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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20241125BHJP
   B60P 1/46 20060101ALI20241125BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20241125BHJP
   B62B 1/26 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
B60P1/44 C
B60P1/46 B
B60P3/00 J
B62B1/26 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023204836
(22)【出願日】2023-12-04
【審査請求日】2024-04-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】松崎 良彦
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特許第6752458(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3137172(JP,U)
【文献】実開昭56-102246(JP,U)
【文献】特開2011-079638(JP,A)
【文献】特開2016-022869(JP,A)
【文献】特開平11-059256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/44
B60P 1/46
B60P 3/00
B62B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台の床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させる荷受台昇降装置であって、
前記荷受台の荷受面の左右方向の一方側に、荷物を支持するサポートを固定するための固定部を備え、
前記サポートは、前記荷受台に立設される本体と、前記本体と共に前記荷物を包囲する拘束部材とを含んで構成され、
前記固定部は、前記荷受台の荷受面に設けた穴であり、前記荷受台の左右方向の他方側から前記サポートに対して前記荷物が脱着されるように前記本体を固定する
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
請求項の荷受台昇降装置において、
前記本体は、樋状に形成されており、
前記固定部は、前記本体が前記荷受台の左右方向の他方側に開口を向けて固定されるように構成されている
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項3】
請求項の荷受台昇降装置において、
前記本体が前記荷物を右側から包囲するように構成されていることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項4】
車両の荷台の床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させる荷受台昇降装置であって、
前記荷受台の荷受面の左右方向の一方側に、荷物を支持するサポートを固定するための固定部を備え、
前記サポートは、前記荷物の運搬台車であり、前記荷物を支持する本体と、前記本体と共に前記荷物を包囲する拘束部材とを含んで構成され、
前記固定部は、前記運搬台車の本体を押さえ込む押さえ部材であり、前記運搬台車を当該運搬台車が前記荷受台の左右方向の一方側を向く姿勢で保持し固定する
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項5】
請求項1-のいずれかの荷受台昇降装置において、
上下に延びる左右のポストを備え、前記荷受台が前記左右のポストに沿って昇降することを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項6】
請求項1-のいずれかの荷受台昇降装置において、
