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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】無線操作ユニットを備える画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241125BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241125BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241125BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20241125BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
H04N1/00 885
H04N1/00 350
G03G21/00 398
G03G21/00 386
B41J29/38 104
B41J29/42 F
G06F3/12 321
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020181045
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022071915
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】菊川 眞
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-134267(JP,A)
【文献】特開2014-063404(JP,A)
【文献】特開2018-032910(JP,A)
【文献】特開2016-175227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
B41J 29/42
G03G 21/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成することが可能なスタンバイモードと前記スタンバイモードよりも消費電力が少ないスリープモードと、前記スリープモードよりも消費電力の少ないディープスリープモードと、に移行可能な画像形成装置において、
シートに画像を形成する画像形成部と、
ユーザーによる操作を受け付け、画像の形成条件を設定することが可能な無線操作ユニットと無線通信を行う無線通信部と、
前記画像形成部と前記無線通信部とに電力を供給する電源と、
前記画像形成装置が前記スタンバイモードである場合、前記画像形成部と前記無線通信部とに電力を供給するように制御し、前記画像形成装置が前記スリープモードである場合、前記画像形成部に電力を供給せず、前記無線通信部に電力を供給するように制御し、かつ、前記画像形成装置が前記ディープスリープモードである場合、前記画像形成部と前記無線通信部とに電力を供給しないように制御する電源制御部と、を備え
前記無線操作ユニットは、前記画像形成装置が前記スリープモードから前記ディープスリープモードに移行する場合、前記画像形成装置が前記スリープモードから前記ディープスリープモードへ移行することを報知する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、前記スタンバイモードである場合、ユーザーによる前記無線操作ユニットへの操作が所定の時間行われなかったことに基づいて、前記スタンバイモードから前記スリープモードへ移行する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記無線操作ユニットは、画像形成に関する情報を表示する表示部を備え、
前記表示部は、前記画像形成装置が前記スリープモードから前記ディープスリープモードへ移行する場合、前記画像形成装置が前記スリープモードから前記ディープスリープモードへ移行することを報知するアナウンス画面を表示する、ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記スリープモードである場合、ユーザーによる前記無線操作ユニットへの操作が所定の時間行われなかったことに基づいて、前記スリープモードから前記ディープスリープモードへ移行する、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記無線操作ユニットは、画像形成に関する情報を表示する表示部を備え、
前記表示部は、前記画像形成装置が前記スリープモードから前記ディープスリープモードへ移行するまでの時間を表示してすることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記画像形成装置が前記スリープモードから前記ディープスリープモードへ移行するまでの時間を表示する画面であるカウント画面に遷移するための遷移ボタンを表示可能である、ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成に関する情報を表示可能な表示パネルと、ユーザーによるタッチ操作を受け付けるタッチパネルとを有し、前記画像形成装置に固定された固定操作ユニットを備え、
前記電源制御部は、
前記画像形成装置が前記スタンバイモードの場合、前記電源に、前記表示パネルと前記タッチパネルとへ電力を供給させ、
前記画像形成装置が前記スリープモードおよび前記ディープスリープモードの場合、前記電源に、前記表示パネルには電力を供給させず、かつ、前記タッチパネルには電力を供給する、ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記無線通信は、Wi-Fiダイレクト通信であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
シートに画像を形成することが可能なスタンバイモードと前記スタンバイモードよりも消費電力の少ないスリープモードとに移行可能な画像形成装置において、
シートに画像を形成する画像形成部と、
ユーザーによる操作を受け付け、画像の形成条件を設定することが可能な無線操作ユニットと無線通信を行う第1の無線通信部と、
前記画像形成部と前記第1の無線通信部とに電力を供給する電源と、
前記画像形成装置が前記スタンバイモードである場合、前記画像形成部と前記無線通信部とに電力を供給するように制御し、前記画像形成装置が前記スリープモードである場合、前記画像形成部に電力を供給せず、前記第1の無線通信部に電力を供給するように制御する、電源制御部と、を備え、
前記無線操作ユニットは前記第1の無線通信部と無線通信を行う第2の無線通信部をさらに有し、
前記第2の無線通信部はユーザーの操作に応じて前記画像形成装置を前記スリープモードから前記スタンバイモードへ移行させる移行信号を前記第1の無線通信部へ出力する、
ことを特徴とする画像形成装置
【請求項10】
前記無線操作ユニットはユーザーによるタッチ操作を受け付け、画像を表示することが可能なタッチパネルディスプレイをさらに有することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置
【請求項11】
前記タッチパネルディスプレイはユーザーが前記画像形成装置を前記スリープモードから前記スタンバイモードへ移行させることを指示する移行ボタンを表示可能であり、
前記移行信号はユーザーによって前記移行ボタンが操作されたことに応じて出力される、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置
【請求項12】
前記無線操作ユニットは、前記タッチパネルディスプレイの表面におけるユーザーがタッチ操作を行った座標を検知することが可能である、ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置
【請求項13】
前記第2の無線通信部は前記座標を示す座標データを無線通信を介して前記第1の無線通信部へ通信し、
前記画像形成装置は、受信した前記座標データに応じて前記スリープモードから前記スタンバイモードへ移行する、ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置
【請求項14】
前記無線操作ユニットは画像を表示する表示部をさらに有し、
前記表示部は、前記無線操作ユニットが無線通信を行う前記画像形成装置の外観を示す外観画像を表示する、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置
【請求項15】
前記画像形成装置は前記外観画像を記憶する記憶部をさらに備え、
前記表示部は前記無線通信を介して受信した前記外観画像を表示する、
ことを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置
【請求項16】
前記無線通信は、Wi-Fiダイレクト通信であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)などの画像形成装置および後処理装置を備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置においては、画像を表示する表示部と、情報を入力する操作部を備え、ユーザが操作部を操作することで画像形成に係るシートのサイズや画像形成枚数などの画像形成に関する設定が可能な操作表示部(操作ユニット)を備える構成が広く知られている。
【0003】
また、特許文献1に記載の画像形成装置では、画像形成装置から操作ユニットを取り外せる構成である。操作ユニットは画像形成装置と無線通信可能であるため、ユーザは画像形成装置から離れた位置でも操作ユニット(無線操作ユニット)を操作することにより、画像形成装置に画像形成の指示等を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-106369
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置によっては、画像形成処理を実行可能なスタンバイモードと当該スタンバイモードよりも消費電力が少ないスリープモードとに移行可能なものがある。画像形成装置のモードは、スタンバイモードにおいてユーザからの画像形成の指示が行われない時間が所定時間を超えたことに応じて、スリープモードへ移行する。スリープモード時の消費電力は極力小さくする必要があるため、無線操作ユニットと無線通信するための通信部への電力供給も停止させる。
【0006】
ここで、一般的に、スリープモードにある画像形成装置をスタンバイモードに復帰させるためには時間を要する。したがって、例えば、画像形成装置を使用したいと考えた場合に無線操作ユニットを用いて事前にスリープ復帰等の指示を行っておきたいような場面がある。
【0007】
