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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】支援システム
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/10 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
F04B49/10 311
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021064068
(22)【出願日】2021-04-05
(65)【公開番号】P2022159709
(43)【公開日】2022-10-18
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕大
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-180349(JP,A)
【文献】特開2003-263475(JP,A)
【文献】特開2017-097666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置に通信可能なポンプ装置と、前記管理装置及び前記ポンプ装置に通信可能な担当者端末に実行されるプログラムとを備えた支援システムであって、
前記ポンプ装置は、
ポンプのうちでメンテナンスが必要な部位を検出し、前記部位と前記ポンプの識別情報とを含むメンテナンス通知を発行する発行部と、
前記メンテナンス通知を送信する通知通信部と、
を備え、
前記プログラムは、
前記送信されたメンテナンス通知に応じて前記管理装置から前記識別情報に対応する担当者端末に送信されたメンテナンス情報であって、前記部位に対するメンテナンス方法を示す動画データ及び音声データの少なくとも一方を含む前記メンテナンス情報を当該担当者端末の出力部に出力させる出力制御部、
として当該担当者端末を機能させ
前記管理装置は、
ポンプ装置のメンテナンスが必要な部位と、前記部位に対するメンテナンス方法を示す動画データ及び音声データの少なくとも一方を含むメンテナンス情報であって、作業経験済みの部位に対する第1のメンテナンス情報と、前記作業経験済みでない部位に対する第2のメンテナンス情報との各々を含む前記メンテナンス情報とを関連付けて記憶する第1記憶部と、
前記ポンプ装置の識別情報と、前記メンテナンス情報の送信先とを関連付けて記憶する第2記憶部と、
前記送信先と、前記送信先に対応する担当者の作業経験済みの部位を示す作業経験情報とを関連付けて記憶する第3記憶部と、
前記メンテナンス通知内の識別情報に基づいて前記第2記憶部内の送信先を読み出す第1読出部と、
前記メンテナンス通知内の部位及び前記読み出した送信先に基づいて前記第3記憶部内の作業経験情報を検索し、当該検索した結果に基づいて、前記第1のメンテナンス情報又は前記第2のメンテナンス情報を前記第1記憶部から読み出す第2読出部と、
を備え、
前記出力されるメンテナンス情報は、前記メンテナンス通知に応じて検索された作業経験情報に基づいて読み出された作業経験済みの部位に対する第1のメンテナンス情報、又は前記作業経験済みでない部位に対する第2のメンテナンス情報である、支援システム。
【請求項2】
前記第2のメンテナンス情報は、前記メンテナンスが必要な部位に対するメンテナンス方法を示す動画データ及び音声データの少なくとも一方を含み、
前記第1のメンテナンス情報は、前記第2のメンテナンス情報を要約した情報である、請求項1に記載の支援システム。
【請求項3】
前記出力制御部は、
前記メンテナンス通知の一覧を前記ポンプ装置から取得する取得部と、
前記取得したメンテナンス通知の一覧を前記担当者端末の表示部に表示させ、当該表示させた一覧内のメンテナンス通知を選択する操作に応じて当該選択されたメンテナンス通知に対応する前記メンテナンス情報を前記出力部に出力させる選択制御部と、
を含んでいる、請求項1又は2に記載の支援システム。
【請求項4】
前記通知通信部は、前記管理装置とは遠距離通信を行い、前記担当者端末とは近距離通信を行う、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の支援システム。
【請求項5】
前記担当者端末は、表示器及びスピーカを有して担当者に装着可能な表示器付きスピーカに接続され、
前記プログラムは、前記メンテナンス情報内の動画データを前記表示器に表示させ、前記メンテナンス情報内の音声データを前記スピーカに出力させる外部出力部、
として前記担当者端末を機能させる、請求項1乃至のいずれか一項に記載の支援システム。
【請求項6】
前記ポンプ装置は、
前記送信したメンテナンス通知をクリアする命令を受け付ける受付部と、
前記受け付けた命令に基づいて前記発行部による現在の検出結果を確認し、前記メンテナンス通知内の部位のメンテナンスが不要な場合、前記送信したメンテナンス通知をクリアするクリア部と、
を備えた請求項1乃至のいずれか一項に記載の支援システム。
【請求項7】
前記受付部は、前記ポンプ装置の操作部から入力された前記命令又は前記管理装置から送信された前記命令を受け付ける、請求項に記載の支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置のメンテナンスの支援に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポンプ装置のメンテナンスにおいては、担当者の高齢化、後継者不足により、様々な作業に対する専門知識を備えた熟練の担当者が不足してきている。これに対し、専門知識の不足した担当者による作業を、熟練の担当者が支援することにより、専門知識の不足を補うことが考えられる。
【0003】
しかしながら、異なる設置場所でのメンテナンスの要望が重なる場合や熟練の担当者の残業時間が多い場合などには、熟練の担当者による支援ができず、専門知識の不足を補うことが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-180349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ポンプ装置のメンテナンス作業に対する専門知識の不足を補うことが可能な支援システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る支援システムは、管理装置に通信可能なポンプ装置と、前記管理装置及び前記ポンプ装置に通信可能な担当者端末に実行されるプログラムとを備えている。前記ポンプ装置は、ポンプのうちでメンテナンスが必要な部位を検出し、前記部位と前記ポンプの識別情報とを含むメンテナンス通知を発行する発行部と、前記メンテナンス通知を送信する通知通信部と、を備えている。前記プログラムは、出力制御部、として当該担当者端末を機能させる。前記出力制御部は、前記送信されたメンテナンス通知に応じて前記管理装置から前記識別情報に対応する担当者端末に送信されたメンテナンス情報であって、前記部位に対するメンテナンス方法を示す動画データ及び音声データの少なくとも一方を含む前記メンテナンス情報を当該担当者端末の出力部に出力させる。前記管理装置は、ポンプ装置のメンテナンスが必要な部位と、前記部位に対するメンテナンス方法を示す動画データ及び音声データの少なくとも一方を含むメンテナンス情報であって、作業経験済みの部位に対する第1のメンテナンス情報と、前記作業経験済みでない部位に対する第2のメンテナンス情報との各々を含む前記メンテナンス情報とを関連付けて記憶する第1記憶部と、前記ポンプ装置の識別情報と、前記メンテナンス情報の送信先とを関連付けて記憶する第2記憶部と、前記送信先と、前記送信先に対応する担当者の作業経験済みの部位を示す作業経験情報とを関連付けて記憶する第3記憶部と、前記メンテナンス通知内の識別情報に基づいて前記第2記憶部内の送信先を読み出す第1読出部と、前記メンテナンス通知内の部位及び前記読み出した送信先に基づいて前記第3記憶部内の作業経験情報を検索し、当該検索した結果に基づいて、前記第1のメンテナンス情報又は前記第2のメンテナンス情報を前記第1記憶部から読み出す第2読出部と、を備えている。前記出力されるメンテナンス情報は、前記メンテナンス通知に応じて検索された作業経験情報に基づいて読み出された作業経験済みの部位に対する第1のメンテナンス情報、又は前記作業経験済みでない部位に対する第2のメンテナンス情報である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポンプ装置のメンテナンス作業に対する専門知識の不足を補うことが可能な支援システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る支援システム及び管理装置を含む管理システムを例示するブロック図。
