(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】検知センサ
(51)【国際特許分類】
G01J 1/04 20060101AFI20241125BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
G01J1/04 A
G01J1/02 W
G01J1/04 E
(21)【出願番号】P 2023569021
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2021048368
(87)【国際公開番号】W WO2023119659
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2024-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】317006258
【氏名又は名称】オプテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【氏名又は名称】福田 光起
(74)【代理人】
【識別番号】100231038
【氏名又は名称】正村 智彦
(72)【発明者】
【氏名】友岡 浩之
(72)【発明者】
【氏名】野口 道徳
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-24952(JP,A)
【文献】特開2001-229473(JP,A)
【文献】特開平11-86152(JP,A)
【文献】特開2004-29895(JP,A)
【文献】特開2005-321917(JP,A)
【文献】特開平2-287278(JP,A)
【文献】国際公開第96/06865(WO,A1)
【文献】米国特許第10304318(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 - G01J 1/60
G01J 11/00
G01V 1/00 - G01V 99/00
G08B 13/00 - G08B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知対象を検知するセンサ部と、前記センサ部による検知機能を無効化するマスキング材を検出するマスキング検出構造とを具備する検知センサであって、
前記マスキング検出構造が、
前記センサ部とともにケーシングに収容された光源及び受光器と、
前記ケーシングに形成された開口を塞ぐ光透過窓とを備え、
前記光透過窓が、前記ケーシングの内側に向かって凹む凹部を有し、その凹部を介して、前記光源から射出された光が前記ケーシングの内部から外部に透過するように構成されていることを特徴とする検知センサ。
【請求項2】
前記凹部を形成するとともに互いに対向する対向面の一方を介して、前記光源から射出された光の少なくとも一部が前記ケーシングの内部から外部に透過し、その光が、前記対向面の他方を介して、外部から前記ケーシングの内部に透過するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の検知センサ。
【請求項3】
前記マスキング検出構造が、前記マスキング材を検出していない正常状態において、前記光源から射出された光の少なくとも一部が前記受光器に導かれるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の検知センサ。
【請求項4】
前記一対の対向面の少なくとも一方に段部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の検知センサ。
【請求項5】
前記マスキング検出構造が、前記光源から射出された光を前記凹部に向けて反射する反射部材、又は、前記凹部を介して外部から前記ケーシングの内部に透過した光を前記受光器に向けて反射する反射部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の検知センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、人体などを検知する検知センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の検知センサとしては、特許文献1に示すように、例えば塗料が吹き付けられたり、遮蔽物で覆われたりすることによって人体検知の機能が無効化されてしまうことを防ぐべく、そういった塗料や遮蔽物などのマスキング材を検出可能に構成されたものがある。
【0003】
こうしたマスキング検出構造の従来例としては、2つの態様に大別することができ、1つは、ケーシングの内側からマスキング材を検出したいエリア(以下、検出エリアともいう)に向けて光を射出する態様であり、もう1つは、ケーシングの外側から検出エリアに向けて光を射出する態様である。
【0004】
より具体的に説明すると、1つ目の態様は、ケーシングに収容された光源からの光を検出エリアに向けて射出するとともに、マスキング材がある場合には、そのマスキング材で反射してケーシング内に戻ってくる光を受光することにより、マスキング材を検出するものである。
【0005】
