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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】通信装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20241125BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20241125BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20241125BHJP
   G08C 17/02 20060101ALI20241125BHJP
   B60R 16/023 20060101ALN20241125BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
H04W4/38
H04Q9/00 301B
G08C17/02
B60R16/023 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021022475
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124697
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥原 誠
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-223716(JP,A)
【文献】特開2018-93343(JP,A)
【文献】特開2008-148039(JP,A)
【文献】特開2018-49405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00-25/04
H04L 1/00-69/40
H04W 4/38
H04Q 9/00
B60R 16/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を有し、複数の機器と無線通信を介して接続される通信装置であって、
前記制御部は、
前記複数の機のそれぞれの通信量及び通信制御周期の情報を取得
前記通信量から算出された前記複数の機器における全通信量と、前記通信制御周期の中で最も短い最短通信制御周期とに基づいて、前記複数の機器と前記通信装置との通信に要する伝送速度を示す必要伝送速度を算出し、
前記通信装置の伝送速度が前記必要伝送速度より大きい場合に、前記複数の機器との通信が正常に行われると判定し、前記複数の機との通信スケジュールを決定する
信装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記通信装置の伝送速度が前記必要伝送速度以下の場合には、正常に通信できないおそれがあると判定し、判定結果をユーザに報知する、
求項に記載の通信装置。
【請求項3】
制御部を有し、複数の機器と無線通信を介して接続される通信装置であって、
前記制御部は、
前記複数の機のそれぞれの通信量及び通信制御周期の情報を取得
前記通信量から算出された前記複数の機器における全通信量と、前記通信装置の伝送速度とに基づいて、前記複数の機器との通信が完了するまでの通信完了時間を算出し、
前記通信完了時間が前記通信制御周期の中で最も短い最短通信制御周期よりも小さい場合に、前記複数の機器との通信が正常に行われると判定し、前記複数の機との通信スケジュールを決定する
信装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記通信完了時間が前記最短通信制御周期以上の場合には、正常に通信できないおそれがあると判定し、判定結果をユーザに報知する、
求項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記複数の機器は、中継機器と接続されており
前記制御部は、
前記複数の機器から前記中継機器へ集約された前記通信量及び前記通信制御周期の情報を前記中継機器から取得する、
求項1~のいずれか一つに記載の通信装置。
【請求項6】
前記複数の機器は、複数の中継機器と接続されており、
前記制御部は、
前記複数の中継機器に設定された優先度に基づいて、前記通信スケジュールを決定する、
請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
複数の機器と無線通信を介して接続される通信装置が行う通信方法であって、
前記複数の機のそれぞれの通信量及び通信制御周期の情報を取得
前記通信量から算出された前記複数の機器における全通信量と、前記通信制御周期の中で最も短い最短通信制御周期とに基づいて、前記複数の機器と前記通信装置との通信に要する伝送速度を示す必要伝送速度を算出し、
前記通信装置の伝送速度が前記必要伝送速度より大きい場合に、前記複数の機器との通信が正常に行われると判定し、前記複数の機との通信スケジュールを決定する
信方法。
【請求項8】
複数の機器と無線通信を介して接続される通信装置が行う通信方法であって、
前記複数の機のそれぞれの通信量及び通信制御周期の情報を取得
前記通信量から算出された前記複数の機器における全通信量と、前記通信装置の伝送速度とに基づいて、前記複数の機器との通信が完了するまでの通信完了時間を算出し、
前記通信完了時間が前記通信制御周期の中で最も短い最短通信制御周期よりも小さい場合に、前記複数の機器との通信が正常に行われると判定し、前記複数の機との通信スケジュールを決定する