しかしながら、無線操作ユニットとの無線通信が切断されている状態では、無線操作ユニットから画像形成装置本体への指示を出すことができない。つまり、一旦画像形成装置本体がスリープモードに入ってしまうと、画像形成画装置本体をスリープモードからスタンバイモードへ移行させるための指示を無線操作ユニットから行うこともできない。
【0008】
そこで、本発明は、消費電力を可能な限り抑えつつも無線操作ユニットと無線通信することができるモードを有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、シートに画像を形成することが可能なスタンバイモードと前記スタンバイモードよりも消費電力が少ないスリープモードと、前記スリープモードよりも消費電力の少ないディープスリープモードと、に移行可能な画像形成装置において、シートに画像を形成する画像形成部と、ユーザーによる操作を受け付け、画像の形成条件を設定することが可能な無線操作ユニットと無線通信を行う無線通信部と、
前記画像形成部と前記無線通信部とに電力を供給する電源と、前記画像形成装置が前記スタンバイモードである場合、前記画像形成部と前記無線通信部とに電力を供給するように制御し、前記画像形成装置が前記スリープモードである場合、前記画像形成部に電力を供給せず、前記無線通信部に電力を供給するように制御し、かつ、前記画像形成装置が前記ディープスリープモードである場合、前記画像形成部と前記無線通信部とに電力を供給しないように制御する電源制御部と、を備え、前記無線操作ユニットは、前記画像形成装置が前記スリープモードから前記ディープスリープモードに移行する場合、前記画像形成装置が前記スリープモードから前記ディープスリープモードへ移行することを報知する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、消費電力を極力抑えつつも、無線操作ユニットとの無線通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】画像形成システムの斜視概略図である。
図2】無線操作ユニットの斜視概略図である。
図3】画像形成システムの断面概略図である。
図4】画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
図5】無線操作ユニットのシムテム構成を示すブロック図である。
図6】画像形成装置と無線操作ユニットの通信遷移図である。
図7】無線操作ユニットのディスプレイに座標表示を施した図である。
図8】無線操作ユニットのディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図9】無線操作ユニットのディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図10】画像形成装置と無線操作ユニットの通信遷移図である。
図11】無線操作ユニットのディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図12】無線操作ユニットのディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図13】無線操作ユニットのディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図14】無線操作ユニットのディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図15】スリープモードへの移行シーケンスを表すフローチャートの一例である。
図16】スリープモードへの移行シーケンスを表すフローチャートの一例である。
図17】自動リセットモードに関する画面の一例である。
図18】アラートモードに関する画面の一例である。
図19】スリープモードへの移行シーケンスを表すフローチャートの一例である。
図20】電源装置から電力供給されるコンポーネントの種類を各種モード別にまとめた表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、まず本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<画像形成装置>
図1は、画像形成装置1を搭載する画像形成システムAの斜視概略図である。図1に示す様に、画像形成システムAは、シートSに画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1によって画像が形成されたシートSにステープル処理、パンチ処理、製本処理などの後処理を行う後処理装置16から構成されている。また画像形成装置1の上部には、不図示のガラス面に載置された原稿の画像を光学的に読み取って画像データに変換する原稿読取装置14が設けられている。
【0015】
画像形成装置1は、主電源のオン、オフを切り替えるシーソー型の電源スイッチ79を備える。また画像形成装置1は、画像形成処理の実施中、エラーによる停止中、又はスタンバイ状態などの画像形成装置1の状態をランプやエラーコードを表示させてユーザに報知する表示パネル71を備える。また画像形成装置1は、離れた位置にいるユーザに光源の点灯、消灯、点滅によって画像形成装置1の状態を報知するタワー型のランプ72を備える。
【0016】
また画像形成装置1は、無線操作ユニット50(遠隔操作部、遠隔操作装置)を備える。無線操作ユニット50は、画像形成装置1との間で無線通信が可能に構成されており、画像形成装置1から離れた位置で操作することができる。無線操作ユニット50が充電コネクタ55に接続されると、画像形成装置1から無線操作ユニット50のバッテリー57(図5)に充電がなされる。
【0017】
図2(a)、図2(b)は、無線操作ユニット50の斜視概略図である。図2に示す様に、無線操作ユニット50は、無線操作ユニット50の電源のオン、オフを切り替える電源スイッチ52と、音声を出力するスピーカー部53と、LEDで構成され、点灯、消灯、点滅によって無線操作ユニット50の状態を報知する照明部54を有する。
【0018】
また無線操作ユニット50は、画像を表示させる表示部と、情報を入力可能な操作部が一体化されたタッチパネル方式のディスプレイ51を有する。ユーザは、ディスプレイ51に表示されるキーを指でタッチして数値の入力等を行うことで、画像形成枚数やシートSのサイズ設定などの画像形成に関する設定や、原稿のサイズの設定などの画像の読み取りに関する設定を行うことができる。なお、本実施形態では、無線操作ユニット50にタッチパネル方式のディスプレイ51を搭載する構成について説明したものの、本発明はこれに限られず、情報を入力する操作部としてテンキーやリセットキー等のハードキーを別途設ける構成としてもよい。
【0019】
無線通信部81は、コマンド通信部82(送信部、受信部の一例)と画像送信部83を有する。CPU11は、ROM12に格納された画像を読み出し、無線通信部81の画像送信部83を介して、無線操作ユニット50に画像を送信する。またCPU11は、無線操作ユニット50に対する指示を生成し、その指示を、コマンド通信部82を介して無線操作ユニット50に送信する。またCPU11は、無線操作ユニット50で生成された通知や指示を、コマンド通信部82を介して受信する。なお、本実施形態では、コマンド通信部82と画像送信部83を別々の構成としたものの、両者を一本の通信ラインにまとめる構成としてもよい。
【0020】
また画像形成装置1と無線操作ユニット50は、装置間をダイレクトに無線接続する通信形態であるWi-Fiダイレクト通信によって無線通信を行う。つまり、この例では、サーバを介することなく、画像形成装置1と無線操作ユニット50とが互いに無線通信を行う。このWi-Fiダイレクト通信の方式を応用したディスプレイ伝送技術であるMiracastは、例えば携帯電話やディスプレイやプロジェクタなどで使用される。なお、無線通信の方式はWi-Fiダイレクト通信に限られず、例えばWi-Fiルータをアクセスポイントとして無線通信を行う構成としてもよい。但し、セキュリティの観点から、Wi-Fiダイレクト通信であることが好ましい。またWi-Fiによる無線通信ではなく、BluetoothやNFCなどの他の方式で無線通信を行う構成としてもよい。
【0021】
ところで、PCやタブレット端末などの電子デバイスから、遠隔地にある他の電子デバイスや各種サーバにアクセスする方法として、「リモートアクセス」が知られている。リモートアクセスの形態には、例えば、VPN(Virtual Private Network)方式と呼ばれるものがある。VPNとは、インターネット上に仮想の専用ネットワークを構築する仕組みである。この方式では、一般的に、データの送受信の際に仮想的なトンネルを構築して通信を行う「トンネリング」と呼ばれる方法が取られる。さらに、トンネル内への悪意ある侵入からデータを保護するために「カプセル化」と呼ばれる技術が使われることもある。このようにして、セキュリティを保っている。VPN方式を用いた通信方法は上述したようにインターネットを介しているため、本実施の形態で言うところの、無線操作ユニット50と画像形成装置1との通信方法とは異なる。
【0022】
また、インターネットを通じて、対象となる電子デバイスであるPCやタブレットの画面を操作中の電子デバイスの画面に転送する画面転送方式と呼ばれる方法もある。この画面転送を行う際は、中継サーバを介して電子デバイス間をVPN接続する。
【0023】
このような、いわゆる「リモートアクセス」は、本実施の形態における「無線通信」とは異なる概念である。つまり、無線操作ユニット50と画像形成装置1とは、サーバを介して互いが通信することはないし、インターネットを介することもない。
【0024】
図3は、画像形成システムAの断面概略図である。図3に示す様に、画像形成装置1は、シートSに画像を形成する画像形成部15を備える。画像形成部15は、感光ドラム9Y、9M、9C、9K(以下、感光ドラム9とも称する)、帯電装置2Y、2M、2C、2K(以下、帯電装置2とも称する)、現像装置4Y、4M、4C、4K(以下、現像装置4とも称する)を備える。また画像形成部15は、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5K、レーザスキャナユニット3、中間転写ベルト6、二次転写ローラ7、二次転写対向ローラ8などを備える。画像形成部15へ電力が供給されているとき、これらのコンポーネント(感光ドラム9、帯電装置2、現像装置4、一次転写ローラ7、レーザスキャナユニット3、中間転写ベルト6、二次転写ローラ7、二次転写対向ローラ8)を駆動するためのモータや駆動基板に電力が供給されている。なお、これらのコンポーネントに電力が供給されているものの、これらのコンポーネントが駆動していない状態であっても、画像形成部15へ電力が供給されている状態と考えることができる。
【0025】
画像形成装置1により画像を形成する際は、まず図4に示すメイン制御部10に画像形成ジョブ信号が入力される。これによりシートカセット75a、75bのいずれかに収納されたシートSが搬送パス(用紙搬送部)94に送られる。その後、シートSは、搬送パス(用紙搬送部)94を通り、二次転写ローラ7と二次転写対向ローラ8から形成される二次転写部に送り込まれる。
