(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】運用支援装置、運用管理システム、運用支援方法および運用支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20241125BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20241125BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q10/04
(21)【出願番号】P 2020218002
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】堅田 康平
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 弘之
(72)【発明者】
【氏名】竹中 憲郎
(72)【発明者】
【氏名】坂野 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】河合 克哉
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-162567(JP,A)
【文献】特開2014-089618(JP,A)
【文献】国際公開第2012/086000(WO,A1)
【文献】特開2019-177760(JP,A)
【文献】特開平09-123913(JP,A)
【文献】特開2020-111139(JP,A)
【文献】特開2002-230246(JP,A)
【文献】特開2003-186971(JP,A)
【文献】国際公開第2018/138884(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G06Q 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を配備する配備場所に関連する場所の第1の時間帯の人流を示す人流情報を用いて前記移動体の利用者数を予測する利用者予測部と、
前記第1の時間帯より前の第2の時間帯に取得された情報を用いて作成された前記移動体の運用計画である事前運用計画と、前記利用者予測部による予測結果とを用いて前記移動体の運用計画を作成する運用計画作成部と、
を備え、
前記配備場所は、列車の駅の駅前を含み、
前記人流情報は、前記列車から送信された前記列車の乗客数に関する情報を含み、
前記運用計画作成部は、前記事前運用計画の作成時に仮定した利用者数と前記利用者予測部による予測結果との比較結果に応じて、前記事前運用計画における運行ルート、運行間隔、または配備する前記移動体の変更を行うことにより、前記運用計画を作成することを特徴とする運用支援装置。
【請求項2】
前記列車の乗客数に関する情報は、前記列車の台車の空気ばね圧を示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の運用支援装置。
【請求項3】
前記列車の乗客数に関する情報は、前記列車の車内監視カメラにより取得された画像であることを特徴とする請求項1に記載の運用支援装置。
【請求項4】
前記人流情報は、前記列車の予約内容を示す予約情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の運用支援装置。
【請求項5】
前記配備場所は、空港を含み、
前記移動体はバスであり、
前記人流情報は、航空機の乗客数に関する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の運用支援装置。
【請求項6】
前記配備場所は、空港を含み、
前記人流情報は、航空機の駐機に関する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の運用支援装置。
【請求項7】
前記航空機の駐機に関する情報は、前記航空機が前記空港への到着予想時刻と前記航空機が使用するエプロンを示す情報とを含むことを特徴とする請求項6に記載の運用支援装置。
【請求項8】
前記配備場所は、駅前以外のビルの前を含み、
前記人流情報は、前記ビル内の在場人数に関する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の運用支援装置。
【請求項9】
前記ビル内の在場人数に関する情報は、前記ビルへの入退出の人数の検出結果であることを特徴とする請求項8に記載の運用支援装置。
【請求項10】
前記ビル内の在場人数に関する情報は、前記ビルのエレベータの利用者数に基づいて算出された情報であることを特徴とする請求項8に記載の運用支援装置。
【請求項11】
前記ビル内の在場人数に関する情報は、前記ビルのエレベータの利用者数であることを特徴とする請求項8に記載の運用支援装置。
【請求項12】
前記配備場所は、駐車場の前を含み、
前記人流情報は、前記駐車場の駐車台数に関する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の運用支援装置。
【請求項13】
移動体の配備を管理する移動体管理装置と、
前記移動体の運用を支援する請求項1に記載の運用支援装置と、
を備え、
前記移動体管理装置は、
第1の時間帯より前の第2の時間帯に取得された情報を用いて作成された前記移動体の運用計画である事前運用計画を前記運用支援装置へ送信する事前運用計画送信部と、
前記運用支援装置から送信された、前記事前運用計画を用いて作成された運用計画を受信する運用計画受信部と、
を備えることを特徴とする運用管理システム。
【請求項14】
前記配備場所は、空港を含み、
前記人流情報は、航空機の乗客数に関する情報を含むことを特徴とする請求項13に記載の運用管理システム。
【請求項15】
前記配備場所は、空港を含み、
前記人流情報は、航空機の駐機に関する情報を含むことを特徴とする請求項13に記載の運用管理システム。
【請求項16】
前記配備場所は、ビルの前を含み、
前記人流情報は、前記ビル内の在場人数に関する情報を含むことを特徴とする請求項13に記載の運用管理システム。
【請求項17】
前記ビル内の在場人数に関する情報は、前記ビルのエレベータの利用者数に基づいて算出された情報であることを特徴とする請求項16に記載の運用管理システム。
【請求項18】
前記配備場所は、駐車場の前を含み、
前記人流情報は、前記駐車場の駐車台数に関する情報を含むことを特徴とする請求項13に記載の運用管理システム。
【請求項19】
移動体の運用を支援する運用支援装置における運用支援方法であって、
移動体を配備する配備場所に関連する場所の第1の時間帯の人流を示す人流情報を用いて前記移動体の利用者数を予測
する予測処理を行い、
前記第1の時間帯より前の第2の時間帯に取得された情報を用いて作成された前記移動体の運用計画である事前運用計画と、前記利用者数の予測結果とを用いて前記移動体の運用計画を作成する作成処理を行い、
前記配備場所は、列車の駅の駅前を含み、
前記人流情報は、前記列車から送信された前記列車の乗客数に関する情報を含み、
前記作成処理では、前記事前運用計画の作成時に仮定した利用者数と前記
予測処理による予測結果との比較結果に応じて、前記事前運用計画における運行ルート、運行間隔、または配備する前記移動体の変更を行うことにより、前記運用計画を作成することを特徴とする運用支援方法。
【請求項20】
移動体の運用を支援する運用支援装置に、
移動体を配備する配備場所に関連する場所の第1の時間帯の人流を示す人流情報を用いて前記移動体の利用者数を予測する予測ステップと、
前記第1の時間帯より前の第2の時間帯に取得された情報を用いて作成された前記移動体の運用計画である事前運用計画と、前記利用者数の予測結果とを用いて前記移動体の運用計画を作成する作成ステップと、
を実行させ、
前記配備場所は、列車の駅の駅前を含み、
前記人流情報は、前記列車から送信された前記列車の乗客数に関する情報を含み、
前記作成ステップでは、前記事前運用計画の作成時に仮定した利用者数と前
記予測
ステップによる予測結果との比較結果に応じて、前記事前運用計画における運行ルート、運行間隔、または配備する前記移動体の変更を行うことにより、前記運用計画が作成されることを特徴とする運用支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動手段の運用を管理する運用支援装置、運用管理システム、運用支援方法および運用支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
路線バス、コミュニティバスなどは、一般には、あらかじめ発車時刻が時刻表により定められている。また、タクシー、レンタサイクルなどについても、駅前などの定められた場所に、時間帯ごとに何台配置するかなどの運用計画があらかじめ定められている。
【0003】
駅前から発車する路線バスでは、列車から降車した乗客の利便性を考慮して、列車の時刻表における到着時刻にあわせて発車時刻が設定されることがある。このように、列車の到着時刻を考慮して路線バスの発車時刻が設定されていても、列車が遅延すると路線バスは定められた発車時刻に発車してしまうため、列車の乗客は次の路線バスの発車時刻まで待たされることになる。
【0004】
