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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】ロータ、およびモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20241125BHJP
【FI】
H02K1/276
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021056692
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022153918
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】河田 周作
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-211623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる中心軸に沿って配置されるシャフトと、
前記シャフトの径方向外側に周方向に沿って配置される内コア部、および前記内コア部の径方向外側に周方向に沿って互いに分離して配置される複数の外コア部を有するロータコアと、
前記シャフトの径方向外側に周方向に沿って前記外コア部と交互に配置されたマグネットと、
を備え、
前記ロータコアは、
軸方向に見て径方向で前記内コア部と前記外コア部との間に位置し、周方向で前記外コア部の中心に位置する第1空隙部と、
前記マグネットの径方向内側に位置し周方向の寸法が前記マグネットの周方向の寸法よりも短い第2空隙部と、
前記内コア部と前記外コア部とをつなぐブリッジ部と、
を有し、
前記ブリッジ部は、周方向で前記第2空隙部を挟んで二つ配置され、前記マグネットの径方向内側の端面のうち周方向一方側の端部と周方向他方側の端部とを、それぞれ径方向内側から覆い、
前記ブリッジ部は、軸方向に見て周方向の一端が前記外コア部につながり、前記端面の周方向端部から前記端面に沿って周方向の磁極中心側に延びる第1ブリッジ部を有し、
軸方向に見て前記マグネットの周方向一方側に位置する前記第1空隙部は、径方向外側の外周が、前記端面のうち周方向一方側の端部よりも径方向内側に位置し、
軸方向に見て前記マグネットの周方向他方側に位置する前記第1空隙部は、径方向外側の外周が、前記端面のうち周方向他方側の端部よりも径方向内側に位置し、
前記第1空隙部の径方向外側の外周は、周方向で隣り合う前記マグネットのそれぞれの前記端面と平行な辺を有し、
第1ブリッジ部は、径方向で前記端面と、前記第1空隙部の径方向外側の前記辺と、の間に位置し、径方向の幅が一定である、ロータ。
【請求項2】
前記ブリッジ部は、
軸方向に見て前記第1ブリッジ部と交差し、前記第1ブリッジ部の磁極中心側に位置する他端から径方向内側に延び前記内コア部につながる第2ブリッジ部を有する、
請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
軸方向に見て前記マグネットの周方向一方側に位置する前記第1空隙部は、
周方向で磁極中心側の外周が、前記端面のうち周方向一方側の端部よりも周方向他方側に位置し、
記マグネットの周方向他方側に位置する前記第1空隙部は、
周方向で磁極中心側の外周が、前記端面のうち周方向他方側の端部よりも周方向一方側に位置する
請求項2に記載のロータ。
【請求項4】
軸方向に見て前記第2空隙部の周方向の両側の側面は、径方向に延び前記磁極中心を通る直線と平行であり、
前記第1空隙部の外周は、
周方向で隣り合う前記第2空隙部のそれぞれの前記側面と平行な辺を有する五角形である、
請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記第1ブリッジ部と第2ブリッジ部との交差角度は90°である、
請求項2から4のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、
