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  • 特許-下着 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】下着
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/02 20060101AFI20241125BHJP
   A41B 9/12 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
A41B9/02 F
A41B9/12 E
A41B9/12 C
A41B9/12 Z
A41B9/02 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023146423
(22)【出願日】2023-09-08
(65)【公開番号】P2024110906
(43)【公開日】2024-08-16
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2023015160
(32)【優先日】2023-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年4月20日にプロジェクト応援サイト「Makuake」及び令和5年8月31日に有限会社マイティオンラインショップにて公開
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521451684
【氏名又は名称】有限会社マイティー
(74)【代理人】
【識別番号】100141955
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(72)【発明者】
【氏名】高根 伸也
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3232699(JP,U)
【文献】登録実用新案第3161421(JP,U)
【文献】特開2002-371402(JP,A)
【文献】特開2002-102321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中前身頃、並びに、中前身頃の両側に左前身頃及び右前身頃を有する前身頃と、
後身頃と
を備える下着であって、
前記中前身頃は、上部と下部とに区分され、
前記中前身頃の上部は、表地と、該表地の裏側の防水布と、該防水布の裏側の消臭生地
とからなり、
前記中前身頃の下部は、メッシュ状の表地と、該表地の裏側の消臭生地とからなり、
前記消臭生地は、消臭・抗菌剤が練りこまれた綿とポリウレタンとからなり、綿の構成比が50%~99%の材質で構成される
男性用下着。
【請求項2】
前記防水布は、ポリエステルの表生地と、ポリウレタンの裏フィルムの2層が圧着され
た生地である
請求項1に記載の男性用下着。
【請求項3】
前記中前身頃の下部が備える、メッシュ状の表地の材質は、綿、ポリエステル、レーヨ
ン、ポリウレタン及びナイロンから選択されたいずれか1つ又は複数の組み合わせを含ん
で構成されるものである
請求項1に記載の男性用下着。
【請求項4】
前記左前身頃、前記右前身頃、及び、前記後身頃は、綿、ポリエステル、レーヨン、ポ
リウレタン及びナイロンから選択されたいずれか1つ又は複数の組合せを含んで構成され

請求項1に記載の男性用下着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、下着、特に男性用の下着に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、男性には、排尿後などに尿道に残っている尿が漏れる、いわゆる、「尿漏れ」がある。「尿漏れ」は、高齢者だけでなく、若い世代の男性にもあることが知られている。
【0003】
男性の「尿漏れ」に対応する下着として、吸水生地を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-209612
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、「尿漏れ」に対応する下着には、漏れた尿が、ズボン等に染み出すのを防ぐだけでなく、消臭機能も求められる。しかしながら、これまで、尿の染み出し防止及び十分な消臭の両機能を奏する下着は知られていない。また、吸水布等を用いる場合など、下着内の蒸れの問題も生じうる。
【0006】
この発明の下着は、上述の課題に鑑みてなされたものである。この発明の目的は、内部の蒸れを抑制しつつ、尿の染み出し防止及び十分な消臭の両機能を奏する、下着を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の下着は、中前身頃、並びに、中前身頃の両側に左前身頃及び右前身頃を有する前身頃と、後身頃とを備える。中前身頃は、上部と下部とに区分される。中前身頃の上部は、表地と、表地の裏側の防水布と、防水布の裏側の消臭生地とからなる。また、中前身頃の下部は、メッシュ状の表地と、表地の裏側の消臭生地とからなる。ここで、消臭生地は、消臭生地は、綿とポリウレタンとからなり、綿の構成比が50%~99%の材質で構成される。
