(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】焦点調節装置、撮像装置および焦点調節方法
(51)【国際特許分類】
G02B 7/28 20210101AFI20241125BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20241125BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20241125BHJP
H04N 23/67 20230101ALI20241125BHJP
H04N 23/62 20230101ALI20241125BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20241125BHJP
【FI】
G02B7/28 N
G03B13/36
G03B17/02
H04N23/67
H04N23/62
H04N23/63 300
(21)【出願番号】P 2020047442
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲
(72)【発明者】
【氏名】小川 誠司
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-086965(JP,A)
【文献】国際公開第2013/089190(WO,A1)
【文献】特開2011-112741(JP,A)
【文献】特開2011-223476(JP,A)
【文献】特開2018-125612(JP,A)
【文献】特開2012-118192(JP,A)
【文献】特開2015-152750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28-7/40
H04N 23/62
H04N 23/63
H04N 23/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる操作が可能な操作手段と、
前記操作としての撮像画面内において焦点調節を行う焦点調節領域を移動させる移動操作に応じて、前記焦点調節領域を移動させる制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記移動操作の速度および
加速度のうち少なくとも一方に応じて前記焦点調節領域のサイズを変更することを特徴とする焦点調節装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記速度または前記
加速度が所定値より小さい場合は前記焦点調節領域のサイズを第1のサイズに設定し、前記速度または前記
加速度が前記所定値より大きい場合は前記焦点調節領域のサイズを前記第1のサイズより大きい第2のサイズに設定することを特徴とする請求項1に記載の焦点調節装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記速度または前記
加速度が前記所定値より大きく、かつその後の前記移動操作の前記速度または前記
加速度が前記所定値より大きい場合に前記焦点調節領域のサイズを前記第2のサイズに設定することを特徴とする請求項2に記載の焦点調節装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記速度または前記
加速度が前記所定値より大きく、かつ前記移動操作における移動量が所定量より大きい場合に前記焦点調節領域のサイズを前記第2のサイズに設定することを特徴とする請求項2に記載の焦点調節装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記速度または前記
加速度が前記所定値より大きく、かつ前記移動操作の方向において被写体が検出された場合は、該被写体を含むように前記第2のサイズを設定することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の焦点調節装置。
【請求項6】
前記制御手段は、ユーザにより選択された焦点調節方式が前記焦点調節領域のサイズが前記第1のサイズである方式である場合において、前記速度または前記
加速度が前記所定値より大きいときに前記焦点調節領域のサイズを前記第1のサイズから前記第2のサイズに変更することを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の焦点調節装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記焦点調節領域のサイズを前記第2のサイズに設定して撮像が行われた後に、前記焦点調節領域のサイズを前記第1のサイズに戻すことを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の焦点調節装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記焦点調節領域のサイズを前記第2のサイズに設定した後、所定時間の間、焦点調節が行われなかった場合に、前記焦点調節領域のサイズを前記第1のサイズに戻すことを