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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】中間排出が可能なベルトコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/46 20060101AFI20241125BHJP
   B65G 47/40 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
B65G47/46 E
B65G47/40
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021083596
(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公開番号】P2022177389
(43)【公開日】2022-12-01
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000228707
【氏名又は名称】日本コンベヤ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】吉川 勝博
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 公彦
(72)【発明者】
【氏名】駒田 弘明
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 英二
(72)【発明者】
【氏名】西田 真司
(72)【発明者】
【氏名】薮野 裕樹
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-022921(JP,U)
【文献】特開昭59-217523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/46
B65G 47/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下流端に位置するヘッドプーリ(1)と、
上流端に位置するテールプーリ(2)と、
前記ヘッドプーリ(1)と前記テールプーリ(2)の間に掛け渡されるコンベヤベルト(3)の前記テールプーリ(2)から前記ヘッドプーリ(1)に向かって走行する部分で構成され、ばら物の運搬物(4)を上面に載せた状態で走行するキャリヤ側ベルト(3a)と、
前記コンベヤベルト(3)の前記ヘッドプーリ(1)から前記テールプーリ(2)に向かって走行する部分で構成されるリターン側ベルト(3b)と、
前記キャリヤ側ベルト(3a)の走行経路の途中に配置され、前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向一端と幅方向他端とが同じ高さにある状態で前記キャリヤ側ベルト(3a)を走行させる通常走行位置と、前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向一端が幅方向他端よりも高くなるように前記キャリヤ側ベルト(3a)の下面を傾斜して持ち上げることで、前記キャリヤ側ベルト(3a)の上面から前記運搬物(4)を前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向に落下させるベルト持ち上げ位置との間で移動可能に支持されたベルト持ち上げローラ(7)と、
前記ベルト持ち上げローラ(7)を、前記通常走行位置と前記ベルト持ち上げ位置との間で移動させるベルト持ち上げローラ移動装置(10)と、
を有し、
前記ベルト持ち上げローラ(7)の上流側に配置され、前記キャリヤ側ベルト(3a)を、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状となるように支持する上流側トラフローラ(11)と、
前記ベルト持ち上げローラ(7)の下流側に配置され、前記キャリヤ側ベルト(3a)を、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状となるように支持する下流側トラフローラ(12)と、を更に有し、
前記ベルト持ち上げローラ(7)は、前記キャリヤ側ベルト(3a)の下面を傾斜して持ち上げたときに、前記キャリヤ側ベルト(3a)の持ち上げられた部分が前記幅方向一端の側から前記幅方向他端の側に向かって直線的に低くなるように、前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向に沿ってストレートに延びる非トラフローラである
中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記ベルト持ち上げローラ(7)は、ベルト走行方向に並んで複数配置されている請求項に記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記ベルト走行方向に隣り合う前記ベルト持ち上げローラ(7)同士の間に配置され、前記ベルト持ち上げローラ(7)が前記通常走行位置にあるときに、前記キャリヤ側ベルト(3a)を、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状となるように支持する中間トラフローラ(21)を更に有する請求項に記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記ベルト持ち上げローラ(7)は、前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向の中央位置に対して前記幅方向他端の側に片寄った位置の下側に配置された揺動支軸(18)を中心に揺動可能に支持されている請求項1からのいずれかに記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項5】
前記ベルト持ち上げローラ(7)は、前記キャリヤ側ベルト(3a)の前記幅方向他端の側に対応する部分よりも前記幅方向一端の側に対応する部分が高くなるように傾斜した状態で、前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向に移動可能にスライドガイド(26)で支持されている請求項1からのいずれかに記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項6】
前記リターン側ベルト(3b)は、リターン側ベルト(3b)の走行経路のうちの前記ベルト持ち上げローラ(7)に対応する部分において、キャリヤ側ベルト(3a)の前記幅方向一端の側に迂回した経路を走行するように複数のリターン側ローラ(8)で案内されている請求項1からのいずれかに記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項7】
