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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】物品収納箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20241125BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20241125BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
B65D83/08 C
B65D83/08 G
A47K10/42 B
A47K10/20 A
【請求項の数】 71
(21)【出願番号】P 2024510616
(86)(22)【出願日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2024005747
(87)【国際公開番号】W WO2024085262
(87)【国際公開日】2024-04-25
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314000800
【氏名又は名称】株式会社無有
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-301450(JP,A)
【文献】特開2009-091014(JP,A)
【文献】実開平05-034179(JP,U)
【文献】実開昭58-103778(JP,U)
【文献】特開2018-138475(JP,A)
【文献】特開2018-138478(JP,A)
【文献】特開2018-199529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/42
A47K 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品が積み重ねられた状態で収納される物品収納箱であって、
底面部、第1乃至第4の側面部、及び上面部からなる箱状の本体を備え、
前記本体は、
前記底面部から前記第1の側面部にかけて形成された第1切込線と、
前記第1の側面部に対向する前記第2の側面部に形成された第2切込線と、
前記第1切込線に沿って当該本体に切目が入った状態で、前記第1の側面部の中間部に接続された舌片となる舌片部と、
前記第2切込線に沿って当該本体に切目が入った状態で、前記第2の側面部の中間部に位置するとともに前記舌片を挿入可能なスリットとなるスリット部と、を有することを特徴とする物品収納箱。
【請求項2】
請求項1に記載の物品収納箱において、
前記舌片は、前記スリットに挿入された状態で前記底面部と平行になるように構成されている物品収納箱。
【請求項3】
請求項1に記載の物品収納箱において、
前記本体の高さ方向について、前記底面部から前記スリット部までの距離は、前記本体の高さの1/2以上である物品収納箱。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第1の側面部には、前記舌片を前記第2の側面部に向かって折り曲げるための折り線が設けられている物品収納箱。
【請求項5】
請求項4に記載の物品収納箱において、
前記折り線は、側面視で、前記スリット部に重なる位置に設けられている物品収納箱。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記舌片の長さは、前記第1の側面部から前記第2の側面部までの距離の1.1倍以上である物品収納箱。
【請求項7】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記舌片の長さは、前記第1の側面部から前記第2の側面部までの距離よりも1cm以上大きい物品収納箱。
【請求項8】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第1切込線は、
前記底面部に形成され、前記第1の側面部から前記第2の側面部に向かって延在する第1及び第2の底面切込部分と、
前記底面部に形成され、前記第1の底面切込部分と前記第2の底面切込部分とを連結する第3の底面切込部分と、
前記第1の側面部に形成され、それぞれ前記第1及び第2の底面切込部分に連続する第1及び第2の側面切込部分とからなる物品収納箱。
【請求項9】
請求項8に記載の物品収納箱において、
前記第1及び第2の底面切込部分、並びに前記第1及び第2の側面切込部分は、何れも一直線状をしている物品収納箱。
【請求項10】
請求項9に記載の物品収納箱において、
前記第1及び第2の底面切込部分は、前記第1の側面部と垂直に延在している物品収納箱。
【請求項11】
請求項9に記載の物品収納箱において、
前記第1及び第2の側面切込部分は、前記本体の高さ方向に延在している物品収納箱。
【請求項12】
請求項8に記載の物品収納箱において、
前記第3の底面切込部分は、一直線状をしている物品収納箱。
【請求項13】
請求項12に記載の物品収納箱において、
前記第3の底面切込部分は、前記第1の側面部と平行に延在している物品収納箱。
【請求項14】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記舌片は、先細りの形状をしている物品収納箱。
【請求項15】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記舌片の幅は、前記第1の側面部の幅の1/2以上である物品収納箱。
【請求項16】
請求項15に記載の物品収納箱において、
前記舌片の幅は、前記第1の側面部の幅の3/4以上である物品収納箱。
【請求項17】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第1及び第2の側面部の幅は、前記第3及び第4の側面部の幅よりも大きい物品収納箱。
【請求項18】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第2切込線は、
前記本体の高さ方向に延在する第1及び第2の縦切込部分と、
前記第1の縦切込部分の一端と前記第2の縦切込部分の一端とを連結する横切込部分とを含む物品収納箱。
【請求項19】
請求項18に記載の物品収納箱において、
前記第1及び第2の縦切込部分、並びに前記横切込部分は、何れも一直線状をしている物品収納箱。
【請求項20】
請求項18に記載の物品収納箱において、
前記第2切込線は、前記第1及び第2の縦切込部分、並びに前記横切込部分のみからなる物品収納箱。
【請求項21】
請求項20に記載の物品収納箱において、
前記横切込部分は、波状をしている物品収納箱。
【請求項22】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記舌片における前記スリットから前記本体の外部に食み出す部分である食出部には、文字又は図柄が印刷されている物品収納箱。
【請求項23】
請求項22に記載の物品収納箱において、
前記文字又は前記図柄は、前記食出部の上面に印刷されている物品収納箱。
【請求項24】
請求項22に記載の物品収納箱において、
前記食出部には、宣伝文句が印刷されている物品収納箱。
【請求項25】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第2の側面部の内面における側面視で前記舌片部に重なる部分である特定部には、文字又は図柄が印刷されている物品収納箱。
【請求項26】
請求項25に記載の物品収納箱において、
前記特定部には、宣伝文句が印刷されている物品収納箱。
【請求項27】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記本体の内面のうち、前記スリットに挿入された状態の前記舌片の下方に存在する部分である下方部分には、香料が付着した香り部が設けられており、
前記香り部には、剥離可能なシールが貼付されている物品収納箱。
【請求項28】
請求項27に記載の物品収納箱において、
前記香り部は、前記第2の側面部の内面における側面視で前記舌片部に重なる部分である特定部に設けられている物品収納箱。
【請求項29】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記本体は、当該本体の高さ方向の異なる位置に設けられた複数の前記スリット部を有する物品収納箱。
【請求項30】
請求項29に記載の物品収納箱において、
前記第1の側面部には、前記舌片を前記第2の側面部に向かって折り曲げるための折り線が複数設けられており、
前記複数の折り線は、前記本体の高さ方向の異なる位置に設けられており、
前記各折り線は、側面視で、前記各スリット部に重なる位置に設けられている物品収納箱。
【請求項31】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記物品は、ティッシュペーパーである物品収納箱。
【請求項32】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記本体は、前記上面部おいて第1及び第2の長辺並びに第1及び第2の短辺で囲まれた長方形状の領域であり、前記物品の取出口が形成される取出口形成部を有し、
前記取出口形成部は、
当該取出口形成部の長手方向に延在する波状の第1の主切込線と、
前記第1の主切込線の一端と交わり、かつ当該取出口形成部の前記第1の長辺と前記第2の長辺とを結ぶ第2の主切込線と、
前記第1の主切込線の他端と交わり、かつ当該取出口形成部の前記第1の長辺と前記第2の長辺とを結ぶ第3の主切込線と、を有し、
前記取出口形成部の短手方向について、前記第1の主切込線における前記第1の長辺に最も近い部分である頂部から前記第2の長辺までの距離は、当該頂部から前記第1の長辺までの距離の半分以下である物品収納箱。
【請求項33】
請求項32に記載の物品収納箱において、
前記第1乃至第3の主切込線と前記第1の長辺とで囲まれた部分を第1の保持部とし、前記第1乃至第3の主切込線と前記第2の長辺とで囲まれた部分を第2の保持部としたとき、
前記第1の保持部における前記第2の保持部に対向する辺である第1の対向辺は、複数の凸部を有する物品収納箱。
【請求項34】
請求項33に記載の物品収納箱において、
前記第1の対向辺において最端に位置する前記凸部は、当該第1の対向辺において最端以外に位置する前記凸部よりも出っ張っている物品収納箱。
【請求項35】
請求項33に記載の物品収納箱において、
前記第2の保持部における前記第1の保持部に対向する辺である第2の対向辺は、複数の凸部を有する物品収納箱。
【請求項36】
請求項35に記載の物品収納箱において、
前記第2の対向辺において最端に位置する前記凸部は、当該第2の対向辺において最端以外に位置する前記凸部よりも出っ張っている物品収納箱。
【請求項37】
請求項33に記載の物品収納箱において、
前記第1の長辺には、前記第1の保持部を当該第1の長辺に沿って折り曲げるための折り線が設けられている物品収納箱。
【請求項38】
請求項33に記載の物品収納箱において、
前記第2の長辺には、前記第2の保持部を当該第2の長辺に沿って折り曲げるための折り線が設けられている物品収納箱。
【請求項39】
請求項33に記載の物品収納箱において、
前記第1の対向辺が有する前記各凸部は、前記第2の長辺まで達している物品収納箱。
【請求項40】
請求項32に記載の物品収納箱において、
前記取出口形成部の長手方向について、前記第1の主切込線の前記一端から前記他端までの距離は、前記第1の長辺の長さよりも小さい物品収納箱。
【請求項41】
請求項32に記載の物品収納箱において、
前記取出口形成部は、
前記第2の主切込線における前記第1の長辺側の端部と前記第2の長辺とを結ぶ第1の副切込線と、
前記第3の主切込線における前記第1の長辺側の端部と前記第2の長辺とを結ぶ第2の副切込線と、を有する物品収納箱。
【請求項42】
請求項41に記載の物品収納箱において、
前記第2の主切込線と前記第1の副切込線と前記第2の長辺とで囲まれた部分を第1の補助部とし、前記第3の主切込線と前記第2の副切込線と前記第2の長辺とで囲まれた部分を第2の補助部としたとき、
前記第2の長辺には、前記第1及び第2の補助部を当該第2の長辺に沿って折り曲げるための折り線が設けられている物品収納箱。
【請求項43】
請求項41に記載の物品収納箱において、
前記第2の主切込線は、前記第1の副切込線側に膨らんだ曲線状をしている物品収納箱。
【請求項44】
請求項41に記載の物品収納箱において、
前記第3の主切込線は、前記第2の副切込線側に膨らんだ曲線状をしている物品収納箱。
【請求項45】
請求項41に記載の物品収納箱において、
前記取出口形成部は、
前記第1の副切込線における前記第2の長辺側の端部と前記第1の長辺とを結ぶ第3の副切込線と、
前記第2の副切込線における前記第2の長辺側の端部と前記第1の長辺とを結ぶ第4の副切込線と、を有する物品収納箱。
【請求項46】
請求項45に記載の物品収納箱において、
前記第1の副切込線と前記第3の副切込線と前記第1の長辺とで囲まれた部分を第3の補助部とし、前記第2の副切込線と前記第4の副切込線と前記第1の長辺とで囲まれた部分を第4の補助部としたとき、
前記第1の長辺には、前記第3及び第4の補助部を当該第1の長辺に沿って折り曲げるための折り線が設けられている物品収納箱。
【請求項47】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記本体は、前記上面部おいて第1及び第2の長辺並びに第1及び第2の短辺で囲まれた長方形状の領域であり、前記物品の取出口が形成される取出口形成部を有し、
前記取出口形成部は、
当該取出口形成部の長手方向に延在する第1の主切込線と、
前記第1の主切込線における前記第1の短辺側の端部である第1の端部と交わり、かつ当該取出口形成部の前記第1の長辺と前記第2の長辺とを結ぶ第2の主切込線と、
前記第1の主切込線における前記第2の短辺側の端部である第2の端部と交わり、かつ当該取出口形成部の前記第1の長辺と前記第2の長辺とを結ぶ第3の主切込線と、
前記第2の主切込線における前記第1の長辺側の端部である第1の端部と前記第2の長辺とを結ぶ第1の副切込線と、を有し、
前記第2の主切込線は、前記第1の短辺側に膨らんだ曲線状をしている物品収納箱。
【請求項48】
請求項47に記載の物品収納箱において、
前記第2の主切込線における前記第1の短辺に最も近い部分である最外部は、前記第1の主切込線の前記第1の端部と前記第1の長辺との間に存在する物品収納箱。
