(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】後方車両検出システム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20241125BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20241125BHJP
B60Q 1/00 20060101ALN20241125BHJP
【FI】
G06T7/00 650B
G06T7/70 A
B60Q1/00
(21)【出願番号】P 2020177322
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】山本 耕太
【審査官】藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-193831(JP,A)
【文献】特開2016-142647(JP,A)
【文献】特開2004-013592(JP,A)
【文献】夜間の道路監視カメラ映像における前照灯に注目した車両の3次元位置推定,画像電子学会誌,2014年07月30日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00- 1/56
G06T 7/00- 7/90
G06V 10/00-20/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載される、夜間に後方の車両を検出する後方車両検出システムであって、
自動車後方のようすを表す後方映像を撮影するとカメラと、
前記後方映像中の高輝度の領域を高輝度領域として抽出する高輝度領域抽出手段と、
前記高輝度領域抽出手段が抽出した高輝度領域のうちに、前記後方映像の中央に位置する所定のサイズ以上の大きさの高輝度領域である中央候補領域が含まれているときに、後方の他車の位置を検知する第1検知部と、
前記高輝度領域抽出手段が抽出した高輝度領域のうちに前記中央候補領域が含まれていないときに、後方の他車の位置を検知する第2検知部とを有し、
前記第1検知部は、前記中央候補領域が、前記後方映像の、後方の他車の左右のヘッドライトの双方の像を含む領域であるかどうかを解析し、当該左右のヘッドライトの双方の像を含む領域である場合に、当該中央候補領域の位置から後方の他車の位置を検知し、
前記第2検知部は、
前記高輝度領域抽出手段が抽出した各高輝度領域の重心を算定する重心算定手段と、
前記重心算定手段が算定した重心のうちの、垂直方向の位置が同一もしくは近似した二つの重心であって、水平方向について隣り合っている二つの重心を、二つの候補重心として算定する候補重心算定手段と、
前記候補重心算定手段が算定した二つの候補重心の時間経過に伴った変化を監視し、当該二つの候補重心に、時間経過に伴って所定の態様の変化が現れなかったときに、当該二つの候補重心を後方の他車の左右のヘッドライトの位置として、当該後方の他車の位置を検知する後方他車位置検知手段とを有ることを特徴とする後方車両検出システム。
【請求項2】
請求項1記載の後方車両検出システムであって、
前記時間経過に伴った所定の態様の変化は、少なくとも、前記時間経過に伴って前記二つの候補重心の間隔が徐々に小さくなる態様の変化を含むことを特徴とする後方車両検出システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の後方車両検出システムであって、
前記候補重心算定手段は、前記重心算定手段が算定した重心を、重心の水平方向の位置が同一もしくは近似したものどうしのグループにグループ化し、各グループに、グループの水平方向の並びの順番を表すインデックスを付与し、インデックスが連番となっている二つのグループのうちの一方のグループに含まれる重心と他方のグループに含まれる重心との二つの重心であって、垂直方向の位置が同一もしくは近似している二つの重心を、前記二つの候補重心として算定することを特徴とする後方車両検出システム。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の後方車両検出システムであって、
前記重心算定手段は、後方の他車のヘッドライトの像の領域であることとの整合度を表す、位置と形状に関する指標に従って、前記高輝度領域抽出手段が抽出した各高輝度領域のうちから、前記後方の他車のヘッドライトの像の領域であることと整合する高輝度領域を抽出し、抽出した高輝度領域についてのみ、前記重心を算定することを特徴とする後方車両検出システム。
【請求項5】
自動車に搭載される、夜間に後方の車両を検出する後方車両検出システムであって、
自動車後方のようすを表す後方映像を撮影するとカメラと、
