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特許7592312レゾルバの端子ピン保持構造及びその組立て方法及びレゾルバの端子ピン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】レゾルバの端子ピン保持構造及びその組立て方法及びレゾルバの端子ピン
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20241125BHJP
   H02K 24/00 20060101ALI20241125BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
G01D5/20 110X
H02K24/00
H02K5/22
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021111429
(22)【出願日】2021-07-05
(65)【公開番号】P2023008126
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】本宮 優希
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-34826(JP,A)
【文献】特開2020-34280(JP,A)
【文献】特開2008-172960(JP,A)
【文献】特開2013-51749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/20
H02K 24/00
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪状ステータ(2)の一面(2A)に設けられた第1輪状絶縁キャップ(3)と、前記輪状ステータ(2)の他面(2B)に設けられた第2輪状絶縁キャップ(4)と、前記第1輪状絶縁キャップ(3)の周縁(35)の一部に外方に突出して設けられ、複数の端子ピン(1)を有する端子ピン保持部(5)と、前記端子ピン(1)に設けられた平坦部(1D)と、前記平坦部(1D)の外側位置(1C)に一体に形成された下向きの折り返し部(30)と、前記平坦部(1D)の内側位置(1A)に一体に形成された下向きのピン部(1B)と、前記第1、第2輪状絶縁キャップ(3,4)に形成され、前記ピン部(1B)が貫通するための第1、第2貫通孔(9,9a)と、前記第1輪状絶縁キャップ(3)に形成され、前記折り返し部(30)を位置決めするための凹部又は穴部(44)と、を備え、
前記ピン部(1B)を前記第1、第2貫通孔(9,9a)に挿入し、前記折り返し部(30)を前記凹部又は穴部(44)に挿入した時、前記平坦部(1D)の平裏面(32)は前記第1輪状絶縁キャップ(3)の前記第1貫通孔(9)と凹部又は穴部(44)との間に形成された平表面(41)に接触して位置するように構成されていることを特徴とするレゾルバの端子ピン保持構造。
【請求項2】
前記折り返し部(30)の下部には、前記折り返し部(30)の第1幅(W1)以上に幅広の舌片状の下部片(30a)が設けられていることを特徴とする請求項1記載のレゾルバの端子ピン保持構造。
【請求項3】
輪状ステータ(2)の一面(2A)に設けられた第1輪状絶縁キャップ(3)と、前記輪状ステータ(2)の他面(2B)に設けられた第2輪状絶縁キャップ(4)と、前記第1輪状絶縁キャップ(3)の周縁(35)の一部に外方に突出して設けられ、複数の端子ピン(1)を有する端子ピン保持部(5)と、前記端子ピン(1)に設けられた平坦部(1D)と、前記平坦部(1D)の外側位置(1C)に一体に形成された下向きの折り返し部(30)と、前記平坦部(1D)の内側位置(1A)に一体に形成された下向きのピン部(1B)と、前記第1、第2輪状絶縁キャップ(3,4)に形成され、前記ピン部(1B)が貫通するための第1、第2貫通孔(9,9a)と、前記第1輪状絶縁キャップ(3)に形成され、前記折り返し部(30)を位置決めするための凹部又は穴部(44)と、を備える、レゾルバの端子ピン保持構造において、
前記ピン部(1B)を前記第1、第2貫通孔(9,9a)に挿入し、前記折り返し部(30)を前記凹部又は穴部(44)に挿入し、前記平坦部(1D)の平裏面(32)を、前記第1輪状絶縁キャップ(3)の前記第1貫通孔(9)と凹部又は穴部(44)との間に形成された平表面(41)に接触させることを特徴とするレゾルバの端子ピン保持構造の組立て方法。
【請求項4】
