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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】電極製造装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 9/14 20060101AFI20241125BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20241125BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20241125BHJP
【FI】
B05C9/14
H01M4/04 A
H01M4/139
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023540192
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 KR2022018238
(87)【国際公開番号】W WO2023090912
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0159461
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】オ・チョル・クォン
(72)【発明者】
【氏名】スン・シク・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンウォン・イ
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-080718(JP,A)
【文献】国際公開第2013/111647(WO,A1)
【文献】特開2002-273308(JP,A)
【文献】特開2020-027828(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0131561(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0050721(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0009840(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 9/14
H01M 4/04
H01M 4/139
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に電極スラリーが塗布された電極前駆体を供給する供給部、
前記電極スラリーを乾燥して電極を製造するように備えられる乾燥部であって、前記電極前駆体上に高温蒸気を供給する給気部、供給された前記高温蒸気を吸気する吸気部、前記吸気部から前記給気部まで連結された流路、吸気された前記高温蒸気の湿度を測定するセンサ、前記吸気部から前記流路に沿って給気部方向に循環される高温蒸気のうち一部を外部に排出するために開閉される排気部、及び、前記吸気部から前記流路に沿って給気部方向に循環される高温蒸気に加湿する加湿部を含む乾燥部、
製造された前記電極が排出される排出部、
前記排出部によって排出された電極を監視する監視部、及び
前記監視部の監視情報と前記センサから測定された湿度情報とを収集し、前記監視部の監視情報に基づいて、前記排気部の開閉及び前記加湿部の加湿程度を制御する制御部を含み、
前記監視部は、排出された前記電極のクラックを感知するカメラを含むビジョンセンシング部を含み、
前記制御部は、
前記監視部によって、排出された前記電極のクラックが感知されれば、前記電極にクラックが感知されなくなるまで、排出された前記電極にクラックが発生した際に前記センサで測定された湿度を増加させ、
前記監視部によって、排出された前記電極のクラックが感知されなければ、排出された前記電極にクラックが感知されていない際に前記センサで測定された湿度を決定し、前記乾燥部内の高温蒸気が、決定された前記湿度を維持するように制御する、
電極製造装置。
【請求項2】
基材上に電極スラリーが塗布された電極前駆体を乾燥部内に供給するステップ、
前記乾燥部内の湿度を調節するように高温蒸気を供給しながら、前記電極スラリーを乾燥して電極を製造するステップ、
前記乾燥部から製造された電極を排出するステップ、
排出された前記電極を監視するステップ、及び
前記監視するステップの監視情報と前記乾燥部内の湿度情報とを収集し、前記監視するステップの監視情報に基づいて、前記乾燥部内の湿度を制御するステップを含み、
