(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】衣服及び衣服の使用方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/00 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
A41D13/00 102
(21)【出願番号】P 2021558342
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 JP2020042310
(87)【国際公開番号】W WO2021100612
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】P 2019208805
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591186176
【氏名又は名称】株式会社 ゼンショーホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】平野 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204157678(CN,U)
【文献】特開平07-048705(JP,A)
【文献】特開2007-204860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材となる第1素材と、
前記第1素材に配される、前記第1素材とは異なる素材から形成される導電性を有する第2素材と、を備える第1衣服と、
着用された場合に前記第1衣服よりも生体側に配される、前記第1素材及び前記第2素材とは異なる素材である第3素材から形成される電気絶縁性を有する第2衣服と、
を備え
、
前記第2素材は前記第1素材の表面及び裏面の両方において互いに導通した状態で露出する
衣服。
【請求項2】
請求項1に記載の衣服であって、
衣服全体のうち少なくとも胸部に第2素材を配する
衣服。
【請求項3】
基材となる第1素材と、前記第1素材に配される、前記第1素材とは異なる素材から形成される導電性を有する第2素材と、を備える第1衣服と、
着用された場合に前記第1衣服よりも生体側に配される、前記第1素材及び前記第2素材とは異なる素材である第3素材から形成される電気絶縁性を有する第2衣服と、を備え
、
前記第2素材は前記第1素材の表面及び裏面の両方において互いに導通した状態で露出する
衣服の使用方法であり、
前記第2素材を帯電させる第1ステップと、
前記第1ステップ後の所定のタイミングで、前記第2素材を接地させる第2ステップと、を実行する
衣服の使用方法。
【請求項4】
前記第1ステップでは、帯電装置によって前記第2素材を帯電させる
請求項
3に記載の衣服の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服及び衣服の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、導電性を有する衣服が存在する。特許文献1に記載された技術は、電子機器から発生する電磁波を遮断して人体への悪影響を防止する電磁波遮断衣服である。特許文献1に記載された技術は、衣服本体及びアース用紐を備える。衣服本体は、導電性を有する繊維によって織られている。アース用紐は、衣服本体に取り付けられ、導電性を有する繊維によって織られている。人物が電磁波遮断衣服を着用して電車に乗車した場合、その人物がアース用紐を手に持って手すりにつかまると、衣服本体はアースされる。これにより、電車内で携帯電話から電磁波が発生する場合でも、電磁波遮断衣服は、その電磁波を遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から、飲食店では、顧客に提供する食品の品質管理が重要視されている。例えば、顧客に提供する食品に毛髪等が入らないように、飲食店の従業員の衛生管理及び指導が行われている。しかし、近年は、飲食店における食品の品質管理がより重要視されており、従業員への衛生管理及び指導に加えて、より積極的な方法での品質管理が求められている。
特許文献1に記載された技術は、電磁波を遮断するための衣服であり、飲食店における食品への毛髪等の混入を抑制するものではない。
【0005】
本発明は、飲食店において提供される食品の品質を更に向上させることが可能な衣服及び衣服の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の衣服は、基材となる第1素材と、第1素材に配される、第1素材とは異なる素材から形成される導電性を有する第2素材と、を備える。
【0007】
一態様の衣服は、衣服全体のうち少なくとも胸部に第2素材を配することとしてもよい。
【0008】
一態様の衣服は、上述した一態様の衣服である第1衣服と、着用された場合に第1衣服よりも生体側に配される、第1素材及び第2素材とは異なる素材である第3素材から形成される第2衣服と、を備えることとしてもよい。
【0009】
一態様の衣服は、第1素材と第3素材とは、帯電列の極性が互いに異なる素材であってもよい。
【0010】
一態様の衣服の使用方法は、基材となる第1素材と、第1素材に配される、第1素材とは異なる素材から形成される導電性を有する第2素材と、を備える第1衣服と、着用された場合に第1衣服よりも生体側に配される、第1素材及び第2素材とは異なる素材である第3素材から形成される第2衣服と、を備える衣服の使用方法であり、第2素材を帯電させる第1ステップと、第1ステップ後の所定のタイミングで、第2素材を接地させる第2ステップと、を実行する。
