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特許7592491内側及び外側固定子を有する回転機械の制御及び駆動
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】内側及び外側固定子を有する回転機械の制御及び駆動
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/02 20160101AFI20241125BHJP
   H02K 16/04 20060101ALI20241125BHJP
   H02P 25/22 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
H02P25/02
H02K16/04
H02P25/22
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020546394
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2019055497
(87)【国際公開番号】W WO2019174981
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-09-18
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】18161190.6
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ベニアカル、ミノス
(72)【発明者】
【氏名】ペレッティ、ルカ
【合議体】
【審判長】北村 英隆
【審判官】柿崎 拓
【審判官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2014/109218(JP,A1)
【文献】再公表特許第2005/112230(JP,A1)
【文献】特開平7-131961(JP,A)
【文献】特開2002-95300(JP,A)
【文献】特開2007-195387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P25/02
H02P25/22
H02K16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械の連続動作のための方法であって、前記方法は、内側固定子及び外側固定子を有する回転機械において実行され、
前記回転機械全体についての回転機械基準動作値を設定することと、
前記内側固定子についての及び前記外側固定子についての動作パラメータを取得することと、ここにおいて、前記動作パラメータは、前記内側固定子と前記外側固定子との間の磁気クロスカップリングを含み、
前記回転機械全体についての前記設定された回転機械基準動作値及び前記取得された動作パラメータに基づいて、前記内側固定子についての内側固定子基準動作値及び前記外側固定子についての外側固定子基準動作値を決定することと、ここにおいて、前記動作パラメータは電流成分であり、測定及び/又はテーブルルックアップによって取得され、前記決定することは前記内側及び外側固定子の銅損の合計を最小とすることに基づく、
前記内側固定子についての前記決定された内側固定子基準動作値に及び前記外側固定子についての前記決定された外側固定子基準動作値に基づいて前記回転機械を駆動することと、ここにおいて、前記内側固定子についての前記決定された内側固定子基準動作値は、前記外側固定子についての前記決定された外側固定子基準動作値とは異なる、
を備える、方法。
【請求項2】
前記内側固定子は、前記外側固定子についての電源ユニットから独立して、電源ユニットによって駆動される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転機械、内側固定子及び外側固定子基準動作値は、パワー、トルク及び速度のうちの1つについてのものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記内側固定子及び前記外側固定子についての前記動作パラメータは、回転位置、インダクタンス、鎖交磁束、磁気結合、電流位置、抵抗、損失変動、及び温度依存性のうちの1つ又は複数をさらに備える、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
内側固定子及び外側固定子を有する回転機械のための制御及び駆動システムであって、
前記回転機械全体についての回転機械基準動作値を設定し、前記回転機械の内側固定子についての及び外側固定子についての動作パラメータを取得し、ここにおいて、前記動作パラメータは、前記内側固定子と前記外側固定子との間の磁気クロスカップリングを含み、前記回転機械全体についての前記設定された回転機械基準動作値及び前記取得された動作パラメータに基づいて、前記内側固定子についての内側固定子基準動作値及び前記外側固定子についての外側固定子基準動作値を決定するように構成された、回転機械のためのコントローラ装置と、ここにおいて、前記動作パラメータは電流成分であり、測定及び/又はテーブルルックアップによって取得され、前記決定することは前記内側固定子及び前記外側固定子の銅損の合計を最小とすることに基づく、
前記内側固定子についての前記決定された内側固定子基準動作値に及び前記外側固定子についての前記決定された外側固定子基準動作値に基づいて前記回転機械を駆動するように構成された電源装置と、ここにおいて、前記内側固定子についての前記決定された内側固定子基準動作値は、前記外側固定子についての前記決定された外側固定子基準動作値とは異なる、