この態様では、マスキング材での光の反射を利用しているために、例えば反射率の低い黒紙などが検出エリアにぴったり貼り合わされると、マスキング材の有無による受光量の変化が極めて少なく、検出が難しくなるといった課題がある。
【0006】
一方、2つ目の態様は、ケーシングに収容された光源からの光を、まずは導光部材などを用いてケーシングの外部に導いてから検出エリアに向かわせ、この検出エリアを透過してケーシング内に戻ってくる光を受光するものである。
【0007】
この態様では、マスキング材がある場合には、受光される光の少なくとも一部が遮断されるので、低反射率のマスキング材を検出することができ、しかも、導光部材の一部がケーシングから飛び出ているので、シート状のマスキング材がぴったりと貼り合わされることを防ぐことができ、マスキング材の有無による受光量の変化を生じさせやすく、シート状のマスキング材をも検出することができる。
【0008】
しかしながら、この態様は、導光部材をケーシングから外部に飛び出させなければならず、製品の見栄えが損なわれるといった課題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本願発明は、上述した課題を一挙に解決するべくなされたものであり、低反射率のものやシート状のものなど種々のマスキング材を検出できるようにしつつ、製品の見栄えを担保することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明に係る検知センサは、検知対象を検知するセンサ部と、前記センサ部による検知機能を無効化するマスキング材を検出するマスキング検出構造とを具備する検知センサであって、前記マスキング検出構造が、前記センサ部とともにケーシングに収容された光源及び受光器と、前記ケーシングに形成された開口を塞ぐ光透過窓とを備え、前記光透過窓が、前記ケーシングの内側に向かって凹む凹部を有し、その凹部を介して、前記光源から射出された光が前記ケーシングの内部から外部に透過するように構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
このように構成された検知センサによれば、光透過窓の凹部を介して、光源から射出された光がケーシングの内部から外部に透過するように構成されているので、このケーシングに低反射率のシート状のマスキング材をぴったり張り合わせたとしても、凹部が覆われることにより受光量の変化が生じやすくなり、種々のマスキング材の検出が可能となる。
しかも、このように凹部を利用してマスキング材を検出するので、導光部材などをケーシングから飛び出させる必要がなく、製品の見栄えを担保することができる。
【0013】
前記凹部を形成するとともに互いに対向する対向面の一方を介して、前記光源から射出された光の少なくとも一部が前記ケーシングの内部から外部に透過し、その光が、前記対向面の他方を介して、外部から前記ケーシングの内部に透過するように構成されている態様を挙げることができる。
このような構成であれば、例えば凹部の対向面に塗布された塗料など、種々のマスキング材の検出が可能となる。
【0014】
マスキング材は、材質などによって受光器による受光量を増やすものもあれば減らすものもある。
そこで、前記マスキング検出構造が、前記マスキング材を検出していない正常状態において、前記光源から射出された光の少なくとも一部が前記受光器に導かれるように構成されていることが好ましい。
このような構成であれば、受光量を増やすマスキング材であっても減らすマスキング材であっても検出することができる。
【0015】
前記凹部の前記対向面に段部が形成されていることが好ましい。
これならば、光源から受光器までの間に複数段の光路を形成することができ、より多様なマスキング材の検出が可能となる。
【0016】
ケーシング内には種々の部品が収容されており、光源や受光器の配置や向きに制約が課される場合があるところ、マスキング材の検出しようとするエリアに光源からの光を直接導けるとは限らないし、そのエリアからケーシングの内部に戻る光を受光器に直接導けるとも限らない。光源や受光器をそのエリアの近くに持ち上げるようにして配置する態様も考えられはするが、この場合は、光源や受光器をそのエリアの近くに保持しておくための構造が必要となり、高コスト化などを招来し得る。
そこで、前記マスキング検出構造が、前記光源から射出された光を前記凹部に向けて反射する反射部材、又は、前記凹部を介して外部から前記ケーシングの内部に透過した光を前記受光器に向けて反射する反射部材をさらに備えていることが好ましい。
このような構成であれば、光源や受光器の配置や向きに制約が課される場合であっても、マスキング材の検出しようとするエリアに光源からの光を確実に導くことができたり、そのエリアからケーシング内に戻る光を確実に受光器に導くことができたりする。
【発明の効果】
【0017】
本願発明によれば、低反射率のものやシート状のものなど種々のマスキング材を検出できるようにしつつ、製品の見栄えを担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本願発明の一実施形態における検知センサの全体構成を示す模式図。
【
図2】同実施形態の検知センサの内部構造を示す模式図。
【
図3】同実施形態のマスキング検出構造を拡大した模式図。
【
図4】同実施形態のマスキング検出構造の検出光の光路を示す模式図。
