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  • 特許-火災受信機 図1
  • 特許-火災受信機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】火災受信機
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
G08B17/00 L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020164517
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022056656
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松橋 寛丸
(72)【発明者】
【氏名】吉野 桜子
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 丈
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-097390(JP,A)
【文献】特開2012-215975(JP,A)
【文献】特開平09-180072(JP,A)
【文献】特開平05-035982(JP,A)
【文献】特開2004-038647(JP,A)
【文献】特開2000-268276(JP,A)
【文献】特開2002-074568(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0024436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災感知器が接続される感知器回線が複数接続される火災受信機であって、
複数の前記感知器回線それぞれに接続され、当該感知器回線の電圧を監視して、当該感知器回線の状態を判定する複数の状態判定部と、
前記感知器回線ごとに、前記火災感知器が接続される第1状態と、前記火災感知器以外の機器である外部機器が接続される第2状態と、のいずれか設定を保持する制御部と、
前記複数の感知器回線それぞれに設けられ、前記感知器回線に流れる電流を電圧に変換して、前記電圧を前記状態判定部に入力させる受信抵抗と、
前記複数の感知器回線それぞれに設けられ、前記感知器回線に対して前記受信抵抗を接続又は切断するスイッチとを備え
前記第2状態が設定されている前記感知器回線に設けられた前記スイッチは、前記受信抵抗を前記感知器回線から切り離す
火災受信機。
【請求項2】
記第2状態が設定されている前記感知器回線に設けられた前記スイッチは、前記受信抵抗を前記感知器回線から切り離した後、周期的に前記受信抵抗を前記感知器回線に接続する
請求項1記載の火災受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器が接続された感知器回線に接続され、感知器回線単位で火災を警報する火災受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
火災感知器が接続された感知器回線単位で火災を警報するP型の火災受信機が接続された警報システムでは、火災を検出した火災感知器が、自機のインピーダンスを低下させて感知器回線に流れる電流を増加させることにより、火災の発生を火災受信機に伝える(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-026323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
P型の火災受信機には、感知器回線のほかに、外部回線が接続されるものがある。外部回線には、例えば防排煙機器などの外部機器が接続される。外部回線に接続された外部機器は、自機のインピーダンスを低下させる又は上昇させることにより、外部回線に流れる電流を変化させ、電流の変化によって自機の異常あるいは正常などの動作状態を火災受信機に通知する。
【0005】
上記のようにP型の火災受信機は、感知器回線と外部回線とを別個に備えていた。例えば、30回線の感知器回線に接続可能な火災受信機は、30回線の感知器回線に対応した回路基板に加え、外部回線に対応した回路基板を設ける必要があり、これら回路基板にコストがかかる。ところが、監視対象設備によっては、火災受信機が30回線に対応した回路基板を備えていても、30回線よりも少ない回線しか使用しない場合もある。そうすると、火災受信機は、使用されない感知器回線を監視する回路基板に加え、外部回線を監視する回路基板を備えることになるので、コストの観点から改善が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記のような課題を背景としたものであり、感知器回線及び外部回線の監視用の回路基板のコストの上昇を抑制できる火災受信機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る火災受信機は、火災感知器が接続される感知器回線が複数接続される火災受信機であって、複数の前記感知器回線それぞれに接続され、当該感知器回線の電圧を監視して、当該感知器回線の状態を判定する複数の状態判定部と、前記感知器回線ごとに、前記火災感知器が接続される第1状態と、前記火災感知器以外の機器である外部機器が接続される第2状態と、のいずれか設定を保持する制御部と、前記複数の感知器回線それぞれに設けられ、前記感知器回線に流れる電流を電圧に変換して、前記電圧を前記状態判定部に入力させる受信抵抗と、前記複数の感知器回線それぞれに設けられ、前記感知器回線に対して前記受信抵抗を接続又は切断するスイッチとを備え、前記第2状態が設定されている前記感知器回線に設けられた前記スイッチは、前記受信抵抗を前記感知器回線から切り離すものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の火災受信機は、感知器回線ごとに、火災感知器が接続される第1状態と、外部機器が接続される第2状態と、のいずれかを設定できる。そして、感知器回線の電圧を監視する状態判定部からの信号が入力されると、感知器回線が第1状態であるか第2状態であるかに応じた動作を行う制御部を備える。このように、感知器回線を第2状態に設定することで外部回線として使用できるので、回路基板に係るコスト上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る火災受信機を含む火災報知システムの説明図である。
図2】実施の形態2に係る火災受信機を含む火災報知システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、以下の実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含むものである。また、図面に示す装置は、本発明の装置の一例を示すものであり、図面に示された装置によって本発明の装置が限定されるものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0011】
実施の形態1.
