(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】最小限侵襲性の輪状形成術のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/10 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
A61B17/10
(21)【出願番号】P 2023184597
(22)【出願日】2023-10-27
(62)【分割の表示】P 2022522682の分割
【原出願日】2020-10-15
【審査請求日】2023-10-27
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515234196
【氏名又は名称】マイクロ インターベンショナル デバイシズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ピー.ホイットマン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ダットカック
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-501696(JP,A)
【文献】特表2017-517345(JP,A)
【文献】特表2008-539870(JP,A)
【文献】特表2016-529928(JP,A)
【文献】特表2016-512731(JP,A)
【文献】国際公開第2012/040865(WO,A1)
【文献】特許第7382096(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/03-17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織アンカーを展開するための装置であって、
カテーテルの長さを画定する近位端と遠位端とを有するカテーテルチューブであって、前記遠位端が、展開前に組織アンカーを保持するように形成されたアンカーハウジングを含む、カテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブ内部に位置決めされて前記カテーテルチューブの長さを通って延びるプッシャワイヤであって、前記プッシャワイヤが、前記カテーテルチューブの前記近位端及び前記遠位端に対応する近位端及び遠位端を有する、プッシャワイヤと
を含み、
前記装置が、前記カテーテルチューブの前記近位端からプッシャワイヤに押圧力を提供するように形成されており、ひいては前記プッシャワイヤを遠位方向に、前記プッシャワイヤの引き込み位置から前記プッシャワイヤの伸長位置へ押し退け、これにより、前記組織アンカーを遠位方向に押すことによって、前記組織アンカーをアンカーハウジングから遠位方向に展開し、前記組織アンカーが標的組織を貫通できるようになり、
前記装置は、前記カテーテルの長さを通りそして相応する通路を通って延びる1つ又は2つ以上の安定化ピンであって、前記安定化ピンが、前記カテーテルチューブの近位端から、前記安定化ピンが前記アンカーハウジングから外へ出て延びない引き込み位置と、前記安定化ピンが前記アンカーハウジングから出て延びる伸長位置との間で動かされるべく操作されるように形成されている、安定化ピンをさらに含み、
前記装置は、前記アンカーハウジングの遠位端が標的組織に押し付けられるか標的組織内に押し込まれたときに、前記安定化ピン間に電流が標的組織を通って流れるように前記安定化ピンを電気的に付勢するように構成されており、これにより、前記装置が標的組織に対して適切な位置にあるというフィードバックが提供される、装置。
【請求項2】
前記安定化ピンはそれぞれ、遠位端と近位端を有し、かつ、前記安定化ピンはそれぞれ、前記安定化ピンの遠位端から一定の距離に設けられた安定化ピンストッパを備え、前記安定化ピンストッパは、前記アンカーハウジングの近位端と干渉することによって安定化ピンが予め設定された距離を超えて延びることを防止する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記安定化ピンは放射線不透過性である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記安定化ピンは、前記アンカーハウジングの中心線から遠位側に5°~20°の角度を成して延びるように形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、さらに、
プッシャワイヤの近位端に取り付けられ、ハンドル内を第1の位置と第2の位置との間で直線的に移動するように構成されたプッシャキャリッジと、プッシャキャリッジ内に設けられ、プッシャワイヤの近位端に取り付けられたピン引込器と、を備え、前記ピン引込器は、プッシャキャリッジ内を第1の位置と第2の位置との間で直線的に移動するように構成されており、
第1の位置では、ピン引込器は、プッシャキャリッジ内で最も遠位の位置にあるプッシャキャリッジに対してロックされた位置にあり、第2の位置では、ピン引込器は、プッシャキャリッジ内で最も近位の位置にあるプッシャキャリッジに対してロック解除された位置にあり、
ピン引込器ばねであって、プッシャキャリッジ内に配置され、ピン引込器をピン引込器の第2の位置に向けて常に押し進める力を提供するように配置されている、ピン引込器ばねを備え、
プッシャキャリッジが第1位置にあるとき、ピン引込器は第1位置にあり、プッシャワイヤは引き込み位置にあり、プッシャキャリッジがプッシャワイヤの完全に伸長したアンカー展開位置に対応するプッシャキャリッジの第2位置に到達すると、ピン引込器は第2位置に移行し、それによってプッシャワイヤが完全に伸長したアンカー展開位置から引き込み位置まで引き込まれる、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最小限侵襲性の外科的介入を経皮的に実施するためのシステム及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
三尖弁及び僧帽弁の治療は十分に記録されている。外科的処置は70年以上にわたって存在しており、例えば非特許文献1のような教科書によく記録されている。これらの治療は逆流を低減する上で効果的である一方、麻酔及び外科的介入を必要とする一般には極めて侵襲的な処置である。経皮構造心臓疾患治療の進歩、例えば経カテーテル大動脈弁移植(TAVI)が、これらの疾患の標準治療を大幅に進歩させた。TAVIはこの経皮的処置が外科的介入のための必要性を取り除くのに伴って、急速に標準治療になりつつある。介入経皮アプローチの利点は、循環系を通した心臓へのアクセス、外科的切開、全身麻酔、及びこれに伴う併存疾患の必要性の排除である。具体的には、三尖弁及び僧帽弁の疾患は一般に2つのカテゴリー、すなわち機能的疾患及び変性疾患のうちの一方に含まれる。これらの疾患状態に対処するための効果的な経皮介入処置は今のところ存在しない。例えば、三尖弁及び僧帽弁の疾患の治療は、患者への全身麻酔、胸骨切開又はその他による心臓へのアクセス、心臓内へのカテーテルの挿入、心臓へのバイパス設置、及び外科的アクセスを通して得られる直接的な可視化を必要とする。このようなアクセス及びバイパスからの回復に伴う数多くの併存疾患がある。患者の回復及び長期にわたる効果の改善が十分に記録されているので、疾患の治療に対する経皮アプローチが必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Carpentier「Carpentier’s Reconstructive Valve Surgery(カルペンティエ心臓弁再建外科学)」、Sanders、1957
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施例によれば、経カテーテル三尖弁・僧帽弁介入のためのシステムが提供される。
【発明の効果】
【0005】
本発明の実施態様は、固定点を形成する三尖及び/又は僧帽弁の弁輪に、低質量アンカーを送達し、弁輪の再構成(すなわち輪状形成術)を可能にする経皮デバイスを含む。アンカーは縫合糸又は他の材料によって結合される。これによりアンカーは並置状態になるように引かれ、ロックを利用して固定されることが可能になる。ひとたびアンカーが所定の位置に引張られることにより、構造が逆流の低減及び弁の再構成を可能にすると、アンカーを所定の位置に固定するためにロックが用いられる。
【0006】
組織アンカーを展開するための装置であって、カテーテルの長さを画定する近位端と遠位端とを有するカテーテルチューブであって、前記遠位端が、展開前に組織アンカーを保持するように形成されたアンカーハウジングを含む、カテーテルチューブと、前記カテーテルチューブ内部に位置決めされて前記カテーテルチューブの長さを通って延びるプッシャワイヤであって、前記プッシャワイヤが、前記カテーテルチューブの前記近位端及び前記遠位端に対応する近位端及び遠位端を有する、プッシャワイヤとを含み、前記装置が、前記カテーテルチューブの前記近位端からプッシャワイヤに押圧力を提供するように形成されており、ひいては前記プッシャワイヤを遠位方向に、前記プッシャワイヤの完全伸長アンカー展開位置へ押し退け、これにより、前記組織アンカーを遠位方向に押すことによって、前記組織アンカーをアンカーハウジングから遠位方向に展開する、組織アンカーを展開するための装置が提供される。
【0007】
さらに、本発明の実施態様のさらなる特徴及び態様を添付の図面を参照しながら以下に詳述する。全ての図面は概略的であり、実際の寸法を示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図1C】
図1Cは、本発明の実施態様に基づくアンカーを示す俯瞰図である。
【
図1D】
図1Dは、本発明の実施態様に基づくアンカー及び縫合糸ロックを示す俯瞰図である。
【
図1E】
図1Eは、本発明の実施態様に基づくアンカーを示す俯瞰図である。
【
図1F】
図1Fは、本発明の実施態様に基づくアンカー及び縫合糸ロックを示す俯瞰図である。
【
図2A-2C】
図2A~2Cは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズムの遠位アンカーハウジングの形態を示す図である。
【
図2D-2F】
図2D~2Fは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズムの遠位アンカーハウジングの別の形態を示す図である。
【
図2G-2H】
図2G~2Hは、本発明の実施態様に基づく
図2Aの安定化ピンを、組織との接触前の状態で示す図である。
【
図2I-2J】
図2I~2Jは、本発明の実施態様に基づく
図2Aの安定化ピンを、組織との接触後の状態で示す図である。
【
図3A-3C】
図3A~3Cは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズムにおいて使用するためのアンカーを示す図である。
【
図4A-4C】
図4A~4Cは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズムにおいて使用するための別のアンカーを示す図である。
【
図4D】
図4Dは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズムにおいて使用するための別のアンカーを示す図である。
【
図4E】
図4Eは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズムにおいて使用するための別のアンカーを示す図である。
【
図4F-4G】
図4F~4Gは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズムにおいて使用するための別のアンカーを示す図である。
【
図5A-5B】
図5A~5Bは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズムにおいて使用するための別のアンカーを示す図である。
【
図6A-6C】
図6A~6Cは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズムの遠位アンカーハウジングの形態を示す図である。
【
図6D】
図6Dは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズムと一緒に使用するためのアンカー及び縫合糸を示す図である。
【
図7A-7B】
図7A~7Bは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す図である。
【
図7C-7D】
図7C~7Dは、本発明の実施態様に基づく
図7Aのアンカー展開メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図7E-7F】
図7E~7Fは、本発明の実施態様に基づく
図7Aのアンカー展開メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図8A-8B】
図8A~8Bは、本発明の実施態様に基づく縫合糸ロック展開メカニズムを示す図である。
【
図8C-8D】
図8C~8Dは、本発明の実施態様に基づく
図8Aの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図8E-8F】
図8E~8Fは、本発明の実施態様に基づく
図8Aの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図8G-8H】
図8G~8Hは、本発明の実施態様に基づく
図8Aの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図8I-8J】
図8I~8Jは、本発明の実施態様に基づく
図8Aの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図8K-8L】
図8K~8Lは、本発明の実施態様に基づく
図8Aの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図8M-8N】
図8M~8Nは、本発明の実施態様に基づく
図8Aの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図9A-9B】
図9A~9Bは、本発明の実施態様に基づく縫合糸ロック展開メカニズムを示す図である。
【
図9C-9D】
図9C~9Dは、本発明の実施態様に基づく
図9Aの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図9E-9F】
図9E~9Fは、本発明の実施態様に基づく
図9Aの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図9G-9H】
図9G~9Hは、本発明の実施態様に基づく
図9Aの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図9I-9J】