を備える、制御及び駆動システム。
【請求項6】
前記電源装置は、前記内側固定子についての第1の電源ユニットと、前記外側固定子についての別個の第2の電源ユニットとを備え、前記内側固定子は、前記外側固定子から独立して駆動される、請求項に記載の制御及び駆動システム。
【請求項7】
前記コントローラ装置は、前記内側固定子についての第1の制御ユニットと、前記外側固定子についての別個の第2の制御ユニットとを備え、前記内側固定子は、前記外側固定子とは別個に駆動される、請求項又はに記載の制御及び駆動システム。
【請求項8】
前記回転機械、内側固定子及び外側固定子基準動作値は、パワー、トルク及び速度のうちの1つについてのものである、請求項のうちのいずれか一項に記載の制御及び駆動システム。
【請求項9】
前記内側固定子及び前記外側固定子についての前記動作パラメータは、回転位置、インダクタンス、鎖交磁束、磁気結合、電流位置、抵抗、損失変動、及び温度依存性のうちの1つ又は複数をさらに備える、請求項のうちのいずれか一項に記載の制御及び駆動システム。
【請求項10】
内側固定子及び外側固定子を有する回転機械の連続動作のためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、コントローラ上で実行されると、前記コントローラに、
回転機械全体についての回転機械基準動作値を設定することと、
前記回転機械の内側固定子についての及び外側固定子についての動作パラメータを取得することと、ここにおいて、前記動作パラメータは、前記内側固定子と前記外側固定子との間の磁気クロスカップリングを含み、
前記回転機械全体についての前記設定された回転機械基準動作値及び前記取得された動作パラメータに基づいて、前記内側固定子についての内側固定子基準動作値及び前記外側固定子についての外側固定子基準動作値を決定することと、ここにおいて、前記動作パラメータは電流成分であり、測定及び/又はテーブルルックアップによって取得され、前記決定することは前記内側固定子及び前記外側固定子の銅損の合計を最小とすることに基づく、
前記内側固定子についての前記決定された内側固定子基準動作値に及び前記外側固定子についての前記決定された外側固定子基準動作値に基づいて前記回転機械を駆動することと、ここにおいて、前記内側固定子についての前記決定された内側固定子基準動作値は、前記外側固定子についての前記決定された外側固定子基準動作値とは異なる、
を行わせるコンピュータプログラムコードを備える、コンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内側固定子及び外側固定子を有する回転機械の連続動作のための方法並びに制御及び駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電機及び電気推進/牽引機械についての1つの主要な課題は、空間及び重量を節約するために、パワー及びトルク密度を増加させることである。今日使用される典型的な電気機械は、単一の回転子及び単一の固定子を有する。回転子は、単一の外側固定子に封入されてその内側で回転するか、又はインホイールモータなどの単一の内側固定子を封入してその外側で回転することができる。
【0003】
二重固定子機械の概念は、互いの内部に配置された(1つではなく)2つの半径方向磁束固定子コア(radial flux stator cores)、すなわち外側及び内側のもの、を有する電気機械に基づく。これらの2つの固定子の間では、ダブルエアギャップで生成されるトルクにより回転子が回転し、これにより、標準的なシングルエアギャップ機械と比較して、トルク及びパワー密度が大幅に増加する。二重固定子機械は、同期又は非同期であり得、これは、回転子が、場合によっては、永久磁石、バー、励磁巻線(1つ又は複数)、及び/又は磁気異方性(例えば、ある種の磁気抵抗回転子)を備えることができることを暗示する。文献で見られる二重固定子機械の大部分は、永久磁石機械である。
【0004】
二重固定子の概念は、主に自動車及び風力発電産業における様々な用途について既に研究されている。しかしながら、そのような機械の駆動システム及び/又は制御はあまり考慮されていない。2つの異なる構成が図1及び図2に示されている。図1では、単一のコンバータが、2つの固定子が直列接続された2固定子機械を駆動及び制御する。コンバータは、2固定子機械のための基準パワー又は基準トルクを受け取り、2固定子機械のための電源ユニットへの基準電圧を生成する制御ユニットを備える。図2では、2つの別個のコンバータが、それぞれ外側固定子及び内側固定子を駆動及び制御する。通信リンクは、外側固定子コンバータから内側固定子コンバータに至る。外側固定子コンバータは、外側固定子についての基準パワー又はトルクを受け取り、外側固定子についての電源ユニットのための基準電圧を生成する制御ユニットを備える。内側固定子コンバータは、内側固定子についての基準パワー又はトルクを受け取り、内側固定子についての電源ユニットのための基準電圧を生成する制御ユニットを備える。
【0005】
米国特許出願公開第2004/0021437号明細書は、電気モータ、発電機、及び他の電気機械のための適応アーキテクチャを開示している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、外側固定子及び内側固定子を有する電気機械を制御する際に利用可能な複数の自由度を可能にすることである。