前記荷物はガスボンベであることを特徴とする荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧ガスボンベ等の上下に長尺の容器を運搬する容器運搬車として、荷台に対して容器を積み下ろしするための荷受台昇降装置を備えたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-205710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷受台昇降装置は、昇降する荷受台により車両の荷台に対する荷物の積み降ろしに好適である。しかし、ガスボンベのような高さに対して底面積が狭く不安定な縦長の荷物は、荷受台の昇降時の振動等により荷受面上で転倒しないとも限らない。
【0005】
特許文献1に記載された容器運搬車は、ガスボンベに装着する可動式の多数のホルダや、これら多数のホルダを車両の荷台上で循環させる搬送装置を備えた大掛かりなシステムである。また、この容器運搬車に架装された荷受台昇降装置も、このガスボンベの積み込み及び搬送のシステムの一部をなす専用品である。同文献では、ホルダの底部に設けたボールが荷台上に設けたガイド溝に沿って走行し容器を移動させる構成である。ガイド溝の一部は荷受台昇降装置の荷受台に設けられている。荷受台のガイド溝は、荷受台が上昇すると車両の荷台のガイド溝とループ状に繋がり、荷台と荷受台との間でガスボンベの搬出入がなされるように構成されている。また、車両の荷台上のスペースは容器の搬送装置が大部分を占めており、人手で荷物を荷台に積み込むことも困難である。そのため、同文献の容器運搬車やこれを構成する荷受台昇降装置は、用途が限定的であり汎用性を欠く。
【0006】
本発明の目的は、汎用性を確保しつつ背の高い不安定な荷物を安定に昇降させることができる荷受台昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、車両の荷台の床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させる荷受台昇降装置であって、前記荷受台の荷受面の左右方向の一方側に、荷物のサポートを固定するための固定部を備え、前記サポートは、前記荷受台に立設される本体と、前記本体と共に前記荷物を包囲する拘束部材とを含んで構成され、前記固定部は、前記荷受台の荷受面に設けた穴であり、前記荷受台の左右方向の他方側から前記サポートに対して前記荷物が脱着されるように前記本体を固定する荷受台昇降装置を提供する。
また、本発明は、車両の荷台の床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させる荷受台昇降装置であって、前記荷受台の荷受面の左右方向の一方側に、荷物を支持するサポートを固定するための固定部を備え、前記サポートは、前記荷物の運搬台車であり、前記荷物を支持する本体と、前記本体と共に前記荷物を包囲する拘束部材とを含んで構成され、前記固定部は、前記運搬台車の本体を押さえ込む押さえ部材であり、前記運搬台車を当該運搬台車が前記荷受台の左右方向の一方側を向く姿勢で保持し固定する荷受台昇降装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、汎用性を確保しつつ背の高い不安定な荷物を安定に昇降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置を備えた車両を模式的に表す側面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の斜視図であり、荷受台に荷物を搭載した図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の斜視図であり、荷受台とサポートとの取り合いを表す図である。
図4】本発明の第1実施形態における荷物の積み降ろし時の荷受台上の動線を表す図である。
図5】比較例における荷物の積み降ろし時の荷受台上の動線を表す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置の斜視図である。
図7図6中の矢印VIIによる矢視部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
(第1実施形態)
-車両-
図1は本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置を備えた車両を模式的に表す側面図である。本実施形態では、車両VのシャシフレームFに搭載された荷台LPの後部に垂直式の荷受台昇降装置100を架装した場合を例に挙げて説明する。荷台LPの床面は、可動式機器又は駆動式装置を持たない固定構造物としてのフラットな床である。また、本願明細書において、図1中の左右を車両V及び荷受台昇降装置100の前後とする。
