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特許7592529電装パネル、防災機器収納装置、及び防災機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】電装パネル、防災機器収納装置、及び防災機器
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/20 20060101AFI20241125BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
A62C35/20
H05K5/03 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021049525
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148014
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 みのり
(72)【発明者】
【氏名】梅原 寛
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-051080(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0094427(KR,A)
【文献】特開2018-130210(JP,A)
【文献】国際公開第2019/123502(WO,A1)
【文献】特開2018-139704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 35/20
H05K 5/03
G08B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機に火災通報を行うための発信機を少なくとも含む複数の電装機器が設置された防災機器収納装置の電装パネルであって、
設置される所定の電装機器に対応した配置開口がパネル前面からパネル裏面に貫通して防災機器収納装置の底面からの高さが各々異なる複数箇所に形成されたパネル本体と、
前記配置開口の何れかに前記所定の電装機器を配置して、前記パネル本体に取り付け可能とする機器取付構造と、
前記所定の電装機器が配置されない配置開口の位置に配置され、当該配置開口を閉鎖するように前記パネル本体に取り付けられる閉鎖部材と、
か設けられたことを特徴とする電装パネル。
【請求項2】
請求項1記載の電装パネルに於いて、
前記機器取付構造は、
前記所定の電装機器が取り付けられたベース部材と、
前記配置開口の何れかに前記所定の電装機器を配置して、前記ベース部材を前記パネル本体に取り付け可能とする取付支持部材と、
を備えたことを特徴とする電装パネル。
【請求項3】
請求項2記載の電装パネルに於いて、
前記所定の電装機器は、前記発信機と、前記火災通報に対する前記受信機からの応答表示を行うための応答表示灯とであり、
前記所定の電装機器に対応した配置開口は、前記発信機の配置開口と前記応答表示灯の配置開口とであり、
前記ベース部材には、前記発信機の配置開口と前記応答表示灯の配置開口に対応して前記発信機と前記応答表示灯が取り付けられ、
前記取付支持部材は、前記発信機の配置開口と前記応答表示灯の配置開口の何れかに前記発信機及び前記応答表示灯を配置して、前記ベース部材を前記パネル本体に取り付け可能とし、
前記閉鎖部材は、前記発信機及び前記応答表示灯が配置されない前記発信機の配置開口と前記応答表示灯の配置開口の位置に配置され、当該配置開口を閉鎖するように前記パネル本体に取り付けられることを特徴とする電装パネル。
【請求項4】
請求項3記載の電装パネルに於いて、
前記ベース部材に非常電話の電話ジャックが取り付けられたことを特徴とする電装パネル。
【請求項5】
請求項3又は4記載の電装パネルに於いて、
前記パネル本体に、前記発信機の配置開口の各々の位置に対応して前記発信機の火災通報操作を示すためのSOS表示板を前記パネル前面側に配置して取り付け可能とする取付構造が形成され、
前記発信機が配置された配置開口の位置に対応した前記SOS表示板の取付構造に対して前記SOS表示板が配置され取り付けられることを特徴とする電装パネル。
【請求項6】
請求項5記載の電装パネルに於いて、
前記SOS表示板の取付構造は、前記パネル本体に形成されたねじ穴であり、
前記発信機が配置された配置開口の位置に対応した前記ねじ穴に対して前記SOS表示板がねじ止め固定され、前記発信機が配置されない配置開口の位置に対応した前記ねじ穴はねじの取付けにより閉鎖されることを特徴とする電装パネル。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の電装パネルを有することを特徴とする防災機器収納装置。
【請求項8】