(火災報知システム100の構成)
図1は、実施の形態1に係る火災受信機1を含む火災報知システム100の説明図である。火災報知システム100は、ホテル、集合住宅、オフィスビル、商業施設などの建物に設置され、火災を監視し、火災の発生が検出された場合には警報を出すシステムである。火災報知システム100は、火災受信機1と、火災受信機1から引き出されたコモン線11及びライン線12からなる感知器回線10と、感知器回線10に接続された火災感知器20とを備える。感知器回線の末端には、終端抵抗13が接続されている。火災感知器20は、感知器回線10の線間電圧を低下させて、感知器回線10に流れる電流を増加させることで、火災受信機1に火災の検出を通知する。感知器回線10は、火災感知器20に電源を供給する電源線と、火災感知器20と火災受信機1との間で信号を送受する信号線とを兼ねている。
【0012】
本実施の形態は、コモン線11及びライン線12からなる感知器回線10に、防排煙装置30等の火災感知器以外の外部機器を接続して使用できるようにした点に特徴を有する。図1では、一つの感知器回線10に、外部機器の一例として防排煙装置30が接続されている。
【0013】
ここで、図1では、二つの感知器回線10が火災受信機1に接続された例を示すが、感知器回線10の数は図示の例に限定されない。また、図1では、一つの感知器回線10に2台の火災感知器20が接続され、他の感知器回線10に1台の防排煙装置30が接続された例を示すが、火災感知器20及び防排煙装置30の数も図示の例に限定されない。
【0014】
(火災受信機1の構成)
火災受信機1は、主制御部2と、副制御部3と、電源部4と、受信抵抗5と、状態判定部6と、スイッチ7とを備える。副制御部3、電源部4、受信抵抗5、状態判定部6及びスイッチ7からなる組は、感知器回線10と同数設けられる。主制御部2及び副制御部3によって、火災受信機1の制御部が構成されており、主制御部2が火災受信機1全体の制御を司り、副制御部3が感知器回線10に係る制御を司る。
【0015】
主制御部2は、副制御部3との間で信号を送受信する。主制御部2は、副制御部3に対して制御信号を出力し、副制御部3を制御する。主制御部2は、専用のハードウェア、または図示しないメモリに格納されるプログラムを実行するCPUで構成される。
【0016】
副制御部3は、一つの感知器回線10を監視し、当該感知器回線10に接続された状態判定部6からの出力を受け、当該感知器回線10に接続された電源部4及びスイッチ7を制御する。副制御部3は、対応する感知器回線10について、火災感知器20が接続される第1状態と、防排煙装置30等の火災感知器以外の外部機器が接続される第2状態とのいずれかの設定を保持する。第1状態及び第2状態の設定は、図示しないディップスイッチ又はプログラムによって行われる。副制御部3は、専用のハードウェア、または図示しないメモリに格納されるプログラムを実行するCPUで構成される。
【0017】
電源部4は、図示しない商用電源から供給された交流電圧を、例えば24Vの直流電圧に変換して、感知器回線10のコモン線11に供給する。
【0018】
受信抵抗5は、ライン線12に対して状態判定部6と並列に接続されている。受信抵抗5には、電源部4からコモン線11に供給され、火災感知器20、終端抵抗13及びライン線12を経由した電流が流れる。受信抵抗5に電流が流れると、受信抵抗5の両端に電圧を発生させる。この電圧を、受信電圧と称する。このように、受信抵抗5は電流を受信電圧に変換し、受信電圧が状態判定部6に入力される。
【0019】
なお、電源部4から供給される電源電圧は、コモン線11-ライン線12間インピーダンスである[感知器回線10の線間インピーダンス]:[受信抵抗]に分割される。すわち、電源電圧が、線間電圧と受信電圧とに分割される。このため、受信電圧は、電源電圧から線間電圧を引いた値となる。ここで、感知器回線10の線間インピーダンスは、感知器回線10に接続されている火災感知器20のインピーダンスと終端抵抗13のインピーダンスとの合成インピーダンスである。
【0020】
状態判定部6は、感知器回線10の状態を判定する。具体的には、感知器回線10が平常状態であるか、火災状態であるか、断線状態であるか、を判定し、判定結果を出力する。状態判定部6は、火災状態であるか否かを判定するための火災閾値と、断線状態であるか否かを判定するための断線閾値とを有しており、入力された受信電圧を、火災閾値及び断線閾値と比較することで、感知器回線10の状態を判定する。断線閾値は、火災閾値よりも小さい値である。状態判定部6は、ノイズによる瞬間的な感知器回線10の電圧変化の影響を受けないように、感知器回線10が所定の遅延時間にわたり同じ状態を継続したときに判定を確定する、遅延動作を行う。
