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特許7592321エバネッセント場の共鳴イメージング顕微鏡装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】エバネッセント場の共鳴イメージング顕微鏡装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20241125BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
G01N21/17 N
G01N21/17 B
G02B21/06
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021564595
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 AU2020050427
(87)【国際公開番号】W WO2020220083
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】2019901484
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】304054507
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティー オブ メルボルン
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】ボルトン,クリストファー グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ダガスティン,レイモンド ライリー
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-318133(JP,A)
【文献】米国特許第09012872(US,B1)
【文献】米国特許第06280960(US,B1)
【文献】特開2017-021050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0240046(US,A1)
【文献】特開2009-145104(JP,A)
【文献】国際公開第2012/090759(WO,A1)
【文献】定在エバネセント波照明による超解像イメージング,光学,2009年07月10日,第38号,364-372
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/83
G02B 21/00-G02B 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージング領域の中に位置付けされているサンプルを特徴付けるための方法であって、前記方法は、
2つまたは複数のエバネッセント場を発生させるステップであって、前記エバネッセント場のそれぞれが、固有の方向で前記イメージング領域に方向付けられている、ステップと;
前記イメージング領域のイメージをキャプチャーするステップと;
空間的な強度パターンにしたがって、前記サンプルの1つまたは複数のサンプル特質を決定するステップであって、前記強度パターンは、前記エバネッセント場のそれぞれと、前記イメージの中の前記サンプルとの間の相互作用から結果として生じる、ステップと、
を含み、
少なくとも2つの前記エバネッセント場は、同時に発生させられる少なくとも2つのエバネッセント場を含み、各エバネッセント場が固有の特徴付けスペクトルに関連付けられている、かつ/または
少なくとも2つの前記エバネッセント場は、シーケンスにしたがって生成される少なくとも2つのエバネッセント場を含み、前記シーケンスは、少なくとも1つの他のエバネッセント場の後に発生させられる少なくとも1つのエバネッセント場を含む、前記方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数のサンプル特質は、1つまたは複数の形状パラメータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数のサンプル特質は、1つまたは複数のサイズパラメータを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記強度パターンは、1つまたは複数の局所的強度最大を含み、前記1つまたは複数のサンプル特質は、前記1つまたは複数の局所的強度最大の識別された場所に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルのサイズパラメータおよび/または形状パラメータを決定するステップは、前記イメージの中の少なくとも1つの局所的な光強度最大に基づいて、前記サンプルの少なくとも1つの表面の場所を決定するステップを含む、請求項2または3に従属する場合の請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記エバネッセント場それぞれは、2つのエバネッセント場が同時に前記イメージング領域の中に存在しないように、固有の時間に発生させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エバネッセント場に関連付けられる複数の局所的な光強度最大を識別するステップと;
前記複数の局所的な光強度最大の相対的位置と一貫するサンプルサイズパラメータおよび/または形状パラメータを決定するステップと
をさらに含む、請求項4、および、請求項4に従属する場合の請求項5~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
複数の局所的最大を識別するステップは、前記強度パターンの中の局所的最大の1つまたは複数の中心場所を識別するためのフィルターを適用するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプルサイズパラメータおよび/または形状パラメータは、前記エバネッセント場それぞれに関連付けられる前記方向に依存して決定される、請求項2または3に従属する場合の請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記イメージは、光学拡大鏡に連結されているイメージセンサによってキャプチャーされ、前記イメージング領域が、前記光学拡大鏡を介して前記イメージセンサによって見ることができるようになっている、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
イメージングセンサと、
第1の表面を有し、サンプルが前記第1の表面の上方に位置決め可能である光学媒体と、
複数の光入力部であって、前記複数の光入力部は、前記光入力部によって受け入れられる光を固有の方向からそれぞれ前記光学媒体の中へ方向付けるようにそれぞれ構成されており、サンプルが存在していないときに、前記第1の表面からの全反射を作り出すようになっている、前記複数の光入力部と
を備えたサンプル特徴付け装置であって、
前記イメージングセンサは、前記光入力部それぞれに関連付けられるエバネッセント場とサンプルが相互作用することに起因して、空間的な強度パターンのイメージをキャプチャーするように配置されており、かつ
少なくとも2つの前記光入力部が、固有の特徴付け波長にそれぞれ関連付けられており、光を前記光学媒体の中へ同時に方向づけるよう構成され、前記イメージングセンサは、前記光入力部それぞれが区別可能であるように、前記第1の表面をイメージングするように構成されている、かつ/または
少なくとも2つの前記光入力部が、固有の特徴付けスペクトルにそれぞれ関連付けられており、シーケンスにしたがって光を前記光学媒体の中へ方向づけるよう構成され、前記シーケンスは、少なくとも1つの他のエバネッセント場の後に発生させられる少なくとも1つのエバネッセント場を含み、前記イメージングセンサは、前記光入力部それぞれが区別可能であるように、前記第1の表面をイメージングするように構成されている、前記サンプル特徴付け装置。
【請求項12】
前記光入力部それぞれは、光源に連結されており、前記光源は、光学カプラーの中に固定されている、請求項11に記載のサンプル特徴付け装置。
【請求項13】
前記光源のうちの少なくとも1つは、レーザーである、請求項12に記載のサンプル特徴付け装置。
【請求項14】
前記光源のうちの少なくとも1つは、LED光源である、請求項12に記載のサンプル特徴付け装置。
【請求項15】
前記LED光源は前記光学カプラーの中に固定されている、請求項14に記載のサンプル特徴付け装置。
【請求項16】
前記光入力部それぞれに関して、光が、前記サンプルが位置付けられているイメージング領域の中へ投射される角度は調節可能である、請求項11から15のいずれか一項に記載のサンプル特徴付け装置。
【請求項17】
