(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】改質装置二重底部
(51)【国際特許分類】
C01B 3/38 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
C01B3/38
(21)【出願番号】P 2021558724
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2020057365
(87)【国際公開番号】W WO2020200778
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】102019204814.5
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】523350291
【氏名又は名称】ティッセンクルップ ウーデ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(73)【特許権者】
【識別番号】501186597
【氏名又は名称】ティッセンクルップ アクチェンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】ThyssenKrupp Allee 1 45143 Essen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】マイスナー,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ,マルコ
【審査官】宮脇 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0126177(US,A1)
【文献】特開平02-129002(JP,A)
【文献】国際公開第2008/149516(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0314631(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 - 3/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成ガス若しくは水素の製造及び/又はプロパン若しくはブタンの脱水素化のための改質装置であって、少なくとも下記の構成要素:
改質装置底部(1a)、改質装置壁(1b)、及び改質装置天板(1c)を有する改質装置燃焼スペース(1)と、
第1の改質管(2a)及び第2の改質管(2b)であって、前記第1の改質管(2a)及び前記第2の改質管(2b)の少なくとも一部が前記改質装置燃焼スペース(1)内に配置されている改質管と、
前記改質装置燃焼スペース(1)内に配置された少なくとも一つの改質装置バーナー(3)と、を有し、
前記改質装置底部(1a)上若しくはその下の80℃及び50℃の間の範囲で前記改質装置底部(1a)を冷却するための冷却ダクト(4)が、前記第1の改質管(2a)と前記第2の改質管(2b)との間に配置され、前記冷却ダクト(4)が、ファンの形態で燃焼用空気運搬装置(16)に接続され、前記改質装置燃焼スペース(1)が、前記冷却ダクト(4)から空間的に分離されていて、煙道ガス換気ダクト(6)が前記第1の改質管(2a)と前記第2の改質管(2b)との間に配置されており、前記煙道ガス換気ダクト(6)が前記冷却ダクト(4)の上方に配置されている、ことを特徴とする改質装置。
【請求項2】
前記第1の改質管(2a)及び前記第2の改質管(2b)が、前記改質装置燃焼スペース(1)の外側の収集システム(5)に接続されている、請求項1に記載の改質装置。
【請求項3】
前記収集システム(5)が前記改質装置底部(1a)の下に配置されている、請求項2に記載の改質装置。
【請求項4】
前記収集システム(5)が、前記改質装置燃焼スペース(1)の下のアンダーボディチャンバ(11)に配置されている、請求項2又は請求項3に記載の改質装置。
【請求項5】
前記改質装置底部(1a)が、金属、鉱物、又はセラミック材料を含む、請求項1から請求項4のいずれかに記載の改質装置。
【請求項6】
前記改質装置底部(1a)が、金属板を含む、請求項5に記載の改質装置。
【請求項7】