【請求項49】
請求項47に記載の物品収納箱において、
前記第2の主切込線は、円弧状をしている物品収納箱。
【請求項50】
請求項47に記載の物品収納箱において、
前記第1乃至第3の主切込線と前記第1の長辺とで囲まれた部分を第1の保持部としたとき、
前記第1の長辺には、前記第1の保持部を当該第1の長辺に沿って折り曲げるための折り線が設けられている物品収納箱。
【請求項51】
請求項47に記載の物品収納箱において、
前記第1乃至第3の主切込線と前記第2の長辺とで囲まれた部分を第2の保持部としたとき、
前記第2の長辺には、前記第2の保持部を当該第2の長辺に沿って折り曲げるための折り線が設けられている物品収納箱。
【請求項52】
請求項47に記載の物品収納箱において、
前記第2の主切込線と前記第1の副切込線と前記第2の長辺とで囲まれた部分を第1の補助部としたとき、
前記第2の長辺には、前記第1の補助部を当該第2の長辺に沿って折り曲げるための折り線が設けられている物品収納箱。
【請求項53】
請求項47に記載の物品収納箱において、
前記第3の主切込線における前記第1の長辺側の端部である第1の端部と前記第2の長辺とを結ぶ第2の副切込線を有し、
前記第3の主切込線は、前記第2の短辺側に膨らんだ曲線状をしている物品収納箱。
【請求項54】
請求項53に記載の物品収納箱において、
前記第3の主切込線における前記第2の短辺に最も近い部分である最外部は、前記第1の主切込線の前記第2の端部と前記第1の長辺との間に存在する物品収納箱。
【請求項55】
請求項53に記載の物品収納箱において、
前記第3の主切込線は、円弧状をしている物品収納箱。
【請求項56】
請求項53に記載の物品収納箱において、
前記第3の主切込線と前記第2の副切込線と前記第2の長辺とで囲まれた部分を第2の補助部としたとき、
前記第2の長辺には、前記第2の補助部を当該第2の長辺に沿って折り曲げるための折り線が設けられている物品収納箱。
【請求項57】
請求項47に記載の物品収納箱において、
前記第1の主切込線は、波状をしている物品収納箱。
【請求項58】
請求項57に記載の物品収納箱において、
前記第1乃至第3の主切込線と前記第1の長辺とで囲まれた部分を第1の保持部とし、前記第1乃至第3の主切込線と前記第2の長辺とで囲まれた部分を第2の保持部としたとき、
前記第1の保持部における前記第2の保持部に対向する辺である第1の対向辺は、複数の凸部を有する物品収納箱。
【請求項59】
請求項58に記載の物品収納箱において、
前記第1の対向辺において最端に位置する前記凸部は、当該第1の対向辺において最端以外に位置する前記凸部よりも出っ張っている物品収納箱。
【請求項60】
請求項58に記載の物品収納箱において、
前記第2の保持部における前記第1の保持部に対向する辺である第2の対向辺は、複数の凸部を有する物品収納箱。
【請求項61】
請求項60に記載の物品収納箱において、
前記第2の対向辺において最端に位置する前記凸部は、当該第2の対向辺において最端以外に位置する前記凸部よりも出っ張っている物品収納箱。
【請求項62】
請求項1乃至3の何れかに記載の物品収納箱において、
前記上面部は、外側部材と、前記外側部材の裏面に重なるように設けられた内側部材とを含み、
前記外側部材は、上方に折り曲げられることにより前記物品の取出口となる第1の開口を当該外側部材に生じさせる第1の折曲部を有し、
前記内側部材は、上方に折り曲げられることにより前記第1の開口を通過して前記第1の折曲部と向かい合わせになる第2の折曲部を有する物品収納箱。
【請求項63】
請求項62に記載の物品収納箱において、
当該物品収納箱の使用時、前記第1の折曲部は、斜め上方に折り曲げられた状態にある物品収納箱。
【請求項64】
請求項63に記載の物品収納箱において、
前記第1の折曲部は、斜め上方に折り曲げられた状態で前記第2の折曲部に接する物品収納箱。
【請求項65】
請求項62に記載の物品収納箱において、
前記第1の折曲部と前記第1の開口とは、形状及び大きさが互いに等しい物品収納箱。
【請求項66】
請求項62に記載の物品収納箱において、
当該物品収納箱の使用時、前記第2の折曲部は、斜め上方に折り曲げられた状態にある物品収納箱。
【請求項67】
請求項66に記載の物品収納箱において、
前記第2の折曲部は、斜め上方に折り曲げられた状態で前記第1の折曲部に接する物品収納箱。
【請求項68】
請求項62に記載の物品収納箱において、
前記第2の折曲部の先端辺は、複数の凸部を有する物品収納箱。
【請求項69】
請求項68に記載の物品収納箱において、
前記先端辺において最端に位置する前記凸部は、当該先端辺において最端以外に位置する前記凸部よりも出っ張っている物品収納箱。
【請求項70】
請求項62に記載の物品収納箱において、
前記第2の折曲部の折目は、平面視で、前記第1の開口の外側に存在する物品収納箱。
【請求項71】
請求項62に記載の物品収納箱において、
前記第2の折曲部は、上方に折り曲げられることにより前記第1の開口に重なる第2の開口を前記内側部材に生じさせる物品収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品が積み重ねられた状態で収納される物品収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品収納箱としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された物品収納箱は、底面部、側面部及び上面部からなる箱状の本体を備え、複数の物品(ティッシュペーパー)を積み重ねた状態で収納している。上面部には、物品の取出口が形成されている。底面部と物品との間には、板状の内底が設けられている。この物品収納箱は、内底を底面部から所定の高さまで持ち上げることにより底上げできるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-213864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の物品収納箱によれば、物品の残量が少なくなったときに底上げすることにより、物品を取出口から取り出しやすくすることができる。しかも、内底は、物品に対して面で接触するため、物品を下から安定的に支持することができる。しかしながら、本体と別に底上げ用の部材(内底)を設けることは、物品収納箱の製造コストを増大させる要因となってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本体と別に底上げ用の部材を設けることなく、底上げしたときに物品を安定的に支持することが可能な物品収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による物品収納箱は、複数の物品が積み重ねられた状態で収納される物品収納箱であって、底面部、第1乃至第4の側面部、及び上面部からなる箱状の本体を備え、上記本体は、上記底面部から上記第1の側面部にかけて形成された第1切込線と、上記第1の側面部に対向する上記第2の側面部に形成された第2切込線と、上記第1切込線に沿って当該本体に切目が入った状態で、上記第1の側面部の中間部に接続された舌片となる舌片部と、上記第2切込線に沿って当該本体に切目が入った状態で、上記第2の側面部の中間部に位置するとともに上記舌片を挿入可能なスリットとなるスリット部と、を有することを特徴とする。
【0007】
この物品収納箱においては、舌片部及びスリット部が本体に設けられている。舌片部からは、第1の側面部の中間部に接続された舌片が得られる。また、スリット部からは、第2の側面部の中間部に位置するとともに舌片を挿入可能なスリットが得られる。舌片をスリットに挿入することにより、第1の側面部の中間部から第2の側面部の中間部へ舌片を掛け渡すことができる。このため、物品の残量が少なくなったときに、舌片上に物品が載置されるように舌片をスリットに挿入することにより、舌片が物品に対して面で接するようにしつつ物品収納箱の底上げをすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本体と別に底上げ用の部材を設けることなく、底上げしたときに物品を安定的に支持することが可能な物品収納箱が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による物品収納箱の第1実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明による物品収納箱の第1実施形態を示す斜視図である。
図3】本発明による物品収納箱の第1実施形態を示す側面図である。
図4】変形後の本体10を示す斜視図である。
図5】変形後の本体10を示す平面図である。
図6】変形後の本体10を示す側面図である。
図7図5のVII-VII線に沿った端面の構造を説明するための図である。
図8】本体10に香り部12が設けられた例を説明するための側面図である。
図9】本発明による物品収納箱の第2実施形態を示す平面図である。
図10】保持部130を示す平面図である。
図11】保持部140を示す平面図である。
図12】物品収納箱2の使用時の様子を示す斜視図である。
図13図12のA-A線に沿った端面の構造を説明するための図である。
図14】保持部130の一変形例を説明するための平面図である。
図15】変形例に係る物品収納箱2の効果を説明するための図である。
図16】保持部130の他の変形例を説明するための平面図である。
図17】保持部130の他の変形例を説明するための平面図である。
図18】ミシン目120の一変形例を説明するための平面図である。
図19】ミシン目122及びミシン目124の一変形例を説明するための平面図である。
図20】本発明による物品収納箱の第3実施形態を示す平面図である。
図21】保持部230を示す平面図である。
図22】保持部240を示す平面図である。
図23】物品収納箱3の使用時の様子を示す斜視図である。
図24図23のB-B線に沿った端面の構造を説明するための図である。
図25】物品収納箱3の効果を説明するための図である。
図26】物品収納箱3の効果を説明するための図である。
図27】保持部240の一変形例を説明するための平面図である。
図28】変形例に係る物品収納箱3の効果を説明するための図である。
図29】ミシン目220の一変形例を説明するための平面図である。
図30】ミシン目220の他の変形例を説明するための平面図である。
図31】ミシン目220の他の変形例を説明するための平面図である。
図32】ミシン目220の他の変形例を説明するための平面図である。
図33】ミシン目251,252の一変形例を説明するための平面図である。
図34】本発明による物品収納箱の第4実施形態を示す端面図である。
図35】外側部材310を示す平面図である。
図36】内側部材320を示す平面図である。
図37】物品収納箱4からティッシュペーパー90を引き出す様子を示す端面図である。
図38】一変形例に係る折曲部322を示す平面図である。
図39】他の変形例に係る折曲部322を示す平面図である。
図40】他の変形例に係る折曲部322を示す平面図である。
図41】他の変形例に係る折曲部322を示す平面図である。
図42図41の凹部360の機能について説明するための平面図である。
図43】他の変形例に係る折曲部322を示す平面図である。
図44】舌片72の一変形例を説明するための平面図である。
図45】切込線60の一変形例を説明するための側面図である。
図46】スリット部80の一変形例を説明するための側面図である。
図47】折り線33の一変形例を説明するための側面図である。
図48】切込線60の他の変形例を説明するための側面図である。
図49】切込線60の他の変形例を説明するための側面図である。
図50】切込線60の他の変形例を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0011】
図1及び図2は、本発明による物品収納箱の第1実施形態を示す斜視図である。また、図3は、本発明による物品収納箱の第1実施形態を示す側面図である。物品収納箱1は、複数の物品が積み重ねられた状態で収納される物品収納箱であって、本体10を備えている。物品としては、例えば、ティッシュペーパー、ペーパータオル、キッチンペーパー、手袋、又はマスクが挙げられる。本実施形態において物品は、ティッシュペーパーである。
【0012】
本体10は、箱状をしており、底面部20、側面部32(第1の側面部)、側面部34(第2の側面部)、側面部36(第3の側面部)、側面部38(第4の側面部)、及び上面部40からなる。本体10は、直方体状をしている。図1及び図2は、それぞれ、上面部40側及び底面部20側から見た斜視図である。また、図3は、側面部34側から見た側面図である。側面部32及び側面部34は、互いに対向している。側面部36及び側面部38も、互いに対向している。側面部32及び側面部34の幅は、側面部36及び側面部38の幅よりも大きい。本体10は、底上げされた状態に変形できるように構成されている。本体10の材料としては、例えば、厚紙等の紙、又はプラスチックを用いることができる。
【0013】
本体10は、切込線50(第1切込線)、切込線60(第2切込線)、舌片部70、及びスリット部80を有している。切込線50は、底面部20から側面部32にかけて形成されている。切込線50は、連続する1本の線に沿って形成されている。切込線50は、ミシン目である。切込線50は、底面切込部分51(第1の底面切込部分)、底面切込部分52(第2の底面切込部分)、底面切込部分53(第3の底面切込部分)、側面切込部分54(第1の側面切込部分)、及び側面切込部分55(第2の側面切込部分)からなる。底面切込部分51~53は、底面部20に形成されている。側面切込部分54及び側面切込部分55は、側面部32に形成されている。底面切込部分51及び底面切込部分52、並びに側面切込部分54及び側面切込部分55は、何れも一直線状をしている。本実施形態においては、底面切込部分53も一直線状をしている。
【0014】
底面切込部分51及び底面切込部分52は、側面部32から側面部34に向かって延在している。底面切込部分51及び底面切込部分52は、側面部32と垂直に延在している。底面切込部分53は、底面切込部分51と底面切込部分52とを連結している。具体的には、底面切込部分53は、底面切込部分51の一端と底面切込部分52の一端とを連結している。底面切込部分51の一端及び底面切込部分52の一端は、底面部20の中間部に位置している。ここで、底面部20の中間部とは、底面部20における縁(各側面部32,34,36,38との境界)以外の部分をいう。底面切込部分53は、側面部32と平行に延在している。