前記後方映像中の高輝度の領域を高輝度領域として抽出する高輝度領域抽出手段と、
前記高輝度領域抽出手段が抽出した各高輝度領域の重心を算定する重心算定手段と、
前記重心算定手段が算定した重心のうちの、垂直方向の位置が同一もしくは近似した二つの重心であって、水平方向について隣り合っている二つの重心を、二つの候補重心として算定する候補重心算定手段と、
前記候補重心算定手段が算定した二つの候補重心の時間経過に伴った変化を監視し、当該二つの候補重心に、時間経過に伴って所定の態様の変化が現れなかったときに、当該二つの候補重心を後方の他車の左右のヘッドライトの位置として、当該後方の他車の位置を検知する後方他車位置検知手段とを有し、
前記候補重心算定手段は、前記重心算定手段が算定した重心を、重心の水平方向の位置が同一もしくは近似したものどうしのグループにグループ化し、各グループに、グループの水平方向の並びの順番を表すインデックスを付与し、インデックスが連番となっている二つのグループのうちの一方のグループに含まれる重心と他方のグループに含まれる重心との二つの重心であって、垂直方向の位置が同一もしくは近似している二つの重心を、前記二つの候補重心として算定することを特徴とする後方車両検出システム。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載の後方車両検出システムであって、
前記検知した後方の他車の位置に基づいて、後方の他車の所定のレベルを超える接近の発生を監視し、当該所定のレベルを超える接近が発生したときに警報を出力する接近警報出力手段を有することを特徴とする後方車両検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車において夜間に後方の車両を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車において夜間に後方の車両を検出する技術としては、カメラで撮影した自動車後方の映像中の各高輝度領域の面積や形状や位置から、映像中においてヘッドライトを表す高輝度領域を認識し、認識した高輝度領域の重心位置を後方の車両のヘッドライトの位置として、後方からの他車の接近を検知する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した映像中の各高輝度領域の面積や形状や位置から映像中においてヘッドライトを表す高輝度領域を認識して後方からの他車の接近を検知する技術によれば、後方の他車の一つのヘッドライトを表す一つの高輝度領域と、ヘッドライトの光のガードレールによる反射を表す一つの高輝度領域とを、後方の1台の他車の左右のヘッドライトを表す高輝度領域として誤認識して後方からの他車の接近を誤検知したり、後方の他車の一つのヘッドライトを表す一つの高輝度領域と、後方の別の他車の一つのヘッドライトを表す一つの高輝度領域とを、後方の1台の他車の左右のヘッドライトを表す高輝度領域として誤認識して後方からの他車の接近を誤検知したり、背景の明かりを他車のヘッドライトを表す高輝度領域として誤認識して、後方からの他車の接近を誤検知してしまうことがある。
【0005】
そこで、本発明は、夜間にカメラで撮影した自動車後方の映像から後方の車両を検出する後方車両検出システムにおいて、後方からの他車の接近の誤検知を抑制することを課題とする
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される、夜間に後方の車両を検出する後方車両検出システムに、自動車後方のようすを表す後方映像を撮影するとカメラと、前記後方映像中の高輝度の領域を高輝度領域として抽出する高輝度領域抽出手段と、前記高輝度領域抽出手段が抽出した各高輝度領域の重心を算定する重心算定手段と、前記重心算定手段が算定した重心のうちの、垂直方向の位置が同一もしくは近似した二つの重心であって、水平方向について隣り合っている二つの重心を、二つの候補重心として算定する候補重心算定手段と、前記候補重心算定手段が算定した二つの候補重心の時間経過に伴った変化を監視し、当該二つの候補重心に、時間経過に伴って所定の態様の変化が現れなかったときに、当該二つの候補重心を後方の他車の左右のヘッドライトの位置として、当該後方の他車の位置を検知する後方他車位置検知手段とを備えたものである。
【0007】
