(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241125BHJP
B65H 1/14 20060101ALI20241125BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
B65H1/14 310A
G03G15/00 107
(21)【出願番号】P 2020153843
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】平尾 豊実
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-053255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
B65H 1/08- 1/24
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿トレイと、
前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させる上昇手段と、
前記上昇手段によって上昇された原稿トレイに置かれた原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された原稿を読み取る読取手段と、
前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させるか否かを、前記原稿トレイに置かれた前記原稿を前記搬送手段によって搬送し、搬送された前記原稿を前記読取手段によって読み取る処理を実行させるアプリケーションごとに登録可能な登録手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させるよう前記登録手段によって登録された第1のアプリケーションの実行中は、前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させ、
前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させるよう前記登録手段によって登録されていない第2のアプリケーションの実行中は、前記原稿トレイに原稿が置かれても前記原稿トレイを上昇させないことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させるよう前記登録手段によって登録された第1のアプリケーションの画面の表示中は、前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させ、
前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させるよう前記登録手段によって登録されていない第2のアプリケーションの画面の表示中は、前記原稿トレイに原稿が置かれても前記原稿トレイを上昇させないことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1のアプリケーションは、コピーアプリケーションであることを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2のアプリケーションは、帳票処理アプリケーションであることを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記原稿トレイに置かれた前記原稿を前記搬送手段によって搬送し、搬送された前記原稿を前記読取手段によって読み取る処理を実行させる新たなアプリケーションをインストールするインストール手段をさらに有し、
前記登録手段は、前記インストール手段によってインストールされた新たなアプリケーションについても、前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させるか否かを登録可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
原稿トレイと、
前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させる上昇手段と、
前記上昇手段によって上昇された原稿トレイに置かれた原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された原稿を読み取る読取手段と、
異なるサイズの複数の原稿を読み取る読取モードをデフォルトで有効にするか否かを、前記原稿トレイに置かれた前記原稿を前記搬送手段によって搬送し、搬送された前記原稿を前記読取手段によって読み取る処理を実行させるアプリケーションごとに登録可能な登録手段と、
前記登録手段によって登録された内容に基づいて、前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させるよう制御する制御手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記読取モードをデフォルトで有効にするよう設定された第1のアプリケーションの実行中は、前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させ、前記読取モードをデフォルトで有効にするよう設定されていない第2のアプリケーションの実行中は、前記原稿トレイに原稿が置かれても前記原稿トレイを上昇させないことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記読取モードをデフォルトで有効にするよう設定された第1のアプリケーションの画面の表示中は、前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させ、前記読取モードをデフォルトで有効にするよう設定されていない第2のアプリケーションの画面の表示中は、前記原稿トレイに原稿が置かれても前記原稿トレイを上昇させないことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第1のアプリケーションは、コピーアプリケーションであることを特徴とする請求項8または9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記第2のアプリケーションは、帳票処理アプリケーションであることを特徴とする請求項8または9に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記読取手段によって読み取られた原稿の画像データを送信する送信手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記読取手段によって読み取られた原稿の画像データに基づいて印刷を実行する印刷手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させる上昇工程と、
