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特許7592357内部抵抗評価装置およびバッテリシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】内部抵抗評価装置およびバッテリシステム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/389 20190101AFI20241125BHJP
   G01R 31/396 20190101ALI20241125BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20241125BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20241125BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20241125BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241125BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
G01R31/389
G01R31/396
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/392
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023577773
(86)(22)【出願日】2023-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 KR2023001851
(87)【国際公開番号】W WO2023219233
(87)【国際公開日】2023-11-16
【審査請求日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2022-0057069
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン・ジュ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョ・ソン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン・チェ
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/151652(WO,A1)
【文献】特開2002-168928(JP,A)
【文献】中国実用新案第214335165(CN,U)
【文献】特開2014-112039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
G01R 27/02
G01R 31/00
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリバンクをそれぞれが含む複数のバッテリパックと、
前記複数のバッテリパックそれぞれにおける前記複数のバッテリバンクの複数の内部抵抗(DCIR)値を算出し、前記各バッテリパックにおける所定の第1位置のバッテリバンクについての第1内部抵抗値に対する補正を行い、前記補正された第1内部抵抗値に基づいて前記第1位置のバッテリバンクの異常の有無を診断する、バッテリ管理システムとを含み、
前記複数のバッテリバンクそれぞれは、並列接続された複数のバッテリセルを含み、前記第1位置は、前記複数のバッテリパックそれぞれにおいて同じ位置である、バッテリシステム。
【請求項2】
前記バッテリ管理システムは、
前記第1内部抵抗値に1未満の所定比率を乗じて前記第1内部抵抗値を補正する、請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項3】
前記所定比率は、
各バッテリパックにおける前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値を前記各バッテリパックを構成する前記複数のバッテリバンクの内部抵抗値の中間値で割った結果に基づいて決定される、請求項2に記載のバッテリシステム。
【請求項4】
前記複数のバッテリパックに接続されて、前記複数のバッテリバンクの複数のバッテリバンク電圧を測定する複数のモニタリングICと、
前記複数のバッテリパックそれぞれに対して、前記複数のバッテリバンク電圧および前記各バッテリバンクに流れる電流に基づいて前記各バッテリバンクの前記複数のバッテリバンクの複数の内部抵抗値を算出し、前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値を所定比率に基づいて補正するメイン制御ICとを含む、請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項5】
前記メイン制御ICは、
前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値に前記所定比率を乗じて前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値を補正し、
前記所定比率は、1より小さい、請求項4に記載のバッテリシステム。
【請求項6】
前記所定比率は、
各バッテリパックにおける前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値を前記各バッテリパックを構成する複数のバッテリバンクの内部抵抗値の中間値で割った結果に基づいて決定される、請求項5に記載のバッテリシステム。
【請求項7】