また、前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される、夜間に後方の車両を検出する後方車両検出システムに、自動車後方のようすを表す後方映像を撮影するとカメラと、前記後方映像中の高輝度の領域を高輝度領域として抽出する高輝度領域抽出手段と、 前記高輝度領域抽出手段が抽出した高輝度領域のうちに、前記後方映像の中央に位置する所定のサイズ以上の大きさの高輝度領域である中央候補領域が含まれているときに、後方の他車の位置を検知する第1検知部と、前記高輝度領域抽出手段が抽出した高輝度領域のうちに前記中央候補領域が含まれていないときに、後方の他車の位置を検知する第2検知部とを設けたものである。ここで、前記第1検知部は、前記中央候補領域が、前記後方映像の、後方の他車の左右のヘッドライトの双方の像を含む領域であるかどうかを解析し、当該左右のヘッドライトの双方の像を含む領域である場合に、当該中央候補領域の位置から後方の他車の位置を検知する。また、前記2検知部は、前記高輝度領域抽出手段が抽出した各高輝度領域の重心を算定する重心算定手段と、前記重心算定手段が算定した重心のうちの、垂直方向の位置が同一もしくは近似した二つの重心であって、水平方向について隣り合っている二つの重心を、二つの候補重心として算定する候補重心算定手段と、前記候補重心算定手段が算定した二つの候補重心の時間経過に伴った変化を監視し、当該二つの候補重心に、時間経過に伴って所定の態様の変化が現れなかったときに、当該二つの候補重心を後方の他車の左右のヘッドライトの位置として、当該後方の他車の位置を検知する後方他車位置検知手段とを備えたものである。
【0008】
ここで、以上の後方車両検出システムにおいて、前記時間経過に伴った所定の態様の変化は、少なくとも、前記時間経過に伴って前記二つの候補重心の間隔が徐々に小さくなる態様の変化を含むものとしてよい。
【0009】
ここで、以上の後方車両検出システムは、前記候補重心算定手段において、前記重心算定手段が算定した重心を、重心の水平方向の位置が同一もしくは近似したものどうしのグループにグループ化し、各グループに、グループの水平方向の並びの順番を表すインデックスを付与し、インデックスが連番となっている二つのグループのうちの一方のグループに含まれる重心と他方のグループに含まれる重心との二つの重心であって、垂直方向の位置が同一もしくは近似している二つの重心を、前記二つの候補重心として算定するように構成してもよい。
【0010】
また、以上の後方車両検出システムは、前記重心算定手段において、後方の他車のヘッドライトの像の領域であることとの整合度を表す、位置と形状に関する指標に従って、前記高輝度領域抽出手段が抽出した各高輝度領域のうちから、前記後方の他車のヘッドライトの像の領域であることと整合する高輝度領域を抽出し、抽出した高輝度領域についてのみ、前記重心を算定するように構成してもよい。
【0011】
また、以上の後方車両検出システムに、検知された後方の他車の位置に基づいて、後方の他車の所定のレベルを超える接近の発生を監視し、当該所定のレベルを超える接近が発生したときに警報を出力する接近警報出力手段を設けてもよい。
【0012】
以上のような後方車両検出システムによれば、カメラで撮影した後方映像の高輝度領域の重心のうちの、水平方向に隣り合った垂直方向の位置がほぼ同じ二つの重心が二つの候補重心として算定されると共に、算定された二つの候補重心に時間経過に伴って所定の態様の変化が現れなかったときに、当該二つの候補重心を後方の他車の左右のヘッドライトの位置として、当該後方の他車の位置を検知する。
【0013】
したがって、前記時間経過に伴った所定の態様の変化を、二つの候補重心が、後方に追随する他車や後方から接近してくる他車の左右のヘッドライトの高輝度領域の重心である場合に生じない態様の変化とすることにより、誤った高輝度領域をヘッドライトの領域として誤認識し、後方からの他車の接近を誤検知してしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、夜間にカメラで撮影した自動車後方の映像から後方の車両を検出する後方車両検出システムにおいて、後方からの他車の接近の誤検知を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る後方車両検出システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るカメラの配置を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る高輝度領域抽出部の動作を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る候補領域抽出処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係る中央候補領域を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る候補領域抽出処理の処理例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る候補重心ペア評価部の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る後方車両検出システムの構成を示す。