前記イメージングセンサに光学的に連結されている拡大鏡を含み、随意的に、前記拡大鏡の倍率は調節可能である、請求項11から16のいずれか一項に記載のサンプル特徴付け装置。
【請求項18】
請求項11から17のいずれか一項に記載のサンプル特徴付け装置を含むサンプル特徴付けシステムであって、前記システムは、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、サンプル特徴付けシステム。
【請求項19】
前記空間的な強度パターンは、前記イメージング領域にわたって変化する強度パターンである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記空間的な強度パターンは、イメージング領域にわたって変化する強度パターンである、請求項11~17のいずれか一項に記載のサンプル特徴付け装置。
【請求項21】
少なくとも2つの前記エバネッセント場のうちの一方は、前記少なくとも2つのエバネッセント場の他方の固有の方向とは異なる角度方向にて固有の方向を有し、前記少なくとも2つのエバネッセント場は、2つの異なる角度方向にて前記イメージング領域に方向付けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも2つの前記光入力部のうちの一方からのエバネッセント場は、前記少なくとも2つの前記光入力部のうちの他方からのエバネッセント場固有の方向とは異なる角度方向にて固有の方向を有し、前記少なくとも2つの前記光入力部からの前記エバネッセント場は、2つの異なる角度方向にて、前記サンプルが位置付けられているイメージング領域に方向付けられている、請求項11~17のいずれか一項に記載のサンプル特徴付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、エバネッセント場の散乱/共鳴を使用して、サンプルの(たとえば、粒子、構造体、基材)の幾何学形状をイメージングおよび/または特徴付けることに関する。
【背景技術】
【0002】
粒子特性評価(たとえば、1つまたは複数のサイズおよび/または形状パラメータの決定)は、製品の製作、配合、および品質制御を調整するための多くの産業プロセスにとって重要である。それは、たとえば、R&Dプログラムの一部として、または、品質制御のエレメントとして、日常的に実施されている。それは、医薬品、化学的処理、鉱業および鉱物プロセス、食品および飲料、消費者製品、およびコーティング(たとえば、塗料)、ならびに、多くの他のものを含む産業部門において、製品の配合および製造において日常的に使用されている。
【0003】
粒子特性評価のための多くの既存の方法が存在している。これらは、顕微鏡方法(光学的またはその他)、フロー方法、回折方法、および拡散ベースの方法を含むカテゴリーへと大まかに配置され得る。これらの方法のほとんどは、球形に形状決めされた粒子を想定しており、そうでないときには、超高真空サンプルの準備または複雑な化学的標識のいずれかを必要とすることが多い。
【0004】
明視野イメージ分析技法(たとえば、ビデオ顕微鏡イメージから粒子のサイズおよび/または形状パラメータを抽出する)のために白色光を使用する標準的な光学顕微鏡の精度は、可視光の波長によって基本的に制限されており、ここで、実際には、粒子サイズおよび形状は、1ミクロン未満で解像することが困難である。観察は、液体または空気の中で行われ得、そこでは、粒子は、スライドまたは基材に固定されなければならない。走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)などのような技法は、光学顕微鏡がイメージングを実施するために光のビームを使用する方式と同様の方式で、電子のビームを用いる。SEM/TEM技法は、一般的に、広範なサンプル準備を必要とし、真空下で動作する。SEMおよびTEMは両方とも電子のビームを使用するので、ほとんどの準備は、サンプルの炭化を防止するために、金属サンプルまたはサンプルの上の金属コーティングのいずれかを必要とする。顕微鏡の別のサブカテゴリーは、蛍光を用いる方法を含む。これらの方法では、粒子は、蛍光染料によってコーティングまたは含浸されなければならない。特定の波長の光が使用され、これらの染料(または、分子)の蛍光を励起し、既知のスペクトルの光のみが放出されるようになっている。これらの技法は、生物学において非常に成功した幅広い用途を見出したが、粒子を化学的にタグ付けまたは染色する課題は、入念なサンプル準備および化学経路を必要とする。追加的に、これらの技法をして可能な限り最良の空間分解能を取得することは、観察下にあるサンプルが比較的に静止したままであることを必要とすることが多く、時間依存のまたはオンラインの用途において、産業的なおよび商業的な有用性をさらに制限する。
【0005】
粒子サイジングのための他の技法は、一般的に、フロー(たとえば、テイラー分散分析(オリフィスプレート方法とも呼ばれる))、平面波光散乱/回折(たとえば、動的光散乱またはレーザー回折)、または、溶液の中の粒子の拡散運動をモニタリングおよび定量化すること(たとえば、ナノ粒子トラッキング分析、たとえば、Malvern NanoSight)に基づいている。これらの技法は、通常、球形の粒子を明示的に想定している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によれば、イメージング領域の中に位置付けされているサンプルを特徴付けるための方法であって、方法は、イメージング領域の中に、所定の方向にそれぞれ関連付けられている1つまたは複数のエバネッセント場を発生させるステップと;イメージング領域のイメージをキャプチャーするステップと;エバネッセント場またはそれぞれのエバネッセント場とイメージの中のサンプルとの間の相互作用から結果として生じる空間的な強度パターンにしたがって、サンプルの1つまたは複数のサンプル特質を決定するステップとを含む、方法が提供される。
【0007】
ある実施形態において、1つまたは複数のサンプル特質は、1つまたは複数の形状パラメータを含む。ある実施形態において、1つまたは複数のサンプル特質は、1つまたは複数のサイズパラメータを含む。
【0008】
ある実施形態において、強度パターンは、1つまたは複数の局所的強度最大を含み、1つまたは複数のサンプル特質は、1つまたは複数の局所的強度最大の識別された場所に少なくとも部分的に基づいて決定される。サンプルのサイズパラメータおよび/または形状パラメータを決定するステップは、イメージの中の少なくとも1つの局所的な光強度最大に基づいて、サンプルの少なくとも1つの表面の場所を決定するステップを含む。
【0009】
随意的に、少なくとも2つのエバネッセント場は、同時に発生させられ、固有の特徴付けスペクトル(characterising spectrum)にそれぞれ関連付けられる。同様にまたは代替的に、オプションによれば、なくとも2つのエバネッセント場が、シーケンスにしたがって生成され、シーケンスは、少なくとも1つの他のエバネッセント場の後に発生させられる少なくとも1つのエバネッセント場を含む。それぞれのエバネッセント場は、2つのエバネッセント場が同時にイメージング領域の中に存在しないように、固有の時間に発生させられる。
【0010】
方法は、エバネッセント場に関連付けられる複数の局所的な光強度最大を識別するステップと;複数の局所的最大の相対的位置と一貫するサンプルサイズパラメータおよび/または形状パラメータを決定するステップとをさらに含むことが可能である。随意的に、複数の局所的最大を識別するステップは、強度パターンの中の局所的最大の1つまたは複数の中心場所を識別するためのフィルターを適用するステップを含む。サンプルサイズパラメータおよび/または形状パラメータは、それぞれのエバネッセント場に関連付けられる方向に依存して決定され得る。
【0011】
随意的に、イメージは、光学拡大鏡に連結されているイメージセンサによってキャプチャーされ、イメージング領域が、光学拡大鏡を介してイメージセンサによって見ることができるようになっている。
【0012】
本発明の別の態様によれば、イメージングセンサと、光学媒体と、複数の光入力部とを含むサンプル特徴付け装置であって、光学媒体は、第1の表面を含み、サンプルが、第1の表面の上方に位置決め可能であり、複数の光入力部は、光入力部によって受け入れられる光を固有の方向から光学媒体の中へ方向付けるようにそれぞれ構成されており、サンプルが存在していないときに、第1の表面からの全反射を作り出すようになっており、イメージングセンサは、それぞれの光入力部に関連付けられるエバネッセント場とサンプルが相互作用することに起因して、空間的な強度パターンのイメージをキャプチャーするように配置されている、サンプル特徴付け装置が提供される。
【0013】
ある実施形態において、少なくとも1つの光入力部は、一度に1つの光入力部のみが光学媒体の中へ光を投射するように制御可能である。随意的に、少なくとも2つの光入力部が、固有の特徴付け波長にそれぞれ関連付けられており、イメージングセンサは、それぞれの光入力部が区別可能であるように、第1の表面をイメージングするように構成されている。