特許文献1には、上述した問題を解決するために、駅管理センターが駅への列車の到着を監視して列車の定刻からの遅延時間を示す遅延情報をバス運用支援センターへ送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、周辺の混雑状況や利用状況については考慮されておらず移動体を効率的に運用することができていない。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、移動体を効率的に運用することができる運用支援装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる運用支援装置は、移動体を配備する配備場所に関連する場所の第1の時間帯の人流を示す人流情報を用いて移動体の利用者数を予測する利用者予測部、を備える。運用支援装置は、さらに、第1の時間帯より前の第2の時間帯に取得された情報を用いて作成された移動体の運用計画である事前運用計画と、利用者予測部による予測結果とを用いて移動体の運用計画を作成する運用計画作成部と、を備え、配備場所は、列車の駅の駅前を含み、人流情報は、列車から送信された列車の乗客数に関する情報を含み、運用計画作成部は、事前運用計画の作成時に仮定した利用者数と利用者予測部による予測結果との比較結果に応じて、事前運用計画における運行ルート、運行間隔、または配備する移動体の変更を行うことにより、運用計画を作成する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、移動体を効率的に運用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1にかかる運用管理システムの構成例を示す図
【
図2】実施の形態1の運用支援装置における運用支援処理手順の一例を示すフローチャート
【
図3】実施の形態1の運用支援装置における利用者数の予測方法を説明するための模式図
【
図4】実施の形態1の移動体の利用者比率情報の一例を示す図
【
図5】実施の形態1の各区間の係数を示す係数情報の一例を示す図
【
図6】実施の形態1の事前運転計画と確定運転計画の一例を示す図
【
図7】実施の形態1の運用支援装置を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図
【
図8】実施の形態1の駅ごとの係数を示す係数情報の一例を示す図
【
図9】実施の形態2にかかる運用管理システムの構成例を示す図
【
図10】実施の形態2の運用支援装置における運用支援処理手順の一例を示すフローチャート
【
図11】実施の形態3にかかる運用管理システムの構成例を示す図
【
図12】実施の形態3の運用支援装置の支援対象のバスの乗り場の一例を示す模式図
【
図13】事前運転計画を用いない場合の実施の形態3の運用支援装置の運用支援処理手順の一例を示すフローチャート
【
図14】事前運転計画を用いる場合の実施の形態3の運用支援装置の運用支援処理手順の一例を示すフローチャート
【
図15】実施の形態4にかかる運用管理システムの構成例を示す図
【
図16】実施の形態4の運用支援装置における運用支援処理手順の一例を示すフローチャート
【
図17】実施の形態5にかかる運用管理システムの構成例を示す図
【
図18】実施の形態5の運用支援装置における運用支援処理手順の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施の形態にかかる運用支援装置、運用管理システム、運用支援方法および運用支援プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる運用管理システムの構成例を示す図である。本実施の形態の運用管理システムは、移動体の一例であるバスの運用を支援する運用支援装置1と、バスの配車を管理する車両配車装置2と、を備える。
【0013】
本実施の形態の運用支援装置1は、列車の停車する駅の駅前に設けられたバスの乗り場から発車するバスの運用を支援する。なお、ここで駅前とは、駅の周囲の駅から一定距離内の範囲であればよく、駅の正面方向に限定されない。
【0014】
車両配車装置2は、バスの運行を管理する装置であり、
図1に示すように、事前運転計画作成部21、事前運転計画送信部22および運転計画受信部23を備える。事前運転計画作成部21は、運用支援装置1の運用支援の対象となる乗り場から発車するバスの時刻、運行ルートを含む運転計画(運行計画ともいう)を事前に作成する。事前運転計画送信部22は、事前運転計画を運用支援装置1へ送信する。事前運転計画作成部21、事前運転計画送信部22および運転計画受信部23は、それぞれ事前運用計画作成部、事前運用計画送信部および運用計画受信部の一例である。
【0015】
運用支援装置1は、地上装置5を介して列車に搭載される列車統合管理装置3から受信した列車の乗客数に関する情報を用いてバスの利用者数を予測し、予測した結果を用いて事前運転計画を修正することで運転計画を作成し、作成した運転計画を確定運転計画として車両配車装置2へ送信する。車両配車装置2の運転計画受信部23は、運用支援装置1から受信した確定運転計画を受信する。車両配車装置2は、確定運転計画に基づいてバスの配車を行う。なお、ここでは、車両配車装置2が、事前運転計画を作成する例を示したが、車両配車装置2とは別に事前運転計画を作成する事前運転計画装置が設けられていてもよい。この場合、車両配車装置2は、事前運転計画装置から事前運転計画を受信して、運用支援装置1へ送信する。また、運用支援装置1が事前運転計画を作成する事前運転計画作成部21を備えてもよい。この場合、車両配車装置2は、事前運転計画送信部22を備えなくてよい。
【0016】
列車に搭載される列車統合管理装置3は、
図1に示すように、当該列車に搭載される各種の機器4から機器4に対応する状態情報を取得する状態情報取得部32と、状態情報取得部32によって取得された状態情報のうち列車の乗客数に関する情報を地上装置5へ送信する状態情報送信部31とを備える。状態情報は、機器4の状態を示す情報、機器4によって検出または計測された情報などを含む。列車の乗客数に関する情報は、例えば、台車の空気ばね圧を示す情報および車内監視カメラにより撮像された画像、乗降口を通過した人数のカウント数、携帯端末から送信された電波に関する情報のうち少なくとも1つである。携帯端末から送信された電波に関する情報は、スマートフォン等のBluetooth(登録商標)デバイス数であっても良いし、車内に設置されたWi-Fi(登録商標)等のアクセスポイントに接続している端末の数であっても良い。したがって、機器4は、台車の空気ばね圧を示す情報を取得する装置および車内監視カメラ、列車の乗降口を通過する人数をカウントするセンサ(例えば、レーザセンサ、赤外線センサ)、携帯端末からの電波を受信可能な受信装置のうち少なくとも1つを含む。携帯端末から送信された電波に関する情報は、例えば、列車内の受信装置において、一定時間内に受信された電波すなわち無線信号の数であってもよいし、受信装置における受信電力であってもよい。なお、一般には、列車には、これら以外の機器4も搭載されるが、ここでは、本実施の形態の運用支援の動作に関連する機器4について説明し、本実施の形態の運用支援の動作に関連しない機器4については説明を省略する。地上装置5は、列車システムにおける装置の一例であり、本実施の形態の運用支援装置1は、列車に搭載された列車統合管理装置3から送信された列車の乗客数に関する情報を取得できればよく、通信経路は
図1に示した例に限定されない。
【0017】
運用支援装置1は、
図1に示すように、人流情報受信部11、事前運転計画受信部12、利用者予測部13、運転計画作成部14および運転計画送信部15を備える。人流情報受信部11は、人流情報の一例である列車の乗客数に関する情報を、地上装置5を介して列車統合管理装置3から受信して利用者予測部13へ出力する。事前運転計画受信部12は、車両配車装置2から事前運転計画を受信して運転計画作成部14へ出力する。利用者予測部13は、列車の乗客数に関する情報を用いてバスの利用者の数を予測し、予測結果を運転計画作成部14へ出力する。運転計画作成部14は、利用者予測部13による予測結果を用いて事前運転計画を修正することで運転計画を作成し、作成した運転計画を確定運転計画として運転計画送信部15へ出力する。運転計画送信部15は、確定運転計画を車両配車装置2へ送信する。運転計画作成部14は、利用者予測部13による予測結果を用いて事前運転計画を修正しないと判断し、運転計画を作成してもよい。
【0018】
本実施の形態の運用支援装置1が受信する列車の乗客数に関する情報は、列車の乗客数に関する情報を用いて事前運転計画の元になった情報より後に得られた情報であって、列車が駅へ到着する前の情報である。本実施の形態の運用支援装置1は、このように、列車が駅に到着する前の情報を用いて事前運転計画を修正するため、バスが事前運転計画で定められた定刻に乗り場に待機している必要がなくなり、列車の到着した後に得られる情報を用いる場合に比べて、バスを効率的に運用することができる。また、本実施の形態の運用支援装置1は、事前運転計画の元になった情報より後に得られた情報を用いて運転計画を作成するため、事前運転計画だけで運用する場合に比べてより実際の状況にあった適切な運転計画を作成することができる。
【0019】