【0026】
一方、画像形成部15においては、まず帯電装置2Yにより感光ドラム9Yの表面が帯電させられる。その後、原稿読取装置14により読み取られた原稿の画像データ、又は不図示の外部機器からネットワークを介して送信された画像データに応じてレーザスキャナユニット3が感光ドラム9Yの表面にレーザ光を照射し、感光ドラム9Yの表面に静電潜像を形成する。
【0027】
次に、現像装置4Yにより感光ドラム9Yの表面に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させ、感光ドラム9Yの表面にイエローのトナー像を形成する。感光ドラム9Yの表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ5Yに一次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト6に一次転写される。
【0028】
同様のプロセスにより、感光ドラム9M、9C、9Kにも、マゼンダ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。そして一次転写ローラ5M、5C、5Kに一次転写バイアスが印加されることで、これらのトナー像が中間転写ベルト6上のイエローのトナー像に対して重畳的に転写される。これにより中間転写ベルト6の表面に画像信号に応じたフルカラーのトナー像が形成される。
【0029】
その後、中間転写ベルト6が周回移動することで、フルカラーのトナー像が二次転写部に送られる。そして二次転写部において二次転写ローラ7に二次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像がシートSに転写される。トナー像が転写されたシートSは、搬送ベルト95によって定着装置70に搬送される。そして定着装置70において加熱、加圧処理が施されてトナー像がシートSに定着される。
【0030】
次に、トナー像が定着されたシートSは、搬送パス(用紙搬送部)97を通り、後処理装置16に送られる。後処理装置16に送られたシートSは、ユーザがステープル処理、パンチ処理、製本処理などの後処理を指定している場合、指定された後処理がなされた上で排出トレイ16aに排出される。またユーザが後処理を指定していない場合、後処理装置16に送られたシートSは、後処理がなされずに排出トレイ16bにそのまま排出される。
【0031】
<画像形成装置のシステム構成>
次に、画像形成システムAのシステム構成について説明する。
【0032】
画像形成装置1は、第1のコントローラとしてのメイン制御部10を有する。メイン制御部10は、画像形成装置1を構成するコンポーネント(記憶部12、固定操作部(固定操作ユニットの一例)71、原稿搬送装置44a、画像読取装置14、後処理装置16、エンジン制御部96、プリンタ部155、ネットワーク接続部84、無線通信部81)の動作を制御する。
【0033】
メイン制御部10は制御回路の一例であるCPU11を有する。CPU11は、画像形成装置1の制御に関する処理、演算、を行う集積回路である。また、この集積回路は、印刷に必要な画像処理を画像データに施すこともできる。ネットワーク接続部84は、メイン制御部10の一部である。ネットワーク接続部84は、通信用の回路がまとめられたブロックである(通信ブロック)。ネットワーク接続部84は、通信用のチップ、メモリー、コネクタのようなハードウェアを含む。ネットワーク接続部84は、PCやサーバなどのコンピューター(外部端末)と有線通信する。ネットワーク接続部84は、印刷用データをコンピューターから受信する。印刷用データは、ページ記述言語で書かれたデータや画像データや印刷設定データを含む。メイン制御部10は、印刷用データに基づく印刷をプリンタ部155に行わせる。
【0034】
記憶部12はROM、HDDのような不揮発性の記憶装置と、RAMのような揮発性の記憶装置を含む。記憶部12は、制御用プログラムやデータを記憶する。
【0035】
固定操作部71は、表示パネル71a、タッチパネル71b、ハードキー71cを含む。表示パネル71aは、設定用画面や設定用画像を表示する。設定用画像は、例えば、ボタン、タブである。タッチパネル71bは表示パネル71aに付される。タッチパネル71bは、使用者のタッチ位置の座標を検知する。タッチパネル71bが認識したタッチ位置に基づき、メイン制御部10(CPU11)は、使用者に操作された設定用画像を認識する。また、固定操作部71には、ハードキー71cも設けられる。例えば、ハードキー71cは、ジョブの実行を指示するためのスタートキーや後述する各種モード(スタンバイモード、節電モード、ライトスリープモード、ディープスリープモードなど)の切替を行うためのモード切替ボタンを含む。なお、これらのボタンはソフトキーとして表示パネル71aに表示されるものであっても構わない。メイン制御部10(CPU11)は、操作されたハードキー71cを認識する。
【0036】
画像形成装置1は、原稿搬送装置44a、画像読取装置14を有する。原稿搬送装置44aは、セットされた原稿を読み取り位置に向けて搬送する。画像読取装置14は、原稿搬送装置44aに搬送される原稿や、原稿台にセットされた原稿を読み取り、画像データを生成する。メイン制御部10(CPU11)は、原稿搬送装置44aと画像読取装置14の動作を制御する。
【0037】
画像形成装置1はプリンタ部155を含む。プリンタ部155は、給紙部75(75a、75b)、用紙搬送部97、画像形成部15、定着部70を含む。エンジン制御部96は、エンジン制御回路(エンジンCPU)やエンジンメモリーを含む。メイン制御部10とエンジン制御部96は互いに通信している。メイン制御部10(CPU11)は、印刷指示、印刷ジョブの内容、印刷に用いる画像データをエンジン制御部96に伝える。エンジン制御部96は、メイン制御部10の指示を受け、給紙、用紙搬送、トナー像の形成、転写、定着を制御する。言い換えると、エンジン制御部96は、給紙部75(75a、75b)、用紙搬送部97、画像形成部15、定着部70の動作を制御する。
【0038】
エンジン制御部96は、用紙を一枚ずつ給紙部75(75a、75b)に供給させる。エンジン制御部96は、供給された用紙を画像形成部15、定着部70を経て後処理装置16が有する排出トレイ16a、16bまで用紙搬送部97に搬送させる。エンジン制御部96は、搬送用紙にのせるトナー像を画像形成部15に形成させる。エンジン制御部96はトナー像を用紙に転写させる。エンジン制御部96は、用紙に転写されたトナー像を定着部70に定着させる。用紙搬送部97は、トナー像が定着された用紙を排出トレイ16a、16bに排出する。
【0039】
画像形成装置1は、各種コンポーネントに電源を供給するための電源装置17を有する。電源スイッチ79がONされることにより、画像形成装置が起動した状態となる。コンセント等を介して商用電源が電源装置17へ供給され、電源装置17から各種コンポーネントへ電源電圧が供給される。電源装置17は、第1の電源ブロック17aを有する。第1の電源ブロック17aは、電源装置17(電源基板)に設けられる。第1の電源ブロック17aは、常時電力を供給する部分に電力を供給する回路、素子をまとめた部分である。なお、電源装置17のうち、常時電力を供給する部分(第1の電源ブロック17a)以外の部分は、第2の電源ブロック17bとなる。
【0040】
電源装置17は、スタンバイモード、節電モード、ライトスリープモード、ディープスリープモードなど、何れかのモードで電力を供給する。メイン制御部10(CPU11又はネットワーク接続部84)の要求に基づき、電源装置17は供給モードを切り替える。このように、本実施の形態における画像形成装置1は各種モードに移行可能である。
【0041】
スタンバイモードは、プリンタ部155で印刷できるように電力を供給するモードである。スタンバイモードは、アクティブモードや通常モード、Standby Modeと称されることもある。スタンバイモードは、節電モード及びライトスリープモードよりも電源装置17が供給する電力が大きい。言い換えると、スタンバイモードは、4つのモードのうち、消費電力が最も大きいモードである。例えば、スタンバイモードでは、定着部70は十分に温められた状態である。そのため、メイン制御部10がプリントジョブを受け付けた場合、ただちにプリント動作を実行することができる。
【0042】
節電モードは、スタンバイモードよりも供給する電力が小さい。節電モードは、1つめの省電力モード(Power Saving Mode)である。
【0043】
ライトスリープモードは、節電モードよりも消費電力を落とすモードである。ライトスリープモードは、Light Sleep Modeと称されることもある。
【0044】
ディープスリープモードは、ライトスリープモードよりも消費電力を落とすモードである。ディープスリープモードは、Deep Sleep Modeと称されることもある。
【0045】
供給モードによらず、電源装置17は、ネットワーク接続部84に電力を供給する。ネットワーク接続部84は、供給モードによらず動作する。
【0046】
ネットワーク接続部84は、コンピューターからの印刷用データを受信する。電源装置17は、供給モードによらずネットワーク接続部84に電力を供給する。ネットワーク接続部84は、コンピューターから印刷要求(印刷用データの送信)があったことを供給モードによらず検知する。このように、画像形成装置1には、常時、電力供給を受ける部分が設けられる。
【0047】
また、供給モードによらず、電源装置17は、タッチパネル71bやハードキー71cに電力を供給してもよい(電圧を印加してもよい)。この場合、第1の電源ブロック17aがタッチパネル71bやハードキー71cに電力を供給する。タッチパネル71bやハードキー71cは、供給モードによらず、使用者が操作したことを検知できる。
【0048】
図20は、電源装置17が電力を供給するコンポーネントの種類について、各種モード毎にまとめた表である。以下、この表を参照しながら、各種モードについて詳細を説明する。
【0049】
<スタンバイモード>
スタンバイモードのとき、電源制御装置(電源制御部)700は、メイン制御部10(CPU11とネットワーク接続部84、無線通信部81)、記憶部12、サブ制御部300、原稿搬送装置44a、画像読取部14、後処理装置16、エンジン制御部96、プリンタ部155、表示パネル71a、タッチパネル71b、ハードキー71cに電力供給を供給する。スタンバイモードのとき、例えば、電源装置17(第1の電源ブロック17aおよび第2の電源ブロック17b)は画像形成装置1の全ての部分に電力を供給する。電力供給の開始に伴い、各部が起動し、使用できる状態、つまり画像形成処理を実行可能な状態である。
【0050】