後方車両検出システムは、自動車に搭載されるシステムであり、図示するように、バックカメラ1、後方車両検出装置2、制御部3、センサ4、警報出力部5を備えている。
バックカメラ1は、たとえば、
図2に示すように自動車の後部より、自動車後方の映像を後方映像として撮影する。
図1に戻り、後方車両検出装置2は、バックカメラ1で撮影した後方映像より、自動車の後方の他車の位置を検出し後方他車位置として制御部3に出力する。
制御部3は、後方車両検出装置2から出力される後方他車位置より後方の他車の位置を監視し、後方の他車が所定レベル以上接近してきたならば、警報出力部5より警報を出力する。
【0017】
センサ4は、照度センサなどの周囲環境を検出するセンサ4や、自動車の各種状態を検出するセンサ4であり、制御部3は、センサ4で検出した周囲環境や自動車の状態に応じて、後方車両検出システムの各部の制御を行う。
【0018】
次に、後方車両検出装置2は、バックカメラ1で撮影した後方映像が格納される画像メモリ21、ワークメモリ22、昼間に、ワークメモリ22を作業に用いながら画像メモリ21に格納された後方映像より、パターンマッチングなどの画像解析処理を行って、後方の他車の位置を検出する昼間検出部23、夜間にワークメモリ22を作業に用いながら、画像メモリ21に格納された後方映像より後方の他車の位置を検出する夜間検出部24を備えている。
【0019】
そして、夜間検出部24は、高輝度領域抽出部241、候補領域抽出部242、中央候補領域評価部243、候補重心ペア評価部244を備えている。
高輝度領域抽出部241は、画像メモリ21に格納された
図3aに示すような後方映像に対して、二値化処理を施して
図3bに示すような二値化画像を生成する。二値化処理は、固定の閾値と画素の輝度値との大小関係により、画素値を二値化するものであってもよいし、大津の二値化等のアルゴリズム等により、後方映像に応じて動的に閾値を設定した上で、閾値と画素の輝度値との大小関係により、画素値を二値化するものであってもよい。
【0020】
また、高輝度領域抽出部241は、ラベリング処理アルゴリズムや輪郭線追跡アルゴリズムによって、生成した
図3bに示すような二値化画像の検出対象エリア300内を対象として、後方映像において画素の輝度値が閾値より大きかった領域を、
図3cに示すように高輝度領域301として検出する。ここで、検出対象エリア300としては、後方映像において、後方の他車の像が現れ得るエリアに対応する、二値化画像中のエリアを設定する。
【0021】
ここで、
図3bは、後方映像の輝度値が閾値より大きい画素を白画素とし輝度値が閾値以下である画素を黒画素とする二値化によって二値化画像を生成した場合を示しており、この場合、高輝度領域抽出部241は、
図3cに示すように二値化画像の検出対象エリア300の白画素が連続した領域を高輝度領域301として検出する。
【0022】
次に、候補領域抽出部242は、
図4に示す候補領域抽出処理を行う。
図示するように候補領域抽出部242は、候補領域抽出処理において、高輝度領域抽出部241が抽出した高輝度領域301のうちに、検出対象エリア300の左右方向の中央に位置する所定のサイズより大きなサイズの高輝度領域301が存在する場合には、この高輝度領域301を中央候補領域として抽出する(ステップ402)。
【0023】
ここで、このように中央候補領域を抽出するのは、
図5aに示すように、後方映像にサチュレーションのために後方の他車の左右のヘッドライトを含む連続した一つの大きな高輝度の像が現れている場合、このような後方映像に対して、
図5bに示す二値化画像、
図5cに示す、検出対象エリア300の左右方向の中央に位置する所定のサイズより大きなサイズの高輝度領域301が生成されるからである。
【0024】
そして、中央候補領域の抽出に成功したならば(ステップ404)、中央候補領域の情報を中央候補領域評価部243に出力し(ステップ406)、ステップ402からの処理に戻る。
【0025】
ここで、候補領域抽出部242から中央候補領域の情報を受け取った中央候補領域評価部243は、中央候補領域の位置、サイズ、縦横比、後方映像における中央候補領域内の輝度分布などを解析して、中央候補領域が真に後方の他車の左右のヘッドライトを含む像に対応するものであるかどうかを判定する。そして、真に後方の他車の左右のヘッドライトを含む像に対応していると判定した場合には、解析から推定される後方の他車の左右のヘッドライトの位置から後方他車の位置を算定し、後方他車位置として制御部3に出力する。
【0026】