前記監視するステップは、排出された前記電極の表面を撮影するカメラを通じて、排出された前記電極のクラックを感知するステップを含み、
前記乾燥部内の湿度を制御するステップは、
前記監視するステップで、排出された前記電極のクラックが感知されれば、前記電極にクラックが感知されなくなるまで、排出された前記電極にクラックが発生した際の前記乾燥部内の湿度を増加させ、
前記監視するステップで、排出された前記電極のクラックが感知されなければ、排出された前記電極にクラックが感知されていない際の湿度を決定し、前記乾燥部内の湿度を維持するように制御するステップを含む、
電極製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月18日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0159461号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては、本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、電極製造装置及び電極製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、化石燃料の枯渇によるエネルギー源の価格上昇、環境汚染への関心が高まっており、環境にやさしい代替エネルギー源に対する要求が増加しつつある。そこで、原子力、太陽光、風力、潮力など多様な電力生産技術に関する研究が続けられており、このように生産されたエネルギーをより効率的に使用するための電力貯蔵装置に関する関心も高い。
特に、モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれてエネルギー源としての電池の需要が急激に増加している。かかる需要に応えられる電池に関する多くの研究が行われている。
【0004】
代表的に、電池の形状面では、薄くて、携帯電話などのような製品に適用されることができる角形二次電池とパウチ型二次電池に対する需要が高い。材料面では、高いエネルギー密度、放電電圧、出力安定性などの長所を有するリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池などのようなリチウム二次電池に対する需要が高い。
【0005】
一般的に、二次電池は、正極、負極、及び正極と負極との間に位置するセパレータが積層された構造の電極組立体を含む構造である。上記正極及び負極は、集電体上に活物質を含む電極スラリーをコーティングすることで製造される。
【0006】
コーティングされたスラリーから溶媒を除去する条件にとって湿度が適切でない場合、乾燥した電極表面にクラックが発生する。
【0007】
そのため、電極にクラックが発生しないようにスラリーの乾燥条件を調節する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願は、電極製造装置及び電極製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の一実施態様は、基材上に電極スラリーが塗布された電極前駆体を供給する供給部;
上記電極スラリーを乾燥して電極を製造するように備えられ、
上記電極前駆体上に高温蒸気を供給する給気部、上記供給された高温蒸気を吸気する吸気部、上記吸気部から給気部まで連結された流路、上記吸気された高温蒸気の湿度を測定するセンサ、上記吸気部から上記流路に沿って給気部方向に循環される高温蒸気のうち一部を外部に排出するために開閉される排気部及び上記吸気部から上記流路に沿って給気部方向に循環される高温蒸気に加湿する加湿部を含む乾燥部;
上記製造された電極が排出される排出部;
上記排出部によって排出された電極を監視する監視部;及び
上記監視部の監視情報と上記センサから測定された湿度情報とを収集して、上記排気部の開閉及び上記加湿部の加湿程度を制御する制御部を含む電極製造装置を提供する。
【0010】
本願の他の実施態様は、基材上に電極スラリーが塗布された電極前駆体を乾燥部内に供給するステップ;
上記乾燥部内の湿度を調節するように高温蒸気を供給しながら、上記電極スラリーを乾燥して電極を製造するステップ;
上記乾燥部から製造された電極を排出するステップ;
上記排出された電極を監視するステップ;及び