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の焦点調節装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記焦点調節領域のサイズを前記第2のサイズに設定した後に被写体が検出され続けている間は、前記焦点調節領域のサイズを前記第2のサイズに維持することを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の焦点調節装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記所定値を撮像モードに応じて変更することを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の焦点調節装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記所定値を、被写体に応じて変更することを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の焦点調節装置。
【請求項12】
前記操作手段は、タッチパネルまたはオプティカルポインタであり、
前記制御手段は、前記移動操作の前記速度または前記
加速度としての前記操作手段におけるタッチ位置の移動速度または
フリックの加速度に応じて前記焦点調節領域のサイズを変更することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の焦点調節装置。
【請求項13】
前記操作手段は、前記移動操作によって動く可動部材であり、
前記制御手段は、前記可動部材の動きの速度または
加速度に応じて前記焦点調節領域のサイズを変更することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の焦点調節装置。
【請求項14】
前記操作手段は、前記ユーザの視線を検出し、
前記制御手段は、前記移動操作の速度としての前記視線の変化の速度に応じて前記焦点調節領域のサイズを変更することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の焦点調節装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の焦点調節装置と、
撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項16】
操作手段に対するユーザの操作を検出するステップと、
前記操作としての撮像画面内において焦点調節を行う焦点調節領域を移動させる移動操作に応じて、前記焦点調節領域を移動させるステップと、
前記移動操作の速度および
加速度のうち少なくとも一方に応じて前記焦点調節領域のサイズを変更するステップとを有することを特徴とする焦点調節方法。
【請求項17】
コンピュータに、請求項16に記載の焦点調節方法に従う処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが焦点調節領域を指定することが可能な焦点調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焦点調節装置には、特許文献1により開示されているように、タッチパネル上でのユーザの任意のタッチ位置からの移動量(操作量)に応じて、撮像画面内で焦点調節領域の位置を変更することが可能なものがある。この焦点調節領域の変更方式を相対座標方式という。このような焦点調節装置によれば、例えば撮像画面内で移動する被写体に合わせてユーザが焦点調節領域の位置を変更し、該被写体に対する焦点調節を精度良く行わせることが容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、相対座標方式では、撮像構図を頻繁に変えて撮像を行うような場合に、撮像画面内で位置が変化する被写体に合わせて焦点調節領域の位置を迅速に変更することが難しい。
【0005】
本発明は、ユーザが撮像画面内での焦点調節領域の位置を迅速に変更することができるようにした焦点調節装置およびこれを備えた撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての焦点調節装置は、ユーザによる操作が可能な操作手段と、該操作としての撮像画面内において焦点調節を行う焦点調節領域を移動させる移動操作に応じて、焦点調節領域を移動させる制御手段とを有する。制御手段は、移動操作の速度および加速度のうち少なくとも一方に応じて焦点調節領域のサイズを変更することを特徴とする。なお、上記焦点調節装置を有する撮像装置も、本発明の他の一側面を構成する。
【0007】
また本発明の他の一側面としての焦点調節方法は、操作手段に対するユーザの操作を検出するステップと、該操作としての撮像画面内において焦点調節を行う焦点調節領域を移動させる移動操作に応じて、焦点調節領域を移動させるステップと、移動操作の速度および加速度のうち少なくとも一方に応じて焦点調節領域のサイズを変更するステップとを有することを特徴とする。なお、コンピュータに上記焦点調節方法に従う処理を実行させるコンピュータプログラムも、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが撮像画面内での焦点調節領域の位置を迅速に変更する(移動させる)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例である焦点調節装置を含むデジタルカメラの外観図。
