特許 7592345 自動排水弁付き湿式掃除機

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B1)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-11-22

(45)【発行日】2024-12-02

(54)【発明の名称】自動排水弁付き湿式掃除機

(51)【国際特許分類】

   A47L 7/00 20060101AFI20241125BHJP

【ＦＩ】

A47L7/00 A

【請求項の数】 4

(21)【出願番号】P 2024061455

(22)【出願日】2024-04-05

【審査請求日】2024-04-05

【早期審査対象出願】

(73)【特許権者】

【識別番号】520418798

【氏名又は名称】北川 功

(74)【代理人】

【識別番号】100100170

【弁理士】

【氏名又は名称】前田 厚司

(72)【発明者】

【氏名】北川 功

【審査官】大光 太朗

(56)【参考文献】

【文献】実開昭５５－１２１３２９（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２０２３－０９３７８０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特表２００４－５２１６９０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開昭５７－１０３６１５（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開昭５７－１８１２４６（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開平６－３０４０９６（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ａ４７Ｌ ７／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

吸引口と、
前記吸引口から吸い込まれる水を保持するタンク部と、
前記吸引口から前記タンク部の内部を通る吸引経路に吸引力を発生させる吸引部と、
前記タンク部に保持される水の水位に応じて上下に移動可能で、前記水位が所定のレベルに達すると前記吸引経路を遮断するフロート弁と、
を備えた湿式掃除機において、
前記タンク部の底に排水口が設けられ、
前記排水口に、前記タンク部内の圧力が低下すると閉じ、前記タンク部内の圧力が増加すると開く排水弁が設けられ、前記排水弁は、前記排水口に一端が接続され、他端が開放された平ホースである、自動排水弁付き湿式掃除機。

【請求項2】

前記吸引口に吸引ホースが取り付けられ、
前記吸引ホースの保持部に近い位置に、前記吸引部の電源をオン・オフするスイッチが配置されている、請求項１に記載の湿式掃除機。

【請求項3】

前記排水口は、前記タンク部の下部側面に設けられ、前記排水口の内面下部は前記タンク部の底部よりも高い位置にある、請求項１に記載の湿式掃除機。

【請求項4】

前記排水口は、前記タンク部の底部に設けられ、前記排水口の上端は前記タンク部の底内面よりも高い位置にある、請求項１に記載の湿式掃除機。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、満水時の汚水の排水作業を手作業でのタンク部と吸引部の切り離しをせずに自動的に行うことができる自動排水弁付き湿式掃除機に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、湿ったゴミや水を吸い込むことができる湿式掃除機には、様々な提案がなされている、例えば、特許文献１には、容器内に吸い込んだ水がフロート弁を押し上げ、液面が所定のレベルに達すると、吸引モータを有する吸引部の吸気口を封止する湿式掃除機が記載されている。特許文献２には、吸引モータの吸気経路に可撓性接続部を設けることにより、吸い込んだ水を保持する容器が傾いても、フロート弁が正常に作動するようにした湿式掃除機が記載されている。

【0003】

しかし、従来の湿式掃除機は、タンク部に吸い込んだ汚水が満水になると、その都度、作業者の手でタンク部と、吸引モータがある吸引部との切り離しを行い、タンク部を返して排水作業を行う必要があった。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【文献】特開２０２１－８４０２９号公報

【文献】特開２０２３－９３７８０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

従来の湿式掃除機において、吸い込んだ汚水が満水になった場合は長い吸込ホースを使用していても掃除機本体の設置場所まで戻り、吸引部とタンク部とを取り外し、タンク部の水を作業者の手で物理的に排出していた。そのため、大量の水を吸い込むときは、タンク部の容量が限られているので、幾度も掃除機本体の設置場所まで戻り、人手による排水作業行う必要があった。

【0006】

本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、吸い込んだ水の排水作業を自動的に行うことができる湿式掃除機を提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
（１）吸引口と、
前記吸引口から吸い込まれる水を保持するタンク部と、
前記吸引口から前記タンク部の内部を通る吸引経路に吸引力を発生させる吸引部と、
前記タンク部に保持される水の水位に応じて上下に移動可能で、前記水位が所定のレベルに達すると前記吸引経路を遮断するフロート弁と、
を備えた湿式掃除機において、
前記タンク部の底に排水口が設けられ、
前記排水口に、前記タンク部内の圧力が低下すると閉じ、前記タンク部内の圧力が増加すると開く排水弁が設けられている。