を有する、モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、およびモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャフトの中心軸周りに放射状に永久磁石が配置されるスポーク型のモータが知られる。例えば、特許文献1には、ロータコアにおいて環状の内コア部と、周方向に沿ってマグネットと交互に配置される複数の外コア部とが設けられたロータコアを有するロータが開示されている。モータにおいて、小型で高トルクを実現するためには、効率的または多くのマグネット磁束をステータに流す必要がある。特許文献1に記載されたロータコアは、内コア部と外コア部とをつなぐブリッジ部が磁極間のq軸上に配置されているため、q軸を挟んだ周方向両側のマグネットからの磁束がブリッジ部を介して内コア部に流れてしまう。
【0003】
特許文献2には、磁極間のq軸上に第1磁束障壁部を設け、マグネットの径方向内側に第2磁束障壁部を設けることで、内コア部と外コア部とをつなぐ二つの磁路を有するロータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2012-517209号公報
【文献】特許第6385712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載されたロータコアは、マグネットの径方向内側に位置する端面の全体が第2磁束障壁部に接しているため、当該端面における周方向端部で減磁が生じトルク性能が低下する可能性がある。特許文献2に記載されたロータコアは、内コア部と外コア部とをつなぐブリッジ部の磁路が外コア部と径方向に直線的につながっているため、ブリッジ部を介して内コア部に流れる磁束の抑制が十分とは言えない。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、ロータ、およびモータにおいて、さらなる小型化および高トルクを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のロータの一つの態様は、上下方向に延びる中心軸に沿って配置されるシャフトと、前記シャフトの径方向外側に周方向に沿って配置される内コア部、および前記内コア部の径方向外側に周方向に沿って互いに分離して配置される複数の外コア部を有するロータコアと、前記シャフトの径方向外側に周方向に沿って前記外コア部と交互に配置されたマグネットと、を備え、前記ロータコアは、軸方向に見て径方向で前記内コア部と前記外コア部との間に位置し、周方向で前記外コア部の中心に位置する第1空隙部と、前記マグネットの径方向内側に位置し周方向の寸法が前記マグネットの周方向の寸法よりも短い第2空隙部と、前記内コア部と前記外コア部とをつなぐブリッジ部と、を有し、前記ブリッジ部は、周方向で前記第2空隙部を挟んで二つ配置され、前記マグネットの径方向内側の端面のうち周方向一方側の端部と周方向他方側の端部とを、それぞれ径方向内側から覆う。
【0008】
本発明のモータの一つの態様は、上記のロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、ロータ、およびモータにおいて、さらなる小型化および高トルクを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態のモータを簡略的に示す断面図である。
図2図2は、本実施形態のモータの一部を示す断面図であって、図1におけるII-II断面図である。
図3図3は、本実施形態のロータの一部を示す断面図である。
図4図4は、複数のマグネット40のうち一つのマグネット40の径方向内側の端部周辺を拡大した断面図である。
図5図5は、本実施形態の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るロータ、およびモータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0012】
各図に適宜示すZ軸方向は、正の側を「上側」とし、負の側を「下側」とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸Jは、Z軸方向と平行であり、上下方向に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向、すなわち上下方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0013】
なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0014】