上記監視するステップの監視情報と上記乾燥部内の湿度情報とを収集して、上記乾燥部内の湿度を制御するステップを含む電極製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本願の一実施態様の電極製造装置及び方法によれば、乾燥した電極の監視情報に基づいて乾燥部内の最適な湿度を制御することができる。
【0012】
本願の他の実施態様の電極製造装置及び方法によれば、乾燥対象の電極前駆体の変更、外部湿度の変化、外部温度の変化などによる変化に合わせて、乾燥対象の電極前駆体に対して最適な湿度を導出して維持することができる。
【0013】
本願の他の実施態様の電極製造装置及び方法によれば、多数の乾燥ラインを制御する場合、個別の乾燥ラインの状況に合わせて最適な湿度を導出して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来の電極製造装置を示す図である。
図2】本願の一実施態様に係る電極製造装置を示す図である。
図3】従来の2つの乾燥ラインを有する電極製造装置を示す図である。
図4】本願の他の実施態様によって2つの乾燥ラインを有する電極製造装置を示す図である。
図5】本願の一実施態様の監視部が電極からクラックを感知すれば、進行される一連の過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参考にして本発明を詳細に説明する。しかしながら、図面は、本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲が図面によって限定されるものではない。
【0016】
図2は、本願の一実施態様に係る電極製造装置を示す図である。電極製造装置100は、供給部10、乾燥部20、排出部30、監視部40及び制御部50を含む。これを含んで、上記監視部40の監視情報とセンサから測定された湿度情報とを収集して、排気部の開閉及び上記加湿部の加湿程度を制御することができる。
【0017】
図1は、従来の電極製造装置を示す図である。基材上に電極スラリーが塗布された電極前駆体1を供給部10から供給されて高温蒸気を循環させて乾燥を行うことができる。しかしながら、コーティングされた電極スラリーから溶媒を除去するとき、電極溶媒と、活物質の熱特性、オーブンの仕様によって加えられる熱量、コーティング速度による乾燥時間、オーブン内の湿度の影響などで、乾燥した電極表面にクラックが発生する。
【0018】
このために、理論又は経験的に適切であると判断する湿度を選択して、乾燥炉内の湿度をセンシングしながら維持することもできる。しかしながら、現場では、乾燥対象の電極前駆体の変更、外部湿度の変化、外部温度の変化などによって変化するので、定められた湿度が適切でなくなり、前の工程では適切であった湿度が該当の工程では適切でなくなることもある。
【0019】
また、時々刻々変化する条件に合うように湿度を計算して合わせることは難しく、効率が低い。
【0020】
本願の一実施態様の電極製造装置及び方法は、乾燥した電極の監視情報に基づいて乾燥部内の最適な湿度をシステムによって制御することができる。
【0021】
本願の他の実施態様の電極製造装置及び方法によれば、乾燥対象の電極前駆体の変更、外部湿度の変化、外部温度の変化などによる変化に合わせて乾燥対象の電極前駆体に対して最適な湿度を導出して維持することができる。
【0022】
供給部10は、基材上に電極スラリーが塗布された電極前駆体1を供給するものであって、電極前駆体1を供給できるのであれば、電極前駆体1の供給形態は特に限定しない。電極前駆体1が巻かれたロールから繰り出しながら電極前駆体1を供給するか、基材が巻かれたロールから繰り出しながらコーティング部(図示せず)によって上記基材の少なくとも一面に電極スラリーコーティングされた電極前駆体1が連続的に移送ロールによって供給されることができる。
【0023】
このとき、基材は、電極をコーティングできるものであれば、特に限定しないが、上記基材は、集電体であってよく、具体的には金属箔であってよく、銅、アルミニウム又はこれらが組み合せられた材料の箔であってよい。
【0024】
コーティング部によって塗布される電極スラリーは、電極活物質、バインダー及び溶媒を含むことができる。
【0025】
上記電極活物質は、電池の正極又は負極に使用される物質であれば、特に限定せず、当該技術分野で使用される電極活物質の中から選択することができる。
【0026】
上記バインダーは、電極活物質を結合させることができれば、特に限定せず、当該技術分野で使用されるバインダーの中から選択することができる。
【0027】
上記溶媒は、電極スラリーの流動性を付与できるものであれば、特に限定しないが、水、N‐メチルピロリドン(N‐methyl pyrrolidone)などであってよい。