請求項7記載の防災機器収納装置を備えたことを特徴とする防災機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信機や応答表示灯などの電装機器が設けられた消火栓装置等の防災機器収納装置の電装扉等の電装パネル、当該電装パネルを有する防災機器収納装置、及び当該防災機器収納装置を備えた防災機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防災機器収納装置の一種である高速道路や自動車専用道路などのトンネル内に設置する消火栓装置は、開閉自在な消火栓扉を備えた筐体の消火栓収納部に、先端にノズルを装着したホースとバルブ類が収納され、また、開閉自在な消火器扉を備えた消火器収納部に、例えば2本の消火器が収納され、更に消火栓扉と消火器扉の間に扉構造とした電装パネルである電装扉が設けられ、電装扉には赤色表示灯、発信機(火災通報装置)及び応答ランプ(応答表示灯)が設けられ、また電装扉の裏側面には電話ジャックが設けられている。
【0003】
赤色表示灯は常時点灯し、消火栓装置の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災が発生した場合には、発信機を押して押し釦スイッチをオンすると、発信信号が電気室の防災受信盤に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が防災受信盤から送られて、応答ランプが点灯し、更に、赤色表示灯が点滅する。
【0004】
ところで、消火栓装置10は、一般的に、図10に示すように、車道面102から高さh1(=1000mm)の監視員通路104aを基準に設置される場合と、図11に示すように、高さh11(=250mm)の高さの監視員通路104bを基準に設置される場合がある。
【0005】
図10に示す高さh1の監視員通路104aの場合は、通常、監視員通路104aの路面から高さh2(=100mm)高い位置に消火栓装置10の架台11を設置し、その上に消火栓装置10を設置するようにトンネル躯体に箱抜きして、架台11及び消火栓装置10を設置している。
【0006】
一方、図11に示す高さh11の監視員通路104bの場合は、監視員通路104bの路面から高さh12(=750mm)高い位置に消火栓装置10の架台11を設置し、その上に消火栓装置10を設置するようにトンネル躯体に箱抜きして、架台11及び消火栓装置10を設置している。
【0007】
また、消火栓装置10の車道面102からの設置高さは、トンネル躯体の形状等の特徴、設計によって変化する場合がある。
【0008】
ここで、図10及び図11の説明では、X-Y-Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、消火栓装置10の電装扉12が設置される前面を正面に見て、X方向を左右方向とし、Y方向を上下方向とし、Z方向を前後方向とする。また、X方向における+X側を右側、-X側を左側とし、Y方向における+Y側を上側、-Y側を下側とし、Z方向における+Z側を前側、-Z側を後側とする。この点は本発明の実施形態となる図1図9においてもX-Y-Z方向は同様となる。
【0009】
図10及び図11で示したように消火栓装置10の監視員通路の路面からの設置高さが異なっていても、消火栓装置10の電装扉12に設けられた発信機24は、非常時の通報を確実に行えることが考慮され、消防法においては、監視員通路の路面など人が操作する場合に立つ面から、800mm~1500mmの間の高さに取り付けることが規定されている。
【0010】
従って、図10に示す高さh1の監視員通路104aの場合、発信機24は、監視員通路104aの路面からの高さをH1として、H1が800mm~1500mmとなるように取り付けられる必要がある。例えば、監視員通路104aの路面から架台11の底面までの高さh2に、架台106の高さh3を例えば40mm、消火栓装置10の底面から発信機24までの高さh4を例えば660mmとし、合計すると、
H1=h2+h3+h4=100+40+660=800mm
となり、発信機24は消防法で規定される範囲内の高さで取り付けられることになる。
【0011】
また、図11に示す高さh11の監視員通路104bの場合、発信機24は、監視員通路104bの路面からの高さをH2として、H2が800mm~1500mmとなるように取り付けられる必要がある。監視員通路104bの路面から架台11の底面までの高さh12に、架台11の高さを例えば図10の場合と同じくh3、消火栓装置10の底面から発信機24までの高さを例えば図10の場合と同じくh4とし、合計すると、
H2=h12+h3+h4=750+40+660=1450mm
となり、発信機24は消防法で規定される範囲内の高さで取り付けられることになる。
【0012】
このように従来の消火栓装置10は、電装扉12に設けられた発信機24の位置を所定の高さに固定し、高さh1の監視員通路104aと高さh11の監視員通路104bの両方において、共通の電装扉12を備える消火栓装置10を設置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2016-055073号公報
【文献】特開2018-139704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、近年、前述した通り消火栓装置の車道面からの設置高さがトンネル躯体の形状等の特徴、設計によって変化することがあり、このような場合は、消火栓装置に設けられた発信機の位置を変更しないと、発信機の高さが消防法で規定された範囲に入らない場合があり、その都度新しい電装扉を含めた消火栓装置の形状検討、詳細設計、及び製造をする必要があり、また新しい電装扉に対応して付随するケーブルの配線ルート、固定方法等も変えなければならず、非効率で煩雑な問題が発生することがあった。
