(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】情報処理装置およびトイレ管理システム
(51)【国際特許分類】
E03D 11/00 20060101AFI20241125BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20241125BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20241125BHJP
E05B 41/00 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
E03D11/00 A
A47K17/00
E05B65/00 V
E05B41/00 F
(21)【出願番号】P 2020064712
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】516329543
【氏名又は名称】株式会社バカン
(72)【発明者】
【氏名】河野 剛進
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0047457(KR,A)
【文献】特開2002-097700(JP,A)
【文献】特開2003-171969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 11/00 - 11/18
A47K 17/00 - 17/02
E04H 1/12
E05B 41/00,65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
男性用トイレ個室を含む男性用トイレ施設と、女性用トイレ個室を含む女性用トイレ施設と、前記男性用トイレ施設及び前記女性用トイレ施設の両方に隣接する共用トイレ個室に関する情報を管理する情報処理装置であって、
前記男性用トイレ個室、前記女性用トイレ個室それぞれには、利用されているか否かを判定するためのセンサが1つ設置され、前記共用トイレ個室には、利用されているか否かを判定するための第1のセンサ及び第2のセンサが設置され、
前記センサそれぞれが検出した検出結果を取得する取得手段と、
前記検出結果に基づいて、前記男性
用トイレ施設及び前記女性
用トイレ施設の空き状況を示す空室情報を決定する決定手段とを有し、
前記決定手段は、前記共用トイレ個室を前記男性用トイレ施設に含まれるトイレ個室としてみなす場合には、前記男性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果と前記第1のセンサによる検知結果とに基づいて決定された空室情報を配信し、前記女性用トイレ施設に空室情報として前記女性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果に基づいて決定された空室情報を配信し、
前記共用トイレ個室を前記女性用トイレ施設に含まれるトイレ個室としてみなす場合には、前記男性用トイレ施設の空室情報として前記男性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果に基づいて決定された空室情報を配信し、前記女性用トイレ施設の空室情報として前記女性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果と前記第2のセンサによる検出結果とに基づいて決定された空室情報を配信することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記共用トイレ個室が男性用トイレ個室として利用可能であるか女性用トイレ個室として利用可能あるかを検知するための検知装置が設置されており、
前記決定手段は、前記検知装置による結果に応じて、前記共用トイレ個室の利用状況として前記第1のセンサによる検知結果と前記第2のセンサによる検知結果のうちいずれかを参照することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記男性用トイレ施設の個室数、および、前記女性用トイレ施設の個室数を含む前記空室情報として配信し、前記男性用トイレ施設の個室数、および、前記女性用トイレ施設の個室数は、前記検知装置による結果に応じて変わることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
男性用トイレ個室を含む男性用トイレ施設と、女性用トイレ個室を含む女性用トイレ施設と、前記男性用トイレ施設及び前記女性用トイレ施設の両方に隣接する共用トイレ個室に関する情報の管理するシステムであって、
前記共用トイレ個室は、男性用として使用される場合には前記女性用トイレ施設からの入室ができないよう施錠され、女性用として使用される場合には前記男性用トイレ施設からの入室ができないよう施錠され、