【0011】
一態様の衣服の使用方法は、第1ステップでは、帯電装置によって第2素材を帯電させることとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
一態様の衣服は、基材となる第1素材と、第1素材に配される、第1素材とは異なる素材から形成される導電性を有する第2素材とを備えるので、第2素材を帯電させることにより、万が一身体から毛髪が落下した場合でもその毛髪を衣服に付着させることができ、飲食店において提供される食品の品質を更に向上させることができる。
また、一態様の衣服の使用方法は、上述した一態様の衣服と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る衣服について説明するための第1の図である。
【
図2】一実施形態に係る衣服について説明するための第2の図である。
【
図3】第1~3素材について説明するための図である。
【
図4】変形例に係る制服について説明するための図である。
【
図5】第1変形例に係る衣服について説明するための図である。
【
図6】第2変形例に係る衣服について説明するための図である。
【
図7】一実施形態に係る衣服(制服)の使用方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る衣服1について説明するための第1の図である。
図2は、一実施形態に係る衣服1について説明するための第2の図である。
【0015】
例えば、飲食店においては、従業員が顧客に提供する料理を運ぶ場合に、万が一従業員の身体から毛髪等が落ちたときでもその毛髪等が料理に入ることを極力抑制する必要がある。例えば、飲食店の従業員は、自身の前に料理を位置させて、その料理を顧客まで運ぶ。その場合、従業員が帽子等を着用していても、従来のユニフォームに付着した毛髪等が落下して料理に混入する可能性がゼロではない。そこで、従業員が本実施形態の衣服1を着用し、従業員の頭部から落ちた毛髪等を衣服1に付着させることにより、料理に毛髪等が入ることを極力抑制することが可能となる。以下、具体的に衣服1について説明する。
【0016】
衣服1(制服30)は、例えば、飲食店等の店舗、食品工場及び電子部品の製造工場等の施設において従業員が着用する衣服(制服)である。本発明において「衣服」とは、例えば、服、帽子、マスク、スカーフ、靴下、靴、スリッパ、手袋及びエプロン等の従業員が身に着ける物を含む概念である。
【0017】
図1及び
図2に例示する場合、衣服1(制服30)は、シャツ1aと、そのシャツ1aの上に着用するベスト1bを備える。なお、衣服1(制服30)は、
図1及び
図2に示す例に限定されず、種々の形状及び種類の衣服1(制服30)であってよい。
衣服1には、従業員が衣服1を着用した場合の少なくとも正面20側(衣服1の前面側)(
図2参照)に導電性素材が配されている。ここで、従業員が複数の衣服1を重ね着する場合、最上面の衣服1(従業員の身体から最も離れた衣服1)の前面側に導電性素材が配される。例えば、
図1に例示するように、シャツ1a及びベスト1bが重ね着される場合、最上面となるベスト1bの少なくとも前面側に導電性素材が配される。
【0018】
導電性素材は、例えば、帯電することにより毛髪等を付着させることが可能な素材であることが好ましい。また、導電性素材は、帯電することにより毛髪等を付着させることが可能な帯電量を有するような密度で配される。そのような導電性素材、導電性素材の密度、及び、帯電量等は、予め実験等が行われることにより設定されてもよい。
導電性素材としては、以下のものでることが好ましい。すなわち、衣服1の少なくとも前面側には、導電性を有する糸(導電性糸)が縫い付けれ、又は、導電性を有する素材が生地に被覆されている。又は、衣服1の少なくとも前面側は、導電性糸を含む1又は複数の種類の糸によって織られた生地により形成され、又は、当該生地が取り付けられて形成されている。
【0019】
従業員が衣服1を着用した場合、衣服1(導電性素材)を帯電させると、従業員の身体から落ちた毛髪等は静電気によって衣服1に付着する。これにより、飲食店において従業員が食品を調理する場合、及び、従業員が食品を顧客に提供するためにその食品を運ぶ場合でも、従業員の身体から落ちた毛髪等が食品に混入することを極力抑制することができる。なお、衣服1(導電性素材)は、毛髪等を付着させることが可能な帯電量で帯電させる。
【0020】
以下、衣服1及び制服30について詳細に説明する。
図3は、第1~3素材101~103について説明するための図である。
図3は、第1~3素材101~103の断面図である。
まず、第1例の衣服1cについて説明する。
第1例の衣服1cは、従業員が複数の衣服1を重ね着する場合には、最上面に着用される衣服である。第1例の衣服1cは、例えば、シャツ及びベスト等の種々の形状及び種類の衣服であってよい。
【0021】
図3に示すように、第1例の衣服1cは、第1素材101及び第2素材102を備える。
第1素材101は、衣服1cの基材となる。第1素材101(基材)は、シャツ全体を形成する。同様に、例えば、衣服1cがベストの場合には、第1素材101は、ベスト全体を形成する。衣服1cがシャツ及びベストを除く他の種類の衣服であっても、第1素材101は、他の種類の衣服全体を形成する。