【0007】
第1の態様によれば、回転機械の連続動作のための方法が提示される。この方法は、内側固定子及び外側固定子を有する回転機械において実行される。方法は、回転機械全体についての回転機械基準動作値を設定することと、内側固定子についての及び外側固定子についての動作パラメータを取得することと、ここにおいて、動作パラメータは、内側固定子と外側固定子との間の磁気クロスカップリングを含み、回転機械全体についての設定された回転機械基準動作値及び取得された動作パラメータに基づいて、内側固定子についての内側固定子基準動作値及び外側固定子についての外側固定子基準動作値を決定することと、内側固定子についての決定された内側固定子基準動作値に及び外側固定子についての決定された外側固定子基準動作値に基づいて、回転機械を駆動することと、ここにおいて、内側固定子についての決定された内側固定子基準動作値は、外側固定子についての決定された外側固定子基準動作値とは異なる、を備える。
【0008】
内側固定子は、外側固定子用の電源ユニットとは別個に、電源ユニットによって駆動されてもよい。
【0009】
回転機械、内側固定子及び外側固定子基準動作値は、パワー、トルク及び速度のうちの1つであってもよい。
【0010】
内側固定子及び外側固定子についての動作パラメータは、回転位置、インダクタンス、鎖交磁束、磁気結合、電流成分、電流位置、抵抗、損失変動、及び温度依存性のうちの1つ又は複数をさらに備え得る。
【0011】
動作パラメータは、測定及び/又はテーブルルックアップによって取得され得る。
【0012】
内側固定子についての内側固定子基準動作値は、直流のための及び無効電流のための個々に設定された値を備えることができ、外側固定子についての外側固定子基準動作値は、直流及び無効電流のための個々に設定された値を備えることができる。
【0013】
第2の態様によれば、内側固定子及び外側固定子を有する回転機械のための制御及び駆動システムが提示される。制御及び駆動システムは、回転機械全体についての回転機械基準動作値を設定することと、回転機械の内側固定子についての及び外側固定子についての動作パラメータを取得することと、ここにおいて、動作パラメータは、内側固定子と外側固定子との間のクロスカップリングを含み、回転機械全体についての設定された回転機械基準動作値及び取得された動作パラメータに基づいて、内側固定子についての内側固定子基準動作値及び外側固定子についての外側固定子基準動作値を決定することと、を行うように構成された回転機械のためのコントローラ装置と、内側固定子についての決定された内側固定子基準動作値に及び外側固定子についての決定された外側固定子基準動作値に基づいて回転機械を駆動するように構成された電源装置と、ここにおいて、内側固定子についての決定された内側固定子基準動作値は、外側固定子についての決定された外側固定子基準動作値とは異なる、を備える。
【0014】
電源装置は、内側固定子用の第1の電源ユニットと、外側固定子用の別個の第2の電源ユニットとを備えることができ、内側固定子は、外側固定子とは別個に駆動される。
【0015】
コントローラ装置は、内側固定子についての第1の制御ユニットと、外側固定子についての別個の第2の制御ユニットとを備えることができ、内側固定子は、外側固定子とは別個に駆動される。
【0016】
回転機械、内側固定子及び外側固定子基準動作値は、パワー、トルク及び速度のうちの1つであってもよい。
【0017】
内側固定子及び外側固定子についての動作パラメータは、回転位置、インダクタンス、鎖交磁束、磁気結合、電流成分、電流位置、抵抗、損失変動、及び温度依存性のうちの1つ又は複数をさらに備え得る。
【0018】
動作パラメータは、測定及び/又はテーブルルックアップによって取得されることができる。
【0019】
内側固定子についての内側固定子基準動作値は、直流のための及び無効電流のための個々に設定された値を備えることができ、外側固定子についての外側固定子基準動作値は、直流及び無効電流のための個々に設定された値を備えることができる。
【0020】
第3の態様によれば、内側固定子及び外側固定子を有する回転機械の連続動作のためのコンピュータプログラムが提示される。コンピュータプログラムは、コントローラ上で実行されると、コントローラに、回転機械全体についての回転機械基準動作値を設定することと、回転機械の内側固定子についての及び外側固定子についての動作パラメータを取得することと、ここにおいて、動作パラメータは、内側固定子と外側固定子との間のクロスカップリングを含み、回転機械全体についての設定された回転機械基準動作値及び取得された動作パラメータに基づいて、内側固定子についての内側固定子基準動作値及び外側固定子についての外側固定子基準動作値を決定することと、内側固定子についての内側固定子決定基準動作値に及び外側固定子についての外側固定子決定基準動作値に基づいて回転機械を駆動することと、ここにおいて、内側固定子についての決定された内側固定子基準動作値は、外側固定子についての決定された外側固定子基準動作値とは異なる、を行わせるコンピュータプログラムコードを備える。
【0021】
コンピュータプログラムと、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶手段とを備えるコンピュータプログラム製品も提示される。
【0022】