本実施の形態では、移動体の一例として、路線バス、またはコミュニティバスを例に挙げて説明するが、移動体はバスに限定されず、水上バス、乗り場が定められているタクシー、PMV(Personal Mobility Vehicle)、レンタサイクル、レンタルの電動キックボードなどであってもよい。タクシー、PMV、レンタサイクル、レンタルの電動キックボードなどの場合、時刻表などは定められていないが、乗り場には時間帯ごとにどの程度の移動体を配置するかが事前に運用計画として定められている。なお、乗り場は、各移動体を用いた移動を開始する場所を示し、レンタサイクル、レンタルの電動キックボードなどの場合は、これらが配置されている場所であり、バスの場合は停留所などである。バス以外の移動体に関しても、車両配車装置2が移動体の事前の運用計画である事前運用計画を作成して、運用支援装置1へ送信し、本実施の形態の運用支援装置1が、バスの運転計画と同様に、列車の乗客数に関する情報を用いて予測した利用者数を用いて事前運用計画を修正し、確定運用計画として車両配車装置2へ送信することができる。
【0020】
このように、バスの運転計画は運用計画の一例であり、運用計画はバスの運転計画に限定されない。事前運転計画受信部12、運転計画作成部14および運転計画送信部15は、それぞれ事前運用計画受信部、運用計画作成部および運用計画送信部の一例である。また、駅前のバスの乗り場は、移動体を配備する配備場所の一例である。
【0021】
次に、本実施の形態の運用支援装置1の動作の詳細について説明する。
図2は、本実施の形態の運用支援装置1における運用支援処理手順の一例を示すフローチャートである。
図2に示すように、事前運転計画受信部12は、車両配車装置2から事前運転計画を受信する(ステップS1)。上述したように、事前運転計画受信部12は運転計画作成部14へ出力する。車両配車装置2が、事前運転計画を送信するタイミングは特に制約はないが、例えば、1週間分の事前運転計画を1週間ごとに送信してもよい。また、車両配車装置2は、例えば平日と休日とでそれぞれ時刻表が定められている場合は、定められている時刻表を含む事前運転計画を送信し、その後は時刻表が変更になるごとに事前運転計画を送信してもよい。
【0022】
なお、車両配車装置2の事前運転計画作成部21は、例えば、過去の需要の実績に基づいて事前運転計画を作成する。過去の需要の実績は、例えば、過去の一定期間のバスの利用者数を、時間帯ごとに計数した結果である。また、車両配車装置2は、イベントデータ、気象情報などと対応づけて上記需要の実績を収集しておき、イベントデータ、気象情報などと需要の実績とを対応づけて学習しておくことで、需要を予測するための予測モデルを作成し、予測モデルを用いて事前運転計画を作成してもよい。イベントデータは、例えば各種イベントの開催日、開始時間、終了時間、会場、会場の収容者数、イベントの内容などである。気象の予測値は、例えば天気、気温、湿度、雨量、風量などである。事前運転計画の作成方法は、上述した例に限定されず、どのような方法が用いられてもよい。事前運転計画作成部21は、上述したように過去の需要の実績などから時間帯ごとのバスの利用者数を想定して事前運転計画を作成する。また、本実施の形態では、事前運転計画において想定された時間帯ごとのバスの利用者数を事前シナリオとも呼ぶ。車両配車装置2は、事前運転計画に事前シナリオを含めて、運用支援装置1へ送信する。
【0023】
図2の説明に戻る。人流情報受信部11は、地上装置5から、列車の乗客数に関する情報を受信する(ステップS2)。上述したように、人流情報受信部11は、受信した列車の乗客数に関する情報を利用者予測部13へ出力する。なお、列車に搭載される列車統合管理装置3は、列車の乗客数に関する情報を、例えば、定期的に送信しており、この情報を、地上装置5を介して人流情報受信部11が受信する。列車の乗客数に関する情報の送信周期は、列車の走行中に隣接する2つの駅の間で一度は人流情報受信部11が列車の乗客数に関する情報を受信できるような周期であり、例えば数秒程度であってもよいし数分程度であってもよいがこれらに限定されない。また、列車の乗客数に関する情報の送信周期は、例えば駅の発車時であってもよい。
【0024】
次に、利用者予測部13は、列車の乗客数に関する情報を用いてバスの利用者数を予測する(ステップS3)。ここで、列車の乗客数に関する情報を用いたバスの利用者数の予測方法の例について説明する。
【0025】
図3は、本実施の形態の運用支援装置1における利用者数の予測方法を説明するための模式図である。
図3に示したA駅は、列車の停車する駅であり、A駅の駅前にバスの乗り場6が設けられている。本実施の形態の運用支援装置1は、この乗り場6を発車するバスの運用の支援を行うとする。バス51は、運用支援装置1により作成された運転計画である確定運転計画に基づいて乗り場6に配車されるバスの一例を模式的に示したものである。なお、乗り場6は例えば始発停留所であり、乗り場6への配車は任意のタイミングで行うことができるとする。例えば、後述する事前運転計画の修正において増便を行う可能性がある場合には、図示しない待機場所で待機している予備のバスがあり、車両配車装置2は、増便時にはこのバスを用いて乗り場6へ配車できるとする。
【0026】
図3に示した例では、B駅からA駅へ向かう方向が上り方向であり、上り列車である列車50-1がB駅からA駅に向かって走行中であり、下り列車である列車50-2がA駅に向かって走行中である。本実施の形態では、例えば、
図3に示したように、列車50-1,50-2がA駅へ到着する前の時点で、運用支援装置1が列車50-1,50-2に搭載された列車統合管理装置3のそれぞれから、地上装置5を介して列車の乗客数に関する情報を受信する。
【0027】
例えば、利用者予測部13は、列車の乗客数に関する情報が台車の空気ばね圧を示す情報である場合、列車の乗客数に関する情報と列車の乗客数との対応を示す対応情報を、列車の車両の種類および何両編成であるかなどを示す編成情報ごとに予め保持しておく。そして、利用者予測部13は、対応情報を用いて、受信した列車の乗客数に関する情報に対応する乗客数を算出する。なお、A駅に到着する列車の車体の重量が全て同一であり1編成を構成する車両の数も全て同一である場合は、列車の乗客数に関する情報と列車の乗客数との対応を示す対応情報を1種類保持すればよい。この対応情報は、テーブルなどであってもよいし計算式であってもよい。
【0028】
また、利用者予測部13は、列車の乗客数に関する情報が車内監視カメラにより取得された画像である場合、画像処理により画像内の人を検出し、検出した人の数を計数する。そして、利用者予測部13は、画像から検出された人の数と列車の乗客数との対応を示す対応情報を、列車の車両の種類および何両編成であるかなどを示す編成情報ごとに予め保持しておき、利用者予測部13は、対応情報を用いて、受信した列車の乗客数に関する情報に対応する乗客数を算出する。なお、上記の例と同様に、A駅に到着する列車における車内監視カメラの位置が車両の種類によらず同一であり1編成を構成する車両の数も全て同一である場合は、画像から検出された人の数と列車の乗客数との対応を示す対応情報を1種類保持すればよい。
【0029】
また、利用者予測部13は、列車の乗客数に関する情報が、一定時間内に受信された無線信号の数である場合、一定時間内に受信される無線信号の数と列車の乗客数との対応を示す対応情報を保持し、対応情報と列車の乗客数に関する情報とを用いて列車の乗客数を算出する。また、利用者予測部13は、列車の乗客数に関する情報が、単一の周波数の受信電力である場合、受信電力と対応する携帯端末の数との対応を示す対応情報を保持しておき、対応情報と列車の乗客数に関する情報とを用いて列車の乗客数を算出する。また、列車の乗客数に関する情報が周波数ごとの受信電力である場合、利用者予測部13は、周波数ごとに受信電力と携帯端末の数との対応を第1対応情報として保持し、第1対応情報と列車の乗客数に関する情報とを用いて周波数ごとの携帯端末の数を推定する。さらに、利用者予測部13は、携帯端末の数と列車の乗客数との対応を示す第2対応情報を保持しておき、推定した携帯端末の数と第2対応情報とを用いて列車の乗客数を算出する。
【0030】
利用者予測部13は、列車の乗客数を算出すると、算出した列車の乗客数を用いて乗り場6から発車するバスの利用者数を予測する。利用者予測部13は、列車の乗客数に対する乗り場6から発車するバスの利用者の比率を示す利用者比率情報を保持している。利用者比率情報は、例えば過去の調査などの実績に基づいて生成される。
【0031】
図4は、本実施の形態の移動体の利用者比率情報の一例を示す図である。
図4では、
図3に示したように、上りと下りの両方の列車がA駅に停車する場合の利用者比率情報の一例を示している。
図4に示した利用者比率情報は、乗り場6からバスを利用する利用者のうち、上り列車の乗客のうち乗り場6から発車するバスを利用する人の比率(
図4では上り列車と記載)と下り列車の乗客のうち乗り場6から発車するバスを利用する人の比率(
図4では下り列車と記載)とを含む。
図4に示した例では、これらの比率を百分率で示しているがこれに限らず全体を1としたときの割合で示されていてもよい。また、
図4に示した例では、時間帯ごとのこれらの比率が定められているが時間帯で分けずに固定の比率を用いてもよい。また、
図4に示した例では、2時間の時間帯ごとの比率が示されているが、時間帯ごとに比率を定める場合の時間帯の長さは2時間に限定されない。また、このような利用者比率情報を平日と休日とでそれぞれ定めておいてもよい。
【0032】
利用者予測部13は、例えば、
図3に示した列車50-1および列車50-2のそれぞれの列車の乗客数を、上述したように列車50-1および列車50-2のそれぞれの列車から送信された列車の乗客数に関する情報に基づいて算出する。算出された列車50-1の乗客数および列車50-2の乗客数をそれぞれN
