IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オルト−クリニカル ダイアグノスティックス インコーポレイテッドの特許一覧

特許7592578縮小された読み取り窓を使用するドライスライドアッセイ
<>
  • 特許-縮小された読み取り窓を使用するドライスライドアッセイ 図1
  • 特許-縮小された読み取り窓を使用するドライスライドアッセイ 図2
  • 特許-縮小された読み取り窓を使用するドライスライドアッセイ 図3
  • 特許-縮小された読み取り窓を使用するドライスライドアッセイ 図4
  • 特許-縮小された読み取り窓を使用するドライスライドアッセイ 図5
  • 特許-縮小された読み取り窓を使用するドライスライドアッセイ 図6
  • 特許-縮小された読み取り窓を使用するドライスライドアッセイ 図7
  • 特許-縮小された読み取り窓を使用するドライスライドアッセイ 図8
  • 特許-縮小された読み取り窓を使用するドライスライドアッセイ 図9
  • 特許-縮小された読み取り窓を使用するドライスライドアッセイ 図10
  • 特許-縮小された読み取り窓を使用するドライスライドアッセイ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】縮小された読み取り窓を使用するドライスライドアッセイ
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
G01N21/17 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021500099
(86)(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 US2019040067
(87)【国際公開番号】W WO2020009962
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】62/693,120
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518267573
【氏名又は名称】オルト-クリニカル ダイアグノスティックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ディン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キルシュ、アンドリュー エム
(72)【発明者】
【氏名】スカリーチェ、エドワード アール
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイタシェヴィチ、ベンジャミン
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-271514(JP,A)
【文献】国際公開第2018/084002(WO,A1)
【文献】特開2007-278984(JP,A)
【文献】特開昭61-062865(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0031283(US,A1)
【文献】特表2014-525577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニットのプロセッサを介して、ドライスライド上の流体サンプル上に洗浄液を吐出させるステップであって、前記洗浄液によって干渉領域が生ずるステップ、
前記制御ユニットの前記プロセッサを介して、前記ドライスライド上に位置する前記流体サンプルの画像を得るステップ、
前記制御ユニットの前記プロセッサを介して、前記画像内で前記流体サンプルの領域に対応する読み取り窓を位置決めするステップ、
前記制御ユニットの前記プロセッサを介して、光強度に基づいて前記読み取り窓内の前記干渉領域を決定するステップ、
前記制御ユニットの前記プロセッサを介して、前記読み取り窓から前記干渉領域を除去するために、前記読み取り窓の領域を縮小するステップ、及び、
前記制御ユニットの前記プロセッサを介して、縮小された前記読み取り窓を使用して少なくとも1つのアッセイを実施するステップ、
を含む、少なくとも1つのアッセイを実施するための方法。
【請求項2】
前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を所定の形状に縮小することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を三日月形に縮小することを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を円形から前記三日月形に縮小することを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記読み取り窓は初期領域を有し、前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を前記初期領域よりも小さい所定の領域に縮小することを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記干渉領域は、前記洗浄液を吐出したことによる流体の滞留によって生ずる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ドライスライド上に流体サンプルを吐出するステップ、
前記ドライスライド上の前記流体サンプル上に洗浄液を吐出するステップ、
制御ユニットのプロセッサを介して、前記ドライスライドの画像を得るステップ、
前記制御ユニットの前記プロセッサを介して、前記画像内で前記流体サンプルの領域に対応する読み取り窓を位置決めするステップ、
前記制御ユニットの前記プロセッサを介して、前記洗浄液によって生ずる干渉領域を除去するために、前記読み取り窓の領域を縮小するステップ、及び、
前記制御ユニットの前記プロセッサを介して、縮小された前記読み取り窓を使用して少なくとも1つのアッセイを実施するステップ、
を含む、少なくとも1つのアッセイを実施するための方法。
【請求項8】
前記洗浄液の既知の吐出位置に基づいて、前記読み取り窓内の前記干渉領域を決定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を所定の形状に縮小することを含む、
ことを特徴とする請求項又はに記載の方法。
【請求項10】
前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を三日月形に縮小することを含む、
