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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】作業ブース用アセンブリ及び作業ブース
(51)【国際特許分類】
   B05B 16/00 20180101AFI20241125BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20241125BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20241125BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20241125BHJP
【FI】
B05B16/00 ZAB
F24F7/003
F24F7/06 R
F24F8/108 210
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023103350
(22)【出願日】2023-06-23
【審査請求日】2024-02-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和 5年 5月23日 新製品説明会(WEB会議)にて公開 令和 5年 5月24日 新製品説明会(WEB会議)にて公開 令和 5年 5月30日 新製品説明会(WEB会議)にて公開 令和 5年 6月 1日 新製品説明会(WEB会議)にて公開 令和 5年 6月 7日 新製品説明会(WEB会議)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】393001132
【氏名又は名称】株式会社アミークス
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川合 康宏
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-344816(JP,A)
【文献】特開2007-289822(JP,A)
【文献】実開昭59-086276(JP,U)
【文献】特開2006-242419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 16/00
F24F 7/003
F24F 7/06
F24F 8/108
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物の一部分に対する処理が行われる作業空間を前記被処理物が配置されている空間から区画するための作業ブースのアセンブリであって、
組み立て可能であるフレームと、
前記フレームの上部を覆う天井カバーとを備え、
前記天井カバーには、天井開口部が形成されており、
前記天井カバーは、前記天井開口部上に着脱可能に配置されている空気清浄フィルタを含み、
前記天井カバーは、側幕が着脱されるように設けられており、
前記天井カバーは、前記側幕が前記天井カバーに取り付けられたときに、前記側幕とともに前記作業空間を前記被処理物が配置されている前記空間から区画するように設けられており
前記フレームは、組み立てられた状態において、上方開口部及び複数の側方開口部を形成し、
前記フレームは、前記上方開口部、及び前記複数の側方開口部のいずれか1つの側方開口部の各々の外周縁の一部を構成する梁を含み、
前記梁は長さ調整可能であり、又は梁は長さが互いに異なりかつ互いに組み替え可能である複数の梁を含み、
前記フレームは、前記梁の前記長さ調整又は前記組み替えにより、第1組み立て状態と、前記上方開口部及び前記1つの側方開口部のサイズが前記第1組み立て状態とは異なる第2組み立て状態とを、切り替え可能であり、
前記天井カバーは、前記第1組み立て状態及び前記第2組み立て状態のそれぞれにおいて、前記フレームに着脱可能である、作業ブース用アセンブリ。
【請求項2】
記天井カバーは、前記上方開口部を覆うように設けられている天井部分と、前記天井部分の外周縁に接続されておりかつ前記複数の側方開口部の各々の上方部分のみを覆うように設けられている側方部分とを含み、
前記天井開口部は、前記上方開口部の一部と重なるように前記天井部分に形成されており、
前記天井カバーの前記側方部分は、前記側幕が着脱されるように設けられている、請求項1に記載の作業ブース用アセンブリ。
【請求項3】
前記フレームは、高さ調整可能とされており、
前記天井カバーの前記側方部分の下端部が前記被処理物の前記一部分よりも高い位置に配置される、請求項2に記載の作業ブース用アセンブリ。
【請求項4】
