(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20241125BHJP
G03G 9/08 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
G03G15/08 226
G03G9/08
(21)【出願番号】P 2020173316
(22)【出願日】2020-10-14
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】平松 隆
(72)【発明者】
【氏名】川本 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】船木 祥子
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-152628(JP,A)
【文献】特開2001-117357(JP,A)
【文献】特開平05-188748(JP,A)
【文献】特開2012-042770(JP,A)
【文献】特開昭63-279283(JP,A)
【文献】特開2007-293106(JP,A)
【文献】特開2007-279112(JP,A)
【文献】特開2017-116920(JP,A)
【文献】特開平09-114232(JP,A)
【文献】特開2007-147979(JP,A)
【文献】特開2014-178554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0214033(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0073117(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0045255(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0176886(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106896674(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0270861(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
前記枠体に回転可能に支持され、現像剤を担持する円筒状の現像剤担持体と、
一端が前記枠体に固定され、他端が前記現像剤担持体に当接し前記現像剤担持体との間で当接ニップを形成する当接部を備える規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記当接部の、前記現像剤担持体の回転方向における前記現像剤担持体に対する圧力分布の最大値を示す位置を基準位置としたとき、
前記当接部は、前記基準位置よりも上流側に位置する第1領域と、前記基準位置よりも下流側に位置する第2領域と、を含み、
前記第1領域の表面粗さRzは、前記第2領域の表面粗さRzより小さく、
前記現像剤担持体の回転方向において、前記第2領域の長さは前記第1領域の長さよりも長く、
前記第1領域の表面粗さRzは、0.21μm以下であり、前記第2領域の表面粗さRzは、現像剤に含まれるトナー粒子の平均粒径の20%以下である、ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記当接部は、
前記当接ニップを形成する第1の面部と、
前記回転方向において前記第1の面部より下流側に位置し前記第1の面部に繋ぐと共に前記当接ニップを形成する第2の面部と、を有し、
前記第1領域は、前記第1の面部に形成され、
前記第2領域は、前記第2の面部に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第1の面部および前記第2の面部は、共に平面で構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載に現像装置。
【請求項4】
前記第1の面部と前記第2の面部は、変曲点を有さない一つの曲面で構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像剤に含まれるトナー粒子は、平均粒径が8.0μm以下の球形トナー粒子である、ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記規制部材の前記他端は、前記現像剤担持体の回転方向の上流側に延びるように前記枠体に取り付けられている、請求項1~
5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記規制部材は、金属ブレードを備え、
前記金属ブレードのエッジ部を研磨加工することにより、前記当接部が形成される、ことを特徴とする請求項
6に記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像装置は、画像形成装置の装置本体に着脱可能である、ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項9】
枠体と、
前記枠体に回転可能に支持され、現像剤を担持する円筒状の現像剤担持体と、
一端が前記枠体に固定され、他端が前記現像剤担持体に当接し前記現像剤担持体との間で当接ニップを形成する当接部を備える規制部材と、