第1素材101は、例えば、ナイロン、レーヨン、ポリエステル又はアクリル等によって形成される生地である。なお、第1素材101は、前述した例示の生地に限定されず、種々の種類の生地であってよい。
第1素材101は、例えば、1mm~3mm程度の厚さを有する。なお、第1素材101の厚さは、前述した例示の厚さに限定されず、任意の厚さの生地であってよい。
【0022】
第2素材102は、第1素材101に配される。第2素材102は、第1素材101とは異なる素材から形成される導電性を有する。第2素材102は、例えば、金属、カーボン、導電性セラミック等の導電性材料を樹脂又は天然等の繊維(糸の芯材)の表面に塗布した(表面を被膜した)素材であってよい。又は、第2素材102は、例えば、金属等の導電性材料そのものから形成される糸であってもよい。
【0023】
このように、第2素材102は、従業員の身体から落ちた毛髪等を付着させるため、帯電され、且つ、その帯電を維持する。このように、第2素材102が帯電を維持するために、上述した第1素材101は、第2素材102とは異なり、第2素材102よりも導電性が低いことが好ましい。すなわち、第1素材101は、電気絶縁性を有することが好ましい。その第1素材101は、所定値の電気抵抗率を有する繊維等によって形成された生地から形成され、一例として、電気抵抗率が5.0×105Ωcm以上、好ましくは1.0×1010Ωcm以上、より好ましくは1.0×1012Ωcm以上の繊維から形成され、具体例としては、アクリル、ポリエステル、レーヨン、ナイロン等である。なお、ここでいう電気抵抗率とは、例えば、温度(20℃)で測定した値である。
【0024】
第2素材102は、第1素材101に縫い付ける場合は、第1素材101の表面101aと裏面101bに露出する。第1素材101の表面101aに露出する第2素材102と、第1素材101の裏面101bに露出する第2素材102とは、互いに導通する。
例えば、第2素材102は、導電性糸であり、第1素材101に縫い付けられることにより、第1素材101の表面101a及び裏面101bの両方において互いに導通した状態で露出することになる。
第2素材102は、第1素材101の単位面積当たりに対して、第1素材101の表面101aを帯電させることが可能な密度となるように、第1素材101に配される。すなわち、第2素材102は、衣服1cを着用する従業員から落ちた毛髪等が静電気によって衣服1cの表面に付着させることができる密度で第1素材101に配される。
【0025】
第2素材102は、衣服1cの形状全体のうち少なくとも前面(従業員が衣服1cを着用した場合の正面20側)に配される。なお、例えば、衣服1cが飲食店の従業員(接客を行うホールスタッフ)によって着用する場合には、第2素材102は、衣服1cの形状全体のうち前面に加えて、背面(従業員が衣服1cを着用した場合の背面側)に配されてもよく、配されていなくともよい。また、例えば、衣服1cが飲食店の従業員(キッチンスタッフ)、食品工場の従業員及び電子部品製造工場の従業員によって着用される場合には、第2素材102は、衣服1cの形状全体を形成していてもよい。
【0026】
次に、第1例の制服30aについて説明する。
図3に示すように、第1例の制服30aは、上述した第1例の衣服1c(第1衣服11)及び第2衣服12を備える。
第2衣服12は、着用された場合に第1衣服11よりも生体50側(従業員側)に配される。第2衣服12は、少なくとも第2素材102とは異なる素材である第3素材103から形成される。すなわち、第2衣服12は、制服30を着用する従業員と、第1衣服11との間に配される。
上述したように、第2素材102は、従業員の身体から落ちた毛髪等を付着させるため、帯電され、且つ、その帯電を維持する。このように、第2素材102が帯電を維持するために、上述した第3素材103においても、第2素材102とは異なり、第2素材102よりも導電性が低いことが好ましい。すなわち、第3素材103は、電気絶縁性を有することが好ましい。
なお、人間の皮膚の電気抵抗率は、個人差はあるが、約5.0×10
5Ωcmと言われており、そのため、第2素材102が直接人間の皮膚に触れると帯電の維持が難しくなる場合があるため、その場合は上述したように、着用された場合に第1衣服11よりも生体50側(従業員側)に配される電気絶縁性を有する第2衣服12(第3素材103)を設けることが好ましい。
この第3素材103においても、第1素材101と同様に、所定値の電気抵抗率を有する繊維等によって形成された生地から形成され、一例として、電気抵抗率が5.0×10
5Ωcm以上、好ましくは1.0×10
10Ωcm以上、より好ましくは1.0×10
12Ωcm以上の繊維から形成され、具体例としては、アクリル、ポリエステル、レーヨン、ナイロン等である。
【0027】
前記第2衣服12は、第1素材101及び第2素材102とは異なる素材である第3素材103から形成されていてもよい。
すなわち、第3素材103は、例えば、ナイロン、レーヨン、ポリエステル又はアクリル等によって形成される生地である。なお、第3素材103は、前述した例示の生地に限定されず、種々の種類の生地であってよい。この場合であっても、第3素材103は、絶縁性であることが好ましい。これにより、生体への電気伝導等を抑制し、第2素材102の帯電をさらに維持することができる。
第3素材103は、例えば、1mm~3mm程度の厚さを有する。なお、第3素材103の厚さは、前述した例示の厚さに限定されず、任意の厚さの生地であってよい。