【0014】
それぞれの光入力部は、光源に連結され得る。少なくとも1つの光源は、レーザーであることが可能である。少なくとも1つの光源は、LED光源であることが可能であり、たとえば、光学カプラーは、少なくとも1つのLED光源を含むことが可能である。
【0015】
随意的に、それぞれの光入力部に関して、光がイメージング領域の中へ投射される角度は調節可能である。
【0016】
装置は、イメージングセンサに光学的に連結されている拡大鏡を含み得、随意的に、拡大鏡の倍率は調節可能である。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、以前の態様のサンプル特徴付け装置を含むサンプル特徴付けシステムであって、システムは、以前の態様の方法を実装するように構成されている、サンプル特徴付けシステムが提供される。
【0018】
本明細書で使用されているように、「含む(comprise)」という語、または、「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などのような変化形は、包括的な意味で使用されており、すなわち、述べられている特徴の存在を特定しているが、本発明のさまざまな実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を除外するものではない。
【0019】
本発明がより明確に理解され得るようにするために、実施形態が、ここで、例として、添付の図面を参照して説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態によるエバネッセント場イメージング装置を示す図である。
図2】全反射の表現を示す図である。
図3A】3つの連結ポイントを有する光学カプラーを示す図である。
図3B】8つの連結ポイントを有する光学カプラーを示す図である。
図3C】光源が光学カプラーのコンポーネントである実施形態を示す図である。
図3D】光学カプラーが複数のファセットを含む実施形態を示す図である。
図4A】サンプルが存在しない状態での実施形態によるイメージング装置の動作を示す図であり、それぞれの光源が、固有の特徴付け波長に関連付けられている、図である。
図4B】サンプルが存在しない状態での実施形態によるイメージング装置の動作を示す図であり、それぞれの光源が、固有の時間的位置に関連付けられている、図である。
図5A】実施形態による、エバネッセント場との相互作用に起因して照射されているサンプルの例を示す図である。
図5B】エバネッセント場との相互作用に起因して照射されているサンプルの例を示す図であり、その実施形態は、バッフル領域を含む、図である。
図6A】実施形態のイメージングデバイスによってイメージングされた実質的に球形のサンプルの例を示す図である。
図6B】実施形態のイメージングデバイスによってイメージングされた不規則な形状を有するサンプルの例を示す図である。
図6C】実施形態による、サンプルを特徴付けることを示すサンプルの例を示す図であり、イメージが回折効果を強調している、図である。
図7】実施形態による、イメージングデバイスを動作させるための例示的な方法を示す図である。
図8】実施形態による、イメージングデバイスを動作させるための例示的な方法を示す図である。
図9】サンプルの粒子がイメージング領域を横切って移動する実施形態を示す図である。
図10】単一の光源および連続的に可変の光入力部方向を利用する実施形態を示す図である。
図11】サンプルのイメージングの例を示す図である。
図12】複数の粒子を含むサンプルをイメージングすることの例を示す図である。
図13】異なるサイズの粒子を含むサンプルをイメージングすることの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、実施形態によるエバネッセント場イメージング装置(イメージング装置)10を示している。イメージング装置10は、サンプル50を受け入れるように構成されている光学カプラー14を含む。また、イメージング装置10は、随意的に、拡大鏡12を含み、拡大鏡12は、イメージングセンサ13に光学的に連結されている1つまたは複数のレンズ(図示せず)の構成体を含む。拡大鏡12は、たとえば、複合顕微鏡であることが可能である。イメージングセンサ13は、たとえば、デジタルカメラまたは特注設計のイメージングセンサであることが可能である。光学カプラー14は、イメージング領域11を画定しており、サンプル50が、イメージング領域11の中に位置付け可能である。また、イメージング装置10は、1つまたは複数の光入力部15を含む。光入力部15は、たとえば、光ファイバーケーブル22を使用して、または、光入力部15の上への自由空気を通して1つまたは複数の光ビーム(たとえば、レーザービームなど)の方向を介して、光学カプラー14に連結されており、または、光学カプラー14を提供された直接的に連結されている光源16(たとえば、LEDなど)によって、1つまたは複数の光源16に連結されている。図1において、それぞれの光入力部15は、光源16に一意に連結されており、それぞれの光入力部15に対して異なる光源16が存在しているようになっている。しかし、他の実施形態において、光入力部15のうちの1つまたは複数は、共通の光源16に連結されており、これらの実施形態は、より詳細に下記に説明されることとなる。少なくとも1つの光源16は、レーザーであることが可能である。別の実施形態では、少なくとも1つの光源16は、LED源である。2つ以上の異なるタイプの光源16が利用され得るということが予想される(たとえば、LED源およびレーザー源の両方)。
【0022】
図2を参照すると、ある実施形態において、光学カプラー14は、光学媒体20を含み、光学媒体20は、第1の表面21を有しており、サンプルが第1の表面21の上方に位置付けされる。「上方の」という用語の使用は、説明を容易にするためのものであり、光源16からの光が方向付けられる第1の表面21の側(すなわち、第1の表面21の「下方」)と第1の表面21の反対側(すなわち、第1の表面21の「上方」)との間を差別化することを意図している。2つだけの光入力部15が、図示を容易にするために示されているが、しかし、一般的に、光学カプラー14は、第1の表面21の上方にエバネッセント場を生成させるのに適切な様式で、1つまたは複数の光入力部15によって受け入れられる光を光学媒体20の中へ方向付けるように構成されているということが留意されるべきである。ある実施形態において、光学カプラー14は、複数の光入力部15からの光を受け入れ、受け入れられた光の少なくとも一部分を光学媒体20の第1の表面21に向けて方向付けるように構成されている。第1の表面21の上方に位置付けされているエバネッセント場は、第1の表面21からの距離とともに指数関数的に減衰する。本明細書でのエバネッセント場「侵入」への言及は、イメージング可能なまたは観察可能な効果を作り出すためにエバネッセント場がサンプル50と十分に相互作用することができる第1の表面21からの距離を指す。したがって、エバネッセント場の侵入深さを増加させることが言及される場合、その言及は、第1の表面21から特定の(通常は、任意の)距離において、エバネッセント場の大きさを増加させることを意味している。
【0023】
また、図2は、表面21に向けて放出された光の全反射の表現を含む。図は、2つの関連する角度を図示している。θは、入射角度であり、θは、伝達角度である。角度θおよびθは、表面21に対する法線に関するものである。光学媒体は、屈折率nを有しており、サンプル領域は、屈折率nを有している。臨界角度θよりも大きい入射角度θに関して、全反射が起こることとなる。臨界角度は、以下の式にしたがって計算され得る
【0024】
【数1】
【0025】
角度θ、θ、およびθのそれぞれは、(示されているように)関連する光線と表面21に対する法線との間の角度として定義される。臨界角度よりも大きい入射角度に関して、θ=θである。
【0026】
広い意味でのサンプル50は、イメージング装置10によってイメージングされることとなる特徴に対応している。たとえば、サンプル50は、単一の粒子に対応している。別の例では、サンプル50は、複数の個々の粒子を含む。さらに別の例では、サンプル50は、基材の表面特徴を含み、これは、窪み部および突出部などのような表面特徴を含むことが可能である。特定の例では、光学媒体20の第1の表面21の表面特徴がイメージングされ得る(このケースでは、光学媒体20は、サンプル50であるとも考えられ得る)。サンプル50は、サンプル媒体の中に位置付けされており、サンプル媒体は、実験装置に応じて、真空(すなわち、本開示の目的のために、真空は、一種のサンプル媒体であると考えられる)もしくは空気(すなわち、屈折率n≒1を有する)であることが可能であり、または、(図1および図2に示されているように)屈折率n>1を有する任意の流体もしくは固体の媒体であることが可能である。サンプル媒体は、光学媒体20の屈折率よりも低い屈折率を有し(すなわち、n>n)、臨界角度を超える入射角度で光が表面21に入射するときに全反射を可能にするということが好適である。また、本開示の目的のために、および、言語の簡単化のために、また、別段の記述がない限り、サンプル50は、単一の粒子を含むということが想定される。