前記フレームは、3つ以上の柱と、前記3つ以上の柱と着脱可能に接続される3つ以上の梁とを含み、
前記3つ以上の梁は、前記梁を含み、
前記組み立てられた状態において、前記上方開口部は前記3つ以上の梁の内側に形成され、前記複数の側方開口部の各々は前記3つ以上の梁の各々の下方であって前記3つ以上の柱のうち隣り合う2つの柱の間に形成される、請求項2に記載の作業ブース用アセンブリ。
【請求項5】
前記フレームは、前記3つ以上の梁のうち互いに対向する1組の梁と着脱可能に接続される中央梁をさらに含み、
前記空気清浄フィルタの一部は、前記中央梁上に配置される、請求項4に記載の作業ブース用アセンブリ。
【請求項6】
前記3つ以上の柱の各々は、キャスターを含む、請求項4に記載の作業ブース用アセンブリ。
【請求項7】
前記第2組み立て状態における前記梁の長さは、前記第1組み立て状態における前記梁の長さよりも長く、
前記天井カバーは、前記第1組み立て状態及び前記第2組み立て状態の各々において前記梁に着脱可能である複数の取付部材と、前記第1組み立て状態においては前記梁に取り付けられず前記第2組み立て状態において前記梁に着脱可能である複数の取付部材とを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の作業ブース用アセンブリ。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の作業ブース用アセンブリと、
前記天井カバーに取り付けられおり、前記天井カバーとともに前記作業空間を前記被処理物が配置されている前記空間から区画するように設けられている前記側幕とを備える、作業ブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業ブース用アセンブリ及び作業ブースに関し、特に、被処理物の一部分に対する処理が行われる作業空間を被処理物が配置されている空間から区画するための作業ブース及びそのベース部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両などの比較的大型な被処理物に対する塗装作業や研磨作業等は、換気装置が付設された作業室内にて行われている(例えば、特許5906351号参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5906351号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、上記のような被処理物の一部分に対する塗装作業や研磨作業等も、処理対象部分の大きさに依らず、換気装置が付設された作業室(クリーンルーム)内で行われている。上記作業により発生する有機溶剤ガスや微細な粉塵から作業者を保護するとともに、微細な粉塵が被処理物に再付着して作業品質が損なわれることを防止するためである。
【0005】
他方、換気装置が付設された作業室には、多大な初期投資とランニングコストとが必要となる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その主たる目的は、従来の換気装置が付設された作業室と比べて初期投資及びランニングコストを抑えながらも、安定した作業品質を実現できる作業ブース用アセンブリ及び作業ブースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る作業ブース用アセンブリは、被処理物の一部分に対する処理が行われる作業空間を被処理物が配置されている空間から区画するための作業ブースのアセンブリである。上記作業ブース用アセンブリは、組み立て可能であるフレームと、フレームの上部を覆う天井カバーとを備える。天井カバーには、天井開口部が形成されている。天井カバーは、天井開口部上に着脱可能に配置されている空気清浄フィルタを含む。天井カバーは、側幕が着脱されるように設けられている。天井カバーは、側幕が天井カバーに取り付けられたときに、側幕とともに作業空間を被処理物が配置されている空間から区画するように設けられている。
【0008】
上記作業ブース用アセンブリにおいて、フレームは、組み立てられた状態において、上方開口部及び複数の側方開口部を形成する。天井カバーは、上方開口部を覆うように設けられている天井部分と、天井部分の外周縁に接続されておりかつ複数の側方開口部の各々の上方部分のみを覆うように設けられている側方部分とを含んでいてもよい。天井開口部は、上方開口部の一部と重なるように前記天井部分に形成されていてもよい。天井カバーの側方部分は、側幕が着脱されるように設けられていてもよい。
【0009】
上記作業ブース用アセンブリにおいて、フレームは、高さ調整可能とされていてもよい。天井カバーの側方部分の下端部が被処理物の一部分よりも高い位置に配置され得る。