信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばセンサなどの機器と無線通信を介して接続されたシステムが多種存在し、当該システムに用いられる機器と信号の送受信を行う通信装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-346612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した通信装置においては、例えばシステムの設計変更や仕様変更、機能追加などに伴って、接続される機器の取り換えなどが行われる場合がある。しかしながら、従来技術に係る通信装置においては、例えば機器の取り換え後、現在接続される機器に応じた適切なタイミングで通信を行うという点で、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、接続される機器に応じた適切なタイミングで通信を行うことができる通信装置および通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の機器と無線通信を介して接続される通信装置であって、取得部と、決定部とを備える。取得部は、複数の前記機器における通信に関する通信情報を取得する。決定部は、前記取得部によって取得された前記通信情報に基づいて、複数の前記機器と前記通信装置との通信スケジュールを決定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接続される機器に応じた適切なタイミングで通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る通信方法の概要を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る通信装置を含む車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、親機(通信装置)の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、通信情報の一例を示す図である。
図5図5は、通信スケジュールの決定処理を説明する図である。
図6図6は、親機(通信装置)が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、変形例に係る親機(通信装置)を含む車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する通信装置および通信方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<通信方法の概要>
以下では先ず、実施形態に係る通信装置による通信方法の概要について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る通信方法の概要を示す図である。
【0011】
実施形態に係る通信方法は、例えば車両制御システム1が備える通信装置50によって実行される。具体的に説明すると、図1に示すように、車両制御システム1は、メインユニット10と、所定機器20と、サブユニット30とを備え、図示しない車両に搭載される。なお、上記では、メインユニット10等を含むシステム(ここでは車両制御システム1)が車両に搭載されるとしたが、これに限られず、例えば通信処理を行うようなその他の種類の装置等に搭載されてもよい。
【0012】
メインユニット10は、制御装置40と、通信装置50とを備える。サブユニット30は、機器100と、無線通信装置200とを備える。
【0013】
メインユニット10には、所定機器20およびサブユニット30が通信可能に接続され、メインユニット10は、所定機器20、および、サブユニット30の機器100などを制御する。
【0014】
例えば、メインユニット10は、所定機器20と有線通信を介して接続される。所定機器20は、例えば車両における基本的な機能(言い換えると必須の機能)を有する機器である。例えば、所定機器20は、エンジンやモータなどの駆動源やブレーキ等の車両制御に関する機器、エアコン、シート、ドアロック等のボディ系に関する機器、およびエアバックやシートベルト等の安全系に関する機器などであるが、これらはあくまでも例示であって限定されるものではない。なお、これらの機器の全部、あるいは一部をサブユニットに配置するシステム例もある。
【0015】
メインユニット10の制御装置40は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータを有し、所定機器20を制御することができる。
【0016】
メインユニット10の通信装置50は、複数の機器100と無線通信を介して接続される。例えば、通信装置50は、サブユニット30の無線通信装置200を介して複数の機器100と通信可能に接続される。なお、図1では、機器100が3つである例を示したが、これに限られず、2つであっても、4つ以上であってもよい。
【0017】
通信装置50は、例えばECU(Electronic Control Unit)を有する親機(マスタ機器)として機能し、機器100の無線通信装置200は、子機(スレーブ機器)として機能することができる。なお、通信装置50と機器100とは、無線通信装置200などの中継機器を介して間接的に接続されてもよいし、後述する図7に示すように、直接的に接続されてもよい。
【0018】
通信装置50は、無線通信装置200を介して機器100と各種の信号の送受信を行って、機器100との通信制御を行うことができる。機器100は、例えば車両に搭載される各種のセンサや、各種のアクチュエータなどである。機器100であるセンサやアクチュエータは、例えば車両の制御に用いられるが、これに限定されるものではない。
【0019】