1,N
2とし、利用者比率情報における上り列車の乗客の比率(%)および下り列車の乗客の比率(%)をそれぞれR
1,R
2とすると、利用者予測部13は、バスの利用者の予測値N
Eを、例えば、以下の式(1)により算出する。なお、その他の利用者N
Oについても、例えば、時間帯ごとに過去の調査などの実績に基づいて定めておく。
N
E=(R
1/100)×N
1+(R
2/100)×N
2+N
O ・・・(1)
【0033】
なお、上記の例では、利用者数の予測対象の時間帯に到着する列車が列車50-1および列車50-2だけであるとしているが、列車が順次到着する場合は、上り、下りを区別せずに、予測対象の時間帯ごとに到着予定の列車の乗客数の総和を用いて、バスの利用者を予測すればよい。各列車の列車統合管理装置3から送信される列車の乗客数に関する情報には、列車の位置を示す情報が付加されているとし、利用者予測部13は、列車の位置を示す情報に基づいて列車の到着時刻を予想する。そして、利用者予測部13は、上り、下りを問わず、到着予想時刻が、利用者数の予測対象の時間帯内となる列車に関して、列車の乗客数に関する情報を用いて列車の乗客数を算出する。
【0034】
例えば、利用者予測部13が10分単位で利用者数の予測を行うとし、利用者数の予測対象の時間帯予測の対象の時間帯が7:40から7:50であるとする。また、7:40から7:50の間に到着が予想される列車の数が、上り列車が3、下り列車が2、であったとする。この場合、利用者予測部13は、3本の上り列車の列車の乗客数の総和、2本の下り列車の列車の乗客数の総和をそれぞれ上記のN1,N2として用いて、上記式(1)により利用者数の予測値を算出することができる。なお、予測を行う際の時間単位は10分に限定されず、列車の本数、バスの利用者の平均的な数などに応じて適宜設定されればよい。
【0035】
また、列車の乗客は、各駅で乗降するため、
図3に示した例では、A駅の駅前の乗り場6から発車するバスの利用者は、上り列車であれば、A駅の上り方向の1つ前の駅であるB駅とA駅との間の列車の乗客数の影響を受けやすい。一方で、早めの予測を行うことが望ましい場合、または駅間の距離が短い場合などもあり、このような場合、例えば、B駅の上り方向の1つ前の駅であるC駅とB駅の間を走行する列車の乗客数についても考慮しておくこともできる。
図3に示すように、A駅とB駅の間を区間#1、B駅とC駅の間を区間#2とする。また、A駅と図示しない上り方向の次の駅との間を区間#3としている。例えば、区間#1~区間#3のそれぞれについて、当該区間に位置する列車の乗客数と乗り場6を発車するバスの利用者の数との相関を事前に求めておく。そして、その相関に基づいて、区間ごとに、バスの利用者の予測値N
Eの算出時に当該区間を走行中の列車の乗客数に乗算する係数を定めておく。この係数は、上記の比率に対応するものであり、上記比率と同様に、百分率で示しておいてもよい。
【0036】
図5は、本実施の形態の各区間の係数を示す係数情報の一例を示す図である。利用者予測部13は、例えば、
図5に例示する係数情報を保持しておき、バスの利用者数の予測において、列車ごとの位置する区間に応じて係数を選択する。
図5に示した例では、係数についても時間帯ごとに定められているが、時間帯によらず同じ係数が用いられてもよい。なお、利用者予測部13は、バスの利用者数の予測時には、区間#1,#2は上り列車に関して考慮し区間#1,#2を走行中の下り列車の乗客数は考慮しない。同様に、利用者予測部13は、バスの利用者数の予測時には、区間#3は下り列車に関して考慮し、区間#3を走行中の上り列車の乗客数は考慮しない。例えば、
図3に示した列車50-1以外に、区間#2を図示しない上り列車が走行中であったとする。この場合、利用者予測部13は、区間#2を走行中の図示しない上り列車のA駅への到着予想時刻が予測対象の時間帯内である場合、列車50-1の列車の乗客数および区間#2を走行中の列車の乗客数をそれぞれ算出し、算出した乗客数に、
図5に例示した係数のうち対応する係数をそれぞれ乗算し、係数を乗算した後の乗客数を足した合計値を算出する。また、区間#3を走行中の複数の下り列車が有る場合は、これらの下り列車に対応する係数を乗算し、係数を乗算した後の乗客数を足した合計値を算出する。そして、利用者予測部13は、上り列車と下り列車のそれぞれの合計値を足すことでバスの利用者数の予測値N
Eとする。また、
図3ではB駅からA駅へ向かう上り列車である列車50-1と、A駅に向かう下り列車である列車50-2との乗客数に関する情報を用いる例について説明したが、乗客数に関する情報は、事前運転計画の作成のもとになった情報より後の時刻の情報である情報であって、修正した運転計画に基づくバスの運転の実施が可能となる程度には、バスの運転の事前の情報である。
【0037】
以上述べた例では、上りおよび下りの列車を考慮したが、バスの乗り場6が複数の路線の列車が到着する駅の駅前である場合には、路線ごとに同様に、各列車の乗客数を算出し、予測対象の時間帯ごとに、到着予定の乗客数の総和を求めればよい。総和を求める際には、直近の駅との間に位置する列車以外も考慮する際には、
図5で例示したように係数を用いた重み付け加算を行ってもよい。また、バスの乗り場6を発車するバス路線が複数存在する場合には、バス路線ごとに
図4の利用者比率および
図5の係数を決めておくことで、予測対象の時間帯ごとに、到着予定の乗客数から各バス路線の利用者数を予測すればよい。
【0038】
なお、
図5に示した例では、上り方向について区間#1,#2の2区間、下り方向について区間#3の1区間を考慮しているが、考慮する区間の数はこの例に限定されない。また、上述したバスの利用者数の予測方法は一例であり、列車の乗客数の算出結果を用いたバスの利用者数の予測方法は上述した例に限定されない。
【0039】
図2の説明に戻る。ステップS3の後、運転計画作成部14は、予測された利用者数と事前運転計画とを用いて運転計画を作成する(ステップS4)。
【0040】
ここで、予測された利用者数と事前運転計画とを用いた運転計画の作成方法の例について説明する。上述したように、事前運転計画には、事前シナリオとして事前運転計画の作成において想定された各時間帯の利用者数が含まれている。運転計画作成部14は、事前シナリオと利用者予測部13による予測結果とを比較し、予測結果の方が事前シナリオより多い場合には、事前運転計画からの増便、または運用する車両のより定員の多い車両への変更を行う。また、運行ルートの変更を行なってもよい。運行ルートの変更の具体例は、停留所通過や事前の運行ルートを変更し近道を選択するなどである。なお、このとき、利用者数の予測では、予測対象の時間帯に到着する列車の乗客数に基づいたバスの利用者の予測が行われている。一方、列車を降りてからバスの乗り場6へ移動するまでにはある程度の時間を要するため、運転計画へ反映させる際には、列車を降りてからバスの乗り場6へ移動するまでの時間を考慮する。例えば、列車を降りてからバスの乗り場6へ移動するまでの時間を5分程度と仮定すると、7:40から7:50に到着する列車の乗客に基づくバスの利用者数の予測値は、7:55以降の運転計画に反映させる。
【0041】
図6は、本実施の形態の事前運転計画と確定運転計画の一例を示す図である。
図6の左側には事前運転計画を示しており、
図6の右側には確定運転計画を示している。例えば、7:50から8:00を予測対象とした予測によって、バスの利用者人数の予測結果が、事前シナリオにおける7:50から8:00の利用者数より多い場合、右側上図に示したように、8:00に発車するバスの台数を2台に増便してもよいし、右側下図に示したように、8:00から8:30までの運転間隔を事前運転計画より短くすることで増便してもよい。または、上述したように、8:00に発車するバスの車両を定員の多い車両に変更してもよい。
【0042】
また、運転計画作成部14は、事前シナリオと利用者予測部13による予測結果とを比較し、予測結果の方が事前シナリオより少ない場合には、同様に、事前運転計画からの減便、または運用する車両のより定員の少ない車両への変更を行ってもよい。ただし、減便を行うことにより、列車の乗客以外への利用者の影響が大きくなる環境の場合は、減便は行わなくてもよい。また、増便、減便のそれぞれを行うか否かは事前運転計画において事前シナリオとして想定する利用者数をどのように設定するかに依存する。例えば、事前シナリオとしては、平均的な利用者数より少ない利用者数を想定しておき、運転計画作成部14は増便または車両の変更を行い減便は行わないようにしてもよいし、平均的な利用者数より多い利用者数を想定しておき、運転計画作成部14は減便または車両の変更を行い増便は行わないようにしてもよい。また、事前シナリオとしては、平均的な利用者数を想定しておき、運転計画作成部14は増便および減便または車両の変更を行うようにしてもよい。なお、運転計画作成部14における運転計画の作成方法は、利用者数の予測結果を反映して事前運転計画を修正する運転計画の作成方法であればよく、上述した例に限定されない。
【0043】