を備え、
前記当接部の、前記現像剤担持体の回転方向における前記現像剤担持体に対する圧力分布の最大値を示す位置を基準位置としたとき、
前記当接部は、前記基準位置よりも上流側に位置する第1領域と、前記基準位置よりも下流側に位置する第2領域と、を含み、
前記第1領域の表面粗さRzは、前記第2領域の表面粗さRzより小さく、
前記現像剤担持体の回転方向において、前記第2領域の長さは前記第1領域の長さよりも長く、
前記第1領域の表面粗さRzは、0.21μm以下であり、前記第2領域の表面粗さRzは、現像剤に含まれるトナー粒子の平均粒径の20%以下である、ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
枠体と、
前記枠体に回転可能に支持され、現像剤を担持する円筒状の現像剤担持体と、
一端が前記枠体に固定され、他端が前記現像剤担持体に当接し前記現像剤担持体との間で当接ニップを形成する当接部を備える規制部材と、
を備え、
前記当接部の、前記現像剤担持体の回転方向における前記現像剤担持体に対する圧力分布の最大値を示す位置を基準位置としたとき、
前記当接部は、前記基準位置よりも上流側に位置する第1領域と、前記基準位置よりも下流側に位置する第2領域と、を含み、
前記第1領域の表面粗さRzは、前記第2領域の表面粗さRzより小さく、
前記現像剤担持体の回転方向において、前記第2領域の長さは前記第1領域の長さよりも長く、
前記第1領域の表面粗さRzは、0.21μm以下であり、前記第2領域の表面粗さRzは、現像剤に含まれるトナー粒子の平均粒径の20%以下である、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成装置に使用される現像装置、規制部材、プロセスカートリッジに関する。特に、電子写真方式を採用する電子写真画像形成装置及び電子写真画像形成装置に使用される現像装置、規制部材、プロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置に使用される現像装置において、現像ローラの表面に担持される現像剤量を制御する手段として現像ブレードが用いられている。
【0003】
一般的に、現像ローラの表面に現像ブレードの一端を当接させ、現像ローラの回転時に適切な当接圧を形成することで、現像ローラ上に現像剤量(層厚)が略均一のコート層を形成することができる。また、コート層に含まれる現像剤は、現像ローラと現像ブレードの当接ニップを通過する際に摺擦され、摩擦帯電により現像剤に電荷(トリボ)が付与される。
【0004】
また、エネルギー消費削減の観点から、画像形成に使用される現像剤の「低融点化」が求められている。低融点の現像剤(トナー粒子)でも現像ローラと現像ブレードの「当接圧」で潰れにくくするために、特許文献1では、現像ブレードの形状を規定した構成が提案されている。特許文献1の構成によれば、「当接圧」の軽圧化が図られ、トナー粒子の潰れによる部品への融着が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、更なる高画質化を目的として、現像剤(トナー粒子)の「小粒径化」の向上が求められている。粒径が小さくなるに連れ、従来のような特許文献1の構成では、現像ブレードの形状や当接圧などに僅かな変化に対して、現像ローラ上の現像剤量(コート層)の長手方向の均一性が低下しやすくなる可能性がある。しかも、摩擦帯電による現像剤の帯電量が不足しやすくなる可能性もある。この場合、印刷された画像として、縦方向(記録紙の搬送方向)のスジ状の画像不良や、画像濃度にムラ(不均一)が生じるなどの画像不良が発生しやすくなる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、簡易な構成で、現像剤コート層に含まれる現像剤粒子の帯電性の低下を抑制しつつ、現像剤量(現像剤コート層)の長手方向の均一性を高めやすくなる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の現像装置は、
枠体と、
前記枠体に回転可能に支持され、現像剤を担持する円筒状の現像剤担持体と、
一端が前記枠体に固定され、他端が前記現像剤担持体に当接し前記現像剤担持体との間で当接ニップを形成する当接部を備える規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記当接部の、前記現像剤担持体の回転方向における前記現像剤担持体に対する圧力分布の最大値を示す位置を基準位置としたとき、
前記当接部は、前記基準位置よりも上流側に位置する第1領域と、前記基準位置よりも下流側に位置する第2領域と、を含み、
前記第1領域の表面粗さRzは、前記第2領域の表面粗さRzより小さく、
前記現像剤担持体の回転方向において、前記第2領域の長さは前記第1領域の長さよりも長く、
前記第1領域の表面粗さRzは、0.21μm以下であり、前記第2領域の表面粗さRzは、現像剤に含まれるトナー粒子の平均粒径の20%以下である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構成で、現像剤コート層に含まれる現像剤粒子の帯電性の低下を抑制しつつ、現像剤量(現像剤コート層)の長手方向の均一性を高めやすくなることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例に係る画像形成装置に使用される現像ブレードと現像ローラが当接する状態を示す断面概念図