【0021】
スイッチ7は、ライン線12と受信抵抗5との間に接続され、副制御部3に制御されてオン状態とオフ状態とが切り替わる。スイッチ7がオン状態のとき、受信抵抗5がライン線12に接続される。スイッチ7がオフ状態のとき、受信抵抗5がライン線12から切り離される。
【0022】
(火災感知器20の構成)
火災感知器20は、熱感知器、煙感知器、又は炎感知器である。一つの感知器回線10に対して複数の火災感知器20が接続される場合、火災感知器20は送り配線によって接続される。感知器回線10の末端が火災感知器20である場合、この末端の火災感知器20に終端抵抗13が接続される。火災感知器20は、感知器回線10に接続された接点21を内蔵している。火災感知器20の接点は、平常時には開状態である。このため、火災感知器20が火災を検出していない平常時には、感知器回線10には微弱な電流が流れるのみである。火災感知器20が火災を検出すると、感知器回線10に接続された接点21を閉じて、感知器回線10の電圧を低下させ、感知器回線10に平常時よりも多くの電流を流す。この平常時よりも多い電流が火災信号となり、火災受信機1に火災の発生を通知する。
【0023】
(防排煙装置30の構成)
防排煙装置30は、外部機器の一例である。防排煙装置30は、例えば、防火戸、防火ダンパ、非常扉、排煙機、排煙機などである。なお、感知器回線10に接続される外部機器の具体機器は、ここで示したものに限定されない。防排煙装置30は、図示しない外部電源から電源供給を受けて動作する。防排煙装置30にとっての感知器回線10は、信号線である。
【0024】
ここで、防排煙装置30も火災感知器20と同じく感知器回線10に接続された接点31を有している。防排煙装置30によって、平常時に開状態である接点31と、平常時に閉状態である接点31と、がある。防排煙装置30は、接点31を閉状態から開状態に変更し、あるいは開状態から閉状態に変更することで、インピーダンスを変更し、感知器回線10に流れる電流を変化させる。これにより、防排煙装置30は、防排煙装置30が作動中であるか否かを火災受信機1に通知する。なお、正常状態である、あるいは異常状態である、といった状態を火災受信機1に通知するようにしてもよい。
【0025】
(火災受信機1の動作)
火災受信機1は、接続される感知器回線10のそれぞれについて、火災感知器20が接続される第1状態と、外部機器である防排煙装置30が接続される第2状態と、が予め設定される。本実施の形態では、副制御部3が、第1状態及び第2状態の設定を保持している。
【0026】
第1状態に設定された感知器回線10に接続された副制御部3は、スイッチ7をオン状態にする。これにより、受信抵抗5はライン線12に接続され、状態判定部6には受信抵抗5から受信電圧が入力される。状態判定部6は、受信電圧と、上述した火災閾値及び断線閾値とを周期的に比較することにより、火災状態及び断線状態を判定する。火災状態又は断線状態であると判定された場合には、検出信号が副制御部3に入力される。副制御部は、検出信号を受けると主制御部2に通知し、主制御部2は火災状態と判断された場合は、火災検出時の警報動作を行う。その後、火災受信機1の主制御部2は、火災受信機1に設けられた図示しない復旧スイッチが操作されて復旧入力がなされると、電源部4を感知器回線10から切り離し、火災感知器20への電源供給を遮断する。これによって、火災感知器20は平常状態に復旧する。平常状態に復旧することにより、火災感知器20の接点21は開状態になる。
【0027】
第2状態に設定された感知器回線10に接続された副制御部3は、スイッチ7をオン状態とすることもできるし、オフ状態にすることもできる。以下、具体的に説明する。
【0028】
防排煙装置30の接点31が、防排煙装置30が動作していない状態である平常時に閉状態となるタイプの場合、第2状態の一例として、スイッチ7がオフ状態とされて受信抵抗5が感知器回線10から切り離される。そして、副制御部3は、周期的にスイッチ7をオン状態にして、受信抵抗5を感知器回線10に接続する。状態判定部6は、スイッチ7がオン状態の時に、受信抵抗5に発生する受信電圧から感知器回線10が火災状態であると判定し、火災の検出信号を副制御部3に入力する。しかし、第2状態に設定された感知器回線10に接続された副制御部3は、防排煙装置30が火災感知器20とは異なり火災検出用途ではないことから、防排煙装置30が動作していないと判断し、主制御部2に通知しない。また、接点31が開状態となり、スイッチ7がオン状態の時に火災状態ではないと状態判定部6にて判定された場合には、副制御部3は、防排煙装置30が動作中であることを検出し、主制御部2に通知する。
