(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20241125BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20241125BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20241125BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20241125BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20241125BHJP
G06Q 30/0211 20230101ALI20241125BHJP
G06Q 30/0235 20230101ALI20241125BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20241125BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20241125BHJP
【FI】
G01C21/34
G01C21/26 A
G08G1/01 E
G06Q10/04
G06Q30/0207 350
G06Q30/0211
G06Q30/0235
G06Q50/40
G16Y40/60
(21)【出願番号】P 2020183036
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盛林 敏之
(72)【発明者】
【氏名】田中 真一
(72)【発明者】
【氏名】西山 奈津美
(72)【発明者】
【氏名】松井 涼
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-053432(JP,A)
【文献】国際公開第2015/029207(WO,A1)
【文献】特開2009-075839(JP,A)
【文献】特開2006-235919(JP,A)
【文献】特開2016-004557(JP,A)
【文献】特開2015-052964(JP,A)
【文献】特開2021-012673(JP,A)
【文献】特開2021-012445(JP,A)
【文献】特開2017-126159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/60
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを有する情報処理装置であって、
前記コンピュータは、
ユーザの目的地までの移動経路における混雑状況を示す経路混雑情報を取得し、
複数の施設の施設位置情報と施設混雑情報とを取得し、
前記経路混雑情報に基づいて、目的地までの推奨経路を決定し、
前記施設位置情報、前記施設混雑情報および前記推奨経路に基づいて前記複数の施設から利用推奨施設を抽出し、
前記利用推奨施設で使用可能な特典を発行する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記コンピュータは、
前記施設混雑情報に基づき前記利用推奨施設で使用可能な特典の
発行内容
に関する発行情報を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記コンピュータは、
前記ユーザに前記推奨経路を通知する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記コンピュータは、
前記特典の内容、最大発行数、発行範囲、および使用可能時間の少なくとも1つを変更する
請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記コンピュータは、
前記ユーザの行動に基づいて、発行した前記特典を使用する意思が有るか否かを判定し、前記意思が無い場合には、前記ユーザに発行した前記特典を他のユーザへ発行する
請求項2~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置によって発行された前記特典を受信する端末装置と
を備える情報処理システム。
【請求項7】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
ユーザの目的地までの移動経路における混雑状況を示す経路混雑情報を取得し、
複数の施設の施設位置情報と施設混雑情報とを取得し、
前記経路混雑情報に基づいて、目的地までの推奨経路を決定し、
前記施設位置情報、前記施設混雑情報および前記推奨経路に基づいて前記複数の施設から利用推奨施設を抽出し、
