(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】粒径分布計測装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/0227 20240101AFI20241125BHJP
【FI】
G01N15/0227
(21)【出願番号】P 2021105001
(22)【出願日】2021-06-24
【審査請求日】2024-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】北島 明
(72)【発明者】
【氏名】福島 伸二
(72)【発明者】
【氏名】小島 秋
(72)【発明者】
【氏名】仲沢 武志
(72)【発明者】
【氏名】平野 勝識
(72)【発明者】
【氏名】新井 智之
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-200518(JP,A)
【文献】特開2016-124665(JP,A)
【文献】特開2000-146815(JP,A)
【文献】特開平02-016432(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110174334(CN,A)
【文献】国際公開第2005/015523(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/0227
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる粒径の粒状材が混合された粒状材料が投入される載置面部と、
設定された振動周波数で前記載置面部に振動を加えて前記粒状材を前記載置面部上で振動させる振動部と、
所定の周波数範囲にわたって前記振動周波数を変化させる周波数制御部と、
前記載置面部上の前記粒状材を撮像して動画データを生成する撮像部と、
前記載置面部の前記振動周波数に共振する前記粒状材を前記動画データから特定する共振粒状材特定部と、
前記動画データにおいて前記載置面部上に分散された前記粒状材の面積の合計を総面積Saとして算出し、前記共振することで特定された前記粒状材の面積の合計を共振部分面積Sbとして算出し、体積比Vba=(Sb)
3/2/(Sa)
3/2を前記振動周波数が変化する毎に算出する体積比算出部と、
前記所定の周波数範囲にわたって得られた前記体積比Vbaと前記振動周波数との関係に基づいて前記粒状材料における粒状材の粒径の分布を示す粒径加積曲線を算出する粒径分布算出部と、
を備えることを特徴とする粒径分布計測装置。
【請求項2】
前記周波数制御部による前記振動周波数の変化は、前記所定の周波数範囲にわたって連続的になされる、
ことを特徴とする請求項1記載の粒径分布計測装置。
【請求項3】
前記共振粒状材特定部による前記粒状材の特定は、前記動画データを構成する複数の静止画データから選択した2つの静止画データから検出される前記粒状材の移動量と所定のしきい値との比較結果に基づいてなされる、
ことを特徴とする請求項1または2記載の粒径分布計測装置。
【請求項4】
前記振動部による前記載置面部の振動の振幅を設定する振幅制御部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の粒径分布計測装置。
【請求項5】
前記載置面部の表面は、前記粒状材に対して摩擦係数の大きい材料で形成されている、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の粒径分布計測装置。
【請求項6】
前記載置面部の表面は、前記粒状材の分散を促進するための凹凸形状が形成されている、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項記載の粒径分布計測装置。
【請求項7】
前記載置面部は水平面に対して傾斜した傾斜載置面部で構成されている、
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の粒径分布計測装置。
【請求項8】
前記載置面部の色を変化させる色変化部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項記載の粒径分布計測装置。
【請求項9】
前記載置面部は、光が透過可能に形成されると共に、前記粒状材が分散される表面とその反対側に位置する裏面とを備え、
前記色変化部は、前記載置面部の前記裏面側から前記表面側に光を照射すると共に前記光の色が変化可能に構成された光源装置で構成されている、
ことを特徴とする請求項8記載の粒径分布計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒径分布計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメントと混ぜてコンクリートを構成する砂や砂利などの骨材や、土地を平坦にしたり土地に勾配を付けたりするために土地に盛る盛土材といった粒状材の粒径を測定して粒径の分布を示す粒径加積曲線を算出する場合、目の大きさが異なる複数のふるいを用いて粒状材をふるい分けし、各ふるいを通過した粒状材の質量が粒状材全体の質量に占める割合を算出する方法が用いられている。
このような方法では、人的作業に多大な労力と時間を要する問題がある。
そこで、特許文献1には、デジタルカメラにより粒状材を撮像して生成された画像データから粒状材の粒径を求める技術が提案されている。
また、特許文献2には、粒状材に振動を加えて分散させた粒状材を撮像して画像データを生成し、画像データに基づいて粒状材の粒径を算出し、算出された粒状材の粒径に基づいて粒径加積曲線を算出する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-038865号公報
【文献】特許第6319791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術は粒状材が静止した状態で撮像した静止画の画像データから粒状材の面積を画像認識により算出しており、言い換えると、粒状材の投影面積から粒状材の粒径を算出している。
一方、粒状材は3次元形状で不定形を呈しているため、粒状材が撮像される方向によって粒状材の投影面積は変化するので、このような投影面積から算出された粒状材の粒径には誤差が含まれ、算出される粒径の精度を確保する上で改善の余地がある。