【0028】
上記乾燥部20は、上記電極スラリーを乾燥して電極2を製造するように備えられる。乾燥部20は、熱源を含んで上記電極スラリーに熱を加えて乾燥することができる。上記熱源は、熱風機、又はフィラメント熱線を使用する近赤外線(NIR)ヒータ、カーボン熱線を使用する中赤外線(MIR)ヒータなどの赤外線ヒータを含むことができる。このとき、乾燥温度は、電極スラリーに応じて調節することができるが、約50℃~300℃の範囲で選択することができる。乾燥温度は、乾燥部20内の位置によって分けて制御することができ、電極前駆体が乾燥部20に供給された初期の予熱区間、蒸発が多く生じる定率区間、仕上げ乾燥のための減率区間、及び、乾燥部20外に排出の前の後半冷却区間に分けることができる。具体的には、乾燥温度は、乾燥部20内の位置に応じて、上記予熱区間で約100℃~250℃に制御し、上記定率区間で約100℃~200℃に制御し、上記減率区間で約100℃~250℃に制御し、及び上記冷却区間で50℃~100℃に制御することができる。
【0029】
このとき、上記乾燥部20内部に上記乾燥装置内の湿度が調節されるように高温蒸気を供給することができる。上記乾燥部20内に高温蒸気を供給して乾燥部20の内部雰囲気を一定温度と湿度に制御しながら乾燥部20内の電極前駆体を供給されて、熱源で乾燥し、乾燥部20外に乾燥した電極前駆体である電極を排出することができる。
【0030】
上記高温蒸気の温度は、凝縮水を発生することなくターゲット絶対湿度を維持することができる温度であれば、特に限定しない。
【0031】
上記高温蒸気の絶対湿度は、電極スラリーに合わせて適正な絶対湿度を制御することができる。具体的には、上記高温蒸気の絶対湿度は、20g/m以上であってよく、より具体的には20g/m以上60g/m以下であってよい。絶対湿度が高すぎると、乾燥部20に結露が生じ得るので、これを考慮して絶対湿度を制御することが好ましい。
【0032】
乾燥対象の電極スラリーに応じて高温蒸気の絶対湿度を区間別に選択して制御することができる。具体的には、20g/m以上30g/m以下の低湿区間、30g/m以上40g/m以下の中湿区間、40g/m以上50g/m以下の高湿区間又は50g/m以上60g/m以下の超高湿区間に区分して、それぞれ該当の範囲内の絶対湿度に制御することができる。上記乾燥部20は、給気部21、吸気部22、流路23、センサ24、排気部25及び加湿部26を含む。
【0033】
上記乾燥部20で乾燥される領域は、上記供給部10から上記電極前駆体1を提供されて上記電極前駆体1が乾燥されることができる条件を調節し、調節された条件が維持される空間である。上記乾燥部20で乾燥される領域は、ロール・ツー・ロール工程で上記乾燥部20に連続的又は間欠的に上記電極前駆体1が供給されて乾燥が完了した電極2が排出される場合、供給と排出のための最小限の開口、すなわち供給開口と排出開口のみが外部に露出するように備えられた乾燥路であってよい。
【0034】
上記乾燥部20は、上記供給開口と排出開口の他に、吸気などのための開口をさらに備えることができる。これは外部に直接的に露出した開口ではなく、乾燥される領域で使用された高温蒸気を吸気してさらに再使用することができる状態に調節して給気する循環のための開口が備えられることができる。
【0035】
給気部21は、上記電極前駆体1上に高温蒸気を供給する。給気部21は、上記電極前駆体1上に高温蒸気が供給される領域を意味し、直接的には上記電極前駆体1上に高温蒸気が供給される孔を意味することができる。このとき、給気部21による給気は、空気の循環によって自然に発生する給気であってよいが、好ましくは、ファンによって強制に空気の流れを発生させて給気されることができる。
【0036】
吸気部22は、上記供給された高温蒸気を吸気する。吸気部22は、上記電極前駆体1上に供給された高温蒸気が吸気される領域を意味し、直接的には上記電極前駆体1上に供給された高温蒸気が吸気される孔を意味することができる。このとき、吸気部22による吸気は、空気の循環によって自然に発生する吸気であってよいが、好ましくはファンによって強制に空気の流れを発生させて吸気されることができる。
【0037】
流路23は、上記吸気部22から給気部21まで連結されて、上記吸気部22に吸気された高温蒸気が再び給気部21に供給されるように循環させる道を作る。流路23の形態は、上記吸気部22に吸気された高温蒸気が再び給気部21に供給されることができれば、特に限定しないが、好ましくは流路23の断面は円形であってよい。