【
図2】本発明の実施例に係る画像形成装置の断面概念図
【
図3】本発明の実施例に係る画像形成装置に使用される現像ブレードの断面概念図
【
図4】本発明の実施例の変形形態の現像ブレードの断面概念図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る電子写真画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」と称する場合がある)を図面に則して説明する。
【0012】
なお、以下に説明する実施例は、例示的に本発明を説明するものであって、以下に記載される構成部品の寸法、材質、形状、相対位置関係などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれに限定するものではない。
【0013】
ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。そして、電子写真画像形成装置の例としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、レーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置およびワードプロセッサ等が含まれる。
【0014】
また、画像形成装置に使用される現像装置は、少なくとも現像手段を有するものである。規制部材は、現像装置に含まれる現像手段を構成する一つの部材である。現像装置をカートリッジ化して、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能にすることができる。
【0015】
また、画像形成装置の一部を構成するプロセスカートリッジとは、例えば、帯電手段、現像手段またはクリーニング手段と電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置の本体に対して着脱可能とするものである。また、帯電手段、現像手段、クリーニング手段の少なくとも1つと電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して電子写真画像形成装置の本体に着脱可能とするものである。さらに、少なくとも現像手段と電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して電子写真画像形成装置の本体に着脱可能とするものである。なお、プロセスカートリッジを画像形成装置に固定して使用することも可能である。
【0016】
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面1~
図4に基づいて詳細に説明する。
【0017】
<画像形成装置の全体構成>
まず、
図2を参照して、本実施例の画像形成装置の全体の構成について説明する。
図2は、本実施例の画像形成装置の断面概念図である。
【0018】
図2に示すように、本実施例に係る画像形成装置100は、着脱自在に構成されたプロセスカートリッジ1を備えている。即ち、プロセスカートリッジ1は、所定の着脱方向に沿って装置本体100aに挿入、取外しすることができる。
【0019】
プロセスカートリッジ1は、現像手段である現像ユニット2(現像装置)と、感光ドラムユニット3により形成される。感光ドラムユニット3は、像担持体としての感光体11、感光体を帯電する帯電手段としての帯電ローラ21、感光体のクリーニング手段としてのクリーニングブレード61と、から成る。
【0020】
なお、感光体11の周囲には、帯電ローラ21、現像ユニット2に取り付けられた現像剤(T)としてのトナーを担持し感光体11の表面に形成された静電潜像を現像剤により現像するための現像ローラ41が設けられている。また、感光体11の周囲には、さらに感光体11上のトナーを記録材Rに転写する転写ローラ51、記録材Rに転写されずに感光体11上に残留した転写残留トナーをクリーニングするためのクリーニングブレード61が設けられている。
【0021】
また、現像ユニット2(現像装置)において、現像ローラ41の周囲には、現像ローラへのトナーの供給、剥ぎ取りを行うトナー供給ローラ42が配置されている。また、現像ユニット2には、現像ローラに供給されたトナーを所望のトナー量(コート層の厚み)に規制すための(トナー量)規制部材としての現像ブレード43が配置されている。
【0022】
そして、トナーによって形成され記録材Rに転写されたトナー像は、定着器71を通過する際に所定の圧と熱が加えられることで、記録材Rに定着される。
【0023】
なお、転写ローラ51や帯電された感光体11に対し画像データに対応した静電潜像を形成させるためのレーザ露光ユニット31も画像形成装置100の装置本体100aに取り付けられている。
【0024】
また、画像形成装置100には、帯電ローラ21、現像ローラ41、現像ブレード43、トナー供給ローラ42、転写ローラ51のそれぞれに所定の電圧を印加するための電源(図示しない)が取り付けられている。
【0025】
<画像形成動作>
次に、
図2を参照して、本実施例の画像形成装置における画像形成動作について詳細に説明する。
【0026】