ところで、通信装置50に接続される機器100は、例えば車両制御システム1の設計変更や仕様変更、機能追加などに伴って取り換えられたり、追加で新しく取り付けられたりする場合がある。なお、通信装置50と機器100とは、無線通信で接続されるため、作業者は、機器100の取り換え作業や取り付け作業を、有線通信の場合に比べて容易に行うことができる。
【0020】
ここで、機器100において、通信装置50との通信量や通信制御周期などは、機器100の種類ごとに異なる。そのため、通信装置50は、機器100の取り換え等が行われると、機器100との通信量や通信制御周期などが変わることがあり、機器100に応じた適切なタイミングで通信を行うことができないおそれがあった。
【0021】
そこで、本実施形態に係る通信装置50にあっては、機器100の取り換え等が行われた場合であっても、接続される機器100に応じた適切なタイミングで通信を行うことができるようにした。
【0022】
具体的には、通信装置50は、複数の機器100における通信に関する通信情報を取得する(ステップS1)。より具体的には、通信装置50は、所定タイミングで複数の機器100における通信情報を取得する。なお、所定タイミングは、例えば通信装置50を含むメインユニット10の電源が投入されるタイミングとされるが、これに限定されるものではない。
【0023】
また、通信情報には、複数の機器100のそれぞれの通信量、および、複数の機器100のそれぞれの通信制御周期が含まれるが、これに限定されるものではない。すなわち、通信情報には、通信量および通信制御周期のいずれかが含まれてもよいし、その他の通信に関する情報が含まれてもよい。
【0024】
次いで、通信装置50は、取得された通信情報に基づいて、複数の機器100と通信装置50との通信スケジュールを決定する(ステップS2)。なお、通信スケジュールの決定の詳細については、後述する。
【0025】
このように、本実施形態に係る通信装置50は、複数の機器100の通信情報を取得し、取得される通信情報に基づいて通信スケジュールを決定するようにしたので、通信スケジュールを現在接続される機器100に即したものとすることができる。従って、通信装置50は、かかる通信スケジュールを用いることで、接続される機器100に応じた適切なタイミングで通信を行うことができる。
【0026】
<通信装置を含む車両制御システム>
次に、実施形態に係る通信装置50を含む車両制御システム1の構成について、図2を用いて説明する。図2は、実施形態に係る通信装置50を含む車両制御システム1の構成例を示すブロック図である。なお、以下では、通信装置50を「親機50」、無線通信装置200を「子機200」と記載する場合がある。
【0027】
図2に示すように、車両制御システム1は、メインユニット10と、サブユニット30とを含む。メインユニット10は、上記した制御装置40と、親機(通信装置)50とを備える。サブユニット30は、子機(無線通信装置)200と、機器100とを備える。
【0028】
通信装置50には、サブユニット30の子機200が無線通信を介して接続される。図2では、サブユニット30および子機200が2つある例を示したが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、以下では、2つのサブユニット30のうち一方を「サブユニット30a」、他方を「サブユニット30b」と記載する場合があり、これらを特に区別せずに説明する場合には「サブユニット30」と記載する。また、2つの子機200のうちサブユニット30a側を「子機200a」、サブユニット30b側を「子機200b」と記載する場合があり、これらを特に区別せずに説明する場合には「子機200」と記載する。
【0029】
サブユニット30において、子機200には、複数の機器100が通信可能に接続される。なお、子機200と機器100とは、有線通信を介して接続されるが、これに限られず、無線通信を介して接続されてもよい。
【0030】
子機200は、例えばCPU、ROM、RAMなどを備えたマイクロコンピュータを有する中継機器として機能する。例えば、子機200は、親機50から送信される信号や情報を受信して、接続される複数の機器100へそれぞれ送信することができる。また、例えば、子機200は、接続される複数の機器100からそれぞれ送信される信号や情報を受信して、親機50へ送信することができる。すなわち、機器100は、子機200を介して親機50と通信する。
【0031】
機器100は、上記したように複数ある。図2では、理解の便宜のため、子機200aに2つの機器100が接続され、子機200bに2つの機器100が接続される例を示しているが、機器100の数は、図2に示される数に限定されるものではない。また、以下では、子機200aに接続される2つの機器100のうち一方を「機器100a1」、他方を「機器100a2」と記載する場合がある。また、子機200bに接続される2つの機器100のうち一方を「機器100b1」、他方を「機器100b2」と記載する場合がある。また、これらを特に区別せずに説明する場合には「機器100」と記載する。
【0032】
なお、本実施形態に係る車両制御システム1においては、サブユニット30内の機器100の追加(取り付け)あるいは削除(取り外し)などを任意に行うことができ、また、サブユニット30自体の追加や削除なども任意に行うことができる。換言すれば、追加、削除や交換が行われやすい機器、例えばユーザが好みに合わせて選択搭載したり、交換したりする機器は、サブユニット30内の機器100として設定するのが好ましい。
【0033】
<親機(通信装置)>
次に、親機50について図3等を参照して説明する。図3は、親機(通信装置)50の構成例を示すブロック図である。なお、図3のブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0034】