各バッテリパックにおける前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値が前記各バッテリパックの他の位置のバッテリバンクに比べて機械抵抗の影響をさらに受ける、請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリシステム。
【請求項8】
前記第1位置は、
前記複数のバッテリパック全てに対して、前記複数の内部抵抗値を前記複数のバッテリバンク位置別に分類して、前記複数の内部抵抗値のうち正常範囲を外れていると判断される複数の内部抵抗値に対応するバッテリバンクの位置として決定される、請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリシステム。
【請求項9】
複数のバッテリパックに対して、各バッテリパックを構成する複数のバッテリバンクの複数の内部抵抗値に対して正規性を検証する正規性検証部と、
前記複数のバッテリパック全てに対して、前記複数の内部抵抗値を前記複数のバッテリバンク位置別に分類して、前記複数の内部抵抗値のうち正常範囲を外れていると判断される複数の内部抵抗値に対応するバッテリバンクの第1位置を決定する管理図分析部と、
前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値および前記各バッテリパックを構成する複数のバッテリバンクの内部抵抗値に基づいて補正の度合いを決定する内部抵抗分析部とを含む、内部抵抗評価装置。
【請求項10】
前記内部抵抗分析部は、
前記複数のバッテリパックそれぞれに対して、前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗を各バッテリパックを構成する複数のバッテリバンクの内部抵抗の中間値で割った第1値を算出し、前記複数のバッテリパック全てに対して、複数の第1値の平均に基づいて前記補正の度合いを決定する、請求項9に記載の内部抵抗評価装置。
【請求項11】
前記内部抵抗分析部は、
前記複数の第1値の平均から1を差し引いた値を前記補正の度合いとして決定する、請求項10に記載の内部抵抗評価装置。
【請求項12】
前記正規性検証部は、
前記複数のバッテリパック全てに対して、バッテリバンクの位置別に、前記複数の内部抵抗値の正規性を検証する、請求項10または11に記載の内部抵抗評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2022年5月10日付の韓国特許出願第10-2022-0057069号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本開示は、内部抵抗評価装置および内部抵抗評価装置から導出された情報を用いたバッテリシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
バッテリパックを構成する複数のバッテリセルが電気的に、例えば、直列、並列、または直列および並列に接続可能である。この場合、複数のバッテリセル間の複数の接触抵抗および接続抵抗によりバッテリパックに電流が流れる時、複数のバッテリセルそれぞれのセル電圧よりも高い電圧が各バッテリセルのセル電圧として測定される。つまり、各バッテリセルのセル電圧測定において、各バッテリセルの内部抵抗だけでなく、複数のバッテリセルを接続するのに用いられた接続部材の機械抵抗が影響を与える。
【0004】
このように、セル電圧を正確に測定しにくい問題点がある。セル電圧は、バッテリセルの充電状態、過電圧、低電圧などバッテリセルの状態をモニタリングする上で重要なデータである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来技術の問題を解決するために、複数のバッテリバンクの内部抵抗値を正確に測定できるように実現された内部抵抗評価装置および内部抵抗評価装置から導出された情報を用いたバッテリシステムを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の一特徴によるバッテリシステムは、複数のバッテリバンクをそれぞれが含む複数のバッテリパックと、前記複数のバッテリパックそれぞれにおいて、前記複数のバッテリバンクの複数の内部抵抗(DCIR)値を算出し、前記各バッテリパックにおいて所定の第1位置のバッテリバンクについての第1内部抵抗値に対する補正を行い、前記補正された第1内部抵抗値に基づいて前記第1位置のバッテリバンクの異常の有無を診断する、バッテリ管理システムとを含むことができる。前記複数のバッテリバンクそれぞれは、並列接続された複数のバッテリセルを含み、前記第1位置は、前記複数のバッテリパックそれぞれにおいて同じ位置であってもよい。
【0007】
前記バッテリ管理システムは、前記第1内部抵抗値に1未満の所定比率を乗じて前記第1内部抵抗値を補正することができる。
【0008】
前記所定比率は、各バッテリパックにおいて、前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値を前記各バッテリパックを構成する複数のバッテリバンクの内部抵抗値の中間値で割った結果に基づいて決定される。
【0009】
前記バッテリシステムは、前記複数のバッテリパックに接続されて、前記複数のバッテリバンクの複数のバッテリバンク電圧を測定する複数のモニタリングICと、前記複数のバッテリパックそれぞれに対して、前記複数のバッテリバンク電圧および前記各バッテリバンクに流れる電流に基づいて前記各バッテリバンクの前記複数のバッテリバンクの複数の内部抵抗値を算出し、前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値を所定比率に基づいて補正するメイン制御ICとを含むことができる。
【0010】
前記メイン制御ICは、前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値に前記所定比率を掛けて前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値を補正し、前記所定比率は、1より小さい。