前記男性用トイレ個室、前記女性用トイレ個室それぞれには、利用されているか否かを判定するためのセンサが1つ設置され、前記共用トイレ個室それぞれには、利用されているか否かを判定するための第1のセンサ及び第2のセンサが設置され、
前記センサそれぞれが検出した結果に基づいて、前記男性用トイレ施設と前記女性用トイレ施設それぞれの空き状況を示す空き情報を導出する情報処理装置と、
前記情報処理装置から配信される前記空き情報を表示する表示装置を備え、
前記情報処理装置は、前記共用トイレ個室を前記男性用トイレ施設に含まれるトイレ個室としてみなす場合には、前記男性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果と前記第1のセンサによる検知結果とに基づいて決定された空室情報を配信し、前記女性用トイレ施設に空室情報として前記女性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果に基づいて決定された空室情報を配信し、
前記共用トイレ個室を前記女性用トイレ施設に含まれるトイレ個室としてみなす場合には、前記男性用トイレ施設の空室情報として前記男性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果に基づいて決定された空室情報を配信し、前記女性用トイレ施設の空室情報として前記女性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果と前記第2のセンサによる検出結果とに基づいて決定された空室情報を配信するシステム。
【請求項5】
男性用トイレ個室を含む男性用トイレ施設と、女性用トイレ個室を含む女性用トイレ施設と、前記男性用トイレ施設及び前記女性用トイレ施設の両方に隣接する共用トイレ個室に関する情報を管理する情報処理方法であって、
前記男性用トイレ個室、前記女性用トイレ個室、それぞれには、利用されているか否かを判定するためのセンサが1つ設置され、前記共用トイレ個室には、利用されているか否かを判定するための第1のセンサ及び第2のセンサが設置され、
前記センサそれぞれが検出した検出結果を取得する取得ステップと、
前記検出結果に基づいて、前記男性
用トイレ施設及び前記女性
用トイレ施設の空き状況を示す空室情報を決定する決定ステップとを有し、
前記決定ステップは、前記共用トイレ個室を前記男性用トイレ施設に含まれるトイレ個室としてみなす場合には、前記男性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果と前記第1のセンサによる検知結果とに基づいて決定された空室情報を配信し、前記女性用トイレ施設に空室情報として前記女性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果に基づいて決定された空室情報を配信し、
前記共用トイレ個室を前記女性用トイレ施設に含まれるトイレ個室としてみなす場合には、前記男性用トイレ施設の空室情報として前記男性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果に基づいて決定された空室情報を配信し、前記女性用トイレ施設の空室情報として前記女性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果と前記第2のセンサによる検出結果とに基づいて決定された空室情報を配信することを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ施設を管理するための情報処理装置およびトイレ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設の利用状況に応じて、男子用トイレと女子用トイレの配置パターンを自在に変更可能なトイレに関する技術がある。特許文献1は、共用トイレの出入り口を男子用トイレルームの使用者数及び女子用トイレルームの使用者数に応じて切り替えるようにした共用トイレを制御することについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、近年、トイレ施設の個室数や空き状況をデジタルサイネージ等に表示する技術も広まりつつある。しかしながらこのようなトイレ施設においては、トイレ施設に直接訪問しなければ現在共用トイレが男性用として使用されているか女性用として使用されているかを確認することができなかった。