【0012】
-荷受台昇降装置-
図2及び図3は本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の斜視図である。図2は荷受台4に荷物Lを搭載した図、図3は荷受台4とサポート10(後述)との取り合いを表す図である。これらの図において、既出図面と対応する要素には、既出図面と同符号を付して説明を適宜省略する。荷受台昇降装置100は、荷台LPに積み込む様々な荷物を地面の高さと荷台LPの床面の高さとの間で昇降させるものであり、荷台LPに対して重量物を積み下ろしするのに有用である。
【0013】
荷受台昇降装置100は、車両Vの荷台LPの床面の高さと地面の高さとの間で荷受台4を昇降させる装置であり、ポスト1L,1R、スライダ3L,3R、荷受台4、クロスメンバ5、油圧シリンダ(不図示)等を備えている。以下、各要素について順次説明していく。
【0014】
・ポスト
ポスト1L,1Rは、車両Vの荷台LPの後端部の左右両端に位置し上下(実質的に鉛直)に延びている。これら左右のポスト1L,1Rには、中空の部材、例えば角パイプが用いられている。ポスト1L,1Rの内部の前側の空間を前室1a、後側の空間を後室1bと称する。前室1aと後室1bは上部を除いて隔壁で隔てられている。後室1bの後壁には、上下に延びるスリット1dが設けられている。
【0015】
・スライダ
スライダ3L,3Rは、上下に延び、それぞれサブポスト2を介してポスト1L,1Rの後室1bに挿入され、後室1bの内部で上下に移動する。スライダ3L,3Rの後部は、ポスト1L,1Rのスリット1dを介してポスト1L,1Rの後方に突出している。ポスト1L,1Rの後方に突出したスライダ3L,3Rの後部の下側の部分にはブラケット3bが設けられている。サブポスト2は省略される場合もある。
【0016】
・荷受台
荷受台4は、スライダ3L,3Rのブラケット3bに対し、左右に延びるピンを介して回動自在に連結されており、スライダ3L,3Rと共にサブポスト2やポスト1L,1Rにガイドされて、床面位置と地面との間を昇降する。床面位置とは、荷受台4の荷受面(上面)が荷台LPの床面及びクロスメンバ5の上面の高さに合うときの荷受台4の高さである。荷受台4は、不使用時には垂直に起立させることで荷台LPの後壁(テールゲート)を構成する(図1)。水平に倒伏した姿勢では、荷受台4は、荷役作業時に荷物や作業者等を載せて左右のポスト1L,1Rに沿って昇降する。つまり、荷受台4は、前後方向及び左右方向の速度成分を持たずに垂直に平行移動する。荷受台4の昇降時の荷受面の角度変化もない。
【0017】
・クロスメンバ
クロスメンバ5は、左右に延びてポスト1L,1Rの上下方向の中間部分を連結している。クロスメンバ5は中空に形成されていて、その内部空間はポスト1L,1Rの少なくとも前室1aに繋がっている。荷受台昇降装置100を車両Vに架装した状態において、このクロスメンバ5は車両VのシャシフレームFより上部に位置し、クロスメンバ5の上面は荷台LPの床面と面一になっている(図3)。このクロスメンバ5の内部には、荷受台4を昇降駆動する油圧シリンダが左右に延びる姿勢で収容されている。油圧シリンダのロッドの先端に設けた滑車が、油圧シリンダの伸縮に伴ってクロスメンバ5の内部で左右方向に往復移動することにより、複数の滑車(固定滑車、移動滑車)に掛け回されてポスト1L,1Rやクロスメンバ5の内部に這い回されたワイヤ(不図示)が操作される。これにより、ワイヤに固定されたスライダ3L,3Rが上下に移動し、荷受台4が昇降する。
【0018】
-サポート-
荷受台昇降装置100には、縦に細長く背の高さに対して底部の面積の小さな荷物L(本実施形態ではガスボンベ)を支持するサポート10がオプション部品として備わっている。サポート10は、本体11及び拘束部材12を含んで構成される。本体11は、複数の縦フレーム13と複数の横フレーム14とを有し、上下に複数並べた弧状の横フレーム14を上下に延びる複数の直線状の縦フレームで連結して樋状に形成された柵型の部材であり、荷受台4に立設される。サポート10の本体11は、荷受台4に対して脱着自在である。各縦フレーム13の下端は、最下段の横フレーム14よりも下方に突出している。拘束部材12は、この本体11と共に荷物Lを包囲する部材である。本実施形態において、拘束部材12はチェーンであるとするが、チェーンには限定されず、例えばワイヤロープや紐、棒状の部材等といった他の要素を拘束部材12として用いることもできる。
【0019】