ここで、電源制御装置700は、電源スイッチ79がONされることに応じて電力が供給されるため、スタンバイモード、節電モード、ライトスリープモード、ディープスリープモードのいずれのモードにおいても電力が供給され、駆動している状態である。
【0051】
サブ制御部300はCP301を有する。CPU301は、エンジン制御部96からの指示を原稿搬送装置44aや原稿読取装置14、後処理装置16に送信する。原稿搬送装置44a、原稿読取装置14、後処理装置16はCPU301の指示のもと動作する。
【0052】
<節電モード>
節電モードのとき、電源制御装置700は、メイン制御部10(CPU11とネットワーク接続部84、無線通信部81)、記憶部12、エンジン制御部96、タッチパネル71b、ハードキー71cに電力供給を供給する。なお、節電モードになってから無線操作ユニット50および固定操作部71(タッチパネル71b、ハードキー71c)に操作がないまま消灯時間が経過したとき、電源装置17は表示パネル71aへの電力供給を停止してもよい。表示パネル71aへの電力供給は最小限とされる。例えば、節電モードを認識できるように、電源制御装置700は、表示パネル71aに付して設けられたLEDのみに電力を供給してもよい。
【0053】
一方、節電モードでは、電源制御装置700は、サブ制御部300、原稿搬送装置44a、画像読取部14、後処理装置16、プリンタ部155への電力供給を停止させる。節電モードは、スタンバイモードよりも画像形成装置1の消費電力が小さくなる。一方、メイン制御部10とエンジン制御部96は動作している。そのため、節電モードは、スタンバイモード(印刷可能な状態)に直ちに移行できるモードである。
【0054】
<ライトスリープモード>
ライトスリープモードのとき、電源制御装置700は、メイン制御部10(CPU11とネットワーク接続部84、無線通信部81)、タッチパネル71b、ハードキー71cに電力供給を供給する。このライトスリープモードを有することが本実施の形態における画像形成装置1の特徴とするところである。後述するディープスリープモードは画像形成装置1の消費電力を極力抑えるモードであり、画像形成装置1が有する節電に関する各種モードのうち、最も消費電力が抑えられるモードである。そのため、ディープスリープモードでは無線通信81への電力供給を抑えている。したがって、ディープスリープモードでは無線操作ユニット50から無線通信を介して画像形成装置1に指示を出すことができない。
【0055】
そこで、本実施の形態においてはライトスリープモードを設けた。ライトスリープモードでは、画像形成装置1の消費電力を極力抑えつつも、無線通信部81へは電力を供給し続けている。これにより、画像形成装置1の消費電力を極力抑えつつも、無線操作ユニット50と画像形成装置1との無線通信状態は確立しておくことができる。よって、消費電力が抑えられた状態の画像形成装置1に対して、離れた場所からスリープ復帰の指示等を行うことができる。
【0056】
<ディープスリープモード>
ディープスリープモードのとき、電源制御装置700は、ネットワーク接続部84、タッチパネル71b、ハードキー71cに電力供給を供給する。電源装置17のうち、第1の電源ブロック17aのみ動作する。
【0057】
一方、ディープスリープモードでは、電源制御装置700は、メイン制御部10(CPU11、無線通信部81)、記憶部12、サブ制御部300、原稿搬送装置44a、画像読取部14、後処理装置16、エンジン制御部96、プリンタ部155、表示パネル71aへの電力供給を停止させる。ディープスリープモードは、できるだけ画像形成装置1の消費電力を減らすモードである。そのため、ディープスリープモードは、他の供給モードに比べ、画像形成装置1の消費電力が最も小さい。ディープスリープモードでの画像形成装置1の消費電力は、例えば、1ワット未満である。
【0058】
少しでも消費電力を小さくするために、ディープスリープモードでは無線通信部81への電力供給を停止させている。つまり、ディープスリープモードのとき、無線通信ユニット50と無線通信部81との通信は切断されている。一般に無線通信部81を稼働状態にしておくためには、0.3w程度の電力が必要である。極力消費電力を低減させたいディープスリープモードでは、たとえ0.3wでも消費電力を少なくしたい。
【0059】
しかしながら、このモードでは、無線通信ユニット50と無線通信部81との通信が切断されているため、無線通信ユニット50から画像形成装置1に対して指示を出すことができない。
【0060】
ディープスリープモードでは、電源装置17からエンジン制御部96への電力供給も停止しているため、画像形成装置1を節電モードへ移行させるには時間がかかってしまう。そこで、例えば、使用者が、画像形成装置1が設置されている場所へ向かって歩いているような状況で、画像形成装置1のもとへたどり着くまでの間に、事前に画像形成装置1に対してスタンバイモードや節電モードへ移行させるための指示を行いたいと考えたとする。しかしながら、画像形成装置1がディープスリープモードであるがために、無線操作ユニット50と無線通信部81との接続が切断されていると、上述したような指示を無線操作ユニット50から行うことができない。
【0061】
そのため、本実施の形態における画像形成装置1では、前述したように、ライトスリープモードを設けている。
【0062】
尚、節電モードからスタンバイモードへの移行や、ライトスリープモードから節電モードやスタンバイモードへの移行、スタンバイモードから節電モードやライトスリープモード、ディープスリープモードへの移行は、遠隔操作部50に設けられるスリープキーが操作されること等のユーザ(操作者、サービスマン)による操作によって行われる。スリープキーは、例えば、遠隔操作部50のディスプレイ51に表示されるソフトキーである。このとき、遠隔操作部50のスリープキーが操作されると、遠隔操作部50から電源装置17へスリープ信号が出力される。これにより、メイン制御部10が電源制御装置700を制御して、節電モードやライトスリープモードへ移行する。また、節電モードは画像形成装置1が所定時間以上操作されていない場合、つまり画像形成装置1に対する画像形成の指示が行われない期間が所定時間を過ぎた場合に、スタンバイモードから移行するものであってもよい。同様に、ライトスリープモードは、節電モードにある画像形成装置1が所定時間以上操作されていない場合、つまり画像形成装置1が節電モードにあるときに画像形成装置1に対する画像形成の指示が行われない期間が所定時間を過ぎた場合に、節電モードから移行するものであってもよい。同様に、ディープスリープモードは、ライトスリープモードにある画像形成装置1が所定時間以上操作されていない場合、つまり画像形成装置1がライトスリープモードにあるときに画像形成装置1に対する画像形成の指示が行われない期間が所定時間を過ぎた場合に、ライトスリープモードから移行するものであってもよい。ここでの所定時間は、例えば予め60秒等に設定するものであってもよいし、ユーザによって任意の時間に設定可能なものであってもよい。
【0063】
また、本実施の形態における画像形成装置1において、電源装置17から各種コンポーネントへの電力の供給は、あるモードから他のモードへ移行したことに応じてなされる。例えば、ディープスリープモードにおいては、電源装置17から無線通信部84へ電力が供給されていない状態であるが、ディープスリープモードからライトスリープモードへ移行したことに応じて、電源装置17は無線通信部84へ電力を供給する。
【0064】
一方、電源装置17から各種コンポーネントへの電力供給の停止も、あるモードから他のモードへ移行したことに応じて実行される。例えば、ライトスリープモードにおいては、電源装置17から無線通信部84へ電力が供給されている状態であるが、ライトスリープモードからディープスリープモードへ移行したことに応じて、電源装置17は無線通信部84への電力供給を停止する。
【0065】
ところで、無線通信の機能のON/OFFを固定操作部71の操作によって、ユーザが任意に設定することができる構成も考えられる。しかしながら、この機能は、モードの切り替えに応じて、電源装置17から無線通信部84への電力供給を行うか否かを決めるものとは異なる。本実施の形態の画像形成装置1は、あるモードから他のモードへ切り替わることに応じて、自動的に、電源装置17から各種コンポーネントへの電力供給を行うか否かが切り替えられる。つまり、ユーザが特段の設定をわざわざ行っていなくても、画像形成装置1がライトスリープモードからディープスリープモードへ移行したことに応じて、電源装置17から無線通信部84への電力供給は停止される。
【0066】
また、モードの移行は、スタンバイモードから節電モードを介さずにいきなりライトスリープモードやディープスリープモードへ移行しても構わない。ユーザはこれらを自由に設定することができる。
【0067】
前述したように、あるモードから他のモードへの切替は、画像形成装置1に対する画像形成の指示が行われない期間が所定時間を過ぎた場合に実行される。この所定時間は、メイン制御部10によって制御されるタイマ(カウンター)202によって計測される。タイマ202は、ユーザによって、画像形成装置1への画像形成の指示が実行されていない時間を計測する。計測するのは、実際の時間を計測してもよいし、実際の時間に基づいて独自のカウントを行ってもよい。カウントするカウント値は、例えば、1秒、2秒、3秒‥というようにカウントアップしていってもよいし、60秒、59秒、58秒‥というようにカウントダウンしていっても構わない。また、本実施の形態において、画像形成装置1に対する画像形成の指示というのは、例えばプリントジョブが画像形成装置1に対して送信されることを言う。また、画像形成の指示がされなくなったタイミングというのは、画像形成部15による画像形成処理が終了したタイミングを指す。具体的には、感光ドラム9の回転が停止したタイミングである。ただし、このタイミングは、感光ドラム9の回転が停止したタイミングに限らず、例えば、中間転写ベルト6の回転が停止したタイミングや、トナー像が転写された用紙が排出トレイ16a(16b)に排出されたタイミング等でも構わない。また、ここでの画像形成処理と言うのは、例えば、感光ドラム9の回転が開始し、一連のプリントジョブの最後の用紙が排出トレイ16a(16b)に排出されるまでの処理を指している。
【0068】
<無線操作ユニットのシステム構成>
次に、無線操作ユニット50のシステム構成について説明する。
【0069】
図5は、無線操作ユニット50のシムテム構成を示すブロック図である。図5に示す様に、無線操作ユニット50は、CPU21、ROM22(記憶部)、RAM23、タイマ24を有する制御部20を備える。タイマ24は、制御部20が各種の処理を行う際に計時を行う。
【0070】
ROM22には、無線操作ユニット50の制御に関する各種のプログラムなどのデータが格納されている。CPU21は、ROM22に格納された制御プログラムに基づいて各種の演算処理を行う。RAM23は、データを一時的に記憶する。つまりCPU21は、ROM22に格納された制御プログラムに基づいて、RAM23を作業領域に用いながら、制御部20に接続されたディスプレイ51、スピーカー部53、照明部54などを制御する。