【0008】

手段１では、吸引部によりタンク部内の圧力が低下して負圧になると、排水弁が閉じて排水口が閉じられ、吸引口から吸い込んだ水がタンク内に溜まる。タンク部内の水が所定のレベルに達すると、フロート弁が吸引経路を閉じるので、吸引部による吸引を停止する。タンク部内の圧力が増加すると、排水弁が開いて排水口が開くので、排水口から水の自重により自動的に排水される。排水が完了すると、吸引部による吸引を再開することができる。このように、吸水と排水を連続して行うことができる。

【0009】

（２）前記排水弁は、前記排水口に一端が接続され、他端が開放された平ホースである。
手段２では、平ホースは、弁と排水ホースの両方の役目を果たすことができる。
また、平ホースの長さを調整することにより、汚水を任意の位置まで運び、放出させることができる。
平ホースは、再度タンク部内に負圧が発生して水を吸い込む状態になった時にタンク部の内部の負圧と外部大気圧によって平ホースの隙間が完全に閉じられ、それが弁の役をはたし、タンク内に負圧が発生する。外部大気圧は平ホースを押しつぶす力のみにあり、タンク部内の負圧と大気圧の相乗効果で平ホースが開くことはあり得ない。このため、湿式掃除機としての本来の汚水の吸水ができる。

【0010】

（３）前記排水弁は、前記排水口を開閉可能な可撓性を有する板状の弁体であってもよい。
手段３では、タンク部内の圧力が低下すると、弁体が閉じて、タンク部内に負圧を発生させることができ、タンク部内の圧力が増加すると弁体が開くので、ダンク部内の水を排水することができる。

【0011】

（４）前記吸引口に吸引ホースが取り付けられ、
前記吸引ホースの保持部に近い位置に、前記吸引部の電源をオン・オフするスイッチが配置されている。
手段４では、スイッチを吸引ホースの先または任意の位置の保持部まで延長することで、吸引部の電源を手元でオン・オフすることができ、掃除機本体まで戻ってスイッチを奏する必要がない。

【0012】

（５）前記排水口は、前記タンク部の下部側面に設けられ、前記排水口の内面下部は前記タンク部の底部よりも高い位置にある。
（６）前記排水口は、前記タンク部の底部に設けられ、前記排水口の上端は前記タンク部の底内面よりも高い位置にある。
手段５、手段６では、排水口の内面下部が底より高い位置にあるので、タンク部から水が排水される間、ゴミ、小石等の固形物は、タンク部の底に溜めることができ、作業終了時にタンク部２から取り出すことができる。

【発明の効果】

【0013】

本発明によれば、排水作業をする作業者は一度も掃除機本体を外して内部の水を排出する必要がないので、結果として連続して大きな容量の水も吸い込み排出すことができる。
タンク部に吸水が行われ、タンク部の水が満水になると電源をオフし、タンク内の水が全部排水された事を確認し、電源をオンするとまた吸水が行われて、同じ作業を永遠に繰り返すことができる。
また、通常のインペラ付きのポンプでは吸えない小さなごみくず、小石等も一緒に吸うことができ、これらも汚水と一緒に排水することができる。
さらに、負圧を発生させるためのバネ、蝶番等の機械的な部品を用いず、大気圧によって排水弁を開閉させて、タンク部内に負圧を発生させることができる。
また、排水弁は、タンク内の負圧とタンク外の大気圧によって開閉して汚水が流れるので、詰まることが無く、修理の必要がなくなる。
通常のインペラ型ポンプ排水機に比べ、格段に汚水の通り道が広くできるので、ある程度大きなものまで吸引し、排出することができ、構造が簡単で安価に製造ができる等の効果を有している。