なお、図2ではサポート10に1本のみの拘束部材12が備わった構成を図示したが、拘束部材12は1つのサポート10に複数備わっていても良い。例えばサポート10の上下2カ所に拘束部材12が備わっていれば、荷受面に対して荷物Lの下面が滑って荷物Lが転倒することを防止し、より安定に荷物Lを昇降させることができる。また、拘束部材12が上中下3カ所以上あれば、サイズの異なる(例えば高さが低い)荷物Lであっても複数の拘束部材12で安定に保持することができる。また、拘束部材12を横並びに(図2において前後に並べて)複数設ける構成も考えられる。この場合、小サイズの(細い)複数の荷物Lを各々拘束部材12で保持し、同時に昇降させることができる。更には、サポート10そのものを横並びに(図2において前後に並べて)複数設ける構成も考えられる。この場合も複数の荷物Lを同時に昇降させることができる。
【0020】
-固定部-
荷受台4の荷受面の左右方向の一方側(本実施形態では右側部分)には、荷物Lのサポート10を固定するための固定部20が備わっている。本実施形態において、固定部20は複数の穴で構成されている。これら固定部20に対してサポート10の縦フレーム13の下端が挿し込まれ、これによりサポート10が荷受台4に立設される。本実施形態においては、サポート10の本体11が樋状であるため、固定部20を構成する複数の穴も、図3に示すように円弧状に並んでいる。例えば荷受台4の荷受面を左右方向に3等分し、左側部分、中央部分、右側部分に領域を区分したとして、固定部20を構成する穴は全て右側部分に位置する。また、固定部20は、荷受台4の左右方向の他方側(本実施形態では左側)からサポート10に対して荷物Lが脱着されるように本体11を固定する。言い換えれば、サポート10の本体11は、固定部20に固定された状態で、平面視でC字型の開口を左右方向の他方側(本実施形態では左側)に向け、荷物Lを右側から包囲するように構成されている。本実施形態において、サポート10の本体11は樋状であって平面視でC字型に湾曲しているため、荷物Lを右側からだけでなく前後からもガードし、荷物Lの右半部を包囲する。荷物Lの左半部は、本体11に取り付けられた拘束部材12で包囲され、本体11及び拘束部材12により荷物Lは360度包囲される。
【0021】
なお、本実施形態においては、図3に示したように、サポート10を固定するための固定部20’(図2では図示省略)が荷台LPの床面にも備わっており、荷物Lと共にサポート10を運搬する場合の利便性に配慮されている。固定部20’は、固定部20と同様に複数の穴で構成されている。本実施形態においては、固定部20’を構成する複数の穴の一部が荷受台昇降装置100のクロスメンバ5に配置されており、荷台LPの右端でかつできるだけ後方の位置にサポート10を固定し、荷台LPにおいて荷物Lを積み込むスペースが狭まることを抑制している。
【0022】
-効果-
(1)本実施形態においては、荷受台4の荷受面の左右方向の一方側にサポート10を固定するための固定部20を備えているので、ガスボンベのような縦に細長く不安定な荷物Lであっても、固定部20にサポート10を固定してサポート10で支持することで転倒させることなく昇降させることができる。また、単に荷受台4にサポート10を装着するだけであり、固定部20が存在することを除けば荷台PLも荷受台4も一般的構成であるため、サポート10を取り外せば(或いはサポート10が装着されたままでも)その他の荷物の積み降ろしに支障なく用いることができる。加えて、固定部20は荷受台4の荷受面の左右方向の一方側に位置するため、サポート10は荷受面の左右方向の一方側に位置し、荷受面の左右方向の中央部に荷物Lの搬出入路が広く確保でき、荷台LPに対する荷物Lの積み降ろしを円滑に行うことができる。このように、本実施形態の荷受台昇降装置100によれば、汎用性を確保しつつ背の高い不安定な荷物Lを安定に昇降させることができる。
【0023】
(2)ここで、本発明の第1実施形態における荷物の積み降ろし時の荷受台上の動線を図4に、比較例における荷物の積み降ろし時の荷受台上の動線を図5に示す。
【0024】
図5に比較例として示したように、仮にサポート10の開口を後方に向けた場合、同図に矢印A”で示したように、地面に降ろした荷受台4に対して作業者Aが後方から荷物Lを運び込み、そのままの向きでサポート10にアクセスできる。しかし、荷受台4から荷台LPに荷物Lを載せる場合には、図5に矢印B”で示したように、荷台LPから荷受台4に乗り込んだ作業者Bは、サポート10の後側に回り込んでサポート10から後方に荷物Lを外し、更にサポート10を迂回して荷受台4から前方の荷台LPに荷物Lを運び込まなければならず円滑性を欠く。また、一般に荷受台4は左右の幅に対して前後の奥行が小さく、荷受面上でサポート10に対して荷物Lを脱着する際の作業者の立ち位置を広く確保することも困難である。