【0010】
上記作業ブース用アセンブリにおいて、フレームは、3つ以上の柱と、3つ以上の柱と着脱可能に接続される3つ以上の梁とを含んでいてもよい。組み立てられた状態において、上方開口部は3つ以上の梁の内側に形成され、複数の側方開口部の各々は3つ以上の梁の各々の下方であって3つ以上の柱のうち隣り合う2つの柱の間に形成され得る。
【0011】
上記作業ブース用アセンブリにおいて、フレームは、3つ以上の梁のうち互いに対向する1組の梁と着脱可能に接続される中央梁をさらに含んでいてもよい。空気清浄フィルタの一部は、中央梁上に配置されてもよい。空気清浄フィルタの残部は、天井開口部上に配置され得る。
【0012】
上記作業ブース用アセンブリにおいて、3つ以上の柱の各々は、キャスターを含んでいてもよい。
【0013】
上記作業ブース用アセンブリにおいて、フレームは、サイズを変更可能であってもよい。天井カバーは、フレームのサイズに依らず、フレームに着脱可能であることが好ましい。
【0014】
本発明に係る作業ブースは、上記作業ブース用アセンブリと、天井カバーとともに作業空間を被処理物が配置されている空間から区画するように設けられている側幕とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来の換気装置が付設された作業室と比べて初期投資及びランニングコストを抑えながらも、安定した作業品質を実現できる作業ブース用アセンブリ及び作業ブースを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態に係る作業ブース用アセンブリの一例を示す斜視図である。
図2図1に示される作業ブース用アセンブリの分解斜視図である。
図3図1に示される作業ブース用アセンブリの柱を示す正面図である。
図4図1に示される作業ブース用アセンブリの梁を示す正面図である。
図5図1に示される作業ブース用アセンブリの中央梁を示す正面図である。
図6図1に示される作業ブース用アセンブリの変形例の第2組み立て状態を示す斜視図である。
図7図1に示される作業ブース用アセンブリの柱の変形例を示す部分拡大正面図である。
図8】本実施の形態に係る作業ブースの一例を示す斜視図である。
図9】本実施の形態に係る作業ブースの使用状態を外側から視た斜視図である。
図10】本実施の形態に係る作業ブースの使用状態を内側から視た部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。また、各図には、説明の便宜上、上下方向を示すZ、上下方向Zと直交する第1方向を示すX、ならびに上下方向Z及び第1方向Xの各々と直交する第2方向Yが示されている。
【0018】
<作業ブース用アセンブリの構成>
本実施の形態に係る作業ブース用アセンブリは、車両などの被処理物の一部分に対する処理が行われる作業空間を、被処理物が配置されている空間から区画するための作業ブースのアセンブリである。図1に示されるように、本実施の形態に係る作業ブース用アセンブリ100は、フレーム10と、天井カバー20とを備える。
【0019】
フレーム10は、組み立て可能とされている。組み立てられた状態にあるフレーム10に囲まれた空間が、本実施の形態に係る作業ブースにおいて上記作業空間となる。フレーム10は、組み立てられた状態において、少なくとも1つの上方開口部10Aと複数の側方開口部10Bとを形成する。
【0020】
上方開口部10Aは、上方を向いて開口している。上方開口部10Aは、本実施の形態に係る作業ブースの内部から外部に空気を排出するための排気用開口部として作用し得る。
【0021】
各側方開口部10Bは、側方を向いて開口している。側方とは、上下方向と交差する任意の方向を意味する。複数の側方開口部10Bのうちの少なくとも1つは、被処理物の作業対象部分に面するように配置され、作業者が上記作業空間内から当該処理対象部分にアクセスするための作業用開口部として作用し得る。複数の側方開口部10Bのうちの他の1つは、本実施の形態に係る作業ブースの外部から内部に空気を送る送風機を通すための給気用開口部として作用し得る。
【0022】
天井カバー20は、フレーム10の上部を覆うように設けられている。天井カバー20は、上方開口部10Aを覆うように設けられている天井部分20Aと、天井部分20Aの外周縁に接続されておりかつ複数の側方開口部10Bの各々の上方部分のみを覆うように設けられている側方部分20Bとを含む。天井部分20Aには、上方開口部10Aの一部のみと重なる天井開口部20Cが形成されている。天井開口部20Cは、例えば上方開口部10Aの中央部のみと重なるように形成されている。側方部分20Bは、全ての柱11の上方部分を外側から囲むように配置される。側方部分20Bの下端部20Dは、例えば各柱11の上下方向Zの中間点よりも上方に配置される。