図9I~9Jは、本発明の実施態様に基づく
図9Aの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図9K-9L】
図9K~9Lは、本発明の実施態様に基づく
図9Aの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図10A】
図10Aは、本発明の実施態様に基づく縫合糸切断メカニズムの別の形態を示す図である。
【
図11A】
図11Aは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す分解図である。
【
図12A】
図12Aは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す分解図である。
【
図13A】
図13Aは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す分解図である。
【
図14A】
図14Aは、本発明の実施態様に基づく縫合糸テンショナを示す図である。
【
図14C】
図14Cは、本発明の実施態様に基づく縫合糸テンショナを示す図である。
【
図14D】
図14Dは、本発明の実施態様に基づく縫合糸テンショナを示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す分解図である。
【
図16A】
図16Aは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図16B】
図16Bは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図16C】
図16Cは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図17A】
図17Aは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図17B】
図17Bは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図17C】
図17Cは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図17D】
図17Dは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図17E】
図17Eは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図17F】
図17Fは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図18A】
図18Aは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図18B】
図18Bは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図18C】
図18Cは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図19A】
図19Aは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図19B】
図19Bは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
【
図20A】
図20Aは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムの遠位ハウジングを示す図である。
【
図20B】
図20Bは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムの遠位ハウジングを示す図である。
【
図20C】
図20Cは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムの遠位ハウジングを示す図である。
【
図20D】
図20Dは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムの遠位ハウジングを示す図である。
【
図20E】
図20Eは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムの遠位ハウジングを示す図である。
【
図20F】
図20Fは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムの遠位ハウジングを示す図である。
【
図20G】
図20Gは、本発明の実施態様に基づく縫合糸ロッキングメカニズムの遠位ハウジングを示す図である。
【
図20H】
図20Hは、本発明の実施態様に基づく縫合糸ロッキングメカニズムの遠位ハウジングを示す図である。
【
図20I】
図20Iは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムの縫合糸ロックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に詳細に示すように、本発明の実施態様は、例えば単純な使用者操作によって外科用アンカーを迅速且つ信頼性高く展開することによって、ヒューマンエラーの可能性を制限する、心臓組織内の信頼性高い効果的な経皮介入を可能にする。いくつかの例では、2つ又は3つ以上のアンカーが組織内へ連続して押し込まれる。これらは1つ又は2つ以上の縫合糸によって互いに結合することができる。1つ又は2つ以上の縫合糸によって結合されたままの状態で、これらのアンカーを、アンカーが組織内へ押し込まれるのを可能にするように連続して駆動し、次いでアンカーを一緒に引張ることにより、罹患組織を並置させる。例えば弁逆流を被る不全心臓弁に適用されるように、心臓弁組織を一緒に引張ることにより、心臓弁を正しい健常動作に修復することができる。
【0010】
図1Aは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズム100を示す図である。
図1Aに示されているように、アンカー展開メカニズム100は、ハンドル110と、リリースボタン111と、セーフティボタン112と、安定化ピン制御ノブ114と、変向ノブ130と、カテーテルチューブ140と、遠位アンカーハウジング150とを含むことができる。
【0011】
図1Bは、
図1Aのアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
図1Bに示されているように、アンカー展開メカニズムは、ポールスプリング101と、ラチェット102と、ポール103と、ラチェットハウジング106と、プッシャワイヤ107と、圧縮ばね121と、プッシャ122とを含んでいてもよい。1実施態様では、ハンドル110内部のエレメントは、遠位アンカーハウジング150内に配置されたアンカーに押圧力を加えるように形成されている。例えば、セーフティボタン112が「オフ」位置に維持されているならば、使用者はリリースボタン111を係合させることによって、圧縮状態にある圧縮ばね121からの押圧力をアンカーへ選択的に移行開始することができる。具体的には、リリースボタン111が係合させられる(例えば押される)と、リリースボタンはプッシャ122のスロットから解離して、圧縮ばね121が弛緩し、押圧力を遠位方向に加えるのを可能にする。1実施態様では、圧縮ばね121の弛緩に由来する押圧力は、ハンドル110内のガイド及びプッシャワイヤ107を介してアンカーに伝達される。別の実施態様では、アンカーに加えられた押圧力は他の電気的、機械的、空気圧的、又は液圧的作業によって加えることができる。例えば、電気的作業を用いて、電気的な線形アクチュエータを介して、電気的な押圧力を生成することができる。さらなる例としては、機械的作業を用いて、モーター付き又は歯車付きアクチュエータを介して機械的押圧力を生成することもできる。さらなる例としては、デバイスのハンドル内に収納された圧縮二酸化炭素(又は類似のガス)カートリッジ、又は流体を介して適用し、そしてカートリッジを選択的に開くことにより、ガス又は流体を円筒形チャンバ内に駆出することによってプッシャワイヤを駆動することもできる。
【0012】
図1Bはさらに、デバイスの遠位端から安定化ピン151(
図2C~2F参照)を展開するための安定化ピン制御ノブ114を示している。安定化ピン制御ノブ114は安定化ピン制御ねじ115にカップリングすることができるので、安定化ピン制御ノブ114を回すことによって安定化ピン制御ねじ115に力を加えることにより、ねじを近位方向又は遠位方向に駆動する。安定化ピン制御ねじ115を遠位方向に動かすことによって、
図2D~2Fに示されているように、デバイスの遠位端を超えて延びるように、安定化ピン151を押すことができる。
【0013】
図1Cは、1実施態様に基づく、緊張エレメント、すなわち縫合糸20を介して結合されたアンカーアレイを示している。1実施態様では、アレイは一次アンカー30と、複数の二次アンカー31とを含む。一次アンカー30は、患者のターゲット組織内へ配置又は固着されたアレイの最初のアンカーであり、縫合糸20の終端部に取り付けられている。二次アンカー31は、続いて患者のターゲット組織内へ固着されるアンカーである。アンカー30及び31はそれぞれ遠位端30d及び31d、並びに遠位端から近位側に延びるそれぞれステム30s及び31sを含む。さらに、二次アンカー31のステムの近位端はアイレット31eを含む。一次アンカー30に結合された終端部を有する縫合糸20は二次アンカー31のアイレット31eを通され、ひいては一次アンカー30の後ろで二次アンカー31を直列に結合する。
【0014】
1実施態様では、一次又は二次アンカー30及び31は、それぞれ複数の波形翼又は鈎30b及び31bをさらに含むことができる。これらの翼又は鈎はそれぞれのアンカーの遠位端30d,31dから近位側且つ半径方向外側に向かって延びており、そして1実施態様では遠位端に対して半径方向に可撓性であるので、鈎30b及び31bはステムに向かって圧縮するか、又は半径方向外側に向かって拡張することができる。さらに、
図1C及び1Dに示された実施例において、一次及び二次アンカー30及び31のそれぞれの遠位端30d,31dは中空である。
【0015】
さらに、図面に示されているように、縫合糸20は一次アンカー30に取り付け、そしてそれぞれのアイレット30e,31eを介して複数の二次アンカー31に結合することができる。実施態様では、アイレット30e,31eは、二次アンカー31が縫合糸20に沿ってスライドするのを可能にする。したがって、
図1Dに示されているように、一次アンカー30及び二次アンカー31がひとたびターゲット組織内へ駆動/固着されると、アンカー、ひいては組織は、縫合糸20を強く引くことによって互いに近接する方向に引き寄せることができる。アンカー30,31、及びアンカーに固着された組織の結果として生じる配置は、縫合糸ロック21によって所定の位置に保持することができる。縫合糸ロック21は縫合糸20上に締め付けられる。縫合糸ロック21の構想及び動作については
図8A~9Lを参照しながら以下に詳述する。
【0016】
1実施態様では、これらのアンカー30及び31は心臓弁輪、例えば三尖弁又は僧帽弁の弁輪、又は引き寄せられる必要のある他の組織の周りに植え込むことができる。したがって、弁輪の周りの適宜の位置にアンカー30及び31を固着させた後、縫合糸20を引いてアンカー30及び31を寄せ集めることにより弁輪組織を再構築することができる。このことは心臓弁逆流に対処する。心臓弁逆流は、時間とともに弁輪が逸脱する結果として弁尖が適正に接合する能力を失うのに伴って発生し得る。弁輪をより密な形態にし、弁尖が適切に接合するのを可能にすることによって、弁構造は最適化され、逆流は最小化される。この処置は、中でも三尖弁の修復、僧帽弁の修復、腱の修復、卵円孔開存の閉鎖、心房中隔欠損の閉鎖、動脈の閉鎖、動脈アクセス部位の閉鎖を含む、種々の修復及び閉鎖の処置を支援する。
【0017】
図1E及び1Fは、縫合糸20を介して結合されたアンカーアレイの別の実施態様を示している。この実施態様では、一次アンカー32及び複数の二次アンカー33は、
図1C及び1Dに示された、それぞれアンカー30及び31の形態と類似している。ただし、ここではアンカー32及び33の遠位端32d及び33dは先端部に向かってテーパされており、中空ではない。アンカー32及び33はまたそれぞれ複数の波形翼又は鈎32b及び33bを含む。これらの翼又は鈎はそれぞれのアンカーの遠位端32d,33dから近位側且つ半径方向外側に向かって延びており、そして1実施態様では遠位端に対して半径方向に可撓性であるので、鈎32b及び33bはステムに向かって圧縮するか、又は半径方向外側に向かって拡張することができる。アンカー32及び33はそれぞれ遠位端32d及び33d、並びに遠位端から近位側に延びるそれぞれステム32s及び33sを含む。さらに、二次アンカー33のステムの近位端はアイレット33eを含む。アイレット33eの目的は、上記二次アンカー31のアイレット31eのものと同じである。
【0018】
図2A~2Cは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズムの遠位アンカーハウジング150の形態を示す図である。
図2Cの縦断面図に示されているように、この実施態様における遠位アンカーハウジング150は1つ又は2つ以上の安定化ピン151を含む。これらの図において、二次アンカー33が展開のために遠位アンカーハウジング150内へローディングされる。遠位アンカーハウジング150内にローディングされた展開位置において、波形鈎33bは、アンカー33のステム33eに対して圧縮された位置にある。
【0019】
図2A~2Cにおいて、安定化ピン151は遠位アンカーハウジング150内部の引き込み位置にある。
図2D~2Fに示されているように、アンカー展開デバイス100は、遠位アンカーハウジング150から安定化ピン151を遠位方向に伸長させるように形成されている。遠位アンカーハウジング150の遠位端をターゲット組織位置の表面に当て付け、そして安定化ピン151を組織内へ展開することにより、組織アンカー30,31,32又は33を展開する前にアンカー展開メカニズム100をターゲット組織の表面により確実に保持することができる。アンカー展開メカニズム100の確実な位置決めは、組織内へのアンカーの正確且つ適切な展開を補助することができる。さらに1実施態様では、安定化ピン151は、心臓の天然弁輪を穿刺するのに十分に鋭利な先端を有するように形成することができる。さらに、安定化ピン151は、
図2Fに示された角度αを成して遠位アンカーハウジング150から出て延びるように形成することができる。角度αは組織の表面に対して直角、鋭角、又は鈍角であることが可能である。いくつかの実施態様ではαは、輪状形成術のような用途のために約5°~20°、好ましくは約13°であり得る。1実施態様では、安定化ピン151はカテーテルチューブ140の変向とは無関係に最大限の設定深さまで組織に入ることができる。遠位端が変向させられるとカテーテル長さが変化するので、このことは必要である。プッシャワイヤにおけるのと同様に、設定深さは安定化ピンの「オーバートラベル(over travel)」を組み込むことによって達成される。オーバートラベルは設定深さよりも長い。この「オーバートラベル」長さは、デバイスの遠位端の変向角度とは無関係に、安定化ピン(又は同様にプッシャワイヤ)の十分な長さを可能にする。