換言すれば、図3のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0035】
図3に示すように、親機50は、通信部51と、出力部52と、所定機器用通信部53と、制御部60と、記憶部70とを備える。
【0036】
通信部51は、子機200等に対して双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、例えば子機200等との間で信号や情報の送受信を行う。
【0037】
出力部52は、後述するように親機50と機器100との通信条件が成立しなかったことを示す情報など、各種の情報を出力する。例えば、出力部52は、ディスプレイなどの表示部やスピーカなどの音声出力部、警告灯などを含み、各種の情報をユーザ(例えば機器100の取り換え作業などを行う作業者)へ出力する。
【0038】
所定機器用通信部53は、所定機器20(図1参照)等に対して双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、例えば所定機器20等との間で信号や情報の送受信を行う。
【0039】
制御部60は、取得部61と、判定部62と、決定部63と、通知部64と、処理部65とを備え、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0040】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部60の取得部61、判定部62、決定部63、通知部64および処理部65として機能する。
【0041】
また、制御部60の取得部61、判定部62、決定部63、通知部64および処理部65の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0042】
また、記憶部70は、例えば、不揮発性メモリ、データフラッシュやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部70には、通信情報71が記憶される。
【0043】
通信情報71は、機器100における通信に関する通信情報である。ここで、図4を用いて、通信情報71について説明する。図4は、通信情報71の一例を示す図である。
【0044】
図4に示すように、通信情報71には、「子機ID」、「機器ID」、「通信量」および「通信制御周期」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0045】
「子機ID」は、子機200を識別する識別情報である。図4の例では、子機ID「Ca」は子機200aを示す識別情報であり、子機ID「Cb」は子機200bを示す識別情報である。
【0046】
「機器ID」は、機器100を識別する識別情報である。図4の例では、機器ID「Da1」は機器100a1を示す識別情報であり、機器ID「Da2」は機器100a2を示す識別情報である。また、機器ID「Db1」は機器100b1を示す識別情報であり、機器ID「Db2」は機器100b2を示す識別情報である。
【0047】
「通信量」は、機器100の通信量を示す情報である。詳しくは、「通信量」は、機器100が1回の通信で(言い換えると1回の通信制御周期の間で)、親機50と送受信する通信量[byte]を示す情報である。
【0048】
図4の例では、通信量「Tra」は機器100a1の通信量を示す情報であり、通信量「Tra」は機器100a2の通信量を示す情報である。また、通信量「Trb」は機器100b1の通信量を示す情報であり、通信量「Trb」は機器100b2の通信量を示す情報である。なお、図4に示す例では、便宜上、「通信量」を「Tra」といったように抽象的な記載とするが、「Tra」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0049】
「通信制御周期」は、機器100の通信制御周期を示す情報である。詳しくは、「通信制御周期」は、機器100による通信処理の制御周期[ms]を示す情報であり、より詳しくは機器100が今回の通信処理を開始してから当該通信処理が完了し次回の通信処理を開始するまでの時間[ms]を示す情報である。
【0050】
図4の例では、通信制御周期「Ta」は機器100a1の通信制御周期を示す情報であり、通信制御周期「Ta」は機器100a2の通信制御周期を示す情報である。また、通信制御周期「Tb」は機器100b1の通信制御周期を示す情報であり、通信制御周期「Tb」は機器100b2の通信制御周期を示す情報である。
【0051】
このように、通信情報71には、複数の機器100のそれぞれの通信量、および、複数の機器100のそれぞれの通信制御周期の情報が含まれる。これら通信量および通信制御周期は、機器100ごとに予め設定される。
【0052】
図3の説明に戻ると、制御部60の取得部61は、複数の機器100における通信に関する通信情報を取得する。例えば、取得部61は、所定タイミングが到来した場合に、複数の機器100の通信情報を取得する。詳しくは、取得部61は、親機50を含むメインユニット10の電源が投入される度に、複数の機器100の通信情報を取得する。取得部61は、取得された情報を記憶部70に通信情報71として登録する。
【0053】
具体的には、取得部61は、親機50を含むメインユニット10の電源が投入されると、子機200(図2参照)を介して機器100の通信情報を取得することができる。すなわち、例えば複数の機器100のそれぞれが有する記憶部に自身の通信情報が予め記憶され、親機50を含むメインユニット10の電源が投入されると、子機200は、接続される複数の機器100から通信情報を集約する。そして、取得部61は、機器100から子機200へ集約された通信情報を取得する。
