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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】固定構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20241125BHJP
   H01R 13/629 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
H01R13/42 F
H01R13/629
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022178747
(22)【出願日】2022-11-08
(65)【公開番号】P2024068361
(43)【公開日】2024-05-20
【審査請求日】2024-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】笹木 康弘
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳
(72)【発明者】
【氏名】野呂 佑貴
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-123032(JP,A)
【文献】特開平11-126642(JP,A)
【文献】特開2000-164285(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0091862(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
H01R 13/629
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子が挿入される筒状のハウジングと、前記ハウジングに対して前記端子の挿入方向に嵌合する筒状のフロントホルダと、を備えるコネクタの固定構造であって、
前記フロントホルダには、前記挿入方向におけるハウジング側に突出する検知部と、前記挿入方向に交差する撓み方向に弾性変形可能に設けられ前記検知部に対して前記撓み方向に間隔をあけて配置される係止ロックと、前記撓み方向における前記検知部と前記係止ロックとの間に配置される規制突起と、が設けられ、
前記ハウジングには、前記挿入方向におけるフロントホルダ側に向かって開口し前記検知部が収容される空間を構成する収容部と、前記係止ロックを係止する係止部と、前記挿入方向におけるフロントホルダ側に向かって開口し前記規制突起が収容される空間を構成する規制凹部と、が設けられ、
前記規制突起には、前記撓み方向に交差して延在する規制面が設けられ、
前記規制凹部には、前記規制面に当接し前記規制突起を支持する当接面が設けられ、
前記係止ロックが前記撓み方向に弾性変形する際には、前記規制面が前記当接面に当接しており、
前記挿入方向は、前記フロントホルダ及び前記ハウジングの前後方向であり、
前記撓み方向は、前記フロントホルダ及び前記ハウジングの高さ方向であり、
前記規制突起は、撓み方向に立ち上がる立設部と、前記立設部の左右両側に広がる羽根部と、を備え、
前記規制面は、前記羽根部の下面に形成されていることを特徴とする固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の固定構造を備えるコネクタに、相手コネクタを接続する接続構造であって、
前記相手コネクタは、前記ハウジングに嵌合し、
前記相手コネクタには、前記規制突起における前記規制面と反対の面に当接し、前記規制凹部の当接面と挟むことで前記規制突起の前記撓み方向への変位を規制するこじり嵌合防止部が設けられていることを特徴とする接続構造。
【請求項3】
前記こじり嵌合防止部には、前記規制突起を収容する収容凹部が設けられ、
前記収容凹部の内壁面は、前記規制突起における前記規制面と反対側の面に当接していることを特徴とする請求項に記載の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
端子を収容するハウジングと、ハウジングに装着されて端子の二重係止を行うフロントホルダと、を備えたコネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のコネクタでは、ハウジングの端子収容室に設けられたランスにより端子を係止し、フロントホルダに設けられた検知板(検知部)により、端子を係止した状態のランスを押さえてランスの姿勢を維持することで、端子の二重係止がなされる。