本発明は前記事情に鑑み案出されたもので、本発明の目的は、粒状材の粒径を正確に計測して粒状材の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利な粒径分布計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、異なる粒径の粒状材が混合された粒状材料が投入される載置面部と、設定された振動周波数で前記載置面部に振動を加えて前記粒状材を前記載置面部上で振動させる振動部と、所定の周波数範囲にわたって前記振動周波数を変化させる周波数制御部と、前記載置面部上の前記粒状材を撮像して動画データを生成する撮像部と、前記載置面部の前記振動周波数に共振する前記粒状材を前記動画データから特定する共振粒状材特定部と、前記動画データにおいて前記載置面部上に分散された前記粒状材の面積の合計を総面積Saとして算出し、前記共振することで特定された前記粒状材の面積の合計を共振部分面積Sbとして算出し、体積比Vba=(Sb)3/2/(Sa)3/2を前記振動周波数が変化する毎に算出する体積比算出部と、前記所定の周波数範囲にわたって得られた前記体積比Vbaと前記振動周波数との関係に基づいて前記粒状材料における粒状材の粒径の分布を示す粒径加積曲線を算出する粒径分布算出部とを備えることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記周波数制御部による前記振動周波数の変化は、前記所定の周波数範囲にわたって連続的になされることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記共振粒状材特定部による前記粒状材の特定は、前記動画データを構成する複数の静止画データから選択した2つの静止画データから検出される前記粒状材の移動量と所定のしきい値との比較結果に基づいてなされることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記振動部による前記載置面部の振動の振幅を設定する振幅制御部をさらに備えることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記載置面部の表面は、前記粒状材に対して摩擦係数の大きい材料で形成されていることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記載置面部の表面は、前記粒状材の分散を促進するための凹凸形状が形成されていることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記載置面部は水平面に対して傾斜した傾斜載置面部で構成されていることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記載置面部の色を変化させる色変化部が設けられていることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記載置面部は、光が透過可能に形成されると共に、前記粒状材が分散される表面とその反対側に位置する裏面とを備え、前記色変化部は、前記載置面部の前記裏面側から前記表面側に光を照射すると共に前記光の色が変化可能に構成された光源装置で構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、粒状材が載置された載置面部の振動周波数を所定の周波数範囲にわたって変化させることで固有振動数、すなわち質量が異なる粒状材をそれぞれ共振させることで、粒状材の動画データに基づいて質量に対応した粒状材をそれぞれ特定し、特定した粒状材の体積の合計が全ての粒状材の体積の合計に占める体積比Vbaを、振動周波数が変化する毎に算出し、所定の周波数範囲にわたって得られた体積比Vbaと振動周波数との関係に基づいて粒状材料における粒状材の粒径の分布を示す粒径加積曲線を算出するようにした。
したがって、従来技術では、静止画データから算出された粒状材の投影面積から算出された粒状材の粒径には誤差が含まれるので、粒径加積曲線の精度を確保する上で不利であったのに対し、本発明の一実施の形態では、従来技術と異なり体積比Vbaと振動周波数との関係に基づいて粒状材の粒径加積曲線を算出するので、正確な粒径加積曲線を得る上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
また、周波数制御部による振動周波数の変化が、所定の周波数範囲にわたって連続的になされるようにすると、体積比Vbaと振動周波数との関係をきめ細かく得ることができ、粒状材の粒径加積曲線を正確に算出する上でより有利となる。
また、共振粒状材特定部による粒状材の特定が、動画データを構成する複数の静止画データから選択した2つの静止画データから検出される粒状材の移動量と所定のしきい値との比較結果に基づいてなされようにすると、粒状材の特定を簡単かつ確実に行なう上で有利となり、共振粒状材特定部による粒状材の特定に関する処理を効率的に行なう上で有利となる。
また、振動部による載置面部の振動の振幅を設定する振幅制御部を設けると、含水率などの粒状材の性状の違いによって粒状材の共振のしやすさが影響を受ける場合に、粒状材の性状に応じて振動の振幅を変化させることで粒状材の共振を促進し、共振した粒状材の特定を確実に行なわせる上で有利となる。
また、載置面部の表面が、粒状材に対して摩擦係数の大きい材料で形成されていると、載置面部の振動に追従して粒状材が移動しやすくなり、載置面部の振動周波数に粒状材の固有振動数が合致したときに、粒状材が共振しやすくなるため、粒状材の特定を簡単かつ確実に行なう上で有利となり、共振粒状材特定部による粒状材の特定に関する処理を効率的に行なう上で有利となる。
また、載置面部の表面に粒状材の分散を促進するための凹凸形状が形成されていると、載置面部が平面で形成されている場合に比較して、粒状材同士が重なり合ったり接触することを解消する上で有利となり、動画データ上において一つ一つの粒状材を正確に認識することができ、粒状材の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
また、載置面部が、水平面に対して傾斜した傾斜載置面部で構成されていると、載置面部の振動に伴い傾斜載置面部によって粒状材が分散されるため、載置面部が水平面上を延在する平面で形成されている場合に比較して、粒状材同士が重なり合ったり接触することを解消する上で有利となり、動画データ上において一つ一つの粒状材を正確に認識することができ、粒状材の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
また、載置面部の色を変化させる色変化部を設けると、動画データに基づいて算出された粒状材の面積の精度を評価しつつ、粒状材の面積の精度が向上するように色変化部により載置面部の色を変化させることができる。
そのため、精度が高い粒状材の面積に基づいて体積比Vbaと振動周波数との関係を精度良く得ることができ、粒状材の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
また、載置面部は、光が透過可能に形成されると共に、色変化部は、載置面部の裏面側から表面側に光を照射すると共に光の色が変化可能に構成された光源装置で構成されていると、簡単な構成により載置面部の色を変化させる上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施の形態に係る粒径分布計測装置の構成を示す説明図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る粒径分布計測装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る粒径分布計測装置の容器を示す斜視図である。