【0054】
このように、本実施形態にあっては、通信情報を子機200へ集約させて取得するように構成したので、例えば機器100の数が増加して通信情報の数が増加するような場合であっても、複数の機器100の通信情報を容易にかつ確実に取得することができる。
【0055】
なお、車両の電源がオンされて親機50を含むメインユニット10に通電される場合、取得部61は、車両の電源がオンされる度に通信情報を取得してもよい。また、上記では、取得部61は、機器100から子機200を介して通信情報を取得するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば子機200の記憶部あるいは親機50の記憶部70に、機器100の通信情報がPC(Personal Computer)、スマートフォンやタブレット端末などの外部装置によって登録され、取得部61は、かかる記憶部から通信情報を取得してもよい。
【0056】
判定部62は、現在接続される複数の機器100と親機50とが正常に通信できるか否かを判定する。詳しくは、判定部62は、複数の機器100と親機50との通信が可能な条件を示す通信条件が成立するか否かの判定処理を実行する。
【0057】
具体的に説明すると、親機50にあっては、上記したように、機器100が取り換えられたり、追加で新しく取り付けられたりする場合がある。かかる場合に、現在接続される機器100と親機50とが通信したときの通信状況が、親機50の通信能力(スペック)を超えるなどしてしまうと、正常に通信できなくなるおそれがある。
【0058】
そこで、本実施形態にあっては、接続される複数の機器100の通信情報に基づいて、複数の機器100と親機50とが通信したときの通信状況が、親機50の通信能力を超えない条件を満たすか否かの判定を行うようにした。言い換えると、本実施形態にあっては、複数の機器100と親機50との通信が可能な条件(通信条件)が成立するか否かの判定を行うようにした。
【0059】
これにより、親機50に接続される機器100が、親機50の通信能力等に応じた適切なものであるか否かを判定することができる。
【0060】
以下、判定部62の判定処理についてさらに詳しく説明する。判定部62は、判定処理に先立ち、次の4つの値を算出する。
1.複数の機器100の通信制御周期の中で最も短い最短通信制御周期Tminの算出。
2.複数の機器100の全ての通信量を示す全通信量Wの算出。
3.最短通信制御周期の場合に通信に要する伝送速度を示す必要伝送速度Sの算出。
4.複数の機器100の全ての通信が完了するまでの通信完了時間Txの算出。
【0061】
各値について具体的に説明すると、最短通信制御周期Tminは、下記の式(1)により算出される。
Tmin[ms]=min(Ta,Ta,・・・,Tb,Tb,・・・)
・・・式(1)
【0062】
具体的には、判定部62は、記憶部70の通信情報71から、複数の機器100の通信制御周期を読み出し、式(1)を用いて、複数の機器100の通信制御周期の中で最も短い通信制御周期を最短通信制御周期Tminとして算出する。
【0063】
全通信量Wは、下記の式(2)により算出される。
W[byte]=ΣTra+ΣTrb+・・・ n=1,2,・・・
・・・式(2)
【0064】
具体的には、判定部62は、記憶部70の通信情報71から、複数の機器100の通信量を読み出し、式(2)を用いて、複数の機器100の全ての通信量を加算して全通信量Wを算出する。すなわち、複数の機器100の中には、種類によって通信が断続的に行われるものがある。ここでは、そのような機器100も含めて、複数の機器100の全てにおいて通信が行われたと仮定したときの通信量であり、言い換えると、複数の機器100と親機50との間で最も通信量が多い状態のときの通信量を、全通信量Wとして算出している。
【0065】
必要伝送速度Sは、下記の式(3)により算出される。
S[bps]=W[byte]×8×1000/Tmin[ms]×任意のマージン
・・・式(3)
【0066】
具体的には、判定部62は、式(2)で算出された全通信量Wと、式(1)で算出された最短通信制御周期Tminとに基づいて、最短通信制御周期Tminの場合に複数の機器100と親機50との通信に要する必要伝送速度Sを算出する。ここでは、最短通信制御周期Tminの間に(言い換えると、最短通信制御周期を有する機器100が今回の通信処理を開始してから当該通信処理が完了し次回の通信処理を開始するまでの間に)、複数の機器100の全通信量Wの通信を完了させるのに必要な伝送速度を必要伝送速度Sとして算出している。すなわち、必要伝送速度Sは、複数の機器100と親機50との間で最も多い全通信量Wを最短通信制御周期Tminで通信を完了させると仮定したときの伝送速度である。なお、式(3)中の「8」および「1000」は、[byte]や[ms]を[bps]に単位換算するための値である。
【0067】
通信完了時間Txは、下記の式(4)により算出される。
通信完了時間Tx[ms]={(ΣTra[byte]×8)/(WS[bps]/1000)×任意のマージン}+{(ΣTrb[byte]×8)/(WS[bps]/1000)×任意のマージン}+・・・ n=1,2,・・・
・・・式(4)
【0068】
式(4)中の「WS」は、親機50の伝送速度を示し、親機50の通信能力を示すものである。親機50の伝送速度WSは、例えば親機50の記憶部70に予め記憶される。
【0069】