【0023】
天井カバー20は、天井開口部20C上に着脱可能に配置されている空気清浄フィルタ21を含む。空気清浄フィルタ21は、上方開口部10A及び天井開口部20Cを経て上記作業空間の内部から外部に排出される空気に含まれる有機溶剤ガス及び微細な粉塵等を捕集するように設けられている。
【0024】
天井カバー20は、複数の側方開口部10Bを覆うための側幕220(詳細は後述する)が着脱されるように設けられている。天井カバー20は、側幕220が天井カバー20に取り付けられたときに、天井カバー20及び側幕220によって、上記作業空間を被処理物が配置されている空間から区画するように設けられている。
【0025】
以下では、図1図5を参照して、フレーム10と天井カバー20の各々のより具体的な構成例を説明する。
【0026】
図1及び図2に示されるように、フレーム10に囲まれた内側空間は、例えば直方体形状を有している。第1方向Xは上記内側空間の長手方向であり、第2方向Yは上記内側空間の短手方向である。上記内側空間の第1方向Xの長さは、上記内側空間の第2方向Yの長さよりも長い。
【0027】
図1及び図2に示されるように、フレーム10は、例えば、4本の柱11と、各柱11と着脱可能に接続される4本の梁12と、1本の中央梁12Cとを含む。4本の柱11の各々は、互いに同等の構成を有している。4本の梁12は、相対的長い2本の長梁12A(桁)と、相対的短い2本の短梁12Bとを含む。中央梁12Cは、2本の長梁12Aと着脱可能に接続される。
【0028】
図1及び図2に示されるように、フレーム10が組み立てられた状態において、各柱11は、上下方向Zに沿って配置され、かつ第1方向Xまたは第2方向Yに互いに間隔を空けて配置される。各柱11は、1本の長梁12Aと、1本の短梁12Bの各々と接続される。各長梁12Aは、第1方向Xに沿って配置され、かつ第2方向Yに互いに間隔を空けて配置される。各短梁12Bは、第2方向Yに沿って配置され、かつ第1方向Xに互いに間隔を空けて配置される。中央梁12Cは、第2方向Yに沿って配置され、かつ第1方向Xにおいて2本の短梁12B間に配置される。
【0029】
図1及び図2に示されるフレーム10は、組み立てられた状態において、2つの上方開口部10A1,10A2と4つの側方開口部10B1~10B4とを形成する。2つの上方開口部10A1,10A2の各々は、2本の長梁12A及び2本の短梁12Bの内側に形成される。2つの上方開口部10A1,10A2は、第1方向Xにおいて中央梁12Cを挟んで並んで配置される。異なる観点から言えば、2本の長梁12A、2本の短梁12B、及び中央梁12Cの各々は、2つの上方開口部10A1,10A2の各々の外周縁を構成する。
【0030】
4つの側方開口部10B1~10B4の各々は、各梁12の下方であって、第1方向Xまたは第2方向Yに隣り合う2つの柱11の間に形成される。異なる観点から言えば、2本の長梁12A、2本の短梁12B、及び4本の柱11の各々は、4つの側方開口部10B1~10B4の各々の外周縁を構成する。4つの側方開口部10B1~10B4は、上下方向と直交する第1方向DR1を向いて開口している第1組の側方開口部10B1,10B2と、上下方向及び第1方向DR1の各々と直交する第2方向DR2を向いて開口している第2組の側方開口部10B3,10B4とを含む。側方開口部10B1は、上記作業用開口部として設けられている。側方開口部10B3は、上記給気用開口部として設けられている。
【0031】
図1及び図2に示されるように、複数の柱11の各々の上端部には、長梁12Aの一方端部を収容する収容部11Aと、短梁12Bの一方端部を収容する収容部11Bとが形成されている。収容部11A,11Bの各々は、例えば各柱11の外周面に固定されている管状部材である。収容部11A,11Bの各々の中心軸は、例えば上下方向Zに沿っている。各柱11に形成されている収容部11A,11Bの各々は、当該柱11の中心軸に対する周方向において90度の中心角を成すように当該柱11に対して位置決めされている。
【0032】
図1及び図2に示されるように、フレーム10は、例えば、複数の筋交い13A,13Bをさらに含む。複数の筋交い13Aの各々は、組み立てられた状態において、複数の柱11の各々と複数の長梁12Aとの間に架け渡される。複数の筋交い13Bの各々は、組み立てられた状態において、複数の柱11の各々と複数の短梁12Bとの間に架け渡される。
【0033】