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を円形から前記三日月形に縮小することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記読み取り窓は初期領域を有し、前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を前記初期領域よりも小さい所定の領域に縮小することを含む、
ことを特徴とする請求項乃至1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記干渉領域は、前記洗浄液を吐出したことによる流体の滞留によって生ずる、
ことを特徴とする請求項乃至1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つのドライスライドであって、該ドライスライド上に位置する流体サンプルを有するドライスライドを受け取るように構成されたスライド受取ブラケット
前記ドライスライドの前記流体サンプル上に洗浄液を吐出するように構成されたディスペンサ、及び、
(i)画像内で前記流体サンプルの領域に対応する読み取り窓を位置決めする、(ii)前記洗浄液によって生ずる干渉領域を除去するために、前記読み取り窓の領域を縮小する、及び(iii)縮小された前記読み取り窓を使用して少なくとも1つのアッセイを実施する、ように構成された制御ユニット、
を備える、少なくとも1つのアッセイを実施するための装置。
【請求項15】
前記制御ユニットは、前記洗浄液の既知の吐出位置に基づいて前記読み取り窓内の前記干渉領域を決定するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記制御ユニットは、前記読み取り窓を所定の形状に縮小するように構成される、
ことを特徴とする請求項1又は1に記載の装置。
【請求項17】
前記制御ユニットは、前記読み取り窓を円形から三日月形に縮小するように構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至1のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記制御ユニットは、前記読み取り窓を所定の領域に縮小するように構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至1のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記干渉領域は、前記ドライスライド上に前記洗浄液を吐出したことによる流体の滞留によって生ずる、
ことを特徴する請求項1乃至1のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ドライスライドのようなスライド媒体上の流体サンプルの画像を用いてアッセイを実行する際に、干渉領域を除去するために初期読み取り窓を縮小する方法及び装置に関し、より具体的には、縮小された読み取り窓のために所定の形状及び/又は領域を選択し、干渉領域を除去するように初期読み取り窓内に所定の形状及び/又は領域を配置する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの例において、アッセイは、ドライスライド又は他の固体媒体上に吐出された流体サンプルの画像の領域の光強度を測定することによって実施される。しかしながら、この方法で発生する問題は、流体サンプルがドライスライド上で洗浄されると、洗浄液からの滞留の変動による不正確さを引き起こす可能性があることである。いくつかのアッセイ、例えば、ジゴキシン(「DGXN」)アッセイは、特に洗浄液が吐出される滞留領域での未洗浄の遊離分析物及び遊離ラベルのために、高分析物レベルでの精度が低い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、縮小された読み取り窓を使用してドライスライド又は他の個体媒体上のアッセイを実施するための方法及び装置を目的とする。本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る例示的な実施形態において、少なくとも1つのアッセイを実施する方法は、ドライスライド上に位置する流体サンプルの画像を得るステップ、画像の流体サンプルの領域に対応する読み取り窓を位置決めするステップ、読み取り窓の範囲内の干渉領域を決定するステップ、読み取り窓から干渉領域を除去するために、読み取り窓を縮小するステップ、及び、縮小された読み取り窓を使用して少なくとも1つのアッセイを実施するステップ、を含む。
【0004】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、読み取り窓を縮小するステップは、所定の形状に読み取り窓を縮小すること、を含む。
【0005】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、読み取り窓を縮小するステップは、読み取り窓を三日月形に縮小することを含む。
【0006】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、読み取り窓を縮小するステップは、読み取り窓を円形から三日月形に縮小することを含む。
【0007】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、読み取り窓は初期領域を有し、読み取り窓を縮小するステップは、読み取り窓を初期領域よりも小さい所定の領域に縮小することを含む。
【0008】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、本方法は、ドライスライド上の流体サンプル上に洗浄液を吐出するステップを含み、干渉領域は、洗浄液によって生ずる。
【0009】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、干渉領域は、洗浄液を吐出したことによる流体の滞留によって生ずる。
【0010】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の例示的な実施形態において、少なくとも1つのアッセイを実施するための方法は、ドライスライド上に流体サンプルを吐出するステップ、ドライスライド上の流体サンプル上に洗浄液を吐出するステップ、ドライスライドの画像を得るステップ、画像の流体サンプルの領域に対応する読み取り窓を位置決めするステップ、洗浄液によって生ずる干渉領域を読み取り窓から除去するために、読み取り窓を縮小するステップ、及び、縮小された読み取り窓を使用して少なくとも1つのアッセイを実施するステップ、を含む。
【0011】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、本方法は、洗浄液の既知の吐出位置に基づき、読み取り窓の干渉領域を決定するステップを含む。