【0020】
図2Fを参照すると、安定化ピンストッパ152が安定化ピン151の先端から固定的な距離Dを置いて安定化ピン151のそれぞれに設けられている。安定化ピンストッパ152は、安定化ピン151の残りの部分よりも大きい直径を有する隆起部又は肥厚部分として形成することができる。安定化ピン151は、安定化ピンストッパ152がアンカーハウジング150の近位面150fに設けられた嵌合ジオメトリと接触するまで自由に移動することができる。これにより、安定化ピン151が、アンカーハウジングの近位端に干渉することにより、予め設定された距離を超えて遠位方向に移動又は伸長するのが防止される。この時点では、安定化ピン151の遠位突出長さは最大限である。上記オーバートラベルは、安定化ピンが伸長しつつあるときに、カテーテルチューブ140が種々の角度を成して変向させられるので必要である。より大きい長さを組み込むことが必要であり、そして安定化ピンストッパ152を含むことが、安定化ピンがカテーテルチューブ変向とは無関係に所期距離を常に移動することを保証する。
【0021】
図2G及び2Hは、1実施態様に基づく安定化ピン151を、組織との接触前の状態で示す図である。具体的には、安定化ピン151は遠位アンカーハウジング150から部分的に延びている状態で示されてはいるものの、しかし遠位アンカーハウジング150は組織とはまだ接触していない。
【0022】
図2I及び2Jは、遠位アンカーハウジング150が所期位置で組織と接触し、安定化ピン151が組織内へ完全に展開された後の、1実施態様に基づく遠位アンカーハウジング150の配置状態を固定する様子を示している。具体的には、
図2Jの断面図は、組織内部に埋め込まれた安定化ピン151を示している。
【0023】
1実施態様では、安定化ピン151をセンサとして使用することにより、アンカー展開メカニズムがアンカーを展開させるためのターゲット組織部位に適切な位置で当て付けられたときにそれを見極めることができる。一例としては、
図2G及び2Hで示されているように安定化ピン151が遠位アンカーハウジング150から部分的に延びている状態で、安定化ピン151を電気的に付勢することができるので、遠位アンカーハウジング150の遠位端が組織に押し付けられるか又は組織内へ押し込まれると、電流は組織を通る安定化ピン151の間を通過する。安定化ピン151が組織と接触すると、組織を通る安定化ピン151の間で閉回路が達成される。回路が閉じられると、安定化ピン151間のインピーダンスを測定することによって、遠位アンカーハウジング150が組織と接触していることを見極めることができる。接触が検出された後、アンカー33を次いで組織内へ展開することができる。
【0024】
いくつかの実施態様では、安定化ピン151を使用して種々のインピーダンスレベルを検出し、これにより、遭遇する組織又は流体のタイプの間、例えば血液、組織、右冠状動脈、以前にアブレート又は損傷された組織、他の動脈、又は適切なアンカー展開又は患者の転帰を導くことができない他の構造の間を識別することができる。例えば、安定化ピン151は、安定化ピンが遭遇する組織又は流体の電気的なインピーダンスを検出するように形成することができる。安定化ピン間の組織又は流体の存在は回路の形態を形成することができ、ピンに電圧を印加することができ、そして印加された電圧に対するその回路の抵抗を電気的なフィードバックシステム内で測定することができる。インピーダンスレベルが、例えば健常組織深さに相当する所定のレベルと一致し、血液又は不十分な組織深さに相当することが知られているレベルとは一致しないことが検出される場合、安定化ピンが十分な組織接触を形成していると想定することができる。検出されたインピーダンスレベルは、安定化ピンが十分な組織深さに達したという指示を含めて、外科用デバイス内に一体化された、又はこれと通信するユーザーインターフェイス上又は他のディスプレイ上に示すことができる。例えば、ディスプレイは「十分な組織深さ」、「不十分な組織深さ」、「組織の接触」、「組織の接触なし」、「損傷した組織」、「展開部位で検出された動脈」、又は検出されたインピーダンスによって見極められた他の情報を示すことができる。安定化ピン151の電気的な特徴を可能にするために、アンカー展開メカニズム100は、当業者によく知られた1つ又は2つ以上の適宜の電気的な設備に動作接続される。
【0025】
さらに、1実施態様では、安定化ピン151は放射線不透過性であってよく、これにより安定化ピン151が蛍光透視法のもとで容易に識別可能になる。安定化ピン151は外科用デバイスの遠位端部の近くに位置決めされており、このように、蛍光透視法下での安定化ピンの可視性は、外科用デバイスがアンカーを展開するための部位に向かって操作されるのに伴って、遠位端の位置を決定する上で有用である。このように、外科用デバイスによって係合されるべきではない任意の重要な構造又は組織に対する影響を回避することが有用である。
【0026】
図3A~3Cは、1実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズム100において使用するための一次アンカー32を示す図である。1実施態様では、一次アンカー32は、遠位端32dと、遠位端から近位側に延びるステム32sとを含む。さらに、アンカー32はまた複数の波形翼又は鈎32bを含むことができる。これらの翼又は鈎はアンカー32の遠位端から近位側且つ半径方向外側に向かって延びており、そして1実施態様では遠位端32dに対して半径方向に可撓性であるので、翼又は鈎32bはステム32sに向かって圧縮するか、又は半径方向外側に向かって拡張することができる。さらに、実施態様では、アンカー32はアンカーカップ32cと、メッシュ32mと、アンカークリンプバンド20cとを含むことができる。
【0027】
1実施態様では、アンカーカップ32cはその遠位端では閉じており、そしてその近位端では開いており、そしてアンカー32の遠位端32d内部に位置決めされてよい。さらに、アンカーカップ32cは、展開メカニズム100のプッシャワイヤ107をその開いた近位端を介して受容するように形成されている。アンカーカップ32cは、アンカーの展開中にプッシャワイヤ107によって損傷されることからアンカー32を保護するように設けられている。アンカーカップ32cは好ましくは、その目的のために強い材料、例えばステンレス鋼から形成される。アンカーを組織内へ素早く押し込むか又は打ち込むためにプッシャワイヤ107をトリガすることによって、アンカー展開メカニズム100を使用して、組織アンカー30,31,32又は33が組織内へ展開される。プッシャワイヤ107はステンレス鋼から形成されていてよく、そして安価0は通常プラスチック又はポリマー材料から形成されている。したがって、プッシャワイヤ107は、展開中にアンカー32を損傷するおそれがある。アンカーカップ32cはまた、プッシャワイヤ107がアンカー32内へ埋め込まれるのを防止し、場合によっては、アンカー展開後にプッシャワイヤ107の引込中に組織からアンカーが引き出されるのを防止する。1実施態様では、金属形態で提供されるアンカーカップ32cは、別の複合的な有益な特徴を加味する。なぜならば金属は放射線不透過性であり、これにより、アンカー32が蛍光透視術のもとで容易に識別可能になるからである。
【0028】
1実施態様では、メッシュ32mをアンカー32の翼又は鈎32bの間に配置することにより、鈎32bの間の空間の遠位部分を占有して止血を維持することができる。具体的にはメッシュ32mは、アンカー32の展開によって場合によっては形成される組織内の穴を通る血流を最小化する。加えて、メッシュ32mは凝集を促進し、アンカー32が組織壁を破損する形で展開される場合の不都合なリスクを低減することができる。1実施態様では、メッシュ32mは1平方メートル当たり17グラム(gsm)のポリプロピレンから成っていてよい。
【0029】
1実施態様では、アンカークリンプバンド20cはアンカーステム32sの近位端に配置されている。アンカー32は本開示に基づく一次アンカーの一例であるので、このアンカーは縫合糸20の遠位端にスライド不能に貼付される。縫合糸20の遠位端は、クリンプバンド20cによって、アンカー32のステム32sに固定的に貼付することができる。クリンプバンドは縫合糸20の遠位端の周りに密に閉じることができる。
【0030】
図4A~4Cは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズム100と併せて使用するための組織アンカー70の別の例を示している。
図4Aはアンカー70の斜視図である。
図4Bはアンカー70の側面図である。
図4Cはアンカー70の上面図である。1実施態様では、アンカー70は遠位端70dと、遠位端から近位側に延びるステム70sとを含む。さらに、アンカー70はまた複数の波形翼又は鈎70bを含むことができる。これらの翼又は鈎はアンカー70の遠位端から近位側且つ半径方向外側に向かって延びており、そして1実施態様では遠位端70dに対して半径方向に可撓性であるので、翼又は鈎70bはステムに向かって圧縮するか、又は半径方向外側に向かって拡張することができる。
【0031】
1実施態様では、アンカー70は軟質の従動性材料、例えばポリプロピレンから成っていてよい。さらに、1実施態様では、アンカー70はステム挿入体71を含むこともできる。ステム挿入体71はアンカーカップ部分70cをその遠位端に含み、そして複数の窓部72を近位側に含む。1実施態様では、アンカーカップ70cの目的は、組織アンカー32を参照して上述したアンカーカップ32cと同じである。アンカーカップ70cは、アンカー展開メカニズム100のプッシャワイヤ107のようなプッシャワイヤを、その開いた近位端を介して受容するように形成されている。
【0032】
アンカーカップ部分70cを含むステム挿入体71は好ましくは強い材料、例えばステンレス鋼から形成される。ステム挿入体71は、アンカー70の残りを形成するポリプロピレンによってオーバーモールディングすることができる。
【0033】
さらに、1実施態様では、窓部72は植え込み後の組織内方成長を容易にすることができ、これによりアンカー70の耐久性を向上させる。窓部の少なくとも1つ、例えば符号72eとして示された窓部を使用して、アンカー実施態様31及び33におけるアイレット31e及び33eと同様に、縫合糸20をこれに通して供給することができる。いくつかの実施態様では、ステム挿入体の窓部72をアンカーボディ材料(例えばポリプロピレン)でオーバーモールディングすることができる。ステム挿入体71の特定の形状に応じて、ステム挿入体71のより多くの部分をオーバーモールディングすると、組織内方成長を容易にする能力をなおも維持しながら、ステム挿入体71のアンカーボディからのあらゆる望まれない分離の防止を助けることができる。例えば、
図4Cに示された例では、符号72eで示されたもの以外の窓部72がポリプロピレンでオーバーモールディングされている。
【0034】
図4Dは、ステム挿入体71の部分として窓部72を有しない、アンカー70の別の実施態様を示している。さらに、
図4Eに示されているように、アンカー70全体、又はアンカーの何らかの部分にフィブリン又は他の生物学的被膜73で外套を施すことにより、組織内方成長を促進することができる。
【0035】
図4F~4Gは、ステム挿入体71の部分として窓部72を有しない、アンカー70の別の実施態様を示しており、そしてアンカーカップ70cの別の実施態様を含む。この実施態様では、ステム挿入体71のアンカーカップは、アンカー70の翼又は鈎と整合したタブ74から成っている。前述のように、ステム挿入体71は、金属、例えばステンレス鋼から形成されている。
図4Gでは、ポリプロピレンから形成されたアンカー70のボディは、タブ74を図示するために半透明にしてある。
【0036】
加えて、アンカーの実施態様のいずれにおいても、ステム挿入体71は金属から成っていてよく、これによりある程度の金属剛性をアンカー70に提供する。さらに、ステム挿入体71は放射線不透過性であってもよく、これによりステム挿入体71が蛍光透視法のもとで容易に識別可能になる。
【0037】
図5A~5Bは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズム100において使用するための別のアンカー80を示す図である。
図5A及び5Bは、展開処置中のある時点におけるアンカー80を示している。アンカー80は部分的に組織内に貫通している。
図5Aは、アンカー80の近位端から見た図であり、そして
図5Bは、
図5Aの断面線E-Eに沿って示す縦断面図である。両方の図において、可撓性の波形鈎80bは、アンカーが組織内へ進むのに伴って半径方向内側へステム80sに向かって圧潰する。
図5Aのアンカー80の周りの円は、アンカーを取り囲む組織領域を示す。1実施態様では、アンカー80は遠位端80dと、遠位端80dから近位側に延びるステム80sとを含む。1実施態様では、アンカー80はまた複数の波形翼又は鈎80bを含むことができる。これらの翼又は鈎はアンカー80の遠位端80dから近位側且つ半径方向外側に向かって延びており、そして1実施態様では遠位端に対して半径方向に可撓性であるので、翼又は鈎80bはステム80sに向かって圧縮するか、又は半径方向外側に向かって拡張することができる(傘のキャノピーと同様)。1実施態様では、アンカー80の遠位端80dは中空である。さらに、1実施態様では、ステム80sは、アンカー80の遠位端80d及びアンカー80の翼又は鈎80bに対して可撓性である。ステム80cは、ステムの近位端から見て凹状プロフィールを含むこともできる。この凹状プロフィールは、プッシャワイヤが凹状部分内に滑り込み、アンカーの展開中にアンカーカップ80cへ向かって案内されるのを可能にする。この凹状プロフィールは
図3Cのアンカー実施態様32において、よりよく見ることができる。アンカー32はステム32sを有している。ステム32sはほぼ管状の構造であるが、しかし図示のようにその長さに沿って開いている。したがって、ステム32sは、凹状プロフィールと呼ばれるトラフ様構造を形成している。さらに、アンカー80は二次アンカーの例であるので、ステムの近位端はまた、縫合糸20を通すことができるアイレット80eを含む。
【0038】
1実施態様では、アンカー80は3つの翼又は鈎80bを含んでいる。これらの翼又は鈎80bは、図示されているように組織に入ると圧潰するように形成されている。具体的には3つの翼又は鈎80bは、互いに等しい距離を置いていてよく、これにより翼又は鈎80bの間に半径方向の対称性を提供する。半径方向の対称性は、アンカー80が直線経路で組織内へ前進するのを可能にする。
図5Bに示されていはいないが、アンカー展開メカニズム100が組織内へアンカー80を展開するために使用される場合には、プッシャワイヤ107は、アンカーカップ80c内に位置決めされ、アンカー80を遠位方向に押す。