本実施例では、画像形成動作が開始されると、感光体11は、感光体駆動モーター(図示しない)にて方向Rdに回転駆動される。なお、回転駆動された感光体11の表面速度は、180mm/secである。
【0027】
感光体11は、アルミニウム等からなる導電性の芯金上に、電荷発生層を形成し、その上層に電荷輸送層を形成した、所謂有機感光体である。本実施例では、電荷輸送層の層厚は、23μmである。
【0028】
感光体11に当接された帯電ローラ21は、円筒状の導電性の支持体表面を規定の抵抗層で覆ったローラであり、導電性支持体の円筒両端部をバネ加圧されることで、感光体11の回転に伴って従動回転を行う。なお、帯電ローラ21には、感光体表面を帯電するために帯電用電源(図示しない)から所定のタイミングで負電圧-1100Vが印加され、感光体11上は一様に負帯電され、「暗部電位」として-500Vになる。
【0029】
なお、帯電された感光体11を露光するレーザ露光ユニット31は、画像データに応じて、レーザビームを用いて感光体11に主走査方向(感光体回転軸方向)に露光行う。また副走査方向(感光体表面回転移動方向)にもタイミングを合わせ、露光を行うことで「静電潜像」が形成される。露光された画像形成部(静電潜像形成部)には、「明部電位」として-100Vになる)。
【0030】
本実施例では、現像ユニット2(現像装置)に取り付けられた現像ローラ41は、画像形成時に感光体11と接触し、形成された静電潜像に対し現像動作を行う。なお、現像ローラ41には、現像ローラ41用電源(図示なし)から現像電圧として-350Vが印加され、感光体11との電位差によってトナーを現像ローラから感光体へ転移させ、静電潜像をトナーにより可視化する。
【0031】
本実施例では、現像ローラ41は感光体と逆方向に回転し、その表面速度は感光体の表面速度に対し1.4倍の速度で回転している。
【0032】
現像ローラ41により感光体11上に可視化(現像)されたトナー像は、転写ローラ51の接触部に送られ、タイミングを合わせて搬送されてくる記録材R上に転写される。なお、本実施例では、転写ローラ51と感光体11との間には、転写電源(図示しない)により転写ローラ51に転写バイアスとして1000Vが印加されている。
【0033】
続いて、トナー像が転写された記録材Rは、定着装置71に送られる。定着装置71において、記録材Rに熱及び圧力が加えられ、転写されたトナー像は記録材Rに定着される。
【0034】
一方、転写部で転写されなかった転写残留トナーは、クリーニングブレード61により取り除かれる。クリーニングブレード61は、その自由端が感光体11の回転方向Rdの上流側に向けて延びるように(「カウンター方向」に)取り付けられている。そして、カウンター方向に取り付けられたクリーニングブレード61の自由端に適切な当接圧をもって感光体11に当接させることで、転写残留トナーを感光体11から取り除くことができる。そして、感光体11表面は、トナー等ない(取り除いた)状態で再び帯電ローラ21により帯電される。
【0035】
このような工程を繰り返すことで、記録材Rへのトナー像が形成される。一方、クリーニングブレード61により感光体11から取り除かれたトナーは廃トナー収容室62に収容される。本実施例では、転写残留トナーを極力少なくするために、直径100nm程度の円形のシリカをトナーに外添し、トナー(像)の転写性の向上を図っている。これにより、トナーの母体(トナー母粒子)と感光体11との接触を適切に妨げで、感光体11表面上のトナー付着力積極的に制御し、転写性が向上している。
【0036】
<現像ユニット>
次に、本実施例の現像ユニット2(現像装置)について詳細に説明する。
【0037】
図2に示すように、本実施例の現像ユニット2(現像装置)は、現像容器(枠体)40を備え、現像ローラ41(現像剤担持体)及びトナー供給ローラ42が回転可能なように現像容器(枠体)40に支持されている。なお、現像ローラ41は、トナーを外周面に担持可能なように円筒状に形成されている。
【0038】
トナー供給ローラ42は、現像ローラ41の外周面と接触するように配置されている。トナー供給ローラ42によって、現像ローラ41にトナーが供給され、現像ローラ41の表面上にトナーが担持される。
【0039】
現像ローラ41とトナー供給ローラ42の回転方向は、
図2中の矢印Rb、Rcに示されるように同一方向(接触部分の周面では逆方向)である。現像ローラ41は、金属芯金の周囲に所定の体積抵抗を持つ導電性弾性ゴム層を設けたものであり、更に表面に所定の表面粗さを有するようにしている。
【0040】
トナー供給ローラ42は、金属芯金の周囲に発泡ウレタン層を設けたものであり、また体積抵抗を所望の値に調整している。この発泡ウレタン層の表層では、発泡セルが開口されており、トナーを保持・搬送し易くなっている。
【0041】
本実施例の現像ブレード43(規制部材)は、可撓性を有する弾性板(例えば、SUS板)で構成され、その一端431が現像容器(枠体)40に固定され、他端432が自由端となり、現像ローラ41の表面との間に当接ニップNを形成するように配置される。
【0042】
トナー供給ローラ42より現像ローラ41に供給されたトナーは、現像ブレード43の自由端(432)により現像ローラ41上でほぼ均一なトナーコート層(図示しない)が形成される。
【0043】