【
図2】上記デジタルカメラの構成を示すブロック図。
【
図3】実施例において実行される撮像処理を示すフローチャート。
【
図4】実施例におけるAF枠のサイズ拡張を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1(a),(b)は、本発明の実施例である焦点調節装置を備えた撮像装置としてのレンズ交換式デジタルカメラ(以下、単にカメラという)100の外観を示す。
図1(a)は斜め前から見たカメラ100を、
図1(b)は斜め後から見たカメラ100を示している。また
図2は、カメラ100とそのマウント部に着脱可能に装着されたレンズユニット150の構成を示している。
【0012】
カメラ100の背面に設けられた背面表示部28は、LCDや有機EL等の表示パネルであり、画像や各種情報を表示する。背面表示部28の表示面にはタッチパネル(操作手段)70aが備えられている。タッチパネル70aは、ユーザの指やユーザが手に持ったペン等の接触(タッチダウン)や移動(タッチムーブ、フリック等の移動操作)を検出する。タッチパネル70aとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式および光センサ方式等の様々な方式のタッチパネルを用いることができる。また、タッチパネル70aへの接触として、接近を検出してもよい。
【0013】
カメラ100の上面に設けられたファインダ外表示部43は、シャッタ速度や絞り値等の様々な設定値を表示する。シャッタボタン61は、ユーザによりAE(自動露出制御)やAF(オートフォーカス制御)等を含む撮像準備処理の実行を指示するために半押し操作されたり、撮像記録処理の実行を指示するために全押し操作されたりする。モード切替スイッチ60は、撮像モードを静止画モードや動画モード等に切り替えるためにユーザにより操作される。
【0014】
メイン電子ダイヤル71は、シャッタ速度や絞り値等の設定値の変更等を行うためにユーザにより回転操作される。電源スイッチ72は、カメラ100の電源のON/OFFを切り替えるためにユーザにより押し操作される。サブ電子ダイヤル73は、後述するAF枠等の選択枠を移動させたり背面表示部28に表示される画像を切り替えたりするためにユーザにより回転操作される。十字キー74は、その4箇所をユーザにより押し操作されることにより、背面表示部28に表示されるメニューにおける項目選択等を可能とする。SETボタン75は、メニューにおける選択項目の決定等のためにユーザにより押し操作される。動画ボタン76は、動画撮像(録画)の開始/停止の指示のためにユーザにより押し操作される。
【0015】
AEロックボタン77は、AEによる露出状態を固定するためにユーザにより押し操作される。拡大ボタン78は、ライブビュー表示における拡大モードをON/OFFするためにユーザにより押し操作される。拡大モードがONの状態でユーザがメイン電子ダイヤル71を回転操作することで、ライブビュー画像を拡大したり縮小したりすることができる。
【0016】
再生ボタン79は、撮像を行う撮像モードと撮像済み画像を背面表示部28に表示させる再生モードとを切り替えるためにユーザにより押し操作される。メニューボタン81は、メニューを背面表示部28に表示させるためにユーザにより押し操作される。マルチコントローラ(MC)65は、ユーザにより8方向部分を押し操作されたり中央部を押し操作されたりすることで、十字キー74やSETボタン75等と同様の機能を果たす。AF-ONボタン80は、シャッタボタン61を半押し操作せずにAFを実行させるためにユーザにより押し操作される。
【0017】
カメラ100のマウント部に設けられた通信端子10は、カメラ100とレンズユニット150と通信を行うための電気端子である。カメラ100の背面上部には、覗き込み型ファインダの接眼部16が設けられている。ユーザは、接眼部16を通してカメラ100内のEVF(Electric Viewfinder)29に表示された画像を観察することができる。EVF29は、LCDや有機EL等の表示デバイスである。
【0018】
接眼検出部57は、ユーザの眼(顔)が接眼部16に接している接眼状態か否(非接眼状態)かを検出する。接眼検出部57としては、例えば赤外線の近接物体での反射を利用した近接センサを用いることができる。
【0019】
カメラ100の側面に設けられた端子カバー40は、カメラ100と外部機器との通信を行うためのケーブルを接続する不図示のコネクタを保護するカバーである。スロット蓋202は、記録媒体200を格納するスロットを覆うカバーである。グリップ部90は、ユーザがカメラ100を握る部分である。
【0020】