以上のように、作成された運転計画は、確定運転計画として、運転計画送信部15により車両配車装置2へ送信される。本実施の形態における、列車から送信された列車の乗客数に関する情報は、バスの乗り場に関連する場所である列車における第1の時間帯の人流を示す人流情報の一例である。本実施の形態では、上述したように、第1の時間帯より前の第2の時間帯に取得された情報を用いて作成されたバスの運転計画である事前運転計画と、利用者予測部13による予測結果とを用いてバスの運転計画を作成する。これにより、車両配車装置2は、事前運転計画において想定された第2の時間帯の情報より後の時刻である第1の時間帯の情報を反映したより実際に近い利用者数に応じた配車を行うことができる。列車の到着した時間に基づいて列車の遅延時間を反映してバスの発車時刻を遅らせる方法では、列車の乗客が通常より多い場合に利用者がバスに乗り切れず、利用者の利便性が損なわれるが、本実施の形態では、列車の乗客数に応じた利用者数を予測し、バスの利用者数の予測結果を用いて運転計画を作成しているので利用者の利便性を向上させることができる。
【0044】
ここで、運用支援装置1のハードウェア構成について説明する。本実施の形態の運用支援装置1は、コンピュータシステム上で、運用支援装置1における処理が記述されたプログラムである運用支援プログラムが実行されることにより、コンピュータシステムが運用支援装置1として機能する。
図7は、本実施の形態の運用支援装置1を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。
図7に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
【0045】
図7において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、本実施の形態の運用支援装置1における処理が記述された運用支援プログラムを実行する。入力部102は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムの使用者が、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、ディスプレイ、LCD(液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムの使用者に対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部106は、スピーカ、プリンタなどである。なお、
図7は、一例であり、コンピュータシステムの構成は
図7の例に限定されない。
【0046】
ここで、本実施の形態の運用支援プログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、運用支援プログラムが記憶部103にインストールされる。そして、運用支援プログラムの実行時に、記憶部103から読み出された運用支援プログラムが記憶部103に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納されたプログラムに従って、本実施の形態の運用支援装置1としての処理を実行する。
【0047】
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、運用支援装置1における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
【0048】
図1に示した利用者予測部13および運転計画作成部14は、
図7に示した記憶部103に記憶された運用支援プログラムが
図7に示した制御部101により実行されることにより実現される。また、制御部101が運用支援プログラムを実行する際には、記憶部103も用いられる。
図1に示した人流情報受信部11、事前運転計画受信部12および運転計画送信部15は、
図7に示した通信部105により実現される。運用支援装置1は複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、運用支援装置1は、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0049】
例えば、本実施の形態の運用支援プログラムは、運用支援装置1に、移動体を配備する配備場所に関連する場所の第1の時間帯の人流を示す人流情報を用いて移動体の利用者数を予測するステップと、第1の時間帯より前の第2の時間帯に取得された情報を用いて作成された移動体の運用計画である事前運用計画と、利用者数の予測結果とを用いて移動体の運用計画を作成するステップと、を実行させる。
【0050】
車両配車装置2についても、運用支援装置1と同様に、コンピュータシステムにより実現される。
図1に示した事前運転計画作成部21は、
図7に示した記憶部103に記憶された運用支援プログラムが
図7に示した制御部101により実行されることにより実現される。また、制御部101が運用支援プログラムを実行する際には、記憶部103も用いられる。
図1に示した事前運転計画送信部22および運転計画受信部23は、
図7に示した通信部105により実現される。車両配車装置2は複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、車両配車装置2は、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0051】
また、運用支援装置1の機能を車両配車装置2が備えてもよい。車両配車装置2が運用支援装置1の機能を備える場合、
図1に示した事前運転計画送信部22、事前運転計画受信部12、運転計画送信部15および運転計画受信部23は不要であり、事前運転計画作成部21により作成された事前運転計画が運転計画作成部14へ入力される。また、運転計画作成部14により作成された確定運転計画が、車両配車装置2における図示しない配車を行う処理を実行する機能部へ入力される。
【0052】
以上述べたように、本実施の形態では、運用支援装置1は、移動体の事前運用計画の一例であるバスの事前運転計画と事前運転計画の作成のもとになった情報より後の時刻の情報である列車の乗客に関する情報を用いてバスの利用者数を予測し、予測結果を用いて事前運転計画を修正することでバスの運転計画を作成するようにした。このため、精度よく利用者数を推定することができ、実際の利用者に近い予測値に応じた配車を行うことができる。また、列車の乗客数に応じた利用者数を予測しバスの利用者数の予測結果を用いて運転計画を作成しているので、列車の到着した時間に基づいて列車の遅延時間を反映してバスの発車時刻を遅らせる方法に比べて、利用者の利便性を向上させることができる。
【0053】
<変形例1>
なお、上述した例では、人流情報として列車から受信した列車の乗客数に関する情報を用いて、バスの利用者数を予測したが、予約可能な列車または予約を要する列車が停車する駅の場合には、人流情報として列車の予約情報を用いて当該駅で降車予定の人数を求めてもよい。例えば、運用支援装置1の人流情報受信部11は、列車の予約を管理する管理システムから列車の予約内容を示す予約情報を受信し、利用者予測部13は、受信した予約情報を用いて、予測対象の時間帯に列車から当該駅で降車する人数を推定する。予約情報は、スマートフォンなどを含む携帯端末などの予約のための操作に基づき、収集してもよい。なお、この予約情報は、当日また前日など実際の列車の運行に近い日時に取得してデータを用いる。降車予定の人数に対するバスの利用者数と比率は、上述した列車の乗客数とバスの利用者数との対応と同様に、予め定めておく。利用者予測部13は、この比率と、予約情報を用いて求めた予測対象の時間帯に列車から当該駅で降車する人数とを用いて、バスの利用者数を予測する。なお、利用者予測部13は、列車の予約情報と列車の乗客数に関する情報とを組み合わせて用いてバスの利用者数を予測してもよい。例えば、利用者予測部13は、予約を要する列車#1と予約不可の列車#2との両方が予測対象の時間帯に駅に到着予定である場合、列車#1については、予約情報を用いて当該駅で降車する人数を求め、求めた人数に対応する係数を乗算し、列車#2については、列車の乗客数に関する情報を用いて列車の乗客数を求めて、求めた乗客数に対応する係数を乗算する。そして、利用者予測部13は、これら2つの値の和をバスの利用者数の予測値とする。
【0054】
<変形例2>
また、駅の利用者の数を示す情報を用いて、同様にバスの利用者数を予測してもよい。駅の利用者の数を示す情報は、例えば、改札を通過した人の数、駅のホームにおける監視カメラの画像などである。駅の利用者の数を示す情報についても、乗り場6に対応する駅に関する情報であってもよく、当該駅以外の情報であってもよい。例えば、
図3に例示したA駅の情報、B駅の情報、C駅の情報、など複数の駅の情報を含んでいてもよい。この場合、
図5で例示した係数情報と同様に、時間帯および駅ごとに、バスの利用者数と当該駅の利用者数との相関に基づいて、係数を定めておき、利用者予測部13は、この係数を用いて、バスの利用者数を推定することができる。
図8は、本実施の形態の駅ごとの係数を示す係数情報の一例を示す図である。利用者予測部13は、
図8に示した係数情報を用いて、駅ごとに対応する係数を用いて、バスの利用者数を算出する。また、例えば、C駅の情報を用いてバスの利用者数を予測すると、A駅の情報を用いてバスの利用者数を予測する場合より早く利用者数の多寡を検出することができるといったように駅によって当該駅の利用者数がバスの利用者数へ影響するまでの時間に差がある。したがって、利用者予測部13は、予測を行う時点と予測対象の時間帯との時間差に応じて、どの駅の情報を用いるかを決定してもよい。
【0055】
実施の形態2.