【0008】
この発明の下着の好適実施形態によれば、防水布は、ポリエステルの表生地と、ポリウレタンの裏フィルムの2層が圧着された生地である。
【0009】
また、この発明の下着の他の好適実施形態によれば、中前身頃の下部が備える、メッシュ状の表地の材質は、綿、ポリエステル、レーヨン、ポリウレタン及びナイロンから選択されたいずれか1つ又は複数の組み合わせを含んで構成される。
【0010】
また、この発明の下着の他の好適実施形態によれば、左前身頃、右前身頃、及び、後身頃が備える表地は、綿、ポリエステル、レーヨン、ポリウレタン及びナイロンから選択されたいずれか1つ又は複数の組合せを含んで構成される。
【発明の効果】
【0011】
この発明の下着によれば、中前身頃の上部は、表地と、表地の裏側に防水布と、防水布の裏側に消臭生地とを備ええ、中前身頃の下部は、メッシュ状の表地と、表地の裏側に消臭生地とを備えるので、内部の蒸れを抑制しつつ、尿の染み出し防止及び十分な消臭の両
機能を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の下着の一例を示す模式図である。
図2】この発明の下着の製造方法の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0014】
図1を参照して、この発明の下着を説明する。図1(A)は、この発明の下着の一例を示す模式図であって、正面表側から見た図である。図1(B)は、防水部を側面から見た模式図である。図1(C)は、通気部を側面から見た模式図である。
【0015】
ここでは、下着の内側、すなわち、下着を着用した際に、着用者の肌に触れる側を「裏」側とし、その反対側を「表」側とする。また、上側、下側、右側、左側、前側、後側は、下着を着用した男性が起立した状態を基準にする。
【0016】
ここで説明するこの発明の下着の一例は、男性用の下着であって、いわゆるボクサーパンツとして知られるものである。
【0017】
下着は、前身頃100と後身頃(図示を省略する。)とを備える。前身頃100と後身頃は、例えば、外形がほぼ同一の形状である。下着は、前身頃100の裏側と後身頃の裏側とが接するように重ね合わせた上で、左右の縁付近で縫い合わせて形成される。
【0018】
前身頃100及び後身頃の、上側には、例えば、ジャガードゴムがウエスト(腰)ゴム300として設けられる。ジャガードゴムは、任意好適な従来公知のものを用いることができるが、この例では、ポリエステル50%、ナイロン50%の構成比率のものを用いる。なお、本明細書での、構成比率は、重量%である。
【0019】
前身頃100及び後身頃の下側には、着用時に脚が挿入される裾部が設けられるが、裾部については、前身頃100及び後身頃の一部に含まれるものとして、ここでは説明を省略する。前身頃100、後身頃及びウエストゴム300の縫い合わせは、任意好適な従来公知の縫製技術により行うことができる。
【0020】
ウエストゴムの部分に、文字やロゴ、あるいは模様を織り込む場合に、ジャガードゴムを用いるのが好ましい。一方、文字やロゴ、あるいは模様を織り込まない場合は、ジャガードゴムを用いずに、他のゴムを用いるなどしてもよい。
【0021】
前身頃100は、中前身頃130、並びに、中前身頃130の両側に左前身頃120及び右前身頃110を有する。また、中前身頃130は、上部140と下部150とに区分される。
【0022】
前身頃100が有する、左前身頃120及び右前身頃110と、後身頃は、同一の素材で構成することができる。左前身頃120及び右前身頃110、並びに、後身頃を、綿(コットン)、ポリエステル、レーヨン、ポリウレタン、ナイロンのいずれか2以上を組み合わせた混毛としてもよいし、いずれか1つで構成してもよい。
【0023】
図2(A)及び(B)は、この発明の下着の製造方法の例を示す模式図である。ここでは、図2(A)に示すように、前身頃100と後見頃200とを左右の縁120aと220a、及び、110aと210a)で縫い合わせる例を説明したが、これに限定されない。
【0024】
左前身頃及び右前身頃と、後身頃を同一の素材で構成することができるので、図2(B)に示すように、後見頃202を左後身頃222と右後身頃212とに分け、左前身頃122と左後見頃222を一体に構成し、右前身頃112と右後身頃212を一体に構成し、後身頃202の中心、すなわち、左後身頃222の縁222aと右後身頃212の縁212aの縁で縫い合わせる構成にしてもよい。
【0025】