耐火性断熱層(7)が前記改質装置底部(1a)及び冷却ダクト(4)上に配置されている、請求項1から請求項6のいずれかに記載の改質装置。
【請求項8】
第2の冷却ダクトが前記改質装置壁(1b)及び/又は前記改質装置天板(1c)に配置されている、請求項1から請求項7のいずれかに記載の改質装置。
【請求項9】
前記煙道ガス換気ダクト(6)が前記改質装置底部(1a)に固定されている、請求項1から請求項8のいずれかに記載の改質装置。
【請求項10】
前記煙道ガス換気ダクト(6)が煙道ガス運搬装置(9)に接続されている、請求項1から請求項9のいずれかに記載の改質装置。
【請求項11】
前記冷却ダクト(4)が、前記改質装置燃焼スペース(1)の外側の空気取り入れ口(8)に接続されている、請求項4に記載の改質装置。
【請求項12】
前記アンダーボディチャンバ(11)中/内の前記空気取り入れ口(8)及び/又は第2の空気取り入れ口(8a)が、前記冷却ダクト(4)を介して第1の補助運搬装置(12)に接続されている、請求項11に記載の改質装置。
【請求項13】
第2の補助運搬装置(13)が、前記空気取り入れ口(8)を介して前記冷却ダクト(4)に接続されている、請求項11又は請求項12に記載の改質装置。
【請求項14】
前記
燃焼用空気運搬装置(16)が、前記煙道ガス換気ダクト(6)内の第1の熱交換器(10)を介して前記改質装置バーナー(3)に接続されている、請求項11から請求項13のいずれかに記載の改質装置。
【請求項15】
第2の熱交換器(10a)が、プロセス方向で前記
燃焼用空気運搬装置(16)の上流及び/又は下流に配置されている、請求項10から請求項13のいずれかに記載の改質装置。
【請求項16】
アンモニア、アンモニア及び尿素、水素及びメタノールの調製のための、及びプロパン及びブタンの脱水素化のためのプラントであって、請求項1から請求項15のいずれかに記載の改質装置を含むプラント。
【請求項17】
少なくとも水素及び一酸化炭素を含むガス混合物を製造するための、請求項1から請求項15のいずれかに記載の改質装置の使用。
【請求項18】
合成ガスの製造方法であって、少なくとも下記の段階:
a)炭化水素混合物及び蒸気を、温度400℃~700℃及び圧力10バール~50バールで、少なくとも下記のもの:
改質装置底部(1a)を有する改質装置燃焼スペース(1)、
第1の改質管(2a)及び第2の改質管(2b)であって、前記第1の改質管(2a)及び前記第2の改質管(2b)の少なくとも一部が前記改質装置燃焼スペース(1)中に配置されている改質管、
前記改質装置燃焼スペース(1)内に配置された少なくとも一つの改質装置バーナー(3)、並びに、
前記第1の改質管(2a)と前記第2の改質管(2b)の間の煙道ガス換気ダクト(6)
を含む改質装置に導入し、
80℃及び50℃の間の範囲で前記改質装置底部(1a)を冷却するための冷却ダクト(4)が、前記第1の改質管(2a)と前記第2の改質管(2b)との間の前記改質装置底部(1a)上に配置されている段階と、
b)少なくとも水素及び一酸化炭素を含む混合物を得る段階と、
を含み、
冷却媒体(12)が前記冷却ダクト(4)を通って導かれ、前記冷却媒体が-20℃~100℃の入口温度を有する、方法。
【請求項19】
前記第1の改質管(2a)及び前記第2の改質管(2b)が、前記改質装置燃焼スペース(1)の外側の収集システム(5)に接続されていて、当該収集システム(5)が前記改質装置燃焼スペース(1)の下のアンダーボディチャンバ(11)に配置されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記冷却ダクト(4)が外部空気又は前記アンダーボディチャンバ(11)からの空気で満たされている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記冷却ダクト(4)が、吸引動作において、燃焼用空気運搬装置(16)、又は、追加の補助運搬装置(12)と燃焼用空気運搬装置(16)の両方で動作し、前記燃焼用空気運搬装置(16)が、燃焼用空気を供給するために前記改質装置バーナー(3)に接続されている、請求項18から請求項20のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成ガスの製造及びプロパン及びブタンの脱水素化のための改質器;本発明の改質器を含む、アンモニア、アンモニアと尿素の製造、プロパン及びブタン、水素及びメタノールの脱水素化のためのプラント、並びに合成ガスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特にアンモニアとメタノールの製造のための水素の生産は、化学産業における重要な基本プロセスである。