【0039】
図5C~5Eは、別の実施態様に基づく
図5A~5Bのアンカー80を示す。
図5Cは、完全展開アンカー80の側面図である。
図5Dは完全展開アンカー80を近位端から見た図である。
図5Eは、完全展開アンカー80を
図5Dの断面線A-Aに沿って示す縦断面図である。具体的には、
図5C-5Eは、アンカー80を組織内へ完全に埋め込まれた後の状態で示している。1実施態様では、アンカー80が組織内の完全座着位置に入った後、緊張を縫合糸20(
図5A~5Eには示されていない)に加えることにより、アンカーアレイ(すなわち1つの一次アンカー、及びこれに続いて展開された複数の二次アンカー80)のアレイを縫合糸20によって一緒に引張ると、縫合糸20は所定量の引張力を近位方向に加えることになる。この近位引張作用により、3つの翼又は鈎80bはこれに反応して開き、そして
図5C~5Eに示されているように、組織80’の概ね円錐形の体積を鈎80bから近位方向に捕捉する。このことは、組織の体積を最大化し、これによりアンカー80の引き抜きに抵抗する。したがって、組織のより大きい質量にわたって応力を分配することができる。
【0040】
図6A~6Cは、本発明の実施態様に基づく
図1Aのアンカー展開メカニズム100の遠位アンカーハウジング150を示す。二次アンカー、例えば31,33又は80が外科的部位で展開できるようになる前に、一次アンカーが外科的部位で展開された後、このような二次アンカーはまず遠位アンカーハウジング150内へローディングされる必要があり、そしてすでに展開された一次アンカーに取り付けられた縫合糸20の自由端は、二次アンカー31,33,80のそれぞれアイレット31e,33e,又は80eに通される。次いで、縫合糸20の自由端は、ハンドル110まで又はハンドルの近くまで、アンカー展開メカニズム100のカテーテルチューブ140の長さに沿って通される必要がある。しかしながら、縫合糸20は、糸と同様にだらりと垂れており、このような糸通し作業は不可能とは言わないまでも困難である。本開示の1実施態様によれば、アンカー展開メカニズム100は、スネア170を有するように形成することにより、縫合糸20を再捕捉し、これをカテーテルチューブ140に通すことができる。
【0041】
例えば、本開示の外科的処置によれば、一次アンカー30又は32が外科的部位の組織内に展開された後、縫合糸20はその一次アンカーに結合されたままであり、そしてアンカー展開メカニズム100の遠位アンカーハウジング150に二次アンカーをローディングし、二次アンカーのアイレット31e,33e,又は80eに縫合糸20の自由端を通し、そして次いで
図6A~6Cに示されたスネア170のループに縫合糸20の自由端を通すことによって、二次アンカー31,33又は80を同じ外科的部位に当てつけることができる。
【0042】
次に、ローディングされた二次アンカーを縫合糸20に沿ってスライドすることによって、アンカー展開メカニズム100の遠位アンカーハウジング150の端部を外科的部位に経皮挿入する。
図6Cの遠位アンカーハウジング150の縦断面に見られるように、スネア170は、二次アンカー31,33,又は80のアイレット31e,33e,又は80に隣接して位置決めされている。スネア170は管腔L内部に位置決めされている。管腔は、遠位アンカーハウジング150からカテーテルチューブ140を通ってハンドル110へ延びている。したがって、スネア170のループによって今や捕捉された縫合糸20は、デバイスのハンドル内に配置されたスネアグリップ(図示せず)を介して、スネア170を管腔Lを通して引張ってデバイスの近位方向に縫合糸20を引き寄せることによって、カテーテルチューブ140の長さに沿って通すことができる。縫合糸20が近位ハンドルに引き戻されたら、二次アンカー31,33,又は80を一次アンカーと同様に展開することができる。同様に、このプロセスを繰り返すことによって、付加的な二次アンカーを展開することができる。
【0043】
加えて、同様の手順ステップ、すなわち、(1)縫合糸20の自由端を縫合糸ロッキングデバイス及び縫合糸切断デバイスに通し、(2)カテーテルチューブ140の遠位端に縫合糸ロッキングデバイス及び縫合糸切断デバイスを取り付け、(3)縫合糸20の自由端をスネア170に通し、(4)スネア170を管腔Lを通して引張ることによって、カテーテルチューブ140を通して縫合糸20を再捕捉し、次いで(5)カテーテルチューブ140を外科的部位に経皮的に前進させることによって、縫合糸ロッキングデバイス又は縫合糸切断デバイスを外科的部位に展開する、ステップによって、下記の縫合糸ロッキングデバイス及び縫合糸切断デバイスを同じ外科的部位に展開することもできる。いくつかの実施態様では、上記工程(2)及び(3)は逆の順序で実施されてよい。具体的には、カテーテルチューブ140内部の縫合糸20のこのようなローディングによって、一次アンカーに取り付けたものと同じ縫合糸に二次アンカーを取り付けたときに高められた摩擦制御、及び正確な縫合糸管理が可能になる。さらに、スネア170は、強度及び精度の改善のためにニチノールワイヤから成っていてよい。
【0044】
或いは、1実施態様によれば、スネア170を使用する代わりに、縫合糸20の自由端に取り付けられたワイヤ180を使用して、二次アンカーのローディング処置中、縫合糸ロッキングデバイスのローディング処置中、又は縫合糸切断デバイスのローディング処置中に、縫合糸29をカテーテルチューブ140に再ローディングするのを容易にすることができる。
図6Dは、一次アンカー31に結合された縫合糸20を示している。
図3Aに示されているように、縫合糸20の遠位端はクリンプバンド20cによってアンカー31に固定的に取り付けることができる。この実施態様では、縫合糸20の自由端はワイヤ180に結合されてよい。ワイヤ180は、ニチノール又はステンレス鋼を含む、縫合糸20よりも高い剛性の任意の材料から形成されてよい。ワイヤ180は、例えばワイヤ縫合糸クリンプバンド190によって、縫合糸20にクリンプされるか、又は他の形で取り付けられてよい。この実施態様では、一次アンカー31が外科的部位内へ展開された後、縫合糸20の自由端を、二次アンカー32のアイレット32e及びスネア170の両方に通す代わりに、縫合糸20の自由端に結合されたワイヤ180をアンカーアイレット32eに通し、次いで
図6Cに示された管腔L内に入れることができる。管腔はカテーテルの遠位端の遠位アンカーハウジング150内に設けられている。あるいは、カテーテルチューブ140は、遠位端に対して近位側の位置に配置されたカテーテルの側方に穴を含んでいてよい。ワイヤ180の剛性は、ワイヤが、カテーテルチューブ140の遠位端内に容易に入れられ、カテーテルの長さの少なくともある程度の部分を通り、そして側方穴を通って出るのを可能にする。ワイヤ180は、縫合糸20をアンカーアイレットを通してカテーテルの遠位端内に引き込むように操作することができるので、縫合糸20の自由端はカテーテルの穴に引き通すことができる。カテーテルの穴は、遠位端に対して近位側の位置に、遠位端から十分に離れて配置することができるので、カテーテルの遠位端が外科部位に戻されると、縫合糸20の自由端は外科処置中に操作し得る外科的部位の十分に外側に留まる。1実施態様では、穴は遠位端から20センチメートルのところに配置されている。このように、二次アンカーを一次アンカーと同じ縫合糸上で展開することができる。具体的には、この実施態様は、近位ハンドルへ全距離にわたって縫合糸を引くことなしに縫合糸20の固定を許し、縫合糸をより短くすることができ、そして展開されたアンカーが組織の損傷を引き起こすおそれのある不要な近位側の力を縫合糸が被るという懸念を限定的なものにする。
【0045】
図7A~7Bは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズム200を示す図である。
図7Bは、
図7Aの領域Bとして示されたアンカー展開メカニズム200の遠位端を示す詳細図である。アンカー展開メカニズム200のハンドル部分内のメカニズムの構造は、上述のアンカー展開メカニズム100のものと類似している。図示のように、アンカー展開デバイス200は、圧縮ばね221と、プッシャキャリッジ201と、セーフティボタン202と、ピン引込器203と、ピン引込器ばね204と、ポール205と、リリースボタン206と、プッシャワイヤ207と、カテーテルチューブ210と、遠位アンカーハウジング220とを含むことができる。1実施態様では、プッシャワイヤ207はストッパ207aを含むことができる。さらに、遠位アンカーハウジング220はアンカー支持チューブ221と、アンカー80とを含むことができる。1実施態様では、アンカー展開デバイス200内部のエレメントは、遠位アンカーハウジング220内に配置されたアンカー80に押圧力を加えるように形成されている。例えば、セーフティボタン202が「オフ」位置に維持されると、使用者は、リリースボタン206を係合させることによって、プッシャキャリッジ201からの押圧力をプッシャワイヤ207を介して、アンカー80へ選択的に移行することができる。しかしながら、図示のように、セーフティボタン202は「オン」位置に維持されており、これにより、使用者がリリースボタンを係合させること、ひいてはアンカー80の展開を防止する。さらに、アンカー展開デバイス200は、例えばアンカー展開直後に、ピン引込器203及び対応するピン引込器ばね204を使用して、プッシャワイヤ207をアンカー展開デバイス200内へ引き戻すように形成することができる。具体的には、ピン引込器203はプッシャワイヤ207を、ピン引込器203の位置を維持するポール205がトリップされた後に引き込むことができる。このようなものとして、ポール205がトリップされなければ、ピン引込器203はポール205と結合したままとなり、したがってプッシャワイヤ207を後退させることはない。
【0046】
1実施態様では、カテーテルチューブ210はステアリング可能であるので、カテーテルチューブ210は、用途のニーズに合うように関節を有するか又は曲げられてよい。カテーテルチューブ210がその曲げ形態を成すときには、プッシャワイヤ(例えばワイヤ207)が、真直な曲げられていないカテーテル内にあるのと同じ相対位置でカテーテルの遠位端と合致しないことがある。したがって、ステアリング可能なカテーテルの形態又は形状とは無関係に、カテーテルの遠位端からアンカーを駆動するために、プッシャワイヤ207に均一な距離を提供することが必要である。この問題を解決するために、プッシャワイヤ207の遠位端から所定の距離を置いて、プッシャワイヤ207にカラー又はフランジ、すなわちストッパ207aを加えることができる。1実施態様では、カラーはプッシャワイヤから半径方向に延びており、遠位アンカーハウジング220の近位面の対応ジオメトリに当接し、プッシャワイヤ207の遠位方向運動をストップさせるのに十分に大きい直径を形成し、これによりプッシャワイヤ207が、所定の距離よりも大きくアンカーハウジング220の遠位端を超えて延びるのを防ぐ。1実施態様では、プッシャワイヤ207は、ステアリング可能なカテーテルチューブ210の位置とは無関係に、この所定の距離まで押される。
【0047】
例えば、プッシャキャリッジ201が23mm移動し、そしてアンカー80が16mm以下だけ移動を許される場合、カテーテルチューブ210が真直ぐなときにはプッシャワイヤ207は、アンカー80との接触位置(すなわちアンカー80のアンカーカップ80cとの接触位置)から6mm後退させられる。カテーテルチューブ210が90度まで変向させられるのにともなって、カテーテルチューブ210の全長はほぼ6mmだけ短くなる。このことは、カテーテルチューブ210が真直ぐなときのプッシャワイヤ207の遠位端とアンカー80との間のギャップによって補償される。1実施態様では、プッシャワイヤ207上のストッパ207aは、アンカー80が16mmだけ移動した後、遠位アンカーハウジング220の近位面と接触する。
【0048】
図7C~7Dは、1実施態様に基づく
図7Aに示されたアンカー展開メカニズム200の別の形態を示す図である。具体的には、
図7Cは、セーフティボタン202を「オフ」位置で有するアンカー展開デバイス200を示している。「オフ」位置であることにより、使用者はリリースボタン206を係合させることによって、プッシャキャリッジ201からの押圧力をアンカー80へ移行することができる。具体的には、リリースボタン206が係合させられる(例えば押される)と、リリースボタン206はプッシャキャリッジ201の切り込みから解離し、これにより、圧縮ばね221がプッシャキャリッジ201を遠位方向に押すのを可能にする。そしてこれにより、アンカー80に遠位方向に押圧力が加えられる。1実施態様では、プッシャキャリッジ201からの押圧力は、プッシャワイヤ207を介してアンカー80に伝達される。別の実施態様では、アンカーに加えられた押圧力は他の電気的、機械的、空気圧的、又は液圧的作業によって加えることができる。さらに、
図7Dに示されているように、プッシャワイヤ207上のストッパ207aが遠位アンカーハウジング220の近位面と接触するまで、アンカー80は遠位方向に押される。加えて、アンカー80の展開後、ポール205はピン208と接触することができる。このことは中間段階である。それというのも、この図に示されたプッシャキャリッジ201が完全移動距離には達していないからである。
【0049】
図7E~7Fは、本発明の実施態様に基づく
図7Aのアンカー展開メカニズムの別の形態を示している。具体的には、
図7Eは、プッシャキャリッジ201の完全移動後のアンカー展開デバイス200と、ピン208によってトリップされたポール205とを示している。1実施態様において、引込ボタン(図示せず)が係合させられた(例えば押された)後に、ピン208はポール205をトリップさせることができる。さらに、図示のように、ポール205がトリップされたあとに、ピン引込器203はポール205のグリップから解放される。このことは、対応するピン引込器ばね204を近位方向に伸長させる。1実施態様では、ピン引込器ばね204が近位方向に伸長することにより、ピン引込器203も近位方向に動かされる。さらに、プッシャワイヤ407の近位端がピン引込器402の近位端に取り付けられているので、プッシャワイヤ407は近位方向に引張られる(すなわち引き込まれる)。1実施態様では、アンカー80が組織内へ展開されたすぐ後に、プッシャワイヤ207を引き込むことができる。このようなものとして、プッシャワイヤ207はアンカー80なしに引き込まれる。
【0050】
