(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】ナノ粒子に自己組織化するポリペプチド
(51)【国際特許分類】
C07K 14/00 20060101AFI20241125BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20241125BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20241125BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20241125BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20241125BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20241125BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20241125BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241125BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20241125BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20241125BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20241125BHJP
【FI】
C07K14/00 ZNA
C12N15/11 Z
C12N15/88 Z
A61K9/51
A61K31/7088
A61K31/713
A61K31/7105
A61K48/00
A61K47/42
A61K47/69
C12N15/113 Z
(21)【出願番号】P 2021505980
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2019071143
(87)【国際公開番号】W WO2020030654
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-27
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506110634
【氏名又は名称】イーティーエイチ・チューリッヒ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エドワードソン, トーマス ジョージ ワット
(72)【発明者】
【氏名】ヒルバート, ドナルド
【審査官】斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/138525(WO,A1)
【文献】HEINZE, K. et al.,Protein Nanocontainers from Nonviral Origin: Testing the Mechanics of Artificial and Natural Protein Cages by AFM,The Journal of Physical Chemistry B,2016年,Vol. 120,P. 5945-5952,https://doi.org/10.1021/acs.jpcb.6b01464
【文献】LILAVIVAT, S. et al.,In Vivo Encapsulation of Nucleic Acids Using an Engineered Nonviral Protein Capsid,Journal of the American Chemical Society,2012年,Vol. 134, No. 132,P. 13152-13155,https://doi.org/10.1021/ja302743g
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
A61K
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列Iを含むポリペプチドであって、
前記アミノ酸配列Iが、配列番号2~5、ならびに配列番号10~16、37、および38からなる群から選択されるアミノ酸配列である、ポリペプチド。
【請求項2】
請求項
1に記載のポリペプチドをコードする核酸。
【請求項3】
請求項
1に記載
のポリペプチドを
少なくとも1つ含むナノ粒子。
【請求項4】
請求項
3に記載のナノ粒子と、前記ナノ粒子にカプセル化されている1つ以上のカーゴ分子と、を含む、複合体。
【請求項5】
前記1つ以上のカーゴ分子が、1つ以上のオリゴヌクレオチドであり、好ましくは前記1つ以上のオリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、および抗miRNAからなる群から選択されるRNAである、請求項
4に記載の複合体。
【請求項6】
前記ナノ粒子にカプセル化された前記1つ以上のオリゴヌクレオチドが、DNAse加水分解を受けにくい、請求項
4または
5に記載の複合体。
【請求項7】
細胞をトランスフェクションするためのin vitroの方法であって、前記細胞を請求項
4~
6のいずれかに記載の複合体と接触させる段階を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子に自己組織化するポリペプチドの分野に関する。特に、本発明は、アミノ酸配列I(配列番号1)を含むポリペプチド、該ポリペプチドをコードする核酸配列、本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含むナノ粒子、該ナノ粒子および1つ以上の負電荷のカーゴ分子を含む複合体、ならびに細胞を該複合体でトランスフェクションするための方法に関する。
【0002】
関連技術
オリゴヌクレオチド(ON)は、多くの潜在的な臨床用途を有する分子医学の分野であるが、それらの次善の薬物動態特性は、薬物開発を実質的に妨げている(Whitehead,K.A.et al.,Nat.Rev.Drug Discov.2009,8,129-138)。特に、ONはかなり大きく、高電荷の実体であり、拡散によって細胞に進入しないため、ONの細胞内送達は依然として重要な障害である(Lundin,K.E.et al.,Oligonucleotide Therapies:The Past and the Present.Hum.Gene Ther.2015,26,475-485)。インビボ用途でのさらなる懸念には、生物学的血清中に存在するヌクレアーゼに対する感受性が含まれ、急速な分解、ならびに尿中排泄および所望されないオフターゲット効果、ならびに細胞内および細胞外免疫応答の活性化をもたらす。
【0003】
これらの欠点を克服するために、バクテリオファージP22に由来するウイルス様粒子(VLP)(Qazi,S.et al.,Mol.Pharm.2016,13,1191-1196)またはQウイルス様粒子(VLP)機能性ナノ粒子などのオリゴヌクレオチド送達システムの使用が提唱された(Fang,P.Y.et al.,Nucleic Acids Res.2017,45,3519)。しかしながら、所望の治療カーゴを担持するウイルス様粒子の作成は、複雑で、費用がかかり、かつ依然として安全性の懸念を伴う。
【0004】
オリゴヌクレオチド送達ベクターとして広範な材料が提唱されているが、単純、効果的、安全、かつ非毒性の送達の解決策が依然として探し求められている(Whitehead,K.A.et al.,Knocking down barriers:advances in siRNA delivery.Nat.Rev.Drug Discov.2009,8,129-138)。最近、高度に秩序化され、かつ対称的なケージ様ナノ構造に自己組織化することができるコンピュータ設計されたタンパク質の開発が説明されている(King,N.P.et al.,Science,2012,336,1171-1174、米国第9,630,994(B2)号)。さらに、ヒト細胞から小胞内へのそれら自体の放出を指示するエンベロープタンパク質ナノケージ(EPN)に関して、このような自己組織化タンパク質ナノケージの設計が最近説明されている。N末端p6GagペプチドおよびC末端PHドメインに融合されるとき、EPN形成をサポートする設計された対称的な自己組織化足場のうちの1つは、O3-33と名付けられた(King,et al.,2012,op.cit.;J.Votteler,et al.,Nature,2016,540,292-295)。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ナノ粒子に自己組織化することができるだけでなく、該ナノ粒子が、高い結合親和性をもつオリゴヌクレオチドなどの負に帯電した高分子をカプセル化し、インビトロおよびインビボで該高分子を送達することができる、設計された非天然の新規ポリペプチドを提供する。さらに、本発明の好ましいナノ粒子は、哺乳動物細胞によって効率的に取り込まれ、それらのカーゴを放出し、例えば、RNA干渉およびノックダウン遺伝子発現を誘導できることが見出された。したがって、設計された非天然の新規ポリペプチドは、先行技術の送達ビヒクルの所望されない特性を最小化または回避しながら、カーゴ送達、特に核酸送達を可能にするナノ粒子をもたらすように設計された。
【0006】
重要なことに、本発明のナノ粒子は、容易に高収率で作成および精製され、任意の高分子、特に任意のオリゴヌクレオチドを該ナノ粒子にインビトロでパッケージングすることを可能にする。さらに、したがって、本発明のナノ粒子は、例えば、遺伝的干渉などの様々な異なる用途で遺伝子発現を調節するための治療ONなどの、多種多様な該カーゴを細胞内に送達するのに有用な一般的プラットフォームを提供する。したがって、それらの有用性は、バイオテクノロジーの用途および治療用途を包含する。さらに、本発明のナノ粒子は、典型的には均一なサイズを有し、特にインビボで安全であり、耐容性が良好であり、さらに典型的には生分解性である。加えて、設計された非天然の新規ポリペプチドは、典型的かつ好ましくは、測定可能であり経済的であり、遺伝的および翻訳後(化学的)修飾の両方を可能にする組換え発現によって容易に作成することができる。本発明のナノ粒子の特性を調整することにより、さらに、ナノ粒子は、細胞に進入するだけでなく、細胞質内のカーゴを条件付きで放出し、例えば、記載の遺伝子発現を制御することができる。
【0007】
したがって、本発明者らによって開発された非天然の新規ポリペプチドは、自己組織化してナノ粒子になり、これは、カーゴ、好ましくは、ONなどの負に帯電した高分子をカプセル化および送達することができる。
【0008】
したがって、第1の態様では、本発明は、以下からなるアミノ酸配列Iを含むポリペプチドを提供する。
MX13QAIGILELX1SIAAGMELGDAMLKSAX14VX15LLVSKTISX2GKFLLMLGGDIX8AIX9X12AIX10TGTX11QAGX3LLVDSLVLAX16IHPSVLPAIX17GX18NX19VX20X7X21QAVGIVETX4SVAACISAADX22AVX23GSX24VTLVRVHMAX5GIGGKCYMVVAGDVSDVALAVTVASSSAGAYGX6LVYASLIPX25PHX26AMWX27QMVX28GX29E(配列番号1)
X1~X6のうちの少なくとも3個が互いに独立して正に帯電したアミノ酸であることを条件として、X1~X29のいずれかは、互いに独立してアミノ酸のものであり、任意選択で、配列番号1のX1~X29で示される以外の位置の最大5個のアミノ酸は、任意のアミノ酸によって交換される。
【0009】
さらなる態様において、本発明は、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を提供する。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含むナノ粒子を提供する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、本発明のナノ粒子および1つ以上のカーゴ分子を含む複合体を提供し、該1つ以上のカーゴ分子は、該ナノ粒子にカプセル化される。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、該細胞を本発明の複合体と接触させる段階を含む、細胞をトランスフェクションするための方法を提供する。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、本発明のポリペプチドを該ナノ粒子に自己組織化する段階を含む、本発明のナノ粒子を製造するための方法を提供する。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、本発明のナノ粒子を1つ以上の負に帯電した高分子と混合する段階を含む、本発明の複合体を製造するための方法を提供する。
【0015】
さらなる態様において、本発明は、細胞をトランスフェクションするための本発明の複合体の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)1つの三量体がリボン状で示されている、4回対称軸および2回対称軸からのOPケージの表面モデル。X線回折データから作成されたモデル。(b)アルギニン挿入位置が黒球として示されている、1つの三量体の側面図。(c)アルギニン位置が黒球として示されている、三量体の内腔表面。(d)OPのネガティブ染色透過型電子顕微鏡写真(TEM)。
【
図2】(a)Atto488蛍光により可視化されるOPとAtto488標識ssDNAの電気泳動移動度シフトアッセイ。(b)SECで精製されたOP:核酸複合体の吸光度スペクトル。(C)k
onを決定するための[OP]対OPの添加時にAtto488-ssDNAカーゴの蛍光消光から得られる、K
obs値のプロット。(d)非標識競合DNAの添加により誘導されたOPケージから放出されたAtto488-ssDNAの蛍光回復のプロット。
【
図3】(a)フローサイトメトリーにより決定される(n=3)、OP有り無し下におけるAtto488-DNAの細胞内取り込み。(b)Atto488-DNAまたはOP:Atto488-DNA(Atto488-ssDNAカーゴとOP)で処理されたHeLa細胞の共焦点蛍光顕微鏡。Hoechstとは核染色を指す。(c)異なる細胞株にわたる細胞取り込みのフローサイトメトリー分析。200nMのAtto488-DNAまたはOP:Atto488-DNAで18時間処理した後の7つの異なる細胞型の蛍光強度の中央値。蛍光強度の中央値は10,000個の細胞から得られた。MCF-7-乳がん、HepG2-肝臓がん、A431-皮膚がん、HT-29-結腸がん、CHO-K1-ハムスター卵巣(非がん性)、Vero-アフリカミドリザル腎臓(非がん性)。
【
図4】(a)フローサイトメトリーにより決定されるGFPノックダウン(n=4)。OP:スクランブルとは、GFP mRNA、または任意の他の内因性配列を標的としないスクランブルsiRNAを指し、His
6なしとは、His
6タグのないOPケージにパッケージングされるsiRNAを指す。(b)OPからのdsDNAカーゴのtRNA誘導性放出の経時的な未変性AGE分析。Atto488蛍光によって可視化される。(c)異なる細胞株にわたる細胞取り込みのフローサイトメトリー分析。Atto488-DNAまたはOP:Atto488-DNAの200nMで18時間処理した後の、7つの異なる細胞型の蛍光強度の中央値。蛍光強度の中央値は10,000個の細胞から得られた。
【
図5】静電ポテンシャル面。内面および外面の両方を示す、O3-33およびOPの結晶構造からの三量体サブユニットのクーロン表面比較。
【
図6】SDS-PAGE。粗細胞溶解物由来のタンパク質およびNi-NTAから単離された生成物の両方が示される。OPの移動度が低いのは、分子量の違いではなく、追加の正に帯電したアミノ酸によるものである。サイズ排除クロマトグラフィー後、OPの上の微かなバンドが除去される。Coomassieブルーで可視化されたゲル。Ni-NTA後のOPタンパク質の典型的な収率は、100mg/L E.coli培養液である。
【
図7】O3-33およびOPのSEC。本発明のO3-33および正に帯電したケージ状ナノ粒子であるOPのサイズ排除クロマトグラフィー。Ni-NTAクロマトグラフィーからの粗混合物および精製アセンブリの分析トレースの両方が示される。点線は260nm(核酸)での吸光度に相当し、実線は280nm(タンパク質)での吸光度に相当する。TEM分析に基づくと、OP(Ni-NTA)の12~14mLのピークには、代替の4次アセンブリではなく、完全に組織化されたケージの二量体、三量体、および高次の凝集体が含まれる。OP(Ni-NTA)の22mLでのピークには、E.coliでのタンパク質発現中に搭載され、SECによって簡単に除去された核酸断片が含まれる。16mLでの主要ピークは、収集され、さらに特性が明らかにされたタンパク質の溶出画分を示す。OPのSECが代表的であり、OTR101~OTR503は約16mLの同等の溶出量を示す。
【
図8】O3-33およびOPのDLSおよびAGE(a)原型(O3-33)および正に帯電した(OP)ケージ変異型の動的光散乱(DLS)。(b)未変性アガロースゲル電気泳動(AGE)(3%);レーン1:O3-33、レーン2:OP、Coomassieブルーで染色。SEC、DLS、TEM、およびX線回折データを考えると、O3-33と比較してOPの移動度が低下しているのは、サイズの変化ではなく、正電荷の増加によるものである。(c)OP変異型の3%AGE。タンパク質はCoomassieブルーで染色。移動度の違いは、サイズの変化ではなく、全体的な電荷によるものである。スミアリングは、ケージの分解ではなく、大量のタンパク質が搭載されたことに起因する。レーン1:O3-33。レーン2:OTR101。レーン3:OTR201。レーン4:OTR202。レーン5:OTR203。レーン6:OTR301。レーン7:OTR302。レーン8:OTR401。レーン9:OTR402。レーン10:OTR501。レーン11:OTR502。レーン12:OTR503。レーン13:OP。すべてのタンパク質は同等の電気泳動移動度を有し、SECおよびTEMの両方により粒子のサイズが同じであることが示されているため、正に帯電したアルギニン残基の数が増えると、わずかな偏差が生じる。まとめると、これらの特性評価アプローチは、すべての変異型の構造がOPと同じであるという仮説を裏付けている。
【
図9】透過型電子顕微鏡(TEM)画像。OPおよびO3-33のスケールバーは、100nmであり、OTR501では200nmである。ネガティブ染色された透過型電子顕微鏡画像は、OPおよびOTR101~OTR503で得られた。本明細書に示されるSECは、OPおよびすべての変異型OTR101~OTR503の代表である。これらの画像は、変異型のキャプシドの均一な分布およびOPと一致する形態を示唆している。
【
図10】O3-33およびOPとssDNAのEMSA。OPまたはO3-33の当量が増加する、Atto488標識ssDNAの電気泳動移動度シフトアッセイ。レーン1~7:Atto488-ssDNA+OP、レーン8:Atto488-ssDNA、レーン9~15:Atto488-ssDNA+O3-33。Atto488蛍光によって可視化されたゲル。
【
図11】dsDNAおよびdsRNAを用いたOPのEMSA。OPケージのモル当量が増加し、どちらも長さ21bpを有する(a)dsDNAおよび(b)dsRNAの電気泳動移動度シフト。0.5当量のOPでの遊離核酸の微かなバンドは、電気泳動中の非平衡状態によるものであり、全核酸のごく一部を表している。キャプシドあたり144個のアルギニン残基があるため、144ヌクレオチドのみをカプセル化すると、電荷的中性が達成され、これはキャプシドあたり3.6二重鎖(21 bp)に相当する。本発明で観察される2つの二重鎖の最大負荷容量は、RNA-RNA電荷反発、球状容器によって課せられる物理的制約、および好ましい結合相互作用に寄与するために接触可能なアルギニン残基の要件の観点から合理的に説明できる。GelRedで核酸を染色。
【
図12】核酸カプセル化のSEC。ssDNA、dsDNA、またはdsRNA(すべて長さ21nt)のいずれかのケージあたり5当量でインキュベーション後、OPと比較した空のOPケージのサイズ排除クロマトグラフィー。点線は260nm(核酸)での吸光度に相当し、実線は280nm(タンパク質)での吸光度に相当する。核酸を介した凝集は観察されない。すべての複合体は、空のOPケージと同じ保持容量を示すが、A260/A280比が増加し、オリゴヌクレオチドの内在化を示す。
【
図13】動態測定。OPケージ内のssDNAの1:1カプセル化動態を決定するための代表的なデータセット。EMSA(
図10)に見られるバンド強度から明らかなように、OPによるAtto488-ssDNAのカプセル化は、本明細書に示される時間分解結合アッセイに利用されたフルオロフォアの消光をもたらす。Atto488フルオロフォアは488nmで励起し、発光は515nmで測定した。各実験(a~e)では、Atto488-ssDNAの濃度は10nMであり、t=0で追加されたOPの濃度はプロットに示す。(f)正規化せずに、これら5つの濃度点の単一の指数フィット(a~eに表示)の比較。
【
図14】ヌクレアーゼアッセイ。(a)示されたヌクレアーゼ(Bzase=Benzonase)で処理された遊離核酸(R=dsRNA、ssD=ssDNAおよびdsD=dsDNA)、および(b)OPケージにあらかじめパッケージングされた同じ核酸(これも示されたヌクレアーゼで処理された)を示す未変性アガロースゲル。レーンMには、参照用に300ntのssRNAが含まれる。サンプルをヌクレアーゼとともにPBS中37℃で18時間インキュベーションした。DNAサンプルのBenzonaseの場合、および一本鎖DNAのDNaseIでは、消化がいくらか不完全である(a、上部ゲルレーン8、11、および12)。それにもかかわらず、カプセル化されたサンプルと完全に消化されたサンプルとを比較すると、OPは大きなヌクレアーゼであるBenzonaseおよびDNaseIからカーゴを保護でき、小さなRNaseAはケージに入ってRNAカーゴを消化できることがはっきりと明らかになる。
【
図15】(a)24時間および(b)48時間のインキュベーション後のHeLa細胞における種々の濃度でのOPおよびリポフェクタミン2000の細胞毒性。対照:PBSまたは1%TritonX-100界面活性剤(n=3)。
【
図16】蛍光顕微鏡によるGFPノックダウンの定性的評価。HeLa細胞におけるGFP発現のノックダウン。生細胞蛍光顕微鏡からの相対的なGFP含有量の観点から示される。本発明で見られる傾向は、定量的フローサイトメトリー分析とよく一致している(
図4a)。サンプル名は各パネル対の上に表示され、左が明視野、右がGFP蛍光(470nmでLED励起、発光フィルター535/50nm)である。各サンプルのsiRNA濃度は、100nMであり、画像はsiRNAサンプルの添加46時間後に得られた。スケールバーは100μmである。
【
図17】より高いDNA対OP比での反応動態。Atto488-DNAとOPの比率が高くなると、OPケージあたり2分子のssDNAの搭載と一致する2つの効果が観察される。第1に、消光の増加が観察され、これは、(a)~(c)のエンドポイントから明らかである。これは、OPの小さな空洞内で有効濃度が高いフルオロフォアの自己消光によるものである可能性が最も高い。第2の効果は、単一から二重の指数関数的減衰への遷移であり、2つの異なる結合事象が明らかになる。(b)および(c)の場合、単一の指数フィットは実線で示され、二重の指数フィットは破線で示される。
【
図18】His6タグのないOPの特性評価。(a)OP(レーン1)およびOP-His6なし(レーン2)のSDS-PAGE比較。(b)OP-His6なしのSECは、OPと同様の保持容量(16mL)を示す。(c)OP-His6なしのネガティブ染色TEMは、OPと一致しているように見える。(d)レーン1:OPおよびレーン2:OP-Hisなしの未変性AGE。タンパク質をCoomassieブルーで可視化したゲル。(e)OP(レーン2)およびOP-His6なし(レーン3)において1:1のモル比でsiRNAカプセル化を示す未変性AGE。レーン1は遊離siRNAの対照である。核酸についてはGelRedで可視化。(f)5当量のsiRNAでインキュベーション後のOP-His6なしのSECは、空のケージ(16mL)と同じ保持容量を示すが、A260/A280比が増加し、オリゴヌクレオチドの内在化を示す。19~21mLのピークは、過剰なRNAに相当する。
【
図19】tRNAのカプセル化。1.2当量のOPケージの存在下でtRNAの完全な結合を示す未変性アガロースゲル分析。レーン1-tRNA、レーン2-tRNA+OP。GelRedで染色。
【
図20】オリゴヌクレオチドとO3-33のEMSA。(a)核酸はGelRed、および(b)タンパク質はCoomassieブルーで染色した同じ未変性アガロースゲル。矢印:複合体(ナノ粒子とssDNA)。未標識のssDNA、dsDNA、およびdsRNAは、2当量のO3-33でインキュベーション後に分析された。タンパク質ケージとオリゴヌクレオチドの間に相互作用はない。
【
図21】異なるDNA配列の搭載。(a)DNAはGelRed、および(b)タンパク質はCoomassieブルーで染色した同じ未変性アガロースゲル(3%未変性AGE)。下矢印:ssDNA、上矢印:複合体(ナノ粒子とssDNA、dsDNA、dsRNA)。各サンプルは、ssDNAとキャプシドの比率が2:1であり、オリゴヌクレオチドは18~26ntの範囲であり、ランダム配列を含む(以下の表2に提供される)。レーン1-18nt ssDNA1、レーン2-26nt ssDNA、レーン3-OP、レーン4~12-OP+2当量の各種ssDNA。
【
図22】血清安定性。(a)RNAはGelRed、および(b)タンパク質はCoomassieブルーで染色した同じ未変性アガロースゲル。下矢印:dsRNA、上矢印:複合体(ナノ粒子とdsRNA)、中矢印:BSA。dsRNAを搭載したOPケージと血清タンパク質との明らかな相互作用はなく、RNAカーゴの置換または分解もない。レーン1-dsRNA、レーン2-OP:dsRNA、レーン3~7-37℃で0.5、1、2、4、および7時間10%FBSでインキュベーション後のOP:dsRNA、レーン8-10%FBSのみ。
【
図23】小角X線散乱。(a)OP、OP:dsDNAおよびOP:dsRNAの1次元散乱曲線。実験データは点で示され、距離分布を作成するために使用される適合は灰色の線で示される。(b)AUTOGNOM2-3を使用して上記のデータから計算されたOP、OP:dsDNA、およびOP:dsRNAのペア距離分布関数。破線は、DLS実験(
図8a)から得られた粒径に対応し、距離でのテーリングが14nmを超えるのは、各タンパク質ケージ間の一時的な分子間相互作用によるものである。オリゴヌクレオチドと複合体を形成しても、タンパク質ケージの外径に変化はなく、密度は中空球のような粒子から充填球に推移する。両現象は、OPの空洞内のオリゴヌクレオチドの内部移行と一致する。
【
図24】O3-33およびOPの円二色性スペクトル。実線は平均値であり、エラーバーは各タンパク質の3回の測定からの標準偏差を示す。
【
図25】本発明のナノ粒子および複合体の調製および利用に関する概要。
【