【0012】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、読み取り窓を縮小するステップは、読み取り窓を所定の形状に縮小することを含む。
【0013】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、読み取り窓を縮小するステップは、読み取り窓を三日月形に縮小することを含む。
【0014】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、読み取り窓を縮小するステップは、読み取り窓を円形から三日月形に縮小することを含む。
【0015】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、読み取り窓は、初期領域を有し、読み取り窓を縮小するステップは、読み取り窓を、初期領域よりも小さい所定の領域に縮小することを含む。
【0016】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、干渉領域は、洗浄液を吐出したことによる流体の滞留によって生ずる。
【0017】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る更なる例示的な実施形態において、少なくとも1つのアッセイを実施するための装置は、少なくとも1つのドライスライドであって、該ドライスライド上に位置する流体サンプルを有するドライスライドを受け取るように構成されたスライド受取位置、ドライスライドの流体サンプル上に洗浄液を吐出するように構成されたディスペンサ、及び、(i)画像における流体サンプルの領域に対応する読み取り窓を位置決めする、(ii)洗浄液によって生ずる干渉領域を除去するために、読み取り窓を縮小する、及び(iii)縮小された読み取り窓を使用して少なくとも1つのアッセイを実施する、ように構成された制御ユニット、を備える。
【0018】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、制御ユニットは、洗浄液の既知の吐出位置に基づいて読み取り窓内の干渉領域を決定するように構成される。
【0019】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、制御ユニットは、読み取り窓を所定の形状に縮小するように構成される。
【0020】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、制御ユニットは、読み取り窓を円形から三日月形に縮小するように構成される。
【0021】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、制御ユニットは、読み取り窓を所定の領域に縮小するように構成される。
【0022】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用され得る別の実施形態において、干渉領域は、ドライスライド上に洗浄液を吐出したことによる流体の滞留によって生ずる。
【0023】
本明細書に開示された任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、図1図11に関連して開示された任意の構造及び機能を、図1図11に関連して開示された任意の他の構造及び機能と組み合わせて使用することができる。
【0024】
従って、本開示及び上記の態様に照らして、本開示の利点は、生物学的サンプルのアッセイを実施するための縮小された読み取り窓を決定するための改良された方法及び装置を提供することである。
【0025】
更に、従って、本開示及び上記の態様に照らして、本開示の利点は、縮小された読み取り窓を使用してサンプル洗浄による影響を減少させることである。
【0026】
本明細書で論じられた利点は、本明細書に開示の実施形態のうちの1つ、又はいくつか、おそらくすべてではないが本明細書に開示の実施形態から見出され得る。追加の特徴及び利点は本明細書に記載されており、以下の詳細な説明及び図から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示の実施形態は、ここで、添付の図を参照するだけで、例によって更に詳細に説明される。
【0028】
図1図1は、本開示に係るドライスライドの例示的な実施形態の側面図を示す。
図2図2は、図1のドライスライドの分解斜視図を示す。
図3図3は、本開示に係る図1のドライスライドを保持するアッセイ装置の例示的な実施形態の側面図を示す。
図4図4は、本開示に係るドライスライド上に洗浄液を吐出する線状機構の例示的な実施形態を示す。
図5図5は、本開示に係る少なくとも1つのアッセイを実施する方法の例示的な実施形態を示す。
図6図6は、本開示に係る画像内に生成される読み取り窓の例示的な実施形態を示す。
図7図7は、本開示に従って、最初の読み取り窓が縮小された読み取り窓に縮小される例示的な実施形態を示す。
図8図8は、本開示に係る方法がジゴキシン動態を改善する方法の例を示す。
図9図9は、本開示に係る方法がジゴキシン動態を改善する方法の例を示す。
図10図10は、本開示に係る方法がジゴキシン動態を改善する方法の例を示す。
図11図11は、本開示に係る方法が縮小された読み取り窓を使用して正確にアッセイの正確性を改善する方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、縮小された読み取り窓を使用して固体媒体上でアッセイを実施するための方法及び装置に関する。以下でより詳細に議論されるように、本開示の方法及び装置は、例えば、生物学的サンプルの画像化精度を向上させるために画像から滞留領域を除去することにおいて有利である。滞留領域は、サンプルを洗浄するための1つ以上のプロセスから形成されてもよい。読み取り窓を縮小することにより、滞留領域における光強度の変動(ばらつき)は、サンプル上でアッセイを実施する際に画像解析から選択的に除去される。
【0030】