図8A~8Bは、本発明の1実施態様に基づく縫合糸ロッキングメカニズムを示している。図示のように、縫合糸ロッキングデバイス300は、リリース軸301と、展開ばね302と、ばねスリーブ303と、段状ワッシャ304と、セーフティボタン305と、プッシャ306と、リリースボタン307と、プッシャチューブ308と、縫合糸309と、カテーテルチューブ310と、遠位ハウジング320と、縫合糸ロッキングハウジング330と、縫合糸ロッキングタブ331とを含むことができる。1実施態様では、遠位ハウジング320は、駆動軸321を含むことができる。1実施態様では、縫合糸ロッキングハウジング330及び縫合糸ロッキングタブ331は、遠位ハウジング320から取り外すことができる。さらに、1実施態様では、縫合糸309は、縫合糸ロッキングハウジング330を所定の角度(例えば20°~35°)で通過することができる。さらに、縫合糸ロッキングタブ331は縫合糸ロッキングハウジング330内に挿入することもできる。1実施態様では、縫合糸ロッキングタブ331が縫合糸ロッキングハウジング330内へ挿入された後、縫合糸ロッキングハウジング330内部のジオメトリは、縫合糸309に強制的に一連の急カーブを形成させる。1実施態様では、縫合糸ロッキングタブ331の直線運動は縫合糸309の急カーブを発生させる。このことは、ロックをロックするために小さな力を必要とするが、しかし高いスリップ力を発生させ、ひいては、縫合糸ロッキングハウジング330及び縫合糸ロッキングタブ331のロックされた集成体から縫合糸309が滑り出るのを防止する。上記圧縮嵌めに加えて、縫合糸ロッキングタブ及び縫合糸ロッキングハウジングの相応の機械的フィーチャが構成部分を一緒に固定する(
図8K~8L参照)。
【0051】
1実施態様では、例えば縫合糸ロックの展開中にプッシャチューブ308が遠位方向に解放された後、縫合糸ロッキングタブ331を縫合糸ロッキングハウジング330に取り付けることができる。1実施態様では、展開ばね302と、ばねスリーブ303と、段状ワッシャ304と、セーフティボタン305と、プッシャ306と、リリースボタン307と、プッシャチューブ308と、カテーテルチューブ310とを縫合糸ロッキングデバイス300内で相互作用させることを介して、縫合糸ロックを展開することができる。例えば、セーフティボタン305が「オフ」位置に維持されていることを想定すると、使用者はリリースボタン307を係合させることによって、圧縮ばね302からの押圧力を縫合糸ロッキングタブ331へ選択的に移行することができる。具体的には、リリースボタン307が係合させられる(例えば押される)と、圧縮ばねである展開ばね302が弛緩し、ひいては押圧力を遠位方向に加える。1実施態様では、展開ばね302の弛緩から生じる押圧力は、カテーテルチューブ310を通るプッシャチューブ308を介して縫合糸ロックに伝達される。さらに、図示のように、縫合糸ロックが展開された後、縫合糸ロッキングタブ331を縫合糸ロッキングハウジング330に取り付けることにより、縫合糸309のクリンプを開始することができる。
【0052】
図8C~8Dは、本発明の実施態様に基づく
図8A~8Bの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示している。具体的には、
図8Cは、縫合糸309が縫合糸ロッキングタブ331を縫合糸ロッキングハウジング330に取り付けることによりクリンプされるのにともなう、縫合糸ロック展開デバイス300を示している。
【0053】
図8E~8Fは、本発明の実施態様に基づく
図8A~8Bの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示す図である。具体的には、
図8E~8Fは、縫合糸ロッキングハウジング330及び縫合糸ロッキングタブ331を、遠位ハウジング320から取り外された状態で示している。1実施態様では、
図8G,8H,8I及び8Jに示されているように、リリース軸301を縫合糸ロック展開デバイス300のハンドルの近位端から回転させることにより、縫合糸ロッキングハウジング330及び縫合糸ロッキングタブ331を遠位ハウジング320から取り外すことができる。1実施態様では、
図8G~8Hは、縫合糸ロッキングハウジング330及び縫合糸ロッキングタブ331の集成体を、リリース軸301を回転させる前の状態で示している。
図8I~8Jは、縫合糸ロッキングハウジング330及び縫合糸ロッキングタブ331の集成体を、矢印Rによって示された方向にリリース軸301を回転させた後の状態で示している。1実施態様では、縫合糸ロッキングハウジング330及び縫合糸ロッキングタブ331を45°回転させた後、縫合糸ロッキングハウジング330及び縫合糸ロッキングタブ331の集成体を遠位ハウジング320から取り外すことができる。1実施態様では、リリース軸301は
図8G,8H,8I及び8Jに示されているように、逆時計回り方向に回転させることができる。
図8G及びIは、縫合糸ロック展開デバイス300の遠位端から見た端面図である。
図8H及び8Jは、縫合糸ロック展開デバイス300の近位端から見た端面図である。
【0054】
図8K,8L,8M及び8Nは、縫合糸ロッキングハウジング330及び縫合糸ロッキングタブ331を示す斜視図及び側面図である。
図8K~8Lは、縫合糸ロッキングハウジング330及び縫合糸ロッキングタブ331を、
図8A~8Bに相当するアンロック状態で示しており、そして
図8M~8Nは、縫合糸ロッキングハウジング330及び縫合糸ロッキングタブ331を、
図8C,8D,8E及び8Fに相当するロック状態で示している。1実施態様では、縫合糸ロッキングハウジング330と縫合糸ロッキングタブ331とは、レセプタクル332及び保持フィーチャ333によって一緒に保持される。保持フィーチャ333はタブ又は縫合糸ロッキングタブ331から延びる他の延長部であってよく、このタブは、縫合糸ロッキングタブ331が縫合糸ロッキングハウジング330内に挿入されるのに伴って圧縮されてよく、そして保持フィーチャがレセプタクル332に達すると拡張して、縫合糸ロッキングハウジング330と縫合糸ロッキングタブ331との分離に抵抗することができる。或いは、保持フィーチャ333は縫合糸ロッキングハウジング330上に位置していてよく、そしてレセプタクル332は縫合糸ロッキングタブ331上に位置していてよい。縫合糸ロッキングハウジング330から縫合糸ロッキングタブ331を解放又は分離するために、保持フィーチャはレセプタクル332からスライドするように圧縮されてよい。
【0055】
図9A~9Bは、本発明の実施態様に基づく縫合糸ロック展開メカニズムを示す図である。図示のように、縫合糸ロッキングメカニズム400は、セーフティボタン401と、ピン引込器402と、プッシャ403と、ピン引込器ばね404と、ポール405と、リリースボタン406と、プッシャワイヤ407と、縫合糸409と、カテーテルチューブ410と、遠位ハウジング420と、縫合糸ロッキングハウジング430と、縫合糸ロッキングタブ431と、アクチュエータ432とを含むことができる。1実施態様では、遠位ハウジング420は、支持チューブ421と、切断ブロック422と、縫合糸切断制御ワイヤ423と、縫合糸ロック制御ワイヤ424と、縫合糸切刃425とを含む。
【0056】
1実施態様では、縫合糸ロッキングメカニズム400内部のエレメントは、アンカー(図示せず)の組織内への展開後に縫合糸をロックして保持するように形成されている。セーフティボタン401が「オフ」位置に維持されている場合、使用者はリリースボタン406を係合させることによって、圧縮ばね403からの押圧力を、プッシャワイヤ407を介して、縫合糸ロッキングタブ431へ選択的に移行することができる。しかしながら、図示のように、セーフティボタン401は「オン」位置に維持されており、これにより、使用者がリリースボタン406を係合させること、ひいては縫合糸ロッキングタブ431の展開を防止する。さらに、1実施態様では、ピン引込器402及び対応するピン引込器ばね404を使用して、プッシャワイヤ407を縫合糸ロッキングメカニズム400内へ引き戻すことができる。具体的には、ピン引込器402はプッシャワイヤ407を、ピン引込器402の位置を維持するポール405がトリップされた後に引き込むことができる。このようなものとして、ポール405がトリップされなければ、ピン引込器402はポール405と結合したままとなり、したがってプッシャワイヤ407を後退させることはない。
【0057】
さらに、1実施態様では、縫合糸ロッキングハウジング430及び縫合糸ロッキングタブ431は、遠位ハウジング420から取り外すことができる。1実施態様では、縫合糸409は、縫合糸ロッキングハウジング430を所定の角度(例えば20°~35°)で通過することができる。さらに、縫合糸ロッキングタブ431は縫合糸ロッキングハウジング430内に挿入することもできる。1実施態様では、縫合糸ロッキングタブ431が縫合糸ロッキングハウジング430内へ挿入された後、縫合糸ロッキングハウジング430内部のジオメトリは、縫合糸409に強制的に一連の急カーブを形成させる。1実施態様では、縫合糸ロッキングハウジング430の直線運動は縫合糸409の急カーブを発生させる。このことは、ロックするために小さな力を必要とするが、しかし高いスリップ力を発生させる。
【0058】
図9C~9Dは、本発明の実施態様に基づく
図9A~9Bの縫合糸ロッキングメカニズムの別の形態を示す図である。具体的には、
図9C~9Dは、セーフティボタン401を「オフ」位置で有する縫合糸ロッキングメカニズム400を示している。セーフティボタン401が「オフ」位置にあることにより、使用者はリリースボタン406を係合させることによって、プッシャ403からの押圧力を縫合糸ロッキングタブ431へ移行することができる。具体的には、リリースボタン406が係合させられる(例えば押される)と、リリースボタン406はプッシャ403の切り込みから解離し、これにより、プッシャ403が押圧力を遠位方向に加えることが可能になる。1実施態様では、プッシャ403からの押圧力は、プッシャワイヤ407を介してアンカーに伝達される。別の実施態様では、縫合糸ロッキングタブ431に加えられた押圧力は他の電気的、機械的、空気圧的、又は液圧的作業によって加えることができる。さらに、縫合糸ロッキングタブ431の展開後、ポール405はピン408と接触することができる。さらに、図示のように、縫合糸ロッキングタブ431が展開された後、縫合糸ロッキングハウジング430は、縫合糸409のクリンプを開始することができる。この図は中間段階を示している。それというのも、この図に示されたプッシャ403が完全移動距離には達していないからである。
【0059】
図9E~9Fは、本発明の実施態様に基づく
図9A~9Bの縫合糸ロック展開メカニズムの別の形態を示す図である。具体的には、
図9E~9Fは縫合糸ロッキングメカニズム400を、ポール405がピン408によってトリップされた後の状態で示しており、そしてプッシャ403は完全移動距離に達している。図示のように、ポール405がトリップされた後、ピン引込器402はポール405’グリップから解放される。これにより対応するピン引込器ばね404は近位方向に伸長する。1実施態様では、近位方向にピン引込器ばね404が伸長することにより、ピン引込器402も近位方向に動かされる。さらに、プッシャワイヤ407の近位端がピン引込器402の近位端に取り付けられているので、プッシャワイヤ407は近位方向に引張られる(すなわち引き込まれる)。
【0060】
図9G,9H,9I,9J,9K及び9Lは、本発明の実施態様に基づく、
図9A~9Bの縫合糸ロック展開メカニズムの付加的な形態を示す図である。具体的には、縫合糸が縫合糸ロッキングハウジング430内へロックされた状態で、
図9G,9H,9I,9J,9K及び9Lは、遠位ハウジングから縫合糸ロックを解除し、そして縫合糸を切断するための制御ノブを示している。縫合糸ロックを解除するための制御ノブは、縫合糸を切断するための制御ノブに隣接して配置することができるので、縫合糸ロックの解除及び縫合糸の切断はシンプルな同様の動作において容易に達成することができる。
【0061】
図9G~9Hは、縫合糸ロッキングメカニズム400を、縫合糸ロッキングハウジング430及び縫合糸ロッキングタブ431が遠位ハウジング420から取り外される前の状態で示している。
図9G~9Hはまた、縫合糸ロック制御ノブ426の断面を示している。縫合糸ロック制御ノブ426は、縫合糸切断制御ワイヤ423と縫合糸ロック解除ワイヤ429とを含む。縫合糸ロック制御ノブ426aは縫合糸ロックねじ山4261を含む。縫合糸ロックねじ山4261は縫合糸ロックねじ4262と相互作用するので、縫合糸ロック制御ノブ426aを回すと、縫合糸ロックねじ4262が近位方向又は遠位方向に並進運動する。縫合糸ロックねじを近位方向に引くことによって、縫合糸ロック解除ワイヤ429は近位方向に引かれ、アクチュエータ432を縫合糸ロックの周りから引張ることにより、縫合糸ロックを遠位ハウジングから解放する。
【0062】
図9I~9Jは、縫合糸ロッキングメカニズム400を、縫合糸ロッキングハウジング430及び縫合糸ロッキングタブ431が遠位ハウジング420から取り外される前の状態で示している。縫合糸ロック制御ノブ426aが回され、縫合糸ロックねじ4262を近位方向に並進させ、縫合糸ロック解除ワイヤ429を引くことにより縫合糸ロックハウジング430を解放する。1実施態様では、縫合糸ロッキングハウジング430及び縫合糸ロッキングタブ431は、アクチュエータ432が近位方向に動かされた後に、遠位ハウジング420から取り外すことができる。具体的には、アクチュエータ432が縫合糸ロッキングハウジング430及び縫合糸ロッキングタブ431の下にはもはや位置しなくなったあとで、取り外しを行うことができる。
図9I~9Jでは、縫合糸切断制御ノブ426bはまだ回されていないので、縫合糸切断ねじ4264は遠位位置に留まっている。縫合糸切断制御ノブ426bは、縫合糸切断ねじ山4263を含み、この縫合糸切断ねじ山4263は縫合糸切断ねじ4264と相互作用するので、縫合糸切断制御ノブ426bを回すと、縫合糸切断ねじ4264は近位方向又は遠位方向に並進する。縫合糸切断ねじを近位方向に引くことにより、縫合糸切断制御ワイヤ423は縫合糸切刃425と同様に近位方向に引かれる。縫合糸切刃425が近位方向に十分に引かれると、刃425は縫合糸409及び切断ブロック422と合致し、そして縫合糸を切断するのに十分な力で縫合糸409に圧着する。縫合糸ロック制御ノブ及び縫合糸切断制御ノブは代わりに組み合わされて1つの制御ノブにされてもよい。この制御ノブはまず回ることにより、縫合糸ロックを解除し、次いで再び回ることにより縫合糸を切断する。
【0063】
図9K~9Lは縫合糸ロッキングメカニズム400を、縫合糸409が縫合糸切刃425によって切断された後の状態で示している。アンカー、縫合糸、及び縫合糸ロックを含むインプラント全体は今や外科用デバイスを有しておらず、外科部位に留まっていてよい。
【0064】
縫合糸切断メカニズムのさらなる実施態様が
図10A,10B,10C,10D,10E,10F及び10Gに示されている。
図10A,10B及び10Cは、ハンドル460と、カテーテル470と、遠位ハウジング480とを含む外科用デバイス450を示している。ハンドル460は、ばね461と、縫合糸切断制御ノブ642と、縫合糸切断ねじ463と、縫合糸切断ワイヤマウント464と、縫合糸切断ワイヤクランプ465と、セーフティ466と、アダプタ467と、キャップ468とを含んでいる。遠位ハウジング480は縫合糸切刃481と、縫合糸切断ワイヤ482と、刃ホルダ483とを含む。
図10D~10Eは、ハンドル460と遠位ハウジング480とを、縫合糸409を切断するための位置において示している。