前記上昇工程で上昇された原稿トレイに置かれた原稿を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程で搬送された原稿を読み取る読取工程と、
前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させるか否かを、前記原稿トレイに置かれた前記原稿を前記搬送工程で搬送し、搬送された前記原稿を前記読取
工程で読み取る処理を実行させるアプリケーションごとに登録可能な登録工程とを有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載された画像処理装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
原稿トレイと、
表示手段と、
前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させる上昇手段と、
前記上昇手段によって上昇された原稿トレイに置かれた原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された原稿を読み取る読取手段と、
前記原稿トレイに置かれた前記原稿を前記搬送手段によって搬送し、搬送された前記原稿を前記読取手段によって読み取る処理を実行させる第1の所定のアプリケーションの第1の画面を前記表示手段が表示しているときに前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させず、前記原稿トレイに置かれた前記原稿を前記搬送手段によって搬送し、搬送された前記原稿を前記読取手段によって読み取る処理を実行させる第2の所定のアプリケーションの第2の画面を前記表示手段が表示しているときに前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させるよう前記上昇手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項17】
前記第1の所定のアプリケーションは、帳票処理アプリケーションであることを特徴とする請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記第2の所定のアプリケーションは、コピーアプリケーションであることを特徴とする請求項16または17に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿トレイに載置された原稿を1枚ずつ搬送し、搬送された原稿を読み取って画像データを生成する自動原稿搬送装置 (Auto Document Feeder、以下ADFと称する)が知られている。
【0003】
原稿トレイにセットされた原稿を検知する原稿有無検知センサによって原稿が有ると検知されたことに従って原稿トレイを上昇させ、原稿トレイにセットされた原稿の上面を給紙ローラに当接させる画像読取装置が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、原稿トレイにセットされた複数の異なるサイズの原稿を1枚ずつ搬送し、搬送された原稿のサイズを判断し、判断されたサイズで原稿を読み取る混載読取モードが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-263452号公報
【文献】特開2001-350225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
定型サイズの原稿を読み取るときには、原稿を給紙する際に原稿が斜めに搬送されるのを抑制するため、
図15(a)に示すように、原稿トレイ上のガイド板を原稿に突き当て、給紙ローラによって1枚ずつ搬送し読み取っていた。
【0007】
しかしながら、不定型サイズの原稿を原稿トレイに複数枚混載する場合、
図15(b)に示すように、ガイド板を原稿の幅に当接させても、小さいサイズの原稿はガイド板に当接されない。そのため、原稿が給紙ローラの位置に載置されず、正しく給紙できない場合がある。
【0008】
そのため、小さいサイズの原稿については、
図16(a)に示すように、ユーザが注意して給紙ローラの位置に載置しなければならない。
【0009】
その際に、最初に原稿を載置した位置が、給紙ローラの位置からずれていた場合、
図16(b)に示すように、ユーザは、その原稿を給紙ローラの位置までずらしたり、置き直したりすることがある。
【0010】
ここで、原稿を検知したことに従って原稿トレイを上昇させると、
図17に示すように、原稿の上面と給紙ローラが当接されている状態になるので、ユーザは原稿の置き直しがしづらくなってしまう課題がある。
【0011】
一方、定型サイズの原稿を読み取る場合、原稿を検知したことに従って原稿トレイを上昇させておくことによって、原稿の読取指示をしてから1枚目の原稿が給紙されるまでの時間を短縮することができる。
【0012】
本願請求項1にかかる発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。本願請求項1にかかる発明は、原稿が置かれたことに従って原稿トレイを上昇させるか否かを、原稿トレイに置かれた原稿を搬送し、搬送された原稿を読み取る処理を実行させるアプリケーションごとに登録可能にする仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願請求項1にかかる発明は、
原稿トレイと、
前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させる上昇手段と、