そして、トナーコート層は、現像ブレード43の自由端(他端432)に近い板面(Z10、Z20)と、現像ローラ41の導電性弾性ゴム層の表面とで摺擦するように配置されている。このため、トナーコート層の形成と同時にトナーが摩擦帯電されトリボが付与される。なお、本実施例では、現像ブレードは、SUS材を用いて構成されている。
【0044】
現像ユニット2中のトナーが外に漏れないように、現像容器(枠体)40には漏れ防止用のシート44が張り付けられ、シート44と現像ローラが適切な状態で当接することで現像容器内のトナーが容器外へ漏れ出ることを防止している。シート44は、可撓性を持ったシートであり、本実施例では、材質がPPS樹脂で厚みは60μmのシートを採用し、トナーが容器外へ漏れ出ない程度の当接圧で取り付けている。
【0045】
本実施例では、トナーは、中心トナー粒径が7.0μmであり、外添剤としてシリカを用いているものを使用している。シリカを外添することで、トナーの流動性を確保し、カートリッジの長寿命と品質の維持を達成しやすくしている。なお、トナーの流動性に関して、本実施例では、ホソカワミクロン株式会社製のパウダーテスタPT-Xを用いて測定を行った。本実施で採用するトナーの流動性は50であった。
【0046】
<コート層と規制部材の関係>
次に、
図1、
図3、
図4を用いて、本実施例の現像ブレード43(規制部材)、および、トナーコート層と規制部材の関係について詳細に説明する。
【0047】
図1は、本実施例の画像形成装置に使用される現像ブレード43と現像ローラ41が当接する状態を示す(現像ローラの回転軸線に直交する)断面概念図である。
図3は、本実施例の現像ブレードの断面概念図である。
図4は、本実施例の現像ブレードの変形形態を示す断面概念図である。
【0048】
図1または
図3に示すように、本実施例では、現像ブレード43は、現像ローラ41に当接し現像ローラ41との間で当接ニップNを形成する他端432に当接部CPを備えている。なお、現像ブレード43の他端432は、現像ローラ41の回転方向Rbの上流側に延びるように現像容器40(枠体)に取付けられている。
【0049】
本実施例では、当接部CPにおいて、現像ローラ41の回転方向Rbにおける現像ローラ41に対する圧力分布の最大値(当接ピーク圧部P1)を示す位置Oを基準位置とする。このとき、当接部CPにおいて、基準位置よりも上流側に位置する第1領域Z1の表面粗さは、基準位置よりも下流側に位置する第2領域Z2の表面粗さよりも小さい。
【0050】
なお、本実施例では、当接部CPは、当接ニップNを形成する第1の面部Z10と、回転方向Rbにおいて第1の面部より下流側に位置し第1の面部に繋ぐと共に当接ニップを形成する第2の面部Z20とを有している。第1の面部Z10および第2の面部Z20は、共に平面(Z1p、Z2p)である。第1領域Z1は第1の面部Z10(Z1p)に形成され、第2領域Z2は第2の面部Z20(Z2p)に形成されている。
【0051】
より具体的には、現像ローラ41の表面は、回転方向Rbに沿って(回転)移動する。現像ローラ41の表面上に担持されたトナーコート層(厚み)の制御(量の規制)は、主に現像ブレード43と現像ローラ41とが当接する当接ニップN内において最大値となる位置O(当接ピーク圧部)によって行われる。
【0052】
ピーク圧は、当接ニップN内で現像ブレード43の角度や曲率が最も小さくなる部分に形成される。例えば、
図1において、現像ブレード43の当接部CPは、二つの平面(Z10、Z20)が交差する角位置O点でピーク圧を形成されるように設定される。
【0053】
当接ニップN内で現像ブレード43の角度が変わらないとき(例えば、当接ニップ内の現像ブレードの当接面が平面の時や、当接面の曲率がほぼ変わらないとき)は、当接ニップNの真ん中でピーク圧が形成される。即ち、
図1には、当接ニップN内で現像ブレード43の角度が変わらないとき(当接ニップ内の現像ブレードの当接面が平面の時)のピーク圧の位置を示している。
【0054】
一方、
図4に示す変形形態では、当接ニップN内で、曲率か変化するような現像ブレード43の場合では、その曲率が最も小さくなる部分(位置O)でピーク圧が形成される。即ち、
図4に示す構成では、当接ピーク圧部P1(基準位置)は曲率が最も小さくなる位置(O)に形成されている。
【0055】
本実施例では、現像ブレードの当接圧は、20gf/cm程度で設定している。
【0056】
次に、本実施例の当接ニップNにおける現像ブレード43の表面粗さの制御について説明する。
【0057】
図1に示すように、本実施例では、当接部CPの表面粗さは、当接ピーク圧部が発生する位置(O位置)を境に、上流側の第1領域(Z1)と下流側の第2領域(Z2)とで異なるものに設定されている。
【0058】
具体的に、
図1に示すように、本実施例では、当接部CPは、複数(二つ)の平面部から構成され、当接ピーク圧部の位置(O位置)は、当接ニップN内で、交差する平面からなる角度が最も小さくなる位置である。なお、
図4の変形例に示すように、当接部CPが平面部ではなく、曲面部で構成された場合では、当接ピーク圧部の位置は、曲率が最も小さくなる位置(O位置)となる。
【0059】
より具体的に、本実施例では、
図1に示すように、第1の面部Z10と第2の面部Z20とで粗さを変えており、第1の面部Z10のほうが第2の面部Z20よりも粗さを小さくしている。ここで、第1の面部Z10、第2の面部Z20は、現像ブレードの当接部CPを構成する二つの平面である。第1領域Z1、第2領域Z2は、当接ニップN内に位置する部分であり、第1領域Z1は、第1の面部Z10の一部であり、第2領域Z2は、第2の面部Z10の一部である。