【0015】
また、図11に示した高さh11の監視員通路104bにおける発信機24の高さは、消防法の規定は満足するものの、高さH2が1450mmとなっており、監視員通路104bの路面に立った操作者にとって操作位置が高く、人によっては操作しにくい高さとなっている。
【0016】
さらに、トンネル等級のランクアップやランクダウンの際に監視員通路を追加し、人が操作する場合に立つ面の高さが変更される場合があり、そのような場合に電装扉を含めた消火栓装置を新しいものに交換することなく、発信機の設置位置を消防法で規定された範囲とすることが望まれる。
【0017】
本発明は、発信機及び応答ランプ等の電装機器の設置位置を、消火栓装置等の防災機器収納装置の設置状況や操作者の立ち位置等に対応して、簡単且つ容易に電装機器の設置位置を変更可能とする電装機器の取付構造、当該取付構造を有する電装扉等の電装パネル、当該電装パネルを有する防災機器収納装置、及び当該防災機器収納装置を備えた防災機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(電装パネル)
本発明は、複数の電装機器が設置された防災機器収納装置の電装パネルであって、
設置される所定の電装機器に対応した配置開口がパネル前面(前面、表側面)からパネル裏面(裏面、裏側面)に貫通して防災機器収納装置の底面からの高さが各々異なる複数箇所に形成されたパネル本体と、
配置開口の何れかの位置に所定の電装機器を配置して、パネル本体に取り付け可能とする機器取付構造と、
所定の電装機器が配置されない配置開口の位置に配置され、当該配置開口を閉鎖するようにパネル本体に取り付けられる閉鎖部材と、
か設けられたことを特徴とする。
【0019】
(機器取付構造)
機器取付構造は、
所定の電装機器が取り付けられたベース部材と、
配置開口の何れかの位置に所定の電装機器を配置して、ベース部材をパネル本体に取り付け可能とする取付支持部材と、
を備える。
【0020】
(発信機と応答表示灯の設置位置)
所定の電装機器は、受信機に火災通報を行うための発信機と、火災通報に対する受信機からの応答表示を行うための応答表示灯とであり、
所定の電装機器に対応した配置開口は、発信機の配置開口と応答表示灯の配置開口とであり、
ベース部材には、発信機の配置開口と応答表示灯の配置開口に対応して発信機と応答表示灯が取り付けられ、
取付支持部材は、発信機の配置開口と応答表示灯の配置開口の何れかに発信機及び応答表示灯を配置して、ベース部材をパネル本体に取り付け可能とし、
閉鎖部材は、発信機及び応答表示灯が配置されない発信機の配置開口と応答表示灯の配置開口の位置に配置され、当該配置開口を閉鎖するようにパネル本体に取り付けられる。
【0021】
(電話ジャックの取り付け)
ベース部材に、非常電話の電話ジャックが取り付けられる。
【0022】
(SOS表示板の取り付け)
パネル本体に、発信機の配置開口の各々の位置に対応して発信機の火災通報操作を示すためのSOS表示板をパネル前面側に配置して取り付け可能とする取付構造が形成され、
発信機が配置された配置開口の位置に対応したSOS表示板の取付構造に対してSOS表示板が配置され取り付けられる。
【0023】
(SOS表示板のねじ止め固定)
SOS表示板の取付構造は、パネル本体に形成されたねじ穴であり、
発信機が配置された配置開口の位置に対応したねじ穴に対してSOS表示板がねじ止め固定され、発信機が配置されない配置開口の位置に対応したねじ穴はねじの取付けにより閉鎖される。
【0024】
(防災機器収納装置、防災機器)
本発明は、前述した電装パネルを有する防災機器収納装置、又は当該防災機器収納装置を備えた防災機器を特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
(電装パネルの効果)
本発明によれば、例えば電装パネルに設けている電装機器を操作する人が立つ路面からの電装機器の設置高さが変わり、従来であれば新しい電装パネルを含めた防災機器収納装置の設計及び製造をする必要があった場合でも、電装機器の設置位置が電装パネルの高さが異なる配置開口の何れかに変更可能であることから、電装パネル及び電装パネルを設ける防災機器収納装置の新しい設計及びその製造をすることなく、電装機器の設置高さを法的に規定される範囲内や操作性を考慮した高さに、簡単且つ容易に変更することができる。また、電装機器が配置されていない未使用の配置開口は閉鎖部材を配置して取り付けることで閉鎖して隠すため、見栄えを損なったり、違和感を生じたりすることがないようにでき、また装置内部への異物の流入を防ぐことができる。
【0026】
(機器取付構造の効果)
また、機器取付構造は、所定の電装機器が取り付けられたベース部材と、配置開口の何れかの位置に所定の電装機器を配置して、ベース部材をパネル本体に取り付け可能とする取付支持部材とを備えることで、所定の電装機器、例えば発信機や応答表示灯を纏めて取り付けたベース部材の取付位置の変更により、簡単且つ容易に、電装パネルにおける電装機器の設置位置を変更可能とする。
【0027】
(発信機と応答表示灯の設置位置の効果)