【0029】
防排煙装置30の接点31が、平常時に開状態であって、火災受信機1に状態を通知する信号を送るときに閉状態になるタイプである場合、第2状態の一例として、スイッチ7は上述のようにオフ状態とされ、周期的にオン状態とされてもよい。スイッチ7がオン状態とされると、受信抵抗5が感知器回線10に接続される。防排煙装置30の接点31は、常時開状態であるが、火災受信機1に対して自機が動作中であることを伝える場合に、接点31を閉状態にする。スイッチ7がオン状態のときに、受信電圧から感知器回線10が火災状態でないと状態判定部6にて判定された場合には、副制御部3は、防排煙装置30が動作していないと判断し、主制御部2に通知しない。また、スイッチ7がオン状態のときに、状態判定部6にて火災状態であると判定された場合には、副制御部3は、防排煙装置30が動作中と判断し、主制御部2に通知する。
なお、防排煙装置30の接点31が、平常時に開状態である場合には、第2状態の一例としてスイッチ7はオン状態とされる。そして、接点31が閉状態になったことで火災状態であると状態判定部6に判定された後に、スイッチ7をオフ状態にしてもよいし、さらにスイッチ7を周期的に接続するようにしてもよい。
また、防排煙装置30は、間欠的に接点31を閉状態にし、パルス的に電流を変化させることで、火災受信機1に自機の状態を伝えることができる。この場合、第2状態の一例として、スイッチ7は周期的にオン状態とされ、パルス的に電流の変化を捉えたときに、所定の時間だけスイッチ7をオン状態として防排煙装置30からのパルス信号を検出することができる。防排煙装置30は、正常状態と異常状態とで、接点31を閉状態にするタイミングを異ならせることで、いずれの状態であるかを火災受信機1に通知することができる。接点31の状態変化によって生じた電流の変化を検出した状態判定部6は、判定結果を副制御部3に入力する。接点31の動作状態によっては、状態判定部6は、火災感知器20が火災を検出したときの火災状態又は断線状態と同じ検出信号を、副制御部3に入力しうる。しかし、当該感知器回線10は第2状態に設定されているため、副制御部3は、火災検出時又は断線検出時の動作を行わず、防排煙装置30から状態が通知されたものとして、正常状態であるか異常状態であるかを判定する。
【0030】
このように、第2状態に設定された感知器回線10の副制御部3は、状態判定部6から、第1状態の感知器回線10における火災状態又は断線状態と同じ信号が入力された場合でも、異なる動作を行う。
【0031】
以上のように、本実施の形態の火災受信機1は、感知器回線10ごとに、火災感知器20が接続される第1状態と、防排煙装置30が接続される第2状態と、のいずれかを設定できる。そして、感知器回線10の電圧を監視する状態判定部6からの信号が入力されると、感知器回線10が第1状態であるか第2状態であるかに応じた動作を行う副制御部3を備える。このように、感知器回線10を第2状態に設定することで、防排煙装置30などの火災感知器以外の外部機器が接続される外部回線として使用できるので、回路基板に係るコスト上昇を抑制できる。
【0032】
また、本実施の形態では、第2状態に設定された感知器回線10に接続されたスイッチ7をオフ状態にして、受信抵抗5を感知器回線10から切断するようにした。このため、感知器回線10に、常時閉状態の接点31を有する防排煙装置30が接続されている場合に、受信抵抗5に電流が常時は流れないため、受信抵抗5の高温化を防ぐことができる。
【0033】