図2において、レンズユニット150は、絞り1およびフォーカスレンズ5その他の不図示のレンズを含む撮像光学系を有する。絞り1はその開口径を変化させて光量を調節し、フォーカスレンズ5は光軸方向に移動して焦点調節(フォーカシング)を行う。通信端子6は、レンズユニット150とカメラ100との通信を行うための電気端子であり、カメラ100の通信端子10と接続される。レンズ制御部4は、カメラ100内のカメラ制御部50からの指示に応じて、絞り駆動部2を介して絞り1を制御し、AF駆動回路3を介してフォーカスレンズ5を移動させる。
【0021】
カメラ100において、メカニカルシャッタ101は、撮像素子22の露光時間を制御する。撮像素子22は、CCDセンサやCMOSセンサ等により構成され、撮像光学系により形成された光学像を撮像(光電変換)する。A/D変換器23は、撮像素子22から出力されたアナログ撮像信号をデジタル撮像データに変換する。画像処理部24は、A/D変換器23からのデジタル撮像データまたは後述するメモリ制御部15からのデジタル撮像データに対して画素補間処理、リサイズ処理および色変換処理およびAWB(オートホワイトバランス)処理等の画像処理を行って画像データを生成する。また画像処理部24は、画像データを用いてAEおよびAF等のための演算を行う。
【0022】
メモリ制御部15は、A/D変換器23、画像処理部24およびメモリ32間のデータ送受を制御する。メモリ32は、デジタル撮像データや画像データを格納する。メモリ32は、画像表示用メモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。メモリ32に書き込まれた表示用の画像データはメモリ制御部15を介して背面表示部28およびEVF29に表示される。記録用撮像の前に撮像素子22を通じて生成されてメモリ32に順次蓄積された画像データ(フレームデータ)を背面表示部28やEVF29に逐次転送して、それらにライブビュー画像の表示(ライブビュー表示)を行わせる。
【0023】
操作手段の1つである視線検出ユニット160は、赤外発光ダイオード166、ダイクロイックミラー162、結像レンズ163、視線センサ164および視線検出部165を有する。赤外発光ダイオード166は、接眼部16を覗いているユーザの眼球161に赤外光を照射する。眼球161で反射した赤外光は、ダイクロイックミラー162で反射され、結像レンズ163を介して視線センサ164の撮像面上に赤外像を形成する。ダイクロイックミラー162は、EFV29からの可視光を透過し、赤外光を反射する。視線センサ164は、CCDセンサ等により構成され、赤外像を光電変換する。視線検出部165は、視線センサ164からの出力信号に応じて、角膜反射法や強膜反射法等の方法を用いてユーザの眼球161の視線(見ている方向)を検出し、検出した視線情報をカメラ制御部50に出力する。
【0024】
ファインダ外表示駆動部44は、カメラ制御部50から受け取った各種設定値の情報を前述したファインダ外表示部43に表示させる。
不揮発性メモリ56は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、Flash-ROM等が用いられる。不揮発性メモリ56には、カメラ制御部50の動作用の定数やコンピュータプログラム等が記憶される。
【0025】
カメラ制御部50は、CPUやMPU等により構成されるマイクロコンピュータであり、カメラ100全体およびレンズユニット150を制御する。カメラ制御部50は、後述するSW1信号に応じてAEやAF等の撮像準備処理を行い、SW2信号に応じて撮像素子22からの撮像信号の読み出しから画像処理部24により生成された画像データを記録媒体200に書き込む(記録する)までの一連の撮像記録処理を行う。
【0026】
またカメラ制御部50は、接眼検出部57により接眼状態が検出されるとEVF29にライブビュー表示を行わせるとともに背面表示部28を非表示状態とする。また接眼検出部57により非接眼状態が検出されるとEVF29を非表示状態とするとともに背面表示部28にライブビュー表示を行わせる。
【0027】
さらにカメラ制御部50は、視線検出ユニット160から得られる視線情報を用いてユーザの視線入力や視線移動等をユーザ操作として検出したり、タッチパネル70aからの出力信号を用いてタッチパネル70aへのタッチダウン、タッチムーブおよびフリック等のユーザ操作を検出したりすることができる。具体的には、カメラ制御部50は、視線検出ユニット160からの視線情報を用いて、ユーザが接眼部16に接眼して視線入力を開始した又は継続中であることや、表示画面(すなわち撮像画面)内におけるユーザの視線が向かう位置(ユーザが注視している位置)とその移動を検出することができる。「注視」とは、ユーザの視線が所定時間内に所定量を超えて変化しないことをいう。タッチパネル70a上のユーザ操作の検出ついては後に詳しく説明する。
【0028】
システムメモリ52は、RAM等により構成され、カメラ制御部50の動作用の定数、変数が保持されるとともに、不揮発性メモリ56から読み出されたコンピュータプログラムが展開される。カメラ制御部50は、メモリ32および背面表示部28を制御する表示制御も行う。
【0029】
システムタイマ53は、各制御に用いられる時間や時刻を計測する。他の操作手段としての操作部70は、前述したタッチパネル70a、シャッタボタン61の半押し操作と全押し操作によってそれぞれSW1信号とSW2信号を出力する第1シャッタスイッチ62と第2シャッタスイッチ64、モード切替スイッチ60および電源スイッチ72を含む。また操作部70は、