図26】電気泳動シフトアッセイ(EMSA)により調べられたナノ粒子(NP)へのssDNA搭載。(a)UV透過照明によるAtto488-吸光度で可視化された2%未変性ゲル。レーン1:O3-33。レーン2:OTR101。レーン3:OTR201。レーン4:OTR202。レーン5:OTR203。レーン6:OTR301。レーン7:OTR302。レーン8:OTR401。レーン9:OTR402。レーン10:OTR501。レーン11:OTR502。レーン12:OTR503。レーン13:OP。レーン14:Atto488-ssDNA。幅広のバンドは、DNAバッチの不純物から生じる。(b)タンパク質はCoomassieブルーで可視化された。
【
図27】ssDNAカプセル化による蛍光消光。(a)10nM Atto-488ssDNAにおける50nM濃度タンパク質でのすべての変異型の蛍光減衰。これは、この減衰速度がアルギニンの数および位置に依存することを示す。(b)(a)の遅い変異型の拡大図。ここでは、O3-33、OTR101、OTR201、OTR202、およびOTR203がssDNAに結合していないことが明確に視認できる。
【
図28】ナノ粒子(NP)へのdsDNA搭載のインビトロ研究。(a)hpDNAのAtto-488吸光度によって可視化された未変性AGE。(b)タンパク質の可視化のため、Coomassieブルーで染色後の同じゲル。レーン1:hpDNA。レーン2:OTR301。レーン3:OTR302。レーン4:OTR401。レーン5:OTR402。レーン6:OTR501。レーン7:OTR502。レーン8:OTR503。レーン9:OP。
【
図29】フローサイトメトリーで測定したGFPノックダウン(n=3)。
【
図30】ELISAで測定したマウスのOPケージの免疫原性。OP特異的IgG1(a)、IgG2a(b)、およびIgG2b(c)抗体価は、矢印で示されるように、OPで免疫されたBALB/cマウスの血清で測定された。各点は、4匹のマウスの平均IgG力価である。
【
図31】ELISAで測定したマウスにおけるOPケージの免疫原性の経時変化。OP特異的IgG1(a)、IgG2a(b)、およびIgG2b(c)抗体価は、矢印で示されるように、OPで免疫されたBALB/cマウスの血清で測定された。各点は、4匹のマウスの平均IgG力価である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0018】
本明細書およびそれに続く特許請求の範囲を通して、文脈が他の意味に解する場合を除いて、「含む(comprise)」という単語または「含む(include)」という単語、ならびに「含む(comprises)/含む(includes)」および「含んでいる(comprising)/含んでいる(including)」などの変形は、要素、述べられた整数、段階、またはそれらの群の包含を意味するが、任意の他の要素、述べられた整数、段階、またはそれらの群の排除を意味しないと理解されるべきである。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明白に他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0020】
数値に関連して使用される場合、「約」または「おおよそ」という用語は、示された数値よりも0~10%小さい下限を有し、示された数値よりも0~10%大きい上限を有する範囲内の数値を包含することを意味する。「約」または「おおよそ」という用語は、好ましくは±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±3%または最も好ましくは±0%(それぞれ所与の数値を参照)を意味する。本発明の各実施形態では、「約」は、削除される場合がある。本明細書に開示される値の全ての範囲は、範囲を定義する値を含む該範囲内にあるあらゆる全ての値を指し、含むものとする。
【0021】
第1の態様において、本発明は、以下からなるアミノ酸配列Iを含むポリペプチドに関する。
MX13QAIGILELX1SIAAGMELGDAMLKSAX14VX15LLVSKTISX2GKFLLMLGGDIX8AIX9X12AIX10TGTX11QAGX3LLVDSLVLAX16IHPSVLPAIX17GX18NX19VX20X7X21QAVGIVETX4SVAACISAADX22AVX23GSX24VTLVRVHMAX5GIGGKCYMVVAGDVSDVALAVTVASSSAGAYGX6LVYASLIPX25PHX26AMWX27QMVX28GX29E(配列番号1)
X1~X6のうちの少なくとも3個が互いに独立して正に帯電したアミノ酸であることを条件として、X1~X29のいずれかは、互いに独立してアミノ酸のものであり、任意選択で、配列番号1のX1~X29で示される以外の位置の最大5個のアミノ酸は、任意のアミノ酸によって交換される。
【0022】
好ましい実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号1からなるアミノ酸配列を含み、X1~X6のうちの少なくとも3個が互いに独立して正に帯電したアミノ酸であることを条件として、X1~X29のいずれかが、互いに独立して、アミノ酸のものである。
【0023】
本明細書で使用される「ポリペプチド」という用語は、サイズ、長さ、二次および三次構造、サブユニット数、または翻訳後修飾に関係なく、アミノ酸の任意のペプチド結合で結合したポリマーを指す。したがって、「ポリペプチド」という用語は、「ペプチド」、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、「アミノ酸配列」という用語を包含すると理解されるべきである。本発明によるポリペプチドは、開放線状ペプチド鎖または環状ペプチドであり、代替的または追加的に、本発明のペプチドは、脂質化、グリコシル化およびリン酸化などの少なくとも1つの化学修飾を含み得る。本明細書で理解されるように、ペプチド、特に本発明のペプチドは、単離されるか、または好ましくは、化学合成、RNA翻訳、および/または組換えプロセスによって作成され得る。
【0024】
本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、官能基アミン(-NH2)およびカルボン酸(-COOH)およびその両性イオンを、典型的かつ好ましくは、各アミノ酸に特異的な側鎖とともに含む有機化合物を指す。「アミノ酸」という用語は、典型的かつ好ましくは、タンパク質原性アミノ酸(RNA翻訳によって産生される)、非タンパク質原性アミノ酸(他の代謝メカニズム、例えば翻訳後修飾によって産生される)、標準または基準アミノ酸(遺伝暗号のコドンによって直接コードされている)および非標準または非基準アミノ酸(遺伝暗号によって直接コードされていない)などの天然に存在するアミノ酸を含む。天然に存在するアミノ酸には、非真核生物および真核生物のアミノ酸が含まれる。本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、化学的に合成される非天然アミノ酸も含む。さらに、この用語は、アルファ-(α-)、ベータ-(β-)、ガンマ-(γ-)およびデルタ-(δ-)などのアミノ酸、ならびにこれらの任意比率の混合物、および該当する場合は、アミノ酸の任意の異性体、すなわちそのD-およびL-立体異性体(あるいは(R)および(S)の命名法によって呼ばれる)、ならびにこれらの任意比率、好ましくはラセミ比が1:1の混合物を包含する。本発明のアミノ酸は、典型的かつ好ましくはL配置である。「D-立体異性体」、「L-立体異性体」、「D-アミノ酸」または「L-アミノ酸」という用語は、アミノ酸のキラルアルファ炭素を指す。アミノ酸は、修飾および/または結合した化合物、および残基、例えば、Boc、Fmoc、またはその両方などのペプチド合成に使用される残基を含み得る。
【0025】
「Xn~Xm」および「Xn~m」という用語は、配列番号1の特定のアミノ酸の位置を示すため、本明細書で互換的に使用される。
【0026】
任意選択で、配列番号1のX1~29で示される以外の位置にある最大5個のアミノ酸を任意のアミノ酸で交換することができる。本明細書で互換的に使用される「アミノ酸交換」または「任意のアミノ酸によって交換される」という用語は、1つのアミノ酸の欠失による交換、または1つ以上のアミノ酸、より好ましくは、1つ、2つまたは3つのアミノ酸による単一のアミノ酸の置換(付加)を指す。最も好ましくは、「アミノ酸交換」という用語は、単一のアミノ酸の欠失、または単一のアミノ酸の1つ、2つ、または3つのアミノ酸による置換を指す。好ましい実施形態では、該アミノ酸交換は置換である。別の好ましい実施形態において、該アミノ酸交換は、保存的アミノ酸置換である。
【0027】
「保存的置換」という用語は、所与のアミノ酸を類似の生化学的特性を有する異なるアミノ酸と交換するアミノ酸置換である。保存的置換には、等配電子置換およびアミノ酸の荷電、極性、芳香族、脂肪族または疎水性の性質が維持される置換が含まれ、好ましくはそれらを指す。保存的置換とは、本発明のポリペプチドがナノ粒子、好ましくは本発明のケージ状ナノ粒子に自己組織化する能力を維持する置換を指す。
【0028】
本明細書で使用される「正に帯電した」という用語は、正に帯電した基を有する分子を含み、好ましくはそれを指す。より好ましくは、該正に帯電した分子は、中性または生理学的pHで正に帯電した基を有する。
【0029】
本発明の好ましい実施形態において、任意選択で、配列番号1のX1~29で示される以外の位置にある最大4アミノ酸、より好ましくは最大3アミノ酸、さらにより好ましくは最大2アミノ酸、最も好ましくは1アミノ酸が、任意のアミノ酸と交換される。
【0030】
好ましい実施形態では、該ポリペプチドは、約500アミノ酸以下、好ましくは約400アミノ酸以下、より好ましくは300アミノ酸以下、さらにより好ましくは250アミノ酸以下、さらにより好ましくは200アミノ酸以下、さらにより好ましくは188~230アミノ酸、最も好ましくは192アミノ酸の長さを有する。
【0031】
別の好ましい実施形態において、該ポリペプチドは、単離されたポリペプチドである。
【0032】
別の好ましい実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号1からなるアミノ酸配列からなる。別の好ましい実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号1からなるアミノ酸配列からなり、任意選択で、配列番号1のX1~29で示される以外の位置にある最大5個のアミノ酸が、任意のアミノ酸によって交換される。
【0033】
別の好ましい実施形態において、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、互いに独立して、アルギニンまたはアルギニンの保存的置換である。別の好ましい実施形態において、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、互いに独立して、アルギニン、5-メチル-アルギニン、c-ガンマ-ヒドロキシアルギニン、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、カナバニン、ホモアルギニン、リジン、ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロパン酸、(2s)-2,8-ジアミノオクタン酸、オルニチン、チアリジンおよびヒスチジンからなる群から選択される。
【0034】
別の好ましい実施形態において、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、互いに独立して、アルギニン、5-メチル-アルギニン、c-ガンマ-ヒドロキシアルギニン、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、カナバニン、ホモアルギニン、リジン、ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロパン酸、(2s)-2,8-ジアミノオクタン酸、オルニチン、およびチアリジンからなる群から選択される。
【0035】
別のより好ましい実施形態において、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、独立して、それぞれヒスチジン、アルギニン、またはリジンである。別のより好ましい実施形態において、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、独立して、それぞれアルギニンまたはリジンである。別のより好ましい実施形態において、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、独立して、それぞれアルギニンである。別のより好ましい実施形態において、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、独立して、それぞれアルギニンである。一実施形態では、該正に帯電したアミノ酸のX1~X6はそれぞれアルギニンである。一実施形態では、該正に帯電したアミノ酸X1~X6はそれぞれリジンである。
【0036】
好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、C末端またはN末端、好ましくはアミノ酸配列IのC末端に結合し、配列Iにおいて、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、独立してアルギニンまたはリジンである。好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、C末端またはN末端、好ましくはアミノ酸配列IのC末端に結合し、配列Iにおいて、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、アルギニンである。好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなる該ヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、C末端またはN末端、好ましくはアミノ酸配列IのC末端に結合し、配列Iにおいて、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、リジンである。
【0037】
好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3~9の連続するヒスチジンからなる該ヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、C末端またはN末端、好ましくはアミノ酸配列IのC末端に結合し、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、独立してアルギニンまたはリジンである。好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3~9の連続するヒスチジンからなる該ヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、C末端またはN末端、好ましくはアミノ酸配列IのC末端に結合し、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、アルギニンである。好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3~9の連続するヒスチジンからなる該ヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、C末端またはN末端、好ましくはアミノ酸配列IのC末端に結合し、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、リジンである。
【0038】
X7は、システイン、その保存的置換、または正に帯電したアミノ酸である。
【0039】
好ましい実施形態において、システインの該保存的置換は、メチオニン、ホモシステイン、セレノシステイン、セリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、ホモセリン、3-ヒドロキシ-l-バリン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、s-(2-ヒドロキシエチル)-l-システイン、ホスホセリン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、スレオニン、およびホスホスレオニンからなる群から選択される。好ましい実施形態において、システインの該保存的置換は、ホモシステイン、セレノシステイン、セリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、ホモセリン、3-ヒドロキシ-l-バリン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、s-(2-ヒドロキシエチル)-l-システイン、ホスホセリン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、スレオニン、およびホスホスレオニンからなる群から選択される。より好ましくは、システインの該保存的置換は、ホモシステイン、セレノシステイン、およびセリンからなる群から選択される。さらにより好ましくは、システインの該保存的置換は、ホモシステインまたはセレノシステインである。
【0040】
別の好ましい実施形態において、X7は、ホモシステイン、セレノシステイン、システイン、アルギニン、5-メチル-アルギニン、c-ガンマ-ヒドロキシアルギニン、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、カナバニン、ホモアルギニン、リジン、ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロパン酸、(2s)-2,8-ジアミノオクタン酸、オルニチンおよびチアリジンからなる群から選択される。
【0041】
別の好ましい実施形態において、X7は、ホモシステイン、セレノシステイン、セリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、ホモセリン、3-ヒドロキシ-l-バリン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、s-(2-ヒドロキシエチル)-l-システイン、ホスホセリン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、スレオニン、およびホスホスレオニン、アルギニン、5-メチル-アルギニン、c-ガンマ-ヒドロキシアルギニン、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、カナバニン、ホモアルギニン、リジン、ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロパン酸、(2s)-2,8-ジアミノオクタン酸、オルニチンおよびチアリジンからなる群から選択される。別の好ましい実施形態において、該X7は、アルギニン、リジン、セリン、ホモシステイン、またはシステインから選択される。別のさらに好ましい実施形態において、該X7は、アルギニン、リジン、ホモシステイン、またはシステインから選択される。
【0042】
X7がシステインまたはシステインの保存的置換である場合、ジスルフィド形成(例えば、システアミン、1-(3-メルカプトプロピル)グアニジンなど)を介して、本発明のポリペプチドに正に帯電した基を付加するために使用できる。
【0043】
一実施形態では、X1~X6のうちの該少なくとも3つは、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、該X7は、アルギニン、リジン、セリン、ホモシステインまたはシステインから選択される。
【0044】
配列番号1からなるアミノ酸配列Iにおいて、該アミノ酸X1~X6のうちの少なくとも3つは、互いに独立して正に帯電したアミノ酸である。好ましい実施形態では、該アミノ酸X1~X6の少なくとも4つ、より好ましくは少なくとも5つ、さらにより好ましくは6つ、すなわち、各々が、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である。
【0045】
好ましい実施形態では、該アミノ酸X1~X6の少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、より好ましくは6つ、すなわち、各々が、互いに独立して、該正に帯電したアミノ酸であり、正に帯電したアミノ酸はアルギニンまたはリジンである。好ましい実施形態では、X1~X6の該アミノ酸の少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、より好ましくは、各々が、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸であり、該正に帯電したアミノ酸はアルギニンである。好ましい実施形態では、該アミノ酸X1~X6の少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、より好ましくは6つが、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸であり、該正に帯電したアミノ酸はリジンである。
【0046】
好ましい実施形態では、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1~X3である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、X2、およびX4である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、X2、およびX5である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、X2、およびX6である。
【0047】
別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X2、X3、およびX4である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X2、X3、およびX5である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X2、X3、およびX6である。
【0048】
別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X3、X4、およびX5である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X3、X4、およびX6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X3、X4、およびX1である。
【0049】
別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X4、X5、およびX6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X4、X5、およびX1である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X4、X5、およびX2である。
【0050】
別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X5、X6、およびX1である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X5、X6、およびX2である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X5、X6、およびX3である。
【0051】
別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、X3、およびX5である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、X3、およびX6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X2、X4、およびX6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、X4、およびX6である。
【0052】
別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、X2、X3、およびX4である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、X2、X3、およびX5である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、X2、X3、およびX6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X2、X3、X4、およびX5である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X2、X3、X4、およびX6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X3~X6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X2、X4、X5、およびX6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、X4、X5、およびX6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、X3、X5、およびX6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、X3、X4、およびX6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X2、X3、X4、およびX6である。
【0053】
別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1~5である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1~4およびX6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1~3、X5およびX6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、X2、およびX4~X6である。別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つが、X1、およびX3~6である。別の好ましい実施形態において、正に帯電したアミノ酸が互いに独立している該X1からX6のうちの少なくとも3つは、X2~X6である。
【0054】
別の好ましい実施形態において、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つは、X1~X6であり、互いに独立して正に帯電したアミノ酸である。
【0055】
より好ましくは、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つは、X1~X6、またはX4~X6、またはX1、X2およびX5、またはX1、X2、X4、およびX5、またはX1、X3、X4、およびX6、またはX1およびX4~X6、またはX1~X3およびX6、またはX1~X5である。より好ましくは、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である該X1~X6のうちの少なくとも3つは、X1~X6、またはX4~X6、またはX1、X2およびX5、またはX1、X2、X4、およびX5、またはX1、X3、X4、およびX6、またはX1およびX4~X6、またはX1~X3およびX6、またはX1~X5である。