図2図1の管理サーバを例示するブロック図。
図3図1の管理サーバに用いられる第1データテーブルを例示する模式図。
図4図1の管理サーバに用いられる第2データテーブルを例示する模式図。
図5図1の管理サーバに用いられる第3データテーブルを例示する模式図。
図6図1のポンプ装置を例示するブロック図。
図7図1の担当者端末を例示するブロック図。
図8図7の担当者端末に接続可能な表示器付きスピーカを例示するブロック図。
図9】一実施形態における動作を例示するシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施形態の説明を述べる。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0011】
なお、以降の説明において便宜上、管理対象となる機器をポンプ装置とするが、ポンプ装置は建物に給水する給水装置の他、消火ポンプ、排水水中ポンプ、清水水中ポンプなど、制御盤を搭載するポンプ装置であれば、用途を限定しない。
【0012】
<一実施形態>
図1は、一実施形態に係る支援システム及び管理装置を含む管理システムを例示するブロック図である。この管理システムは、社内サーバとしての管理サーバ1と、クラウドサーバとしての管理サーバ2と、ポンプ装置5-1、5-2、5-3、5-4、・・・と、メンテナンス担当者がもつ担当者端末7-1、7-2、7-3、7-4、・・・とを備えている。ここで、管理サーバ2は、管理装置の一例である。ポンプ装置5及び担当者端末7のプログラムは支援システムの一例である。
【0013】
なお、図1における各装置の数は例示に過ぎない。例えば、管理サーバ1は、複数台のサーバとして冗長化されてもよい。ポンプ装置5の台数は任意であるので、4台より多くても少なくてもよい。
【0014】
管理サーバ1は、例えばポンプ装置5を生産、販売および/または保守する業者によって運用されるオンプレミスサーバである。管理サーバ1は、管理サーバ2と連携して、運転データを集中管理および利活用し得る。管理サーバ1は、例えば、新たに製造されたポンプ装置5の製造番号の登録を管理サーバ2に要求してもよい。
【0015】
管理サーバ2は、例えばクラウドサーバであって、各ポンプ装置5から運転データを収集し、これらを集約して蓄積する。例えば、管理サーバ2は、ポンプ装置5の個体識別情報に相当する製造番号に紐付けて当該ポンプ装置5に関する運転データを蓄積してもよい。また、管理サーバ2は、蓄積した運転データの利活用を行ってもよい。なお、クラウドサーバおよびオンプレミスサーバを併用することはオプションであり、管理サーバ1及び管理サーバ2はそのどちらかに統合させることもできる。本明細書中では、理解を容易にする観点から、管理サーバ1を統合させた管理サーバ2により、ポンプ装置5及び担当者端末7を管理する場合を例に挙げて述べる。
【0016】
管理サーバ2は、ポンプ装置5及び担当者端末7を管理する情報処理装置であって、ポンプ装置5及び担当者端末7に通信可能となっている。管理サーバ2は、図2に例示するように、近距離通信器21、遠距離通信器22、インタフェース23、メモリ25及びプロセッサ26を備えている。プロセッサ26は、後述するように、受信部261、処理部262、送信部263等の機能を実現可能となっている。但し、プロセッサ26内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。
【0017】
ここで、近距離通信器21は、プロセッサ26により制御され、例えば、近距離無線通信技術を用いて、ポンプ装置5及び担当者端末7などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、近距離通信器21は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)などの(近距離)無線通信技術を用いて、ポンプ装置5及び担当者端末7等の外部装置に接続可能となっている。近距離通信器21は、USB(Universal Serial Bus)などの有線通信技術を用いて、担当者端末7やポンプ装置5等の外部装置に接続しても良い。
【0018】
遠距離通信器22は、プロセッサ26により制御され、例えば、遠距離無線通信技術を用いて、担当者端末7やポンプ装置5などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、遠距離通信器22は、例えば、移動通信(3G、4G、5G)、LTE(登録商標)(Long-Term Evolution)、Wimax、sigfox(登録商標)などの無線通信技術を用いて、ネットワーク経由で担当者端末7やポンプ装置5等の外部装置に接続可能となっている。
【0019】
インタフェース23は、ネットワーク、典型的にはインターネット経由で、図示しない他の装置(他の管理サーバ1、2等)と通信をする通信インタフェースである。
【0020】
メモリ25は、プロセッサ26が各処理を実現するために当該プロセッサ26によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ26によって使用されるデータ、などを記憶する。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS(Operating System)、ポンプ管理プログラムなどが適宜、記憶される。データとしては、例えば、コード、図3乃至図5に例示するテーブルなどが適宜、記憶される。メモリ25は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAM(Random Access Memory)を含み得る。メモリに記憶されるテーブルとしては、例えば図3乃至図5に例示するように、第1データテーブルT1、第2データテーブルT2、第3データテーブルT3などが適宜、使用可能となっている。なお、各データテーブルの名称は、適宜、変更して構わない。同様に、各データテーブル内のデータの名称は、適宜、変更して構わない。例えば、「交換部品」は「交換部品データ」又は「交換部品情報」と呼んでもよい。また、各テーブルは、適宜、統合してもよい。あるいは、各テーブルは、ポンプ装置5の製造番号(識別情報)に関連付けられていれば、適宜、分割してもよい。また、各テーブルは、適宜、他のデータを記録してもよい。
【0021】
ここで、第1データテーブルT1は、図3に例示するように、ポンプ装置5の故障コードと、故障コードに対応する交換部品と、故障コードに対応するメンテナンス情報とが関連付けられて記録される。故障コードは、ポンプ装置5の故障を識別するコードであり、ポンプ装置5のメンテナンスが必要な部位を示す情報の一例である。交換部品は、当該メンテナンスが必要な部位の一部又は全部に対応する交換部品を識別するデータであり、必ずしも消耗部品を識別するデータに限らず、消耗部品以外の部品を識別するデータの場合もある。メンテナンス情報は、当該故障コード(部位)に対するメンテナンス方法を示す動画データ及び音声データの少なくとも一方を含む情報であり、この例では、動画データ及び音声データの両方を含んでいる。また、動画データの例としては、拡張現実(Augmented Reality(AR))技術を用いたAR動画データを用いているが、AR動画データには限定されない。AR動画データとしては、例えば、3Dデータから分解図や分解手順を含む作業手順を表すデータが使用可能となっている。音声データとしては、例えば、分解手順を含む作業手順や、作業手順を補足説明する作業内容のデータが使用可能となっている。また、この例では、メンテナンス情報は、作業経験済みの部位に対する第1のメンテナンス情報と、作業経験済みでない部位に対する第2のメンテナンス情報とを含んでいるが、これに限定されない。例えば、メンテナンス情報は、作業経験の項目を省略し、第1のメンテナンス情報及び第2のメンテナンス情報のうちのいずれか一方としてもよい。作業経験の項目に対応する値として、模式的に「経験済み」「未経験」を用いているが、この値は、作業経験を示すフラグの「1」「0」に置き換えて構わない。第1のメンテナンス情報は、作業経験のある担当者向けのための簡易版であり、例えば、第2のメンテナンス情報を要約して作成されている。第2のメンテナンス情報は、作業経験が実質的にない担当者(例、0~2回の作業経験)向けの詳細版であり、例えば、熟練の担当者による作業の実演(動画)や説明(動画/音声)を含んで作成されている。「なお、作業経験のある担当者」は、作業経験回数がしきい値以上の担当者を意味している。また、「作業経験が実質的にない担当者」は、作業経験回数がしきい値未満の担当者を意味している。また、この例では、第1のメンテナンス情報は、第1のAR動画データ及び第1の音声データの両方を含むが、これに限らず、少なくとも一方を含めばよい。同様に、この例では、第2のメンテナンス情報は、第2のAR動画データ及び第2の音声データの両方を含むが、これに限らず、少なくとも一方を含めばよい。第1データテーブルT1及びメモリ25は、第1記憶部の一例である。