【0025】
それに対し、本実施形態において、サポート10は、荷受台4に立設される本体11と、この本体11と共に荷物Lを包囲する拘束部材12とを含んで構成される。そして、サポート10の本体11は、固定部20に固定すると、荷受台4の左右方向の他方側から、換言すれば荷受台4の左右方向の中央部側から、サポート10に対して荷物Lが脱着されるように固定される。
【0026】
そのため、地面から荷受台4に荷物Lを載せる場合、図4に矢印A’で示したように、地面に降ろした荷受台4に対して作業者Aが後方から荷物Lを運び込み、左向きに開口したサポート10に対して荷受台4の中央部側からアクセスできる。作業者Aは荷受台4に乗り込んだ後、体勢を右に向ければ荷物Lをサポート10に固定することができる。
【0027】
また、荷受台4から荷台LPに荷物Lを載せる場合、図4に矢印B’で示したように、荷台LPの高さに上げた荷受台4に対して荷台LPから作業者Bが乗り込み、サポート10から荷物Lを外して体勢を左に向け、荷受台4の中央部から荷台LPに荷物Lを運び込むことができる。
【0028】
このように、本実施形態においては、地面から荷受台4への荷物Lの積み込み、及び荷受台4から荷台LPへの荷物Lの積み込みの双方の作業がスムーズに行える。荷台LPから荷受台4への荷物Lの運び込み、荷受台4から地面への荷物Lの荷下ろしも同様である。また、荷受面の中央部が空くので、サポート10に対して荷物Lを脱着する際の作業スペースも広く確保できる。
【0029】
(3)サポート10の樋状の本体11が荷受台4の右側に配置されて左側に開口を向けるので、荷物Lの右側面のみならず前後もガードでき、荷物Lをより安定に保持することができる。また、左側通行の一般道路において車両Vを停車させている場合、通常は車両Vの右側を他の車両が通行することになる。この状態で荷受台昇降装置100を用いて荷物Lの積み下ろしをする際、サポート10の本体11が荷物Lを右側から包囲するので、荷物Lが荷受台4から右側に転落することを防止することができる。
【0030】
なお、サポート10の本体11は必ずしも樋状である必要はない。上記の基本効果(1)を得る上では、本体11は、例えば平面視でコの字型の形状であっても良いし、フラットな柵状、或いはポスト状に構成することも考えられる。また、図2に例示したように本体11で荷物Lの右半部が保持される構成に限らず、サポート10の本体11が荷物Lを包囲する程度は適宜変更可能であり、荷物Lの周囲360°のうち一部(<180°)を本体11で支持できる構成であれば良い。また、本体11の開口方向は、正確に左方向を向いている必要はなく、図4で説明したような動線で荷物Lを運搬できる限りにおいて、本体11の開口方向が前後に傾斜する構成(つまり左前方向又は左後方向に開口する構成)であっても良い。
【0031】
(4)荷受台昇降装置100は垂直式であり、車両Vが水平地に接地した状態であるとして、上下に延びる左右のポスト1L,1Rに沿って荷受台4が前後方向及び左右方向の速度成分を持たずに垂直に平行移動する。荷受面の角度変化もない。荷受台4の昇降動作に水平方向への速度成分がなく、荷受台4の昇降時に荷受面上の荷物Lの水平方向への加振を抑制することができる。荷物Lを360°包囲するサポート10と相俟って、不安定な荷物Lをより安定に昇降させることができる。
【0032】
(第2実施形態)
図6は本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置の斜視図、図7図6中の矢印VIIによる矢視部分図である。図7においては、荷受台4に荷物Lを積載した状態を表している。これらの図において、第1実施形態と同様の部分には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0033】
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、サポート10に代えて荷物Lの運搬台車をサポート10Aとする点である。また、荷受台4の荷受面上の左右方向の一方側(本実施形態では右側)には、運搬台車(サポート10A)を当該運搬台車が(すなわち運搬台車の前進方向が)荷受台4の左右方向の一方側を向く姿勢で保持し固定する固定部20Aを、穴である固定部20に代えて有している。