そして、ハウジングに装着されたフロントホルダは、当該フロントホルダに設けられた弾性アームを、ハウジングに設けられた係止突起に係止されることで、装着が完了した本係止状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-098116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したコネクタでは、フロントホルダをハウジングに装着する際に、検知板を、ハウジングに設けられた検知板挿入孔に挿入する必要がある。しかしながら、この場合、フロントホルダの装着途中で上述の弾性アームが上述の係止突起によって弾性変形し、それに伴ってフロントホルダ自体が傾くことがある。そうすると、検知板も変位することから、検知板を位置決めすることが難しい。このため、検知板が検知板挿入孔の開口縁部や内壁面などに衝突することがあり、検知板が破損することが問題となる。これに対し、検知板の板厚や幅寸法を小さくした場合、検知板の衝突は起こり難くなるものの、検知板の強度が低下してしまう。一方、特許文献1に記載のコネクタでは、ハウジングの外周面を囲むフロントホルダの内壁面と、その内壁面に対向するハウジングの外壁面と、に一対のリブを設け、このリブ同士を当接させることでフロントホルダの傾き自体を矯正している。しかしながら、この構成では、リブの寸法分コネクタが大型化してしまう。
【0005】
本発明の目的は、大型化を避けつつ、検知部の挿入精度を向上することが可能な固定構造を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、固定構造は、端子が挿入される筒状のハウジングと、前記ハウジングに対して前記端子の挿入方向に嵌合する筒状のフロントホルダと、を備えるコネクタの固定構造であって、前記フロントホルダには、前記挿入方向におけるハウジング側に突出する検知部と、前記挿入方向に交差する撓み方向に弾性変形可能に設けられ前記検知部に対して前記撓み方向に間隔をあけて配置される係止ロックと、前記撓み方向における前記検知部と前記係止ロックとの間に配置される規制突起と、が設けられ、前記ハウジングには、前記挿入方向におけるフロントホルダ側に向かって開口し前記検知部が収容される空間を構成する収容部と、前記係止ロックを係止する係止部と、前記挿入方向におけるフロントホルダ側に向かって開口し前記規制突起が収容される空間を構成する規制凹部と、が設けられ、前記規制突起には、前記撓み方向に交差して延在する規制面が設けられ、前記規制凹部には、前記規制面に当接し前記規制突起を支持する当接面が設けられ、前記係止ロックが前記撓み方向に弾性変形する際には、前記規制面が前記当接面に当接しており、前記挿入方向は、前記フロントホルダ及び前記ハウジングの前後方向であり、前記撓み方向は、前記フロントホルダ及び前記ハウジングの高さ方向であり、前記規制突起は、撓み方向に立ち上がる立設部と、前記立設部の左右両側に広がる羽根部と、を備え、前記規制面は、前記羽根部の下面に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このような構成によれば、大型化を避けつつ、検知部の挿入精度を向上することが可能な固定構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る固定構造を構成するコネクタの分解斜視図。
図2】(A)は、コネクタを前側から見た正面図であり、(B)は、図2をA-A線で切断した場合のハウジングの断面図。
図3図2(B)のB-B線矢視断面図。
図4】(A)は、フロントホルダの斜視図であり、(B)は、フロントホルダを前側から見た正面図。
図5図4(B)のC-C線矢視断面図。
図6】(A)は、相手コネクタを前側から見た正面図であり、(B)は、図6(A)のD-D線矢視断面図。
図7】フロントホルダをハウジングに嵌合している途中のコネクタの断面図。
図8】フロントホルダのハウジングへの嵌合が完了したコネクタの断面図。
図9】(A)は、相手コネクタをコネクタに嵌合している途中の状態を上側から見た平面図であり、(B)は、図9(A)のF-F線矢視断面図。
図10】(A)は、相手コネクタのコネクタへの嵌合が完了した状態を上側から見た平面図であり、(B)は、図10(A)のG-G線矢視断面図。
図11】規制凹部を有さないコネクタと、相手コネクタと、の組立断面図。
図12】(A)は、変形例におけるコネクタと相手コネクタとの組立断面図であり、(B)は、図12(A)のH-H線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、固定構造を備えるコネクタ1について説明する。コネクタ1は、相手コネクタ2としての雄コネクタに接続される雌コネクタであり、図1に示すように、端子11と、レバー12と、ハウジング13と、パッキン14と、フロントホルダ15と、を備えている。
【0010】