【0027】
イメージングセンサ13は、すべてのイメージングされた特徴を含む単一のイメージ、または、一連の合成イメージ(それらは、その後に、イメージング領域11のイメージを作り出すために組み合わせられる)を取得するように構成され得るということが一般的に理解されるべきである。たとえば、後者のケースにおいて、個々の光源16は、固有の波長スペクトルに関連付けられ、イメージングセンサ13は、複数のセンサを含み、複数のセンサは、光源16にそれぞれ一意に関連付けられ、光源16に関連付けられた光を受け入れるように構成されている。別の例において、時系列の合成イメージが、イメージを形成するために組み合わせられる。また、イメージは、複数の合成イメージに後で分解するのに適切である可能性があるということが理解される。
【0028】
ある実施形態において、光学カプラー14は、固定された角度連結を提供する。すなわち、連結角度は、固定されており、サンプル媒体屈折率および光学媒体21屈折率の予期される組み合わせに対して全反射を提供するように選択される。別の実施形態では、光学カプラー14は、それぞれの光入力部15に関して修正可能な角度連結を提供する。たとえば、機械的にまたは電気的に作動させられる手段が、それぞれの光入力部15のための連結角度を変化させるために提供され得、入射角度の変化を可能にするようになっている。別の例では、可動プリズムが、光学媒体20の中への光の方向を調節するために利用され得る。これは、有益である可能性がある。その理由は、たとえば、それが、入射角度の調節を可能にし、エバネッセント場の侵入深さおよび/または位置を調節することが可能であるからである。
【0029】
図3Aおよび図3Bは、2つの実施形態による、光学カプラー14の上から見た図を示している。光学カプラー14は、光入力部15への連結のための複数の連結ポイント23を含む。1つの実施形態では、図3Aに示されているように、3つの連結ポイント23a~23cが存在している。別の実施形態では、4つ以上の連結ポイント23が存在していることも可能である(たとえば、図3Bに示されている8つの連結ポイント23a~23hなど)。一般的に、連結ポイント23が光学媒体20の周りに等しい間隔で位置付けされるということが好適である可能性がある。一般的に、それぞれの連結ポイント23は、固有の光入力部15に関連付けられる。たとえば、図3Aでは、連結ポイント23a~23cにそれぞれ関連付けられる光入力部15A~15Cが存在しており、図3Bでは、連結ポイント23a~23hにそれぞれ関連付けられる光入力部15A~15Hが存在している。これらの実施形態では、光を吸収するバッフル領域24が、光学媒体20の第1の表面21の上に提供されている。バッフル領域24は、光入力部15から放出される光(それは、臨界角度(θ)を下回る角度で第1の表面21に入射する)がイメージング領域11に進入することを阻止するように構成されている。1つの実装形態において、バッフル領域24の材料は、黒色に着色されている(または、黒色の外観を有している)。その理由は、それが広範囲の放射線を吸収するように構成されているからである。典型的に、バッフル領域24は、光入力部15によって放出される光がコリメートされていないときに利用され、イメージング領域の中に存在し得る、臨界角度(θ)を下回る角度で入射する光の量を低減させるようになっている。
【0030】
本開示の目的のために、図に示されている一般的な特徴は、数値参照記号によって表されている(たとえば、図3Aおよび図3Bの連結ポイント23)。そのような参照記号は、適当な場合には、図の間で共通である。特徴の特定の事例に対する言及が望ましい場合、小文字の接尾辞が、数値参照記号に付加される(たとえば、図3Aは、連結ポイント23a、23b、および23cを示している)。
【0031】
図3Cは、光源16自身が光学カプラー14のコンポーネントである実施形態を示している(典型的に、それぞれの光源16は、光学カプラー14の本体部の中に固着されている)。光源16は、光学カプラー14の中に固定され得、または、除去可能であり得る(光源16を交換可能にするようになっている)。示されている実装形態では、光源16は、LEDであり、それぞれの光入力部15のための別個のLED光源16が存在している。実施形態に応じて、LED光源16は、異なるスペクトルを放出することが可能であり、または、同じスペクトルを放出することが可能である。LED光源16は、単一のスペクトル(すなわち、単一の「色」)または複数のスペクトル(すなわち、マルチダイLEDのケースのように、2つ以上の「色」)を放出するように構成され得る。LED光源16は、コリメートされていない光を放出する可能性があり、したがって、本実施形態による光学カプラー14は、典型的に、バッフル領域24を組み込むこととなる。光学カプラー14は、電源がそれぞれの光源16に接続されることを可能にする電気的インターフェース25を含むことが可能である。電気的インターフェース25は、示されているように接続の単一のポイントとして、または、複数のポイント(たとえば、それぞれの光源16のための接続ポイント)として実装され得る。
【0032】
図3Cの実装形態では、それぞれの光源16は、実質的に同じ光スペクトルを作り出す。この実装形態によれば、それぞれの光源16は、独立して制御可能であり、それぞれの光源16が、他の光源16から独立して放出状態または非放出状態になることができるようになっている。たとえば、電気的インターフェース25は、それぞれの光源16のための制御ライン、および、共通のグランドラインを含むことが可能である(たとえば)。図3Cの別の実装形態では、それぞれの光源16が、固有の光スペクトルを作り出し、それは、連続的または離散的のいずれかであることが可能である。この実装形態によれば、それぞれの光源16は、独立して制御可能であり得、それぞれの光源16が、他の光源16から独立して放出状態または非放出状態になることができるようになっている。しかし、別のオプションでは、それぞれの光源16は、共通に制御される(すなわち、それぞれの光源16は、同時に放出状態または非放出状態のいずれかになっている)。たとえば、この後者のケースでは、電気的インターフェース25は、共通の制御ラインおよび共通のグランドライン(たとえば)を含むことが可能である。制御ラインは、コントローラーに接続され得、コントローラーは、たとえば、下記に説明されているようなコンピューター17であることが可能である。代替的に、コントローラーは、特異的にプログラムされたマイクロコントローラー(たとえば、ATMega2560マイクロコントローラーなど)であることが可能である。
【0033】
ある実施形態において、光学カプラー14の光学媒体20は、図3Dに示されているように、光学カプラー14の側部を画定する複数のファセットを含む。示されている例では、6つのファセット54a~54cが存在しているが(図では、3つが見えなくなっており、ラベル付けされていない)、しかし、一般的に、任意の有用な数のファセットが利用され得る。光源16からの光(それは、好ましくは、コリメートされ得る)は、ファセット54a~54cに方向付けられ得る。この実施形態の光学カプラー14は、角柱状構造を画定している。したがって、ファセット54は、光入力部15になるように考えられ得、ファセット54a~54cの角度、および/または、光がファセット54a~54cに向けて方向付けられる角度が、第1の表面21において全反射を引き起こすように選択されている。光学カプラー14は、必要に応じて不透明領域を含むことが可能である(たとえば、第1の表面21のサンプル50場所エリアを除いて、第1の表面21をカバーする)。
【0034】
図4Aおよび図4Bは、図3Aの3つの連結ポイント23a~23cの実装形態に関して、2つの実施形態によるイメージング装置10の動作を示しており、それぞれのケースにおいて、サンプルがイメージング領域11の中に存在していない状態になっている。図4Aにおいて、それぞれの光源16(図には示されていない)は、固有のスペクトルに関連付けられており(スペクトルが実質的に重なっていないということが好適である可能性がある)、したがって、それぞれの光源16は、同時に活性化させられる(矢印によって示されている)。図4Bにおいて、それぞれの光源16(図には示されていない)は、同じ(または、同様の)スペクトルを作り出すが、しかし、光源16は、一度に1つの光源16だけが照射されるように切り替えられる。図4Bは、(矢印によって示されているように)3つの別個の時間間隔I-II-IIIにおけるイメージング領域11の中の照射を示している。ある実施形態において(図示せず)、それぞれの光源16は、固有のスペクトルおよび固有の時点の両方に関連付けられる。図4Aおよび図4Bの両方において、それぞれの連結ポイント23は、チャネルに関連付けられる。図4Aでは、チャネルは、主に光源16のスペクトルによって特徴付けられ、図4Bでは、チャネルは、主に、対応する光入力部15が活性化させられる時間期間によって特徴付けられる。