【0056】
好ましい実施形態では、X4~X6は、互いに独立してリジンまたはアルギニンである。別の好ましい実施形態において、X1、X2、およびX4は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンである。別の好ましい実施形態において、X1、X2、X4、およびX5は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンである。別の好ましい実施形態において、X1、X3、X4、およびX6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンである。別の好ましい実施形態において、X1、およびX3~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンである。別の好ましい実施形態において、X1~3、X5およびX6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンである。別の好ましい実施形態において、X1~5は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンである。別の好ましい実施形態において、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンである。
【0057】
好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3~9の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、C末端またはN末端、好ましくはアミノ酸配列IのC末端に結合し、X1~X6のそれぞれは、独立してアルギニンまたはリジンである。好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3~9の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、C末端またはN末端、好ましくはアミノ酸配列IのC末端に結合し、X1~X6のそれぞれは、アルギニンである。好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3~9の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、C末端またはN末端、好ましくはアミノ酸配列IのC末端に結合し、X1~X6のそれぞれは、リジンである。
【0058】
別の好ましい実施形態において、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジンまたはシステインから選択される。
【0059】
本発明者らは、X8~X12の位置のアミノ酸が、本発明のポリペプチドによる自己組織化を介して形成されるナノ粒子の孔径を規定することを見出した。X8~X12の位置のより大きなアミノ酸が孔径を縮小する一方、これらの位置のより小さなアミノ酸は、ナノ粒子の孔径を増大させた。
【0060】
したがって、好ましい実施形態では、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。別の好ましい実施形態において、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含む該ナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。別の好ましい実施形態において、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子にインビトロで搭載され、該ナノ粒子からインビボで放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。別の好ましい実施形態において、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、好ましくは細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNA、最も好ましくはsiRNAからなる群から選択されるRNAである。
【0061】
別の好ましい実施形態において、少なくとも本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。別の好ましい実施形態において、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。別の好ましい実施形態において、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子にインビトロで搭載され、該ナノ粒子からインビボで放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。別の好ましい実施形態において、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、好ましくは細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNA、最も好ましくはsiRNAからなる群から選択されるRNAである。
【0062】
好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-1-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、n-メチル-アスパラギン、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸、3-メチル-アスパラギン酸、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から独立して選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、n-メチル-アスパラギン、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸、3-メチル-アスパラギン酸、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から独立して選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタメート、アスパルテート、グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から独立して選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタメート、アスパルテート、グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から独立して選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは、細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、セリン、グリシン、グルタミン、およびグルタメートからなる群から選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、セリン、グリシン、グルタミン、およびグルタメートからなる群から選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは、細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNA、最も好ましくはsiRNAからなる群から選択されるRNAである。
【0063】
好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-1-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、n-メチル-アスパラギン、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸、3-メチル-アスパラギン酸、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から独立して選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-1-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、n-メチル-アスパラギン、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-1-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸、3-メチル-アスパラギン酸、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から独立して選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタメート、アスパルテート、グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から独立して選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタメート、アスパルテート、グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から独立して選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは、細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、セリン、グリシン、グルタミン、およびグルタメートからなる群から選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、セリン、グリシン、グルタミン、およびグルタメートからなる群から選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは、細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNA、最も好ましくはsiRNAからなる群から選択されるRNAである。
【0064】
好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、n-メチル-アスパラギン、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸、3-メチル-アスパラギン酸、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から独立して選択され、6個の該ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する6個の細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、n-メチル-アスパラギン、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸、3-メチル-アスパラギン酸、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-1-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から独立して選択され、6個の該ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する6個の細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタメート、アスパルテート、グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から独立して選択され、6個の該ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する6個の細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタメート、アスパルテート、グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から独立して選択され、6個の該ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは、細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、セリン、グリシン、グルタミン、およびグルタメートからなる群から選択され、6個の該ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する6個の細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、セリン、グリシン、グルタミン、およびグルタメートからなる群から選択され、6個の該ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する6個の細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは、細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNA、最も好ましくはsiRNAからなる群から選択されるRNAである。
【0065】
さらに好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタメート、アスパルテート、グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、該孔径が選択される。さらに好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタメート、アスパルテート、グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは、細胞の細胞質内に放出され得るように、該孔径が選択される。さらに好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、セリン、グリシン、グルタミン、およびグルタメートからなる群から選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、該孔径が選択される。さらに好ましい実施形態では、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、セリン、グリシン、グルタミン、およびグルタメートからなる群から選択され、少なくとも1つの本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは、細胞の細胞質内に放出され得るように、該孔径が選択される。好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNA、最も好ましくはsiRNAからなる群から選択されるRNAである。
【0066】
好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、n-メチル-アスパラギン、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸、3-メチル-アスパラギン酸、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から独立して選択され、6個の該ポリペプチドを含むナノ粒子は、3~4nmのサイズを有する6個の細孔を含み、カーゴは、分解することなく、該ナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得る。好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、n-メチル-アスパラギン、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸、3-メチル-アスパラギン酸、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-1-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から独立して選択され、6個の該ポリペプチドを含むナノ粒子は、3~4nmのサイズを有する6個の細孔を含み、カーゴは、該ナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは細胞の細胞質内に、両場合とも分解することなく放出され得る。さらに好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタメート、アスパルテート、グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択され、6個の本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmのサイズを有する6個の細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得る。さらに好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、セリン、グリシン、グルタミン、およびグルタメートからなる群から選択され、6個の本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmの孔サイズをもつ6個の細孔を含み、カーゴが、該ナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは、細胞の細胞質内に、両場合とも分解することなく放出され得る。さらに好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、セリン、グリシン、グルタミン、およびグルタメートからなる群から選択され、6個の本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmの孔サイズをもつ6個の細孔を含み、カーゴが、該ナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは、細胞の細胞質内に、両場合とも分解することなく放出され得る。好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNA、最も好ましくはsiRNAからなる群から選択されるRNAである。
【0067】
さらに好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、該ポリペプチドのC末端またはN末端に付着し、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、n-メチル-アスパラギン、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸、3-メチル-アスパラギン酸、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から独立して選択され、6個の本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmの孔サイズを有する6個の細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、該ポリペプチドのC末端またはN末端に付着し、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、n-メチル-アスパラギン、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸、3-メチル-アスパラギン酸、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-1-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から独立して選択され、6個の本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmの孔サイズを有する6個の細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にあるアミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、該ポリペプチドのC末端またはN末端に付着し、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタメート、アスパルテート、グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択され、6個の本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmの孔サイズを有する6個の細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、該ポリペプチドのC末端またはN末端に付着し、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタメート、アスパルテート、グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択され、6個の本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmの孔サイズを有する6個の細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にあるアミノ酸が選択される。さらに好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、該ポリペプチドのC末端またはN末端に付着し、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、セリン、グリシン、グルタミン、およびグルタメートからなる群から選択され、6個の該本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmの孔サイズを有する6個の細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に搭載され、該ナノ粒子から放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択され、さらに好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、該ポリペプチドのC末端またはN末端に付着し、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、セリン、グリシン、グルタミン、およびグルタメートからなる群から選択され、6個の該本発明ポリペプチドを含むナノ粒子が、3~4nmの孔サイズを有する6個の細孔を含み、カーゴが、分解することなく、該ポリペプチドを含むナノ粒子に細胞外で搭載され、該ナノ粒子から細胞内に、より好ましくは細胞の細胞質内に放出され得るように、本発明ポリペプチドのX8~X12の位置にある該アミノ酸が選択される。好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNA、最も好ましくはsiRNAからなる群から選択されるRNAである。より好ましくは、該3つ以上の連続するヒスチジンは、3~9個のhisタグである。
【0068】
好ましい実施形態では、該X8は、グリシンまたはその保存的置換である。好ましくは、グリシンの該保存的置換は、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、およびノルバリンからなる群から選択される。より好ましくは、グリシンの該保存的置換は、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、およびノルバリンからなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、該X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択される。好ましい実施形態では、該X8はグリシンである。
【0069】
別の好ましい実施形態において、該X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはその保存的置換である。好ましくは、グルタミンの該保存的置換は、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、およびn-メチルアスパラギンからなる群から選択される。別の好ましい実施形態において、該X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンである。
【0070】
別の好ましい実施形態において、該X9およびX12は両方ともグルタミンである。別の好ましい実施形態において、該X9およびX12は両方ともアスパラギンである。別の好ましい実施形態において、該X9またはX12はグルタミンである。別の好ましい実施形態において、該X9はグルタミンである。別の好ましい実施形態において、該X12はグルタミンである。
【0071】
別の好ましい実施形態において、該X10は、グルタメートまたはその保存的置換である。好ましくは、グルタメートの該保存的置換は、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸および3-メチルアスパラギン酸からなる群から選択される。さらに好ましい実施形態において、該X10は、グルタメートまたはアスパルテートである。別のさらに好ましい実施形態では、該X10はグルタメートである。
【0072】
別の好ましい実施形態において、該X11は、セリンまたはその保存的置換からなる群から選択される。好ましくは、セリンの該保存的置換は、システイン、メチオニン、ホモシステイン、セレノシステイン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、ホモセリン、3-ヒドロキシ-l-バリン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、s-(2-ヒドロキシエチル)-l-システイン、ホスホセリン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、スレオニン、およびホスホスレオニンからなる群から選択される。より好ましくは、セリンの該保存的置換は、システイン、ホモシステイン、セレノシステイン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、ホモセリン、3-ヒドロキシ-l-バリン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、s-(2-ヒドロキシエチル)-l-システイン、ホスホセリン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、スレオニン、およびホスホスレオニンからなる群から選択される。さらにより好ましくは、セリンの該保存的置換は、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、ホモセリン、3-ヒドロキシ-l-バリン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、s-(2-ヒドロキシエチル)-l-システイン、ホスホセリン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、スレオニン、およびホスホスレオニンからなる群から選択される。さらにより好ましくは、セリンの該保存的置換は、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロスレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から選択される。