【0011】
前記所定比率は、各バッテリパックにおいて、前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値を前記各バッテリパックを構成する複数のバッテリバンクの内部抵抗値の中間値で割った結果に基づいて決定される。
【0012】
各バッテリパックにおいて、前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値が前記各バッテリパックの他の位置のバッテリバンクに比べて機械抵抗の影響をさらに受けることができる。
【0013】
前記第1位置は、前記複数のバッテリパック全てに対して、前記複数の内部抵抗値を前記複数のバッテリバンク位置別に分類して、前記複数の内部抵抗値のうち正常範囲を外れていると判断される複数の内部抵抗値に対応するバッテリバンクの位置として決定される。
【0014】
発明の他の特徴による内部抵抗評価装置は、複数のバッテリパックに対して、各バッテリパックを構成する複数のバッテリバンクの複数の内部抵抗値に対して正規性を検証する正規性検証部と、前記複数のバッテリパック全てに対して、前記複数の内部抵抗値を前記複数のバッテリバンク位置別に正常範囲を外れていると判断されるバッテリバンクの第1位置を決定する管理図分析部と、前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値および前記各バッテリパックを構成する複数のバッテリバンクの内部抵抗値に基づいて補正の度合いを決定する内部抵抗分析部とを含むことができる。
【0015】
前記内部抵抗分析部は、前記複数のバッテリパックそれぞれに対して、前記第1位置のバッテリバンクの内部抵抗値を各バッテリパックを構成する複数のバッテリバンクの内部抵抗値の中間値で割った第1値を算出し、前記複数のバッテリパック全てに対して、複数の第1値の平均に基づいて前記補正の度合いを決定することができる。
【0016】
前記内部抵抗分析部は、前記複数の第1値の平均から1を差し引いた値を前記補正して決定することができる。
【0017】
前記正規性検証部は、前記複数のバッテリパック全てに対して、バッテリバンクの位置別に、前記複数の内部抵抗値の正規性を検証することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、複数のバッテリバンクの内部抵抗値を正確に測定できるように実現された内部抵抗評価装置および内部抵抗評価装置から導出された情報を用いたバッテリシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施例による内部抵抗評価装置を示す図である。
図2】複数のバッテリパックの複数のバッテリバンクの内部抵抗の抵抗値分布を示す確率図である。
図3】一実施例によるバッテリパックを示す回路図である。
図4】内部抵抗値の平均値についてのXbar-S管理図を示すグラフである。
図5】207個のバッテリパックの複数のバッテリバンクについての標準偏差と標準偏差を中間値で割った結果(標準偏差/中間値)である。
図6】内部抵抗値が高い第8位置のバッテリバンクの内部抵抗値を補正した時、207個のバッテリパックの複数のバッテリバンクについての標準偏差と標準偏差を中間値で割った結果である。
図7図5に示された標準偏差/中間値の結果に基づく工程能力分析結果である。
図8図6に示された標準偏差/中間値の結果に基づく工程能力分析結果である。
図9】一実施例によるバッテリシステムを示す図である。
図10】一実施例によるバッテリパックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、複数のバッテリセルが電気的に接続された複数のバッテリパックを含むバッテリシステムに関する。各バッテリパックは、直列接続された複数のバッテリセルを含むか、並列接続された少なくとも2つのバッテリセルで構成された複数のバッテリバンクを含むことができる。
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本明細書に開示された実施例を詳細に説明し、同一または類似の構成要素には同一、類似の図面符号を付し、これに関する重複した説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」および/または「部」は、明細書作成の容易さのみ考慮されて付与または混用されるものであって、それ自体で互いに区別される意味または役割を有するものではない。また、本明細書に開示された実施例を説明するにあたり、かかる公知の技術に関する具体的な説明が本明細書に開示された実施例の要旨をあいまいにしうると判断された場合、その詳細な説明を省略する。さらに、添付した図面は本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付した図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。
【0022】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使われるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。
【0023】
本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0024】
一実施例による構成のうち特定の制御条件で他の構成を制御する構成には、他の構成を制御するために必要な制御アルゴリズムを具体化した命令語の集合で実現されたプログラムがインストールされる。制御構成はインストールされたプログラムにより入力データおよび格納されたデータを処理して出力データを生成することができる。制御構成は、プログラムを格納する不揮発性メモリおよびデータを格納するメモリを含むことができる。