【0015】
側面切込部分54及び側面切込部分55は、それぞれ底面切込部分51及び底面切込部分52に連続している。すなわち、側面切込部分54の一端及び側面切込部分55の一端は、それぞれ底面切込部分51の他端及び底面切込部分52の他端に接続されている。側面切込部分54及び側面切込部分55は、本体10の高さ方向(図1及び図2の上下方向)に延在している。側面切込部分54及び側面切込部分55の他端は、側面部32の中間部に位置している。ここで、側面部32の中間部とは、側面部32における縁(底面部20との境界、各側面部36,38との境界、及び上面部40との境界)以外の部分をいう。
【0016】
切込線60は、側面部34に形成されている。切込線60は、連続する1本の線に沿って形成されている。切込線60は、ミシン目である。切込線60は、縦切込部分61(第1の縦切込部分)、縦切込部分62(第2の縦切込部分)、及び横切込部分63を含んでいる。切込線60は、縦切込部分61、縦切込部分62及び横切込部分63のみからなる。縦切込部分61及び縦切込部分62、並びに横切込部分63は、何れも一直線状をしている。縦切込部分61及び縦切込部分62は、本体10の高さ方向に延在している。横切込部分63は、縦切込部分61の一端と縦切込部分62の一端とを連結している。縦切込部分61の一端及び縦切込部分62の一端は、側面部34の中間部に位置している。縦切込部分61の他端及び縦切込部分62の他端も、側面部34の中間部に位置している。ここで、側面部34の中間部とは、側面部34における縁(底面部20との境界、各側面部36,38との境界、及び上面部40との境界)以外の部分をいう。横切込部分63は、底面部20と平行に延在している。
【0017】
図4図5及び図6は、それぞれ、変形後の本体10を示す斜視図、平面図及び側面図である。図4は、底面部20側から見た斜視図である。図6は、側面部32側から見た側面図である。また、図7は、図5のVII-VII線に沿った端面の構造を説明するための図である。
【0018】
舌片部70は、切込線50に沿って本体10(底面部20及び側面部32)に切目が入った状態で、側面部32の中間部に接続された舌片72となる部分である。舌片72は、底面部20の一部と側面部32の一部とからなる1枚の板によって構成される。本実施形態において舌片72の形状は、矩形である。側面部32には、舌片72を側面部34に向かって折り曲げるための折り線33が設けられている。折り線33は、側面視で、後述するスリット部80に重なる位置に設けられている。折り線33は、側面切込部分54の他端と側面切込部分55の他端とを連結している。折り線33は、底面部20と平行である。折り線33には、当該折り線33に沿って舌片72を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。ただし、折り線33は、ユーザに折目となる位置を知らせるための、側面部32に印刷された線のみからなっていてもよい。
【0019】
舌片72の長さは、側面部32から側面部34までの距離d0(図2参照)の1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましい。また、舌片72の長さは、距離d0よりも1cm以上大きいことが好ましく、2cm以上大きいことがより好ましい。ここで、舌片72の長さは、底面部20に平行な平面上に舌片72を広げたときの、側面部32に垂直な方向についての舌片72の最大寸法である。本実施形態において舌片72の長さは、各底面切込部分51,52の長さd1と各側面切込部分54,55の長さd2との和に等しい。舌片72の幅w1は、側面部32の幅w0の1/2以上であることが好ましく、3/4以上であることがより好ましい。ここで、幅w1は、側面部36及び側面部38に垂直な方向についての舌片72の最大寸法である。
【0020】
スリット部80は、切込線60に沿って本体10(側面部34)に切目が入った状態で、側面部34の中間部に位置するとともに舌片72を挿入可能なスリット82となる部分である。スリット82は、底面部20と平行に延在する横長の開口である。舌片72は、スリット82に挿入された状態で底面部20と平行になるように構成されている。側面部34には、切込線60(縦切込部分61及び縦切込部分62並びに横切込部分63)で囲まれた部分80aを本体10の外側に折り曲げるための折り線35が設けられている。折り線35は、縦切込部分61の他端と縦切込部分62の他端とを連結している。折り線35は、底面部20と平行である。折り線35には、当該折り線35に沿って部分80aを折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。ただし、折り線35は、ユーザに折目となる位置を知らせるための、側面部34に印刷された線のみからなっていてもよい。
【0021】
本体10の高さ方向について、底面部20からスリット部80までの距離h1(図3参照)は、本体10の高さh0の1/2以上であることが好ましい。同様に、本体10の高さ方向について、底面部20から折り線33までの距離(各側面切込部分54,55の長さd2に等しい。)も、高さh0の1/2以上であることが好ましい。
【0022】
上面部40には、取出口形成部42が設けられている。取出口形成部42は、物品の取出口が形成される部分である。取出口形成部42は、環状の1本の線に沿って形成されたミシン目を有している。ミシン目に沿って上面部40に切目を入れて、当該ミシン目で囲まれた部分を切り離すことにより、取出口形成部42に取出口が形成される。取出口には、一般的なティッシュペーパー収納箱のように、プラスチックフィルム46が設けられている(図5参照)。プラスチックフィルム46には、物品を通過させる切目が入っている。
【0023】
続いて、本体10を変形させる方法の一例を説明する。まず、切込線60に沿って本体10に切目を入れる。その後、折り線35に沿って、切込線60で囲まれた部分80aを外側に折り曲げることにより、スリット部80をスリット82にする。次に、切込線50に沿って本体10に切目を入れることにより、舌片部70を舌片72にする。続いて、折り線33に沿って舌片72を側面部34に向けて折り曲げながらスリット82に差し込む。これにより、舌片72がスリット82に挿入された状態となるように本体10を変形させることができる(図4乃至図7参照)。変形後の本体10においてティッシュペーパー90は、図7に示すように、舌片72上に載置される。このように物品収納箱1(本体10)を底上げしてティッシュペーパー90を上面部40に近づけることにより、ティッシュペーパー90の残量が少なくなっても、ティッシュペーパー90を取出口44から円滑に取り出すことができる。このとき、舌片72から上面部40までの距離は、3cm以上6cm以下であることが好ましい。なお、図5及び図6においては、ティッシュペーパー90の図示を省略している。
【0024】
舌片72の食出部72a(図5参照)には、文字又は図柄が印刷されている。食出部72aは、スリット82から本体10の外側に食み出す部分である。文字又は図柄は、食出部72aの上面(上面部40側の面)に印刷されている。図5においては、例として「ABC」という文字列が食出部72aの上面に印刷されている。当該上面は、変形前の本体10における底面部20の内面の一部分に相当する。すなわち、当該部分に文字又は図柄を予め印刷しておくことにより、上面に文字又は図柄が印刷された食出部72aを実現することができる。食出部72aには、自社PR文や広告等の宣伝文句が印刷されてもよい。自社PR文の内容としては、例えば、自社の環境問題に対する取り組みの紹介等が考えられる。
【0025】
また、側面部34の内面の特定部34aにも、文字又は図柄が印刷されている。特定部34aは、側面視で舌片部70(舌片部70のうち側面部32に存在する部分)に重なる部分である。図6においては、例として「XYZ」という文字列が特定部34aに印刷されている。ただし、図4においては、当該文字列の図示を省略している。特定部34aには、宣伝文句が印刷されてもよい。
【0026】
なお、本体10の内面の下方部分10aには、例えば図8に示すように、香り部12が設けられてもよい。下方部分10aは、スリット82に挿入された状態の舌片72の下方に存在する部分である。下方部分10aは、底面部20の内面の一部、及び各側面部32,34,36,38の内面の一部からなる。図8において香り部12は、下方部分10aの一部である特定部34aに設けられている。香り部12には、香料が付着している。香り部12は、例えば、下方部分10aに香料を印刷することにより実現することができる。香り部12には、剥離可能なシール14が貼付されている。ここで、剥離可能とは、下方部分10a及び香り部12を損傷することなく、香り部12からシール14を容易に剥がせるということである。シール14は、香り部12の香料が放散するのを防止する。
【0027】
物品収納箱1の効果を説明する。物品収納箱1においては、舌片部70及びスリット部80が本体10に設けられている。舌片部70からは、側面部32の中間部に接続された舌片72が得られる。また、スリット部80からは、側面部34の中間部に位置するとともに舌片72を挿入可能なスリット82が得られる。舌片72をスリット82に挿入することにより、側面部32の中間部から側面部34の中間部へ舌片72を掛け渡すことができる。このため、物品の残量が少なくなったときに、舌片72上に物品が載置されるように舌片72をスリット82に挿入することにより、舌片72が物品に対して面で接するようにしつつ物品収納箱1の底上げをすることができる。したがって、本体10と別に底上げ用の部材を設けることなく、底上げしたときに物品を安定的に支持することが可能な物品収納箱1が実現されている。
【0028】
ところで、物品収納箱においては、できるだけ多数の物品を収納した方が、物品1つあたりの商品価格を抑えるのに有利である。しかし、1つの物品収納箱に収納可能な物品の数を増やすには、本体の高さを大きくしなければならない。通常、本体の高さを大きくすると、残量が少なくなったときに物品を取り出しにくくなるという問題がある。この点、底上げが可能な物品収納箱1によれば、残量が少なくなっても物品を取り出しやすいため、本体10の高さを大きくすることによる上記問題を解消することができる。また、本体10の高さを大きくすることにより、文字又は図柄を印刷するスペースを広く確保することができる。さらに、使用済みの本体10はゴミになるところ、1つの本体10に多数の物品を収納することは、ゴミの削減にもつながる。
【0029】
舌片72は、本体10から切り離されることなく、側面部32に接続された状態にある。この場合、舌片72の一部が側面部32に固定されるため、舌片72がスリット82から不意に抜けてしまう事態を起こりにくくすることができる。
【0030】
舌片72は、スリット82に挿入された状態で底面部20と平行になるように構成されている。このことも、底上げ後の物品収納箱1における物品の安定的な支持に資する。
【0031】
本体10の高さ方向についての底面部20からスリット部80までの距離h1を大きくした方が、物品収納箱1の底上げ効果を高めるのに有利である。かかる観点から、距離h1は、本体10の高さh0の1/2以上であることが好ましい。他方、距離h1が大きすぎると、変形後の物品収納箱1に収納可能な物品の量が極端に少なくなってしまう。かかる観点から、距離h1は、高さh0の4/5以下であることが好ましい。
【0032】
側面部32には、折り線33が設けられている。これにより、舌片72を所定の位置で綺麗に折り曲げやすくなる。
【0033】
折り線33は、側面視で、スリット部80に重なる位置に設けられている。これにより、スリット82に挿入された状態の舌片72を底面部20と平行に配置しやすくなる。
【0034】
舌片72の長さを大きくした方が、舌片72がスリット82から不意に抜けるのを防ぐのに有利である。かかる観点から、舌片72の長さは、側面部32から側面部34までの距離d0の1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましい。同様の観点から、舌片72の長さは、距離d0よりも1cm以上大きいことが好ましく、2cm以上大きいことがより好ましい。他方、舌片72の長さが大きすぎると、変形前の本体10において舌片部70を確保するのが困難になりかねない。かかる観点から、舌片72の長さは、距離d0の1.5倍以下であることが好ましい。同様の観点から、舌片72の長さと距離d0との差は、5cm以下であることが好ましい。
【0035】
切込線50は、底面切込部分51乃至底面切込部分53、並びに側面切込部分54及び側面切込部分55からなる。これにより、簡易な構成で、舌片72を形成するための切込線50を実現することができる。
【0036】
底面切込部分51及び底面切込部分52、並びに側面切込部分54及び側面切込部分55は、何れも一直線状をしている。これにより、各底面切込部分51,52、及び各側面切込部分54,55に沿って切目を入れる作業が容易になる。
【0037】
底面切込部分51及び底面切込部分52は、側面部32と垂直に延在している。この場合、各底面切込部分51,52の長さを最短にすることができる。このことも、各底面切込部分51,52に沿って切目を入れる作業を容易にする。
【0038】
側面切込部分54及び側面切込部分55は、本体10の高さ方向に延在している。この場合、各側面切込部分54,55の長さを最短にすることができる。このことも、各側面切込部分54,55に沿って切目を入れる作業を容易にする。
【0039】
底面切込部分53は、一直線状をしている。これにより、底面切込部分53に沿って切目を入れる作業が容易になる。
【0040】
底面切込部分53は、側面部32と平行に延在している。これにより、側面部32に垂直な方向についての舌片72の寸法を一定にすることができる。
【0041】
舌片72の幅w1を大きくした方が、物品の広範囲に舌片72が接することになるため、底上げ後の物品収納箱1において物品を安定的に支持するのに有利である。また、幅w1を大きくすることにより、物品から生じる屑(例えばティッシュペーパーから生じる紙粉)が本体10の外に落ちにくくなるとともに、物品が外気に触れにくくなり衛生的である。かかる観点から、幅w1は、側面部32の幅w0の1/2以上であることが好ましく、3/4以上であることがより好ましい。他方、幅w1が大きすぎると、変形前の本体10において舌片部70を確保するのが困難になりかねない。かかる観点から、幅w1は、幅w0の9/10以下であることが好ましい。
【0042】