図9は、実施の形態2にかかる運用管理システムの構成例を示す図である。本実施の形態の運用管理システムは、移動体の一例であるバスの運用を支援する運用支援装置1aと、バスの配車を管理する車両配車装置2と、を備える。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0056】
本実施の形態では、運用支援装置1aが、空港から発車するバスの運用を支援する例を説明する。すなわち、本実施の形態の移動体の配備場所は、空港である。車両配車装置2は、配車の対象となるバスの発車する乗り場が駅前から空港に変更になるが、構成および動作は実施の形態1と同様である。ただし、事前運転計画の作成時に考慮される情報は、空港から発車するバスに適した過去の実績値等が用いられる。本実施の形態の事前運転計画の具体的な作成方法は、実施の形態1と異なっていてもよい。車両配車装置2は、実施の形態1と同様に、事前運転計画において想定した利用者数を事前シナリオとして事前運転計画に含めて送信する。なお、事前シナリオでは、航空機ごとの乗客数に関する最新情報は考慮されておらず、過去の平均的な航空機の乗客数などが想定されているとする。
【0057】
本実施の形態の運用支援装置1aは、航空管制システム7から、空港に関連する場所である航空機の人流を示す人流情報である航空機の乗客数に関する情報を受信し、航空機の乗客数に関する情報に基づいてバスの利用者数を予測し、予測結果を用いて事前運転計画を修正することでバスの運転計画を作成する。なお、実施の形態1と同様にバスは移動体の一例であり、移動体はバスに限定されない。また、バスの運転計画は、実施の形態1と同様に、移動体の事前運用計画の一例である。
【0058】
航空管制システム7は、乗降客情報記憶部71および航空機情報送信部72を備える。乗降客情報記憶部71は、航空機の乗客数に関する情報を記憶する。航空機の乗客数に関する情報は、例えば、搭乗者数などである。航空機情報送信部72は、乗降客情報記憶部71に格納されている航空機の乗客数に関する情報を運用支援装置1aへ送信する。なお、航空管制システム7は、飛行中または飛行直前の航空機に関して、航空機の乗客数に関する情報を送信する。なお、ここでは、運用支援装置1aが、航空管制システム7から航空機の乗客数に関する情報を受信する例を説明するが、運用支援装置1aは、航空会社のシステムから航空機の乗客数に関する情報を受信してもよい。
【0059】
本実施の形態の運用支援装置1aは、利用者予測部13および運転計画作成部14の代わりに利用者予測部13aおよび運転計画作成部14aを備える以外は実施の形態1の運用支援装置1と同様である。人流情報受信部11は、情報の送信元の装置が異なるが、実施の形態1と同様に、航空管制システム7から受信した情報を利用者予測部13aへ出力する。利用者予測部13aは、航空機の乗客数に関する情報を用いてバスの利用者数を予測する。
【0060】
図10は、本実施の形態の運用支援装置1aにおける運用支援処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS1は、実施の形態1と同様である。人流情報受信部11は、航空管制システム7から航空機の乗客数に関する情報を受信する(ステップS11)。人流情報受信部11は、航空機の乗客数に関する情報を利用者予測部13aへ出力する。
【0061】
次に、利用者予測部13aは、航空機の乗客数に関する情報を用いてバスの利用者数を予測する(ステップS12)。詳細には、利用者予測部13aは、航空機の乗客数に関する情報を用いて、予測対象の時間帯に空港に到着する航空機の乗客数を求める。航空機の乗客数の算出方法は、実施の形態1と同様に航空機の乗客数に関する情報と空港に到着する航空機の乗客数との対応を示す対応情報を保持しておき、この対応情報を用いる方法でもよいが、乗客数に関する情報が搭乗者名簿などである場合、基本的には搭乗者名簿と乗客の数はほぼ同一であるため搭乗者名簿などに含まれる人数をそのまま航空機の乗客数として用いてもよい。利用者予測部13aは、算出した航空機の乗客数を用いてバスの利用者数を予測する。バスの利用者数の予測方法は、実施の形態1と同様に、航空機の乗客数に対するバスの利用者数の比を過去の実績から求めておき、この比を用いてバスの利用者数の推定値を算出する。予測対象の時間帯に複数の航空機の到着が予定される場合には、実施の形態1と同様に、各航空機に対応するバスの利用者数の総和を求め、バスの利用者数の予測値とする。ステップS12の後のステップS4は、実施の形態1と同様であり、運転計画作成部14aは実施の形態1と同様に運転計画を作成する。
【0062】
本実施の形態の運用支援装置1aは、実施の形態1と同様にコンピュータシステムにより実現される。本実施の形態の運用支援装置1aは、実施の形態1の運用支援装置1と同様に、複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、クラウドシステムにより実現されてもよい。また、車両配車装置2が運用支援装置1aの機能を備えてもよい。
【0063】
本実施の形態の航空機の乗客数に関する情報も、バスの事前運転計画の作成のもとになった情報より後の時刻の情報の一例である。本実施の形態の運用支援装置1aは、実施の形態1と同様に、移動体の事前運用計画の一例であるバスの事前運転計画と事前運転計画の作成のもとになった情報より後の時刻の情報である航空機の乗客数に関する情報を用いてバスの利用者数を予測し、予測結果を用いて事前運転計画を修正することでバスの運転計画を作成するようにした。このため、精度よく利用者数を推定することができ、実際の利用者に近い予測値に応じた配車を行うことができる。
【0064】
実施の形態3.
図11は、実施の形態3にかかる運用管理システムの構成例を示す図である。本実施の形態の運用管理システムは、移動体の一例であるバスの運用を支援する運用支援装置1bと、バスの配車を管理する車両配車装置2と、を備える。実施の形態2と同様の機能を有する構成要素は実施の形態2と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態2と異なる点を主に説明する。
【0065】
本実施の形態では、実施の形態2と同様に、空港から発車するバスの運用を支援する例を説明する。本実施の形態の車両配車装置2は、実施の形態2の車両配車装置2と同様である。航空管制システム7は、乗降客情報記憶部71の代わりに駐機情報記憶部73を備える以外は実施の形態2の航空管制システム7と同様である。駐機情報記憶部73は、航空機の駐機に関する情報を記憶する。航空機情報送信部72は、航空機情報として、駐機情報記憶部73に記憶されている航空機の駐機に関する情報を運用支援装置1bへ送信する。航空機の駐機に関する情報は、航空機が空港に到着した際に使用する駐機場所を示す情報であり、例えば、エプロン(スポット)を示す情報である。航空機の駐機に関する情報は、航空機ごとの空港への到着予想時刻と駐機場所すなわち航空機が使用するエプロンを示す情報とを含む。なお、実施の形態1と同様にバスは移動体の一例であり、移動体はバスに限定されない。また、バスの運転計画は、実施の形態1と同様に、移動体の事前運用計画の一例である。
【0066】
図12は、本実施の形態の運用支援装置1bの支援対象のバスの乗り場の一例を示す模式図である。
図12に示した例では、空港には第1ターミナルと第2ターミナルの2つのターミナルがあり、エプロン61-1~61-5の5つのエプロンが設けられている。また、乗り場62-1~62-3の3つのバスの乗り場が設けられている。例えば、エプロン61-5に駐機する予定の航空機がある場合には、乗り場62-1~62-3のうちエプロン61-5に最も近い乗り場62-3に、この航空機の到着後にバスが配車されることが望ましい。本実施の形態では、運用支援装置1bは、航空機の駐機に関する情報を用いて、バスの配車の時刻および乗り場62-1~62-3すなわち配車の場所を決定する。また、
図12に示した例では、バスの乗り場が複数設けられているが、空港によってはバスの乗り場が1つの場合もある。したがって、運用支援装置1bは、航空機の駐機に関する情報を用いて、駐機場所とバス乗り場の間の距離に応じた乗客の移動時間を考慮してバスの配車の時刻を決定すればよく、バスの配車の場所の決定は必須ではない。なお、
図12は一例であり、ターミナルの数、バスの乗り場の数は
図12に示した例に限定されない。例えば、各ターミナルに1つずつバスの乗り場が設けられてもよい。
【0067】
本実施の形態の運用支援装置1bは、利用者予測部13および運転計画作成部14の代わりに、利用者予測部13bおよび運転計画作成部14bを備え、人流情報受信部11が受信した情報を利用者予測部13bに加えて運転計画作成部14bにも出力する点が実施の形態2の運用支援装置1aと異なるが、これら以外は、運用支援装置1aと同様である。
【0068】
本実施の形態の運用支援装置1bは、車両配車装置2によって作成された事前運転計画を用いずに、航空機の駐機に関する情報を用いて、バスの配車の時刻、またはバスの配車の時刻および配車の場所を決定してもよい。
【0069】
図13は、事前運転計画を用いない場合の本実施の形態の運用支援装置1bの運用支援処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13に示すように、人流情報受信部11は、航空管制システム7から、航空機の駐機に関する情報を受信する(ステップS21)。人流情報受信部11は、受信した航空機の駐機に関する情報を運転計画作成部14bへ出力する。
【0070】
運転計画作成部14bは、航空機の駐機に関する情報を用いてバスの発車時刻および配車場所を含む運転計画を作成する(ステップS22)。運転計画作成部14bは、作成した運転計画を確定運転計画として運転計画送信部15へ出力する。運転計画送信部15の動作は実施の形態1と同様である。
【0071】