【0003】
アンモニアは、世界で2番目に生産されている合成化学物質である(Ullmann′s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 2012, Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, Weinheim, DOI:10.1002/14356007.o02_o11, 以下「Ullmann′s」)。
【0004】
アンモニアは、基本的に、鉄触媒の存在下で水素と窒素の元素から製造される。温度は、非常に多くの場合、400℃~500℃の範囲内で変動し、圧力は100バールを超える。プロセスコストの主な要因は、合成ガス製造から水素を提供するところにある(Ullmann′s、139ページ)。
【0005】
従って、アンモニアの生成は好ましくは、基本的に、例えば、式[1]に従って要素から「ハーバーボッシュ法」に基づいて、Holleman, Wiberg, Lehrbuch der Anorganischen Chemie [Inorganic Chemistry], 102nd edition, 2007, pages 662-665(ISBN 978-3-11-017770-1)に記載されているように行なう。
【化1】
【0006】
窒素反応物(N
2)は、例えば、極低温空気精留によって得ることができる。水素は、好ましくは、下記式[2]に従って、水蒸気改質プロセスによって得られる(例えば、Andreas Jess, Peter Wasserscheid, Chemical Technology, An Integrated Textbook, Wiley-VCH, 2013, p.536-539, ISBN 978-3-527-30446-2に記載の方法に従って)。
【化2】
【0007】
その後の「二酸化炭素変換」では、下記式(3)に従ってさらなる変換を行う。
【化3】
【0008】
2007年の年間生産量が52.1×10
6tのメタノール(Saade, G. A. (2009) Chemical Economics Handbook-SRI Consulting)も重要な汎用化学物質である。″AndreasJess, Peter Wasserscheid, Chemical Technology, An Integrated Textbook, Wiley-VCH, 2013, p.686-694, ISBN 978-3-527-30446-2″で記載のように、その反応は下記式[4]及び[5]によって簡略化された用語で説明することができる。
【化4】
【0009】
メタノール合成に好適な反応条件及び触媒は、同様に、上記の参考文献に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】Ullmann′s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 2012, Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, Weinheim, DOI:10.1002/14356007.o02_o11.
【文献】Holleman, Wiberg, Lehrbuch der Anorganischen Chemie [Inorganic Chemistry], 102nd edition, 2007, pages 662-665.
【文献】Andreas Jess, Peter Wasserscheid, Chemical Technology, An Integrated Textbook, Wiley-VCH, 2013, p.536-539.
【文献】Saade, G. A. (2009) Chemical Economics Handbook-SRI Consulting.