【0034】
サポート10Aとしての運搬台車としては例えば市販のもの(例えばガスボンベの運搬台車)を使用することができる。運搬台車は、荷物Lを荷受する底板15と、荷物Lの背もたれ16と、背もたれ16と共に荷物Lを包囲するチェーン17と、車輪18とを備えている。背もたれ16とチェーン17は、それぞれ第1実施形態のサポート10の本体11と拘束部材12に相当する。図示していないが、背もたれ16の上部にはグリップがあり、背もたれ16を後傾させることで車輪18を接地させ、荷物Lを底板15及び背もたれ16で受けた状態で手押しして運搬する。また、運搬台車は、図7のように背もたれ16を起立させると車輪18が地面から離れ、底板15が接地して自立する。
【0035】
固定部20Aは、本実施形態ではクランプで構成されている。このクランプは回転軸21を前後に延ばし、押さえ具22を左右方向の他方側(本実施形態では左側)に向けた姿勢で荷受面上に取り付けられている。クランプの押さえ具22は、ばね力又はターンオーバー機構により対象物を押さえ込む。図8に示したように、第1実施形態の固定部20’のように固定部20A’を荷台LPに追加して設けても良い。固定部20A’は固定部20Aと同様のものである。
【0036】
本実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0037】
本実施形態においても、荷物Lを荷台LPに積み込む際、図4に示したのと同様に、例えば、作業者Aは矢印A’で示した動線で地面から荷受台4に荷物Lを積み込み、作業者Bは矢印B’で示した動線で荷受台4から荷台LPに荷物Lを積み込む。荷台LPから荷物Lを降ろす場合は逆の動線が想定される。本実施形態の場合、荷物Lを積んだサポート10Aとしての運搬台車は、地面又は荷台LPから荷受台4に載せられ、右向きにされて固定部20Aとしてのクランプに正対する位置で起立させられる。この状態でクランプの押さえ具22で運搬台車の底板15を押さえ込むことで、サポート10Aが荷受面上で固定される。サポート10Aは、荷物Lの重量と固定部20Aの押さえ力により荷受面上で安定して固定される。
【0038】
本実施形態においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、市販の運搬台車をそのままサポート10Aとして用いることができることも利点である。
【0039】
(変形例)
以上の実施形態においては、格納時に荷受台4が起立する姿勢をとる荷受台昇降装置100に固定部20,20Aやサポート10,10Aを適用する例を説明したが、他の方式の荷受台昇降装置にも固定部20,20Aやサポート10,10Aは適用可能である。荷受台昇降装置には、上記の実施形態のように上下に延びるポスト1L,1Rに沿って荷受台4が昇降するタイプに限らず、アームの回動運動により荷受台を昇降させるタイプも存在する。また、シャシフレームの下側に荷受台を引き込んで格納する荷受台昇降装置もある。こうしたタイプの異なる荷受台昇降装置にも、固定部20,20Aやサポート10,10Aは適用可能であり、本質的効果を同様に得ることができる。
【0040】
また、上記実施形態では、固定部20,20Aを荷受台4の右側部分に設ける構成を例示挙げて説明したが、上記実施形態とは左右対称の構成、つまり荷受台4の左側部分に固定部20,20Aを設ける構成であっても良い。例えば、一般道路が右側通行である場合、固定部20,20Aを荷受台4の左側部分に設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0041】
1L,1R…ポスト、4…荷受台、10,10A…サポート、11…本体、12…拘束部材、20,20A…固定部、100…荷受台昇降装置、L…荷物、LP…荷台、V…車両
【要約】
【課題】汎用性を確保しつつ背の高い不安定な荷物を安定に昇降させることができる荷受台昇降装置を提供する。
【解決手段】車両の荷台の床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させる荷受台昇降装置であって、前記荷受台の荷受面の左右方向の一方側に、荷物を支持するサポートを固定するための固定部を備えている荷受台昇降装置を提供する。例えば、サポートは、前記荷受台に立設される本体を含んで構成され、前記固定部は、前記荷受台の左右方向の他方側から前記サポートに対して前記荷物が脱着されるように前記本体を固定する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7