なお、図において、X、Y、Zは、互いに直交する方向である。そして、端子11をハウジング13に挿入する挿入方向を、フロントホルダ15及びハウジング13の前後方向とし、「前後方向X」と記す。また、前後方向Xの一方側を「前側X1」、他方側を「後側X2」と記す。そして、フロントホルダ15及びハウジング13の幅方向を左右方向とし、「左右方向Y」と記す。また、左右方向Yの一方側を「左側Y1」、他方側を「右側Y2」と記す。また、フロントホルダ15及びハウジング13の上下方向を「高さ方向Z」と記す。また、高さ方向Zの一方側を「上側Z1」、他方側を「下側Z2」と記す。なお、高さ方向Zは、後述する係止ロック152の撓み方向でもある。なお、これは、あくまでも説明の便宜のためであり、必ずしもコネクタ1の実際の使用状態における方向と一致するとは限らず、の実際の使用状態における方向を限定するものではない。
【0011】
端子11は、導電性の金属部材で構成された雌端子であり、図1に示すように、第一端子111と、第二端子112と、を備えている。第一端子111は、開口の形状が略矩形の角筒状に形成され、第一電線W1の前側X1の端部に接続されている。第二端子112は、開口の形状が左右方向Yに長い略長方形の角筒状に形成され、第一電線W1よりも大径の第二電線W2の前側X1の端部に接続されている。
【0012】
レバー12は、一対のアーム部121と、操作部122と、を備えている。一対のアーム部121は、それぞれ左右方向Yに延在する板部材で構成され、高さ方向Zに間隔をあけて配置され、その板面同士が対向している。アーム部121には、板厚方向に貫通するボス取付孔121aと、ボス取付孔121aの前側X1の端部から一対のアーム部121が近づく方向、すなわち高さ方向Zに傾斜して前側X1に延びるガイド面121bと、が形成されている。ガイド面121bの裏側の壁面には、高さ方向Zに突出する係合突起121cが形成されている。この係合突起121cは、コネクタ1を相手コネクタ2と嵌合させる際に、相手コネクタ2に接続され、コネクタ1と相手コネクタ2とを相互に接近させる機能を有している。操作部122は、高さ方向Zに延びる板状に形成され、一対のアーム部121の右側Y2の端部同士を連結している。操作部122の前側X1の端縁には、斜め後側X2に向かって突出する爪状の係止爪122aが形成されている。
【0013】
ハウジング13は、端子11を挿入する略筒状の部材であり、図2(B)に示すように、本体部131と、フード部132と、を備えている。本体部131は、前後方向Xに延びる箱状に形成されている。本体部131には、前後方向Xに貫通する第一収容室1311と、第一収容室1311の下側Z2に配置され前後方向Xに貫通する第二収容室1312と、が貫通形成されている。第一収容室1311には、後側X2から第一端子111が挿入される。第二収容室1312には、後側X2から第二端子112が挿入される。
【0014】
第一収容室1311には、その下壁面から斜め上側Z1に突出し、前側X1に延びるランス1313が形成されている。ランス1313は、高さ方向Zに弾性変形可能に設けられている。このランス1313は、第一端子111が第一収容室1311に挿入される途中では、第一端子111に押されて下側Z2に弾性変形し、第一端子111の第一収容室1311への挿入が完了すると、第一端子111に嵌まり込み、第一端子111の抜けを防止する。なお、第一端子111において、ランス1313の下側Z2の部分は、ランス1313が弾性変形可能なスペースとして、収容部1314を構成している。収容部1314は、前側X1(挿入方向におけるフロントホルダ15側)に向かって開口している。この収容部1314は、後述する検知部151が前側X1から挿入される空間としても構成されている。そして、検知部151が収容部1314に挿入された状態では、第一端子111の抜け止めとして機能している状態のランス1313の弾性変形が規制されるため、第一端子111がより抜け難い二重係止状態となる。
【0015】
第二収容室1312の前側X1の端部上面には、上側Z1及び前側X1に開口する規制凹部1315が形成されている。この規制凹部1315は、後述するフロントホルダ15の規制突起153が収容される空間であり、図3に示すように、左右方向Yに延びる第一凹部1315aと、第一凹部1315aの左右方向Y中心部から下側Z2に延びる第二凹部1315bと、を備えている。そして、第一凹部1315aの下側Z2の面は、規制突起153の規制面1533に当接することで規制突起153を支持する当接面1315a-1となっている。
【0016】
第二収容室1312の前側X1の端部下面には、図2(B)に示すように高さ方向Zに貫通する孔1316が形成されている。この孔1316は、後述するフロントホルダ15の係止ロック152が嵌まり込む部分であり、孔1316の前側X1の端縁は、係止ロック152と前後方向Xに対向する係止部1316aを構成している。係止部1316aは、係止ロック152の前側X1を向く面に当接することで、係止ロック152が前側X1に変位するのを規制する機能を有している。すなわち、係止部1316aは、係止ロックを係止する。
