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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】携帯端末使用制限システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20241125BHJP
   H04M 1/72463 20210101ALI20241125BHJP
【FI】
H04M11/00 301
H04M1/72463
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021008007
(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公開番号】P2022112248
(43)【公開日】2022-08-02
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金城 仁志
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/069675(WO,A1)
【文献】特開2014-126922(JP,A)
【文献】特開2011-172195(JP,A)
【文献】特開2014-106573(JP,A)
【文献】特開2019-092011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
H04M 1/24-1/82
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席に座るドライバを認識して個人を特定するドライバ認識手段と、車両の外部装置と通信可能な車外通信手段とを有する車載システムと、
前記外部装置であり、特定された個人の個人特定情報と携帯端末の端末識別情報を紐付けて記憶することができるサーバと、を備えた携帯端末使用制限システムであって、
前記車外通信手段は、一定時間ごとに前記ドライバの個人特定情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記ドライバの個人特定情報を受信した時に、前記ドライバの個人特定情報に紐付いた端末識別情報を有する携帯端末の機能の一部または全ての使用を制限する制限要求信号を、前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末は、前記制限要求信号を受信した時に前記一定時間よりも長い所定期間にわたって使用が制限されることを特徴とする携帯端末使用制限システム。
【請求項2】
前記ドライバ認識手段が前記ドライバを認識しなくなった場合に、前記制限要求信号による制限を解除する解除要求を行うことを特徴とする請求項1に記載された携帯端末使用制限システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転中のドライバが携帯端末を使用できないようにする携帯端末使用制限システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転中に携帯電話等の携帯端末を操作等することは危険であり、運転中に携帯端末の画像を注視する行為は道路交通法で禁止されている。しかしながら、実情では、自動車走行中でも携帯端末を使用することが可能である。運転中に携帯端末を使用すると一種の脇見運転となり、交通事故の危険性が高まる。このような運転中の携帯端末使用を制限するシステムが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-128226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、携帯端末の使用制限装置が記載されている。この使用制限装置は、ドライバ監視カメラや集音マイク等のドライバ状態検出手段により、ドライバが携帯端末を操作中であるか否かを判定し、緊急事態でないと判定されたら警報を発し、さらに妨害電波により携帯端末の使用を制限するものである。
【0005】