図1および図2に示すように、本実施形態のモータ10は、ハウジング2と、ロータ20と、ステータ60と、ベアリングホルダ4と、ベアリング5a,5bと、を備える。ハウジング2は、ロータ20、ステータ60、ベアリングホルダ4およびベアリング5a,5bを収容する。ステータ60は、ロータ20の径方向外側に隙間を介して対向する。ステータ60は、ステータコア60aと、インシュレータ60bと、複数のコイル60cと、を有する。複数のコイル60cは、インシュレータ60bを介してステータコア60aに装着される。ベアリングホルダ4は、ベアリング5bを保持する。
【0015】
本実施形態のロータ20は、中心軸Jを中心として回転可能である。ロータ20は、シャフト50と、ロータ本体12と、を備える。シャフト50は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。シャフト50は、ベアリング5a,5bによって中心軸J回りに回転可能に支持される。ロータ本体12は、シャフト50の外周面に固定される。図2に示すように、ロータ本体12は、ロータコア30と、複数のマグネット40と、を備える。すなわち、ロータ20は、ロータコア30と、複数のマグネット40と、を備える。
【0016】
複数のマグネット40は、永久磁石である。図3に示すように、複数のマグネット40は、周方向に沿って互いに間隔を空けて配置される。本実施形態において複数のマグネット40は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。マグネット40は、周方向に沿って配置される磁極としてN極とS極とを有する。周方向に隣り合うマグネット40の磁極は、周方向において互いに同極が向かい合う。すなわち、周方向に隣り合う一対のマグネット40において、例えば、周方向一方側に位置するマグネット40の周方向他方側の磁極がN極の場合、周方向他方側に位置するマグネット40の周方向一方側の磁極はN極である。また、例えば、周方向一方側に位置するマグネット40の周方向他方側の磁極がS極の場合、周方向他方側に位置するマグネット40の周方向一方側の磁極はS極である。マグネット40は、例えば、直方体形状である。マグネット40は、軸方向に沿って見て、径方向に延びる長方形状である。
【0017】
ロータコア30は、マグネット40によって励磁される磁性体である。ロータコア30は、内コア部31と、複数の外コア部32と、複数の第1空隙部33と、複数の第2空隙部34と、複数のブリッジ部42と、を有する。
【0018】
図3に示すように、内コア部31は、シャフト50の径方向外側に周方向に沿って配置される。内コア部31は、周方向に沿った環状である。本実施形態において内コア部31は、中心軸Jを中心とする円環状である。内コア部31の径方向内側には、シャフト50が通される。内コア部31とシャフト50とは、例えば圧入によって固定される。内コア部31は、複数のマグネット40よりも径方向内側に離れて配置される。
【0019】
複数の外コア部32は、内コア部31の径方向外側に周方向に沿って互いに分離して配置される。複数の外コア部32は、周方向に沿って互いに間隔を空けて配置される。本実施形態において複数の外コア部32は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。外コア部32は、周方向に沿ってマグネット40と交互に配置される。外コア部32は、内コア部31から径方向外側に離れた位置に位置する。外コア部32は、径方向に延びる。
【0020】
以下の説明では、マグネット40の周方向における中心を通る仮想線として周方向中心線C1を示す。周方向中心線C1は、径方向のうちマグネット40の周方向の中心を通る方向に延びる。周方向中心線C1は、磁極中心を通る磁極中心線である。マグネット40の周方向両側面は、軸方向と平行で、かつ、周方向中心線C1と平行な平坦面である。マグネット40において、周方向における周方向中心線C1から離れる側を「周方向外側」と呼び、周方向における周方向中心線C1に近づく側を「周方向内側」と呼ぶ。図3においては、複数のマグネット40のうち一つのマグネット40について周方向中心線C1が示されている。また、外コア部32の周方向における中心を通る仮想線として周方向中心線C2を示す。周方向中心線C2は、径方向のうち外コア部32の周方向の中心を通る方向に延びる。図3においては、周方向中心線C1が示されたマグネット40と周方向で隣り合う外コア部32について周方向中心線C2が示されている。
【0021】