側面部32及び側面部34の幅は、側面部36及び側面部38の幅よりも大きい。このように幅が比較的広い方の一対の側面部(側面部32及び側面部34)に舌片部70及びスリット部80を設けることにより、舌片72の長さを充分に確保しつつ、舌片72の幅w1を大きくとりやすくなる。
【0043】
切込線60は、縦切込部分61及び縦切込部分62、並びに横切込部分63を含んでいる。これにより、簡易な構成で、スリット82を形成するための切込線60を実現することができる。
【0044】
縦切込部分61及び縦切込部分62、並びに横切込部分63は、何れも一直線状をしている。これにより、各縦切込部分61,62、及び横切込部分63に沿って切目を入れる作業が容易になる。
【0045】
切込線60は、縦切込部分61及び縦切込部分62、並びに横切込部分63のみからなる。この場合、切込線60で囲まれた部分80aが本体10から切り離されないため、舌片72の食出部72aに部分80aを当接させることが可能となる。これにより、舌片72がスリット82から不意に抜けてしまう事態を一層起こりにくくすることができる。
【0046】
舌片72の食出部72aには、文字又は図柄が印刷されている。このように変形後の本体10において外部から視認可能となる食出部72aに文字又は図柄を印刷しておくことにより、変形後の本体10の美観を高めることができる。
【0047】
文字又は図柄は、食出部72aの上面に印刷されている。このように視認しやすい上面に印刷することにより、文字又は図柄を目立たせることができる。
【0048】
食出部72aに宣伝文句が印刷されている場合、食出部72aを宣伝用のスペースとして活用することができる。広告主を募れば、広告料収入を得ることも可能となる。かかる収入を物品収納箱1の製造費用に充てれば、物品収納箱1の商品価格を抑えることができる。
【0049】
側面部34の内面の特定部34aには、文字又は図柄が印刷されている。このように変形後の本体10において外部から視認可能となる特定部34aに文字又は図柄を印刷しておくことにより、変形後の本体10の美観を高めることができる。
【0050】
特定部34aに宣伝文句が印刷されている場合、特定部34aを宣伝用のスペースとして活用することができる。広告主を募れば、広告料収入を得ることも可能となる。かかる収入を物品収納箱1の製造費用に充てれば、物品収納箱1の商品価格を抑えることができる。
【0051】
本体10の内面の下方部分10aに香り部12が設けられている場合、変形後の本体10の周囲に芳香を漂わせることが可能となる。すなわち、本体10を変形させた後にシール14を剥がすことにより、香り部12の香料を本体10の周囲に放散させることができる。また、香り部12にシール14が貼付されているため、ユーザは、シール14を剥がすか否かによって、本体10の周囲に芳香を漂わせるか否かを選択することができる。
【0052】
香り部12が側面部34の内面の特定部34aに設けられている場合、特定部34aは下方部分10aの中で手が届きやすい部位であるため、シール14を剥がす作業が容易になる。
(第2実施形態)
【0053】
図9は、本発明による物品収納箱の第2実施形態を示す平面図である。物品収納箱2は、複数の物品が積み重ねられた状態で収納される物品収納箱であって、本体10を備えている。本実施形態においては、取出口形成部42の構成が第1実施形態と異なる。本体10のその他の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。取出口形成部42は、上面部40において長辺112a(第1の長辺)及び長辺112b(第2の長辺)並びに短辺114a(第1の短辺)及び短辺114b(第2の短辺)で囲まれた長方形状の領域である。
【0054】
取出口形成部42は、ミシン目120(第1の主切込線)、ミシン目122(第2の主切込線)及びミシン目124(第3の主切込線)を有している。ミシン目120は、波状をしており、取出口形成部42の長手方向(図9の左右方向)に延在している。ミシン目120は、連続する1本の波線に沿って形成されている。本実施形態において、この波線は、折れ線及び曲線からなる。具体的には、ミシン目120の両端(一端120a及び他端120b)の近傍部分が曲線からなり、それ以外の部分が折れ線からなる。各曲線は、長辺112a側に膨らんでいる。各曲線の両端は、長辺112b上に存在する。折れ線を構成する各線分の一端も、長辺112b上に存在する。ミシン目120は、取出口形成部42を長手方向に二等分する中心線を対象軸として線対称である。
【0055】
取出口形成部42の短手方向(図9の上下方向)について、ミシン目120の頂部120cから長辺112bまでの距離d11(後述する図10及び図11参照)は、頂部120cから長辺112aまでの距離d12(図10参照)の半分以下である。頂部120cは、ミシン目120における長辺112aに最も近い部分である。本実施形態においては、後述する凸部142aの先端が頂部120cに相当する。短辺114aの長さ(短辺114bの長さに等しい。)を1としたとき、距離d11は、0.1以上0.3以下であることが好ましい。
【0056】
取出口形成部42の長手方向について、ミシン目120の一端120aから他端120bまでの距離d13(図10及び図11参照)は、長辺112aの長さ(長辺112bの長さに等しい。)よりも小さい。距離d13は、長辺112aの長さの40%以上60%以下であることが好ましい。
【0057】
ミシン目122は、ミシン目120の一端120aと交わり、かつ取出口形成部42の長辺112aと長辺112bとを結んでいる。本実施形態においてミシン目120の一端120aは、長辺112b上に存在する。それゆえ、ミシン目122は、その長辺112b側の端部122bにおいて、ミシン目120の一端120aと交わっている。ミシン目122は、直線状をしている。ミシン目122は、斜めの直線に沿って形成されている。ミシン目122の長辺112a側の端部122aから短辺114aまでの距離は、ミシン目122の端部122bから短辺114aまでの距離よりも小さい。
【0058】
ミシン目124は、ミシン目120の他端120bと交わり、かつ取出口形成部42の長辺112aと長辺112bとを結んでいる。本実施形態においてミシン目120の他端120bは、長辺112b上に存在する。それゆえ、ミシン目124は、その長辺112b側の端部124bにおいて、ミシン目120の他端120bと交わっている。ミシン目124は、直線状をしている。ミシン目124は、斜めの直線に沿って形成されている。ミシン目124の長辺112a側の端部124aから短辺114bまでの距離は、ミシン目124の端部124bから短辺114bまでの距離よりも小さい。
【0059】
図10及び図11は、それぞれ保持部130及び保持部140を示す平面図である。保持部130(第1の保持部)は、取出口形成部42におけるミシン目120、122,124と長辺112aとで囲まれた部分である。保持部140(第2の保持部)は、取出口形成部42におけるミシン目120、122,124と長辺112bとで囲まれた部分(ミシン目120及び長辺112bのみで囲まれた部分を含む。)である。
【0060】
図10に示すように、保持部130の対向辺130aは、複数の凸部132を有している。対向辺130aは、保持部130における保持部140に対向する辺である。対向辺130aは、取出口形成部42をミシン目120に沿って切ったときの切口に一致する。複数の凸部132は、先端が角張った凸部である角凸部を含んでいる。本実施形態においては、対向辺130aが有する全ての凸部132が角凸部である。対向辺130aが有する各凸部132は、長辺112bまで達している。
【0061】
図11に示すように、保持部140の対向辺140aは、複数の凸部142を有している。対向辺140aは、保持部140における保持部130に対向する辺である。対向辺140aは、取出口形成部42をミシン目120に沿って切ったときの切口に一致する。複数の凸部142は、角凸部に加えて、先端が丸みを帯びた凸部である丸凸部を含んでいる。取出口形成部42の短手方向について、対向辺140aにおいて最端に位置する凸部142aは、対向辺140aにおいて最端以外に位置する凸部142bよりも出っ張っている。すなわち、凸部142aの先端の方が、凸部142bの先端よりも、長辺112aに近い位置にある。本実施形態において、凸部142aは丸凸部であり、凸部142bは角凸部である。
【0062】
長辺112aには、保持部130を長辺112aに沿って折り曲げるための折り線170(谷折線)が設けられている。折り線170は、ミシン目122の端部122aとミシン目124の端部124aとを結ぶ線分上に設けられている。折り線170には、当該折り線170に沿って保持部130を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。ただし、折り線170は、ユーザに折目となる位置を知らせるための、上面部40に印刷された線のみからなっていてもよい。
【0063】
他方、長辺112bには、保持部140を長辺112bに沿って折り曲げるための折り線が設けられていない。すなわち、本実施形態において物品収納箱2は、保持部140が折り曲げられていない状態で使用される。
【0064】
さらに、取出口形成部42は、ミシン目151(第1の副切込線)、ミシン目152(第2の副切込線)、ミシン目153(第3の副切込線)及びミシン目154(第4の副切込線)を有している。ミシン目151は、ミシン目122の端部122aと長辺112bとを結んでいる。ミシン目151は、直線状をしている。ミシン目151は、斜めの直線に沿って形成されている。ミシン目151の長辺112a側の端部151aから短辺114aまでの距離は、ミシン目151の長辺112b側の端部151bから短辺114aまでの距離よりも大きい。ミシン目122とミシン目151と長辺112bとで囲まれた部分である補助部161(第1の補助部)は、三角形をしている。
【0065】
ミシン目152は、ミシン目124の端部124aと長辺112bとを結んでいる。ミシン目152は、直線状をしている。ミシン目152は、斜めの直線に沿って形成されている。ミシン目152の長辺112a側の端部152aから短辺114bまでの距離は、ミシン目152の長辺112b側の端部152bから短辺114bまでの距離よりも大きい。ミシン目124とミシン目152と長辺112bとで囲まれた部分である補助部162(第2の補助部)は、三角形をしている。
【0066】
長辺112bには、補助部161を長辺112bに沿って折り曲げるための折り線171(谷折線)が設けられている。折り線171は、ミシン目122の端部122bとミシン目151の端部151bとを結ぶ線分上に設けられている。折り線171には、当該折り線171に沿って補助部161を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。
【0067】
長辺112bには、補助部162を長辺112bに沿って折り曲げるための折り線172(谷折線)が設けられている。折り線172は、ミシン目124の端部124bとミシン目152の端部152bとを結ぶ線分上に設けられている。折り線172には、当該折り線172に沿って補助部162を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。
【0068】
ミシン目153は、ミシン目151の端部151bと長辺112aとを結んでいる。ミシン目153は、直線状をしている。ミシン目153は、斜めの直線に沿って形成されている。ミシン目153の長辺112a側の端部153aから短辺114aまでの距離は、ミシン目153の長辺112b側の端部153bから短辺114aまでの距離よりも小さい。本実施形態において端部153aは、短辺114a上に存在する。それゆえ、端部153aから短辺114aまでの距離は、0である。ミシン目151とミシン目153と長辺112aとで囲まれた部分である補助部163(第3の補助部)は、三角形をしている。
【0069】
ミシン目154は、ミシン目152の端部152bと長辺112aとを結んでいる。ミシン目154は、直線状をしている。ミシン目154は、斜めの直線に沿って形成されている。ミシン目154の長辺112a側の端部154aから短辺114bまでの距離は、ミシン目154の長辺112b側の端部154bから短辺114bまでの距離よりも小さい。本実施形態において端部154aは、短辺114b上に存在する。それゆえ、端部154aから短辺114bまでの距離は、0である。ミシン目152とミシン目154と長辺112aとで囲まれた部分である補助部164(第4の補助部)は、三角形をしている。
【0070】
長辺112aには、補助部163を長辺112aに沿って折り曲げるための折り線173(谷折線)が設けられている。折り線173は、ミシン目151の端部151aとミシン目153の端部153aとを結ぶ線分上に設けられている。折り線173には、当該折り線173に沿って補助部163を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。
【0071】
長辺112aには、補助部164を長辺112aに沿って折り曲げるための折り線174(谷折線)が設けられている。折り線174は、ミシン目152の端部152aとミシン目154の端部154aとを結ぶ線分上に設けられている。折り線174には、当該折り線174に沿って補助部164を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。
【0072】
短辺114a上には、ミシン目155(切込線)が形成されている。ミシン目155は、短辺114aの全体にわたって設けられている。ミシン目153とミシン目155と長辺112bとで囲まれた部分である補助部165は、直角三角形をしている。
【0073】
短辺114b上には、ミシン目156(切込線)が形成されている。ミシン目156は、短辺114bの全体にわたって設けられている。ミシン目154とミシン目156と長辺112bとで囲まれた部分である補助部166は、直角三角形をしている。
【0074】
長辺112bには、補助部165を長辺112bに沿って折り曲げるための折り線175(谷折線)が設けられている。折り線175は、ミシン目153の端部153bとミシン目155の長辺112b側の端部とを結ぶ線分上に設けられている。折り線175には、当該折り線175に沿って補助部165を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。
【0075】