【0025】
同一の構造を有する複数のバッテリパックにおいて、特定のバッテリセルや特定のバッテリバンクは、他のバッテリセルや他のバッテリバンクに比べてその内部抵抗が高い。各バッテリパックにおいて各バッテリセルまたはバンクの位置によって、各バッテリセルまたはバンクに接続されたバスバー、配線などのような接続部材の種類、個数、形状などが異なる。接続部材による接触抵抗、接続抵抗などが発生することがあり、以下、これを機械抵抗という。複数のバッテリバンクの複数の内部抵抗のうち機械抵抗の影響を相対的に多く受けた内部抵抗は、相対的に少なく受けた内部抵抗と比較してその抵抗値が大きい。
【0026】
一実施例による正規性検証方法は、複数のバッテリパックにおいて、位置別に複数のバッテリセルまたは複数のバッテリバンクの内部抵抗の分布を導出する段階と、導出された全ての位置についての内部抵抗の分布を比較する段階と、比較結果に基づいて、全ての位置のうち内部抵抗分布が他の内部抵抗分布に基づいて定義される正常範囲を外れた位置を決定する段階とを含むことができる。
【0027】
一実施例によるバッテリシステムは、正規性検証方法によって取得された位置に対応するバッテリセルまたはバッテリバンクについての内部抵抗を決定するとき、バッテリセル電圧および電流またはバッテリバンク電圧および電流を用いて算出した内部抵抗を補償することができる。
【0028】
以下、説明では、バッテリパックが直列接続された複数のバッテリバンクを含む構造において、複数のバッテリバンクの内部抵抗値を分析して、機械抵抗の影響を低減できる内部抵抗値の補正方法およびこれを適用したバッテリシステムを提供しようとする。
【0029】
図1は、一実施例による内部抵抗評価装置を示す図である。
【0030】
図1に示されているように、内部抵抗評価装置500は、正規性検証部510と、管理図分析部520と、内部抵抗分析部530とを含む。
【0031】
図2は、複数のバッテリパックの複数のバッテリバンクの内部抵抗の抵抗値分布を示す確率図である。
【0032】
図3は、一実施例によるバッテリパックを示す回路図である。
【0033】
図3に示されているように、バッテリパック1は、直列接続された14個のバッテリバンク1_1~1_14を含むことができる。14個のバッテリバンク1_1~1_14それぞれは、並列接続された2つのバッテリセルCELL1、CELL2を含む。バッテリパック1の正極端BP+と負極端BP-との間に14個のバッテリバンク1_1~1_14が直列接続されている。図2には、バッテリパック1が14個のバッテリバンクを含み、各バッテリバンクが2つのバッテリセルを含むことが示されているが、バッテリパックを構成するバッテリバンクの個数は14個とは異なっていてもよく、各バッテリバンクは並列接続された3つ以上のバッテリセルを含むことができる。
【0034】
図2の確率図では、計207個のバッテリパックのそれぞれの14個のバッテリバンクの内部抵抗値DCIR1-DCIR14に対するデータ(以下、入力データ)が用いられた。入力データは、直接測定されてもよく、各バッテリバンクの電圧変化量を各バッテリバンクに流れる電流で割って算出されてもよい。14個のバッテリバンクそれぞれは、対応する位置によって区別される。バッテリパック内において正極端と負極端との間に直列接続された複数のバッテリバンクそれぞれの位置は、その相対的な位置を意味する。例えば、バッテリパック1において正極端BP+から負極端BP-に向かう方向に沿って第1~第14位置が定義され、逆に、負極端BP-から正極端BP+に向かう方向に沿って第1~第14位置が定義されてもよい。
【0035】
図2の横軸は、内部抵抗値であり、縦軸は、207個のバッテリパックにおいて同じ位置のバッテリバンクの内部抵抗値を有するバッテリバンクの個数に基づく確率である。例えば、第1位置のバッテリバンク(例えば、1_1)のDCIR1が所定の特定値RA[Ω]の時、確率がPA%であれば、計207個のバッテリパックの第1位置のバッテリバンク(図1の1_1)のうち内部抵抗値がRA[Ω]のバッテリバンクの個数は207*PA/100であってもよい。
【0036】
図2に示されているように、計207個のバッテリパックのそれぞれの14個のバッテリバンクのうち13個のバッテリバンクの内部抵抗値DCIR1~DCIR7、DCIR9~DCIR14は、領域1内に分布している。ただし、バッテリバンク8の内部抵抗値DCIR8は、領域1と区別された領域2に分布している。
【0037】
正規性検証部510は、入力データの正規性を検証することができる。具体的には、正規性検証部510は、内部抵抗値DCIR1-DCIR14に対するP値を算出し、各算出されたP値が所定の基準値以下であるかを判断した結果に基づいて正規性を検証することができる。一実施例による図3に示された207個のバッテリパックにおいて14個のバッテリバンクの内部抵抗値DCIR1-DCIR14に対するすべてのP値が0.05以下である。したがって、207個のバッテリパックにおいて14個のバッテリバンクの内部抵抗値は正規であることが分かる。正規性の検証が完了すれば、207個のバッテリパックにおいて14個のバッテリバンクの内部抵抗値に対する管理図が分析されうる。正規性検証部510は、入力データに対する正規性検証を完了すれば、これを管理図分析部520に伝達することができる。
【0038】
管理図分析部520は、表1に示しているように、複数のバッテリパックに対して複数のバッテリバンクの内部抵抗値についての統計値を算出することができる。統計値は、平均値(Avg)、中間値(med)、最小値(min)、最大値(max)、標準偏差(std)、および標準偏差/中間値(std/med)を含む。
【0039】
【表1】
【0040】