【0035】
図1を参照して説明されているように、イメージング領域11は、随意的に、拡大鏡12を介して、イメージングセンサ13によってイメージングされる。サンプル50が存在していないときには、光源16によって放出される光は、全反射に起因して、イメージングセンサ13によってほとんどイメージングされないか全くイメージングされないということが予期される(放出される光のいくらかは、たとえば、光学カプラー14の中の反射または光漏れに起因してイメージングされる可能性があるということが理解される)。
【0036】
図5Aおよび図5Bを参照すると、サンプル50が、光学カプラー14のイメージング領域11の中に存在していることが示されている。図示の目的のために、サンプル50は、単純な球(すなわち、示されているように円形断面を有している)として示されている。図5Aは、1つの光源16からのコリメートされた光線26a、26b、26cが光入力部15を介して光学媒体20の中へ放出されていること、および、光線26a~26cが第1の表面21において反射されていることを示している。図5Bは、1つの光源16からのコリメートされていない光線26d、26e、26f、26gが光入力部15を介して光学媒体20の中へ放出されていること、および、光が第1の表面21において反射されていることを示している(見ることができるように、それぞれの図示されている光線26d~26gは、異なる経路を辿っている)。光線26dは、第1の表面21における全反射を結果として生じさせることとなるのではなくバッフル領域24によって吸収される(または、少なくとも実質的に吸収される)経路を辿っている。しかし、光線26e~26gは、第1の表面21において全反射を受ける。当然のことながら、光線26a~26gは、単に例示目的のためのものに過ぎない。バッフル領域24は、環状になっていることが可能であり、または、イメージング領域11の形状を写し出す境界を画定することが可能である。
【0037】
第1の表面21の上に入射する光の一部分(それは、通常、(たとえば、図4Aおよび図4Bに示されているケースにおいて)全反射を受けることとなる)は、実際には、サンプル50によって散乱され、その効果は、入射光がエバネッセント波を介してサンプル50に伝達されるかのようである。典型的に、散乱は、サンプル50の表面境界において最も明るい(または、最も強力である)。したがって、全反射は、ここでは、サンプル50の存在に起因してフラストレートされる(frustrated)。結果として生じるイメージは、イメージング領域11に一致する検出される強度の変化を示しており、これは、本明細書で「強度パターン」と称され、それは、サンプルの1つまたは複数のサンプル特質を決定するために解釈され得る。
【0038】
任意の特定の理論に拘束されることなく、サンプル50の領域において発生させられるエバネッセント場が、サンプル50と相互作用し、サンプル50の表面の場所と相関付けられるサンプル50から発する光を結果として生じさせると考えられている。
【0039】
図6Aは、おおよそ5ミクロンの直径を有する実質的に球形のサンプル50のイメージ55aを示している。サンプル50は、サンプル50aの周りにおおよそ等しい角度間隔をともなって配置されている3つの光源16a~16cによって照射され、それぞれの光源16a~16cは、異なる特徴付けスペクトルに関連付けられている。図6Cは、3つの異なる角度方向からサンプル50aと相互作用する3つの光源16a~16cを備えたイメージング装置10によって形成されたイメージを示している。結果として生じる強度パターンは、それぞれの照射方向に関連付けられる回折パターンを含み、それは、明るい中心を取り囲むおおよそ同心円状のリングに対応している。このケースでは、サンプル50aのサイズおよび/または形状などのようなサンプル特質が、3つの回折パターンのそれぞれに関して中心の「明るいスポット」の相対的な場所を決定および解釈することによって推定され得る。したがって、サイズパラメータおよび/または形状パラメータなどのようなサンプル特質は、サンプル50aを直接的にイメージングするために適用可能であり得る回折限界の考慮事項にかかわらず推定され得る。回折効果の存在および程度は、光源16のスペクトル、および、任意の拡大鏡12のレンズの特性(たとえば、開口数)に依存する可能性があるということが留意されるべきである。いくつかのサンプル50に関する特定の条件下において、サンプルが単一の光源と相互作用することから結果として生じる局所的な強度変化が、サンプルの上の複数の表面特徴を位置付けするために使用され得る(たとえば、半径を決定するために使用され得る球の表面の上の少なくとも2つのポイントに関連付けられる局所的最大または「明るいスポット」)。挿入図1~3は、イメージ55aの強度パターンの個々の明るい部分を示している。
【0040】
図6Bは、不規則な形状を有する別のサンプル50のイメージ55bを示している。しかし、図6Aの球形の粒子50に関するものと同じ原理が適用される。強度パターンは、サンプル50bの上のその場所における表面部分に対応するものとして、直接的にまたは間接的に決定され得る。
【0041】
強度パターンは、局所的強度最大(すなわち、局所化された領域による最大強度)を含む強度パターンによって特徴付けられ得る。そのような局所的強度最大は、たとえば、いくつかのケースでは、サンプル50の表面の実際の場所を表すことが可能である。しかし、他のケースでは、局所的強度最大は、サンプル50の表面の場所と相関付けられてしており、既知の調節が、表面場所を識別するために適用され得る。強度パターンは、空間的なパターンであり、それは、イメージング領域11にわたって変化するということが理解されるべきである。
【0042】
特定の条件下において、サンプル50のサイズパラメータおよび/または形状パラメータなどのようなサンプル特質は、局所的強度最大(たとえば、イメージ55の中のそれぞれの(または、少なくとも1つのもしくはそれ以上の、通常は、複数の)明るい領域の中心、または、イメージ55を形成するために組み合わせられた(同じまたは異なるエバネッセント場にさらされる)サンプル50の一連のイメージの中のそれぞれの(または、少なくとも1つのもしくはそれ以上の、通常は、複数の)明るい領域の中心)を識別および解釈することによって決定され得る。
【0043】
図6Aにおいて、これは、サンプル50の公称的に球形の形状に起因して、比較的にわずかである。サンプル50のサイズは、特定の条件下において、複数の光源がイメージング可能な効果を作り出すためにサンプル50と同時に相互作用しているときでも、複数の光源16に関連付けられる明るい領域が、比較的に簡単に隔離できるようになっていることが可能であり、また、サンプル50に関連付けられる光源16にしたがってサンプル50から発する光を分離するために、色彩的なまたは時間的なメカニズムが適切な場所にない。
【0044】
図6Aにおいて、これは、説明するのが比較的に簡単である。その理由は、それぞれの明るい領域が、互いに明るい領域から十分にかなり遠くに離れており、それぞれの回折パターンのおおよそ中心が、容易に識別され得るようになっているからである。図6Bにおいて、明るい領域は、回折効果が最小であるので、サンプル50の形状パラメータおよびサイズパラメータのインディケーションを取得するのに十分な明確性をともなって解釈され得る。
【0045】
図6Cを参照すると、3つの光源16に関連付けられる回折パターンの中に重大なオーバーラップを備えたサンプル50のイメージ55cが示されている。フィルタリング手順は、それぞれの個々の回折パターン、および、したがって、それぞれのパターンの中心を隔離および識別するために適用され得る。このフィルタリング手順は、(たとえば、時間的なシーケンシングまたは色彩的なフィルタリングを介して)それぞれの光源に関連付けられる光を分離するための物理的な技法を含むことが可能であり、また、結果として生じるイメージの分析の間に適用される解釈技法を含むことが可能である。より一般的には、フィルターが、サンプル50の縁部/表面に関連付けられる局所的な強度変化を識別することを支援するために利用され得る。代替的に、ユーザーは、(たとえば、定性的なイメージングを実施するときに、または、サイズパラメータの近似的な推定値を取得しようとするときに、または、サンプル50の近似的な形状を決定しようとするときに、)結果として生じるイメージを解釈するためにそれらの判断を利用することが可能である。本明細書の実施形態の利点は、それが、そうでなければ回折効果に起因して過度にぼやけることとなる小さいサンプル50をイメージングするかまたは特徴付けるための手段を提供するということであり得る。挿入図1~3は、イメージ55cの空間的な強度パターンの特定の部分を示している。