運転計画作成部14bは、例えば、航空機の駐機に関する情報に含まれる着陸予定時刻である到着予定時刻を用いて、航空機から降りた乗客がバスの乗り場へ移動する時間を考慮してバスの発車時刻を決定する。すなわち、運転計画作成部14bは、空港のバスの乗り場に配車されるバスの発車時刻を含む運用計画を作成する。バスを配車する場所は移動体を配備する場所の一例であり、バスの発車時刻は、移動体を配備する時刻の一例である。さらに、バスの乗り場が複数存在する場合には、航空機の駐機に関する情報に含まれる駐機場所を示す情報を用いて、バスを配車する乗り場を決定する。例えば、
図12に示した例では、エプロン61-1およびエプロン61-2のうち少なくとも1つに予測対象の時間帯に駐機する航空機がある場合には、上記予測対象の時間帯に乗り場62-1へのバスを配車する。このとき、航空機が到着するエプロンから乗り場62-1への移動時間を考慮してバスの発車時刻が決定される。また、エプロン61-3およびエプロン61-4のうち少なくとも1つに駐機する航空機がある場合には、乗り場62-2に、上記予測対象の時間帯に乗り場62-2への移動も考慮してバスを配車する。
【0072】
以上のように、本実施の形態の運用支援装置1bは、事前運転計画を用いずに運転計画を作成することができる。また、運用支援装置1bは、以下に述べるように、航空機の駐機に関する情報を用いて事前運転計画を修正することで、運転計画を作成してもよい。
【0073】
図14は、事前運転計画を用いる場合の本実施の形態の運用支援装置1bの運用支援処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS1は、実施の形態1および実施の形態2と同様である。ステップS21は、
図13に示したステップS21と同様である。ただし、人流情報受信部11は、受信した航空機の駐機に関する情報を利用者予測部13bおよび運転計画作成部14bへ出力する。
【0074】
利用者予測部13bは、人流情報の一例である航空機の駐機に関する情報からバスの利用者数を推定する(ステップS23)。例えば、過去の実績から1機あたりのバスの利用者数をあらかじめ定めておき、予測対象の時間帯に空港に到着する航空機の数に上記の1機あたりのバスの利用者数を乗算することで利用者数を予測する。また、
図12に示したように、空港に複数のバスの乗り場が設けられている場合には、利用者予測部13bは、航空機の駐機に関する情報に基づいて乗り場ごとにバスの利用者数を予測する。
【0075】
例えば、
図12に示した例において、予測対象の時間帯にエプロン61-1およびエプロン61-2のうち少なくとも1つに駐機する航空機がある場合には、利用者予測部13bは、当該航空機の乗客は乗り場62-1を利用する前提で乗り場62-1の利用者数を予測する。同様に、利用者予測部13bは、エプロン61-3およびエプロン61-4のうち少なくとも1つに駐機する航空機がある場合には、当該航空機の乗客は乗り場62-2を利用する前提で乗り場62-2の利用者数を予測し、エプロン61-5に駐機する航空機がある場合には、当該航空機の乗客は乗り場62-3を利用する前提で乗り場62-3の利用者数を予測する。利用者予測部13bは、利用者数の予測値を運転計画作成部14bへ出力する。また、乗り場が複数ある場合には、利用者予測部13bは、乗り場ごとの利用者数の予測値を運転計画作成部14bへ出力する。
【0076】
ステップS23の後のステップS4は、実施の形態1と同様であり、運転計画作成部14bは実施の形態1と同様に運転計画を作成する。なお、このとき、乗り場が複数存在する場合には、乗り場ごとの利用者の予測値に基づいて乗り場ごとの運転計画を作成する。
【0077】
なお、
図11では、
図13に示した処理と
図14に示した処理との両方を行うことが可能な構成を示している。運用支援装置1bは、
図13に示した処理と
図14に示した処理とを状況に応じて使い分けることができる。または、運用支援装置1bは、
図13に示した処理と
図14に示した処理とのうちいずれか一方だけを実施するようにしてもよい。運用支援装置1bは、
図13に示した処理と
図14に示した処理とのうち
図13に示した処理のみを行う場合には、事前運転計画受信部12および利用者予測部13bを備えていなくてよい。また、この場合、車両配車装置2は事前運転計画作成部21および事前運転計画送信部22を備えていなくてよい。
【0078】
本実施の形態の運用支援装置1bは、実施の形態1と同様にコンピュータシステムにより実現される。本実施の形態の運用支援装置1bは、実施の形態1の運用支援装置1と同様に、複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、クラウドシステムにより実現されてもよい。また、車両配車装置2が運用支援装置1bの機能を備えてもよい。
【0079】
本実施の形態の航空機の駐機に関する情報も、バスの事前運転計画の作成のもとになった情報より後の時刻の情報の一例である。本実施の形態の運用支援装置1bは、実施の形態1と同様に、移動体の事前運用計画の一例であるバスの事前運転計画と事前運転計画の作成のもとになった情報より後の時刻の情報である航空機の駐機に関する情報を用いてバスの利用者数を予測し、予測結果を用いて事前運転計画を修正することでバスの運転計画を作成するようにした。このため、精度よく利用者数を推定することができ、実際の利用者に近い予測値に応じた配車を行うことができる。
【0080】
また、事前運転計画を用いない場合でも、航空機の駐機に関する情報を用いてバスの配車を行うことで、航空機の到着時刻に応じて効率的にバスの配車を行うことができる。また、バスを配車する乗り場を航空機の駐機に関する情報を用いて決定することで、複数の乗り場が設けられる空港において、効率的に配車を行うことができる。
【0081】
実施の形態4.
図15は、実施の形態4にかかる運用管理システムの構成例を示す図である。本実施の形態の運用管理システムは、移動体の一例であるバスの運用を支援する運用支援装置1cと、バスの配車を管理する車両配車装置2と、を備える。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0082】
本実施の形態では、運用支援装置1cが、ビルの前など、ビルの周辺から発車するバスの運用を支援する例を説明する。すなわち、本実施の形態では、移動体の配備場所はビルの前である。ここで、ビルの前とはビルの利用者が利用する範囲内であればよく、ビルの正面方向に限らずビルの横、裏などであってもよくある程度ビルから離れていてもよい。以下では、施設の一例としてビルを例に挙げて説明するが、工場、事務所などの建物または敷地内の在場人数を管理している施設であればビル以外であってもよい。車両配車装置2は、配車の対象となるバスの発車する乗り場が駅前からビルの周辺に変更になるが、構成および動作は実施の形態1と同様である。ただし、事前運転計画の作成時に考慮される情報は、ビルの周辺から発車するバスに適した過去の実績値等が用いられる。本実施の形態の事前運転計画の具体的な作成方法は、実施の形態1と異なっていてもよい。車両配車装置2は、実施の形態1と同様に、事前運転計画において想定した利用者数を事前シナリオとして事前運転計画に含めて送信する。
【0083】
本実施の形態の運用支援装置1cは、施設管理システム8から人流情報の例であるビル内在場人数に関する情報を受信し、ビル内在場人数に関する情報に基づいてバスの利用者数を予測し、予測結果を用いて事前運転計画を修正することでバスの運転計画を作成する。なお、実施の形態1と同様にバスは移動体の一例であり、移動体はバスに限定されない。また、バスの運転計画は、実施の形態1と同様に、移動体の事前運用計画の一例である。
【0084】
施設管理システム8は、在場人数情報記憶部81および人流情報送信部82を備える。在場人数情報記憶部81は、ビル内在場人数に関する情報を記憶する。人流情報送信部82は、ビル内在場人数に関する情報を運用支援装置1cへ送信する。施設管理システム8は、例えば、ビルのセキュリティ管理またはビルに入居するテナントの出退勤を管理するビル管理システムであり、セキュリティ管理または出退勤の管理のためにビル内在場人数に関する情報を管理している。施設管理システム8がセキュリティ管理を行うシステムである場合、ビル内在場人数に関する情報は、ゲートまたはドアなど、ビル内への入館を管理するシステムにより取得された情報すなわちビルへの入退出の人数の検出結果であってもよいし、監視カメラの映像であってもよい。施設管理システム8が、出退勤の管理を行う装置である場合は、施設管理システム8は電子的なタイムカードなどの出退勤の情報を用いてビル内在場人数に関する情報を算出する。
【0085】
また、施設管理システム8は、ビル内のエレベータを管理するエレベータ管理装置であってもよい。施設管理システム8がエレベータ管理システムである場合、施設管理システム8は、エレベータの利用者数を示す情報を用いてビル内在場人数を推定する。エレベータの利用者数とビル内在場人数との比率は、例えば過去の実績に基づいてあらかじめ定めておき、施設管理システム8は、この比率とエレベータの利用者数とを用いてビル内在場人数を推定し、推定したビル内在場人数が在場人数情報記憶部81に記憶される。なお、エレベータの利用者数を示す情報は、エレベータ内の監視カメラにより取得された画像であってもよいし、エレベータの重量であってもよい。
【0086】
本実施の形態の運用支援装置1cは、利用者予測部13および運転計画作成部14の代わりに、利用者予測部13cおよび運転計画作成部14cを備える以外は、実施の形態1の運用支援装置1と同様である。人流情報受信部11は、情報の送信元の装置が異なるが、実施の形態1と同様に、施設管理システム8から受信した情報を利用者予測部13cへ出力する。利用者予測部13cは、ビル内在場人数に関する情報を用いてバスの利用者数を予測する。
【0087】
図16は、本実施の形態の運用支援装置1cにおける運用支援処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS1は、実施の形態1と同様である。人流情報受信部11は、施設管理システム8からビル内在場人数に関する情報を受信する(ステップS31)。人流情報受信部11は、ビル内在場人数に関する情報を利用者予測部13cへ出力する。