外コア部32の周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って大きくなる。外コア部32の周方向両側の側面は、軸方向と平行であり、互いに傾く平坦面である。外コア部32の周方向両側の側面は、軸方向に沿って見て、径方向外側に向かうに従って周方向中心線C2から離れる向きに傾く。本実施形態において外コア部32の周方向一方側の側面は、外コア部32の周方向一方側に隣り合うマグネット40の周方向中心線C1と平行である。本実施形態において外コア部32の周方向他方側の側面は、外コア部32の周方向他方側に隣り合うマグネット40の周方向中心線C1と平行である。
【0022】
外コア部32の周方向両側面の径方向外端部には、周方向中心線C2から離れる側に突出する突出部32a、32bが設けられる。図示は省略するが、突出部32a、32bは、外コア部32の軸方向上側の端部から下側の端部まで延びる。外コア部32の径方向外側の端面は、軸方向に沿って見て、径方向外側に凸となる曲面である。外コア部32の径方向外側の端面は、中心軸Jを中心とする円弧状の曲面である。突出部32a、32bは、径方向外側からマグネット40を覆う。このため、マグネット40の径方向外側における周方向の両側の端部を含む隅部は、外コア部32および突出部32a、32bによって覆われる。従って、マグネット40は、ロータ20の回転に伴う遠心力で径方向外側に飛び出すことを抑制される。マグネット40の隅部がロータコア30から離れた場合は、減磁が生じ磁気特性が低下しやすい。本実施の形態によれば、マグネット40の隅部が外コア部32および突出部32a、32bによって覆われることで、磁気特性の低下が抑制される。
【0023】
軸方向に見て、第2空隙部34は、マグネット40の径方向内側に位置する。第2空隙部34は、周方向に延びる矩形状である。第2空隙部34の周方向の中心は、周方向中心線C1上に位置する。第2空隙部34は、周方向一方側に位置する側面34aと、周方向他方側に位置する側面34bと、径方向外側に位置するマグネット40の径方向内側の端面41と、内コア部31の径方向外側の面とに周囲を囲まれている。側面34aおよび側面34bは、周方向中心線C1と平行である。第2空隙部34の周方向の寸法は、マグネット40の周方向の寸法よりも短い。側面34aは、マグネット40の周方向一方側に位置する側面よりも周方向内側に位置する。側面34bは、マグネット40の周方向他方側に位置する側面よりも周方向内側に位置する。従って、マグネット40の端面41は、周方向の端部を除いて第2空隙部34に臨む。
【0024】
本実施形態によれば、マグネット40の端面41のうち周方向内側の領域がロータコア30よりも透磁率が低い第2空隙部34に臨んでいる。第2空隙部34は、フラックスバリア部として機能する。このため、磁極(マグネット40)から径方向内側への磁束の流れが第2空隙部34によって妨げられる。このため、磁極から径方向外側へ磁束が流れやすくなり駆動トルクの低下を抑えることができる。
【0025】
第1空隙部33は、径方向で内コア部31と外コア部32との間に位置する。第1空隙部33の周方向の中心は、周方向中心線C2上に位置する。軸方向に見て、第1空隙部33の外周は、周方向中心線C2を中心として線対称の五角形である。
【0026】
図4は、複数のマグネット40のうち一つのマグネット40の径方向内側の端部周辺を拡大した断面図である。以下の説明では、複数の第1空隙部33のうち一つのマグネット40の周方向中心線C1を挟んで周方向両側に位置する第1空隙部33のうち周方向一方側の第1空隙部33を第1空隙部33Aと呼び、周方向他方側の第1空隙部33を第1空隙部33Bと呼ぶ。第1空隙部33Aは、周方向中心線C1より周方向一方側に位置する外コア部32Aと内コア部31との間に位置する。第1空隙部33Bは、周方向中心線C1より周方向他方側に位置する外コア部32Bと内コア部31との間に位置する。第1空隙部33Aおよび第1空隙部33Bについては、周方向において当該周方向中心線C1から離れる側を「周方向外側」と呼び、周方向中心線C1に近づく側を「周方向内側」と呼ぶ。
【0027】