【0022】
第2データテーブルT2は、図4に例示するように、ポンプ装置5の識別情報としてのポンプ装置ID(Identification Data)と、メンテナンス情報の送信先としての送信先IDとが関連付けられて記録される。ポンプ装置IDは、例えば、ポンプ装置5の個体識別情報に相当する製造番号を含んでおり、適宜、ポンプ装置5の機種を表す型番・品番などを更に含み得る。なお、ポンプ装置IDは製造番号を含めばよいので、型番・品番はポンプ装置IDとは別の情報要素として関連付けて記録してもよい。これらの情報により、対象設備がどの製品のどの個体であるのかを識別することが可能となる。送信先IDとしては、ポンプ装置5のメンテナンス担当者がもつ担当者端末7のアドレス情報が典型的であるが、これに限らず、メンテナンス担当者が属する職場の共有端末のアドレス情報としてもよい。第2データテーブルT2及びメモリ25は、第2記憶部の一例である。
【0023】
第3データテーブルT3は、図5に例示するように、送信先としての送信先IDと、当該送信先に対応する担当者の作業経験済みの部位を示す作業経験情報とが関連付けられて記録される。これに限らず、第3データテーブルT3は、メンテナンス担当者を識別する担当者ID、メンテナンス担当者の担当地域、メンテナンス担当者の予定、といった担当者情報を更に関連付けて記録してもよい。ここで、作業経験情報は、前述同様に、部位を示す情報の一例として故障コードを含んでおり、作業経験の項目に対する値として経験済みを用いている。但し、作業経験情報は、作業経験済みの部位を示す情報であるので、作業経験の項目及び値を省略してもよい。第3データテーブルT3及びメモリ25は、第3記憶部の一例である。
【0024】
プロセッサ26は、典型的にはCPU(Central Processing Unit)であるが、マイコン、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ26は、ポンプ装置5を管理する処理を実行するものである。プロセッサ26は、メモリ25に保存されたプログラムを実行することで、図2の受信部261、処理部262、送信部263として機能し得る。また、プロセッサ26は、他にも通信接続機能(図示せず)を有している。ここでいう通信接続機能は、遠距離通信器22を介して、ポンプ装置5又は担当者端末7との遠距離無線通信の接続を確立する。また、通信接続機能は、近距離通信器21を介して、ポンプ装置5又は担当者端末7との近距離無線通信の接続を確立する。但し、通信接続機能は、一般的に管理サーバ2から遠く離れた場所にポンプ装置5が設置されることから、近距離無線通信を確立することよりも、遠距離無線通信を確立することの方が多い。また、通信接続機能は、ポンプ装置5又は担当者端末7との接続を確立するための何らかのデータ、例えばポンプ装置5から点検時又は故障時に送信されるリクエスト、又は担当者端末7から送信されるリクエスト、を受信することもあり得る。以下、特に述べないが、受信部261及び送信部263とポンプ装置5や担当者端末7との間の通信に先行して、通信接続機能による接続の確立が行われている。
【0025】
受信部261は、ポンプ装置5からポンプ装置ID(識別情報)及び故障コード(メンテナンスが必要な部位)を含むメンテナンス通知を受信する。
【0026】
処理部262は、メンテナンス通知内のポンプ装置IDに基づいて第2データテーブルT2内の送信先IDを読み出す。また、処理部262は、メンテナンス通知内の故障コードに基づいて第1データテーブルT1内のメンテナンス情報を読み出す。このとき、処理部262は、メンテナンス通知内の故障コードに基づいて第1データテーブルT1内のメンテナンス情報及び交換部品を読み出してもよい。また、メンテナンス情報として、第1及び第2のメンテナンス情報の各々が第1データテーブルにある場合には、処理部262は、メンテナンス通知内の故障コード及び読み出した送信先IDに基づいて第3データテーブルT3内の作業経験情報を検索する。また、処理部262は、当該検索した結果に基づいて、第1のメンテナンス情報又は第2のメンテナンス情報を第1データテーブルT1から読み出す。例えば、当該検索した結果、作業経験情報が得られた場合には、第1のメンテナンス情報を第1データテーブルT1から読み出す。一方、検索した結果、作業経験情報が得られなかった場合には、第2のメンテナンス情報を第1データテーブルT1から読み出す。なお、管理サーバ2は、担当者が当該作業を複数回行ったことがあり、ミスが無い場合(例、過去の作業において、メンテナンス通知のクリアが円滑だった場合)にはメンテナンス情報を初心者用からベテラン用に変更し、通知することも可能である。また、メンテナンス情報は、第1及び第2のメンテナンス情報の各々がある場合に限らず、第1及び第2のメンテナンス情報のうちのいずれか一方を省略してもよい。この場合、第3データテーブルT3も併せて省略可能である。処理部262は、第1読出部及び第2読出部の一例である。
【0027】
送信部263は、当該読み出したメンテナンス情報を、当該読み出した送信先IDに基づいて送信する。また、処理部262がメンテナンス情報及び交換部品を読み出した場合には、送信部263は、当該読み出したメンテナンス情報及び交換部品を、当該読み出した送信先IDに基づいて送信する。
【0028】
一方、ポンプ装置5は、管理サーバ2及び担当者端末7に通信可能な装置である。係るポンプ装置5は、例えば、建物に給水する給水装置であり,水道本管に直結され、水道本管を流れる水を直接増圧し、建造物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する、いわゆる直結増圧型給水装置であり得る。
【0029】
このポンプ装置5は、図6に例示するように、制御盤50と、ポンプ部60と、図示されない吸込配管および吐出配管とを含む。ポンプ装置5は、ポンプ部60により、吸込配管を介して一次側にある水を取り込み、吐出配管を介して二次側へ給水する。吸込配管は、例えば、水道本管から分岐された水道分管およびポンプ部60を接続する。吐出配管は、ポンプ部60とその二次側の給水先とを接続する。
【0030】
なお、ポンプ装置5は、複数台のポンプ部60を含んでいてもよい。この場合に、ポンプ装置5は、複数台のポンプ部60を交互に駆動する交互運転、複数台のポンプ部60を同時に駆動する並列運転、などを行うことができる。また、図6の例では、ポンプ部60は給水用のポンプであるが、これに限らず、任意の種類のポンプに置き換えられてよい。すなわち、ポンプ装置5は、建物に給水する給水装置の他、消火ポンプ、排水水中ポンプ、清水水中ポンプなど、制御盤を搭載するポンプ装置であれば、用途を限定しない。
【0031】
制御盤50は、ポンプ部60(のモータ)と電気的に接続され、当該ポンプ部60を制御する。具体的には、制御盤50は、各種センサからのセンシング信号に基づいて、インバータ54を介してポンプ部60のモータの駆動を制御する。
【0032】
例えば、制御盤50は、ポンプ装置5の吸込配管および吐出配管に取り付けられポンプの吸込圧力および吐出圧力を検出可能な圧力センサからのセンシング信号に基づいて、ポンプの運転中に例えば推定末端圧力一定制御または目標圧力一定制御を行い得る。また、制御盤50は、ポンプの運転中にモータを所望の回転数で駆動するように制御することができ、必要に応じてモータの回転数を増減させる。