図1及び図2に示されるように、天井カバー20に形成されている天井開口部20Cは、中央梁12Cの一部と、中央梁12Cの一部を挟んで隣り合う2つの上方開口部10Aの各一部分と、上下方向Zに重なるように配置される。空気清浄フィルタ21の一部は、中央梁12C上に配置されている。空気清浄フィルタ21の他の一部は、2つの上方開口部10Aのうちの一方の上方開口部10A1上に配置され、空気清浄フィルタ21の残部は、他方の上方開口部10A2上に配置される。
【0034】
図1及び図2に示されるように、空気清浄フィルタ21の形状及び寸法は、空気清浄フィルタ21が天井開口部20Cの全体を覆うように、天井開口部20Cの形状及び寸法に応じて設定されている。天井カバー20に形成されている天井開口部20Cの開口形状は、例えば長方形状である。空気清浄フィルタ21の外形状は、例えば長方形状である。天井開口部20Cの第1方向Xの開口幅は、例えば天井開口部20Cの第2方向Yの開口幅よりも広い。空気清浄フィルタ21の第1方向Xの幅は、例えば空気清浄フィルタ21の第2方向Yの開口幅よりも広い。
【0035】
図1及び図2に示されるように、天井カバー20の天井部分20Aは、空気清浄フィルタ21を着脱可能に保持するための複数の保持部22をさらに含む。複数の保持部22の各々は、天井開口部20Cの周囲に互いに間隔を空けて配置されている。天井部分20Aは、例えば天井開口部20Cの4隅に配置されている4つの保持部22と、第1方向Xにおいて4つの保持部22間に配置されている2つの保持部22とを有する。
【0036】
図1及び図2に示されるように、空気清浄フィルタ21は、天井部分20Aの各保持部22に着脱可能に保持される複数の被保持部23を含む。複数の被保持部23の各々は、空気清浄フィルタ21の外周縁に沿って互いに間隔を空けて配置されている。空気清浄フィルタ21は、例えばその4隅に配置されている4つの被保持部23と、第1方向Xにおいて4つの被保持部23間に配置されている2つの被保持部23とを有する。
【0037】
図1及び図2に示されるように、天井カバー20は、フレーム10に対して着脱可能である。天井カバー20は、複数の取付部材24を含む。各取付部材24は、柱11、長梁12A、及び短梁12Bの各々の一部に着脱可能である。好ましくは、複数の取付部材24は、柱11に着脱可能である2以上の取付部材24と、長梁12Aに着脱可能である2以上の取付部材24と、短梁12Bに着脱可能である2以上の取付部材24と、を有している。
【0038】
各取付部材24は、例えば複数の貫通孔26が形成されておりかつ可撓性を有している帯状部材25と、複数の貫通孔26に通される紐(図示しない)とを含む。各取付部材24の帯状部材25は、長手方向と短手方向とを有する。各取付部材24の帯状部材25の長手方向は、取り付けられる対象である柱11、長梁12A、または短梁12Bの延在方向と直交する方向に沿っている。各取付部材24の帯状部材25の短手方向は、取り付けられる対象である柱11、長梁12A、または短梁12Bの延在方向とに沿っている。各取付部材24の帯状部材25が紐によってフレーム10に結び留まられることにより、天井カバー20はフレーム10に取り付けられる。各取付部材24が紐によってフレーム10に結び留まられた状態が解消されることにより、天井カバー20はフレーム10から取り外し可能となる。
【0039】
図2に示されるように、天井カバー20は、フレーム10の長梁12A上に配置されるべき領域を表示する2つの第1表示部27と、短梁12B上に配置されるべき領域を表示する2つの第2表示部28とを有していてもよい。複数の取付部材24は、2本の第1表示部27及び2本の第2表示部28の各々の上に配置されている。2本の第1表示部27上に配置されている複数の取付部材24の各々の長手方向は、第2方向Yに沿っている。2本の第1表示部27上に配置されている各取付部材24の複数の貫通孔26は、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。2本の第2表示部28上に配置されている複数の取付部材24の各々の長手方向は、第1方向Xに沿っている。2本の第1表示部27上に配置されている各取付部材24の複数の貫通孔26は、第1方向Xに間隔を空けて形成されている。
【0040】
図3に示されるように、各柱11は、例えば長さを調整可能である。各柱11は、各柱11の長さを調整するための調整機構11Cを有している。調整機構11Cは、任意の構成を有していればよいが、例えば、第1管11Dと、一部が第1管11Dの内部に挿通される第2管11Eと、第1管11Dに固定されておりかつ第2管11Eの延在方向の一部分を締め付けている状態とこれを締め付けていない状態を切り替え可能な締め具11Fとを含む。これにより、フレーム10は、高さ調整可能とされている。
【0041】