【0028】
第1衣服11の第1素材101と、第2衣服12の第3素材103とは、帯電列の極性が互いに異なる素材であることがより好ましい。帯電列は、2つの素材が接触及び摩擦によって帯電する場合、素材がプラスに帯電するのか、又は、マイナスに帯電するのかをまとめたものである。帯電列の極性がプラスに帯電する素材は、例えば、ナイロン及びレーヨン等である。帯電列の極性がマイナスに帯電する素材は、例えば、アクリル及びポリエステル等である。帯電しにくい素材は、例えば、絹、綿及び麻等である。
例えば、第1素材101がナイロン又はレーヨン等であれば、帯電列の極性が互いに異なる第3素材103はアクリル又はポリエステル等である。又は、例えば、第1素材101がアクリル又はポリエステルあれば、帯電列の極性が互いに異なる第3素材103はナイロン又はレーヨン等である。
これにより、第1素材101と第3素材103とが接触する場合、及び、第1素材101と第3素材103との間で摩擦が生じる場合、静電気によって第2素材102は帯電しやすくなるため好ましい。
【0029】
なお、第1例の制服30aにおいては、第1衣服11及び第2衣服12に加えて、さらに、1又は複数の衣服を備えていてもよい。この場合、第1衣服11が、重ね着する3つ以上の衣服の最上面(従業員の身体から最も離れた衣服)になっていてもよい。第1衣服11は、従業員の身体から落ちる毛髪等を、帯電する第2素材102の静電気によって制服30aの表面に付着させることができれば、重ね着する複数の衣服の最上面になっていなくともよい。
【0030】
図4は、変形例に係る制服30bについて説明するための図である。
変形例に係る制服30bは、例えば、第1衣服11及び第2衣服12に加えて、第3衣服13を備えてもよい。第3衣服13は、制服30bを着用する従業員と、第2衣服12との間に配される。第3衣服13は、第4素材104によって形成される。第4素材104は、例えば、ナイロン、レーヨン、ポリエステル又はアクリル等によって形成される生地である。第4素材104は、前述した例示の生地に限定されず、種々の種類の生地であってよい。なお、第4素材104は、第2衣服12(第3素材103)の帯電列の極性と同じ極性であることが好ましい。すなわち、第3素材103の帯電列の極性がプラスの場合には、第4素材104の帯電列の極性もプラスであることが好ましい。具体的には、第3素材103がナイロン及びレーヨン等のいずれかである場合には、第4素材104もナイロン及びレーヨン等のいずれかであることが好ましい。同様に、第3素材103の帯電列の極性がマイナスの場合には、第4素材104の帯電列の極性もマイナスであることが好ましい。具体的には、第3素材103がアクリル又はポリエステル等のいずれかである場合には、第4素材104もアクリル又はポリエステル等のいずれかであることが好ましい。
第4素材104は、例えば、1mm~3mm程度の厚さを有する。なお、第4素材104の厚さは、前述した例示の厚さに限定されず、任意の厚さの生地であってよい。なお、第4素材104に、通気性を向上することを目的とした孔部(図示せず)が設けられている場合、第4素材104の厚さは1mm以上有することが好ましい。
これにより、変形例に係る制服30bは、第2素材102が従業員の身体から離れるため、より第2素材102を帯電させやすくなる。
【0031】
次に、衣服1の変形例について説明する。
第1変形例に係る衣服1dについて説明する。
図5は、第1変形例に係る衣服1dについて説明するための図である。
第1変形例の衣服1dは、第5素材105、第6素材106及び第7素材107によって一体に形成される。第1変形例の衣服1dは、従業員が複数の衣服を重ね着する場合には、最上面に着用される衣服であってもよく、衣服1dは、従業員の身体から落ちる毛髪等を、帯電する第6素材106の静電気によって衣服1dの表面に付着させることができれば、最上面に着用される衣服でなくともよい。第1変形例の衣服1dは、例えば、シャツ及びベスト等の種々の形状及び種類の衣服であってよい。
【0032】
第5素材105は、衣服1dが着用された際に生体50側に配される。第5素材105は、衣服の形状全体を形成する。すなわち、例えば、衣服1dがシャツの場合には、第5素材105は、シャツ全体を形成する。同様に、例えば、衣服1dがベストの場合には、第5素材105は、ベスト全体を形成する。衣服1dがシャツ及びベストを除く他の種類の衣服であっても、第5素材105は、他の種類の衣服全体を形成する。
前述のように、第6素材106は、従業員の身体から落ちた毛髪等を付着させるため、帯電され、且つ、その帯電を維持する。このように、第6素材106が帯電を維持するために、上述した第5素材105は、第6素材106とは異なり、第6素材106よりも導電性が低いことが好ましい。すなわち、第5素材105においても、電気絶縁性を有することが好ましい。その第5素材105は、所定値の電気抵抗率を有する繊維等によって形成された生地から形成され、一例として、電気抵抗率が5.0×105Ωcm以上、好ましくは1.0×1010Ωcm以上、より好ましくは1.0×1012Ωcm以上の繊維から形成され、具体例としては、例えば、ナイロン、レーヨン、ポリエステル又はアクリル等によって形成される生地である。なお、第5素材105は、前述した例示の生地に限定されず、種々の種類の生地であってよい。
第5素材105は、例えば、1mm~3mm程度の厚さを有する。なお、第5素材105の厚さは、前述した例示の厚さに限定されず、任意の厚さの生地であってよい。