【0071】
また無線操作ユニット50は、画像形成装置1との間で接続を行う接続部90を備える。接続部90は、画像形成装置1の給電コネクタ73aに接続される充電コネクタ55と、画像形成装置1との間で無線通信を行う無線通信部91を備える。
【0072】
無線通信部91は、CPU21に接続されたコマンド通信部92と、ディスプレイ51に接続された画像受信部93を有する。CPU21は、画像形成装置1に対する指示や通知を生成し、コマンド通信部92の不図示のアンテナを介して画像形成装置1のコマンド通信部82に送信する。またCPU21は、画像形成装置1のコマンド通信部82から送信された指示や情報を、コマンド通信部92を介して受信する。
【0073】
画像受信部93は、画像形成装置1の画像送信部83から送信された画像データを不図示のアンテナを介して受信し、ディスプレイ51に表示させる画像データへと変換し、ディスプレイ51に表示させる。なお、本実施形態では、コマンド通信部92と画像受信部93が別々の構成について説明したものの、両者を一本の通信ラインにまとめる構成としてもよい。
【0074】
また無線操作ユニット50は、パネル電源部56を備える。パネル電源部56は、バッテリー57と電源生成部58を有する。バッテリー57は、無線操作ユニット50の主電源であり、充電可能な電池で構成されている。画像形成装置1の給電コネクタ73aに対して充電コネクタ55が接続されると、画像形成装置1の電源装置17からバッテリー57に電源が供給され、バッテリー57が充電される。また電源生成部58は、バッテリー57の電源を、無線操作ユニット50が備える各デバイスで使用できる電圧に調整する。電源スイッチ52の電源がオフからオンに切り替えられると、バッテリー57に充電され、電源生成部58で調整された電力が制御部20、ディスプレイ51、スピーカー部53、照明部54、接続部90に供給される。
【0075】
<画像形成装置と無線操作ユニットとの間の無線通信>
次に、画像形成装置1と無線操作ユニット50との間の無線通信について説明する。
【0076】
図6は、画像形成装置1と無線操作ユニット50の通信遷移図である。画像形成装置1と無線操作ユニット50との間で無線通信を行う場合、まずユーザは、電源スイッチ79を操作して画像形成装置1を起動させ(S11)、電源スイッチ26を操作して無線操作ユニット50を起動させる(S21)。
【0077】
無線操作ユニット50が起動すると、無線操作ユニット50のコマンド通信部92から画像形成装置1のコマンド通信部82に対してネゴシエーション要求が送信される(S22)。次に、画像形成装置1のコマンド通信部82は、無線操作ユニット50のコマンド通信部92に対して応答信号を送信する(S12)。無線操作ユニット50が応答信号を受信すると、接続シーケンスが終了し、無線通信が確立される。
【0078】
次に、画像形成装置1と無線操作ユニット50との間で、通信速度や画像の圧縮率等の無線通信の条件が、コマンド通信部82、92を介して相互に設定される(S13、S23)。この設定が終わると、画像形成装置1のCPU11の指示に応じて、画像形成装置1のROM22に格納された画像の信号が、画像形成装置1の画像送信部83から無線操作ユニット50の画像受信部93に送信される(S14)。
【0079】
次に、無線操作ユニット50の画像受信部93は、受信した画像の信号を変換し、画像をディスプレイ51に表示させる。その後、無線操作ユニット50のCPU21は、ユーザがディスプレイ51を操作した場合、ディスプレイ51の操作情報を、コマンド通信部92を介して画像形成装置1のコマンド通信部82に送信する(S24)。
【0080】
ここでCPU21は、ディスプレイ51の操作情報を、座標情報として画像形成装置1に送信する。以下、これについて説明する。図7は、無線操作ユニット50のディスプレイ51に座標表示を施した図である。図7に示す様に、ディスプレイ51はX方向とY方向にそれぞれ分割されている。分割数はタッチパネルの方式等によるものの、本実施形態の抵抗式タッチパネルではX方向に2048分割、Y方向に1024分割している。
【0081】
座標は、原点(0、0)を基準とし、原点からの距離に応じて(X、Y)で表される。例えば図7に示す位置Pは、原点からX方向に1024、Y方向に512、離れた位置に位置するため、座標として(1024、512)と表される。座標データは、ディスプレイ51のタッチパネル59(図5)から無線操作ユニット50のCPU21に送信され、CPU21の指示によりコマンド通信部92から画像形成装置1に送信される。なお、本実施形態においては、画像形成装置1と無線操作ユニット50との間の通信が8ビット長であるため、座標データの数値は8分の1されて送信される。即ち、座標が(1024、512)の場合、(128、64)と置き換えて送信される。
【0082】
画像形成装置1のCPU11は、入力された座標データに基づいて、ユーザが無線操作ユニット50のディスプレイ51上でいずれの位置をタッチしたかを判定する。そしてタッチされた位置に応じて、無線操作ユニット50に対し、画像データの送信、照明部25の点灯制御の指示、スピーカー部53による音声のオン、オフなどの指示を行う(S15、16)。なお、画像形成装置1は、無線操作ユニット50からディスプレイ51の操作情報を受信した場合以外にも、画像形成装置1の状態や無線操作ユニット50の状態に応じて、無線操作ユニット50に対して上述した指示を行う。
【0083】
次に、無線操作ユニット50のディスプレイ51が操作された際の画像の遷移について説明する。図8図9は、無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示される画像の一例を示す図である。無線操作ユニット50のディスプレイ51には、初めに図8(a)に示すメインメニュー画面がデフォルト表示される。即ち、ステップS14の工程では、画像送信部83から画像受信部93に対して図8(a)に示す画像が送信される。メインメニュー画面には、原稿読取装置14の設定を行うスキャンボタン61、画像形成部15の設定を行うコピーボタン62、FAXの設定を行うFAXボタン63、メンテナンスボタン64、次ページに画面を切り替える矢印ボタン65が表示される。
【0084】
画像形成装置1のCPU11は、無線操作ユニット50から送信された座標データからユーザがコピーボタン62を選択したと判定する場合、図8(b)に示すコピーボタン62をグレー表示にした画像を、画像送信部83を介して画像受信部93に送信する。これにより無線操作ユニット50のディスプレイ51に図8(b)に示す画像が表示される。
【0085】
次に、画像形成装置1のCPU11は、図8(b)に示す画像がディスプレイ51に表示されて一定時間が経過した後、図9(a)に示すコピー画面の画像を、画像送信部83を介して画像受信部93に送信する。これにより無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示される画像が図9(a)に示す画像に切り替わる。この図9(a)の画面は、画像形成に関する情報(画像形成情報)が表示されている画面の一例であり、画像形成条件を設定するための画面でもある。ユーザは、この画面において種々の画像形成条件を設定できる。画像形成条件には、用紙サイズの条件、倍率の条件、濃度の条件などがある。他にも、後処理装置16を用いた処理であるステープルを行うか否かの設定や、ステープルを行うのであればどこにステープルするかなどの設定も画像形成条件の一種である。ユーザはこのような画像形成条件の設定を無線操作ユニット50にて行うことができる。このように、無線操作ユニット50が画像形成に関する情報を表示可能である。
【0086】
次に、画像形成装置1のCPU11(リセッターの一例)は、無線操作ユニット50から送信された座標データからユーザが用紙サイズボタン99を選択したと判定する場合、図9(b)に示す用紙設定画面の画像を、画像送信部83を介して画像受信部93に送信する。これにより無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示される画像が図9(b)に示す画像に切り替わる。用紙設定画面においては、画像形成装置1の外観、シートカセット75a、75bに収納されているシートSのサイズと坪量が表示される。この画面も、画像形成に関する情報を表示する画面の一例である。このように、無線操作ユニット50は画像形成装置1から、シートカセット75a、75bに収納されているシートSのサイズと坪量などの画像形成に関する情報を受信し、ディスプレイ51に表示することができる。画像形成に関する情報としては、用紙サイズや坪量の他にも、残りのトナー量や、実行中のプリントジョブの情報(残りの印刷枚数など)がある。これらの情報が画像形成装置1の無線通信部81から無線操作ユニット50の無線通信部91へと定期的(例えば5秒ごと)に送信されている。
【0087】
本実施形態では、無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示させる画像を画像形成装置1の記憶部12に格納し、画像形成装置1から無線操作ユニット50に画像を送信して画像をディスプレイ51に表示させる。このような構成により、無線操作ユニット50のROM22に画像を記憶する構成と比較して、ROM22に記憶されるデータの容量を減らすことができる。従って、ROM22の容量の小型化を図ることができ、製造コストの削減を図ることができる。
【0088】
また図9(b)に示す用紙設定画面のように、ディスプレイ51に画像形成装置1の外観を表示させることで、ユーザによるシートカセット75a、75bの位置の誤認識が抑制されてユーザビリティの向上に繋がる。これを実現するために無線操作ユニット50のディスプレイ51に画像形成装置1の外観を表示させる場合、無線操作ユニット50のROM22に画像を記憶する構成では、画像形成装置1の機種毎にROM22に記憶する画像データを変更する必要がある。これに対し、画像形成装置1の記憶部12に記憶された画像を無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示させる構成では、画像形成装置1の機種毎にROM22に記憶する画像データを変更する必要がない。従って、画像形成装置1の複数の機種間で無線操作ユニット50を使い回すことができ、画像形成装置1や無線操作ユニット50の製造コストの削減を図ることができる。
【0089】
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、無線操作ユニット50のROM22にディスプレイ51に表示させる画像の一部が格納されている構成である。具体的には、無線操作ユニット50のROM22には、画像形成装置1に関する画像として、図8(a)、図8(b)、図9(a)に示す画像が予め記憶されている。CPU21は、ディスプレイ51を制御し、ディスプレイ51に表示される画像として、ROM22に格納された画像と画像受信部93で受信した画像のいずれを表示させるかを切り替える。