【0046】
ある実施形態において、イメージングセンサ13は、イメージング領域11のイメージを継続的に(たとえば、定期的に)キャプチャーし、キャプチャーされたイメージをコンピューター17に送信するように構成されている。コンピューター17は、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を表示するためのディスプレイ30を含む。GUIは、イメージングセンサ13によってキャプチャーされた新しいイメージの受信時に更新し、新しいイメージを表示するように構成可能であり得る(典型的に、新しいイメージは、以前に表示されたイメージを交換することが可能であり、または、以前に表示されたイメージとともに表示され得、または、イメージング領域11の複数のイメージに基づいて合成イメージを形成するために使用され得る)。したがって、コンピューター17は、照射されたサンプル50の最新の表現を表示するように効果的に構成され得、また、イメージング領域11のイメージを分析するためのツールを提供することが可能である。
【0047】
ある実施形態において、コンピューター17または他の制御システムは、光入力部15とインターフェース接続されており、光入力部15の1つまたは複数の出力パラメータが、コンピューター17または他の制御システムから光入力部15へ伝えられるコマンドを通して調節され得るようになっている。たとえば、光入力部15の強度は、このように調節可能であり得る。そのうえ、その(または、それぞれの)光入力部15のオン/オフ状態は、コンピューター17または制御システムから送られるコマンドによって設定され得る。
【0048】
別の実施形態では、光入力部15は、コントローラー19とインターフェース接続されており、コントローラー19は、光入力部15の1つまたは複数のパラメータを制御するように構成されている。コントローラー19自身は、コンピューター17とインターフェース接続され得、コントローラー19が特定の様式で動作することをコンピューター17が引き起こすようになっている。たとえば、コントローラー19は、コンピューター17によって複数のモードから選択されるモードにしたがって、光入力部15を自動的に制御することが可能である。
【0049】
より一般的な意味では、ある実施形態において、コンピューター17は、光入力部15および/または光源16および/またはイメージングセンサ13を制御し、本明細書で説明されているプロセスを実装するように構成されている。コンピューター17は、コントローラー19とインターフェース接続されている汎用コンピューターであることが可能であり、または、システム10の関連するコンポーネントと直接的にインターフェース接続され得る。
【0050】
ある実施形態において、イメージングセンサ13は、RBGセンサに対応している(たとえば、イメージングセンサ13は、拡大鏡12に装着され得るデジタルカメラのコンポーネントである)。RGBセンサは、光源16が複数の実質的に赤色の、青色の、または緑色の波長を含む場合に、サンプル50をイメージングするのにとりわけ有用である可能性があり、たとえば、それぞれの光源16は、RGBセンサのカラーフィルターアレイの1つまたは複数の特定のエレメントの検出感度と優先的にオーバーラップするように選択されたそのスペクトルの物質を有することが可能である。次いで、いくつかのケースでは、イメージングセンサ13によって作り出されるイメージが、より容易に分解され、個別の実質的な波長の明るい領域をそれらのそれぞれの光源16に関連付けることが可能であるという点において、RGBセンサおよび対応する光源16の使用は利点を提供することが可能である。
【0051】
いくつかのケースでは、RGBセンサ(たとえば、Bayer構成を有するRGBセンサ)の隣接するサブピクセル同士の間のクロストークは、サンプル50のサイズパラメータおよび/または形状パラメータなどのようなサンプル特質を決定するときに、エラーを導入する可能性がある。実施形態によれば、デコンボリューションフィルターが、RGBイメージングセンサ13によって発生させられる信号(たとえば、イメージ55に対応して取得されるイメージデータ)に適用され得る。デコンボリューションフィルターは、RGBセンサの既知のクロストーク特性(たとえば、赤色の、緑色の、および青色の入射光の関連するスペクトルに対する赤色のサブピクセルの感度)に基づいて構成され、イメージングセンサ13の同じ物理的なピクセルに同様に入射する他のスペクトルからおおよそ独立して、イメージングセンサ13の少なくとも1つの物理的なピクセルに入射する関連する光源16のそれぞれに関連付けられる光を計算する(または、推定する)ことが可能である。
【0052】
図7は、イメージング装置10を動作させ、サンプル基材51の上におよびサンプル媒体52(それは、真空、空気、またはいくつかの他の媒体であることが可能である)の中に位置決めされているサンプル50の測定を行うための方法を示している。サンプル50が、イメージング領域11の中に位置付けされる。図7に示されているように、初期キャリブレーションステップ100が必要とされ得る。キャリブレーションステップは、たとえば、使用され得る任意の拡大鏡12に対して必要なフォーカシング調節を行うことを含むことが可能である。本実施形態によれば、それぞれの光源16は、固有の特質スペクトルに関連付けられ得る(たとえば、図4Aを参照)。照射ステップ101において、光学媒体20が、光源16のうちの少なくとも2つによって同時に照射される。以前に説明されているように、入射光のうちのほとんどが表面21において全反射を受けることとなるということが予期される。ある実施形態において、理想的には、完全に内部に反射された光線のみが、光学媒体を通して伝播されることとなる。サンプル50に近接して、この表面における全反射のための臨界角度にマッチするかまたはそれを超える角度で表面21に入射する光は、フラストレートされた全反射(frustrated total internal reflection)を受ける可能性があり、入射光の一部分は、サンプル50の表面に伝達され、サンプル50からの散乱を作り出す可能性がある。
【0053】
イメージングステップ102において、イメージング領域11のイメージが、イメージングセンサ13を使用してキャプチャーされる。イメージングセンサ13は、コンピューター17(または、他の処理デバイス)に連結され得、および/または、不揮発性メモリー18(たとえば、フラッシュメモリー)などのようなストレージ媒体に直接的に連結され得る。イメージングセンサ13は、キャプチャーされたイメージにおける、特徴付けスペクトルのそれぞれの間の差別化を可能にするように構成されており、たとえば、イメージングセンサ13は、RGBセンサを含むことが可能である。したがって、キャプチャーされたイメージは、光強度および光波長を示す情報を含む。次いで、イメージ55は、分析ステップ200において分析される(より詳細に下記に説明されている)。
【0054】
図8は、イメージング装置10を動作させ、サンプル基材51の上におよびサンプル媒体52(それは、真空、空気、またはいくつかの他の媒体であることが可能である)の中に位置決めされているサンプル50の測定を行うための別の方法を示している。サンプル50が、イメージング領域11の中に位置付けされる。図7に示されているように、初期キャリブレーションステップ110が必要とされ得る。キャリブレーションステップは、たとえば、使用され得る任意の拡大鏡12に対して必要なフォーカシング調節を行うことを含むことが可能である。本実施形態によれば、それぞれの光源16は、時間的位置に関連付けられ得る。照射ステップ111において、光学媒体20が、光源16のうちの少なくとも1つによって照射され得る。以前に説明されているように、入射光のうちの実質的にすべてが第1の表面21において全反射を受けることとなるということが予期される。サンプル50に近接して、この表面における全反射のための臨界角度にマッチするかまたはそれを超える角度で表面21に入射する光は、フラストレートされた全反射を受ける可能性があり、入射光の一部分は、サンプル50の表面に伝達され、サンプル50からの散乱を作り出す可能性がある。
【0055】
図7および図8の方法は、効果的に組み合わせられ得、照射のシーケンスが起こるようになっており、ここで、シーケンスの中の少なくとも1つのステップは、少なくとも2つの光源が異なる固有の特徴付けスペクトルによって同時に光学媒体20を照射することを含む。たとえば、照射のシーケンスが起こることが可能であり、ここで、シーケンスの中のそれぞれのステップにおいて、光学媒体20は、赤色、緑色、および青色に対応する3つの光源16によって照射される。好ましくは、それぞれの照射は、固有の角度からのものである。たとえば、それぞれのシーケンスステップが3つの光源16によって照射し、シーケンスの中に4つのステップが存在している場合には、光学媒体20が、12個の異なる方向から照射される(すなわち、4つのシーケンスステップは、ステップごとに3つの照射の角度が掛けられる)。