【0033】
第6素材106は、第5素材105に対して生体50側とは反対側に配される。第6素材106は、第5素材105とは異なる素材から形成される導電性を有する素材である。第6素材106は、少なくとも第6素材106と異なる素材から形成される第7素材107に配されることとしてもよい。第6素材106は、例えば、金属、カーボン、導電性セラミック等の導電性材料を樹脂または天然等の繊維(糸の芯材)の表面に塗布した(表面を被膜した)素材であってよい。又は、第6素材106は、例えば、金属等の導電性材料そのものから形成される糸であってもよい。第6素材106は、第7素材107の表面107aと裏面107bに露出する。第7素材107の表面107aに露出する第6素材106と、第7素材107の裏面107bに露出する第6素材106とは、互いに導通する。
例えば、第6素材106は、導電性糸であり、第7素材107に縫い付けられることにより、第7素材107の表面107a及び裏面107bの両方において互いに導通した状態で露出することになる。
又は、例えば、第6素材106は導電性糸であり、第7素材107は、第6素材106を含む1又は複数の素材の糸によって織られた生地から形成されていてもよい。これにより、第7素材107は、表面107a及び裏面107bの両方において第6素材106によって互いに導通するように露出することになる。
第6素材106は、第7素材107の表面全体を帯電させることが可能な密度となるように、第7素材107に配される。すなわち、第6素材106は、衣服1dを着用する従業員から落ちた毛髪等が静電気によって衣服1dの表面に付着させることができる密度で第7素材107に配される。
【0034】
第7素材107(第6素材106)は、衣服1dの形状全体のうち少なくとも前面(従業員が衣服1を着用した場合の正面側)に配される。なお、例えば、衣服1dが飲食店の従業員(接客を行うホールスタッフ)によって着用する場合には、第7素材107(第6素材106)は、衣服1dの形状全体のうち前面に加えて、背面(従業員が衣服1dを着用した場合の背面側)にも配されてもよく、配されていなくともよい。また、例えば、衣服1dが飲食店の従業員(キッチンスタッフ)、食品工場の従業員及び電子部品製造工場の従業員によって着用される場合には、第7素材107(第6素材106)は、衣服1dの形状全体を形成していてもよい。
【0035】
前述のように、第6素材106は、従業員の身体から落ちた毛髪等を付着させるため、帯電され、且つ、その帯電を維持する。このように、第6素材106が帯電を維持するために、上述した第7素材107は、第6素材106とは異なり、第6素材106よりも導電性が低いことが好ましい。すなわち、第7素材107においても、電気絶縁性を有することが好ましい。その第7素材107は、所定値の電気抵抗率を有する繊維等によって形成された生地から形成され、一例として、電気抵抗率が5.0×105Ωcm以上、好ましくは1.0×1010Ωcm以上、より好ましくは1.0×1012Ωcm以上の繊維から形成され、具体例としては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル又はアクリル等によって形成される生地である。なお、第7素材107は、前述した例示の生地に限定されず、種々の種類の生地であってよい。第7素材107は、例えば、1mm~3mm程度の厚さを有する。なお、第7素材107の厚さは、前述した例示の厚さに限定されず、任意の厚さの生地であってよい。
第5素材105と第7素材107とは、帯電列の極性が互いに異なる素材であってもよい。第5素材105と第7素材107は、互いに縫い付けられて1つの衣服1dを形成する。
これにより、第5素材105と第7素材107とが接触する場合、及び、第5素材105と第7素材107との間で摩擦が生じる場合、静電気によって第6素材106は帯電する。
【0036】
次に、第2変形例に係る衣服1eについて説明する。
図6は、第2変形例に係る衣服1eについて説明するための図である。
第2変形例に係る衣服1eは、第8素材108によって形成される。第2変形例に係る衣服1eは、従業員が複数の衣服1を重ね着する場合には、最上面に着用される衣服であってもよく、従業員の身体から落ちる毛髪等を、帯電する第8素材108の静電気によって衣服1eの表面に付着させることができれば、最上面に着用される衣服でなくともよい。第2変形例に係る衣服1eは、例えば、シャツ及びベスト等の、種々の形状及び種類の衣服であってよい。
【0037】
第8素材108は、導電性を有する素材である。第8素材108は、例えば、金属、カーボン、導電性セラミック等の導電性材料を樹脂または天然等の繊維(生地又は糸の芯材)の表面に塗布した(表面を被膜した)素材であってよい。例えば、第8素材108は、導電性を有する生地であってもよい。導電性を有する生地は、導電性糸が織り込まれた生地であってもよく、導電性を有しない生地の表面に導電性材料を塗布したものであってもよい。
【0038】
第8素材108は、衣服1eの形状全体を形成する。すなわち、例えば、衣服1eがシャツの場合には、第8素材108は、シャツ全体を形成する。同様に、例えば、衣服1eがベストの場合には、第8素材108は、ベスト全体を形成する。衣服1eがシャツ及びベストを除く他の種類の衣服であっても、第8素材108は、他の種類の衣服全体を形成する。
これにより、第8素材108は、例えば、帯電ガン等によって帯電されることが可能である。