また、電装パネルが設けられる防災機器収納装置は、例えば自動車専用道路などのトンネル内に設置される電装パネルが設けられた消火栓装置であり、消火栓装置の電装パネルに設けられる電装機器は、例えば発信機と発信機に付随した応答表示灯であり、例えば電装パネルを設けている消火栓装置の設置高さが変わっても、発信機の設置位置が高さが異なる配置開口の何れかに変更可能であることから、消火栓装置及び電装パネルの設計や製造などをその都度変更することなく、発信機の設置高さを消防法に規定される範囲内や操作性を考慮した高さに、簡単且つ容易に変更することができる。
【0028】
また、電装パネルを備えた消火栓装置を設置するトンネル内の設置現場の状況に応じて、発信機とそれに伴う電装機品の設置位置を変えることができるので、設置状況が異なる設置現場ごとに発信機を取り付ける電装パネルや消火栓装置の設計や製造などを行う必要がなく、設計や製造などの効率化が期待できる。
【0029】
また、トンネル等級のランクアップやランクダウンの際に監視員通路を追加するトンネル更新工事があり、電装機器を操作する人が立つ路面からの電装機器の設置高さに変更があった場合でも、新規に電装パネルの設計や製造する必要がなく、発信機の設置高さを消防法に規定される範囲内や操作性を考慮した高さに、簡単且つ容易に変更することができる。
【0030】
(電話ジャックの取り付けによる効果)
また、ベース部材に、電話ジャックが取り付けられていることで、発信機及び応答表示灯に合わせ、非常電話の通報操作に使用される電話ジャックについても、操作性の良い最適化された設置位置に簡単且つ容易に変更可能とする。
【0031】
(SOS表示板の取り付けによる効果)
また、パネル本体に、発信機の配置開口の各々の位置に対応してSOS表示板をパネル前面側に配置して取り付け可能とする取付構造が形成され、発信機が配置された配置開口の位置に対応したSOS表示板の取付構造に対してSOS表示板が配置され取り付けられ、具体的な取付構造としてはパネル本体に形成されたねじ穴であり、発信機が配置された配置開口の位置に対応したねじ穴に対してSOS表示板がねじ止め固定され、発信機が配置されない配置開口の位置に対応したSOS表示板の取付ねじ穴はねじの取付けにより閉鎖されることで、発信機の取付位置の変更に対応してSOS表示板の取付位置も簡単に変更することができ、また、取付構造がねじ穴の場合は、未使用の取付位置の取付ねじ穴にねじを入れて塞ぐことで、見栄えを損なったり、違和感を生ずることがないようにでき、また装置内部への異物の流入を防ぐことができる。
【0032】
(防災機器収納装置、防災機器の効果)
当該電装パネルを有する防災機器収納装置、及び当該防災機器収納装置を備えた防災機器についても同じ効果を有するものであるから、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】電装扉が設けられたトンネル用の消火栓装置を示した説明図である。
図2】電装機器の設置位置を上側及び下側に変更した場合の電装扉を示した説明図である。
図3】電装機器を下側に設置した電装扉の実施形態を扉開放状態で扉裏面側から示した説明図である。
図4】電装扉の扉本体の扉裏面側の取付支持部材の構造と未使用の配置開口に対する閉鎖部材の取り付けを示した説明図である。
図5】電装扉の扉本体の扉裏面側に対する電装機器を取り付けたベース部材の取り付けを示した説明図である。
図6】電装機器を取り付けたベース部材を取り出して示した説明図である。
図7】電装機器を上側に設置した電装扉の実施形態を扉開放状態で扉本体の扉裏面側から示した説明図である。
図8】車道面からの高さ1000mmの監視員通路を有するトンネル躯体に消火栓装置を設置した場合の本実施形態の電装扉における発信機の設置高さを示した説明図である。
図9】車道面からの高さ250mmの監視員通路を有するトンネル躯体に消火栓装置を設置した場合の本実施形態の電装扉における発信機の設置高さを示した説明図である。
図10】車道面からの高さ1000mmの監視員通路を有するトンネル躯体に消火栓装置を設置した場合の従来の電装扉における発信機の設置高さを示した説明図である。
図11】車道面からの高さ250mmの監視員通路を有するトンネル躯体に消火栓装置を設置した場合の従来の電装扉における発信機の設置高さを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明に係る電装パネルの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0035】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施形態の基本的概念について説明する。実施形態は、概略的に、所定の電装機器が配置された防災機器収納装置の電装パネルであって、より具体的な一例としては、扉構造を有すると共に、所定の電装機器として発信機と応答表示灯が配置されたトンネルに設置される消火栓装置の電装扉に関するものである。
【0036】
ここで、「電装パネル」とは、防災機器収納装置に設けられ、防災に関する操作や表示を行う電装機器が配置され取り付けられたものであり、防災機器収納装置に開閉可能な扉構造を有して設けられた電装扉等を含む概念であり、「電装扉」は、防災機器収納装置をトンネルに設置される消火栓装置とした場合には、消火栓装置に設けられ、所定の電装機器として少なくとも発信機又は応答表示灯が配置された取り付けられたものを含む概念である。