長辺112bには、補助部166を長辺112bに沿って折り曲げるための折り線176(谷折線)が設けられている。折り線176は、ミシン目154の端部154bとミシン目156の長辺112b側の端部とを結ぶ線分上に設けられている。折り線176には、当該折り線176に沿って補助部166を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。
【0076】
図12は、物品収納箱2の使用時の様子を示す斜視図である。また、図13は、図12のA-A線に沿った端面の構造を説明するための図である。図12及び図13においては、物品の図示を省略している。物品収納箱2を使用するには、まず、ミシン目120、ミシン目122及びミシン目124に沿って取出口形成部42に切目を入れる。その後、保持部130を折り線170に沿って斜め上方に折り曲げる。これにより、保持部130と保持部140との間に、取出口となる隙間S11が形成される。さらに、本実施形態においては、ミシン目151~156に沿って取出口形成部42に切目を入れる。その後、補助部161~166をそれぞれ折り線171~176に沿って斜め上方に折り曲げる。これにより、図12に示す物品収納箱2が得られる。
【0077】
物品収納箱2の効果を説明する。物品収納箱2においては、ミシン目120、ミシン目122及びミシン目124が設けられている。これにより、取出口形成部42には、ミシン目120,122,124と長辺112aとで囲まれた部分である保持部130と、ミシン目120,122,124と長辺112bとで囲まれた部分である保持部140とが存在する。ミシン目120,122,124に沿って切目を入れた後、保持部130を斜め上方に折り曲げることにより、保持部130と保持部140との間に取出口となる隙間S11を形成することができる。このとき、ミシン目120が波状であるため、保持部130,140の対向辺130a,140aに凹凸が生じる。これにより、保持部130,140の物品に対する保持力を強化することができる。
【0078】
しかも、ミシン目120の頂部120cから長辺112bまでの距離d11は、頂部120cから長辺112aまでの距離d12の半分以下である。このようにミシン目120を長辺112b側に寄せることにより、取出口形成部42の短手方向について、保持部130の長さが保持部140の長さよりも顕著に大きくなる。この場合、図13からわかるように、折り曲げ後の保持部130と保持部140との間の隙間S11を、本体10の高さ方向(同図の上下方向)に広く確保しやすくなる。隙間S11が高さ方向に広ければ、同図に矢印A11で示すように物品を斜めに引き上げることにより、隙間S11を通じて物品を円滑に取り出すことができる。したがって、物品に対する保持力の強化と物品の取出しの円滑化とを両立することのできる、物品収納箱2が実現されている。
【0079】
このようにミシン目120を長辺112b側に寄せる観点から、取出口形成部42の短手方向について、短辺114aの長さを1としたとき、距離d11は、0.3以下であることが好ましい。他方、距離d11が小さすぎると、充分な大きさの凸部142を形成しにくくなってしまう。かかる観点から、距離d11は、0.1以上であることが好ましい。
【0080】
保持部130の対向辺130aは、複数の凸部132を有している。これにより、凸部132が1つしかない場合に比して、保持部130の物品に対する保持力を強化することができる。
【0081】
複数の凸部132は、角凸部を含んでいる。この場合、全ての凸部132が丸凸部である場合に比して、保持部130の保持力を強化することができる。
【0082】
対向辺130aが有する各凸部132は、長辺112bまで達している。このようにミシン目120を長辺112b側に最大限寄せることは、隙間S11を本体10の高さ方向に広く確保するのに特に有利である。
【0083】
保持部140の対向辺140aは、複数の凸部142を有している。これにより、凸部142が1つしかない場合に比して、保持部140の物品に対する保持力を強化することができる。
【0084】
複数の凸部142は、角凸部を含んでいる。この場合、全ての凸部142が丸凸部である場合に比して、保持部140の保持力を強化することができる。
【0085】
複数の凸部142は、丸凸部を含んでいる。この場合、全ての凸部142が角凸部である場合に比して、取出し時に物品が凸部142に引っ掛かりにくくなるため、物品を円滑に取り出しやすくなる。
【0086】
対向辺140aにおいて最端に位置する凸部142aは、最端以外に位置する凸部142bよりも出っ張っている。丸凸部である凸部142aを出っ張らせることにより、取出し時に物品が角凸部である凸部142bに引っ掛かりにくくなる。また、ユーザ(特に子供)が角凸部である凸部142bに触れて怪我をするリスクを低減することができる。
【0087】
長辺112aには、折り線170が設けられている。これにより、保持部130を所定の位置(折り線170)で折り曲げやすくなる。
【0088】
取出口形成部42の長手方向について、ミシン目120の一端120aから他端120bまでの距離d13は、長辺112aの長さよりも小さい。これにより、取出口の横幅を取出口形成部42の横幅(長辺112aの長さ)よりも小さくすることができる。このように取出口の横幅を小さくした場合、取出口から引き出された物品に皺が寄りやすくなる。そうなると、物品が取出口形成部42の短手方向に広がるため、保持部130の対向辺130a及び保持部140の対向辺140aの双方が物品に当接しやすくなる。このため、保持部130及び保持部140の保持力を強化するのに有利である。
【0089】
このように取出口の横幅を小さくする観点から、距離d13は、長辺112aの長さの60%以下であることが好ましい。他方、取出口の横幅が小さすぎると、物品を取り出しにくくなってしまう。かかる観点から、距離d13は、長辺112aの長さの40%以上であることが好ましい。
【0090】
取出口形成部42は、ミシン目151及びミシン目152を有している。これにより、補助部161及び補助部162を斜め上方に折り曲げられた状態にすることができる。これらの補助部161及び補助部162により、取出口から引き出された物品が当該取出口の両側に広がらないように規制することができる。
【0091】
長辺112bには、折り線171及び折り線172が設けられている。これにより、補助部161及び補助部162を所定の位置(それぞれ折り線171及び折り線172)で折り曲げやすくなる。
【0092】
取出口形成部42は、ミシン目153及びミシン目154を有している。これにより、補助部163及び補助部164を斜め上方に折り曲げられた状態にすることができる。これらの補助部163及び補助部164により、取出口から引き出された物品が当該取出口の両側に広がらないように規制することができる。
【0093】
長辺112aには、折り線173及び折り線174が設けられている。これにより、補助部163及び補助部164を所定の位置(それぞれ折り線173及び折り線174)で折り曲げやすくなる。物品収納箱2のその他の効果は、物品収納箱1と同様である。
【0094】
本実施形態においては、保持部130の対向辺130aが有する全ての凸部132が角凸部である場合を例示した。しかし、対向辺130aが有する複数の凸部132は、丸凸部を含んでいてもよい。その場合、全ての凸部132が丸凸部であってもよいし、一部の凸部132が丸凸部で残りの凸部132が角凸部であってもよい。
【0095】
本実施形態においては、対向辺130aが有する全ての凸部132の先端が揃っている場合を例示した。しかし、図14に示すように、取出口形成部42の短手方向について、対向辺130aにおいて最端に位置する凸部132(凸部132a)が最端以外に位置する凸部132(凸部132b)より出っ張っていてもよい。
【0096】
本実施形態においては、保持部140の対向辺140aが有する複数の凸部142のうち一部の凸部(凸部142a)が丸凸部で残りの凸部(凸部142b)が角凸部である場合を例示した。しかし、対向辺140aが有する全ての凸部142が丸凸部であってもよいし、対向辺140aが有する全ての凸部142が角凸部であってもよい。
【0097】
本実施形態においては、長辺112bに、保持部140を長辺112bに沿って折り曲げるための折り線が設けられていない場合を例示した。しかし、長辺112bに、かかる折り線が設けられていてもよい。その場合、物品収納箱2は、保持部130及び保持部140の双方が折り曲げられた状態で使用される。上述のとおりミシン目120は長辺112b側に寄っているため、図15に示すように、保持部130及び保持部140が同じ角度だけ折り曲げられたとしても、対向辺130aの方が対向辺140aよりも高い地点に位置することになる。それゆえ、保持部130と保持部140との間の隙間S11を、本体10の高さ方向に広く確保することができる。なお、図15は、図13と同様の端面を示している。
【0098】
本実施形態においては、保持部130の対向辺130aが有する各凸部132が長辺112bまで達している場合を例示した。しかし、図16に示すように対向辺130aが有する複数の凸部132のうち一部の凸部132のみが長辺112bまで達していてもよいし、図17に示すように全ての凸部132が長辺112bから離間していてもよい。
【0099】
本実施形態においては、ミシン目120の一端120aから他端120bまでの距離d13が長辺112aの長さよりも小さい場合を例示した。しかし、図18に示すように、距離d13は、長辺112aの長さに等しくてもよい。すなわち、取出口形成部42の長手方向の全体にわたってミシン目120を形成してもよい。その場合、ミシン目151~156、補助部161~166、及び折り線171~176は、設けられない。同図においてミシン目122及びミシン目124は、それぞれ短辺114a及び短辺114b上に形成されている。
【0100】
本実施形態においては、ミシン目122,124が直線状をしている場合を例示した。しかし、図19に示すように、ミシン目122は、ミシン目151側に膨らんだ曲線状をしていてもよい。同様に、ミシン目124は、ミシン目152側に膨らんだ曲線状をしていてもよい。同図においてミシン目122の端部122aから短辺114aまでの距離は、ミシン目122の端部122bから短辺114aまでの距離に等しい。また、ミシン目124の端部124aから短辺114bまでの距離は、ミシン目124の端部124bから短辺114bまでの距離に等しい。このようにミシン目122,124を曲線状にした場合、保持部130を上方に折り曲げる際、保持部130に補助部161,162が干渉するため、保持部130の折曲げ角度が大きくなりすぎるのを規制することができる。
(第3実施形態)
【0101】
図20は、本発明による物品収納箱の第3実施形態を示す平面図である。物品収納箱3は、複数の物品が積み重ねられた状態で収納される物品収納箱であって、本体10を備えている。本実施形態においては、取出口形成部42の構成が第1及び第2実施形態と異なる。本体10のその他の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。取出口形成部42は、上面部40において長辺212a(第1の長辺)及び長辺212b(第2の長辺)並びに短辺214a(第1の短辺)及び短辺214b(第2の短辺)で囲まれた長方形状の領域である。
【0102】
取出口形成部42は、ミシン目220(第1の主切込線)、ミシン目222(第2の主切込線)及びミシン目224(第3の主切込線)を有している。ミシン目220は、取出口形成部42の長手方向(図20の左右方向)に延在している。ミシン目220は、波状をしており、連続する1本の波線に沿って形成されている。この波線は、直線及び曲線からなる。具体的には、ミシン目220の両端(端部220a及び端部220b)の近傍部分が直線からなり、それ以外の部分が曲線からなる。各曲線は、長辺212a側に膨らんでいる。ミシン目220は、取出口形成部42を長手方向に二等分する中心線を対象軸として線対称である。
【0103】
取出口形成部42の短手方向(図20の上下方向)について、ミシン目220の頂部220cから長辺212bまでの距離d21(後述する図21及び図22参照)は、頂部220cから長辺212aまでの距離d22(図21参照)の半分以下である。頂部220cは、ミシン目220における長辺212aに最も近い部分である。本実施形態においては、後述する凸部242の先端が頂部220cに相当する。短辺214aの長さ(短辺214bの長さに等しい。)を1としたとき、距離d21は、0.1以上0.3以下であることが好ましい。
【0104】
取出口形成部42の長手方向について、ミシン目220の端部220aから端部220bまでの距離d23(図21及び図22参照)は、長辺212aの長さ(長辺212bの長さに等しい。)よりも小さい。距離d23は、長辺22aの長さの40%以上60%以下であることが好ましい。
【0105】
ミシン目222は、ミシン目220における短辺214a側の端部220a(第1の端部)と交わり、かつ取出口形成部42の長辺212aと長辺212bとを結んでいる。ミシン目222における長辺212a側の端部222a(第1の端部)は、長辺212a上に存在する。また、ミシン目222における長辺212b側の端部222b(第2の端部)は、長辺212b上に存在する。本実施形態においてミシン目220の端部220aは、長辺212b上に存在する。それゆえ、ミシン目222は、その端部222bにおいて、ミシン目220の端部220aと交わっている。
【0106】
ミシン目222は、短辺214a側に膨らんだ曲線状をしている。ミシン目222は、円弧状をしていることが好ましい。ミシン目222における短辺214aに最も近い部分である最外部222cは、ミシン目220の端部220aと長辺212aとの間に存在する。それゆえ、最外部222cは、端部220aと一致せず、かつ長辺212a上に存在しない。ミシン目222の端部222aから短辺214aまでの距離は、ミシン目222の端部222bから短辺214aまでの距離以上である。すなわち、前者の距離は、後者の距離に等しくてもよいし、後者の距離より大きくてもよい。
【0107】
ミシン目224は、ミシン目220における短辺214b側の端部220b(第2の端部)と交わり、かつ取出口形成部42の長辺212aと長辺212bとを結んでいる。ミシン目224における長辺212a側の端部224a(第1の端部)は、長辺212a上に存在する。また、ミシン目224における長辺212b側の端部224b(第2の端部)は、長辺212b上に存在する。本実施形態においてミシン目220の端部220bは、長辺212b上に存在する。それゆえ、ミシン目224は、その端部224bにおいて、ミシン目220の端部220bと交わっている。
