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特許7592423複合導電粒子、及び複合導電粒子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】複合導電粒子、及び複合導電粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/00 20060101AFI20241125BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
H01B5/00 C
H01B1/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020129750
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022026341
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【弁理士】
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】波木 秀次
(72)【発明者】
【氏名】和久 香緒里
(72)【発明者】
【氏名】西尾 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄介
(72)【発明者】
【氏名】久我 生子
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-094078(JP,A)
【文献】特開2018-049939(JP,A)
【文献】特開2004-179137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/00
H01B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
母粒子と、
前記母粒子の表面に配され、カルボキシル基を有する樹脂粒子と、
前記樹脂粒子と接する半田粒子
を備える複合導電粒子。
【請求項2】
前記樹脂粒子及び前記半田粒子の平均粒径が、前記母粒子の平均粒径の1/10~1/100000である請求項1に記載の複合導電粒子。
【請求項3】
前記樹脂粒子及び前記半田粒子の平均粒径が、前記母粒子の平均粒径の1/100~1/10000である請求項1に記載の複合導電粒子。
【請求項4】
前記母粒子が、樹脂粒子、樹脂コア導電粒子、有機無機ハイブリッド粒子、金属粒子から選択される1種である請求項1~3のいずれか1項に記載の複合導電粒子。
【請求項5】
前記樹脂粒子が、ビスフェノールAO,O-二酢酸である請求項1~4のいずれか1項に記載の複合導電粒子。
【請求項6】
母粒子と、カルボキシル基を有する樹脂粒子と、半田粒子とを、メカノケミカル法により混合し、前記母粒子の表面に前記樹脂粒子を配し、前記半田粒子を前記樹脂粒子と接させる複合導電粒子の製造方法。
【請求項7】
母粒子と、カルボキシル基を有する樹脂粒子とを、メカノケミカル法により混合した後、半田粒子をメカノケミカル法により混合し、前記母粒子の表面に前記樹脂粒子を配し、前記半田粒子を前記樹脂粒子と接させる複合導電粒子の製造方法
【請求項8】
前記樹脂粒子と前記半田粒子との配合比(樹脂粒子の質量:半田粒子の質量)が、0.001:1~0.3:1である請求項6又は7記載の複合導電粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、粒子表面に金属膜が形成された複合導電粒子、及び複合導電粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メカノケミカル法により母粒子の表面に小粒子を物理的に衝突させ、母粒子の表面に小粒子で膜を形成する技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図6は、従来法により母粒子表面に金属膜を形成した被覆導電粒子を説明するための断面図であり、図7は、従来の被覆導電粒子を加圧した際の金属膜を説明するための断面図である。図6に示すように、従来法により母粒子101表面に金属膜104を形成する場合、金属粒子103の種類によっては、金属膜104を形成することが困難な場合があった。また、金属膜104を形成することができても金属膜104が脆いことがあった。また、図7に示すように、金属端子110,120間に被覆導電粒子を挟持した場合、金属膜104が割れたり、金属膜104が母粒子101から剥がれたりすることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-209491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、金属膜の割れや剥がれを抑制し、金属膜の優れた密着性が得られる複合導電粒子、及び複合導電粒子の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る複合導電粒子は、母粒子と、前記母粒子の表面に配され、カルボキシル基を有する樹脂粒子と、前記樹脂粒子と接する半田粒子とを備える。