前記複数のリターン側ローラ(8)は、前記リターン側ベルト(3b)のベルト断面が上下方向に延びる姿勢で前記リターン側ベルト(3b)が走行するように前記リターン側ベルト(3b)を案内する複数の垂直ガイドローラ(8c)を含み、
前記リターン側ベルト(3b)の走行経路のうち、前記複数の垂直ガイドローラ(8c)で案内される部分によって、前記迂回した経路が形成されている請求項に記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項8】
下流端に位置するヘッドプーリ(1)と、
上流端に位置するテールプーリ(2)と、
前記ヘッドプーリ(1)と前記テールプーリ(2)の間に掛け渡されるコンベヤベルト(3)の前記テールプーリ(2)から前記ヘッドプーリ(1)に向かって走行する部分で構成され、ばら物の運搬物(4)を上面に載せた状態で走行するキャリヤ側ベルト(3a)と、
前記コンベヤベルト(3)の前記ヘッドプーリ(1)から前記テールプーリ(2)に向かって走行する部分で構成されるリターン側ベルト(3b)と、
前記キャリヤ側ベルト(3a)の走行経路の途中に配置され、前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向一端と幅方向他端とが同じ高さにある状態で前記キャリヤ側ベルト(3a)を走行させる通常走行位置と、前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向一端が幅方向他端よりも高くなるように前記キャリヤ側ベルト(3a)の下面を傾斜して持ち上げることで、前記キャリヤ側ベルト(3a)の上面から前記運搬物(4)を前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向に落下させるベルト持ち上げ位置との間で移動可能に支持されたベルト持ち上げローラ(7)と、
前記ベルト持ち上げローラ(7)を、前記通常走行位置と前記ベルト持ち上げ位置との間で移動させるベルト持ち上げローラ移動装置(10)と、
を有し、
前記ベルト持ち上げローラ(7)は、前記キャリヤ側ベルト(3a)の前記幅方向他端の側に対応する部分よりも前記幅方向一端の側に対応する部分が高くなるように傾斜した状態で、前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向に移動可能にスライドガイド(26)で支持されている
中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項9】
前記ベルト持ち上げローラ(7)は、ベルト走行方向に並んで複数配置されている請求項に記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項10】
前記ベルト走行方向に隣り合う前記ベルト持ち上げローラ(7)同士の間に配置され、前記ベルト持ち上げローラ(7)が前記通常走行位置にあるときに、前記キャリヤ側ベルト(3a)を、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状となるように支持する中間トラフローラ(21)を更に有する請求項に記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項11】
前記ベルト持ち上げローラ(7)は、前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向の中央位置に対して前記幅方向他端の側に片寄った位置の下側に配置された揺動支軸(18)を中心に揺動可能に支持されている請求項8から10のいずれかに記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項12】
前記リターン側ベルト(3b)は、リターン側ベルト(3b)の走行経路のうちの前記ベルト持ち上げローラ(7)に対応する部分において、キャリヤ側ベルト(3a)の前記幅方向一端の側に迂回した経路を走行するように複数のリターン側ローラ(8)で案内されている請求項8から11のいずれかに記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項13】
前記複数のリターン側ローラ(8)は、前記リターン側ベルト(3b)のベルト断面が上下方向に延びる姿勢で前記リターン側ベルト(3b)が走行するように前記リターン側ベルト(3b)を案内する複数の垂直ガイドローラ(8c)を含み、
前記リターン側ベルト(3b)の走行経路のうち、前記複数の垂直ガイドローラ(8c)で案内される部分によって、前記迂回した経路が形成されている請求項12に記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項14】
下流端に位置するヘッドプーリ(1)と、
上流端に位置するテールプーリ(2)と、
前記ヘッドプーリ(1)と前記テールプーリ(2)の間に掛け渡されるコンベヤベルト(3)の前記テールプーリ(2)から前記ヘッドプーリ(1)に向かって走行する部分で構成され、ばら物の運搬物(4)を上面に載せた状態で走行するキャリヤ側ベルト(3a)と、
前記コンベヤベルト(3)の前記ヘッドプーリ(1)から前記テールプーリ(2)に向かって走行する部分で構成されるリターン側ベルト(3b)と、
前記キャリヤ側ベルト(3a)の走行経路の途中に配置され、前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向一端と幅方向他端とが同じ高さにある状態で前記キャリヤ側ベルト(3a)を走行させる通常走行位置と、前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向一端が幅方向他端よりも高くなるように前記キャリヤ側ベルト(3a)の下面を傾斜して持ち上げることで、前記キャリヤ側ベルト(3a)の上面から前記運搬物(4)を前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向に落下させるベルト持ち上げ位置との間で移動可能に支持されたベルト持ち上げローラ(7)と、
前記ベルト持ち上げローラ(7)を、前記通常走行位置と前記ベルト持ち上げ位置との間で移動させるベルト持ち上げローラ移動装置(10)と、
を有し、
前記リターン側ベルト(3b)は、リターン側ベルト(3b)の走行経路のうちの前記ベルト持ち上げローラ(7)に対応する部分において、キャリヤ側ベルト(3a)の前記幅方向一端の側に迂回した経路を走行するように複数のリターン側ローラ(8)で案内されている
中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項15】