一般に、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書で別段に明示的に定義されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「(a/an/the)要素、装置、コンポーネント、手段、ステップ等」への全ての言及は、別段の明記がない限り、要素、装置、コンポーネント、手段、ステップ等の少なくとも1つのインスタンスを指すものとしてオープンに解釈されるべきである。本明細書に開示される任意の方法のステップは、明示的に述べられない限り、開示される正確な順序で行われる必要はない。
【0023】
次に、本発明を、添付の図面を参照して、例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、固定子巻線の直列接続を有する二重固定子機械駆動システムを概略的に示す。
図2図2は、分離された固定子制御構成を有する二重固定子機械駆動システムを概略的に示す。
図3図3は、表面実装永久磁石回転子型の直列磁束概念を有する二重固定子機械トポロジを概略的に示す。
図4図4は、表面実装永久磁石回転子型のための並列磁束概念を有する二重固定子機械トポロジを概略的に示す。
図5図5は、マスタ/スレーブ型制御を有する独立した電源ユニットを含む二重固定子駆動構成を概略的に示す。
図6図6は、共通のコントローラを有する独立した電源ユニットを含む二重固定子駆動構成を概略的に示す。
図7図7は、マスタ/スレーブ制御のためのトルク/パワー分割を有する二重固定子駆動システム基本制御ブロックを概略的に示す。
図8図8は、集中コントローラ詳細機能を有する二重固定子駆動システム基本制御ブロックを概略的に示す。
図9図9は、入力信号でトルク分割を実施する集中コントローラメインブロックを有する二重固定子駆動システム基本制御ブロックを概略的に示す。
図10図10は、単一のコンバータへの並列固定子接続を有する二重固定子機械駆動システムトポロジーを概略的に示す。
図11図11は、図10の等価インピーダンスモデルを概略的に示す。
図12図12は、図11に示される簡略化された等価インピーダンスモデルを概略的に示す。
図13図13は、本明細書で提示される方法を概略的に示すフローチャートである。
【詳細な説明】
【0025】
以下、本発明のある特定の実施形態が示される添付図面を参照して、本発明をより十分に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されることができ、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように、例として提供される。説明全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【0026】
米国特許出願公開第2004/0021437号明細書のアーキテクチャは、固定子を同軸上に配置された絶縁された電磁回路に分けることに基づいており、各独立した回路制御に対する個別の制御を可能にする。その意味で、独立したセグメントが制御されるとき、残りのセグメントはそのコントローラによって考慮されない。巻線は、いかなる結合も、したがっていかなるクロスインダクタンスも排除するように、完全に絶縁されている。本発明は、固定子の電磁結合を考慮し、2つの固定子に対して共通又は階層制御を用いる制御方法を提示する。
【0027】
二重固定子駆動システムのための既知の解決策は、典型的には、2つの固定子の分離された制御又は直列接続のいずれかに基づき、したがって、4つの電流成分(各固定子についてIdq)の制御を自然に可能にするシステムから本来の自由度を除去する。2つの固定子に対して共通又は階層制御を導入することによって、追加の自由度を可能にする構成が提示される。提示された解決策は、直列及び並列の磁束機械トポロジの両方に適用される。さらに、提示された制御は、任意のタイプの同期、非同期、又は磁気抵抗回転子タイプの二重固定子機械(例えば、磁束バリアを有する表面実装、内部又はスポークタイプの永久磁石など)に適用される。
【0028】
直列磁束概念を有する二重固定子機械トポロジが図3に示され、並列磁束概念を有する二重固定子機械トポロジが図4に示される。第2の代替形態の場合、図4に示すように、平行磁束構成を使用して、外側固定子と内側固定子の磁気的分離を保証することができる。このようにして、各固定子が独立して制御されることができ、システム全体は、2つの機械が共通のシャフトに取り付けられて機械的に結合されたシステムと同等である。両方の固定子における実際の鎖交磁束の知識、したがって両方の固定子におけるインダクタンスの知識が異なる調整動作をもたらすので、駆動部が各固定子における磁気動作点について互いに通信することができる限り、磁気的に結合された直列磁束構成も使用されることができる。
【0029】
固定子巻線の相の直列接続は、直列又は並列の両方の磁束誘導の選択肢に対して機能することができるが、いずれの場合も、等価な機械に対して異なるインダクタンス行列が生じる。内側固定子の相Sは、例えば、外側固定子の相S等と直列に接続されてもよい。
【0030】
回転機械の2つの固定子の調整問題を一度に組み込んだグローバル制御解決策が提示される。このような解決策は、4つの電流成分(各固定子についてIdq)が入力であり4つの鎖交磁束が出力(各固定子についてλdq)であるとき計算又は測定された4次元鎖交磁束マップを利用するか、又は、回転位置も別の入力としてマップに追加されるとき5次元鎖交磁束マップを利用して、固定子の間のクロスカップリングと、それぞれの鎖交磁束、トルク/パワー成分、及び/又は損失(銅、鉄、存在する場合は永久磁石、及び/又はメカニカル)に対するその影響とを考慮に入れることができる4自由度のシステムを可能にする。