【文献】Andreas Jess, Peter Wasserscheid, Chemical Technology, An Integrated Textbook, Wiley-VCH, 2013, p.686-694.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一次改質装置では、吸熱改質反応で、炭化水素、例えばメタンが蒸気の助けを得て分解されて、水素及び一酸化炭素(及び一部CO2)が生成される。当技術分野では、ガス/蒸気混合物及び触媒を加熱するのに必要なエネルギーを改質装置バーナーによって得るのが通例である。改質装置バーナーは、例えば、空気/天然ガス混合物の燃焼により、熱放射と対流によって外側改質装置チューブ壁に熱を伝達する。対流と熱伝導により、熱がガス/蒸気混合物及び触媒に流れ込み、改質反応のエネルギーを提供する。一次改質装置の燃焼空間で発生する温度は、非常に多くの場合、約1000℃の領域である。ここでは当然、改質装置に取り付けられている全ての構成要素に大きな需要がある。特に、温度に応じて異なる材料の膨張は、材料の疲労及び損傷の原因となる可能性がある。
【0012】
それにより、改質装置の底は特定の程度影響を受ける。改質装置底は、非常に多くの場合、改質装置内部に存在する燃焼温度に対する保護のための耐火断熱層で裏打ちされた金属プレートから製造される。改質装置の下へのアクセスを確保し、改質装置底板の材料応力及び材料疲労を低減し、熱損失を最小限に抑えるために、底板が熱くなりすぎないようにする必要がある。同時に、耐火断熱層は、重量、スペース、及びコスト上の理由から、必要な大きさや厚さにすることができない。
【0013】
DE10226209A1は、天然ガスからメタノール合成ガス、アンモニア合成ガス、CO及びCO2を同時に製造するためのプラントを開示している。
【0014】
さらなるアンモニア製造方法が、例えば、米国特許第4,695,442A号、DE102004013539A1及び米国特許第4,193,776A号に開示されている。
【0015】
EP3138810A1は、寒冷気候帯での水素製造方法を開示している。
【0016】
DE2061455Aは、加圧下で炭化水素を改質するための装置を開示している。開示されているのは、二重中間底によって分離されている熱交換チャンバ及びシャフトチャンバである。
【0017】
EP1094031A1は、円筒形の単管改質装置を開示している。改質装置は、触媒層周囲に配置された熱回収層を含む。
【0018】
WO2017/058744A2は、改質装置システムにおける煙道ガストンネルの配置を開示している。
【0019】
本発明の目的は、冒頭に記載された先行技術の不利な点を有さない改質装置を提供することにある。改質装置は、底板の領域における温度を明確に下げると同時に、耐火断熱層への最小限の変更を伴う構造を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
驚くべきことに、本発明のその目的は、請求項1に記載の合成ガスの製造及び/又はプロパン又はブタンの脱水素化のための改質装置によって達成される。有利な構成は、従属請求項から明らかである。
【0021】
本発明はさらに、本発明の改質装置を含む、アンモニア、アンモニア及び尿素、水素及びメタノールを製造するためのプラントを包含する。
【0022】
さらなる構成において、本発明は、少なくとも水素及び一酸化炭素を含むガス混合物を製造するための本発明の改質装置の使用を包含する。
【0023】
本発明はさらに、合成ガスの製造方法を包含する。有利な構成は、従属クレームから明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】本発明の改質装置の好ましい実施形態の断面図である。
【
図4】
図2からの断面軸Aに沿ったさらなる模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