【0033】
さらに、制御盤50は、ポンプ部60に含まれるポンプの二次側の配管に取り付けられ当該配管に流れる水の流量を検出可能な流量センサからのセンシング信号に基づいて、流量が小水量であることを検知するとポンプを停止させ得る。そして、制御盤50は、圧力センサからのセンシング信号に基づいてポンプの二次側の圧力が予め定められた始動圧力以下に低下したことを検知すると、ポンプを再駆動する。
【0034】
さらに、制御盤50は、かかるポンプ部60の制御に加えて運転データの出力を行う。詳細は後述するが、制御盤50は、ポンプ部60から運転データを取得し、コード化して出力することで、例えばBluetooth(登録商標)、NFC、Wi-Fi、ケーブル接続、などの通信を必要とせずに、例えば担当者が所持するスマートフォンなどの担当者端末7に運転データを取得させることができる。
【0035】
制御盤50は、近距離通信器51、遠距離通信器52、入力機器53、インバータ54、インタフェース55、表示機器56、メモリ57及びプロセッサ58を備えている。また、制御盤50のインタフェース55は、ポンプ部60に接続される。なお、入力機器53及び/又は表示機器56は、制御盤50とは別体であってもよいし、制御盤50に組み込まれていてもよい。
【0036】
近距離通信器51は、プロセッサ58により制御され、例えば、近距離無線通信技術を用いて、管理サーバ2又は担当者端末7などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、近距離通信器51は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、NFCなどの(近距離)無線通信技術を用いて、外部装置に接続可能となっている。近距離通信器51は、近距離無線通信部と呼んでもよい。また、近距離通信器51は、USBなどの有線通信技術を用いて、外部装置に接続しても良い。
【0037】
遠距離通信器52は、プロセッサ58により制御され、例えば、遠距離無線通信技術を用いて、管理サーバ2又は担当者端末7などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、遠距離通信器52は、例えば、移動通信(3G、4G、5G)、LTE(登録商標)(Long-Term Evolution)、Wimax、sigfox(登録商標)などの無線通信技術を用いて、ネットワーク経由で外部装置に接続可能となっている。遠距離通信器52は、遠距離無線通信部と呼んでもよい。
【0038】
入力機器53は、例えば、操作パネル、タッチパネル、キーボード、マウス、などの、担当者の操作に応じた入力を受け付ける装置と、圧力センサ、マイクロホン、カメラなどのセンサとを含み得る。
【0039】
インバータ54は、プロセッサ58からインバータ制御信号を受け取る。インバータ54は、このインバータ制御信号に応じて動作する。例えば、インバータ54は、運転停止信号または運転開始信号に相当するインバータ制御信号に応じて運転を停止または開始し得る。また、インバータ54は、回転数制御信号に相当するインバータ制御信号に応じて、その担当するモータの回転数を制御し得る。
【0040】
表示機器56は、典型的には液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイなどの表示デバイスを含み得るが、表示デバイスの代わりにまたは表示デバイスに加えて、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)点灯部などを含み得る。
【0041】
メモリ57は、プロセッサ58が各処理を実現するために当該プロセッサ58によって実行されるプログラムおよび当該プロセッサ58によって使用されるデータなどを記憶する。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、ポンプ制御プログラムなどが適宜、記憶される。データとしては、例えば、コード、テーブルなどが適宜記憶される。メモリ57は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。メモリ57に記憶されるテーブルとしては、例えば、管理サーバ2に送信したメンテナンス通知の一覧などが適宜、使用可能となっている。
【0042】
プロセッサ58は、典型的にはマイコンであるが、CPU、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ58は、例えば、入出力制御、ポンプ制御、ユーザ認証、運転データの抽出、運転データのコード化、などを行う。
【0043】
プロセッサ58は、メモリ57に保存されたプログラムを実行することで、図6の発行部581、通知通信部582、受付部583、クリア部584等として機能し得る。なお、受付部583、クリア部584は、任意の付加的事項であり、省略してもよい。また、プロセッサ58内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。また、プロセッサ58は、他にも通信接続機能(図示せず)や、前述した制御盤50による様々な制御機能や監視機能を有している。ここでいう通信接続機能は、遠距離通信器52を介して、管理サーバ2又は担当者端末7との遠距離無線通信の接続を確立する。また、通信接続機能は、近距離通信器51を介して、管理サーバ2又は担当者端末7との近距離無線通信の接続を確立する。但し、通信接続機能は、一般的に管理サーバ2から遠く離れた場所にポンプ装置5が設置されることから、担当者端末7との間で近距離無線通信を確立し、管理サーバ2との間で遠距離無線通信を確立する場合が多い。通信接続機能は、担当者端末7とポンプ装置5との接続を確立するための何らかのデータ、例えばポンプ装置5及び担当者端末7がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、スキャナとしての担当者端末7からのリクエスト、を受信することもあり得る。以下、特に述べないが、通知通信部582とポンプ装置5や担当者端末7との間の通信に先行して、通信接続機能による接続の確立が行われている。
【0044】
発行部581は、ポンプのうちでメンテナンスが必要な部位を故障コードとして検出し、当該故障コードとポンプ装置IDとを含むメンテナンス通知を発行する。この検出は、例えば、図示しないセンサから入力された信号に基づいて実行可能となっている。
【0045】
通知通信部582は、当該メンテナンス通知を送信する。メンテナンス通知の送信先は、管理サーバ2であるが、これに限定されない。例えば、通知通信部582は、担当者端末7から受けた取得要求に応じて、当該メンテナンス通知の一覧を担当者端末7に送信してもよい。メンテナンス通知の一覧は、発行部581により発行されたメンテナンス通知であって、クリア部584によりクリアされていない1つ以上のメンテナンス通知を含んでいる。
【0046】
受付部583は、通知通信部582により送信したメンテナンス通知をクリアする命令を受け付ける。例えば、受付部583は、担当者の操作に応じて、入力機器53から入力された当該命令を受け付ける。これに限らず、受付部583は、管理サーバ2から送信された当該命令を受け付けてもよい。
【0047】
クリア部584は、当該受け付けた命令に基づいて発行部581による現在の検出結果を確認し、メンテナンス通知内の故障コードに応じたメンテナンスが不要な場合、送信したメンテナンス通知をクリアする。
【0048】
一方、担当者端末7は、ポンプ装置5と、ポンプ装置5を管理する管理サーバ2とに通信可能な情報処理装置である。担当者端末7は、例えば、PC、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、フィーチャーフォンなど)などであり得るが、これらに限られない。
【0049】
このような担当者端末7は、図7に例示するように、近距離通信器71、遠距離通信器72、入力機器73、出力機器74、メモリ75及びプロセッサ76を備えている。プロセッサ76は、後述するように、出力制御部761、外部出力部762等の機能を実現可能となっている。また、プロセッサ76は、他にも通信接続機能(図示せず)や、通常のPC又はモバイル端末における情報処理機能(図示せず)を有している。