【0108】
ミシン目224は、短辺214b側に膨らんだ曲線状をしている。ミシン目224は、円弧状をしていることが好ましい。ミシン目224における短辺214bに最も近い部分である最外部224cは、ミシン目220の端部220bと長辺212aとの間に存在する。それゆえ、最外部224cは、端部220bと一致せず、かつ長辺212a上に存在しない。ミシン目224の端部224aから短辺214bまでの距離は、ミシン目224の端部224bから短辺214bまでの距離以上である。すなわち、前者の距離は、後者の距離に等しくてもよいし、後者の距離より大きくてもよい。
【0109】
図21及び図22は、それぞれ保持部230及び保持部240を示す平面図である。保持部230(第1の保持部)は、取出口形成部42におけるミシン目220、222,224と長辺212aとで囲まれた部分である。保持部240(第2の保持部)は、取出口形成部42におけるミシン目220、222,224と長辺212bとで囲まれた部分(ミシン目220及び長辺212bのみで囲まれた部分を含む。)である。
【0110】
図21に示すように、保持部230の対向辺230aは、複数の凸部232を有している。対向辺230aは、保持部230における保持部240に対向する辺である。対向辺230aは、取出口形成部42をミシン目220に沿って切ったときの切口に一致する。複数の凸部232は、先端が角張った凸部である角凸部を含んでいる。本実施形態においては、対向辺230aが有する全ての凸部232が角凸部である。取出口形成部42の短手方向について、対向辺230aにおいて最端に位置する凸部232aは、対向辺230aにおいて最端以外に位置する凸部232bよりも出っ張っている。すなわち、凸部232aの先端の方が、凸部232bの先端よりも、長辺212bに近い位置にある。凸部232aは、長辺212bまで達している。
【0111】
図22に示すように、保持部240の対向辺240aは、複数の凸部242を有している。対向辺240aは、保持部240における保持部230に対向する辺である。対向辺240aは、取出口形成部42をミシン目220に沿って切ったときの切口に一致する。複数の凸部242は、先端が丸みを帯びた凸部である丸凸部を含んでいる。本実施形態においては、対向辺240aが有する全ての凸部242が丸凸部である。
【0112】
図20に戻って、長辺212aには、保持部230を長辺212aに沿って折り曲げるための折り線270(谷折線)が設けられている。折り線270は、ミシン目222の端部222aとミシン目224の端部224aとを結ぶ線分上に設けられている。折り線270には、当該折り線270に沿って保持部230を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。ただし、折り線270は、ユーザに折目となる位置を知らせるための、上面部40に印刷された線のみからなっていてもよい。
【0113】
他方、長辺212bには、保持部240を長辺212bに沿って折り曲げるための折り線が設けられていない。すなわち、本実施形態において物品収納箱3は、保持部240が折り曲げられていない状態で使用される。
【0114】
さらに、取出口形成部42は、ミシン目251(第1の副切込線)及びミシン目252(第2の副切込線)を有している。ミシン目251は、ミシン目222の端部222aと長辺212bとを結んでいる。本実施形態においてミシン目251は、第1及び第2の部分からなる。ミシン目251の第1の部分は、長辺212aに沿って、ミシン目251の長辺212a側の端部251aからミシン目251の中間部251cまで延びる直線状の部分である。中間部251cは、長辺212a上に存在する。中間部251cから短辺214aまでの距離は、端部251aから短辺214aまでの距離よりも小さい。
【0115】
ミシン目251の第2の部分は、中間部251cからミシン目251の長辺212b側の端部251bまで延びる曲線状の部分である。なお、第2の部分は、直線状をしていてもよい。端部251bから短辺214aまでの距離は、中間部251cから短辺214aまでの距離よりも小さい。本実施形態において端部251bは、短辺214a上に存在する。それゆえ、端部251bから短辺214aまでの距離は、0である。
【0116】
長辺212bには、ミシン目222とミシン目251と長辺212bとで囲まれた部分である補助部261(第1の補助部)を長辺212bに沿って折り曲げるための折り線271(谷折線)が設けられている。折り線271は、ミシン目222の端部222bとミシン目251の端部251bとを結ぶ線分上に設けられている。折り線271には、当該折り線271に沿って補助部261を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。
【0117】
ミシン目252は、ミシン目224の端部224aと長辺212bとを結んでいる。本実施形態においてミシン目252は、第1及び第2の部分からなる。ミシン目252の第1の部分は、長辺212aに沿って、ミシン目252の長辺212a側の端部252aからミシン目252の中間部252cまで延びる直線状の部分である。中間部252cは、長辺212a上に存在する。中間部252cから短辺214bまでの距離は、端部252aから短辺214bまでの距離よりも小さい。
【0118】
ミシン目252の第2の部分は、中間部252cからミシン目252の長辺212b側の端部252bまで延びる曲線状の部分である。なお、第2の部分は、直線状をしていてもよい。端部252bから短辺214bまでの距離は、中間部252cから短辺214bまでの距離よりも小さい。本実施形態において端部252bは、短辺214b上に存在する。それゆえ、端部252bから短辺214bまでの距離は、0である。
【0119】
長辺212bには、ミシン目224とミシン目252と長辺212bとで囲まれた部分である補助部262(第2の補助部)を長辺212bに沿って折り曲げるための折り線272(谷折線)が設けられている。折り線272は、ミシン目224の端部224bとミシン目252の端部252bとを結ぶ線分上に設けられている。折り線272には、当該折り線272に沿って補助部262を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。
【0120】
短辺214a上には、ミシン目253(切込線)が形成されている。ミシン目253は、短辺214aの全体にわたって設けられている。長辺212aには、ミシン目251とミシン目253と長辺212aとで囲まれた部分である補助部263を長辺212aに沿って折り曲げるための折り線273(谷折線)が設けられている。折り線273は、ミシン目251の中間部251cとミシン目253の長辺212a側の端部とを結ぶ線分上に設けられている。折り線273には、当該折り線273に沿って補助部263を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。
【0121】
短辺214b上には、ミシン目254(切込線)が形成されている。ミシン目254は、短辺214bの全体にわたって設けられている。長辺212aには、ミシン目252とミシン目254と長辺212aとで囲まれた部分である補助部264を長辺212aに沿って折り曲げるための折り線274(谷折線)が設けられている。折り線274は、ミシン目252の中間部252cとミシン目254の長辺212a側の端部とを結ぶ線分上に設けられている。折り線274には、当該折り線274に沿って補助部264を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。
【0122】
図23は、物品収納箱3の使用時の様子を示す斜視図である。また、図24は、図23のB-B線に沿った端面の構造を説明するための図である。図23及び図24においては、物品の図示を省略している。物品収納箱3を使用するには、まず、ミシン目220、ミシン目222及びミシン目224、並びに、ミシン目251及びミシン目252に沿って取出口形成部42に切目を入れる。次に、補助部261及び補助部262をそれぞれ折り線271及び折り線272に沿って斜め上方に折り曲げる。その後、保持部230を折り線270に沿って斜め上方に折り曲げる。これにより、保持部230と保持部240との間に、取出口となる隙間S21が形成される。さらに、本実施形態においては、ミシン目253及びミシン目254に沿って取出口形成部42に切目を入れる。その後、補助部263及び補助部264をそれぞれ折り線273及び折り線274に沿って斜め上方に折り曲げる。これにより、図23に示す物品収納箱3が得られる。
【0123】
物品収納箱3の効果を説明する。物品収納箱3においては、ミシン目220、ミシン目222、ミシン目224、及びミシン目251が設けられている。これにより、取出口形成部42には、ミシン目220,222,224と長辺212aとで囲まれた部分である保持部230と、ミシン目220,222,224と長辺212bとで囲まれた部分である保持部240と、ミシン目222とミシン目251と長辺212bとで囲まれた部分である補助部261とが存在する。ミシン目220,222,224,251に沿って切目が入った状態で、補助部261を斜め上方に折り曲げた後、保持部230を斜め上方に折り曲げることにより、保持部230と保持部240との間に取出口となる隙間S21を形成することができる。このとき、ミシン目222が短辺214a側に膨らんだ曲線状をしているため、保持部230を上方に折り曲げる際、保持部230に補助部261が干渉する。このため、保持部230の折曲げ角度が大きくなりすぎるのを規制することができる。したがって、物品に対する保持力の低下を抑制することのできる物品収納箱3が実現されている。
【0124】
図25及び図26を参照しつつ、補助部261が保持部230の動きを制限する機序を説明する。図25に示すように、保持部230及び補助部261が折り曲げられる前の状態において、保持部230におけるミシン目222の最外部222cに一致する部分を部分230cとし、補助部261におけるミシン目222の最外部222cに一致する部分を部分261cとする。当然、部分230cと部分261cとは、一致する。また、部分230c(部分261c)から短辺214aまでの距離を距離d24とする。
【0125】
図26に示すように、保持部230及び補助部261が折り曲げられると、平面視で、保持部230の部分230cは長辺212a側に移動し、補助部261の部分261cは長辺212b側に移動する。このとき、平面視で、補助部261の対向辺(保持部230に対向する辺)における長辺212aまでの距離が、部分230cから長辺212aまでの距離に等しくなる部分を部分261dとする。平面視で、補助部261の部分261dから短辺214aまでの距離は、距離d24よりも大きくなる。それゆえ、平面視で、補助部261の一部分(図26に斜線で示した部分)が保持部230上に重なることになる。このように補助部261が干渉することにより、保持部230の動きが制限され、保持部230の折曲げ角度が大きくなりすぎるのを規制することができる。
【0126】
ミシン目222の最外部222cは、ミシン目220の端部220aと長辺212aとの間に存在する。これにより、最外部222cが端部220a又は長辺212a上に存在する場合に比して、保持部230の折曲げ角度を適度に調整しやすくなる。
【0127】
ミシン目222の端部222aから短辺214aまでの距離は、ミシン目222の端部222bから短辺214aまでの距離以上である。この場合、最外部222cと端部222aとの間の区間において、ミシン目222から短辺214aまでの距離の変化が急になる。これにより、保持部230に補助部261が干渉しやすくなる。このため、かかる構成は、保持部230の折曲げ角度を比較的小さく維持したい場合に適している。
【0128】
ミシン目222が円弧状をしている場合、ミシン目222の曲率が一定となるため、ミシン目222の形成及び切目の形成が容易となる。また、取出口形成部42ひいては物品収納箱3の美観の向上にも資する。
【0129】
長辺212aには、折り線270が設けられている。これにより、保持部230を所定の位置(折り線270)で折り曲げやすくなる。
【0130】
長辺212bには、折り線271が設けられている。これにより、補助部261を所定の位置(折り線271)で折り曲げやすくなる。
【0131】
ミシン目251に加えてミシン目252が設けられている。これにより、取出口形成部42には、ミシン目224とミシン目252と長辺212bとで囲まれた部分である補助部262が存在する。また、ミシン目224が短辺214b側に膨らんだ曲線状をしているため、保持部230を上方に折り曲げる際、補助部261だけでなく補助部262も保持部230に干渉する。これにより、保持部230の両側に補助部261及び補助部262が干渉することになるため、保持部230の折曲げ角度が大きくなりすぎるのをより確実に規制することができる。また、これらの補助部261及び補助部262により、取出口から引き出された物品が当該取出口の両側に広がらないように規制することもできる。ただし、ミシン目252、及び補助部262を設けることは、必須でない。
【0132】
ミシン目224の最外部224cは、ミシン目220の端部220bと長辺212aとの間に存在する。これにより、最外部224cが端部220b又は長辺212a上に存在する場合に比して、保持部230の折曲げ角度を適度に調整しやすくなる。
【0133】
ミシン目224の端部224aから短辺214bまでの距離は、ミシン目224の端部224bから短辺214bまでの距離以上である。この場合、最外部224cと端部224aとの間の区間において、ミシン目224から短辺214bまでの距離の変化が急になる。これにより、保持部230に補助部262が干渉しやすくなる。このため、かかる構成は、保持部230の折曲げ角度を比較的小さく維持したい場合に適している。
【0134】
ミシン目224が円弧状をしている場合、ミシン目224の曲率が一定となるため、ミシン目224の形成及び切目の形成が容易となる。また、取出口形成部42ひいては物品収納箱3の美観の向上にも資する。
【0135】
長辺212bには、折り線272が設けられている。これにより、補助部262を所定の位置(折り線272)で折り曲げやすくなる。
【0136】
ミシン目220は、波状をしている。このため、保持部230,240の対向辺230a,240aに凹凸が生じる。これにより、保持部230,240の物品に対する保持力を強化することができる。