合成ガス又は水素の製造及び/又はプロパン又はブタンの脱水素化のための本発明の改質装置は、少なくとも以下の成分を含む。本発明の文脈における「及び/又はプロパン又はブタンの脱水素化」という表現はまた、プロパン及びブタンの異性体及び混合物を包含する。本発明の文脈において、「合成ガス」という表現は、蒸気改質炭化水素及び過剰蒸気との混合物を包含する。改質装置燃焼スペースは、改質装置底、改質装置壁、及び改質装置天板を含む。第1の改質管及び第2の改質管の少なくとも一部が、改質装置燃焼スペースに配置されている。本発明の文脈における「の少なくとも一部」という表現は、第1の改質管の少なくとも一部及び第2の改質管の少なくとも一部が改質装置燃焼スペース内を走ることを意味する。一般に、第1の改質管及び第2の改質管のサブセクションのみが燃焼室を通り、それは、第1の改質管及び第2の改質管が燃焼室に入るよう導かれ、次に燃焼室から出るよう導かれることを意味する。本発明の文脈における「第1の改質管及び第2の改質管」という表現は、必要な最小構成を説明する。一般に、改質装置燃焼スペースに配置されたさらなる改質管、例えば30~1800個の改質管がある。改質管は、触媒又は触媒床、好ましくはニッケル及び/又は化合物及び/又はそれの他の化合物との混合物で満たされている。さらに、少なくとも一つの改質装置バーナーが、改質装置燃焼スペース内に配置されて存在する。一般に、複数の改質装置バーナー、例えば15~600個の改質装置バーナーが改質装置燃焼スペースに配置される。本発明の文脈における「改質装置燃焼スペース内に配置された改質装置バーナー」という表現は、改質装置燃焼スペース内で、又は改質装置燃焼スペースと一緒に接続され、バーナー用の燃焼ガスが改質装置燃焼スペースに導き入れられる全てのバーナーを包含する。合成ガスを製造するための本発明の改質装置は、冷却ダクトが、改質装置底部内、又は第1の改質管と第2の改質管との間の改質装置底部の下に配置されていることを特徴とする。本発明の文脈における冷却ダクトは、改質装置底部の上又は下のいずれかに設置されていることができる。本発明の文脈における改質装置底部は、好ましくは、構造的支持を提供するマウントによって補強されたシートを含む。本発明の文脈における「冷却ダクト」という表現は、改質装置底部の中又は下に配置され、好適な液体又は気体冷却媒体が改質装置底部を通過するのに適した管、通路、ダクトを包含する。冷却ダクトは、冷却媒体が改質装置底部から熱エネルギーを吸収できるように設計されており、それは、冷却媒体が加熱される可能性があることを意味する。冷却ダクトの壁は、特に、石組み要素(例えば、レンガ)、金属板、又はセラミック壁要素を含み得る。冷却媒体、例えば空気の伝導は、改質装置底部の温度における明確な低下を可能にし、従って、改質装置底部の寿命の期待通りの明確な増加、及び改質装置底部の下の人又は装置への熱の放射の顕著な低下も可能にする。
【0026】
第1の改質管及び第2の改質管、並びに一般にさらなる改質管もまた、好ましくは、改質装置燃焼スペースの外側の収集システムに接続される。より好ましくは、収集システムは、改質装置底部の下に配置される。
【0027】
さらに好ましくは、第1の収集システムは、改質装置チャンバの下のアンダーボディチャンバに配置されている。アンダーボディチャンバは好ましくはアクセス可能である。
【0028】
好ましい実施形態では、改質装置底部は、金属、鉱物、又はセラミック材料、より好ましくは金属プレートを含む。改質装置の操作において、これらの金属プレートは、熱膨張を最小限にするために、好ましくは100℃以下の温度である。
【0029】
耐火性絶縁層は、好ましくは、改質装置底部及び冷却ダクト上に配置される。全体的な耐火性絶縁層は、好ましくは、異なる熱安定性、絶縁特性及び機械的材料除去に対する耐性を有する異なるセラミック材料の複数の層からなる(又はそれを含む)。これらは、例えば、緻密質又は多孔質のレンガ、軽量耐火コンクリート、断熱パネル、及び/又はセラミック繊維に基づく構成要素である。
【0030】
さらなる好ましい実施形態では、第2の冷却ダクトが、改質装置壁及び/又は改質装置天板に配置されている。第2の冷却ダクトがあることで、改質装置の別の形で熱的に高いストレスがかかる領域の温度を下げることができる。
【0031】
煙道ガス換気ダクトは、好ましくは、第1の改質管と第2の改質管との間に配置される。煙道ガス換気ダクトは、好ましくは、レンガ造りのダクトの形態で設計され、そのダクトは、改質装置燃焼スペースからの燃焼ガスを収容するための開口部(煙道ガス入口開口部)を有する。より好ましくは、煙道ガス換気ダクトは、冷却ダクトの上に、特に好ましくは、冷却ダクトの上にある耐火性断熱層に配置される。
【0032】