【0031】
2つの別個の電源ユニットを備える駆動システムの2つの代替的な実現が、図5及び図6に示されている。従来のコンバータからの独立した電源ユニットが、各固定子に1つずつ使用される。電源ユニットは、2、3、又はそれ以上のレベルのコンバータ、及び低、中、又は高電圧コンバータであってもよい。一例は、例えば1kVまでの電圧を有する3レベル低電圧コンバータである。
【0032】
図5は、制御及び駆動システムのマスタ/スレーブ構成として実装される第1のグローバル制御解決策を示す。マスタコントローラは、所定のトルク又はパワー分割戦略に基づいて、各固定子についての基準トルク/パワー信号の生成を担う。この分割戦略は、マスタ制御ユニットにおいて定義される。回転機械全体についての回転機械基準値P又はτに基づいて、制御ユニット10outerは、それぞれ内側及び外側固定子についての動作パラメータを取得し、各それぞれの固定子についての基準動作値、すなわち、内側固定子及び外側固定子基準動作値、例えば、
【数1】
及び
【数2】
をそれぞれ決定する。マスタ制御ユニット内の回転機械基準動作値の分割は、一点鎖線で示されており、ここで外側固定子についての外側固定子基準動作値は、マスタ制御ユニット内で処理され、内側固定子についての内側固定子基準動作値は、スレーブ制御ユニットに転送される。図5では、マスタ制御ユニット10outerは、外側固定子3についてのコントローラでもあり、一方スレーブ制御ユニット10innerは、内側固定子2を担当する。しかし、マスタが内側固定子を担当し、スレーブが外側固定子を担当する構成も可能である。マスタは、トルク又は電流調整を実行するために必要な情報、例えば、内側固定子パワー基準
【数3】
又は内側固定子トルク基準
【数4】
をスレーブに送る。分割情報が計算され送られた後、電流調整が両方の制御ユニット10で行われ、例えば、内側及び外側固定子についてのPWM電圧Vabc*,in及びVabc*,outが生成され、外側固定子についての電源ユニット20outer及び内側固定子についての電源ユニット20innerが、それぞれ、基準として送信された電圧を生成する。
【0033】
図6は、2つの別個の電源ユニット20inner及び20outerに対して1つの制御ユニット10のみを有する集中共通制御駆動システムとして実施される第2のグローバル制御解決策を示す。トルク又はパワー分割、電流調整などを含む全ての制御動作は、共通の制御ユニット10で実行される。回転機械全体についての回転機械基準値P又はτに基づいて、制御ユニット10は、内側固定子及び外側固定子についての動作パラメータをそれぞれ取得し、各それぞれの固定子についての基準動作値、すなわち内側固定子及び外側固定子基準動作値、例えば、
【数5】
及び
【数6】
をそれぞれ決定する。制御ユニット10は、電源ユニット20outer及び電源ユニット20innerについて決定された基準動作値をそれぞれ使用し、例えば、内側及び外側固定子についてPWM電圧Vabc*,in及びVabc*,outをそれぞれ生成する。
【0034】
このようなグローバル制御解決策によって、様々な制御及び最適なトルク又はパワー分割戦略の実施が可能になる。可能な戦略の例は、周知の最大トルク/アンペア(MTPA)、最大トルク/電圧(MTPV)、さらに、最大効率制御(MEC)、又は同等に、最大トルク/損失(MTPL)、公称パワー分割(NPS)、公称トルク分割(NTS)である。より広義には、ある特定の基準を最適化しながら、2つの固定子の4つの電流成分Idq inner及びIdq outerの、又はトルク、パワーの最適な選択を含む任意の制御戦略が実施されることができる。
【0035】
別個のエンティティとしての2つの固定子についての同じ制御戦略の適用に関する主な違いは、機械全体が一度に考慮されることである。ここでは、銅損の最小化を可能にするMTPA戦略を参照して簡単な例を説明する。このような方策が、例えば単に内側固定子に適用される場合、ある特定のトルク又はパワーが内側固定子によって生成される一方で、その銅損の最小化が達成される。しかしながら、これは、機械全体の銅損の最小化が達成されたことを必ずしも意味しない。外側固定子によって生成される同じトルク及びパワーが、外側固定子自体におけるより低い銅損をもたらすことが可能であり得る。したがって、グローバル制御の使用は、内側及び外側固定子の銅損の合計を最小限に抑えるために、2つの別個の固定子によって生成されるべきトルク又はパワーの割合を分析及び決定することである。同様の考察が他の制御戦略にも当てはまる。
【0036】
機械損失(銅、鉄、永久磁石など)は、解析式によって、又は計算/測定されたルックアップテーブルによって計算されることができる。いくつかの電気的パラメータ成分(例えば、固定子抵抗)の潜在的な温度依存性は、巻線温度測定が利用可能であれば、追加の制御入力として温度を導入することによって考慮することができる。さらに、損失計算又は損失推定ベースの制御を実施するとき、回転速度に対するある特定の損失成分の依存性が同様に考慮されることができる。
【0037】