なお、衣服1eにおいては、形状全体を、導電性を有する素材で形成するため、製造コストが高くなる恐れがある。したがって、製造コストという観点から考えると、衣服1c等のような形態とすることが好ましい。
【0039】
衣服1のうちの帯電させる部位(帯電する素材を配する位置)は、衣服1の全体であってもよく、衣服1の一部であってもよい。衣服1の一部を帯電させる場合、帯電させる部位(帯電する素材を配する位置)は、衣服1の前部(衣服1を従業員が着用した場合のその従業員の前方に位置する部位)であってもよく、衣服1の胸部であってもよい。また、衣服1の一部を帯電させる部位(帯電する素材を配する位置)は、衣服1の前部(又は、胸部)に加えて、衣服1の肩、及び、衣服1の上腕部(外側)のうち少なくとも一方であってもよい。
【0040】
例えば、衣服1のうち帯電させる部位は、上述したように胸部を帯電させ、その胸部の他にも右前肩、左前肩、右前上腕部及び左前上腕部を帯電させてもよい。また、衣服1のうち帯電させる部位は、腹部、右前下腕部及び左前下腕部を帯電させてもよく、腹部、右前下腕部及び左前下腕部を帯電させなくともよい。衣服1の腹部は、従業員が料理を運ぶ場合に、その料理よりも下側に位置する可能性があるため、帯電させてもよく、帯電させなくともよい。また、衣服1の右前下腕部及び左前下腕部は、毛髪等が付着する可能性が高くはないが、それらの部位を帯電させることにより、顧客に提供される料理の品質を高めることが可能になる。また、例えば、衣服1の背中上部及び背中下部は、帯電させてもよく、帯電させなくともよい。また、例えば、衣服1のうち右後肩、右後上腕部、右後下腕部、左後肩、左後上腕部及び左後下腕部は、帯電させてもよく、帯電させなくともよい。
上述した衣服1の各部を帯電させない場合(帯電する素材を配しない場合)には、通気性が良くなり、作業性を向上させることができる。
【0041】
また、衣服1の部位の帯電量を変えてもよい。例えば、帯電する素材の密度を変えることにより、帯電量を変えてもよい。この場合、例えば、衣服1の胸部、右前肩、左前肩、右上腕部及び左上腕部は、帯電量を相対的に大きくしてもよい(一例として、帯電する素材をより密に配してもよい)。
また、例えば衣服1の背中上部及び背中下部は、帯電量を相対的に大きくしてもよい。
また、例えば、衣服1の腹部、右前下腕部、左前下腕部、右後下腕部、左後下腕部、右後上腕部及び左後上腕部は、帯電量を相対的に中程度としてもよい。
また、例えば、衣服1の脇部、袖部及び襟部は、帯電量を相対的に弱くしてもよく、帯電させなくともよい。
【0042】
また、衣服1は、ウィルス等の働きを抑制する素材を備えてもよい。一例として、衣服1の表面は、酸化チタン等のウィルスを不活性化する材料によって被覆されてもよい。また、衣服1は、酸化チタン等のウィルスを不活性化する材料によって被覆された糸等が編み込まれていてもよい。衣服1は、酸化チタン等のウィルスを不活性化する材料がその不活性化の効果を発揮する密度等になるように配されている。これにより、衣服1は、従業員の頭部から落ちた毛髪等が付着すると、ウィルスを不活性化する素材によって毛髪等に付着するウィルスの働きを抑制することが可能になる。また、衣服1は、除電等が行われることによりその衣服1に付着した毛髪等を床等に落とす場合でも、その毛髪等に付着するウィルス等は不活性化されているため、施設を衛生的にすることができる。
【0043】
なお、上述した一例では、衣服1は、帯電装置の一例としての帯電ガンによって帯電させる場合について説明した。しかし、衣服1の帯電方法は、この一例に限定されることはない。例えば、施設に衛生設備(図示せず)を設置し、その衛生設備に従業員が居る場合に、衣服1を帯電させてもよい。衛生設備は、例えば、手洗い場等の設備であってもよく、エアシャワー等の設備であってもよい。すなわち、衛生設備は、例えば、従業員が定期的又は不定期に訪れる、従業員の衛生面を確保する種々の設備であってもよい。そのような衛生設備は、種々の帯電装置を有することにより、従業員が訪れた場合に、その従業員が着用する衣服1を帯電させることができる。帯電装置は、一例として、衣服1と接触又は近接した場合、静電気を発生させて(例えば、放電等を行って)衣服1に供給することにより、衣服1を帯電させる。また、衛生設備は、除電装置を有することにより、従業員が訪れた場合に、その従業員が着用する衣服1を除電して、その衣服1に付着した毛髪等を床に落とすことができる。除電装置は、一例として、衣服1と接触した場合、衣服1を接地させる(GNDに接続する)ことにより、衣服1を除電させる。帯電装置及び除電装置は、種々のものであってよく、例えば、衣服1に接触することにより、その衣服1の帯電及び除電が可能なものであってもよい。これにより、従業員の衛生面に関する設備を集中して施設に設置することができる。
【0044】
また、衣服1の帯電量を測定する帯電量測定装置(帯電マーカ)(図示せず)が有ってもよい。例えば、帯電量測定装置は、衣服1の帯電量に応じて指標が変わるものであってもよい。指標は、例えば、衣服1の帯電量に応じて色が変わるものであってもよく、衣服1の帯電量に応じてメモリ又は図形が変わるものであってもよい。帯電量測定装置は、衣服1に配されてもよく、衣服1に配されていなくともよい。従業員は、帯電量測定装置によって測定される帯電量(例えば、指標等)を確認し、衣服1の帯電量が相対的に少なくなっていれば帯電ガン又は帯電装置によって帯電させることができる。上述した帯電量測定装置は、帯電量を測定することができれば公知の種々の測定装置等であってもよく、一例として、公知の静電気測定装置等であってもよい。