前記利用推奨施設で使用可能な特典を発行する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンサートなどのイベント時に、イベント施設周辺の混雑を緩和させる技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。従来技術にあっては、イベント時のバス運行事業者の運行管理システムにおいて、イベント施設にあるバス乗り場のモードが切り替えられ、臨時のバスが当該バス乗り場から出発できるようにし、バス待ちの人を減らすようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、移動経路における混雑を効率良く緩和する点で更なる改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、移動経路における混雑を効率良く緩和することができる情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、取得部と、決定部と、人流制御部とを備える。前記取得部は、ユーザの目的地までの移動経路における混雑状況を示す混雑情報と、所定の施設の状況を示す施設情報とを取得する。前記決定部は、前記取得部によって取得された前記混雑情報と前記施設情報とに基づいて、前記所定の施設で使用可能な特典の発行内容に関する発行情報を決定する。前記人流制御部は、前記決定部によって決定された前記発行情報に基づいて前記特典を前記ユーザに対して発行することで、前記混雑状況を緩和する人流制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動経路における混雑を効率良く緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る情報処理装置によって実行される処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、
図1A~
図1Cを用いて、実施形態に係る情報処理方法の概要について説明する。
図1A~
図1Cは、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。実施形態に係る情報処理方法は、情報処理装置10(
図2参照)によって実行される。情報処理装置10は、例えば、ユーザが所持する端末装置40と通信可能なサーバ装置として構成される
【0011】
実施形態に係る情報処理方法では、ユーザの目的地までの移動経路における混雑情報と、クーポン等の特典を使用可能な施設(店舗A,B)の状況とをリアルタイムに把握し、ユーザに発行する特典を動的に変更してユーザを施設へ誘導することで、混雑緩和を実現する。
【0012】
なお、目的地は、例えば、駅やバス停、タクシー乗場といった交通機関の乗場や、所定のイベントが開催されるイベント施設(スポーツ施設やコンサート会場等)等の所定の目的を有する施設であるが、これに限定されず、道路上や交差点等の単なる位置であってもよい。
【0013】
また、特典を使用可能な施設は、例えば、飲食店や、ショッピングモールであるが、例えば、駅やバス停、タクシー乗場といった交通機関の乗場等であってもよい。また、特典は、例えば、割引券等のクーポン、金券に相当するポイント、施設で受けられる所定のサービス等である。
【0014】
実施形態に係る情報処理方法では、まず、移動経路における混雑状況を示す混雑情報と、施設(店舗A,B)の状況を示す施設情報とを取得する。例えば、混雑情報には、移動経路がどの程度混雑しているかの程度を示す情報が含まれる。また、施設情報には、施設内の混雑の程度や、施設で使用された特典使用実績等の情報が含まれる。なお、混雑情報や施設情報の詳細については後述する。
【0015】
図1Aに示す状況では、目的地までの移動経路のうち、店舗Aを通る移動経路(実線)が比較的空いており、店舗Aを通る移動経路以外の移動経路(破線)が混雑していることを示す混雑情報が取得されたとする。また、
図1Aに示す状況では、店舗Aが混雑しておらず、店舗Bが混雑していることを示す施設情報が取得されたとする。
【0016】
かかる場合、実施形態に係る情報処理方法では、混雑情報に基づいて、比較的空いている移動経路(実線)を推奨経路としてユーザへ提示する。また、この際、推奨経路へ誘導するために、かかる移動経路上に位置する店舗Aの特典をユーザへ発行する。これにより、ユーザが混雑した移動経路(破線)を避けて、空いている移動経路(実線)を進むように誘導することができる。
【0017】
また、この際、実施形態に係る情報処理方法では、混雑していない店舗Aで使用可能な特典の内容を混雑している店舗Bをよりも高く(割引率を高く)する。つまり、実施形態に係る情報処理方法では、混雑情報および施設情報に基づいて、混雑していない移動経路および店舗Aへ誘導するように店舗Aの特典の発行内容(例えば、割引率等)に関する発行情報を決定する。なお、発行情報には、割引率等の特典の内容の他、特典の発行範囲R(
図1B参照)や、特典の使用可能時間等が含まれる。
【0018】
あるいは、混雑している店舗Bの特典の内容を低下(割引率を下げる)させることで、混雑していない店舗Aへ誘導するようにしてもよい。
【0019】
つづいて、
図1Bに示すように、端末装置40を所持したユーザが店舗Aへ向かって移動中に、店舗Aが混雑していることを示す施設情報や、店舗Aを通る移動経路が混雑していることを示す混雑情報を取得したとする。かかる場合、情報処理方法では、取得した施設情報および混雑情報に基づいて、店舗Aを避け、店舗Bへ誘導するように特典の発行内容を変更する。
【0020】
具体的には、
図1Bに示すように、実施形態に係る情報処理方法では、店舗Bの特典の発行範囲Rを拡げるように発行情報を変更する。この際、店舗Bの特典の内容を店舗Aの特典と揃えるようにしてもよい。
【0021】
この結果、ユーザの端末装置40には店舗Bの特典が新たに発行されることとなり、かかるユーザや他のユーザが移動経路を変更して店舗Bへ誘導され易くなるため、店舗Aの混雑や店舗Aを通る移動経路の混雑を緩和することができる。