図7は、マスタ/スレーブ制御解決策のためのトルク/パワー分割手順の簡略化された概略図を示す。マスタ制御ユニットは、グローバル回転機械基準トルク値を受け取る。マスタ制御ユニットは、グローバル回転機械基準トルク値を、外側固定子についての制御ユニット及び電源ユニットによって使用するための外側固定子基準トルク値へと、及び内側固定子についての制御ユニット及び電源ユニットによって使用するための内側固定子基準トルク値へと分割する。図8及び図9は、グローバル又は集中コントローラの場合のそれぞれの手順を示す。図8は、入力速度、パワー又はトルク基準がある場合の代替オプションを示す。図9は、いくつかの可能な制御戦略を示し、可能な制御入力を強調する基本制御ブロックを示す。特に、固定子抵抗値、並びに電流成分及び位置に関する4次元又は5次元の鎖交磁束及びトルク又はパワー表現は、少なくともMTPA及びMTPV制御のために提供される必要がある。損失変動及び温度依存性などの追加の情報を、より高度な制御方式に使用することができる。可能な制御入力は、前述のものに限定されず、実施される制御戦略に依存する。必要な磁束、トルク、パワー又は他のパラメータマッピングを取得するために、通常、計算、推定又は測定された量に基づいてルックアップテーブルが使用される。加えて、必要とされるマッピングの正確な表現を提供することができる代替のサロゲートモデル、例えば、多項式もしくは他のタイプの近似、又はニューラルネットワークが利用され得る。
【0038】
別の駆動システムの可能性は、図10に示すように、1つのコンバータによって駆動される2つの固定子巻線の並列接続である。この場合、各固定子に供給される電流は、図11に示すように、各固定子の等価インピーダンスによってのみ規定され、これは、電流分割が各固定子の巻線構成及び磁気回路形状によって規定されることを意味する。巻線構成(ワイヤ直径及び長さ、並列分岐の数など)は、電機子抵抗を定義し、磁気回路設計は、インダクタンス(及びインダクタンス変動)を定義する。この場合、機械設計は駆動システムと強く接続される。制御ユニット10は依然として内側固定子及び外側固定子についての動作値をそれぞれ分割する必要があるが、内側固定子及び外側固定子への電流が互いに結合されるので、選択肢はより少ない。
【0039】
図12は、コンバータから見た図11の簡略化した等価インピーダンスを示す。
【0040】
電気機械の両方の固定子に同時にグローバル制御システムを使用することにより、4自由度又は5自由度の制御システムが可能になる。このようにして、特定の客観的基準を最小にする最適な電流成分を、電気機械の別個の内側固定子及び外側固定子だけでなく、電気機械全体に対して特定することができる。
【0041】
二重固定子システムの増加したパワー及びトルク密度は、体積当たりのパワーが重要なパラメータである用途に有益である。
【0042】
例えば、風力用途では、より高いパワー密度は、所与のパワー定格に対してより小さいナセルサイズをもたらし、それは、機械的タワー及びナセル構造を単純化する。例えば、船舶推進の場合、体積の減少は、水中の抗力を減少させる。
【0043】
したがって、提示される解決策は、例えば風力発電機及び船舶推進における大型機械に有利に使用され得るが、自動車牽引用途及び産業用途におけるようなより小型の電気機械にも使用され得る。
【0044】
二重固定子の概念の別の利点は、インバータの故障又は1つの固定子巻線の故障に対してより良好な耐故障性を有することである。これらの条件下では、サービスが利用可能になるまで、低減されたパワーで動作を継続することが可能である。これは、連続運転が非常に重要であり、迅速なサービス応答が常に可能であるとは限らない沖合の風力又は船舶推進にとって特に重要である。
【0045】
加えて、二重固定子概念の部分負荷動作は、両方の固定子コアによってパワー生成を共有し、したがって、各固定子に対してより良好な効率動作点を達成する可能性に起因して、単一の固定子機械についての部分負荷条件と比較して優れている。これは、実際に、最適な部分負荷動作、効率及び耐故障性を達成するのにより適したグローバル制御戦略を使用することによって可能になる。
【0046】
最後に、グローバル制御戦略は、両方の固定子を同時に考慮することによって、機械システムレベルでの制御固有の基準の最小化を達成することに留意されたい。これは、単一の最適化問題における状態変数として4つの電流成分全てを考慮することによって実現され、それぞれのグローバルな最適条件を識別する唯一の方法である。
【0047】
内側固定子及び外側固定子を有する回転機械の連続動作のための方法が、図13を参照して提示される。この方法は、内側固定子と外側固定子とを有する回転機械において実行され、
-回転機械の第1の基準動作値を設定することS100と、
-内側固定子についての及び外側固定子についての動作パラメータを取得することS110と、ここにおいて、動作パラメータは、内側固定子と外側固定子との間の磁気クロスカップリングを含み、
-回転機械全体についての設定された回転機械基準動作値及び取得された動作パラメータに基づいて、内側固定子についての内側固定子基準動作値及び外側固定子についての外側固定子基準動作値を決定することS120と、
-内側固定子についての決定された内側固定子基準動作値に及び外側固定子についての決定された外側固定子基準動作値に基づいて回転機械を駆動することS130と、ここにおいて、内側固定子についての決定された内側固定子基準動作値は、外側固定子についての決定された外側固定子基準動作値とは異なる、
を備える。
【0048】
内側固定子は、外側固定子と別個に駆動されてもよい。
【0049】
回転機械、内側固定子及び外側固定子基準動作値は、パワー、トルク及び速度のうちの1つであってもよい。
【0050】