【0050】
ここで、近距離通信器71は、プロセッサ76により制御され、例えば、近距離無線通信技術を用いて、図8の表示器付きスピーカ8や管理サーバ2やポンプ装置5などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、近距離通信器71は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、NFCなどの(近距離)無線通信技術を用いて、管理サーバ2やポンプ装置5等の外部装置に接続可能となっている。また、近距離通信器71は、USBなどの有線通信技術を用いて、表示器付きスピーカ8や管理サーバ2やポンプ装置5等の外部装置に接続してもよい。
【0051】
遠距離通信器72は、プロセッサ76により制御され、例えば、遠距離無線通信技術を用いて、管理サーバ2やポンプ装置5などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、遠距離通信器72は、例えば、移動通信(3G、4G、5G)、LTE(登録商標)(Long-Term Evolution)、Wimax、sigfox(登録商標)などの無線通信技術を用いて、ネットワーク経由で管理サーバ2やポンプ装置5等の外部装置に接続可能となっている。遠距離通信器72は、遠距離無線通信部と呼んでもよい。
【0052】
入力機器73は、ユーザ入力を受け付けるための入力I/Fであり、担当者端末7に内蔵されてもよいし、担当者端末7に外付けされてもよい。入力機器73は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、マイクロフォン、カメラなどであってもよいし、タッチスクリーンのように出力I/Fの機能を備えていてもよい。ユーザ入力は、典型的には、タップ、クリック、ドラッグ、特定のキーの押下などであり得る。このほか、ユーザ入力は、例えば、マイクロフォンによって捉えられる音声などを含むこともできる。また、ユーザ入力は、例えば、カメラにより撮影されたポンプ装置5のQRコード(登録商標)の画像を含んでもよい。また、ユーザ入力は、操作者の操作に応じたポンプ装置5の位置情報を含んでもよい。入力機器73は、ユーザである操作者の操作に応じて、ポンプ装置5の位置情報を入力する入力部の一例である。操作者は、作業員と呼んでもよい。
【0053】
出力機器74は、プロセッサ76の処理に応じて、画像及び/又は音声を出力するための出力I/Fの一例であり、動画像、静止画像、テキストなどを表示するための表示デバイスを含み得る。出力機器74は、音声、楽曲などを出力するためのスピーカを含んでもよい。表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどである。表示デバイスは、コンテンツを含む表示データを表示する。なお、表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力I/Fの機能を備えていてもよい。
【0054】
メモリ75は、プロセッサ76が各処理を実現するために当該プロセッサ76によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ76によって使用されるデータなどを記憶する。メモリ75は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信プログラムなどが適宜、記憶される。データとしては、例えば、動画データ及び音声データの少なくとも一方を含むメンテナンス情報、交換部品、故障コード(メンテナンスが必要な部位)、メンテナンス通知の一覧、担当者派遣依頼、コード、運転データ、テーブルなどが適宜、記憶される。
【0055】
プロセッサ76は、典型的にはCPUであるが、マイコン、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ76は、管理サーバ2とポンプ装置5との間に介在して、ポンプ装置5を管理する処理を実行するものである。プロセッサ76は、メモリ75に保存されたプログラムを実行することで、図7の出力制御部761、外部出力部762等として機能し得る。すなわち、当該プログラムは、出力制御部761、外部出力部762として担当者端末7を機能させるプログラムである。なお、プロセッサ76内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。また、プロセッサ76は、他にも通信接続機能(図示せず)や、通常のPC又はモバイル端末における情報処理機能(図示せず)を有している。ここでいう通信接続機能は、遠距離通信器72を介して、ポンプ装置5又は管理サーバ2との遠距離無線通信の接続を確立する。また、通信接続機能は、近距離通信器71を介して、表示器付きスピーカ8、ポンプ装置5又は管理サーバ2との近距離無線通信の接続を確立する。但し、通信接続機能は、一般的に管理サーバ2から遠く離れた場所のポンプ装置5の近くで使用されることから、ポンプ装置5との間で近距離無線通信を確立し、管理サーバ2との間で遠距離無線通信を確立する場合が多い。また、通信接続機能は、表示器付きスピーカ8、ポンプ装置5又は管理サーバ2との接続を確立するための何らかのデータを送信又は受信することや、操作者の操作に応じて、管理サーバ2にリクエストを送信することもあり得る。以下、特に述べないが、表示器付きスピーカ8又はポンプ装置5と担当者端末7との間の通信に先行して、通信接続機能による接続の確立が行われている。
【0056】
出力制御部761は、ポンプ装置5から送信されたメンテナンス通知に応じて管理サーバ2からポンプ装置IDに対応する担当者端末7(送信先ID)に送信されたメンテナンス情報を当該担当者端末7の出力機器74(出力部)に出力させる。ここで、メンテナンス情報は、前述した通り、故障コードに対するメンテナンス方法を示す動画データ及び音声データの少なくとも一方を含んでいる。
【0057】
また、出力制御部761は、取得部及び選択制御部を含んでもよい。
取得部は、例えば、担当者による入力機器73の操作に応じて、メンテナンス通知の一覧をポンプ装置5から取得する。
【0058】
選択制御部は、当該取得したメンテナンス通知の一覧を担当者端末7の出力機器74(表示部)に表示させる。また、選択制御部は、当該表示させた一覧内のメンテナンス通知を選択する操作に応じて当該選択されたメンテナンス通知に対応するメンテナンス情報を出力機器74に出力させる。
【0059】
外部出力部762は、表示器84及びスピーカ85を有する表示器付きスピーカ8に近距離通信器71を介して担当者端末7が接続され、且つ表示器付きスピーカ8が担当者に装着された状態で用いられる。外部出力部762は、この状態で近距離通信器71を介して、メンテナンス情報内の動画を表示器付きスピーカ8の表示器84に表示させ、メンテナンス情報内の音声を表示器付きスピーカ8のスピーカ85に出力させる。
【0060】
表示器付きスピーカ8は、担当者端末7に接続可能であり、表示器及びスピーカを有して担当者に装着可能なウェアラブルデバイスである。補足すると、表示器付きスピーカ8は、典型的には担当者の頭部に装着してメンテナンス情報を提示するデバイスのため、例えば、メンテナンス情報が動画データであれば表示器を有し、メンテナンス情報が音声データであればスピーカを有すればよい。すなわち、本実施形態の表示器付きスピーカ8は、メンテナンス情報が動画データ及び音声データの両方を備える場合の一例であり、必ずしも表示器及びスピーカの両方を備えてなくてもよく、いずれか一方を省略してもよい。また、表示器付きスピーカ8は、例えば、ARゴーグル、ARグラス、スマートグラスなどであり得るが、これらに限られない。例えば、表示器付きスピーカ8は、担当者の頭部以外の部位(例、首、腕、腹、背中、足など)に治具(例、ホルダ、バンド、自撮り棒など)を介して装着される場合、スマートフォンやタブレット端末としてもよい。なお、首、腹、背中などといった体幹部位に装着する場合、担当者の目とポンプ装置5との間に表示器付きスピーカ8を配置可能とするため、例えば、自撮り棒などを用いて装着すればよい。また、腕、足などの四肢部位に装着する場合、担当者の目とポンプ装置5との間に表示器付きスピーカ8を配置可能とするため、例えば、ホルダ、バンドなどを用いて装着すればよい。但し、本明細書中では、表示器付きスピーカ8が担当者の頭部に装着される場合を代表例として述べる。また、表示器付きスピーカ8は、ヘルメットに対して一体型又は別体型のいずれでもよい。また、表示器付きスピーカ8は、ヘッドセットのようにマイクロホンを備えてもよい。