【
図5】同実施形態の凹部及び第2のマスキング検出構造の構成を示す模式図。
【
図6】その他の実施形態の検知センサの内部構造を示す模式図。
【
図7】その他の実施形態の検知センサの内部構造を示す模式図。
【符号の説明】
【0019】
100・・・検知センサ
10 ・・・センサ部
20 ・・・ケーシング
30 ・・・マスキング検出構造
31 ・・・光源
32 ・・・受光器
33 ・・・光透過窓
20h・・・開口
40 ・・・凹部
41 ・・・第1対向面
411・・・段部
50 ・・・第1の反射部材
60 ・・・第2の反射部材
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願発明の一実施形態における検知センサについて図面を参照しながら説明する。
【0021】
[検知センサ100の装置構成]
本実施形態の検知センサ100は、
図1に示すように、屋内又は屋外に設置されて人体などの検知対象を検知するセンサ部10を備えるものであり、例えば住宅、マンション、ビルなどの建物の防犯に用いられる。
【0022】
具体的な検知方式は特に限定されるものではなく、適宜変更して構わないが、ここでの検知センサ100は、検知対象を検知するセンサ部10として、互いに異なる検知方式の複数種類のタイプのものを備えている。
【0023】
より具体的に説明すると、本実施形態の検知センサ100は、
図1及び
図2に示すように、受動型赤外線検知方式のセンサ部10(A)とマイクロ波検知方式のセンサ部10(B)とを組み合わせて構成されており、これらのセンサ部10(A)、(B)は、ケーシング20に収容されている。
【0024】
受動型赤外線検知方式によるセンサ部10(A)は、警戒エリアに侵入した人体などの検知対象が発する遠赤外線を検知する焦電素子を有し、この焦電素子の受光量を示す電気信号が一定レベル以上に変化したときに検知信号を出力するものである。
【0025】
マイクロ波検知方式によるセンサ部10(B)は、送信波と反射波との周波数差から発生するビート信号の振幅変化により検知対象の存在を検知するものである。
【0026】
そして、この検知センサ100は、上述したセンサ部10による検知機能を無効化するマスキング材を検出可能に構成されている。なお、本実施形態では、上述したマイクロ検知方式によるセンサ部10(B)に対して設けられたマスキング検出構造30に特徴があるので、以下に詳述する。
【0027】
マスキング検出構造30は、例えば黒紙や塗料などのマスキング材を検出するものであり、
図2及び
図3に示すように、センサ部10とともにケーシング20に収容された光源31及び受光器32と、ケーシング20に設けられた光透過窓33とを有している。
【0028】
光源31は、マスキング材を検出するための光(以下、検出光ともいう)を射出するものであり、具体的には検出光として例えば赤外線を射出するLEDなどである。
【0029】
受光器32は、光源31から射出された検出光を受光するものであり、その受光量を示す検出信号を出力する例えば赤外線検出器である。
【0030】
光透過窓33は、
図3及び
図4に示すように、ケーシング20に形成された開口20hを塞ぐとともに、光源31から射出された検出光の少なくとも一部を、ケーシング20の内部から外部に透過させるものである。なお、開口20hはマスキング材を検出したい検出エリアに形成されており、言い換えれば、光透過窓33は検出エリアに設けられている。
【0031】
本実施形態のマスキング検出構造30は、
図4に示すように、光源31から射出され検出光の少なくとも一部が光透過窓33を介してケーシング20の内部から外部に導かれ、その検出光の少なくとも一部が光透過窓33を介して外部から再びケーシング20の内部に戻って受光器32に導かれるように構成されている。すなわち、本実施形態では、光源31から受光器32までの検出光の光路上に光透過窓33が設けられていることになる。なお、
図4では、光源31から受光器32までの光路の一部を示してあり、本実施形態では、光源31と受光器32との間に複数本の光路が形成されているが、これらは説明の便宜上、記載を省略してある。
【0032】
上述した構成により、マスキング検出構造30は、マスキング材を検出していない正常時において、受光器32からゼロ値よりも大きい基準受光量を示す検出信号が出力されることになる。
【0033】
そして、マスキング検出構造30は、受光器32から出力される検出信号の示す受光量が、基準受光量よりも大きい所定の上限光量を超えた場合、又は、基準受光量よりも小さい所定の下限光量を下回った場合に、マスキング材が検出されたことを示すアラーム信号を出力する。
【0034】
ただし、マスキング検出構造30としては、光透過窓33を介してケーシング20の内部から外部に導かれた検出光が、正常状態においては、ケーシング20の内部に戻ることなく、受光器32からの検出信号がゼロ値を示すように構成されていても良い。
【0035】
本実施形態の光透過窓33は、
図2~
図4に示すように、センサ部10に臨むように設けられており、検知センサ100の正面視において、光源31と受光器32との配列方向に沿った細長形状をなし、具体的には透光性を有する板状部材である。
【0036】