【
図4】時間経過に伴う振動周波数の変化状態を示す説明図である。
【
図5】載置面部上に載置された粒状材を模式的に示す平面図であり、(A)は載置面部が静止した状態を示し、(B)、(C)、(D)は載置面部が振動した状態を示す。
【
図6】第1の実施の形態に係る粒径分布計測装置の動作フローチャートである。
【
図7】載置面部上に分散された粒状材の動画データを構成する静止画データの一例を示す説明図である。
【
図8】第1の実施の形態に係る粒径分布計測装置によって算出された粒径加積曲線の一例を示す線図である。
【
図9】第2の実施の形態に係る粒径分布計測装置の容器の断面図である。
【
図10】第3の実施の形態に係る粒径分布計測装置の容器の斜視図である。
【
図11】(A)は第3の実施の形態に係る粒径分布計測装置の容器の平面図、(B)は(A)のB-B線断面図である。
【
図12】第4の実施の形態に係る粒径分布計測装置の構成を示す説明図である。
【
図13】(A)は第5の実施の形態に係る粒径分布計測装置の構成を示す説明図、(B)は(A)のB矢視図である。
【
図14】第6の実施の形態に係る粒径分布計測装置の容器とシートを示す斜視図、(B)は載置面部にシートを載置した状態を示す斜視図、(C)は載置面部に別のシートを載置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、本明細書で用いる用語について説明する。
粒状材とは、例えば、土木工事や建築工事などで使用する材料であり、具体的には、セメントと混ぜてコンクリートを構成する砂や砂利などの骨材や、土地を平坦にしたり土地に勾配を付けたりするために土地に盛る盛土材などを含んでいる。
骨材や盛土材は、異なる粒径の粒状材が混合された粒状材料で構成されている。
粒状材の粒径の定義として様々なものが知られており、その一つとして面積等価径が知られている。
面積等価径とは、粒状材を球体と仮定し、粒状材を平面に投影した際の輪郭で規定される面積、言い換えると、撮像装置で撮像した画像データ上で特定される粒状材の輪郭で規定される面積を球体の投影面積とした場合における、この球体の直径として算出される面積等価径である。
粒状材の粒径として面積等価径を算出する理由は、粒状材が様々な形状の不定形であるためである。
【0009】
骨材や盛土材を構成する粒状材は、粒径Dの範囲によって以下のように区分されている(JISA0207:2018(地盤工学用語))。
粘土分: 粒径D<0.005mm
シルト分: 0.005mm≦粒径D<0.075mm
砂分: 0.075mm≦粒径D<2mm
れき(礫)分: 2mm≦粒径D<75mm
石分: 75mm≦粒径D
【0010】
粒径加積曲線とは、粒状材料を構成する粒状材の粒径の分布を示すものである。
図8は2つの粒径加積曲線C1、C2が例示されており、粒径加積曲線C1、C2は、各粒状材の粒径Dを横軸(対数スケール)とし、通過質量百分率P(加積通過率ともいう)を縦軸(線形スケール)とした片対数グラフによって表される。
通過質量百分率Pとは、各粒径D以下の粒状材の全体に対する質量百分率、すなわち、その粒径D以下の粒状材の総質量の粒状材全体の総質量に占める割合をパーセンテージで示した値である。
【0011】
次に、本実施の形態に係る粒径分布計測装置10の構成について説明する。
図1、
図2に示すように、粒径分布計測装置10は、容器12Aと、振動部14と、撮像部16と、コンピュータ18とを含んで構成されている。
図3に示すように、容器12Aは、異なる粒径の粒状材が混合された粒状材料が投入されるものであり、載置面部20と、載置面部20の周囲から起立された側壁22とを備え上方に開放状に形成されている。
本実施の形態では、載置面部20は矩形板状を呈しているが、載置面部20の形状は円形や多角形状などであってもよく限定されない。
載置面部20は、上記の粒状材料が投入される箇所であり、後述する振動部14によって載置面部20が振動されることで、投入された粒状材が載置面部20上で分散され移動する。
【0012】
また、載置面部20を含む容器12Aは、例えば、金属や合成樹脂など従来公知の材料で構成することができるが、載置面部20の表面2002を、粒状材に対して摩擦係数の大きい材料で形成すると、載置面部20の振動に追従して粒状材が移動しやすくなり、載置面部20の振動周波数に粒状材の固有振動数が合致したときに、粒状材が共振しやすくなる。
粒状材に対して摩擦係数の大きい材料として、例えばゴムなどの従来公知の様々な材料が使用可能である。
なお、粒状材の固有振動数および共振については後述する。
【0013】
図1に示すように、振動部14は、設定された振動周波数および振幅で載置面部20に振動を加えて粒状材を載置面部20上で振動させるものである。
また、振動の方向は、載置面部20と平行する平面に沿った方向であるが、振動の方向が載置面部20と直交する方向(鉛直方向)の成分を含んでいてもよい。
本実施の形態では、振動部14は、試験管や三角フラスコなどの容器12Aを振とうして(振って)中の試料を混ぜたり分離する振とう器と同様の原理で構成されている。
振動部14は、基台26の上に載置される本体部1402と、本体部1402の上部に揺動可能に支持され水平面上を延在する振動テーブル1404と、本体部1402に設けられ後述するコンピュータ18に接続された振動部側制御部1406と、本体部1402に設けられた操作部1408とを備えている。
振動テーブル1404は、本体部1402に組み込まれた不図示のアクチュエータによって振動される。
本実施の形態では、容器12Aは振動テーブル1404上に載置された状態で不図示の取付具によって振動テーブル1404に取り付けられ、これにより容器12Aは振動テーブル1404と一体に振動される。
容器12Aが振動テーブル1404に取り付けられた状態で、載置面部20は水平面上を延在している。
【0014】
振動部側制御部1406は、
図2に示すコンピュータ18で構成された周波数制御部18Bおよび振幅制御部18Cから設定される振動周波数および振幅に基づいて上記アクチュエータを制御することにより、振動テーブル1404の振動周波数および振幅を制御するものである。
また、本実施の形態では、振動テーブル1404の振動方向については、操作部1408の操作によって設定され、それら設定された振動方向に基づいて振動部側制御部1406がアクチュエータを制御する。
なお、操作部1408を用いる代わりに、上記コンピュータ18から振動テーブル1404の振動方向を振動部側制御部1406に設定するようにするなど任意である。
また、振動部14の構成は任意であり、例えば、振動可能に支持された容器12Aに、従来公知のバイブレータ装置から振動を加えることで載置面部20に振動を与えるようにしてもよい。
【0015】
撮像部16は、ビデオカメラなどの撮像装置16Aで構成され、載置面部20上に分散され載置面部20の振動に追従して振動する粒状材を撮像して動画データを生成するものである。
動画データは、所定のフレームレートで連続的に撮像された複数の静止画データ(フレームともいう)で構成されている。