【0090】
図10は、画像形成装置1と無線操作ユニット50の通信遷移図である。以下の説明において、上述した実施形態で図6を用いて説明した工程と同様の処理を行う工程については、同じ符号を付してその説明を省略又は簡略化する。図10に示す様に、まずユーザは、電源スイッチ79を操作して画像形成装置1を起動させ(S11)、電源スイッチ26を操作して無線操作ユニット50を起動させる(S21)。
【0091】
次に、無線操作ユニット50のコマンド通信部92と画像形成装置1のコマンド通信部82との間でネゴシエーション要求及び応答信号の送受信が行われ(S12、S22)、これにより画像形成装置1と無線操作ユニット50との間で無線通信が確立される。その後、通信速度や画像の圧縮率等の無線通信の条件が、無線操作ユニット50のコマンド通信部92と画像形成装置1のコマンド通信部82を介して相互に設定される(S13、S23)。この設定が終わると、無線操作ユニット50のCPU21は、ディスプレイ51に表示される画像として、ROM22に記憶された画像である図8(a)に示すメインメニュー画面を表示させる。
【0092】
次に、無線操作ユニット50のCPU21は、ユーザによりディスプレイ51が操作された場合、操作情報をコマンド通信部92を介して画像形成装置1のコマンド通信部82に送信する(S24)。本実施形態では、ディスプレイ51に表示されているメインメニュー画面は、無線操作ユニット50のROM22に格納されている画像である。従って、第1実施形態のように画像形成装置1に対して座標データを送っても、画像形成装置1のCPU11は座標データが示す位置に何があるか分からない。そこで本実施形態では、無線操作ユニット50のCPU21は、ユーザに選択されたボタンに対応する情報を、操作情報として、コマンド通信部92を介して画像形成装置1に送信する。
【0093】
次に、画像形成装置1のCPU11は、無線操作ユニット50から入力されたディスプレイ51の操作情報に応じて、無線操作ユニット50に対し、照明部25の点灯制御の指示やスピーカー部53から出力される音のオン、オフの指示などを行う(S16)。なお、画像形成装置1は、無線操作ユニット50からディスプレイ51の操作情報を受信した場合以外にも、画像形成装置1の状態や無線操作ユニット50の状態に応じて、無線操作ユニット50に対して上述した制御指示を行う。
【0094】
ここで図8(a)に示すメインメニュー画面において、ユーザがメンテナンスボタン64を選択した場合、画像形成装置1にメンテナンスボタン64に対応する情報が送られ、画像形成装置1から無線操作ユニット50に応答が返される(S51、S61)。無線操作ユニット50のCPU21は、画像形成装置1から応答を受け取ると、ディスプレイ51に表示される画像として画像受信部93で受信した画像を表示させるように制御を切り替える。
【0095】
次に、画像形成装置1のCPU11は、画像送信部83を介して、記憶部12に格納されているメンテナンス用の動画を無線操作ユニット50の画像受信部93に送信する(S52)。図11は、メンテナンス用の動画の一例である画像調整画面を示す図である。図11に示す様に、画像調整画面においては、原稿読取装置14のカバーを開けてチャート紙をガラス面に置く一連の動作をアニメーションで説明している。ユーザは画像調整画面に従ってチャート紙を原稿読取装置14のガラス面に置くことにより、画像形成部15により形成される画像の色味等を調整することができる。
【0096】
ユーザが画像の調整を終了すると、その旨が無線操作ユニット50のCPU21からコマンド通信部92を介して画像形成装置1のコマンド通信部82に送られる(S62)。その後、画像形成装置1のCPU11からコマンド通信部82を介して無線操作ユニット50のコマンド通信部92に画像の切り替え通知が送られる(S53)。無線操作ユニット50のCPU21は、画像の切り替え通知を受信すると、ディスプレイ51に表示される画像としてROM22に格納された画像を表示させるように制御を切り替える。
【0097】
また画像形成装置1が画像形成を行っている際にシートSの詰まりであるジャムが発生した場合、画像形成装置1のCPU21からコマンド通信部82を介して無線操作ユニット50に画像の切り替え通知が送られる(S54)。無線操作ユニット50のCPU21は、画像の切り替え通知を受け取ると、ディスプレイ51に表示される画像として画像受信部93で受信した画像を表示させるように制御を切り替える。
【0098】
次に、画像形成装置1のCPU11は、画像送信部83を介して、記憶部12に格納されているジャム処理に関する動画を無線操作ユニット50の画像受信部93に送信する(S55)。図12は、ジャム処理に関する動画の一例であるジャム処理画面を示す図である。図12に示す様に、ジャム処理画面においては、ジャムが発生した位置とジャム処理手順がアニメーションによって説明されている。ユーザは、ジャム処理画面に従ってジャム処理を行う。
【0099】
ユーザがジャム処理を終了すると、その旨が無線操作ユニット50のCPU21からコマンド通信部92を介して画像形成装置1のコマンド通信部82に送られる(S63)。その後、画像形成装置1のCPU11からコマンド通信部82を介して無線操作ユニット50のコマンド通信部92に画像の切り替え通知が送られる(S56)。これにより無線操作ユニット50のCPU21は、ディスプレイ51に表示される画像としてROM22に格納された画像を表示させるように制御を切り替える。
【0100】
このように、CPU21は、無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示させる画像として、無線操作ユニット50のROM22に格納された画像と、画像形成装置1から送信された画像とを切り替え可能に構成されている。これにより、無線操作ユニット50のROM22にディスプレイ51に表示させる全ての画像を格納する構成と比較して、ROM22に格納されるデータの容量を減らすことができる。従って、ROM22の容量の小型化を図ることができ、製造コストの削減を図ることができる。
【0101】
なお、無線操作ユニット50のROM22に静止画を記憶し、ジャム処理用の動画と画像の調整用の動画を画像形成装置1から無線操作ユニット50に送信する構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、例えば画像形成装置1に対してプロセスカートリッジ、ドラムカートリッジ、トナーカートリッジなどが着脱される構成では、これらのカートリッジの着脱方法に関する動画を画像形成装置1から無線操作ユニット50に送信する構成としてもよい。
【0102】
また、無線操作ユニット50のROM22に動画を記憶させる構成としてもよい。但し、動画は複数の静止画から構成されており一枚の静止画よりも容量が大きくなる。従って、無線操作ユニット50のROM22に静止画を記憶し、動画をディスプレイ51に表示させる際は画像形成装置1から送信される画像をディスプレイ51に表示させるように制御を切り替える構成が好ましい。
【0103】
<複数の画像形成装置を1つの無線操作部で操作する場合>
本実施形態の構成は、一台の無線操作ユニット50で接続先を切り替えて、複数の画像形成装置1をそれぞれ操作できる構成である。その他の構成は、ここまでで説明した実施形態の画像形成装置1と同様の構成である。
【0104】
図13(a)は、無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示されるメインメニュー画面を示す図である。図13(a)に示す様に、メインメニュー画面には、無線操作ユニット50の接続先の画像形成装置1を設定する接続先設定ボタン66と、現在接続されている画像形成装置1を表示する接続先表示部67が設けられている。ここでは、無線操作ユニット50の接続先として、「T1」という名称の画像形成装置1が接続されている。
【0105】
ユーザは、無線操作ユニット50の接続先の画像形成装置1を変更したい場合、メインメニュー画面の接続先設定ボタン66を選択し、図13(b)に示す接続先設定画面をディスプレイ51に表示させる。図13(b)に示す様に、接続先設定画面には、無線操作ユニット50との間で事前に認識処理がされている画像形成装置1の一覧が表示されている。本実施形態では、名称が「T1」~「T5」の五つの画像形成装置1が無線操作ユニット50に認識されている。また接続先設定画面においては、一覧で表示されている画像形成装置1の現在のステータスが表示される。例えば現在接続中の画像形成装置1はハッチング表示されており、電源がオフの画像形成装置1は「No Operate」の表示とし、グレーアウトされている。
【0106】
ユーザは、無線操作ユニット50の接続先を変更したい場合、接続先設定画面において、接続を希望する画像形成装置1をタッチして選択する。ここでは「T3」という名称の画像形成装置1がタッチされたものとする。これにより図14(a)に示す様に、接続先設定画面において、「T3」の名称の画像形成装置1がハッチング表示され、以前接続されていた「T1」の名称の画像形成装置1のハッチング表示が解除される。この状態でユーザが接続ボタン68を選択すると、図14(b)に示す様に、無線操作ユニット50が「T3」の名称の画像形成装置1に接続される。
【0107】
なお、全ての画像形成装置1との接続を解除する場合、ユーザは、図14(a)に示す接続先設定画面において、接続クリアボタン69を選択する。これにより無線操作ユニット50は、接続先設定画面に表示されている全ての画像形成装置1との接続が解除される。
【0108】
このように本実施形態の構成によれば、ユーザは、一つの無線操作ユニット50で複数の画像形成装置1を操作可能である。従って、ユーザが複数の画像形成装置1の操作する際に無線操作ユニット50を持ち替える必要が無く、ユーザビリティを向上させることができる。また無線操作ユニット50がオプションの装置として任意に購入される場合、ユーザは一つの無線操作ユニット50を購入すれば複数の画像形成装置1を操作できるため、ユーザが無線操作ユニット50を導入する際のコストを削減させることができる。
【0109】
<スリープモード移行シーケンス>
次に、画像形成装置1と無線操作ユニット50それぞれの節電モード(ライトスリープモード、ディープスリープモードを含む)へ移行するための制御について説明する。図15はCPU11で実行される、画像形成装置1の節電モード移行シーケンスのフローチャートである。ここでは、説明を簡単にするために、スタンバイモードから節電モードへの移行を例に挙げて説明する。
【0110】