【0017】
本体部131の右側Y2の側壁には、図1に示すように、上述のレバー12の係止爪122aに係合するレバーロックアーム1317が形成されている。レバーロックアーム1317は、レバー12をハウジング13に固定したり、その固定を解除したりするためのものである。レバーロックアーム1317は、前後方向Xに延び、その先端部には、左右方向Yに弾性変形可能なロック係止部1317aが形成されている。ロック係止部1317aは、レバーの係止爪122aに係合することで、レバー12を姿勢変更不能な状態でハウジング13に固定する。なお、この状態で、レバー12の操作部122を左右方向Y内方に押圧すると、ロック係止部1317aが弾性変形することで、ロック係止部1317aと係止爪122aとの係合が解除され、レバー12をハウジング13から取り外せるようになる。
【0018】
フード部132は、図2(B)に示すように、後側X2の端部が本体部131の外周壁と一体となっている。また、フード部132は、前側X1の部分が、本体部131の外周壁を内外方向に間隔をあけて囲み、これによって、本体部131との間に、フロントホルダ15や相手コネクタ2が嵌合される嵌合空間Sを形成している。図2(A)、(B)に示すように、フード部132の上壁および下壁の内壁面には、高さ方向Zに突出する一対のボス部1321がそれぞれ形成されている。ボス部1321は、上述したレバー12のボス取付孔121aに嵌まり込む部分であり、レバー12のガイド面121bに乗り上げながらガイド面121bに案内されてボス取付孔121aに嵌るように設けられている。ボス取付孔121aにボス部1321が嵌った状態で、レバー12を図9に矢印で示す方向に回転させると、相手コネクタ2に接続されたレバー12の係合突起121cを支点として、レバー12が回転する。そして、この際、ボス取付孔121aの縁部がボス部1321を押圧することでハウジング13が前側X1すなわち、相手コネクタ2側に移動することとなっている。
【0019】
パッキン14は、図1に示すように、ハウジング13の本体部131の外周形状に合わせて略長方形枠状に形成されている。パッキン14は、図7、8に示すように、本体部131の外周壁を囲むように、ハウジング13に嵌め込まれており、これによって、本実施形態に係るコネクタ1は、防水型のコネクタとして構成されている。
【0020】
フロントホルダ15は、相手コネクタ2の相手端子22(雄端子)を位置決めする等の機能を備えるものであり、ハウジング13の本体部131に対して前側X1から後側X2に向かって嵌合する略筒状に形成されている。フロントホルダ15は、図4に示すように、検知部151と、係止ロック152と、規制突起153と、を備えている。
【0021】
検知部151は、ハウジング13の第一収容室1311に連通する連通室151aの底面に板状に形成されており、後側X2(挿入方向におけるハウジング側)に向かって突出している。検知部151の突出端部は、ハウジング13の収容部1314と前後方向Xに対向しており、フロントホルダ15がハウジング13に嵌合する際には、図7、8に示すように、検知部151が前側X1から後側X2に向かって収容部1314に挿入される。係止ロック152は、ハウジング13の孔1316に嵌まり込み、その孔1316の縁部である係止部1316aに係止される部分である。係止ロック152は、検知部151と高さ方向Zに間隔をあけて検知部151の下側Z2に配置されている。この位置は、孔1316に対応する位置であり、ここから上側Z1に向かって略三角形状に突出している。
【0022】
係止ロック152の下側Z2には、当該係止ロック152が変位可能な空間が設けられており、これによって係止ロック152は、高さ方向Zに弾性変形可能となっている。フロントホルダ15がハウジング13に嵌合される途中では、係止ロック152は、図7に示すように、第二収容室1312の前側X1の端部下面に摺接しながら下側Z2に弾性変形する。そして、フロントホルダ15のハウジング13への嵌合が完了すると、係止ロック152は、図8に示すように、弾性変形前の状態に戻ってハウジング13の孔1316に嵌まり込む。そして、この状態で、係止ロック152の前側X1を向く面が係止部1316aに当接し、係止ロック152は、係止部1316aに係止される。
【0023】
規制突起153は、図4に示すように、高さ方向Zにおける検知部151と係止ロック152との間に配置されている。この規制突起153は、ハウジング13の規制凹部1315に収容されるように設けられている。規制突起153は、フロントホルダ15の下壁面から上側Z1に向かって立ち上がる立設部1531と、立設部1531の上端部から左右方向Y両側に広がる板状の羽根部1532と、羽根部1532の下壁面(下面)で構成される規制面1533と、を備えている。