【0037】
また、「発信機」とは、火災を通報するための機器であり、火災通報操作を行うための操作スイッチ等を含む概念である。また、「応答表示灯」とは、発信機の火災通報に対し受信機側からの信号によって応答表示が行われる表示灯であり、応答ランプを含む概念である。
【0038】
本実施形態の電装パネルは、パネル本体、機器取付構造及び閉鎖部材で構成されるものである。ここで、「パネル本体」とは、所定の電装機器が配置される配置開口がパネル前面(前面、表側面)からパネル裏面(裏面、裏側面)に貫通して防災機器収納装置の底面からの高さが各々異なる複数に形成されたものであり、例えば、所定の電装機器が配置される配置開口が発信機の配置開口と応答表示灯の配置開口として形成されるものである。ここでいう「パネル前面」は、防災機器収納装置に電装パネルが配置された場合に、防災機器収納装置の外部に露出する面であり、「パネル裏面」とはパネル前面の反対側面のことである。また、電装パネルを電装扉とした場合の「パネル本体」は扉板に相当するものである。つまり、電装扉は、パネル本体、機器取付構造及び閉鎖部材に、扉構造を加えて構成されるものである。
【0039】
また、「機器取付構造」とは、パネル本体の複数箇所に形成された配置開口の何れかに所定の電装機器を配置して、パネル本体に選択的に取り付け可能とするものであり、例えば、パネル本体の複数箇所に形成された発信機の配置開口と応答表示灯の配置開口の何れかに発信機と応答表示灯を配置して、パネル本体に選択的に取り付け可能とするものである。ここで「選択的に」とは、何れの配置開口も選択しないことを含むものである。
【0040】
また、「機器取付構造」は、ベース部材と取付支持部材で構成されるものである。ここで、「ベース部材」とは、所定の電装機器として、例えば、発信機と応答表示灯が取り付けられる板部材であり、また、「取付支持部材」とは、パネル本体の複数箇所に形成された配置開口の何れかに所定の電装機器、例えば、発信機と応答表示灯を配置して、ベース部材をパネル本体に取り付け可能とする部材である。
【0041】
また、「閉鎖部材」とは、機器取付構造によって電装機器が配置されない(未使用の)配置開口の位置に配置され、当該他の配置開口を閉鎖するようにパネル本体に取り付けられるものであり、例えば、ベース部材に取り付けられた発信機と応答表示灯とが配置されていない(未使用の)配置開口の位置に配置され、当該他の配置開口を閉鎖するようにパネル本体に取り付けられる閉鎖板などの部材である。
【0042】
また、ベース部材には、非常電話の電話ジャックが取り付けられるものであり、発信機と応答表示灯の設置位置の変更に伴い、パネル本体に設置される電話ジャックの設置位置も変更可能とするものである。
【0043】
また、パネル本体に、発信機の配置開口の各々の位置に対応してSOS表示板をパネル前面側に配置して取り付け可能とする取付構造が形成され、発信機が配置された配置開口の位置に対応したSOS表示板の取付構造に対してSOS表示板が配置され取り付けられるようにしたものである。SOS表示板の取付構造は任意であるが、例えばパネル本体に形成されたネジ穴であり、発信機が配置された配置開口の位置に対応したねじ穴に対してSOS表示板がねじ止め固定され、発信機が配置されない配置開口の位置に対応したねじ穴はねじの取付けにより閉鎖されるものである。ここで、「SOS表示板」とは、発信機の火災通報操作を示すための表示板であり、例えば「SOS」の文字と、発信機を押す旨の図形が表示されているものである。
【0044】
以下、具体的な実施形態を説明する。以下に示す具体的な実施形態では、「防災機器収納装置」が「トンネルに設置される消火栓装置」であり、「電装パネル」が「電装扉」であり、消火栓装置の電装扉に設置される「電装機器」が「発信機」と応答表示灯として機能する「応答ランプ」とを含むものであり、更に、扉裏面(パネル裏面)側に「電話ジャック」が設けられると共に、発信機に対応して「SOS表示板」が設けられる場合について説明する。また、電装パネルの「パネル本体」は、電装扉においては「扉本体」に、パネル本体の「パネル前面」及び「パネル裏面」は、扉本体においては「扉前面」及び「扉裏面」に相当する。
【0045】
[実施形態の具体的内容]
消火栓装置の電装扉について、より詳細に説明する。その内容については以下のように分けて説明する。
a. 消火栓装置
b. 電装扉に対する電装機器の設置
c. 電装機器の設置位置を変更可能とする機器取付構造
d. 監視員通路の相違による発信機位置の変更
【0046】
[a.消火栓装置]
消火栓装置について、より詳細に説明する。図1に示すように、消火栓装置10は、架台11の上に設置され、消火栓側の筐体10aと消火器側の筐体10bに分割された構造であり、筐体10a,10bの前面に化粧板14a,14bが装着されている。
【0047】
消火栓側の化粧板14aの扉開口部は上下に分割され、下側扉開口部にヒンジ15aにより下向きに開く前傾式の消火栓扉14が設置され、上側扉開口部にヒンジ15bにより上向きに開く保守扉16が設置され、その内部にノズル付きのホースと消火栓弁を含むバルブ類が収納部されている。
【0048】