先に説明したように、画像形成装置1に対する画像形成の指示が行われない期間が開始するとタイマ202がカウントを開始する。タイマ202は、常にカウントを行っておりカウント値T1はその中でも節電モードへの移行を管理するためのカウント値である。こおカウント値T1は、画像形成装置1がジョブを実行した場合(S403)や、操作パネル12がユーザにより操作された場合(S404)などにリセットされる(S406)。また、後述する無線操作ユニット50からのリセット要求コマンドを受信した場合(S405)にもリセットされる(S406)。
【0111】
なお、本実施形態における「リセット」とは、タイマ202のカウント値を、タイマ202がカウントを開始した時点の値に戻すことを言う。例えば、タイマ202が、0秒から順に1秒、2秒、3秒‥とカウントアップしているケースでは、タイマ202がリセットされるとタイマ202のカウント値は0秒に再設定される。他にも、例えば、タイマ202が、60秒から順に59秒、58秒、57秒‥とカウントダウンしているケースでは、タイマ202がリセットされるとタイマ202のカウント値は60秒に再設定される。
【0112】
また、本実施例で言う「リセット」には、タイマ202のカウント値を減らす(カウントアップしているケース)設定やタイマ202のカウント値を増やす(カウントダウンしているケース)設定も含む。具体的には、タイマ202が、0秒から順に1秒、2秒、3秒‥とカウントアップしているケースにおいて、カウント値が45秒の時点で無線操作ユニット50の操作がなされた場合、カウント値を30秒分だけ減らす。これにより、画像形成装置1のモードがスリープモードへ移行するまでの時間が実質30秒分だけ増える。また、タイマ202が、60秒から順に59秒、58秒、57秒‥とカウントダウンしているケースにおいて、カウント値が15秒の時点で無線操作ユニット50の操作がなされた場合、カウント値を30秒分だけ増やす。これにより、先程の例と同じく、画像形成装置1のモードがスリープモードへ移行するまでの時間が実質30秒分だけ増える。なお、カウント値を減らす(増やす)量は、所定の秒数に限られず、ユーザが任意の秒数を設定することができる。
【0113】
<各種モード間の移行処理>
以下、図15を参照して、各種モード間の移行処理について詳細を説明する。ここでは、一例として、スタンバイモードから節電モードへの移行処理を説明する。節電モードからライトスリープモードへの移行や、ライトスリープモードからディープスリープモードへの移行についても同様である。
【0114】
CPU11は、タイマ202のカウント値T1を参照し、予め設定されている節電モード移行時間Ts1と比較する(S401)。節電モード移行時間Ts1には所定の時間が設定されている。例えば、「節電モード移行時間Ts1=60秒」と言った具合で設定されている。タイマ202のカウント値T1が節電モード移行時間Ts1を超えている場合(S401のYes)、CPU11は画像形成装置1のモードをスタンバイモードから節電モードへ移行させる(S402)。つまり、CPU11はカウント値T1が節電モード移行時間Ts1を超えたことに応じて画像形成装置1のモードをスタンバイモードから節電モードへ移行させる。なお、設定により、CPU11は、カウント値T1が節電モード移行時間Ts1を超えたことに応じて画像形成装置1のモードをスタンバイモードからライトスリープモードやディープスリープモードへ直接移行させることもできる。
【0115】
上述した例は、タイマ202がカウントアップしながら、画像形成装置1に対するユーザからの画像形成の指示が行われない時間を計測する例であるが、この時間の計測の方法はカウントダウン方式でも構わない。つまり、カウントダウンすることにより、画像形成装置1に対するユーザからの画像形成の指示が行われない時間を計測しても良い。例えば、タイマ202が60秒、59秒、58秒‥とカウントダウンをしていき、0秒を過ぎたことに応じて、CPU11が画像形成装置1のモードをスタンバイモードから節電モードへ移行させるケースも、本実施例においては「T1がTs1を超えた」と考えることにする。S401における「T1>Ts1?」という判定フローは、「画像形成装置1に対するユーザからの画像形成の指示が行われない時間」と「所定時間Ts1」とを比較することにより、画像形成装置1が節電モードに入るタイミングを決めるフローを意味しており、そのカウント手段は問わない。
【0116】
S401において、T1がTs1を超えていなかった場合、「自動リセットモード」が設定されているか否かを判定する(S403)。詳しくは後述するが、本実施の形態に係る画像形成装置1は、ユーザによる無線操作ユニット50の操作が行われたことに応じて、タイマ202のカウント値をリセットする機能をオンにするかオフにするかを設定することができる。つまり、自動リセットモードがオフであれば、いくらユーザが無線操作ユニット50を操作しようとも、タイマ202のカウント値がリセットすることはない。ユーザによっては、例え、頻繁に節電モードやライトスリープモード、ディープスリープモードに移行してしまい生産性が低下しようとも、省エネの観点を重視する者もいる。無線操作ユニット50の操作がなされていようと、いつになれば画像形成の指示が行われるかが不明な以上、一旦は画像形成装置1を節電モードに入れて、消費電力を抑えることが好ましいという考えもある。したがって、ユーザの好みによって、無線操作ユニット50が操作されたことに応じてタイマ202のカウント値をリセットするか否かの設定を行うことができる構成が好ましい。また、自動リセットモードをオフにしておくことで、誤って無線操作ユニット50に触れてしまい、ユーザの意図とは反してタイマ202のカウント値がリセットされてしまうことも防ぐことができる。
【0117】
S403において、CPU11が、自動リセットモードが設定されていない(S403のNO)と判定した場合は、再びS401の判定フローへと進む。この間もタイマ202はカウントを継続している。一方、S403において、CPU11が、自動リセットモードが設定されている(S403のYes)と判定した場合は、CPU11は画像形成装置1が動作状態にあるか否かを判定する(S404)。ここで言う動作状態の例は、画像形成部15による画像形成処理が実行されている状態を言う。感光ドラム9が回転している状態や中間転写ベルト6が回転している状態も「動作状態」の一種である。その他にも、原稿読取装置14が用紙の読み取りを実行している状態や用紙が搬送されている状態も、ここで言う「動作状態」の一種である。
【0118】
なお、これらの動作は、ユーザから画像形成装置1に対する「画像形成の指示」に基づいて始まる。本実施例においては、画像形成装置1が動作状態にあるときは「画像形成の指示」がなされている状態であると考える。つまり、タイマ202は、ユーザから画像形成装置1への画像形成の指示が行われていない時間を計測するが、この場合の計測開始のタイミングは、画像形成装置1の動作状態が終了したタイミングである。ただし、このタイミングとは数学的に厳密な瞬間を意味するのではない。例えば、タイマ202は、画像形成装置1の動作状態が終了してから数秒後にカウントの開始を始めても構わない。
【0119】
CPU11が、画像形成装置1は動作状態であると判定した場合(S404のYes)は、タイマ202のカウント値をリセットする。一方、CPU11が、画像形成装置1は動作状態にないと判定した場合(S404のNo)は、無線操作ユニット50の操作がなされているか否かを判定する(S405)。
【0120】
無線操作ユニット50が操作されると、コマンド通信部92が無線操作ユニット50の操作がなされている旨を表す信号(以下、リセット信号と称する)を、無線通信を介してコマンド通信部82に送る。ここで言う操作の例は、ユーザがタッチパネル59に触れる操作全般を指す。つまり、ユーザがタッチパネル59に触れる度にコマンド通信部92は、画像形成装置1のコマンド通信部82に、リセット信号を送信する(S405のYes)。なお、リセット信号を送るタイミングとしては、ユーザがタッチパネル59に触れる度でも構わないが、「数秒ごと」「数操作ごと」でも構わない。例えば、無線操作ユニット50のタイマ24が5秒間を計測するごとに、CPU21はその間にタッチパネル59のタッチがなされたか否かを判定し、判定結果がYesであればコマンド通信部92にリセット信号を送信させても構わない。こうすることで、頻繁にリセット信号が生成されることを防ぐことができるので、無線操作ユニット50の消費電力を抑えることができ、バッテリー57を長持ちさせることができる。他にも、タッチパネル59が例えば3回タッチされるごとに、CPU21がコマンド通信部92にリセット信号を送信させる構成でも構わない。この構成でも、頻繁にリセット信号が生成されることを防ぐことができるので、無線操作ユニット50の消費電力を抑えることができ、バッテリー57を長持ちさせることができる。
【0121】
画像形成装置1のCPU11は、コマンド通信部82がリセット信号を受信したことに応じて、タイマ202のカウント値をリセットする(S407)。
【0122】
CPU11が無線操作ユニット50は操作中でないと判定した場合(S405のNo)、コマンド通信部82がリセット要求を受信しているか否かを判定する(S406)。
【0123】
図8に示すように、無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示されるメインメニュー画面には、「スリープ復帰」を支持するためのスリープ復帰ボタン(モード切替ボタン)250が表示されている。ユーザはスリープ復帰ボタン250をタッチすることにより、画像形成装置1のタイマ202のカウント値をリセットすることができる。具体的には、CPU21は、スリープ復帰ボタン250のタッチを検知したことに応じて、コマンド通信部92に対して、画像形成装置1のコマンド通信部82にリセット信号を送信させる指示を出す。
【0124】
なお、このスリープ復帰ボタン250は、画像形成装置1の各種モード(スタンバイモード、節電モード、ライトスリープモード、ディープスリープモード)を切り替えるためのボタンとしても機能する。具体的には、このスリープ復帰ボタン250を長押しすると、各種モードを選択する画面が表示される。ユーザが表示されたモードから任意のモードを選択すると、無線操作ユニット50の無線通信部91から画像形成装置1の無線通信部81へモードの移行を指示するための移行信号(移行指示の信号)が送信される。画像形成装置1のCPU11は受信した移行信号に基づいて電源制御装置700を制御する。こうして、画像形成装置1は各種モードへ移行する。
【0125】
画像形成装置1のCPU11は、コマンド通信部82がリセット要求を受信していた場合、つまり、リセット信号を受信している場合(S406のYes)には、タイマ202のカウント値をリセットする(S407)。
【0126】
CPU11が、リセット要求を受信していないと判定した場合(S406のNo)は、再びS401の判定フローへと進む。この間もタイマ202はカウントを継続している。
【0127】