【0073】
さらに好ましい実施形態では、該X11は、セリン、ホモセリン、およびスレオニンからなる群から選択される。別のさらに好ましい実施形態では、該X11はセリンである。
【0074】
好ましい実施形態では、該X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、およびノルバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2S、4S)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、およびn-メチル-アスパラギンからなる群から選択され、X10は、グルタメート、アスパルテート、2s,4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸および3-メチルアスパラギン酸からなる群から選択され、X11は、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロスレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロスレオニンからなる群から選択される。
【0075】
さらに好ましい実施形態では、該X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11は、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択される。
【0076】
さらに好ましい実施形態では、該X8はグリシンであり、X9およびX12はグルタミンであり、X10はグルタメートであり、X11はセリンである。
【0077】
好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、n-メチル-アスパラギン、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸、3-メチル-アスパラギン酸、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から独立して選択される。
【0078】
さらに好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタメート、アスパルテート、グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択される。
【0079】
さらに好ましい実施形態では、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、セリン、グリシン、グルタミン、およびグルタメートからなる群から選択される。
【0080】
別の好ましい実施形態において、X1~6の少なくとも3つは、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジンまたはシステインから選択され、X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11は、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなるグループから選択される。別の好ましい実施形態において、X1~6は、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジンまたはシステインから選択され、X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11は、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなるグループから選択される。
【0081】
好ましくは、
さらに好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着し、配列Iにおいて、X1~6は、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、n-メチル-アスパラギン、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸、3-メチル-アスパラギン酸、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から独立して選択される。さらに好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3~9の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着し、配列Iにおいて、X1~6は、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8、X9、X10、X11およびX12のそれぞれは、独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、n-メチル-アスパラギン、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸、3-メチル-アスパラギン酸、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から独立して選択される。
【0082】
別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着し、配列Iにおいて、X1~6の少なくとも3つは、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11は、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択される。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3~9個の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着し、配列Iにおいて、X1~6の少なくとも3つは、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11は、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択される。
【0083】
別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着し、配列Iにおいて、X1~6は、独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11は、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択される。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3~9個の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着し、配列Iにおいて、X1~6は、独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11は、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択される。別の好ましい実施形態において、X1~6の少なくとも3つは、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X8はグリシンであり、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンであり、X10はグルタメートであり、X11はセリンである。別の好ましい実施形態において、X1~6はリジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジンまたはシステインから選択され、X8はグリシンであり、X9およびX12は、互いに独立してグルタミンであり、X10はグルタメートであり、X11はセリンである。別の好ましい実施形態において、X1~6はリジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジンまたはシステインから選択され、X8はグリシンであり、X9およびX12は、互いに独立してグルタミンであり、X10はグルタメートであり、X11はセリンである。
【0084】
一実施形態では、該X1~6の少なくとも3つは、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、該X7は、アルギニン、リジンまたはシステインから選択され、X8はグリシンであり、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンであり、X10はグルタメートであり、X11はセリンであり、該ポリペプチドは、2つ以上の連続して連結されたヒスチジンを含むアミノ酸配列であるポリヒスチジンを含み、好ましくは、該ポリヒスチジンはヒスチジン(His)タグであり、より好ましくはHis6タグである。ヒスチジンタグは、本明細書では、2つ以上の連続して連結されたヒスチジン(Hisタグ)からなるアミノ酸配列として定義される。His6タグ(His6)は、本明細書では、6つの連続して連結されたヒスチジンからなるアミノ酸配列として定義される。
【0085】
別の好ましい実施形態において、X1~X6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジンまたはシステインから選択され、X8はグリシンであり、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンであり、X10はグルタメートであり、X11はセリンであり、該ポリペプチドは、2つ以上の連続して連結されたヒスチジンを含むアミノ酸配列であるポリヒスチジンを含み、好ましくは、該ポリヒスチジンはヒスチジン(His)タグであり、より好ましくはHis6タグである。
【0086】
別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着し、配列Iにおいて、X1~6はリジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8はグリシンであり、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンであり、X10はグルタメートであり、X11はセリンである。好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドを含む該ナノ粒子または該複合体は、エンドソーム脱出が可能である。好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続したヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、本発明の該ポリペプチドを含む該ナノ粒子または該複合体は、エンドソーム脱出が可能である。好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続したヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、該Hisタグは、C末端またはN末端に付着し、本発明の該ポリペプチドを含む該ナノ粒子または該複合体は、エンドソーム脱出が可能である。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、ここで、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着し、配列Iにおいて、X1~6はリジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジン、またはシステインから選択され、X8はグリシンであり、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンであり、X10はグルタメートであり、X11はセリンであり、本発明の該ポリペプチドを含む該ナノ粒子または該複合体は、エンドソーム脱出が可能である。
【0087】
本発明のポリペプチドは、自己組織化によりナノ粒子を形成する場合、X13~X29のアミノ酸は、ナノ粒子の外表面に露出するため、ケージ状ナノ粒子に自己組織化する能力を依然保持しながら、最も変異に耐えやすい。
【0088】
したがって、好ましい実施形態では、ナノ粒子の外表面に露出するアミノ酸X13~X29は、任意のアミノ酸である。
【0089】
好ましい実施形態では、X13、X17およびX19は、互いに独立して、セリンまたはその保存的置換である。好ましくは、セリンの該保存的置換は、システイン、メチオニン、ホモシステイン、セレノシステイン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、ホモセリン、3-ヒドロキシ-l-バリン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、s-(2-ヒドロキシエチル)-l-システイン、ホスホセリン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、スレオニン、およびホスホスレオニンからなる群から選択される。より好ましくは、セリンの該保存的置換は、システイン、ホモシステイン、セレノシステイン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、ホモセリン、3-ヒドロキシ-l-バリン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、s-(2-ヒドロキシエチル)-l-システイン、ホスホセリン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、スレオニン、およびホスホスレオニンからなる群から選択される。さらにより好ましくは、セリンの該保存的置換は、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、ホモセリン、3-ヒドロキシ-l-バリン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、s-(2-ヒドロキシエチル)-l-システイン、ホスホセリン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、スレオニン、およびホスホスレオニンからなる群から選択される。さらにより好ましくは、セリンの該保存的置換は、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロスレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から選択される。
【0090】
別の好ましい実施形態において、X13、X17およびX19は、互いに独立して、セリン、ホモセリン、およびスレオニンからなる群から選択され。別の好ましい実施形態において、X13、X17およびX19は、互いに独立して、セリンである。
【0091】
別の好ましい実施形態において、X14、X16、およびX24は、互いに独立して、アスパラギンまたはその保存的置換である。好ましくは、アスパラギンの該保存的置換は、グルタミン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、およびn-メチルアスパラギンからなる群から選択される。
【0092】
別の好ましい実施形態において、X14、X16、およびX24は、互いに独立して、アスパラギンである。別の好ましい実施形態において、X14、X16およびX24は、互いに独立して、アスパラギンまたはグルタミンである。
【0093】
別の好ましい実施形態において、X15、X20、X26およびX28は、互いに独立して、アスパルテート、グルタメートまたはそれらの保存的置換である。好ましくは、アスパルテートまたはグルタメートの該保存的置換は、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸および3-メチルアスパラギン酸からなる群から選択される。
【0094】
別の好ましい実施形態において、X15およびX20は、互いに独立して、アスパルテートである。別の好ましい実施形態において、X26およびX28は、互いに独立して、グルタメートである。別の好ましい実施形態において、X15、X20、X26およびX28は、互いに独立して、アスパルテートまたはグルタメートである。別の好ましい実施形態において、X15、X20、X26およびX28は、互いに独立して、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸および3-メチルアスパラギン酸からなる群から選択される。
【0095】
別の好ましい実施形態において、X18およびX29は、互いに独立して、ロイシンまたはその保存的置換である。好ましくは、ロイシンの該保存的置換は、グリシン、アラニン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、およびノルバリンからなる群から選択される。
【0096】
別の好ましい実施形態において、X18およびX29は、互いに独立して、ロイシンである。好ましい実施形態では、該X18およびX29は、互いに独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択される。好ましい実施形態では、該X18およびX29は、互いに独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、およびノルバリンからなる群から選択される。
【0097】
別の好ましい実施形態において、X21、X22、X23、X25およびX27は、互いに独立して、正に帯電したアミノ酸である。
【0098】
別の好ましい実施形態において、X21、X22、X23、X25およびX27は、互いに独立して、アルギニン、リジン、またはそれらの保存的置換である。好ましくは、アルギニンまたはロイシンの該保存的置換は、ヒスチジン、5-メチル-アルギニン、c-ガンマ-ヒドロキシアルギニン、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、カナバニン、ホモアルギニン、ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロパン酸、(2s)-2,8-ジアミノオクタン酸、オルニチンおよびチアリジンからなる群から選択される。より好ましくは、アルギニンまたはロイシンの該保存的置換は、5-メチル-アルギニン、c-ガンマ-ヒドロキシアルギニン、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、カナバニン、ホモアルギニン、ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロパン酸、(2s)-2,8-ジアミノオクタン酸、オルニチンおよびチアリジンからなる群から選択される。
【0099】
別の好ましい実施形態において、X21、X22、X23、X25およびX27は、互いに独立して、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンである。別の好ましい実施形態において、X21、X22、X23、X25およびX27は、互いに独立して、アルギニンまたはリジンである。別の好ましい実施形態において、X21、X22、X23、X25およびX27は、互いに独立して、アルギニンである。別の好ましい実施形態において、X21、X22、X23、X25およびX27は、互いに独立して、リジンである。
【0100】
別の好ましい実施形態において、X21、X22、X25およびX27は、互いに独立してアルギニンである。別の好ましい実施形態において、X23はリジンである。別の好ましい実施形態において、X21、X22、X23、X25およびX27は、互いに独立して、アルギニン、5-メチル-アルギニン、c-ガンマ-ヒドロキシアルギニン、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、カナバニン、ホモアルギニン、リジン、ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロパン酸、(2s)-2,8-ジアミノオクタン酸、オルニチンおよびチアリジンからなる群から選択される。
【0101】
別の好ましい実施形態において、X13、X17およびX19は、互いに独立して、セリンであり、X14、X16およびX24は、互いに独立して、アスパラギンであり、X15およびX20は、互いに独立して、アスパルテートであり、X18およびX29は、互いに独立して、ロイシンであり、X26およびX28は、互いに独立して、グルタメートであり、X21、X22、X25およびX27は、互いに独立して、アルギニンであり、X23はリジンである。
【0102】
別の好ましい実施形態において、X13、X17およびX19は、互いに独立して、セリン、ホモセリン、およびスレオニンからなる群から選択され、X14、X16およびX24は、互いに独立して、アスパラギンまたはグルタミンであり、X15、X20、X26およびX28は、互いに独立して、アスパルテートまたはグルタメートであり、該X18およびX29は、互いに独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X21、X22、X23、X25およびX27は、互いに独立して、アルギニンまたはリジンである。
【0103】
別の好ましい実施形態において、X13、X17、およびX19は、互いに独立して、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から選択され、
X14、X16、およびX24は、互いに独立して、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、およびn-メチル-アスパラギンからなる群から選択され、
X15、X20、X26およびX28は、互いに独立して、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-1lグルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸および3-メチルアスパラギン酸からなる群から選択され、
X18およびX29は、互いに独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、およびノルバリンからなる群から選択され、
X21、X22、X23、X25およびX27は、互いに独立して、アルギニン、5-メチル-アルギニン、c-ガンマ-ヒドロキシアルギニン、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、カナバニン、ホモアルギニン、リジン、ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロパン酸、(2s)-2,8-ジアミノオクタン酸、オルニチンおよびチアリジンからなる群から選択される。
【0104】
別の好ましい実施形態において、X8は、グリシンまたはその保存的置換であり、好ましくは、グリシンの該保存的置換は、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、およびノルバリンからなる群から選択され、
X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはその保存的置換であり、好ましくは、グルタミンの該保存的置換は、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、およびn-メチルアスパラギンからなる群から選択され、
X10はグルタメートまたはその保存的置換であり、好ましくは、グルタメートの該保存的置換は、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸および3-メチルアスパラギン酸からなる群から選択され、
X11はセリンまたはその保存的置換であり、好ましくは、セリンの該保存的置換は、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロスレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から選択され、
より好ましくは、X8はグリシンであり、X9およびX12は、互いに独立してグルタミンまたはアスパラギンであり、X10はグルタメートまたはアスパルテートであり、X11はセリンである。
【0105】
別の好ましい実施形態において、X13、X17、およびX19は、互いに独立して、セリンまたはその保存的置換であり、好ましくは、セリンの該保存的置換は、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロスレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から選択され、
X14、X16、およびX24は、互いに独立して、アスパラギン、グルタミン、またはそれらの保存的置換であり、好ましくは、アスパラギンまたはグルタミンの該保存的置換は、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、およびn-メチル-アスパラギンからなる群から選択され、
X15、X20、X26およびX28は、互いに独立して、アスパルテートまたはグルタメートまたはそれらの保存的置換であり、好ましくは、アスパルテートまたはグルタメートの該保存的置換は、2s,4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸および3-メチル-アスパラギン酸からなる群から選択され、
X18およびX29は、互いに独立して、ロイシンまたはその保存的置換であり、好ましくは、ロイシンの該保存的置換は、グリシン、アラニン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、およびノルバリンからなる群から選択され、
X21、X22、X23、X25およびX27は、互いに独立して、アルギニン、リジンまたはそれらの保存的置換であり、好ましくは、アルギニンまたはロイシンの該保存的置換は、ヒスチジン、5-メチル-アルギニン、c-ガンマ-ヒドロキシアルギニン、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、カナバニン、ホモアルギニン、ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロパン酸、(2s)-2,8-ジアミノオクタン酸、オルニチン、およびチアリジンからなる群から選択される。
【0106】