具体的には、判定部62は、記憶部70から、複数の機器100の通信量と伝送速度WSとを読み出し、式(4)を用いて、複数の機器100の全ての通信が完了するまでの通信完了時間Txを算出する。ここでは、親機50の実際の伝送速度WSで通信した場合に、子機200a,200bごとに通信完了に要する時間を算出し、算出された時間を加算して通信完了時間Txとして算出している。詳しくは、例えば子機200aに接続される機器100a1,100a2の全ての通信量を加算して得られた通信量を伝送速度WSで通信した場合に通信完了に要する時間、および、子機200bに接続される機器100b1,100b2の全ての通信量を加算して得られた通信量を伝送速度WSで通信した場合に通信完了に要する時間を加算して通信完了時間Txとして算出している。すなわち、通信完了時間Txは、複数の機器100(子機200)と親機50との間で最も多い全通信量Wを伝送速度WSで通信を完了させると仮定したときの時間である。なお、式(4)中の「8」および「1000」は、単位換算するための値である。
【0070】
そして、判定部62は、上記のように算出された最短通信制御周期Tmin、必要伝送速度S、通信完了時間Tx、および、親機50の伝送速度WSを用いて、接続される複数の機器100と親機50との通信が可能な条件(通信条件)が成立するか否かを判定する判定処理を実行する。
【0071】
具体的な通信条件は、下記の式(5)および式(6)で示される。判定部62は、式(5)および式(6)の両方が成立した場合に、接続される複数の機器100と親機50との通信が可能である、言い換えると、正常に通信できると判定する。
【0072】
WS[bps]>S[bps] ・・・式(5)
Tmin[ms]>Tx[ms] ・・・式(6)
【0073】
具体的に式(5)は、親機50の通信能力を示す伝送速度WSが、最短通信制御周期Tminの場合に通信に要する必要伝送速度Sより大きいことを示す通信条件である。ここで、必要伝送速度Sは、上記したように、複数の機器100と親機50との間で最も多い全通信量Wを最短通信制御周期Tminで通信を完了させると仮定したときの伝送速度である。従って、この必要伝送速度Sより親機50の伝送速度WSが大きければ、最も多い全通信量Wの場合であっても、複数の機器100と親機50との正常な通信が可能であると判定することができる。
【0074】
このように、判定部62は、全通信量Wと最短通信制御周期Tminとを算出し、算出された全通信量Wと最短通信制御周期Tminとに基づいて必要伝送速度Sを算出し、算出された必要伝送速度Sと、親機50の伝送速度WSとに基づいて判定処理を実行するようにした。
【0075】
これにより、親機50に接続される機器100が、親機50の伝送速度WSに応じた適切なものであるか否かを精度よく判定することができる。
【0076】
次に、式(6)について説明する。式(6)は、最短通信制御周期Tminが通信完了時間Txより長いことを示す通信条件である。ここで、通信完了時間Txは、上記したように、複数の機器100(子機200)と親機50との間で最も多い全通信量Wを伝送速度WSで通信を完了させると仮定したときの時間である。従って、この通信完了時間Txより最短通信制御周期Tminが長ければ、最も多い全通信量Wにおいて今回の通信処理での通信が完了する前に、最短通信制御周期Tminを有する機器100の次回の通信処理が到来することはなく、よって複数の機器100と親機50との正常な通信が可能であると判定することができる。
【0077】
このように、判定部62は、通信完了時間Txと最短通信制御周期Tminを算出し、算出された通信完了時間Txと最短通信制御周期Tminとに基づいて判定処理を実行するようにした。
【0078】
これにより、親機50に接続される機器100が、最短通信制御周期Tminを有する機器100に応じた適切なものであるか否かを精度よく判定することができる。
【0079】
判定部62は、式(5)および式(6)の両方が成立した場合、接続される複数の機器100と親機50との通信が可能であり、通信条件が成立すると判定する。一方、判定部62は、式(5)および式(6)の少なくとも一方が成立しない場合、接続される複数の機器100と親機50との正常な通信ができず、通信条件が成立しないと判定する。そして、判定部62は、判定結果を示す情報を決定部63および通知部64へ出力する。
【0080】
決定部63は、通信情報に基づいて、複数の機器100と親機50との通信スケジュールを決定することができる。詳しくは、決定部63は、電源が投入される度に、取得される通信情報に基づいて通信スケジュールを決定する。これにより、本実施形態にあっては、通信スケジュールを現在接続される機器100に即した適切なものとすることができる。
【0081】
ここで、通信スケジュールの決定処理について図5を参照して説明する。図5は、通信スケジュールの決定処理を説明する図である。
【0082】
図5の説明に入る前に、決定部63によって事前に算出される値について説明する。決定部63は、通信スケジュールの決定処理に先立ち、次の2つの値を子機200ごとに算出する。
1.各子機200に接続される機器100の通信制御周期の中で最も短い最短通信制御周期Tamin,Tbminの算出。
2.各子機200において全ての通信が完了するまでの通信完了時間Txa,Txbの算出。
【0083】
各値について具体的に説明すると、各子機200における最短通信制御周期Tamin,Tbminは、下記の式(7)により算出される。
Tamin[ms]=min(Ta,Ta,・・・)
Tbmin[ms]=min(Tb,Tb,・・・)
・・・式(7)
【0084】
具体的には、決定部63は、記憶部70の通信情報71から、複数の機器100の通信制御周期を読み出し、式(7)を用いて、各子機200に接続される複数の機器100の通信制御周期の中で最も短い通信制御周期を、子機200ごとに最短通信制御周期Tamin,Tbminとして算出する。
