(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】火災抑制のための隔壁及び断熱層を備えた電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20241125BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241125BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20241125BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20241125BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20241125BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20241125BHJP
H01M 50/383 20210101ALI20241125BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20241125BHJP
H01M 50/509 20210101ALI20241125BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/204 401F
H01M50/211
H01M50/271 B
H01M50/271 S
H01M50/35 201
H01M50/367
H01M50/383
H01M50/505
H01M50/509
(21)【出願番号】P 2022559392
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 KR2021005070
(87)【国際公開番号】W WO2022004997
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0079313
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】サン・ヒュン・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・キュ・シン
(72)【発明者】
【氏名】スン・ゲン・ホン
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-235803(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0069873(KR,A)
【文献】特開2018-129240(JP,A)
【文献】特開2019-149227(JP,A)
【文献】特開2012-099477(JP,A)
【文献】国際公開第2019/031175(WO,A1)
【文献】特開2015-079564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/291
H01M 50/204
H01M 50/211
H01M 50/271
H01M 50/35
H01M 50/367
H01M 50/383
H01M 50/505
H01M 50/509
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが垂直方向に積層された2個以上のセルスタックを含むセルモジュールアセンブリーが保護ケースの内部空間部に収納され、互いに隣り合って位置するセルスタックの間及びセルスタックと保護ケースとの間のいずれか一つ以上には一つ以上の隔壁が備えられ、
互いに隣り合って位置する前記セルスタックの間には第1隔壁が備えられ、
前記第1隔壁は、所定の距離で離隔したままで互いに向き合い、平板状を有する一対の垂直隔壁、及び前記垂直隔壁の上端部を互いに連結する連結壁を含み、前記連結壁には一つ以上の開口が形成され
、
前記第1隔壁は、前記セルスタックと接触しない、
電池モジュール。
【請求項2】
複数の電池セルが垂直方向に積層された2個以上のセルスタックを含むセルモジュールアセンブリーが保護ケースの内部空間部に収納され、互いに隣り合って位置するセルスタックの間及びセルスタックと保護ケースとの間のいずれか一つ以上には一つ以上の隔壁が備えられ、
互いに隣り合って位置する前記セルスタックの間には第1隔壁が備えられ、
前記第1隔壁は、所定の距離で離隔したままで互いに向き合い、平板状を有する一対の垂直隔壁、及び前記垂直隔壁の上端部を互いに連結する連結壁を含み、前記連結壁には一つ以上の開口が形成され、
前記保護ケースは、互いに向き合う一対の側面カバー、前記側面カバーの下端部を連結する下面カバー、前面カバー、後面カバー、及び前記側面カバーの上部に装着される上面カバーを含む、
電池モジュール。
【請求項3】
複数の電池セルが垂直方向に積層された2個以上のセルスタックを含むセルモジュールアセンブリーが保護ケースの内部空間部に収納され、互いに隣り合って位置するセルスタックの間及びセルスタックと保護ケースとの間のいずれか一つ以上には一つ以上の隔壁が備えられ、
互いに隣り合って位置する前記セルスタックの間には第1隔壁が備えられ、
前記第1隔壁は、所定の距離で離隔したままで互いに向き合い、平板状を有する一対の垂直隔壁を含み、
前記垂直隔壁の両側端部には、付近に位置するセルスタックに向かう方向に折曲及び/または湾曲した第1折曲壁及び第2折曲壁が備えられる、
電池モジュール。
【請求項4】
前記垂直隔壁の両側端部には、付近に位置するセルスタックに向かう方向に折曲及び/または湾曲した第1折曲壁及び第2折曲壁が備えられる、
請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記第1折曲壁及び前記第2折曲壁は、それぞれ第4空間部及び第5空間部を形成する、
請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記垂直隔壁と前記セルスタックとは所定の距離で離隔して第6空間部を形成する、
請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記側面カバーに隣り合うセルスタックの一側角の付近には一側面が開放した第2隔壁が備えられて第1空間部を形成し、
前記第2隔壁の開放面は、前記セルスタックの他側角に向かうように位置する、