消火器側の化粧板14bの扉開口部の右側には、ヒンジ15cにより右向きに横開きする電装扉12が設けられる。電装扉12には、電装機器として、赤色表示灯20、発信機24及び応答ランプ26が設けられ、また電装扉12の筐体内側には電話ジャックが設けられ、発信機24と応答ランプ26の間にはSOS表示板28が設けられている。
【0049】
赤色表示灯20は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災が発生した場合には、発信機24を押して押し釦スイッチをオンすると、発信信号が電気室の防災受信盤に送信されて火災警報が出力され、これに伴い応答信号が防災受信盤から送られて、赤色表示灯20が点滅し、応答ランプ26が点灯する。
【0050】
電装扉12の左側には、ヒンジ15dにより左に横開きする消火器扉18が設けられ、内部に例えば2本の消火器を収納可能としている。また、消火器扉18の下側には覗き窓22が設けられ、外部から消火器の収納状態の有無を確認可能としている。
【0051】
[b.電装扉に対する電装機器の設置]
電装扉12に対する電装機器の設置について、より詳細に説明する。本実施形態の電装扉に設置される発信機24と応答ランプ26は、図2(A)に示す電装扉12の下側の位置と、図2(B)に示す電装扉12の上側の位置との何れか一方に設置されることを可能とするものである。
【0052】
図2(A)は図1の化粧枠14bの扉開口部に設けられた電装扉12を消火器扉18と共に示しており、発信機24と応答ランプ26の設置位置を電装扉12の下側とした場合を示している。電装扉12の上部に赤色表示灯20が固定され、続いて、発信機配置開口30aと応答ランプ配置開口32aの配置開口配列が設けられ、この上側に位置する配置開口配列は使用されていないことから、閉鎖板38,40により閉鎖されている。また、発信機配置開口30aと応答ランプ配置開口32aの間はSOS表示板が設置されるSOS表示板配置部28aとなるが、未使用であることから4箇所のねじ穴にビス36aを入れて閉鎖している。
【0053】
電装扉12の下側には、上側に位置する配置開口配列と同様に、発信機配置開口と応答ランプ配置開口の配置開口配列が設けられており、そこに筐体内側から発信機24と応答ランプ26が取り付けられている。また、発信機24と応答ランプ26の間には、ビス36bによってSOS表示板28が取り付けられている。SOS表示板28は火災が発生した場合の発信機24の操作を促す表示を行うものであり、一例として、「SOS」の文字と発信機を指で押す旨の図形が表示されている。
【0054】
図2(B)は、発信機24と応答ランプ26の設置位置を電装扉12の上側に変更した場合を示している。この場合、電装扉12に固定された赤色表示灯20の位置は変わらないが、赤色表示灯20に続く電装扉12の上側に形成された発信機配置開口30aと応答ランプ配置開口32aの配置開口配列に対し、筐体内側から発信機24と応答ランプ26が取り付けられている。また、発信機24と応答ランプ26との間には、SOS表示板配置部28aに対しSOS表示板28がビス36aにより取り付けられている。
【0055】
下側に配置される発信機配置開口30bと応答ランプ配置開口32bの配置開口配列は使用されていないことから、閉鎖板38,40により閉鎖されている。また、発信機配置開口30bと応答ランプ配置開口32bの間はSOS表示板の設置されるSOS表示板配置部28bとなるが、未使用であることから4箇所のねじ穴にビス36bを入れて閉鎖している。
【0056】
このように本実施形態の電装扉12にあっては、発信機24と応答ランプ26の設置位置を、筐体内側に設置される電話ジャックを含めて、電装扉12の上側と下側の何れか一方の位置に選択的に設置することを可能とするものであり、これによって発信機24の高さを上側に配置した場合と下側に設置した場合の高さの差分ΔHだけ変更することを可能とするものである。
【0057】
[c.電装機器の設置位置を変更可能とする機器取付構造]
電装扉に対する電装機器の設置位置を変更可能とする機器取付構造について、図3図7を用いてより詳細に説明する。
【0058】
本実施形態の機器取付構造は、図2(A)の電装扉12の下側の位置に設置した場合の電装扉12を開いて扉本体42の扉裏面側を示した図3に示すように、化粧枠14bの右側の扉開口部に電装扉12の扉本体42が上端右側及び下端右側のヒンジ15c(図1参照)により開閉自在に支持されている。
【0059】
扉本体42は図4に示すように、上側から赤色表示灯配置開口20aが形成され、続いて、発信機配置開口30aと応答ランプ配置開口32aを上下に並べた上部配置開口配列48aが形成され、続いて、発信機配置開口30bと応答ランプ配置開口32bを上下に並べた下部配置開口配列48bが形成されている。
【0060】
上部配置開口配列48aの前後両側には取付支持部材44a,44bがスポット溶接などにより扉裏面に固定されている。取付支持部材44a,44bはL形に屈曲した板金製のアングル部材であり、上下2箇所に張出し部51が形成され、取付支持部材44aの張出し部51にはスリット50が形成され、取付支持部材44bの張出し部51には、ねじ穴52が形成されている。
【0061】