【0085】
各子機200における通信完了時間Txa,Txbは、下記の式(8)により算出される。
通信完了時間Txa[ms]={(ΣTra[byte]×8)/(WS[bps]/1000)×任意のマージン} n=1,2,・・・
通信完了時間Txb[ms]={(ΣTrb[byte]×8)/(WS[bps]/1000)×任意のマージン} n=1,2,・・・
・・・式(8)
【0086】
具体的には、決定部63は、記憶部70から、複数の機器100の通信量と伝送速度WSとを読み出し、式(8)を用いて、各子機200に接続される複数の機器100の全ての通信が完了するまでの通信完了時間Txa,Txbを算出する。ここでは、親機50の実際の伝送速度WSで通信した場合に、子機200a,200bごとに通信完了に要する時間を算出している。なお、式(8)中の「8」および「1000」は、単位換算するための値である。
【0087】
そして、決定部63は、上記のように算出された、最短通信制御周期Tamin,Tbminおよび通信完了時間Txa,Txbを用いて、通信スケジュールを決定する(設定する)。例えば、図5に示すように、決定部63は、通信制御が開始されてから子機200aに対応する最短通信制御周期Taminが経過して時刻t1になると、子機200aの通信制御を開始させる。すなわち、決定部63は、子機200aに接続されている機器100a1,100a2と親機50とが通信を開始するように通信スケジュールを決定する。そして、時刻t1から子機200aにおける通信完了時間Txaが経過すると、子機200aに接続された機器100a1,100a2の通信が完了する(時刻t2参照)。
【0088】
また、決定部63は、機器100a1,100a2の通信が完了するとともに、通信制御が開始されてから子機200bに対応する最短通信制御周期Tbminが経過して時刻t3になると、子機200bの通信制御を開始させる。すなわち、決定部63は、子機200bに接続されている機器100b1,100b2と親機50とが通信を開始するように通信スケジュールを決定する。そして、時刻t3から子機200bにおける通信完了時間Txbが経過すると、子機200bに接続された機器100b1,100b2の通信が完了する(時刻t4参照)。
【0089】
また、決定部63は、子機200aに接続された機器100a1,100a2の通信が開始される時刻t1から、最短通信制御周期Taminが経過した時刻t5において、次回の子機200aの通信制御を開始させるような通信スケジュールを決定する。同様に、決定部63は、子機200bに接続された機器100b1,100b2の通信が開始される時刻t3から、最短通信制御周期Tbminが経過した時刻t6において、次回の子機200bの通信制御を開始させるような通信スケジュールを決定する。
【0090】
このように、本実施形態に係る決定部63は、機器100の通信量および通信制御周期に基づいて通信スケジュールを決定する。詳しくは、決定部63は、機器100の通信量および通信制御周期、式(7)(8)に基づいて算出される、最短通信制御周期Tamin,Tbminおよび通信完了時間Txa,Txbに基づいて通信スケジュールを決定する。これにより、通信スケジュールを現在接続される機器100に即したより適切なものとすることができる。
【0091】
なお、図5では、子機200aにおける通信処理と、子機200bにおける通信処理とが重複せずにずれる例を示しているが、例えば各子機200a,200bの通信処理が重複する場合は、予め設定される所定条件に応じてどちらかの通信処理が行われるような通信スケジュールが決定されてもよい。
【0092】
一例としては、各子機200a,200bに対して予め優先度が設定され、通信処理が重複する場合は、優先度が高い方の通信処理が先に行われるような通信スケジュールが決定されてもよい。また、別の例としては、通信開始順に応じて通信スケジュールが決定されてもよい。詳しくは、通信処理が重複する場合は、先に開始された通信処理が完了してから、重複する別の通信処理が行われるような通信スケジュールが決定されてもよい。
【0093】
また、決定部63は、判定部62によって上記した通信条件が成立すると判定された場合、通信スケジュールを決定してもよい。逆に言えば、決定部63は、通信条件が成立しないと判定された場合、通信スケジュールを決定(設定)しないようにしてもよい、すなわち、通信スケジュールの決定を禁止してもよい。
【0094】
これにより、決定部63は、例えば接続される複数の機器100と親機50とが正常に通信できる場合に限り、通信スケジュールを決定することができる。言い換えると、決定部63は、例えば接続される複数の機器100と親機50とが正常に通信できないおそれがある場合に、通信スケジュールを決定してしまうなど、不要な決定処理を行って処理負荷が増大してしまうことを回避することができる。
【0095】
図3の説明を続けると、通知部64は、判定部62による判定処理の結果を通知することができる。例えば、通知部64は、判定部62によって通信条件が成立しないと判定された場合、通信条件が成立しなかったことを示す情報を通知することができる。
【0096】
具体的には、通知部64は、通信条件が成立しなかったことを示す情報を出力部52を介してユーザ(例えば機器100の取り換え作業などを行う作業者)に通知する。一例として、通知部64は、通信条件が不成立であったことを示す情報を、出力部52である表示部に表示させたり、音声出力部から出力させたり、警告灯を点灯させたりして通知する。
【0097】