【0022】
つづいて、
図1Cに示すように、店舗Bの特典を発行されたユーザが店舗Bを通る移動経路を通らずに目的地へ向かったとする。かかる場合、情報処理方法では、ユーザが店舗Bの特典を使用する可能性が低いと判定し、かかる特典を他のユーザ(例えば、店舗A付近のユーザ)の端末装置40に対して新たに発行する。
【0023】
このように、ユーザの特典の使用見込を予測し、使用見込が無いユーザの特典を使用見込があるユーザ(店舗Bの近くにいるユーザや、混雑している店舗Aで特典を使用しようとしているユーザ等)に対して新たに特典を発行することで、店舗Bの特典使用実績を向上させることができる。
【0024】
次に、本実施形態に係る情報処理装置10を含む情報処理システム1の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、情報処理システム1の構成例を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、情報処理システム1は、上記した情報処理装置10と、端末装置40と、定点カメラ60とを含み、これらはインターネット網などの通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。なお、
図2では、図示の簡略化のため、端末装置40および定点カメラ60をそれぞれ1つ示したが、複数であってもよい。
【0026】
端末装置40は、ユーザに所持されて使用される装置である。なお、端末装置40としては、例えばスマートフォンやタブレット端末などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0027】
端末装置40には、例えばGPS(Global Positioning System)衛星からの信号に基づいてユーザの位置(正確には端末装置40の位置)を示す位置情報を検出するGPS受信機などが含まれる。端末装置40は、検出した位置情報を情報処理装置10へ送信することができる。
【0028】
また、端末装置40は、ユーザによる特典の使用操作を検出することで、特典が使用されたことを示す情報を情報処理装置10へ送信することができる。
【0029】
定点カメラ60は、移動経路や、施設内、施設周辺、目的地周辺に設置される。また、定点カメラ60は、移動経路上に複数台設置されてもよい。
【0030】
定点カメラ60は、移動経路や、施設内、施設周辺、目的地周辺を撮像し、撮像されたカメラ画像を情報処理装置10へ送信することができる。なお、定点カメラ60のカメラ画像は、動画データであるが、これに限られず、静止画データなどであってもよい。かかるカメラ画像は、情報処理装置10において混雑情報として取得されるが、これについては後述する。
【0031】
なお、定点カメラ60は、移動経路や、施設内、施設周辺、目的地周辺の人を検知する人体検知センサであってもよい。人体検知センサとしては、例えば赤外線信号を用いた焦電センサなどを採用することができる。
【0032】
なお、上記したように、情報処理装置10が、端末装置40の位置情報に基づいて混雑情報を取得する場合、言い換えると、定点カメラ60のカメラ画像が混雑情報として利用されない場合、定点カメラ60は除去されてもよい。
【0033】
次いで、情報処理装置10の構成について
図3等を参照して具体的に説明する。
図3は、情報処理装置10の構成例を示すブロック図である。なお、
図3のブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0034】
換言すれば、
図3のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0035】
図3に示すように、情報処理装置10は、通信部11と、制御部20と、記憶部30とを備える。
【0036】
通信部11は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、端末装置40および定点カメラ60等との間で情報の送受信を行う。
【0037】
制御部20は、取得部21と、決定部22と、人流制御部23とを備え、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0038】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部20の取得部21、決定部22および人流制御部23として機能する。
【0039】
また、制御部20の取得部21、決定部22および人流制御部23の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0040】
また、記憶部30は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部30には、混雑情報31、ユーザ情報32、特典情報33、施設情報34および各種プログラムなどが記憶される。
【0041】
混雑情報31は、移動経路における混雑状況を示す情報である。ここで、
図4を用いて、混雑情報31について説明する。
図4は、混雑情報31の一例を示す図である。
【0042】
図4に示すように、混雑情報31には、「地点」および「混雑度」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0043】