【0007】
本技術に係る複合導電粒子の製造方法は、母粒子と、カルボキシル基を有する樹脂粒子と、半田粒子とを、メカノケミカル法により混合し、前記母粒子の表面に前記樹脂粒子を配し、前記半田粒子を前記樹脂粒子と接させる。
【0008】
本技術に係る複合導電粒子の製造方法は、母粒子と、カルボキシル基を有する樹脂粒子とを、メカノケミカル法により混合した後、半田粒子をメカノケミカル法により混合し、前記母粒子の表面に前記樹脂粒子を配し、前記半田粒子を前記樹脂粒子と接させる。
【発明の効果】
【0009】
本技術によれば、カルボキシル基を有する樹脂粒子が母粒子の表面に配され、半田粒子樹脂粒子に接するため、金属膜の優れた密着性を得ることができ、優れた導通特性を得ることができる

【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本技術を適用した第1の複合導電粒子を示す断面図である。
図2図2は、本技術を適用した第2の複合導電粒子を示す断面図である。
図3図3は、第1の実施の形態に係る複合導電粒子の製造方法における混合工程を説明するための断面図である。
図4図4は、第2の実施の形態に係る複合導電粒子の製造方法における第1の混合工程を説明するための断面図である。
図5図5は、第2の実施の形態に係る複合導電粒子の製造方法における第1の混合工程を説明するための断面図である。
図6図6は、従来法により母粒子表面に金属膜を形成した被覆導電粒子を説明するための断面図である。
図7図7は、従来の被覆導電粒子を加圧した際の金属膜を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.複合導電粒子
2.複合導電粒子の製造方法
3.実施例
【0012】
<1.複合導電粒子>
本実施の形態に係る複合導電粒子は、母粒子と、母粒子の表面に配され、酸素原子を含む接着微粒子と、接着微粒子と接する導電微粒子とを備える。酸素原子を含む接着微粒子が母粒子の表面に配され、導電微粒子が接着微粒子に接することにより、金属膜の優れた密着性を得ることができる。
【0013】
ここで、「接着微粒子が母粒子の表面に配された状態」とは、少なくとも接着微粒子が母粒子の表面に直接接している状態を含む。また、「導電微粒子が接着微粒子に接した状態」とは、少なくとも導電微粒子が接着微粒子に直接接している状態を含む。このような状態は、例えば、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-TEM/EDS)を用いて、複合導電粒子の断面を観察することにより確認することができる。
【0014】
図1は、本技術を適用した第1の複合導電粒子を示す断面図である。第1の複合導電粒子10は、母粒子11と、母粒子11の表面に配され、酸素原子を含む接着微粒子12と、接着微粒子12と接する導電微粒子13とを備え、母粒子11表面に接着微粒子12と導電微粒子13とが混在した複合導電層14が形成されてなる。
【0015】
母粒子11としては、樹脂粒子、樹脂コア導電粒子、有機無機ハイブリッド粒子、金属粒子などが挙げられる。樹脂粒子を構成する樹脂としては、例えば、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン-シリカ複合樹脂などが挙げられる。樹脂コア導電粒子は、前述の樹脂粒子の表面に金属メッキ層が設けられたものである、金属メッキ層は、ニッケル、銀、銅、金、及びパラジウムの少なくともいずれかの単体金属又は合金であることが好ましい。金属メッキ層の厚みは、好ましくは50nm以上300nm以下、より好ましくは80nm以上250nm以下である。金属メッキ層が複数の金属層で構成される場合は、総厚みが前記範囲を満たすことが好ましい。有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された粒子などが挙げられる。金属粒子としては、例えば、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウム、半田などが挙げられる。これらの中でも、応力緩和性に優れる樹脂粒子や樹脂コア導電粒子を用いることが好ましい。
【0016】
母粒子11の平均粒径は、3μm~300μmであることが好ましく、10μm~50μmであることがより好ましい。これにより、メカノケミカル法を用いて、良好な金属膜を形成することができる。なお、平均粒径は、画像型粒度分布計(一例として、FPIA-3000:マルバーン社製)により測定した値とすることができる。測定個数は1000個以上、好ましくは2000個以上であることが好ましい。
【0017】