【図面の簡単な説明】

【0014】

【図1】本発明の湿式掃除機の全体斜視図。

【図2】本発明の湿式掃除機の断面図。

【図3A】本発明の湿式掃除機で、タンク部内に負圧が生じ、平ホースが大気の圧力によって圧縮されて排水口を封鎖している通電状態を示す断面図。

【図3B】本発明の湿式掃除機で、吸引口から汚水を吸い込んでいる吸水状態を示す断面図。

【図3C】本発明の湿式掃除機で、タンク部内が満水となり、フロート弁がその浮力によって下吸気口を塞いだ遮断状態を示す断面図。

【図3D】本発明の湿式掃除機で、タンク部内の負圧がゼロになり、汚水が自重によって排出されている排水状態を示す断面図。

【図4】平ホースに小石が残った状態を示す湿式掃除機の一部断面図。

【図5】排水弁として可撓性の弁体を用いた変形例を示す湿式掃除機の一部断面図。

【図6】排水口をタンク部の底に設けた変形例を示す湿式掃除機の一部断面図。

【図7】従来の湿式掃除機のタンク部が汚水で満たされた状態を示す断面図（ａ）、タンク部の汚水を排水している状態を示す断面図（ｂ）。

【発明を実施するための形態】

【0015】

以下、本発明の実施形態に係る自動排水弁付き湿式掃除機について、添付図面に従って説明する。

【0016】

図１は、本発明に実施形態に係る自動排水弁付き湿式掃除機１を示す。湿式掃除機１は、タンク部２と、蓋部３と、平ホース４と、吸引ホース５とからなっている。タンク部２と蓋部３は、掃除機本体６を構成する。平ホース４は、本発明の排水弁を構成する。

【0017】

タンク部２は、図２に示すように、上端が開口され、下端が閉じられた円筒形で、側面の上部に吸引口７が設けられ、側面の下部に排水口８が設けられている。排水口８の内面下部は、タンク部２の底より高い位置に設けることが好ましい。タンク部２の底には、キャスタ９が設けられている。

【0018】

蓋部３は、タンク部２の開口した上端にパッキン１０を介して設置され、クランプ１１により、タンク部２に対して取り外し可能に設けられている。蓋部３の外側には、吸引モータ１２とファン１３からなる吸引部１４が設けられ、蓋部３の中央に形成された上吸気口１５から吸引した空気を蓋部３の側面に形成された排気口１６から排出するようになっている。吸引モータ１２は、電源コード１７を介して給電され、電源スイッチ１８により電源がオン・オフ可能になっている。電源コード１７から分岐して吸引ホース５の先端まで延長された補助電源コード１９には、補助電源スイッチ２０が設けられている。補助電源コード１９は吸引ホース５に内蔵させ、補助電源スイッチ２０は吸引ホースの保持部の近傍に設けてもよい。

【0019】

蓋部３の内側には、フィルタ２１を内蔵するフィルタ部２２が設けられている。フィルタ部２２の底には下吸気口２３が形成されている。吸引口７から、下吸気口２３、フィルタ２１，上吸気口１５を経てファン１５に至る吸引経路を形成されている。フィルタ部２２の下方には、フロート弁２４を上下に移動可能に支持するフロート支持部２５が設けられている。フロート弁２４は、タンク部２に貯留される汚水に浮遊可能なもので、重力により下方に移動して、下吸気口２３を開放し、タンク部２に貯留する汚水が上昇すると押し上げられて上方に移動し、下吸気口２３をパッキン２６を介して閉鎖し、吸引経路を遮断するようになっている。

【0020】

平ホース４は、本発明の排水弁を構成するもので、タンク部２の排水口８に接続されている。平ホース４は、化学繊維と軟質塩化ビニルを原料とした樹脂製の送排水ホースであり、タンク部２内の圧力が低下すると閉じ、タンク部２内の圧力が増加すると開くようになっている。平ホース４としては、内径５０～１００ｍｍのサニーホース（登録商標）又は消防用ホースを使用することができる。平ホース４の長さは、あまりに短いと、タンク部２内の圧力が低下しても、排水口８を閉じることができず、あまりに長いと、タンク部２内の圧力が増加しても、排水口を開くことができないため、２００～５００ｍｍが好ましい。

【0021】

吸引ホース５は、一端がタンク部２の吸引口７に接続され、他端は、図示しないノズルが取り付けられるようになっている。

【0022】

次に、湿式補掃除機１の作用について説明する。

【0023】

図３Ａに示すように、作業者が電源スイッチ１８により通電すると吸引モータ１２が稼働し、下吸気口２３、フィルタ２１、上吸気口１５を介してタンク部２内の空気がファン１３に吸引されて排気口１６から排気される。この結果、タンク部２内に負圧が発生し、吸引口７と排水口８は外気を吸い込もうとするが、排水口８の平ホース４が大気圧によっておしつぶされて排水口８が閉じられるので、タンク部２に通じる口は吸引ホース５が接続されている吸引口７のみになる。これにより、吸引モータ１２が引き続き稼働しタンク部２内の圧力が減圧されて、吸引ホース５を介して汚水の吸引が始まる。