前記上昇手段によって上昇された原稿トレイに置かれた原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された原稿を読み取る読取手段と、
前記原稿トレイに原稿が置かれたことに従って前記原稿トレイを上昇させるか否かを、前記原稿トレイに置かれた前記原稿を前記搬送手段によって搬送し、搬送された前記原稿を前記読取手段によって読み取る処理を実行させるアプリケーションごとに登録可能な登録手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本願請求項1にかかる発明によれば、原稿が置かれたことに従って原稿トレイを上昇させるか否かを、原稿トレイに置かれた原稿を搬送し、搬送された原稿を読み取る処理を実行させるアプリケーションごとに登録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】実施例1における画像処理装置の構成を示すブロック図
【
図4】実施例1における原稿トレイの下降状態を示す断面図
【
図5】実施例1における原稿トレイの上昇状態を示す断面図
【
図7】実施例1における不定型サイズの混載読取機能の画面を示す図
【
図8】実施例1におけるアプリケーションごとの原稿トレイ制御を設定する画面を示す図
【
図9】実施例1における画像処理装置のフローチャート
【
図10】実施例2におけるアプリケーションごとの読み取りモード設定画面を示す図
【
図11】実施例2におけるアプリケーション非起動時の動作を選択する設定画面を示す図
【
図12】実施例2におけるジョブ毎の混載設定モードを設定する設定画面を示す図
【
図13】実施例2における画像処理装置のフローチャート
【
図14】実施例2における画像処理装置のフローチャート
【
図15】原稿トレイ上に原稿をガイド板に突き当ててセットした時の自動原稿読取部を上から見た場合の図
【
図16】原稿トレイ上に不定型原稿をセットした時の自動原稿読取部を上から見た場合の図
【
図17】原稿の置き直しが困難な状態を示す自動原稿読取部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔実施例1〕
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0017】
<実施例1>
本発明の実施例における画像処理装置が有する読取装置の構成例について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本実施例における読取装置の一例を示す斜視図である。本実施例における読取装置は、原稿を読み取る原稿読取部100と、原稿読取部へ向けて原稿を搬送する自動原稿搬送装置(Auto Document Feeder、以下ADFと呼ぶ)200から構成される。
【0019】
ADF200は、原稿読取部100に対して、原稿読取部100の上面奥側に設けられた開閉ヒンジにより、開閉自在となるように接続されている。
【0020】
このADF200を閉じた状態にすると、ADF200の原稿読取部100側に取り付けられた原稿押圧部が原稿読取部100の上に載置された原稿を押圧するように構成されている。
【0021】
<原稿読取部100構成例>
原稿読取部100について
図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施例におけるADFを示す断面図である。
【0022】
原稿読取部100は、原稿台ガラス101と、表面読取部105、図には図示しない光学モータ、読取移動ガイドを有する。原稿読取部100は原稿読取制御(圧板読取制御)を実行するときに、原稿台ガラス101上に載置された原稿の読取を、表面読取部105を読取移動ガイドに沿って移動させながら1ラインずつ行う。
【0023】
また、流し読み制御時は、ADF200によって表面流し読みガラス102上に搬送されてきた原稿の画像を表面読取部105により読み取る。
【0024】
ADF200は、1枚以上の原稿からなる原稿束Sを積載する原稿トレイ30を有する。また、ADF200は、分離機構として、原稿の給紙を開始する前に原稿束Sが原稿トレイ30より突出して原稿の搬送方向下流へ進出するのを抑制する分離パッド21と、分離ローラ2と、給紙ローラ1を有する。また、原稿トレイ30は、原稿の有無を検知する原稿有無検知センサ10を有し、さらに原稿トレイ上のサイズを判断するための原稿トレイサイズ検知センサ9を有する。
【0025】
原稿の搬送時には、原稿トレイ30上に原稿された原稿を確実に搬送させるために、給紙ローラ1と原稿束Sとを接触させ、接触されている部分に対して適正な圧力がかかっている状態を作る必要がある。そのための手段として、原稿トレイ30を所定の高さまで上昇させて、原稿トレイ30に積載された原稿束Sの最上面に給紙ローラ1を押圧させる。この状態で給紙ローラ1を回転させることにより、原稿束の最上面の原稿から1枚ずつ原稿が搬送される。給紙ローラ1によって搬送された原稿は、分離パッド21と分離ローラ2の作用によって最上面の一枚が分離され、搬送される。
【0026】
分離パッド21と分離ローラ2によって分離された原稿は、引抜ローラ3へと搬送され、さらに引抜ローラ3により搬送ローラ4へと搬送される。搬送ローラ4の下流側には、搬送ローラ4を通過した原稿を表面流し読みガラス102方向へ搬送する搬送路が形成されている。搬送路に送られた原稿は、表面読取搬送ローラ5及び表面読取上流ローラ51によって表面読取位置へ搬送される。
【0027】
≪表面読取≫
表面読取位置へと搬送された原稿は表面流し読みガラス102と、表面ガラス対向部材6の間を通過し、表面LED103a、表面LED103bによって光が照射される。そして、反射した光は複数のミラー104a、104b、104cで屈曲されながら表面読取センサ108によって読み取られる。このような方法で、原稿の表面の画像は1ラインずつ読み取られる。
【0028】
読み取られた原稿は、表面と裏面を読み取る位置の間にある搬送ローラ7と排紙ローラ16によって、排紙トレイ17に排出される。
【0029】
原稿が原稿トレイ30上に複数枚有る場合には、最終原稿の表面読み取り及び排紙トレイ17への排紙が終了するまで、前述の原稿束Sからの給紙、分離、搬送処理、表面流し読み位置での読取処理、及び排紙処理を繰り返す。
【0030】
≪両面読取≫