接着微粒子12としては、酸素原子を有する有機ポリマー粒子、有機モノマー粒子を含む有機微粒子、無機微粒子などが挙げられる。有機微粒子としては、酸素原子を有していれば、特に限定されるものではなく、例えば、(メタ)アクリレート化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。ここで、(メタ)アクリレート化合物は、アクリレート、及びメタクリルレートを含み、ポリマーであってもモノマーであってもよい。また、エポキシ化合物は、プレポリマー、及びこれを硬化させた樹脂を含むものである。
【0018】
また、複合導電粒子10にフラックス機能を付与させるために、カルボキシル基を有する樹脂粒子を用いることが好ましい。カルボキシル基を有する樹脂粒子としては、ビスフェノールAO,O-二酢酸などを挙げることができる。これにより、電極の表面の酸化膜や汚れを除去することができる。また、導電微粒子13としてSnBi、SnAgCuなどの半田微粒子を用いた場合、前述の電極表面だけでなく、溶けた半田表面の酸化膜や汚れも除去することができる。
【0019】
接着微粒子12の平均粒径は、母粒子11の平均粒径の1/10から1/100000であることが好ましく、1/100から1/10000であることがより好ましい。これにより、導電微粒子13により金属膜を形成することができる。
【0020】
導電微粒子13としては、Au、Ag、Cu、Niなどの単組成金属粒子の他、SnBi、SnAgCuなどの複合金属粒子が挙げられる。本技術は、酸素原子を有する接着微粒子を用いるため、SnBi、SnAgCuなどの柔らかい金属だけでなく、従来困難であったCu、Niなどの硬度が高い金属であっても、金属膜を厚付けすることができる。
【0021】
導電微粒子13の平均粒径は、接着微粒子12と同様、母粒子11の平均粒径の1/10から1/100000であることが好ましく、1/100から1/10000であることがより好ましい。これにより、導電微粒子13により金属膜を形成することができる。
【0022】
複合導電層14は、金属膜であり、母粒子11の表面に配され、酸素原子を含む接着微粒子12と、接着微粒子12と接する導電微粒子13とが混在している。また、複合導電層14は、母粒子11の表面に接着微粒子12が直接接している部分と、母粒子11の表面に導電微粒子13が直接接している部分とを有する。すなわち、複合導電層14において、接着微粒子12は、母粒子11の表面の一部を被覆している。これにより、複合導電層14の優れた密着性を得ることができる。
【0023】
図2は、本技術を適用した第2の複合導電粒子を示す断面図である。第2の複合導電粒子20は、母粒子21と、母粒子21の表面に配され、酸素原子を含む接着微粒子22と、接着微粒子22と接する導電微粒子23とを備える。そして、第2の複合導電粒子20は、母粒子21表面に接着微粒子22からなる接着層24が形成されてなり、接着層24上に導電微粒子23からなる導電層25が形成されてなる。なお、第2の複合導電粒子20の母粒子21、接着微粒子22、及び導電微粒子23は、それぞれ第1の複合導電粒子10の母粒子11、接着微粒子12、及び導電微粒子13と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0024】
接着層24は、接着微粒子22から形成されてなり、母粒子11の表面の略全部に接着微粒子12が直接接している。すなわち、接着層24において、接着微粒子22は、母粒子21の表面の略全部を被覆している。
【0025】
導電層25は、導電微粒子23から形成されてなる金属膜であり、接着層24の表面の略全部に導電微粒子23が直接接している。接着微粒子22が母粒子21の表面の略全部を被覆していることにより、接着層24が存在しない従来の導電粒子に比して、導電層25の優れた密着性を得ることができる。
【0026】
<2.複合導電粒子の製造方法>
第1の実施の形態に係る複合導電粒子の製造方法は、母粒子と、酸素原子を含む接着微粒子と、導電微粒子とを、メカノケミカル法により混合し、母粒子の表面に接着微粒子を配し、導電微粒子を接着微粒子と接触させる。これにより、金属膜の優れた密着性を得ることができる。
【0027】
ここで、メカノケミカル法とは、衝撃、圧縮、粉砕、混合、混練などの機械的操作において、物質に加えられる機械的エネルギーにより生じる化学反応を利用するものであり、例えば、高速撹拌型粉体球状化装置、ハイブリダイザーなどを用いた混合法を挙げることができる。
【0028】
図3は、第1の実施の形態に係る複合導電粒子の製造方法における混合工程を説明するための断面図である。なお、第1の複合導電粒子10と同様な構成には、同じ符号を付し、ここでは説明を省略する。
【0029】
図3に示すように、混合工程では、母粒子11と接着微粒子12と導電微粒子13とを、メカノケミカル法により混合し、母粒子11に接着微粒子12及び導電微粒子13を衝突させて金属膜である複合導電層14を形成する。
【0030】