一方、中央候補領域の抽出に失敗した場合には(ステップ404)、まず、高輝度領域301のうち、面積と外周長の関係から見た高輝度領域301の丸らしさや、高輝度領域301を囲う矩形の縦横比や、高輝度領域301の位置が、後方の他車のヘッドライトに対応するものである場合の高輝度領域301の形状や位置と整合しない高輝度領域301を除く、高輝度領域301を判定対象高輝度領域とする(ステップ408)。
【0027】
そして、判定対象高輝度領域の重心を算定する(ステップ410)。
また、水平方向をX方向、垂直方向をY方向として、重心のX方向の座標がほぼ等しい重心どうしをグループ化し、各グループに、重心のX方向の並びの順番を表すインデックスを付与する(ステップ412)。
【0028】
すなわち、
図6a1のように、4つの判定対象高輝度領域の重心G1、G2、G3、G4が算定された場合には、重心のX方向の座標がほぼ等しい重心の組はないので、
図6a2に示すように、重心G1、G2、G3、G4のそれぞれを一つのグループとして、各グループに、グループのX座標の小さいものよりインデックス1、2、3、4を順番に付与する。
【0029】
ここで、重心のX方向の座標がほぼ等しい重心どうしをグループ化するのは、X方向の座標がほぼ等しい重心は、同じ自動車の同じサイドのヘッドライトとフォグライトに対応する二つの高輝度領域301の重心であると考えられるからである。
【0030】
また、
図6b1のように、6つの判定対象高輝度領域の重心G1、G2、G3、G4、G5、G6が算定された場合には、重心G3とG4、重心G5とG6のX方向の座標がほぼ等しいので、
図4b2に示すように、重心G1のみからなるグループ、重心G2のみからなるグループ、重心G3とG4からなるグループ、重心G5とG6からなるグループとの4つのグループが設定され、各グループに、グループのX座標の小さいものよりインデックス1、2、3、4を順番に付与する。
【0031】
図4に戻り、次に、候補領域抽出部242は、インデックスが連番となっている二つのグループであって、グループの最下方重心のY方向の座標がほぼ等しい二つのグループの組をペアグループに設定する(ステップ414)。
【0032】
ここで、単一の重心からなるグループの最下方重心は、当該単一の重心とし、複数の重心からなるグループの最下方重心は、当該複数の重心のうちの最も下方にある(最もY座標が小さい)重心とする。
【0033】
インデックスが連番となっている二つのグループであって、グループの最下方重心のY方向の座標がほぼ等しい二つのグループの組が複数ある場合には、組内の二つのグループの最下方重心のX方向の座標の差が最も小さい組をペアグループとする。
【0034】
この結果、たとえば、
図6a2に示したようにインデックスを付されたグループがある場合には、インデックス2のグループとインデックス3のグループが、インデックスが連番であり、インデックス2のグループの最下方重心となる重心G2と、インデックス3のグループの最下方重心となる重心G3のY方向の座標がほぼ等しい二つのグループの組となるので、
図6a3に示すように、インデックス2のグループとインデックス3のグループの組がペアグループPGに設定される。
【0035】
また、
図6b2に示したようにインデックスを付されたグループがある場合には、インデックス3のグループとインデックス4のグループの組が、インデックスが連番であり、インデックス3のグループの最下方重心となる重心G3と、インデックス4のグループの最下方重心となる重心G5のY方向の座標がほぼ等しい二つのグループの組となるので、
図6b3に示すように、インデックス3のグループとインデックス4のグループの組がペアグループPGに設定される。
【0036】
そして、ペアグループの設定に失敗した場合には(ステップ416)、ステップ402からの処理に戻る。
一方、ペアグループの設定に成功した場合には(ステップ416)、次に、候補領域抽出部242は、ペアグループとなった二つのクループのそれぞれの最下方重心を、二つの候補重心PR、PLとして、候補重心ペア評価部244に出力し(ステップ418)、ステップ402からの処理に戻る。
【0037】
この結果、
図6a3のように、インデックス2のグループとインデックス3のグループの組がペアグループPGに設定された場合には、重心G2とG3が二つの候補重心PR、PLのペアPGSとして出力され、
図6b3のように、インデックス3のグループとインデックス4のグループの組がペアグループPGに設定された場合には、各グループの最下方にある重心G3とG5が二つの候補重心PR、PLのペアPGSとして出力される。
【0038】
結果、位置や形状がヘッドライトの像としての属性に整合している高輝度領域301の重心のうち、左右に隣り合った二つの重心が候補重心PR、PLのペアPGSとして出力される。