両面流し読みは、片面流し読みにおける原稿表面の読み取りに、原稿裏面の読み取り動作を加えたものである。原稿の給紙、分離、搬送、及び表面の読み取りについては前述の片面読み取り時と同様であるので説明を省略する。
【0031】
表面読み取り下流ローラ52により搬送された原稿は、裏面読み取り搬送ローラ7及び裏面読み取り上流ローラ53によって裏面流し読み位置に搬送される。原稿が裏面流し読み位置に達するより前に、移動可能に構成された裏面流し読みガラス201を
図2に示す位置に移動させておく。裏面流し読みガラス201と裏面ガラス対向部材8の間を通過する原稿の裏面は裏面LED203a、裏面LED203bで照射される。その反射光は、複数のミラー204a、204b、204cで屈曲されながら、裏面読取センサ208によって原稿の裏面画像が読み取られる。このような方法で、原稿の裏面の画像は1ラインずつ読み取られる。
【0032】
裏面読み取り下流ローラ54により搬送された原稿は排紙ローラ16によって排紙トレイ17まで搬送される。
【0033】
原稿が原稿トレイ30上に複数枚有る場合には、最終原稿の表面読み取り、裏面読み取り及び排紙トレイ17への排紙が終了するまで、原稿束Sからの給紙、分離、搬送処理、表裏それぞれの読取処理、及び排紙処理を繰り返す。
【0034】
表面読取部105、裏面読取部202には、CCD(Charge Coupled Device)を用いても、CIS(Contact Image Sensor)を用いてもよい。
【0035】
<ブロック図の説明>
図3は本実施例におけるリーダコントローラ300の構成例を示すブロック図である。
【0036】
リーダコントローラ300は中央演算処理装置であるリーダCPU(Central Processing Unit)301を有する。また、リーダコントローラ300は、リーダROM(Read Only Memory)302、リーダRAM(Random Access Memory)303を有する。リーダROM302には制御プログラムが格納されており、リーダRAM303には入力データや作業用データが格納される。リーダCPU301はリーダROM302に格納された制御プログラムを実行することで原稿読取部を制御する。
【0037】
リーダCPU301は原稿搬送機能を実現するために、搬送用の各ローラを駆動させる給紙モータ310と搬送モータ307の駆動、及び回転を制御する。給紙モータ310が駆動することで、給紙モータと繋がっている給紙ローラ1、分離ローラ2が回転し、原稿が給紙される。また、それ以外の引抜ローラ3、搬送ローラ4、リード上流ローラ5、リード下流ローラ7、排紙ローラ15は搬送モータ307に直接接続され、搬送モータ307の回転に連動して駆動、停止する。
【0038】
本実施例での給紙モータ310、搬送モータ307はパルスモータであり、リーダCPU301は駆動パルス数を制御することで各モータの回転量を管理している。そのため、パルス数は搬送中の原稿の搬送距離として捉えることができ、リーダCPU301は、給紙モータ310、搬送モータ307の駆動パルス数を数えることで、原稿の搬送距離を測定することができる。このリーダCPU301は、システムCPU411に接続されており、システムCPU411からの指示で各種制御を行う。
【0039】
さらに、リーダコントローラ300は、搬送経路の各所に設けられた搬送系センサ(
図2に示す分離センサ11、引抜センサ12、搬送センサ13、リードセンサ14、排紙センサ15からなる)を有する。
【0040】
また、原稿トレイ上には原稿サイズの長さを検知するためのトレイ上長さセンサ9が設けられており、また同様に原稿の幅を検知するためのトレイ上幅ガイドセンサ309がある。リーダコントローラ300は、前述したトレイ上長さセンサ9とトレイ上幅センサ309を使ってトレイ上に原稿された原稿のサイズを推測する。
【0041】
原稿トレイに原稿がセットされたことを原稿有無検知センサ10によって検知した際に、リーダCPU301は、給紙ローラ昇降モータ311を動作させて給紙ローラ1を下降させ、その後、トレイ昇降モータ312を動作させて原稿トレイを上昇させる。なお、給紙ローラ昇降モータ311を動作させて給紙ローラ1を下降させる処理は行わずに、原稿トレイを上昇させる処理のみ行うようにしてもよい。
【0042】
リーダCPU301は、下降した給紙ローラ1と原稿トレイにセットされた原稿が当接する位置で原稿トレイの上昇を停止させる。
【0043】
リーダCPU301には、画像読取機能を実現するために、表面LED106、裏面LED203、表面ラインセンサ108、裏面ラインセンサ215が接続される。リーダCPU301は、表面ラインセンサ108、裏面ラインセンサ208によって読み取られた画像データをリーダ画像処理部304で各種画像処理を実施してからリーダ用画像メモリ305に格納する。
【0044】
リーダCPU301はリーダ用画像メモリ305に格納された画像データを、システムコントローラ400からコマンドデータバス317経由で受信した画像出力要求に合わせて、画像データバス318を介してシステムコントローラ400へ送信する。
【0045】
さらに、リーダCPU301は原稿画像データの先端の基準となる垂直同期信号および1ラインの画素先端の基準となる水平同期信号を、原稿読み取りタイミングに合わせて、画像データバス318を通してシステムコントローラ400へ通知する。
【0046】
システムコントローラ400では、システムCPU411、HDD(Hard Disk Drive)412、RAM413を備えており、リーダCPU301とのコマンドデータバス317を介して画像読取制御に関するデータの授受を行う。リーダ画像処理部304で処理された画像データは画像データバス318を介して、システムコントローラ内の画像処理部414へ転送されて、色の判断などの所定の画像処理を施された後に、画像メモリ415に格納される。また、システムコントローラ400は操作部416を備えており、ユーザとのインターフェース制御は操作部416介してシステムCPU411によって行われる。
【0047】
本実施例においては、原稿読取及び、読取原稿に対して帳票処理などを実行するアプリケーションは、HDD412上にソフトウェアとして格納されており、RAM413上に必要に応じて読みだされ、システムCPU411にて実行される形式をとる。
