上縁のみに、左側フレーム部31からの抜け止めを行う爪部11aを設け、右側扉部分12の上縁のみに、右側フレーム部32からの抜け止めを行う爪部12aを設けた第2変形例のポップアップカード1を立体化した状態が示されている。図15における主要部材については図1における主要部材と同一の符号を付してある。
【0071】
また、箱型部分20の底面部21には舞台形成部材40が設けられているが、舞台形成部材40は設けなくても良い。
また、箱型部分20を構成する底面部21、背面部22、左側面部23,右側面部24と、左側扉部分11と、右側扉部分12と、フレーム30とに背景図柄の加飾部80が施されていて、これら背景図柄の加飾部80を施した箱型部分20、左側扉部分11、右側扉部分12、及びフレーム30を舞台を模した構造として用いるようにしている。しかし、少なくとも箱型部分20に背景図柄の加飾部80を施し、背景図柄の加飾部80を施した少なくとも箱型部分20を舞台を模した構造として用いるようにすればよい。
【符号の説明】
【0072】
1 ポップアップカード
11 左側扉部分
11a 爪部
12 右側扉部分
12a 爪部
20 箱型部分
21 底面部
21a 背面側三角形面部
21b 左側面側三角形面部
21c 右側面側三角形面部
21d 係合用凹部
21e 糊代
21f 係合部
21g 連結部
21h 係合部
21i 連結部
22 背面部
22a 折り曲げ線
22b 切り込み
22c 係合部
22d 連結部
22e 糊代
23 左側面部
23a 折り曲げ線
23b 切り込み
23c 係合用凹部
23d 折り曲げ線
23e 切り込み
24 右側面部
24a 折り曲げ線
24b 切り込み
24c 係合用凹部
24d 折り曲げ線
24e 切り込み
30 フレーム
31 左側フレーム部
31a 表面部
31b 裏面部
31c 折り曲げ線
31d 折り曲げ線
31e 切欠き
31f 切欠き
32 右側フレーム部
32a 表面部
32b 裏面部
32c 折り曲げ線
32d 折り曲げ線
32e 切欠き
32f 切欠き
33 下側フレーム部
34 上側フレーム部
35 糊代部分
40 舞台形成部材
41 第1舞台形成部材
41a 第1舞台形成部
41b 第2舞台形成部
41c 第3舞台形成部
41d 開口
41e 第1貼付部
41f 第2貼付部
41g 連結部
41h 第3貼付部
41i 折り曲げ線
41j 切り込み
41k 折り曲げ線
41l 切り込み
41m 折り曲げ線
41n 切り込み
41o 折り曲げ線
41p 切り込み
41q 折り曲げ線
41r 糊代
41s 糊代
41t 糊代
42 第2舞台形成部材
42a 第4舞台形成部
42b 第5舞台形成部
42c 第6舞台形成部
42d 糊代
50 背面側シート部材
60 左側シート部材
70 右側シート部材
80 背景図柄の加飾部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15