【0045】
次に、衣服1(制服30)の使用方法について説明する。
まず、第1例の使用方法について説明する。
図7は、一実施形態に係る衣服1(制服30)の使用方法について説明するためのフローチャートである。
【0046】
ステップST1において、上述した衣服1(制服30)の第2素材102を帯電させる。例えば、静電気を発生させることが可能な帯電ガン(帯電装置)によって、第2素材102を帯電させる。この場合、帯電ガンによる第2素材102の帯電は、所定の時間毎に行われてもよい。ここで、帯電ガンは、例えば、静電気を発生させる装置であってよい。
そのような帯電ガンは、例えば、静電気を発生させるための電極、及び、その電極に電流・電圧を供給する電源等を備える。帯電ガンは、衣服1(制服30)に接触する又は衣服1(制服30)に近づけられることにより、第2素材102を帯電させる。帯電ガンは、衣服1(制服30)に毛髪等を付着させる電圧・電流を発生することにより、第2素材102を帯電させる。すなわち、帯電ガンは、毛髪等を付着させる帯電量を有するように衣服1(制服30)に帯電させる。帯電ガンは、可搬型であってもよい。衣服1は、定期的又は不定期に、帯電ガンによって帯電させてもよい。例えば、衣服1は、帯電量測定装置によって定期的又は不定期に帯電量が測定されることにより、帯電量が相対的に低くなった場合、帯電ガンによって帯電させてもよい。
又は、制服30が、第1素材101及び第2素材102から形成される第1衣服11と、第3素材103から形成される第2衣服12とを備え、第1素材101と第3素材103とが、帯電列の極性が互いに異なる素材である場合には、第1素材101と第3素材103とが接触することにより、及び、第1素材101と第3素材103との間で摩擦が生じることにより静電気が発生し、第2素材102は帯電する。
【0047】
ステップST2において、従業員は作業を行う。一例として、飲食店の従業員が顧客に料理を提供する場合、第2素材102が帯電しているため、仮に従業員の身体から毛髪が落ちても、毛髪は、帯電している衣服1(制服30)の表面に付着することになる。
【0048】
ステップST3において、第2素材102を接地させて、衣服1(制服30)の表面に付着した毛髪等を床に落下させる。すなわち、第2素材102を帯電させてから任意の時間が経過した後、従業員が飲食店等の所定のエリア(例えば、上述した衛生設備が配されるエリア)に行き、第2素材102(第2素材102を有する衣服1(制服30))を接地させると(GNDに接続すると)、衣服1の表面に付着した毛髪は落下する。最後に、落下した毛髪を集めて廃棄する。
【0049】
次に、第2例の使用方法について説明する。
第2例の使用方法は、第1例の使用方法と同様に、第1変形例に係る衣服1dの第6素材106を帯電させる。例えば、静電気を発生させることが可能な帯電ガンによって、第6素材106を帯電させる。この場合、帯電ガンによる第6素材106の帯電は、所定の時間毎に行われてもよい。又は、第5素材105と第7素材107とが、帯電列の極性が互いに異なる素材である場合は、第5素材105と第7素材107とが接触することにより、及び、第5素材105と第7素材107との間で摩擦が生じることにより静電気が発生し、第6素材106は帯電する。
第6素材106が帯電することにより、従業員から落ちた毛髪等は衣服1dの表面に付着する。
第6素材106を帯電させてから任意に時間が経過した後、従業員が飲食店等の所定のエリアに行き、第6素材106(第6素材106を有する衣服1d(制服30))を接地させると(GNDに接続すると)、衣服1dの表面に付着した毛髪は落下する。最後に、落下した毛髪を集めて廃棄する。
【0050】
次に、第3例の使用方法について説明する。
第3例の使用方法は、第1例及び第2例の使用方法と同様に、第2変形例に係る衣服1eの第8素材108を帯電させる。例えば、静電気を発生させることが可能な帯電ガンによって、第8素材108を帯電させる。この場合、帯電ガンによる第8素材108の帯電は、所定の時間毎に行われてもよい。
第8素材108が帯電することにより、従業員から落ちた毛髪等は衣服1eの表面に付着する。
第8素材108を帯電させてから任意に時間が経過した後、従業員が飲食店等の所定のエリアにおいて、第8素材108(第8素材108を有する衣服1e(制服30))を接地させると(GNDに接続すると)、衣服1eの表面に付着した毛髪は落下する。最後に、落下した毛髪を集めて廃棄する。
【0051】
次に、本実施形態の効果を説明する。
衣服1は、基材となる第1素材101と、第1素材101に配される、第1素材101とは異なる素材から形成される導電性を有する第2素材102と、を備える。
例えば、飲食店の従業員が衣服1を着用して第2素材102を帯電させることにより、従業員の身体から落ちた毛髪等は、静電気によって第2素材102(衣服1の表面)に付着する。
これにより、衣服1は、従業員の毛髪等が食品に混入する可能性を極限まで低くすることができ、飲食店において提供される食品の品質を更に向上させることができる。同様に、衣服1は、従業員が食品工場に勤務する場合には、食品工場で加工される食品の品質を更に向上させることができる。また、衣服1は、従業員が電子部品の製造工場に勤務する場合には、製造される電子部品の品質の低下を防止でき、歩留まりを向上させることができる。
【0052】
衣服1は、衣服全体のうち少なくとも胸部に第2素材を配することとしてもよい。
