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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】塗布ブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 9/02 20060101AFI20241125BHJP
   A45D 19/00 20060101ALI20241125BHJP
   A46B 5/00 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
A46B9/02
A45D19/00 B
A46B5/00 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021109568
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006793
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-045158(JP,A)
【文献】特開2017-070746(JP,A)
【文献】特表平10-502846(JP,A)
【文献】特開2006-110350(JP,A)
【文献】特開2009-106655(JP,A)
【文献】特開2001-252126(JP,A)
【文献】特開2006-326081(JP,A)
【文献】特表2013-506493(JP,A)
【文献】特開2021-069880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 9/02
A45D 19/00
A46B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部に連なるブラシ台と前記ブラシ台から突出する突起群とを有し、
前記突起群が、毛髪に塗布する被塗布物を保持する保持部の所定方向における両側に設けられる内側突起群と前記内側突起群の両側に設けられる外側突起群とを有し、
前記ブラシ台の裏側から表側に向かう方向への前記外側突起群の突出高さが前記内側突起群よりも大きく、
前記ブラシ台が、前記内側突起群を保持する内側台と、前記所定方向における前記内側台の両側に設けられ前記外側突起群を保持する外側台とを有し、
前記外側台が前記内側台に弾性変形によって前記所定方向における外側に揺動可能にヒンジ部を介して連なり、
前記ヒンジ部が2つの片側ヒンジからなり、
各々の前記片側ヒンジは、前記ブラシ台の前記裏側から前記表側に向かう前記方向を下方とし、上下方向に垂直な前記所定方向を左右方向とした場合に、前記上下方向及び前記左右方向の両方に垂直な前後方向に延びる薄肉部からなる、塗布ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗布ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪などの毛髪に染毛剤などの被塗布物を塗布するための塗布ブラシとして、把持部に連なるブラシ台とブラシ台から突出する突起群とを有し、突起群が、被塗布物を保持する保持部の両側に設けられる内側突起群と内側突起群の両側に設けられる外側突起群とを有する塗布ブラシが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-225121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような塗布ブラシは、毛髪の毛先への塗布を容易にするためにブラシ台の裏側から表側に向かう方向における外側突起群の突出高さを内側突起群よりも大きく設定することが考えられる。しかしこの場合、ブラシを皮膚に押し当てた時に外側突起群が先に皮膚に当接することで内側突起群が毛髪の根本に到達できず、そのため毛髪の根本への塗布が難しくなる虞がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、毛髪の根本から毛先までの塗布が容易な塗布ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の塗布ブラシは、把持部に連なるブラシ台と前記ブラシ台から突出する突起群とを有し、前記突起群が、毛髪に塗布する被塗布物を保持する保持部の所定方向における両側に設けられる内側突起群と前記内側突起群の両側に設けられる外側突起群とを有し、前記ブラシ台の裏側から表側に向かう方向への前記外側突起群の突出高さが前記内側突起群よりも大きく、前記ブラシ台が、前記内側突起群を保持する内側台と、前記所定方向における前記内側台の両側に設けられ前記外側突起群を保持する外側台とを有し、前記外側台が前記内側台に弾性変形によって前記所定方向における外側に揺動可能にヒンジ部を介して連なり、前記ヒンジ部が2つの片側ヒンジからなり、各々の前記片側ヒンジは、前記ブラシ台の前記裏側から前記表側に向かう前記方向を下方とし、上下方向に垂直な前記所定方向を左右方向とした場合に、前記上下方向及び前記左右方向の両方に垂直な前後方向に延びる薄肉部からなる、塗布ブラシである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、毛髪の根本から毛先までの塗布が容易な塗布ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態の塗布ブラシの側面図である。