前記ベルト持ち上げローラ(7)は、ベルト走行方向に並んで複数配置されている請求項14に記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項16】
前記ベルト走行方向に隣り合う前記ベルト持ち上げローラ(7)同士の間に配置され、前記ベルト持ち上げローラ(7)が前記通常走行位置にあるときに、前記キャリヤ側ベルト(3a)を、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状となるように支持する中間トラフローラ(21)を更に有する請求項15に記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項17】
前記ベルト持ち上げローラ(7)は、前記キャリヤ側ベルト(3a)の幅方向の中央位置に対して前記幅方向他端の側に片寄った位置の下側に配置された揺動支軸(18)を中心に揺動可能に支持されている請求項14から16のいずれかに記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【請求項18】
前記複数のリターン側ローラ(8)は、前記リターン側ベルト(3b)のベルト断面が上下方向に延びる姿勢で前記リターン側ベルト(3b)が走行するように前記リターン側ベルト(3b)を案内する複数の垂直ガイドローラ(8c)を含み、
前記リターン側ベルト(3b)の走行経路のうち、前記複数の垂直ガイドローラ(8c)で案内される部分によって、前記迂回した経路が形成されている請求項14から17のいずれかに記載の中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中間排出が可能なベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
土砂や石などのばら物の運搬物を搬送するため、ベルトコンベヤが使用される(例えば、特許文献1)。ベルトコンベヤは、下流端に位置するヘッドプーリと、上流端に位置するテールプーリと、ヘッドプーリとテールプーリの間に掛け渡されたコンベヤベルトとを有する。
【0003】
コンベヤベルトは、キャリヤ側ベルト(コンベヤベルトのテールプーリからヘッドプーリに向かって走行する部分)とリターン側ベルト(コンベヤベルトのヘッドプーリからテールプーリに向かって走行する部分)とで構成される。土砂や石などのばら物の運搬物は、キャリヤ側ベルトの上流側端部の上面に連続的に供給され、その運搬物がキャリヤ側ベルトの上面に載った状態で上流側から下流側に移動し、キャリヤ側ベルトの下流側端部から連続的に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-1972号公報
【文献】特開2003-226421号公報
【文献】特開平4-338015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本願の発明者らは、土砂や石などのばら物の運搬物をベルトコンベヤで搬送するにあたり、キャリヤ側ベルトに載って移動する運搬物を、キャリヤ側ベルトの走行経路の途中で排出落下させることを検討した。
【0006】
キャリヤ側ベルトに載って移動する運搬物を、キャリヤ側ベルトの走行経路の途中で排出落下させることができれば、例えば、河川の築堤工事に使用する砕石や骨材などを、河川敷に沿って間隔をおいた複数箇所に搬送する場合に、河川敷に沿って延びる1基の長大なベルトコンベヤを設置し、そのベルトコンベヤの上流側の端部で砕石や骨材などの運搬物をキャリヤ側ベルトの上面に連続的に供給し、そのキャリヤ側ベルトに載って移動する運搬物を、キャリヤ側ベルトの走行経路の途中で排出落下させることで、河川敷沿いの複数箇所にそれぞれ運搬物を搬送することが可能となる。また、例えば、ばら物の運搬物を、一列に並んで配置された複数のビンまたはサイロに搬送して投入する場合にも、その複数のビンまたはサイロの並びに沿って延びる1基のベルトコンベヤを設置し、そのベルトコンベヤのキャリヤ側ベルトに載って移動する運搬物を、キャリヤ側ベルトの走行経路の途中で排出落下させることで、一列に並んだ複数のビンまたはサイロにそれぞれ運搬物を投入することが可能となる。
【0007】
ここで、キャリヤ側ベルトに載って移動する運搬物を、キャリヤ側ベルトの走行経路の途中で排出落下させること(つまり中間排出)が可能なベルトコンベヤとして、従来、スクレーパ式のものと、トリッパ式のものとが知られている。
【0008】
スクレーパ式で中間排出を行なうベルトコンベヤとして、例えば、特許文献2のものがある。特許文献2のベルトコンベヤは、上流側から下流側に向かって走行するキャリヤ側ベルトの走行経路の途中に、ベルト走行方向に対して斜めに延びるスクレーパが昇降可能に設けられている。そして、スクレーパを上昇させた状態では、キャリヤ側ベルトに載って移動する運搬物が、スクレーパの下側を通過してそのままキャリヤ側ベルトで下流側に搬送され、一方、スクレーパを下降させた状態では、キャリヤ側ベルトに載って移動する運搬物が、ベルト走行方向に対して斜めに延びるスクレーパに接触することでキャリヤ側ベルトの幅方向の一方に強制的に誘導され、キャリヤ側ベルトから排出落下する。
【0009】
このスクレーパ式で中間排出を行なうベルトコンベヤは、設備費が低いという利点を有するが、キャリヤ側ベルトに載って移動する運搬物と接触して運搬物の進行方向を強制的に変えるスクレーパを使用するので、スクレーパが運搬物との摩擦により摩耗しやすく、高い頻度でスクレーパを交換する必要がある。またベルトが痛むという問題がある。
【0010】
一方、トリッパ式で中間排出を行なうベルトコンベヤとして、例えば、特許文献3のものがある。特許文献3のベルトコンベヤは、上流側から下流側に向かって走行するキャリヤ側ベルトの走行経路の途中に、キャリヤ側ベルトがS字状に巻き掛けられる上下一対のトリッパプーリと、そのキャリヤ側ベルトのS字状の部分でキャリヤ側ベルトの上面から前方に放出される運搬物を受け入れてキャリヤ側ベルトの幅方向外側に落下させるシュートとを有する。上下一対のトリッパプーリとシュートは、ベルト走行経路に沿って一体に移動させることが可能となっており、このトリッパプーリとシュートの移動により、運搬物の落下位置をベルト走行経路に沿って変更することが可能となっている。
【0011】
このトリッパ式で中間排出を行なうベルトコンベヤは、キャリヤ側ベルトに載って移動する運搬物との摩擦により急速に摩耗する部品(スクレーパ)をもたないという利点を有するが、設備費が高く、また、上流側から下流側に向かって走行するキャリヤ側ベルトの走行経路の途中に設けられた上下一対のトリッパプーリにキャリヤ側ベルトがS字状に巻き掛けられているので、コンベヤベルトを駆動するために必要な動力が大きいという問題がある。
【0012】