【0060】
第1の面部Z10の粗さを小さくしている理由は、現像ブレードに起因する「縦スジ」という画像不良を抑制するためである。
【0061】
つまり、第1の面部Z10は、トナー規制量(コート層の厚み)を制御するために、当接ピーク圧部に入るまでの(直前の)接触面であり、ピーク圧部CPへ至るまでにトナーが第1の面部Z10に沿って現像ローラの回転軸方向(長手方向)に移動する。第1の面部Z10の表面状態(特に、粗さ)によって、ピーク圧部CPに到達するトナー量が現像ローラの回転軸方向(長手方向)の全域に渡って均一になれない場合がある。
【0062】
この場合、当接ピーク圧部P1(規制)直前のトナー量が長手方向で異なり、当接ピーク圧部P1を通過(規制)後のトナー量(コート層の厚み)も長手方向で異なる。これに起因して「縦スジ」状の画像不良が発生する。以上の理由から、本実施例では、当接ピーク圧部P1に至るまでにトナー量を長手方向でより均一になるように、第1の面部Z10の粗さを相対的に小さくしている。
【0063】
一方、第2の面部Z20を第1の面部Z10よりも粗らしているのは、摩擦帯電によりトナーにトリボを付与するためである。
【0064】
トナーへのトリボ(電荷)付与は、ピーク圧部CPでトナー量(コート層の厚み)が規制された後に、現像ブレードとの接触により摩擦帯電で実現される。従って、第2の面部Z20との接触する機会を積極的に設けるために、第2の面部Z20の粗さを相対的に大きく設定している。
【0065】
粗さが小さい場合には、第2の面部Z20でトリボの付与が十分に行われない可能性がある。特に、トリボを持ちにくい温度、湿度が共に高い環境(例えば温度32度、湿度80%以上)で使用する場合には、トリボの付与が十分でないとき、現像ブレード43や、漏れ防止用のシート44に「トナー溜まり」現象が発生することがある。
【0066】
「トナー溜まり」の発生する要因の一つは、トナーのトリボが低下していると考えられる。つまり、トナーのトリボが低いと、現像ローラとの静電的な付着力が小さくなり、現像ローラと接触する他の部材上への付着をしやすくなり、トナー溜まりが発生する。
【0067】
この場合、付着力が不足で、規制後のトナーコート層が現像ローラの表面から落下(以下、「コート層落下」とも言う)し、画像不良を引き起こす可能性がある。また、他の部材への付着によりトナー溜まりが多く発生した場合、カートリッジを交換する際、装置本体からカートリッジを取り出すとき、付着されたトナーの飛散による汚染が発生する可能性がある。そのため、本実施例では、第2の面部Z20の粗さを相対的に大きくし、トナーのトリボを適正な値にしておく必要がある。
【0068】
このように、本実施例では、当接ニップN内での当接ピーク圧部P1(角度や曲率が最小となる部分)を境として、当接部CPの表面粗さを制御する。即ち、現像ローラの回転方向Rbの上流側の粗さを小さくし(第1の面部Z10の粗さを小さく)、下流側の粗さを上流側の粗さより大きく(第2の面部Z20の粗さを大きく)する。これにより、上記した「縦スジ」現象の発生の抑制しつつ適正なトリボをトナーへ付与することによってコート層落下や、トナー溜まりによる汚染等の抑制することができる。
【0069】
言い換えると、当接ニップNのうち、当接ピーク圧部P1が設定された位置(O位置)より上流側の第1領域Z1において、表面粗さが相対的に小さくする。これにより、現像剤がより現像剤担持体の軸方向(長手方向)に移動しやすくなり、現像剤コート層(厚)の長手方向の均等化が促進される。
【0070】
同時に、当接ピーク圧部P1が設定された位置(O)より下流側の第2領域Z2において、表面粗さが相対的に大きくすることにより、現像剤に対する摩擦帯電作用が促進されやすくなる。この結果、当接ニップN内の当接部CPの表面粗さを制御することにより、現像剤量(現像剤コート層)の長手方向の均一性の向上、および、現像剤コート層に含まれる現像剤粒子の帯電性の向上が両立しやすくなる。
【0071】
<評価>
次に、本実施例の現像ブレードを用いて、以下の実験により性能を評価する。
【0072】
図1または
図3には、本実施例での現像ブレードの断面形状を示している。
【0073】
本実施例の現像ブレードの自由端の形状は、研磨加工によって作成している。つまり、加工される前に、元々の現像ブレードは、板形状であり、第2の面部Z20と、第3の面部Z30は、互いに直交している。第2の面部Z20と第3の面部Z30の交点(エッチ部)を所望の角度で研磨加工することで、第1の面部Z10ならびにO点(角部)が形成される。
【0074】
具体的に、本実施例では、
図3に示すように、O点から第3の面部Z30が存在する平面までの距離L1を50μmとして設定する。また、第3の面部Z30と第1の面部Z10の交点(角部)であるQ点から第2の面部Z20が存在する平面まで距離L2を15μmとして設定する。L1、L2が上記の数値になるように、現像ブレードを構成するSUS板材の角(エッチ部)を研磨加工している。
【0075】
また、第1の面部Z10を形成するための研磨粗さを変えることで、当接部CPの形状や粗さを変えて以下の実験を行った。
【0076】