図1及び2は、本開示に従って使用され得る固体媒体又は乾燥スライドの例示的な実施形態を示す。図1及び2において、反応セルは、本開示に従って、アッセイシステム20と共に使用され得る固体媒体10である。固体媒体10は、例えば、流体サンプルが吐出され得る単層又は多層の薄膜要素であってもよい。図示された実施形態では、固体媒体10は、複数の層を含み、複数の層は、流体サンプルを受け取るために貫通した開口部を有する上部ベース層を提供するように構成された上部スライドマウント層であってもよい第1の層12を含む。また、第1の層は、流体サンプルをそこに広げるように構成されていてもよい。また、固体媒体10は、第2の層14を含み、第2の層は、特定のアッセイのために流体サンプルと反応するように構成された試薬を含む試薬層であってもよい。第2の層14は、試薬層のための支持又は剛性を提供するための支持層も含んでもよい。更に、固体媒体は、第3の層16を含み、第3の層は、光学分析に使用するための低波長カットオフフィルタを提供するフィルタ層であってもよい。第3の層16は、光学分析に使用するための貫通した開口部を備える底面ベース層を提供するように構成された下部スライドマウント層を含んでもよい。固体媒体10は、ドライスライドとして示されているが、他の例では、固体媒体は、反応キュベット、ドライスライド等を含んでもよい。
【0031】
図3は、アッセイを実施するために固体媒体10を受け取り、分析するように構成されたアッセイシステム20の例示的な実施形態を示す。図示されているように、アッセイシステム20は、そこに位置する流体サンプルを有する少なくとも1つの固体媒体10を受け取るように構成された固体媒体受取位置22と、固体媒体10上に洗浄液を吐出するように構成された洗浄機構40と、固体媒体10上に配置された流体サンプルの少なくとも1つの画像を得るために固体媒体受取位置22に対して相対的に位置決め及び配置された撮像装置24と、光が固体媒体10上に吐出された液体サンプルによって変調され得るように、光固体媒体10上に光を投射するように構成された光源26(例えば、1つ以上の発光ダイオードライト)と、任意に、光源28からの光を、実施されるアッセイに特有の特定の波長に変調するように構成された光学フィルタ28と、を含むことができる。
【0032】
図示された実施形態では、スライド受取位置22は、固体媒体10の第1の層12に流体サンプルが加えられている間、固体媒体10の第1の層12に洗浄液が加えられている間、及び/又は固体媒体10が光源26によって照らされ、撮像装置24によって撮像されている間、固体媒体10を受け取り、保持するように構成されている。図示された実施形態では、固体媒体受取位置22は、第1の開口部22a及び第2の開口部22bを形成する少なくとも1つのブラケットを含む。流体サンプル及び洗浄液は、固体媒体受取位置22の第1の開口部22aにおいて固体媒体10に(例えば、第1の層11の開口部を介して)加えられてもよく、一方、固体媒体受取位置22の第2の開口部22bは、流体サンプルが試薬と反応した後、固体媒体10を照らして画像化することを可能にする(例えば、第6の層16の開口部を介して)。流体サンプルおよび洗浄液の添加は、固体媒体10が固体媒体受取位置22によって受け取られる前に行ってもよく、固体媒体10の照射及び画像化は、固体媒体受取位置22の底部の第2の開口部22bに対向する、固体媒体受取位置22の上部の第1の開口部22aで行ってもよいことが更に理解されるべきである。
【0033】
アッセイシステム20は、本明細書に記載の方法に従って、アッセイシステム20の1つ以上の構成要素を制御し、固体媒体10上の流体サンプルを分析するように構成された制御ユニット30を更に含んでもよい。制御ユニット30は、プロセッサと、方法を実行するための命令を記憶する非一時的なメモリと、を含んでもよく、プロセッサは、アッセイシステム20の1つ以上の構成要素を制御しアッセイを実行するための命令を実行する。
【0034】
図4は、本開示の例示的な実施形態に従って、固体媒体10上に吐出される洗浄液の例示的な実施形態を示す。図示された実施形態では、洗浄液は、制御ユニット30によって制御される洗浄機構40を介して固体媒体10上に吐出されてもよいが、洗浄液は、固体媒体10が固体媒体受取位置22で受け取られる前に吐出されてもよい。図示されているように、洗浄機構40は、流体サンプルを含む固体媒体10の上に位置決めされ、洗浄液は、洗浄吐出位置42(図6及び図7に示されているように)において固体媒体10上に吐出される。実施形態において、洗浄液は、流体サンプルが固体媒体10上に吐出されたサンプル吐出位置34(図6及び7に示す)の中心から約2mm離れた位置にある洗浄機構40のノズル(例えば、直径約0.4ミリメートル(「mm」)の小さなオリフィスを有する先端部)によって適用される。洗浄液は、実施されるアッセイのタイプに特有の吐出速度及び総吐出量で吐出されてもよい。
【0035】
図4の例に示すように、洗浄液が吐出されると、ノズルと固体媒体10との間に小さな液体メニスカスが形成される。洗浄液は、メニスカスの端部付近で固体媒体10に入る。メニスカスの下には、流体流が殆どない滞留領域44が形成され、これにより、遊離ラベル及び分析物は、大きな変位を生じることなく滞留領域44内に留まる。メニスカスの外側では、横方向の流体流が、洗浄機構40のノズルの下で、可溶性物質(遊離ラベルおよび遊離分析物を含む)を中央から外に変位させる。
【0036】
滞留領域44の大きさは、ノズルからの流体流量、固体媒体10を通る流量、及びノズルと固体媒体10との間のギャップの大きさによって影響を受ける。ノズルからの流量は制御装置30によって制御されてもよいが、固体媒体10内の流量は、患者ごとに異なるサンプル流体粘度によって大きく影響を受ける。固体媒体10内の流量も、固体媒体10の特定の組成に依存する固体媒体10の特定の特性(例えば、濡れ性、透過性、及び空隙率)によって影響を受けることがある。結果として、滞留領域44の大きさは、サンプルごとに大きなばらつきを有し、これは、洗浄されていない遊離ラベル及び遊離分析物の量もサンプルごとにばらつくことを意味する。滞留領域44内の遊離ラベル及び遊離分析物のばらつきは、画像反射率密度におけるばらつきに寄与し、ひいてはバウンドラベル決定率のばらつきに寄与する。
【0037】
滞留領域44の遊離ラベル及び遊離分析物を補正するために、制御装置30は、洗浄液からの遊離ラベル及び遊離分析物のような不要な信号からの干渉を最小限に抑えた固体媒体10上の領域を積極的に特定して利用するためのアルゴリズムを採用してもよい。アルゴリズムは、洗浄変動からの干渉領域を回避するために、初期読み取り窓50(図7に示す)を縮小させ、それにより、アッセイ信号から洗浄滞留領域の変動を排除し、アッセイ精度を向上させる。以下に、より詳細に説明する特定の実施形態において、初期の円形の読み取り窓50を、縮小された三日月形の読み取り窓60に縮小することができる。
【0038】
図5は、例えば、固体媒体10及びアッセイシステム20を使用して少なくとも1つのアッセイを実施する方法100を示す。当業者は、方法100は、異なるタイプの固体媒体及びアッセイシステムと共に使用されてもよいことを理解するだろう。本開示の精神お及び範囲から逸脱することなく、図5に示されたステップのうちの1つ又は複数を省略することができ、及び/又は追加のステップを追加することができ、及び/又は特定のステップの順序を再配置ことができることも理解されるべきである。