図3に示されるように、各柱11は、例えば2つの筋交い13A,13Bと一体とされている。各筋交い13A,13Bの一端は、例えば各柱11に対し各筋交い13A,13Bの仰角を変更可能に固定されている。各筋交い13A,13Bの他端は、各長梁12A又は各短梁12Bに着脱可能に接続される第1係合部14を有している。
【0042】
図4に示されるように、長梁12Aは、各柱11の収容部11Aに収容される2つの被収容部15を有している。各被収容部15は、長梁12Aの両端部に設けられている。各被収容部15は、各長梁12Aの両端部間に延びる中央部に対して直交する方向に延びている。
【0043】
図4に示されるように、各長梁12Aは、各筋交い13A,13Bの第1係合部14が着脱可能に固定されるための2つの第2係合部16を有している。例えば、第1係合部14が突起として形成されており、第2係合部16が突起と係合する溝として形成されている。溝としての第2係合部16は、開口端部及び終端部を有している。各第2係合部16の開口端部は、最も近い被収容部15側を向いている。各第2係合部16の終端部は、開口端部よりも相対的に下方に配置される。なお、第2係合部16が突起として形成されており、第1係合部14が突起と係合する溝として形成されていてもよい。
【0044】
各短梁12Bも、図4に示す長梁12Aと同様の構成を有している。各短梁12Bは、その延在方向の長さのみが図4に示す長梁12Aと異なっている。
【0045】
図5に示されるように、中央梁12Cは、長梁12Aに着脱可能に固定されるための2つの第3係合部17を有している。第3係合部17は、例えば、弾性変形可能な係合爪として形成されている。
【0046】
好ましくは、天井カバー20を構成する材料は、難燃性を有している。
フレーム10を構成する各部材は、任意の形状を有していればよいが、例えば円管形状を有している。
【0047】
<変形例>
作業ブース用アセンブリ100は、図1に示される第1組み立て状態と、図6に示される第2組み立て状態とを切り替え可能であってもよい。異なる観点から言えば、作業ブース用アセンブリ100では、フレーム10が上方開口部10A及び側方開口部10B1,10B2の各々のサイズを変更可能であってもよい。この場合、フレーム10は、図1に示される第1組み立て状態において使用される2つの長梁12Aに加えて、図6に示される第2組み立て状態において使用される第2長梁12Dを含む。第2長梁12Dは、長梁12Aよりもさらに長い。
【0048】
図6に示されるように、天井カバー20は、上記第2組み立て状態において第2長梁12D及び短梁12Bの各々の一部に着脱可能な複数の取付部材24をさらに含む。天井カバー20は、2つの第1表示部27及び2つの第2表示部28に加えて、第3表示部29をさらに有していてもよい。第1表示部27は、長梁12Aまたは第2長梁12D上に配置されるべき領域を表示する。第2表示部28は、第1組み立て状態において短梁12B上に配置されるべき領域を表示する。第3表示部29は、第2組み立て状態において短梁12B上に配置されるべき領域を表示する。第3表示部29は、第2表示部28よりも天井開口部20Cから離れた位置に設けられる。第2長梁12Dに着脱可能な複数の取付部材24は、2本の第1表示部27上に互いに間隔を空けて配置されている。長梁12Aに着脱可能な複数の取付部材24は、第2長梁12Dに対しても着脱可能である。
【0049】
このような作業ブース用アセンブリ100では、必要とされる作業空間の第1方向Xの幅(上記作業用開口部の開口幅)に応じて第1組み立て状態または第2組み立て状態が選択され、かつ上記選択に応じて長梁12Aまたは第2長梁12Dを用いてフレーム10を汲みてることにより、第1組み立て状態または第2組み立て状態が容易に実現され得る。
【0050】
第2長梁12Dは、折り畳み可能であってもよい。同様に、長梁12Aも折り畳み可能であってもよい。また、長梁12Aは、長さ調整可能であってもよい。長梁12Aの長さ調整機構は、上述した柱11のそれと同様の機構であってもよい。この場合、第2長梁12Dは、長梁12Aとは別部材として準備されることなく、長梁12Aの長さが調整されることにより準備されてもよい。
【0051】
図7に示されるように、各柱11は、キャスター11Gを含んでいてもよい。キャスター11Gは、作業ブース用アセンブリ100の設置面上を転動できるように、各柱11に固定されている。キャスター11Gは、例えば各柱11の下端部に固定されている。好ましくは、キャスター11Gはロック機構を有している。
【0052】