特許文献1の使用制限装置は、携帯電話等の携帯端末を操作中であるかを判定するものであるが、操作中であるか否かを正確に判定することは難しい。特許文献1では、ドライバの頭部側面に手が有る場合に携帯端末を操作中であると判断するが、携帯端末を操作したり注視したりする際には頭部側面に手を当てることはない。さらに、携帯端末を持たなくても頭部側面に手を当てると誤警報が生じてしまう。特許文献1には、操作音により操作中であるか判定するとの記載もある。しかし、ドライバが携帯端末を注視するだけでは操作音は生じず、携帯端末は操作中に操作音が生じないようにして用いる場合も多い。さらに、携帯端末の使用を制限するための妨害電波は、自動車の制御装置やカーナビゲーションなどの車載システムに悪影響を与える虞がある。加えて、日本国内で免許無しに妨害電波を発生させることは、電波法により困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯端末使用制限システムは、運転席に座るドライバを認識して個人を特定するドライバ認識手段と、車両の外部装置と通信可能な車外通信手段とを有する車載システムと、外部装置であり、特定された個人の個人特定情報と携帯端末の端末識別情報を紐付けて記憶することができるサーバと、を備えた携帯端末使用制限システムであって、車外通信手段は、ドライバの個人特定情報をサーバに送信し、サーバは、ドライバの個人特定情報に紐付いた端末識別情報を有する携帯端末の機能の一部または全ての使用を制限する制限要求信号を、携帯端末に送信するものである。
【発明の効果】
【0007】
ドライバの携帯端末の使用を、ネットワーク(インターネット)を介して制限することで、妨害電波等を発生させることなく、ドライバの携帯端末のみの使用を制限することができる。そして、ネットワークを用いた種々の機能を有するアプリケーションソフトと一体化させることができ、ドライバにとって利便性が減少する使用制限のシステムであっても携帯端末にインストールさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1におけるドライバーモニタシステムを備えた車両。
図2】実施例1における携帯端末使用制限システムの構成。
図3】実施例1における初期設定のフロー図。
図4】実施例1における携帯端末使用制限のフロー図。
図5】実施例1における使用制限時の携帯端末。
図6】実施例2における携帯端末使用制限のフロー図。
図7】実施例3における携帯端末使用制限のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
近年、ドライバの顔を認識してドライバの脇見運転の警報や眠気、居眠り時の警報を行う、ドライバモニタリングシステム(DMS)が開発されている。DMSを利用すると、顔の映像により個人認識を行い、ドライバ毎の平均燃費を表示したり、シートポジションやハンドルの位置等のドライバポジションを個人別に記憶して電動で調節したりすることができる。
【0010】
図1は、ドライバ認識手段であるDMSを含んだドライバ情報システム(DIS)12を備える車両7と、運転席71に座ったドライバ6を示す。図1では、ドライバ6はハンドル72を握りつつ携帯端末2を注視している危険な状況である。携帯端末使用制限システムは、このような危険な状況を起こりにくくするものである。カメラ11は、ハンドル72の内側を通して運転席71に座るドライバ6の顔を撮影し、DIS12はカメラ11に接続されている。DIS12は、携帯端末の使用制限以外にも用いられる。DMSはカメラ11の映像を解析して居眠り運転の予兆や脇見運転等を判定する。居眠り運転の予兆があると判定された際には、実施例1では車載スピーカー(図示せず)から「お疲れのようです。駐車場に車を止めて休憩しましょう。」との音声により、注意を促す。また、DIS12は、ドライバ6の顔の映像を個人認識して、個人毎に情報を記憶する。また、脇見運転をしていると判定された際には、車載スピーカーから「前方に注意して走行しましょう。」との音声により、注意を促す。DIS12はカーナビゲーションシステムを含み、表示装置を備えている(図示せず)。
【0011】
さらにDIS12は、顔を認識してドライバ6の各人に関するシートポジション等の個人別情報と紐付けて記憶する。DIS12は、複数のドライバ6の各々に個人特定情報であるドライバIDを登録することができる。ドライバIDには、車両7のIDが内在しており、異なった車両7で同じドライバIDとなることはない。ドライバ6が運転席71に座ってドライバIDの登録をすると、登録時にDMSでドライバ6の顔から顔特徴パラメータを注出して、登録したドライバIDに紐付けて記憶する。顔特徴パラメータは個人別情報である。他に、運転中の急発進、急ブレーキの回数、および燃費等の個人別情報を、ドライバ6が運転席71に座っていると認識しているときに取得されドライバIDに紐付けて記憶する。さらに、運転席71に座るドライバ6がDMSで認識できなくなったとき(運転席71を離れたとき)の電動シートのシートポジションを、直前まで認識していたドライバ6のドライバIDと紐付けて個人別情報として記憶する。そして、運転席71のドライバ6がDMSで認識できない状態の後に、ドライバIDが登録されているドライバ6の顔を認識すると、運転席71の電動シートが作動してドライバIDに紐付けたシートポジションに移動する。