【0038】
センサ24は、上記吸気された高温蒸気の湿度を測定し、具体的には上記吸気された高温蒸気の絶対湿度を測定する。絶対湿度は、高温蒸気中に含まれた水蒸気の量を表示する方法で単位体積当たりの水蒸気の質量を言い、温度に影響されない。
【0039】
センサ24は、吸気された高温蒸気の湿度を測定することができれば、測定のための装置を特に限定しない。センサ24は、吸気された高温蒸気の湿度を測定できるように少なくともセンサ24の一端部が上記吸気部22側の流路内部に露出する。このように測定された吸気された高温蒸気の湿度情報は、後述する制御部50に一定間隔又はリアルタイムで伝達される。
【0040】
排気部25は、上記吸気部22から上記流路23に沿って給気部21方向に循環される高温蒸気のうち一部を外部に排出するために開閉される。排気部25の開閉は、後述する制御部50によって決定される。排気部25は、オーブン内の異物及び蒸発された溶媒を排出するために排気部25を開いて、上記流路23に沿って給気部21方向に循環される高温蒸気のうち一部を外部に排出する。このとき、オーブン内の湿度維持のために供給された蒸気も一緒に排出されるので、排出される量を調節して蒸気の消失を調節する。湿度調節で監視部によって監視されたクラックがなくなり、現在の湿度を維持しなければならないにもかかわらず、加湿部26による加湿がオーブン内の全体蒸気の湿度に影響を及ぼす時間の遅延のため、湿度が維持されずに引き継突き増加する場合、排気部25による排出量を増加させて、湿度を安定化させることができる。これは適正湿度条件を超過して湿度が増加すれば、スラリーの乾燥が妨げられ、完全な乾燥条件を達成できないので、排気量を増加させてクラックがなくなった湿度条件に維持させる。
【0041】
加湿部26は、上記吸気部22から上記流路23に沿って給気部21方向に循環される高温蒸気に加湿する。加湿部26は、上記吸気部22から上記流路23に沿って給気部21方向に循環される高温蒸気に必要によって加湿することができれば、加湿のための装置と具備位置を特に限定しない。加湿部26は、上記吸気部22から上記流路23に沿って給気部21方向に循環される高温蒸気に加湿できるように、加湿部26の湿気の供給が可能な端部が流路23内部に露出する。加湿部26の加湿有無及び加湿の程度は、後述する制御部によって制御される。
【0042】
乾燥部20の乾燥温度及び時間は特に限定しないが、これは乾燥対象である電極スラリーの特徴に応じて調節することができる。
【0043】
排出部30は、製造された電極が排出される領域を意味し、製造された電極2を巻いて保管する回収ロールによる張力で製造された電極を移動させることができる。
【0044】
監視部40は、排出部によって排出された電極2を監視する。監視部40は、排出部30と上記回収ロール(図示せず)との間に位置して、排出部によって排出された電極2を監視する。監視部40は、上記排出された電極2のクラックを感知するカメラ41を含むビジョンセンシング部を含むことができる。具体的には、監視部40は、電極中の乾燥した電極前駆体1が備えられた面を眺めるカメラ41を備え、カメラ41から収集される画面を分析する分析部(図示せず)を含むビジョンセンシング部を含むことができる。このように分析された監視部の監視情報は、後述する制御部50に一定間隔又はリアルタイムで伝達される。
【0045】
制御部50は、上記監視部40の監視情報と上記センサから測定された湿度情報とを収集し、上記乾燥部20内に供給される高温蒸気の湿度を制御する。具体的には、制御部50は、上記排気部25の開閉及び上記加湿部26の加湿程度を制御することができる。
【0046】
制御部50は、高温蒸気の湿度を上げるために、加湿部26の加湿程度を増加させることができる。このとき、加湿部26の加湿量と電極設計による電極内の溶媒の量によって湿度の量が変わり得るので、循環される高温蒸気の量の調節と共に十分な容量の加湿部26を使用することが重要である。
【0047】
制御部50は、高温蒸気の湿度を上げるために、排気部25を閉じて外部に排出される蒸気の量を減らすことができる。
【0048】
制御部50は、高温蒸気の湿度を下げるために、加湿部26の加湿程度を減少させるか、加湿を中断することができる。
【0049】
また、制御部50は、高温蒸気の湿度を下げるために、上記吸気部22から上記流路23に沿って給気部21方向に循環される高温蒸気のうち一部を外部に排出することができる。
【0050】
図5は、本願の一実施態様の監視部40が乾燥が完了した電極2からクラックを感知すれば、進行される一連の過程を示す図である。