前記折り返し部(30)の下部には、前記折り返し部(30)の第1幅(W1)以上に幅広の舌片状の下部片(30a)が設けられていることを特徴とする請求項3記載のレゾルバの端子ピン保持構造の組立て方法。
【請求項5】
水平状の平坦部(1D)の内側位置(1A)から曲折して下方へ延設されたピン部(1B)と、前記平坦部(1D)の外側位置(1C)から曲折して下方へ延びる折り返し部(30)と、から構成され、前記折り返し部(30)の下部には、前記折り返し部(30)の第1幅(W1)以上に幅広の舌片状の下部片(30a)が設けられていることを特徴とするレゾルバの端子ピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバの端子ピン保持構造及びその組立て方法及びレゾルバの端子ピンに関し、特に、端子ピンとステータ巻線の端線との超音波接合(すなわち、超音波溶着)の歩留まり向上を得るための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のレゾルバの端子ピン保持構造としては、例えば、特許文献1及び2の構成を挙げることができる。
特許文献1及び2のレゾルバの構成は、特に、ハイブリッドカーの心臓部に採用され、エンジンの回転数等を検出するために多用され始めた当時のものである。
前述のレゾルバにおける、ステータ巻線を外部に導出、あるいは、外部からの電気信号を内部に導入するためには、輪状絶縁カバーの端子ピン保持部に設けられた端子ピンとステータ巻線の端線とを、カシメ又は溶接で接続しなくてはならなかった。
【0003】
ところが、カシメも溶接も、作業性が悪く、生産性の向上が難しく、端線を端子ピンに対して、数回から10回位からげた後に、溶接によって一体化することでスプリング効果を持たせる構成の採用が行われてきた。
この方法も、車輌等の振動が極度に大きく加わると、端線のからげ部が共振することになり、断線発生の恐れが存在していた。
そこで、レゾルバの業界では、端子ピンに平坦部を形成し、この平坦部の平表面に端線を位置させ、超音波接合ホーンを接近させて超音波接合(すなわち、超音波溶着)によって、周知のように、端線を平坦部に超音波接合させていた。
【0004】
前述の超音波接合については、それを具体的に示す特許文献を用意していないので、本出願人が従来行っていた構成について、図5から図10を用いて説明する。
すなわち、図5において符号1で示されるものは、全体形状がL字型をなす端子ピンであり、この端子ピン1は、その平坦部1Dの内側位置1Aから下方へ垂下して延びるピン部1Bと、前記内側位置1Aから外側位置1Cへ向けて水平状に延設された前記平坦部1Dと、から構成されている。
【0005】
前記端子ピン1は、図6で示される輪状ステータ2の一面2Aと他面2Bに設けられた第1、第2輪状絶縁キャップ3、4の中の第1輪状絶縁キャップ3のみに設けられた端子ピン保持部5に複数設けられている。
前記各端子ピン1の平坦部1Dは、図6に示すように、輪状ステータ2の各突出磁極6側である端子ピン保持部5の内方7側に配設され、前記ピン部1Bは、前記端子ピン保持部5のほぼ中央に配設されている。
【0006】
図7は、図6の端子ピン保持部5のピン部1Bを示すもので、前記各輪状絶縁キャップ3、4が輪状ステータ2を挟持した状態であり、前記ピン部1Bが前記各輪状絶縁キャップ3の第1貫通孔9に挿入された状態を示している。
【0007】
図8は、図7のA-A線による断面図を示しており、突出磁極6の外周に、前記各輪状絶縁キャップ3、4を介してステータ巻線10が巻回されている。
図8における端子ピン1は、前記各輪状絶縁キャップ3、4に形成された各貫通孔9、9aに、ピン部1Bを挿入して打ち込んだ状態を示しており、図8の場合、ピン部1Bが設計通りに挿入されている。
【0008】
図9は、図8と異なり、端子ピン1の各貫通孔9、9aへの挿入が正常に行われなかった場合を示しており、図8の場合と比較すると、ピン部1Bが右側に傾斜した状態となっている。この状態では、平坦部1Dも傾斜してその角度が定まらないため、超音波接合ホーン21による端線10aの接合(すなわち、溶着)を正確に行うことができない。
図10には、端子ピン1が二列に形成された他の従来構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平11-98747号公報