管理図分析部520は、表1に示しているように、内部抵抗の抵抗値DCIR1-DCIR14のうち、DCIR8の抵抗値が他のDCIRの抵抗値より高いことを導出することができる。例えば、207個のバッテリパックにおいて、第8位置のバッテリバンク(例えば、図3の1_8)の内部抵抗値DCIR8の平均値(Avg)、中間値(med)、最小値(min)、および最大値(max)は、他の位置のバッテリバンク(例えば、図2の1_1~1_7、1_9~1_14)の内部抵抗値DCIR1-7およびDCIR9-14の平均値(Avg)、中間値(med)、最小値(min)、および最大値(max)より高い。管理図分析部520は、第8位置のバッテリバンクが他のバッテリバンクに比べて統計値が高いということを内部抵抗分析部530に伝達することができる。
【0041】
図4は、内部抵抗値の平均値についてのXbar-S管理図を示すグラフである。
【0042】
図4には、207個のバッテリパックに対して14個のバッテリバンクの内部抵抗値についての平均が示されている。図4で、x軸は、14個のバッテリバンクそれぞれのバッテリバンクの位置を示すもので、x軸の値は、第1位置から第14位置までであり、y軸は、14個のバッテリバンクそれぞれの内部抵抗値DCIR1-14についての平均を示すもので、y軸の値は、内部抵抗の抵抗値である。管理図分析部520は、図4に示されているように、他のDCIRに比べてDCIR8の平均が高く、管理図の上限(UCL)を外れていることを導出することができる。
【0043】
内部抵抗分析部530は、表2のように、207個のバッテリパックにおける全てのバッテリバンクの内部抵抗値についての平均値(Avg)、中間値(med)、最小値(min)、最大値(max)、標準偏差(std)、および標準偏差/中間値(std/med)を算出することができる。
【0044】
【表2】
【0045】
内部抵抗分析部530は、表3のように、207個のバッテリパックそれぞれにおける14個のバッテリバンクの内部抵抗値ついての平均値(Avg)、中間値(med)、最小値(min)、および最大値(max)それぞれに対する平均値(Avg)、中間値(med)、最小値(min)、および最大値(max)、標準偏差(std)、および標準偏差/中間値(std/med)を算出することができる。
【0046】
【表3】
【0047】
内部抵抗分析部530は、1つのバッテリパックを構成する14個のバッテリバンクの内部抵抗値についての平均値(以下、パック単位バンクの内部抵抗の平均値)を算出する動作を207個のバッテリパックに対してすべて行うことができる。すると、207個のパック単位バンクの内部抵抗の平均値が算出されるが、前記表3中、縦軸の「Avg」によって定義される行は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の平均値についての統計値である。つまり、「3.856」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の平均値の平均値(Avg)であり、「3.842」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の平均値の中間値(med)であり、「3.798」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の平均値の最小値(min)であり、「4.078」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の平均値の最大値(max)であり、「0.066」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の平均値の標準偏差(std)であり、「0.017」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の平均値の標準偏差(std)を中間値(med)で割った値(std/med)である。
【0048】
内部抵抗分析部530は、1つのバッテリパックを構成する14個のバッテリバンクの内部抵抗値についての中間値(以下、パック単位バンクの内部抵抗の中間値)を算出する動作を207個のバッテリパックに対してすべて行うことができる。すると、207個のパック単位バンクの内部抵抗の中間値が算出されるが、前記表3中、縦軸の「med」によって定義される行は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の中間値についての統計値である。つまり、「3.859」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の中間値の平均値(Avg)であり、「3.840」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の中間値の中間値(med)であり、「3.805」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の平均値の最小値(min)であり、「4.081」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の中間値の最大値(max)であり、「0.066」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の中間値の標準偏差(std)であり、「0.017」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の中間値の標準偏差(std)を中間値(med)で割った値(std/med)である。
【0049】