図10D~10Eに示されているように、縫合糸切断ねじ463は縫合糸切断ねじ山469内に嵌合し、そしてハンドル460内部の遠位位置にある。縫合糸切断ワイヤマウント464及び縫合糸切断ワイヤクランプ465が縫合糸切断ワイヤ482を縫合糸切断ねじ463に保持する。遠位ハウジング480内では、縫合糸切断ワイヤ482は、縫合糸409を切断するための位置で切刃481に取り付けられている。
図10F~10Gに示されているように、縫合糸切断制御ノブ426が回されており、縫合糸切断ねじ463を近位方向に並進させ、縫合糸切断ワイヤ482、ひいては切刃481を近位方向に縫合糸409内へ引き込み、縫合糸を切断する。
【0065】
図11Aは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す分解図である。
図11Aに示されているように、アンカー展開メカニズム500は外側ハンドル510と、圧縮ガスタンク515と、トリガーハンドル520と、展開ボタン521と、キャップ530と、ステアリングノブ540と、カテーテル550と、保持ブロック501と、作動シリンダ502と、ピストン503と、戻しばね504とを含む。さらに、1実施態様では、カテーテル550の遠位端が、1つ又は2つ以上のアンカーを含む遠位アンカーハウジング(例えば遠位アンカーハウジング150又は220)に結合されていてよい。
【0066】
図11Bは、
図11Aのアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
図11Bに示されているように、アンカー展開メカニズム500もプッシャワイヤ505を含む。1実施態様では、アンカー展開メカニズム500内部のエレメントは、結合された遠位アンカーハウジング(図示せず)内のアンカーに押圧力を加えるように形成されている。具体的には、圧縮ガスタンク515から圧縮ガスを展開することによって、押圧ガスがアンカーに加えられる。例えば、展開ボタン521が係合させられた(例えば押された)後、圧縮ガスタンク515から第2閉鎖システム、例えばシリンダ内へ逃れるガスが、押圧力を遠位方向に加える。1実施態様では、放出ガスに由来する押圧力は、プッシャワイヤ505を介してアンカーに伝達される。1実施態様では、展開ボタン521を係合させることによって、単一のアンカーを組織内へ駆動するのに十分なガスを放出する。別の実施態様では、展開ボタン521を係合させることによって、複数のアンカーを組織内へ駆動するのに十分なガスを放出する。さらに1実施態様では、アンカーが組織内へ駆動された後、戻しばね504が引張力をプッシャワイヤ505に対して近位方向に加える。したがって、プッシャワイヤ504はその元の位置へ戻され、ひいては、アンカー展開メカニズム500を利用して付加的なアンカーを組織内に駆動する。1実施態様では、圧縮ガスタンク515は使い捨て且つ交換可能である。さらに別の実施態様では、二酸化炭素又は同様のガスを使用して、押圧力をアンカーに加えることができる。
【0067】
図12Aは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す分解図である。
図12Aに示されているように、アンカー展開メカニズム600は外側ハンドル610と、モータ615と、展開ボタン621と、キャップ630と、作動軸602と、プッシャワイヤクランプ603とを含む。さらに、1実施態様では、カテーテル650の遠位端を、1つ又は2つ以上のアンカーを含む遠位アンカーハウジング(例えば遠位アンカーハウジング150又は220)に結合することができる。
【0068】
図12Bは、
図12Aのアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
図12Bに示されているように、アンカー展開メカニズム600はまたプッシャワイヤ605を含む。1実施態様では、アンカー展開メカニズム600内部のエレメントは、結合された遠位アンカーハウジング(図示せず)内でアンカーに押圧力を付与するように形成されている。具体的には、モータ615の作動によって、アンカーに押圧力が加えられる。例えば、展開ボタン621が係合させられた(例えば押された)後、モータ615はそのロータを回転させ、そして作動軸602は螺合接続状態にあるので、ロータの回転は作動軸に対する遠位方向への押圧力に変わる。1実施態様では、展開ボタン621を係合させることにより、単一のアンカーを組織内へ駆動するのに十分な力を提供する。別の実施態様では、展開ボタン621を係合させることにより、複数のアンカーを組織内へ駆動するのに十分な力を提供する。さらに、1実施態様では、アンカーが組織内へ駆動された後、モータを逆回転させて、プッシャワイヤ605に対して近位方向に引張力を加えることもできる。したがって、プッシャワイヤ605はその元の位置へ戻され、ひいてはアンカー展開メカニズム600を利用して付加的なアンカーを組織内に駆動する。
【0069】
図13Aは、本発明の実施態様に基づくアンカー展開メカニズムを示す分解図である。
図13Aに示されているように、アンカー展開メカニズム700は外側ハンドル710と、作動軸又はプランジャ702を収納するシリンダ715と、展開ボタン721と、キャップ730と、止めねじ703とを含む。さらに、1実施態様では、カテーテル750の遠位端を、1つ又は2つ以上のアンカーを含む遠位アンカーハウジング(例えば遠位アンカーハウジング150又は220)に結合することができる。
【0070】
図13Bは、
図11Aのアンカー展開メカニズムを示す断面図である。
図13Bに示されているように、アンカー展開メカニズム700はまたプッシャワイヤ705を含む。1実施態様では、アンカー展開メカニズム700内部のエレメントは、結合された遠位アンカーハウジング(図示せず)内でアンカーに押圧力を付与するように形成されている。具体的には、作動軸又はプランジャ702の作動によって、アンカーに押圧力が加えられる。例えば展開ボタン721が係合させられた(例えば押された)後、シリンダ715に液圧流体が流入し、作動軸702に対して遠位方向に力を加える。1実施態様では、展開ボタン721を係合させることにより、単一のアンカーを組織内へ駆動するのに十分な力を提供する。別の実施態様では、展開ボタン721を係合させることにより、複数のアンカーを組織内へ駆動するのに十分な力を提供する。さらに、1実施態様では、アンカーが組織内へ駆動された後、液圧流体をシリンダから引き出すことにより、プッシャワイヤ705に対して近位方向に引張力を加えることができる。したがって、プッシャワイヤ705はその元の位置へ戻され、ひいてはアンカー展開メカニズム700を利用して付加的なアンカーを組織内に駆動する。
【0071】
経皮処置中に既に組織内に展開されたアンカーに加えられる力の量が、組織を損傷するほど大きくはないこと、又は外科的部位内の余剰の縫合糸がもつれる又はループ状になるのを許すほど小さくはないことを保証するために、縫合糸テンショナを使用して縫合糸を保持することができる。
図14Aに示された縫合糸テンショナ800は、外科処置中に縫合糸を保持し、縫合糸に対して一定の力を保持することができる。
【0072】
縫合糸テンショナ800の分解図が
図14Bに示されている。縫合糸テンショナ800はテンショナハウジング810と、ばねプーリ811と、縫合糸プーリ812と、ねじ813と、だぼピン814と、モノフィラメント815と、定力ばね816と、テンショナカバー817と、縫合糸グリップばねリテーナ820と、リリースボタンばね821と、縫合糸グリップベース822と、縫合糸グリップスライド823とを含む。
【0073】
図14Cは、本発明の実施態様に基づく縫合糸テンショナ800を示している。ばねプーリ811と縫合糸プーリ812とを含む縫合糸テンショナ800は、力が加えられていないその初期状態にある。定力ばね816がばねプーリ811の周りに巻き付けられている。
図14Dにおいて、縫合糸テンショナ800は、力が加えられたその伸長状態にある。この伸長状態において、モノフィラメント815が縫合糸グリップスライド823及び縫合糸グリップベース822の方向に引かれるのに伴って、定力ばね816はばねプーリ811の周りに巻き付けられた状態から伸長させられる。ばねプーリ811から定力ばね816の巻き付きが解かれると、一定の張力がモノフィラメント815に提供される。これにより、後述のように同じ一定の張力が、締め付けられた縫合糸に提供される。
【0074】
縫合テンショナの縫合糸グリップ内での縫合糸の締め付けが、
図14E及び14Fに示されている。
図14Eにおいて、縫合糸クランプは開いている。縫合糸グリップスライド823は、縫合糸グリップベース822から引き抜かれ、リリースボタンばね821を圧縮している。このスライド操作は外科的処置中に手で行うことができる。次いで縫合糸グリップスライド823と縫合糸グリップベース822との間に縫合糸824を入れる。
図14Fでは、縫合糸グリップスライド823は解放されており、リリースボタンばね821は弛緩しており、縫合糸グリップスライド823を縫合糸グリップベース822と並置するように押す。縫合糸グリップベース822への縫合糸グリップスライド823のこのような運動により、縫合糸クランプは閉じられており、そして縫合糸824はクランプ内に締め付けられている。テンショナハウジング810により縫合糸テンショナ800を保持することによって、テンショナ800を使用して縫合糸824を保持又は操作することができる。そして一定の力だけが縫合糸824に加えられることになる。
【0075】
本発明の1実施態様によれば、本明細書中に記載された外科用デバイスは、取外し可能な再ロードアンカーハウジングを含むことにより、一次アンカーの展開に続いて二次アンカーのより迅速な展開を可能にすることができる。
図15は、二次アンカー80と、アンカーカップ挿入体81と、アイレット82と、プッシャワイヤガイドチューブ83と、カテーテル140と、カテーテルクリンプバンド141と、送達デバイスシール142とを含む、遠位端の分解図を示している。取外し可能な再ロードアンカーハウジング90は、再ロードベース91と再ロードキャップ92とを含んでよく、そして具体的には再ロードソケットベース93及び再ロードソケットキャップ94を用いて、外科用デバイスの遠位端に取り付けるように、又は遠位端から取り外すように形成されている。
【0076】
図16A,16B及び16Cは、例えば二次アンカーを調製し展開するために、取外し可能な再ロードアンカーハウジングを取り付けるためのメカニズムを示している。アンカー80は再ローディングアンカーハウジング90内部に位置している。再ロードアンカーハウジング90を外科的デバイスの遠位端に取り付けるために、再ローディングアンカーハウジングは、再ロードソケットベース93及び再ロードソケットキャップ94との並置関係にもたらされる。再ロードアンカーハウジング90は切り込み95を含む。再ロードアンカーハウジング90の近位端が再ロードソケットベース93及び再ロードソケットキャップ94に圧着させられるのに伴って、再ロードキャッチ96は、キャッチ96が切り込み95内に入るまで圧縮される。キャッチ96は拡張して切り込み95内へ入り、再ロードアンカーハウジングを再ロードソケットベース93及び再ロードソケットキャップ94に当て付けて所定の場所に保持する。再ロードされたデバイスは今や、いつでも縫合糸を二次アンカー80のアイレットに通して展開に備えることができる。
【0077】
図17A~17Fは、1実施態様に基づく一次アンカーの展開、次いで二次アンカーの展開を通した外科用デバイスの遠位端を示している。
図17Aは、縫合糸160に結合された、再ロードアンカーハウジング90内部に位置する一次アンカー50を、アンカーの展開のために調製されたプッシャワイヤ104と一緒に示している。
図17Bは、一次アンカー50及び縫合糸160の遠位端を組織(図示せず)内へ展開するために、外科用デバイスの遠位端を超えて延びるプッシャワイヤ104を示している。
図17Cにおいて、アンカー50は展開されており、そしてプッシャワイヤ104は引き込まれている。この段階では、外科用デバイスは外科的部位から取り除かれていてよく、そして切り込み95内部の再ロードキャッチ96を圧縮することにより、再ロードアンカーハウジング90は外科用デバイスの遠位端から解放することができる。上記
図16A,16B及び16Cに記載されているように、二次アンカー80を含む別の再ロードアンカーハウジング90を設けることができる。上記6A又は6Bに記載されているように、縫合糸160は、アンカーアイレット82を通ってカテーテル内に入ることができる。次いで
図17Dに示されているように、二次アンカー80は展開の準備ができている。
図17Eは、二次アンカー80及び縫合糸160の関連部分を組織(図示せず)内へ展開するために、外科用デバイスの遠位端を超えて伸長させられたプッシャワイヤ104を示している。
図17Fでは、二次アンカー80は展開されており、プッシャワイヤ104は引き込まれている。デバイスは今や、付加的な構成部分、例えば付加的な二次アンカー、又は本明細書中に記載された切断・ロッキングメカニズムが、展開された縫合糸に取り付けられ、外科処置を完了する準備が整っている。
【0078】
本発明の実施態様では、一次アンカーの展開後に二次アンカーを展開するために、駆動メカニズムを前発射位置に再装備又は他の形でリセットしなければならない。
図18A,18B及び18Cは、ばねに基づく駆動メカニズムのための本発明の1実施態様におけるこのような再装備を示している。
図18Aは、
図1Bに示されたアンカー展開メカニズムと同様のアンカー展開メカニズムのためのハンドルを示している。
図1Bにおけるように、
図18Aのハンドル110は、リリースボタン111と、ポール103と、引張ばね121と、ポールばね101と、ピン引込器ばね204と、ピン引込器203とを含む、遠位アンカーハウジング(図示せず)内に配置されたアンカーに押圧力を加えるように形成されたエレメントを含む。
図18Aでは、ばね121の張力は既に取り除かれており、その押圧力を加えている。ハンドル110を再装備するために、ねじ山付き軸124を含むクランク123が導入されてよい。ハンドル110は、プッシャ122とばね121との間に位置しこれらに取り付けられたねじ山付きプッシャキャップ125を含んでよい。
図18B及び18Cに示されているように、クランク123の軸124は、プッシャキャップ125内へ通されるように、ハンドル110の近位端内に挿入されてよい。クランク123が回転させられるのに伴って、プッシャキャップ125は近位方向に引かれ、ばね121を圧縮する。ばね121が圧縮され、そしてプッシャが近位方向に動かされるのにともなって、リリースボタン111は、リリースボタンばね821によって加えられる圧力から、プッシャ122内の切り込み内へリセットされる。セーフティボタン112は手動でリセットすることができる。ばね121は今や再び緊張させられ、そしてデバイスは次の展開のために再装備される。なお、ピン引込器203はねじ山付きシャフト124の端部によって軸線方向に定置に保持されている。プッシャ122が完全に近位側に引き寄せられると、ピン引込ばね204は圧縮され、ポール103はピン引込器203内の溝と再係合し、ピン引込メカニズムをリセットする。