請求項2及び4から6のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記側面カバーに隣り合う前記セルスタックの他側角の付近には一側面が開放した第3隔壁が備えられて第2空間部を形成し、
前記第3隔壁の開放面は、前記第2隔壁の開放面と向き合うように位置する、
請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記側面カバーと前記セルスタックとの間には第3空間部が備えられる、
請求項8に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記セルスタックは、複数の電池セル、前記電池セルの負極リードまたは正極リードが連結される第1バスバー、及び前記電池セルの残りのリードが連結される第2バスバーを含み、
互いに隣り合って位置する前記セルスタックは連結バスバーによって連結される、
請求項7から9のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記前面カバーは、前面プレート及び第1陥没部を含み、
前記第1陥没部は、前記セルスタックの前面部に向かって所定の深さに陥没した状態で前記前面プレートの両側に位置し、前記第1陥没部には前記電池セルの電極リードが貫通するように第1スリットが形成される、
請求項10に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記第1陥没部は、第1スリットを除き、すべての面が密閉している、
請求項11に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記第1スリットは、所定の角度に傾いた第1傾斜板によって形成される、
請求項12に記載の電池モジュール。
【請求項14】
前記後面カバーは、後面プレート及び第2陥没部を含み、
前記第2陥没部は、前記セルスタックの後面部に向かって所定の深さに陥没した状態で前記後面プレートの両側に位置し、前記第2陥没部には、前記電池セルの電極リードが貫通するように第2スリットが形成される、
請求項10から13のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項15】
前記第2陥没部は、第2スリットを除き、すべての面が密閉している、
請求項14に記載の電池モジュール。
【請求項16】
前記第2スリットは、所定の角度に傾いた第2傾斜板によって形成される、
請求項15に記載の電池モジュール。
【請求項17】
前記一対の側面カバーの上端部には外側に突出した締結溝が備えられ、
前記上面カバーは、水平方向に位置するメインプレート、及び前記メインプレートから下方に折り曲げられた補助プレートを含み、
前記メインプレートには第2打孔部が形成され、前記補助プレートの外側面には前記締結溝に収容される締結突起が形成される、
請求項2及び4から16のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項18】
前記第2打孔部は、前記第1隔壁の連結壁の垂直上部に位置する、
請求項17に記載の電池モジュール。
【請求項19】
前記下面カバーには第1打孔部が備えられ、前記第1打孔部は、前記第1隔壁の連結壁の垂直下部に位置する、
請求項2及び4から18のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の電池モジュールを含む、電池パック。
【請求項21】
請求項1から19のいずれか一項に記載の電池モジュールを含む、エネルギー貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年06月29日付の韓国特許出願第2020-0079313号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は火災抑制のための隔壁及び断熱層を備えた電池モジュールに関し、より詳しくはセルスタックの間にまたはセルスタックと側面カバーとの間に隔壁及び空気断熱層を備えることで、発火条件を予め遮断して火災発生を抑制し、火災が発生しても隣接したセルスタックに転移しないようにする電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
製品群によって容易に適用することができ、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯用機器だけではなく、電気駆動源によって駆動する電気車両(EV、Electric Vehicle)またはハイブリッド車両(HEV、Hybrid Electric Vehicle)などに普遍的に応用されている。このような二次電池は化石燃料の使用を画期的に減少させることができるという一次的な利点だけではなく、エネルギー使用による副産物が全然発生しないという点で、環境に優しくエネルギー効率性を向上させる新しいエネルギー源として注目されている。
【0004】
このような二次電池としては、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などが知られており、多数のバッテリーセルを直列にまたは並列に連結して一つの電池モジュールや電池パックを構成することができる。
【0005】
最近に注目されているエネルギー貯蔵システム(ESS:Energy Storage System)は、生産された電気をバッテリーに貯蔵しておき、電気が必要なときに需要者に供給することにより電力使用効率を極大化することができる装置である。
【0006】
一般的なエネルギー貯蔵システム(ESS)は、多数の電池モジュールが一つのラックを成し、数十個ないし数百個のラックが集まって単一のシステムを構成する。そして、急な電力供給の中断や異常に対応して電力を安定的に供給するUPS(無停電電源装置)と日光を電気エネルギーに変換する発電装置である太陽光発電システムなどと連動して使われることもある。
【0007】
一方、二次電池は優れた電気的特性を有しているが、過充電、過放電、高温露出、電気的短絡などの異常作動状態で電池の構成要素である活物質、電解質などの分解反応が起こって熱及びガスが発生し、これにより二次電池が膨張する、いわゆるスウェリング現象が発生する問題点がある。スウェリング現象はこのような分解反応を加速化させて熱暴走(Thermal runaway)現象による二次電池の爆発及び発火をもたらすこともある。
【0008】