光透過窓33の外表面は、ケーシング20の外表面から外側に飛び出すことなく、主としてケーシング20の外表面と面一又はほぼ面一になるように設けられている。ただし、検知センサ100の意匠性を考慮するなどして、光透過窓33を部分的に又は全体的にケーシング20の外表面から外側に飛び出させても良い。かかる実施態様としては、例えば、ケーシング20を外側に盛り上がるような湾曲形状にして、その頂点部に光透過窓33を設ける態様や、光透過窓33そのものをケーシング20の外表面よりも外側に盛り上がるような湾曲形状にする態様を挙げることができる。
【0037】
然して、この光透過窓33は、
図2~
図4に示すように、ケーシング20の内側に向かって凹む凹部40を有しており、その凹部40を介して光源31から射出された検出光がケーシング20の内部から外部に透過するように構成されている。
【0038】
より詳細に説明すると、この凹部40は、
図5に示すように、検知センサ100の外表面の主たる部分に対して窪んだ槽状をなすものであり、検知センサ100の正面視において略矩形状をなす。本実施形態の凹部40は、
図2~
図4に示すように、長手方向に平行な断面形状が台形或いは長方形などの略矩形状であり、長手方向と直交する断面形状が台形或いは長方形などの略矩形状である。
【0039】
言い換えれば、この凹部40は、
図5に示すように、互いに対向するとともに、光源31側及び受光器32側に位置する一対の第1対向面41と、これらの第1対向面41の間に設けられて、互いに対向する一対の第2対向面42と、これらの第1対向面41及び第2対向面42に取り囲まれた底面43とにより形成されている。
【0040】
そして、ここでのマスキング検出構造30は、
図4に示すように、光源31側に位置する第1対向面41(a)を介して、光源31から射出された検出光の少なくとも一部がケーシング20の内部から外部に透過し、その検出光の少なくとも一部が、受光器32側に位置する第1対向面41(b)を介して、外部からケーシング20の内部に透過するように構成されている。
【0041】
より具体的に説明すると、一対の第1対向面41はそれぞれ、凹部40の底面に向かうにつれて離間距離が短くなるように傾斜した傾斜面である。
【0042】
かかる構成において、
図4に示すように、光源31側の第1対向面41(a)を透過した検出光の一部は、凹部40の内部空間を通過して、受光器32側の第1対向面41(b)を介して受光器32に導かれるとともに、光源31側の第1対向面41(a)を透過した検出光の残りは、マスキング材が無ければ、ケーシング20の内部に戻ることなく、凹部40の内部空間から外部に射出される。
【0043】
これにより、塗料などのマスキング材が凹部40に吹き付けられた場合や、黒紙などのシート状のマスキング材がケーシング20の外表面に貼り付けられて凹部40が覆われた場合には、受光器32による受光量に変化が生じるので、かかる種々のマスキング材を検出することができる。
【0044】
本実施形態では、
図3に示すように、上述した第1対向面41に段部411が形成されており、言い換えれば、第1対向面41の傾斜角度が途中で変わるように構成されている。
【0045】
ここでは、受光器32側の第1対向面41(b)にのみ段部411が形成されており、例えば凹部40の開口から底面に向かう途中で傾斜角度が急峻になるように段部411が形成されている。ただし、光源31側の第1対向面41(a)にのみ段部411が形成されていても良いし、双方の第1対向面41(a)、(b)に段部411が形成されていても良いし、双方の第1対向面41(a)、(b)に段部411が形成されていなくても良い。
【0046】
さらに、本実施形態のマスキング検出構造30は、
図3に示すように、光源31から射出された検出光を凹部40に向けて反射する第1の反射部材50と、凹部40を介して外部からケーシング20の内部に透過した検出光を受光器32に向けて反射する第2の反射部材60を備えている。ただし、マスキング検出構造30としては、必ずしもこれらの反射部材50、60とを備えている必要はなく、第1の反射部材50及び第2の反射部材60の一方又は両方を備えていなくても良い。
【0047】
第1の反射部材50は、光源31から射出される検出光の光路上に配置されて、光源31からの検出光を光源31側の第1対向面41(a)に向けて反射させるものであり、具体的には、複数段の段差が形成された反射面を有している。なお、この反射面の周囲には、不要な反射による迷光を防ぐべく、検出光を吸収しやすい例えば黒色の光吸収部材(不図示)が設けられていても良い。
【0048】
第2の反射部材60は、外部からケーシング20の内部に透過した検出光の光路上に配置されて、受光器32側の第1対向面41(b)を透過した検出光を受光器32に向けて反射させるものであり、具体的には、複数段の段差が形成された反射面を有している。
【0049】
ここで、本実施形態の検知センサ100は、
図5に示すように、上述したマスキング検出構造30とは別に、このマスキング検出構造30により検出可能なマスキング材よりも遠くに位置するマスキング材を検出するための第2のマスキング検出構造70を備えている。
【0050】
より具体的に説明すると、第2のマスキング検出構造70は、マスキング検出構造30の光源31及び受光器32を兼用して構成されたものであり、この光源31から射出された検出光をケーシング20の内部から外部に出射させる光出射領域71と、その検出光を外部からケーシング20の内部に入射させる光入射領域72とを備えている。