本発明のさらに好ましい実施形態では、煙道ガス換気ダクトは、改質装置底部に固定されている。
【0033】
煙道ガス換気ダクトは、好ましくは、煙道ガス運搬装置に(圧力又は吸引のいずれかによって)接続されている。
【0034】
冷却ダクトは、好ましくは、燃焼用空気搬送装置に接続されている。本発明の文脈における「燃焼用空気運搬装置」という表現は、冷却媒体を運搬するために圧力又は吸引のいずれかを行う装置(例えば、ファン)を包含する。この構成により、改質装置バーナーでの燃焼に必要な空気(燃焼用空気)をエネルギー的に有利な方法で予熱することができる。
【0035】
冷却ダクトは、好ましくは、その冷却ダクトが冷却媒体としての外気で満たされることができるように、改質装置チャンバの外側の空気取り入れ口に接続されている。
【0036】
空気取り入れ口及び/又は第2の空気取り入れ口(アンダーボディチャンバ中/内部の空気取り入れ口を有する)は、好ましくは、冷却ダクトを介して第1の補助運搬装置に接続されている。
【0037】
さらなる構成では、第2の補助運搬装置は、好ましくは燃焼用空気運搬装置の吸引効果を強化する目的で、空気取り入れ口を介して冷却ダクトに接続されている。
【0038】
さらなる構成では、冷却ダクトは、冷却媒体を冷却ダクトに押し込む第2の補助運搬装置を介して/に接続されている。
【0039】
第1の補助運搬装置及び/又は第2の補助運搬装置は、改質装置空間の外側に、そして圧力を与えるために冷却方向(冷却媒体の流れ方向)で冷却ダクトの上流に、及び/又は吸引を行うために冷却方向で改質装置燃焼スペースの下流に配置されていることができる。
【0040】
好ましくは、燃焼用空気運搬装置は、煙道ガス換気ダクト内の第1の熱交換器を介して改質装置バーナーに接続されている。第1の熱交換器を組み込むことにより、バーナー空気の予熱のために煙道ガス換気ダクトからの廃熱を利用することが可能となる。
【0041】
本発明のさらに好ましい実施形態では、熱交換器は、煙道ガス換気ダクト又は複数の換気ダクトの集合スペースに配置されている。
【0042】
第2の熱交換器は、好ましくは、燃焼用空気運搬装置の、又は任意に、プロセス方向(プロセス流又は冷却媒体の流れ方向)における第1の補助運搬装置の上流及び/又は下流に配置される。
【0043】
好ましい実施形態では、冷却ダクトは、アンダーボディチャンバ内/上の第2の空気取り入れ口に接続されている。本発明の文脈における「内/上」という表現は、好ましくは、アンダーボディチャンバ内の第2の空気取り入れ口の配置、又は外壁上又は外壁上の第2の空気取り入れ口の配置を包含する。より好ましくは、冷却ダクトは、第1の補助運搬装置を介して/によって第2の空気取り入れ口に接続されている。アンダーボディチャンバからの空気取り入れは、改質装置の下部領域の温度と改質装置底部の熱応力をさらに低減する。
【0044】
或いは、第2の補助運搬装置を介して周囲空気を二重底部に注入することが可能である。
【0045】
本発明はさらに、上記のような改質装置を含む、アンモニア、アンモニア及び尿素、水素及びメタノールの製造のためのプラント、並びにプロパン及びブタンの脱水素化のためのプラントを包含する。
【0046】
さらなる構成において、本発明は、少なくとも水素及び一酸化炭素を含むガス混合物を製造するための上記のような改質装置の使用を包含する。
【0047】
本発明はさらに、合成ガスの製造方法であって、少なくとも以下の段階を含む方法を包含する。第1段階で、炭化水素混合物(好ましくはメタン/天然ガス)と蒸気を、温度400℃~700℃及び圧力10バール~50バールの改質装置に導入する。改質装置は、改質装置底部、改質装置壁及び改質装置天板を有する少なくとも一つの改質装置燃焼スペースを有する。第1の改質管及び第2の改質管の少なくとも一部は、改質装置燃焼スペースに配置されている。本発明の文脈における「の少なくとも一部」という表現は、第1の改質管の少なくとも一部及び第2の改質管の少なくとも一部が改質装置燃焼スペース内を走ることを意味する。一般に、第1の改質管及び第2の改質管のサブセクションのみが燃焼室を通過し、それは、第1の改質管及び第2の改質管が燃焼室に導かれ、次に燃焼室から外へ導かれることを意味する。本発明の文脈における「第1の改質管及び第2の改質管」という表現は、必要な最小構成を説明する。