フレーム10の外形状は、形成されるべき作業空間に応じた任意の形状を有していればよい。フレーム10の外形状は、例えば、立方体形状であってもよいし、三角柱形状であってもよい。フレーム10は、3つ以上の柱11と、3つ以上の梁12とを有していてもよい。また、各柱11と各梁12との接続構造は、任意の接続構造を有していればよく、上述した構造に限られるものではない。
【0053】
<作業ブースの構成>
図8に示されるように、本実施の形態に係る作業ブース200は、上述した作業ブース用アセンブリ100と、側幕220とを備える。
【0054】
側幕220は、作業ブース用アセンブリ100の天井カバー20の側方部分20Bに取り付けられる。具体的には、側幕220の上端部が天井カバー20の側方部分20Bに取り付けられる。側幕220を側方部分20Bに取り付ける手段は、特に制限されないが、例えば接着テープなどの接着部材230(図9及び図10参照)により接着される。好ましくは、側幕220の下端部が作業ブース200の設置面に接着される。
【0055】
側幕220は、4つの側方開口部10B1~10B4の各々を覆うように設けられている。作業ブース200には、側幕220により、作業用開口部220A及び給気用開口部220Bが形成される。
【0056】
作業用開口部220A及び給気用開口部220Bの各々は、例えば側幕220の一部が折り畳まれまたは切り取られることにより形成され得る。作業用開口部220Aの開口端部は、接着テープなどの接着部材240(図10参照)により被処理物において処理対象部分の周縁部に接着される。給気用開口部220Bの開口端部は、接着テープなどの接着部材250(図9参照)により送風機300の外周面に接着される。
【0057】
<作業ブースの使用例>
図9及び図10に示されるように、作業ブース用アセンブリ100及び作業ブース200は、車両の一部分に対し水性塗料を塗布する塗装処理に特に好適である。図9及び図10に示されるように、作業ブース200は、車両のうち処理対象部分400のみが作業用開口部220Aから上記作業空間内に露出するようにセッティングされた後に、使用される。好ましくは、天井カバー20の側方部分20Bの下端部20Dが被処理物の処理対象部分400よりも高い位置に配置されるように、各柱11の高さが調整される。
【0058】
処理対象部分400に隣接する非処理対象部分410(図10参照)が作業用開口部220A内に露出する場合には、非処理対象部分410をマスキングした後、上記のように作業ブース200をセッティングすればよい。例えば車両のドアを処理対象部分400とする塗装処理の場合、非処理対象部分410であるウインドウ及びドアノブを養生シート420やテープ430等で覆った後、作業用開口部220Aが処理対象部分400の全体を作業空間内に露出させるように、作業ブース200をセッティングすればよい。
【0059】
作業ブース200を用いた上記処理終了後には、側幕220が作業ブース用アセンブリ100の天井カバー20から取り外される。使用済みの側幕220は、例えば廃品として回収され、リサイクルされる。作業ブース200を用いて新たな上記処理を行う場合、未使用の側幕220が作業ブース用アセンブリ100の天井カバー20に取り付けられて、作業ブース200が再び組み立てられ、同様に使用される。つまり、作業ブース200では、側幕220のみが交換され、作業ブース用アセンブリ100及び送風機300は繰り返し使用可能である。
【0060】
なお、作業ブース200が上記のように繰り返し使用されることにより、空気清浄フィルタ21の清浄能力は徐々に低下する。空気清浄フィルタ21は、天井カバー20の天井開口部20Cに対して着脱可能であるため、必要に応じて適宜交換可能である。
【0061】
<作用効果>
作業ブース用アセンブリ100は、組み立て可能なフレーム10と、フレーム10の上部のみを覆う天井カバー20とを備え、天井カバー20が空気清浄フィルタ21を含む。さらに、作業ブース用アセンブリ100は、側幕220が天井カバー20に取り付けられることにより、作業ブース200を形成し得る。そのため、作業ブース用アセンブリ100によれば、側幕220と、作業ブース200の外部から内部に空気を導入する送風機300とを別途準備することのみにより、清浄度が高い作業空間を容易に形成し得る。言い換えると、作業ブース200は、送風機300とを別途準備することのみにより、清浄度が高い作業空間を容易に形成し得る。
【0062】
特に、作業ブース用アセンブリ100及び送風機300は繰り返し使用可能であり、側幕220のみを交換することにより、清浄度が高い作業空間を繰り返し形成し得る。そのため、作業ブース用アセンブリ100及び作業ブース200によれば、従来の換気装置が付設された作業室と比べて初期投資及びランニングコストを抑えながらも、安定した作業品質を実現できる。
【0063】