内部抵抗分析部530は、1つのバッテリパックを構成する14個のバッテリバンクの内部抵抗値についての最小値(以下、パック単位バンクの内部抵抗の最小値)を算出する動作を207個のバッテリパックに対してすべて行うことができる。すると、207個のパック単位バンクの内部抵抗の最小値が算出されるが、前記表3中、縦軸の「min」によって定義される行は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の最小値についての統計値である。つまり、「3.590」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の中間値の平均値(Avg)であり、「3.580」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の最小値の中間値(med)であり、「3.540」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の平均値の最小値(min)であり、「3.793」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の最小値の最大値(max)であり、「0.042」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の最小値の標準偏差(std)であり、「0.011」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の最小値の標準偏差(std)を中間値(med)で割った値(std/med)である。
【0050】
内部抵抗分析部530は、1つのバッテリパックを構成する14個のバッテリバンクの内部抵抗値についての最大値(以下、パック単位バンクの内部抵抗の最大値)を算出する動作を207個のバッテリパックに対してすべて行うことができる。すると、207個のパック単位バンクの内部抵抗の最大値が算出されるが、前記表3中、縦軸の「max」によって定義される行は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の最大値についての統計値である。つまり、「4.122」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の最大値の平均値(Avg)であり、「4.115」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の最大値の中間値(med)であり、「4.023」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の平均値の最小値(min)であり、「4.334」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の最大値の最大値(max)であり、「0.089」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の最大値の標準偏差(std)であり、「0.024」は、207個のパック単位バンクの内部抵抗の最大値の標準偏差(std)を中間値(med)で割った値(std/med)である。
【0051】
内部抵抗分析部530は、1つのバッテリパックの第8位置のバッテリバンクの内部抵抗値を当該バッテリパックを構成する14個のバッテリバンクの内部抵抗値の中間値で割ってパック単位バンクの内部抵抗の中間値に対する第8位置のバッテリバンクの内部抵抗値の比率(以下、抵抗比値)を算出する動作を207個のバッテリパックに対してすべて行うことができる。すると、207個の抵抗比値が算出されるが、表4は、207個の抵抗比値についての平均値、中間値、最小値、最大値、標準偏差、標準偏差/中間値を示す表である。
【0052】
【表4】
【0053】
表4に示されているように、207個のバッテリパックにおいて第8位置のバッテリバンクの抵抗比値の平均値は1.062で、中間値に比べて6.2%高く測定された。表3中、パック単位バンクの内部抵抗平均の標準偏差/中間値(std/med)が1.7%であるので、207個のバッテリパックにおいてバッテリバンクの標準ばらつきの平均が1.7%であると解析できる。したがって、第8位置のバッテリバンクの内部抵抗値が他の位置のバッテリバンクの内部抵抗値に比べて高くなることが分かる。これは第8位置のバッテリバンクの内部抵抗が他の位置のバッテリバンクに比べて機械抵抗による影響がより大きいと解析できる。この場合、内部抵抗分析部530は、第8位置のバッテリバンクの内部抵抗値についての補正の度合いを6.2%に決定することができる。すると、第8位置のバッテリバンクの内部抵抗値を補正するために93.8%(100%-6.2%)が内部抵抗値に乗じられる。
【0054】
図5は、207個のバッテリパックの複数のバッテリバンクについての標準偏差と標準偏差を中間値で割った結果(標準偏差/中間値)である。
【0055】
図6は、内部抵抗値が高い第8位置のバッテリバンクの内部抵抗値を補正した時、207個のバッテリパックの複数のバッテリバンクについての標準偏差と標準偏差を中間値で割った結果である。
【0056】
図5および図6の比較により分かるように、207個のバッテリパックにおける複数のバッテリバンクについての標準偏差とばらつきの平均が既存に比べて65%だけ減少することが分かる。
【0057】
図7は、図5に示された標準偏差/中間値の結果に基づく工程能力分析結果である。
【0058】
図8は、図6に示された標準偏差/中間値の結果に基づく工程能力分析結果である。
【0059】
図7には、207個のバッテリバンクについての標準偏差/中間値がほとんど規格上限の0.01より高いことが示される。
【0060】
これとは異なり、図8には、207個のバッテリバンクについての標準偏差/中間値がほとんど規格上限の0.01より低いことが示される。
【0061】
これとともに、図7および図8に示された工程能力分析結果から分かるように、工程能力も向上したと考えられる。
【0062】