【0039】
ステップ102で始まり、固体媒体10は、固体媒体受取位置22で受け取られる。実施形態において、固体媒体10は抗体を含み、この抗体は、ビーズ状のスプレッディング層(非受容体フォーマット、例えば、ジゴキシンアッセイフォーマット)全体にコーティングされているか、又は薄い受容体層(受容体フォーマット、例えば、カルバマゼピン)にコーティングされているかのいずれかである。例えば、HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)ラベルは、予備結合を有する(非受容体フォーマットにおいて)、又は予備結合を有しない(受容体フォーマットにおいて)グラビアコーティングされていてもよい。当業者は、異なるタイプの固体媒体10が異なるタイプのアッセイに使用されてもよく、それゆえ固体媒体10の組成物及びコーティングが変化してもよいことを理解するだろう。図示された実施形態では、アッセイシステム20は、複数の異なるタイプの固体媒体を受け取り、どのタイプの固体媒体が固体媒体受取位置22に挿入されるかに応じて、異なるタイプのアッセイ及び/又は複数のアッセイを実施するように構成されている。
【0040】
ステップ104において、分析されるべき流体サンプルが、サンプル吐出位置34において固体媒体10上に吐出される。例えば、サンプル吐出位置34において、遊離分析物を含むサンプル流体の少量(例えば、約11μL)が固体媒体10上に計量されてもよい。実施形態において、サンプル流体は、固体媒体10のサンプル吐出位置34において、例えば、制御装置30によって制御されるピペットによって加えられる。別の実施形態において、流体サンプルは、固体媒体10を固体媒体受取位置22に挿入する前に、ユーザによって加えられてもよい。次に、流体サンプルは、第1の層12を通って広がり、第2の層14に含まれる試薬と混合することができる。上述したHRPの実施形態では、グラビアコートされたHRPラベルは、サンプル流体によって水和されて溶解されてもよく、サンプル流体中の分析物及び溶解されたHRPラベルは、一定時間(例えば、一般的に5分)の間、限定された抗体部位に対して競合的に抗体と結合してもよい。
【0041】
ステップ106において、洗浄液は、固体媒体10上の流体サンプル上に、例えば、サンプル吐出位置34に近いが、サンプル吐出位置34とは異なる(例えば、流体サンプルが固体媒体上に吐出された位置の中心から約2mmずれた)洗浄吐出位置42で吐出される。洗浄液は、例えば、上述の図4に図示されているように、洗浄機構40によって適用されてもよい。代わりに、洗浄液は、固体媒体10を固体媒体受取位置22に挿入する前に、ユーザによって加えられてもよい。上述したHRPの実施形態では、結合していないラベル及び結合していない分析物は、色素生成反応を初期化するためのHを含む洗浄液によって洗い流されてもよく、結合しているラベルの濃度は、色素生成速度によってモニターされる。
【0042】
ステップ108において、光源26は、固体媒体10上に吐出された流体サンプルによって光が変調されるように、固体媒体10上に光を投射してもよい。実施形態において、光は、実施されるアッセイのための特定の波長を投射するように、光学フィルタ28及び/又は固体媒体10によって提供されるフィルタ(例えば、第3の層16において)によって変調される。実施形態において、必要とされる波長は、制御ユニット30にプログラムされてもよく、それにより、実施されるアッセイのための正しい波長の光が固体媒体10上に投射されるように、光源26および光学フィルタ28を制御してもよい。
【0043】
ステップ100において、撮像装置24は、固体媒体10上に吐出された液体サンプルの少なくとも1つの画像を記録する。画像は、例えば、光源26によって固体媒体10上に投射された光が固体媒体10上に吐出された液体サンプルによって変調される間、及び/又は光学フィルタ28が光源28からの光を変調する間、記録されてもよい。撮像装置24は、例えば、電荷結合素子(「CCD」)カメラであってもよく、例えば、固体媒体10上のほぼ楕円形又は円形の液体サンプルを示す二次元画像を記録してもよい。実施形態において、画像は、特定の波長で撮影され、その後、光強度(例えば、ADカウント)が、直径4.5mmの中心領域(つまり、サンプル吐出位置34)で、反射率密度に変換される。
【0044】
ステップ112において、制御装置30は、画像中の流体サンプルの領域に対応するように読み取り窓50を位置決めする。読み取り窓50は、例えば、標的位置を選択して、標的位置の周囲に所定の面積及び/又は形状を有する読み取り窓50を形成することによって位置決めされてもよい。標的位置は、例えば、サンプル吐出位置34又は別のデフォルト位置(例えば、固体媒体10のデフォルト中心)であってもよく、又は光強度に基づいて選択されてもよい。本出願と同日に出願された「スライド媒体の画像読み取り位置を選択するための方法及び装置」と題する米国仮出願第62/693,110号は、固体媒体上の標的位置を特定するための方法を更に記載しており、引用により本明細書に組み込まれ、これに依拠する。実施形態において、初期読み取り窓50は、既知のサンプル吐出位置34を中心点として使用して配置されることができる。代替的な実施形態において、読み取り窓50は、画像から検出された光強度に基づいて位置決めされる又は形状決めされてもよく、例えば、読み取り窓50は、光強度/反射密度の範囲を含む、又は除去するように描かれている。
【0045】
図6は、初期読み取り窓50が、撮像装置30によって撮影された画像46内に位置決めされる例示的な実施形態を示す。図6において、左の画像は、固体媒体10のより大きな領域の光強度(例えば、ADカウント)を示し、右の画像は、初期読み取り窓50の外側の領域が除去された後の光強度を示す。図示された実施形態では、初期読み取り窓50は、サンプル吐出位置34を取り、円の外側の全ての光強度(又は元の光強度の実質的に少なくとも90%)がその後除去されるように、サンプル吐出位置34の周囲に所定の直径の円を作成することによって位置決めされている。当業者は、サンプルが固体媒体10に加えられた時に生じるサンプル吐出位置34からのサンプルの円状の流れが、サンプルの全体を特に示す円を作るが、他の形状を読み取り窓50に使用し得ることを認識するだろう。
【0046】