【0137】
ところで、このように保持部230,240の対向辺230a,240aが凹凸を有する場合、凸部が物品に引っ掛かることにより、物品を円滑に取り出しにくくなる場合がある。この点、本実施形態においては、ミシン目220の頂部220cから長辺212bまでの距離d21が、頂部220cから長辺212aまでの距離d22の半分以下である。このようにミシン目220を長辺212b側に寄せることにより、取出口形成部42の短手方向について、保持部230の長さが保持部240の長さよりも顕著に大きくなる。この場合、図24からわかるように、折り曲げ後の保持部230と保持部240との間の隙間S21を、本体10の高さ方向(同図の上下方向)に広く確保しやすくなる。隙間S21が高さ方向に広ければ、同図に矢印A21で示すように物品を斜めに引き上げることにより、隙間S21を通じて物品を円滑に取り出すことができる。
【0138】
このようにミシン目220を長辺212b側に寄せる観点から、取出口形成部42の短手方向について、短辺214aの長さを1としたとき、距離d21は、0.3以下であることが好ましい。他方、距離d21が小さすぎると、充分な大きさの凸部242を形成しにくくなってしまう。かかる観点から、距離d21は、0.1以上であることが好ましい。
【0139】
保持部230の対向辺230aは、複数の凸部232を有している。これにより、凸部232が1つしかない場合に比して、保持部230の物品に対する保持力を強化することができる。
【0140】
複数の凸部232は、角凸部を含んでいる。この場合、全ての凸部232が丸凸部である場合に比して、保持部230の保持力を強化することができる。
【0141】
保持部240の対向辺240aは、複数の凸部242を有している。これにより、凸部242が1つしかない場合に比して、保持部240の物品に対する保持力を強化することができる。
【0142】
複数の凸部242は、丸凸部を含んでいる。この場合、全ての凸部242が角凸部である場合に比して、取出し時に物品が凸部242に引っ掛かりにくくなるため、物品を円滑に取り出しやすくなる。本実施形態においては、対向辺240aが有する全ての凸部242が丸凸部であるため、物品の取り出しやすさという点で特に有利である。
【0143】
取出口形成部42の長手方向について、ミシン目220の端部220aから端部220bまでの距離d23は、長辺212aの長さよりも小さい。これにより、取出口の横幅を取出口形成部42の横幅(長辺212aの長さ)よりも小さくすることができる。このように取出口の横幅を小さくした場合、取出口から引き出された物品に皺が寄りやすくなる。そうなると、物品が取出口形成部42の短手方向に広がるため、保持部230の対向辺230a及び保持部240の対向辺240aの双方が物品に当接しやすくなる。このため、保持部230及び保持部240の保持力を強化するのに有利である。
【0144】
このように取出口の横幅を小さくする観点から、距離d23は、長辺212aの長さの60%以下であることが好ましい。他方、取出口の横幅が小さすぎると、物品を取り出しにくくなってしまう。かかる観点から、距離d23は、長辺212aの長さの40%以上であることが好ましい。
【0145】
取出口形成部42は、ミシン目253及びミシン目254を有している。これにより、補助部263及び補助部264を斜め上方に折り曲げられた状態にすることができる。これらの補助部263及び補助部264により、取出口から引き出された物品が当該取出口の両側に広がらないように規制することができる。ただし、ミシン目253,254、及び補助部263,264を設けることは、必須でない。物品収納箱3のその他の効果は、物品収納箱1と同様である。
【0146】
本実施形態においては、保持部230の対向辺230aが有する全ての凸部232が角凸部である場合を例示した。しかし、対向辺230aが有する複数の凸部232は、丸凸部を含んでいてもよい。その場合、全ての凸部232が丸凸部であってもよいし、一部の凸部232が丸凸部で残りの凸部232が角凸部であってもよい。
【0147】
本実施形態においては、保持部240の対向辺240aが有する全ての凸部242が丸凸部である場合を例示した。しかし、対向辺240aが有する複数の凸部242は、角凸部を含んでいてもよい。その場合、全ての凸部242が角凸部であってもよいし、一部の凸部242が角凸部で残りの凸部242が丸凸部であってもよい。
【0148】
本実施形態においては、対向辺240aが有する全ての凸部242の先端が揃っている場合を例示した。しかし、図27に示すように、取出口形成部42の短手方向について、対向辺240aにおいて最端に位置する凸部242(凸部242a)が最端以外に位置する凸部242(凸部242b)より出っ張っていてもよい。丸凸部である凸部242aを出っ張らせることにより、凸部242bが角凸部である場合に、取出し時に物品が当該凸部242bに引っ掛かりにくくなる。また、ユーザ(特に子供)が角凸部である凸部242bに触れて怪我をするリスクを低減することができる。
【0149】
上記実施形態においては、長辺212bに、保持部240を長辺212bに沿って折り曲げるための折り線が設けられていない場合を例示した。しかし、長辺212bに、かかる折り線が設けられていてもよい。その場合、物品収納箱3は、保持部230及び保持部240の双方が折り曲げられた状態で使用される。上述のとおりミシン目220は長辺212b側に寄っているため、図28に示すように、保持部230及び保持部240が同じ角度だけ折り曲げられたとしても、対向辺230aの方が対向辺240aよりも高い地点に位置することになる。それゆえ、保持部230と保持部240との間の隙間S21を、本体10の高さ方向に広く確保することができる。なお、図28は、図24と同様の端面を示している。
【0150】
本実施形態においては、ミシン目222の端部222aから短辺214aまでの距離が端部222bから短辺214aまでの距離以上である場合を例示した。しかし、端部222aから短辺214aまでの距離は、端部222bから短辺214aまでの距離より小さくてもよい。この場合、最外部222cと端部222aとの間の区間において、ミシン目222から短辺214aまでの距離の変化が緩やかになる。これにより、保持部230に補助部261が干渉しにくくなる。このため、かかる構成は、保持部230の折曲げ角度を比較的大きく維持したい場合に適している。
【0151】
本実施形態においては、ミシン目224の端部224aから短辺214bまでの距離が端部224bから短辺214bまでの距離以上である場合を例示した。しかし、端部224aから短辺214bまでの距離は、端部224bから短辺214bまでの距離より小さくてもよい。この場合、最外部224cと端部224aとの間の区間において、ミシン目224から短辺214bまでの距離の変化が緩やかになる。これにより、保持部230に補助部262が干渉しにくくなる。このため、かかる構成は、保持部230の折曲げ角度を比較的大きく維持したい場合に適している。
【0152】
本実施形態においては、ミシン目220の端部220a,220bが長辺212b上に存在する場合を例示した。しかし、端部220a,220bは、図29に示すように、長辺212aと長辺212bとの間に存在してもよい。
【0153】
本実施形態においては、ミシン目220を長辺212b側に寄せて配置する場合を例示した。しかし、ミシン目220は、図30に示すように、取出口形成部42を短手方向に二等分する中心線L21に掛かるように配置されてもよい。
【0154】
本実施形態においては、各対向辺230a,240aが多数(6個以上)の凸部232,242を有する場合を例示した。しかし、各対向辺230a,240aは、図31に示すように、少数(6個未満)の凸部232,242を有していてもよい。同図においては、凸部232が3つ設けられ、凸部242が2つ設けられている。
【0155】
本実施形態においては、ミシン目220が波状をしている場合を例示した。しかし、ミシン目220は、図32に示すように、一直線状をしていてもよい。
【0156】
本実施形態においては、ミシン目251の端部251bが短辺214a上に存在する場合を例示した。しかし、端部251bは、図33に示すように、短辺214aから離間していてもよい。同図においては、ミシン目252の端部252bも、短辺214bから離間している。この場合、各補助部263,264の先端が尖らないようにすることができる。
(第4実施形態)
【0157】
図34は、本発明による物品収納箱の第4実施形態を示す端面図である。物品収納箱4は、複数の物品が積み重ねられた状態で収納される物品収納箱であって、本体10を備えている。本実施形態においては、上面部40の構成が第1乃至第3実施形態と異なる。本体10のその他の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。
【0158】
上面部40は、外側部材310及び内側部材320を含んでいる。外側部材310及び内側部材320の各々は、1枚の厚紙からなる。内側部材320は、外側部材310の裏面に重なるように設けられており、外側部材310と共に上面部40を構成している。このように、上面部40は、外側部材310及び内側部材320からなる二重構造をしている。
【0159】
図35は、外側部材310を示す平面図である。外側部材310は、折曲部312(第1の折曲部)を有している。折曲部312は、上面部40の上方に折り曲げられることにより、取出口となる開口314(図34参照)を外側部材310に生じさせる。折曲部312と開口314とは、形状及び大きさが互いに等しい。なお、図35は、折曲部312が折り曲げられる前の状態を示している。
【0160】
側面部36及び側面部38に垂直な方向を横方向(図35の左右方向)としたとき、折曲部312は、横長の形状をしている。本実施形態において折曲部312は、長方形状をしている。折曲部312の横方向の長さd31は、上面部40の横方向の長さd32の60%以上80%以下であることが好ましい。折曲部312の縦方向(図35の上下方向)の長さd33は、例えば、7mm以上15mm以下である。
【0161】
外側部材310には、切込線として、ミシン目332、ミシン目334及びミシン目336が形成されている。また、外側部材310には、折り線338(谷折線)が形成されている。これらのミシン目332,334,336と折り線338とで囲まれた部分が、折曲部312である。ミシン目332及び折り線338は、横方向に延在する直線に沿って形成されている。ミシン目334及びミシン目336は、縦方向に延在する直線に沿って形成されている。ミシン目334は、ミシン目332の一端と折り線338の一端とを結んでいる。ミシン目336は、ミシン目332の他端と折り線338の他端とを結んでいる。
【0162】
ミシン目332,334,336に沿って外側部材310に切目を入れることにより、折り線338を折目として折曲部312を上面部40の上方に折り曲げられるようになる。折り線338には、当該折り線338に沿って折曲部312を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。ただし、折り線338は、ユーザに折目となる位置を知らせるための、外側部材310に印刷された線のみからなっていてもよい。
【0163】
図36は、内側部材320を示す平面図である。内側部材320は、折曲部322(第2の折曲部)を有している。折曲部322は、上面部40の上方に折り曲げられることにより、開口314に重なる開口324(第2の開口)を内側部材320に生じさせる。折曲部322と開口324とは、形状及び大きさが互いに等しい。また、折曲部322は、上面部40の上方に折り曲げられることにより、開口314を通過して折曲部312と向かい合わせになる。ここで、折曲部312と折曲部322とが向かい合わせになるとは、折曲部312の裏面と折曲部322の裏面とが対向するということである。なお、図36は、折曲部322が折り曲げられる前の状態を示している。
【0164】
折曲部322は、横長の形状をしている。本実施形態において折曲部322は、長方形状をしている。折曲部322の横方向の長さd34は、折曲部312の横方向の長さd31に等しい。折曲部322の縦方向の長さd35は、折曲部312の縦方向の長さd33よりも大きい。折曲部312及び折曲部322の縦方向の長さの差(d35-d33)は、5mm以上10mm以下であることが好ましい。折曲部322の縦方向の長さd35は、例えば、12mm以上25mm以下である。
【0165】
内側部材320には、切込線として、ミシン目342、ミシン目344及びミシン目346が形成されている。また、内側部材320には、折り線348(谷折線)が形成されている。これらのミシン目342,344,346と折り線348とで囲まれた部分が、折曲部322である。ミシン目342及び折り線348は、横方向に延在する直線に沿って形成されている。ミシン目344及びミシン目346は、縦方向に延在する直線に沿って形成されている。ミシン目344は、ミシン目342の一端と折り線348の一端とを結んでいる。ミシン目346は、ミシン目342の他端と折り線348の他端とを結んでいる。
【0166】
外側部材310及び内側部材320が重ね合わされた状態のとき、ミシン目342は、平面視で、折り線338よりも外側(図35及び図36の下側)に位置する。同様の状態のとき、ミシン目344、ミシン目346及び折り線348は、平面視で、それぞれミシン目334、ミシン目336及びミシン目332に略一致する。ただし、折り線348は、平面視で、ミシン目332よりも外側(図35及び図36の上側)に位置してもよい。その場合、折曲部312,322が折り曲げられた後、折曲部322の折目は、平面視で、開口314の外側に存在することになる。
【0167】
ミシン目342,344,346に沿って内側部材320に切目を入れることにより、折り線348を折目として折曲部322を上面部40の上方に折り曲げられるようになる。折り線348には、当該折り線348に沿って折曲部322を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。
【0168】