すなわち、電池セルの熱暴走の際には、シーリングの弱い部分を通して閃光のように飛び出す火炎であるフレア(flare)、内部電極の脱離及びアルミニウム集電体の溶融によって放出される高熱を有する粒子であるスパーク(spark)、及び高温のベントガス(vent gas)が発生する。特に、これらは該当位置にのみ留まるものではなく、付近に位置する電池セルを含めて周辺のモジュールまで移動するので、大きな事故につながる可能性が高い。
【0009】
これに関連して、特許文献1には、互いに主面同士向き合うように配列された多数のバッテリーセルと、互いに隣り合うバッテリーセルの間に介在される隔壁とを含み、前記隔壁には、隔壁の厚さ方向に前記バッテリーセルの主面から遠くなる方向に凹んでいる陰刻形のエアポケットが形成されているバッテリーパックが開示されている。
【0010】
前記特許文献1によれば、互いに隣り合うバッテリーセルの間に隔壁及びエアポケットを形成することにより、互いに隣り合うバッテリーセルの間で熱的干渉を遮断することができるので、局部的に劣化した一部のバッテリーセルから隣り合う他のバッテリーセルへの熱暴走をある程度遮断することができるという利点がある。
【0011】
しかし、特許文献1は角型セルが並んで積層されたバッテリーパックであり、セルケース、電極組立体、及びケースの外側にリードが突出するパウチセルから構成された電池モジュールにはそのまま適用することができなく、さらに断熱層の空気が閉じ込められているので、セルの熱暴走現象の発生の際、断熱層としての十分な役割を果たすことができなく、隣接したセルに熱が容易に伝達されて火災を拡散させるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】韓国公開特許第2020-0011816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記のような問題点を解決するために、電池セルの熱暴走の際に発生するフレア、スパークなどの移動を遮断して火災の発生を防止するか、隣接したセルスタックに火災が移動することを防止することができる電池モジュールを提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、電池セルの熱暴走の際に噴出されるベントガスに伴ってモジュールケースの内部空気を速かに排出させることで、火災が発生することを予め防止することができる電池モジュールを提供することを目的とする。
【0015】
さらに、本発明は、電池セルの熱暴走の際に発生した熱気が隣接したセルスタックに移動することを抑制し、またベントガスとともに高温の熱気を外部に排出させることで、火災が発生することを予め防止することができる電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記のような問題点を解決するための本発明による電池モジュールは、複数の電池セル(211)が垂直方向に積層された2個以上のセルスタック(210)を含むセルモジュールアセンブリー(200)が保護ケース100の内部空間部に収納され、互いに隣り合って位置するセルスタック(210)の間及びセルスタック(210)と保護ケース(100)との間のいずれか一つ以上には一つ以上の隔壁(300)が備えられることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の電池モジュールは、互いに隣り合って位置する前記セルスタック(210)の間には第1隔壁(310)が備えられ、前記第1隔壁(310)は、所定の距離で離隔したままで互いに向き合い、平板状を有する一対の垂直隔壁(311)、及び前記垂直隔壁(311)の上端部を互いに連結する連結壁(312)を含み、前記連結壁(312)には一つ以上の開口(312’)が形成されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記保護ケース(100)は、互いに向き合う一対の側面カバー(110)、前記側面カバー(110)の下端部を連結する下面カバー(120)、前面カバー(130)、後面カバー(140)、及び前記側面カバー(110)の上部に装着される上面カバー(150)を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の電池モジュールにおいて、垂直隔壁(311)の両側端部には付近に位置する前記セルスタック(210)に向かう方向に折曲及び/または湾曲した第1折曲壁(311’)及び第2折曲壁(311”)が備えられることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記第1折曲壁(311’)及び第2折曲壁(311”)は、それぞれ第4空間部(S4)及び第5空間部(S5)を形成することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記垂直隔壁(311)と前記セルスタック(210)とは所定の距離で離隔して第6空間部(S6)を形成することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記側面カバー(110)に隣接した前記セルスタック(210)の一側角の付近には一側面が開放した第2隔壁(320)が備えられて第1空間部(S1)を形成し、前記第2隔壁(320)の開放面は、前記セルスタック(210)の他側角に向かうように位置することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記側面カバー(110)に隣接したセルスタック(210)の他側角の付近には一側面が開放した第3隔壁(330)が備えられて第2空間部(S2)を形成し、前記第3隔壁(330)の開放面は、前記第2隔壁(320)の開放面と向き合うように位置することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記側面カバー(110)と前記セルスタック(210)との間には第3空間部(S3)が備えられることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記セルスタック(210)は、複数の電池セル(211)、前記電池セル(211)の負極リードまたは正極リードが連結される第1バスバー(213)、及び前記電池セル(211)の残りのリードが連結される第2バスバー(214)を含み、互いに隣り合って位置するセルスタック(210)は連結バスバー220によって連結されることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記前面カバー