この発明が解決しようとする課題は、コンベヤベルトに載って移動する運搬物との摩擦により急速に摩耗する部品をもたず、しかもコンベヤベルトを駆動するために必要な動力を低く抑えることができる、中間排出が可能なベルトコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、この発明では、以下の構成のベルトコンベヤを提供する。
下流端に位置するヘッドプーリと、
上流端に位置するテールプーリと、
前記ヘッドプーリと前記テールプーリの間に掛け渡されるコンベヤベルトの前記テールプーリから前記ヘッドプーリに向かって走行する部分で構成され、ばら物の運搬物を上面に載せた状態で走行するキャリヤ側ベルトと、
前記コンベヤベルトの前記ヘッドプーリから前記テールプーリに向かって走行する部分で構成されるリターン側ベルトと、
前記キャリヤ側ベルトの走行経路の途中に配置され、前記キャリヤ側ベルトの幅方向一端と幅方向他端とが同じ高さにある状態で前記キャリヤ側ベルトを走行させる通常走行位置と、前記キャリヤ側ベルトの幅方向一端が幅方向他端よりも高くなるように前記キャリヤ側ベルトの下面を傾斜して持ち上げることで、前記キャリヤ側ベルトの上面から前記運搬物を前記キャリヤ側ベルトの幅方向に落下させるベルト持ち上げ位置との間で移動可能に支持されたベルト持ち上げローラと、
前記ベルト持ち上げローラを、前記通常走行位置と前記ベルト持ち上げ位置との間で移動させるベルト持ち上げローラ移動装置と、
を有する、中間排出が可能なベルトコンベヤ。
【0014】
このようにすると、キャリヤ側ベルトの走行経路の途中に設けたベルト持ち上げローラで、キャリヤ側ベルトの幅方向一端が幅方向他端よりも高くなるようにキャリヤ側ベルトの下面を傾斜して持ち上げ、キャリヤ側ベルトに載って移動するばら物の運搬物を、その運搬物の自重を利用してキャリヤ側ベルトから排出落下させる構成なので、キャリヤ側ベルトに載って移動する運搬物との摩擦により急速に摩耗する部品がない。また、上流側から下流側に向かって走行するキャリヤ側ベルトの走行経路の途中に、キャリヤ側ベルトがS字状に巻き掛けられる上下一対のトリッパプーリを設ける必要がないので、コンベヤベルトを駆動するために必要な動力を低く抑えることができる。
【0015】
前記ベルト持ち上げローラの上流側に配置され、前記キャリヤ側ベルトを、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状となるように支持する上流側トラフローラと、
前記ベルト持ち上げローラの下流側に配置され、前記キャリヤ側ベルトを、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状となるように支持する下流側トラフローラと、を更に有し、
前記ベルト持ち上げローラは、前記キャリヤ側ベルトの下面を傾斜して持ち上げたときに、前記キャリヤ側ベルトの持ち上げられた部分が前記幅方向一端の側から前記幅方向他端の側に向かって直線的に低くなるように、前記キャリヤ側ベルトの幅方向に沿ってストレートに延びる非トラフローラである構成を採用すると好ましい。
【0016】
このようにすると、ベルト持ち上げローラの上流側および下流側に、上流側トラフローラおよび下流側トラフローラがそれぞれ設けられているので、ベルト持ち上げローラが通常走行位置にあるときに、キャリヤ側ベルトが、ベルト持ち上げローラの上流側および下流側において、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状となり、キャリヤ側ベルト上のばら物の運搬物を、キャリヤ側ベルトからこぼれないように保持して安定して搬送することができる。また、ベルト持ち上げローラは、キャリヤ側ベルトの幅方向に沿ってストレートに延びる非トラフローラなので、ベルト持ち上げローラで、キャリヤ側ベルトの下面を傾斜して持ち上げたときに、そのキャリヤ側ベルトの持ち上げられた部分が、キャリヤ側ベルトの幅方向一端の側から幅方向他端の側に向かって直線的に低くなり、キャリヤ側ベルトに載って移動する運搬物を、キャリヤ側ベルトの上面から円滑に排出落下させることができる。
【0017】
この場合、前記ベルト持ち上げローラは、ベルト走行方向に並んで複数配置されている構成を採用すると好ましい。
【0018】
このようにすると、キャリヤ側ベルトの下面のベルト走行方向に並んだ複数の箇所を、複数のベルト持ち上げローラで同時に持ち上げることにより、キャリヤ側ベルトの比較的長い長さをもった部分を、幅方向一端から幅方向他端に向かって低くなる斜面状に傾斜させることが可能となる。そのため、キャリヤ側ベルトに載って移動する運搬物を、キャリヤ側ベルトの上面から確実に排出落下させることができる。
【0019】
この場合、前記ベルト走行方向に隣り合う前記ベルト持ち上げローラ同士の間に配置され、前記ベルト持ち上げローラが前記通常走行位置にあるときに、前記キャリヤ側ベルトを、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状となるように支持する中間トラフローラを更に有する構成を採用すると好ましい。
【0020】
このようにすると、ベルト持ち上げローラが通常走行位置にあるときに、ベルト走行方向に隣り合うベルト持ち上げローラ同士の間に設けられた中間トラフローラによって、キャリヤ側ベルトが、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状に支持される。そのため、ベルト持ち上げローラが通常走行位置にあるときに、上流側トラフローラよりも下流側、かつ、下流側トラフローラよりも上流側において、キャリヤ側ベルトに載って移動するばら物の運搬物を、キャリヤ側ベルトからこぼれないように保持して安定して搬送することができる。
【0021】
前記ベルト持ち上げローラは、前記キャリヤ側ベルトの幅方向の中央位置に対して前記幅方向他端の側に片寄った位置の下側に配置された揺動支軸を中心に揺動可能に支持されている構成を採用すると好ましい。
【0022】
このようにすると、簡易な構成で、キャリヤ側ベルトを円滑に持ち上げることが可能となる。
【0023】
前記ベルト持ち上げローラは、前記キャリヤ側ベルトの前記幅方向他端の側に対応する部分よりも前記幅方向一端の側に対応する部分が高くなるように傾斜した状態で、前記キャリヤ側ベルトの幅方向に移動可能にスライドガイドで支持されている構成を採用することも可能である。
【0024】
前記リターン側ベルトは、リターン側ベルトの走行経路のうちの前記ベルト持ち上げローラに対応する部分において、キャリヤ側ベルトの前記幅方向一端の側に迂回した経路を走行するように複数のリターン側ローラで案内されている構成を採用すると好ましい。
【0025】
このようにすると、ベルト持ち上げローラでキャリヤ側ベルトを傾斜して持ち上げることでキャリヤ側ベルトから幅方向他端の側に排出落下させた運搬物を、その排出落下した地点に積み上げて仮置きしたり、仮置きした運搬物を搬出したりするときに、リターン側ベルトが邪魔になるのを防止することができる。