内側固定子及び外側固定子についての動作パラメータは、回転位置、インダクタンス、鎖交磁束、磁気結合、電流成分、電流位置、抵抗、損失変動、及び温度依存性のうちの1つ又は複数をさらに備え得る。
【0051】
動作パラメータは、測定及び/又はテーブルルックアップによって取得され得る。ルックアップテーブルは、例えば、シミュレーションツール又は解析モデルを使用して推定又は計算され得る。
【0052】
内側固定子についての内側固定子基準動作値は、直流のための及び無効電流のための個々に設定された値を備えることができ、外側固定子についての外側固定子基準動作値は、直流及び無効電流のための個々に設定された値を備えることができる。
【0053】
内側固定子2及び外側固定子3を有する回転機械のための制御及び駆動システムが、図5図6又は図10を参照して提示される。制御及び駆動システムは、
-回転機械全体についての回転機械基準動作値を設定することと、回転機械の内側固定子についての及び外側固定子についての動作パラメータを取得することと、ここにおいて、動作パラメータは、内側固定子と外側固定子との間の磁気クロスカップリングを含み、回転機械全体についての設定された回転機械基準動作値及び取得された動作パラメータに基づいて、内側固定子についての内側固定子基準動作値及び外側固定子についての外側固定子基準動作値を決定することと、を行うように構成された、回転機械のためのコントローラ装置10と、
-内側固定子についての決定された内側固定子基準動作値に及び外側固定子についての決定された外側固定子基準動作値に基づいて回転機械を駆動するように構成され、ここにおいて、内側固定子についての決定された内側固定子基準動作値は、外側固定子についての決定された外側固定子基準動作値とは異なる、電源装置20と、
を備える。
【0054】
電源装置は、内側固定子についての第1の電源ユニット20innerと、外側固定子についての別個の第2の電源ユニット20outerとを備えることができ、ここで内側固定子は、外側固定子とは別個に駆動される。
【0055】
コントローラ装置は、内側固定子についての第1の制御ユニット10innerと、外側固定子についての別個の第2の制御ユニット10outerとを備えることができ、内側固定子は、外側固定子とは別個に制御される。
【0056】
回転機械、内側固定子及び外側固定子基準動作値は、パワー、トルク及び速度のうちの1つであってもよい。
【0057】
内側固定子及び外側固定子についての動作パラメータは、回転位置、インダクタンス、鎖交磁束、磁気結合、電流成分、電流位置、抵抗、損失変動、及び温度依存性のうちの1つ又は複数をさらに備え得る。
【0058】
動作パラメータは、測定及び/又はテーブルルックアップによって取得され得る。
【0059】
内側固定子についての内側固定子基準動作値は、直流のための及び無効電流のための個々に設定された値を備えることができ、外側固定子についての外側固定子基準動作値は、直流及び無効電流のための個々に設定された値を備える。
【0060】
内側固定子及び外側固定子を有する回転機械の連続動作のためのコンピュータプログラムが、図13を参照して提示される。コンピュータプログラムは、コントローラ上で実行されると、コントローラに、
-回転機械全体についての回転機械基準動作値を設定することS100と、
-回転機械の内側固定子についての及び外側固定子についての動作パラメータを取得することS110と、ここにおいて、動作パラメータは、内側固定子と外側固定子との間のクロスカップリングを含み、
-回転機械全体についての設定された回転機械基準動作値及び取得された動作パラメータに基づいて、内側固定子についての内側固定子基準動作値及び外側固定子についての外側固定子基準動作値を決定することS120と、
-内側固定子についての決定された内側固定子基準動作値に及び外側固定子についての決定された外側固定子基準動作値に基づいて回転機械を駆動することS130と、ここにおいて、内側固定子についての決定された内側固定子基準動作値は、外側固定子についての決定された外側固定子基準動作値とは異なる、
を行わせるコンピュータプログラムコードを備える。
【0061】
コンピュータプログラムと、コンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶手段とを備えるコンピュータプログラム製品も提示される。
【0062】
本発明は、主にいくつかの実施形態を参照して上述された。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、上記で開示されたもの以外の他の実施形態も、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内で同様に可能である。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
回転機械の連続動作のための方法であって、前記方法は、内側固定子及び外側固定子を有する回転機械において実行され、
前記回転機械全体についての回転機械基準動作値を設定することと、
前記内側固定子についての及び前記外側固定子についての動作パラメータを取得することと、ここにおいて、前記動作パラメータは、前記内側固定子と前記外側固定子との間の磁気クロスカップリングを含み、
前記回転機械全体についての前記設定された回転機械基準動作値及び前記取得された動作パラメータに基づいて、前記内側固定子についての内側固定子基準動作値及び前記外側固定子についての外側固定子基準動作値を決定することと、