撮像部16は、基台26上に配置されたスタンド28を介して載置面部20の上方に離間した箇所に支持され、上方から載置面部20の全域を撮像できるように構成されている。
【0016】
図2に示すように、コンピュータ18は、何れも不図示のCPU、ROM、RAM、ハードディスク装置、入出力インターフェースに加えて、入力装置30、出力装置32、外部記憶装置34を含んで構成されている。
ROMは所定の制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供するものである。
ハードディスク装置は、後述する入力部18A、周波数制御部18Bと、振幅制御部18Cと、共振粒状材特定部18Dと、体積比算出部18Eと、粒径分布算出部18Fと、出力部18Gと、通信部18Hを実現するための制御プログラムを格納している。
入出力インターフェースは、以下の入力装置30、出力装置32、ネットワーク36とのインターフェースを取るものである。
入力装置30は、操作者による操作入力を受け付けるものであり、キーボード3002、マウス3004を備えている。
出力装置32は、情報を出力するものであり、ディスプレイ3202、プリンタ3204を備えている。
外部記憶装置34は、情報を記憶するものであり、外付けのハードディス装置や外付けのSSD(ソリッドステートドライブ装置)、あるいは、メモリカードやUSBメモリなどの半導体記録媒体、あるいは、DVDなどの光ディスク記録媒体などを含む。
【0017】
CPUがハードディスク装置の制御プログラムを実行することにより、入力部18Aと、周波数制御部18Bと、振幅制御部18Cと、共振粒状材特定部18Dと、体積比算出部18Eと、粒径分布算出部18Fと、出力部18Gと、通信部18Hとが実現される。
入力部18Aは、撮像装置16Aで撮像された動画データを受け付けるものである。
周波数制御部18Bは、振動部側制御部1406に対して振動周波数を設定するものであり、所定の周波数範囲にわたって振動部14によって載置面部20に加えられる振動の振動周波数を変化させる。
図4は、周波数制御部18Bによる振動周波数の変化を説明する線図であり、横軸に時間T、縦軸に振動周波数Fnをとっている。
周波数制御部18Bによる振動周波数Fnの変化は、所定の周波数範囲にわたって連続的に行なわれる。
ここで、所定の周波数範囲とは、載置面部20に載置された粒状材の固有振動数の最低値から最高値までの範囲を含む範囲である。
【0018】
振幅制御部18Cは、振動部側制御部1406に対して載置面部20の振動の振幅を設定するものである。
設定する振幅は、載置面部20に載置された粒状材の共振が生じやすくなる振幅を実験的に求めればよい。
【0019】
共振粒状材特定部18Dは、載置面部20の振動周波数Fnに共振する粒状材を動画データから特定するものである。
ここで、粒状材の共振について説明する。
共振とは、物体がそれぞれ有する固有振動数と合致する振動周波数Fnで振動されたときに大きく振動(移動)することをいう。
ここで、粒状材の固有振動数Fnは以下の式(1)で示される。
Fn=(k/m)0.5/(2π)…(1)
ただし、k:粒状材のばね定数、m:粒状材の質量
粒状材におけるばね定数kはほぼ一定と考えられるので、粒状材の固有振動数Fnは質量mに依存するといえる。
そのため、ある振動周波数Fnを加えた場合に共振する粒状材の質量mは同一であり、質量mが異なる粒状材は共振しないと考えられる。
ここで、粒状材の質量mは粒状材の体積、言い換えると粒径に相当するため、ある振動周波数Fnを加えた場合に共振する粒状材の粒径は同一であり、その粒径と異なる粒径の粒状材は共振しないと考えられる。
【0020】
図5は、載置面部20上の粒状材2の挙動を模式的に示した説明図である。
図5(A)は、互いに粒径が異なる3種類の粒状材2A、2B、2Cが静止された載置面部20上に載置された状態を示している。なお、実際の粒状材2は不定形であるが、
図5では、粒状材2が球状を呈しているものとして示す。
なお、図中矢印は粒状材2の共振方向を示し、矢印の長さが共振した粒状材2の移動量を示している。
図5(B)は、載置面部20が振動周波数Fn1で振動され、粒状材2Aの固有振動数fn1が振動周波数Fn1に一致することで共振して大きく移動しているのに対して、残りの粒状材2B、2Cの固有振動数fn2、fn3が振動周波数Fn1と一致しないため共振していない状態を示す。
図5(C)は、載置面部20が振動周波数Fn2で振動され、粒状材2Bの固有振動数fn2が振動周波数Fn2に一致することで共振して大きく移動しているのに対して、残りの粒状材2A、2Cの固有振動数fn1、fn3が振動周波数Fn2と一致しないため共振していない状態を示す。
図5(D)は、載置面部20が振動周波数Fn3で振動され、粒状材2Cの固有振動数fn3が振動周波数Fn3に一致することで共振して大きく移動しているのに対して、残りの粒状材2A、2Bの固有振動数fn1、fn2が振動周波数Fn3と一致しないため共振していない状態を示す。
ここで、固有周波数の大小関係は、fn1<fn2<fn3となっており、粒状材2の質量(粒径)が小さいほど固有振動数が高いものとなっている。
【0021】
したがって、ある振動周波数Fnで載置面部20を振動させたときに、動画データ上で共振する粒状材2を特定すれば、それら特定した粒状材2の質量(粒径)は同一であると言える。
本実施の形態では、共振粒状材特定部18Dは、動画データを構成する複数の静止画データから選択した2つの静止画データから検出される粒状材2の移動量と所定のしきい値との比較結果に基づいて共振している粒状材2の特定を行なう。
図5では、粒状材2A、2B、2Cの移動量ΔLが所定のしきい値Lth以上であるときにその粒状材2A、2B、2Cが共振しているものと判定する。
なお、粒状材2の質量によって固有振動数fnが違うので、粒状材2の移動速度も移動量も変わると考えられる。すなわち、小さい粒状材2は速く短い距離を往復し、大きい粒状材2は遅く長い距離を往復する。
そのため、粒状材2の質量(粒径)すなわち固有振動数fnに応じて、選択する2つの静止画データ(2つのフレーム)の撮像時間差ΔTとしきい値Lthを変更することが粒状材2の特定を正確に行なう上で好ましい。
言い換えると、選択する2つの静止画データ(2つのフレーム)は連続する2つの静止画データに限定されず、選択する2つの静止画データの間に1以上の静止画データが存在してもよい。また、しきい値Lthは1つの値に限定されない。
以下に例示するように、2つの静止画データを選択し、しきい値Lthを変更することができる。
1)固有振動数fn=100Hzの場合は、撮像時間差ΔTが0.01秒となる2つの静止画データを選択すると共に、しきい値ΔLthを0.5mmとする。
2)固有振動数fn=1Hzの場合は、撮像時間差ΔTが1秒となる2つの静止画データを選択すると共に、しきい値ΔLthを2mmとする。
すなわち、1)の粒状材2の粒径(質量)は、2)の粒状材2の粒径(質量)よりも小さく、したがって、1)の粒状材2の共振時の移動速度および移動量は、2)の粒状材2の共振時の移動速度および移動量よりも小さいことになる。