このように、他のバッテリバンクより高い内部抵抗値を有するバッテリバンクを導出し、当該バッテリバンクの内部抵抗値を補正することによって、より正確な内部抵抗値を決定することができる。以下、これを用いたバッテリシステムに関して説明する。実施例によるバッテリシステムは、内部抵抗値が高い特定のバッテリバンクに関する情報を用いて特定位置のバッテリバンクの内部抵抗を決定するにあたり、算出された内部抵抗値から機械抵抗による影響を除去することができる。
【0063】
図9は、一実施例によるバッテリシステムを示す図である。
【0064】
図9では、バッテリシステム2は、複数のバッテリパック(10_1~10_n、nは2以上の自然数)と、バッテリ管理システム20とを含む。バッテリ管理システム20は、複数のバッテリパック10_1~10_nの各バッテリパックに接続されている複数のモニタリングIC30_1~30_nと、メイン制御IC40とを含むことができる。バッテリシステム2は、出力端P+とバッテリパック10_1の正極との間に接続されている第1メインリレー51と、出力端P-とバッテリパック10_nの負極との間に接続されている第2メインリレー52とをさらに含むことができる。
【0065】
第1メインリレー51および第2メインリレー52は、バッテリ管理システム20の制御によってスイッチングすることができる。例えば、メイン制御IC40は、第1および第2メインリレー51、52のスイッチング動作を制御するスイッチング信号SC1、SC2を生成して第1および第2メインリレー51、52に供給することができる。図1には、2つのメインリレーが示されているが、発明がこれに限定されるものではない。例えば、バッテリシステム1は、2つのメインリレーのうちの1つにプリチャージリレーおよびプリチャージ抵抗が並列接続可能である。あるいは、バッテリシステム1は、2つのメインリレーのうちの1のみを含むことができる。
【0066】
2つの出力端P+および出力端P-の間には外部装置2が接続可能である。外部装置2は、複数のバッテリパック10_1~10_nの放電によって複数のバッテリパック10_1~10_nから供給される電力を外部負荷(例えば、電気車に駆動力を提供するモータ)に提供したり、外部商用電源から複数のバッテリパック10_1~10_nを充電するための電力を供給する充電器であってもよい。
【0067】
図10は、一実施例によるバッテリパックを示す図である。
【0068】
図10には、複数のバッテリパック10_1~10_nのうちの1つであるバッテリパック10_iが示されている。iは、1からnまでの自然数のうちの1つであってもよい。
【0069】
複数のバッテリパック10_1~10_nそれぞれは、直列接続された複数のバッテリバンク(100_1~100_m、mは2以上の自然数)を含む。複数のバッテリバンク100_1~100_mそれぞれは、並列接続された2つのバッテリセル(例えば、101、102)を含む。図1には、複数のバッテリバンク100_1~100_mそれぞれを構成するバッテリセルの個数が2つであることが示されているが、発明がこれに限定されない。複数のバッテリバンク100_1~100_mそれぞれは、並列接続された3つ以上のバッテリセルを含むことができる。複数のバッテリパック10_1~10_nのうち残りのバッテリパックも、図2に示されたバッテリパック10_iと同一に実現できる。
【0070】
バッテリ管理システム20は、複数のバッテリパック10_1~10_nに接続されて、所定のモニタリング周期ごとに複数のバッテリパック10_1~10_nそれぞれに対する複数のバッテリバンクそれぞれの電圧であるバンク電圧を測定することができる。
【0071】
複数のモニタリングIC30_1~30_nそれぞれは、対応するバッテリパックの複数のバッテリバンクの各バッテリバンクの両端に接続されており、各バッテリバンクのバンク電圧を測定することができる。複数のモニタリングIC30_1~30_nそれぞれは、測定した複数のバンク電圧をメイン制御IC40に伝送することができる。例えば、図2に示されているように、モニタリングIC30_iは、バッテリパック10_iの複数のバッテリバンク100_1~100_mそれぞれの両端に接続されている。複数のモニタリングIC30_1~30_nそれぞれは、対応するバッテリパックの複数のバッテリバンクそれぞれの正極と負極それぞれの電圧を受信し、正極電圧および負極電圧の間の差に基づいて各バッテリバンクのバンク電圧を測定することができる。例えば、モニタリングIC30_iは、複数のバッテリバンク100_1~100_mの複数のバンク電圧BV1~BVmをメイン制御IC40に伝送することができる。
【0072】
バッテリ管理システム20は、複数のバッテリパック10_1~10_nの電流(以下、バッテリパック電流)および温度(以下、バッテリパック温度)に関する情報を取得することができる。
【0073】
電流センサ60は、バッテリパック電流IBを測定し、測定したバッテリパック電流に関する情報ISをメイン制御IC40に伝送することができる。メイン制御IC40は、各バンクを含んでいるバッテリパックの温度に基づいて各バンクの温度を決定することができる。
【0074】
複数の温度センサ70_1~70_nそれぞれは、各温度センサが位置するバッテリパックの温度を測定し、各バッテリパックの温度に関する情報TS1~TSnをメイン制御IC40に伝送することができる。
【0075】
バッテリ管理システム20は、複数のバンク電圧に基づいて複数のバッテリパック10_1~10_nそれぞれの複数のバッテリバンクに対するセルバランシングを制御および実行することができる。バッテリ管理システム20は、複数のバッテリパック10_1~10_nの複数のバンク電圧、測定された複数のバッテリパック10_1~10_nそれぞれに関する情報(バッテリパック電流、バッテリパック温度など)に基づいて複数のバッテリパック10_1~10_nそれぞれに対するSOC(State of Charge)、SOH(State of Health)、SOP(State of Power)などを推定することができる。