【0061】
表示器付きスピーカ8は、図8に例示するように、近距離通信器81、カメラ82、メモリ83、表示器84、スピーカ85及びプロセッサ86を備えている。プロセッサ86は、担当者端末7から受けたメンテナンス情報に含まれる動画を表示器84に表示させ、当該メンテナンス情報に含まれる音声をスピーカ85から出力させる機能を実現可能となっている。また、プロセッサ86は、他にも近距離通信器81を介して担当者端末7との近距離無線通信を確立する通信接続機能をもっている。また、プロセッサ86は、カメラ82から入力される画像と、表示器84に表示させる動画との比較に基づく進捗管理機能を有してもよい。この場合、プロセッサ86は、比較結果に応じて表示器84に表示させる動画と、説明する音声とのうちの少なくとも一方を制御する。なお、プロセッサ86は、メンテナンス作業が進まない場合には、再度、メンテナンス情報を表示器84及びスピーカ85から出力してもよい。
【0062】
ここで、近距離通信器81は、プロセッサ86により制御され、例えば、近距離無線通信技術を用いて、担当者端末7などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、近距離通信器81は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、NFCなどの(近距離)無線通信技術を用いて、担当者端末7等の外部装置に接続可能となっている。また、近距離通信器81は、USBなどの有線通信技術を用いて、担当者端末7等の外部装置に接続してもよい。
【0063】
カメラ82は、担当者の視線の先を撮影して画像を入力するセンサであり、表示器付きスピーカ8に内蔵されてもよいし、表示器付きスピーカ8に外付けされてもよい。また、表示器付きスピーカ8は、カメラ82に限らず、例えば、担当者の音声を入力するマイクロホンを内蔵又は外付けしてもよい。この場合、マイクロホンから入力された音声データは、プロセッサ86により音声認識され、例えば、表示器84の動画表示又はスピーカ85の音声出力の制御に用いられる。
【0064】
メモリ83は、プロセッサ86が各処理を実現するために当該プロセッサ86によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ86によって使用されるデータなどを記憶する。メモリ83は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信プログラムなどが適宜、記憶される。データとしては、例えば、動画データ及び音声データの少なくとも一方を含むメンテナンス情報、交換部品、故障コード(メンテナンスが必要な部位)、メンテナンス通知の一覧、担当者派遣依頼、コード、運転データ、テーブルなどが適宜、記憶される。
【0065】
表示器84は、担当者の目に対向配置されるゴーグル型又は眼鏡型の形状を有し、プロセッサ86から送出された画像データを表示する。表示器84としては、例えば、透過型、非透過型のいずれでもよく、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、マイクロLEDなどが適宜、使用可能となっている。ここで、表示器84としては、透過型の場合には透明なガラス基板上に動画データを表示する方式が用いられ、非透過型の場合にはカメラ82から入力された画像に動画データを重畳表示する方式が用いられる。いずれにしても、表示器84は、担当者の視野に動画データを重ねて表示する。動画データとしては、例えば、ARにて分解図を表現するデータがメンテナンス作業に好適である。
【0066】
スピーカ85は、担当者の耳又は耳近傍に装着され、プロセッサ86から送出された音声データを出力する。
【0067】
プロセッサ86は、典型的にはCPUであるが、マイコン、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ86は、担当者端末7から受けるメンテナンス情報のうち、動画を表示器84に表示させ、音声をスピーカ85から出力させる機能を実現する。プロセッサ86は、メモリ83に保存されたプログラムを実行することで、上述した機能を実現する。なお、プロセッサ86は、カメラ82から入力された画像に、メンテナンス情報内の動画を重畳させて表示器84に表示させてもよい。また、プロセッサ86は、カメラ82から入力された画像と、表示器84に表示させる動画とを比較し、比較結果に基づいて、メンテナンス作業の進捗を管理してもよい。
【0068】
以下、図9を参照しながら、図2の管理サーバ2、図6のポンプ装置5、図7の担当者端末7及び図8の表示器付きスピーカ8を用いてメンテナンスに関する動作例を説明する。この動作例は、メンテナンス作業前に実行されるステップS10と、メンテナンス作業時に実行されるステップS20と、メンテナンス作業後に実行されるステップS30とを含んでいる。但し、ステップS30は、任意の付加的事項であり、省略してもよい。以下、ステップS10~S30の動作例について順に述べる。
【0069】
(ステップS10:メンテナンス作業前)
始めに、メンテナンス作業前のステップS10は、ステップS11~S14により実行される。また、ステップS11~S14は、故障コード毎に実行されるため、複数の故障コードがあれば、直列的に又は並列的に複数回が実行される。
【0070】
まず、ポンプ装置5のプロセッサ58は、ポンプ部60のうちでメンテナンスが必要な部位を故障コードとして検出し、当該故障コードとポンプ装置IDとを含むメンテナンス通知を発行する(ステップS11)。この検出は、例えば、図示しないセンサから入力された信号がしきい値を超えた場合に実行される。
【0071】
ステップS11の後、ポンプ装置5は、当該メンテナンス通知を管理サーバ2に送信する(ステップS12)。例えば、ポンプ装置は、管理サーバ2とは遠距離通信を行う。
【0072】
ステップS12の後、管理サーバ2のプロセッサ26は、ポンプ装置5からポンプ装置ID及び故障コードを含むメンテナンス通知を受信すると、メンテナンス通知内のポンプ装置IDに基づいて第2データテーブルT2内の送信先IDを読み出す。なお、ポンプ装置IDに対応する送信先IDが複数ある場合(複数の担当者がいる場合)、プロセッサ26は、各々の送信先IDに基づいて第3データテーブルT3内の予定を参照し、例えば、現在日付に交換部品の手配日数を足した上で、最も早い日付の予定が空いている者や他の予定が少ない者の送信先IDを優先して選択する。なお、予定の空き具合に優劣がない場合、プロセッサ26は、複数の送信先IDからランダムに送信先IDを選択してもよく、さらに他の基準(例、担当者IDがほぼ中間の者)に基づいて、送信先IDを選択してもよい。
【0073】
また、プロセッサ26は、メンテナンス通知内の故障コードに基づいてメモリ25の第1データテーブルT1内のメンテナンス情報を読み出す(ステップS13)。メンテナンス情報は、故障コードに対するメンテナンス方法を示す動画データ及び音声データの少なくとも一方を含んでいる。
【0074】
なお、このステップS13において、プロセッサ26は、メンテナンス通知内の故障コードに基づいて第1データテーブルT1内のメンテナンス情報及び交換部品を読み出してもよい。また、メンテナンス情報として、第1及び第2のメンテナンス情報の各々が第1データテーブルにある場合には、プロセッサ26は、メンテナンス通知内の故障コード及び読み出した送信先IDに基づいて第3データテーブルT3内の作業経験情報を検索する。また、プロセッサ26は、当該検索した結果に基づいて、第1のメンテナンス情報又は第2のメンテナンス情報を第1データテーブルT1から読み出す。例えば、当該検索した結果、作業経験情報が得られた場合には、第1のメンテナンス情報を第1データテーブルT1から読み出す。一方、検索した結果、作業経験情報が得られなかった場合には、プロセッサ26は、第2のメンテナンス情報を第1データテーブルT1から読み出す。いずれにしても、プロセッサ26によりステップS13が実行され、メモリ25からメンテナンス情報が読み出される。
【0075】