【0022】
なお、粒状材2の移動量の検出は、公知の画像処理技術を用いて行なうことができ、例えば、ライブラリとして提供されているOpenCVの一機能であるOpticalflow(オプティカルフロー)を用いることにより、連続する2つの静止画データから検出された粒状材2の移動ベクトルに基づいて行なうことができる。
【0023】
体積比算出部18Eは、動画データを構成する静止画データにおいて載置面部20上に分散された粒状材2の面積の合計を総面積Saとして算出し、共振することで特定された粒状材2の面積の合計を共振部分面積Sbとして算出し、体積比Vba=(Sb)
3/2/(Sa)
3/2を振動周波数Fnが変化する毎に算出するものである。
ここで、体積比Vbaは、載置面部20上の全ての粒状材2の体積の合計Vaに対する共振することで特定された粒状材2の体積の合計Vbの比率を示している。
体積比Vba=(Sb)
3/2/(Sa)
3/2について具体的に説明すると、粒状材2を球体と仮定したとき、上記総面積Sa、共振部分面積Sbは粒状材2の面積であるため、それら面積の平方根(1/2乗)が粒状材2の粒径Dに対応することになり、粒径Dの3乗が粒状材2の体積に対応することになる。
なお、本明細書において、静止画データにおける粒状材2の面積は、粒状材2の輪郭で規定(区画)される領域の面積、言い換えると、粒状材2の投影面積である。
具体的に説明すると、
図7は、動画データを構成する静止画データを例示するものであり、大きさが異なる多数の粒状材2が表示されている。
この静止画データに表示されている全ての粒状材2の面積の合計が総面積Saであり、共振粒状材特定部18Dによって特定された粒状材2の面積の合計が共振部分面積Sbである。
【0024】
なお、総面積Saと共振部分面積Sbの算出は、動画データを構成する静止画データに基づいて以下に例示するような画像認識処理により算出することができる。
1)RGB画像データで構成される静止画データから、以下の式(1)に基づいてグレースケール画像データを生成する。
Y=a*R+b*G+c*B…(1)
ただし、Y:輝度、R:R画像データ、G:G画像データ、B:B画像データ、a,b,c:係数であり、記号*は乗算記号を示す。
2)グレースケール画像データを所定のしきい値と比較して2値化して2値化データを生成する。このような処理は、例えば、公知のオープンソースのライブラリであるOpenCVのthreshold関数を用いることで実現することができる。
3)2値化データから粒状材の輪郭を示す輪郭データを抽出する。このような処理は、例えば、上記OpenCVのfindContours関数を用いることで実現することができる。
4)輪郭データに基づいて各粒状材の面積を算出する。具体的には、輪郭データで区画される閉領域の面積を算出する。ここで、閉領域の面積は、画素単位で算出されるので、画素単位で求められた閉領域の面積Scに、1画素当たりの面積を示す校正係数αの2乗を乗算して実空間での面積S=α*α*Scを算出する。
5)各粒状材2の面積に基づいて総面積Saと共振部分面積Sbとを算出する。
【0025】
粒径分布算出部18Fは、所定の周波数範囲にわたって得られた体積比Vbaと振動周波数Fnとの関係に基づいて粒状材料における粒状材2の粒径の分布を示す粒径加積曲線を算出するものである。
すなわち、粒状材2はその質量に対応した固有振動数fnを有しているので、ある振動周波数Fnで共振した粒状材2は質量がほぼ同じである。
ここで、粒状材2の質量は、粒状材2の体積または粒径と言い換えることができる。
したがって、特定の振動周波数Fnに対応する体積比Vbaは、特定の質量(粒径)の粒状材2が粒状材2の全体の質量に示す質量の割合(分布)を示すことになる。
そのため、所定の周波数範囲にわたって得られた体積比Vbaと振動周波数Fnとの関係に基づいて粒状材2の粒径の分布が算出され、したがって、粒径加積曲線を得ることができる。
なお、
図8に示すように、粒径加積曲線は、各粒状材2の粒径Dを横軸、通過質量百分率Pを縦軸としているため、体積比Vbaと振動周波数Fnとの関係に基づいて粒状材2の粒径の分布が算出する際には粒状材2の体積を粒径に換算すればよい。
また、粒状材2の粒径の定義として何を用いるかは限定されないが、例えば、前述した面積等価径を用いることができる。
【0026】
出力部18Gは、粒径分布算出部18Fで算出された粒径加積曲線のデータを、出力装置32、あるいは、外部記憶装置34に供給するものである。
通信部18Hはインターネットや専用回線などを含むネットワーク36を介して不図示の端末(コンピュータ)と通信を行なうものであり、本実施の形態では、粒径分布算出部18Fで算出された粒径加積曲線のデータを不図示の端末に送信する。
【0027】
次に、本実施の形態に係る粒径分布計測装置10の動作について
図6のフローチャートを参照して説明する。
まず初めに粒径分布を計測する対象となる粒状材料、例えば、骨材や盛土材の採取を行なう(ステップS10)。
次いで、採取した粒状材料を容器12Aの載置面部20上に投入する(ステップS12)。
なお、予め、容器12Aは振動部14の振動テーブル1404に取り付けられているものとする。
そして、周波数制御部18B、振幅制御部18Cにより振動部14の振動周波数Fn、振幅を設定し、振動部14により載置面部20の振動を開始させる(ステップS14)。
載置面部20の振動により、載置面部20上に投入された粒状材料は載置面部20上で分散された状態となる。
次いで、載置面部20の振動がなされた状態で撮像装置16Aにより載置面部20の全域を撮像して動画データを取得する(ステップS16)。
図7に示すように、動画データを構成する静止画データ上において、粒状材2の一つ一つは重なり合うことなく、また、接触することなく互いに距離をおいた状態となる。
そして、そのときの振動周波数Fnと合致する固有振動数を有する粒状材2が共振する(ステップS18)。
【0028】
共振粒状材特定部18Dは、載置面部20の振動周波数Fnに共振する粒状材2を動画データから特定する(ステップS20)。
体積比算出部18Eは、動画データから共振部分面積Sbと総面積Saを算出し、体積比Vbaを算出する(ステップS22)。
振動周波数制御部18Bは、所定の周波数範囲にわたって振動周波数Fnが変化したか否かを判定し(ステップS24)、判定結果が否定であれば、振動周波数Fnを変化させ(ステップS26)、ステップS18に戻って同様の処理を繰り返す。
ステップS24の判定結果が肯定であれば、すなわち、所定の周波数範囲にわたって振動周波数Fnを変化させたならば、ステップS28に進む。
【0029】
粒径分布算出部18Fは、所定の周波数範囲にわたって得られた体積比Vbaと振動周波数Fnとの関係に基づいて
図8に示すような粒径加積曲線を算出する(ステップS28)。
出力部18Gは、算出された粒径加積曲線を、ディスプレイ3202に出力することで画面表示させ、あるいは、プリンタ3204から印刷出力させる。あるいは、算出された粒径加積曲線を、外部記憶装置34に供給する(ステップS30)。