【0026】
この場合、前記複数のリターン側ローラは、前記リターン側ベルトのベルト断面が上下方向に延びる姿勢で前記リターン側ベルトが走行するように前記リターン側ベルトを案内する複数の垂直ガイドローラを含み、
前記リターン側ベルトの走行経路のうち、前記複数の垂直ガイドローラで案内される部分によって、前記迂回した経路を形成するように構成すると好ましい。
【0027】
このようにすると、リターン側ベルトの走行経路のうち、複数の垂直ガイドローラで案内される部分は、リターン側ベルトが、ベルト断面が上下方向に延びる姿勢で走行するので、上方から見た平面視において、リターン側ベルトの走行経路の幅を狭くすることができ、また、リターン側ベルトの走行経路を、上方から見た平面視において比較的自由に曲げることも可能である。そのため、リターン側ベルトの走行経路を、キャリヤ側ベルトから排出落下した運搬物等と干渉しないように形成しやすい。
【発明の効果】
【0028】
この発明のベルトコンベヤは、キャリヤ側ベルトの走行経路の途中に設けたベルト持ち上げローラで、キャリヤ側ベルトの幅方向一端が幅方向他端よりも高くなるようにキャリヤ側ベルトの下面を傾斜して持ち上げ、キャリヤ側ベルトに載って移動するばら物の運搬物を、その運搬物の自重を利用してキャリヤ側ベルトから排出落下させる構成なので、キャリヤ側ベルトに載って移動する運搬物との摩擦により急速に摩耗する部品がない。また、上流側から下流側に向かって走行するキャリヤ側ベルトの走行経路の途中に、キャリヤ側ベルトがS字状に巻き掛けられる上下一対のトリッパプーリを設ける必要がないので、コンベヤベルトを駆動するために必要な動力を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】(a)は、この発明の第1実施形態にかかる中間排出が可能なベルトコンベヤを上方から見た状態を示す模式図、(b)は、(a)のベルトコンベヤを水平に見た状態を示す模式図
図2図1(a)に示す中間排出部を上方から見た状態を示す模式図
図3図1(a)に示すリターン側ベルトの走行経路を上方から見た状態を示す模式図
図4図1(b)に示す中間排出部を水平に見た状態を示す図
図5図4のV-V線に沿った断面図
図6図4のVI-VI線に沿った断面図
図7】この発明の第2実施形態にかかるベルトコンベヤのベルト持ち上げローラの近傍を水平に見た状態を示す図
図8図7のVIII-VIII線に沿った断面図
図9図8に示すベルト持ち上げローラを通常走行位置からベルト持ち上げ位置に移動させた状態を示す図
図10】この発明の第3実施形態にかかるベルトコンベヤのベルト持ち上げローラの近傍を水平に見た状態を示す図
図11図10のXI-XI線に沿った断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1(a)、(b)に、この発明の第1実施形態にかかるベルトコンベヤを示す。このベルトコンベヤは、下流端に位置するヘッドプーリ1(図1(b)参照)と、上流端に位置するテールプーリ2(図1(b)参照)と、ヘッドプーリ1とテールプーリ2の間に掛け渡されたコンベヤベルト3と、コンベヤベルト3に運搬物4を供給する運搬物供給部5と、運搬物供給部5とヘッドプーリ1の間に設けられた中間排出部6とを有する。
【0031】
図1(b)に示すように、コンベヤベルト3は、ヘッドプーリ1とテールプーリ2の間を周回して走行する。コンベヤベルト3は、キャリヤ側ベルト3a(コンベヤベルト3のテールプーリ2からヘッドプーリ1に向かって走行する部分)とリターン側ベルト3b(コンベヤベルト3のヘッドプーリ1からテールプーリ2に向かって走行する部分)とで構成される。
【0032】
ヘッドプーリ1は、図示しない回転駆動装置に接続され、コンベヤベルト3を駆動する。コンベヤベルト3のリターン側に、リターン側ベルト3bが巻き掛けられるドライブプーリ(図示せず)を設け、そのドライブプーリでコンベヤベルト3を駆動するようにしてもよい。コンベヤベルト3は、合成繊維またはスチールコードで形成される芯体をゴムでカバーしたゴムベルトである。
【0033】
運搬物供給部5は、キャリヤ側ベルト3aの上流側端部の上面に対向して配置されている。運搬物4は、例えば、砕石、骨材、土砂、鉱石などのばら物である。運搬物4は、運搬物供給部5からキャリヤ側ベルト3aの上流側端部の上面に連続的に供給される。キャリヤ側ベルト3aは、キャリヤ側ベルト3aの上面に運搬物4を載せた状態で上流側から下流側に向かって走行する。
【0034】
中間排出部6は、キャリヤ側ベルト3aの走行経路の途中に間隔をおいて複数設けられている。複数の中間排出部6は、それぞれ、キャリヤ側ベルト3aに載って移動する運搬物4を、キャリヤ側ベルト3aから排出落下させることができるように構成されている。
【0035】
図2は、中間排出部6を上方から見た状態を簡略化して示す図である。中間排出部6は、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端(図では上側の端)が幅方向他端(図では下側の端)よりも高くなるようにキャリヤ側ベルト3aの下面を傾斜して持ち上げる複数のベルト持ち上げローラ7を有し、そのベルト持ち上げローラ7でキャリヤ側ベルト3aを傾斜して持ち上げた状態でキャリヤ側ベルト3aを走行させることで、上流側から連続的に搬送されるキャリヤ側ベルト3a上の運搬物4を、ベルト持ち上げローラ7の位置でキャリヤ側ベルト3aの幅方向に連続的に排出落下させることができるようになっている。
【0036】
図3に示すように、リターン側ベルト3bは複数のリターン側ローラ8で案内されている。リターン側ローラ8は、リターン側ベルト3bがヘッドプーリ1(図1(b)参照)を出た直後、リターン側ベルト3bを水平姿勢(すなわち、ベルト走行方向に直角なベルト断面が水平に延びる姿勢)で走行するように案内する水平ガイドローラ8aと、リターン側ベルト3bが水平ガイドローラ8aを出た後、リターン側ベルト3bを水平姿勢から垂直姿勢(すなわち、ベルト走行方向に直角なベルト断面が上下方向に延びる姿勢。図6参照)に捩じるように案内する捩りガイドローラ8bと、リターン側ベルト3bが捩りガイドローラ8bを出た後、リターン側ベルト3bを垂直姿勢で走行するように案内する複数の垂直ガイドローラ8cと、リターン側ベルト3bが垂直ガイドローラ8cを出た後、リターン側ベルト3bを垂直姿勢から水平姿勢に捩り戻すように案内する捩り戻しガイドローラ8dと、リターン側ベルト3bが捩り戻しガイドローラ8dを出てからテールプーリ2(図1(b)参照)に至るまでの間、リターン側ベルト3bを水平姿勢で走行するように案内する水平ガイドローラ8eとを有する。また、リターン側ベルト3bの走行経路のうち、垂直ガイドローラ8cで案内される部分には、リターン側ベルト3bの下端を支持する下端ガイドローラ9が設けられている。