ここで、吸湿性の観点からは、綿を含み、かつ、綿の成分比が大きい方が好ましい。一方、伸縮性の観点からは、伸縮性に優れるポリウレタンが含まれていることが好ましい。なお、ポリウレタンは、劣化しやすいため、ポリウレタンの成分比は小さい方が好ましい。これらの観点から、ポリウレタンの構成比は、1%~50%の範囲内の値にすることができる。ここでは、左前身頃120及び右前身頃110、並びに、後身頃を、綿95%及びポリウレタン5%の材質とした例を説明する。
【0026】
中前身頃130の上部(防水部)140は、表側の表地142と、表地142の裏側に設けられた防水布144と、防水布144の裏側に設けられた消臭生地148とを備える。
【0027】
防水布144は、例えば、ポリエステル100%の表生地145と、ポリウレタン100%の裏フィルム146の2層が圧着された生地である。この防水布144は、いわゆる撥水効果を有し、漏れた尿が、下着の表側に浸透するのを防ぐ。なお、防水布144は、撥水効果を有する他の構成にすることができる。例えば、防水布144を、ポリエステル、ナイロン及びポリウレタンのいずれか1つの材質で構成した1層の生地としてもよいし、これらの2以上を組み合わせた混毛で構成した1層の生地としてもよい。
【0028】
消臭生地148は、例えば、左前身頃120及び右前身頃110、並びに、後身頃と同じく、綿95%及びポリウレタン5%の材質で構成される。なお、消臭生地では、従来公知のように、綿に消臭・抗菌剤を練りこまれている。この消臭生地148は、市販品を用いることができるが、発明者らは、消臭性能を確かめる消臭性試験を行った。
【0029】
消臭性試験の概略を説明する。10cm四方の消臭生地を、5リットルのガス採集袋に入れ、100ppmのアンモニアと、28ppmのトリメチルアミンを3リットル注入し、2時間後の残留ガス濃度を測定した。この結果、アンモニアについては99%以上の消臭率(成分の減少率)、トリメチルアミンについては、91%の消臭率と、十分な消臭性能が得られている。
【0030】
このように、この発明の下着によれば、防水部140の構成により、尿漏れを防ぐとともに、消臭効果も得ることができる。
【0031】
なお、いわゆるボクサーパンツは、例えば、トランクスなどと比べて、着用時の肌への密着度が高い。このため、防水布により表側に漏れることが防がれた尿の水分による蒸れが生じることが考えられる。
【0032】
そこで、この発明の下着によれば、中前身頃130の下部(通気部)150の通気性を高くすることで、蒸れを抑制する。
【0033】
通気部150は、メッシュ状の表地152と、表地152の裏側に消臭生地158とを備える。通気部150の表地152は、前身頃100が有する、左前身頃120及び右前身頃110と、後身頃と同様の材質で構成することができる。すなわち、メッシュ状の表地152は、綿、ポリエステル、レーヨン、ポリウレタン、ナイロンのいずれか2以上を組み合わせた混毛としてもよいし、いずれか1つで構成してもよい。ここでは、メッシュ状の表地152が、ポリエステル100%の材質で構成される例を説明する。この表地152をメッシュ状に構成することで、他の部分よりも通気性が高くなる。また、消臭生地158として、防水部140が有する消臭生地148と同様の生地が用いられる。
【0034】
通気部150の表地152がメッシュ状であることから、着用時における、外部との通気は、主に、この通気部150を経て行われる。そして、このとき、外部へ放出される気体は、消臭生地158を通過する。従って、尿漏れ後に、外部に漏れる尿の臭いを減らすことができる。
【0035】
また、この発明の下着によれば、中前身頃130の上部(防水部)140と、下部(通気部)150の裏側、すなわち、着用者の肌に触れる側が、消臭生地となっている。このため、漏れた尿などは、他の材質で構成される層を経ることなく、直接消臭生地に到達する。この結果、消臭効果が優れる。
【0036】
このように、この発明の下着によれば、尿の染み出しを防ぐだけでなく、臭いの漏れも減らすことができる。
【0037】
なお、中前身頃130の上部140、中前身頃130の下部150、左前身頃120(右前身頃110)は、それぞれ、異なる生地である。これらの縫い合わせについては、任意好適な従来公知の方法で行うことができるが、例えば6本の糸を4本の針で縫い合わせるフラットシーマにより行うのがよい。フラットシーマを用いると、縫い目が平らに縫い合わせられるので、着心地がよくなる。
【0038】
ここでは、下着としてボクサーパンツの例を説明したが、これに限定されない。ボクサーパンツなど着用時の肌への密着度が高い下半身用下着で、より高い効果が得られるが、ボクサーパンツ以外の下半身用下着に適用することもできる。
【符号の説明】
【0039】
100 前身頃
110 右前身頃
120 左前身頃
130 中前身頃
140 上部(防水部)
142、152 表地
144 防水布
145 表生地
146 裏フィルム
148、158 消臭生地
150 下部(通気部)
300 ウエストゴム
図1
図2