また、出力部18Gは、算出された粒径加積曲線を、通信部18Hからネットワーク36を介して他の端末に送信する(ステップS32)。
以上で一連の動作を終了する。
【0030】
算出された粒径加積曲線は、粒状材料の粒度を評価するために用いられる。
図8には、傾斜度合いが緩やかな粒径加積曲線C1と、傾斜度合いが急な粒径加積曲線C2とが例示されている。
一般的に、粒径加積曲線の傾斜度合いが緩やかなほど広範囲の粒径Dの粒状材2が含まれていることから粒状材2同士の隙間が小となり、安定した状態となることから粒状材料の粒度の評価は高くなる。
これとは逆に、粒径加積曲線の傾斜度合いが急になるほど粒径Dがそろった粒状材2が含まれていることから粒状材2同士の隙間が大となり、不安定な状態となることから粒状材料の粒度の評価は低くなる。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態によれば、粒状材2が載置された載置面部20の振動周波数Fnを所定の周波数範囲にわたって変化させることで固有振動数、すなわち質量が異なる粒状材2をそれぞれ共振させることで、粒状材2の動画データに基づいて質量に対応した粒状材2をそれぞれ特定し、特定した粒状材の体積の合計が全ての粒状材の体積の合計に占める体積比Vbaを、振動周波数Fnが変化する毎に算出し、所定の周波数範囲にわたって得られた体積比Vbaと振動周波数Fnとの関係に基づいて粒状材料における粒状材2の粒径の分布を示す粒径加積曲線を算出するようにした。
したがって、従来技術では、静止画データから算出された粒状材2の投影面積から算出された粒状材2の粒径には誤差が含まれるので、粒径加積曲線の精度を確保する上で不利であったのに対し、本実施の形態では、従来技術と異なり体積比Vbaと振動周波数との関係に基づいて粒状材の粒径加積曲線を算出するので、正確な粒径加積曲線を得る上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
【0032】
また、本実施の形態では、周波数制御部18Bによる振動周波数Fnの変化が、所定の周波数範囲にわたって連続的になされるようにしたので、体積比Vbaと振動周波数Fnとの関係をきめ細かく得ることができ、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上でより有利となる。
【0033】
なお、
図8において、粒径Dの全ての範囲にわたって粒径加積曲線を算出できない場合が考えられる。
例えば、粒径Dが0.1mm未満といった非常に小さい領域では、撮像装置16Aの性能によっては粒状材2を精度良く撮像することができず、動画データの精度も低くなり、共振した粒状材2を特定することが困難となり、体積比Vbaと振動周波数Fnとの関係を得ることができないことが想定される。
このような場合は、粒径Dが0.1mm以上の領域において粒径加積曲線を算出する一方、粒径Dが0.1mm未満の領域では、上記算出済の粒径加積曲線を外挿することで、体積比Vbaと振動周波数Fnとの関係を得ることができない領域においても粒径加積曲線を推定することができる。
すなわち、粒径加積曲線は、例えば、公知のタルボット関数などを近似関数(近似曲線)として近似できることが知られている。
したがって、粒径加積曲線の既知の座標点に基づいて上記の関数を特定し、この特定した関数を用いて粒径加積曲線を外挿することにより、粒径加積曲線を補間(推定)することが可能である。
【0034】
また、本実施の形態では、共振粒状材特定部18Dによる粒状材2の特定が、動画データを構成する複数の静止画データから選択した2つの静止画データから検出される粒状材2の移動量と所定のしきい値との比較結果に基づいてなされる。
そのため、粒状材2の特定を簡単かつ確実に行なう上で有利となり、共振粒状材特定部18Dによる粒状材2の特定に関する処理を効率的に行なう上で有利となる。
【0035】
また、本実施の形態では、振動部14による載置面部20の振動の振幅を設定する振幅制御部18Cを設けたので、含水率などの粒状材2の性状の違いによって粒状材2の共振のしやすさが影響を受ける場合に、粒状材2の性状に応じて振動の振幅を変化させることで粒状材2の共振を促進し、共振した粒状材2の特定を確実に行なわせる上で有利となる。
【0036】
また、本実施の形態では、載置面部20の表面2002が、粒状材2に対して摩擦係数の大きい材料で形成されているので、載置面部20の振動に追従して粒状材2が移動しやすくなり、載置面部20の振動周波数Fnに粒状材2の固有振動数が合致したときに、粒状材2が共振しやすくなる。
そのため、粒状材2の特定を簡単かつ確実に行なう上で有利となり、共振粒状材特定部18Dによる粒状材2の特定に関する処理を効率的に行なう上で有利となる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について
図9を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態において第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について重点的に説明する。
第1の実施の形態では、容器12Bの載置面部20の表面2002が平面で構成されていたのに対して、第2の実施の形態では、
図9に示すように、載置面部20の表面2002は、粒状材2の分散を促進するための凹凸形状38が形成されている点が第1の実施の形態と異なっている。
【0038】
凹凸形状38は、載置面部20の表面2002の全域にわたって形成されており、凹凸形状38の形状、凹凸形状38の高さ方向の寸法、単位面積当たりの凹凸形状38の数は、実際に載置面部20を振動部14により振動させて粒状材2の分散が効率よく行われるように設定すればよい。
また、凹凸形状38は、規則的に配置されていても、不規則に配置されていてもよく、実際に載置面部20を振動部14により振動させて粒状材2の分散が効率よく行われるように設定すればよい。
このような凹凸形状38が形成されることによって、載置面部20に粒状材料が投入された状態で振動部14により載置面部20が振動されると、振動により粒状材2の一つ一つが凹凸形状38に沿って転がり分散しやすくなる。
【0039】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、載置面部20の振動に伴い凹凸形状38によって粒状材2が分散されるため、載置面部20が平面で形成されている場合に比較して、粒状材2同士が重なり合ったり接触することを解消する上で有利となる。
そのため、撮像装置16Aで撮像した動画データ上において一つ一つの粒状材2を正確に認識することができ、共振粒状材特定部18Dによる粒状材2の特定、および、体積比算出部18Eによる粒状材2の体積比Vbaの算出をそれぞれ精度良く行なう上で有利となる。
したがって、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
【0040】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について
図10、
図11を参照して説明する。