ステップS13の後、管理サーバ2は、読み出したメンテナンス情報を、当該読み出した送信先IDに基づいて送信する(ステップS14)。このとき、管理サーバ2は、メンテナンス情報の送信に並行して、ポンプ装置5のポンプ装置ID、担当者ID、予定、担当地区(ポンプ装置5の設置場所)、故障コード、などを含む派遣通知を送信先IDに基づいて、更に送信してもよい。
【0076】
また、プロセッサ26がメンテナンス情報及び交換部品を読み出した場合には、管理サーバ2は、当該読み出したメンテナンス情報及び交換部品を、当該読み出した送信先IDに基づいて送信する。送信先IDをもつ担当者端末7は、送信されたメンテナンス情報を受信してメモリ75に保存する。また、メンテナンス情報及び交換部品が送信された場合には、担当者端末7は、当該メンテナンス情報及び交換部品を受信してメモリ75に保存する。また、担当者端末7は、当該交換部品を出力機器74に表示させることにより、担当者に交換部品の在庫確認や発注を促してもよい。
【0077】
なお、担当者端末7は、さらに、派遣通知を受信した場合には、担当者の操作に応じて、当該派遣通知に対する受領通知を管理サーバ2に返信してもよい。この返信により、管理サーバ2は、派遣通知内の担当者ID、予定及び故障コードに基づいて、当該予定及び作業経験情報を追加又は更新するように第3データテーブルT3を更新してもよい。いずれにしても、以上のステップS11~S14の実行により、ステップS10が終了する。
【0078】
(ステップS20:メンテナンス作業時)
ステップS10の終了後、ポンプ装置5のメンテナンス時のステップS20が、ステップS21~S24により実行される。まず、担当者端末7及び表示器付きスピーカ8は、担当者に保持された状態で、ポンプ装置5の設置場所に到着する。設置場所に到着後、表示器付きスピーカ8は、担当者の操作により、担当者の頭部に装着される。また、担当者端末7及び表示器付きスピーカ8は、担当者の操作により、互いに通信可能に接続される。
【0079】
しかる後、担当者端末7のプロセッサ76は、担当者の操作に応じて、メモリ75内のメンテナンス情報を読み出し、当該メンテナンス情報を出力機器74に出力させる(ステップS21)。
【0080】
ステップS21において、複数の故障コードに応じて複数のメンテナンス情報がある場合、担当者端末7のプロセッサ76は、メンテナンス通知の一覧をポンプ装置5から取得してもよい。この場合、例えば、ポンプ装置5は、担当者端末7とは近距離通信を行う。また、担当者端末7のプロセッサ76は、取得したメンテナンス通知の一覧を出力機器74に表示させ、当該一覧内のメンテナンス通知を選択する操作に応じて当該選択されたメンテナンス通知に対応するメンテナンス情報を出力機器74に出力させてもよい。
【0081】
出力機器74は、表示器付きスピーカ8が接続されているため、メンテナンス情報のうちの動画のみを出力(表示)する。なお、表示器付きスピーカ8が接続されている場合、出力機器74によるメンテナンス情報の出力を省略するように変形してもよい。一方、表示器付きスピーカ8が接続されていない場合には、出力機器74は、メンテナンス情報に含まれる動画及び音声をそれぞれ出力する。
【0082】
また、ステップS21に並行してステップS22~S23が実行される。すなわち、担当者端末7のプロセッサ76は、メモリ75からメンテナンス情報を読み出して表示器付きスピーカ8に送信する(ステップS22)。
【0083】
表示器付きスピーカ8は、メンテナンス情報内の動画を表示器84に表示し、メンテナンス情報内の音声をスピーカ85から出力する(ステップS23)。これにより、担当者は、故障コードに対するメンテナンス方法を示す動画及び音声を視聴する。
【0084】
ステップS23に並行して、ポンプ装置5は、表示器付きスピーカ8を介してメンテナンス方法を視聴中の担当者により、故障コードに対するメンテナンス作業が実施される(ステップS24)。以上のステップS21~S24は、故障コードに応じたメンテナンス情報毎に実行される。全てのステップS21~S24の実行により、ステップS20が終了する。
【0085】
(ステップS30:メンテナンス作業後)
ステップS20の終了後、ポンプ装置5のプロセッサ58は、担当者の操作に応じて、メンテナンス通知をクリアする命令が入力機器53から入力されると、当該命令を受け付ける(ステップS31)。なお、プロセッサ58は、当該クリアする命令を、メンテナンス後の試運転の開始命令が入力された場合に、当該開始命令に付随した命令として受け付けてもよい。また、プロセッサ58は、当該クリアする命令が管理サーバ2から送信された場合には、管理サーバ2からの当該クリアする命令を受け付けてもよい。これは、例えば、担当者端末7が、ポンプ装置ID及び故障コードを含む作業終了通知を管理サーバ2が受信し、管理サーバ2が、この作業終了通知に応じて、ステップS12のメンテナンス通知をクリアする命令をポンプ装置5に送信した場合などが該当する。
【0086】
ステップS31の後、プロセッサ58は、受け付けた命令に基づいて、故障コードの現在の検出結果を確認し(ステップS32)、メンテナンス通知内の故障コードに応じたメンテナンスが不要な場合、送信したメンテナンス通知をクリアする(ステップS33)。以上のステップS31~S33のうち、少なくともステップS32,S33は、故障コードに応じたメンテナンス通知毎に実行される。ステップS31は、1回だけ実行する方式でもよく、メンテナンス通知毎に実行する方式でもよい。また、ステップS33において全てのメンテナンス通知がクリアされると、ステップS30が終了する。なお、ステップS30は、次のように変形してもよい。例えば、部品交換等のメンテナンスの終了後、試運転にて問題がないことを確認し、ポンプ装置5から再度メンテナンス通知が送信されなけば正常終了したと判断し、作業を終了してもよい。この場合、ポンプ装置5から管理サーバ2への遠距離通信による通信頻度を通常より高頻度に設定することで、管理サーバ2が、メンテナンス後の経過観察を行う。一定期間問題なければ、管理サーバ2又はポンプ装置5は、遠距離通信による通信頻度を通常の頻度に戻してもよい。すなわち、ステップS30は、このように変形してもよい。
【0087】
上述したように一実施形態によれば、管理装置に通信可能なポンプ装置と、管理装置及びポンプ装置に通信可能な担当者端末に実行されるプログラムとを備えた支援システムが用いられる。ポンプ装置は、ポンプのうちでメンテナンスが必要な部位を検出し、部位とポンプの識別情報とを含むメンテナンス通知を発行する。当該プログラムは、出力制御部として担当者端末を機能させる。出力制御部は、当該送信されたメンテナンス通知に応じて管理装置から当該識別情報に対応する担当者端末に送信されたメンテナンス情報を当該担当者端末の出力部に出力させる。メンテナンス情報は、当該部位に対するメンテナンス方法を示す動画データ及び音声データの少なくとも一方を含んでいる。従って、当該出力されたメンテナンス情報を担当者が視聴することにより、ポンプ装置のメンテナンス作業に対する専門知識の不足を補うことが可能な支援システムを実現することができる。また、専門知識の不足を補うことにより、専門知識が不足した担当者でも,専門知識を有する担当者と同様の作業が可能となる。
【0088】
また、一実施形態によれば、当該出力制御部は、当該メンテナンス通知の一覧をポンプ装置から取得してもよい。また、出力制御部は、当該取得したメンテナンス通知の一覧を担当者端末の表示部に表示させてもよく、当該表示させた一覧内のメンテナンス通知を選択する操作に応じて当該選択されたメンテナンス通知に対応するメンテナンス情報を出力部に出力させてもよい。この場合、複数のメンテナンス通知が発行されていても、選択したメンテナンス通知毎にメンテナンス情報を出力できることにより、担当者の所望の順番で部位のメンテナンス作業を行うことができる。
【0089】
また、一実施形態によれば、ポンプ装置は、管理装置とは遠距離通信を行い、担当者端末とは近距離通信を行うようにしてもよい。この場合、一般に、近距離通信には課金されないことから、ポンプ装置と担当者端末との間の通信料金を節約することができる。
【0090】
また、一実施形態によれば、担当者端末は、表示器及びスピーカを有して担当者に装着可能な表示器付きスピーカに接続されてもよい。当該プログラムは、メンテナンス情報内の動画を当該表示器に表示させ、メンテナンス情報内の音声を当該スピーカに出力させる外部出力部、として担当者端末を機能させる、ようにしてもよい。この場合、表示器付きスピーカは、担当者に装着された状態で、メンテナンス方法を示す動画データ及び音声データを出力する。これにより、担当者は、フリーハンドの状態でメンテナンス方法を視聴できると共に、両手を使ってポンプ装置のメンテナンス作業を実施することができる。