【0012】
図1,2に示すように、実施例1の携帯端末使用制限システムでは、車載システム1は車外通信手段13により無線で通信キャリア31と接続している。そして、ネットワーク4(インターネット)を介してサーバ5と接続する。また、ドライバ6が所持する携帯端末2も無線により通信キャリア32と接続し、さらにネットワーク4を介してサーバ5と接続する。通信キャリア31,32、ネットワーク4、サーバ5は外部装置であり、DIS12は車外通信手段13により無線を介して外部装置と通信可能である。なお、車載システム1と携帯端末2が同じキャリアを用いている場合は、通信キャリア31,32は同じキャリアとなる。
【0013】
車両7の車載システム1に登録されたドライバIDと、ドライバ6が所有する携帯端末2の携帯端末IDは、サーバ5で紐付けられている。そして、携帯端末2の所有者が運転席71に座るドライバ6として車載システム1で認識されている間は、携帯端末2は操作不能表示(「運転中は画面表示できません。」との表示)となり、ドライバ6が望む画像を表示することはできず、携帯端末2の操作を行うことも禁止される。以下に説明する。
【0014】
ドライバ6は、車載システム1に対応したドライバアプリ(ドライバ用アプリケーションソフトウェア)を携帯端末2にインストールする。ドライバアプリでは、車盗難通報、盗難車位置表示、盗難警報停止、カーナビゲーションシステムの目的地設定、ドライバポジションの調節、車載エアコンの操作等を行うことができる。車盗難通報では、盗難防止装置により車の盗難が検知された際に、車載システム1から通信キャリア31及びネットワーク4を介して盗難コードがサーバ5に送信される。そして、サーバ5からネットワーク4及び通信キャリア32を介して盗難コードが携帯端末2に送信される。盗難コードを受信した携帯端末2では、ドライバアプリにより音声と表示により「車の盗難を検知しました。」と報知する。この際、カーナビゲーションシステムからの位置情報もサーバ5等を介して携帯端末2に送られる。携帯端末2ではドライバアプリを操作することにより地図を表示し、車の位置を地図上に表示することができる。さらに、車載システム1は、ドライバ6の顔を撮影した画像も、サーバ5等を介して携帯端末2に送信する。また、車盗難装置が誤って作動し、車両等で警報音が鳴り続けている場合に、ドライバアプリを操作することによって、車から離れた場所からでも警報音を停止することができる。なお、盗難が検知された際にもDMSが作動し、カメラ11で取得したドライバ6の画像が車載システム1に登録されている顔特徴パラメータと合致した場合には、車盗難通報を行わない。
【0015】
<ドライバアプリの登録>
ドライバアプリを利用するために、ドライバ6は登録を行う必要がある。図3はドライバアプリの登録工程を示す。ドライバアプリを携帯端末2にインストールした後に、ドライバ6は車両7の運転席71に座り、車両7の始動スイッチをONにする。これにより、車載システム1が作動する。そして、カーナビゲーションシステムの表示装置から車載システム1のDIS12を操作してドライバアプリの登録釦を選択する(S11)。そうすると、車載システム1のDIS12から「登録を行います。自動車の前方を見てください。」と、音声で指示される。DIS12は、カメラ11で撮像した映像をDMSで認識し、抽出した顔特徴パラメータを個人特定情報であるドライバIDに紐付けて登録する(S12)。ドライバIDには、シートポジションも紐付けられ、ドライバ6が運転席71に座ってDMSで認識されると、ドライバIDで記憶されているシートポジションに電動で移動する。ドライバIDに紐付けられた顔特徴パラメータとシートポジションは個人別情報である。
【0016】
DIS12のドライバIDに顔特徴パラメータが紐付けられることによりドライバ6の顔が登録されると、車外通信手段13から設定要求と登録したドライバIDを送信する(S13)。そして、各地に基地局を持つ通信キャリア31からネットワーク4を介してサーバ5に送られる。サーバ5では、受信したドライバIDを記憶するとともに、ドライバIDに紐付けた設定URLを生成する(S14)。そして、端末設定URLが車載システム1に返送される(S15)。端末設定URLは、車載システム1の表示装置(カーナビゲーションシステムの表示装置。図示せず。)に2次元バーコードで表示される(S16)。車載システム1のDIS12は、2次元コードを携帯端末2で撮影してアクセスするように、ドライバ6に音声と表示で指示する。