図2には示していないが、
図1に示したマルチコントローラ65、メイン電子ダイヤル71、サブ電子ダイヤル73、十字キー74、SETボタン75、動画ボタン76、AEロックボタン77、拡大ボタン78、再生ボタン79、メニューボタン81およびAF-ONボタンを含む。
【0030】
電源制御部80は、電池の装着の有無、装着された電池の種類および電池残量の検出を行う。電源部30は、一次電池、二次電池またはACアダプタ等により構成される。記録媒体I/F18は、カメラ100に対して着脱可能な記録媒体200とのインターフェースである。記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成され、画像データを記録する。
【0031】
通信部54は、外部機器との間で無線通信または有線通信により映像信号や音声信号を送受信する。通信部54は、無線LANやインターネットとも接続可能であり、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energyでも外部機器と通信可能である。
【0032】
姿勢検出部55は、加速度センサやジャイロセンサ等を用いて重力方向に対するカメラ100の姿勢を検出する。カメラ制御部50は、姿勢検出部55により検出された姿勢を用いて、撮像素子22による撮像により生成された画像データの向きを判別する。
【0033】
次に、カメラ制御部50によるタッチパネル70a上でのユーザ操作の検出について詳しく説明する。タッチパネル70aは、ユーザによる背面表示部28に表示された画像の観察を妨げないように背面表示部28の表示画面の上層に取り付けられる。
【0034】
カメラ制御部50は、タッチパネル70aからの出力信号から、タッチパネル70aに対してユーザがタッチしていない状態(タッチオフ)を検出することができ、さらにタッチパネル70aに対するユーザ操作として、タッチパネル70aへの新たなタッチ(タッチダウン)、タッチ中(タッチオン)、タッチ位置の移動(タッチムーブ)およびタッチ解除(タッチアップ)を検出することができる。
【0035】
タッチダウンが検出されると、同時にタッチオンも検出される。タッチダウンの検出後、タッチアップが検出されない限りは、タッチオンが検出され続ける。タッチオンの検出状態においてタッチムーブが検出される。タッチムーブは、垂直方向の成分と水平方向の成分とが検出される。タッチオンが検出されていても、タッチ位置が移動していなければタッチムーブは検出されない。指やペン等の全てのタッチアップが検出されると、タッチオフが検出される。カメラ制御部50は、これらの検出結果とタッチパネル70a上でのタッチ位置(入力座標)を取得する。
【0036】
カメラ制御部50は、タッチムーブが行われた際にその方向と速度(タッチ位置の移動速度)を検出することもできる。さらに、カメラ制御部50は、所定速度以上の速度での所定距離以上の距離のタッチムーブとその直後のタッチアップ、つまりはタッチパネル70a上を指ではじくように素早くなぞる操作を、フリックとして検出する。この際、カメラ制御部50は、フリックの加速度をフリックの強度(タッチ強度)として検出することができる。
【0037】
また、複数(例えば2)のタッチ位置からの同時のタッチムーブであって該複数のタッチ位置が互いに近づく場合をピンチインとして検出し、複数のタッチ位置が互いに遠ざかる場合はピンチアウトとして検出する。ピンチアウトとピンチインをまとめてピンチともいう。
【0038】
ユーザは、AF枠等の選択枠の位置指定方式を絶対位置方式と相対位置方式のいずれかに設定することができる。絶対位置方式では、タッチパネル70a上のタッチ位置に対応する位置に選択枠が設定される。すなわち、タッチパネル70a上の座標と背面表示部28上の座標とが対応付けられる。このため、タッチパネル70a上における現在の選択枠の位置にタッチダウンがなされ、それに続くタッチムーブ後のタッチ位置に選択枠が移動する。一方、相対位置方式では、タッチパネル70a上の座標と背面表示部28上の座標とが対応付けられない。このため、タッチパネル70a上でのタッチダウンの位置に関わらず、それに続くタッチムーブの方向にその量に応じた距離だけ選択枠が現在の位置から移動する。
【0039】
焦点調節領域を示すAF枠には、一点AF用、顔+追尾優先AF用およびゾーンAF用の3種類がある。一点AFはユーザが指定したピンポイントに対するAFであり、一点AF用のAF枠のサイズ(第1のサイズ)は小さい。顔+追尾優先AFはカメラ制御部50が画像データ内で検出した顔に対するAFであり、顔+追尾優先AF用のAF枠は撮像画面内での顔の大きさに依存したサイズ(第1のサイズ)を有する。ゾーンAFは、撮像画面内の広い範囲で検出した被写体に対するAFであり、一点AF用および顔+追尾優先AF用のAF枠より大きいサイズ(第2のサイズ)を有する。一点AF、顔+追尾優先AFおよびゾーンAFは、ユーザがAF方式(焦点調節方式)の選択メニューにおいて選択することができる。
【0040】