接着微粒子12と導電微粒子13との配合比(接着微粒子の質量:導電微粒子の質量)は、0.001:1~0.3:1であることが好ましく、0.01:1~0.2:1であることがより好ましく、0.05:1~0.15:1であることがさらに好ましい。これにより、図1に示すように、母粒子11の表面に接着微粒子12が直接接している部分と、母粒子11の表面に導電微粒子13が直接接している部分とを有する複合導電層14を形成することができ、複合導電層14の優れた密着性を得ることができる。
【0031】
また、第2の実施の形態に係る複合導電粒子の製造方法は、母粒子と、酸素原子を含む接着微粒子とを、メカノケミカル法により混合した後、導電微粒子をメカノケミカル法により混合し、母粒子の表面に接着微粒子を配し、導電微粒子を前記接着微粒子と接触させる。これにより、金属膜の優れた密着性を得ることができる。
【0032】
図4は、第2の実施の形態に係る複合導電粒子の製造方法における第1の混合工程を説明するための断面図であり、図5は、第2の実施の形態に係る複合導電粒子の製造方法における第2の混合工程を説明するための断面図である。なお、第2の複合導電粒子20と同様な構成には、同じ符号を付し、ここでは説明を省略する。
【0033】
図4に示すように、第1の混合工程では、母粒子21と接着微粒子22とを、メカノケミカル法により混合し、母粒子21に接着微粒子22を衝突させて接着層24を形成する。続いて、図5に示すように、第2の混合工程では、接着層24を形成後、導電微粒子23を、メカノケミカル法により混合し、接着層24に導電微粒子23を衝突させて導電層25を形成する。
【0034】
ここで、接着微粒子22と導電微粒子23との配合比(接着微粒子の質量:導電微粒子の質量)は、第1の実施の形態に係る複合導電粒子の製造方法と同様、0.001:1~0.3:1であることが好ましく、0.01:1~0.2:1であることがより好ましく、0.05:1~0.15:1であることがさらに好ましい。これにより、図2に示すように、母粒子21表面に接着微粒子22からなる接着層24を形成することができ、接着層24上に導電微粒子23からなる導電層25を形成することができ、導電層25の優れた密着性を得ることができる。
【実施例
【0035】
以下、本技術の実施例について説明する。本実施例では、メカノケミカル法により、粒子表面に金属膜が形成された複合導電粒子を作製した。そして、複合導電粒子を含有する導電フィルムを用いて接続構造体を作製し、導通特性について評価した。なお、本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
[導電フィルムの作製]
複合導電粒子を含む混合物5質量部と、下記成分からなる絶縁性バインダー95質量部とを遊星式撹拌装置に投入し、1分間撹拌して導電接着組成物を作製した。そして、導電接着組成物をPETフィルム上に塗布し、80℃のオーブンで5分間乾燥させ、導電接着組成物からなる粘着層をPETフィルム上に形成し、幅2.0mm、厚さ25μmの導電フィルムを作製した。
【0037】
絶縁性バインダーは、フェノキシ樹脂(商品名:YP-50、新日化エポキシ製造株式会社製)47質量部、単官能モノマー(商品名:M-5300、東亞合成株式会社製)3質量部、ウレタン樹脂(商品名:UR-1400、東洋紡績株式会社製)25質量部、ゴム成分(商品名:SG80H、ナガセケムテックス株式会社製)15質量部、シランカップリング剤(商品名:A-187、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製)2質量部、及び有機過酸化物(商品名:ナイパーBW、日油株式会社製)3質量部を、固形分が50質量%となるように含有する、酢酸エチルとトルエンとの混合溶液とした。
【0038】
[接続構造体の作製]
導電フィルムを介して、評価用基板(ガラスエポキシ基板(FR4)、200μmピッチ、ライン:スペース=1:1、端子厚み10μm、Cu(下地)/Ni/Auメッキ)と、FPC(ポリイミドフィルム、200μmピッチ、ライン:スペース=1:1、端子厚み12μm、Cu(下地)/Ni/Auメッキ)とを熱圧着し、接続構造体を作製した。熱圧着は、FPC上の厚み200μmのシリコンラバーを介してツールを押し下げ、温度:150℃、圧力:2MPa、時間:20secの条件で行った。
【0039】
[導通特性の評価]
デジタルマルチメータ(横河電機社製)を用いて、4端子法にて電流1mAを流したときの接続構造体の導通抵抗値を測定した。また、温度85℃、湿度85%、時間500hの条件の環境試験後の接続構造体の導通抵抗値を測定した。接続構造体の導通抵抗値が500mΩ以下の評価を「AA」とし、導通抵抗値が500mΩ超1Ω以下の評価を「A」とし、導通抵抗値が1Ω超の評価を「B」とし、導通抵抗値がOPENの評価を「C」とした。
【0040】
[金属膜の評価]