【0017】
ドライバ6が2次元バーコードを携帯端末2で撮影して(S17)、設定URLにアクセスすると(S18)、携帯端末2の端末識別情報である携帯端末IDがサーバ5に送られる(S19)。サーバ5では、登録したドライバIDに携帯端末IDが紐付けて記憶される(S20)。さらに、サーバ5から車載システム1と携帯端末2に向けて、設定完了表示要求が送られる(S21,23)。車載システム1と携帯端末2は、設定が完了した旨の表示を行う(S22,24)。
【0018】
設定完了後は、携帯端末2のドライバアプリにより、盗難防止等の車両7の監視、警報音停止、エアコン操作、シートポジションの移動等の車両操作、等を行うことができる。エアコン操作では、乗車前にエアコンを起動して車内の温度を調整することができる。また、ドライバアプリから乗車時間をセットしておき、乗車時間前にシートポジションを移動することができる。例えば、ドライバアプリからウイークデーの通勤乗車時間をセットしておけば、通勤で乗車する前にシートポジションをドライバ6に適した位置にしておくことができる。
【0019】
<携帯端末の使用制限>
ドライバアプリをインストールした携帯端末2の携帯端末IDが、車両7の車載システム1に登録されたドライバIDに紐付けられると、ドライバ6が車両7を運転している際に携帯端末2を使用制限することができる。図4は、携帯端末2の画面を特定の表示に固定して使用制限を行う際のフロー図である。ドライバ6が運転席71に座り、車両7の始動スイッチをONにすると、車載システム1が始動する。車載システム1のDIS12は、カメラ11で撮影したドライバ6の顔の映像をドライバ認識手段であるDMSで認識して、対応する顔特徴パラメータに紐付けされたドライバIDを選出する(S31)。運転席に座っても、シフトレバーがパーキングに入っていれば携帯端末2は使用制限されず、ドライバ6は携帯端末2の通常の画面を見ることができ、操作することもできる。
【0020】
車載システム1のDIS12がパーキングの解除を検出すると(S32)、車載システム1は、運転コードとドライバIDを通信キャリア31、ネットワーク4を介してサーバ5に送信する(S33)。サーバ5では、運転コードにより、送られてきたドライバIDの運転フラグをONにする(S34)。そして、フラグON完了信号を車載システム1に返信する(S35)。車載システム1では、フラグON完了が返信されるまで、所定時間間隔で運転コードとドライバIDを送信する(S33)。
【0021】
サーバ5は、ドライバIDの運転フラグをONにすると、さらにドライバIDに紐付けられた携帯端末IDの携帯端末2へ、制限要求信号を送信する(S36)。制限要求信号は、ネットワーク4、通信キャリア32を介して送られ、携帯端末2で受信される。制限要求信号を受信した携帯端末2は、ドライバアプリにより画面を特定の表示に固定して機能を制限する(S37)。実施例1では、アイコンや一般のアプリケーションソフトウェアによる表示がされず、図5のように「運転中は画面表示できません。」とのメッセージが表示される。これにより、ドライバ6は携帯端末2を見る動機を失い、画面を注視することが無くなる。さらに、携帯端末2にはアイコンが表示されていないため、操作することもできない。画面を特定の表示に固定すると、携帯端末2のドライバアプリにより、サーバ5へ制限完了信号が送られる(S38)。サーバ5は、制限完了信号を受信するまで所定時間毎に繰り返して制限要求信号を送信する(S36)。
【0022】
Bluetooth(登録商標)によりカーナビゲーションシステムにリンクして、携帯端末2の音楽再生ソフトにより音楽を再生している場合には、音楽の再生は中止されない。しかし、携帯端末2の画面は固定されているため、携帯端末2から操作を行うことはできない。携帯端末2が、Bluetoothによりカーナビゲーションシステムにリンクして電話ができる場合には、シフトレバーがパーキングになっていなくても、カーナビゲーションシステムの表示装置画面により電話の操作をすることができる。このように、実施例1では、携帯端末2の機能の全ての使用を制限してはおらず、一部の使用を制限している。
【0023】