「地点」は、移動経路における各地点を示す情報である。具体的には、「地点」は、移動経路の移動経路名称、移動経路上の地点名称、東口、西口など施設の出入口の名称などを示す情報である。
【0044】
なお、
図4に示す例では、便宜上、「地点」を「C1」といったように抽象的な記載とするが、「C1」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0045】
「混雑度」は、移動経路等の混雑状況の度合いを示す情報であり、一例としては、対応する地点を含む所定領域に存在する人数(人の密度)に応じたレベルで示される情報である。混雑情報31には、「混雑度」に加えてあるいは代えて、上記した移動経路等の人の移動速度など移動経路の人の流れを示す人流情報や、移動経路にいる人の数の情報などが含まれてもよい。
【0046】
図4に示す例では、地点「C1」において、混雑度が「D1」であることを示している。
【0047】
図3の説明に戻ると、ユーザ情報32は、ユーザに関する情報である。ここで、
図5を用いて、ユーザ情報32について説明する。
図5は、ユーザ情報32の一例を示す図である。
【0048】
図5に示すように、ユーザ情報32には、「ユーザID」、「ユーザ位置」および「属性」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0049】
「ユーザID」は、ユーザを識別する識別情報である。「ユーザ位置」は、ユーザの位置を示す情報である。
【0050】
「属性」は、ユーザの属性を示す属性情報である。「属性」には、ユーザの年齢、性別、住所、趣味、嗜好などの情報が含まれるが、これらはあくまでも例示であって限定されるものではない。
【0051】
図5に示す例において、ユーザID「E01」で識別されるユーザのデータは、ユーザ位置が「F1」、属性が「G1」であることを示している。
【0052】
図3の説明に戻ると、特典情報33は、クーポンなどの特典に関する情報である。ここで、
図6を用いて、特典情報33について説明する。
図6は、特典情報33の一例を示す図である。
【0053】
図6に示すように、特典情報33には、「特典ID」、「付与対象」および「特典」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0054】
「特典ID」は、特典を識別する識別情報である。「付与対象」は、特典を付与する対象を示す情報である。例えば、「付与対象」には、上記した混雑情報とユーザ位置情報とに基づいて選択される対象ユーザに関する情報が含まれる。
【0055】
「特典」は、対象ユーザに対して付与する特典の発行内容を示す発行情報である。つまり、「特典」には、特典の内容や、最大発行数、発行範囲、使用可能時間等の情報が含まれる。「特典」は、例えば混雑情報と施設情報とに基づいて設定されるが、これについては後述する。
【0056】
図6に示す例において、特典ID「J01」で識別される特典のデータは、付与対象が「K1」、特典が「L1」であることを示している。
【0057】
図3の説明に戻ると、施設情報34は、特典を使用可能な施設の状況に関する情報である。ここで、
図7を用いて、施設情報34について説明する。
図7は、施設情報34の一例を示す図である。
【0058】
図7に示すように、施設情報34には、「施設ID」、「混雑度」および「特典使用実績」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0059】
「施設ID」は、施設を識別する識別情報である。「混雑度」は、施設内および施設周辺の混雑状況の度合いを示す情報であり、一例としては、施設内および施設の位置を含む所定領域に存在する人数に応じたレベルで示される情報である。「特典使用実績」は、一定期間における特典の使用実績を示す情報であり、例えば、特典の発行総数に対する特典の使用数として表すことができる。なお、「特典使用実績」は、時間毎、日毎、週毎、月毎の期間単位で表現可能である。
【0060】
図7に示す例では、施設ID「M01」で識別される施設の混雑度が「N1」であり、特典使用実績が「P1」であることを示している。
【0061】
次に、
図3に戻って、制御部20の各機能(取得部21、決定部22および人流制御部23)について説明する。
【0062】
取得部21は、通信部11を介して各種情報を取得する。例えば、取得部21は、移動経路における混雑状況を示す混雑情報を取得する。例えば、取得部21は、端末装置40の位置情報に基づいて、移動経路周辺にいる人の数を計測し、計測された人数に応じた混雑度を記憶部30の混雑情報31(
図4参照)に登録することができる。
【0063】
また、取得部21は、定点カメラ60(
図2参照)のカメラ画像などに基づいて混雑情報を取得してもよい。例えば、取得部21は、定点カメラ60から送信されたカメラ画像を解析して移動経路周辺にいる人の数を計測し、計測された人数に応じた混雑度を混雑情報31に登録してもよい。
【0064】
なお、取得部21が取得する混雑情報は、現在の混雑状況に限らず、所定時間後の混雑状況であってもよい。例えば、取得部21は、ユーザの上述した人流情報と現在の混雑状況とから所定時間後の混雑状況を予測し(例えば、人流の上流側の現在の混雑状況と、人流速度、距離差から、下流側の所定時間後の混雑状況を予測)、予測した混雑状況を混雑情報31に登録してもよい。