接続構造体の端子部分の複合導電粒子の断面観察を行い、金属膜の割れ、及び金属膜の剥がれついて評価した。端子部分の複合導電粒子の金属膜の割れが無かった場合の評価を「A」とし、端子部分の複合導電粒子の半数未満に金属膜の割れが有った場合の評価を「B」とし、端子部分の複合導電粒子の半数以上に金属膜の割れが有った場合の評価を「C」とした。
【0041】
また、端子部分の複合導電粒子の金属膜の剥がれが無かった場合の評価を「A」とし、端子部分の複合導電粒子の半数未満に金属膜の剥がれが有った場合の評価を「B」とし、端子部分の複合導電粒子の半数以上に金属膜の剥がれが有った場合の評価を「C」とした。
【0042】
<実施例1>
母粒子として、アクリル樹脂コアNiメッキ粒子(φ20μm)、導電微粒子としてCu粒子(φ100nm)、接着微粒子としてMMA(メチルメタクリレート、約φ100nm)を準備した。
【0043】
導電微粒子100質量部に対し、接着微粒子が8質量部となるように測量し、カップに母粒子、導電微粒子及び接着微粒子を入れ、1分間ウッドバーで混ぜ合わせた。これを高速撹拌型粉体球状化装置(NSM-200、(株)セイシン企業)へ投入し、窒素雰囲気化で3000rpm-1minの条件で造粒を行い、複合導電粒子を作製した。
【0044】
表1に、実施例1の複合導電粒子を含有する導電フィルムを用いて作製した接続構造体の評価結果を示す。初期導通の評価は「AA」であり、環境試験後の導通信頼性の評価は「A」であった。また、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の割れの評価は「A」であり、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の剥がれの評価は「A」であった。
【0045】
<実施例2>
母粒子として、アクリル樹脂コアNiメッキ粒子(φ20μm)、導電微粒子としてNi粒子(φ100nm)、接着微粒子としてMMA(メチルメタクリレート、約φ100nm)を準備した以外は、実施例1と同様にして複合導電粒子を作製した。
【0046】
表1に、実施例2の複合導電粒子を含有する導電フィルムを用いて作製した接続構造体の評価結果を示す。初期導通の評価は「AA」であり、環境試験後の導通信頼性の評価は「A」であった。また、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の割れの評価は「A」であり、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の剥がれの評価は「A」であった。
【0047】
<実施例3>
母粒子として、アクリル樹脂コアNiメッキ粒子(φ20μm)、導電微粒子としてCu粒子(φ100nm)、接着微粒子としてビスフェノールA O,O-二酢酸(約φ100nm)を準備した以外は、実施例1と同様にして複合導電粒子を作製した。
【0048】
表1に、実施例3の複合導電粒子を含有する導電フィルムを用いて作製した接続構造体の評価結果を示す。初期導通の評価は「AA」であり、環境試験後の導通信頼性の評価は「A」であった。また、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の割れの評価は「A」であり、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の剥がれの評価は「A」であった。
【0049】
<実施例4>
母粒子として、アクリル樹脂コアNiメッキ粒子(φ20μm)、導電微粒子としてCu粒子(φ100nm)、接着微粒子としてシリカ(SiO、約φ100nm)を準備した以外は、実施例1と同様にして複合導電粒子を作製した。
【0050】
表1に、実施例4の複合導電粒子を含有する導電フィルムを用いて作製した接続構造体の評価結果を示す。初期導通の評価は「AA」であり、環境試験後の導通信頼性の評価は「A」であった。また、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の割れの評価は「A」であり、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の剥がれの評価は「A」であった。
【0051】
<実施例5>
母粒子として、アクリル樹脂粒子(φ20μm)、導電微粒子としてCu粒子(φ100nm)、接着微粒子としてMMA(メチルメタクリレート、約φ100nm)を準備した以外は、実施例1と同様にして複合導電粒子を作製した。
【0052】
表1に、実施例5の複合導電粒子を含有する導電フィルムを用いて作製した接続構造体の評価結果を示す。初期導通の評価は「AA」であり、環境試験後の導通信頼性の評価は「A」であった。また、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の割れの評価は「A」であり、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の剥がれの評価は「A」であった。
【0053】
<実施例6>