【0024】
立設部1531は、上述した規制凹部1315のうち第二凹部1315bに収容される部分である。羽根部1532は、上述した規制凹部1315のうち、第一凹部1315aに収容される部分である。そして、規制面1533は、規制凹部1315の当接面1315a-1に当接する部分であり、左右方向Y(撓み方向に交差して)に延在している。図5に示すように、羽根部1532及び規制面1533は、それぞれ、係止ロック152の真上に配置されており、その後側X2の端部は、係止ロック152の突出端部よりも後側X2に位置している。
【0025】
このため、フロントホルダ15がハウジング13に嵌合される際、図7に示すように、フロントホルダ15が前側X1から後側X2に向かって嵌め込まれていくと、まず、規制面1533が当接面1315a-1に当接する。そして、規制面1533が当接面1315a-1に当接し、支持された後、第二収容室1312の前側X1の端部下面に係止ロック152が摺接することとなる。すなわち、係止ロック152が撓み方向に弾性変形する際には、先に規制面1533が当接面1315a-1に当接した状態となっている。
【0026】
以上、本実施形態によれば、固定構造は、端子11が挿入される筒状のハウジング13と、ハウジング13に対して前後方向Xに(端子11の挿入方向)に嵌合する筒状のフロントホルダ15と、を備えるコネクタ1の固定構造である。フロントホルダ15には、後側X2(挿入方向におけるハウジング側)に突出する検知部151と、高さ方向Z(挿入方向に交差する撓み方向)に弾性変形可能に設けられ検知部151に対して高さ方向Zに間隔をあけて配置される係止ロック152と、高さ方向Zにおける検知部151と係止ロック152との間に配置される規制突起153と、が設けられている。ハウジング13には、前側X1(挿入方向におけるフロントホルダ側)に向かって開口し検知部151が収容される空間を構成する収容部1314と、係止ロック152を係止する係止部1316aと、前側X1(挿入方向におけるフロントホルダ側)に向かって開口し規制突起153が収容される空間を構成する規制凹部1315と、が設けられている。規制突起153には、高さ方向Zに交差して延在する規制面1533が設けられ、規制凹部1315には、規制面1533に当接し規制突起153を支持する当接面1315a-1が設けられ、係止ロック152が高さ方向Zに弾性変形する際には、規制面1533が当接面1315a-1に当接している。
【0027】
このような構成によれば、フロントホルダ15の規制突起153に設けられた規制面1533は、係止ロック152が弾性変形する際に、ハウジング13の規制凹部1315に設けられた当接面1315a-1に支持されている。このため、フロントホルダ15の係止ロック152が高さ方向Zに弾性変形し、それにつられてフロントホルダ15の係止ロック152周辺部分が変形等しようとしても、検知部151にその影響が及び難い。すなわち、係止ロック152の弾性変形によって生じた高さ方向Zの応力は、検知部151に向かう途中で高さ方向Zに交差する方向に延在する規制面1533を支持する当接面1315a-1により吸収される。このため、係止ロック152の弾性変形による影響は検知部151に及び難く、フロントホルダ15の検知部151は変位し難い。これにより、検知部151を、収容部1314の開口縁部等に接触させることなく、ハウジング13の収容部1314に対して正確に収容することができる。また、規制突起153は、検知部151と係止ロック152との間、すなわち、フロントホルダ15がハウジング13に嵌合した際にハウジング13内に位置する箇所に設けられている。このため、ハウジングの外周面を囲むフロントホルダの内壁面と、その内面に対向するハウジングの外壁面と、に一対のリブを設ける従来の構成と比較して、リブの寸法分、コネクタの大型化を抑制することができる。したがって、大型化を避けつつ、検知部151の挿入精度を向上することが可能な固定構造を得ることができる。
【0028】
また、本実施形態によれば、羽根部1532を設けたことで、規制面1533が、立設部1531の左右両側に広がって設けられることとなる。このため、当該規制面1533が当接面1315a-1に支持された際に、フロントホルダ15に加わる高さ方向Zの応力を、左右両側に亘って、バランスよく受けることができる。したがって、フロントホルダ15の左右方向Yへの傾きを抑制することができる。
【0029】
次に、コネクタ1に、相手コネクタ2を接続する接続構造について説明する。接続構造を構成するコネクタ1は、上述のコネクタ1である。接続構造を構成する相手コネクタ2は、コネクタ1に接続される雄コネクタである。図6(B)に示すように、相手コネクタ2は、後側X2に向かって開口し、コネクタ1のハウジング13における嵌合空間Sに嵌まり込む相手ハウジング21を備えている。相手ハウジング21には、端子11に接続される相手端子22(雄端子)が挿入され、相手端子22の先端に設けられたタブ221が相手ハウジング21内に突出している。ここでは、図6(B)における上側Z1のタブ221が上述した第一端子111に対応し、下側Z2のタブ221が上述した第二端子112に対応している。