【0056】
イメージングステップ112において、イメージング領域11のイメージが、イメージングセンサ13を使用してキャプチャーされる。イメージングセンサ13は、コンピューター17(または、他の処理デバイス)に連結され得、および/または、不揮発性メモリー18(たとえば、フラッシュメモリー)などのようなストレージ媒体に直接的に連結され得る。キャプチャーされたイメージは、時間的位置に関連付けられる。
【0057】
ステップ113において、方法は、光源16のすべてがイメージングされたかどうかをチェックする。「いいえ」の場合には、方法は、ステップ114に移動し、ステップ114において、新しい光源16が選択され、次いで、ステップ111に戻り、ステップ111において、イメージング領域11が、新しく選択された光源16によって照射される。ステップ112が繰り返され、キャプチャーされたイメージは、新しく選択された光源16に関連付けられた新しい時間的位置に関連付けられる。「はい」の場合には、イメージ55が、次いで、分析ステップ200において分析される(より詳細に下記に説明されている)。
【0058】
ステップ200は、図7または図8にしたがって取得されるイメージ55の分析に対応している。一般的に、1つのイメージ55または複数のイメージ55がキャプチャーされるかどうかにかかわらず、それぞれの光源16が異なる方向からサンプル50を照射することができるということに基づいて、分析は進行することが可能である。したがって、サンプル50に関連付けられる散乱最大値(または、他の際立った強度変化)のそれぞれは、特定の光源16および方向に関連付けられる。異なる光源16に関連付けられる散乱パターンの中にオーバーラップが存在している可能性がある。複数のイメージ55は、単一のイメージ55へと組み合わせられ得、(たとえば)人工着色によって、それぞれのイメージの寄与に割り当てられ得る。
【0059】
実施形態によれば、特定の条件下において、サンプル50のサイズパラメータおよび/または形状パラメータなどのようなサンプル特質は、イメージングされた最大値を識別および位置付けすることによって決定され得る。これは、たとえば、ユーザーがイメージ55を見ることによって、または、そのような最大値を識別するように構成されたソフトウェアを使用することによって実施され得る。
【0060】
実施形態によれば、回折効果または光散乱効果が考慮されなければならない場合、分析は、イメージ55の中の光強度の局所的最大に基づいて進行することが可能である。適切なフィルターまたは処理ステップは、異なる局所的最大を正確に特徴付けるために必要とされ得る。たとえば、1つまたは複数のパラメータは、サンプル50のサイズパラメータおよび/または形状パラメータに対するイメージ55の中の局所的最大の位置を決定するために調節され得る。これらの局所的最大は、サンプル50の表面(または、表面の少なくとも1つまたは複数の領域)と相関付けられる。ユーザーは、サイズパラメータおよび/または形状パラメータなどのような、サンプル55のサンプル特質を識別することが可能であり得、または、ソフトウェアは、この目的のために利用され得る。
【0061】
より一般的な意味では、取得されるイメージデータは、機器処理フィルターステップを受けさせられ得る。このステップの目的は、イメージング装置10の既知の特性に基づいてデータを修正することである。たとえば、回折効果は、検出器オプティクスの既知の特性(たとえば、対物レンズの開口数)に基づいて考慮され得る。また、先に議論されているように、RGBイメージングセンサ13の中のカラーフィルターアレイのカラーサブピクセル同士の間の任意のクロストークが考慮に入れられ得る。
【0062】
そのうえ、サンプル処理フィルターステップが利用され得る。これの目的は、サンプル50の既知の特性を考慮することである。たとえば、特定のサンプル50に関して、局所的最大がサンプル表面に対して変位させられるということが知られている可能性がある。したがって、ステップは、決定されたサンプル表面を効果的に「移動させる」ことによって、これを考慮することが可能であり、それによって、サンプル50のその後の解釈および特性評価に影響を与える。
【0063】
サンプル50の形状パラメータおよび/またはサイズパラメータなどのようなサンプル特質は、使用され得る任意の拡大鏡12の倍率、および、イメージングセンサ13の分解能を考慮するときに、イメージに示されているような局所的最大に基づいて決定され得る。これらの詳細から、局所的最大の間の距離が、イメージの中で決定され得る。
【0064】
ある実施形態において、図9に示されているように、サンプル50は、流体53(たとえば、空気などのような気体、または、水などのような液体)の中に含有されている粒子を含み、ここで、流体53は、イメージング領域11に対して移動しており、したがって、粒子も、イメージング領域11に対して移動している。流体53は、ガイド手段(たとえば、パイプまたは流体セル)(これは示されていない)の中に含有され得る。イメージング装置10は、粒子の粒子特質測定値を取得するために利用され得る。光入力部15は、ストロボされ(strobed)得る。すなわち、それぞれの光入力部15の照射時間が、比較的に短く、粒子の平均移動が、照射の間の正確な粒子特性評価を可能にするのに十分に小さくなることができるようになっている。図4Bに示されているものなどのような実施形態では、光入力部15照射のシーケンスは、また、比較的に短くなっていることが可能であり、シーケンス全体の間に、平均粒子移動が短くなるようになっている。好ましくは、イメージングセンサ13によってキャプチャーされたそれぞれのイメージは、単一の照射または照射のシーケンスに対応している。図4Bに示されているものなどのような実施形態では、光入力部15は、単一のスペクトルまたは複数のスペクトルを含むことが可能であり、たとえば、図7もしくは図8に示されているモードのいずれかで、または、これらのまたは他の動作モードのいくつかの組み合わせで、動作することが可能である。
【0065】
同様に、ある実施形態において、サンプル50は、液体の中に懸濁されており、サンプル50が、第1の表面21の上方に含有されている間に、(たとえば、ブラウン運動に起因して)移動することができるようになっている。繰り返しになるが、ストロボする(strobing)アプローチが利用され得、サンプル50の照射時間が、イメージ獲得の間のサンプル50の最小変位を保証するために短くなるようになっている。
【0066】
図10は、回転リング28の回転光入力部15に連結されている単一の光源16を有する実施形態を示している。リング28は、プリズム29と光源15との間に位置付けされている。単一の光源16は、レンズおよび/またはミラー構成体27を通して方向付けられ、それは、(示されているように)環状の光パターン30を作り出すように構成されており、環状の光パターン30は、リング28の直径に対応する直径を有している。光入力部15は、リング28の中のアパーチャー31に対応している。光入力部15を出る光は、プリズム29によって屈折され、それが全反射に適切な角度で光学媒体20の中へ方向付けられるようになっている。したがって、サンプル50が照射される角度は、リング28の回転の速度にしたがって効果的に連続的に変化され得る。
【0067】
本明細書で説明されている実施形態は、空気または液体の中のサンプル50の個々の粒子のサイズおよび形状などのようなサンプル特質の測定を提供することが可能である。実施形態は、有利には、1ミリメートル(または、それよりも大きいかもしれない)から数十ナノメートル(または、それよりも小さいかもしれない)までの範囲にあるサイズを有する特徴サイズ(たとえば、粒子など)によって有用である可能性がある。説明されている技法は、多数の単一粒子測定から粒子サイズパラメータおよび/または形状パラメータ分布を構築するのに適切である可能性がある。
【0068】
図11は、合成イメージ61、ならびに、合成イメージ61を構成する4つのチャネルイメージ60a~60dの説明図を示している。すなわり、チャネルイメージ60a~60dは、照射の方向、および、このケースでは、特定の固有のスペクトルにそれぞれ対応している。異なるチャネルイメージ60a~60dは、エバネッセント場によって異なる方向からサンプルを照射する効果を示しており、合成イメージ61は、たとえば、形状パラメータおよび/またはサイズパラメータを決定する際に、どのようにサンプル50が特徴付けられ得るかということを示している。光学イメージ62は、合成イメージ61と実際の粒子形状との間の対応が一貫しているということを示している。
【0069】
図12は、サンプル50を構成する複数の粒子の例示的なイメージ55dを示している。これらの粒子のそれぞれを特徴付けることが可能である可能性がある。また、平均形状パラメータおよび/またはサイズパラメータなどのような統計的特徴を決定することも可能である可能性がある。
【0070】