図34に戻って、物品収納箱4は、折曲部312及び折曲部322が上方に折り曲げられた状態で使用される。本実施形態においては、折曲部312が折曲部322に向かって斜め上方に折り曲げられるとともに、折曲部322が折曲部312に向かって斜め上方に折り曲げられる。すなわち、物品収納箱4の使用時、折曲部312及び折曲部322は、斜め上方に折り曲げられた状態にある。折曲部312及び折曲部322は、斜め上方に折り曲げられた状態(かつ折曲部312と折曲部322との間に物品が介在しない状態)で、互いに接することが好ましい。折曲部322の先端を構成する辺である先端辺322aの上面部40からの高さh32(図34参照)は、折曲部312の先端を構成する辺である先端辺312aの上面部40からの高さh31よりも大きい。図37に示すように、取出口(開口314)を通じて物品(ティッシュペーパー90)の一端を引っ張ることにより、物品を物品収納箱4から取り出すことができる。
【0169】
物品収納箱4の効果を説明する。物品収納箱4においては、取出口の形成面(上面部40)が、外側部材310及び内側部材320によって構成されている。外側部材310及び内側部材320には、それぞれ、上面部40の上方に折り曲げられる折曲部312及び折曲部322が設けられている。折曲部312は、折り曲げられることにより、取出口となる開口314を外側部材310に生じさせる。折曲部322は、折り曲げられることにより、開口314を通過して折曲部312と向かい合わせになる。このため、折り曲げられた折曲部312及び折曲部322は、取出口(開口314)の上方において互いに向かい合わせとなる。これにより、かかる折曲部が存在しない場合に比して、取出口を通じて物品収納箱4の内部に埃が侵入しにくくなる。したがって、内部に埃が侵入しにくい構造の物品収納箱4が実現されている。
【0170】
また、折り曲げられた折曲部312,322が取出口の上方で互いに向かい合わせとなるため、取出口から引き出された物品が折曲部312,322によって保持され、物品収納箱4の中に落ち込みにくいという利点もある。
【0171】
物品収納箱4の使用時、折曲部312は、上面部40の斜め上方に折り曲げられた状態にある。この場合、平面視で、すなわち上面部40に垂直な方向から見たとき、折り曲げられた折曲部312が取出口の一部に重なる。このため、折曲部312が上面部40の垂直上方に折り曲げられた場合に比して、埃が一層侵入しにくくなる。
【0172】
折曲部312が上面部40の斜め上方に折り曲げられた状態で折曲部322に接する場合、折曲部312が折曲部322から離間している場合に比して、埃の侵入経路が狭くなるため、埃が一層侵入しにくくなる。また、折曲部312の物品に対する保持力を高めるのに有利である。
【0173】
折曲部312と開口314とは、形状及び大きさが互いに等しい。この場合、切り抜き部分のない1枚の紙で外側部材310を構成することができるため、外側部材310の形成が容易となる。
【0174】
物品収納箱4の使用時、折曲部322は、上面部40の斜め上方に折り曲げられた状態にある。この場合、平面視で、折り曲げられた折曲部322が取出口の少なくとも一部に重なる。このため、折曲部322が上面部40の垂直上方に折り曲げられた場合に比して、埃が一層侵入しにくくなる。
【0175】
折曲部322が上面部40の斜め上方に折り曲げられた状態で折曲部312に接する場合、折曲部322が折曲部312から離間している場合に比して、埃の侵入経路が狭くなるため、埃が一層侵入しにくくなる。また、折曲部322の物品に対する保持力を高めるのに有利である。
【0176】
上面部40は、外側部材310及び内側部材320からなる二重構造をしている。これにより、上面部40の強度を高めることができる。また、この場合、縦方向について、折曲部312の長さd33と折曲部322の長さd35との和を、開口314の長さ(折曲部312の長さd33に等しい。)よりも大きくすることができる。このことは、埃の侵入を防ぐのに有利である。
【0177】
折曲部312及び折曲部322は、横長の形状をしている。この場合、取出口の形状も横長になるため、物品を取り出しやすくなる。
【0178】
折曲部312の横方向の長さd31が大きすぎると、横方向について取出口から上面部40の端までの距離が小さくなり、上面部40の強度が不充分になるおそれがある。かかる観点から、長さd31は、上面部40の横方向の長さd32の80%以下であることが好ましい。他方、長さd31が小さすぎると、取出口の横方向の長さも小さくなり、物品を取り出しにくくなるおそれがある。かかる観点から、長さd31は、長さd32の60%以上であることが好ましい。
【0179】
折曲部322の横方向の長さd34は、折曲部312の横方向の長さd31に等しい。この場合、横方向について取出口の全体に折曲部322が延在することになるため、埃の侵入を防ぐのに有利である。ただし、長さd34を長さd31より僅かに(例えば0.1mm~3mm程度)小さくしてもよい。そうすることにより、折曲部322が開口314を通過しやすくなる。
【0180】
折曲部322の折目が平面視で開口314の外側に存在する場合、折曲部322を折り曲げる際、折曲部322に開口314の縁が干渉する。このため、折曲部322の折曲げ角度が大きくなりすぎるのを規制することができる。これにより、折曲部322が斜め上方に折り曲げられた状態を維持しやすくなる。かかる観点から、折曲部312,322が折り曲げられる前の状態における折り線348とミシン目332との平面視での間隔は、0.1mm~0.5mm程度とすることが好ましい。
【0181】
折曲部322は、上面部40の上方に折り曲げられることにより、開口314に重なる開口324を内側部材320に生じさせる。この場合、取出口の周囲全体を包囲するように内側部材320が外側部材310の裏面を覆うため、上面部40の強度を高めるのに有利である。物品収納箱4のその他の効果は、物品収納箱1と同様である。
【0182】
本実施形態においては、折曲部322の先端辺322aが直線状をしている場合を例示した。しかし、先端辺22aは、図38に示すように、複数の凸部350を有していてもよい。同図において、先端辺322aが有する複数の凸部350は、先端が角張った凸部である角凸部と、先端が丸みを帯びた凸部である丸凸部とを含んでいる。先端辺322aにおいて最端に位置する凸部350aは、先端辺322aにおいて最端以外に位置する凸部350bよりも出っ張っている。凸部350aは丸凸部であり、凸部350bは角凸部である。なお、本例におけるように折曲部322の縦方向の寸法が一定でない場合、当該寸法の最大値をもって折曲部322の縦方向の長さd35とする。
【0183】
このように本例においては、先端辺322aに複数の凸部350が設けられている。これにより、折曲部322の物品に対する保持力を強化することができる。先端辺322aにおいて最端に位置する凸部350aは、最端以外に位置する凸部350bよりも出っ張っている。丸凸部である凸部350aを出っ張らせることにより、ユーザ(特に子供)が角凸部である凸部350bに触れて怪我をするリスクを低減することができる。
【0184】
ただし、凸部350aを凸部350bよりも出っ張らせることは、必須でない。すなわち、先端辺322aが有する全ての凸部350の先端が揃っていてもよい。また、図39に示すように先端辺322aが有する全ての凸部350を角凸部としてもよいし、図40に示すように先端辺322aが有する全ての凸部350を丸凸部としてもよい。
【0185】
本実施形態において先端辺322aは、図41に示すように、凹部360を有していてもよい。同図において凹部360は、凹部360を通じて物品を摘めるように構成されている。すなわち、凹部360は、図42に示すように、物品(ティッシュペーパー90)における凹部360に重なる部分(斜線部分)を2本の指(通常、親指と人差指)で摘むのに充分な大きさを有している。本例において凹部360は、半円状をしている。また、凹部360は、先端辺322aの中央に設けられている。なお、先端辺322aにおける凹部360が設けられていない領域には、図43に示すように、上述の凸部350(角凸部及び/又は丸凸部)を設けてもよい。
【0186】
このように本例においては、先端辺322aに凹部360が設けられている。これにより、物品を引き出す際に、物品の一端を摘みやすくなる。凹部360は、先端辺322aの中央に設けられている。これにより、凹部360を通じて物品の中央付近を摘めるため、物品をバランスよく引き出すことができる。
【0187】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、舌片72の形状が矩形である場合を例示した。しかし、舌片72は、例えば図44に示すように、先細りの形状をしていてもよい。その場合、舌片72をスリット82に挿入しやすくなる。
【0188】
上記実施形態においては、切込線60の横切込部分63が一直線状をしている場合を例示した。しかし、横切込部分63は、例えば図45に示すように、波状をしていてもよい。その場合、スリット82に挿入された舌片72を凸部で上下から挟むことができるため、舌片72がスリット82から不意に抜けてしまう事態を一層起こりにくくすることができる。
【0189】
上記実施形態において本体10は、例えば図46に示すように、複数のスリット部80を有していてもよい。複数のスリット部80は、本体10の高さ方向の異なる位置に設けられている。本例において側面部32には、図47に示すように、折り線33が複数設けられている。複数の折り線33は、本体10の高さ方向の異なる位置に設けられている。各折り線33は、側面視で、各スリット部80に重なる位置に設けられている。すなわち、側面部32において上側に設けられた折り線33は、側面部34において上側に設けられたスリット部80に重なり、側面部32において下側に設けられた折り線33は、側面部34において下側に設けられたスリット部80に重なる。舌片72を上側のスリット82に挿入するときは舌片72を上側の折り線33に沿って折り曲げ、舌片72を下側のスリット82に挿入するときは舌片72を下側の折り線33に沿って折り曲げることが好ましい。側面切込部分54及び側面切込部分55は、下側の折り線33の端を通過し、上側の折り線33の端まで延在している。
【0190】
このように複数のスリット部80を設けた場合、舌片72を何れのスリット82に挿入するかにより、舌片72の高さ(底面部20からの距離)を調整することができる。これにより、物品の残量に応じて底上げの程度を選択することが可能となる。また、複数の折り線33を設けることにより、舌片72を何れのスリット82に挿入したときでも、舌片72を底面部20と平行に配置しやすくなる。
【0191】
上記実施形態においては、切込線60が折り線35の下方に位置する場合を例示した。しかし、切込線60は、例えば図48に示すように、折り線35の上方に位置してもよい。
【0192】
上記実施形態においては、切込線60が非環状の1本の線に沿って形成されている場合を例示した。しかし、切込線60は、例えば図49に示すように、環状の1本の線に沿って形成されてもよい。その場合、切込線60で囲まれた部分80aは側面部34から切り離され、部分80aと等しい形状及び大きさのスリット82が得られる。
【0193】
上記実施形態においては、切込線60が複数の線分に沿って形成されている場合を例示した。しかし、切込線60は、例えば図50に示すように、1本の線分に沿って形成されてもよい。同図において切込線60は、全体が一直線状をしている。
【0194】
上記実施形態においては、切込線50及び切込線60がミシン目である場合を例示した。すなわち、各切込線50,60の両側に力を加えたときに初めて当該切込線50,60に沿って切目が入るように構成されている場合を例示した。しかし、各切込線50,60には、予め切目が入っていてもよい。
【符号の説明】
【0195】
1 物品収納箱
2 物品収納箱
3 物品収納箱
4 物品収納箱
10 本体
10a 下方部分
12 香り部
14 シール
20 底面部
32 側面部(第1の側面部)
33 折り線
34 側面部(第2の側面部)
34a 特定部
35 折り線
36 側面部(第3の側面部)
38 側面部(第4の側面部)
40 上面部
42 取出口形成部
44 取出口
46 プラスチックフィルム
50 切込線(第1切込線)
51 底面切込部分(第1の底面切込部分)
52 底面切込部分(第2の底面切込部分)
53 底面切込部分(第3の底面切込部分)
54 側面切込部分(第1の側面切込部分)
55 側面切込部分(第2の側面切込部分)
60 切込線(第2切込線)
61 縦切込部分(第1の縦切込部分)
62 縦切込部分(第2の縦切込部分)
63 横切込部分
70 舌片部
72 舌片
72a 食出部
80 スリット部
82 スリット
90 ティッシュペーパー
112a 長辺(第1の長辺)
112b 長辺(第2の長辺)
114a 短辺(第1の短辺)
114b 短辺(第2の短辺)
120 ミシン目(第1の主切込線)
122 ミシン目(第2の主切込線)
124 ミシン目(第3の主切込線)
130 保持部(第1の保持部)
130a 対向辺
132 凸部
140 保持部(第2の保持部)
140a 対向辺
142 凸部
151 ミシン目(第1の副切込線)
152 ミシン目(第2の副切込線)
153 ミシン目(第3の副切込線)
154 ミシン目(第4の副切込線)
155 ミシン目
156 ミシン目
161 補助部(第1の補助部)
162 補助部(第2の補助部)
163 補助部(第3の補助部)
164 補助部(第4の補助部)
165 補助部
166 補助部
170 折り線
171 折り線
172 折り線
173 折り線
174 折り線
175 折り線
176 折り線
212a 長辺(第1の長辺)
212b 長辺(第2の長辺)
214a 短辺(第1の短辺)
214b 短辺(第2の短辺)
220 ミシン目(第1の主切込線)
222 ミシン目(第2の主切込線)
224 ミシン目(第3の主切込線)
230 保持部(第1の保持部)
230a 対向辺
232 凸部
240 保持部(第2の保持部)
240a 対向辺
242 凸部
251 ミシン目(第1の副切込線)
252 ミシン目(第2の副切込線)
253 ミシン目
254 ミシン目
261 補助部(第1の補助部)
262 補助部(第2の補助部)
263 補助部
264 補助部
270 折り線
271 折り線
272 折り線
273 折り線
274 折り線
310 外側部材
312 折曲部(第1の折曲部)
312a 先端辺
314 開口(第1の開口)
320 内側部材
322 折曲部(第2の折曲部)
322a 先端辺
324 開口(第2の開口)
332 ミシン目
334 ミシン目
336 ミシン目
338 折り線
342 ミシン目
344 ミシン目
346 ミシン目
348 折り線
350 凸部
360 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50