前記内側固定子についての前記決定された内側固定子基準動作値に及び前記外側固定子についての前記決定された外側固定子基準動作値に基づいて前記回転機械を駆動することと、ここにおいて、前記内側固定子についての前記決定された内側固定子基準動作値は、前記外側固定子についての前記決定された外側固定子基準動作値とは異なる、
を備える、方法。
[C2]
前記内側固定子は、前記外側固定子についての電源ユニットから独立して、電源ユニットによって駆動される、C1に記載の方法。
[C3]
前記回転機械、内側固定子及び外側固定子基準動作値は、パワー、トルク及び速度のうちの1つについてのものである、C1又は2に記載の方法。
[C4]
前記内側固定子及び前記外側固定子についての前記動作パラメータは、回転位置、インダクタンス、鎖交磁束、磁気結合、電流成分、電流位置、抵抗、損失変動、及び温度依存性のうちの1つ又は複数をさらに備える、C1~3のうちのいずれか一項に記載の方法。
[C5]
前記動作パラメータは、測定及び/又はテーブルルックアップによって取得される、C1~4のうちのいずれか一項に記載の方法。
[C6]
前記内側固定子についての前記内側固定子基準動作値は、直流のための及び無効電流のための個々に設定された値を備え、前記外側固定子についての前記外側固定子基準動作値は、直流及び無効電流のための個々に設定された値を備える、C1~5のうちのいずれか一項に記載の方法。
[C7]
内側固定子及び外側固定子を有する回転機械のための制御及び駆動システムであって、 前記回転機械全体についての回転機械基準動作値を設定し、前記回転機械の内側固定子についての及び外側固定子についての動作パラメータを取得し、ここにおいて、前記動作パラメータは、前記内側固定子と前記外側固定子との間のクロスカップリングを含み、前記回転機械全体についての前記設定された回転機械基準動作値及び前記取得された動作パラメータに基づいて、前記内側固定子についての内側固定子基準動作値及び前記外側固定子についての外側固定子基準動作値を決定するように構成された、回転機械のためのコントローラ装置と、
前記内側固定子についての前記決定された内側固定子基準動作値に及び前記外側固定子についての前記決定された外側固定子基準動作値に基づいて前記回転機械を駆動するように構成された電源装置と、ここにおいて、前記内側固定子についての前記決定された内側固定子基準動作値は、前記外側固定子についての前記決定された外側固定子基準動作値とは異なる、
を備える、制御及び駆動システム。
[C8]
前記電源装置は、前記内側固定子についての第1の電源ユニットと、前記外側固定子についての別個の第2の電源ユニットとを備え、前記内側固定子は、前記外側固定子から独立して駆動される、C7に記載の制御及び駆動システム。
[C9]
前記コントローラ装置は、前記内側固定子についての第1の制御ユニットと、前記外側固定子についての別個の第2の制御ユニットとを備え、前記内側固定子は、前記外側固定子とは別個に駆動される、C7又は8に記載の制御及び駆動システム。
[C10]
前記回転機械、内側固定子及び外側固定子基準動作値は、パワー、トルク及び速度のうちの1つについてのものである、C7~9のうちのいずれか一項に記載の制御及び駆動システム。
[C11]
前記内側固定子及び前記外側固定子についての前記動作パラメータは、回転位置、インダクタンス、鎖交磁束、磁気結合、電流成分、電流位置、抵抗、損失変動、及び温度依存性のうちの1つ又は複数をさらに備える、C7~10のうちのいずれか一項に記載の制御及び駆動システム。
[C12]
前記動作パラメータは、測定及び/又はテーブルルックアップによって取得される、C7~11のうちのいずれか一項に記載の制御及び駆動システム。
[C13]
前記内側固定子についての前記内側固定子基準動作値は、直流のための及び無効電流のための個々に設定された値を備え、前記外側固定子についての前記外側固定子基準動作値は、直流及び無効電流のための個々に設定された値を備える、C7~12のうちのいずれか一項に記載の制御及び駆動システム。
[C14]
内側固定子及び外側固定子を有する回転機械の連続動作のためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、コントローラ上で実行されると、前記コントローラに、
回転機械全体についての回転機械基準動作値を設定することと、
前記回転機械の内側固定子についての及び外側固定子についての動作パラメータを取得することと、ここにおいて、前記動作パラメータは、前記内側固定子と前記外側固定子との間のクロスカップリングを含み、
前記回転機械全体についての前記設定された回転機械基準動作値及び前記取得された動作パラメータに基づいて、前記内側固定子についての内側固定子基準動作値及び前記外側固定子についての外側固定子基準動作値を決定することと、
前記内側固定子についての前記決定された内側固定子基準動作値に及び前記外側固定子についての前記決定された外側固定子基準動作値に基づいて前記回転機械を駆動することと、ここにおいて、前記内側固定子についての前記決定された内側固定子基準動作値は、前記外側固定子についての前記決定された外側固定子基準動作値とは異なる、
を行わせるコンピュータプログラムコードを備える、コンピュータプログラム。
[C15]
C14に記載のコンピュータプログラム、及び前記コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶手段を備える、コンピュータプログラム製品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13