【0051】
これらの光出射領域71及び光入射領域72は、光透過窓33における凹部40とは別の箇所に設けられており、ここでは凹部40を挟み込む位置の光源31側に光出射領域71が設定されており、受光器32側に光入射領域72が設定されている。
【0052】
[本実施形態の作用効果]
このように構成された検知センサ100によれば、光透過窓33の凹部40を介して、光源31から射出された光がケーシング20の内部から外部に透過するように構成されているので、このケーシング20に低反射率のシート状のマスキング材をぴったり張り合わせたとしても、凹部40を覆が覆われることにより受光量の変化が生じやすくなり、種々のマスキング材の検出が可能となる。
しかも、このように凹部40を利用してマスキング材を検出するので、従来の検知センサのように導光部材などをケーシング20から飛び出させる必要がなく、製品の見栄えを担保することができる。
【0053】
また、光源31から射出された光の少なくとも一部が、第1対向面41(a)を介してケーシング20の内部から外部に透過し、その光が、第2対向面41(b)を介して、外部からケーシング20の内部に透過するように構成されているので、例えば第1対向面41(a)や第2対向面41(b)に塗布された塗料など、種々のマスキング材の検出が可能となる。
【0054】
さらに、マスキング材は、材質などによって受光器32による受光量を増やすものもあれば、減らすものもあるところ、本実施形態のマスキング検出構造30が、マスキング材を検出していない正常状態において、光源31から射出された光の少なくとも一部が受光器32に導かれるので、受光量を増やすものや減らすものなど、種々のマスキング材を検出することができる。
【0055】
そのうえ、凹部を形成する第1対向面41(b)に段部411が形成されているので、光源31から受光器32までの間に複数段の光路を形成することができ、より多様なマスキング材の検出が可能となる。
【0056】
加えて、マスキング検出構造30が、光源31から射出された検出光を凹部40に向けて反射する第1の反射部材50を備えているので、光源31の配置や向きに制約が課される場合であっても、マスキング材の検出しようとするエリアに光源31からの光を確実に導くことができる。
【0057】
さらに加えて、マスキング検出構造30が、凹部40を介してケーシング20の内部に透過した検出光を受光器32に向けて反射する第2の反射部材60を備えているので、受光器32の配置や向きに制約が課される場合であっても、マスキング材を検出しようとするエリアからの光を受光器32に確実に導くことができる。
【0058】
[その他の実施形態]
なお、本願発明は、前記実施形態に限られるものではない。
【0059】
例えば凹部40は、前記実施形態では、長手方向と直交する断面が略矩形状のものであったが、
図6に示すように、長手方向と直交する方向断面が三角形状のものであっても良いし、
図7に示すように、長手方向と直交する断面がU字状のものであっても良い。
【0060】
前記実施形態では、光源31側の第1対向面41(a)を介して検出光をケーシング20の内部から外部に透過させていたが、凹部40の底面43を介して検出光をケーシング20の内部から外部に透過させても良い。
また、前記実施形態では、受光器32側の第1対向面41(b)を介して検出光を外部からケーシング20の内部に透過させていたが、凹部40の底面43を介して検出光を外部からケーシング20の内部に透過させても良い。
【0061】
前記実施形態では、一対の第1対向面41が、底面43に向かうに連れて離間距離が短くなる傾斜面であったが、これらの第1対向面41は、底面43に向かうに連れて離間距離が長くなる傾斜面であっても良いし、これらの第1対向面41の一方又は両方は、底面43に対して直交する直立面であっても良い。
【0062】
また、前記実施形態では、マスキング検出構造30をマイクロ波方式のセンサ部10(B)に対して設けられているものとして説明したが、この検知方式とは別の検知方式のセンサ部10に対して設けられたものであっても良い。
【0063】
マスキング検出構造30としては、検知センサ100に対して取り付けられた後のマスキング材を検出するものに限らず、検知センサ100に取り付けられる前にマスキング材(例えば、検知センサに近づいてくるマスキング材等)を検出して、マスキング行為を未然に防ぐことができるように構成されていても良い。
【0064】
さらに、検知センサ100の検知方式として、前記実施形態では、受動型赤外線検知方式及びマイクロ波検知方式を例に挙げたが、これらの検知方式の他、例えば検知波として近赤外線を投光し、物体から反射した近赤外線を受光して検知対象を検出するAIR方式や、電磁波の撹乱を検知する方式や、領域の内外を分ける物理遮蔽手段の開閉に連動したスイッチなどを用いて検知対象を検知する方式などを採用しても構わない。
【0065】
その他、本願発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本願発明によれば、デ低反射率のものやシート状のものなど種々のマスキング材を検出できるようにしつつ、製品の見栄えを担保することができる。