【0065】
また、取得部21は、施設の状況を示す施設情報を取得する。例えば、取得部21は、端末装置40の位置情報に基づいて、施設内にいる人の数を計測し、計測された人数に応じた混雑度を記憶部30の施設情報34(
図3参照)に登録することができる。
【0066】
また、取得部21は、定点カメラ60(
図2参照)のカメラ画像などに基づいて施設内の混雑度を示す施設情報を取得してもよい。例えば、取得部21は、施設内に設置された定点カメラ60から送信されたカメラ画像を解析して施設内にいる人の数を計測し、計測された人数に応じた混雑度を施設情報34に登録してもよい。
【0067】
なお、取得部21が取得する施設の混雑状況は、現在の混雑状況に限らず、所定時間後の混雑状況であってもよい。例えば、取得部21は、ユーザの上述した人流情報と現在の施設の混雑状況とから所定時間後の施設の混雑状況を予測し、予測した混雑状況を施設情報34に登録してもよい。
【0068】
また、取得部21は、施設の状況として、特典の使用実績に関する情報を取得する。例えば、取得部21は、端末装置40へ送信した特典を使用したことを示す情報を受信した場合に、施設情報34に登録することができる。あるいは、取得部21は、施設に設置された不図示の端末装置から特典が使用されたことを示す情報を受信し、施設情報34に登録してもよい。
【0069】
また、取得部21は、ユーザの位置情報を取得する。例えば、取得部21は、端末装置40から位置情報を取得し、端末装置40の位置情報に基づいてユーザの位置を検出する。そして、取得部21は、検出されたユーザの位置を記憶部30のユーザ情報32に登録する。なお、ユーザの位置は、特典を使用可能な施設までの距離や、目的地までの距離で表されてもよい。
【0070】
決定部22は、取得部21によって取得された混雑情報と施設情報とに基づいて、施設で使用可能な特典の発行内容に関する発行情報を決定する。例えば、決定部22は、特典の内容、最大発行数、特典の発行範囲および特典の使用可能時間の少なくとも1つを決定(変更)する。
【0071】
例えば、決定部22は、施設の混雑状況に基づいて、施設が混雑している場合(混雑度が所定値以上の場合)、施設の特典における発行内容を変更する。例えば、決定部22は、施設が現在混雑している場合、使用可能時間を変更する。具体的には、決定部22は、混雑が解消される時間を予測し、予測した時間から使用可能となる時間に変更する。
【0072】
また、決定部22は、所定時間後に施設が混雑することが予測される場合には、かかる所定時間後の時間帯を除いた時間帯を使用可能時間として決定する。このように、施設が混雑する時間を除いた使用可能時間に変更することで、施設の混雑状況を緩和することができる。なお、決定部22は、使用可能時間の長さを可変にしてもよい。例えば、決定部22は、施設が混雑している場合には、使用可能時間の長さを短くし、施設が混雑していない場合には、使用可能時間の長さを長くする。
【0073】
また、決定部22は、施設が混雑している場合、特典の最大発行数を減らしたり、発行範囲を狭めたりしてもよい。あるいは、決定部22は、当該施設が混雑している場合、混雑していない施設の発行情報を変更してもよい。例えば、決定部22は、混雑していない施設の特典の内容を高めたり、最大発行数を増やしたり、発行範囲を拡げたりしてもよい。
【0074】
施設の混雑状況には、特典が関係する商品の在庫数やサービスの提供可能数の情報が含まれてもよい。つまり、決定部22は、未使用の特典の数に対して商品の在庫数や、サービスの提供可能数が足りない場合には、施設が混雑しているとして、上記した発行情報の変更を行ってもよい。
【0075】
また、決定部22は、施設における特典の使用実績が所定の条件を満たしていない場合に、当該施設の特典における発行内容を変更する。例えば、決定部22は、施設が期待(設定)した使用実績に満たない場合には、使用実績が増えるように発行内容を変更する。
【0076】
例えば、決定部22は、使用実績が所定の条件を満たしていない施設の特典の内容を向上(割引率を高く)したり、最大発行数を増やしたり、発行範囲を拡げたりする。
【0077】
また、決定部22は、使用実績が所定値以上、つまり、施設が期待している以上に特典が使用されている場合には、特典の内容を緩和(割引率を低く)したり、最大発行数を減らしたり、発行範囲を狭めたりして使用実績が施設の期待よりも高くなりすぎないようにしてもよい。
【0078】
また、決定部22は、移動経路上に同系列(支店等)の施設が複数存在する場合、各施設の混雑状況や使用実績に応じて互いの施設で特典を調整してもよい。例えば、決定部22は、同系列(支店等)の複数の施設のうち、混雑している施設の特典を混雑していない施設でも使用可能となるようにしてもよい。
【0079】
このように、特典の使用実績に基づいて特典の発行内容を変更することで、ユーザの施設への誘導を高精度に行うことができるため、混雑緩和を効率良く行うことができる。
【0080】
上述したように、決定部22は、発行情報として、特典の内容、最大発行数、発行範囲および使用可能時間を変更することで、ユーザの施設への誘導を高精度に行うことができるため、混雑緩和を効率良く行うことができる。
【0081】