DIS12によりシフトレバーのパーキングが検出されると(S39)、車載システム1から運転解除コードとドライバIDが、通信キャリア31、ネットワーク4を介して、サーバ5に送られる(S40)。サーバ5は、運転解除コードとドライバIDを受信して、ドライバIDの運転フラグをOFFにする(S41)。そして、フラグOFF完了信号を車載システム1に返信する(S42)。車載システム1は、フラグOFF完了信号を受信するまで所定時間毎に運転解除コードとドライバIDをサーバ5に送信する(S40)。
【0024】
ドライバIDの運転フラグをOFFにしたサーバ5では、制限解除信号をドライバIDに紐付けられた携帯端末IDの携帯端末2に送信する(S43)。制限解除信号は、ネットワーク4、通信キャリア32を介して携帯端末2に送られ、ドライバアプリにより画面の固定が解除される(S44)。画面の固定が解除されると、携帯端末2からサーバ5に向けて制限解除完了信号が送信される(S45)。サーバ5は、表示固定解除完了信号を受信するまで、所定時間毎に携帯端末2へ制限解除信号を送信する(S43)。
【0025】
サーバ5は、ドライバIDの運転フラグがONであるかOFFであるかにより、車載システム1に情報を送信したり、車載システム1を操作したりすることができる。例えば、サーバ5のドライバIDにオーナーのフラグを設け、車両7の位置も車載システム1からサーバ5に送信することが考えられる。このようにすれば、車両7のオーナーとして登録されたドライバIDの運転フラグがONのときに、サーバ5でディーラーの近くを走行していることを認識し、DIS12による音声で、お得情報のお知らせやディーラーへの立ち寄りを誘導することができる。
【0026】
また、ドライバIDに車両IDを含めずに、ドライバ毎にドライバIDを定めて複数の車両7を利用できるようにし、カーシェアリングに本システムを導入することもできる。予約時に設定したドライバ6のみ運転可能としつつ、予約に使用した携帯端末2を運転中に見たり操作したりすることがなくなるため、運転時の安全性を高めることができる。
【実施例2】
【0027】
車両7の使用形態として、シフトレバーをパーキングの状態にせずにドライバ6が替わる場合があり得る。実施例2は、その場合にも対応する携帯端末使用制限システムである。実施例2は実施例1の構成に加えて、シフトレバーのパーキングの状態に変化がなくても、車載システム1による顔認識の変化により携帯端末2の画面固定状況が変化する構成を有する。図6に、フロー図を示す。図6(a)は、シフトレバーが非パーキング状態において、ドライバ6の顔が認識されなくなった場合のフロー図である。車載システム1によりドライバ6の顔が認識されなくなり、運転席71の画像(ヘッドレストの画像)が認識された場合には(S51)、通信キャリア31、ネットワーク4を介して、運転解除コードとドライバIDがサーバ5に送られる(S52)。サーバ5では、受信したドライバIDに関して運転フラグをOFFにするとともに(S53)、車載システム1にフラグON完了を返信する(S54)。車載システム1のDIS12は、フラグON完了信号を受信するまで、運転解除コードとドライバIDを送信する(S52)。
【0028】
さらにサーバ5は、携帯端末2に制限解除信号を送信する(S55)。ネットワーク4、通信キャリア32を介して制限解除信号を受けた携帯端末2は、ドライバアプリが画面の固定を解除する(S56)。そして、ドライバアプリはサーバ5へ制限解除完了信号を送信する(S57)。サーバ5は、制限解除完了信号を受信するまで所定時間毎に制限解除信号をドライバIDに紐付いた携帯端末IDの携帯端末2に送信する(S55)。運転解除コードは、運転席71の画像(ヘッドレストの画像)が認識される場合に送信されるため、カメラ11の前を塞いでも、携帯端末2の画面固定は解除されない。
【0029】
また、図6(b)は、シフトレバーが非パーキング状態において、車載システム1がドライバ6の顔を認識していない状態から認識した状態になった場合のフロー図である。車載システム1によりドライバの顔が認識されるようになった場合には(S61)、対応するドライバIDと運転コードをサーバ5に送信する(S62)。サーバ5では、ドライバIDの運転フラグをONにして(S63)、フラグON完了信号を返送する(S64)。車載システム1のDIS12は、フラグON完了信号を受信するまで、所定時間毎に運転コードとドライバIDをサーバ5へ送信する。
【0030】
ドライバIDの運転フラグをONにしたサーバ5は、対応する携帯端末IDの携帯端末2に制限要求信号を送信する(S65)。制限要求信号を受信した携帯端末2では、ドライバアプリにより画面を固定して機能を制限する(S66)。そして、サーバ5に制限完了信号を送信する(S67)。サーバ5は、制限完了信号を受信するまで、所定時間毎に制限要求信号を送信する。