【0037】
リターン側ベルト3bは、リターン側ベルト3bの走行経路のうち、ベルト持ち上げローラ7(図2参照)に対応する部分において、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端の側(図では上側)に迂回した経路を走行するようにリターン側ローラ8で案内されている。
【0038】
すなわち、リターン側ベルト3bの走行経路は、図2に示すベルト持ち上げローラ7に対応する部分において、リターン側ベルト3bが、キャリヤ側ベルト3aの幅方向の中央位置Lよりも、キャリヤ側ベルト3aの幅方向他端の側(図では下側)を通らずに、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端の側(図では上側)のみを通るように構成されている。中央位置Lは、ベルト持ち上げローラ7が、図6の二点鎖線で示す通常走行位置にある状態でのキャリヤ側ベルト3aの幅方向の中央の位置である。
【0039】
上述の迂回した経路は、図3に示すリターン側ベルト3bの走行経路のうち、垂直ガイドローラ8cで案内される部分(すなわち、捩りガイドローラ8bを出てから捩り戻しガイドローラ8dに至るまでの部分)によって形成されている。
【0040】
図2図3では、リターン側ベルト3bの走行経路のうち、ベルト持ち上げローラ7に対応する部分のみを、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端の側(図では上側)に迂回した例を示したが、図3に示すリターン側ベルト3bの走行経路のうち、捩りガイドローラ8bを出てから捩り戻しガイドローラ8dに至るまでのすべての部分を、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端の側に迂回させるように構成してもよい。要は、リターン側ベルト3bの走行経路のうち、少なくともベルト持ち上げローラ7に対応する部分を、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端の側に迂回させればよい。
【0041】
図4に示すように、中間排出部6は、ベルト走行方向に並んで配置された複数のベルト持ち上げローラ7と、それらのベルト持ち上げローラ7を移動させるベルト持ち上げローラ移動装置10と、ベルト持ち上げローラ7の上流側に配置された上流側トラフローラ11と、ベルト持ち上げローラ7の下流側に配置された下流側トラフローラ12とを有する。
【0042】
図5に示すように、上流側トラフローラ11は、キャリヤ側ベルト3aの幅方向中央部の下面を支持するセンターローラ13と、キャリヤ側ベルト3aの幅方向両端部の下面を支持する一対のサイドローラ14とを有する。センターローラ13は、水平に配置されている。各サイドローラ14は、センターローラ13から遠ざかるにつれて次第に高くなるように傾斜して配置されている。上流側トラフローラ11は、キャリヤ側ベルト3aを、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状となるように支持する。
【0043】
図4に示す下流側トラフローラ12も、図5に示す上流側トラフローラ11と同一の構成であり、キャリヤ側ベルト3aを、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状となるように支持する。
【0044】
図6に示すように、ベルト持ち上げローラ7は、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端と幅方向他端とが同じ高さにある状態でキャリヤ側ベルト3aを走行させる通常走行位置(図の二点鎖線で示す位置)と、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端が幅方向他端よりも高くなるようにキャリヤ側ベルト3aの下面を傾斜して持ち上げた状態でキャリヤ側ベルト3aを走行させるベルト持ち上げ位置(図の実線で示す位置)との間で移動可能に支持されている。
【0045】
すなわち、図4に示すように、ベルト走行方向に並ぶ複数のベルト持ち上げローラ7は、共通の揺動フレーム15に取り付けられている。揺動フレーム15は、上流側トラフローラ11を取り付ける上流側コンベヤフレーム16と、下流側トラフローラ12を取り付ける下流側コンベヤフレーム17のいずれからも切り離された独立のフレームとされている。
【0046】
図6に示すように、揺動フレーム15は、キャリヤ側ベルト3aの幅方向の中央位置に対して幅方向他端の側(図では左側)に片寄った位置の下側に配置された揺動支軸18を中心に揺動可能に支持されている。揺動支軸18は、ベルト走行方向と平行に延びる回動軸であり、揺動フレーム15と下部フレーム19を回動可能に連結している。下部フレーム19には、リターン側ベルト3bを案内する垂直ガイドローラ8cが取り付けられている。
【0047】
ベルト持ち上げローラ移動装置10は、下端が下部フレーム19に連結され、上端が揺動フレーム15に連結された駆動シリンダであり、図6の二点鎖線で示すように、駆動シリンダを収縮させることで、ベルト持ち上げローラ7が通常走行位置に移動し、一方、図6の実線で示すように、駆動シリンダを伸長させることで、ベルト持ち上げローラ7がベルト持ち上げ位置に移動するようになっている。
【0048】
図6に示すように、ベルト持ち上げローラ7は、キャリヤ側ベルト3aの下面を傾斜して持ち上げたときに、キャリヤ側ベルト3aの持ち上げられた部分が幅方向一端の側(図では右側)から幅方向他端の側(図では左側)に向かって直線的に低くなるように、キャリヤ側ベルト3aの幅方向に沿ってストレートに延びる非トラフローラを採用している。
【0049】
また、図6に示すように、ベルト持ち上げローラ7でキャリヤ側ベルト3aの下面を傾斜して持ち上げたとき、運搬物4を落下排出するのに必要な傾斜角、具体的にはベルト持ち上げローラ7が水平方向に対して45°以上(好ましくは50°以上、より好ましくは55°以上)の傾斜角をもって傾斜するように、ベルト持ち上げ位置が設定されている。
【0050】
ベルト持ち上げローラ移動装置10を構成する駆動シリンダとしては、電動シリンダ、油圧シリンダ、空圧シリンダ等を使用することができる。ここでは、ベルト持ち上げローラ移動装置10として、揺動フレーム15の揺動側端部を下側から押し上げる駆動シリンダを例に挙げて説明したが、ベルト持ち上げローラ移動装置10として、例えば、揺動フレーム15の揺動側端部に一端を接続した吊り材(チェーンやワイヤーロープ等)を上方に引き上げる構成のものを採用することも可能である。また、その他の構成のベルト持ち上げローラ移動装置10(例えば、ラックアンドピニオン、レバー、カム等を用いてベルト持ち上げローラ7を傾斜させる機構をもつもの)を採用することも可能である。