図4に示すように、第1空隙部33Aおよび第1空隙部33Bの外周は、辺35aと、辺35bとを有する。辺35aおよび辺35bは、周方向中心線C2より周方向内側に位置する。辺35aは、第2空隙部34の側面34aおよび側面34bと平行である。辺35aは、マグネット40の端面41よりも径方向内側に位置する。第1空隙部33Aにおける辺35aの周方向の位置は、側面34aよりも周方向外側、且つ、マグネット40の周方向一方側の側面よりも周方向内側である。つまり、マグネット40の周方向一方側に位置する第1空隙部33Aの磁極中心側の外周は、端面41のうち周方向一方側の端部よりも周方向他方側に位置する。これにより、ロータコア30には、マグネット40の端面41よりも径方向内側において、側面34aと第1空隙部33Aの辺35aとの間に、周方向の幅が一定で周方向中心線C1に沿って延びる領域が設けられる。そのため、側面34aと第1空隙部33Aの辺35aとの間の領域の幅が部分的に細くなって機械的強度が低下することを抑制できる。
【0028】
第1空隙部33Bの辺35aの周方向の位置は、側面34bよりも周方向外側、且つ、マグネット40の周方向他方側の側面よりも周方向内側である。つまり、マグネット40の周方向他方側に位置する第1空隙部33Bの磁極中心側の外周は、端面41のうち周方向他方側の端部よりも周方向一方側に位置する。これにより、ロータコア30には、マグネット40の端面41よりも径方向内側において、側面34bと第1空隙部33Bの辺35aとの間に、周方向の幅が一定で周方向中心線C1に沿って延びる領域が設けられる。そのため、側面34bと第1空隙部33Bの辺35aとの間の領域の幅が部分的に細くなって機械的強度が低下することを抑制できる。
【0029】
辺35bは、マグネット40の端面41よりも径方向内側に位置する。辺35bは、端面41と平行である。辺35bは、辺35aの径方向外端から周方向外側に延びる。従って、第1空隙部33Aの辺35bの周方向内側の端部は、側面34aよりも周方向外側、且つ、マグネット40の周方向一方側の側面よりも周方向内側に位置する。つまり、マグネット40の周方向一方側に位置する第1空隙部33Aの径方向外側の外周は、端面41のうち周方向一方側の端部よりも径方向内側に位置する。これにより、ロータコア30には、マグネット40の端面41よりも径方向内側において、端面41と第1空隙部33Aの辺35bとの間に、径方向の幅が一定で端面41に沿って延びる領域が設けられる。そのため、端面41と第1空隙部33Aの辺35bとの間の領域の幅が部分的に細くなって機械的強度が低下することを抑制できる。
【0030】
第1空隙部33Bの辺35bの周方向内側の端部は、側面34bよりも周方向外側、且つ、マグネット40の周方向他方側の側面よりも周方向内側に位置する。つまり、マグネット40の周方向他方側に位置する第1空隙部33Bの径方向外側の外周は、端面41のうち周方向他方側の端部よりも径方向内側に位置する。これにより、ロータコア30には、マグネット40の端面41よりも径方向内側において、端面41と第1空隙部33Bの辺35bとの間に、径方向の幅が一定で端面41に沿って延びる領域が設けられる。そのため、端面41と第1空隙部33Bの辺35bとの間の領域の幅が部分的に細くなって機械的強度が低下することを抑制できる。
【0031】
ブリッジ部42は、周方向で第2空隙部34を挟んで二つ配置されている。二つのブリッジ部42は、外コア部32の周方向両端部と内コア部31とをつなぐ。そのため、外コア部32を内コア部31に対して強固に連結することができる。したがって、ロータコア30の強度を向上させることができる。
【0032】
ブリッジ部42は、ブリッジ部42A、42Bを有する。ブリッジ部42Aは、第2空隙部34の周方向一方側に位置する。ブリッジ部42Bは、第2空隙部34の周方向他方側に位置する。ブリッジ部42Aとブリッジ部42Bとは、周方向中心線C1に対して線対称である。以下、周方向中心線C1に対して線対称である点を除いてブリッジ部42Aと同様の構成については、ブリッジ部42Bについての説明を省略する場合がある。
【0033】
ブリッジ部42Aは、第1ブリッジ部43Aと、第2ブリッジ部44Aとを有する。第1ブリッジ部43Aは、ロータコア30において、マグネット40の端面41と、第1空隙部33Aの辺35bとの間に位置する領域である。本実施の形態によれば、辺35bと端面41とが平行であることで、第1ブリッジ部43Aは、径方向の幅が一定で周方向中心線C1と直交する方向に延びる。このため、第1ブリッジ部43Aの幅が部分的に細くなって機械的強度が低下することを抑制できる。
【0034】