【0076】
バッテリ管理システム20は、複数のバッテリパック10_1~10_nそれぞれに対して、各バッテリパックの複数のバッテリバンクの内部抵抗DCIR値を算出し、特定のバッテリバンクの内部抵抗値については補正を行うことができる。
【0077】
例えば、メイン制御IC40は、図2に示された複数のバッテリバンク100_1~100_mそれぞれのバンク電圧の電圧変化および各バンクに流れる電流を用いて各バンクの内部抵抗値を算出することができる。一実施例において、複数のバッテリパック10_1~10_nが直列接続されているので、各バンクに流れる電流は、バッテリパック電流IBと同一であってもよい。各バンク電圧の電圧変化は、バッテリパック10_iに対する充電または放電による電圧変化であってもよい。メイン制御IC40は、充電の開始時点から所定期間経過後のバッテリバンク電圧(以下、充電後のバッテリバンク電圧)を測定し、充電前のバッテリバンク電圧と充電後のバッテリバンク電圧との間の電圧差を充電期間のバッテリバンク電流で割った結果に基づいて内部抵抗値を算出することができる。あるいは、メイン制御IC40は、放電が終了した後、所定期間経過後のバッテリバンク電圧(以下、放電後のバッテリバンク電圧)を測定し、放電中のバッテリバンク電圧の最低電圧と放電後のバッテリバンク電圧との間の電圧差を放電期間のバッテリバンク電流で割った結果に基づいて内部抵抗値を算出することができる。この時、充電および放電は、一定の充電電流および放電電流によって行われる。また、メイン制御IC40は、各バッテリバンクの内部抵抗値を決定するにあたり、各バンクの温度または充放電時のC-rateによる影響を考慮することができる。
【0078】
複数のバッテリバンク100_1~100_mそれぞれの内部抵抗を算出する方法は、先に説明したものに限定されず、公知のバッテリセルの内部抵抗を算出する方式から導出できる。例えば、メイン制御IC40は、複数のバッテリバンク100_1~100_mそれぞれを構成する各バッテリセル(例えば、101、102)の内部抵抗値を公知の方式で算出した後、算出された2つの内部抵抗に対する並列抵抗を算出して各バッテリバンクの内部抵抗を算出することができる。
【0079】
メイン制御IC40は、複数のバッテリパック10_1~10_nに対して特定位置のバッテリバンクの内部抵抗値を補正する。特定位置のバッテリバンク(以下、高抵抗バッテリバンク)は、先に説明した方式により、複数のバッテリパック10_1~10_nにおいて内部抵抗値が機械抵抗の影響で他のバッテリバンクの内部抵抗値より高くなるバッテリバンクを意味する。複数のバッテリパック10_1~10_nそれぞれにおいて高抵抗バッテリバンクの個数は1つ以上であってもよい。「高抵抗バッテリバンク」は、実際に当該バッテリバンクの内部抵抗が高いことを意味するのではなく、当該バッテリバンクの内部抵抗値が機械抵抗の影響によって実際の内部抵抗値より高く測定されることを意味することができる。
【0080】
メイン制御IC40は、複数のバッテリバンク100_1~100_mに対する複数の内部抵抗値を算出し、高抵抗バッテリバンクの内部抵抗値については補正を行うことができる。メイン制御IC40は、高抵抗バッテリバンクの内部抵抗値を補正するために必要なデータを格納し、複数のバッテリパック10_1~10_nに対して高抵抗バッテリバンクの内部抵抗値を算出し、算出した内部抵抗値に対する補正を行うことができる。高抵抗バッテリバンクの内部抵抗値を補正するために必要なデータは、算出した内部抵抗値を受信して内部抵抗値を補正する補正関数および補正関数を構成するパラメータに関するデータを含むことができる。パラメータは、高抵抗バッテリバンクの(内部抵抗値/中間値)に基づいて決定される。
【0081】
例えば、先に説明した207個のバッテリパックにおいて第8位置のバッテリバンクの抵抗比値の平均値は1.062で、中間値に比べて6.2%高く測定された。この場合、補正関数は、算出された内部抵抗値に所定の補正比率を乗ずるものであり、補正関数のパラメータの補正比率は、100%から6.2%を差し引いた値(93.8%)に決定される。メイン制御IC40は、高抵抗バッテリバンクの内部抵抗値を算出し、算出された内部抵抗値に93.8%を乗じて内部抵抗値を補償することができる。
【0082】
メイン制御IC40は、複数のバッテリパック10_1~10_nそれぞれの複数のバッテリバンクについての内部抵抗値に基づいてバッテリバンクの異常の有無を診断することができる。例えば、メイン制御IC40は、複数のバッテリバンクについての内部抵抗値のうち所定の閾値より高い抵抗値を有するバッテリバンクは異常があると診断することができる。
【0083】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲がこれに限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者が多様に変形および改良した形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0084】
1 バッテリパック
1_1~1_14 バッテリバンク
2 バッテリシステム
8 バッテリバンク
10_1~10_n バッテリパック
20 バッテリ管理システム
51 第1メインリレー
52 第2メインリレー
60 電流センサ
70_1~70_n 温度センサ
100_1~100_m バッテリバンク
500 内部抵抗評価装置
510 正規性検証部
520 管理図分析部
530 内部抵抗分析部
Avg 平均値
BP 正極端
BP- 負極端
BV1~BVm バンク電圧
CELL1、CELL2 バッテリセル
DCIR1~DCIR14 内部抵抗
IB バッテリパック電流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10