人流制御部23は、決定部22によって決定された発行情報に基づく特典をユーザに対して発行することで、混雑状況を緩和する人流制御を行う。具体的には、人流制御部23は、まず、特典の発行に先立って、ユーザへ提示する推奨経路を決定する。具体的には、人流制御部23は、取得部21によって取得された混雑情報に基づいて、混雑していない移動経路を推奨経路として決定する。
【0082】
つづいて、人流制御部23は、決定した推奨経路および発行情報に基づいて、ユーザへ発行する特典を決定する。具体的には、人流制御部23は、発行情報における発行範囲を推奨経路が通過する場合に、該当する特典を、発行情報に基づく特典の内容で発行する。なお、人流制御部23は、施設の予測通過時間と、使用可能時間とが所定時間以上離れている場合には、特典が使用される見込みが低いため、特典の発行を禁止してもよい。
【0083】
また、人流制御部23は、推奨経路に関わりなく、発行範囲内に位置するユーザに対して特典を発行してもよい。
【0084】
また、人流制御部23は、特典を使用するユーザが最大発行数以上である場合、施設に近いユーザや、混雑している移動経路を進む予定のユーザ、特典を使用する期待値(使用見込)が所定値以上のユーザに対して優先的に特典を発行する。
【0085】
かかる期待値は、例えば、機械学習により学習したモデルにより算出可能である。例えば、期待値は、ユーザの過去の特典の使用の有無や、使用頻度、使用した特典の種類、ユーザの属性情報等を説明変数とし、期待値を目的変数として機械学習して生成したモデルを用いて算出可能である。
【0086】
例えば、人流制御部23は、期待値が所定値未満(特典の使用可能性が低い)のユーザが所定数以上存在する場合、最大発行数以上に特典を発行してもよい。これにより、特典の使用実績が低くなることを高精度に回避することができる。
【0087】
また、人流制御部23は、ユーザの行動に基づいて、発行した特典を使用する意思が有るか否かを判定し、意思が無い場合には、かかるユーザに発行した特典を他のユーザへ発行してもよい。
【0088】
例えば、人流制御部23は、ユーザの位置情報に基づいて、特典を使用可能な施設を通らない移動経路をユーザが進行している場合には、特典を使用する意思が無いとして他のユーザへ特典を発行する。
【0089】
また、例えば、人流制御部23は、推奨経路において既に他の特典を使用した場合には、同じジャンル(例えば、飲食店)の施設の特典を使用する意思が無いと判定してもよい。これにより、特典を使用する可能性が低いユーザを排除し、特典を使用する可能性が高い(と想定される)ユーザに効率良く特典を発行できるため、施設の特典使用実績が低くなることを抑制できる。
【0090】
なお、特典を使用する意思の有無を、上記した期待値の説明変数に加えることで、より精度の高い期待値を算出することができる。
【0091】
なお、上述した制御部2の特典付与に関する動作は、上述の各種状態や各種情報をパラメータとするテーブルを用いた処理や、過去の各種状態や各種情報と特典の内容に関するデータと、実際に付与した特典のデータとを学習した人工知能等により実現可能である。
【0092】
次に、
図8を用いて、実施形態に係る情報処理装置10において実行される処理の手順について説明する。
図8は、実施形態に係る情報処理装置10によって実行される処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0093】
図8に示すように、取得部21は、ユーザの位置情報および目的地の情報を取得する(ステップS101)。つづいて、取得部21は、ユーザの位置から目的地までの間における混雑状況を示す混雑情報を取得する(ステップS102)。
【0094】
つづいて、取得部21は、ユーザの位置から目的地までの間に存在する施設の状況を示す施設情報を取得する(ステップS103)。つづいて、決定部22は、混雑情報および施設情報に基づいて、施設で使用可能な特典の発行内容に関する発行情報を決定する(ステップS104)。
【0095】
つづいて、決定部22は、混雑情報に基づいて推奨すべき移動経路、すなわち混雑していない移動経路を推奨経路として決定する(ステップS105)。つづいて、人流制御部23は、決定された推奨経路を通知するとともに、発行情報に基づく特典を発行し(ステップS106)、処理を終了する。
【0096】
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置10は、取得部21と、決定部22と、人流制御部23とを備える。取得部21は、ユーザの目的地までの移動経路における混雑状況を示す混雑情報と、所定の施設の状況を示す施設情報とを取得する。決定部22は、取得部21によって取得された混雑情報と施設情報とに基づいて、所定の施設で使用可能な特典の発行内容に関する発行情報を決定する。人流制御部23は、決定部22によって決定された発行情報に基づいて特典をユーザに対して発行することで、混雑状況を緩和する人流制御を行う。これにより、移動経路における混雑を効率良く緩和することができる。
【0097】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
11 通信部
20 制御部
21 取得部
22 決定部
23 人流制御部
30 記憶部
31 混雑情報
32 ユーザ情報
33 特典情報
34 施設情報
40 端末装置
60 定点カメラ
100 端末装置