(130)は、前面プレート(131)及び第1陥没部(132)を含み、前記第1陥没部(132)は、前記セルスタック(210)の前面部に向かって所定の深さに陥没した状態で前記前面プレート(131)の両側に位置し、前記第1陥没部(132)には電池セル(211)の電極リードが貫通するように第1スリット(132’)が形成されることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記第1陥没部(132)は、第1スリット(132’)を除き、すべての面が密閉していることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記第1スリット(132’)は、所定の角度に傾いた第1傾斜板(132”)によって形成されることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記後面カバー(140)は、後面プレート(141)及び第2陥没部(142)を含み、前記第2陥没部(142)は、前記セルスタック(210)の後面部に向かって所定の深さに陥没した状態で前記後面プレート(141)の両側に位置し、前記第2陥没部(142)には電池セル(211)の電極リードが貫通するように第2スリット(142’)が形成されることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記第2陥没部(142)は、第2スリット(142’)を除き、すべての面が密閉していることを特徴とする。
【0031】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記第2スリット(142’)は、所定の角度に傾いた第2傾斜板(142”)によって形成されることを特徴とする。
【0032】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記一対の側面カバー(110)の上端部には外側に突出した締結溝(111)が備えられ、前記上面カバー(150)は、水平方向に位置するメインプレート(151)及び前記メインプレート(151)から下方に折り曲げられた補助プレート(152)を含み、前記メインプレート(151)には第2打孔部(151’)が形成され、前記補助プレート(152)の外側面には前記締結溝(111)に収容される締結突起(152’)が形成されることを特徴とする。
【0033】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記第2打孔部(151’)は、前記第1隔壁(310)の連結壁(312)の垂直上部に位置することを特徴とする。
【0034】
また、本発明の電池モジュールにおいて、前記下面カバー(120)には第1打孔部(121)が備えられ、前記第1打孔部(121)は、前記第1隔壁(310)の連結壁(312)の垂直下部に位置することを特徴とする。
【0035】
また、本発明は前述した電池モジュールを含む電池パックを提供することを特徴とする。
【0036】
また、本発明は前述した電池モジュールを含むエネルギー貯蔵装置を提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明による電池モジュールによれば、セルスタックの間に垂直隔壁及び折曲壁が位置することにより、熱暴走の際に発生するフレア及びスパークが隣接したセルスタックや電極リードに移動することを遮断することができ、よって電池モジュールの火災を防止することができるという利点がある。
【0038】
また、本発明による電池モジュールによれば、側面カバーとセルスタックとの間に第2及び第3隔壁が互いに向き合って位置しているので、熱暴走の際に発生するフレアやスパークが隣接したセルスタックや電極リードに移動することを遮断することができ、よって火災を防止することができるという利点がある。
【0039】
さらに、本発明による電池モジュールによれば、熱暴走の際に噴出されるベントガスを速かに外部に誘導し、このときに空気を一緒に排出させる構造であるので、火炎の発生を防止することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の好適な第1実施例による電池モジュールを一側方向から見た外形斜視図である。
【
図2】本発明の好適な第1実施例による電池モジュールを他側方向から見た外形斜視図である。
【
図3】
図1に示す電池モジュールにおいて下部カバー及び上部カバーの結合構造を説明するための分解斜視図である。
【
図4】
図1に示す電池モジュールにおいて前面カバー及び後面カバーの結合構造を説明するための分解斜視図である。
【
図5】前面カバーを説明するために多様な角度に見た図である。
【
図6】後面カバーを説明するために多様な角度に見た図である。
【
図7】
図1に示す電池モジュールにおいて隔壁の結合構造を説明するための分解斜視図である。
【
図9】第1隔壁の多様な変形例を示す断面図である。
【
図10】第3隔壁の多様な変形例を示す斜視図である。
【
図11】
図1に示す電池モジュールにおいて前面カバー及び上部カバーを分離した状態で前面から見た斜視図である。
【
図12】
図1に示す電池モジュールにおいて上部カバーを分離した状態で上から見た平面図である。
【
図13】
図1のA-A’線に沿って切断した断面図である。
【
図14】本発明の好適な第2実施例による電池モジュールにおいて上部カバーを分離した状態で上から見た平面図である。
【
図15】本発明の好適な第2実施例を幅方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本出願で、「含む」、「有する」または「備える」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、構成要素、部分品またはこれらの組合せが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組合せなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0042】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般にわたって、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0043】
以下、本発明による火災抑制のための隔壁及び断熱層を備えた電池モジュールについて説明する。
【0044】