図2図1のA矢視図である。
図3図1のB矢視図である。
図4図1に示す塗布ブラシを頭皮に押し当てた時の状態を示す説明図である。
図5図4に示す状態から塗布ブラシを頭皮に押し付けた時の状態を示す説明図である。
図6】本発明の第2実施形態の塗布ブラシの上面図である。
図7図6に示す塗布ブラシの底面図である。
図8図6のC-C断面図である。
図9図6のD矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0010】
図1図3に示すように、本発明の第1実施形態において塗布ブラシ1は、ブラシ台2、突起群3、把持部4及び櫛部5を有する。塗布ブラシ1は本実施形態では2剤式の染毛剤6(図4図5参照)を頭髪7に塗布するためのブラシである。なお、塗布ブラシ1はこれに限らず、例えば、頭髪7以外の毛髪に塗布するのに適した構成としてもよいし、2剤式以外の染毛剤6、染毛剤6以外の塗布剤、又はその他の被塗布物を塗布するのに適した構成としてもよい。
【0011】
塗布ブラシ1は合成樹脂製の一体成形物である。なお、塗布ブラシ1を形成する合成樹脂は特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、又はポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルなどである。塗布ブラシ1は一体成形物に限らず、複数の部材を組み付けて構成してもよい。
【0012】
突起群3は、内側突起群8、外側突起群9、前側突起部10及び後側突起部11を有する。内側突起群8は2つの片側突起群8aからなる。外側突起群9は2つの片側突起群9aからなる。ブラシ台2は、内側台12、外側台13及びヒンジ部14を有する。外側台13は2つの片側台13aからなる。ヒンジ部14は2つの片側ヒンジ14aからなる。
【0013】
なお、本明細書において、ブラシ台2の表側から裏側に向かう方向(図1における上方)を上方ともいい、その反対方向を下方ともいい、上下方向に垂直な所定方向においてブラシ台2の中央に向かう側を内側ともいい、その反対側を外側ともいい、上記所定方向を左右方向ともいい、上下方向と左右方向の両方に垂直な方向を前後方向ともいい、前後方向においてブラシ台2から把持部4が突出する側を後側ともいい、その反対側を前側ともいう。
【0014】
内側台12の表側の表面、つまり下面の中央部は、染毛剤6を付着させて保持する保持部15である。内側突起群8は保持部15の両側に設けられ、より具体的に、内側突起群8の各々の片側突起群8aは保持部15の外側に設けられる。外側突起群9は内側突起群8の両側に設けられ、より具体的に、外側突起群9の各々の片側突起群9aは内側突起群8の片側突起群8aの外側に設けられる。
【0015】
内側台12は、内側突起群8、前側突起部10及び後側突起部11を保持する。外側台13は外側突起群9を保持し、より具体的に、各々の片側台13aは外側突起群9の片側突起群9aを保持する。また外側台13は、内側台12に弾性変形によって外側に揺動可能にヒンジ部14を介して連なり、より具体的に、各々の片側台13aは内側台12に片側ヒンジ14aを介して連なる。
【0016】
各々の片側ヒンジ14aは前後方向に沿って連続して延びる薄肉部からなり、より具体的に、ブラシ台2の下面上の溝によって他の部分よりも薄肉に形成される部分からなる。なお、各々の片側ヒンジ14aの構成はこれに限らず、例えば、ブラシ台2の上面上の溝によって形成してもよいし、ブラシ台2の下面上の溝とブラシ台2の上面上の溝との両方によって形成してもよい。また、各々の片側ヒンジ14aは前後方向に断続的に延びる薄肉部からなる構成としてもよい。しかし、各々の片側ヒンジ14aは前後方向に連続して延びる薄肉部からなる構成とする方が、ヒンジ部14を通した上側への染毛剤6の漏れ出しを抑制し易いので好ましい。
【0017】
内側突起群8の各々の片側突起群8aは前後方向に沿って等間隔で並ぶ複数の突起からなる1つの突起列からなる。なお、内側突起群8の各々の片側突起群8aはこれに限らず、例えば、前後方向に沿って異なる間隔で並ぶ複数の突起からなる1つの突起列からなる構成としてもよいし、左右方向にずらして設けられる2つ以上の突起列からなる構成としてもよい。なお、突起列を構成する突起の数は用途等に応じて適宜設定できる。
【0018】