はじめに、第1の面部Z10の粗さRzを変えて縦スジ現象の発生状況を確認した。具体的に、4本の現像ブレードを用意し、それぞれの測定した粗さRzは、実験例1では0.12μm、実験例2では0.21μm、実験例3では0.23μm、実験例4では0.75μmであった。第2の面部Z20の粗さRzは、いずれも0.71μmであった。
【0077】
粗さの測定には、KEYENCE社製VK-200レーザ顕微鏡を用い、対物レンズ20倍で測定を行った。粗さとしてRzを使用することで、トナーと現像ブレードの相対移動する際の抵抗を表すことができる。
【0078】
上記した各実験例の現像ブレードを用い「縦スジ現象」の発生状況、ならびに、高温高湿下での通紙実験を行い「トナー溜まり」の発生状況を検証し、それぞれ評価を行った。各実験例に対する評価結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
A:確認されない
B:極軽微
C:軽微
D:通常画像の中で判別できる程度
(E:画像不良が顕著に現れる)
【0080】
表1から理解できるように、現像ローラの回転方向Rbに対して、当接ピーク圧部P1の上流側の粗さが縦スジ現象の発生に影響している。本例では、上流側の第1の面部の粗さRzを0.21μm以下にすることで、より効果的にスジの発生を抑制することができる。
【0081】
次に、第2の面部Z20の粗さを変えて、上記同様の実験を行った。なお、第1の面部の粗さは、いずれも0.12μmである。
【0082】
【0083】
表2から理解できるように、当接ピーク圧部P1よりも現像ローラの回転方向Rbの上流側の第1の面部Z10の粗さに対し、下流側の第2の面部Z20の粗さが小さくなると、トリボの付与性が低下し、トナー溜まりが発生しやすくなる。なお、実験例7から理解できるように、下流側の第2の面部Z20の粗さが大きくなりすぎても縦スジ現象が発生しやすくなる傾向がある。
【0084】
これは、トリボを付与するためには接触機会を増やす、つまり現像ブレードの粗さを大きくすることが有効ではあるが、粗さが大きくなりすぎると、当接部CP規制された後のトナーの流れが阻害される可能性もあると考えられる。
【0085】
第2の面部Z20の粗さRzは、トナーの平均粒径の少なくとも半分以下でないと、縦スジが発生しやすくなる可能性が高いことが実験で分かった。本実施例では、第2の面部Z20の粗さRzは、トナーの平均粒径の20%以下であるに設定することにより、縦スジの発生が効果的に抑制される。
【0086】
本実施例では、トナーの平均粒径(一次平均粒径)は、8.0μm以下のものを採用している。特に、本実施例の構成によれば、より小さい粒径のトナー(例えば、粒径が5.0μm以下)の現像剤を使用して画像を形成した際、さらにより有利な効果が得られる。即ち、小粒径のトナー粒子であっても、本発明の構成を使用すれば、摩擦帯電による現像剤の帯電量の低下が有効に抑制されつつ、現像ローラ上の現像剤量(コート層)の長手方向の均一性の向上がしやすくなる。
【0087】
上記のように、当接ニップN内の当接ピーク圧部P1を境として粗さを制御し、当接ピーク圧部P1よりも上流側の第1領域Z1の粗さを下流側の第2領域Z2の粗さよりも小さくすことで、縦スジの発生ならびにトナー溜まりの抑制を両立しやすくなる。
【0088】
また、凝集度が低い(即ち、流動性が高い)トナー(例えば、外添剤としてシリカを表面に十分に含有するトナー粒子)で同様な評価実験を行った。凝集度が低いトナーを用いると、本実施例のうち、実験例(2、3、4、7)では縦スジが発生する第1の面部Z10の粗さであっても、縦スジの程度が抑制されていることがわかった。
【0089】
これは、凝集度が低いトナーでは、現像ブレードの粗さに対する抵抗が少なくなるため、縦スジの発生要因となる長手方向でのトナー量の差(不均一性)が発生し難いからである。
【0090】
一方、トナーへのトリボ付与に関しては、現像ブレードとの粗さによる抵抗で接触機会が増えトリボの付与が行われるため、ニップ部Nでの粗さを大きくする必要がある。
【0091】
つまり、例え、凝集度が低いトナーにおいて、第1の面部Z10、第2の面部Z20の粗さの絶対値は変わるものの、第1の面部Z10の粗さを第2の面部Z20の粗さよりも小さくすることで、縦スジならびにトナー溜まりを共に抑制しやすくなる。
【0092】
第1の面部Z10と第2の面部Z20の表面粗さは、トナーの物理的性質に合わせて適宜に調整されるが、本発明のようは関係を保つことで、画像不良が抑制されやすくなる。なお、一般的に、第1の面部Z10の表面粗さRzは、例えば、0.1~1.0μmの範囲に設定することができる。また、第2の面部Z10の表面粗さRzは、例えば、0.2~2.0μmの範囲に設定することができる。
【0093】
このように、現像ブレードの当接ニップNの粗さを、当接ピーク圧部P1を境界として上流、下流で制御し、上流側の粗さを下流側の粗さよりも小さくすることで画像不良の発生が抑制しやすくなる。特に、本発明の構成によれば、現像ブレードの当接部CPの粗さが大きい場合に発生する縦スジや、小さい場合に発生するとトリボ帯電不足によるコート層落下などを抑制しやすくなる。
【0094】
本発明の構成を以下のように纏めることができる。
【0095】
(1)本発明の現像装置(2)は、枠体(40)と、枠体に回転可能に支持され、現像剤(T)を担持する円筒状の現像剤担持体(41)と、規制部材(43)と、を備える。規制部材は、一端(431)が枠体に固定され、他端(432)が現像剤担持体に当接し現像剤担持体との間で当接ニップ(N)を形成する当接部(CP)を備える。