第1の実施の形態では、容器12Cの載置面部20の表面2002が平面で構成されていたのに対して、第3の実施の形態では、
図10、
図11に示すように、容器12Aが振動部14に取り付けられた状態で、載置面部20は、水平面に対して傾斜した傾斜載置面部40で構成されている。
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、載置面部20に粒状材料が投入された状態で振動部14により載置面部20が振動されることにより振動により粒状材2の一つ一つが粒状材2は傾斜載置面部40に沿って転がり分散しやすくなるため、載置面部20が水平面上を延在する平面で形成されている場合に比較して、粒状材2同士が重なり合ったり接触することを解消する上で有利となる。
そのため、撮像装置16Aで撮像した動画データ上において一つ一つの粒状材2を正確に認識することができ、共振粒状材特定部18Dによる粒状材2の特定、および、体積比算出部18Eによる粒状材2の体積比Vbaの算出をそれぞれ精度良く行なう上で有利となる。
したがって、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
【0041】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について説明する。
まず、粒状材2の色について説明する。
粒状材料を構成する粒状材2は、採取された土地の違いなどによって様々な色を呈している。また、同じ土地から採取された粒状材料を構成する粒状材2同士も様々な色を呈している。
本発明者らは、様々な色の粒状材2を試料として用い、載置面部20の色と粒状材2の色との組み合わせを変更しつつ、撮像装置16Aから得られた動画データを構成する静止画データ(RGB画像データ)からグレースケール画像データを生成し、グレースケール画像データを2値化して2値化データを生成し、2値化データから粒状材2の輪郭を示す輪郭データを抽出し、粒状材2の面積を算出する実験を行なった。
なお、この画像処理は、前述した体積比算出部18Eによって粒状材2の体積比Vbaの算出を行なう処理と同じである。
その結果、載置面部20の色と粒状材2の色との組み合わせによっては、得られた粒状材2の輪郭が曖昧となったり、あるいは、独立した複数の粒状材2の輪郭が単一の輪郭として誤って認識されたり、あるいは、小さい粒状材2ではその輪郭自体が消失してしまったりする現象が発生するという知見を得た。
すなわち、載置面部20の色と粒状材2の色との組み合わせによって、粒状材2の輪郭の認識精度が影響を受け、したがって、得られた輪郭データの精度が影響を受け、算出される粒状材2の面積の精度が左右される。
例えば、載置面部20の色と粒状材2の色とが類似していると、画像データから粒状材2の輪郭を示す輪郭データを抽出する際に、粒状材2の輪郭の認識精度が低下しやすくなり、算出される粒状材2の面積の精度が低下する。
あるいは、載置面部20の色と粒状材2の色との組み合わせが特定の組み合わせになると、画像データから粒状材2の輪郭を示す輪郭データを抽出する際に、粒状材2の輪郭の認識精度が低下しやすくなり、算出される粒状材2の面積の精度が低下する。
したがって、載置面部20の色と粒状材2の色とを様々なパターンで組み合わせて実験を行ない、得られた輪郭データから算出される粒状材2の面積の精度を評価することによって、算出される粒状材2の面積の精度を確保できる載置面部20の色と粒状材2の色との組み合わせを見出すことが可能と考えられる。
【0042】
そこで、第4の実施の形態では、
図12に示すように、異なる粒径Dの粒状材2が混合された粒状材料が投入され分散される載置面部20の色を変化させる色変化部42を設けた。
第4の実施の形態では、載置面部20は、光が透過可能に形成されると共に、粒状材が分散される表面2002と、その反対側に位置する裏面2004とを備えている。
載置面部20は光が透過可能であればよく、無色透明であっても、白色半透明であってもよく、色変化部42から照射される光の色(光色)が載置面部20の表面2002側から見て撮像部16で撮像できればよい。言い換えると、撮像部16で撮像された載置面部20の画像データに光の色が反映されればよい。
載置面部20を構成する材料として、光が透過可能な合成樹脂やガラスなどの材料が使用可能である。
本実施の形態では、色変化部42は、載置面部20の裏面2004側から表面2002側に光を照射すると共に光の色が変化可能に構成された光源装置44で構成されている。
光源装置44として、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイが使用可能である。
光源装置44は、矩形板状の本体部4402と、本体部4402が振動テーブル1404に設置されて取り付けられた状態で本体部4402の上面に位置し水平面上を延在する矩形状の表示画面4404と、操作部4406とを備えている。
操作部4406は、表示画面4404から照射される光の色を変化させ、また、表示画面4404から照射される光の光量を変化させるものである。
【0043】
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、撮像装置16Aから得られた動画データに基づいて算出された粒状材2の面積の精度を評価しつつ、粒状材2の面積の精度が向上するように色変化部42により載置面部20の色を変化させることができる。
そのため、精度が高い粒状材2の面積に基づいて体積比Vbaと振動周波数Fnとの関係を精度良く得ることができ、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
また、色変化部42を、光源装置44で構成すると、簡単な構成により載置面部20の色を変化させる上で有利となる。
この場合、光源装置44を、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイで構成すると、光源装置44から照射する光の色を簡単かつ容易に変化させる上で有利となる。
なお、光源装置44は、載置面部20の裏面2004側から表面2002側に光を照射すると共に光の色が変化可能に構成されていればよく、光の色を変化することができる従来公知の様々な照明装置を用いることができ、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイに限定されるものではない。
例えば、白色光を照射する光源部と、光源部に着脱可能に設けられた照明用の複数のカラーフィルタとを組み合わせ、カラーフィルタを交換することで光の色を変化させてもよい。
【0044】
(第5の実施の形態)
次に第5の実施の形態について
図13を参照して説明する。
第5の実施の形態は、第4の実施の形態の変形例であり、載置面部20および色変化部42の構成が第4の実施の形態と異なっている。
図13(A)に示すように、第1の実施の形態と同様に、容器12Eは、載置面部20と、載置面部20の周囲から起立された側壁22とを備え上方に開放状に形成され、振動部14の振動テーブル1404に取り付けられている。