そこで本発明は、男子用トイレと女子用トイレの配置パターンを自在に変更可能なトイレ施設において、自動で配置パターンを検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、男性用トイレ個室を含む男性用トイレ施設と、女性用トイレ個室を含む女性用トイレ施設と、前記男性用トイレ施設及び前記女性用トイレ施設の両方に隣接する共用トイレ個室に関する情報を管理する情報処理装置であって、前記男性用トイレ個室、前記女性用トイレ個室それぞれには、利用されているか否かを判定するためのセンサが1つ設置され、前記共用トイレ個室には、利用されているか否かを判定するための第1のセンサ及び第2のセンサが設置され、前記センサそれぞれが検出した検出結果を取得する取得手段と、前記検出結果に基づいて、前記男性トイレ用施設及び前記女性用トイレ施設の空き状況を示す空室情報を決定する決定手段とを有し、前記決定手段は、前記共用トイレ個室を前記男性用トイレ施設に含まれるトイレ個室としてみなす場合には、前記男性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果と前記第1のセンサによる検知結果とに基づいて決定された空室情報を配信し、前記女性用トイレ施設に空室情報として前記女性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果に基づいて決定された空室情報を配信し、前記共用トイレ個室を前記女性用トイレ施設に含まれるトイレ個室としてみなす場合には、前記男性用トイレ施設の空室情報として前記男性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果に基づいて決定された空室情報を配信し、前記女性用トイレ施設の空室情報として前記女性用トイレ個室に設置されたセンサによる検出結果と前記第2のセンサによる検出結果とに基づいて決定された空室情報を配信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、男子用トイレと女子用トイレの配置パターンを自在に変更可能なトイレ施設において、自動で配置パターンを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】共用トイレの属性判定処理を示すフローチャート
【
図7】空室判定処理及び空室情報の配信処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態について、以下の図面を参照して説明する。
【0009】
(実施形態1)
本実施形態においては、トイレの管理システムとして、トイレ施設の個室毎にドアの開閉を検出するセンサを設置し、各個室の利用状況を検出して管理する空席管理システムを例に説明する。ここでトイレ施設には、男性用トイレ施設と女性用トイレ施設の間に、共用トイレ個室も設けられている。共用トイレ個室は、トイレ施設の利用状況に応じて、男性用トイレとして使用されたり、女性用トイレとして使用されたりする。空席管理システムは、共用トイレが男性と女性のどちらのトイレとして使用されているかを判定した上で、トイレ施設の利用状況を管理する。
【0010】
<システム構成>
(ネットワーク構成)
図1は、本実施形態に係る空室管理システムの構成例を示す図である。
図1の空室管理システム100は、空室管理サーバ10、デジタルサイネージ20a、携帯端末20b、扉開閉センサ31、施錠センサ32、及びGW(gateway)33がネットワーク50を介して接続されている。
【0011】
空室管理サーバ10は、デジタルサイネージ20a及び携帯端末20bといった表示装置に、トイレ施設30の空室情報を配信する装置である。配信された空室情報はデジタルサイネージ20a及び携帯端末20bのディスプレイ上に表示される。
【0012】
デジタルサイネージ20aは、施設エントランス、フロア案内壁面などに設置された液晶ディスプレイなどの映像表示装置である。デジタルサイネージ20aは、ネットワーク50を介してクラウド上の空室管理サーバ10と接続され、施設の案内情報、広告、更に各フロアやトイレなどの空室情報を表示する。携帯端末20bは、利用者が所持するスマートフォンやタブレット端末、携帯電話などを含む各種の情報処理装置である。予め汎用のウェブブラウザ又は専用アプリケーションがインストールされている。携帯端末20bは、デジタルサイネージ20aと同様にネットワーク50を介してクラウド上の空室管理サーバ10と接続され、施設の案内情報、広告、更に各フロアやトイレなどの空室情報を表示する。
【0013】
トイレ施設30には、男性用トイレ施設と女性用トイレ施設の間に、共用トイレ個室も設けられている。
図2は、トイレ施設30の概略を示す図である。トイレ施設30には、男性用トイレの出入り口301a及び女性用トイレ出入り口301bがあり、男性用トイレと女性用トイレは互いに分離されている。男性用トイレ施設には個室300a、300b、300cが設置されている。また女性用トイレ施設には、個室300d,300e、300fが設置されている。また、男性用トイレと女性用トイレの間には、共用トイレ310が設置されている。
【0014】