図5に戻り、ステップ114で、初期読み取り窓50内の干渉領域が決定されてもよい。干渉領域は、例えば、洗浄吐出位置42の中心点に集中してもよく、ここでは、遊離ラベル及び分析物のばらつきのために滞留領域44が形成され、色素生成のばらつきに寄与し、それにより、光強度信号のばらつきに寄与する。図6に示されるように、滞留領域44の光強度は、遊離ラベル及び遊離分析物の大部分が除去される横方向の流体の流れを有する、読み取り窓50の残りの部分の光強度とは劇的に異なる。洗浄液は、試料が吐出された場所から中心をずらして吐出されたため、滞留領域44も同様に、流体サンプルの中心に焦点を合わせた読み取り窓50の中心から中心がずれて位置している。滞留領域44は、結合ラベルと遊離ラベルとの両方からの染料の発生により、暗くなっている。滞留領域44に起因する変動は、画像信号に対する比較的大きな寄与を有し、それにより、アッセイ分析の精度が低下し、エラーが発生しやすくなる。代替的な実施形態において、干渉領域は、洗浄吐出位置42を知らなくても、光強度プロファイルに基づいて決定されてもよく、光強度プロファイルのピーク又は谷が干渉の中心である。
【0047】
図5のステップ116において、初期読み取り窓50は、干渉領域を除去して縮小された読み取り窓60を作成するために、より小さな領域(図6に示すように)に縮小される。縮小された読み取り窓60は、アッセイを実施するために使用されてもよく、それによって、洗浄滞留変動の影響を最小限に抑えることができる。図示された実施形態では、読み取り窓50は、三日月形の読み取り窓60に縮小される。三日月形の外側又はより大きい直径の中心は、初期の読み取り窓50を作成するために中心として使用される標的位置と一致するように配置される。実施形態において、制御装置30は、三日月形の読み取り窓60の中心を円形の読み取り窓50の中心に対応するように選択し、検出された干渉領域が三日月形の除去部分に位置するように三日月形を回転させることによって、三日月形の読み取り窓60を配置するように構成されている。別の実施形態において、制御装置30は、除去された領域の中心を洗浄吐出位置42に対応するように選択し、洗浄吐出位置42の周囲の読み取り窓よりも小さい円形の領域を除去することによって、三日月形の読み取り窓60を配置するように構成されている。
【0048】
図7は、図6からの読み取り窓50が、滞留領域44を除去するために縮小される例示的な実施形態を示す。図7において、左の画像は、固体媒体10のより大きな領域の光強度を示し、一方、右の画像は、滞留領域44を除去するために縮小された読み取り窓60が配置された後の光強度を示す。図示された実施形態では、直径が3mmで、サンプル吐出位置34から1.4mmずれた位置を中心とする領域が、サンプル吐出位置42で、元の4.5mmの初期円形読み取り窓50から除去される。すなわち、初期読み取り窓50は、サンプル吐出位置34の周囲の円として形成されてもよく(例えば、サンプル吐出位置34の周囲の4.5mm)、一方、その後、縮小された読み取り窓は、洗浄吐出位置42の周りのより小さな円(例えば、洗浄吐出位置42の周囲の3mm)を除去するように形成されてもよい。
【0049】
図示された実施形態では、初期の円形の読み取り窓50及び縮小された三日月形の読み取り窓60の両方が所定の形状である。図7は、円形の読み取り窓が三日月形に縮小される様子を示しているが、異なるタイプの縮小が企図されることが理解されるべきである。例えば、楕円形の読み取り窓は、三日月形又は他のより小さい領域に縮小されてもよく、正方形、長方形又は他の同型の又は対称な窓は、一部を除いたより小さい正方形、長方形又は他の均一若しくは非同型のな領域に縮小されてもよく、抽象的又は不均一な形状は、流体の滞留に起因する暗い干渉領域を除去するために、除去された部分を含むように縮小されてもよい。洗浄液の流れは洗浄吐出位置に対応してほぼ軸対称であるため、初期読み取り窓から円を除去して縮小読み取り窓を作成することが有利である。
【0050】
別の実施形態において、初期読み取り窓50及び縮小された読み取り窓60の形状の一方又は両方は、予め定められていなくてもよい。例えば、縮小された読み取り窓60の面積及び/又は形状は、例えば、画像から検出された光強度が閾値以上若しくは閾値以下であること、又は特定の範囲内であることに基づいて、初期読み取り窓50の一部を除去することによって、ステップ116が実行される時点で決定されてもよい。
【0051】
図5のステップ118では、縮小された読み取り窓60を用いてアッセイが実施される。アッセイは、例えば、縮小された読み取り窓60全体の平均光強度を取ることによって実施されてもよい。実施形態において、縮小された読み取り窓60は、時間の関数としての光強度を決定するために使用される。例えば、光強度(信号)の変化率は、アッセイ濃度を予測するための応答(変化率)を計算するために使用されてもよい。
【0052】
本明細書に開示されているように読み取り窓を減少させることは、遊離ラベル及び遊離分析物からの変動を効果的に減少させ、それによりアッセイの精度を向上させることが見出されている。
【0053】
図8は、キャリブレーターレベル3のアッセイDGXNの動態(時間の関数としての信号変化)を示す。図示されているように、円形の読み取り窓と比較して、縮小された三日月形の読み取り窓では変動が小さい。下部の電流読み取り曲線は、中心が予め定義されたサンプル吐出位置にある円形の読み取り窓に対応する。上側の三日月形除去読み取り曲線は、三日月形の読み取り窓に対応する。図示されているように、上側の曲線は再現性が高い(より密に分布している)が、下側の曲線は再現性が低い。図8では、左と右のプロットは、同じサンプル間の結果を比較しているが、異なるカップからの結果である。図示されているように、三日月形の読み取り窓は、円形の読み取り窓と比較して、2つのカップ間でより良い精度が出る。
【0054】
図9は、キャリブレーターレベル3のアッセイDGXNの動態(時間の関数としての信号変化)を示す。図示されているように、円形の読み取り窓と比較して、縮小された三日月形の読み取り窓では変動が小さい。下部の電流読み取り曲線は、中心が予め定義されたサンプル吐出位置にある円形の読み取り窓に対応する。上側の三日月形除去読み取り曲線は、三日月形の読み取り窓に対応する。図示されているように、上側の曲線は再現性が高い(より密に分布している)が、下側の曲線は再現性が低い。図9では、左と右のプロットは、同じサンプル間の結果を比較しているが、異なるカップからの結果である。図示されているように、三日月形の読み取り窓は、円形の読み取り窓と比較して、2つのカップ間でより良い精度が出る。
【0055】
図10は、キャリブレーターレベル3のアッセイDGXNの動態(時間の関数としての信号変化)を示す。図示されているように、円形の読み取り窓と比較して、縮小された三日月形の読み取り窓では変動が小さい。下部の電流読み取り曲線は、中心が予め定義されたサンプル吐出位置にある円形の読み取り窓に対応する。上側の三日月形除去読み取り曲線は、三日月形の読み取り窓に対応する。図示されているように、上側の曲線は再現性が高い(より密に分布している)が、下側の曲線は再現性が低い。図10では、左と右のプロットは、同じサンプル間の結果を比較しているが、異なるカップからの結果である。図示されているように、三日月形の読み取り窓は、円形の読み取り窓と比較して、2つのカップ間でより良い精度が出る。