一般に、さらなる改質管、例えば30~1800個が、改質装置燃焼スペースに配置される。さらに、改質装置燃焼スペース内に配置された少なくとも一つの改質装置バーナーが存在する。一般に、複数の改質装置バーナー、例えば15~600個の改質装置バーナーが燃焼スペースに配置される。煙道ガス換気ダクトは、第1の改質管と第2の改質管との間に配置され、任意に、第1の改質管及び第2の改質管は、改質室の外側の収集システムに接続され、収集システムは、改質装置チャンバの下のアンダーボディチャンバに配置されている。合成ガスを製造するための本発明の改質装置は、冷却ダクトが、第1の改質管と第2の改質管との間の改質装置底部上又はその下に配置されていることを特徴とする。本発明の文脈における「冷却ダクト」という表現は、適切な液体又は気体の冷却媒体を改質装置底部に通すのに適した、改質底部上又はその下に配置された管、通路、ダクトを包含する。冷却ダクトは、冷却媒体が改質装置底部から熱エネルギーを吸収できるように設計されており、それは、冷却媒体が熱くなる可能性があることを意味している。冷却ダクトの壁は、石組み要素(例えば、レンガ)、金属板、又はセラミック壁要素を含み得るが、これらに限定されるものではない。冷却媒体、例えば空気の伝導は、改質装置底部の温度における明確な低下を可能にし、従って、改質装置底部の寿命の予想外の明確な増加を可能にする。第1の改質管及び第2の改質管は、好適な触媒又は触媒床、例えばニッケル及び/又は化合物及び/又はそれらの混合物で満たされている。炭化水素混合物(好ましくはメタン/天然ガス、LPG、ナフサ、精製オフガス)及び蒸気が第1の改質管及び第2の改質管を通過した後、少なくとも水素及び一酸化炭素を含む混合物、即ち合成ガス混合物が得られる。本発明の方法は、冷却媒体、好ましくは空気が冷却ダクトを通って導かれることを特徴とする。ガスと並んで有用な冷却媒体は、液体媒体、例えば、水、水溶液、有機溶液、オイル又はシリコーンオイルでもある。冷却媒体を導くことで、底板の温度が明らかに低下する。この温度低下により、底板の材料疲労が大幅に減少し、底板上の絶縁層の設計を薄くすることができ、底板に作用する重量も減少させることができる。
【0048】
本発明の方法の好ましい実施形態では、冷却媒体は、-20℃~100℃の入口温度を有する。
【0049】
冷却ダクトは、好ましくは、外部空気又はアンダーボディチャンバからの空気で満たされる。外気進入が、冷却媒体を供給する最も簡単な実行である。「アンダーボディスペース」とも称される、非常に多くの場合で改質装置底部の下にあるスペースからの空気取り込みが、改質装置の下部領域の温度をさらに低下させる。
【0050】
好ましい構成では、冷却ダクトは、吸引運転での運搬装置で動作する。ここで、燃焼用空気を供給するために、運搬装置が改質装置バーナーに接続されている。上記の接続により、改質装置底部から冷却媒体が吸収した熱エネルギーを介して、改質装置バーナー用の空気を予熱することができる。
【0051】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明する。その実施例は、本発明をいかなる程度にも制限するものではない。
【0052】
実施例(予想温度の比較)
シミュレーション計算では、改質装置底部上の予想温度を、底部上の冷却ダクト(実施例)がある場合と底部上の冷却ダクトがない場合(比較例)で比較した。一次改質装置の構造の残りのもの(寸法、改質管の数)は、両方の実施例で同一である。
【0053】
【0054】
表1で推定された温度は、本発明の実施例における明瞭な温度低下を示している。これは、改質装置底部での材料応力及び材料疲労を明らかに減少させる。より好ましくは、冷却媒体の流れを有利に調整することができる制御装置によって、温度変動を低減することが可能である。
【0055】
本発明は、以下の図によってさらに詳細に説明される。これらの図は、本発明の保護の範囲を制限するものではなく、例示的な説明に役立つものである。数字は正確な縮尺ではない。
【0056】
図は次のことを示している。
【0057】
図1:本発明の改質装置の断面図、
図2:本発明の改質装置の好ましい実施形態の断面図、
図3:
図2からの断面軸Aに沿った模式図;及び
図4:
図2からの断面軸Aに沿ったさらなる模式図。
【0058】