例えば、飲食店において従業員が顧客に料理を提供する場合、その従業員は、自身の前方に料理を位置させて運ぶと考えられる。
毛髪等が従業員の前方に落ちた場合でも、衣服1の少なくとも胸部に第2素材を配して帯電させることにより、毛髪等を少なくとも胸部に付着させることができ、料理への毛髪等の混入の可能性を極限まで低くすることが可能できる。少なくとも胸部に第2素材を配することは、衣服1のうち胸部のみに第2素材を配する場合の他、衣服1の他の部位に加えて胸部にも第2素材を配する場合が含まれる。また、少なくとも胸部に第2素材を配することには、衣服1の他の部位に比べて又は他の部位と共に帯電量が相対的に高くなるように(第2素材が相対的に密になるように)配されてもよい。
衣服1は、衣服全体のうちの一部に第2素材を配することにより、第2素材が相対的に高価の場合にはコストダウンを図ることができ、また通気性及び動作(作業)性を向上させることができる。
【0053】
制服30は、上述した衣服1(第1衣服11)と、着用された場合に第1衣服11よりも生体50側に配される、少なくとも第1素材101とは異なる素材である第3素材103から形成される第2衣服12と、を備えることとしてもよい。
これにより、生体への電気伝導等を抑制し、第2素材102の帯電をさらに維持することができ、従業員の身体から落ちた毛髪等を、静電気によって第2素材102(制服30)により付着させることができる。
これにより、制服30は、従業員の身体から落ちた毛髪等が食品に混入する可能性を極限まで低くすることができ、食品の品質を更に向上させることができる。また、制服30は、製造される電子部品の品質の低下を防止でき、歩留まりを向上させることができる。
【0054】
制服30は、第1素材101と第3素材103とは、帯電列の極性が互いに異なる素材であってもよい。
帯電列の極性が互いに異なる場合、第1素材101と第3素材103とが接触すると、及び、第1素材101と第3素材103との間で摩擦が生じると、より静電気が発生しやすくなる。
これにより、制服30は、第2素材102をより帯電させやすくすることができる。
【0055】
衣服1の使用方法は、基材となる第1素材101と、第1素材101に配される、第1素材101とは異なる素材から形成される導電性を有する第2素材102と、を備える第1衣服11と、着用された場合に第1衣服11よりも生体側に配される、第1素材101及び第2素材102とは異なる素材である第3素材103から形成される第2衣服12と、を備える制服30の使用方法であり、第2素材102を帯電させる第1ステップと、第1ステップ後の所定のタイミングで、第2素材102を接地させる第2ステップと、を実行する。
これにより、衣服1の使用方法は、衣服1の使用方法は、従業員の毛髪等が食品に混入する可能性を極限まで低くすることができ、飲食店において提供される食品の品質を更に向上させることができる。同様に、衣服1の使用方法は、従業員が食品工場に勤務する場合には、食品工場で加工される食品の品質を更に向上させることができる。また、衣服1の使用方法は、従業員が電子部品の製造工場に勤務する場合には、製造される電子部品の品質の低下を防止でき、歩留まりを向上することができる。
【0056】
衣服1の使用方法では、上述した第1ステップは、帯電装置によって第2素材を帯電させることとしてもよい。
これにより、衣服1の使用方法は、衣服1を帯電させることができる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、人物が衣服1(制服30)を着用する例について説明した。しかし、衣服1(制服30)は、種々の形状及び種類であってもよい。このため、衣服1(制服30)は、人物を除く、例えば、猫及び犬等の動物が着用してもよい。具体例として衣服1(制服30)は、動物が着用する服及び靴下等であってもよい。これにより、衣服1は、動物の身体から落ちる毛を表面に付着させることができる。また、衣服1は、動物が歩き回ることにより、動物の身体から床に落ちた毛を表面に付着させることができる。よって、衣服1(制服30)は、室内(例えば、床)が動物の身体から落ちた毛で汚れるのを抑制することができ、室内を清潔に保つことが可能になる。また、衣服1は、宇宙空間で使用される衣服であってもよい。すなわち、例えば、衣服1は、衛星等にある人物の居住空間及び宇宙ステーションで使用される衣服であってもよい。
【実施例】
【0058】
(実施例1)
ポリエステル100%(第1素材)である厚さ1mmのシャツ(衣服1c)に、樹脂繊維の表面に金属が被膜された導電性糸(第2素材)を当該シャツの正面20側に、5cm2の面積になるように縫い付けた。
その後、ポリエステルとは、帯電列の極性が異なる素材であるナイロン100%の生地を準備し、ポリエステル100%の生地領域を含む当該縫い付けた導電性糸領域周辺を、当該ナイロン100%の生地で5分間擦りつけて静電気を発生させた。
次に、別途用意した人間の髪(長さ1cm程度)10本を当該導電性糸領域に接触させたところ、10本中、9本が当該導電性糸領域に付着したのを確認した。また、当該導電性領域を、アルミ金属に接地させたところ、当該9本の髪が当該導電性糸領域からはずれたことを確認した。
【符号の説明】
【0059】
1 衣服
1a シャツ
1b ベスト
11 第1衣服
12 第2衣服
13 第3衣服
30 制服
101 第1素材
102 第2素材
103 第3素材
104 第4素材
105 第5素材
106 第6素材
107 第7素材
108 第8素材