【0056】
図11は、異なる読み取り窓の形状での性能を示すグラフである。図11に示すグラフを作成するために、7つの異なる装置及び高いジゴキシン濃度を有する4つの異なる流体タイプ(患者1、2、3、及びTDM3流体)を試験に使用した。図11では、デフォルトは、4.5mmの円形の読み取り窓である。Ellipse Wt6は、4.5mm×3.4mmの楕円形の読み取り窓である。Ellipse/Moonは、洗浄滞留領域を除去した4.5mm×3.4mmの楕円の読み取り窓である。Moon 3.0mmは、3mm及び1.4mmオフセットの洗浄滞留領域除去(三日月形読み取り窓)を伴う4.5mmの円形読み取り窓である。Moon 4.0mmは、4mm及び2.5mmオフセットの洗浄滞留領域除去(三日月形読み取り窓)を伴う4.5mmの円形読み取り窓である。最高の性能は、1.4mmオフセットさせた位置で3mmの滞留領域除去を伴う4.5mmの円形読み取り窓(三日月形読み取り窓)から得られた。従って、図11は、1.4mmのオフセットと3mmの円形除去を伴う全ての分析装置と全ての流体にわたって、三日月形の読み取り窓で最高の精度を示している。
【0057】
本明細書に記載された現在好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正は、当業者には明らかであることが理解されるべきである。そのような変更及び修正は、本主題の精神及び範囲から逸脱することなく、その意図された利点を減少させることなく行うことができる。従って、そのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【0058】
他が示されていない限り、本明細書及び請求項で使用される成分の量、分子量、反応条件等の特性を表す全て数値は、全ての場合において「約」という用語によって修正されているとして理解されるべきである。従って、反対が示されていない限り、以下の明細書及び添付の請求項に記載された数値パラメータは、本開示によって得られるように求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、請求項の範囲への均等論の原則の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告されている有効数字の数に照らして、通常の四捨五入を適用して解釈されるべきである。本開示の広い範囲を規定する数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に規定された数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、本質的に、それぞれの試験測定において見出された標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を含む。
【0059】
本開示の文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)で使用される用語「a」、「an」、「the」、及び類似の参照は、本明細書に他が記載されていない限り、又は文脈と明確に矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含するように解釈されるべきである。本明細書での値の範囲の限定は、単に、範囲内に該当する各個別の値を個別に参照するための略記法として機能することを意図しているにすぎない。本明細書に他の記載がない限り、個々の値は、それが個々に本明細書に引用されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書に他が記載されていない限り、又は文脈と明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての例示的な、又は例示的な言語(例えば、「のような」)の使用は、単に開示をより良く明らかにすることを意図しており、他に主張される開示の範囲に制限を与えるものではない。本明細書中のいかなる言語も、本開示の実施に不可欠な請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0060】
請求項における用語「又は」の使用は、代替物のみを参照することを明示的に示さない限り、又は代替物が相互に排他的である場合を除き、「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示は、代替物のみ及び「及び/又は」を示す定義を支持する。
【0061】
本明細書に開示されている開示の代替要素又は実施形態のグループ分けは、制限として解釈されるべきではない。各グループの要素は、個別に、又はグループの他の要素又は本明細書に見出される別の要素との任意の組み合わせで参照され、請求され得る。便宜上及び/又は特許性の理由から、グループの1つ以上の要素がグループに含まれるか、又はグループから削除されてもよいことが予想される。そのような包含又は削除が生ずる場合、本明細書では、修正されたグループを含むものとみなされ、従って、添付の請求項で使用されるすべてのマーカッシュグループの書面による説明を満たす。
【0062】
本開示の好ましい実施形態は、本開示を実施するために本発明者らに知られている最良の態様を含めて、本明細書に記載されている。当然、これらの好ましい実施形態の変形例は、前述の説明を読むことで、当業者に明らかとなるだろう。本発明者は、当業者が、そのような変形例を適宜採用することを予期しており、本発明者は、本開示が、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施されることを意図している。従って、本開示は、適用される法によって許容されるように、添付の請求項に記載された主題の全ての変形例及び均等物を含む。更に、本明細書に他が記載されていない限り、又は文脈から明確に矛盾する場合を除き、上述した要素のあらゆる可能な変形例の組み合わせが、本開示によって包含される。
【0063】
本明細書に開示された特定の実施形態は、請求項において、「からなる」又は「本質的にからなる」という語を用いて更に限定され得る。請求項中で使用される場合、出願時又は補正により追加された場合を問わず、移行用語「からなる」は、請求項中で指定されていない任意の要素、ステップ、又は成分を除去する。「本質的にからなる」という移行用語は、請求項の範囲を、指定された材料又はステップ、及び基本的及び新規な特性に実質的に影響を与えないものに限定する。そのように請求された開示の実施形態は、本質的に、又は明示的に本明細書に記載され、可能とされる。