これにより、本実施形態にあっては、例えば現在親機50に接続されている機器100では、正常に通信できないおそれがあることをユーザに対して認識させることが可能になる。従って、ユーザは、接続されている機器100を別の機器100に取り換えたり、取り外したりするなど適切な対応をとることが可能になる。
【0098】
なお、上記した通信条件が成立するか否かの判定処理や、通信スケジュールの決定処理などについては、例えば遺伝的アルゴリズム等を用いて最適解を算出するなど、各種の手法を用いて行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0099】
処理部65は、メインユニット10の制御装置40(図1、2参照)や、メインユニット10に接続される所定機器20(図1参照)に対する各種の処理を行う。例えば、処理部65は、制御装置40あるいは所定機器20からの要求に応じて、所定機器20のうち、サブユニット30側の機器100と協調制御するような所定機器20に対し、機器100の出力データを所定機器用通信部53を介して送信する処理などを行う。
【0100】
<実施形態に係る親機(通信装置)の制御処理>
次に、親機(通信装置)50における具体的な処理手順について図6を用いて説明する。図6は、親機(通信装置)50が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0101】
図6に示すように、親機50は、所定タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS10)。ここで、所定タイミングは、例えば親機50を含むメインユニット10の電源が投入されるタイミングとされることから、ステップS10は、メインユニット10の電源が投入されたか否かを判定する処理であるともいえる。
【0102】
親機50は、所定タイミングが到来していないと判定された場合(ステップS10,No)、以降の処理をスキップする。一方、親機50は、所定タイミングが到来したと判定された場合(ステップS10,Yes)、すなわちメインユニット10の電源が投入された場合、複数の機器100における通信に関する通信情報を取得する(ステップS11)。このように、親機50は、電源が投入される度に、複数の機器100の通信情報を取得する。
【0103】
次いで、親機50は、取得された通信情報に基づいて、複数の機器100と親機50との通信が可能な条件を示す通信条件が成立するか否かを判定する(ステップS12)。親機50は、通信条件が成立すると判定された場合(ステップS12,Yes)、取得された通信情報に基づいて、複数の機器100と親機50との通信スケジュールを決定する(ステップS13)。
【0104】
一方、親機50は、通信条件が成立しないと判定された場合(ステップS12,No)、通信条件が成立しなかったことを示す情報を通知する処理を行う(ステップS14)。
【0105】
なお、上記では、所定タイミングは、メインユニット10の電源が投入されるタイミングとされるようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、所定タイミングは、親機50に対して機器100が取り換えられたり、追加で新規に取り付けられて接続されたり、取り外されたり(離脱したり)したタイミングや、所定間隔ごとのタイミング等、任意に設定可能である。なお、電源の投入後に追加される機器100は、例えばオーディオやビジュアル機器等、電源投入後の接続で安全等に影響の無い機器であるが、これに限られない。
【0106】
上述してきたように、実施形態に係る親機(通信装置)50は、複数の機器100と無線通信を介して接続される。親機50は、取得部61と、決定部63とを備える。取得部61は、複数の機器100における通信に関する通信情報を取得する。決定部63は、取得部61によって取得された通信情報に基づいて、複数の機器100と親機50との通信スケジュールを決定する。これにより、接続される機器に応じた適切なタイミングで通信を行うことができる。
【0107】
<変形例>
次いで、変形例に係る親機(通信装置)50を含む車両制御システム1の構成について図7を参照しつつ説明する。図7は、変形例に係る親機(通信装置)50を含む車両制御システム1の構成例を示すブロック図である。なお、以下においては、実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0108】
変形例に係る車両制御システム1においては、メインユニット10の親機50と、サブユニット30の機器100とが無線通信を介して直接接続される。すなわち、親機50と機器100とは、実施形態の子機200を介さずに通信可能に接続される。
【0109】
変形例に係る親機50は、実施形態と同様に、親機50を含むメインユニット10の電源が投入されるなど所定タイミングが到来すると、複数の機器100の通信情報を取得し、取得された通信情報に基づいて通信スケジュールを決定する。これにより、実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0110】
なお、変形例に係る機器100は、例えばECUなどを有する制御機器であってもよい。また、上記した実施形態および変形例を適宜に組み合わせてもよい。すなわち、親機50に対して、複数の機器100のうちの一部が子機200を介して接続され、その他の機器100が子機200を介さずに接続されるようにしてもよい。
【0111】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 車両制御システム
50 通信装置(親機)
61 取得部
62 判定部
63 決定部
64 通知部
100 機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7