【0048】
原稿読取の実行指示やそれに伴う予備動作の指示、操作部416に表示されるユーザインタフェースなどの制御は、システムCPU411によって実行されるシステム制御アプリケーションによって制御される。
【0049】
<原稿混載読取について>
異なるサイズの複数の原稿を読み取る読取方法について説明する。
【0050】
リーダCPU301は、前述した読取方法(片面、両面読取)と同様に、原稿トレイに積載された原稿を給紙ローラ1、分離ローラ2を使用して1枚ずつ搬送路内へ原稿を給紙搬送する。この時、分離センサ11を用いて搬送された原稿の長さを検知する。すなわち、給紙ローラ1で原稿トレイ30に存在する原稿束Sから原稿を給紙し、分離ローラ2と分離パッド21によって、最上面の1枚が分離され、搬送される。搬送された原稿の先端はそのまま分離センサ11によって検知され、分離センサ11からの信号はOFFからONになる。そのまま原稿が搬送されて原稿の後端が分離センサ11を通過すると、分離センサ11からの信号はOFFになる。この分離センサ11からの信号がONであった時間を計測し、計測した時間と搬送速度の積を計算し、その積を原稿の長さとする。
【0051】
そして、原稿は搬送されて表面読取位置まで搬送され、読取装置105によって読み取られ、その原稿の画像基づく画像データが生成される。生成された画像データは画像処理部304に送られる。画像処理部304は、原稿の端部にあるエッジを検出し、検出したエッジから原稿の幅を測定する。測定された原稿幅と、前述した原稿の長さから、原稿サイズを特定し、特定した原稿サイズの画像データを画像メモリ305に保存する。特定した原稿サイズの領域だけ表面読取センサ108と裏面読取センサ208で画像を読み取るようにしてもよいし、代わりに、次のように制御してもよい。例えば、表面読取センサ108と裏面読取センサ208で読取可能な最大サイズの画像を読み取って、特定した原稿サイズの領域だけ画像データを切り取って保存するようにしてもよい。
【0052】
<原稿トレイ上への原稿セット位置に関して>
原稿トレイ30はトレイ昇降モータ312とギアの連結で繋がっており、トレイ昇降モータ312が駆動することで、原稿トレイ30の上昇及び下降といった昇降動作が行われる。
【0053】
原稿が原稿トレイ30に載置されていない時、
図4に示すように原稿トレイ30は下降した下降状態で待機している。原稿トレイ30に原稿束Sをセットして原稿有無検知センサ10で原稿有りとCPU301が判断した場合、リーダCPU301は、給紙ローラ1を下げ、原稿を給紙するために原稿が原稿されている状態の原稿部30を上昇させる。そして、リーダCPU301は、給紙ローラ1が下がっている時に、給紙ローラ1が原稿束Sと当接される位置で、原稿トレイ30の上昇を停止させる。原稿トレイ30が上昇して停止した際には、
図5に示すように、原稿束Sと給紙ローラ1が当接した上昇状態になる。そのため、すぐに給紙ローラを駆動させて給紙することができ、読み取り開始指示を受付けてから1枚目の原稿が給紙されるまでの時間を短縮することができ、素早く読取を開始することができる。
【0054】
原稿トレイ30上には、
図15(a)に示すように、原稿を正しい位置(センター位置)でセットするためのトレイ規制板aとトレイ規制板bが設置されている。トレイ規制板aとトレイ規制板bは、原稿の幅に合わせて手動でスライドできるようになっている。規制板aと規制板bの間隔を、トレイ幅ガイドセンサ309で検知することによって、リーダCPU301は原稿の幅を検知する。1種類の原稿サイズのみを読取る場合には、ここで検知した幅サイズ情報を使用する。
【0055】
混載原稿の場合には、複数の異なるサイズの原稿を原稿トレイ30に載置することになる。その場合に、給紙時に原稿が斜めに搬送されることを起きにくくするため、ユーザは、
図15(a)に示すように、原稿トレイに存在するトレイ規制板aとトレイ規制板bに突き当てて原稿を載置する。載置された原稿は、給紙ローラ1によって1枚ずつ搬送され、読み取られる。
【0056】
上記の方法はISO216やJIS P 0138によって定められた規格の原稿サイズ(A3,A4、B4、B5等)に対して有効である。しかしながら、規格外の原稿(レシートなどの領収書、または小切手、または伝票など)を混載させて読み取る場合に上記の方法で原稿をセットすると、
図15(b)に示すように、給紙ローラ1の位置にセットされず給紙ローラ1で原稿を給紙することができない。
【0057】
そのため、不定型サイズの混載を行う際には
図16(a)に示す給紙ローラ1のある位置に原稿を載置するようユーザに通知する必要がある。
【0058】
また、複数束Sの原稿の中で他の原稿に比べて小さいサイズの原稿は、トレイ規制板aとトレイ規制板bに突き当てて載置できないため、原稿トレイ30上に一度原稿を載置した後、もう一度原稿を載置し直す可能性が高い。例えば、
図16(b)のように一度載置された原稿を
図16(a)のように置き直しする可能性が高い。
【0059】
この時に、原稿トレイ30上に、原稿束Sをセットすることで原稿トレイ30が上昇して停止した際には、
図19に示されるように原稿束Sを給紙ローラ1で圧力をかけている状態となる。この状態では、原稿搬送方向(副走査方向)と直行方向(主走査方向)における原稿位置の修正が行いづらく、原稿の置き直しがしづらい。
【0060】
読取を実行するアプリケーションや、その他、ユーザが設定した画像読取時の読取設定に応じて、原稿トレイ30の昇降を切り替えることが望ましい。例えば、帳票処理のアプリケーション搭載時は、原稿載置時に原稿トレイ30を上昇させずに、読取開始時に上昇させることが原稿載置の簡便性の点で望ましい。一方、コピーや画像送信のアプリケーションでは、原稿の手離れを優先するため、原稿載置時に原稿トレイ30を上昇させることが望ましい。このような動作を実現させるためには、アプリケーションの特性や、ユーザ設定によって、昇降処理を切り替えることが望ましい。
【0061】
そこで、本実施例では、原稿を検知したことに基づいて原稿トレイを上昇させる処理を行うか否かを、実行中のアプリケーションによって決める。
【0062】
《不定型サイズの原稿混載読取について》
本実施例において、不定型サイズの原稿混載読取について図を用いて説明する。
【0063】
図6は、像処理装置の電源起動後、読取動作をしていない時に操作部416に表示される画面である。