【0096】
当接部の、現像剤担持体の回転方向(Rb)における現像剤担持体に対する圧力分布の最大値を示す位置(O)を基準位置(P1)としたとき、
当接部の基準位置よりも上流側に位置する第1領域(Z1)の表面粗さは、当接部の基準位置よりも下流側に位置する第2領域(Z2)の表面粗さより小さく、第2領域(Z2)の表面粗さ(Rz)は、現像剤に含まれるトナー粒子の平均粒径の20%以下である。
【0097】
これにより、当接ニップのうち、当接ピーク圧が設定された位置(ピーク圧部)より上流側の第1領域において、表面粗さが相対的に小さく現像剤がより現像剤担持体の軸方向(長手方向)に移動しやすくなる。そして、現像剤コート層(厚)の長手方向の均等化も促進される。同時に、当接ピーク圧が設定された位置より下流側の第2領域において、表面粗さが相対的に大きく現像剤に対する摩擦帯電作用が促進される。
【0098】
この結果、当接ニップ内の当接部の表面粗さを制御することにより、帯電性の低下を抑制しつつ、長手方向における現像剤コート量の均一性を高めやすくなる。
【0099】
(2)本発明の現像装置では、当接部(CP)は、当接ニップ(N)を形成する第1の面部(Z10)と、回転方向において第1の面部より下流側に位置し第1の面部に繋ぐと共に当接ニップを形成する第2の面部(Z20)と、を有することができる。第1領域(Z1)を第1の面部(Z10)に形成し、第2領域(Z2)を第2の面部(Z20)に形成することができる。
【0100】
即ち、当接部CPには、複数の面部を備えることができる。また、回転方向Rbにおいて、当接ピーク圧部P1に隣り合う二つの面部について、当接ピーク圧部P1より上流側の第1の面部Z10の少なくとも一部に第1領域Z1を形成し、下流側の第2の面部Z20の少なくとも一部に第2領域Z2を形成してもよい。
【0101】
(3)本発明の現像装置では、第1の面部(Z10)および第2の面部(Z20)を、共に平面で構成してもよい。
【0102】
なお、共に平面である第1の面部と第2の面部が結合する部分(角)に対して、適宜に面取り加工を及ぼすこともできる。
【0103】
(4)本発明の現像装置では、第1の面部(Z10)と第2の面部(Z20)を、変曲点を有さない一つの曲面(CS)で構成してもよい。
【0104】
なお、曲面(CS)は、異なる曲率半径を持つ複数の曲面を繋いで形成してもよい。
【0105】
(5)本発明の現像装置では、第1領域(Z1)の表面粗さ(Rz)は、0.21μm以下であることが好ましい。
【0106】
これにより、当接ニップにおいて、長手方向における現像剤の移動がより容易になり、コート層の均一性がより促進される。
【0107】
(6)本発明の現像装置では、トナー粒子の粒径は、平均粒径が8.0μm以下の球形トナー粒子であることが好ましい。
【0108】
これにより、当接ニップにおいて、より効果的に現像剤を摩擦帯電することができる。
【0109】
(7)本発明の現像装置では、規制部材(43)の他端(432)を、現像剤担持体(41)の回転方向(Rb)の上流側に延びるように枠体(40)に取付けることができる。
【0110】
規制部材の他端(自由端)を上流側に延びるように取り付ける構成は、下流側に延びるように取り付ける構成に比べ、当接圧がより得られやすくなる。
【0111】
(8)本発明の現像装置では、規制部材(43)は、金属ブレード(43a)を備えてもよく、金属ブレードのエッジ部(43a1)を研磨加工することにより、当接部(CP)を形成してもよい。
【0112】
なお、当接部を研磨加工により形成する方法以外に、サンドブラスト処理や、エッチング剤を用いた表面エッチング処理などの方法で、当接部の形状や表面粗さの制御を実現することもできる。
【0113】
(9)本発明の現像装置では、現像装置(2)を、画像形成装置(100)の装置本体(100a)に着脱可能なように構成してもよい。
【0114】
(10)本発明の規制部材(43)は、現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体(41)に当接し、現像剤担持体との間で当接ニップ(N)を形成可能な当接部(CP)を備える。また、当接部は、当接ニップを形成する第1平面(Z1p)と、当接ニップを形成し、第1平面と交差すると共に該第1平面に繋ぐ第2平面(Z2p)と、を備える。第1平面は、現像剤担持体の回転方向(Rb)において第2平面の上流側に位置し、且つ、第1平面(Z1p)の表面粗さは、第2平面(Z2p)の表面粗さよりも、小さい。
【0115】
(11)本発明のプロセスカートリッジ(1)は、前述する現像装置(2)と、現像剤像を担持する像担持体(11)と、を備え、画像形成装置(100)の装置本体(100a)に着脱可能なように構成されている。
【0116】
(12)本発明の画像形成装置(100)は、前述する現像装置(2)、または、前述するプロセスカートリッジ(1)と、転写部材(51)と、を備える。
【符号の説明】
【0117】
2 現像装置
40 枠体
41 現像ローラ(現像剤担持体)
43 現像ブレード(規制部材)
431 (現像ブレードの)一端
432 (現像ブレードの)他端
CP 当接部
N 当接ニップ
O (圧力分布の)最大値を示す位置
P1 当接ピーク圧部(基準位置)
Rb (現像ローラの)回転方向
T トナー(現像剤)
Z1 第1領域
Z2 第2領域