各個室には、扉開閉センサ31a~31h(総称して扉開閉センサ31とも表す)が設置されている。例えばペアのマグネット式センサを扉開閉センサ31として採用する場合、片方を壁側に設置し、もう一方を扉(出入口扉)側に設置することで、ドアの開閉を検出する。各個室の扉は常開で、利用者が利用する際に閉められる。そこで扉開閉センサ31により扉の開閉状態を検出することで、利用者の有無を検出することが可能となる。本実施形態においてドアが開いている場合には、壁側に設置されたセンサと扉側に設置されたセンサ3とは非接触状態にあり、このとき扉開閉センサ31は扉開閉検知信号ONを出力する。即ち、扉開閉センサ31は、空室管理サーバ10に対して、扉34が開いている場合に扉開閉検知信号ONを出力し、扉が閉まっている場合(又は閉まった場合)に扉開閉検知信号OFFを出力するものとする。
【0015】
なお、扉開閉センサ31は必ずしもマグネット式センサに限られるものではなく、スイッチ式センサなどでもよい。即ち空室管理サーバ10に対して、扉が開いている場合と扉が閉まっている場合とで異なる信号を出力可能なセンサを用いることができる。
【0016】
本実施形態における1つの共用個室310には、ドア32a及び32bが設置されている。ドア311a及び311bには、通常の利用者が利用時に扉を閉めるための鍵(以下、通常鍵と呼ぶ)に加えて、一般の利用者が開錠できない鍵(以下、管理用鍵と呼ぶ)も設置されている。トイレ施設30を管理する管理者は、共用個室310を男性用トイレとして使用可能にする場合には、ドア311bの管理用鍵を施錠することで、共用個室310を女性には利用不可能な男性用トイレ個室の1つとして機能させることができる。一方、共用個室310を女性用トイレとして使用可能にする場合には、ドア311aの管理用鍵を施錠することで、共用個室310を男性には利用不可能な女性用トイレ個室の1つとして機能させることができる。
【0017】
さらにドア311a及び311bには、一般の利用者が開錠できない管理用鍵の施錠状態を検出できる施錠センサ32a、32b(総称して施錠センサ32とも表す)が設けられている。ここでは施錠センサ32は、鍵の開け閉めの動きによって微弱な電気を発電し送信する施錠状態を検出するセンサを用いるものとする。施錠センサ32は、鍵が施錠されている場合には、施錠検知信号ONを出力し、鍵が解錠されている場合には、施錠検知信号OFFを出力する。
【0018】
GW33は、多目的トイレ30の扉開閉センサ31及び施錠センサ32に接続されるとともに、ネットワーク50に接続されたルータ等の通信中継機器である。扉開閉センサ31及び施錠センサ32が検出した検出結果は、GW33を介して空室管理サーバ10に送信される。なお、扉開閉センサ31及び施錠センサ32は通信機能一体型でもよく、この場合にGW33は不要としてもよい。ネットワーク50は、有線、無線を含む通信ネットワークである。ネットワーク50は、例えば、インターネット、公衆回線網、WiFi(登録商標)などを含む。
【0019】
(ハードウェア構成)
図3は、本実施形態に係る空室管理サーバのハードウェア構成例を示す図である。空室管理サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、及び通信装置15を有する。
【0020】
CPU11は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM12は、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM13は、CPU11での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。HDD14は、各種データ及びプログラムを格納する。通信装置15は、ネットワーク50を介して他装置との通信を行う。
【0021】
(ソフトウェア構成)
図4は、本実施形態に係る空室管理サーバの機能構成例を示す図である。空室
管理サーバ10は、主な機能部として、受信部101、更新部(空室管理部)102、配信部103、記憶部104、判定部105を有する。受信部101は、トイレ施設30の各個室の扉の開閉を検知する扉開閉センサ31から扉開閉検知信号と、共用個室310の管理用鍵の施錠状態を示す施錠センサ32から施錠検知信号とを受信する。
【0022】
判定部105は、施錠検知信号に基づいて共用個室310が男性用か女性用かを判定する。更新部(空室管理部)102は、受信部101により受信された扉開閉検知信号に応じて、空室管理DB(Data Base)104aにおけるトイレ施設30の空室情報を更新・管理する。空室管理DBは、トイレ施設30の空室情報(空室状況)をリアルタイムに管理するためのデータベースであり、記憶部104に記憶されている。空室管理DBには、個室毎に利用者の有無を示す情報が格納されている。配信部103は、利用者に向けてデジタルサイネージ20aや携帯端末20bに、トイレ施設30の空室情報を配信する。
【0023】
なお、各機能部は、空室管理サーバ10を構成するコンピュータのCPU、ROM、RAM等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。
【0024】
(空室管理DB)