【文献】特開2006-223059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のレゾルバの端子ピン保持構造は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述のように、端子ピン1が図5のL字型で構成されている場合には、図8のように、端子ピン1が第1、第2輪状絶縁キャップ3、4の第1、第2貫通孔9、9aに対して正常に挿入され、平坦部1Dが第1輪状絶縁キャップ3の所定位置に位置決めされているため、何らの支障もなく、端線10aを平坦部1Dに対して、図9の超音波接合ホーン21を介して、超音波接合(溶着)により、平坦部1D上に端線10aを接合(溶着)することができる。
【0011】
しかしながら、各輪状絶縁キャップ3、4及び第1、第2貫通孔9、9aには、バラツキがあるため、端子ピン1を挿入するための各貫通孔9、9aに端子ピン1が正確に挿入されず、図9のように、端子ピン1が傾斜し、平坦部1Dが傾斜することがあり、この状態で、超音波接合を行うと、端線10aと端子ピン1の平坦部1Dとが互いに平行な状態ではないため、端線10aと平坦部1Dの超音波接合に支障が発生し、部分的に接合しない個所が出ることにより、レゾルバ自体の信頼性の低下となり、端子ピンとステータ巻線の端線との超音波接合の歩留まりを向上させることができないこととなっていた。
【0012】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、端子ピンとステータ巻線の端線との超音波接合の歩留まり向上を得るようにしたレゾルバの端子ピン保持構造及びその組立て方法及びレゾルバの端子ピンを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によるレゾルバの端子ピン保持構造は、輪状ステータの一面に設けられた第1輪状絶縁キャップと、前記輪状ステータの他面に設けられた第2輪状絶縁キャップと、前記第1輪状絶縁キャップの周縁の一部に外方に突出して設けられ、複数の端子ピンを有する端子ピン保持部と、前記端子ピンに設けられた平坦部と、前記平坦部の外側位置に一体に形成された下向きの折り返し部と、前記平坦部の内側位置に一体に形成された下向きのピン部と、前記第1、第2輪状絶縁キャップに形成され、前記ピン部が貫通するための第1、第2貫通孔と、前記第1輪状絶縁キャップに形成され、前記折り返し部を位置決めするための凹部又は穴部と、を備え、前記ピン部を前記第1、第2貫通孔に挿入し、前記折り返し部を前記凹部又は穴部に挿入した時、前記平坦部の平裏面は前記第1輪状絶縁キャップの前記第1貫通孔と凹部又は穴部との間に形成された平表面に接触して位置するようにした構成であり、また、前記折り返し部の下部には、前記折り返し部の第1幅以上に幅広の舌片状の下部片が設けられている構成であり、また、本発明によるレゾルバの端子ピン保持構造の組立て方法は、輪状ステータの一面に設けられた第1輪状絶縁キャップと、前記輪状ステータの他面に設けられた第2輪状絶縁キャップと、前記第1輪状絶縁キャップの周縁の一部に外方に突出して設けられ、複数の端子ピンを有する端子ピン保持部と、前記端子ピンに設けられた平坦部と、前記平坦部の外側位置に一体に形成された下向きの折り返し部と、前記平坦部の内側位置に一体に形成された下向きのピン部と、前記第1、第2輪状絶縁キャップに形成され、前記ピン部が貫通するための第1、第2貫通孔と、前記第1輪状絶縁キャップに形成され、前記折り返し部を位置決めするための凹部又は穴部と、を備える、レゾルバの端子ピン保持構造において、前記ピン部を前記第1、第2貫通孔に挿入し、前記折り返し部を前記凹部又は穴部に挿入し、前記平坦部の平裏面を、前記第1輪状絶縁キャップの前記第1貫通孔と凹部又は穴部との間に形成された平表面に接触させるようにした方法であり、また、前記折り返し部の下部には、前記折り返し部の第1幅以上に幅広の舌片状の下部片が設けられている方法であり、また、本発明によるレゾルバの端子ピンは、水平状の平坦部の内側位置から曲折して下方へ延設されたピン部と、前記平坦部の外側位置から曲折して下方へ延びる折り返し部と、からなる構成であり、また、前記折り返し部の下部には、折り返し部の第1幅以上に幅広の舌片状の下部片が設けられている構成である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるレゾルバの端子ピン保持構造及びその組立て方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、輪状ステータの一面に設けられた第1輪状絶縁キャップと、前記輪状ステータの他面に設けられた第2輪状絶縁キャップと、前記第1輪状絶縁キャップの周縁の一部に外方に突出して設けられ、複数の端子ピンを有する端子ピン保持部と、前記端子ピンに設けられた平坦部と、前記平坦部の外側位置に一体に形成された下向きの折り返し部と、前記平坦部の内側位置に一体に形成された下向きのピン部と