【0064】
図6中に示される複数のボタンは選択可能なボタンであり、ユーザがタッチパネルを介して画面上に触れることで選択が可能となっている。
【0065】
不定型サイズの原稿を原稿トレイ30に混載して読取を行いたい場合、ユーザは「不定型サイズの混載読取」ボタンを選択することで、不定型サイズの混載読取が可能となる。
【0066】
「不定型サイズの混載読取」ボタンを選択すると
図7に示す不定型サイズの混載読取画面が表示され、ユーザに原稿は中央に積載するよう通知し、またユーザが希望する詳細な読取設定を選択することができる。
【0067】
《アプリケーション毎の原稿トレイ制御の方式選択》
図8は、原稿トレイ30上に原稿を原稿した際に原稿トレイを自動的に上昇、下降させるかどうかの設定をアプリケーションごとに行うための画面の例である。この画面は、
図6の設定ボタンが押されたことに従い、システム制御アプリケーションによって操作部416に表示される。
【0068】
ユーザによって、操作部416上から操作を行うことで、各アプリケーションの設定を切り替える。また、各アプリケーションの設定は、RAM413内の管理テーブル情報に記憶され、保持される。この管理テーブルは、画像処理装置の電源がOFFにされる時などのRAMが消えてしまうような状態になった際はHDD412に退避され、再度、画像処理装置の電源がONにされるときにRAM413上に読み出される。
図8の設定画面1000(a)、設定画面1000(c)、設定画面1000(e)は設定画面の例である。テーブル1000(b)、テーブル1000(d)、テーブル1000(f)は、それぞれの設定画面の設定がされたときのRAM413内の管理テーブルの例である。
【0069】
管理テーブルの情報としては、アプリケーションID、アプリケーション名、自動原稿トレイ上昇設定などを持つ。アプリケーションIDは、各アプリケーションに対して、ユニークに割り振られた番号である。アプリケーションIDは、各アプリケーションベンダに対して個別で発行される、もしくは画像形成装置への各アプリケーションのインストール時に一意に割り振られる。アプリケーション名は、各アプリケーションの名称であり、
図6の画面内のアプリケーションを起動するためのボタンに、それぞれのアプリケーションをユーザに見える形で表示するために使用される。また、画面1000(a)で、設定切り替えを行うアプリケーションの指定の際の表示名にも使われる。
【0070】
コピーアプリケーションは、原稿の画像を読み取って画像データを生成し、生成された画像データに基づいて画像をプリンタ部500で印刷するコピー機能を実行するためのアプリである。SENDアプリケーションは、原稿の画像を読み取って、画像データを生成し、生成された画像データをネットワークI/F416を介して、指定された宛先に送信するSEND機能を実行するためのアプリである。BOXに保存アプリケーションは、原稿の画像を読み取って、画像データを生成し、生成された画像データをHDD412に保存するためのBOX機能を実行するためのアプリである。不定形サイズの混載設定アプリは、領収書や小切手、帳票等の不定形サイズの原稿を読み取って、画像データを生成する。そして、生成された画像データをネットワークI/F416を介して、指定された宛先に送信する機能を実行するためのアプリケーションである。
【0071】
自動原稿トレイ上昇設定は、原稿を原稿トレイ30に載置した際に、自動的に原稿トレイ30を上昇させるか否かの指定である。デフォルトの設定としては、画面1000(a)、テーブル1000(b)の列1002に示されるように、「不定形サイズの混載読取」アプリのみが行1001のように反転表示され、原稿の載置時に原稿トレイ30を自動では上昇させない設定となっている。ユーザが、SEND(原稿を読み取って原稿の画像データを指定された宛先に送信する送信アプリケーション)について自動で上昇させない設定としたい場合、ユーザは次のように操作する。すなわち、ユーザは、画面1000(c)のように行1003を押下し、表示を反転させたのち、OKキー1004を押下する。OKキー1004が押下されたのち、制御アプリケーションは管理テーブルを変更し、SENDの自動原稿トレイ上昇設定を0に変更する。
【0072】
また、新たなアプリケーション(例として帳票処理アプリケーション)のインストール時は、画面1000(e)のように設定可能なアプリケーションが随時追加され、さらに、管理テーブルにもアプリケーションが追加される。また、管理テーブルにおける自動原稿トレイ上昇設定のデフォルト設定を1とするか0とするかはアプリケーションごとに決められていてもよい。また、画像処理装置の制御アプリケーション側で、自動的にアプリケーションを判別し、自動原稿トレイ上昇設定の初期値を、画像処理装置の制御アプリケーションが登録するようにしてもよい。
【0073】
次に、アプリケーションの選択時、及び、原稿の載置時の動作を
図9のフローチャートを用いて説明する。このフローチャートはシステムCPU411(以下、CPU411と呼ぶ)がHDD412から制御アプリケーションをRAM413に読み出して実行することによって実現される。
【0074】
また、詳細な説明は省略するが、原稿トレイ30の上昇及び下降は、システムコントローラ400のシステムCPU411が、リーダコントローラ300のリーダCPU301に制御命令を発行することにより行う。また、リーダコントローラ300からは、原稿トレイ30の上昇状態、下降状態が、状態変化後にシステムコントローラ400に通知されているものとする。本フローチャートの実行タイミングは、原稿トレイに原稿が原稿された、または、
図6の画面上でアプリケーションが選択されたタイミングで実行される。また、原稿が原稿トレイ上から除去された場合は、原稿トレイの下降指示を無条件に行うことは言うまでもない。また、原稿トレイから原稿が除去されたときの原稿トレイ下降処理は、リーダコントローラ300が単独で行ってもよい。
【0075】
まず、S1101にて、CPU411は、原稿が載置されたかどうかのチェックを行う。これは原稿が載置されたことに従って原稿トレイ30を上昇させるか否かの判断を行うためである。そもそも原稿が載置されていない状態であれば、原稿トレイ30を昇降させる必要性がないため、