図3のフローチャートは、カメラ制御部50がコンピュータプログラムに従って実行する撮像処理(撮像準備処理(焦点調節方法)+撮像記録処理)を示している。本実施例では、撮像モードにおいて、タッチムーブの速度およびフリックの強度に応じてAF枠の位置とサイズを変更する。
【0041】
ステップS301において、カメラ制御部50は、フラグや制御変数等を初期化する。またカメラ制御部50は、初期設定のAF方式(所定方式)としてユーザが予め設定していた一点AFまたは顔+追尾優先AFを設定する。一点AFにおいてはAF枠は撮像画面の中央等に設定され、顔+追尾優先AFにおいてはAF枠は顔を含む位置に設定される。
【0042】
次にステップS302では、カメラ制御部50は、タッチパネル70aに対してタッチダウンがなされたか否かを判定する。タッチダウンがなされた場合はステップS303に進み、そうでなければS308に進む。
【0043】
ステップS303では、カメラ制御部50は、タッチパネル70aに対してタッチムーブがなされたか否かを判定する。タッチムーブがなされた場合はステップS304に進み、そうでなければS308に進む。
【0044】
ステップS304では、カメラ制御部50は、タッチムーブの速度が閾値(所定値)以上か否かを判定する。閾値以上であればステップS305に進み、そうでなければステップS306に進む。
【0045】
ステップS305では、カメラ制御部50は、AF方式を初期設定のAF方式からゾーンAFに変更する。これにより、AF枠も、初期設定のAF方式用のAF枠からよりサイズが大きいゾーンAF用のAF枠に拡張される。タッチムーブの速度が閾値以上であることはユーザがAF枠の位置を素早く変えようとしていることを意味するため、AF枠のサイズを大きくすることでユーザは目標の位置に素早くAF枠を移動させることができる。この後、ステップS307に進む。
【0046】
図4(a)は、撮像画面401内に存在する被写体としての人402と飛行機403のうち、人402の顔を含むように一点AFまたは顔+追尾優先AF用のAF枠405が設定されている状態を示している。
図4(b)は、ステップS305にてゾーンAFが設定され、これに伴い飛行機403を含むようにAF枠405よりサイズが拡張されたゾーンAF用のAF枠406が設定された状態を示している。サイズが小さいAF枠405を、人(顔)402から距離が離れた飛行機403に合わせるように迅速に移動させることは難しい。しかし、サイズが大きいAF枠406であれば、少しの距離を移動させるだけで飛行機403がAF枠406に含まれるので、迅速に飛行機403にピントを合わせて撮像を行うことができる。
【0047】
ステップS306では、カメラ制御部50は、AF方式を初期設定のAF方式に設定する。そしてステップS307に進む。
【0048】
ステップS307では、カメラ制御部50は、ステップS303で検出したタッチムーブの方向と距離に応じてAF枠を移動させ、ステップS305またはステップS306で設定されたAF方式に対応するサイズのAF枠を設定して背面表示部28またはEVF29に表示する。
【0049】
一方、ステップS308では、カメラ制御部50は、タッチパネル70aに対してタッチアップがなされたか否かを判定する。タッチアップがなされた場合はステップS309に進み、そうでなければS314に進む。
【0050】
ステップS309では、カメラ制御部50は、タッチパネル70aに対してフリックがなされたか否かを判定する。フリックがなされた場合はS310に進み、そうでなければステップS314に進む。
【0051】
ステップS310では、カメラ制御部50は、フリックの強度が閾値(所定値)以上であるか否かを判定する。閾値以上であればステップS311に進み、そうでなければステップS312に進む。
【0052】
ステップS311では、カメラ制御部50は、初期設定のAF方式をゾーンAFに変更する。これにより、AF枠も、初期設定のAF方式用のAF枠からよりサイズが大きいゾーンAF用のAF枠に拡張される。フリックの強度が閾値以上であることはユーザがAF枠の位置を素早く変えようとしていることを意味するため、AF枠のサイズを大きくすることでユーザは目標の位置に素早くAF枠を移動させることができる。この後、ステップS313に進む。
【0053】
ステップS312では、カメラ制御部50は、AF方式を初期設定のAF方式に設定する。そしてステップS313に進む。
【0054】
ステップS313では、カメラ制御部50は、ステップS309で検出したフリックの方向と強度に応じてAF枠の移動方向と移動距離を算出し、該移動方向に該移動距離だけAF枠を移動させる。さらに、ステップS311またはステップS312で設定されたAF方式に対応するサイズのAF枠を設定して背面表示部28またはEVF29に表示する。
【0055】
またステップS314では、カメラ制御部50は、操作部70に含まれるAF-ONボタンが押し操作されたた否かを判定する。押し操作されていればステップS315に進み、そうでなければステップS319に進む。
【0056】
ステップS315では、カメラ制御部50は、AF-ON操作フラグをONに設定する。そしてステップS316では、カメラ制御部50は、AFモードがサーボAFモードであるか否(ワンショットAF)かを判定する。サーボAFモードでは、AF枠の位置で継続してAFを実行し続ける。ワンショットAFモードでは、一旦、合焦状態が得られるとAFが停止(ロック)される。AFモードがサーボAFモードである場合はステップS317に進み、そうでなければステップS318へ進む。