下部配置開口配列48bも同様であり、前後両側に取付支持部材44a,44bがスポット溶接などにより扉裏面に固定され、取付支持部材44aの張出し部51にはスリット50が形成され、取付支持部材44bの張出し部51には、ねじ穴52が形成されている。
【0062】
また、電装扉12の下側の位置に電装機器を設置した場合には上部配置開口配列48aは使用しないことから、発信機配置開口30aと応答ランプ配置開口32aは、閉鎖部材により閉鎖されている。閉鎖部材による閉鎖構造は任意であるが、例えば、発信機配置開口30aに対しては、扉前面側に配置した閉鎖板38のスタッドねじに対し扉裏面側から閉鎖板押え38aを嵌め入れてナット45により締め付け固定することで閉鎖している。また、応答ランプ配置開口32aについては、扉裏面側に起立したスタッドねじに閉鎖板40を嵌め入れてナット45により締め付け固定して閉鎖している。
【0063】
図5は扉本体42の下部配置開口配列48bに対する電装機器の取り付けを示しており、ベース部材46に発信機24、応答ランプ26及び電話ジャック25を取り付けた状態で、発信機配置開口30b及び応答ランプ配置開口32bの扉裏面の前後両側に固定されている取付支持部材44a,44bに対し、取り付け固定される。
【0064】
図6は電装機器を取り付けたベース部材46を取り出して示している。図6(A)は図5における前側から見たベース部材46を表した図であり、図6(B)は図5における右側から見たベース部材46を表した図である。ベース部材46は、電装機器となる発信機24、応答ランプ26及び電話ジャック25を取り付け固定するものである。ベース部材46の形状や構造は任意であるが、図4に示した扉本体42の上部配置開口配列48aにおける発信機配置開口30aと応答ランプ配置開口32a、及び下部配置開口配列48bにおける発信機配置開口30bと応答ランプ配置開口32bとの配置間隔に対応してベース部材46に発信機24、応答ランプ26が取り付け固定されている。
【0065】
また、電話ジャック25は電装扉12を開放した状態で使用されることから、発信機24と応答ランプ26の取付位置の間に起立片58を形成して取り付けており、図3に示したように電装扉12を開くと、電話ジャック25が前側に向くように位置することになる。なお、電話ジャック25には保護キャップが装着されており、脱落による紛失を防止するためチェーン60で結びつけられている。
【0066】
また、ベース部材46の後側(-Z側)の上下2箇所には抜止め突起56を備えたヒンジ片54が一体に形成され、前側(+Z側)の上下2箇所には通し穴55が形成されている。
【0067】
図5に示すベース部材46の電装扉12の下側に対する取り付けは、ベース部材46のヒンジ片54を、下側の取付支持部材44aのスリット50に嵌め込んで押し下げることで連結し、続いて、ベース部材46の通し穴55を通して下側の取付支持部材44bのねじ穴52にビス53をねじ込むことで取付固定するものである。
【0068】
発信機24の設置位置を変更するために電装扉12の上側にベース部材46を取り付ける場合も同様であり、発信機24、電話ジャック25及び応答ランプ26を取り付けたベース部材46を、上側の取付支持部材44aのスリット50に連結し、続いて、ベース部材46の通し穴55を通して上側の取付支持部材44bのねじ穴52にビスをねじ込むことで取付固定するものである。
【0069】
図7は電装扉12の上側に、発信機24、電話ジャック25及び応答ランプ26を取り付けたベース部材46を取付固定した場合を示している。この場合には、下側の発信機配置開口30bと応答ランプ配置開口32bが未使用となることから、図4に示した上側の発信機配置開口30aと応答ランプ配置開口32aと同様にして、発信機配置開口30bは閉鎖板38と閉鎖板押え38aを使用して閉鎖し、また、応答ランプ配置開口32bは閉鎖板40を使用して閉鎖している。
【0070】
[d.監視員通路の相違による発信機位置の変更]
図8は車道面102からの高さh1(=1000mm)の監視員通路104aを構築したトンネル躯体に消火栓装置10を設置した場合の発信機24の位置を示しており、この場合には、図1及び図2(B)に示したように、電装扉12の上側に発信機24が設置されている。
【0071】
ここで、図10の従来例と同様に、図8に示す監視員通路104aの路面から架台11の底面までの高さh2(=100mm)、架台11の高さh3(=40mm)、消火栓装置10の底面から発信機24までの高さh4(=660mm)とすると、操作者の立ち位置となる監視員通路104aの路面から発信機24までの高さH1は、
H1=h2+h3+h4=100+40+660=800mm
となり、発信機24は従来と同様の高さに取り付けられている。
【0072】
これに対し図9に示す車道面102からの高さh11(=250mm)の監視員通路104bの場合には、図2(A)に示したように、電装扉12の下側に発信機24の設置位置が変更されている。このため電装扉12における発信機24の設置高さをΔHだけ低くすることができる。
【0073】
ここで、図11の従来例と同様に、図9に示す監視員通路104bの路面から架台11の底面までの高さh12(=750mm)、架台11の高さh3(=40mm)とし、消火栓装置10の底面から発信機24までの高さをΔHだけ低くした例えば従来の高さh4の半分のh5(=330mm)とすると、操作者の立ち位置となる監視員通路104bの路面から発信機24までの高さH3は、