載置面部20は、粒状材2が分散される表面2002を備えている。
表面2002は、その全域の色が予め定められた規定色を呈している。
規定色は、載置面部20の表面2002に照射された光の色を正確に反映しやすい白色や白色に類似した色が好ましい。
【0045】
色変化部42は、載置面部20の表面2002から上方に離間した箇所に配置され、表面2002および表面2002に分散された粒状材2に対して光を照射すると共に光の色が変化可能に構成された光源装置46で構成されている。
例えば、光源装置46は、LEDを光源とする公知のリングライト46Aで構成されており、不図示の操作部を操作することにより、照射する光の色と光量とを調整できるように構成されている。
リングライト46Aは、中心軸4602を中心として円環状に延在しており、載置面部20の表面2002から上方に離間し、かつ、中心軸4602を撮像装置16Aの光軸Laとほぼ合致させ、光を照射する照射面を載置面部20に向けた状態で基台26上にスタンド48を介して支持されている。
このようなリングライト46Aを用いることにより、載置面部20の全域にわたって均一の色で均一の光量の光が照射されるように図られている。
なお、光源装置46は、載置面部20の上方から載置面部20に向かって光を照射し、かつ、光の色を変化させることができればよく、光の色を変化することができる従来公知の様々な照明装置を用いることができ、リングライト46Aに限定されるものではない。
前述と同様に、白色光を照射する光源部と照明用の複数のカラーフィルタとを組み合わせて光源装置46を構成してもよい。
【0046】
第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、第4の実施の形態と同様に、撮像装置16Aから得られた動画データに基づいて算出された粒状材2の面積の精度を評価しつつ、粒状材2の面積の精度が向上するように色変化部42により載置面部20の色を変化させることができる。
そのため、精度が高い粒状材2の面積に基づいて体積比Vbaと振動周波数Fnとの関係を精度良く得ることができ、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
【0047】
また、第5の実施の形態では、載置面部20を、粒状材2が分散される表面2002の全域の色が予め定められた規定色を呈したものとし、色変化部42を、載置面部20の表面2002から上方に離間した箇所に配置し、表面2002および表面2002に分散された粒状材2に対して光を照射すると共に光の色が変化可能に構成された光源装置46で構成した。
したがって、光源装置46から照射する光の色を変えることで、載置面部20の色と粒状材2の色との組み合わせを変えることができることは無論のこと、粒状材2の色も照射する光に応じて変わるので、撮像装置16Aによって取得した画像データ上における載置面部20の色と粒状材2の色との組み合わせのパターンをより多く実現させることができる。
そのため、撮像装置16Aから得られた動画データに基づいて算出された粒状材2の面積の精度を評価しつつ、粒状材2の面積の精度が向上するように色変化部42により載置面部20の色を変化させる上でより有利となる。
これにより、精度が高い粒状材2の面積に基づいて割合Sb/Sbを正確に算出することができるため、体積比Vbaと振動周波数Fnとの関係を精度良く得ることができ、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上でより有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上でより有利となる。
【0048】
(第6の実施の形態)
次に第6の実施の形態について
図14を参照して説明する。
第6の実施の形態は、載置面部20および色変化部42の構成が第4、第5の実施の形態と異なっている。
また、
図13を流用して説明すると、第4の実施の形態と同様に、載置面部20の上方に撮像装置16Aと光源装置46が設置されている。
図14(A)、(B)、(C)に示すように、容器12Fの載置面部20は、粒状材2が分散される表面2002の全域が、互いに色が異なる複数のシート50(本実施の形態では第1シート50A、第2シート50B)により交換可能に構成されている。図中、ハッチングの違いは色の違いを示している。
具体的には、載置面部20の上に各シート50を選択して載置することで載置面部20の表面2002が交換可能となっている。
したがって、第4、第5の実施の形態と異なり、色変化部42は、互いに色が異なる複数のシート50で構成されている。
各シート50は、載置面部20と同形同大の輪郭で形成されており、全域にわたって均一な色で着色された紙や合成樹脂製のシート材料で構成されている。
なお、光源装置46から載置面部20に照射される照明光は、各シート50の色に影響を与えない白色光であることが好ましい。
【0049】
第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、撮像装置16Aから得られた動画データに基づいて算出された粒状材2の面積の精度を評価しつつ、粒状材2の面積の精度が向上するように載置面部20の表面2002のシート50を交換することによって載置面部20の色を変化させることができる。
そのため、精度が高い粒状材2の面積に基づいて体積比Vbaと振動周波数Fnとの関係を精度良く得ることができ、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
また、第6の実施の形態では、色変化部42を複数のシート50で構成したので、色変化部42を安価に実現でき、粒径分布計測装置の低コスト化を図る上で有利となる。
【0050】
なお、第2の実施の形態に第3の実施の形態を組み合わせても良い。
また、第2の実施の形態に第4、第5、第6の実施の形態の何れかを組み合わせても良い。
また、第3の実施の形態に第4、第5、第6の実施の形態の何れかを組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0051】
2、2A、2B、2C 粒状材
10 粒径分布計測装置
12A-12F 容器
14 振動部
1402 本体部
1404 振動テーブル
1406 振動部側制御部
1408 操作部
16 撮像部
16A 撮像装置
18 コンピュータ
18A 入力部
18B 周波数制御部
18C 振幅制御部
18D 共振粒状材特定部
18E 体積比算出部
18F 粒径分布算出部
18G 出力部
18H 通信部
20 載置面部
2002 表面
2004 裏面
22 側壁
26 基台
28 スタンド
30 入力装置
3002 キーボード
3004 マウス
32 出力装置
3202 ディスプレイ
3204 プリンタ
34 外部記憶装置
36 ネットワーク
38 凹凸形状
40 傾斜載置面部
42 色変化部
44 光源装置
4402 本体部
4404 表示画面
4406 操作部
46 光源装置
46A リングライト
4602 中心軸
48 スタンド
50 シート
Fn 振動周波数
C1、C2 粒径加積曲線
La 光軸