【0079】
図19A及び19Bは、
図2A~2Dとの関連においてより完全に上述した安定化ピンの引き込みを示している。取外し可能な再ロードアンカーハウジングの文脈において、
図19A及び19Bは、安定化ピン151が、再ロードアンカーハウジング(
図19Bに示されている)に対して近位側の位置まで十分に引き込み得ることを示しているので、安定化ピンは再ロードアンカーハウジングの取り外しを妨害しない。
【0080】
本発明の実施態様によれば、本明細書中に記載された外科用デバイスを使用して、縫合糸に沿って一連のアンカーを展開し、そしてアンカーを弁の周りに並置させるように縫合糸を引くことができる。
図20Aは損傷した弁を示している。カテーテルシース311が外科的部位の周りの位置内に入れられ、カテーテルシース311はカテーテル310又は410を含有している。遠位ハウジング320又は420がカテーテルシース311を超えて伸長させられている。
図20Bでは、遠位ハウジング320又は420は、組織内へアンカーを展開するための準備に際して、組織に当て付けられている。本明細書中に記載された安定化ピンをこれに関連して使用することにより、遠位ハウジング320又は420が、アンカーの展開前の組織に対して適切な位置にあることを保証することができる。
図20Cでは、一次アンカーは組織内へ既に展開されており、そして二次アンカーは別の組織部以内に展開されつつある。縫合糸309又は409は2つのアンカーを結合している。
図20Dでは、縫合糸309又は409に沿って一連の二次アンカーが展開されている。
図20Eでは、遠位ハウジング320又は420は、アンカー展開メカニズムがロッキング・切断メカニズムのために切り換えられるのにともなって、引き込まれる。
図20F,20G及び20Hでは、縫合糸309又は409はカテーテル内へ近位側に引き込まれ、一次アンカーを引張り、そして一連のアンカーを並置状態に引き込み、そして弁を取り囲む組織を締め付ける。さらに、
図20Hでは、本明細書中で論じたように、ロッキング・切断手順を適用することにより、縫合糸309又は409上の縫合糸ロッキングハウジング330又は430を閉鎖し、縫合糸309又は409を切断し、そしてカテーテル内に含まれる縫合糸部分から縫合糸の切断部分を分離する。
図20Iにおいて、アンカー、縫合糸、及び縫合糸ロッキングハウジングを含むインプラント全体は、組織を保持する際に縫合糸及びアンカーの位置を維持するように留まり、弁は今や弁尖が適切に接合するのを可能にするように再構築される。
【0081】
現代の製造方法は、以前には得られなかったスケールで高精度の構成部分フィーチャを可能にする。アンカー30,40,50,70及び80の直径は例えば1ミリメートル、又はほぼ1ミリメートルであってよく、そして長さは約5ミリメートル~10ミリメートルであってよい。いくつかの実施態様によれば、直径は1ミリメートル未満である。いくつかの実施態様によれば、直径は0.8ミリメートル~1.2ミリメートルである。しかしながら言うまでもなく、他の寸法も提供し得る。
【0082】
さらに、アンカー30,40,50,70及び80は任意の速度で駆動されるので、アンカーは、組織の表面張力を克服し、組織を押し退けることなしに組織に貫通するのに十分な速度を有する。十分な展開速度は、展開中に組織を穿刺するために必要な剛性を維持するのを可能にする。実施態様では、このような速度は1秒当たり最大300メートルであってよい。したがって、言うまでもなく、アンカーは、アンカーが組織を穿刺するのに十分な任意の適宜な速度で駆動することができる。
【0083】
さらに、アンカー30,40,50,70及び80は単一の組織層又は複数の組織層内へ駆動することができ、速度は、アンカーが駆動される1つ又は2つ以上の組織の構造的特性、寸法、及び相対位置に基づいて選択することができる。
【0084】
遠位側に保持又は固定されない軟組織に正確に貫通するために、組織層の貫通をもたらすように、各組織層の急速な貫通が必要となり得る。アンカーがゆっくりとあてがわれると、組織は十分な貫通なしに、アンカーによって遠位側に押し去られることがある。したがって、いくつかの送達メカニズム例は、上述のように比較的高い速度で各アンカーをイジェクトする。展開メカニズム100,200,300,400,450及び500はばね負荷型駆動メカニズムを利用し得るものの、言うまでもなく、他のドライバを提供してもよい。いくつかの例では、プランジャがアンカーを正確な速度でイジェクトするような速度でカテーテル、針、又は他のチューブ内部の通路を加圧するために、生理食塩水が使用される。さらなる実施態様は、カテーテル又は他のチューブの長さを走行する長いプッシュロッドを使用して、アンカー30,40,50,70及び80を押す。インジェクション様式はコンピュータ制御式及び/又は操作者制御式であってよい。例えば、図示の例のばね負荷型機械システムと同様に、エジェクション力は予め決められ、トリガーを操作者が作動させることによって繰り返すことができる。
【0085】
さらに、ドライバは、アンカー30,40,50,70及び80を所定の深さまで駆動するように形成することができる。1実施態様では、深さの精度は、正確な液圧駆動力、他のストップとの係合、又は深さを制限するように緊張する縫合糸によって、深さを達成することができる。さらに、深さは蛍光透視法、心エコー検査法、血管内超音波法、又は任意の他の適切な画像形成メカニズムを用いてモニタリングすることができる。駆動メカニズムは、加圧された生理食塩水又は胸腔鏡カテーテルを通して加圧された他の液圧流体を含んでよい。こうして、極めて正確な制御を達成することができる。
【0086】
組織の穿刺は、胸腔鏡又はガイドワイヤ及びカテーテルを含む他の外科的及び介入機器によって、組織の対向側(例えば内蔵、例えば心臓などの内部)へのアクセスを提供することができる。
【0087】
さらに、1実施態様では、アンカー30,40,50,70及び80のいずれかを、本発明の展開メカニズム100,200,300,400,450及び500のうちのいずれかと一緒に利用することもできる。
【0088】
さらに、アンカー30,40,50,70及び80は、アパーチャを形成した後で駆動することができる。同様に、穴を拡張する前にアンカー30,40,50,70及び80を駆動することも実現可能である。
【0089】
さらに、言うまでもなく、展開メカニズム100,200,300,400,450及び500は、任意の適宜の外科用デバイス、例えばカテーテル又は可撓性の胸腔鏡シャフトと関連付けて提供することができる。さらに、アンカー30,40,50,70及び80を駆動するための任意の適宜の駆動メカニズムを提供することができる。
【0090】
さらに、縫合糸60,160,309及び409はそれぞれ単一のモノリシック片として形成されているが、言うまでもなく、本明細書中に記載されたいずれの縫合糸も複数の構成部分片から成っていてよい。
【0091】
さらに、本明細書中に記載された例は、それぞれ互いに同一の複数のアンカーを発射するものとして記載されてはいるものの、言うまでもなく、駆動されるアンカー集合は、この集合の他のアンカーとは異なる1つ又は2つ以上のアンカーを含んでもよい。例えば、例えば同時に異なるタイプのアンカーを異なる位置に発射することによって、不均一な組織特性及び/又は寸法を有する状況に対処することができる。これに関連しては、種々異なるタイプのアンカーを同じスロット内に受容し、且つ/又は相互交換可能なハウジング部分を有することにより種々のアンカーを受容するように、展開メカニズム100,200,300,400,450及び500を適合させることができる。
【0092】
さらに、本明細書中に記載された植え込み可能なエレメントのいずれか、例えばアンカー30,40,50,70及び80及び/又は縫合糸60,160,309及び409は、例えば具体的な用途に応じて、患者の身体内へ吸収可能な材料から、又は非吸収性材料から全体的又は部分的に形成されてよい。例えば、これらのエレメントは、ポリグリコール酸(PGA)、又はPGAコポリマーから形成されてよい。これらのエレメントはさらに又は代わりに、ポリエステル及び/又はナイロン及び/又は他のポリマーから成るコポリマーから形成されてもよい。さらに、これらのエレメントは1種又は2種以上の形状メモリ合金、例えばニチノール、ばね負荷型鋼、又は適宜の特性を有する他の合金又は材料を含有してよい。加えて、生物製剤、例えばフィブリンを利用して、組織内方成長を可能にする。
【0093】
種々のインプラントを誤発射するか又は不適切に配置する可能性がある場合には、吸収性材料が有利であり得る。例えば、ドライバが意図せぬ場所にアンカー30,40,50,70及び80を駆動する状況、又は組織がインプラントを適正には受容しない状況では、インプラントは例えば必要でない場合にも比較的無害である。それというのもインプラントは患者の身体内に最終的に吸収されるからである。
【0094】
具体的な外科的用途の例を上述してきたが、展開メカニズム100,200,300,400,450及び500はこれらの例を限定するものでは決してない。
【0095】
本発明を特定の例及び実施態様を参照しながら説明してきたが、言うまでもなく、前述のものは決して限定的ではない。さらに本明細書中に記載された特徴は任意の組み合わせで使用することができる。
なお、本発明の実施形態には以下のものが含まれる。
〔実施形態1〕
組織アンカーを展開するための装置であって、
カテーテルの長さを画定する近位端と遠位端とを有するカテーテルチューブであって、前記遠位端が、展開前に組織アンカーを保持するように形成されたアンカーハウジングを含む、カテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブ内部に位置決めされて前記カテーテルチューブの長さを通って延びるプッシャワイヤであって、前記プッシャワイヤが、前記カテーテルチューブの前記近位端及び前記遠位端に対応する近位端及び遠位端を有する、プッシャワイヤと
を含み、
前記装置が、前記カテーテルチューブの前記近位端からプッシャワイヤに押圧力を提供するように形成されており、前記プッシャワイヤを遠位方向に、前記プッシャワイヤの引き込み位置から前記プッシャワイヤの伸長位置へ押し退け、これにより、前記組織アンカーを遠位方向に押すことによって、前記組織アンカーをアンカーハウジングから遠位方向に展開する、
組織アンカーを展開するための装置。
〔実施形態2〕
前記押圧力がインパルス力であり、前記インパルス力が、標的組織表面を貫通するのに十分な速度で前記組織アンカーを前記アンカーハウジングから押し出す、実施形態1に記載の装置。
〔実施形態3〕
前記押圧力を送達するための圧縮ばねをさらに含む、実施形態2に記載の装置。
〔実施形態4〕
空気圧動作によって前記押圧力を送達するための圧縮ガスカートリッジをさらに含む、実施形態2に記載の装置。
〔実施形態5〕
前記押圧力を送達するための線形アクチュエータ、又はモーター付き又は歯車付きアクチュエータをさらに含む、実施形態2に記載の装置。
〔実施形態6〕
前記押圧力を送達するように形成された前記カテーテルチューブの近位端に設けられたハンドルをさらに含み、そして前記プッシャワイヤが前記ハンドルから前記アンカーハウジングへ延びている、実施形態1に記載の装置。
〔実施形態7〕
前記ハンドルが、前記押圧力を送達するための圧縮ばねを含む、実施形態6に記載の装置。
〔実施形態8〕
前記ハンドルが、空気圧動作によって前記押圧力を送達するための圧縮ガスカートリッジを含む、実施形態6に記載の装置。
〔実施形態9〕
前記ハンドルが、前記押圧力を送達するためのモーター付き又は歯車付きアクチュエータを含む、実施形態6に記載の装置。
〔実施形態10〕
前記ハンドルがさらに、
プッシャキャリッジを含み、前記プッシャキャリッジが前記プッシャワイヤの近位端に取り付けられ、そして前記ハンドル内部に第1位置と第2位置との間で線状に移動するように形成されており、
前記第1位置では、前記プッシャワイヤが前記プッシャワイヤの引き込み位置にあり、そして第2位置では、前記プッシャワイヤが前記プッシャワイヤの伸長位置にあり、
前記押圧力が前記プッシャキャリッジに作用し、これにより前記プッシャワイヤをその伸長位置へ押し退ける、
実施形態6に記載の装置。
〔実施形態11〕
前記プッシャワイヤが遠位端と近位端とを有しており、そして前記プッシャワイヤが前記プッシャワイヤの遠位端から固定的な距離を置いて設けられたストッパを含み、前記ストッパが前記装置の固定フィーチャとインターフェイスを形成しており、前記固定フィーチャは、前記プッシャワイヤが固定的な距離を超えて延びることを防止する、実施形態6に記載の装置。
〔実施形態12〕
前記ハンドルが、
前記プッシャキャリッジ内部に設けられ且つ前記プッシャワイヤの近位端に取り付けられたピン引込器であって、
前記ピン引込器が、前記プッシャキャリッジ内部で第1位置と第2位置との間を線状に移動するように形成されており、
前記第1位置では、前記ピン引込器が、前記プッシャキャリッジ内部の最遠位位置である、前記プッシャキャリッジに対して前記ピン引込器のロック位置にあり、そして前記第2位置では、前記ピン引込器が、前記プッシャキャリッジ内部の最近位位置である、前記プッシャキャリッジに対して前記ピン引込器のロック解除位置にある、
ピン引込器と、
前記プッシャキャリッジ内部に位置決めされて、前記ピン引込器を前記ピン引込器の第2位置へ向かってコンスタントに推進する力を提供するように配置されたピン引込器ばねであって、
前記プッシャキャリッジが前記プッシャキャリッジの第1位置にあるときには、前記ピン引込器は前記ピン引込器の第1位置に、そして前記プッシャワイヤは前記プッシャワイヤの引き込み位置にあり、そして前記プッシャキャリッジが、前記プッシャワイヤの完全伸長アンカー展開位置に相当する前記プッシャキャリッジの第2位置に達すると、前記ピン引込器が前記ピン引込器の第2位置へ移行し、これにより前記プッシャワイヤを完全伸長アンカー展開位置から引き込み位置へ引き込む、
ピン引込器ばねと
をさらに含む、実施形態10に記載の装置。
〔実施形態13〕
組織アンカーを展開するため装置であって、
カテーテルの長さを画定する近位端と遠位端とを有するカテーテルチューブであって、前記遠位端が、展開前に組織アンカーを保持するように形成されたアンカーハウジングを含む、カテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブ内部に位置決めされて前記カテーテルチューブの長さを通って延びるプッシャワイヤであって、前記プッシャワイヤが、前記カテーテルチューブの前記近位端及び前記遠位端に対応する近位端及び遠位端を有しており、
前記装置が、前記カテーテルチューブの前記近位端からプッシャワイヤに押圧力を提供するように形成されており、ひいては前記プッシャワイヤを遠位方向に、前記プッシャワイヤの引き込み位置から前記プッシャワイヤの伸長位置へ押し退け、これにより、前記組織アンカーを遠位方向に押すことによって、前記組織アンカーをアンカーハウジングから遠位方向に展開する、
プッシャワイヤと、