別の好ましい実施形態において、該X1~X6のうちの少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、互いに独立して、アルギニン、5-メチル-アルギニン、c-ガンマ-ヒドロキシアルギニン、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、カナバニン、ホモアルギニン、リジン、ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロパン酸、(2s)-2,8-ジアミノオクタン酸、オルニチン、およびチアリジンからなる群から選択され、
X7は、システイン、その保存的置換、または正に荷電したアミノ酸であり、好ましくは、X7は、ホモシステイン、システイン、セレノシステイン、アルギニン、5-メチル-アルギニン、c-ガンマ-ヒドロキシアルギニン、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、カナバニン、ホモアルギニン、リジン、ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロパン酸、(2s)-2,8-ジアミノオクタン酸、オルニチン、チアリジンおよびセリンからなる群から選択され、
X8は、グリシン、またはアラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、およびノルバリンからなる群から選択されるグリシンの保存的置換であり、
X9およびX12は、互いに独立して、グルタミン、またはアスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-l-グルタミン、(2s,4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、およびn-メチル-アスパラギンからなる群から選択されるグルタミンの保存的置換であり、
X10は、グルタメート、またはアスパルテート、2s,4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸および3-メチルアスパラギン酸からなる群から選択されるグルタメートの保存的置換であり、
X11は、セリン、またはホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロスレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から選択されるセリンの保存的置換であり、
X13、X17、およびX19は、互いに独立して、セリン、ホモセリン、スレオニン、4-ヒドロキシ-l-スレオニン、6-ヒドロキシ-l-ノルロイシン、4,5-ジヒドロキシ-イソロイシン、3-ヒドロキシ-l-バリン、ヒドロキシノルバリン、2-アミノ-5-ヒドロキシペンタン酸、アロ-スレオニン、3,3-ジヒドロキシ-アラニン、4-ヒドロキシ-L-イソロイシン、(2s、3r)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、ベータ-ヒドロキシロイシン、およびアロ-スレオニンからなる群から選択され、
X14、X16、およびX24は、互いに独立して、グルタミン、アスパラギン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン、3-メチル-1-グルタミン、(2s、4s)-2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキソペンタン酸、およびn-メチル-アスパラギンからなる群から選択され、
X15、X20、X26およびX28は、互いに独立して、グルタメート、アスパルテート、2s、4r-4-メチルグルタメート、(3s)-3-メチル-l-グルタミン酸、(3r)-3-メチル-l-グルタミン酸、5-o-メチル-グルタミン酸、4-ヒドロキシ-グルタミン酸、6-カルボキシリジン、ベータ-ヒドロキシアスパラギン酸、2-アミノ-プロパン二酸、3,3-ジメチルアスパラギン酸、2-アミノアジピン酸および3-メチルアスパラギン酸からなる群から選択され、
X18およびX29は、互いに独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、tert-ロイシン、ホモロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン2-アミノ酪酸、ジエチルアラニン、ノルロイシン、およびノルバリンからなる群から選択され、
X21、X22、X23、X25およびX27は、互いに独立して、アルギニン、5-メチル-アルギニン、c-ガンマ-ヒドロキシアルギニン、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、カナバニン、ホモアルギニン、リジン、ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロパン酸、(2s)-2,8-ジアミノオクタン酸、オルニチンおよびチアリジンからなる群から選択される。
【0107】
別の好ましい実施形態において、該X1~X6の少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、互いに独立して、アルギニンまたはリジンであり、X7は、ホモシステイン、システイン、アルギニン、およびリジンからなる群から選択され、X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11、X13、X17、およびX19は、互いに独立して、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択され、X14、X16、およびX24は、互いに独立して、アスパラギンまたはグルタミンであり、X15、X20、X26、およびX28は、互いに独立して、アスパルテートまたはグルタメートであり、X18およびX29は、互いに独立して、ロイシン、グリシン、アラニン、およびバリンからなる群から選択され、X21、X22、X23、X25およびX27は、互いに独立してアルギニンまたはリジンである。
【0108】
別の好ましい実施形態において、該X1~X6の少なくとも3つの正に帯電したアミノ酸は、互いに独立して、アルギニンまたはリジンであり、X7は、ホモシステイン、システイン、アルギニン、およびリジンからなる群から選択され、X8はグリシンであり、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11はセリンであり、X13、X17、およびX19は、互いに独立して、セリンであり、X14、X16、およびX24は、互いに独立して、アスパラギンであり、X15、X20、X26、およびX28は、互いに独立して、アスパルテートまたはグルタメートであり、X18およびX29は、互いに独立して、ロイシンであり、X21、X22、X23、X25およびX27は、互いに独立してアルギニンまたはリジンである。
【0109】
別の好ましい実施形態において、X1~6の少なくとも3つは、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジンまたはシステインから選択され、X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11は、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択され、X18およびX29は、互いに独立して、ロイシンであり、X15およびX20は、互いに独立して、アスパルテートであり、X26およびX28は、互いに独立して、グルタメートであり、X14、X16およびX24は、互いに独立して、アスパラギンであり、X13、X17およびX19は、互いに独立して、セリンであり、X21、X22、X25およびX27は、互いに独立してアルギニンであり、X23はリジンである。
【0110】
別の好ましい実施形態において、X1~6の少なくとも3つは、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジンまたはシステインから選択され、X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11は、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択され、X13、X17およびX19は、互いに独立して、セリン、ホモセリン、およびスレオニンからなる群から選択され、X14、X16およびX24は、互いに独立して、アスパラギンまたはグルタミンであり、X15、X20、X26およびX28は、互いに独立して、アスパルテートまたはグルタメートであり、該X18およびX29は、互いに独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X21、X22、X23、X25、およびX27は、互いに独立して、アルギニンまたはリジンである。
【0111】
別の好ましい実施形態において、X1~6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジンまたはシステインから選択され、X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11は、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択され、X13、X17およびX19は、互いに独立して、セリン、ホモセリン、およびスレオニンからなる群から選択され、X14、X16およびX24は、互いに独立して、アスパラギンまたはグルタミンであり、X15、X20、X26およびX28は、互いに独立して、アスパルテートまたはグルタメートであり、該X18およびX29は、互いに独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X21、X22、X23、X25、およびX27は、互いに独立して、アルギニンまたはリジンである。
【0112】
別の好ましい実施形態において、X1~6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジンまたはシステインから選択され、X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11は、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択され、X13、X17およびX19は、互いに独立して、セリンであり、X14、X16およびX24は、互いに独立して、アスパラギンであり、X15およびX20は、互いに独立して、アスパルテートであり、X18およびX29は、互いに独立して、ロイシンであり、X26およびX28は、互いに独立して、グルタメートであり、X21、X22、X25およびX27は、互いに独立してアルギニンであり、X23はリジンである。
【0113】
別の好ましい実施形態において、X1~6の少なくとも3つまたは少なくとも4つは、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジンまたはシステインから選択され、X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11は、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択され、X13、X17およびX19は、互いに独立して、セリン、ホモセリン、およびスレオニンからなる群から選択され、X14、X16およびX24は、互いに独立して、アスパラギンまたはグルタミンであり、X15、X20、X26およびX28は、互いに独立して、アスパルテートまたはグルタメートであり、該X18およびX29は、互いに独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X21、X22、X23、X25、およびX27は、互いに独立して、アルギニンまたはリジンであり、該ポリペプチドは、2つ以上連続して連結するヒスチジンを含むアミノ酸配列であるポリヒスチジンを含み、好ましくは、該ポリヒスチジンは、ヒスチジン(His)タグであり、より好ましくはHis6タグである。
【0114】
別の好ましい実施形態において、X1~6は、互いに独立して、リジンまたはアルギニンであり、X7は、アルギニン、リジンまたはシステインから選択され、X8は、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X9およびX12は、互いに独立して、グルタミンまたはアスパラギンであり、X10は、グルタメートまたはアスパルテートであり、X11は、セリン、スレオニン、およびホモセリンからなる群から選択され、X13、X17およびX19は、互いに独立して、セリン、ホモセリン、およびスレオニンからなる群から選択され、X14、X16およびX24は、互いに独立して、アスパラギンまたはグルタミンであり、X15、X20、X26およびX28は、互いに独立して、アスパルテートまたはグルタメートであり、該X18およびX29は、互いに独立して、グリシン、アラニン、ロイシン、およびバリンからなる群から選択され、X21、X22、X23、X25、およびX27は、互いに独立して、アルギニンまたはリジンであり、該ポリペプチドは、2つ以上連続して連結するヒスチジンを含むアミノ酸配列であるポリヒスチジンを含み、好ましくは、該ポリヒスチジンは、ヒスチジン(His)タグであり、より好ましくはHis6タグである。
【0115】
好ましい実施形態では、該アミノ酸配列Iは、配列番号2~5および配列番号10~16からなる群から選択される配列である。好ましい実施形態では、本発明の該ポリペプチドは、配列番号2~5および配列番号10~16からなる群から選択される配列からなる。
【0116】
好ましい実施形態では、該アミノ酸配列Iは、配列番号2~5および配列番号10~16、37および38からなる群から選択される配列である。好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号2~5および配列番号10~16、37および38からなる群から選択される配列からなる。
【0117】
好ましい実施形態では、該アミノ酸配列Iは配列番号2である。好ましい実施形態では、該アミノ酸配列Iは配列番号3である。別の好ましい実施形態において、該アミノ酸配列Iは配列番号4である。別の好ましい実施形態において、該アミノ酸配列Iは配列番号5である。別の好ましい実施形態において、該アミノ酸配列Iは配列番号10である。別の好ましい実施形態において、該アミノ酸配列Iは配列番号11である。別の好ましい実施形態において、該アミノ酸配列Iは配列番号12である。別の好ましい実施形態において、該アミノ酸配列Iは配列番号13である。好ましい実施形態では、該アミノ酸配列Iは配列番号14である。別の好ましい実施形態において、該アミノ酸配列Iは配列番号15である。別の好ましい実施形態において、該アミノ酸配列Iは配列番号16である。別の好ましい実施形態において、該アミノ酸配列Iは配列番号37である。別の好ましい実施形態において、該アミノ酸配列Iは配列番号38である。
【0118】
好ましい実施形態では、本発明の該ポリペプチドは、配列番号2からなる群から選択される配列からなる。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号3からなる群から選択される配列からなる。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号4からなる群から選択される配列からなる。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号5からなる群から選択される配列からなる。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号10からなる群から選択される配列からなる。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号11からなる群から選択される配列からなる。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号12からなる群から選択される配列からなる。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号13からなる群から選択される配列からなる。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号14からなる群から選択される配列からなる。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号15からなる群から選択される配列からなる。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号16からなる群から選択される配列からなる。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号37からなる群から選択される配列からなる。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号38からなる群から選択される配列からなる。好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号3からなる群から選択される配列からなり、本発明の該ポリペプチドは、3つ以上の連続したヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着している。別の好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、配列番号3からなる群から選択される配列からなり、ここで、本発明の該ポリペプチドは、3~9個の連続するヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着している。好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、追加のタグ、すなわち、ペプチドまたは非ペプチドタグ、好ましくはペプチドタグ(すなわち、機能的アミノ酸配列)を含む。好ましい実施形態では、該タグは、本発明のポリペプチドのC末端またはN末端に位置する。
【0119】
好ましい実施形態では、該タグは非ペプチドタグ、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)である。好ましくは、該PEGは、アミノ酸のセリンまたはシステインを介して該アミノ酸配列1に結合する。本発明のポリペプチドに結合したPEGは、安定性および免疫原性を増大させる。
【0120】
別の好ましい実施形態において、該タグは、ポリヒスチジン、Hisタグ(すなわち、2つ以上連続して連結されたヒスチジンからなるアミノ酸配列)、分解タグ、標的化タグ、細胞浸透タグ、およびエンドソーム脱出タグからなる群から選択される。
【0121】
好ましい実施形態では、本発明の該ポリペプチドは、ポリヒスチジンを含む。好ましい実施形態では、該ポリヒスチジンは、2つ以上のヒスチジンを含むアミノ酸配列である。別の好ましい実施形態において、該ポリヒスチジンは、2つ以上連続して連結されたヒスチジンを含むアミノ酸配列である。別の好ましい実施形態において、該ポリヒスチジンは、3つ以上連続して連結されたヒスチジンを含むアミノ酸配列である。別の好ましい実施形態において、該ポリヒスチジンは、3~9個の連続して連結されたヒスチジンを含むアミノ酸配列である。別の好ましい実施形態において、該ポリヒスチジンは、3つ、6つ、または9つの連続して連結されたヒスチジンを含むアミノ酸配列である。
【0122】
好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、連続的に連結されたヒスチジン(Hisタグ)からなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含む。好ましくは、該Hisタグは、3つ以上の連続したヒスチジンからなる。好ましくは、該Hisタグは、3~9個の連続したヒスチジンからなる。好ましくは、該Hisタグは、3つ、6つ、または9つの連続したヒスチジンからなる。好ましくは、該Hisタグは、3つの連続するヒスチジンからなる。好ましくは、該Hisタグは、9つの連続したヒスチジンからなる。好ましくは、該Hisタグは、6つの連続したヒスチジン(すなわち、His6タグ)からなる。好ましい実施形態では、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着している。好ましい実施形態では、該His6タグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくは、C末端に付着している。好ましくは、該Hisタグは、3つ以上の連続したヒスチジンからなり、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に結合している。好ましくは、該Hisタグは3~9個の連続したヒスチジンからなり、該Hisタグはアミノ酸配列IのC末端またはN末端に付着している。好ましくは、該Hisタグは3~9個の連続したヒスチジンからなり、該Hisタグはアミノ酸配列IのC末端に付着している。好ましくは、該Hisタグは3、6または9個の連続したヒスチジンからなり、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着している。好ましくは、該Hisタグは3つの連続するヒスチジン(すなわち、His3タグ)からなり、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着している。好ましくは、該Hisタグは9つの連続するヒスチジン(すなわち、His9タグ)からなり、該Hisタグはアミノ酸配列IのC末端またはC末端、好ましくはC末端に付着している。
【0123】
好ましい実施形態では、該Hisタグ、好ましくは該His6タグは、ハロゲン化、好ましくはフッ素化ヒスチジンを含む。好ましい実施形態では、該Hisタグはフルオロフォアを含む。好ましい実施形態では、本発明の該ポリペプチドは、フルオロフォアを含む。
【0124】
好ましい実施形態において、本発明の該ポリペプチドは、分解タグを含む。好ましくは、該分解タグは、哺乳動物細胞において機能性である。好ましい実施形態では、該分解タグは、オルニチンデカルボキシラーゼ(cODC)のC末端配列、好ましくは配列番号17のC末端配列、または少なくとも2つの連続して連結されたユビキチンを含むかまたはそれからなる(ポリ)ユビキチンである。別の好ましい実施形態において、該分解タグは、配列番号17のcODC(EFPPEVEEQDDGTLPMSCAQESGMDRHPAACASARINV)からなる。別の好ましい実施形態において、該分解タグは、少なくとも2つの連続して連結されたユビキチンを含む。より好ましくは、該分解タグは、少なくとも2つの連続して連結されたユビキチンからなる。
【0125】
好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、ペプチド標的化タグまたは非ペプチド標的化タグである標的化タグを含む。好ましいペプチド標的化タグは、Zhao et al.(Tumor-targeting Peptides:Ligands for MolecularImaging and Therapy,Anticancer Agents Med Chem.2018,18(1):74-86)で言及されている。該標的化タグは、好ましくは、がん標的に結合し、したがって、本明細書では、がん標的化タグとして言及される。該がん標的は、特定の腫瘍細胞および腫瘍抗原で発現レベルが増加した受容体を含む。好ましい実施形態では、該がん標的化タグは、がん標的に結合するペプチドリガンド、ペプチド模倣体、または抗体である。好ましくは、該がん標的化タグは葉酸である。例えば、葉酸は、ペプチド結合を介して本発明のポリペプチドに結合することができる。
【0126】
さらなる実施形態において、本発明のポリペプチドは、エンドソーム脱出ペプチドまたは細胞透過性ペプチド(CPP)を含む。エンドソーム脱出ペプチドは、例えば、二量体化されジスルフィド結合したTATまたはチオール基である。本明細書で使用される「細胞透過性ペプチド」またはCPPという用語は、カーゴを細胞に送達するために原形質膜を透過する能力を有するペプチドの群を指す。好ましくは、本発明のポリペプチドで使用される該CPPは、親水性またはカチオン性ペプチドである。別の実施形態において、該CPPは、両親媒性、アニオン性または疎水性ペプチドから選択される。1,600超のCPPのデータベースは、Agrawal et al.(Agrawal P,Bhalla S,Usmani SS,Singh S,CHaudhary K,Raghava GPS,et al.CPPsite 2.0:a repository of experimentally validated cell-penetrating peptides.Nucl Acids Res.2016,44:D1098-D103)によって説明されている。
【0127】
好ましい実施形態では、本発明のポリペプチドに含まれる該追加のタグは、光開裂性結合などの放出可能な結合を介して、または可逆的結合を介して接続される。
【0128】
本発明の該ポリペプチドは、ナノ粒子、好ましくはケージ状ナノ粒子に自己組織化することができる。さらに、配列番号1の該変異タンパク質は、ナノ粒子、好ましくはケージ状ナノ粒子に自己組織化することもできる。
【0129】
さらなる態様において、本発明は、本発明によるポリペプチドをコードする核酸に関する。
【0130】
さらなる態様において、本発明は、本発明による少なくとも1つのポリペプチドを含むナノ粒子に関する。
【0131】
好ましい実施形態では、本発明ナノ粒子の該少なくとも1つのポリペプチドは各々、少なくとも3つの連続して連結されたヒスチジンからなるヒスチジンタグを含み、該ヒスチジンタグの各々は、該少なくとも1つのポリペプチドのC末端またはN末端、好ましくは、C末端に付着している。
【0132】
好ましい実施形態では、本発明ナノ粒子の該少なくとも1つのポリペプチドは各々、少なくとも3つの連続して連結されたヒスチジンからなるヒスチジンタグを含み、該ヒスチジンタグの各々は、該少なくとも1つのポリペプチドのC末端またはN末端、好ましくは、C末端に付着し、該ナノ粒子は、ナノ粒子が分解することなく、カーゴとともに積み降ろし可能である。好ましい実施形態では、本発明ナノ粒子の該少なくとも1つのポリペプチドは各々、少なくとも3つの連続して連結されたヒスチジンからなるヒスチジンタグを含み、該ヒスチジンタグの各々は、該少なくとも1つのポリペプチドのC末端またはN末端、好ましくは、C末端に付着し、該ナノ粒子は、インビボおよびインビトロで、ナノ粒子が分解することなく、カーゴとともに積み降ろし可能である。好ましい実施形態では、本発明ナノ粒子の該少なくとも1つのポリペプチドは各々、少なくとも3つの連続して連結されたヒスチジンからなるヒスチジンタグを含み、該ヒスチジンタグの各々は、該少なくとも1つのポリペプチドのC末端またはN末端、好ましくは、C末端に付着し、該ナノ粒子は、ナノ粒子が分解することなく、インビトロでカーゴとともに搭載可能であり、インビボでカーゴとともに荷降ろし可能である。好ましい実施形態では、本発明ナノ粒子の該少なくとも1つのポリペプチドは各々、少なくとも3つの連続して連結されたヒスチジンからなるヒスチジンタグを含み、該ヒスチジンタグの各々は、該少なくとも1つのポリペプチドのC末端またはN末端、好ましくは、C末端に付着し、該ナノ粒子は、エンドソーム脱出が可能であり、ナノ粒子が分解することなく、カーゴとともに積み降ろし可能である。好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNA、最も好ましくはsiRNAからなる群から選択されるRNAである。