【0024】

図３Ｂに示すように、吸引ホース５から吸引口７を通ってタンク部２に吸い込まれた空気、ごみ、小石及び汚水のうち、ごみ、小石及び汚水は重力でタンク部２の底に落下し、空気は下吸気口２３、フィルタ２１、上吸気口１５を経て、吸引部１４のファン１３に吸い込まれ、排気口１６から排気される。タンク部２は、平ホース４が閉じた状態にあるので、ごみ、小石及び汚水はタンク部２１内に溜められる。

【0025】

次に、図３Ｃに示すように、汚水がタンク部２内に満たされ、汚水の水位が所定のレベルに達すると、予め取り付けられたフロート弁２４が浮き上がり、下吸気口２３を塞ぐ。この結果、吸気経路が遮断され、吸引力が弱くなるととともに吸引モータ１２の負荷が増大して騒音が大きくなるので、作業者は、補助電源スイッチ２０により電源を遮断し、吸引モータ１２を停止する。

【0026】

これにより、ファン１３の排気口１６や吸引ホース５から大気がタンク部２内に進入し、タンク部２の圧力が増加するため、図３Ｄに示すように、フロート弁２４が下部へ落下し、タンク部２内の負圧が外気と同じ気圧に戻る。この結果、平ホース４がタンク部２内の圧力により開放され、汚水が自重で平ホース４の中を通ってタンク部２の外に排出される。ゴミ、小石等の固形物は、排水口の内面下部が底より高い位置にあるので、タンク部の底に溜めることができ、作業終了時にタンク部２から取り出すことができる。

【0027】

タンク部２内の汚水が完全に排出されると、吸引ホース５を保持する作業者は、近くにある補助電源スイッチ２０により通電する。これにより、吸引ホース５による吸引を再開することができる。

【0028】

図３Ａ～図３Ｄのように、通電、給水、遮断、排水の工程を繰り返すことによって、作業者は一度も掃除機本体６に触れることなく、永遠に汚水を吸引し排出させることができる。

【0029】

従来の湿式掃除機は、図７に示すように、おのずとタンク部の大きさには限界があり、タンク部の汚水が満杯になった時点で、作業者が物理的に蓋部とタンク部を分離して、タンク部の汚水を手作業で排水しなければならなかったが、本発明の湿式掃除機では、タンク部２に平ホース４を設けることにより、タンク部２内の負圧がゼロになった時に汚水が自重で平ホース４を通じてタンク部２の外に排出されるので、作業者が掃除機本体６まで戻って、手作業で排水する必要がなくなる。

【0030】

本発明の湿式掃除機では、長い吸引ホース５を使用して、掃除機本体６から離れた位置で作業しても、補助電源スイッチ２０の位置を作業者の近くに設けることにより、掃除機本体６に一度も触れることなく作業をすることができる。
また、排水口８に弁ではなく、平ホース４を使用しているので、平ホース４を延長するか、平ホース４に図示しない排水ホースを接続することによって、排水ホースの長さを調整し、汚水を捨てる場所まで伸ばすことができる。排水口８が弁でではなく平ホース４を設けているため、仮に、図４に示すように、平ホース４内に小石等が残っていても、負圧になって扁平になったときに平ホースの内面が小石の回りで密着して負圧が保たれるので、開閉動作を妨げることがないことから故障がないし、構造が簡単であることから製造コストが安価で済む。

【実施例】

【0031】

１２００Ｗの吸引モータ、容量２７Ｌのタンク部、口径３８ｍｍの吸引ホース、口径５０ｍｍ、長さ２００ｍｍの平ホースを有する本発明の湿式掃除機を用いて、所定の水量を吸引して排水する作業を行った。比較例として、本発明と同一消費電力、同一のタンク容量、同一の吸引ホースを有し、排水口の無い従来の湿式掃除機を使用して同一の作業を行った。

【0032】

表１に示すように、本発明では、例１として4リットルの水の吸水に7.72秒、同排水に10.30秒、例２として5リットルの水の吸水に8.27秒、同排水に11.10秒、例３として6リットルの水の吸水に11.23秒、同排水に12.88秒であった（この数字は10回ずつ試行した平均値である）。排水時間については、吸水した水が１滴も残らない排水された時間ではなく、タンク部内の水がほぼ90～95％排出されたと思われる時間で表記してある。タンク部内の水の自重によって排出されるため、水の吸水と排水に係る時間は比例しない。