【0030】
各タブ221の高さ方向Zの間には、こじり嵌合防止部223が形成されている。図9(B)に示すように、こじり嵌合防止部223は、相手コネクタ2をコネクタ1に嵌合する際に、第一収容室1311と、第二収容室1312の高さ方向Zの間に形成された空隙1318に挿入される部分である。そして、図10(B)に示すように、こじり嵌合防止部223は、相手コネクタ2のコネクタ1への嵌合が完了した状態で、規制突起153における上面(規制面1533と反対の面)に当接している。この状態では、規制凹部1315の当接面1315a-1と、こじり嵌合防止部223の下面と、で規制突起153が高さ方向Zに挟まれることとなり、規制突起153の高さ方向Zへの変位が規制されている。
【0031】
このような構成によれば、相手コネクタ2に設けられたこじり嵌合防止部223と、ハウジング13に設けられた規制凹部1315の当接面1315a-1と、で規制突起153を挟んで、当該規制突起153の高さ方向Zへの変位を規制することができる。したがって、相手コネクタ2をコネクタ1に嵌合する際に、規制突起153が変形又は変位することを、防止することができる。
【0032】
以上、固定構造の実施の形態および変形例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0033】
図11は、規制凹部1315を有さないコネクタ1と、相手コネクタ2と、の組立断面図である。コネクタ1は、ハウジング13’を備えている。このハウジング13’には、上述の第二収容室1312に相当する第二収容室1312’が設けられている。第二収容室1312’には、規制凹部1315が設けられていない。この構成では、フロントホルダ15がハウジング13に嵌合する際に、規制突起153の規制面1533が、第二収容室1312’の上面に当接することとなっている。そして、第二収容室1312’の上面が上述の当接面1315a-1と同様の機能を有することとなる。
【0034】
このような構成によれば、上述の実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。また、規制凹部1315を設けない分、ハウジング13’の構造を簡易にすることができる。ただし、規制凹部1315を設けない構成では、第二収容室1312の上側Z1に、規制突起153の挿入されるスペースを確保する必要があるため、そのスペースの高さ分ハウジング13’の高さ寸法が増大する。このため、省スペースの観点からは、規制凹部1315を設ける構成が好適である。
【0035】
図12(A)は、変形例におけるコネクタ1と相手コネクタ2との組立断面図であり、図12(B)は、図12(A)のH-H線矢視断面図である。この変形例では、こじり嵌合防止部223の下壁面の一部に上側Z1に向かって凹む収容凹部2231が設けられている点が、上述の実施形態と異なる。収容凹部2231は、規制突起153を収容する部分である。そして、収容凹部2231の内壁面(下側Z2を向く壁面)は、相手コネクタ2がコネクタ1に嵌合した際に、規制突起153の上面(規制面1533と反対側の面)に当接している。
【0036】
このような構成によれば、こじり嵌合防止部223に設けられた収容凹部2231に規制突起153を収容し、収容凹部2231の内壁面で規制突起153の変形又は変位を規制することができる。なお、例えば、こじり嵌合防止部223が収容凹部2231を有さない場合、規制突起153の強度向上等の目的で規制突起153の板厚を厚くすると、その分、こじり嵌合防止部223の位置を上側Z1に移動させる必要が生じる。この場合、こじり嵌合防止部223の配置を変える分、相手コネクタ2が大型化する場合がある。しかしながら、本構成によれば、規制突起153の板厚を大きくした場合には、その分収容凹部2231の深さを大きくすればよく、こじり嵌合防止部223の配置を変更する必要がない。このため、相手コネクタ2自体を大型化する必要がなくなる。したがって、大型化を回避しつつ、規制突起153が変形又は変位することを防止した接続構造を得ることができる。
【符号の説明】
【0037】
X 前後方向(挿入方向)
Z 高さ方向(撓み方向)
1 コネクタ
11 端子
13 ハウジング
1314 収容部
1315 規制凹部
1315a-1 当接面
1316a 係止部
15 フロントホルダ
151 検知部
152 係止ロック
153 規制突起
1533 規制面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12