【0057】
ステップS317では、カメラ制御部50は、AF枠内の被写体に対するサーボAFを実行する。その後、ステップ319に進む。一方、ステップS318では、カメラ制御部50は、AF枠内の被写体に対するワンショットAFを実行する。その後、ステップS319に進む。
【0058】
ステップS319では、カメラ制御部50は、AF-ONボタンの押し操作が解除されたか否かを判定する。解除されていればステップS320に進み、そうでなければステップS322に進む。
【0059】
ステップS320では、カメラ制御部50は、AF-ON操作フラグをOFFに設定する。そしてステップS321では、カメラ制御部50は、AFを停止する。
【0060】
一方、ステップS322では、カメラ制御部50は、SW1信号が発生したか否かを判定する。発生していればステップS323に進み、そうでなければ本ステップでの判定を繰り返す。
【0061】
ステップS323では、カメラ制御部50は、AF-ON操作フラグがONであるか否かを判定する。ONであればステップS327に進み、そうでなければステップS324に進む。
【0062】
ステップS324では、カメラ制御部50は、AFモードがサーボAFモードであるか否(ワンショットAFモード)かを判定する。サーボAFモードである場合はステップS325に進み、そうでなければステップS326に進む。
【0063】
ステップS325では、カメラ制御部50は、AF枠内の被写体に対するサーボAFを実行する。そしてステップS327に進む。またステップS326では、カメラ制御部50は、AF枠内の被写体に対するワンショットAFを実行する。そしてステップS327に進む。
【0064】
ステップS327では、カメラ制御部50は、SW2信号が発生したか否かを判定する。発生していればステップS328に進み、そうでなければステップS329に進む。
【0065】
ステップS328では、カメラ制御部50は、撮像記録処理を実行する。そしてステップS329では、カメラ制御部50は、操作部70に対して終了操作(例えば、再生ボタン79の押し操作による撮像モードの終了および再生モードへの遷移)がなされたか否かを判定する。終了操作がなされた場合は本撮像処理を終了し、そうでなければステップS302に戻る。
【0066】
以上説明した本実施例によれば、タッチムーブの速度やフリックの強度に応じてAF枠(焦点検出領域)のサイズを制御するので、ユーザが撮像画面内での被写体に位置に合わせてAF枠の位置を迅速に変更することができる。
【0067】
また、AF枠の位置とサイズを変更するための操作はタッチパネル70aに対するものに限らない。すなわち、接触面上での指の接触や動きを光学的に検出するオプティカルポインタに対する操作であってもよいし、メイン電子ダイヤル71、サブ電子ダイヤル73および十字キー74等の可動部材としての操作部材を物理的に動かす操作であってもよい。また視線センサ164により検出される視線の変化を操作としてもよい。これらいずれの操作に対しても、該操作の速度または強度に応じてAF枠のサイズを変更してもよい。
【0068】
また、AF枠を拡張するための条件は、タッチムーブの速度やフリックの強度が閾値以上であることだけに限られない。例えば、閾値以上の速度のタッチムーブの速度を検出した後、所定時間内に再度、閾値以上の速度のタッチムーブを検出することを条件としてAF枠を拡張してもよい。また、タッチムーブの移動量が閾値以上の速度で所定距離以上の距離(所定量以上の移動量)である場合にAF枠を拡張するようにしてもよい。またタッチムーブが閾値以上の速度で、かつタッチムーブの方向に顔等の被写体が検出されている場合に、その検出された被写体を含むようにAF枠を設定してもよい。さらに、タッチムーブが閾値以上の速度であって現在のAF方式が一点AFや顔+追尾優先AFであればAF枠を拡張し、現在のAF方式がゾーンAFであればAF枠を拡張しないようにしてもよい。
【0069】
その他、AF枠が拡張されて撮像記録処理が行われた後には、AF枠を元のサイズに戻す(縮小する)ようにしてもよい。またAF枠が拡張された後、所定時間の間、AFが行われなかった場合にAF枠を元のサイズに戻すようにしてもよい。さらにAF枠が拡張されてから被写体を検出し続けている間は、拡張したAF枠を維持するようにしてもよい。
【0070】
また、タッチムーブの速度やフリックの強度に対する閾値を、撮像モード(静止画モードおよび動画モード)や撮像シーン(被写体が動体か否か)に応じて可変としてもよい。例えば、撮像モードが静止画モードでは閾値を下げ、動画モードでは閾値を上げるようにしてもよい。。また被写体が動体である撮像シーンでは閾値を下げ、そうでない撮像シーンでは閾値を上げるようにしてもよい。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0071】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
50 カメラ制御部
70a タッチパネル