【0091】
また、一実施形態によれば、ポンプ装置は、送信したメンテナンス通知をクリアする命令を受け付けてもよい。また、ポンプ装置は、受け付けた命令に基づいて、メンテナンス通知の発行に関する現在の検出結果を確認し、メンテナンス通知内の部位のメンテナンスが不要な場合、送信したメンテナンス通知をクリアしてもよい。この場合、ポンプ装置は、メンテナンスが必要な部位のメンテナンスが正常に終了したことを確認できる。
【0092】
また、一実施形態によれば、ポンプ装置の操作部から入力された当該命令又は管理装置から送信された当該命令を受け付けるようにしてもよい。この場合、様々な手法により、当該命令をポンプ装置に入力することができる。
【0093】
また、一実施形態によれば、管理装置は、ポンプ装置のメンテナンスが必要な部位と、当該部位に対するメンテナンス方法を示す動画データ及び音声データの少なくとも一方を含むメンテナンス情報とを関連付けて記憶する第1記憶部を備えている。また、管理装置は、ポンプ装置の識別情報と、メンテナンス情報の送信先とを関連付けて記憶する第2記憶部を備えている。ここで、管理装置は、ポンプ装置から当該識別情報及び当該部位を含むメンテナンス通知を受信する。また、管理装置は、当該メンテナンス通知内の識別情報に基づいて第2記憶部内の送信先を読み出す。また、管理装置は、メンテナンス通知内の部位に基づいて第1記憶部内のメンテナンス情報を読み出す。しかる後、管理装置は、当該読み出したメンテナンス情報を、当該読み出した送信先に基づいて送信する。従って、メンテナンス情報を送信先に送信することにより、ポンプ装置のメンテナンス作業に対する専門知識の不足を補うことが可能な管理装置を実現することができる。
【0094】
また、一実施形態によれば、管理装置は、当該送信先と、当該送信先に対応する担当者の作業経験済みの部位を示す作業経験情報とを関連付けて記憶する第3記憶部を備えてもよい。また、メンテナンス情報としては、作業経験済みの部位に対する第1のメンテナンス情報と、作業経験済みでない部位に対する第2のメンテナンス情報との各々が第1記憶部に記憶されていてもよい。ここで、管理装置は、メンテナンス通知内の部位及び当該読み出した送信先に基づいて第3記憶部内の作業経験情報を検索し、当該検索した結果に基づいて、第1のメンテナンス情報又は第2のメンテナンス情報を第1記憶部から読み出すようにしてもよい。この場合、担当者の作業経験に応じたメンテナンス情報を提供できるので、専門知識の不足をより適切な範囲で補うことができる。例えば、作業経験がなく、専門知識の不足が大きい担当者には、メンテナンス方法を詳細に示すメンテナンス情報を提供できる。また例えば、作業経験があり、専門知識の不足が小さい担当者には、メンテナンス方法を簡単に示すメンテナンス情報を提供できる。
【0095】
また、一実施形態によれば、管理装置の第1記憶部は、当該部位と、当該部位のメンテナンスに必要な交換部品とを関連付けて記憶してもよい。管理装置は、当該部位に基づいて第1記憶部内のメンテナンス情報及び当該交換部品を読み出してもよい。また、管理装置は、当該読み出したメンテナンス情報及び当該交換部品を、当該読み出した送信先に基づいて送信するようにしてもよい。この場合、送信先の担当者端末を持つ担当者が交換部品を予め確認して準備できるので、前述した効果に加え、メンテナンス作業の準備を支援することができる。
【0096】
上述の実施形態は、本発明の概念の理解を助けるための具体例を示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図されていない。実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な構成要素の付加、削除または転換をすることができる。
【0097】
上述の実施形態では、いくつかの機能部を説明したが、これらは各機能部の実装の一例に過ぎない。例えば、1つの装置に実装されると説明された複数の機能部が複数の別々の装置に亘って実装されることもあり得るし、逆に複数の別々の装置に亘って実装されると説明された機能部が1つの装置に実装されることもあり得る。
【0098】
上記各実施形態において説明された種々の機能部は、回路を用いることで実現されてもよい。回路は、特定の機能を実現する専用回路であってもよいし、プロセッサのような汎用回路であってもよい。
【0099】
上記各実施形態の処理の少なくとも一部は、例えば汎用のコンピュータに搭載されたプロセッサを基本ハードウェアとして用いることでも実現可能である。上記処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記録媒体に記憶される。記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記録媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
【0100】
また、以上のような支援システム及び管理装置は、以下の[1]~[6]に示すように表現してもよい。
【0101】
[1]ポンプと、ポンプを制御する制御部と、ポンプにメンテナンスが必要な場合に、メンテナンスが必要な部位を特定する情報を無線通知するメンテナンス通知通信部と、操作部とを備えたポンプ装置であって、メンテナンス通知通信部は、ポンプ装置を管理する管理装置にメンテナンス通知を送り、管理装置はメンテナンス通知を受け取ると、メンテナンス方法を示す情報を動画表示と音声通知の少なくともどちらか一方を含む情報を担当者の管理端末に送信し、管理端末はメンテナンスする際に、メンテナンス通知通信部からメンテナンス通知一覧を取得し、選択したメンテナンス通知のメンテナンス方法を示す情報を表示し、作業終了後にメンテナンス通知をクリアする、ポンプ装置。
【0102】
[2]メンテナンス通知通信部は、管理装置とは遠距離通信を行い、管理端末とは近距離通信を行う、上記[1]に記載のポンプ装置。
【0103】
[3]管理端末は、メンテナンスしやすいように顔に装着する表示器付きスピーカーであり、表示器にARにて分解図を表示し、スピーカーから作業内容を通知する、上記[1]又は[2]に記載のポンプ装置。
【0104】
[4]メンテナンス通知のクリアは操作部または管理装置から行う、上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポンプ装置。
【0105】
[5]メンテナンス通知と、動画または音声の少なくとも1つを含むメンテナンス情報と、部品ごとに自動発注可能か、任意発注かに区別された部品交換情報を関連付けて保存する管理サーバーであって、ポンプ装置からメンテナンス通知を受け取ると、自動発注可能な場合は自動発注し、発注した旨とメンテナンス情報を担当者の管理端末へ通知し、任意発注の場合は、その旨とメンテナンス情報を担当者の管理端末へ通知する、ポンプ装置の管理装置。
【0106】
[6]管理装置は、担当者がどの作業経験があるかを記憶しており、メンテナンス作業が担当者にとって初めての場合は説明1をし、一定回数行ったことがあるベテランには注意点を抜粋した説明2を通知する、上記[5]に記載のポンプ装置の管理装置。
【0107】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0108】
1,2・・・管理サーバ、5-1,5-2,5-3,5-4・・・ポンプ装置、7-1,7-2・・・担当者端末、8-表示器付きスピーカ、21,51,71,81・・・近距離通信器、22,52,72・・・遠距離通信器、23,55・・・インタフェース、25,57,75,83・・・メモリ、26,58,76,86・・・プロセッサ、53,73・・・入力機器、56・・・表示機器、50・・・制御盤、54・・・インバータ、60・・・ポンプ部、261・・・受信部、262・・・処理部、263・・・送信部、74・・・出力機器、761・・・出力制御部、762・・・外部出力部、84・・・表示器、85・・・スピーカ、T1・・・第1データテーブル、T2・・・第2データテーブル、T3・・・第3データテーブル。
図1
図2
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図9