母粒子として、アクリル樹脂粒子(φ20μm)、導電微粒子としてCu粒子(φ100nm)、接着微粒子としてMMA(メチルメタクリレート、約φ100nm)を準備した。
【0054】
導電微粒子100質量部に対し、接着微粒子が11質量部となるように測量し、カップに母粒子及び接着微粒子を入れ、1分間ウッドバーで混ぜ合わせた。これを高速撹拌型粉体球状化装置(NSM-200、(株)セイシン企業)へ投入し、窒素雰囲気化で3000rpm-1minの条件で造粒を行った。
【0055】
次に、カップに造粒した粒子及び導電微粒子を入れ、1分間ウッドバーで混ぜ合わせた。これを高速撹拌型粉体球状化装置(NSM-200、(株)セイシン企業)へ投入し、窒素雰囲気化で3000rpm-1minの条件で造粒を行い、複合導電粒子を作製した。
【0056】
表1に、実施例6の複合導電粒子を含有する導電フィルムを用いて作製した接続構造体の評価結果を示す。初期導通の評価は「AA」であり、環境試験後の導通信頼性の評価は「A」であった。また、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の割れの評価は「B」であり、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の剥がれの評価は「A」であった。
【0057】
<実施例7>
母粒子として、アクリル樹脂コアNiメッキ粒子(φ20μm)、導電微粒子としてSnBi粒子(φ100nm)、接着微粒子としてビスフェノールA O,O-二酢酸(約φ100nm)を準備した以外は、実施例1と同様にして複合導電粒子を作製した。
【0058】
表1に、実施例7の複合導電粒子を含有する導電フィルムを用いて作製した接続構造体の評価結果を示す。初期導通の評価は「AA」であり、環境試験後の導通信頼性の評価は「AA」であった。また、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の割れの評価は「A」であり、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の剥がれの評価は「A」であった。
【0059】
<比較例1>
母粒子として、アクリル樹脂コアNiメッキ粒子(φ20μm)、導電微粒子としてCu粒子(φ100nm)を準備した。
【0060】
カップに母粒子、及び導電微粒子を入れ、1分間ウッドバーで混ぜ合わせた。これを高速撹拌型粉体球状化装置(NSM-200、(株)セイシン企業)へ投入し、窒素雰囲気化で3000rpm-1minの条件で造粒を行い、複合導電粒子を作製した。
【0061】
表1に、比較例1の複合導電粒子を含有する導電フィルムを用いて作製した接続構造体の評価結果を示す。初期導通の評価は「AA」であり、環境試験後の導通信頼性の評価は「B」であった。また、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の割れの評価は「C」であり、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の剥がれの評価は「C」であった。
【0062】
<参考例1>
母粒子として、アクリル樹脂コアNiメッキ粒子(φ20μm)、導電微粒子としてSnBi粒子(φ100nm)を準備した以外は、比較例1と同様にして複合導電粒子を作製した。
【0063】
表1に、参考例1の複合導電粒子を含有する導電フィルムを用いて作製した接続構造体の評価結果を示す。初期導通の評価は「AA」であり、環境試験後の導通信頼性の評価は「A」であった。また、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の割れの評価は「A」であり、接続構造体の端子部分の複合導電粒子の金属膜の剥がれの評価は「A」であった。
【0064】
【表1】
【0065】
比較例1のように、母粒子の表面に直接、硬度の高い金属の金属膜を形成した場合、金属膜の割れ及び金属膜の剥がれが生じ、環境試験後の導通信頼性の評価が低下した。一方、実施例1~7のように、母粒子の表面に酸素原子を含む接着微粒子を配し、接着微粒子と接する導電微粒子を含む金属膜を形成した場合、硬度の高い金属であっても、金属膜の割れ及び金属膜の剥がれを抑制し、環境試験後の導通信頼性を向上させることができた。特に、母粒子の表面に接着微粒子が直接接している部分と、母粒子の表面に導電微粒子が直接接している部分とを有する金属膜を形成することにより、金属膜の優れた密着性が得られることが分かった。
【符号の説明】
【0066】
10 第1の複合導電粒子、11 母粒子、12 接着微粒子、13 導電微粒子、14 複合導電層、20 第2の複合導電粒子、21 母粒子、22 接着微粒子、23 導電微粒子、24 接着層、25 導電層、101 母粒子、103 金属粒子、104 金属膜、110,120 金属端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7