【0133】
好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子に含まれる本発明の該ポリペプチドは、配列番号3からなる群から選択される配列からなり、本発明の該ポリペプチドは、3個以上の連続したヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着し、該ナノ粒子は、該ナノ粒子が分解することなく、カーゴとともに積み降ろし可能である。好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子に含まれる本発明の該ポリペプチドは、配列番号3からなる群から選択される配列からなり、本発明の該ポリペプチドは、3個以上の連続したヒスチジンからなるヒスチジンタグ(Hisタグ)を含み、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着し、該ナノ粒子は、該ナノ粒子が分解することなく、インビトロでカーゴとともに搭載可能であり、インビボでカーゴとともに荷降ろし可能である。好ましい実施形態では、本発明の該ナノ粒子は、組成物、好ましくは、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に含まれる。
【0134】
本明細書で使用される「ナノ粒子」という用語は、分子をカプセル化することができるナノメートルサイズの範囲(すなわち、約1nm~約1000ナノメートル)の粒子を指す。該ナノ粒子は、自己組織化してナノ粒子を形成する、連結分子の規則的に配列された表面を有する。
【0135】
本発明の該ナノ粒子は、正に帯電した空洞を有する。したがって、オリゴヌクレオチド(ON)などのカーゴをカプセル化することができる。さらに、該ナノ粒子は、細胞に進入し、条件付きでカーゴを細胞内に、好ましくは細胞質に放出することができる。したがって、ナノ粒子は、例えば、ワクチン接種または免疫系刺激のために、アンチセンスONを介して遺伝子発現を制御するために、細胞内にONを送達するために使用することができる。
【0136】
好ましい実施形態において、本発明のナノ粒子は、カーゴをカプセル化することができ、好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNAからなる群から選択されるRNAであり、最も好ましくはsiRNAであり、該カプセル化カーゴを細胞に送達することができる。好ましくは、該カーゴは細胞内に送達される。好ましい実施形態において、本発明のナノ粒子は、カーゴをカプセル化することができ、好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNAからなる群から選択されるRNAであり、最も好ましくはsiRNAであり、該カプセル化カーゴを細胞内に放出することができる。好ましい実施形態において、本発明のナノ粒子は、カーゴを細胞外でカプセル化することができ、該カプセル化カーゴとともに細胞に進入することができ、該カーゴを細胞内に放出することができる。好ましい実施形態において、本発明のナノ粒子は、カーゴを細胞外にカプセル化することができ、該カプセル化されたカーゴとともに細胞に入ることができ、そして該カーゴを該細胞の細胞質に放出することができる。好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、インビトロでカーゴをカプセル化することができ、インビボに、好ましくは細胞内に、より好ましくは細胞の細胞質内に、該カーゴを放出することができる。好ましい実施形態において、本発明のナノ粒子は、インビトロでカーゴをカプセル化することができ、該カプセル化カーゴとともに細胞に進入することができ、インビボに、好ましくは細胞内に、より好ましくは該細胞の細胞質内に、該カーゴを放出することができる。好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNA、最も好ましくはsiRNAからなる群から選択されるRNAである。
【0137】
好ましい実施形態では、本発明の該ナノ粒子は、該ナノ粒子が分解することなく、カーゴとともに積み降ろし可能である。好ましい実施形態では、本発明の該ナノ粒子は、該ナノ粒子が分解することなく、カーゴを細胞外で搭載可能であり、細胞内で荷降ろし可能である。好ましい実施形態では、本発明の該ナノ粒子は、該ナノ粒子が分解することなく、カーゴの積み降ろしを可能にする。好ましい実施形態では、本発明の該ナノ粒子は、該ナノ粒子が分解することなく、細胞外でのカーゴの搭載および細胞内での該カーゴの荷降ろしを可能にする。好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNA、最も好ましくはsiRNAからなる群から選択されるRNAである。
【0138】
好ましい実施形態では、本発明の該ナノ粒子は、該ナノ粒子が分解することなく、インビボおよびインビトロでカーゴとともに搭載可能であり、インビボおよびインビトロで荷降ろし可能である。好ましい実施形態では、本発明の該ナノ粒子は、該ナノ粒子が分解することなく、インビトロで搭載可能であり、インビボで荷降ろし可能である。
【0139】
さらなる実施形態において、該ナノ粒子は、少なくとも1つのサブユニットを含み、該サブユニットは、本発明による少なくとも1つのポリペプチドを含む。本明細書で使用される「サブユニット」という用語は、本発明のナノ粒子を組み立て、形成する構成単位を指す。サブユニットは、本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含む。好ましくは、該サブユニットは、本発明の3つのポリペプチド、好ましくは本発明の正確に3つのペプチドを含む。より好ましくは、該サブユニットは、本発明の3つのポリペプチドからなる。別の好ましい実施形態において、該サブユニットは、本発明の3つの同一ペプチド、好ましくは、本発明の正確に3つの同一ペプチドを含む。より好ましくは、該サブユニットは、本発明の3つの同一ポリペプチドからなる。別のより好ましい実施形態では、該サブユニットは、本発明の3つのポリペプチドを含むか、またはより好ましくは、それらからなり、該サブユニットは、C3対称性を有する。
【0140】
好ましい実施形態では、該ナノ粒子は、本発明の正確に24個のポリペプチドを含む。好ましい実施形態では、該ナノ粒子は正確に8つのサブユニットを含む。別の好ましい実施形態において、該ナノ粒子は、八面体構造(八面体点群対称性)を有する。本発明の好ましい実施形態では、ナノ粒子は、複数のサブユニット、好ましくは各々が本発明の3つのポリペプチドを含む8つのサブユニットの四次構造を有する。
【0141】
好ましい実施形態では、本発明の該ナノ粒子は、中心空洞(本明細書では空洞、内部空洞または管腔としても言及される)を含む。中心空洞を含む該ナノ粒子は、本明細書では「ケージ状ナノ粒子」または「ケージ」としても言及される。好ましい実施形態では、該ケージ状ナノ粒子は、(i)外部足場および(ii)中心空洞を含む。好ましくは、該外部足場は、該中心空洞の周りを取り囲む、すなわち、該空洞の周りで組み立てられる。該空洞は、空であるか、またはカーゴを含むことができる。
【0142】
本発明のナノ粒子は、正に帯電した内部を有する。本発明のケージ状ナノ粒子は、空洞表面で正に帯電している。該正電荷は、アルギニンまたはリジンなどの複数の正に帯電したアミノ酸に起因する。したがって、本発明のナノ粒子は、負に帯電した高分子をカプセル化するための非常に強い親和性を有する。
【0143】
好ましい実施形態では、該空洞は、約6.5nm~約8nmの直径を有する。好ましい実施形態では、該ケージ状ナノ粒子は多孔質構造を有し、すなわち、該ナノ粒子は細孔を含む。好ましくは、ケージ状ナノ粒子の外部足場は、該ナノ粒子の空洞に接続された細孔を含む。細孔は、本明細書では、ナノ粒子およびナノ粒子の外部足場における開口部または間隙として、それぞれ定義される。
【0144】
ナノ粒子へのカーゴの搭載(すなわちカプセル化)および荷降ろし(すなわち放出)は、細孔を介して機能する。搭載またはカプセル化という用語は、ナノ粒子の空洞、足場、および多孔質構造を含む、ナノ粒子へのカーゴの取り込みに関する。荷降ろし(または放出)という用語は、部分的または完全に、好ましくは完全に、別のカーゴによるカーゴの遊離または転置/交換に関する。好ましくは、荷降ろしは、競合条件下で、すなわち、荷降ろしされるカーゴと荷積みされる別のカーゴが互いに競合する条件下で行われる。
【0145】
好ましい実施形態では、該ケージ状ナノ粒子は、6つの細孔を含む。好ましくは、該ケージ状ナノ粒子は、空洞に接続した6つの細孔を含む。好ましくは、該外部足場は、ナノ粒子の空洞に接続した6つの細孔を含む。
【0146】
別の好ましい実施形態において、該細孔は、約3nm~約4nmの直径を有する。別の好ましい実施形態において、該ナノ粒子は、3~4nmの直径を有する6つの細孔を含む。
【0147】
別の好ましい実施形態において、該ナノ粒子は、最大約50nmの外径を有する。非常に好ましい実施形態では、該ナノ粒子は、約13nmの外径を有する。
【0148】
別のさらに好ましい実施形態では、ナノ粒子は、約3~4nmの直径を有する6つの細孔を含み、該内部空洞は、約8nmの直径を有し、ナノ粒子の該外径は、約13nmである。
【0149】
好ましい実施形態において、本発明の該ナノ粒子は、ナノ粒子が分解することなく、カーゴをカプセル化および放出することができ、好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子、より好ましくはRNA、さらにより好ましくはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNAからなる群から選択されるRNAである。
【0150】
ナノ粒子の多量体性により、機能性部分、例えばペプチドタグまたはPEGなどの化学基による本発明ポリペプチドの修飾は、ナノ粒子表面上にこの官能部分の多価提示を提供する。
【0151】
好ましい実施形態では、ナノ粒子、特にケージ状ナノ粒子は、官能部分(本明細書では部分とも呼ばれる)を含む。好ましくは、該部分は、ナノ粒子の外面に位置する。より好ましくは、該追加の部分は、ナノ粒子、好ましくはナノ粒子の外面に付着している。
【0152】
好ましい実施形態では、該部分は、共有結合または非共有結合によって、好ましくは共有結合によって、ナノ粒子またはその外面に付着している。共有結合には、ペプチド結合またはジスルフィド結合が含まれ、好ましくはこれらである。
【0153】
別の好ましい実施形態において、ナノ粒子に付着した該部分は、本発明のポリペプチドのペプチドタグまたは非ペプチドタグである。
【0154】
別の好ましい実施形態において、該部分は、ポリヒスチジン、Hisタグ(すなわち、2つ以上の連続して連結されたヒスチジンからなるアミノ酸配列)、分解タグ、標的化タグ、細胞透過タグ、およびエンドソーム脱出タグからなる群から選択される。
【0155】
該標的化タグは、好ましくは、がん標的に結合する、すなわち、該標的化タグは、がん標的化タグである。該がん標的は、特定の腫瘍細胞および腫瘍抗原内/上で発現レベルが増加した受容体を含む。好ましい実施形態では、該がん標的化タグは、がん標的に結合するペプチドリガンド、ペプチド模倣体、または抗体である。該がん標的化タグは、好ましくは葉酸である。
【0156】
好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、ナノ粒子の外面に少なくとも72個のヒスチジル残基を示す。さらに好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、ナノ粒子の外面に少なくとも72~216個のヒスチジル残基を示す。
【0157】
好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、ナノ粒子の外面に少なくとも72個のヒスチジル残基を示し、該ヒスチジル残基は、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に結合し、該ナノ粒子は、インビボおよびインビトロで分解することなく、カーゴとともに積み降ろしされ得る。好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、ナノ粒子の外面に少なくとも72個のヒスチジル残基を示し、該ヒスチジル残基は、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に結合している。さらに好ましい実施形態において、本発明のナノ粒子は、ナノ粒子の外面上に少なくとも72~216個のヒスチジル残基を示し、該ヒスチジル残基は、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に結合している。
【0158】
好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、ナノ粒子の外面上に少なくとも96個のヒスチジル残基、好ましくは144個のヒスチジル残基を示す。さらに好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、その外面に3~50、好ましくは24個のヒスチジンに富むアミノ酸配列を示し、該ヒスチジンに富むアミノ酸配列のそれぞれは、独立して、本発明ポリペプチドのN末端またはC末端に結合し、該ヒスチジンに富むアミノ酸配列のそれぞれは、少なくとも5つ、好ましくは6つのヒスチジン残基を含む。好ましくは、該ヒスチジンに富むアミノ酸配列は、30アミノ酸以下、好ましくは25アミノ酸以下、より好ましくは20アミノ酸以下、さらにより好ましくは15アミノ酸以下、さらにより好ましくは10アミノ酸以下、さらにより好ましくは5または6アミノ酸の長さを有する。
【0159】
さらに好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、その外面に少なくとも72、好ましくは少なくとも96、より好ましくは少なくとも120、さらにより好ましくは少なくとも144のヒスチジル残基を示す。さらに好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、その外面に約144個のヒスチジル残基を示す。
【0160】
より好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、その外面に24個のHisタグを示し、該Hisタグのそれぞれは、3つ以上の連続して連結されたヒスチジンからなる。さらに好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、その外面に24個のHisタグを示し、該Hisタグのそれぞれは、3~9個の連続して連結されたヒスチジンからなる。より好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、その外面に24個のHisタグを示し、該Hisタグのそれぞれは、3つ以上の連続して連結されたヒスチジンからなり、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくは、C末端に付着している。さらに好ましい実施形態において、本発明のナノ粒子は、その外面に24個のHisタグを示し、該Hisタグのそれぞれは、3~9個の連続して連結されたヒスチジンからなり、該Hisタグは、アミノ酸配列IのC末端またはN末端、好ましくはC末端に付着している。
【0161】
別の好ましい実施形態において、本発明のナノ粒子は、その外面に3~50、好ましくは24のHis6タグを示し、該His6タグのそれぞれは、6つの連続して連結されたヒスチジンからなる。好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、その外面に3~50、好ましくは、His6タグを含む24個のアミノ酸配列(本明細書では、6つ連続して連結するヒスチジン、すなわちホモ-ヘキサ-ヒスチジンからなる配列として定義される)を示し、配列を含む該His6タグのそれぞれは、独立して、本発明ポリペプチドのN末端またはC末端に付着している。好ましくは、配列を含む該His6タグは、30アミノ酸以下、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、さらにより好ましくは15以下、さらにより好ましくは10以下の長さを有する。好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、その外面に3~50、好ましくは24個のHis6タグを示し、該His6タグのそれぞれは、独立して、本発明ポリペプチドのN末端またはC末端に付着している。
【0162】
これらのヒスチジンに富むペプチドは、おそらくエンドソーム脱出特性により、標的細胞の細胞質への送達に重要である。ヒスチジン残基は、合成ペプチドおよび一部のウイルスのエンドソーム脱出に重要な役割を果たすことができると報告されている。ただし、ヒスチジンに富む機能性ペプチドの複数のコピーを提示するための多量体タンパク質アセンブリの使用は実証されておらず、タンパク質ナノ粒子の細胞質送達への新規アプローチを表す。
【0163】
好ましい実施形態において、本発明のナノ粒子は、産生後に遺伝的(ペプチドの直接融合のため)または化学的に修飾される。
【0164】
本発明のナノ粒子は、ごくわずかな細胞毒性しか示さない。デヒドロゲナーゼ活性を定量化するため、WST-8を使用して24時間にわたってHeLa細胞で、インビトロ細胞毒性を測定した(以下の材料および方法、細胞毒性を参照)。本発明のナノ粒子は、生存率を最大で約95%に低下させた。生存率の低下は、12μg/mL~193μg/mLタンパク質(400nMケージ)の濃度で、約0%~約5%の間であった。比較すると、Lipofectamine2000は、同じアッセイ条件下で、19倍低い質量濃度(10μg/mL)で細胞生存率を約35~45%に低下させた。
【0165】
さらなる態様では、本発明は、本発明のナノ粒子および1つ以上のカーゴ分子を含む複合体に関する。
【0166】
好ましい実施形態では、該複合体は、本発明のケージ状ナノ粒子と、ケージ状ナノ粒子の空洞にカプセル化された1つ以上のカーゴ分子とを含む。
【0167】
好ましい実施形態において、本発明の該複合体は、生物において免疫応答を誘導することができる。好ましくは、該生物は、動物、より好ましくは哺乳動物、さらにより好ましくはマウスまたはヒト、最も好ましくはヒトである。
【0168】
本発明の複合体の該カーゴ分子は、好ましくは高分子である。さらに好ましい実施形態では、該高分子は負に帯電している。
【0169】
本明細書で使用される「負に帯電した」という用語は、負に帯電した基を有する分子を含み、好ましくはそれを指す。より好ましくは、該負に帯電した分子は、中性または生理学的pHで負に帯電した基を有する。
【0170】
アルギニン残基に起因する、本発明ナノ粒子の正に強く帯電した内部により、ナノ粒子は、ONなどの負に帯電した高分子をカプセル化するための強い親和性を有する。本発明の複合体による細胞の処理は、複合体の細胞内送達、およびその負に帯電した機能性高分子の放出をもたらす。したがって、本発明の複合体は、細胞への進入、エンドソーム脱出、および負に帯電した高分子の細胞内放出が可能である。例えば、ONを含む複合体は、細胞質送達およびONの放出により、所望の遺伝子の選択的ノックダウンを提供した。
【0171】
本発明の複合体はさらに細胞に進入することができ、また、ONなどの負に帯電した高分子を細胞内に、好ましくは細胞質に放出することもできる。したがって、本発明の複合体は、ONなどの負に帯電した高分子に対して条件付きで安定である。ケージの正に強く帯電した内部は、ONなどの負に帯電した高分子をカプセル化するための強力な推進力を提供し、室温で標準緩衝液で数週間安定な複合体を提供する。
【0172】
カプセル化は、高濃度の競合ゲスト分子の存在下で可逆的であるが、本発明の複合体は細胞外で安定している。細胞の細胞質に見られるような高濃度の負に帯電した競合物質、例えば核酸の存在下では、ONなどの負に帯電した高分子が徐々に放出され、その生体機能を実行することができる。ONなどの負に帯電した高分子の競合物質が誘導する位置特異的放出のこの概念は独特であり、タンパク質ケージ内部のアルギニン残基の数および位置を変更することによって改変される可能性がある。したがって、好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、カーゴを可逆的にカプセル化および放出することができる。さらに好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、ナノ粒子が分解することなく、カーゴを可逆的にカプセル化および放出することができる。さらに好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、ナノ粒子が分解することなく、カーゴをカプセル化および放出することができる。該カーゴは、好ましくは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNAからなる群から選択されるRNAである。
【0173】
さらなる実施形態において、本発明のナノ粒子は、細胞外でカーゴをカプセル化することができ、好ましくは、該カーゴは、負に帯電した高分子であり、より好ましくはRNA、さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNAからなる群から選択されるRNAであり、該カーゴをカプセル化する該ナノ粒子は、該カーゴを細胞内に放出することができる。
【0174】
好ましい実施形態では、該1つ以上の負に帯電した高分子の各々は、約3.5nm以下の直径を有する。さらに好ましい実施形態では、該1つ以上の負に帯電した高分子のそれぞれは、約2nm以下の直径を有する。好ましい実施形態では、該1つ以上の負に帯電した高分子のそれぞれは、約2nmの直径および約8nmの長さを有する。好ましくは、該高分子は、好ましくは約2nmの直径および約8nmの長さを有するモノマーの直鎖である。
【0175】
好ましい実施形態では、該負に帯電した高分子は、核酸またはポリペプチドである。
【0176】
別の好ましい実施形態において、該カーゴ分子はオリゴヌクレオチド(ON)である。
【0177】
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオシド結合によって互いに連結された2つ以上のヌクレオチドを含む化合物を指す。オリゴヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドまたはそれらの混合物であり、好ましくは、一本鎖もしくは二本鎖(a)の未修飾、すなわち天然に存在するRNAもしくはDNA、(b)修飾RNAもしくはDNA、または(c)ロックされた核酸(LNA)もしくはペプチド核酸(PNA)などのRNAもしくはDNA模倣体から選択される。オリゴヌクレオチドは、好ましくは、(a)一本鎖および二本鎖DNA、(b)一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、(c)一本鎖および二本鎖RNA、(d)一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、ならびに(e)一本鎖または二本鎖または一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子からなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNAまたはDNA、あるいはRNAとDNAの両方を含む三本鎖領域および高次構造である。さらなる実施形態において、オリゴヌクレオチドは、合成、ゲノムまたは組換えである。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、(a)少なくとも1つの修飾ヌクレオチドもしくは少なくとも1つのヌクレオチド類似体を含むDNAもしくはRNA、または(b)安定性もしくは他の理由のために修飾された骨格を有するDNAもしくはRNAを指す。
【0178】
本明細書で使用される「修飾RNA」または「修飾DNA」という用語は、天然に存在するリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドベースのオリゴヌクレオチドと比較して、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合および/または少なくとも1つの糖修飾および/または少なくとも1つの塩基修飾を有する、上記で定義されたオリゴヌクレオチドを指す。修飾されたヌクレオシド間結合は、RNAおよびDNAでは天然に存在しないホスホジエステルの修飾型の存在を示す。当業者に知られており、本発明と適合性があるヌクレオシド間結合修飾の例は、特に、ホスホルアミデート、ホスホロジアミデート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、H-ホスホネート、メチルホスホネートおよびメチルホスホノチオエートであり、それらを含む。糖修飾は、二環糖、テトラヒドロピラン、モルホリノ、2’-修飾糖、3’-修飾糖、4’-修飾糖、5’-修飾糖、および4’-置換糖など、RNAおよびDNAで天然に存在するリボシル部分(すなわち、フラノシル部分)の修飾型の存在を示す。適切な糖修飾の例は、当業者に知られており、2’-O-アルキルまたは2’-O-(置換)アルキル、例えば2’-O-メチル、2’-O-(2-シアノエチル)、2’-O-(2-メトキシ)エチル(2’-MOE)、2’-O-(2-チオメチル)エチル、2’-O-(ハロアルコキシ)メチル、例えば2’-O-(2-クロロエトキシ)メチル(MCEM)、2’-O-(2,2-ジクロロエトキシ)メチル(DCEM)。2’-O-アルコキシカルボニル、例えば、2’-O-[2-(メトキシカルボニル)エチル](MOCE)、2’-O-[2-(N-メチルカルバモイル)エチル](MCE)、2’-O-[2-(N、N-ジメチルカルバモイル)エチル](DMCE)、特に2’-O-メチル修飾または2’-O-(2-メトキシ)エチル(2’-MOE)などの2’-O-修飾RNAヌクレオチド残基が含まれるが、これらに限定されない。別の重要な修飾には、例えば、ロックド核酸(LNA)、キシロ-LNA、アルファ-L-LNA、ベータ-D-LNA、cEt(2’-O,4’-C拘束エチル)LNA、cMOEt(2’-O,4’-C拘束メトキシエチル)LNA、エチレン架橋核酸(ENA)、ヘキシトール核酸(HNA)、フッ素化HNA(F-HNA)、ピラノシル-RNA(p-RNA)、3’-デオキシピラノシル-DNA(p-DNA)で見られるような架橋もしくは二環の核酸(BNA)、または、モルホリノ(PMO)、カチオン性モルホリノ(PMOPlus)もしくはPMO-Xなどの他の修飾された糖部分が含まれ、すべて当業者に知られている。本明細書で使用される「塩基修飾」という用語は、RNAおよび/またはDNAで天然に存在する塩基(すなわち、ピリミジンまたはプリン塩基)の修飾を指す。塩基修飾は、当業者に知られており、ヒポキサンチン、シュードウラシル、シュードチミン、2-チオピリミジン(例えば、2-チオウラシル、2-チオチミン)、2,6-ジアミノプリン、5-置換ピリミジン(例えば、5-ハロウラシル、5-メチルウラシル、5-メチルシトシン)7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、7-アザ-2,6-ジアミノプリン、8-アザ-7-デアザグアニン、8-アザ-7-デアザアデニン、または8-アザ-7-デアザ-2,6-ジアミノプリンなどの天然のプリンおよびピリミジン塩基(例えば、アデニン、ウラシル、グアニン、シトシン、およびチミン)の修飾型が含まれるが、これらに限定されない。該オリゴヌクレオチドが、2つ以上の、同じまたは異なる、ヌクレオシド間結合修飾、糖修飾、および/または塩基修飾を含むこともまた、本発明に包含される。したがって、本発明で言及されるオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドの任意の組み合わせおよび上記のそれらの修飾からなり得る。