図9の処理は一旦終了し、CPU411は、S1101の判定を続ける。原稿が載置されていれば、S1102にて、CPU411は、表示中の画面に対応するアプリケーションのIDを取得する。例えば、
図6でコピーボタンが選択され、コピーアプリケーションが実行中であり、コピー画面が表示されている場合は、アプリケーションIDとして1が取得される。また、不定形サイズの混載読取ボタンが選択され、不定形サイズの混載読取アプリケーションが実行中であり、
図7の不定形サイズの混載読取画面が表示されている場合はアプリケーションIDとして4が取得される。なお、S1102では、表示中の画面に基づいて、表示中の画面に対応するアプリケーションを特定し、そのアプリケーションのIDを取得する方法ではなく、単に、実行中のアプリケーションのIDを取得するようにしてもよい。
【0076】
アプリケーションIDを取得したのち、S1103にて、RAM413上に展開されている管理テーブルを参照する。管理テーブルのアプリケーションIDに、S1102で取得したアプリケーションIDが登録されていれば、S1104にて、CPU411は該当アプリケーションがあると判定する。
図6の画面が表示されたままで、どのアプリケーションも選択されていない状態であれば、S1104にて、CPU411は、該当アプリケーションなしと判定し、
図9の処理を終了する。
【0077】
S1104にて該当アプリケーションがあると判断された場合は、さらに管理テーブルから、アプリケーション個別に設定された、自動原稿トレイ上昇設定の数値を確認する。数値が1であった場合、CPU411はS1106に処理を進め、数値が0であった場合はS1108に処理を進める。
【0078】
S1106で、CPU411は原稿トレイ30が下降状態であるかどうかの判別を行う。原稿トレイが下降状態であればS1107に処理を進め、下降状態でなければ
図9のフローチャートに示す処理を終了する。
【0079】
S1107で、CPU411は、リーダコントローラ300に原稿トレイの上昇指示を送り、原稿トレイ30を上昇させる。そして、
図9のフローチャートに示す処理を終了する。
【0080】
S1106にて、原稿トレイ30が下降状態でないと判別されれば、すでに上昇状態であるものとして、原稿トレイの状態は変えずに処理を終了する。
【0081】
また、S1105にて、該当アプリケーションの自動原稿トレイ上昇設定の数値が0、すなわち、原稿載置時に原稿トレイ30を上昇させない設定の場合、CPU411はS1108に処理を進める。
【0082】
S1108で、原稿トレイ30が上昇状態であるか否かを判定する。トレイ上昇状態であれば、S1109にて、CPU411は、原稿トレイ30の下降指示をリーダコントローラ制御アプリケーションに発行する。また、S1108にて、原稿トレイ30が上昇状態ではないと判定されれば、原稿トレイの状態を変更せずに
図9のフローチャートに示す処理を終了する。
【0083】
もし、原稿トレイ30が下降状態で読取開始指示を受付けた場合は、CPU411は、自動的に原稿トレイ30を上昇させ、上昇させた後に原稿の搬送と読取を行う。
【0084】
以上のような制御によって、アプリケーションごとに、原稿トレイに原稿を載置したことに基づいて原稿トレイ30を自動的に上昇させるか否かを設定しておくことが可能となる。そのため、不定形サイズの原稿を読み取る可能性が高い不定形サイズの混載読取アプリケーションと定型サイズの原稿読み取りアプリケーションとで、自動的に原稿トレイを上昇させるかどうかを変えることで、適切に原稿トレイの上昇制御を行うことができる。
【0085】
<実施例2>
実施例1では、原稿トレイに原稿が載置されたことに従って原稿トレイを自動的に上昇させるかどうかの設定をアプリケーションごとに設ける例を述べた。
【0086】
本実施例では、原稿トレイに原稿が載置されたことに従って原稿トレイを自動的に上昇させるかどうかの設定を読取モードの登録内容に付随して決定する例について説明する。
【0087】
アプリケーションごとのデフォルトの読み取りモードの指定について、
図10を用いて詳述する。画面1200(a)と画面1200(c)は、アプリケーションごとに、読み取りモードのデフォルト値を決めるための設定画面の例である。初期値として、コピーアプリケーション、SENDアプリケーション、BOXに保存アプリケーションの3つのアプリは定型読み取りを行う読取モードがデフォルト値として登録されている。また、不定形サイズの混載読取アプリケーションでは、不定形混載読取をデフォルト値として登録可能になっている。これらのデフォルト値は、各アプリケーションに規定値として、あらかじめ制御アプリケーションによって保持されているものとする。また、制御アプリケーションが保持する以外に、各アプリケーションが保持して、制御アプリケーションに通知する形式であってもよい。
【0088】
設定を変更する際には、画面1200(a)のアプリケーション毎の設定キーを押下することで行う。
【0089】
SENDの読取モードのデフォルト値を変更する場合、ユーザは、キー1201を押下し、さらに、OKキー1202を押下する。OKキー1202が押下されると、管理テーブル1200(d)がRAM413上に生成される。
【0090】
また、
図11は、アプリケーションが選択されていない場合のデフォルト動作を設定するための画面である。
図10はアプリケーションが表示された際の挙動を決めるものであるが、
図11はアプリケーション選択がされていない状態で、原稿が原稿トレイ上に載置された際の設定を行うものである。
【0091】
自動上昇設定キー1301は、原稿載置時に無条件で原稿トレイを上昇させるキーである。また、ジョブ開始時に上昇設定キー1302は、読取開始時に原稿トレイを上昇させる設定キーである。自動上昇設定キー1301及びジョブ開始時に上昇設定キー1302はどちらかしか選択できず、選択されている方は反転表示される。設定を行ったのち、OKキー1303が押下されることで設定値がRAM413に記憶される。
【0092】
アプリケーション非選択時の動作設定の初期値は、システム制御アプリケーションが前もって保持している値で初期化され、ユーザが任意に変更することができる。また、
図12は各読取モードで、原稿混載モードモード選択をする画面例である。同じ幅キー1401は、同系列混載設定、異なる幅キー1402は異系列混載設定、異なる幅(小サイズ)キー1403は、不定形混載読取を指示するための設定である。これらの設定値も、OKキー押下時にRAM413に記憶される。