【表1】

【0033】

従来の湿式掃除機の場合、掃除機本体を解体し、手動で排水する時間は平均１分程度かかる。また、掃除機本体まで戻り作業を開始するのに、作業場の状況にもよりるが、はしご、脚立等を使用する4～5ｍの落差の掃除機本体と吸引ホースを持って作業する場所との往復だけでも１分30秒以上はかかり、最低でも2分30秒位はかかる。これに対し、本発明では、通電から排水までの作業を要する時間は、大幅に短縮され、簡便で、効率が良いことが分かった。

【0034】

従来の湿式掃除機を使用すると、作業者が掃除する場所と掃除機本体までの距離を往復移動し、掃除機本体を分解して、タンク部を持って溝などに汚水を流し、再度掃除機本体を組み立てて作業をやり直す必要があった。また吸水量によって異なるが同じ作業を幾度となく繰り返す必要があった。本発明の湿式掃除機を使用した場合は、従来の湿式掃除機のような、掃除機本体までの往復移動と分解、排水、組立に要する時間が無くなり、作業時間を大幅に短縮することができる。

【0035】

また、従来、津波、河川の氾濫、地震による液状化等により家屋内に侵入した泥水は、スコップ、塵取り、ほうき等を使って排除するのが普通であったが、最終的には泥、砂が残り、完全に排除することはできなかった。また、通常のインペラ付きのポンプで排水しようとしても、泥がインペラに侵入して運転ができなくなり、故障も生じる。本発明の湿式掃除機を使用する場合、柱と床の間に入った泥水や異物、又は根太と土間の間に入った泥等が固くなった状態でも、水をかけることによって柔らかくし、液状にしてから、泥水等を吸引して全て取り去ることができる。

【0036】

前記実施形態では、排水弁として、排水口８に平ホース４を設けたが、この平ホース４の代わりに、図５に示すように、排水口を開閉可能なゴムや樹脂製の可撓性を有する円板状の弁体２７を排水口８の上縁に取り付けて、タンク部２内の圧力が低下すると閉じ、タンク部２内の圧力が増加すると開くようにしてもよい。

【0037】

また、前記実施形態では、排水口８をタンク部２の下部側面に設けたが、図６に示すように、排水口８をタンク部２の底に設けて、上端をタンク部２の底より高い位置に設けるようにしてもよい。

【0038】

さらに、前記実施形態では、満水時、排水完了時に手動で補助電顕スイッチ２０により電源をオン・オフするようにしたが、フロート弁２４が下吸気口２３を閉じたことを検出するスイッチを設けて、電源を自動的にオフし、またタンク部２内の水が排出されて水位が所定レベル以下になったことを検出するスイッチを設けて、電源を自動的にオンするようにしてもよい。

【符号の説明】

【0039】

１…湿式掃除機
２…タンク部
３…蓋部
４…平ホース（排水弁）
５…吸引ホース
６…掃除機本体
７…吸引口
８…吸引口
９…キャスタ
１０…パッキン
１１…クランプ
１２…吸引モータ
１３…ファン
１４…吸引部
１５…上吸気口
１６…排気口
１７…電源コード
１８…電源スイッチ
１９…補助電源コード
２０…補助電源スイッチ
２１…フィルタ
２２…フィルタ部
２３…下吸気口
２４…フロート弁
２５…フロート支持部
２６…パッキン
２７…弁体

【要約】

【課題】吸い込んだ水の排水作業を自動的に行うことができる湿式掃除機を提供する。
【解決手段】湿式掃除機１は、吸引口７と、吸引口７から吸い込まれる水を保持するタンク部２と、吸引口７からタンク部２の内部を通る吸引経路に吸引力を発生させる吸引部１４と、タンク部１に保持される水の水位に応じて上下に移動可能で、水位が所定のレベルに達すると吸引経路を遮断するフロート弁２４と、を備える。タンク部２の底に排水口８が設けられ、排水口８に、タンク部２内の圧力が低下すると閉じ、タンク部２内の圧力が増加すると開く平ホース４が設けられている、
【選択図】図２

【図1】

【図2】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】