、前記第1、第2輪状絶縁キャップに形成され、前記ピン部が貫通するための第1、第2貫通孔と、前記第1輪状絶縁キャップに形成され、前記折り返し部を位置決めするための凹部又は穴部と、を備え、前記ピン部を前記第1、第2貫通孔に挿入し、前記折り返し部を前記凹部又は穴部に挿入した時、前記平坦部の平裏面は前記第1輪状絶縁キャップの前記第1貫通孔と凹部又は穴部との間に形成された平表面に接触して位置するように構成されていることにより、端子ピンのピン部と折り返し部が第1輪状絶縁キャップに、貫通孔と凹部又は穴部とを介して強固にかつ定位置に固定されるため、前記平表面上の定位置に水平状に位置でき、常に同じ水平位置の平坦部上にステータ巻線の端線を位置させて、超音波接合ホーンで平表面を超音波接合でき、信頼性向上、歩留まり向上を得ることができる。
また、前記折り返し部の下部には、前記折り返し部の第1幅以上に幅広の舌片状の下部片が設けられていることにより、端子ピンを第1輪状絶縁キャップに固定した時の安定性が向上し、常に水平状に設けられており、端子ピン取付時の位置ズレを防止することができる。
また、本発明によるレゾルバの端子ピンは、水平状の平坦部の内側位置から曲折して下方へ延設されたピン部と、前記平坦部の外側位置から曲折して下方へ延びる折り返し部と、からなることにより、端子ピンの平坦部をピン部と折り返し部の両方で支えることができ、平坦部を水平に保つことができる。
また、前記折り返し部の下部に設けられた下部片を有することにより、下部片によって折り返し部の固定精度と強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態によるレゾルバの端子ピン保持構造における端子ピンを示す斜視図である。
図2図1の端子ピンを端子ピン保持部に設けた構成を示すレゾルバの要部を示す斜視図である。
図3図1の側面図である。
図4図1のA部の拡大正面図である。
図5】従来の端子ピンの斜視図である。
図6図1の端子ピンを挿入した従来のレゾルバの要部を示す斜視図である。
図7図6の要部の裏面図である。
図8図7のA-A断面図で端子ピン正常の場合である。
図9図7のA-A断面図で端子ピン傾斜の場合である。
図10】従来の端子ピンを二重とした形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明によるレゾルバの端子ピン保持構造及びその組立て方法及びレゾルバの端子ピンは、端子ピンとステータ巻線の端線との超音波接合を、端子ピンの形状変更によって実現することである。
【実施例
【0017】
以下、図面と共に本発明によるレゾルバの端子ピン保持構造及びその組立て方法及びレゾルバの端子ピンの好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明すると共に、図5から図10迄の構成のうち、本発明と共用の構成については援用するものとする。
図1において、符号1で示されるものは、端子ピンであり、この端子ピン1が全体として、図5の従来の端子ピン1と類似型でかつL字型をなしている。
【0018】
図1の端子ピン1には、一体にピン部1B及び平坦部1Dが形成されていることは、図5の従来例と同一であるが、本発明の端子ピン1においては、前記平坦部1Dの内側位置1Aから曲折して下方へ延設されたピン部1Bを有し、前記平坦部1Dの外側位置1Cには、ほぼ直角で下向きの折り返し部30が形成されている。すなわち、前記平坦部1Dは、ピン部1Bと折り返し部30によって後述の第1輪状絶縁キャップ3上に固定できる。
前記平坦部1Dは、表面31及びその裏面も平らな平裏面32によって形成されている。
【0019】
前記折り返し部30は、図1の正面33側から見ると共に、図1の拡大部分をA部として示すと、図4の通りである。
すなわち、前記折り返し部30は、前記正面33から見ると、T字型をなし、その平坦部1Dの第1幅をW1とすると、その折り返し部30の下部に設けられた下部片30aの第2幅はW2となり、W2≧W1の関係である。前記折り返し部30の第2幅W2は平坦部1Dの第1幅W1以上に十分に幅広型に構成されている。
尚、前述の第1、第2幅W1、W2は、図1に示すように、前記平坦部1Dの長手方向L1に対して、これと直交する横断方向L2に沿う長さ幅のことである。
【0020】
図2は、輪状ステータ2の一面2Aと他面2Bに対して、第1輪状絶縁キャップ3及び第2輪状絶縁キャップ4を設けたレゾルバ34を示し、その一部の第1輪状絶縁キャップ3の周縁35の一部から外方(半径方向)に突出して形成され、複数の端子ピン1を挿入によって植設した端子ピン保持部5が示されている。