【0179】
より好ましくは、該1つ以上の負に帯電した高分子は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)および抗miRNAからなる群から選択される1つ以上のオリゴリボヌクレオチドである。さらに好ましいのは、細胞、好ましくは樹状細胞におけるIFN-アルファ産生を刺激することができるオリゴヌクレオチドである。
【0180】
好ましい実施形態では、該1つ以上の負に帯電した高分子は、1つ以上のONであり、該1つ以上のONのヌクレオチドの総数は、約300以下である。別の好ましい実施形態において、該1つ以上のONのヌクレオチドの総数は、約10~約300、好ましくは約20~約300、より好ましくは約40~約300、さらにより好ましくは約50~約300であり、さらにより好ましくは約100~約300、さらにより好ましくは約200~約300である。
【0181】
別の好ましい実施形態において、該1つ以上のONのヌクレオチドの総数は、約10~約300、好ましくは約10~約200、より好ましくは約10~約50、さらにより好ましくは約10~約40、さらにより好ましくは約10~約30である。
【0182】
別の好ましい実施形態において、該1つ以上のONのヌクレオチドの総数は、約10~約300、好ましくは約20~約200、より好ましくは約40~約100である。
【0183】
好ましい実施形態では、該1つ以上のONのヌクレオチドの総数は約300以下であり、該ONはRNA、好ましくはssRNAである。
【0184】
さらに好ましい実施形態では、該1つ以上のONは、一本鎖ON(ssON)、好ましくはssRNAまたはssDNAであり、該ssONは、共同で約40nt以上、好ましくは約40~約300nt、より好ましくは約40~約200nt、さらにより好ましくは約40~約100nt、さらにより好ましくは約40ntの長さを有する。別の好ましい実施形態において、該1つ以上のONは、二本鎖ON(dsON)、好ましくはdsRNAまたはdsDNAであり、該dsONは、共同で、約40bp以上、好ましくは約40~約300bp、より好ましくは約40~約200bp、さらにより好ましくは約40~約100bp、さらにより好ましくは約40bpの長さを有する。
【0185】
好ましい実施形態において、該1つ以上の高分子は、1つ以上のオリゴヌクレオチドであり、該1つ以上のオリゴヌクレオチドは、該ナノ粒子にカプセル化され、DNAse加水分解を受けにくい。したがって、好ましい意味では、「カプセル化された」という用語は、カプセル化された状態の1つ以上のオリゴヌクレオチドが、DNAse加水分解を受けにくいことを示す。より好ましくは、「カプセル化された」という用語は、カプセル化された状態の1つ以上のオリゴヌクレオチドが、DNAse加水分解を受けにくいことを示し、DNAseがDNAseIまたはBenzonaseである。さらにより好ましくは、「カプセル化された」という用語は、カプセル化された状態の1つ以上のオリゴヌクレオチドがBenzonase加水分解を受けにくいことを示す。
【0186】
該負に帯電した高分子は、好ましくは、非共有結合によってナノ粒子内にカプセル化される。該非共有結合は、好ましくは静電結合である。
【0187】
アジュバントなどの他の任意の試薬をナノ粒子内に含めることができる。
【0188】
さらに好ましい実施形態では、該負に帯電した高分子は、会合速度定数k
onが(6.6±0.6)×10
5M
-1s
-1であるナノ粒子に結合するONである(
図2c)。結合動態は、蛍光消光および蛍光定量を測定することによって決定される。データは、単一の指数関数的減衰に適合した(ON濃度に対してプロットした速度定数(k
obs)、線形適合)。
【0189】
さらに好ましい実施形態では、該負に帯電した高分子は、ナノ粒子から解離するONであり、解離定数K
dが(2.4±0.3)x10
-10Mであり、解離速度定数K
offが(1.6±0.1)x10
-4秒
-1である。オフレートを決定するため、100倍過剰の非標識DNAを使用して、カプセル化されたAtto488-ssDNAカーゴの徐放を誘導した(
図2d)。データを単一の指数関数的減衰に適合させ、解離速度定数k offが(1.6±0.1)x10
-4s
-1であった。会合および解離速度定数を使用して、(2.4±0.3)x10
-10Mの平衡解離定数K
dを算出した。
【0190】
好ましい実施形態において、複合体に含まれる負に帯電した高分子は、核酸、好ましくはONであり、本発明の複合体の該ナノ粒子は、該核酸、好ましくは該ONをヌクレアーゼによる分解から保護することができる。好ましい実施形態において、該ヌクレアーゼは、14kD超、好ましくは20kD超、より好ましくは30kD超、さらにより好ましくは40kD超、さらにより好ましくは50kD超、さらにより好ましくは60kD以上の分子量を有する。好ましい実施形態では、該ヌクレアーゼは、14kD超の分子量を有する。好ましい実施形態において、該ヌクレアーゼは、60kD以上の分子量を有する。
【0191】
好ましい実施形態において、本発明の複合体またはナノ粒子は、裸の、すなわち遊離のAtto488-ssDNAを用いた対照と比較して、約30倍増加した細胞取り込みを示す。
【0192】
さらなる態様において、本発明は、本発明のポリペプチドを該ナノ粒子に自己組織化する段階を含む、本発明ナノ粒子を製造するための方法を提供する。
【0193】
好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子を製造するための方法は、(i)本発明のポリペプチドを製造する段階、および(ii)本発明のポリペプチドを該ナノ粒子に自己組織化する段階を含む。本発明のナノ粒子を製造するためのポリペプチドは、好ましくは、組換え発現によって産生される。好ましい実施形態では、該ポリペプチドは、細菌細胞、好ましくはEscherichia coli細胞で組換え発現する。発現すると、本発明のポリペプチドは、単離することができる明確に定義されたナノ粒子に自己組織化する。
【0194】
好ましい実施形態では、ナノ粒子を製造するための方法は、ナノ粒子を単離する段階をさらに含む。該単離段階は、好ましくはアフィニティークロマトグラフィー、より好ましくは固定化金属アフィニティークロマトグラフィーである。好ましい実施形態では、該単離工程は、ニッケル、コバルト、または銅を含む支持体を使用するアフィニティークロマトグラフィーである。最も好ましくは、該単離工程は、Ni-NTAアフィニティークロマトグラフィーである。
【0195】
本発明のナノ粒子の正に帯電した内部により、本発明のポリペプチドを発現する宿主細胞に由来する核酸の混入が可能である。これらの不要なカーゴは、高いイオン強度で除去して静電相互作用を弱め、RNaseAで混入RNAを消化することができる。
【0196】
したがって、好ましい実施形態では、ナノ粒子を製造するための方法は、ナノ粒子を高イオン強度緩衝液および/またはRNaseで処理する段階をさらに含む。好ましい実施形態において、該高イオン強度緩衝液は、0~2Mのイオン強度を有する。さらに好ましい実施形態において、本発明のナノ粒子を製造するための該方法は、(i)組換え体発現を介して本発明のポリペプチドを産生する段階、(ii)0~2Mのイオン強度を有し、RNaseおよび/またはDNaseを含む緩衝液中で発現したポリペプチドを処理し、本発明のポリペプチドを該ナノ粒子に自己組織化する段階を含む。好ましくは、該緩衝液の0~2Mの該高イオン強度は、NaClの添加によって調節される。好ましくは、該高イオン強度緩衝液は、RNaseおよび/またはDNアーゼに加えて、リン酸ナトリウム緩衝液、NaCl、イミダゾール、および任意選択でリゾチームを含む。該緩衝液は、例えば、約50mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)、約1000mM NaCl、およびイミダゾールを含み、リゾチーム、DNaseIおよびRNaseAが補充されている。該高イオン強度緩衝液は、少なくとも20mMのイミダゾールを含む。
【0197】
さらなる態様において、本発明は、本発明のナノ粒子を1つ以上の負に帯電した高分子と混合する段階を含む、本発明の複合体を製造するための方法を提供する。好ましい実施形態では、該混合の段階は、水性緩衝液中で、好ましくは室温で行われる。
【0198】
さらなる態様において、本発明は、該細胞を本発明の複合体と接触させる段階を含む、該細胞をトランスフェクションするための方法を提供する。
【0199】
本明細書で使用される場合、「トランスフェクション」という用語は、負に帯電した高分子、好ましくは核酸、より好ましくはONを細胞に導入するプロセスを指す。好ましくは、細胞をトランスフェクションするための該方法は、インビトロのプロセスである。
【0200】
好ましい実施形態では、該細胞は真核細胞である。より好ましくは、該細胞は動物細胞であり、さらにより好ましくは哺乳動物細胞である。
【0201】
さらなる態様において、本発明は、細胞をトランスフェクションするための本発明の複合体の使用に関する。
【実施例】
【0202】
実施例1-材料および方法
材料および計装
分子クローニングに使用されるすべての酵素は、New England BioLabs(アメリカ)から購入した。すべての合成オリゴヌクレオチドは、MicrosynthAG(スイス)から購入した。プラスミドミニプレップおよびDNA精製キットは、ZymoResearch(アメリカ)から購入した。イソプロピル-ベータ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)は、Fluorochem(イギリス)から購入した。リゾチームは、PanReacAxon Lab AG(スイス)から購入した。Hisタグ付きタンパク質の単離には、Qiagen(ドイツ)のNi-NTAアガロースを使用した。DNaseIは、Roche(スイス)から、RNase AはMerck(ドイツ)からであった。ベンゾナーゼは、Merck-Millipore(アメリカ)から購入した。GelRedは、Biotium,Inc.(アメリカ)から購入した。プラスミドpET29b(+)-O3-332は、DavidBaker教授から快く提供された。
【0203】
DNAおよびタンパク質の定量は、ThermoFisher ScientificInc.(アメリカ)のNanoDrop 2000c分光光度計を使用して実施した。すべてのサイズ排除クロマトグラフィーは、Bio-Rad Laboratories,Inc.(アメリカ)のNGC(商標)中圧クロマトグラフィーシステムで実施した。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)は、GE Healthcare(アメリカ)のPhastGelシステムで実行および展開した。アガロースゲル電気泳動(AGE)および変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)は、Mini-Sub(登録商標)セルGTおよびMini-PROTEANシステムでそれぞれ実行し、両方ともBio-Rad Laboratories,Inc.(アメリカ)からであった。Canon(日本)のEOS1100Dを使用してゲル画像を撮った。透過型電子顕微鏡(TEM)画像は、FEI(アメリカ)のMorgagni268で得た。蛍光顕微鏡画像は、Nikon(日本)のEclipse-Ti倒立顕微鏡で取得した。共焦点蛍光顕微鏡画像は、Leica(ドイツ)のSP8-AOBSで取得した。フローサイトメトリーは、BD Biosciences(アメリカ)のLSRFortessaで実施した。
【0204】
分子モデリング
元のO3-33アセンブリ(PDB:3VCD)(King,N.P et al.,Science 2012,336,1171-1174)のX線回折データを使用して、アルギニンへの変異の配列位置を選出し、これは、Dynameomics骨格に依存しない回転異性体ライブラリー(Scouras,A.D.et al.,Protein Sci.2011,20,341-352)を用いてUCSF Chimera(Pettersen,E.F.et al.,J.Comput.Chem.2004,25,1605-1612)によりモデル化した。
【0205】
分子クローニング
OPの遺伝子は、ATG:biosynthetics(ドイツ)から購入し、プラスミドpGH-OPとして入手した。OP遺伝子インサートをpGH-OPから切り出し、XhoIおよびNdeI制限部位を使用してベクターpET29b(+)-O3-33ベクター(King et al.,2012、前掲書)にクローニングし、O3-33遺伝子を置換し、プラスミドpET29b(+)-OPを得た。His6タグのないOPの遺伝子は、His6タグのすぐ上流にあるXhoI部位でGS**をコードするDNAカセットにクローニングすることによって調製した。プラスミド配列は、Microsynth AG(スイス)により実行されたSanger DNA配列決定によって確認した。
【0206】
タンパク質発現
タンパク質は、pET29b(+)-O3-33、pET29b(+)-OP、またはpET29b(+)-OP_His6なしのいずれかで形質転換されたE.coli株BL21-Gold(DE3)で発現した。細胞は、OD600が0.6~0.8に達するまで、硫酸カナマイシン(86μM)を含むLB培地で37℃で増殖させ、タンパク質の過剰発現をIPTG(0.1mM)で誘導した。25℃で約18時間培養した後、4℃で15分間遠心分離(5,000×g)することにより細胞を収集した。細胞ペレットは精製するまで-20℃で保存した。
【0207】
OPの細胞溶解、Ni-NTAおよびRNA除去
OPはE.coliでの発現中に低分子RNA分子を搭載できるため、空のケージを高純度で分離するために最適化されたプロトコルが開発された。これらには、高イオン強度緩衝液を使用して核酸との相互作用を弱めること、およびRNaseAとの長時間のインキュベーションが含まれる。800mLの培養液から得た各細胞ペレットは、リゾチーム(0.1mg/mL)、DNaseI(10U/mL)、RNase A(5U/mL)、およびプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)を補充した10mLの溶解緩衝液(50mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)、1000mM NaCl、20mM イミダゾール)に再懸濁し、37℃で1.5時間インキュベーションした。
【0208】
溶解、超音波処理、および25℃で25分間の遠心分離(10,000×g)後、上清を重力流カラムの5mLのNi-NTA樹脂に充填し、15分間インキュベーションした。20mMおよび40mMイミダゾールを含む溶解緩衝液で複数回洗浄した後、標的タンパク質を溶出緩衝液(50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)、300mM NaCl、500mMイミダゾール)で溶出した。通常、10~20mLを収集し、2U/mL RNase A、5mM EDTA、およびプロテアーゼ阻害剤カクテルを補充し、37℃で一晩インキュベーションし、Ni-NTA精製中に除去されなかった混入E.coli RNAを消化した。その後、タンパク質はSECの準備が整った。この時点以降、特に明記しない限り、タンパク質の保存およびすべての実験は室温で実施した。
【0209】
O3-33の溶解およびNi-NTA
O3-33の単離は、OPと同じ段階に従ったが、核酸混入が問題にならないため、条件はそれほど厳しくなかった。溶解、超音波処理、およびNi-NTAの場合、使用した緩衝液はイオン強度が低かった(50mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)、300mM NaCl、および20mMイミダゾール)。溶出緩衝液(50mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)、300mM NaCl、500mMイミダゾール)でNi-NTAから単離した後、タンパク質はSECの準備が整った。
【0210】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
SECの前に、タンパク質サンプルを、Amicon Ultra-15遠心フィルターユニット(30k MWCO)(Merck Millipore、アメリカ)を使用して、200mMNaClおよび5mMEDTAを含む20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)に緩衝液交換した。このプロセスでは、OPからRNaseAおよび消化された核酸断片の一部も除去される。次に、完全に組み立てられた24量体ケージを、GE Healthcare(アメリカ)のSuperose 6Increase 10/300 GLカラムを使用して、室温で1.0mL/分の流速でSECによって単離した。O3-33ケージとOPケージはどちらも、200mM NaClおよび5mM EDTAを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)の溶離液で15~16mLで溶出する。精製タンパク質は、SEC溶離液緩衝液に室温で保存した。タンパク質は280nmでの吸光度によって定量化した。加えて、すべてのRNAの除去は、A260/A280比から、および高感度の核酸染色剤であるGelRedで染色された未変性アガロースゲルによって確認した。タンパク質の純度は、Coomassieブルー染色を用いたSDS-PAGEによって確認した。
【0211】
タンパク質ケージの一般的特性
すべての未変性ゲル電気泳動は、Tris-アセテート-EDTA緩衝液(40mM Tris-HCl、19mM酢酸、1mM EDTA、pH8.3)で2%または3%(w/v)アガロースゲルを使用して実施した。必要に応じて、非標識核酸を検出するためにゲルをGelRedでキャストし、タンパク質の可視化のためにCoomassieブルーで染色した。タンパク質分析の典型的な実験では、レーンあたり約100または200pmolのキャプシド(モノマーに関して)を、追加の2μLの70%(v/v)水性グリセロールを含む10μLの緩衝液にローディングした。ゲルを100Vで30分間泳動し、タンパク質を可視化するためにCoomassieブルーで染色し、Atto488蛍光でONを検出した。
【0212】
SEC分析は、ケージの単離に使用したのと同じ条件下で実施した。以前に報告されたように(Beck,T.et al.,Angew.Chem.Int.Ed.2015,54,937-940)、ネガティブ染色透過型電子顕微鏡(TEM)を実施した。すべてのTEM実験では、3~5μM(モノマー)のタンパク質サンプルを含む保存緩衝液(20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)、200mM NaCl、および5mM EDTA)を使用した。DLS測定は、Zetasizer Nano(MalvernInstruments、イギリス)で25℃で実施し、0.22μm濾過したサンプルを150~250μM(モノマー)含む保存緩衝液を使用した。
【0213】
融解温度
融解温度は、Protein ThermalShift(商標)Dye Kit(Thermo Fisher Scientific、アメリカ)を使用して、StepOnePlus Real-Time PCRシステム(Applied Biosystems、アメリカ)で得られた。タンパク質は、25mM Tris-HCl(pH8.0)、200mM NaClで構成される緩衝液で、5、10、および20μMで3回測定した。すべてのデータを平均して値を算出した。
【表1】
【0214】
表4は、2当量のsiRNA二重鎖の存在下および非存在下でのO3-33およびOPタンパク質の融解温度Tmを示す。
【0215】
タンパク質結晶学
Phoenix結晶化ロボット(Art RobbinsInstruments)を使用して、Intelli-Plate R96-3LVでシッティングドロップ蒸気拡散実験を設定した。最初の結晶化の試みは20℃で行われた。十分に回折するOP結晶は、20℃で2M(NH4)2SO4および5%2-プロパノールと3mg/mLの酵素溶液中で、シッティングドロップ蒸気拡散法を使用して得られた。結晶を凍結防止剤として20%(v/v)グリセロールを含むリザーバー溶液に移した後、窒素ガス流中で-173℃でフラッシュ冷却した。X線回折データセットは、EIGER X 16M検出器を使用して、スイス光源(Paul ScherrerInstitute、スイス、フィリゲン)のX06SAで収集された。データ収集には1.0000Åの波長を使用した。
【0216】
OPの回折データは、XDSプログラムパッケージ(Kabsch W.,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.2010,66,125-132)を使用して処理およびスケーリングされた。初期段階は、O3-33(PDBコード:3VCD)の構造を検索モデルとして使用して、分子置換によって決定された。分子置換は、Phaser(McCoy,A.J.et al.,J.Appl.Crystallogr.2007,40,658-674)を用いて実施した。構造は、Coot(Emsley,P.et al.,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.2004,60,2126-2132)を用いて手動で変更し、PHENIX(Adams,P.D.et al.,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.2010,66,213-221)を用いて精密化した。最終的な結晶データおよび強度の統計を表5にまとめている。
【0217】
電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)
すべてのEMSAは、上記のように3%(w/v)アガロースゲルで実施した。Atto488標識ssDNAの場合、サンプル(=1つのゲルレーン)あたり10pmolのDNAを使用し、各種モル当量のタンパク質を含む総量10μLのPBSを用いて室温でインキュベーションした。非標識dsDNAおよびdsRNAの場合、同じインキュベーション条件下でサンプルあたり40pmolの二本鎖を使用し、可視化のためにゲルをGelRedでキャストした。
【0218】
カーゴ搭載量
純粋なOPタンパク質(1nmol)を、5当量のssDNA、dsDNA、またはdsRNAのいずれかを含む総量200μLのSEC緩衝液(20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)、200mM NaCl、および5mM EDTA)とともに室温で一晩インキュベーションした。混合物をSECによって精製し、吸光度スペクトルを得た。すべての吸光度スペクトルは、a|e UV-Vis-IRソフトウェアを使用して光散乱について補正された。タンパク質および核酸の濃度は、PorterfieldおよびZlotnick(Porterfield,J.Z.et al.,Virology 2010,407,281-288)によって説明された式を使用して、280および260nmでの吸光度値から決定された。
【0219】
カプセル化動態
すべての動態測定は、PBS中で室温で実施された。k
onを決定するための各実験について、800μLのAtto488標識DNA(10nM)溶液の蛍光発光を515nm(励起、488nm)で測定し、この値をt=0秒とした。次に、少量の濃縮OP溶液を添加して、最終濃度を5~125nMにし、経時的な発光の低下を10秒間隔でモニターした。放出対時間の各測定値は単一の指数関数に適合し、OPの各濃度にk
obsを提供した。次に、これらのk
obs値は、[OP]に対してプロットし、k
onは、線形フィットの傾きから得られた。低濃度(<25nM)のOPでのk
obsの値は、ケージ当たり1つから2つのゲストDNA分子にシフトするため、信頼できない(
図17)。このように、25~125nMの範囲でk
obsのみがk
onを決定するために使用され、線形近似のためのy-切片を1.6×10-4sのk
off測定値に固定した。
【0220】
koffを測定するため、800μLのAtto488標識DNA(10nM)およびOP(5nM)溶液を、蛍光の変化がさらに観察されなくなるまでインキュベーションした。これは、2つのssDNA分子を含むOPケージを提供し、1:1複合体への第2のDNA分子のカプセル化が除外される場合のように、Koff測定を唯一の速度定数まで簡約する。OP:DNA複合体の安定性が高いため、過剰な非標識ssDNAを使用して、カプセル化されたAtto488-DNAを置換し、タンパク質ケージから放出される場合に蛍光を回復した。1μMの非標識ssDNAを添加した後、515nmでの蛍光発光の変化を60秒間隔で16時間モニターした。データを単一の指数関数に適合させ、koffを生成した。
【0221】
ヌクレアーゼ消化アッセイ
OPと、ssDNA、dsDNA、またはdsRNAのいずれかとの複合体(モル比1:1)は、室温で1時間PBSでインキュベーションすることにより調製した。核酸のみを含む同等のストックも調製した。次に、ストックをアリコートに分け、各ゲルレーンのサンプルを提供した。各サンプルには、MgCl
2(2.5mM)、CaCl
2(0.5mM)を添加した総量10μLのPBSに24pmolのOP/核酸が含まれていた。対照サンプルはそのまま保存し、ヌクレアーゼサンプルには0.2UのRNaseA、DNaseI、またはBenzonaseを添加した。次に、すべてのサンプルを37℃で18時間インキュベーションした後、GelRed、次にCoomassieブルーで染色した未変性アガロースゲルで分析した(
図14)。
【0222】
細胞培養
HeLaおよびA431細胞はダルベッコ改変イーグル培地(高グルコース)で維持し、MCF-7およびVero細胞はイスコーブ改変ダルベッコ培地で維持し、HepG2およびHT29はRPMI-1640培地で、CHOはハムのF-12K培地で維持した。すべての場合において、培地には10%ウシ胎児血清(FBS)、2mM L-グルタミン、2mM GlutaMAX、および1μg/mLゲンタマイシンが添加された。細胞は37℃で5%CO2で培養され、通常3日ごとに1:4の比率で分割された。HeLa-GFP細胞は、HeLa細胞と同じ方法で、0.1mM非必須アミノ酸(NEAA)および10μg/mLブラストサイジン(選択抗生物質)を培地に添加して維持した。NEAAもブラストサイジンも、これらの時間枠内では効果がないことが分かったため、実験用の培地には添加しなかった。
【0223】
細胞毒性
OPおよびLipofectamine2000(Thermo Fisher Scientific、アメリカ)の細胞毒性は、製造元の指示に従ってSigmaのWST-8系Cell Counting Kit-8を使用して評価した。HeLa細胞は、培地100μLで96ウェルプレートにウェル当たり5,000細胞の密度で播種し、24時間37℃、5%CO