図1は本発明の好適な第1実施例による電池モジュールを一側方向から見た外形斜視図であり、
図2は本発明の好適な第1実施例による電池モジュールを他側方向から見た外形斜視図であり、
図3は
図1に示す電池モジュールにおいて下部カバー及び上部カバーの結合構造を説明するための分解斜視図である。
【0045】
図1~
図3に示すように、本発明の第1実施例による電池モジュールは、略六面体を形成する金属素材の保護ケース100の内側空間部にセルモジュールアセンブリー200及び隔壁300を収納している。
【0046】
セルモジュールアセンブリー200は、多数の電池セル211が垂直方向に積層されて単一のセルスタック210を成し、このような二つのセルスタック210が所定の距離で離隔したままで並んで位置している。
【0047】
隔壁300は、特定のセルでイベントが発生するときに生成されるフレア(flare)、スパーク(spark)、ベントガス及び熱気が隣接したセルスタックに移動することを遮断または抑制するとともに、保護ケース100の内部に充満している空気の排出を誘導するためのものである。すなわち、隣接したセルスタック210の間には第1隔壁310が位置し、セルスタック210と保護ケース100との間には第2隔壁320及び第3隔壁330が備えられる。これについての詳細な説明は後述する。
【0048】
一方、保護ケース100は内側に収納されたセルモジュールアセンブリー200を物理的に保護するためのものであり、セルモジュールアセンブリー200の幅(X軸方向)より少し大きい間隔で離隔したままで互いに向き合っている一対の側面カバー110、一対の側面カバー110の下端部を連結する下面カバー120、前面カバー130、後面カバー140、及び一対の側面カバー110の上部に装着される上面カバー150を含んでなる。
【0049】
略平板状になってセルモジュールアセンブリー200の側面を保護するための側面カバー110の上端部には外側に向かって突出した複数の締結溝111が設けられており、一対の側面カバー110の下端部には下面カバー120が連結される。
【0050】
これらの一対の側面カバー110及び下面カバー120は、別個に準備した後、公知の接合方法で製作するか、公知の成形方法などでこれらを一体化した状態で製作してもより。
【0051】
セルモジュールアセンブリー200の上部を保護するための上面カバー150は、水平に位置するメインプレート151と、メインプレート151で下面カバー120に向かって折り曲げられた補助プレート152とを含んでなる。
【0052】
ここで、補助プレート152の外側面には、前述した側面カバー110の締結溝111に収容される締結突起152’が備えられている。
【0053】
一方、上面カバー150のメインプレート151の中央付近、より詳細には第1隔壁310から垂直上方に延びた位置のメインプレート151には長手方向(Z軸方向)に第2打孔部151’が形成されている。このような第2打孔部151’は、イベント発生の際、ベントガス及び熱気が排出される通路として作用し、特に保護ケース100の内部にあった空気が高圧のベントガスの排出の際に一緒に排出されるので、火災が発生することを防止することができる。
【0054】
可燃性物質、酸素、及び発火点以上の温度が全部満たされるとき、電池モジュールで火災が発生する。この際、前述したように、保護ケース100の内部にあった空気だけでなく熱気がメインプレート151の第2打孔部151’を通して外部に排出されるので、火災の発生が抑制される。
【0055】
ここで、第2打孔部151’の形状は、スリット形と円形が交互に形成されることが好ましい。これは、後述する第1隔壁310の連結壁312に形成された開口312’と対応するようにするためである。
【0056】
また、下面カバー120にも、第2打孔部151’の機能である空気及び熱気の放出を誘導するための第1打孔部121が長手方向(Z軸方向)に備えられることがより好ましい。
【0057】
図4は
図1に示す電池モジュールにおいて前面カバー及び後面カバーの結合構造を説明するための分解斜視図であり、
図5は前面カバーを説明するために多様な角度に見た図であり、
図6は後面カバーを説明するために多様な角度に見た図である。
【0058】
これらの
図4~
図6を一緒に参考しながら説明すると、前面カバー130はセルスタック210の一側電極リードが突出した方向に、そして後面カバー140は他側電極リードが突出した方向に位置してバスバーを固定するとともに、保護ケース100とバスバーとの間の電気的絶縁の機能と、前面及び後面からかかる外部衝撃からセルスタック210を保護する機能とを果たす。
【0059】
まず、耐熱性プラスチック素材からなる前面カバー130について詳細に説明すると、前面カバー130は、前面プレート131と、前記前面プレート131の両側縁から少し離隔した位置にセルスタック210の前面部に向かって所定の幅、高さ及び深さを有するように形成された一対の第1陥没部132とを含んでなる。
【0060】
ここで、第1陥没部132を前面プレート131の両側縁から少し離隔した位置に形成する理由は、前面カバー130が第2隔壁320と密着するようにするためであり、その具体的な説明は後述する。
【0061】
一方、第1陥没部132には電池セル211の電極リードが貫通するように第1スリット132’が備えられている。このような第1スリット132’は、電池セルリードを中心に発生した火花などが第1スリット132’を通して外部に移動することを最大限遮断するように、前面カバー130の外側方向に所定の角度に下方に傾いている複数の第1傾斜板132”によって形成されることが好ましい。言い換えれば、第1陥没部132は、第1スリット132’を除き、すべての面が密閉しているものである。
【0062】
次に、耐熱性プラスチック素材からなる後面カバー140について説明すると、後面カバー140は前述した前面カバー130と類似した構成及び機能を有する。
【0063】
後面カバー140は、後面プレート141と、後面プレート141の両側縁から少し離隔した位置にセルスタック210の後面部に向かって所定の幅、高さ及び深さを有するように形成された一対の第2陥没部142とを含んでなる。
【0064】
前面プレート131と同様に、第2陥没部142を後面プレート141の両側縁から少し離隔した位置に形成する理由は、後面カバー140が第3隔壁330と密着するようにするためであり、その具体的な説明は後述する。
【0065】