図1は、本発明の改質装置の断面を示している。改質装置燃焼スペース(1)は、改質装置底部(1a)、改質装置壁(1b)、及び改質装置天板(1c)を有する。改質装置底部(1a)の上に配置されているのは、絶縁層(7)である。第1の改質管(2a)及び第2の改質管(2b)の少なくとも一部が、改質装置燃焼スペース(1)に配置されている。さらに、明瞭に指し示されていないさらなる改質管が、改質装置燃焼スペース(1)に配置されている。改質管(2a/2b)には、触媒又は触媒床、好ましくはニッケル及び/又は化合物及び/又はそれらの混合物が充填されている。さらに、改質装置燃焼スペース内に配置された少なくとも一つの改質装置バーナー(3)が存在する。一般に、複数の改質装置バーナー(3)が改質装置燃焼スペース(1)に配置されている。改質装置バーナー(3)には、燃焼ガス(3a)及び燃焼用空気(3b)が供給される。燃焼ガス(3a)及び燃焼用空気(3b)は、異なる導管又は一つの導管(図示せず)を介して提供され得る。本発明の文脈における「~内」という表現は、改質装置燃焼スペースに作用することができる改質装置バーナーを説明/包含するものである。本発明の改質装置は、第1の改質管(2a)と第2の改質管(2b)との間の改質装置底部(1a)上に冷却ダクト(4)を有する。冷却媒体、例えば空気の通過によって、改質装置底部(1a)の温度を明確に下げることができ、従って、改質装置底部(1a)の寿命が期待通りに明確に延長され得る。
【0059】
図2は、本発明の改質装置の好ましい実施形態の断面図を示している。基本的な構造は、
図1で説明したものに対応している。煙道ガス換気ダクト(6)は、第1の改質管(2a)と第2の改質管(2b)の間に配置されている。第1の改質管(2a)及び第2の改質管(2b)は、収集システム(5)に合流する。煙道ガス換気ダクト(6)は、好ましくは、レンガ造りのダクトの形態で設計され、煙道ガス換気ダクト(6)は、改質装置燃焼スペースからの煙道ガスを受け入れるための煙道ガス入口開口部(14)を有する。煙道ガス換気ダクト(6)は、好ましくは冷却ダクト(4)の上に、特に好ましくは、冷却ダクト(4)の上の耐火断熱層(7)の上に配置されている。
【0060】
図3は、
図2の断面軸Aに沿った模式図を示している。改質装置の燃焼スペース(1)の基本構造は、
図2で説明したものに対応している。煙道ガス換気ダクト(6)からの廃空気は熱交換器(10/10a/10b/10c)を加熱し、収集システム(15)を介して接続されている改質装置バーナー(3)の空気を予熱する働きをする。運搬システム(9)により、煙道ガス換気ダクト(6)からの煙道ガスの除去が可能となる。示されている設計では、空気は、吸気口(8)及び(8a)を介して冷却ダクト(4)から導入される。燃焼用空気運搬装置(16)は、空気を取り込むために冷却ダクト内に必要な減圧を作り出す。温風が、第2の吸気口(8a)によってアンダーボディチャンバ(11)から吸い込まれる。従って、アンダーボディチャンバ(11)内の温度を効果的に低下させ、改質装置底部(1a)への熱応力を低減することが可能である。冷却媒体の流れは、制御バルブ(17)を介してさらに制御することができる。
【0061】
図4は、
図2からの断面軸Aに沿ったさらなる模式図を示す。基本的な構造は、
図3について説明したものに対応する。エネルギー利用を改善するために、さらなる熱交換器(10a)が提供されている。冷却ダクト(4)内の燃焼用空気を加熱することにより、熱交換器の設計を小さくしたり、完全に省いたりすることができる。追加の第1の補助運搬装置(12)及び第2の補助運搬装置(13)を使用して、冷却ダクト(4)内の冷却媒体の流れをさらに改善することができる。
【0062】
参照番号のリスト
(1)改質装置燃焼スペース
(1a)改質装置底部
(1b)改質壁
(1c)改質装置天板
(2a)第1の改質管
(2b)第2の改質管
(3)改質装置バーナー
(4)冷却ダクト
(5)収集システム
(6)煙道ガス換気ダクト
(7)耐火断熱層
(8)吸気口
(8a)第2の吸気口
(9)煙道ガス運搬装置
(10)第1の熱交換器
(10a)第2の熱交換器
(10b)第3の熱交換器
(10c)第4の熱交換器
(11)アンダーボディチャンバ
(12)第1の補助運搬装置
(13)第2の補助運搬装置
(14)煙道ガス入口開口部
(15)バーナー収集システム
(16)燃焼用空気運搬装置
(17)制御バルブ