【0064】
更に、本明細書に開示された本開示の実施形態は、本開示の原理を例示するものであることが理解される。採用され得る他の変形は、本開示の範囲内である。従って、例示的であるが、これに限定されるものではなく、本開示の代替的な構成が、本明細書の教示に従って利用され得る。従って、本開示は、示され、記載されたものに正確に限定されない。
【0065】
[付記]
[付記1]
制御ユニットのプロセッサにおいて、ドライスライド上に位置する流体サンプルの画像を得るステップ、
前記制御ユニットの前記プロセッサを介して、前記画像の前記流体サンプルの領域に対応する読み取り窓を位置決めするステップ、
前記制御ユニットの前記プロセッサを介して、光強度に基づいて前記読み取り窓内の干渉領域を決定するステップ、
前記制御ユニットの前記プロセッサを介して、前記読み取り窓から前記干渉領域を除去するために、前記読み取り窓を縮小するステップ、及び、
前記制御ユニットを介して、縮小された前記読み取り窓を使用して少なくとも1つのアッセイを実施するステップ、
を含む、少なくとも1つのアッセイを実施するための方法。
【0066】
[付記2]
前記読み取り窓を縮小するステップは、所定の形状に前記読み取り窓を縮小することを含む、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の方法。
【0067】
[付記3]
前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を三日月形に縮小することを含む、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
【0068】
[付記4]
前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を円形から前記三日月形に縮小することを含む、
ことを特徴とする付記3に記載の方法。
【0069】
[付記5]
前記読み取り窓は初期領域を有し、前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を前記初期領域よりも小さい所定の領域に縮小することを含む、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
[付記6]
前記ドライスライド上の前記流体サンプル上に洗浄液を吐出するステップを含み、前記干渉領域は、前記洗浄液によって生ずる、
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
[付記7]
前記干渉領域は、前記洗浄液を吐出したことによる流体の滞留によって生ずる、
ことを特徴とする付記6に記載の方法。
【0072】
[付記8]
ドライスライド上に流体サンプルを吐出するステップ、
前記ドライスライド上の前記流体サンプル上に洗浄液を吐出するステップ、
制御ユニットのプロセッサを介して、前記ドライスライドの画像を得るステップ、
前記制御ユニットの前記プロセッサを介して、前記画像の前記流体サンプルの領域に対応する読み取り窓を位置決めするステップ、
前記制御ユニットの前記プロセッサを介して、前記洗浄液によって生ずる干渉領域を除去するために、前記読み取り窓を縮小するステップ、及び、
前記制御ユニットを介して、縮小された前記読み取り窓を使用して少なくとも1つのアッセイを実施するステップ、
を含む、少なくとも1つのアッセイを実施するための方法。
【0073】
[付記9]
前記洗浄液の既知の吐出位置に基づいて、前記読み取り窓内の前記干渉領域を決定するステップを含む、
ことを特徴とする付記8に記載の方法。
【0074】
[付記10]
前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を所定の形状に縮小することを含む、
ことを特徴とする付記8又は9に記載の方法。
【0075】
[付記11]
前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を三日月形に縮小することを含む、
ことを特徴とする付記10に記載の方法。
【0076】
[付記12]
前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を円形から前記三日月形に縮小することを含む、
ことを特徴とする付記11に記載の方法。
【0077】
[付記13]
前記読み取り窓は、初期領域を有し、前記読み取り窓を縮小するステップは、前記読み取り窓を、前記初期領域よりも小さい所定の領域に縮小することを含む、
ことを特徴とする付記8乃至12のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
[付記14]
前記干渉領域は、前記洗浄液を吐出したことによる流体の滞留によって生ずる、
ことを特徴とする付記8乃至13のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
[付記15]
少なくとも1つのドライスライドであって、該ドライスライド上に位置する流体サンプルを有するドライスライドを受け取るように構成されたスライド受取位置、
前記ドライスライドの前記流体サンプル上に洗浄液を吐出するように構成されたディスペンサ、及び、
(i)画像における前記流体サンプルの領域に対応する読み取り窓を位置決めする、(ii)前記洗浄液によって生ずる干渉領域を除去するために、前記読み取り窓を縮小する、及び(iii)縮小された前記読み取り窓を使用して少なくとも1つのアッセイを実施する、ように構成された制御ユニット、
を備える、少なくとも1つのアッセイを実施するための装置。
【0080】
[付記16]
前記制御ユニットは、前記洗浄液の既知の吐出位置に基づいて前記読み取り窓内の前記干渉領域を決定するように構成される、
ことを特徴とする付記15に記載の装置。
【0081】
[付記17]
前記制御ユニットは、前記読み取り窓を所定の形状に縮小するように構成される、
ことを特徴とする付記15又は16に記載の装置。
【0082】
[付記18]
前記制御ユニットは、前記読み取り窓を円形から三日月形に縮小するように構成される、
ことを特徴とする付記15乃至17のいずれか1つに記載の装置。
【0083】
[付記19]
前記制御ユニットは、前記読み取り窓を所定の領域に縮小するように構成される、
ことを特徴とする付記15乃至18のいずれか1つに記載の装置。
【0084】
[付記20]
前記干渉領域は、前記ドライスライド上に前記洗浄液を吐出したことによる流体の滞留によって生ずる、
ことを特徴する付記15乃至19のいずれか1つに記載の装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11