そして、第2陥没部142には、電池セル211の電極リードが貫通するように、第2スリット142’が備えられている。このような第2スリット142’は電池セルリードを中心に発生した火花などが第2スリット142’を通して外部に移動することを最大限遮断するように後面カバー140の外側面方向に所定の角度に上方に傾いている複数の第2傾斜板142”によって形成されることが好ましい。第2陥没部142も、第2スリット142’を除き、すべての面が密閉している。
【0066】
一方、セルモジュールアセンブリー200は、2個のセルスタック210と、これらのセルスタック210を電気的に互いに連結するための連結バスバー220とを含んでなる。
【0067】
まず、セルスタック210は、垂直方向に積層された複数の電池セル211と、積層された電池セル211の上部及び下部にそれぞれ一つずつ備えられたパッド212と、一つのセルスタック210で相対的に上部に位置する電池セル211の一側リードを電気的に連結するための第1バスバー213と、電池セル211の他側リードの全部を連結するための第2バスバー214とを含んでなる。
【0068】
電池セル211はパウチ型電池セルであることができ、電極組立体(図示せず)を収納するセルケースと一対の電極リードとを含んでなる。
【0069】
ここで、単位セルは電極組立体及びこれを収納するセルケースを含むことができる。前記電極組立体は、長いシート状の正極及び負極の間に分離膜が介在された状態で巻き取られる構造を有するゼリーロール型組立体、長方形の正極及び負極が分離膜を間に介在した状態で積層される構造のスタック型組立体、単位セルが長い分離フィルムによって巻き取られるスタックフォルディング型組立体、または単位セルが分離膜を間に介在した状態で積層されて互いに付着されるラミネーションスタック型組立体などからなることができるが、これに限定されない。
【0070】
また、電解質は、一般的に通用される液体電解質の他にも、固体電解質であるか、固体電解質に添加剤を付け加えることによって液体と固体との中間形態を有するゲル状の準固体電解質に置換したものであってもかまわないというのは言うまでもない。
【0071】
前記のような電極組立体はセルケースに収納され、セルケースは、通常に内部層/金属層/外部層のラミネートシート構造を有する。内部層は電極組立体と直接的に接触するので、絶縁性及び耐電解液性を有しなければならなく、かつ外部に対する密閉のためにシーリング性、すなわち、内部層同士熱接着されたシーリング部位は優れた熱接着強度を有しなければならない。このような内部層の材料としては、耐化学性に優れながらもシーリング性が良いポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル酸ポリエチレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイミド樹脂から選択されることができるが、これらに限定されなく、引張強度、剛性、表面硬度、耐衝撃強度などの機械的物性及び耐化学性に優れたポリプロピレンが一番好ましい。
【0072】
内部層と接している金属層は外部から水分や各種のガスが電池の内部に浸透することを防止するバリア層に相当し、このような金属層の好適な材料としては、軽いながらも成形性に優れたアルミニウム薄膜を使うことができる。
【0073】
そして、金属層の他側面には外部層を備えている。このような外部層は、電極組立体を保護しながら耐熱性及び耐化学性を確保することができるように、引張強度、透湿防止性、及び空気透過防止性に優れた耐熱性ポリマーを使うことができる。一例として、ナイロンまたはポリエチレンテレフタレートを使うことができるが、これに限定されない。
【0074】
一方、一対の電極リードは正極リードと負極リードとからなり、セル組立体の正極タブと負極タブとがそれぞれ電気的に連結されてからセルケースの外部に露出されるか、タブが省略されてセル組立体と直接連結されてもかまわない。
【0075】
パッド212は普段には積層された電池セル211を互いに密着させ、スウェリングの際には膨張した体積を吸収し、かつ熱伝導性の低い素材、例えばEPP(Extended Polypropylene)、EDS、EPDMなどのような弾性力、絶縁性及び低熱伝導性を有する素材からなることが好ましいが、同じ機能を果たすことができれば、特に限定されない。
【0076】
もちろん、熱が隣接したセルスタックに伝達されることを確かに遮断することができるように、断熱素材からなる遮熱層(図示せず)が下面カバー120及び上面カバー150にさらに密着するように備えられることもできる。
【0077】
たとえ図面には電池セル211の最下層及び最上層をカバーするようにパッド212が一対であるものが示されているが、これは一例に過ぎなく、必要によって電池セル211の間に備えられてもかまわない。
【0078】
電池セル211のリードを電気的に連結するための第1バスバー213及び第2バスバー214は、リードが貫通することができるように、スリットが形成された金属素材の平板状を有する。
【0079】
連結バスバー220は一対の第3バスバー221と連結バー222とを含んでなる。具体的には、第3バスバー221は一つのセルスタック210において第1バスバー213によって連結されていない残りのリードを固定し、これらの一対の第3バスバー221は連結バー222によって互いに連結されることにより、隣接したセルスタック210を互いに直列にまたは並列に連結することができる。
【0080】
前記のような構成を有するセルモジュールアセンブリー200の組立過程を簡単に説明すると、パッド212、複数の電池セル211、及びパッド212が順に積層されたセルスタック210を準備し、電池セル211のリード、例えば前面に向かうリードを前面カバー130の第1スリット132’に貫通させる。
【0081】
その後、上部に位置するリードは第1バスバー213のスリットに通過させてから折り曲げて固定し、下部に位置するリードは連結バスバー220である第3バスバー221のスリットに通過させてから折り曲げた後、溶接などの公知の接合手段で固定させる。
【0082】
ここで、第1バスバー213と第3バスバー221とは前面カバー130の第1陥没部132に着座した状態で締結されるので、これらの第1バスバー213及び第3バスバー221による体積増加を最小化することができる。そして、一対の第3バスバー221は前面カバー130の外形に沿って3辺が直角になって一側が開放した形状に折り曲げられた連結バー222で連結されているので、隣接したセルスタック210が互いに通電する状態を維持することができる。
【0083】