スイッチ7を有しない従来の火災受信機1においては、接点31が常時閉状態の防排煙装置30を感知器回線10に接続すると、受信抵抗5が常に感知器回線10に接続されているため、常時受信抵抗5に電流が流れ、高温化してしまう。火災感知器20が接続される第1状態の感知器回線10においては、火災感知器20が火災を検出すると受信抵抗5に電流が流れるが、火災感知器20が平常状態に復旧すると受信抵抗5に電流が流れなくなるので、受信抵抗5の高温化は大きな問題とならない。しかし、常時閉状態の接点31を有する防排煙装置30が接続された場合には、受信抵抗5に電流が常時流れることにより、受信抵抗5が高温化するため、熱対策が必要になってしまう。ここで、受信抵抗5の抵抗値を大きくすることによって受信抵抗5に流れる電流を抑制することも考えられる。しかし、上述のとおり、電源部4から感知器回線10に供給される電源電圧は、線間電圧と受信電圧とに分割される。受信抵抗5の抵抗値を大きくすると、この感知器回線10に火災感知器20が接続された場合に、平常時において火災感知器20と終端抵抗13に流れる電流によって受信抵抗5で発生する受信電圧が大きくなり、感知器回線10の線間電圧が低下してしまう。その結果、火災感知器20に供給される電圧が低くなり、火災感知器20の動作が不安定になってしまう。したがって、同じ感知器回線10を、火災感知器20と防排煙装置30のいずれでも使用できるようにする場合、受信抵抗5の抵抗値を大きくすることはできない。
【0034】
しかし、本実施の形態によれば、常時閉状態の接点31を有する防排煙装置30が接続された感知器回線10に対応する受信抵抗5は、スイッチ7によって感知器回線10から切り離されるので、上述のとおり受信抵抗5の高温化を抑制することができる。したがって、感知器回線10を、防排煙装置30などの外部機器を接続する外部回線として使用するときの利便性を向上させることができる。
【0035】
実施の形態2.
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる位置にスイッチ7を設けた例を説明する。本実施の形態では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0036】
図2は、実施の形態2に係る火災受信機1を含む火災報知システム100の説明図である。本実施の形態の火災受信機1は、実施の形態1のスイッチ7に代えて、スイッチ7Aを備えている。スイッチ7Aの機能及び構造は、実施の形態1のスイッチ7と同じであるが、接続位置が異なる。具体的に、スイッチ7Aは、ライン線12において、状態判定部6及び受信抵抗5と直列に、接続されている。
【0037】
感知器回線10ごとに第1状態又は第2状態が設定され、第1状態のときにはスイッチ7Aがオン状態とされ、第2状態のときにはスイッチ7Aがオフ状態とされることは、実施の形態1と同じである。
【0038】
感知器回線10が第2状態に設定された場合の火災受信機1の動作を説明する。スイッチ7Aがオフ状態とされると、感知器回線10は閉回路でなくなり、感知器回線10には電流が流れない。すなわち、状態判定部6には受信電圧が入力されない。そうすると、状態判定部6は、感知器回線10が断線状態であると判定し、断線信号を副制御部3に入力する。しかし、第2状態に設定された感知器回線10に接続された副制御部3は、断線の検出を主制御部2に通知しない。さらに副制御部3は、周期的にスイッチ7をオン状態にして、受信抵抗5を感知器回線10に接続してもよい。このように受信抵抗5を感知器回線に接続することで、実施の形態1で説明したように、接点31が開状態であるか閉状態であるかによって異なる電流が状態判定部6によって検出され、防排煙装置30の状態を検出できる。
【0039】
このようにスイッチ7Aを受信抵抗5及び状態判定部6と直列に接続した実施の形態2においても、実施の形態1と動揺の技術効果を得ることができる。
【0040】
なお、実施の形態1および2において、防排煙装置を例に説明したが、外部機器としては、火災受信機1と連動して用いられる火災の発生を放送で知らせる非常放送設備や火災の発生位置を地図表示する総合操作盤としてもよく、火災受信機1でそれらの状態を表示することができる。
また、外部機器は、スプリンクラ設備やガス消火設備を制御する消火制御盤や、その設備の一部である圧力監視機器であってもよい。
また、異常を発見した人が、操作して異常を知らせる緊急通報装置又は緊急停止装置を外部機器としてもよい。
また、建物に電源を供給する電源設備又は停電時に電力を供給する非常用電源設備を外部機器としてもよい。
また、照明装置、自動ドア、エレベーター又はエスカレーターを外部機器としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 火災受信機、2 主制御部、3 副制御部、4 電源部、5 受信抵抗、6 状態判定部、7 スイッチ、7A スイッチ、10 感知器回線、11 コモン線、12 ライン線、13 終端抵抗、20 火災感知器、21 接点、30 防排煙装置、31 接点、100 火災報知システム。
図1
図2