【0088】
次に、利用者予測部13cは、ビル内在場人数に関する情報を用いてバスの利用者数を予測する(ステップS32)。詳細には、利用者予測部13cは、ビル内在場人数に関する情報を用いてビル内在場人数を算出する。利用者予測部13cは、ビル内在場人数に関する情報がビル内の在場人数そのものを示す場合には、ビル内在場人数に関する情報を用いてそのままビル内在場人数を求める。そして、例えばビル内在場人数とバスの利用者数との比率を、例えば過去の実績に基づいて定めておき、利用者予測部13cは、この比率とビル内在場人数に関する情報とを用いて、バスの利用者数を予測する。また、ビル内在場人数に関する情報が監視カメラの映像などである場合には、利用者予測部13cは、監視カメラの映像から人を検出し検出した人の数を計数する。そして、監視カメラにより撮像される人の数とバスの利用者数との比率を、過去の実績値などから定めておき、利用者予測部13cは、この比率と画像から検出した人を計数した結果とを用いて、バスの利用者数を予測する。ステップS32の後のステップS4は、実施の形態1と同様であり、運転計画作成部14cは実施の形態1と同様に運転計画を作成する。
【0089】
本実施の形態の運用支援装置1cは、実施の形態1と同様にコンピュータシステムにより実現される。本実施の形態の運用支援装置1cは、実施の形態1の運用支援装置1と同様に、複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、クラウドシステムにより実現されてもよい。また、車両配車装置2が運用支援装置1cの機能を備えてもよい。
【0090】
また、上述した例では、施設管理システム8がエレベータ管理システムである場合、施設管理システム8がエレベータの利用者数を表す情報を用いてビル内在場人数を推定して、運用支援装置1cに送信したが、エレベータ管理システムがビル内の在場人数に関する情報としてエレベータの利用者数を表す情報を運用支援装置1cへ送信してもよい。この場合、運用支援装置1cの利用者予測部13cは、エレベータの利用者数を表す情報を用いてビル内在場人数を算出する。エレベータの利用者数を表す情報が画像である場合には、運用支援装置1cの利用者予測部13cは、上述した監視カメラの画像を用いる場合と同様に、画像から人を検出し、検出した人を計数し、計数結果とあらかじめ定められた比率とを用いてバスの利用者数を算出する。
【0091】
本実施の形態のビル内在場人数およびエレベータの利用者数を表す情報も、バスの事前運転計画の作成のもとになった情報より後の時刻の情報の一例である。本実施の形態の運用支援装置1cは、実施の形態1と同様に、移動体の事前運用計画の一例であるバスの事前運転計画と事前運転計画の作成のもとになった情報より後の時刻の情報であるビル内在場人数またはエレベータの利用者数を表す情報を用いてバスの利用者数を予測し、予測結果を用いて事前運転計画を修正することでバスの運転計画を作成するようにした。このため、精度よく利用者数を推定することができ、実際の利用者に近い予測値に応じた配車を行うことができる。
【0092】
実施の形態5.
図17は、実施の形態5にかかる運用管理システムの構成例を示す図である。本実施の形態の運用管理システムは、移動体の一例であるバスの運用を支援する運用支援装置1dと、バスの配車を管理する車両配車装置2と、を備える。実施の形態4と同様の機能を有する構成要素は実施の形態4と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態4と異なる点を主に説明する。
【0093】
本実施の形態では、運用支援装置1dが、駐車場の周辺から発車するバスの運用を支援する例を説明する。駐車場は、例えば、駅、公共施設、空港、事業所、商業施設などの施設に併設されるまたは施設の周囲に設けられる駐車場である。具体的には、例えば、大規模なショッピングモールやMICE(Meeting,Incentive,Conference,Event)やIR(Integrated Resort)などの施設周辺に設けられる1つ以上の駐車場と施設の間をバスが運行するような場合が考えられる。本実施の形態では、移動体の配備場所は駐車場の前であり、駐車場の前とは、駐車場に対応する施設の前も含む。また、駐車場の前とは駐車場の利用者が利用する範囲内であればよく、施設または駐車場の正面方向に限らず施設または駐車場の横、裏などであってもよくある程度駐車場から離れていてもよい。また、移動体の配備場所は駐車場内であってもよい。車両配車装置2は、配車の対象となるバスの発車する乗り場が駅前から駐車場の周辺に変更になるが、構成および動作は実施の形態1と同様である。ただし、事前運転計画の作成時に考慮される情報は、駐車場の周辺から発車するバスに適した過去の実績値等が用いられる。本実施の形態の事前運転計画の具体的な作成方法は、実施の形態1と異なっていてもよい。車両配車装置2は、実施の形態1と同様に、事前運転計画において想定した利用者数を事前シナリオとして事前運転計画に含めて送信する。
【0094】
本実施の形態の運用支援装置1dは、駐車場管理システム9から人流情報の例である駐車台数に関する情報を受信し、駐車台数に関する情報に基づいてバスの利用者数を予測し、予測結果を用いて事前運転計画を修正することでバスの運転計画を作成する。なお、実施の形態1と同様にバスは移動体の一例であり、移動体はバスに限定されない。また、バスの運転計画は、実施の形態1と同様に、移動体の事前運用計画の一例である。
【0095】
駐車場管理システム9は、駐車台数情報記憶部91および人流情報送信部92を備える。駐車台数情報記憶部91は、駐車台数に関する情報を記憶する。駐車台数に関する情報は駐車場に駐車している車両の台数に関する情報である。駐車台数に関する情報は、例えば、駐車場が有料駐車場であれば、駐車料金の課金のために管理している各車両の入出庫時刻から算出された駐車場に駐車している車両の台数である。人流情報送信部92は、駐車台数に関する情報を運用支援装置1dへ送信する。また、駐車場管理システム9は、駐車場の監視のために設けられたカメラから駐車場を撮像した画像を用いて入出庫した車両の台数を用いてもよい。また、駐車場管理システム9は、駐車台数に関する情報としてカメラにより取得された映像を運用支援装置1dへ送信してもよい。また、駐車台数に関する情報には、普通乗用車、軽自動車、大型車両などといった車両の車種が含まれていてもよい。
【0096】
本実施の形態の運用支援装置1dは、利用者予測部13cの代わりに、利用者予測部13dを備える以外は、実施の形態4の運用支援装置1cと同様である。人流情報受信部11は、情報の送信元の装置が異なるが、実施の形態1と同様に、駐車場管理システム9から受信した情報を利用者予測部13dへ出力する。利用者予測部13dは、駐車台数に関する情報を用いてバスの利用者数を予測する。
【0097】
図18は、本実施の形態の運用支援装置1dにおける運用支援処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS1は、実施の形態1と同様である。人流情報受信部11は、駐車場管理システム9から駐車台数に関する情報を受信する(ステップS41)。人流情報受信部11は、駐車台数に関する情報を利用者予測部13dへ出力する。
【0098】
次に、利用者予測部13dは、駐車台数に関する情報を用いてバスの利用者数を予測する(ステップS42)。詳細には、駐車場における駐車台数とバスの利用者数との比率を定めておき、利用者予測部13dは、この比率と駐車台数に関する情報とを用いて、バスの利用者数を予測する。駐車台数に関する情報がカメラの映像などである場合には、利用者予測部13dは、カメラの映像から人を検出し検出した人の数を計数する。そして、カメラにより撮像される駐車台数とバスの利用者数との比率を、過去の実績値などから定めておき、利用者予測部13dは、この比率と画像から検出した人を計数した結果とを用いて、バスの利用者数を予測する。ステップS42の後のステップS4は、実施の形態1と同様であり、運転計画作成部14cは実施の形態1と同様に運転計画を作成する。
【0099】
本実施の形態の運用支援装置1dは、実施の形態1と同様にコンピュータシステムにより実現される。本実施の形態の運用支援装置1dは、実施の形態1の運用支援装置1と同様に、複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、クラウドシステムにより実現されてもよい。また、車両配車装置2が運用支援装置1dの機能を備えてもよい。
【0100】
本実施の形態の駐車台数に関する情報も、バスの事前運転計画の作成のもとになった情報より後の時刻の情報の一例である。本実施の形態の運用支援装置1dは、実施の形態1と同様に、移動体の事前運用計画の一例であるバスの事前運転計画と事前運転計画の作成のもとになった情報より後の時刻の情報である駐車台数に関する情報を用いてバスの利用者数を予測し、予測結果を用いて事前運転計画を修正することでバスの運転計画を作成するようにした。このため、精度よく利用者数を推定することができ、実際の利用者に近い予測値に応じた配車を行うことができる。
【0101】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0102】
1,1a,1b,1c,1d 運用支援装置、2 車両配車装置、3 列車統合管理装置、4 機器、5 地上装置、7 航空管制システム、8 施設管理システム、9 駐車場管理システム、11 人流情報受信部、12 事前運転計画受信部、13,13a,13b,13c,13d 利用者予測部、14,14a,14b,14c 運転計画作成部、15 運転計画送信部、21 事前運転計画作成部、22 事前運転計画送信部、23 運転計画受信部、31 状態情報送信部、32 状態情報取得部。