そして、後面に向かう電池セル211のリードは後面カバー140の第2スリット142’及び第2バスバー214のスリットを順次貫通してから折り曲げられた後、溶接などの公知の手段で固定される。ここで、第2バスバー214は後面カバー140の第2陥没部142に着座するので、やはり体積増加を最小化することができる。
【0084】
図7は
図1に示す電池モジュールにおいて隔壁の結合構造を説明するための分解斜視図であり、
図8は第1隔壁の拡大斜視図である。
【0085】
特定の電池セルで熱暴走が発生すれば、フレア(flare)、スパーク(spark)、高圧のベントガス、及び熱気が噴出され、酸素及び可燃物質がこれらと共存すれば火災や爆発につながる。
【0086】
本発明の隔壁300は、フレア(flare)、スパーク(spark)などの熱暴走生成物が隣接したセルスタック210に移動することを遮断するとともに保護ケース100の外側に飛び出すことができないようにする。さらに、ベントガス及び熱気を上面カバー150の第2打孔部151’及び下面カバー120の第1打孔部121に誘導して排出し、この過程で保護ケース100の内側に充満していた空気が一緒に排出されるので、火炎が発生することができない状態になる。
【0087】
図3、
図7及び
図8を一緒に参照しながら説明すると、前記のような機能を果たすための隔壁300は、セルスタック210の間に位置する第1隔壁310、セルスタック210の一側角の付近に位置する第2隔壁320、及びセルスタック210の他側角の付近に位置する第3隔壁330を含んでなる。
【0088】
まず、互いに近くに位置するセルスタック210の間に介在され、かつセルスタック210からは少し離隔した状態で位置する第1隔壁310は、フレア(flare)、スパーク(spark)などが隣接したセルスタック210に移動することを根本的に遮断するとともに保護ケース100の前面や後面に噴出されることを防止し、さらにベントガス、熱気及び空気を垂直方向に移動するように誘導する。
【0089】
具体的には、第1隔壁310は、所定の距離で離隔したままで互いに向き合って直立している一対の垂直隔壁311と、垂直隔壁311の上端部を互いに連結する連結壁312とを含んでなる。
【0090】
ここで、垂直隔壁311の長さ(Z軸方向)は電池セル211と類似しており、高さは上面カバー150と密着することができるほどの略平板状を有する。
【0091】
連結壁312は一対の垂直隔壁311を互いに連結及び支持しながらベントガスを速かに外部に誘導するためのものであり、連結壁312には一つ以上の開口312’が形成されている。そして、連結壁312の上方垂直延長線上の上面カバー150には第2打孔部151’が、かつ下面カバー120には第1打孔部121がそれぞれ備えられている。
【0092】
垂直隔壁311の両側端部、すなわちセルスタック210の両側角の付近には第1折曲壁311’及び第2折曲壁311”をさらに備えることが好ましく、これらの第1折曲壁311’及び第2折曲壁311”は一側面が開放した2辺が直角に連結された形状を有することができる。
【0093】
垂直隔壁311を備えることにより、フレア(flare)やスパーク(spark)が隣接したセルスタック210に移動することは遮断するが、遮断されたフレア(flare)やスパーク(spark)が電池セル211のリードが位置する前面カバー130または後面カバー140の付近に移動することができるので、依然として発火可能性が存在する。
【0094】
しかし、垂直隔壁311の両側端部に2辺が直角に連結された形状を有する第1折曲壁311’と第2折曲壁311”とが互いに向き合うように位置すれば、垂直隔壁311によって1次的に遮断されたフレア(flare)やスパーク(spark)は第1折曲壁311’及び第2折曲壁311”によって閉じこめられた状態になるので、電極リードの方向に移動することができない。
【0095】
次に、第2隔壁320について説明する。セルスタック210の一側角の付近、より詳細には、側面カバー110と前面カバー130とが互いに接する角の付近に位置する第2隔壁320は、フレア(flare)及びスパーク(spark)が側面カバー110にぶつかった後、電極リードがある方向に移動することができないように遮断するとともに側面カバー110とセルスタック210とが所定の距離で離隔するように空間部を確保するためである。
【0096】
すなわち、第2隔壁320は一側面が開放した3辺が直角になって一側が開放した形状を有し、開放面は対向して位置する電極リードに向かうように配置される。
【0097】
一方、第3隔壁330は第2隔壁320と同じ形状を有し、セルスタック210の他側角の付近に位置し、開放面の方向のみが異なるだけで、残りの構成及び機能は同一であるので、その重複説明は省略する。
【0098】
以上のような3辺が直角になって一側が開放した形状を有すれば、互いに向き合って位置する第2隔壁320及び第3隔壁330によって、側面カバー110によって1次的に遮断されたフレア(flare)及びスパーク(spark)の移動が限定されるので、電極リードと直接的に接触することを遮断することができる。
【0099】
図9は第1隔壁の多様な変形例を示す断面図である。
図9に示すように、第1隔壁310の第1折曲壁311’及び第2折曲壁311”はフレア(flare)、スパーク(spark)などを閉じこめるように変形することができる。すなわち、好適な第1実施例による3辺が直角になって一側が開放した形状の代わりに、折曲部の角度が異なるか湾曲した部分を含むなどの形状に変形されることができる。
【0100】
もちろん、この場合、変形された第1折曲壁311’及び第2折曲壁311”の外形に対応するように前面カバー130及び後面カバー140も一緒に変形されることができるというのは言うまでもない。
【0101】
図10は第3隔壁の多様な変形例を示す斜視図である。
図10に示すように、第3隔壁330はフレア(flare)及びスパーク(spark)などを閉じこめるように変形可能である。すなわち、好適な第1実施例による3辺が直角になって一側が開放した形状の代わりに、折曲部の角度が異なるか湾曲した部分を含むなどの形状に変形されることができる。
【0102】
この場合にも、変形された第3隔壁330の外形に対応するように前面カバー130及び後面カバー140なども一緒に変形されることができるというのは言うまでもない。
【0103】
図11は
図1に示す電池モジュールにおいて前面カバー及び上部カバーを分離した状態で前面から見た斜視図であり、
図12は