【0051】
上記制御部50は、
上記監視部40によって上記排出された電極のクラックが感知されれば、電極にクラックが感知されなくなるまで、上記排出された電極にクラックが発生した際に上記センサ24で測定された湿度を増加させ、
上記監視部40によって上記排出された電極のクラックが感知されなければ、上記排出された電極にクラックが感知されていない際に上記センサ24で測定された湿度を決定し、上記乾燥部20内の高温蒸気が上記決定された湿度を維持するように制御する。
【0052】
上記制御部50は、上記監視部40によって上記排出された電極のクラックが感知されれば、電極にクラックが感知されなくなるまで、上記排出された電極にクラックが発生した際に上記センサ24で測定された湿度を増加させる。高温蒸気の湿度を増加させるために、加湿部26の加湿を増加させても、加湿によって乾燥炉の全体高温蒸気の湿度が安定化されるまでは一定時間がかかる。
【0053】
制御部50によって加湿程度の増加を命令された加湿部26が加湿を増加させ、増加された加湿程度が反映されて、以前の湿度よりも増加させる湿度の間隔は5%以上10%以下であってよい。乾燥部20の内部雰囲気が増加された湿度に安定化され、安定化された湿度雰囲気で乾燥した電極前駆体が排出されるまでは一定時間がかかる。このとき、一定時間は、経験上、約5分程度の時間がかかり、乾燥炉の大きさによって増減されることができる。変更された条件で乾燥した電極でもクラックが感知されれば、再び加湿部26にもう一度加湿程度を増加することを命令する。これは、変更された条件で乾燥して排出された電極のクラックが感知されなくなるまで繰り返し行われる。
【0054】
変更された条件で乾燥して排出された電極のクラックが感知されなければ、最後に制御部50によって加湿部26が湿度増加を命令されて増加した目標湿度又は増加した湿度が安定化され、吸気された高温蒸気に対してセンサ24が測定した湿度を上記排出された電極にクラックが感知されていない際の湿度を決定する。決定された湿度をその後の工程で電極のクラックが再び発生しなくなるまで上記乾燥部20内の高温蒸気が上記決定された湿度を維持するように制御する。
【0055】
図3は、従来の2つの乾燥ラインを有する電極製造装置を示す図である。2つの乾燥ラインからそれぞれ全体循環排気64で排気された空気を混合し、混合された全体排気された空気を循環させ、全体循環中の空気のうち一部を排出部30によって外部に排出させることができる。排出部30によって外部に排出されていない全体循環空気と外部から流入した空気とが給気ファン61によって混合されながら全体循環給気65される。また、個別乾燥ラインから個別循環排気63され、このとき、個別循環排気63された空気は、全体循環給気65された空気と混合されながら循環ファン62によって個別混合給気66されながら、個別乾燥ラインの高温蒸気循環がなされる。
【0056】
しかしながら、従来は、個別乾燥ラインで発生するクラックを個別的に制御することができなかった。
【0057】
図4は、本願の他の実施態様によって2つの乾燥ラインを有する電極製造装置を示す図である。個別乾燥ラインにそれぞれ加湿部26’、26”とセンサ24’、24”が備えられ、個別乾燥ラインから情報を収集する制御部50が個別乾燥ラインの高温蒸気の湿度を個別的に制御する。
【0058】
本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須的な特徴を変更しなくても他の具体的な形態で実施され得ることを理解するものである。そのため、上述した実施態様は、あらゆる面で例示的なものであって、限定的ではないものと理解されたい。本発明の範囲は、上記詳細な説明よりも特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の要旨及び範囲、並びにその均等概念から導出される種々の実施形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるものである。
【符号の説明】
【0059】
1:電極前駆体
2:電極
10:供給部
20:乾燥部
21:給気部
22:吸気部
23:流路
24、24’、24”:センサ
25:排気部
26、26’、26”:加湿部
30:排出部
40:監視部
41:カメラ
50:制御部
61:給気ファン
62:循環ファン
63:個別循環排気
64:全体循環排気
65:全体循環給気
66:個別混合給気
70:第1の乾燥部
75:第2の乾燥部
100:電極製造装置
図1
図2
図3
図4
図5