図5は、本実施形態に係る空室管理DBを示す図である。ここでは空室管理DB104aは、「施設ID」、「施設名」、「所在」、「属性」「空室状況」のデータ項目を有する。「施設ID」は、施設毎の各トイレ個室を一意に特定するために付番される固有の識別子を示す。個室300a~cは施設ID「001-1」~「001-3」、個室310は施設ID「001-4」、個室300d~fは施設ID「001-5」~「001-7」に対応づけられているものとする。
【0025】
「施設名」は、当該施設の名称を示す。本実施形態の場合は同じ施設名のみが格納されているが、様々な施設のトイレ施設の空席情報を管理する場合には、異なる複数の施設名が格納されることになる。「所在」は、施設内におけるトイレ施設の所在(場所)を示す。特に大型施設の場合、各階毎や一フロアにも複数のトイレ施設が設置されていることが多い。「空室状況」は、当該多目的トイレの空室状況を示す。具体的に「空室状況」が「0」の場合は空室(利用者は不在であり未使用中)、「1」の場合は満室(利用者が使用中)を示す。上記の「施設ID」、「施設名」、「所在」は、予め管理者等により登録される既知情報である。また、男性用トイレの個室および女性用トイレの個室の「属性」も事前に登録されている。共用トイレ310の「属性」及び各個室の「空室状況」は、空室管理サーバ10によりリアルタイムに更新される。
【0026】
<情報処理>
図6は、本実施形態に係る空席管理サーバー10における判定部105が実行する共用トイレの属性判定処理を示すフローチャートである。判定部105は、CPU11が
図5に示すフローチャートを実現可能なプログラムを読み出して実行することにより各ステップが実現される。以下において各ステップを「S」と表記することとする。
【0027】
まずS501において判定部105は、施錠センサ32の最新の施錠検知信号のステータスを取得する。なお本実施形態では、各施錠センサ32は一定の時間ごとに管理用鍵の施錠状態を示す施錠検知信号を空席管理サーバーにGW33を介して送信しているものとする。受信部101は、各施錠センサ32から最後に送信された施錠検知信号を記憶しておき、判定部105は最新の施錠検知信号を参照する。
【0028】
S502において判定部105は、施錠センサ32aの施錠検知信号がONであるか否かを判定する。ONである場合にはS503に、OFFである場合にはS506に進む。S503において施錠センサ32bの施錠検知信号がOFFかどうかを判定する。OFFであった場合には、S304に進み、女性用トイレ側のドアのみが利用可能であるため、共用トイレ310の属性を「女性」に設定する。S503において施錠センサ32bの施錠検知信号がONであった場合にはS505に進む。S505において判定部105は、共用トイレ310の管理用鍵が両方とも施錠されている状態であるため、共用トイレ310の属性を「使用不可」として設定する。
【0029】
S506において判定部105は、施錠センサ32bの施錠検知信号がONであるか否かを判定する。ONである場合にはS507に、OFFである場合にはS508に進む。S507においては、施錠センサ32aの施錠検知信号がOFFであり、施錠センサ32bの施錠検知信号がONの状態である。そこでS507において判定部105は、共用トイレ310は男性用トイレ側のドアのみが利用可能であるため、共用トイレ310の属性を「男性」に設定する。S508においては、施錠検知信号がいずれもOFFであることを示す状態である。これは、実際に共用トイレの管理鍵が両方施錠されていないか、あるいは施錠センサ32のいずれかに故障やエラーが発生している可能性があるため、S508において判定部105は、警告通知を管理用の携帯端末20bなどに行うための処理を実行する。
【0030】
以上の処理により、判定部105は、共用トイレ310の属性を判定する。
図5に示す処理は、一定時間おきに実行させても良いし、曜日によって共用トイレの属性が変更される場合は、施設の利用開始前に実行するようにしても良い。
【0031】
次に、本実施形態に係る空室判定処理及び空室情報の配信処理について説明する。
図7(a)は、更新部102が実行する空室判定処理のフローチャートである。S701において更新部102は、受信部101が新たに開閉検知信号を受信するか否かを判定し、受信した場合S702に進む。S702において更新部107は、受信した開閉検知信号と識別情報に基づいて、空室管理DBの空室情報を更新する。例えば、施設IDが「001-1」である識別情報に対応づく開閉検知信号でOFFを示す信号が取得されたとする。この時トイレ個室300aは、利用者が利用中であるので、更新部102は、空室管理DBのうち施設IDが「001-1」の空室状況を「1」に設定する。以上の処理により、空室管理サーバー10は、各個室の利用状況をリアルタイムに検出する。
【0032】
図7(b)は、配信部103が実行する空室情報の配信処理について説明する。以下の処理は、予め設定された所定時間おき(例えば3分おき)に実行しても良いし、配信先の携帯端末20aなどからのリクエスト要求に応じて失効しても良い。
【0033】