以上のフローを経て、画像形成装置1がスタンバイモードから節電モードへ移行することで、節電モード移行シーケンスは終了する。
【0128】
図16はCPU21で実行される無線操作ユニット50の節電モード移行シーケンスのフローチャートである。
【0129】
画像形成装置1が非動作状態になると、CPU21からの指示を受けて、タイマ24はカウントを開始する。CPU21は、定期的に画像形成装置1からの節電モード移行要求を受信しているかの判定(S508)を行う。この節電モード移行要求は、画像形成装置1本体に設けられた不図示の節電モード移行ボタン等がタッチされることで出される信号である。つまり、無線操作ユニット50は、画像形成装置1からの節電モード移行信号に基づいて、節電モードへ入ることが可能である。
【0130】
CPU11は、タイマ24のカウント値T2を参照し、予め設定されている節電モード移行時間Ts2と比較する(S501)。タイマ24のカウント値T2が節電モード移行時間Ts2を超えている場合(S501のYes)、CPU21は無線操作ユニット50を節電モードへ移行させる処理を行う(S502)。画像形成装置1から節電モード移行要求を受信していた場合(S508のYes)でも、節電モード移行処理を行う(S502)。
【0131】
タイマ24のカウント値T2と節電モード移行時間Ts2を比較するタイミングで、カウント値T2が節電モード移行時間Ts2よりも小さい場合(S501のNo)、CPU21は、タッチパネル59へのタッチ操作の検知の有無を判定する(S503)。ユーザによる操作が検知されない場合(S503のNo)は、再度カウント値T2と節電モード移行時間Ts2の比較に戻る。ユーザによる操作が検知された場合(S503のYes)は、CPU21はタイマ24のカウント値T2をリセットする(S504)。
【0132】
次に、無線操作ユニット50が画像形成装置1と無線通信で接続されている状態かを判断する(S506)。画像形成装置1と接続中の場合(S506のYes)、画像形成装置1のタイマ202のカウント値T1をリセットする要求を出し(S507)、再度カウント値T2と節電モード移行時間Ts2の比較に戻る。画像形成装置1と接続されていない場合(S506のNo)、CPU21は、節電モード移行要求の受信確認(S508)の判定を行う。
【0133】
図17(a)は、無線操作ユニット50において、「自動リセットモード」の設定を行う画面である。ユーザは、メインメニュー画面から所定の操作を行うことで、この画面を表示する。この画面では、「自動リセットモード」の機能のオン・オフを設定することができる。
【0134】
「自動リセットモード」をオンした場合、先に説明しように、ユーザが無線操作ユニット50を操作したことに基づいて、無線操作ユニット50から画像形成装置1に対してリセット信号が送信され、タイマ202のカウント値がリセットされる。
【0135】
一方、「自動リセットモード」をオフにした場合、ユーザが無線操作ユニット50を操作しても、無線操作ユニット50から画像形成装置1に対してリセット信号が送信されることはない。
【0136】
このように、ユーザは、「自動リセットモード」の設定画面において、自動リセットモード」の機能を利用するか否かを自由に決めることができる。
【0137】
図17(b)は、無線操作ユニット50において、「自動リセットモード」の設定を行う画像形成装置1を選択する画面である。
【0138】
先に述べたように、1つの無線操作ユニット50で複数の異なる画像形成装置の操作を行うことが可能である。仮に4つの画像形成装置に対して1つの無線操作ユニット50が対応している場合、その1つの無線操作ユニット50が操作されることによって、4つ全ての画像形成装置のタイマのカウント値がリセットされてしまう。1つの操作で複数の画像形成装置のタイマを同時にリセットできるので、節電モードに入れたくない場合は、手間が省けるメリットがある。しかしながら、例えば、1つの画像形成装置に1人のオペレータが付いているような場合、このメリットが逆に課題を生むことがある。
【0139】
ここで、ある画像形成装置Aの操作をオペレータAが担当し、他の画像形成装置Bの操作をオペレータBが担当している状況を想定してみる。オペレータAとオペレータBはそれぞれ共通の無線操作ユニット50を使用している。画像形成装置Aを用いてのオペレータAの作業がひと段落した場合、しばらく画像形成装置Aが使用されることはないため、省エネの観点からすると画像形成装置Aは節電モードに入ることが好ましい。しかしながら、このような状況でも、オペレータBが画像形成装置Bの使用のために、無線操作ユニット50を操作している限り、画像形成装置Bのタイマのみならず画像形成装置Aのタイマのカウント値もリセットされ続ける。つまり、画像形成装置Aは、実質的な使用がされていないにも関わらず、節電モードへ移行しないという状況が生じてしまう。
【0140】
そこで、本実施の形態の無線操作ユニット50では、複数の画像形成装置のうち、自動リセットモードを設定する機種を選択することが可能である。図17(b)に示す、自動リセットモード選択画面において、ユーザは、自動リセットモードを設定する機種に対応する表示をタッチする。この例では、画像形成装置(AAA-1234-56)のみに自動リセットモードが設定されている。そのため、例えユーザが無線操作ユニット50を操作した場合でも、リセット信号は画像形成装置(AAA-1234-56)にしか送信されない。なお、自動リセットモードは複数の画像形成装置に設定することも可能である。
【0141】
図18(a)は、無線操作ユニット50のディスプレイ51に画像形成装置1が一定の時間経過後に節電モードへ移行する旨を表示している画面(アナウンス画面の一例)である。詳しくは後述するが、画像形成装置1への画像形成の指示が行われない時間が一定の時間に達すると、このアラート画面を表示して、しばらくするとモード移行がなされる旨をユーザに報知する。これにより、ユーザは、しばらくすると画像形成装置1が節電モードへ移行することを知ることができるため、画像形成装置1のもとへ行きタイマ202のカウント値をリセットするためのボタンを押下するなどの対処をすることができる。
【0142】
また、タイマ202のリセットは無線操作ユニット50からでも行うことができる。アラート画面では、リセット信号を画像形成装置1に対して送信するか否かを選択することができる。さらに、このアラート画面では、節電モードへ移行するまでの残り時間を表示することもできる。例えば、ユーザがメインメニュー画面(図8参照)においてメンテナンスボタン64(遷移ボタンの一例)を押下することで残り時間を表示する画面(カウント画面の一例)を表示させることができる。
【0143】
図18(a)に示す画面において、ユーザが「Yes」を選択すると、コマンド通信部92は画像形成装置1のコマンド通信部82に対してリセット信号を送信する。一方、ユーザが「No」を選択すると、コマンド通信部92からセット信号がコマンド通信部82に対して送られることはない。つまり、タイマ202はカウントを継続する。
【0144】
なお、アラート画面を表示するモードであるアラートモードを設定するか否かについても、ユーザは設定することが可能である(図18(b))。
【0145】
図19は、アラートモードを有する画像形成装置1の節電モード移行シーケンスについて説明するためのフローチャートである。なお、図15で説明したフローチャートと同じフローについては同じ符号を付し、説明を割愛する。
【0146】
まず、CPU11が、アラートモードが設定されているか否かを判定する(S601)。アラートモードの設定がされていない場合(S601のNo)、CPU11はS401のフローへ移行する。一方、アラートモードの設定がされている場合(S601のYes)、CPU11は、タイマ202のカウント値T1を参照し、予め設定されているアラート表示時間Ts3と比較する(S602)。アラート表示時間Ts3には、節電モード移行時間よりも短い時間が設定されている。つまり、タイマ202がカウントをしていくと、まずTs3に到達し、その後Ts1に到達する。
【0147】
CPU11が、T1がTs3を超えていると判定した場合(S602のYes)、コマンド通信部82に対して、無線操作ユニット50のコマンド通信部92にアラート信号を送信する旨の指示を出す。CPU21は、アラート信号を受信したことに応じて、ディスプレイ51にアラート画面を表示する(S603)。一方、CPU11が、T1がTs3を超えていないと判定した場合(S602のNo)、CPU11はS403のフローへ移行する。
【0148】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成システムAは、スタンバイモード、節電モード、ライトスリープモード、ディープスリープモード、の4つのモード(図20参照)をとることができる。近年、地球環境を守るため、電気機器の省エネルギー化がより一層求められている。そのため、画像形成装置においても、使用されない状況においては、可能な限り省電力状態をとれるような構成が必要である。オフィス機器の省エネルギー制度として、例えば、国際エネルギースタープログラム等がある。本プログラムが定めた基準を満たす努力を行うことで、地球環境を守ることに貢献している。ディープスリープモードでは、可能な限り装置の省電力化を図ることができる。例えば、無線通信部81への電力供給を停止することで約0.3wの省電力化を実現することができる。このように、各種コンポーネントにおける省電力化の積み重ねにより、装置全体の省電力化を実現することができる。
【0149】
一方で、装置の生産性を少しでも向上させたいという要望もある。本実施の形態における画像形成システムAは、ライトスリープモードを設けることで、極力消費電力を抑える構成を実現しつつも、無線操作ユニット50からの無線通信を行うことができる構成を実現した。
【0150】
また、無線通信部81を稼働させるために供給すべき電力量と画像形成部15を稼働させるために供給すべき電力量とを比較すると、画像形成部15へ供給すべき電力量の方が大きい。このことから、ディープスリープモード程ではないものの、消費電力量を抑えつつ無線通信を行うことができる構成として、ディープスリープモードを設けずにライトスリープモードを設ける構成も考えられる。この構成であっても、消費電力を抑える構成を実現しつつ、無線操作ユニット50からの無線通信を行うことができる構成を実現できる。
【符号の説明】
【0151】
10 メイン制御部
11 CPU
12 記憶部
15 画像形成部
17 電源装置
17a 第1の電源ブロック
17b 第2の電源ブロック
50 無線操作ユニット
51 ディスプレイ(表示部、操作部)
71 固定操作部
81 無線通信部
82 コマンド通信部
84 ネットワーク接続部
92 コマンド通信部
155 プリンタ部
202 タイマ
300 サブ制御部
301 CPU
700 電源制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20