【0031】
実施例2では、シフトレバーが非パーキング状態でも顔の認識により携帯端末2の画面固定を制御する。そのため、ドライバ6がシフトレバーをパーキングにするのを忘れて車両7を離れた場合や、パーキングにせずに休憩のためシートを倒してカメラ11に顔が映らなくなった場合にも、適切に携帯端末2の画面を固定、固定解除することができる。
【実施例3】
【0032】
上記の実施例1,2では、車載システム1からドライバIDとともに運転コードと運転解除コードをサーバ5に送り、携帯端末2の画面固定と画面固定解除を行う。そして、通信状況が悪く運転コード等が送られない場合には、繰り返し運転コード等を送信して画面固定と画面固定解除が確実に行われるようにしている。しかし、車載システム1からドライバIDを一定時間毎に送信し、携帯端末2は制限要求信号の受信から所定期間だけ画面を特定の表示に固定するようにしてもよい。図7に、実施例3のフロー図を示す。送受信は実施例1,2と同様に通信キャリア31,32とネットワーク4を介して行われる。車載システム1とサーバ5の装置構成も実施例1,2と同様である。
【0033】
実施例3では、車載システム1がドライバ6の顔を認識し(S71)、パーキングの解除状態を検出すると(S72)、ドライバIDをサーバ5に送信する(S73)。サーバ5はドライバIDを受信すると、ドライバIDの運転フラグをONにして(S74)、紐付いて記憶された携帯端末IDの携帯端末2に制限要求信号を送信する(S75)。制限要求信号を受けた携帯端末2は、所定期間は図5の固定画面となって機能を制限し、所定期間経過後は固定画面を解除する(S76)。車載システム1は、ドライバ6の顔認識(S77)とパーキング解除状態の検出(S78)の後に一定時間を経過すると、ドライバ6の顔認識とパーキング解除状態の検出を再び行い、ドライバIDをサーバ5に一定時間毎に送信する(S79)。画面固定を行う所定期間は、ドライバIDを送信する間隔である一定時間よりも少し長い期間(1.1~2.0倍)である。携帯端末2は、画面固定の間に制限要求信号を受信すると、受信時からさらに固定表示期間の間、画面固定となる。実施例3では、画面固定すべき状態では車載システムが一定時間ごとにドライバIDを送信し、携帯端末2のドライバアプリは、制限要求信号を受信してから所定期間は画面固定をおこなう。そして、ドライバIDが送信され続けると画面は所定の表示に固定され続け、ドライバIDの送信がなくなると、画面固定は解除される。この構成では、車両7の位置により車載システム1や携帯端末2がサーバ5と通信できない場合に、携帯端末2が使えなくなるということが起こりにくい。
【0034】
<変形例>
実施例3では制限要求信号から所定期間は画面固定されるため、固定解除は所定期間が過ぎた時となる。そこで、実施例3に実施例1,2の運転解除コードと制限解除信号を用いれば、固定解除を速やかに行うことができる。
【0035】
また、携帯端末2が固定解除要求できる構成としてもよい。たとえば、使用制限時の携帯端末2の画面に固定解除要求のアイコンを表示する。そして、ドライバ6が固定解除したい場合には、アイコンにタッチする。これにより、携帯端末2からサーバ5に固定解除要求が送られる。固定解除要求を受けたサーバ5では、ドライバIDが運転フラグOFFの場合には携帯端末2に制限解除信号を送信する。運転フラグONの場合には、制限解除信号は送らない。上記構成は実施例1~3の構成に付加してもよい。また、実施例1~3のサーバ5により運転フラグがOFFになった際に制限解除信号を送る構成に替えて、固定解除要求による固定解除を行ってもよい。
【0036】
実施例1~3および変形例では、運転フラグにより、サーバ5でドライバ6の状態を記憶したが、運転フラグを用いなくてもよい。この場合は、サーバ5では、ドライバ6が運転しているか否かの状態を記憶しない。また、実施例1~3および変形例では、制限要求信号により携帯端末2の機能の一部を制限したが、機能の全てが利用できないように制限してもよい。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 車載システム
11 カメラ
12 DIS
13 車外通信手段
2 携帯端末
31 通信キャリア
32 通信キャリア
4 ネットワーク
5 サーバ
6 ドライバ
7 車両
71 運転席
72 ハンドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7