さらに作業ブース用アセンブリ100では、天井カバー20が上方開口部10Aを覆うとともに、複数の側方開口部10Bの各々の上方部分のみを覆う。そのため、天井カバー20が複数の側方開口部10Bの各々の大部分あるいは全部を覆うように設けられている場合と比べて、微細な粉塵等によって天井カバー20が汚染されにくいため、より安定した作業品質を実現できる。
【0064】
作業ブース用アセンブリ100では、フレーム10が高さ調整可能とされているため、天井カバー20の側方部分20Bの下端部20Dが被処理物の処理対象部分400よりも高い位置に配置されるように、各柱11の高さが調整され得る。各柱11の高さが上記のように調整されることにより、側方部分20Bの下端部20Dが処理物の処理対象部分400との間に直接接続される場合と比べて、微細な粉塵等によって天井カバー20が汚染されにくく、より安定した作業品質を実現できる。
【0065】
作業ブース用アセンブリ100において、フレーム10は、3つ以上の柱と3つ以上の梁を含んでいてもよい。このようなフレーム10は、比較的安価であり、かつ組み立て及び解体が比較的容易である。
【0066】
作業ブース用アセンブリ100において、各柱11はキャスター11Gを含んでいてもよい。このようにすれば、作業ブース用アセンブリ100の設置場所を容易に変更できる。例えば同一の被処理物に対して処理対象部分が異なる複数の処理を行う場合(具体例として、図9に示される車両の左右両側のドアに対する処理を行う場合)に、被処理物を移動させることなく、あるいは作業ブース200及び送風機300を2つセット用意してこれらをセッティングすることなく、1セットの作業ブース200及び送風機300を動かすことのみにより、当該複数の処理を連続して行える。その結果、作業ブース用アセンブリ100及び作業ブース200によれば、作業効率を高めることができる。
【0067】
上述のように、フレーム10は、上方開口部10Aのサイズを変更可能であってもよい。天井カバー20は、上方開口部10Aのサイズに依らず、フレーム10に着脱可能であってもよい。このようにすれば、上述のように、必要とされる作業空間の幅に応じて、上記のように図1に示される第1組み立て状態と図6に示される第2組み立て状態とを切り替え可能となる。必要とされる作業空間の幅は処理対象部分の大きさに応じて変化する。そのため、上記のような作業ブース用アセンブリ100及び作業ブース200は、処理対象部分の大きさが異なるさまざまな処理に適用され得る。
【0068】
以上、各実施の形態において本開示のストラップについて説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10 フレーム、10A1,10A2,10A 上方開口部、10B1,10B4,10B2,10B3,10B 側方開口部、11 柱、11A,11B 収容部、11C 調整機構、11D 第1管、11E 第2管、11F 締め具、11G キャスター、12 梁、12A 長梁、12B 短梁、12C 中央梁、12D 第2長梁、13A,13B 筋交い、14 第1係合部、15 被収容部、16 第2係合部、17 第3係合部、20 天井カバー、20A 天井部分、20B 側方部分、20C 天井開口部、20D 下端部、21 空気清浄フィルタ、22 保持部、23 被保持部、24 取付部材、25 帯状部材、26 貫通孔、27 第1表示部、28 第2表示部、29 第3表示部、100 作業ブース用アセンブリ、200 作業ブース、220 側幕、220A 作業用開口部、220B 給気用開口部、230,240,250 接着部材、300 送風機、400 処理対象部分、410 非処理対象部分、420 養生シート。
【要約】
【課題】従来の換気装置が付設された作業室と比べて初期投資及びランニングコストを抑えながらも、安定した作業品質を実現できる作業ブース用アセンブリ及び作業ブースを提供する。
【解決手段】作業ブース用アセンブリ100は、被処理物の一部分に対する処理が行われる作業空間を被処理物が配置されている空間から区画するための作業ブースのアセンブリである。作業ブース用アセンブリは、組み立て可能であるフレーム10と、フレームの上部を覆う天井カバー20とを備える。天井カバーには、天井開口部20Cが形成されている。天井カバーは、天井開口部上に着脱可能に配置されている空気清浄フィルタ21を含む。天井カバーは、側幕220が着脱されるように設けられている。天井カバーは、側幕が天井カバーに取り付けられたときに、側幕とともに作業空間を被処理物が配置されている空間から区画するように設けられている。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10