【0039】
以上、候補領域抽出部242が行う候補領域抽出処理について説明した。
なお、以上の候補領域抽出処理では、グループ内の重心のY座標の差が小さい場合などには、上述したグループの最下方重心に代えて、グループの重心の重心を用いるようにしてもよい。グループの重心の重心の位置は、単一の重心からなるグループについては当該単一の重心の位置となり、複数の重心からなるグループについては当該複数の重心の重心の位置となる。
【0040】
次に、候補重心ペア評価部244の動作について説明する。
候補重心ペア評価部244は、候補領域抽出部242から、候補重心PR、PLの出力が開始されたならば、候補領域抽出部242から出力される候補重心PR、PLの監視を開始する。
【0041】
そして、過去所定期間以上、候補重心PR、PLの候補領域抽出部242からの出力が継続されており、かつ、当該期間中に、候補重心PR、PLの位置が
図7a、b1、b2のように不連続に変化したりしておらず、かつ、当該期間中に候補重心PR、PLがx方向の間隔が
図7a、c1、c2のように徐々に小さくなるように変化したりしていない場合にのみ、候補重心PR、PLの位置を後方の他車の左右のヘッドライトの位置として後方他車の位置を算定して後方他車位置として制御部3に出力し、他の場合には、後方他車位置を制御部3に出力しない。
【0042】
なお、後方の他車が後方に離れていく場合にも、候補重心PR、PLがx方向の間隔が徐々に小さくなるが、この場合には、当該他車は、制御部3が警報を出力する対象とする、後方から接近してくる他車ではないので、この他車についての後方他車位置を制御部3に出力しなくても問題はない。
【0043】
結果、候補重心PR、PLの候補領域抽出部242からの出力が継続されており、当該期間中の候補重心PR、PLの位置の変化が連続的であり、かつ、当該期間中の候補重心PR、PLのx方向の間隔が変化していないか、
図7a、d1、d2のように徐々に拡がっている場合にのみ、候補重心PR、PLの位置を後方の他車の左右のヘッドライトの位置として算定された後方他車の位置が制御部3に出力される。
【0044】
結果、候補重心PR、PLの位置や位置関係の時間的変化が、後方に離れていく他車を除く後方の他車、すなわち、後方に追随する他車や後方から接近してくる他車の左右のヘッドライトの高輝度領域301の重心である場合の時間変化と矛盾していない場合にのみ、候補重心PR、PLがの位置を後方の他車の左右のヘッドライトの位置として後方他車の位置が算定されるようになる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明した。
以上のように、本実施形態によれば、後方映像にサチュレーションのために後方の他車の左右のヘッドライトに対応する領域を含む、大きな高輝度の領域である中央候補領域が現れている場合には、中央候補領域が、後方の他車の左右のヘッドライトを含む像に対応するものであるかどうかを解析して左右のヘッドライトの位置を推定する、当該中央候補領域からのヘッドライトの位置の算定に特化した処理を行って、後方の他車の左右のヘッドライトの位置を算定する。
【0046】
一方、他の場合には、位置や形状がヘッドライトの像としての属性に整合している高輝度領域301の重心のうち、左右に隣り合った二つの重心であって、二つの重心の位置や位置関係の時間的変化が、後方に離れていく他車を除く後方の他車、すなわち、後方に追随する他車や後方から接近してくる他車の左右のヘッドライトの高輝度領域301の重心である場合の時間変化と矛盾していない二つの重心のみを、後方の他車の左右のヘッドライトの位置として検出する。
【0047】
そして、これにより、後方の他車の一つのヘッドライトを表す一つの高輝度領域301と、ヘッドライトの光のガードレールによる反射を表す一つの高輝度領域301とを、後方の1台の他車の左右のヘッドライトを表す高輝度領域301として後方からの他車の接近を誤検知したり、後方の他車の一つのヘッドライトを表す一つの高輝度領域301と、後方の別の他車の一つのヘッドライトを表す一つの高輝度領域301とを、後方の1台の他車の左右のヘッドライトを表す高輝度領域301として後方からの他車の接近を誤検知したり、背景の明かりを他車のヘッドライトを表す高輝度領域301として後方からの他車の接近を誤検知してしまうことを抑制できる。
【符号の説明】
【0048】
1…バックカメラ、2…後方車両検出装置、3…制御部、4…センサ、5…警報出力部、21…画像メモリ、22…ワークメモリ、23…昼間検出部、24…夜間検出部、241…高輝度領域抽出部、242…候補領域抽出部、243…中央候補領域評価部、244…候補重心ペア評価部、300…検出対象エリア、301…高輝度領域。