【0051】
図4に示すように、キャリヤ側ベルト3aの走行経路のベルト持ち上げローラ7と下流側トラフローラ12の間には、上面押さえローラ20が設けられている。上面押さえローラ20は、キャリヤ側ベルト3aの幅方向他端の側(図では紙面手前側)に対応する部分よりも幅方向一端の側(図では紙面奥側)に対応する部分が高くなるように傾斜した状態に保持されている。また、上面押さえローラ20は、ベルト持ち上げローラ7が通常走行位置(図の実線で示す位置)にある状態のときは、キャリヤ側ベルト3aが上面押さえローラ20の下方に離間し、一方、ベルト持ち上げローラ7がベルト持ち上げ位置(図の二点鎖線で示す位置)にある状態のときは、キャリヤ側ベルト3aが上面押さえローラ20に接触する高さに配置されている。
【0052】
このベルトコンベヤは、図6の二点鎖線で示すように、ベルト持ち上げローラ7を通常走行位置に移動した状態でコンベヤベルト3を走行させることにより、キャリヤ側ベルト3aに載って移動する運搬物4を、そのままキャリヤ側ベルト3aで下流側に搬送することができ、一方、図6の実線で示すように、ベルト持ち上げローラ7をベルト持ち上げ位置に移動した状態でコンベヤベルト3を走行させることにより、キャリヤ側ベルト3aに載って移動する運搬物4を、キャリヤ側ベルト3aの上面からキャリヤ側ベルト3aの幅方向に排出落下させることができる。そして、ベルト持ち上げローラ7は、キャリヤ側ベルト3aの走行経路の途中の任意の位置に設けることが可能なので、このベルトコンベヤは、キャリヤ側ベルト3aの走行経路の任意の位置で、また複数箇所で、運搬物4を排出落下させることが可能である。
【0053】
そのため、このベルトコンベヤを使用すると、例えば、河川の築堤工事に使用する砕石や骨材などを、河川敷に沿って間隔をおいた複数箇所に搬送する場合に、図1(a)、(b)に示すベルトコンベヤを河川敷に沿って設置し、そのベルトコンベヤの上流側の端部で砕石や骨材などの運搬物4をキャリヤ側ベルト3aの上面に連続的に供給し、そのキャリヤ側ベルト3aに載って移動する運搬物4を、キャリヤ側ベルト3aの走行経路の途中の中間排出部6で排出落下させることで、河川敷沿いの複数箇所にそれぞれ運搬物4を搬送することが可能となる。
【0054】
このベルトコンベヤは、図2に示すように、キャリヤ側ベルト3aの走行経路の途中に設けたベルト持ち上げローラ7で、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端が幅方向他端よりも高くなるようにキャリヤ側ベルト3aの下面を傾斜して持ち上げ、キャリヤ側ベルト3aに載って移動するばら物の運搬物4を、その運搬物4の自重を利用してキャリヤ側ベルト3aから排出落下させる構成なので、キャリヤ側ベルト3aに載って移動する運搬物4との摩擦により急速に摩耗する部品がない。また、上流側から下流側に向かって走行するキャリヤ側ベルト3aの走行経路の途中に、キャリヤ側ベルト3aがS字状に巻き掛けられる上下一対のトリッパプーリを設ける必要がないので、コンベヤベルト3を駆動するために必要な動力を低く抑えることができ、設備費も低く抑えることができる。
【0055】
また、このベルトコンベヤは、図4に示すように、ベルト持ち上げローラ7の上流側および下流側に、上流側トラフローラ11および下流側トラフローラ12がそれぞれ設けられているので、ベルト持ち上げローラ7が通常走行位置にあるときに、キャリヤ側ベルト3aが、ベルト持ち上げローラ7の上流側および下流側において、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状となり、キャリヤ側ベルト3a上のばら物の運搬物4を、キャリヤ側ベルト3aからこぼれないように保持して安定して搬送することができる。
【0056】
また、図6に示すように、ベルト持ち上げローラ7は、キャリヤ側ベルト3aの幅方向に沿ってストレートに延びる非トラフローラなので、ベルト持ち上げローラ7で、キャリヤ側ベルト3aの下面を傾斜して持ち上げたときに、そのキャリヤ側ベルト3aの持ち上げられた部分が、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端の側から幅方向他端の側に向かって直線的に低くなり、キャリヤ側ベルト3aに載って移動する運搬物4を、キャリヤ側ベルト3aの上面から円滑に排出落下させることができる。
【0057】
また、このベルトコンベヤは、図4に示すように、ベルト持ち上げローラ7がベルト走行方向に並んで複数配置されているので、キャリヤ側ベルト3aの下面のベルト走行方向に並んだ複数の箇所を、複数のベルト持ち上げローラ7で同時に持ち上げることにより、キャリヤ側ベルト3aの比較的長い長さをもった部分を、幅方向一端から幅方向他端に向かって低くなる斜面状に傾斜させることが可能である。そのため、キャリヤ側ベルト3aに載って移動する運搬物4を、キャリヤ側ベルト3aの上面から確実に排出落下させることができる。
【0058】
また、このベルトコンベヤは、図6に示すように、キャリヤ側ベルト3aの幅方向の中央位置に対して幅方向他端の側(図では左側)に片寄った位置の下側に配置した揺動支軸18を中心にベルト持ち上げローラ7を揺動可能に支持した構成を採用しているので、簡易な構成で、キャリヤ側ベルト3aを円滑に持ち上げることが可能となっている。
【0059】
また、このベルトコンベヤは、図4に示すように、キャリヤ側ベルト3aの走行経路のベルト持ち上げローラ7と下流側トラフローラ12の間に上面押さえローラ20が設けられているので、ベルト持ち上げローラ7をベルト持ち上げ位置に移動させたときに、キャリヤ側ベルト3aの走行が不安定になるのを防止することができる。
【0060】
また、このベルトコンベヤは、図2に示すように、リターン側ベルト3bが、リターン側ベルト3bの走行経路のうちのベルト持ち上げローラ7に対応する部分において、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端の側(図では上側)に迂回した経路を走行するように案内されているので、図1(a)、(b)に示すように、キャリヤ側ベルト3aから排出落下させた運搬物4を、その排出落下した地点に積み上げて仮置きしたり、仮置きした運搬物4を搬出したりするときに、リターン側ベルト3bが邪魔になるのを防止することができる。
【0061】