外側突起群9の各々の片側突起群9aは前後方向に沿って等間隔で並ぶ複数の突起からなる1つの突起列からなる。なお、外側突起群9の各々の片側突起群9aはこれに限らず、例えば、前後方向に沿って異なる間隔で並ぶ複数の突起からなる1つの突起列からなる構成としてもよいし、左右方向にずらして設けられる2つ以上の突起列からなる構成としてもよい。なお、突起列を構成する突起の数は用途等に応じて適宜設定できる。
【0019】
ブラシ台2の裏側から表側に向かう方向、つまり下方への外側突起群9の突出高さは内側突起群8よりも大きい。なお、その突出高さの差Δh(図3参照)は用途などに応じて適宜設定できる。
【0020】
前側突起部10は保持部15の前側に設けられる。また、前側突起部10は複数の突起からなる。なお、前側突起部10を構成する突起の数は用途等に応じて適宜設定できる。前側突起部10は1つの突起からなる構成としてもよいし、前側突起部10を設けない構成としてもよい。下方への前側突起部10の突出高さは用途などに応じて適宜設定できる。
【0021】
後側突起部11は保持部15の後側に設けられる。また、後側突起部11は複数の突起からなる。なお、後側突起部11を構成する突起の数は用途等に応じて適宜設定できる。後側突起部11は1つの突起からなる構成としてもよいし、後側突起部11を設けない構成としてもよい。下方への後側突起部11の突出高さは用途などに応じて適宜設定できる。
【0022】
把持部4はブラシ台2に連なる。本実施形態では把持部4はブラシ台2の上面から後側に延びる柄の形態をなす。把持部4の前側部分の上端縁は櫛部5に連なり、把持部4の後側部分はグリップ4aを構成する。櫛部5は、把持部4の前側部分の上端縁に沿って並びそれぞれ上方に向けてやや前方に傾斜して延びる複数の櫛歯からなる。なお、櫛部5の形態は用途などに応じて適宜設定できる。また、櫛部5を設けない構成としてもよい。また、把持部4は柄の形態をなす構成に限らない。
【0023】
使用者は、把持部4のグリップ4aを持ち、保持部15に染毛剤6を保持させた状態で塗布ブラシ1を頭皮16に押し付け、頭髪7を梳かす方向に動かすことにより、頭髪7に染毛剤6を塗布することができる。この時、保持部15には保持部15の広さと内側突起群8の突出高さに応じた量の染毛剤6を保持させることができる。
【0024】
塗布ブラシ1を頭皮16に押し当てると、図4に示すように内側突起群8が頭皮16に到達する前に外側突起群9が頭皮16に当接する。したがって、この時点で染毛剤6を頭髪7の根本に付着させることは難しい。しかし、図5に下向き白抜き矢印で示すように、さらに塗布ブラシ1を頭皮16に押し付けることにより、図5に横向き白抜き矢印で示すように、ヒンジ部14を介して外側台13を外側突起群9とともに外側に弾性変形によって揺動させ、染毛剤6を頭髪7の根本に容易に付着させることができる。
【0025】
この状態から塗布ブラシ1を頭髪7を梳かす方向に動かすと、弾性変形からの復元により外側突起群9の突出高さが内側突起群8よりも大きい高さに戻るため、外側突起群9によって染毛剤6を頭髪7の毛先まで容易に伸ばすことができる。したがって、本実施形態によれば、頭髪7の根本から毛先までの塗布を容易に行うことができる。なお、図4図5は前側突起部10と後側突起部11を省略して塗布ブラシ1を示す。
【0026】
第1実施形態の塗布ブラシ1は上述したとおり種々の変更が可能であり、例えば、図6図9に示す第2実施形態のような構成としてもよい。第2実施形態の塗布ブラシ1は、第1実施形態の場合と比べ、後側突起部11と櫛部5を有さない点で構成が異なり、その他の点では同様の構成となっている。このような構成であっても、第1実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0027】
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0028】
したがって、前述した実施形態の塗布ブラシ1は、把持部4に連なるブラシ台2とブラシ台2から突出する突起群3とを有し、突起群3が、被塗布物を保持する保持部15の両側に設けられる内側突起群8と内側突起群8の両側に設けられる外側突起群9とを有し、ブラシ台2の裏側から表側に向かう方向への外側突起群9の突出高さが内側突起群8よりも大きく、ブラシ台2が、内側突起群8を保持する内側台12と内側台12の両側に設けられ外側突起群9を保持する外側台13とを有し、外側台13が内側台12に弾性変形によって外側に揺動可能にヒンジ部14を介して連なる塗布ブラシ1である限り、種々変更可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 塗布ブラシ
2 ブラシ台
3 突起群
4 把持部
4a グリップ
5 櫛部
6 染毛剤(被塗布物)
7 頭髪
8 内側突起群
8a 内側突起群の片側突起群
9 外側突起群
9a 外側突起群の片側突起群
10 前側突起部
11 後側突起部
12 内側台
13 外側台
13a 片側台
14 ヒンジ部
14a 片側ヒンジ
15 保持部
16 頭皮
Δh 突出高さの差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9