図13は、サンプル50を構成する複数の粒子の例示的なイメージ55eを示している。このケースでは、より大きい粒子(破線の正方形ボックスを参照)およびいくつかのより小さい粒子が含まれており、挿入図は、より小さい粒子の拡大されたイメージを示している。有利には、本明細書で説明されている実施形態は、単一のイメージング手順において、サイズの大きく異なる(たとえば、このケースでは、大まかに1桁)特定の特質を識別するのに適切である可能性がある。
【0071】
本明細書の精神および範囲から逸脱することなく、さらなる修正例が作製され得る。たとえば、本明細書で述べられているように、いくつかのケースでは、光入力部15に隣接する散乱する明るい領域に加えて、光入力部15の反対側に、見ることができる散乱する明るい領域が存在している可能性がある。サンプル50の幾何学形状が比較的にまたは実質的に対称的であるということを知られている場合(たとえば、球)、単一の照射方向(すなわち、1つの光入力部15)が、サンプル50を特徴付けるのに十分である可能性がある。別の例では、少なくとも1つの照射方向およびスペクトルから結果として生じる散乱される光のパターンが、観察下にあるサンプル50のタイプに関してよく知られている場合に、単一の照射方向(すなわち、1つの光入力部15)が、既存のデータベースまたはモデルを参照することによって、サンプル50を特徴付けるのに十分である可能性がある。サイズおよび形状パラメータが、例示の目的のために本明細書で説明されてきたが、サンプル50をイメージングするときに結果として生じるイメージは、他のサンプル特質を識別するために解釈され得るということも予想される。これは、たとえば、サンプル50の既知の特性に依存する可能性がある(たとえば、サンプル50に対する以前の実験を通して開発されたモデル)。そのような変化は、サンプル50の中に存在する材料のタイプを識別するためにとりわけ有用である可能性がある。1つの例において、サンプル50のサイズまたは形状は、サンプル50の中に存在していると予期される特定の材料と相関する可能性がある。
【0072】
本明細書における背景技術への言及は、その技術が、オーストラリアまたは任意の他の国において、その技術の通常の一般的な知識の一部を形成するということを自白するものではない。
なお、本発明には、下記態様が含まれることを付記する。
「態様1]
イメージング領域の中に位置付けされているサンプルを特徴付けるための方法であって、前記方法は、
前記イメージング領域の中に、所定の方向にそれぞれ関連付けられている1つまたは複数のエバネッセント場を発生させるステップと;
前記イメージング領域のイメージをキャプチャーするステップと;
空間的な強度パターンにしたがって、前記サンプルの1つまたは複数のサンプル特質を決定するステップであって、前記強度パターンは、前記エバネッセント場またはそれぞれのエバネッセント場と、前記イメージの中の前記サンプルとの間の相互作用から結果として生じる、1つまたは複数のサンプル特質を決定するステップと、
を含む、方法。
「態様2]
前記1つまたは複数のサンプル特質は、1つまたは複数の形状パラメータを含む、態様1に記載の方法。
「態様3]
前記1つまたは複数のサンプル特質は、1つまたは複数のサイズパラメータを含む、態様1または2に記載の方法。
「態様4]
前記強度パターンは、1つまたは複数の局所的強度最大を含み、前記1つまたは複数のサンプル特質は、前記1つまたは複数の局所的強度最大の識別された場所に少なくとも部分的に基づいて決定される、態様1から3のいずれか一項に記載の方法。
「態様5]
前記サンプルのサイズパラメータおよび/または形状パラメータを決定するステップは、前記イメージの中の少なくとも1つの局所的な光強度最大に基づいて、前記サンプルの少なくとも1つの表面の場所を決定するステップを含む、態様2または3に従属する場合の態様4に記載の方法。
「態様6]
少なくとも2つのエバネッセント場は、同時に発生させられ、固有の特徴付けスペクトルにそれぞれ関連付けられる、態様1から5のいずれか一項に記載の方法。
「態様7]
少なくとも2つのエバネッセント場が、シーケンスにしたがって生成され、前記シーケンスは、少なくとも1つの他のエバネッセント場の後に発生させられる少なくとも1つのエバネッセント場を含む、態様1から6のいずれか一項に記載の方法。
「態様8]
それぞれのエバネッセント場は、2つのエバネッセント場が同時に前記イメージング領域の中に存在しないように、固有の時間に発生させられる、態様7に記載の方法。
「態様9]
前記エバネッセント場に関連付けられる複数の局所的な光強度最大を識別するステップと;
前記複数の局所的最大の相対的位置と一貫するサンプルサイズパラメータおよび/または形状パラメータを決定するステップと
をさらに含む、態様4、および、態様4に従属する場合の態様5から7のいずれか一項に記載の方法。
「態様10]
複数の局所的最大を識別するステップは、前記強度パターンの中の局所的最大の1つまたは複数の中心場所を識別するためのフィルターを適用するステップを含む、態様9に記載の方法。
「態様11]
前記サンプルサイズパラメータおよび/または形状パラメータは、それぞれのエバネッセント場に関連付けられる前記方向に依存して決定される、態様2または3に従属する場合の態様9または10に記載の方法。
「態様12]
前記イメージは、光学拡大鏡に連結されているイメージセンサによってキャプチャーされ、前記イメージング領域が、前記光学拡大鏡を介して前記イメージセンサによって見ることができるようになっている、態様1から11のいずれか一項に記載の方法。
「態様13]
イメージングセンサと、光学媒体と、複数の光入力部とを含むサンプル特徴付け装置であって、前記光学媒体は、第1の表面を含み、サンプルが、前記第1の表面の上方に位置決め可能であり、前記複数の光入力部は、前記光入力部によって受け入れられる光を固有の方向から前記光学媒体の中へ方向付けるようにそれぞれ構成されており、サンプルが存在していないときに、前記第1の表面からの全反射を作り出すようになっており、前記イメージングセンサは、それぞれの光入力部に関連付けられるエバネッセント場とサンプルが相互作用することに起因して、空間的な強度パターンのイメージをキャプチャーするように配置されている、サンプル特徴付け装置。
「態様14]
少なくとも1つの光入力部は、一度に1つの光入力部のみが前記光学媒体の中へ光を投射するように制御可能である、態様13に記載のサンプル特徴付け装置。
「態様15]
少なくとも2つの光入力部が、固有の特徴付け波長にそれぞれ関連付けられており、前記イメージングセンサは、それぞれの光入力部が区別可能であるように、前記第1の表面をイメージングするように構成されている、態様13または14に記載のサンプル特徴付け装置。
「態様16]
それぞれの光入力部は、光源に連結されている、態様13から15のいずれか一項に記載のサンプル特徴付け装置。
「態様17]
少なくとも1つの光源は、レーザーである、態様16に記載のサンプル特徴付け装置。
「態様18]
少なくとも1つの光源は、LED光源である、態様16に記載のサンプル特徴付け装置。
「態様19]
前記光学カプラーは、前記少なくとも1つのLED光源を含む、態様18に記載のサンプル特徴付け装置。
「態様20]
それぞれの光入力部に関して、光が前記イメージング領域の中へ投射される角度は調節可能である、態様13から19のいずれか一項に記載のサンプル特徴付け装置。
「態様21]
前記イメージングセンサに光学的に連結されている拡大鏡を含み、随意的に、前記拡大鏡の倍率は調節可能である、態様13から20のいずれか一項に記載のサンプル特徴付け装置。
「態様22]
態様13から21のいずれか一項に記載のサンプル特徴付け装置を含むサンプル特徴付けシステムであって、前記システムは、態様1から12のいずれか一項に記載の方法を実装するように構成されている、サンプル特徴付けシステム。
【符号の説明】
【0073】
10 イメージング装置
11 イメージング領域
12 拡大鏡
13 イメージングセンサ
14 光学カプラー
15 光入力部
16 光源
20 光学媒体
21 第1の表面
22 光ファイバーケーブル
23、23a~23h 連結ポイント
24 バッフル領域
25 電気的インターフェース
26a~26g 光線
27 レンズおよび/またはミラー構成体
28 回転リング
29 プリズム
30 光パターン
31 アパーチャー
50 サンプル
51 サンプル基材
52 サンプル媒体
53 流体
54a~54c ファセット
55、55a~55e イメージ
60a~60d チャネルイメージ
61 合成イメージ
62 光学イメージ
100 初期キャリブレーションステップ
101 照射ステップ
102 イメージングステップ
200 分析ステップ
110 初期キャリブレーションステップ
111 照射ステップ
112 イメージングステップ
113 ステップ
114 ステップ
θ 臨界角度
θ 入射角度
θ 伝達角度
屈折率
屈折率
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13