H3=h12+h3+h5=750+40+330=1120mm
となり、従来より330mm低い位置とすることができ、消防法の規定を満たすとともに発信機24の操作性を向上させている。
【0074】
この結果、消火栓装置10が設置される監視員通路の路面からの高さが異なるトンネル躯体である場合や、トンネルのランクが変わる等して監視員通路の路面からの高さが変更された場合等でも、発信機24、応答ランプ26、電話ジャック25等を取り付けるための新たな電装扉12の形状検討、詳細設計、製造をする必要がなく、また新たな電装扉に変更することに伴う付随するケーブルの配線ルート、固定方法なども変えることなく、電装扉12の扉本体42に対する発信機24、電話ジャック25及び応答ランプ26を取り付けたベース部材46を、発信機24の高さが適切な位置となるように、上側に取り付けるか下側に取り付けるかを選択することで、簡単且つ容易に対応することができる。また、トンネル内の消火栓装置の設置場所や操作者の立ち位置となる監視員通路の変更により発信機24の高さを変更する必要がある場合にも、簡単且つ容易に対応することができる。
【0075】
更に、トンネル内に消火栓装置10を設置した後の運用中に、電装扉12に設置している発信機24、電話ジャック25及び応答ランプ26が故障した場合にも、電装扉12の扉本体42の扉裏面側に取り付けているベース部材46は、図5に示すビス53を外すだけで、簡単に取り外すことが可能であり、故障した電装機器、例えば、応答ランプ26などを現場で交換して修理することを可能とする。このため電装扉12の電装機器が故障した場合の平均復旧時間(MTTR)の短縮を可能とするものである。
【0076】
[本発明の変形例]
(防災機器収納装置の電装パネル)
上記の実施形態は、防災機器収納装置として消火栓装置に設けられた電装扉を例にとっているが、消火器箱又は単独の通報装置の電装扉についても適用でき、更に、ビル等の屋内に設置されている防災機器の収納箱に設けられた電装扉や単独の通報装置の電装扉にも適用できる。また、扉構造を有さない電装パネルとして防災機器収納装置に設けられた場合にも適用できる。
【0077】
(配置開口)
上記の実施形態では、配置開口は扉本体42の2箇所に形成されているが、形成される配置開口を2箇所に限定するものではなく、形成される箇所は任意の数として良い。
【0078】
(電装機器の取付数)
上記の実施形態では、電装扉12に取り付けられる電装機器は、発信機24及び応答ランプ26の2つであるが、取り付けられる電装機器の数はこれに限らず、また取り付けられる電装機器が一定ではなく、防災機器収納装置の設置場所に応じて電装扉12に取り付けられる電装機器が変更される場合を考慮しても良く、また所定の設置場所に於いては電装扉12に電装機器が取り付けられない場合を考慮しても良い。電装扉12に取り付けられる電装機器がない場合、全ての配置開口は閉鎖部材により閉鎖される。
【0079】
(取付支持部材)
上記の実施形態では、ベース部材46を扉本体42の扉裏面に固定された取付支持部材44a,44bに取り付けつけているが、取付支持部材44a,44bは、必ずしも扉本体42の扉裏面に固定される必要はなく、例えば扉表面に固定されても良く、また扉本体に対して固定されている必要はなく、ベース部材をパネル本体に取り付けることが可能な取付支持部材であれば良い。
【0080】
(電話ジャックの取り付け)
上記の実施形態では、電話ジャック25は電装扉12が開放された場合に使用できるように設置されているが、電装扉12が閉鎖された状態又は電装扉12の開閉状態に依存することなく使用できるように設置されても良い。
【0081】
(SOS表示板の取り付け)
上記の実施形態では、SOS表示板28はねじ穴とビスにより電装扉12に取り付けられているが、SOS表示板28の取付構造はこれに限らず、SOS表示板28の取付構造は発信機24の設置位置に対応してSOS表示板28を取り付けられるものであれば良い。
【0082】
(防災機器)
上記の実施形態では、防災機器収納装置の一例として消火栓装置を取り上げて説明したが、当該電装パネルを有する防災機器収納装置に限らず、当該防災機器収納装置を備えた防災機器にも適用できる。
【0083】
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0084】
10:消火栓装置
11:架台
12:電装扉
14:消火栓扉
14a,14b:化粧枠
16:保守扉
18:消火器扉
20:赤色表示灯
22:覗き窓
24:発信機
25:電話ジャック
26:応答ランプ
28:SOS表示板
30a,30b:発信機配置開口
32a,32b:応答ランプ配置開口
36a,36b,53:ビス
38,40:閉鎖板
38a:閉鎖板押え
42:扉本体
44a,44b:取付支持部材
45:ナット
46:ベース部材
48a:上部配置開口配列
48b:下部配置開口配列
50:スリット
51:張出し部
52:ねじ穴
54:ヒンジ片
55:通し穴
56:抜止め突起
58:起立片
60:チェーン
102:車道面
104a,104b:監視員通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11