前記カテーテルの長さを通りそして相応する通路を通って延びる1つ又は2つ以上の安定化ピンであって、前記安定化ピンが、前記カテーテルチューブの近位端から、前記安定化ピンが前記アンカーハウジングから外へ出て延びない引き込み位置と、前記安定化ピンが前記アンカーハウジングから出て延びる伸長位置との間で動かされるべく操作されるように形成されている、安定化ピンと、
を含む、組織アンカーを展開するため装置。
〔実施形態14〕
前記安定化ピンが、前記アンカーハウジングの中心線から遠位側に5~20°の角度を成して延びるように形成されている、実施形態13に記載の装置。
〔実施形態15〕
前記安定化ピンが、前記アンカーハウジングの中心線から遠位側に11°の角度を成して延びるように形成されている、実施形態13に記載の装置。
〔実施形態16〕
前記安定化ピンのそれぞれが遠位端と近位端とを有しており、そして前記安定化ピンのそれぞれが、前記安定化ピンの遠位端から固定的な距離を置いて設けられた安定化ピンストッパを含み、前記安定化ピンストッパが前記装置の固定フィーチャとインターフェイスを形成しており、前記固定フィーチャは、前記安定化ピンが固定的な距離を超えて延びることを防止する、実施形態13に記載の装置。
〔実施形態17〕
組織アンカーを展開するため装置であって、
カテーテルの長さを画定する近位端と遠位端とを有するカテーテルチューブであって、前記遠位端がアンカーハウジングを含み、前記アンカーハウジングが、展開前に組織アンカーを弛緩状態で保持し、そして展開中に前記アンカーを圧縮するように形成されている、カテーテルチューブ
を含む、組織アンカーを展開するため装置。
〔実施形態18〕
組織アンカーを展開するため装置であって、
カテーテルの長さを画定する近位端と遠位端とを有するカテーテルチューブであって、前記遠位端が、展開前に組織アンカーを保持するように形成されたアンカーハウジングを含む、カテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブ内部に位置決めされて前記カテーテルチューブの長さを通って延びるプッシャワイヤであって、前記プッシャワイヤが、前記カテーテルチューブの前記近位端及び前記遠位端に対応する近位端及び遠位端を有しており、
前記装置が、前記プッシャワイヤに連続的に第1直線力と第2直線力とを提供するように形成されており、これにより、前記第1直線力が前記プッシャワイヤを遠位方向に、前記プッシャワイヤの引き込み位置から前記プッシャワイヤの伸長位置へ押し退け、こうして第1直線力によって前記組織アンカーを組織内へ展開し、前記第2直線力が、前記プッシャワイヤを近位方向に前記プッシャワイヤの伸長位置から前記プッシャワイヤの引き込み位置へ押し退ける、
プッシャワイヤと
を含む、組織アンカーを展開するため装置。
〔実施形態19〕
前記プッシャワイヤの近位端に取り付けられ且つ前記ハンドル内部に第1位置と第2位置との間で線状に移動するように形成されたプッシャキャリッジと、前記プッシャキャリッジ内部に設けられ且つ前記プッシャワイヤの近位端に取り付けられたピン引込器とをさらに含み、
前記ピン引込器が、前記プッシャキャリッジ内部で第1位置と第2位置との間を線状に移動するように形成されており、
前記第1位置では、前記ピン引込器が、前記プッシャキャリッジ内部の最遠位位置である、前記プッシャキャリッジに対して前記ピン引込器のロック位置にあり、そして前記第2位置では、前記ピン引込器が、前記プッシャキャリッジ内部の最近位位置である、前記プッシャキャリッジに対して前記ピン引込器のロック解除位置にあり、
前記プッシャキャリッジが前記プッシャキャリッジの第1位置にあるときには、前記ピン引込器は前記ピン引込器の第1位置に、そして前記プッシャワイヤは前記プッシャワイヤの引き込み位置にあり、そして前記プッシャキャリッジが、前記プッシャワイヤの完全伸長アンカー展開位置に相当する前記プッシャキャリッジの第2位置に達すると、前記ピン引込器が前記ピン引込器の第2位置へ移行し、これにより前記プッシャワイヤを完全伸長アンカー展開位置から引き込み位置へ引き込む、
実施形態18に記載の装置。
〔実施形態20〕
線形アクチュエータが前記第1直線力及び第2直線力を提供する、実施形態18に記載の装置。
〔実施形態21〕
前記装置が、前記第1直線力及び第2直線力の連続的な提供を繰り返し可能にするように形成されている、実施形態18に記載の装置。
〔実施形態22〕
前記プッシャキャリッジ内部に位置決めされて、前記ピン引込器を前記ピン引込器の第2位置へ向かってコンスタントに推進する力を提供するように配置されたピン引込器ばねをさらに含む、実施形態19に記載の装置。
〔実施形態23〕
前記装置が、安定化ピンを電気的に付勢し、前記安定化ピン間のインピーダンスを測定するように形成されており、これにより、付勢され少なくとも部分的に前記アンカーハウジングから出て延びている時には、前記安定化ピンは、前記安定化ピンが組織と接触するとそれを見極め、遭遇した組織又は流体のタイプを識別し、又は組織の種々異なる状態、例えば損傷組織を見極めるために使用することができる、実施形態13に記載の装置。
〔実施形態24〕
組織アンカーを再ローディングされた前記アンカーハウジング、又は組織アンカーを含有する別のアンカーハウジングを前記カテーテルチューブの遠位端に取り付け得るように、前記アンカーハウジングが前記カテーテルチューブの遠位端から取り外し可能である、実施形態1に記載の装置。
〔実施形態25〕
組織アンカーを再ローディングされた前記アンカーハウジング、又は組織アンカーを含有する別のアンカーハウジングを前記カテーテルチューブの遠位端に取り付け得るように、前記アンカーハウジングが前記カテーテルチューブの遠位端から取り外し可能である、実施形態13に記載の装置。
〔実施形態26〕
組織アンカーを再ローディングされた前記アンカーハウジング、又は組織アンカーを含有する別のアンカーハウジングを前記カテーテルチューブの遠位端に取り付け得るように、前記アンカーハウジングが前記カテーテルチューブの遠位端から取り外し可能である、実施形態18に記載の装置。
〔実施形態27〕
前記プッシャワイヤが前記伸長位置へ押し退けられた後、前記プッシュワイヤを前記プッシュワイヤの引き込み位置へ自動的に引き込むようにさらに形成されている、実施形態1に記載の装置。
〔実施形態28〕
前記プッシャワイヤが前記伸長位置へ押し退けられた後、前記プッシュワイヤを前記プッシュワイヤの引き込み位置へ自動的に引き込むようにさらに形成されている、実施形態13に記載の装置。
〔実施形態29〕
スネアを形成するワイヤのループをさらに含み、前記ループが、前記カテーテルチューブ内部に位置決めされており、前記カテーテルチューブの遠位端の前記アンカーハウジングから、前記カテーテルチューブを通って、前記カテーテルチューブの近位端へ延びており、
前記スネアが前記アンカーハウジングに位置決めされたループ状端部を含み、そして前記近位端から前記カテーテルチューブを通して引張ることができ、これにより、前記アンカーハウジングの前記スネアのループ状端部に通された縫合糸を、前記スネアを前記近位端から前記カテーテルチューブを通して引張ることにより、前記カテーテルチューブに通すことができる、
実施形態13に記載の装置。
〔実施形態30〕
スネアを形成するワイヤのループをさらに含み、前記ループが、前記カテーテルチューブ内部に位置決めされており、前記カテーテルチューブの遠位端の前記アンカーハウジングから、前記カテーテルチューブを通って、前記カテーテルチューブの近位端へ延びており、
前記スネアが前記アンカーハウジングに位置決めされたループ状端部を含み、そして前記近位端から前記カテーテルチューブを通して引張ることができ、これにより、前記アンカーハウジングの前記スネアのループ状端部に通された縫合糸を、前記スネアを前記近位端から前記カテーテルチューブを通して引張ることにより、前記カテーテルチューブに通すことができる、
実施形態18に記載の装置。
〔実施形態31〕
縫合糸ロッキング装置であって、
当該縫合糸ロック集成体が、
当該縫合糸ロッキングハウジングを通る縫合糸通路を有するように形成された縫合糸ロッキングハウジングと、
前記縫合糸ロッキングハウジング内への挿入のための当該縫合糸ロッキングタブが、前記縫合糸ロッキングタブを通る縫合糸通路を有し、前記縫合糸ロック集成体をロック解除状態からロック状態へ転換するために前記縫合糸ロッキングハウジングと一緒にロックするように形成されており、前記ロック状態では、前記縫合糸が前記縫合糸ロック集成体から滑り出るのが防止される、縫合糸ロッキングタブと、
を含む縫合糸ロック集成体、及び
当該縫合糸ロック集成体を作動させ展開するためのデバイスが、
近位端と遠位端とを有するカテーテルチューブであって、前記遠位端が遠位ハウジングを含み、前記遠位ハウジングが、縫合糸が前記カテーテルチューブの近位端から前記カテーテルチューブの遠位端部へカテーテルチューブを通って延び、そして前記縫合糸ロッキングタブ及び前記縫合糸ロッキングハウジングを通過する間、前記縫合糸ロック集成体を前記縫合糸ロック集成体のロック解除状態で保持するように形成された、カテーテルチューブと、
前記縫合糸ロッキングタブを前記縫合糸ロッキングハウジング内へ挿入するために前記縫合糸ロッキングタブへ第1押圧力を送達するように、前記カテーテルチューブ内部に位置決めされたプッシャワイヤと、
を含む、縫合糸ロック集成体を作動させ展開するためのデバイス
を含み、
前記縫合糸ロック集成体を作動させ展開するためのデバイスが、前記カテーテルチューブの近位端から前記プッシャワイヤに前記第1押圧力を提供するように形成されており、前記プッシャワイヤを遠位方向に、前記プッシャワイヤの引き込み位置から前記プッシャワイヤの伸長位置へ押し退け、これにより前記縫合糸ロッキングタブを前記縫合糸ロッキングハウジング内へ押し込み、そして前記縫合糸ロック集成体をロック状態へ転換する、
縫合糸ロッキング装置。
〔実施形態32〕
前記縫合糸ロッキングタブが前記縫合糸ロッキングハウジングと一緒にロックすると、前記縫合糸に強制的に一連の急カーブを形成させる内部ジオメトリを、前記縫合糸ロッキングハウジングが含み、ひいては前記縫合糸が前記縫合糸ロック集成体から滑り出るのを防止する、実施形態31に記載の縫合糸ロッキング装置。
〔実施形態33〕
前記縫合糸ロック集成体を作動させ展開するためのデバイスが、
前記カテーテルチューブの近位端の近くに当該プッシャが設けられており、前記プッシャが、前記プッシャワイヤに前記カテーテルチューブの遠位端へ向かって第1押圧力を提供するように形成された、プッシャと、
当該引込器が前記プッシャ内部に設けられ、前記プッシャワイヤに取り付けられており、これにより、前記プッシャワイヤが前記引き込み位置から前記伸長位置へ押し退けられるのに伴って、前記引込器が前記プッシャワイヤと一緒に動く、引込器と
を含み、
前記プッシャ及び前記引込器は、前記プッシャワイヤが前記伸長位置にひとたび達すると、前記プッシャワイヤを前記引き込み位置へ向かって後方へ自動的に引き込むように形成されている、
実施形態31に記載の縫合糸ロッキング装置。
〔実施形態34〕
前記プッシャワイヤが引き込み位置内にあるときに、引込器ばねを圧縮状態で前記プッシャと前記引込器との間に捕捉するように、前記引込器が、前記プッシャと協働して前記プッシャ内部の所定の位置に保持されており、そして前記プッシャワイヤが前記伸長位置に達すると、前記引込器が前記引込器の前記プッシャとの協働状態から解放されて、前記引込器ばねを弛緩させ、前記引込器ばねが前記引込器及び前記プッシャワイヤに第2押圧力を生成し、前記第2押圧力が前記第1押圧力の反対方向に向いており、そして前記プッシャワイヤを伸長位置から前記引き込み位置へ向かって押し退ける、実施形態33に記載の縫合糸ロッキング装置。
〔実施形態35〕
前記縫合糸ロック集成体を作動させ展開するためのデバイスが、前記カテーテルチューブの近位端に位置決めされた縫合糸ロック制御ノブを操作することによって、前記遠位ハウジングから前記縫合糸ロック集成体を解放するように形成されている、実施形態31に記載の縫合糸ロッキング装置。
〔実施形態36〕
前記縫合糸ロック集成体を作動させ展開するためのデバイスが、前記カテーテルチューブの近位端に位置決めされた縫合糸切断制御ノブを操作することによって、前記遠位ハウジング内部で前記縫合糸を切断するように形成されている、実施形態31に記載の縫合糸ロッキング装置。
〔実施形態37〕
縫合糸張力リミッタであって、
定力ばね集成体と、
所定の長さの縫合糸を把持するための縫合糸グリップと、
前記縫合糸グリップに前記定力ばね集成体を結合するモノフィラメントとを含み、前記縫合糸グリップが前記長さの縫合糸を把持しているときには、定力ばね集成体を引張ることにより、所定の長さの縫合糸上に一定張力を維持することができる、
縫合糸張力リミッタ。
〔実施形態38〕
外科用アンカーであって、
先端部に向かってテーパされた遠位端と
前記遠位端から近位側に延びるステムと
を含む、従動性材料から形成されたボディ、及び
前記遠位端から近位側に延びるステム挿入体
を含み、前記ステム挿入体が前記従動性材料によってオーバーモールディングされている、
外科用アンカー。
〔実施形態39〕
前記ステム挿入体が、前記ボディの遠位端内に位置決めされたアンカーカップ部分を含み、前記アンカーカップ部分が前記アンカーカップ部分の遠位端で閉じており、そしてプッシャワイヤを受容するための前記アンカーカップ部分の近位端では開いており、前記プッシャワイヤを、前記外科用アンカーを遠位方向に押すために使用することができる、実施形態38に記載の外科用アンカー。
〔実施形態40〕
複数の波形鈎をさらに含み、前記波形鈎が前記ボディの遠位端から近位側且つ半径方向外側に向かって延びている、実施形態39に記載の外科用アンカー。
〔実施形態41〕
前記複数の波形鈎が前記ボディの遠位端に対して半径方向に可撓性であり、これにより前記波形鈎を前記ステムに向かって圧縮し、或いは半径方向外側に向かって伸長させることができる、実施形態40に記載の外科用アンカー。
〔実施形態42〕
前記ステム挿入体が前記ステム挿入体に複数の窓部を含む、実施形態38に記載の外科用アンカー。
〔実施形態43〕
組織アンカーを展開するための装置であって、
近位端と遠位端とを有するカテーテルチューブと、
前記遠位端に設けられた当該アンカーハウジングが、展開前に組織アンカーを保持するように形成されており、前記装置が、前記組織アンカーに取り付けられた縫合糸と一緒に前記アンカーハウジングから前記組織アンカーを展開するように形成されている、アンカーハウジングと、
スネアを形成する当該ワイヤのループが、前記カテーテルチューブ内部に位置決めされており、前記アンカーハウジングから、前記カテーテルチューブを通って、前記カテーテルチューブの近位端へ延びる、前記ワイヤのループと、
を含み、
前記スネアが前記アンカーハウジングに位置決めされたループ状端部を含み、そして前記近位端から前記カテーテルチューブを通して引張ることができ、これにより、前記アンカーハウジングの前記スネアのループ状端部に縫合糸を通すと、前記スネアを前記近位端から前記カテーテルチューブを通して引張ることにより、前記縫合糸を前記カテーテルチューブに通すことができる、
組織アンカーを展開するための装置。