2で回収させた。OP(0.22μm膜を通したろ過により前滅菌)およびLipofectamine2000のサンプルは、滅菌PBSで段階希釈により調製した。
図15に示す最終濃度を提供するために、総量10μLのサンプルを各ウェルに添加した。陰性対照として、10%TritonX-100を含む10μLのPBSをウェルごとに使用した。陽性対照は単なるPBSであった。各ウェルに10μLのCKK-8試薬を添加する前に、細胞を5%CO
2、37℃で24時間または48時間インキュベーションした。次に、プレートを37℃および5%CO2で4時間インキュベーションした後、450nmでの吸光度を測定した。細胞を含まない培地でのCKK-8の吸光度をバックグラウンド減算に使用し、サンプルを未処理の細胞に対して正規化し、
図15に示す値を提供した。サンプルは3回測定された。
【0224】
フローサイトメトリーによる細胞取り込み
HeLa細胞は、24ウェルプレートにウェル当たり30,000細胞の密度で500μLの培地に播種し、24時間37℃、5%CO2で回収し、集密度は70~90%に達した。OPタンパク質およびAtto488-DNAの両方を0.22μm膜でろ過滅菌し、ストックを滅菌PBSで調製した。各ウェルについて、20μLのサンプルを含むPBSを200μLの培地に添加し、200nMの最終Atto488-DNA濃度を得た。細胞を5%CO2、37℃で24時間インキュベーションした後、PBSで洗浄し、トリプシン処理した(0.05%トリプシン-EDTA(Thermo Fisher Scientific、アメリカ)、37℃で4分間)。細胞を冷培地に収集し、冷PBSで2回洗浄した後、フローサイトメトリー緩衝液(5%FBSおよび10μg/mLヨウ化プロピジウムを含むPBS)に再懸濁した。
【0225】
共焦点蛍光顕微鏡による細胞取り込み
HeLa細胞は、ibidi GmbH(ドイツ)のibiTreat表面を備えたμスライド8ウェルチャンバーカバースリップにウェルあたり15,000細胞の密度で播種された。細胞は、試料添加前に37℃、5%CO2で24時間200μLの培地でインキュベーションした。OPタンパク質およびAtto488-DNAの両方を0.22μm膜でろ過滅菌し、ストックを滅菌PBSで調製した。各ウェルについて、10μLのサンプルを含むPBSを100μLの培地に添加し、200nMの最終Atto488-DNA濃度を得た。細胞を5%C CO2 O2、37℃で24時間インキュベーションした後、PBSで洗浄し、100μLのHoechst 33342溶液(PBS中5μg/mL)で37℃で10分間核染色した。次に、細胞をPBSで2回洗浄し、5%FBSを含むPBSで37℃で顕微鏡検査を行った。
【0226】
GFPノックダウン
HeLa-GFP細胞を、500μLの培地にウェルあたり30,000細胞の密度で24ウェルプレートの培地に播種し、37℃および5%CO2で24時間回収し、約70%の集密度に到達した。滅菌タンパク質、RNA、およびLipofectamine2000のサンプルをPBSで調製した。Lipofectamine2000の対照を除いて、すべてのサンプル(PBS中20μL)を200μL OptiMEMの細胞に添加し、37℃および5%CO2で4時間インキュベーションした後、300μLの完全培地を添加した。次に、細胞を37℃および5%CO2でさらにインキュベーションし、サンプルの添加およびフローサイトメトリー分析の間に合計48時間を与えた。他のすべてのサンプルに使用された条件下でのリポフェクタミン2000のノックダウン効率の変化はごくわずかであったが、毒性が問題であった。そのため、必要な最小量のLipofectamine2000を使用し、ノックダウン効率を損なうことなく毒性を最小限に抑えた。これは、siRNA 40pmolあたり1μLのLipofectamine2000であると決定され、これは、製造元ーが推奨する最小量でもある。次に、フローサイトメトリー分析の前に、製造元の推奨プロトコル、およびsiRNAリポプレックス(PBSで予め調製)を含む培地で37℃、5%CO2で48時間インキュベーションされた細胞を使用した。
【0227】
フローサイトメトリー分析の前に、蛍光顕微鏡検査を24ウェルプレートで直接実施し、GFP発現レベルの定性的測定値を取得し、細胞の健康状態を評価した(
図16)。次に、細胞をPBSで洗浄し、トリプシン処理した。細胞を冷培地に収集し、冷PBSで2回洗浄した後、フローサイトメトリー緩衝液(5%FBSおよび10μg/mLヨウ化プロピジウムを含むPBS)に再懸濁した。培地およびインキュベーション条件を一致させた未処理のHeLa-GFP細胞を陽性対照として使用し、GFPを発現しないHeLa細胞をGFP蛍光の陰性対照として使用し、サイトメーターの設定を最適化した。タンパク質およびsiRNAの異なるバッチを用いて、サンプルを少なくとも3回何度も測定した。
【0228】
His6タグなしのOPの精製
以前に報告されたように、硫酸アンモニウム沈殿を使用した(Beck,T.et al.,Angew._Chem.Int.Ed.Engl.,2015,54,937-940)が、低分子RNA分子の除去を最適化するために変更が加えられている。800mLの培養液からの各細胞ペレットを、リゾチーム(0.1mg/mL)、DNaseI(10U/mL)、RNase A(5U/mL)、およびプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)を添加した10mLの緩衝液(25mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)、1000mM NaCl)に再懸濁し、37℃で1.5時間インキュベーションした。溶解後、懸濁液を超音波処理し、遠心分離した(10,000×g、25℃、25分)。次に、上清を65℃で30分間加熱し、遠心分離(10,000×g、4℃、25分)し、変性E.coliタンパク質をペレット化した。硫酸アンモニウムをその飽和濃度の70%まで上清に添加し、懸濁液を遠心分離した(10,000×g、4℃、20分)。タンパク質ペレットを20mLの緩衝液(25mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)、1000mM NaCl)に再懸濁し、硫酸アンモニウム沈殿をさらに2回行った。最後に、沈殿したタンパク質を低塩緩衝液(25mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)、200mM NaCl)に再懸濁し、2U/mL RNase A、5mM EDTA、およびプロテアーゼ阻害剤カクテルを添加した後、混入物のE.coli RNAを消化するため、37℃で一晩インキュベーションした。次に、タンパク質をSECで精製し、これは、25mM 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(pH5.5)、1000mM NaCl、および250mM MgSO4で構成される緩衝液で行い、残存するゲスト分子とタンパク質ケージとの相互作用を弱めた。これ以降、タンパク質を室温でPBS緩衝液に保存した。
【0229】
tRNAによるカーゴの置換
最初に、OPがtRNAをカプセル化する能力をEMSAにより検定した(
図17)。サンプルは、20pmolのtRNA(小麦胚芽から得たトランスファーRNA、Fluka、ドイツ)を含む10μLのPBSを用いて、OP(1.2モル当量)を含むまたは含まずに調製し、GelRedで染色した未変性アガロースゲルにより分析した。tRNAの細胞内濃度は、HeLa細胞の平均体積、単一細胞から単離されたRNAの質量、およびtRNAである全RNAのパーセンテージに基づいて算出した(Luby-Phelps,K.InInternational Review of Cytology,Eds.Walter,H.,Brooks,D.E.,Srere,P.A.,Academic Press:1999;Vol.192,p189-221、Lodish H,B.A.,Zipursky SLIn Molecular Cell Biology,4th ed.;W.H.Freeman:New York,2000)。この推定値は、細胞質内の分子密集の影響、遊離tRNAの相対的な割合、またはOPによってカプセル化もされ得る他の分子を考慮に入れていない。置換アッセイでは、OPとAtto488-DNAの二本鎖との複合体(モル比1:1)を、室温で1時間PBSでインキュベーションすることにより調製した。次に、ストックをアリコートに分け、各ゲルレーンのサンプルを提供した。各サンプルには、総量10μLのPBSに10pmolのOP/核酸が含まれていた。次に、2μLの濃縮tRNAストックをさまざまな時点でサンプルに添加して、26μMの最終[tRNA]を得、サンプルを37℃でインキュベーションした。次に、サンプルを未変性アガロースゲルで分析し、Atto488蛍光で可視化した(
図4b)。
【0230】
血清安定性
OPとsiRNAとの複合体(モル比1:1)は、室温で1時間PBSでインキュベーションすることにより調製した。次に、ストックをアリコートに分け、各ゲルレーンのサンプルを提供した。各サンプルには、総量5μLのPBSに10pmolのOP/核酸が含まれていた。さまざまな時点で、20%ウシ胎児血清を含む5μLのPBSをサンプルに添加し、37℃でインキュベーションした。次に、サンプルを未変性アガロースゲルで分析し、GelRedおよびCoomassieブルーで可視化した(
図22)。
【0231】
小角X線散乱
SAXSデータは、PETRA-IIIシンクロトロン(DESY、ハンブルグ、ドイツ)のビームラインP12で得られ、X線波長は1.24Åであった。Pilatus 1M検出器をサンプルから2mに配置し、0.028~6.7nm-1の散乱ベクトル範囲を収集した。サンプルは、各種濃度(0.5~5mg/mLタンパク質)のSAXS緩衝液(25mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)、200mM NaCl、5mM EDTA、および10%グリセロール)で測定され、最小の凝集およびノイズを示すサンプルのデータは、さらなる分析に使用した。すべてのサンプルをSAXS緩衝液で透析し、よく一致する緩衝液ブランクを提供した。OP:dsDNAおよびOP:dsRNAの場合、SAXS緩衝液での透析前に、タンパク質ケージを2当量の二本鎖とともに一晩インキュベーションした。散乱曲線はPRIMUS16を使用して分析し、ペア距離分布はAUTOGNOMを使用して計算した。
【0232】
二本鎖DNAの解離
hpDNAが解離しないことを確認するために、10nM Atto488-hpDNAを含む800μLのPBS溶液の蛍光スペクトルを450nm~600nmで測定した。続いて、50nM OTR501を各サンプルに添加し、別のスペクトルを記録する前に、600秒にわたって蛍光減衰を追跡した。同じ手順を、10nM dsDNA溶液(Atto-488 ssDNAおよびLuc-g)、8M尿素を含む10nM dsDNA溶液、およびAtto-488ssDNAおよびGFP-gの10nM溶液に適用した。
【0233】
実施例2-タンパク質および核酸配列
タンパク質の分子量(MW)、等電点(pI)、および280nmでの吸光係数(ε
280、M
-1cm
-1)は、SIB Bioinformatics Resource Portalツール(http://web.expasy.org/protparam/)を使用して計算した。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0234】
SDS-PAGEおよびCoomassieブルーの可視化は、タンパク質OPおよびOTR101からOTR503への異なる移動度から生じた異なる移動度を示した。これは、すべてのタンパク質が約20 kDaの同じ重量を有し、すべての変異型が適正な純度であることを証明している。
【表3】
【0235】
大文字はデオキシリボヌクレオチドを示し、小文字はリボヌクレオチドをそれぞれ示す。A488は、固相合成中に結合するフルオロフォアAtto488ホスホルアミダイトを指す。
【0236】
実施例3-ナノ粒子の構造的特徴
出発足場として、本発明者らは、ベイカーおよび同僚によってコンピュータ設計された自己組織化タンパク質ケージであるO3-33を選択し(King,N.P.et al.,Computational Design of Self-Assembling Protein Nanomaterials with Atomic Level Accuracy.Science 2012,336,1171-1174)、これは非機能性タンパク質ケージであり、高分子を細胞内にカプセル化または送達する能力がない、コンピュータ設計された未変性の足場である。
【0237】
カーゴの搭載を可能にするために、本発明者らは、O3-33に結合相互作用を導入した。アミノ酸のThr11、Pro39、Glu66、Trp103、Phe130、およびLeu163をアルギニンに置き換えて、O3-33変異型(本明細書ではOPと呼ぶ)を作成し、これは、強く正に帯電した内部空洞を有する(
図1b、5)。OPタンパク質は、E.coli細胞で過剰発現し、C末端のHis6タグを介したNi-NTAアフィニティークロマトグラフィーにより単離できる(
図6)。強く正に帯電した内部空洞のため、内因性E.coli RNAからの有意な混入があった。ただし、これらのRNA混入は、静電相互作用を弱めるための高イオン強度緩衝液および混入RNAを消化するためのRNase Aを用いて容易に除去された(OPについての材料および方法、細胞溶解、Ni-NTAおよびRNA除去を参照)。
【0238】
所望するケージ状四次構造を形成するOPの能力(
図1a)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、動的光散乱(DLS)、および未変性アガロースゲル電気泳動(AGE)によって評価された(
図7、8)。すべてのデータは、O3-33ケージと同じサイズのアセンブリの形成と一致していた。さらに、OPとO3-33はTEMで識別できず(
図1c、9)、X線回折により、直径約8nmの空洞に144個のアルギニンを添加しても、モノマーの折り畳みおよびケージ構造にほとんど影響を及ぼさないことが確認された(
図1d)。平均二乗偏差は、各モノマーのすべてのCα原子で0.5~0.7Åであった。
【0239】
さらに、SEC、AGE、およびTEMによるOP変異型のOTR101~OTR503の特性評価では、すべてのOP変異型の構造がOPと同じであることが示された。
【0240】
実施例4-核酸カーゴの搭載
空のタンパク質ケージの構造的一体性が確立されたので、核酸カーゴの搭載をインビトロで調査した。直径2nmのDNAおよびRNA二重鎖は、直径約3.5nmの細孔を通過できるため、カプセル化が可能である。電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)により、親O3-33ケージが21ntのAtto488標識一本鎖(ss)DNAであるAtto488-ssDNAの電気泳動移動度に影響を及ぼさないことが明らかになった(
図10)。対照的に、OPではタンパク質およびDNAバンドの共局在が観察された(
図2a)。二本鎖(ds)DNAおよびdsRNAとOPの結合も評価され(
図11)、ssDNAに類似した結果が得られた。すべての場合において、0.5当量のOPを添加すると、オリゴヌクレオチドのほぼ完全な結合が観察され、ケージあたり2個のゲストが示唆された。この化学量論は、OPとssDNA、dsDNA、またはdsRNAとのSEC精製複合体のA
260/A
280比から確認された(
図2bおよび12、表3)。
【表4】
【0241】
実施例5-結合動態
DNA結合フルオロフォアAtto488のカプセル化による蛍光消光を使用して、蛍光測定により結合動態を決定した(
図13)。結合速度定数k
on=(6.6±0.6)x10
5M
-1s
-1(
図2c)および解離速度定数k
off=(1.6±0.1)x10
-4s
-1(
図2d)は、このタンパク質-DNA複合体の解離定数Kd=(2.4±0.3)x10
-10Mを計算するために使用された。このKd値は、ウイルスにおけるRNA-タンパク質相互作用について報告されている値(10
-8-10
-7M)よりも2桁低く、最も緊密な結合転写因子の範囲(10
-15-10
-10 M)にある。この人工システムの決定的な違いは、配列特異性の欠如であり、これは、任意の所望のヌクレオチド配列のパッケージング、および負の電荷を保持するオリゴヌクレオチド化学修飾を可能にするため、送達デバイスにとって有利であることに留意しなければならない。
【0242】
核酸送達システムの重要な役割は、そのカーゴをヌクレアーゼ分解から保護することである。そのため、DNaseI(30 kDa)、RNase A(14 kDa)、およびbenzonase50(60 kDa)の3つのヌクレアーゼを使用した消化アッセイを実施した。AGE(
図14)は、より大きな酵素からの保護を示した。RNase Aのみがケージに入り、カーゴを消化することができた。これらのヌクレアーゼアッセイデータは、ゲストがごくわずかな解離速度で内部空洞に緊密に結合することを示唆する動態研究を裏付けている。
【0243】
カチオン性脂質およびポリマーなどの多くの核酸送達ベクターでは、トランスフェクション効率と細胞毒性の間で妥協が必要である。デヒドロゲナーゼ活性を定量化するためにWST-8を使用して、HeLa細胞で24時間にわたってインビトロ細胞毒性を測定した(
図15、表6)。OPは、400nMケージ(193μg/mLタンパク質)まで無視できる毒性を示した。これらの結果は、一般的に使用されているトランスフェクション試薬であるカチオン性脂質のLipofectamine2000と比較して遜色がなく、上記のアッセイ条件下で19倍低い質量濃度(10μg/mL)で細胞生存率を35%~45%低下させた。
【表5】
【0244】
実施例6-細胞取り込みおよびカーゴ放出
さらに、本発明のナノ粒子が細胞に進入し、その核酸カーゴを送達する能力を、プローブとしてAtto488-ssDNAカーゴを用いて、フローサイトメトリーおよび共焦点蛍光顕微鏡法(CFM)を使用して調査した。HeLa細胞を含む7つの異なる細胞株を、OPケージ内にパッケージングされた200nMの遊離Atto488-ssDNAまたはAtto488-ssDNAのいずれかで処理し、細胞の蛍光をフローサイトメトリーにより測定した。蛍光強度の中央値のプロットは、試験した7つの細胞株のうち6つでOPケージの効率的な細胞取り込みを示している(
図3a-c)。HeLa細胞では、バックグラウンドに比べてこれらの細胞のssDNAの細胞取り込みがほぼ30倍に増加し、HeLa細胞の90%超への送達が示された。VeroおよびHepG2細胞ではさらに大きな効果が見られた。この発見を確認するために、遊離Atto488-ssDNAまたはAtto488-ssDNAを搭載したOPケージのいずれかで処理された細胞で、CFMを実行した(
図16)。遊離Atto488-DNAで処理された細胞は、感知できるほどの蛍光を示さなかったが、OP:Atto488-DNAで処理された細胞では、細胞内蛍光が多くの強い病巣に局在しており、高い取り込み効率を裏付けている(
図3b)。これらの点状構造は、エンドサイトーシスを示唆しており、このサイズ領域のナノ粒子でよく観察される。
【0245】
実施例7-遺伝子発現の調節
追加のトランスフェクション剤を必要とせずに機能的な核酸カーゴを送達できる非ウイルス送達システムの報告は、まれである。OPケージの高い細胞取り込みが確認されたため、タンパク質発現を測定するモデルとして緑色蛍光タンパク質(GFP)を安定して発現するHeLa細胞を使用して、siRNAを送達し、遺伝子発現を調節するケージの能力を試験した。Lipofectamine2000を陽性対照として使用して、GFP発現HeLa細胞を、裸siRNA、OPカプセル化siRNA、空のOPケージ、およびスクランブル配列siRNAを搭載したOPケージで処理した。遺伝子ノックダウン効率を決定するために、GFP蛍光を蛍光顕微鏡(
図16)によって定性測定し、フローサイトメトリー(
図4a)によって定量測定した。20pmolのOPパッケージsiRNAで処理し、48時間インキュベーションした後、GFP蛍光の約70%の減少が観察され、これは、Lipofectamine2000の範囲内の有効性である。さらに、OPの毒性が有意に低いため、市販の試薬(
図16)に関しては、細胞の生存率が向上し、該試薬はこれらのアッセイで2.5μg/mLの濃度であった。スクランブル配列siRNAを搭載したOPケージの効果の欠如は、発現レベルが抗ウイルスインターフェロン経路機構の誘導によるものではなく、標的mRNA特異的であることを確認した。
【0246】
実施例8-His6タグおよび高細胞質濃度のRNAがON送達効率に寄与する
RNAiの誘導を成功させるには、細胞質へのsiRNAの送達が必要である。したがって、上記のデータは、OPケージがエンドソーム脱出を達成し、それらのカーゴを放出できることを示唆している。いかなる理論にも拘束されることなく、本発明者らは2つの説明を提唱する。
第一に、エンドソーム脱出を促進するヒスチジンに富むペプチドの能力は、プロトンスポンジ効果およびエンドソーム膜を透過性にするプロトン化ヒスチジンの能力の両方により、十分に立証されている。各OPモノマーはHis6タグを有するため、完全な24量体ケージは、その外部に合計144個のヒスチジル残基を示す。これがsiRNA送達に影響を及ぼすか否かを試験するために、本発明者らは、His6タグを有さないOPの変異型を作成し、RNAi活性について検定した(材料および方法、His6タグなしのOPの精製)。同じ実験条件下で、GFP蛍光の約40%の減少のみが観察され(
図4a)、His6タグが実際に送達効率に寄与することを示している。
【0247】
第2に、細胞質内のカーゴ分子の放出は、
図2dに示す動態パラメーターの観点から説明できる。OP-核酸複合体は安定しているが、カプセル化は、高濃度の競合ゲスト分子の存在下で可逆的である。したがって、本発明者らは、高細胞質濃度のtRNAがsiRNAカーゴに位置特異的放出メカニズムを提供し、RNAi誘導性遺伝子ノックダウン用にそれを遊離させると予想した。この仮説はインビトロで検証され、A488-dsDNAを含むOPケージを細胞内濃度のtRNA(26μM)を含むPBSで37℃で処理し、6時間にわたってカーゴの時間依存性放出を観察した(
図4bおよび19)。細胞質内のmRNAに作用するオリゴヌクレオチドの場合、細胞質の物理化学的特性を利用することで、カーゴ放出の単純解が提供される。
【0248】
逆に、10%ウシ胎児血清を使用して実施した同じ実験では、カーゴの放出または分解は見られなかった(
図22)。
【0249】
【0250】
実施例10-OPおよびその変異型OTR101~OTR503
一本鎖DNA搭載のインビトロ研究
OPの各種変異型であるOTR101~OTR503がssDNAを搭載できるか否かを試験するために、電気泳動シフトアッセイ(EMSA)でssDNAとの相互作用を調べた。これにより、DNAとタンパク質バンドの共局在が結合変異型で観察される一方で、ssDNAバンドの移動度は非結合変異型の影響を受けないと予想される。
図26に示すように、この共局在は、モノマーあたり最低3つのアルギニン変異を含むすべての調査済み変異型で観察されるが、モノマーあたり1つまたは2つのアルギニンを含むすべての調査済み変異型、およびO3-33では、Atto488-ssDNAバンドの移動はなかった。
【0251】
OPと比較した変異型の結合動態
EMSAから得られた結果が蛍光アッセイの枠組みで検証できるか否かを調査した。
図27に示すように、アルギニンが2つ以下の変異型はssDNAに結合しないと実際に結論付けることができる。さらに、キャプシドの消光効果に対応する蛍光の相対的低下は、静電的寄与の増大とともに増加することが分かる。
【0252】
モノマーあたり3つ以上のアルギニン変異を持つすべての変異型によるssDNAの結合についての動態パラメーターを以下の表7に示す。
【表7】
【0253】
二本鎖DNA搭載のインビトロ研究
3、4、または5つのアルギニンをもつOPタンパク質変異型がssDNAを搭載できることを示し、特に二本鎖siRNAが生物医学用途により関連しているため、dsDNAについての搭載能力は興味深いであろう。すべてのdsDNA測定には、ヘアピンDNA(hpDNA)を使用し、これには、2つの相補鎖の間に4つの核酸塩基のループ領域が含まれている。hpDNAは、dsDNAの2つの相補鎖の解離を回避するために選択された。
【0254】
蛍光測定ベースのアッセイを開発する前に、ssDNAに結合するすべての変異型について、カーゴの搭載をEMSAによって調査した(
図28)。変異型OTR402、OTR501、OTR502、OTR503、およびOPがhpDNAに結合することが分かったが、これはOTR301、OTR302、およびOTR401には該当しない。したがって、ssDNAに対して10
-10M
-1の最大結合親和性を持つキャプシド変異型のみがdsDNA/hpDNAにも結合できる。
【0255】
モノマーあたり5つ以上のアルギニン変異を持つすべての変異型によるhpDNAの結合についての動態パラメーターは、以下の表8に示す。
【表8】
【0256】
実施例11-外部に示されたヒスチジンに富むペプチドの変異
C末端にモノマータンパク質あたり1つのヘキサ-ヒスチジンタグを付けたOPケージは、効率的にエンドソームトラップを脱出し、それによって遺伝子ノックダウン用にそのsiRNAカーゴを細胞の細胞質に正常に放出することが示されている。C末端に融合した3、6、または9個のヒスチジンを含むヒスチジンタグを付けたOPケージの変異型を作成し、6個のヒスチジンタグを含むOPケージを参照して遺伝子ノックダウン活性を検定した。
図29に示すように、3つの変異型はすべて、siRNAを哺乳動物細胞に送達し、標的タンパク質、この場合はGFP、の発現レベルを低下させる同じ能力を示す。加えて、ヘキサヒスチジンタグの位置の重要性は、遺伝子サイレンシング活性について変異型OP-cODCを試験することによって調査された。OP-cODCには、ヘキサヒスチジンタグの後に38アミノ酸のC末端付属物が含まれている。
図29に示すように、これにより、OPケージを含むsiRNAの遺伝子ノックダウン能が無効になり、ヘキサヒスチジンタグのエンドソーム脱出メカニズムに干渉するためと考えられる。
【0257】
実施例12-マウスにおけるOPケージの免疫原性
4匹のBALB/cマウスの2つのグループは、0、16、および38日目に尾静脈注射によって1または10μgのOP粒子を含むPBSを投与され、0、14、29、52、および73日目に採血した。血清中のOP特異的IgG1、IgG2a、およびIgG2bの評価は、酵素結合免疫測定法(ELISA)によって実施された。簡単に説明すると、2倍希釈系列のマウス血清サンプルをOPコーティングされたマルチウェル免疫プレート(Sigma M9410)にアプライした後、各種IgGアイソタイプ(Abcam ab97238/ab97243/ab97248)に対するビオチン化抗マウス抗体で検出した。ストレプトアビジン-HRP(Biolegend 405210)、および発色基質として3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB、Biolegend 77247/77248)を使用して、比色分析で開発を行った。発色基質の光学密度は450nmで測定され、血清サンプル希釈に対してプロットされる(
図30)。各時点での免疫応答を比較するために、1/2000希釈を選択した(
図31)。すべての注射後、抗OPIgG力価の上昇が、用量依存的な反応とともに測定された(
図31)。2回目の追加免疫の1か月後の72日目までに、IgG力価はわずかな低下を示した。この調査は、OP粒子が特定の免疫反応を誘発することを示している。
【配列表】