また、このベルトコンベヤは、図3に示すように、リターン側ベルト3bの走行経路のうち、複数の垂直ガイドローラ8cで案内される部分によって、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端の側(図では上側)に迂回した経路を形成している。ここで、リターン側ベルト3bの走行経路のうち、複数の垂直ガイドローラ8cで案内される部分は、リターン側ベルト3bが、ベルト断面が上下方向に延びる姿勢で走行するので、上方から見た平面視において、リターン側ベルト3bの走行経路の幅を狭くすることができ、また、リターン側ベルト3bの走行経路を、上方から見た平面視において比較的自由に曲げることも可能である。そのため、リターン側ベルト3bの走行経路を、キャリヤ側ベルト3aから排出落下させて仮置きした運搬物4や、その仮置きした運搬物4を搬出する機材と干渉しないように形成しやすい。
【0062】
図7図9に、この発明の第2実施形態を示す。第2実施形態は、第1実施形態と比べて中間トラフローラ21が追加されている点のみが異なり、それ以外の構成は同一である。そのため、第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
図7に示すように、ベルト走行方向に隣り合うベルト持ち上げローラ7同士の間に、中間トラフローラ21が設けられている。
【0064】
図8に示すように、中間トラフローラ21は、キャリヤ側ベルト3aの幅方向中央部の下面を支持するセンターローラ22と、キャリヤ側ベルト3aの幅方向両端部の下面を支持する一対のサイドローラ23とを有する。センターローラ22は、水平に配置されている。各サイドローラ23は、センターローラ22から遠ざかるにつれて次第に高くなるように傾斜して配置されている。
【0065】
図9に示すように、中間トラフローラ21は、揺動フレーム15とは別個の固定スタンド24に取り付けられている。固定スタンド24は、ベルト持ち上げローラ7を通常走行位置とベルト持ち上げ位置の間で移動させたときにも、中間トラフローラ21の位置が移動しないように下部フレーム19に固定されている。
【0066】
図8に示すように、中間トラフローラ21は、ベルト持ち上げローラ7が通常走行位置にある状態で、センターローラ22の外周の上端が、ベルト持ち上げローラ7の外周の上端と同じ高さ位置かそれよりも高い位置にくるように配置されている。
【0067】
この第2実施形態のベルトコンベヤは、図8に示すように、ベルト持ち上げローラ7が通常走行位置にあるとき、ベルト走行方向に隣り合うベルト持ち上げローラ7同士の間に設けられた中間トラフローラ21によって、キャリヤ側ベルト3aが、幅方向に沿って中央部が低く、中央部から幅方向両端に向かって高くなるトラフ状に支持される。そのため、ベルト持ち上げローラ7が通常走行位置にあるときに、上流側トラフローラ11(図4参照)よりも下流側、かつ、下流側トラフローラ12(図4参照)よりも上流側において、キャリヤ側ベルト3aに載って移動するばら物の運搬物4を、キャリヤ側ベルト3aからこぼれないように保持して安定して搬送することができる。
【0068】
また、このベルトコンベヤは、図9に示すように、ベルト持ち上げローラ7で、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端が幅方向他端よりも高くなるようにキャリヤ側ベルト3aの下面を傾斜して持ち上げ、キャリヤ側ベルト3aに載って移動するばら物の運搬物4を、その運搬物4の自重を利用してキャリヤ側ベルト3aから排出落下させる構成なので、キャリヤ側ベルト3aに載って移動する運搬物4との摩擦により急速に摩耗する部品がない。また、上流側から下流側に向かって走行するキャリヤ側ベルト3aの走行経路の途中に、キャリヤ側ベルト3aがS字状に巻き掛けられる上下一対のトリッパプーリを設ける必要がないので、コンベヤベルト3を駆動するために必要な動力を低く抑えることができ、設備費も低く抑えることができる。その他の作用効果も第1実施形態と同様である。
【0069】
図10図11に、この発明の第3実施形態を示す。第3実施形態を第2実施形態と比べると、第2実施形態では、ベルト持ち上げローラ7の揺動によりキャリヤ側ベルト3aを傾斜して持ち上げるように構成したのに対し、第3実施形態では、ベルト持ち上げローラ7のスライドによりキャリヤ側ベルト3aを傾斜して持ち上げるように構成した点のみが異なり、それ以外の構成は同一である。そのため、第2実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
図10に示すように、ベルト持ち上げローラ7は、ベルト走行方向に並んで複数配置されている。この複数のベルト持ち上げローラ7は、共通のスライドフレーム25に取り付けられている。
【0071】
図11に示すように、ベルト持ち上げローラ7は、キャリヤ側ベルト3aの幅方向他端の側(図では左側)に対応する部分よりも幅方向一端の側(図では右側)に対応する部分が高くなるように傾斜した状態で、スライドフレーム25に取り付けられている。
【0072】
スライドフレーム25は、下部フレーム19に設けられたスライドガイド26で、キャリヤ側ベルト3aの幅方向にスライド可能に支持されている。このスライドフレーム25のスライドによって、ベルト持ち上げローラ7はキャリヤ側ベルト3aの幅方向に移動可能となっている。
【0073】
ベルト持ち上げローラ移動装置10は、スライドフレーム25に連結された駆動シリンダであり、図11の実線で示すように、駆動シリンダを収縮させることで、ベルト持ち上げローラ7が通常走行位置に移動し、一方、図11の二点鎖線で示すように、駆動シリンダを伸長させることで、ベルト持ち上げローラ7がベルト持ち上げ位置に移動するようになっている。
【0074】
また、第3実施形態のベルトコンベヤは、図11の二点鎖線に示すように、ベルト持ち上げローラ7で、キャリヤ側ベルト3aの幅方向一端が幅方向他端よりも高くなるようにキャリヤ側ベルト3aの下面を傾斜して持ち上げ、キャリヤ側ベルト3aに載って移動するばら物の運搬物4を、その運搬物4の自重を利用してキャリヤ側ベルト3aから排出落下させる構成なので、キャリヤ側ベルト3aに載って移動する運搬物4との摩擦により急速に摩耗する部品がない。また、上流側から下流側に向かって走行するキャリヤ側ベルト3aの走行経路の途中に、キャリヤ側ベルト3aがS字状に巻き掛けられる上下一対のトリッパプーリを設ける必要がないので、コンベヤベルト3を駆動するために必要な動力を低く抑えることができ、設備費も低く抑えることができる。その他の作用効果も第2実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0075】
1 ヘッドプーリ
2 テールプーリ
3 コンベヤベルト
3a キャリヤ側ベルト
3b リターン側ベルト
4 運搬物
7 ベルト持ち上げローラ
8 リターン側ローラ
8c 垂直ガイドローラ
10 ベルト持ち上げローラ移動装置
11 上流側トラフローラ
12 下流側トラフローラ
18 揺動支軸
21 中間トラフローラ
26 スライドガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11