前記輪状ステータ2の内周には、複数の突出磁極6が形成されている。
【0021】
前記輪状ステータ2の一面2A及び他面2Bには、前述のように、第1、第2輪状絶縁キャップ3、4が輪状ステータ2を挟持するように設けられている。
前記各突出磁極6は、前記各輪状絶縁キャップ3、4と一体の第1舌片3A及び第2舌片4Aによって、その外周が絶縁被覆され、各舌片3A、4Aを介して、図8のように、ステータ巻線10が巻回されている。
【0022】
前記端子ピン保持部5に各端子ピン1が設けられるように、この端子ピン保持部5に端子ピン1を設置するための端子ピン設置部40の平表面41からなる底面42は、図3のように構成されている。
すなわち、図3の端子ピン保持部5の底面42には、図8のように第1、第2輪状絶縁キャップ3、4において、前記端子ピン1の内側位置1Aに形成されたピン部1Bを挿入するための第1、第2貫通孔9、9aが形成されている。
前記第1輪状絶縁キャップ3のみに、端子ピン1の平坦部1Dの外側位置1Cに形成された折り返し部30の下部片30aを挿入するための凹部又は穴部44が形成されている。
【0023】
前述の構成において、前記端子ピン1を、前記端子ピン保持部5の端子ピン設置部40に対して設置する場合、前記端子ピン1を下方に降下させると、前記ピン部1Bが前記第1貫通孔9内に挿入され、ほぼ同時に、前記折り返し部30の下部片30aも前記凹部又は穴部44内に挿入される。
前記下部片30aは、ピン部1Bよりも短いため、前記ピン部1Bは下部片30aよりも先に第1貫通孔9内に挿入され、このピン部1Bが第1輪状絶縁キャップ3の第1貫通孔9を貫通すると共に、図8で示されるように、その下側の第2輪状絶縁キャップ4の第2貫通孔9aに挿入される。
前記各貫通孔9、9aは、互いに一体状に連通しているため、前記ピン部1Bが前記第2輪状絶縁キャップ4の第2貫通孔9aの底に届く時には、前記折り返し部30の下部片30aが前記凹部又は穴部44の底部44aに当接する。
【0024】
前述の端子ピン1のピン部1Bの、各貫通孔9、9aへの挿入及び折り返し部30の下部の舌片状の下部片30aの、前記凹部又は穴部44への挿入が完了すると、前記平坦部1Dの平裏面32は、前記第1輪状絶縁キャップ3の第1貫通孔9と凹部又は穴部44との間に形成された平表面41に接触して水平状に位置する。尚、前記ピン部1Bの長さは、前記折り返し部30と下部片30aとを合わせた長さよりも十分に長く形成されている。
【0025】
従って、前述の段落[0023]の構成から明らかなように、従来構成と異なる構成としては、前記折り返し部30の下部の下部片30aが設けられている構成であり、図3のように、前記下部片30aが端子ピン保持部5の凹部又は穴部44内に挿入されて保持され、かつ、固定されているため、端子ピン1を、常に設計値通りの位置に設置することができ、設置後は、従来のように、前記平坦部1Dが位置ズレや傾斜することなく前記平表面41上に水平状態で設置され、この水平状態の平坦部1D上に、前記ステータ巻線10の端線10aが完全に接触(図8に示す)し、図9のような平坦部1Dの角度ブレのない安定した状態で超音波接合ホーン21による超音波接合(溶着)によって端線10aを平坦部1D上に確実に接合することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によるレゾルバの端子ピン保持構造及びその組立て方法及びレゾルバの端子ピンは、端子ピンの平坦部の外側位置に、折り返し部の下部片を設け、端子ピンは、ピン部と下部片を介して端子ピン保持部に固定されているため、従来のような平坦部の傾きがなく水平であるため、端線を常に水平な平坦部上に超音波接合でき、安定した超音波接合によるレゾルバを製造することができる。また、平坦部の両側をピン部と折り返し部とで支えているため、端子ピンの姿勢が安定する。
【符号の説明】
【0027】
1 端子ピン
1A 内側位置
1B ピン部
1C 外側位置
1D 平坦部
2 輪状ステータ
2A 一面
2B 他面
3 第1輪状絶縁キャップ
3A 第1舌片
4 第2輪状絶縁キャップ
4A 第2舌片
5 端子ピン保持部
6 突出磁極
9 第1貫通孔
9a 第2貫通孔
10 ステータ巻線
10a 端線
21 超音波接合ホーン
30 折り返し部
30a 下部片
31 表面
32 平裏面
33 正面
34 レゾルバ
35 周縁
40 端子ピン設置部
41 平表面
42 底面
44 凹部又は穴部
44a 底部
L1 長手方向
L2 横断方向
W1 第1幅
W2 第2幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10