図1に示す電池モジュールにおいて上部カバーを分離した状態で上から見た平面図であり、
図13は
図1のA-A’線に沿って切断した断面図である。
【0104】
図11~
図13を参照しながら、熱暴走などのイベント発生の際のフレア(flare)、スパーク(spark)、ベントガス、熱気及び空気が移動する過程を説明することで、本発明による電池モジュールの発火抑制について詳細に説明する。
【0105】
本発明の電池モジュールは、前述した隔壁300とともに第1空間部S1~第7空間部S7をさらに備えている。具体的には、第1空間部S1は第2隔壁320に形成され、第2空間部S2は第3隔壁330に形成され、第3空間部S3はセルスタック210の長手方向の垂直側面と側面カバー110との間に形成される。
【0106】
また、第4空間部S4及び第5空間部S5は第1折曲壁311’及び第2折曲壁311”にそれぞれ形成され、第6空間部S6は垂直隔壁311とセルスタック210の長手方向の垂直側面との間、最後に第7空間部S7は一対の垂直隔壁311の間に相当する。
【0107】
例えば、
図11~
図13の右側に位置するセルスタック210の特定の電池セル211で熱暴走が発生したと仮定するとき、フレア(flare)やスパーク(spark)は第1空間部S1~第6空間部S6のいずれか一つ以上の空間部に遮断された状態で集まっているので、左側に位置するセルスタック210に移動することができない。
【0108】
そして、保護ケース100と隔壁300は完璧な気密状態を維持しないので、発生したベントガス及び空気は前面カバー130、後面カバー140及び第7空間部S7を経由した後、上面カバー150の第2打孔部151’及び下面カバー120の第1打孔部121を通して外部に排出される。
【0109】
一方、熱気は空気断熱層に相当する第6空間部S6及び第7空間部S7と断熱素材のパッド212によって隣接したセルスタック210に伝達されることが最小化し、ベントガスとともに外部に放出される。
【0110】
本発明のセルスタックを構成する電池セル211は板状をもって垂直方向に積層されているので、スウェリングが発生しても垂直方向への体積が増加するだけで、側方向への膨張が最小化することができる構造である。したがって、第6空間部S6及び第7空間部S7はスウェリング発生に影響されず、空気断熱層を維持することができる。
【0111】
結果的に、いずれか一つのセルスタックでイベントが発生しても、ベントガスとともに空気が外部に排出されるので、保護ケースの内部には発火に必要な酸素が足りなく、可燃性物質は隣接したセルスタックに到逹することができないだけでなく、外部に放出されずに閉じこめられた状態であり、さらに空気排出の際、熱気が一緒に排出されて発火点未満の温度を維持するので、火災が発生することを防止することができる。
【0112】
もちろん、予期せぬ周辺状況によって特定のセルスタックで火災が発生し得るが、前述した第6空間部S6及び第7空間部S7に相当する空気断熱層が隣接したセルスタックに熱が伝達されることを遮断するので、隣接したセルスタックの火災は確かに防止することができる。
【0113】
すなわち、周辺の温度が異常範囲まで上昇するとき、電池セル分離膜が収縮してショートが発生することになる。本発明は、空気遮断層を備えており、また空気遮断層の空気が加熱されても対流現象によって上面カバーの第2打孔部に排出されるので、熱気の移動が制限され、よって付近に位置するセルスタックの周辺は比較的安全な温度が維持されるので、分離膜が収縮する現象を防止することができる。
【0114】
図14は本発明の好適な第2実施例による電池モジュールにおいて上部カバーを分離した状態で上から見た平面図であり、
図15は本発明の好適な第2実施例による幅方向に沿って切断した断面図である。
【0115】
前述した第1実施例とは保護ケースの前面カバー及び後面カバー、そして収納されるセルスタックの個数のみが異なるだけで、残りの構成は同一である。
【0116】
すなわち、第2実施例は、前面カバー130及び後面カバー140にそれぞれ3個ずつの第1陥没部及び第2陥没部が備えられており、2個の第1隔壁がセルスタックの間に一つずつ位置している。
【0117】
本発明の第2実施例はセルスタックが3個である場合を示しているが、セルスタックの間に一つずつの第1隔壁を位置させるとともに4個以上のセルスタックを連続的に配列することもできるというのは言うまでもない。
【0118】
一方、前述した構成を有する電池モジュールは別途のケースに収納されて単一の電池パックを構成することができ、また電池モジュールや電池パックは、エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System)、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド電気自動車などのように大容量電源を含む各種の設備やデバイスに使うことができる。
【0119】
以上で本発明の内容の特定部分を詳細に記述したが、当該分野で通常の知識を有する者にこのような具体的技術はただ好適な実施様態であるだけで、これによって本発明の範囲が限定されるものではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であるというのは当業者に明らかなものであり、このような変形及び修正も添付の特許請求範囲に属するものであるというのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0120】
100 保護ケース
110 側面カバー
111 締結溝
120 下面カバー
121 第1打孔部
130 前面カバー
131 前面プレート
132 第1陥没部
132’ 第1スリット
132” 第1傾斜板
140 後面カバー
141 後面プレート
142 第2陥没部
142’ 第2スリット
142” 第2傾斜板
150 上面カバー
151 メインプレート
151’ 第2打孔部
152 補助プレート
152’ 締結突起
200 セルモジュールアセンブリー
210 セルスタック
211 電池セル
212 パッド
213 第1バスバー
214 第2バスバー
220 連結バスバー
221 第3バスバー
222 連結バー
300 隔壁
310 第1隔壁
311 垂直隔壁
311’ 第1折曲壁
311” 第2折曲壁
312 連結壁
312’ 開口
320 第2隔壁
330 第3隔壁
S1 第1空間部
S2 第2空間部
S3 第3空間部
S4 第4空間部
S5 第5空間部
S6 第6空間部
S7 第7空間部