まずS703において配信部103は、空席管理DBから処理対象のトイレ施設を「所在」から検索し、そのうち属性が「男性」である個室数をカウントする。ここでカウントした個室数を、男性用トイレ総数とする。また、S704において配信部301は、S703においてカウントした個室のうち、「空室状況」が「0」である個室の数をカウントする。ここでカウントした個室数を男性用トイレ空き数とする。
【0034】
次にS705において配信部103は、空席管理DBから処理対象のトイレ施設を「所在」に基づいて検索し、そのうち属性が「女性」である個室数をカウントする。ここでカウントした個室数を、女性用トイレ総数とする。また、S706において配信部103は、S705においてカウントした個室のうち、「空室状況」が「0」である個室の数をカウントする。ここでカウントした個室数を女性用トイレ空き数とする。
【0035】
S707において配信部103は、S703~S706において集計した結果に基づいて配信情報を生成する。本実施形態においては、
図8に示すような配信画像を生成する。配信画像には、男性用トイレ総数および男性用トイレ空き数、女性用トイレ総数及び女性用トイレ空き数が表示されている。また配信部103は、各トイレ施設の利用状況(総数に対する空き数の比率)に応じて、「空きあり」や「満室」を配信画像に表示させる。配信部103は、生成した配信画像を空室情報としてデジタルサイネージ20a及び携帯端末20bに配信する。
例えば、本実施形態においては、判定部105によって共用トイレ310が男性用トイレとして使用されていると判定された場合には、男性用トイレ総数が4、女性用トイレ総数が3として算出される。
【0036】
以上の通り、本実施形態によれば、トイレ施設のうち共用トイレを時間帯や曜日によって男性用として使用したり女性用として使用したり設定可能な場合であっても、自動で共用トイレの属性を検知し、配信することができる。これにより、ビル管理者や一般利用者は、トイレ施設における性別ごとに利用可能なトイレ数や利用状況をリアルタイムに確認することができる。
【0037】
(変形例)
実施形態1では、管理用鍵を設けることで共用トイレの使用を設定し、施錠センサによる検出結果に基づいて共用トイレの属性を判定する方法について説明した。しかしながらこの方法に限定されない。例えば
図9は、共用トイレ310の両サイドに折りたたみ式のパーティション900aと900bが収納されている。共用トイレ310を男性用トイレとして使用する場合には、パーティション900bを点線に沿って配置し、女性用トイレとして使用する場合には、パーティション900aを点線に沿って配置する。さらに、パーティションの設定を検出するために、パーティションを配置した場合に接触する壁側に、マグネット式センサ910aと910bが設置されている。各マグネット式センサ910a及び910は、ペアとなるマグネットがパーティション900aと900b側にも設置されており、パーティションを閉じた場合には、マグネットとマグネット式センサとが接触するようになっている。各マグネット式センサ910a及び910は、マグネットとの接触を検出すると、検出結果を空室管理サーバー10にGW33を介して送信する。
【0038】
空室管理サーバ10の判定部105は、マグネット式センサ910aから送信された検出結果のみ、マグネットと接触したことを示す場合には、共用トイレ310の属性を「女性」と判定する。一方、マグネット式センサ910bから送信された検出結果のみ、マグネットと接触したことを示す場合には、共用トイレ310の属性を「男性」と判定する。このような構成でも、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0039】
図9に示すようなトイレ施設の場合、他の検出方法として、パーティションが収納されている場合には接触せず、閉められた場合にのみ接触する床部分に重量センサを設置することで、パーティションの開閉状態を検出しても良い。あるいは、距離センサを用いて、判定部105はどちらのパーティションが閉められているかを距離に応じて判定するようにしても良い。
【0040】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、共用トイレが1つのみの場合を例に説明したが、これに限らず、共用トイレが複数設置されていても良い。この場合、各共用トイレの個室に属性を判定するために検出するセンサが設置され、判定部105は、共用トイレごとに属性を判定する。
【0041】
なお、上述の実施形態のように各個室の利用状況を検出する場合、検出方法はドアの開閉センサを用いた方法に限定されず、公知の検出方法を用いることができる。また、トイレ施設としてさらに、多目的トイレなどが併設されていても良いことは言うまでもない。
【0042】
なお、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【符号の説明】
空室管理サーバ10
受信部101
更新部102
配信部103
空室管理DB 104a
判定部105