第1ブリッジ部43Aの周方向内側の端部は、側面34aよりも周方向外側、且つ、マグネット40の周方向一方側の側面よりも周方向内側に位置する。第1ブリッジ部43Aの周方向外側の端部は、外コア部32Aにつながる。つまり、第1ブリッジ部43Aは、周方向の一端が外コア部32Aにつながり、端面41の周方向外側の端部から端面41に沿って周方向の磁極中心側に延びる。
【0035】
第1ブリッジ部43Aは、径方向内側からマグネット40の端面41を覆う。本実施の形態によれば、第1ブリッジ部43Aが径方向内側から端面41を覆うことで、マグネット40がロータコア30から離れた場合に生じやすい減磁を抑えて磁気特性の低下を抑制できる。本実施の形態によれば、径方向内側からマグネット40の端面41を覆うことで、マグネット40の径方向内側を位置決めできる。
【0036】
例えば、ブリッジ部が周方向中心線C2上に直線状に配置された場合、周方向中心線C2を挟んで周方向の両側に位置するマグネット40からの磁束が径方向内側に抜けやすくなる。これに対して、本実施の形態によれば、周方向中心線C2に沿って延びる外コア部32Aに対して周方向中心線C2と交差する方向に延びる第1ブリッジ部43Aが屈曲してつながるため、外コア部32Aから第1ブリッジ部43Aへの磁束の流れが抑制される。このため、磁極から径方向外側へ磁束が流れやすくなり高トルク化できる。
【0037】
第2ブリッジ部44Aは、ロータコア30において、第2空隙部34の側面34aと、第1空隙部33Aの辺35aとの間に位置する領域である。本実施の形態によれば、側面34aと辺35aとが平行であることで、第2ブリッジ部44Aは、周方向の幅が一定で周方向中心線C1と平行に延びる。このため、第2ブリッジ部44Aの幅が部分的に細くなって機械的強度が低下することを抑制できる。
【0038】
第2ブリッジ部44Aの径方向外側の端部は、第1ブリッジ部43Aの周方向内側の端部とつながる。第2ブリッジ部44Aの径方向内側の端部は、内コア部31につながる。つまり、第2ブリッジ部44Aは、第1ブリッジ部43Aの磁極中心側に位置する他端から径方向内側に延びて内コア部31につながる。第2ブリッジ部44Aは、第1ブリッジ部43Aと交差する。第1ブリッジ部43Aと第2ブリッジ部44Aとの交差角度は90°である。本実施の形態によれば、端面41に沿って延びる第1ブリッジ部43Aに対して、周方向中心線C1と平行に径方向内側に延びる第2ブリッジ部44Aが交差角度が90°で交差することで、第1ブリッジ部43Aから第2ブリッジ部44Aへの磁束の流れが抑制される。このため、磁極から径方向外側へ磁束が流れやすくなり高トルク化できる。
【0039】
本実施の形態によれば、内コア部31と外コア部32とをつなぐブリッジ部42が周方向で第2空隙部34を挟んで二つ配置され、マグネット40の径方向内側の端面41の周方向両端部をそれぞれ径方向内側から覆うことで、減磁を抑制しつつ周方向内側への磁束の流れを抑制できる。そのため、本実施の形態によれば、高トルク化と小型化とを実現できる。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0041】
上記の実施形態では、第2ブリッジ部44A、44Bが周方向中心線C1と平行に延びる構成を例示したが、この構成に限定されない。
図5は、本実施形態の変形例を示す断面図である。
図5に示すように、第2ブリッジ部44A、44Bが第1ブリッジ部43A、43Bの周方向内側の端部から径方向内側に向かうに従って、漸次周方向外側に向かう方向に傾き、第1ブリッジ部43A、43Bと鋭角で交差する構成であってもよい。
この構成を採ることで、第1ブリッジ部43A、43Bから第2ブリッジ部44A、44Bへの磁束が一層流れづらくなる。そのため、本変形例によれば、磁極から径方向外側へ磁束がさらに流れやすくなり、さらなる高トルク化および小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0042】
10…モータ、 20…ロータ、 30…ロータコア、 31…内コア部、 32…外コア部、 33、33A、33B…第1空隙部、34…第2空隙部、 34a、34b…側面、 35a、35b…辺、 40…マグネット、 41…端面、 42、42A、42B…ブリッジ部、 43A、43B…第1ブリッジ部、 44A、44B…第2ブリッジ部、 50…シャフト、 60…ステータ、 J…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5