【0093】
また、
図10で各アプリの読取モード設定にて、「不定形混載」設定がなされた場合は、
図12の画面表示時に、「異なる幅(小サイズ)」が選択された状態にして表示する。
【0094】
原稿載置時、またはアプリケーション選択時の動作を
図13のフローチャートを用いて説明する。基本的な動作としては、
図9のフローチャートと同じである。このフローチャートはシステムCPU411(以下、CPU411と呼ぶ)がHDD412から制御アプリケーションをRAM413に読み出して実行することによって実現される。
【0095】
まず、S1501にて、CPU411は、原稿が載置されたかどうかを判別する。原稿が載置されていなければ、CPU411は、
図13のフローチャートに示す処理を終了し、S1501の判定を続ける。原稿が載置されていると判定すればCPU411はS1502に処理を進める。
【0096】
S1502にて、CPU411は、表示中のアプリケーションIDを取得し、S1503にて管理テーブルを参照する。管理テーブルを参照して、表示中アプリケーションのIDが登録されていない場合、CPU411はS1505に処理を進める。
【0097】
S1505では、
図13の画面にて設定済みのアプリ非起動時の原稿トレイ制御の設定値をRAM413の領域から読み出す。デフォルト動作設定が、原稿時上昇設定であれば、そのまま、S1507に処理を進める。S1507でCPU411は原稿トレイが下降状態であるか否かを判定する。原稿トレイが下降状態であると判定した場合、CPU411は、S1508に処理を進め、原稿トレイ上昇指示を発行する。一方、S1507で、原稿トレイが下降状態ではないと判定した場合、CPU411は、
図13のフローチャートに示す処理を終了する。S1508でCPU411は原稿トレイ上昇指示を発行する。
【0098】
また、S1505にて、デフォルト動作設定がジョブ開始時に自動上昇に設定されていると判定すれば、CPU411はS1509に処理を進める。
【0099】
S1509にて、CPU411は原稿トレイが上昇状態であるか否かを判定する。原稿トレイが上昇状態であると判定されれば、S1510にて、CPU411は、原稿トレイの下降指示を発行する。
【0100】
また、S1504にて表示中のアプリケーションIDが管理テーブルに登録されていると判定すれば、CPU411は、S1506に処理を進める。
【0101】
S1506にて、CPU411は、管理テーブル上に登録されている、読取モードのデフォルト値が、「定型」設定かどうかを判断する。「定型」設定であると判断すれば、CPU411は、S1507に処理を進める。一方、「不定形混載」設定であると判断すれば、CPU411は、S1509に処理を進める。
【0102】
上記のような制御を行うことで、利用するアプリケーションの選択時、及び、原稿載置時に原稿トレイの上昇及び下降を最適に制御できる。また、アプリケーションの選択後、混載読取設定を変更した場合の動作を、
図14を用いて詳述する。このフローチャートはシステムCPU411(以下、CPU411と呼ぶ)がHDD412から制御アプリケーションをRAM413に読み出して実行することによって実現される。
【0103】
また、実行タイミングは、アプリケーション選択後にユーザが任意にジョブの設定を変更したタイミング(
図12でOKキーを押下したタイミング)であるため、
図13のフローチャート実行後に
図14のフローチャートが実行される。また、
図14のフローチャートは設定変更が行われるたびに実行されるが、原稿が除去された場合に原稿トレイを下降状態に変更することなどは、下降状態に保持されているものとして詳述しない。
【0104】
まず、S1601にて、CPU411は、原稿が載置されているかどうかのチェックを行う。原稿が載置されていなければ制御を終了する。原稿が載置されていれば
図14の画面上で混載モードの設定をチェックする。
図12の画面上でOKキーが押下されたタイミングでRAM413には混載モードの設定値が記憶されているため、CPU411は、その情報を読み出してチェックする。「異なる幅(小サイズ)」設定されていれば、CPU411は、S1605に処理を進める。そのほかの設定であれば、CPU411は、S1603に処理を進める。S1603、S1604、S1605、S1607の処理は、それぞれ、S1106、S1107、S1108、S1109の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0105】
以上のような制御を行うことで、アプリケーションごとに登録されたデフォルトのモードに基づいて、原稿を検知したことに従って原稿トレイを自動的に上昇させるか否かを変えることができる。それによって、領収書や小切手、領収書のような非定型サイズの原稿を載置する可能性が高い場合に、ユーザが原稿の置き直しをしやすくなり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0106】
(その他の実施例)
なお、上述した実施形態では、複数のアプリケーションを有し、それぞれのアプリケーションに対して、原稿が載置されたことを検知したことに従って原稿トレイを上昇させるか否かを対応付けて記憶させる例を説明した。しかしながら、本発明はこれに限られず、1つのアプリケーションについて、そのアプリケーションの実行中に、原稿が載置されたことを検知したことに従って原稿トレイを上昇させるか否かを対応付けて記憶させるものであってもよい。例えば、新たなアプリケーションを画像処理装置にインストールし、そのアプリケーションに対して、原稿が載置されたことを検知したことに従って原稿トレイを上昇させるか否かをユーザに選択させ、選択結果を記憶させるようにしてもよい。
【0107】
また、上述した実施例では、コピーやSEND、BOXに保存、不定形サイズの混載読取をそれぞれアプリケーションと呼んだが、これらは必ずしもアプリケーションの形式でインストールされたものでなくてもよく、それぞれ元々有している機能であってもよい。
【0108】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0109】
411 CPU
412 HDD
413 RAM